説明

吐出装置

【課題】アイスクリームにチョコレートを含む食品により被覆したアイスモナカを製造する際に利用して有利な吐出装置を提供する。
【解決手段】吐出装置Aは、アイスクリームを吐出するアイスクリーム吐出ノズル11と、アイスクリーム吐出ノズルの周囲を包囲して配置され吐出されたアイスクリームを被覆する食品を吐出する被覆食品吐出ノズル12と、アイスクリーム吐出ノズルと被覆食品吐出ノズルの間に配置された加温部材13と、を有するアイスクリーム成形ノズル10と、アイスクリーム吐出ノズルにアイスクリームを供給する配管15に配置されアイスクリームを供給し又は供給を停止する弁17aを駆動する駆動ピストンシリンダー17と、配管15に配置され該配管の圧力を調整する圧力抜き装置18と、被覆食品吐出ノズルに被覆食品を供給する配管21に配置され被覆食品を供給し又は供給を停止する開閉弁22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリームを吐出すると同時に、吐出されているアイスクリームに食品を被覆して容器に充填し得るように構成した吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエハーからなる容器にアイスクリームを充填したアイスモナカが提供されている。このアイスモナカを製造する装置として、間歇駆動されるコンベアと特許文献1に記載されたアイスクリーム充填装置を組み合わせて構成したものがある。この装置では、容器を載置したコンベアを駆動して該容器がアイスクリーム充填装置に対向したときに停止させ、アイスクリーム充填装置のノズルを下降させて容器にアイスクリームを適量充填した後、ノズルを上昇させ、ワイヤカッターを水平方向に移動させてアイスクリームを切り離すことで充填している。
【0003】
また別の装置では、連続駆動されるコンベアとコンベアに対し平行に近い角度で配置されたアイスクリームの充填ノズルを組み合わせて構成されている。この装置では、コンベアの移送速度と充填ノズルからのアイスクリームの充填速度を略同じ速度に保持し、コンベア上に容器を載置して移送しつつ該容器にアイスクリームを適量充填した後、ワイヤカッターを上下方向に移動させてアイスクリームを切り離すことで充填している。
【0004】
最近ではアイスクリームの表面を例えばチョコレートによって被覆した状態でウエハーからなる容器に充填したアイスモナカが提供されている。このようなアイスモナカを上記した装置で製造しようとしても、ワイヤカッターが障害となって製造し得ないため、採用されてはいない。
【0005】
このため、アイスクリームにチョコレートを被覆したアイスモナカを製造する場合、一つの方法では、容器の内面にチョコレートをスプレーして付着させておき、その後、前述した装置を選択的に用いて、チョコレートを付着させた容器にアイスクリームを充填し、更に、容器に充填したアイスクリームにチョコレートをスプレーして付着させることで製造している。
【0006】
また別の方法では、二つでセットの容器を複数セット並列させておき、これら全ての容器の内面にチョコレートをスプレーして付着させた後、一方の容器にアイスクリームを充填し、その後、アイスクリームを充填した容器を他方の容器によって蓋することで製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第987951号(特開昭52−117477号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アイスクリームにチョコレートを被覆したアイスモナカを製造する際に、前述した技術のように容器の内面にチョコレートをスプレーして付着させるのでは、チョコレートの厚みを充分に確保し得ないという問題や、スプレーによるチョコレートの飛散の問題がある。
【0009】
