説明

向上した低温流動性を有する清浄添加剤を含有する鉱油

【課題】 清浄添加剤を含む中間蒸留物における低温流動性向上剤の応答特性を向上すること。
【解決手段】 本発明は、無灰窒素含有清浄添加剤を少なくとも一種含む中間蒸留物において鉱油低温流動性向上剤の応答特性を向上するための、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物の使用であって、
前記ポリオキシアルキレン化合物が、炭素原子数12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基あたり、炭素原子数2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステルであり、そして
前記無灰窒素含有清浄添加剤が、極性基に結合した少なくとも一つのアルキルもしくはアルケニル基を含む油溶性両親媒性化合物であり、ただし、前記アルキルもしくはアルケニル基は10〜500個の炭素原子を含み、そして前記極性基は2個もしくはそれ以上の窒素原子を含む、上記使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄添加剤(detergent additives)を含む鉱油蒸留物の低温流動性の向上のためのポリオキシアルキレン化合物の使用、及びこの添加物配合された鉱油蒸留物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護に関する法律が益々厳しくなり、そのため定められた制限的エミッション値(limiting emission values)を満たすためにより一層困難なエンジン技術が必要とされている。しかし、エンジン部材、例えばバルブが燃焼残渣で覆われ、それを原因としてエンジンの特性が変化して、排気物量の増加、燃費の低下が起こる。それゆえ、このような堆積物を除去し及び/またはこれらの形成を防ぐ清浄添加剤がモーター燃料に加えられる。これらは通常油溶性の両親媒性の物質である。これらは、油溶性で熱安定性の疎水基の他に、極性の末端基を含む。
【0003】
他方で、世界の油備蓄量が減少していることから、より一層重質の、それゆえパラフィンをより多量に含む原油が採掘、加工されており、その結果、燃料油がパラフィンをより多量に含むようになっている。中間蒸留物中に存在するパラフィンは、特に、油の温度が低下すると晶出し、部分的に油を包接しながら集塊することがある。この結晶化及び集塊現象は、特に冬季には、エンジン及びボイラーの濾過器の閉塞を招く恐れがあり、これは、燃料の確実な計量供給を妨げ、また環境によっては、燃料供給を完全に中断させてしまう。このパラフィンの問題は、硫黄含有率を低減する目的で環境保護の理由から行われる燃料の水素化脱硫化によって更に悪化し、燃料油中の低温時に問題のあるパラフィンの量を増大させる。
【0004】
中間蒸留物の低温流動性は、多くの場合に、低温流動性向上剤(cold flow improvers)もしくは流動性向上剤(flow improvers)として知られる化学的添加剤を加えることによって向上される。これらは、析出するパラフィンの結晶構造及び集塊化傾向を変化させて、このような添加剤配合された油が、添加剤配合していない油の場合よりもしばしば20℃以上低い温度においてもなおポンプ輸送及び使用が可能であるようにするものである。使用される低温流動性向上剤は、典型的には、エチレンと不飽和エステルとの油溶性コポリマー、油溶性極性窒素化合物及び/または櫛状ポリマーである。加えて、より具体的な添加剤も提案されている。
【0005】
国際公開第03/042 336号パンフレットは、アルコキシル化されたポリオールのエステルと極性窒素含有パラフィン分散剤とを含む、低硫黄鉱油蒸留物のための添加剤を開示している。この添加剤は、清浄添加剤と一緒に使用することができる。
【0006】
国際公開第03/042 337号パンフレットは、アルコキシル化されたポリオールのエステルと、エチレン及び不飽和エステルのコポリマーとを含む、向上した低温特性を有する低硫黄鉱油蒸留物を開示している。この鉱油蒸留物は、更に、清浄添加剤を含むことができる。
【0007】
国際公開第03/042 338号パンフレットは、硫黄含有率が0.05重量%未満の中間蒸留物用の低温用添加剤として、ポリオキシアルキレン化合物とアルキルフェノール樹脂との組み合わせを開示している。この添加剤は、清浄添加剤と一緒に使用することができる。
【0008】
欧州特許出願公開第0 973 848号明細書は、C10-C40-カルボン酸と、炭素原子数が10を超えるアルコキシル化された一価アルコールとのエステルと、少なくとも一種の更に別の低温流動性向上剤との混合物を開示している。これらの混合物は、燃料油の低温流動性を向上するために使用される。上記添加剤は、特定されていないが清浄添加剤を含むこともできる。
【0009】
米国特許第5 522 906号明細書は、窒素含有清浄添加剤、アルコールへのアルキレンオキシド付加物に基づくキャリヤ油、及び多価アルコールのエステルもしくはそれのアルキレンオキシド付加物を含むガソリンを開示している。
【0010】
国際公開第03/078 553号パンフレットは、窒素含有清浄添加剤、場合によっては及び溶剤としてのポリエーテルを含む、ガソリン用の清浄添加剤を開示している。
【0011】
国際公開第96/23855号パンフレットは、低硫黄中間蒸留物の潤滑性を向上するための、無灰清浄添加剤とカルボン酸もしくはそれのエステルから組成される添加剤混合物を開示している。しかし、この文献は、これを流動性向上剤と組み合わせて使用することは示唆していない。
【0012】
一層要求が高まるエンジン技術並びに燃料油及びそれらの燃焼生成物の環境的な適合性に対する高まる要求の観点から、より一層高い効果を有する清浄添加剤が開発されつつある。加えて、これらはしばしば非常に多量に使用される。その結果、例えばディーゼル燃料の場合は、比消費量が減少してエンジンの性能が上がることが報告されている。しかし、これらの添加剤は、しばしば、中間蒸留物の低温流動性、特に公知の低温流動性向上剤の効果に悪影響を及ぼす。特に、終点が低くかつ芳香族分が少ない中間蒸留物の場合は、現代の清浄添加剤の存在下に慣用の流動性向上剤を用いても満足な低温流動性能を得ることが多くの場合に困難であるか、または不可能である。それゆえ、パラフィン分散剤によって得られるパラフィン分散性はしばしば清浄添加剤の存在下に悪化し、しかもこれは、パラフィン分散剤の量を増加しても再確立することができない。多くの場合に、低温流動性向上剤が配合された油のCFPPとして測定した濾過性は、低温条件下にかなり低下し、そしてこれは、流動性向上剤の使用量をかなり高めることでしか補うことができない。
【0013】
