説明

吐出容器

【課題】オーバーキャップやノズル筒を良好な衛生状態で維持することができる吐出容器を提供することを目的とする。
【解決手段】内容物を収容する容器体2と、容器体2の口部20の上方に配設されていると共に内容物を吐出する吐出口50が設けられたノズル筒5と、ノズル筒5に脱着可能に被着されてノズル筒5を内側に収納するオーバーキャップ6と、を備える吐出容器1において、ノズル筒5、及びノズル筒5とオーバーキャップ6との間、のうちの少なくとも一方に、オーバーキャップ6の外部とオーバーキャップ6の内部とを連通させる通気口55が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を吐出する吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出容器として、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、鼻腔に点鼻薬を塗布する点鼻容器が知られている。この吐出容器は、点鼻薬が収容された容器体と、その容器体の口部に装着されたノズル筒付きの装着キャップと、当該装着キャップに被着されて上記したノズル筒を覆うオーバーキャップと、が備えられている。上記したノズル筒は、上端部に吐出口が形成された有頂の筒体である。オーバーキャップは、有頂の筒体であり、その下端部が装着キャップに脱着可能に嵌合されている。
【0003】
上記した吐出容器の使用方法としては、まず、オーバーキャップを取り外してノズル筒を露出させる。次に、ノズル筒の先端部を鼻腔に挿入する。次に、ノズル筒の上端の吐出口から点鼻薬を吐出させ、鼻腔内の患部に点鼻薬を塗布する。そして、使用後は、装着キャップにオーバーキャップを被着させてオーバーキャップでノズル筒を覆う。これにより、ノズル筒に埃などが付着することを防止することができる。
【0004】
また、上記したオーバーキャップには、複数のスリットや孔からなる通気口が形成されている。詳しく説明すると、オーバーキャップの頂壁部に、円形や扇形の孔が形成されていると共に、オーバーキャップの周壁部に、縦方向に延在する複数のスリット開口が間隔をあけて全周に亘って配列されている。これにより、オーバーキャップの内部の通気性が向上するので、ノズル筒の表面が乾燥しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3413804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の吐出容器では、オーバーキャップの周壁部や天壁部に通気口が形成されているので、オーバーキャップの通気口に塵や手垢などが詰まりやすいという問題がある。このように通気口に塵等が詰まると、オーバーキャップが不衛生になるだけでなく、オーバーキャップ内への外気の流入が妨げられ、オーバーキャップの通気性が低下する。その結果、ノズル筒の表面が乾燥しにくくなり、ノズル筒の表面に雑菌が繁殖し易くなるという問題が生じる。
また、上記した従来の吐出容器では、外気と共に埃などがオーバーキャップの通気口を通ってオーバーキャップ内に入り込みやすいので、ノズル筒に埃などが付着しやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、オーバーキャップやノズル筒を良好な衛生状態で維持することができる吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吐出容器は、内容物を収容する容器体と、該容器体の口部の上方に配設されていると共に前記内容物を吐出する吐出口が設けられたノズル筒と、該ノズル筒に脱着可能に被着されて該ノズル筒を内側に収納するオーバーキャップと、を備える吐出容器において、前記ノズル筒、及び前記ノズル筒と前記オーバーキャップとの間、のうちの少なくとも一方に、前記オーバーキャップの外部とオーバーキャップの内部とを連通させる通気口が形成されていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、外気が通気口を通ってオーバーキャップ内に流入するので、オーバーキャップの内部の通気性が向上する。また、上記した通気口は、ノズル筒、及び/又はノズル筒とオーバーキャップとの間、に形成されているので、埃などが通気口を通ってオーバーキャップ内に入り込みにくく、且つ、通気口内に塵や手垢等が詰まりにくい。
【0010】
また、本発明に係る吐出容器は、前記吐出口が、前記ノズル筒の上端面に配設されており、前記オーバーキャップの天壁部の下面に、前記吐出口を閉塞するシール凸部が突設されていることが好ましい。
【0011】
これにより、吐出口がシール凸部によって閉塞されるので、吐出口から内容物が漏れ出すことが防止されると共に、吐出口が乾燥しにくくなる。
【0012】