本発明の目的は、アイスクリームにチョコレートを含む食品による被覆したアイスモナカを製造する際に利用して有利な吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る吐出装置は、アイスクリームを吐出するアイスクリーム吐出ノズルと、前記アイスクリーム吐出ノズルの周囲を包囲して配置され吐出されたアイスクリームを被覆する食品を吐出する被覆食品吐出ノズルと、前記アイスクリーム吐出ノズルと被覆食品吐出ノズルの間に配置された加温部材と、を有するアイスクリーム成形ノズルと、前記アイスクリーム吐出ノズルにアイスクリームを供給する配管に配置され該アイスクリーム吐出ノズルに対してアイスクリームを供給し又は供給を停止する弁を駆動する駆動ピストンシリンダーと、前記アイスクリーム吐出ノズルにアイスクリームを供給する配管に配置され該配管の圧力を調整する圧力抜き装置と、前記被覆食品吐出ノズルにアイスクリームを被覆する食品を供給する配管に配置され該被覆食品吐出ノズルに対してアイスクリームを被覆する食品を供給し又は供給を停止する開閉弁と、を有するものである。
【0011】
上記吐出装置に於いて、前記アイスクリーム成形ノズルが、前記被覆食品吐出ノズルによるアイスクリームを被覆する食品の吐出方向が前記アイスクリーム吐出ノズルによるアイスクリームの吐出方向下流側で交差するように前記アイスクリーム吐出ノズルの周囲を包囲して配置していることが好ましい。
【0012】
また上記何れかの吐出装置に於いて、前記アイスクリーム成形ノズルが、前記加温部材によって被覆食品吐出ノズルに供給されたアイスクリームを被覆する食品を流動性を確保し得る温度に保持させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
また上記何れかの吐出装置に於いて、前記アイスクリームを供給する配管に配置された駆動ピストンシリンダーと圧力抜き装置は互いに動作タイミングを調整し得るように構成されており、長方形の容器に直方体状のアイスクリームを吐出すると共に吐出されたアイスクリームを食品によって被覆する際に、アイスクリームの吐出方向両端部の量を中央部の量よりも多く吐出し得るように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出装置では、アイスクリーム成形ノズルが、アイスクリーム吐出ノズルを包囲して被覆食品吐出ノズルが配置されると共にアイスクリーム吐出ノズルと被覆食品吐出ノズルとの間に加温部材が配置されているので、アイスクリームを被覆する食品(以下「被覆食品」という)を吐出しつつアイスクリームを吐出することで、アイスクリーム成形ノズルから被覆食品によって被覆されたアイスクリームを吐出することができる。
【0015】
特に、被覆食品を供給する配管に配置された開閉弁とアイスクリームを供給する配管に配置された弁を駆動する駆動ピストンシリンダーの駆動タイミングを含む動作タイミングを調整することによって、吐出されたアイスクリームの前端面、後端面に充分な厚さを持った被覆食品の層を形成することができる。
【0016】
また、アイスクリーム成形ノズルを構成する被覆食品吐出ノズルが、被覆食品の吐出方向がアイスクリームの吐出方向下流側で交差するように配置されることによって、被覆食品は互いに接近する方向に被覆食品吐出ノズルから吐出されることとなり、アイスクリーム吐出ノズルから吐出されたアイスクリームの前端面、各側面、後端面に一様な被覆を形成することができる。
【0017】
またアイスクリーム成形ノズルが、被覆食品吐出ノズルとアイスクリーム吐出ノズルと間に加温部材を配置したことによって、被覆食品が低温域で硬化するような食品(例えばチョコレート)であっても、被覆食品吐出ノズルに供給される被覆食品の温度を保持して流動性を確保することができる。
【0018】
また、アイスクリームを供給する配管に配置された駆動ピストンシリンダーと圧力抜き装置を構成するピストンシリンダーの駆動タイミングや動作順序を含む動作タイミングを制御することによって、アイスクリームの吐出方向両端部の吐出量を中央部の吐出量よりも多くすることができる。
【0019】
このため、アイスクリームを充填した容器を蓋したとき、容器内部に於けるアイスクリームの吐出方向の前後端部に対応する部位に形成された空間に、吐出されたアイスクリームの両端部のアイスクリームが流動して充填することができる。従って、内部空間のないアイスモナカを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】吐出装置の全体構成を説明する図である。
【図2】吐出装置の全体構成を説明する図であり、図1の平面図である。
【図3】アイスクリーム成形ノズルの構成を説明する図である。