これに関連して特に問題の多い清浄添加剤は、特に、高級ポリアミンから誘導されるものであって、そして例えばこれらのポリアミンの多重のアルキル化及び/またはアシル化によって生ずる非常に大きな分子量を有するものである。また、低温用の添加剤配合における問題は、高級ポリアミンから誘導されるか、あるいは疎水性基上に複数のポリアミン基を有し、それゆえ比較的大きな極性末端基を有するかのいずれかである窒素含有清浄添加剤の存在下でもしばしば起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ、本発明の課題の一つは、清浄添加剤を含む中間蒸留物における低温流動性向上剤の応答特性を向上することである。本発明の更に別の課題の一つは、低温流動性向上剤の応答特性を損ねない、従来技術よりも改善された清浄添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、ある種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物が、窒素含有清浄添加剤による慣用の低温流動性向上剤の効果の低下を中和するか、またはこのような低下を無くすことがここに見出された。
【0016】
それゆえ、本発明は、少なくとも一種の無灰窒素含有清浄添加剤を含む中間蒸留物中における鉱油低温流動性向上剤の応答特性を向上させるための、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物の使用であって、この際、前記ポリオキシアルキレン化合物が、炭素原子数が12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基一つあたり、炭素原子数が2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステルであり、そして前記無灰窒素含有清浄添加剤が、極性基に結合した少なくとも一つのアルキルもしくはアルケニル基を含む油溶性両親媒性化合物であり、前記アルキルもしくはアルケニル基は10〜500個の炭素原子を含みそして前記極性基は2個またはそれ以上の窒素原子を含む、上記使用を提供する。
【0017】
本発明は、更に、無灰窒素含有清浄添加剤を含む中間蒸留物中における鉱油低温流動性向上剤の応答特性を向上させるにあたり、前記無灰窒素含有清浄添加剤が、極性基に結合した少なくとも一つのアルキルもしくはアルケニル基を含む油溶性両親媒性化合物であり、この際、前記アルキルまたはアルケニル基は10〜500個の炭素原子を有し、そして前記極性基は二つもしくはそれ以上の窒素原子を有する方法であって、炭素原子数が12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基一つあたり、炭素原子数が2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステルであるポリオキシアルキレン化合物の少なくとも一種を上記の油に加えることを含む、上記方法も提供する。
【0018】
更に本発明は、
a) 極性基に結合したアルキルもしくはアルケニル基を少なくとも一つ含む油溶性両親媒性化合物である無灰窒素含有清浄添加剤の少なくとも一種(ただし、前記アルキルもしくはアルケニル基は、10〜500個の炭素原子を含み、そして前記極性基は、2個もしくはそれ以上の窒素原子を含む)、及び
b) 炭素原子数が12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基一つあたり、炭素原子数が2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステル、
を含む添加剤も提供する。
【0019】
a)とb)との上記組み合わせは、以下、“本発明の添加剤”とも称する。
【0020】
本発明は更に、硫黄含有率が100ppm未満で、90%留出点が360℃以下の中間蒸留物であって、
a) 極性基に結合したアルキルもしくはアルケニル基を少なくとも一つ含む油溶性両親媒性化合物である無灰窒素含有清浄添加剤の少なくとも一種(ただし、前記アルキルもしくはアルケニル基は、10〜500個の炭素原子を含み、そして前記極性基は、2個もしくはそれ以上の窒素原子を含む)、
b) 炭素原子数が12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基一つあたり、炭素原子数が2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステル、及び
c) 少なくとも一種の鉱油低温流動性向上剤、
を含む、前記中間蒸留物を提供する。
【0021】
流動性向上剤の応答特性は、窒素含有清浄添加剤を10ppm超、特に20ppm超、就中40ppm超、例えば50〜2000ppmの割合で含む中間蒸留物において特に悪化する。
【0022】
本発明の添加剤は、好ましくは、窒素含有清浄添加剤の1重量部を基準にして、上記油溶性ポリオキシアルキレン化合物を0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部、例えば0.3〜3重量部含む。
【0023】
無灰とは、その添加剤が、燃焼時にガス状の反応生成物を生じさせる元素のみから本質的になることを意味する。該添加剤は、好ましくは、炭素、水素、酸素及び窒素元素のみから本質的になる。特に、無灰添加剤は、金属及び金属塩を本質的に含まない。
【0024】
好ましくは、窒素含有清浄添加剤を10〜10000ppm、特に100〜3000ppmの量で中間蒸留物に加える。
【0025】
前記アルキルもしくはアルケニル基は、好ましくは、清浄添加剤に油溶性を与える。
【0026】
特に問題の多い清浄添加剤は、炭素原子数が15〜500、特に20〜350、例えば50〜200のアルキル基を有するものである。このアルキル基は線状もしくは分枝状であることができ、特に分枝状である。好ましい態様の一つでは、このアルキル基は、炭素原子数3〜6の低級オレフィンのオリゴマー、例えばプロペン、ブテン、ペンテンもしくはヘキセン及びこれらの混合物のオリゴマーから誘導される。これらのオレフィンの好ましい異性体は、イソブテン、2−ブテン、1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン及びイソペンテン、及びこれらの混合物である。特に好ましいものは、プロペン、イソブテン、2−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン及びこれらの混合物である。好ましいポリオレフィン混合物は、イソブテンを50モル%を超える割合、特に70モル%超、例えば90モル%超の割合で含む。このような清浄添加剤の製造に特に好適なものは、少なくとも75%、特に少なくとも85%、就中少なくとも90%、例えば少なくとも95%の末端二重結合の含有率を有する高反応性低分子量ポリオレフィンである。特に好ましい低分子量ポリオレフィンは、ポリ(イソブチレン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(2−メチル−2−ブテン)、ポリ(2,3−ジメチル−2−ブテン)、ポリ(エチレン−co−イソブチレン)及びアタクチックポリ(プロピレン)である。特に好ましいポリオレフィンの分子量は、500〜3000g/モルである。低級オレフィンのこのようなオリゴマーは、例えば、BF3やAlCl3などのルイス酸、チィーグラー触媒、特にメタロセン触媒を用いて重合することによって得ることができる。
【0027】