さらに、本発明に係る吐出容器は、前記オーバーキャップが、弾性変形可能な軟質材からなり、前記天壁部が、前記シール凸部を介して前記ノズル筒によって押圧されて軸方向上側に弾性変形していることが好ましい。
【0013】
これにより、軟質材からなる天壁部の弾性力によってシール凸部が吐出口に押し当てられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出容器によれば、通気口を通ってオーバーキャップ内に外気が流入し、オーバーキャップの内部の通気性が向上するので、ノズル筒の表面が乾燥しやすくなる。その結果、ノズル筒の表面に雑菌が繁殖しにくくなり、ノズル筒を良好な衛生状態で維持することができる。
また、埃などが通気口を通って入り込みにくいので、ノズル筒の表面に埃などが付着することを防止することができ、ノズル筒を良好な衛生状態で維持することができる。
さらに、通気口内に塵や手垢等が詰まりにくいので、オーバーキャップを良好な衛生状態で維持することができると共に、オーバーキャップの内部の通気性を確実に維持することができ、ノズル筒を良好な衛生状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の破断図である。
【図2】図1に示すA−A間の横断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出容器の破断図である。
【図4】図3に示すB−B間の横断面図である。
【図5】図4に示すC−C間の縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例を説明するための吐出容器の破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る吐出容器の第1、第2の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る吐出容器の第1の実施の形態について、図1、図2に基づいて説明する。
図1に示す鎖線Oは吐出容器1の中心軸線を示しており、以下「軸線O」と記す。また、本発明では、この軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、本実施の形態では、容器体2からみてノズル筒5側(図1における上側)を「上方」とし、その反対側(図1における下側)を「下方」とする。
【0018】
図1に示すように、吐出容器1は、鼻腔に点鼻薬(本発明における内容物に相当する。)を塗布する点鼻器であり、後述するノズル筒5を鼻腔に挿入させてそのノズル筒5の吐出口50から点鼻薬を噴射させて鼻腔内の患部に点鼻薬を塗布するスプレー容器である。吐出容器1の概略構成としては、点鼻薬を収容する容器体2と、容器体2の口部20の内側から口部20の上方に向けて上方付勢状態で突出された下方移動可能なステム3と、口部20の内側に装着されたポンプ4と、ステム3の上端に連結されて口部20の上方に配設されたノズル筒5と、ノズル筒5に脱着可能に被着されたオーバーキャップ6と、を備えている。
【0019】
容器体2は、有底筒状のボトル容器であり、その概略構成としては、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設された胴部21と、胴部21の下端を閉塞する図示せぬ底部と、胴部21の上端に連設された肩部22と、肩部22の上端に連設された口部20と、が備えられている。肩部22は、胴部21の上端から上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の壁部であり、その内縁(上端)に口部20が立設されている。この口部20の基端部(下端部)には、外径が縮径された括れ部20aが形成されている。
【0020】
ポンプ4は、公知のポンプ機構であり、その概略構成としては、筒状のシリンダ40の内側に、軸方向に摺動可能な図示せぬピストンと、そのピストンを上方に付勢する図示せぬスプリングとがそれぞれ収納された構成からなる。このポンプ4によれば、上記したピストンが押し下げられることで容器体2内の点鼻薬がシリンダ40内を通って送り出される。また、上記したシリンダ40の外周面には、径方向外側に突出したフランジ部41が全周に亘って周設されている。このフランジ部41は、円環板状のパッキン42を介して口部20の上端に載置されている。また、ポンプ4は、口部20にカシメ固定されたカシメ金具43によって口部20に固定されている。このカシメ金具43は、ポンプ4の上部(フランジ部41よりも上方の部分)及び口部20の外周面を被覆する金属板からなる金具である。このカシメ金具43の下端部は、口部20の括れ部20aにおいて加締められており、カシメ金具43が口部20とフランジ部41とを上下から挟持することでフランジ部41が口部20に固定されている。
【0021】