【図4】本実施例に係る吐出装置を備えたアイスモナカの製造装置を説明する図である。
【図5】吐出装置の作動手順を説明する図である。
【図6】吐出装置の作動手順を説明する図である。
【図7】容器に充填された直後の被覆食品によって被覆したアイスクリームの状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る吐出装置は、アイスクリーム吐出ノズルから吐出したアイスクリームを、被覆食品吐出ノズルから吐出した被覆食品によって被覆しつつ、アイスクリーム成形ノズルから吐出して容器に充填することで被覆食品によって被覆したアイスクリームを製造し得るようにしたものである。特に、アイスクリーム吐出ノズルと被覆食品吐出ノズルとの間に加温部材を配置することによって、被覆食品が低温域で硬化するような食品であっても流動性を確保し得る温度を保持させることで、被覆食品吐出ノズルから円滑な吐出を実現することが可能である。
【0022】
本発明に於いて、被覆食品としては具体的な食品を限定するものではなく、アイスクリームを被覆して顧客の嗜好に合致し得るものであり、且つ低温域で硬化するものの、適度な温度域で流動性を発揮し、被覆食品吐出ノズルまでの配管に於ける流動性、被覆食品吐出ノズルでの流動性を確保し得るものであれば良い。このような食品としてチョコレートがあり、アイスクリームの被覆食品として好ましく用いられている。
【0023】
また、被覆食品によって被覆したアイスクリームを充填する容器の形状や材質は、特に限定するものではなく、形状としては長方形、円形等の形状から選択された形状であって良く、材質としては食用となるウエハー或いは単なる容器としてのステンレスを含む金属であって良い。
【0024】
本発明に係る吐出装置は、アイスクリーム吐出ノズルにはアイスクリームを供給する配管が接続され、該配管に、駆動ピストンシリンダーによって駆動されアイスクリームの供給又は供給を停止する弁と、アイスクリーム吐出ノズルからのアイスクリームの吐出を停止したときに配管内の圧力を調整する圧力抜き装置と、が設けられている。また被覆食品吐出ノズルには被覆食品を供給する配管が接続され、該配管に被覆食品の供給又は供給を停止する開閉弁が設けられている。
【0025】
そして、上記駆動ピストンシリンダー、圧力抜き装置を構成するピストンシリンダーの駆動タイミングや動作順序を含む動作タイミングを制御することによって、アイスクリーム吐出ノズルから吐出されるアイスクリームの量を調整することが可能であり、容器に充填する際に単純な棒状に充填したり、中細の棒状、或いは中太の棒状等の充填形状を実現することが可能である。
【0026】
更に、上記駆動ピストンシリンダー、圧力抜き装置を構成するピストンシリンダーの駆動タイミングや動作順序を含む動作タイミングの制御に加えて、開閉弁の駆動を制御することによって、吐出されたアイスクリームの前端面及び後端面に対する被覆食品による被覆の有無や被覆厚さを調整することが可能である。
【0027】
以下、本実施例に係る吐出装置について図を用いて説明する。本実施例の吐出装置Aは、図7に示すようなアイスモナカBを製造する際に、アイスクリームをチョコレートによって被覆しつつ吐出して、被覆アイスクリーム1をウエハーからなる長方形の容器2に充填し得るように構成されている。特に、図4に示すアイスモナカ製造装置Cに適用することで、アイスモナカBを連続的に製造することが可能である。
【0028】
先ず、図1〜図3により、吐出装置Aの構成について説明する。
【0029】
吐出装置Aは、アイスクリーム吐出ノズル11と、アイスクリーム吐出ノズル11の周囲を包囲して配置された被覆食品(チョコレート)吐出ノズル12と、アイスクリーム吐出ノズル11と被覆食品吐出ノズル12の間に配置された加温部材13を、を有するアイスクリーム成形ノズル10を有して構成されている。
【0030】
本実施例では、吐出装置Aは複数のアイスクリーム成形ノズル10(6個)を並列させて構成されており、一度に6個の被覆アイスクリーム1を充填することが可能である。しかし、吐出装置Aを何個のアイスクリーム成形ノズル10によって構成するかを限定するものではなく、アイスモナカ製造装置Cの仕様に対応させて適宜数を並列させることが好ましい。
【0031】