公知の低温用添加剤の応答特性に特に問題が多い清浄添加剤の極性部は、窒素原子数が2〜20のポリアミンから誘導される。このようなポリアミンは、例えば、次式に相当するものである。
【0028】
(R9)2N-[A-N(R9)]q-(R9)
式中、各々のR9は、独立して、水素、炭素原子数が24までのアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基-(A-O)r-またはポリイミノアルキレン基-[A-N(R9)]s-(R9)であるが、少なくとも一つのR9は水素であり、qは1〜19の整数であり、Aは、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、r及びsは、各々独立して、1〜50である。典型的には、これらは、ポリアミンの混合物、特にポリ(エチレンアミン類)及び/またはポリ(プロピレンアミン類)の混合物である。例としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ペンタプロピレンヘキサミン及び重質ポリアミン類(heavy polyamines)などが挙げられる。重質ポリアミン類とは、一般的に、少量のTEPA及びPEHAの他に、7個もしくはそれ以上の窒素原子を有するオリゴマーを主として含み、この際、前記窒素原子のうち二つもしくはそれ以上が、第一級アミノ基の形である、ポリアルキレンポリアミン類の混合物を意味するものと解される。これらのポリアミン類は、しばしば、第三級アミノ基を介して分枝した構造要素も含む。
【0029】
更に別の好適なアミン類は、ピペラジンから誘導される環状構造単位を含むものである。このピペラジン単位は、好ましくは、一つもしくは両方の窒素原子上に、水素、炭素原子数が24までのアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、またはポリアミノアルキレン基-[A-N(R9)]s-(R9)(式中、A、R9及びsはそれぞれ上に定義した通りである)を有することができる。
【0030】
更に別の好適なアミン類としては、脂肪環式ジアミン類、例えば1,4−ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、及び複素環式窒素化合物、例えばイミダゾリン類及びN−アミノアルキルピペラジン類、例えばN−(2−アミノエチル)ピペラジンなども挙げられる。
【0031】
ヒドロキシル基を有するポリアミン類から、複素環によって置換されたポリアミン類から及び芳香族ポリアミン類から誘導される極性部を有する清浄添加剤も問題がある。これの例には、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N1−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(3−ヒドロキシブチル)テトラ(メチレン)ジアミン、N−2−アミノエチルピペラジン、N−2−もしくはN−3−アミノプロピルモルホリン、N−3−(ジメチルアミノ)プロピルピペラジン、2−へプチル−3−(2−アミノプロピル)イミダゾリン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、フェニレンジアミンの様々な異性体及びナフタレインジアミンの様々な異性体、及びこれらのアミンの混合物などが挙げられる。
【0032】
中間蒸留物の低温用添加剤配合のための特に問題のある清浄添加剤は、上記の式中、R9が水素であり、qが少なくとも3、特に少なくとも4、例えば5、6、7もしくはそれ以上の値である重質ポリアミン類に基づくものである。これに関連して特に問題があるものは、窒素原子数が5またはそれ以上の高級ポリアミンを少なくとも40重量%、特に少なくとも60重量%、例えば少なくとも80重量%の割合で含むポリアミン類の混合物である。分散性能にとっては特に効果が高いが、ただし低温用添加剤配合に関しては特に問題のある重質ポリアミン類とは、一般的に、TEPA及びPEHAの他に、窒素原子数が7またはそれ以上のオリゴマーを、比較的多量に、すなわち少なくとも10重量%、特に少なくとも30重量%、就中少なくとも50重量%、例えば70重量%超の割合で含むポリアルキレンポリアミン類の混合物を意味するものと解される。
【0033】
清浄添加剤の油溶性アルキル基及び極性末端基は、直接に、あるいはC−N−結合またはエステル、アミドもしくはイミド結合を介して、互いに結合していてもよい。好ましい清浄添加剤は、それゆえ、アルキルポリ(アミン類)、マンニッヒ反応生成物、炭化水素で置換されたスクシンアミド類及びイミド類、及びこれらの部類の物質の混合物である。
【0034】
C−N結合を介して結合した清浄添加剤は、好ましくは、例えばポリイソブチレン類をポリアミン類と反応させるか、例えばヒドロホルミル化及びそれに次ぐ上記のポリアミン類による還元性アミノ化によって得ることができるアルキルポリ(アミン類)である。一つもしくはそれ以上のアルキル基が、このポリアミンに結合することができる。低温用添加剤配合に特に問題のある清浄添加剤は、窒素原子数が4を超える高級ポリアミン、例えば窒素原子数が5、6、7またはそれ以上の高級ポリアミンに基づくものである。
【0035】
アミドもしくはイミド結合を含む清浄添加剤は、例えばアルケニルコハク酸無水物をポリアミン類と反応させることによって得ることができる。アルケニルコハク酸無水物及びポリアミンは、好ましくは、約1:0.5〜約1:1のモル比で反応させる。母体となるアルケニルコハク酸無水物は、典型的には、エチレン性不飽和ポリオレフィンまたは塩素化されたポリオレフィンを、エチレン性不飽和のジカルボン酸に付加することによって製造される。
【0036】
例えば、アルケニルコハク酸無水物は、塩素化されたポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させることによって製造することができる。またその代わりに、これらは、ポリオレフィンを、“エン反応”において無水マレイン酸に熱付加することによっても製造することができる。これに関連して、オレフィン分子の総数を基準にして、末端二重結合を有する異性体を高割合で、例えば75モル%超、特に85モル%超の割合で有する高反応性オレフィンも特に好適である。上記末端二重結合は、ビニリデン二重結合[-CH2-C(=CH2)-CH3]またはビニル二重結合[-CH=C(CH3)2]のいずれかであることができる。
【0037】
アルケニルコハク酸無水物の製造においては、無水マレイン酸とポリオレフィンとの反応中の二つの反応体のモル比は広い範囲で変えることができる。このモル比は、好ましくは10:1〜1:5であることができ、特に好ましくは、6:1〜1:1のモル比である。無水マレイン酸は、好ましくは、化学量論的に過剰に使用され、例えばポリオレフィン1モルあたり1.1〜3モルの無水マレイン酸が使用される。余剰の無水マレイン酸は、例えば蒸留によって反応混合物から除去することができる。
【0038】