ステム3は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設された円筒形状の筒体である、ステム3の下部は、上記したシリンダ40の内側に挿入されており、ステム3の上部は、シリンダ40の上方に上向きに突出されている。また、ステム3は、シリンダ40の内側に連通されていると共に、シリンダ40に対して相対的に軸方向に移動可能に配設されている。また、ステム3は、上記した図示せぬピストンに連結されており、このピストンを介して上記した図示せぬスプリングによって上向きに付勢されている。
【0022】
ノズル筒5は、口部20の上方に配設された押し下げ可能な押下ヘッドであり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設されている。詳しく説明すると、ノズル筒5は、上記したステム3の上端部に連結された内筒部54と、その内筒部54の上端部に設けられた吐出口50と、内筒部54の外側に周設された外筒部51と、外筒部51の下端から径方向外側に突出されたフランジ部52と、フランジ部52の下面に垂設された下筒部53と、を備えている。
【0023】
上記した内筒部54と外筒部51とは軸線Oを共通軸にして同軸上に配設されており、内筒部54の外周面と外筒部51の内周面との間には全周に亘って隙間があけられている。また、外筒部51は上方に向かうに従い漸次縮径されており、内筒部54の上端部と外筒部51の上端部とは一体的に連結されている。フランジ部52は、図2に示すように平面視長方円形状の板部であり、軸線Oに対して略垂直に配設されている。下筒部53は、上記したフランジ部52の短手方向の直径と略同径の外径を有する円筒形状の筒部である。下筒部53の下端面と上記したカシメ金具43の上面との間には隙間があけられており、この下筒部53は、ノズル筒5の押し下げ動作のストッパであり、下筒部53の下端面がカシメ金具43の上面に当接することでノズル筒5の押し下げ動作が係止される。吐出口50は、ステム3から上記した内筒部54の内側に供給された点鼻薬を噴出させる噴射口であり、軸方向上側に向けて配設されている。
【0024】
また、図1、図2に示すように、ノズル筒5には、後述するオーバーキャップ6の外部とオーバーキャップ6の内部とを連通させる通気口55が形成されている。詳しく説明すると、通気口55は、ノズル筒5のフランジ部52に形成された貫通孔であり、軸方向に沿って延設されている。また、フランジ部52には、複数の通気口55が形成されており、これら複数の通気口55は、周方向に間隔をあけて均等に配列されている。また、通気口55は、フランジ部52の内周側の部分に配設されており、平面視において上記した下筒部53の内側に配設されている。つまり、通気口55の下端は、下筒部53の内側に向けて開放されている。なお、下筒部53の下端は開口されており、下筒部53の内部は外部に連通されている。したがって、通気口55は、下筒部53の内部を介して外部に連通されている。一方、通気口55の上端は、オーバーキャップ6の下端部の内側に向けて開放されている。
【0025】
オーバーキャップ6は、ノズル筒5を内側に収納する有頂筒状のキャップ体であり、ノズル筒5に脱着可能に取り付けられている。このオーバーキャップ6は、例えばエラストマー樹脂やゴム等の軟質材からなり、その概略構成としては、ノズル筒5の上方に配設された平面視略円形の天壁部60と、天壁部60の外縁から垂下された周壁部61と、周壁部61の下端から径方向外側に突出したフランジ部62と、を備えている。
【0026】
周壁部61は、ノズル筒5の外筒部51の外周に周設された円筒形状の筒部であり、周壁部61の内径はノズル筒5(外筒部51)の外径よりも大径であり、周壁部61の内周面とノズル筒5(外筒部51)の外周面との間には全周に亘って隙間があけられている。また、周壁部61の内周面には、半球状の凸部63が複数突設されている。これら複数の凸部63は、間隔をあけて周方向に配列されており、全周に亘って均等に配設されている。また、複数の凸部63の各先端は、ノズル筒5(外筒部51)の外周面にそれぞれ圧接されており、これにより、オーバーキャップ6はノズル筒5に嵌合されている。
【0027】
オーバーキャップ6のフランジ部62は、周壁部61の下端部に沿って全周に亘って形成された環状の板部であり、ノズル筒5のフランジ部52の上面に載置されている。オーバーキャップ6のフランジ部62は、平面視円形(円環形状)を成しており、オーバーキャップ6のフランジ部62の外径は、ノズル筒5のフランジ部52の長手方向の外径と略同径(若干大径)で、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外径よりも大径になっている。すなわち、オーバーキャップ6のフランジ部62は、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の部分よりも径方向外側に突出されている。また、オーバーキャップ6のフランジ部62の内周部分の下面には、段状に窪んでノズル筒5のフランジ部52の上面から離間した段差部64が、周壁部61の内縁に沿って全周に亘って形成されている。この段差部64の縁部は、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外縁よりも径方向内側に形成されている。また、上記した複数の通気口55の上端は、段差部64の内側に向けて開口されている。