アイスクリーム吐出ノズル11は供給されたアイスクリームを吐出するものであり、吐出口11aの形状は目的の被覆アイスクリーム1の断面形状に対応した形状を有している。本実施例では、被覆アイスクリーム1の断面形状は略長方形であり、アイスクリーム吐出ノズル11の吐出口11aも同様に略長方形に形成されている。
【0032】
アイスクリーム吐出ノズル11には図示しないアイスクリーム圧送手段に接続された配管15が接続されている。この配管15は、ヘッダー管15aと、該ヘッダー管15aから分岐されて個々のアイスクリーム吐出ノズル11に接続される分岐管15bによって構成されている。
【0033】
ヘッダー管15aにアイスクリーム圧送手段への接続部15cが形成されており、該ヘッダー管15aの内部には図示しない攪拌部材が配置され、端部に設けた攪拌モーター16によって攪拌部材を駆動することで、ヘッダー管15aに圧送されたアイスクリームを攪拌すると共に各分岐管15bに分割し得るように構成されている。
【0034】
そして、各分岐管15b毎にアイスクリーム成形ノズル10が設けられている。分岐管15bには、アイスクリーム吐出ノズル11に対してアイスクリームを供給し、或いは供給を停止する弁17aを駆動する駆動ピストンシリンダー17と、配管15(分岐管15b)の内部圧力を調整する圧力抜き装置18が設けられている。また各分岐管15bであって圧力抜き装置18とヘッダー管15aの途中に、コック19が設けられており、該コック19を選択的に操作することによって選択された分岐管15bを開閉し得るように構成されている。
【0035】
弁17aはアイスクリーム吐出ノズル11に対してアイスクリームを供給し、或いは供給を停止するものである。この弁17aは駆動ピストンシリンダー17によって駆動され、該駆動ピストンシリンダー17のロッドが伸長したとき分岐管15bを閉鎖してアイスクリームの供給を停止し、ロッドが引き込まれたとき分岐管15bを開放してアイスクリームを供給し得るように構成されている。
【0036】
弁17aは上記の如き機能を有するものであれば良い。しかし、駆動ピストンシリンダー17のロッドを伸長させたとき、弁17aがアイスクリーム吐出ノズル11の吐出口11aまで突出し得るように構成することが好ましい。弁17aをこのように構成することで、一連の被覆アイスクリーム1の充填作業が終了したとき、アイスクリーム吐出ノズル11の内部にアイスクリームが残留することがない。
【0037】
圧力抜き装置18はヘッダー管15aを介して分岐管15bに圧送されてくるアイスクリームによる配管内圧力を調整するものであり、ピストンシリンダー18aと、チャンバー18bと、チャンバー18bの内部に配置されピストンシリンダー18aによって駆動されるピストン18cと、を有して構成されている。
【0038】
そして、アイスクリーム吐出ノズル11からアイスクリームの吐出が停止したとき、圧送されてくるアイスクリームによって分岐管15bの内部圧力の上昇に伴ってピストンシリンダー18aのロッドが引き込まれ、これによりチャンバー18bにアイスクリームを吸引することで、分岐管15bの内部圧力を調整することが可能である。そして、ピストンシリンダー18aのロッドが引き込み限に到達したとき、チャンバー18bに配置されたピストン18cが上死点に位置し、該チャンバー18b内はアイスクリームで充満する。
【0039】
また、アイスクリーム吐出ノズル11からアイスクリームを吐出する際に、ピストンシリンダー18aのロッドを伸長させてピストン18cを駆動してチャンバー18bに吸引されていたアイスクリームを分岐管15bに押し出すことで、分岐管15bの内部圧力を調整すると共に、アイスクリーム圧送手段から圧送されてくるアイスクリームに加えてチャンバー18b内のアイスクリームも圧送することが可能である。従って、アイスクリーム吐出ノズル11に対するアイスクリームの供給を短時間で実現することが可能となる。
【0040】
被覆食品吐出ノズル12は供給された被覆食品を吐出してアイスクリーム吐出ノズル11から吐出されるアイスクリームの周囲を被覆するものである。このため、被覆食品吐出ノズル12はアイスクリーム吐出ノズル11の周囲を包囲して配置されており、且つ被覆食品吐出ノズル12の吐出口12aはアイスクリーム吐出ノズル11の吐出口11aよりも吐出方向下流側になるように構成されている。
【0041】