エン反応によって主生成物として生ずる反応体は特にオレフィン性二重結合を含むために、適当な反応において不飽和ジカルボン酸を更に付加して所謂ビスマレエートを生成させることも可能である。こうして得ることができる反応生成物は、不飽和カルボン酸と反応させたポリ(オレフィン)の含有量を基準にして、平均して、アルキル基一つあたり1超、好ましくは約1.01〜2.0、特に1.1〜1.8個のジカルボン酸単位のマレエート化度(degree of maleation)を有する。上記のアミンとの反応は、清浄添加剤としてかなり効果が高まった生成物を与える。他方で、低温流動性向上剤の効果の低下も、マレエート化度が高まるにつれて大きくなる。このような高マレエート化されたアルケニルコハク酸無水物を使用する場合は、窒素原子数が例えば3、4もしくは5の比較的短鎖のポリアミン類でさえ、低温用添加剤配合において上記の問題を引き起こす。
【0039】
アルケニルコハク酸無水物とポリアミン類との反応は、ポリアミン一つあたり一つもしくはそれ以上のアミド及び/またはイミド結合を有することができ、そしてマレエート化度に依存して、アルキル基一つあたり一つもしくは二つのポリアミン類を有することができる生成物を与える。この反応においては、ポリアミン1モルあたり1.0〜1.7モル、特に1.1〜1.5モルのアルケニルコハク酸無水物を使用して、遊離の第一級アミノ基が生成物中に残るようにすることが好ましい。更に別の好ましい態様の一つでは、アルケニルコハク酸無水物及びポリアミンを当モル量で反応させる。アルキル基あたりで1.1個もしくはそれ以上、例えば1.3個もしくはそれ以上の酸無水物基の高いアシル化度を有するアルケニルコハク酸無水物とポリアミン類との反応も、低温用添加剤の応答特性に特に問題が多いポリマーを生成させる。
【0040】
特に好ましい典型的なアシル化窒素化合物は、アルキル基あたり平均で約1.2〜1.5個の酸無水物基を有するポリ(イソブチレン)コハク酸無水物、ポリ(2−ブテニル)コハク酸無水物、ポリ(2−メチル−2−ブテニル)コハク酸無水物、ポリ(2,3−ジメチル−2−ブテニル)コハク酸無水物及びポリ(プロペニル)コハク酸無水物(前記アルキル基は、50〜400個の炭素原子を有する)を、窒素原子数が少なくとも3、好ましくは4〜12、例えば5〜7で及びエチレン単位数が少なくとも2、好ましくは約3〜11、例えば4〜6のポリ(エチレンアミン類)の混合物と反応させることによって得ることができる。
【0041】
オレフィンで置換されたフェノール類及びポリアミン類に基づく油溶性マンニッヒ反応生成物も、慣用の低温流動性向上剤の効果を低下させる。このようなマンニッヒ塩基は、公知の方法、例えばフェノール及び/またはサリチル酸を上記のポリオレフィン、例えばポリ(イソブチレン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(2−メチル−2−ブテン)、ポリ(2,3−ジメチル−2−ブテン)またはアタクチックポリ(プロピレン)でアルキル化し、次いで得られたアルキルフェノール類を、炭素原子数1〜6のアルデヒド、例えばホルムアルデヒドもしくはそれの反応性等価物、例えばホルマリンもしくはパラホルムアルデヒド、及び上記のポリアミン類、例えばTEPA、PEHAもしくは重質ポリアミン類と縮合することによって製造することができる。
【0042】
特に効果が高いが、同時に中間蒸留物の低温用添加剤配合にとって特に危険でもある清浄添加剤の蒸気圧浸透法で測定した平均分子量は、800g/モル超、特に2000〜20000g/モル、例えば3000〜15000g/モルである(THF中でポリ(スチレン)標準に対してGPCにより測定)。上記清浄添加剤の平均分子量は、架橋剤によって大きくして最終の用途に適合させることもできる。適当な架橋剤は、例えば、ジアルデヒド類、例えばグルタルアルデヒド、ビスエポキシド類、例えばビスフェノールAから誘導されるもの、ジカルボン酸及びこれらの反応性誘導体、例えば無水マレイン酸及びアルケニルコハク酸無水物、及びより高級の多塩基性カルボン酸及びこれらの誘導体、例えばトリメリト酸、トリメリト酸無水物及びピロメリト酸二無水物である。
【0043】
好ましい態様の一つでは、該油溶性ポリオキシアルキレン化合物は、少なくとも3つ、例えば4つ、5つもしくはそれ以上の脂肪族炭化水素基を有する。これらの基は、好ましくは、各々独立して16〜26個の炭素原子、例えば17〜24個の炭素原子を有する。これらの脂肪族炭化水素基は線状もしくは分枝状であることができ、特にこれらは線状である。更に、これらは好ましくは非常に実質的に飽和状であり、特にこれらはアルキル基である。エステルが特に好ましい。
【0044】
本発明において特に好適なポリオールは、分子量が約100〜約5000g/モル、好ましくは200〜2000g/モルの分子量のポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリブチレングリコール類及びこれらのコポリマーである。特に好ましい態様の一つでは、該油溶性ポリオキシアルキレン化合物は、3個もしくはそれ以上のOH基を有するポリオール、好ましくは3〜約50個のOH基を有するポリオール、例えば4〜10個のOH基を有するポリオール、特にネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリトリトール、及びこれらを縮合することによって得ることができる2〜10個のモノマー単位を有するオリゴマー、例えばポリグリセロールから誘導される。また、より高級のポリオール、例えばソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトース及びこれらのオリゴマー、例えばシクロデキストリンもポリオールとして好適である。ただし、これらのエステル化もしくはエーテル化されたアルコキシレートが、少なくとも使用の際の量において油溶性であることが条件である。それゆえ、好ましいポリオキシアルキレン化合物は、分枝状ポリオキシアルキレンコアを有し、そして油溶性を与える複数のアルキル基がこれに結合したものである。ポリオールは、一般的には、それのヒドロキシル基あたり3〜70モルのアルキレンオキシド、好ましくは4〜50モル、特に5〜20モルのアルキレンオキシドと反応させる。好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシドである。アルコキシル化は公知方法によって行われる。
【0045】
アルコキシル化されたポリオールのエステル化に好適な脂肪酸は、好ましくは12〜30個、特に16〜26個の炭素原子を有する。この脂肪酸のアルキル基は、線状もしくは分枝状であることができ、好ましい脂肪酸は、線状アルキル基を有する。適当な脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸及びベヘン酸、オレイン酸及びエルカ酸、パルミトレイン酸、ミストレイン酸、リシノール酸、及び天然油脂から得られる脂肪酸混合物である。好ましい脂肪酸混合物は、炭素原子数が少なくとも20の脂肪酸を50モル%を超える割合で含む。好ましくは、エステル化に使用される脂肪酸の50モル%未満、特に10モル%未満が二重結合を含み、これらは、特には、非常に実質的に飽和状である。エステル化は、脂肪酸の反応性誘導体、例えば低級アルコールとのエステル(例えばメチルもしくはエチルエステル)または酸無水物から出発して行うことともできる。
【0046】