【0028】
次に、上記した構成からなる吐出容器1の作用について説明する。
【0029】
上記した構成からなる吐出容器1では、図1に示すように、ノズル筒5にオーバーキャップ6を被着させた状態で保管される。これにより、オーバーキャップ6内にノズル筒5が収容され、ノズル筒5に埃などが付着することが防止される。このとき、外気が下筒部53の下端から通気口55を通ってオーバーキャップ6内に流入する。すなわち、外気は、まず、下端が開口された下筒部53内に流入する。そして、その下筒部53内に流入した外気は、通気口55からオーバーキャップ6の段差部64内を通ってオーバーキャップ6の周壁部61内に流入する。これにより、ノズル筒5が収納されたオーバーキャップ6の内部の通気性が確保される。
【0030】
また、上記した通気口55は、ノズル筒5のフランジ部52に形成され、下筒部53内に向けて開口されているので、埃など通気口55を通ってオーバーキャップ6内に入り込みにくく、また、通気口55内に塵や手垢等が詰まりにくい。
【0031】
一方、上記した構成からなる吐出容器1を使用する際には、まず、オーバーキャップ6をノズル筒5に対して相対的に引き上げてノズル筒5からオーバーキャップ6を取り外す。次に、ノズル筒5の先端を患部に向けて、ノズル筒5を容器体2に対して相対的に押し下げ、吐出口50から点鼻薬を噴射させる。具体的に説明すると、容器体2を指等で支持し、ノズル筒5の先端を鼻腔に挿入する。続いて、ノズル筒5のフランジ部52を指等で押し下げる。これにより、ノズル筒5と共にステム3が下降し、ポンプ4の図示せぬピストンが押し下げられる。その結果、容器体2内の点鼻薬がポンプ4のシリンダ40内に流入し、シリンダ40内からステム3内に供給され、ステム3からノズル筒5の内筒部54を通ってノズル筒5の吐出口50から噴射され、鼻腔の患部に点鼻薬が塗布される。
【0032】
上記した吐出容器1によれば、通気口55内を通ってオーバーキャップ6内に外気が流入し、オーバーキャップ6の内部の通気性が向上するので、オーバーキャップ6内のノズル筒5の表面が乾燥しやすくなる。その結果、ノズル筒5の表面に雑菌が繁殖しにくくなり、ノズル筒5を良好な衛生状態で維持することができる。
【0033】
また、埃などが通気口55を通ってオーバーキャップ6内に入り込みにくいので、ノズル筒5の表面に埃などが付着することを防止することができ、ノズル筒5を良好な衛生状態で維持することができる。
【0034】
さらに、通気口55内に塵や手垢等が詰まりにくいので、オーバーキャップ6を良好な衛生状態で維持することができると共に、オーバーキャップ6の内部の通気性を確実に維持することができ、ノズル筒5を良好な衛生状態で維持することができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る吐出容器の第2の実施の形態について、図3から図5に基いて説明する。
なお、本実施の形態の説明では、上述した第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
図3に示すように、ノズル筒5に被着されるオーバーキャップ106は、弾性変形可能な軟質材からなる有頂筒状のキャップ体である。前記した軟質材としては、例えばエラストマー樹脂やゴム等があり、抗菌剤が混入されていることが好ましい。このオーバーキャップ106の概略構成としては、ノズル筒5の上方に配設された平面視略円形の天壁部160と、天壁部160の外縁から垂下されてノズル筒5の外筒部51の外周に周設された円筒形状の周壁部161と、周壁部161の下端から径方向外側に突出していると共に全周に亘って形成された円環板状のフランジ部162と、フランジ部162の外縁から垂下されてノズル筒5のフランジ部52に嵌合される嵌合筒部163と、を備えている。
【0037】
天壁部160の下面には、ノズル筒5の吐出口50を閉塞するシール凸部165が突設されている。このシール凸部165は、ノズル筒5の上端面に密接されて吐出口50を塞ぐ略半球状の凸部である。また、天壁部160は、シール凸部165を介してノズル筒5によって押圧されて軸方向上側に弾性変形している。すなわち、オーバーキャップ106がノズル筒5に被着されていない状態における天壁部160は、図3の二点鎖線で示すように平板状に形成されており、天壁部160の上下面は、軸線Oに対して垂直にそれぞれ形成されている。一方、オーバーキャップ106がノズル筒5に被着された状態における天壁部160は、ノズル筒5の上端面がシール凸部165を上向きに押圧することで、上側に向けて膨出し、縦断面視円弧状に弾性変形している。