また被覆食品吐出ノズル12は、吐出方向がアイスクリーム吐出ノズル11の吐出方向に対し下流側で交差するように、アイスクリーム吐出ノズル11の軸線11bに対し傾斜した状態で配置されている。被覆食品吐出ノズル12の軸線11bに対する傾斜角度は限定するものではなく、吐出されつつあるアイスクリームに対し円滑に被覆し得るような角度であれば良い。
【0042】
被覆食品吐出ノズル12には図示しない被覆食品圧送手段と接続された配管21が接続されている。この配管21は、圧送された被覆食品を分配する分配管21aと、分配管21aから分岐した分岐管21bと、によって構成されており、分配管21aの略中央部位に被覆食品圧送手段との接続部21cが形成されている。
【0043】
分岐管21bを横断して開閉弁を構成するロータリーバルブ22と、該ロータリーバルブ22を駆動する駆動ピストンシリンダー23とが設けられており、駆動ピストンシリンダーを操作することによって、被覆食品吐出ノズル12に対して被覆食品を供給し、又は供給を停止し得るように構成されている。
【0044】
加温部材13は被覆食品吐出ノズル12に供給される被覆食品の流動性を確保するために該被覆食品の温度を保持するものである。このため、前記機能を発揮し得るものであれば良く、構造を限定するものではない。このような機能を有する加温部材としては、通電によって加温するヒーターや、加温流体を流通させて加温するものがある。
【0045】
本実施例では、温水を流通させて被覆食品吐出ノズル12を加温し得るように構成されている。このため、加温部材13は、アイスクリーム吐出ノズル11と被覆食品吐出ノズル12との間に且つ被覆食品吐出ノズル12の内周面に沿って配置され、内部に温水の流路13aが形成されると共に、所定位置に温水の給水又は排水を行う接続部13bが設けられている。そして、前記接続部13bに接続した図示しないホースを介して温水の供給手段、排水手段と接続することによって、略一定の温度に保持し得るように構成されている。
【0046】
尚、加温部材13は必ずしも被覆食品吐出ノズル12を加温するだけでなく、アイスクリーム吐出ノズル11を加温し得るように構成されていても良い。このようにアイスクリーム吐出ノズル11を加温した場合には、該アイスクリーム吐出ノズル11の内周面と接触するアイスクリームが流動化し、吐出の際の抵抗を小さくすることが可能となる。
【0047】
アイスクリーム吐出ノズル11に接続された分岐管15bに配置された駆動ピストンシリンダー17、圧力抜き装置18を構成するピストンシリンダー18a、及び被覆食品吐出ノズル12に接続された分岐管21bに配置されたロータリーバルブ22を駆動する駆動ピストンシリンダー23の駆動タイミングや動作順序を含む動作タイミングは調整し得るように構成されている。
【0048】
前述した各ピストンシリンダー17、18a、23の駆動タイミングや動作順序を制御する制御装置の構成は特に限定するものではなく、センサー類やタイマーの組み合わせ、センサーとシーケンサーの組み合わせ、センサーとコンピュータの組み合わせによって構成することが可能である。そして、センサー類の取付位置やタイマーによる設定時間を適宜調整することで、駆動タイミング、動作順序を制御することが可能である。
【0049】
次に、上記の如く構成された吐出装置Aを採用したアイスモナカ製造装置Cの構成について図4により簡単に説明する。
【0050】
アイスモナカ製造装置Cは、図4に於ける左側から右側に向けて移送されるスラットコンベア31を有している。スラットコンベア31の上流側から下流側に向けて、図7に示す容器2となるウエハーからなるモナカ供給機32と、集塵器33と、本実施例に係る吐出装置Aと、モナカ蓋被せ機34と、アイスモナカ排出装置35と、が順に配置されている。前記モナカ供給機32、集塵器33、モナカ蓋被せ機34、アイスモナカ排出装置35は、夫々一般的に用いられているものである。
【0051】
モナカ供給機32は、スラットコンベア31の巾方向に6列のホッパー32aが設けられており、夫々のホッパー32aに複数のモナカ2(容器2)が重なった状態で収容されている。ホッパー32aに収容されたモナカは最も下端部にあるものがスラットコンベア31に供給され、該スラットコンベア31によって移送される。
【0052】