本発明に関連して、非常に実質的に飽和状とは、使用する脂肪酸または使用する脂肪アルコールのヨウ素価が5gI/100g脂肪酸もしくは脂肪アルコールまでであることを意味すると理解される。
【0047】
アルコキシル化されたポリオールのエステル化には、上記の脂肪酸と脂溶性多塩基性カルボン酸との混合物を使用することもできる。適当な多塩基性カルボン酸の例は、ダイマー脂肪酸、アルケニルコハク酸及び芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの誘導体、例えば酸無水物及びC1〜C5エステルである。好ましいものは、炭素原子数8〜200、特に10〜50のアルキル基を有するアルケニルコハク酸及びこれの誘導体である。例としては、ドデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物及びポリ(イソブテニル)コハク酸無水物がある。上記多塩基性カルボン酸は、好ましくは、30モル%まで、好ましくは1〜20モル%、特に2〜10モル%の副次的な量で使用される。エステル及び脂肪酸は、一方でヒドロキシル基の含有量及び他方でカルボキシル基の含有量に基づいて、1.5:1〜1:1.5、好ましくは1.1:1〜1:1.1、特に当モル量の比率でエステル化に使用される。
【0048】
好ましい態様の一つでは、ポリオールのアルコキシル化の後に、末端ヒドロキシル基を、例えば酸化によってまたはジカルボン酸との反応によって、末端カルボキシル基に転化する。炭素原子数が8〜50、特に12〜30、就中16〜26の脂肪アルコールとの反応も同様に本発明のポリオキシアルキレンエステルを与える。好ましい脂肪アルコールまたは脂肪アルコール混合物は、炭素原子数が少なくとも20の脂肪アルコールを50モル%を超える割合で含む。好ましくは、エステル化に使用する脂肪酸の50モル%未満、特に10モル%未満が二重結合を含むが、これらは特には非常に実質的に飽和状である。また、上記の含有率でポリ(アルキレンオキシド類)を含みそして上記のアルキル鎖長及び飽和度の脂肪アルコール及び脂肪酸を含む、アルコキシル化された脂肪アルコールと脂肪酸とのエステルも本発明において好適である。
【0049】
エステル化は、慣用の方法で行われる。特に有用な方法の一つは、場合によっては触媒、例えばパラトルエンスルホン酸、C2〜C50アルキルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸または酸性イオン交換体の存在下での、ポリオールアルコキシレートと脂肪酸との反応であることが判明した。反応水は、直接凝縮させて蒸留によってか、または好ましくは有機溶剤の存在下での共沸蒸留によって除去することができる。このような有機溶剤としては、特に芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレンもしくは高沸点混合物、例えば(R)Shellsol A、(R)Shellsol B、(R)Shellsol ABもしくはソルベントナフサなどがある。エステル化は、好ましくは本質的に完全に行われる。すなわち、ヒドロキシル基1モルあたり1.0〜1.5モルの脂肪酸がエステル化に使用される。このエステルの酸価は一般的には15mgKOH/g以下、好ましくは10mgKOH/g以下、特に5mgKOH/g以下である。該エステルのOH価は、好ましくは20mgKOH/g以下、特に10mgKOH/g以下である。清浄添加剤に関連しての効果的な作用のためには、実質的に完全なエステル化が有利であることが判明した。これはまた、添加剤配合された中間蒸留物が、貯蔵用容器中に存在する水と不所望なエマルションを形成することも防ぐ。
【0050】
加えて、上記のアルコキシル化されたポリオールは、炭素原子数が8〜50、特に12〜30、就中16〜26の脂肪アルコールとのエーテル化によって本発明において好適なポリオキシアルキレン化合物に転化することができる。この目的に好ましい脂肪アルコールは、線状で非常に実質的に飽和状である。好ましくは、完全にもしくは少なくとも非常に実質的に完全にエーテル化する。エーテル化は公知方法によって行われる。
【0051】
特に好ましいポリオキシアルキレン化合物は、OH基数が3、4及び5のポリオールから誘導され、ポリオールのヒドロキシル基あたりで、エチレンオキシドから誘導された構造単位を約5〜10モル有し、そして非常に実質的に飽和状のC17〜C24脂肪酸で非常に実質的に完全にエステル化されたものである。更に別の特に好ましいポリオキシアルキレン化合物は、非常に実質的に飽和状のC17〜C24脂肪酸でエステル化されそして約350〜1000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールである。特に好適なポリオキシアルキレン化合物の例は、ステアリン酸、特にベヘン酸でエステル化されそして350〜800g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール類; ネオペンチルグリコール14−エチレンオキシドジステアレート(14モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されそして2モルのステアリン酸でエステル化されたネオペンチルグリコール)及び特にネオペンチルグリコール14−エチレンオキシドジベヘネート; グリセロール20−エチレンオキシドトリステアレート、グリセロール20−エチレンオキシドジベヘネート、及び特にグリセロール20−エチレンオキシドトリベヘネート; トリメチロールプロパン22−エチレンオキシドトリベヘネート; ソルビタン25−エチレンオキシドトリステアレート、ソルビタン25−エチレンオキシドテトラステアレート、ソルビタン25−エチレンオキシドトリベヘネート、及び特にソルビタン25−エチレンオキシドテトラベヘネート; ペンタエリトリトール30−エチレンオキシドトリベヘネート、ペンタエリトリトール30−エチレンオキシドテトラステアレート、及び特にペンタエリトリトール30−エチレンオキシドテトラベヘネート及びペンタエリトリトール20−エチレンオキシド10−プロピレンオキシドテトラベヘネートである。
【0052】
添加剤配合油における清浄添加剤とポリオキシアルキレン化合物の間の量比は広い範囲で変えることができる。各々有効成分を基準にして、清浄添加剤1重量部あたり0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部、例えば0.3〜3重量部のポリオキシアルキレン化合物を使用することが特に有用であることが判明した。
【0053】
本発明の中間蒸留物に使用することができる有用な流動性向上剤には、特に、次の物質群III〜VIIの一種もしくは二種以上が挙げられ、好ましくは、エチレンコポリマー(成分III)か、またはこれと、一種もしくは二種以上の成分IV〜VIIとの混合物が使用される。特に有用な混合物は、エチレンコポリマー(成分III)とアルキルフェノール−アルデヒド樹脂(成分V)との混合物、エチレンコポリマー(成分III)と櫛状ポリマー(成分VI)との混合物、及びエチレンコポリマー(成分III)とオレフィン(コ)コポリマー(成分VII)との混合物であることが判明した。パラフィンの分散のためには、特に有用な混合物は、エチレンコポリマー(成分III)と成分IV及びVとのまたは成分IV及びVIとの混合物であることが判明した。