【0038】
嵌合筒部163は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設された円筒形状の筒部である。この嵌合筒部163の内側には、ノズル筒5のフランジ部52が配置されており、嵌合筒部163は、ノズル筒5のフランジ部52のうちの長手方向の部分にアンダーカット嵌合されている。一方、図4、図5に示すように、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外縁と嵌合筒部163の内周面との間には隙間があけられている。
【0039】
また、上記したノズル筒5のフランジ部52とオーバーキャップ106のフランジ部162との間には、オーバーキャップ106の外部とオーバーキャップ106の内部とを連通させる通気口155が形成されている。具体的に説明すると、図4、図5に示すように、オーバーキャップ106のフランジ部162の内周部分の下面には、段状に窪んだ段差部164が、周壁部161の内縁に沿って全周に亘って形成されている。この段差部164の縁部は、ノズル筒5のフランジ部52の長手方向の外縁よりも径方向内側に形成されていると共にノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外縁よりも径方向外側に形成されており、段差部164は、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の部分において、ノズル筒5のフランジ部52の下方に向けて開口され、この開口部分が上記した通気口155となっている。つまり、通気口155は、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外縁とオーバーキャップ6の段差部164の縁部との間に形成されており、ノズル筒5のフランジ部52に重ならずに下向きに露出されたオーバーキャップ106のフランジ部162の下面部分に配設されている。
なお、ノズル筒5のフランジ部52には、上述した第1の実施の形態における通気口55が形成されていない。
【0040】
上記した吐出容器1によれば、外気がオーバーキャップ106のフランジ部162の下方から通気口155を通ってオーバーキャップ106内に流入する。すなわち、外気は、まず、オーバーキャップ106の嵌合筒部163とノズル筒5のフランジ部52のうちの短手方向の外縁との間に流入し、そして、上記した通気口155からオーバーキャップ106の段差部164内を通ってオーバーキャップ106の周壁部161内に流入する。これにより、ノズル筒5が収納されたオーバーキャップ106の内部の通気性が確保され、オーバーキャップ106内のノズル筒5の表面が乾燥しやすくなり、ノズル筒5を良好な衛生状態で維持することができる。
【0041】
また、上記した吐出容器1によれば、ノズル筒5にオーバーキャップ106が被着されると、吐出口50がシール凸部165によって閉塞されるので、吐出口50から点鼻薬が漏れ出すことを防止することができる。また、吐出口50がシール凸部165によって閉塞されるので、オーバーキャップ106の内部が乾燥しやすくなっていても、吐出口50が乾燥しにくくなる。これにより、吐出口50に残留した点鼻薬が乾燥して固化するのを抑えることができ、吐出口50の目詰りを防止することができる。
【0042】
さらに、上記した吐出容器1によれば、オーバーキャップ106が、弾性変形可能な軟質材からなり、オーバーキャップ106の天壁部160が、シール凸部165を介してノズル筒5によって押圧されて軸方向上側に弾性変形しているので、軟質材からなる天壁部160の弾性力によってシール凸部165が吐出口50に押し当てられる。これにより、シール凸部165によって吐出口50を確実に密閉することができ、吐出口50からの点鼻薬の漏出を確実に防止することができる。
【0043】
以上、本発明に係る吐出容器の第1、第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1の実施の形態では、ノズル筒5のフランジ部52に通気口55が形成されているが、本発明は、ノズル筒5の外筒部51に通気口を形成することも可能であり、さらに、図6に示すように、オーバーキャップ6のフランジ部62とノズル筒5のフランジ部52との間に通気口255を形成することも可能である。詳しく説明すると、オーバーキャップ6のフランジ部62の内周部分の下面に形成された段差部264の縁部は、ノズル筒5のフランジ部52の長手方向の外縁よりも径方向内側に形成されていると共にノズル筒5のフランジ部52の短手方向の外縁よりも径方向外側に形成されており、段差部264は、ノズル筒5のフランジ部52の短手方向の部分において、ノズル筒5のフランジ部52の下方に向けて開口され、この開口部分が通気口255となっている。