集塵器33はモナカ2の内部にある破片等を排出するものであり、移送されたモナカ2がフード33a内に入ったとき、モナカ2に対し空気を噴射すると共に吸引して破片等を排出して集塵することが可能である。
【0053】
集塵器33を通過したモナカ2が吐出装置Aに移送されると、該吐出装置Aが作動を開始してモナカ2に対する被覆食品によって被覆されたアイスクリームの充填が行われる。ここで吐出装置Aによる充填動作について図5〜図7により具体的に説明する。
【0054】
先ず、モナカ2が吐出装置Aに対向する位置に移送されると、スラットコンベア31の駆動に対応して駆動される上下動カム36が作動して吐出装置Aが下降し、アイスクリーム成形ノズル10がモナカ2の上方に対向する位置で停止する(図5(a)参照)。
【0055】
このとき、弁17aは分岐管15bを閉鎖しており、アイスクリーム吐出ノズル11に対するアイスクリームの供給は停止している。また、圧力抜き装置18のピストン18cは上死点にあり、チャンバー18bにはアイスクリームが吸引されて充満した状態になっている。更に、ロータリーバルブ22は閉鎖されており、被覆食品吐出ノズル12に対する被覆食品の供給は停止している。この状態でアイスクリーム圧送手段及び被覆食品圧送手段は夫々駆動されており、配管15、21の内部は夫々の圧送手段からの圧力が作用している。また、加温部材13には温水が流通しており、被覆食品吐出ノズル12が加温されている。
【0056】
上記状態で、先ずロータリーバルブ22を開放する。ロータリーバルブ22の開放に伴って被覆食品吐出ノズル12から流動化した被覆食品が吐出される。吐出された被覆食品は、被覆食品吐出ノズル12の吐出方向がアイスクリーム吐出ノズル11による吐出方向下流側で軸線11bに交差するように傾斜していることから、吐出方向下流側で隣接して吐出された被覆食品が一体化して膜を形成する。
【0057】
被覆食品吐出ノズル12から被覆食品を吐出した後、予め設定された時間差を有して駆動シリンダー17を駆動して弁17aを後退させてることで、分岐管15bからアイスクリームを供給し、供給されたアイスクリームをアイスクリーム吐出ノズル11から吐出する。従って、アイスクリーム吐出ノズル11から吐出されたアイスクリームの前方には被覆食品の膜が存在することとなり、この膜が吐出されたアイスクリームの前端面を被覆することになる。即ち、アイスクリーム成形ノズル10から前端面が被覆食品によって被覆されたアイスクリームが吐出される。アイスクリーム吐出ノズル11からアイスクリームの吐出が開始すると、配管15内の圧力は低下する。
【0058】
次いで、図5(b)に示すように、圧力抜き装置18のピストンシリンダー18aを駆動してピストン18cを押し出し、チャンバー18bに吸引していたアイスクリームを放出して分岐管15bの内部圧力を上昇させる。このように、圧力抜き装置18からアイスクリームを放出することによって、アイスクリーム吐出ノズル11に対して安定した量のアイスクリームを供給することが可能となる。従って、アイスクリーム成形ノズル10からモナカに対し、被覆食品を略一定の厚さで被覆したアイスクリームを安定した状態で吐出してモナカ2に充填することが可能である。
【0059】
同図(c)に示すように、圧力抜き装置18のピストンシリンダー18aが伸長し、ピストン18cが下死点に到達してチャンバー18bに吸引していたアイスクリームの全量を放出したとき、モナカ2に充填すべき量を満足したアイスクリームがアイスクリーム吐出ノズル11に供給されたことになる。しかし、アイスクリーム吐出ノズル11に供給されたアイスクリームが全量モナカ2に充填された状態ではなく、未だアイスクリーム吐出ノズル11の内部に存在している状態である。
【0060】
次いで、図6(a)に示すように、駆動シリンダー17を駆動して弁17aをアイスクリーム吐出ノズル11の吐出口11aの方向に前進させる。この弁17aが前進する過程で分岐管15bを閉鎖してアイスクリーム吐出ノズル11に対するアイスクリームの供給を停止すると共に、アイスクリーム吐出ノズル11内に残留しているアイスクリームをモナカ2に充填する。
【0061】
同図(b)に示すように、弁17aが前進限に到達することによってアイスクリーム吐出ノズル11からのアイスクリームの吐出が停止したとき、ロータリーバルブ22は開放を継続しており、アイスクリームの吐出が停止した後、予め設定された時間が経過したときロータリーバルブ22が停止する。この時間差によって、吐出されたアイスクリームの後端面に対する被覆食品による被覆がなされる。