【0054】
成分IIIとしての好ましい低温流動性向上剤は、エチレンとオレフィン性不飽和化合物とのコポリマーである。適当なエチレンコポリマーは、特に、エチレンの他に、コモノマーとしてのオレフィン性不飽和化合物を8〜21モル%、特に10〜18モル%の割合で含むものである。
【0055】
上記オレフィン性不飽和化合物は、好ましくはビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル及び/またはアルケンであり、そしてこれらの化合物は、ヒドロキシル基によって置換されていてもよい。一種もしくは二種以上のコモノマーがポリマー中に存在することができる。
【0056】
ビニルエステルは、好ましくは、次式1で表されるものである。
CH2=CH-OCOR1 (1)
上記式中、R1は、C1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。更に別の態様の一つでは、上記のアルキル基は、一つまたはそれ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。
【0057】
更に別の好ましい態様の一つでは、R1は、炭素原子数7〜11、特に8、9もしくは10の分枝状アルキル基またはネオアルキル基である。特に好ましいビニルエステルは、分枝鎖がカルボニル基に対してアルファ位置にある、第二級、特に第三級カルボン酸から誘導される。好適なビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及びバーサティック酸エステル(Versatic esters)、例えばネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ネオウンデカン酸ビニルなどが挙げられる。
【0058】
更に別の好ましい態様の一つでは、これらのエチレンコポリマーは、酢酸ビニルと、上記式1中、R1がC4〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである同式で表される更に別のビニルエステルの少なくとも一種とを含む。
【0059】
アクリル酸エステルは、好ましくは、次式2で表されるものである。
CH2=CR2-COOR3 (2)
上記式中、R2は水素またはメチルであり、そしてR3はC1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。好適なアクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−もしくはiso−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、及びこれらのコモノマーの混合物などが挙げられる。更に別の態様の一つでは、上記のアルキル基は、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。このようなアクリル酸エステルの一例は、メタクリル酸ヒドロキシエチルである。
【0060】
アルキルビニルエーテルは、好ましくは次式3の化合物である。
CH2=CH-OR4 (3)
式中、R4はC1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。更に別の態様の一つでは、上記のアルキル基は、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。
【0061】
アルケンは、好ましくは、炭素原子数3〜30、特に4〜16、就中5〜12の単不飽和炭化水素である。適当なアルケンとしては、プロペン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン、及びノルボルネン、並びにこれらの誘導体、例えばメチルノルボルネン及びビニルノルボルネンなどが挙げられる。更に別の態様の一つでは、上記のアルキル基は、一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。
【0062】
特に好ましいターポリマーは、エチレンの他に、3.5〜20モル%、特に8〜15モル%の酢酸ビニル、及び0.1〜12モル%、特に0.2〜5モル%の少なくとも一種の比較的長鎖で好ましくは分枝状のビニルエステル、例えば2−エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニルもしくはネオデカン酸ビニルを含み、この際、全コモノマー含有率は8〜21モル%、好ましくは12〜18モル%である。更に別の特に好ましいコポリマーは、エチレン及び8〜18モル%のC2〜C12カルボン酸のビニルエステルの他に、0.5〜10モル%のオレフィン、例えばプロペン、ブテン、イソブチレン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及び/またはノルボルネンも含む。
【0063】
これらのエチレンコポリマー及びターポリマーは、好ましくは、140℃において20〜10000mPas、特に30〜5000mPas、就中50〜2000mPasの溶融粘度を有する。1H−NMR分光分析によって測定された分枝度は、好ましくは、コモノマーに由来しないものとしてCH2基100個あたり1〜9個のCH3、特に2〜6個のCH3である。
【0064】
好ましくは、上記のエチレンコポリマーの二種もしくはそれ以上のものの混合物が使用される。より好ましくは、このような混合物が基づく各々のポリマーはそれぞれ少なくとも一つの特徴が異なるものである。例えば、これらは異なるコモノマー、異なるコモノマー含有率、異なる分子量及び/または異なる分枝度を有することができる。
【0065】
本発明の添加剤と成分IIIとしてのエチレンコポリマーとの混合比は、用途に応じて広い範囲で変わり得るが、エチレンコポリマーIIIが多くの場合に主たる割合を占める。このような添加剤及び油混合物は、好ましくは、本発明の添加剤組み合わせ物1重量部あたり0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合でエチレンコポリマーを含む。
【0066】