また、本発明は、ノズル筒に切欠きを形成し、この切欠きによってオーバーキャップの内部の下端を開放させて通気口としてもよい。例えば、図3や図6に示す実施の形態において、ノズル筒5のフランジ部52の長手方向の外周部に円弧状の切欠きを形成する。この切欠きは、平面視において、段差部164,264の縁部の径方向内側まで切り欠くと共に下筒部53よりも径方向外側に形成する。これにより、切欠きの縁部と段差部164,264の縁部との間に、オーバーキャップ6の内部に連通する開口(通気口)が形成される。
また、上記した第2の実施の形態における構成において、ノズル筒5のフランジ部52とオーバーキャップ106のフランジ部162との間に形成された通気口155に代えて、ノズル筒5のフランジ部52や外筒部51に通気口を形成することも可能である。
さらに、本発明は、ノズル筒5のフランジ部52や外筒部51に第一の通気口を形成すると共に、ノズル筒5のフランジ部52とオーバーキャップ6,106のフランジ部62,162との間に第二の通気口を形成することも可能である。
【0044】
また、上記した実施の形態では、鼻腔内の患部に点鼻薬を塗布するための吐出容器1について説明しているが、本発明は他の用途のための吐出容器であってもよい。例えば、口腔内に薬剤を噴射させるための吐出容器であってもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態では、吐出口50がノズル筒5の上端面に上向きに設けられ、また、ノズル筒5にフランジ部52が設けられ、このフランジ部52を指等で押し下げることでノズル筒5を下降させる構成となっているが、本発明は、ノズル筒の形状は適宜変更可能である。例えば、ノズル筒の上端部の側面に吐出口が形成され、吐出口が側方に向けて設けられた構成にすることも可能であり、或いは、ノズル筒の上端部の側面に筒状の吐出口が突設された構成にすることも可能である。また、ノズル筒の外周面に段差面が形成され、その段差面を指等で押し下げる構成であってもよく、或いは、ノズル筒の上端面に押下面が形成されていてもよい。
【0046】
また、上記した実施の形態では、ノズル筒5を押し下げてステム3を下降させることで、容器体2内の点鼻薬がポンプ4によってステム3内に供給されて吐出口50から吐出されるポンプ式の吐出容器1について説明しているが、本発明は、ポンプ式の吐出容器1に限定されるものではなく、上記したステム3やポンプ4を適宜省略することが可能である。例えば、本発明は、ポンプを有していないエアゾール式の吐出容器であってもよい。さらに、本発明は、容器体の胴部をスクイズ変形させることで吐出口から内容物を吐出させるスクイズボトル容器であってもよい。
【0047】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した各実施の形態における構成要素を適宜組み合わせることも可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 吐出容器
2 容器体
5 ノズル筒
6 オーバーキャップ
20 口部
50 吐出口
55、155、255 通気口
160 天壁部
165 シール凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器体と、該容器体の口部の上方に配設されていると共に前記内容物を吐出する吐出口が設けられたノズル筒と、該ノズル筒に脱着可能に被着されて該ノズル筒を内側に収納するオーバーキャップと、を備える吐出容器において、
前記ノズル筒、及び前記ノズル筒と前記オーバーキャップとの間、のうちの少なくとも一方に、前記オーバーキャップの外部とオーバーキャップの内部とを連通させる通気口が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記吐出口が、前記ノズル筒の上端面に配設されており、
前記オーバーキャップの天壁部の下面に、前記吐出口を閉塞するシール凸部が突設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器において、
前記オーバーキャップが、弾性変形可能な軟質材からなり、
前記天壁部が、前記シール凸部を介して前記ノズル筒によって押圧されて軸方向上側に弾性変形していることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11762(P2011−11762A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155689(P2009−155689)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】