【0062】
上記の如くしてモナカ2に対する被覆アイスクリーム1の充填が終了すると、上下動カム36の動作に伴って吐出装置Aが上昇して初期位置に戻り、1サイクルの充填動作が完了する。
【0063】
上記1サイクルの動作を行う際の各ピストンシリンダー17、18a、23の移動限は夫々のシリンダーに設けたセンサーによって検出され、検出信号を制御盤37に設けたシーケンサー等からなる制御部に伝え、該制御部では予め設定されたプログラムに従ってアイスモナカ製造装置Cの駆動制御を行うことが可能である。
【0064】
上記の如くしてモナカ2に対する被覆アイスクリーム1の充填が終了したとき、充填終了部位に於けるアイスクリーム、被覆食品は図に示すように一部分が上方に延びた状態で充填される。
【0065】
被覆アイスクリーム1が充填されたモナカ2は、スラットコンベア31によって移送され、複数のモナカ2を収容したホッパー34aと、取出回転部材34bと、除塵部材34cを有するモナカ蓋被せ機34に対向する。このモナカ蓋被せ機34では、取出回転部材34bによってホッパー34aに収容され最も下端にあるモナカ2が分離され、その後、90度回転しつつ下降する。90度回転したとき、モナカ2は除塵部材34cと対向し、除塵用の気体が噴射されて内部が除塵される。
【0066】
その後、更に90度回転しつつ下降し、スラットコンベア31に載置されている被覆アイスクリーム1が充填されたモナカ2に蓋として被せられる。これによりアイスモナカBが製造される。
【0067】
アイスモナカBはスラットコンベア31によって更に移送され、アイスモナカ排出装置35に到達する。このアイスモナカ排出装置35は、スラットコンベア31に載置されたアイスモナカBを取り出す取出部材35aと、この取出部材35aを吊り上げた状態で移送する移送部材35bと、排出コンベア35cと、を有して構成されている。
【0068】
そして、アイスモナカBが取出部材35aの下方まで移送されたとき、取出部材35aのアームが下降してアームモナカBを把持して上昇する。この取出部材35aは移送部材35bによって排出コンベア35cの上方まで移送され、該排出コンベア35c上にアイスモナカBを乗せる。排出コンベア35cに載置されたアイスモナカBは図示しない次工程に搬送され、該次工程に設定された作業(例えば箱詰め、冷凍)が行われる。
【0069】
上記の如くして製造装置CによってアイスモナカBを製造することが可能である。
【0070】
特に、上記吐出装置Aからモナカ2に被覆食品で被覆したアイスクリームを充填する際に、アイスクリームの太さを変化させたり、被覆食品の被覆厚さを変化させることが可能である。
【0071】
例えば、アイスクリーム吐出ノズル11に対してアイスクリームを供給し、或いは供給を停止させる弁17aの駆動を制御してアイスクリームの太さを変化させる場合、弁17aを後退させてアイスクリームをアイスクリーム吐出ノズル11に供給した後、該弁17aを前進させて分岐管15bの開口面積を減少させることで、供給量を減少させて吐出するアイスクリームを細くすることが可能である。
【0072】
また、弁17aを後退させた後、圧力抜き装置18を構成するピストンシリンダー18aのロッドの伸長を停止させ、或いは伸長速度を減少させることで、分岐管15bを経てアイスクリーム吐出ノズル11に供給するアイスクリームの量を減少させることも可能である。この場合でも、アイスクリーム吐出ノズル11から吐出されるアイスクリームを細くすることが可能となる。
【0073】
従って、弁17aを駆動する駆動ピストンシリンダー17及び、又は圧力抜き装置18のピストン18cを駆動するピストンシリンダー18aの駆動タイミングや動作順序を含む動作タイミングを制御することによって、アイスクリームを断面積が略一定の棒状に吐出し、前後両端を太く中央部を細くした棒状に吐出し、前後両端を細く中央部を太くした棒状に吐出することが可能である。
【0074】
また、ピストンシリンダー17の駆動タイミングとロータリーバルブ22の開閉を行うピストンシリンダー23の駆動タイミングを調整することによって、被覆アイスクリーム1の前後両端面に対する被覆食品の被覆厚さを調整することも可能である。