更に別の好適な低温流動性向上剤は、油溶性極性窒素化合物である(成分IV)。これらは、好ましくは、脂肪アミンとアシル基含有化合物との反応生成物である。好ましいアミンは、式NR678で表される化合物であり、この式中、R6、R7及びR8は、同一かもしくは異なることができ、そしてこれらの基のうちの少なくとも一つは、C8〜C36アルキル、C6〜C36シクロアルキルまたはC8〜C36アルケニル、特にC12〜C24アルキル、C12〜C24アルケニルまたはシクロヘキシルであり、そして残りの基は、水素、C1〜C36アルキル、C2〜C36アルケニル、シクロヘキシル、または式−(A−O)x−Eもしくは−(CH2n−NYZで表される基のいずれかであり、但し、前記式中、Aはエチルまたはプロピル基であり、xは1〜50の数であり、EはH、C1〜C30アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC6〜C30アリールであり、nは2、3または4であり、そしてY及びZは各々独立してH、C1〜C30アルキルまたは−(A−O)xである。前記アルキル及びアルケニル基は各々線状もしくは分枝状であることができ、そして二つまでの二重結合を含むことができる。これらは好ましくは線状で、そして実質的に飽和状である。すなわちこれらは、75gI2/g未満、好ましくは60gI2/g未満、特に1〜10gI2/gのヨウ素価を有する。特に好ましいものは、R6、R7及びR8基のうちの二つがそれぞれC8〜C36アルキル、C6〜C36シクロアルキル、C8〜C36アルケニル、特にC12〜C24アルキル、C12〜C24アルケニルまたはシクロヘキシルである第二級脂肪アミンである。好適な脂肪アミンは、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ベヘニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジエイコシルアミン、ジベヘニルアミン、及びこれらの混合物である。これらのアミンは、特に、天然原料、例えばヤシ脂肪アミン、獣脂肪アミン、水素化獣脂肪アミン、ジヤシ脂肪アミン、ジ獣脂肪アミン及びジ(水素化獣脂肪アミン)に基づく鎖分を含む。特に好ましいアミン誘導体は、アミン塩、イミド及び/またはアミド、例えば第二級脂肪アミンのアミド−アンモニウム塩、特にジヤシ脂肪アミン、ジ獣脂肪アミン及びジステアリルアミンのアミド−アンモニウム塩である。
【0067】
ここでアシル基とは、次の式で表される官能基のことを言う。
>C=O
アミンとの反応に好適なカルボニル化合物は、一つもしくはそれ以上のカルボキシル基を有するモノマー性またはポリマー性化合物のいずれかである。好ましいものは、カルボニル基数が2、3もしくは4のモノマー性カルボニル化合物である。またこれらは、酸素、硫黄及び窒素などのヘテロ原子を含むこともできる。好適なカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、コハク酸、C1〜C40アルケニルコハク酸、アジピン酸、グルタール酸、セバシン酸及びマロン酸、並びに安息香酸、フタル酸、トリメリト酸及びピロメリト酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、及びこれらの反応性誘導体、例えばエステル、無水物及び酸ハロゲン化物である。有用なポリマー性カルボニル化合物は、特に、エチレン性不飽和酸のコポリマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸のコポリマーであることが判明した。特に好ましいものは、無水マレイン酸のコポリマーである。好適なコモノマーは、コポリマーに油溶性を与えるものである。ここで油溶性とは、コポリマーが、脂肪アミンとの反応の後に、実施の際の使用量において添加剤配合するべき鉱油蒸留物中に残渣を残すことなく溶解することを意味する。好適なコモノマーは、例えば、アルキル基中に2〜75個、好ましくは4〜40個、特に8〜20個の炭素原子を有するオレフィン、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステル、アルキルビニルエステル及びアルキルビニルエーテルである。オレフィンの場合には、上記の炭素原子数は、二重結合に結合するアルキル基に基づく値である。ポリマー性カルボニル化合物の分子量は、好ましくは400〜20000、より好ましくは500〜10000、例えば1000〜5000である。
【0068】
脂肪族もしくは芳香族アミン、好ましくは長鎖脂肪族アミンを脂肪族もしくは芳香族モノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラカルボン酸またはこれらの無水物と反応させることによって得られる油溶性極性窒素化合物が特に有用であることが判明した(米国特許第4211534号参照)。油溶性極性窒素化合物として同様に好適なものは、アミノアルキレンポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸もしくはエチレンジアミンテトラ酢酸と第二級アミンとのアミド及びアンモニウム塩である(欧州特許出願公開第0398101号参照)。他の油溶性極性窒素化合物は、無水マレイン酸及びα,β−不飽和化合物からなるコポリマー(これは場合によっては第一級モノアルキルアミン及び/または脂肪族アルコールと反応させてもよい)(欧州特許出願公開第0154177号、欧州特許出願公開第0777712号参照)、アルケニル−スピロ−ビスラクトンとアミンとの反応生成物(欧州特許第0413279B1号参照)、及び欧州特許出願公開第0606055A2号による、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、α,β−不飽和化合物及び低級不飽和アルコールのポリオキシアルキレンエーテルに基づくターポリマーの反応生成物である。
【0069】
本発明のエチレンコポリマーIIIと、成分IVとしての油溶性極性窒素化合物との間の混合比は用途に応じて変わり得る。このような添加剤混合物は、好ましくは、有効成分を基準にして、本発明の添加剤組み合わせ物1重量部あたり0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の量で少なくとも一種の油溶性極性窒素化合物を含む。
【0070】
アルキルフェノール−アルデヒド樹脂も流動性向上剤として好適である(成分V)。これらは、特に、OH基に対してオルト位および/またはパラ位に1または2個のアルキル基を有するアルキルフェノールから誘導されるアルキルフェノール−アルデヒド樹脂である。特に好ましい原料は、アルデヒドと縮合することができる少なくとも二つの水素原子を芳香族環状に有するアルキルフェノール、特にモノアルキル化フェノールである。前記アルキル基は、より好ましくは、フェノール性OH基に対しパラ位に存在する。アルキル基(成分Vに関しては、これは一般的に上で定義したような炭化水素基を指す)は、本発明の方法において有用なアルキルフェノール−アルデヒド樹脂において同一かまたは異なることができ、これらは飽和もしくは不飽和であることができ、そして1〜200個、好ましくは1〜20個、特に4〜16個、例えば6〜12個の炭素原子を有し、そしてこれらは、好ましくは、n−、iso−及びtert−ブチル、n−及びiso−ペンチル、n−及びiso−ヘキシル、n−及びiso−オクチル、n−及びiso−ノニル、n−及びiso−デシル、n−及びiso−ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、トリプロペニル、テトラプロペニル、ポリ(プロペニル)及びポリ(イソブテニル)基である。好ましい態様の一つでは、アルキルフェノール樹脂は、異なるアルキル基を有する複数種のアルキルフェノールの混合物を用いて製造される。例えば、一方ではブチルフェノールに、そして他方ではオクチルフェノール、ノニルフェノール及び/またはドデシルフェノールに、1:10〜10:1のモル比で基づく樹脂が特に有用であることが判明した。