【0075】
更に、ピストンシリンダー18aの駆動速度を制御することで、被覆食品によるアイスクリームの被覆厚さを制御することも可能である。即ち、被覆食品吐出ノズル12から吐出される被覆食品の量を一定に保持した状態で、アイスクリーム吐出ノズル11から吐出されるアイスクリームの吐出速度を上昇或いは低下させることで、被覆厚さを薄くし或いは厚くすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る吐出装置Aは、アイスクリーム吐出ノズル11から吐出されるアイスクリームの全表面に被覆食品によって被覆することが可能であり、アイスモナカBを含む被覆アイスクリームを製造する際に利用して有利である。
【符号の説明】
【0077】
A 吐出装置
B アイスモナカ
C 製造装置
1 被覆アイスクリーム
2 容器、モナカ
10 アイスクリーム成形ノズル
11 アイスクリーム吐出ノズル
11a 吐出口
11b 軸線
12 被覆食品吐出ノズル
12a 吐出口
13 加温部材
13a 流路
13b 接続部
15 配管
15a ヘッダー管
15b 分岐管
15c 接続部
17a 弁
17 駆動ピストンシリンダー
18 圧力抜き装置
18a ピストンシリンダー
18b チャンバー
18c ピストン
19 コック
21 配管
21a 分配管
21b 分岐管
21c 接続部
22 ロータリーバルブ
23 駆動ピストンシリンダー
31 スラットコンベア
32 モナカ供給機
32a ホッパー
33 集塵器
33a フード
34 モナカ蓋被せ機
34a ホッパー
34b 取出回転部材
34c 除塵部材
35 アイスモナカ排出装置
35a 取出部材
35b 移送部材
35c 排出コンベア
36 上下動カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイスクリームを吐出するアイスクリーム吐出ノズルと、前記アイスクリーム吐出ノズルの周囲を包囲して配置され吐出されたアイスクリームを被覆する食品を吐出する被覆食品吐出ノズルと、前記アイスクリーム吐出ノズルと被覆食品吐出ノズルの間に配置された加温部材と、を有するアイスクリーム成形ノズルと、
前記アイスクリーム吐出ノズルにアイスクリームを供給する配管に配置され該アイスクリーム吐出ノズルに対してアイスクリームを供給し又は供給を停止する弁を駆動する駆動ピストンシリンダーと、
前記アイスクリーム吐出ノズルにアイスクリームを供給する配管に配置され該配管の圧力を調整する圧力抜き装置と、
前記被覆食品吐出ノズルにアイスクリームを被覆する食品を供給する配管に配置され該被覆食品吐出ノズルに対してアイスクリームを被覆する食品を供給し又は供給を停止する開閉弁と、
を有することを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記アイスクリーム成形ノズルが、前記被覆食品吐出ノズルによるアイスクリームを被覆する食品の吐出方向が前記アイスクリーム吐出ノズルによるアイスクリームの吐出方向下流側で交差するように前記アイスクリーム吐出ノズルの周囲を包囲して配置していることを特徴とする請求項1に記載した吐出装置。
【請求項3】
前記アイスクリーム成形ノズルが、前記加温部材によって被覆食品吐出ノズルに供給されたアイスクリームを被覆する食品を流動性を確保し得る温度に保持させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した吐出装置。
【請求項4】
前記アイスクリームを供給する配管に配置された駆動ピストンシリンダーと圧力抜き装置は互いに動作タイミングを調整し得るように構成されており、長方形の容器に直方体状のアイスクリームを吐出すると共に吐出されたアイスクリームを食品によって被覆する際に、アイスクリームの吐出方向両端部の量を中央部の量よりも多く吐出し得るように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載した吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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