【0071】
適当なアルキルフェノール樹脂は、更に別のフェノール同族体の構造単位、例えばサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、及びこれらの誘導体、例えばエステル、アミド及び塩の構造単位も含むことができるか、あるいはこれらのみからなることができる。
【0072】
該アルキルフェノール−アルデヒド樹脂に好適なアルデヒドは、炭素原子数1〜12のアルデヒド、好ましくは炭素原子数1〜4のアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−エチルヘキサナール、ベンズアルデヒド、グリオキサル酸、及びこれらの反応性等価物、例えばパラホルムアルデヒド及びトリオキサンである。特に好ましいものは、パラホルムアルデヒド及び特にホルマリンの形のホルムアルデヒドである。
【0073】
THF中でポリ(スチレン)標準に対してゲル透過クロマトグラフィによって測定した、アルキルフェノール−アルデヒド樹脂の分子量は、好ましくは500〜25000g/モル、より好ましくは800〜10000g/モル、特に1000〜5000g/モル、例えば1500〜3000g/モルである。これに関連しての前提条件の一つは、アルキルフェノール−アルデヒド樹脂が、少なくとも0.001〜1重量%の使用の際の濃度において、油溶性であることである。
【0074】
本発明の好ましい態様の一つでは、これらは、次式で表される繰り返し構造単位を有するオリゴマーもしくはポリマーを含むアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0075】
【化1】

【0076】
式中、R11は、C1〜C200−アルキルまたは−アルケニル、O−R10、またはO−C(O)−R10であり、R10は、C1〜C200−アルキルまたは−アルケニルであり、そしてnは2〜100である。R10は、好ましくはC1〜C20−アルキルまたは−アルケニル、特にC4〜C16−アルキルまたは−アルケニル、例えばC6〜C12−アルキルまたは−アルケニルである。より好ましくは、R11は、C1〜C20−アルキルまたは−アルケニル、特にC4〜C16−アルキルまたは−アルケニル、例えばC6〜C12−アルキルまたは−アルケニルである。nは、好ましくは、2〜50、特に3〜25、例えば5〜15である。
【0077】
これらのアルキルフェノール−アルデヒド樹脂は、公知方法、例えば適当なアルキルフェノールをホルムアルデヒドと、すなわちアルキルフェノール1モル当たり0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルのホルムアルデヒドと縮合することによって得ることができる。縮合は溶剤なしで行うこともできるが、好ましくは水不混和性または部分的にのみ水と混和性の不活性有機溶剤、例えば鉱油、アルコール、エーテル及びこれらの類似物などの存在下に行われる。特に好ましいものは、水と共沸混合物を形成することができる溶剤である。使用されるこの種の溶剤は、特に芳香族類、例えばトルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、及び比較的高沸点の商業的な溶剤混合物、例えば(R)Shellsol AB及びソルベントナフサである。また、脂肪酸及びこれの誘導体、例えば炭素原子数が1〜5の低級アルコールとのエステル、例えばエタノール、特にメタノールとのエステルも溶剤として好適である。縮合は、好ましくは、70〜200℃の温度、例えば90〜160℃の温度で行われる。縮合は、典型的には0.05〜5重量%の塩基または好ましくは0.05〜5重量%の酸で触媒される。酸性触媒としては、酢酸及びシュウ酸などのカルボン酸の他は、特に、塩酸、リン酸及び硫酸などの強鉱酸、並びにスルホン酸が有用な触媒である。特に好適な触媒は、スルホン酸基を少なくとも一つ、及び炭素原子数1〜40、好ましくは3〜24の飽和もしくは不飽和で線状、分枝状及び/または環状の炭化水素基を少なくとも一つ含むスルホン酸である。特に好ましいものは、芳香族スルホン酸、特にC1〜C28アルキル基を一つもしくはそれ以上含むアルキル芳香族モノスルホン酸、特にC3〜C22アルキル基を一つもしくはそれ以上含むアルキル芳香族モノスルホン酸である。好適な例は、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸; ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸である。これらのスルホン酸の混合物も好適である。通常は、これらは、反応の終了後はそのままの形でまたは中和された形で生成物中に残る。中和のためには、好ましくはアミン類及び/または芳香族塩基が使用される。なぜならば、これらは生成物中に残ってもよいからである。金属イオンを含むために灰を形成する塩は通常は除去される。
【0078】
流動性向上剤として同様に好適な櫛状ポリマー(成分VI)は、例えば次の式によって表すことができる。
【0079】
【化2】

【0080】
上記式中、
Aは、R’、COOR’、OCOR’、R”−COOR’、OR’であり、
Dは、H、CH3、AまたはR”であり、
Eは、H、Aであり、
Gは、H、R”、R”−COOR’、アリール基または複素環式基であり、
Mは、H、COOR”、OCOR”、OR”、COOHであり、
Nは、H、R”、COOR”、OCOR、アリール基であり、
R’は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖であり、
R”は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖であり、
mは、0.4〜1.0であり、そして
nは、0〜0.6である。
【0081】
適当な櫛状ポリマーは、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸もしくはフマル酸と、他のエチレン性不飽和モノマー、例えばオレフィンもしくはビニルエステル、例えば酢酸ビニルとのコポリマーである。これに関連して、特に好適なオレフィンは、炭素原子数10〜24のα−オレフィン、例えば1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及びこれらの混合物である。また、末端二重結合の含有量が多いオリゴマー化されたC2〜C6オレフィン、例えばポリ(イソブチレン)に基づく長鎖オレフィンもコモノマーとして好適である。典型的には、これらのコポリマーは、炭素原子数10〜22のアルコールによって少なくとも50%の程度でエステル化される。好適なアルコールとしては、n−デカン−1−オール、n−ドデカン−1−オール、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール、n−オクタデカン−1−オール、n−エイコサン−1−オール及びこれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいものは、n−テトラデカン−1−オールとn−ヘキサデカン−1−オールとの混合物である。また同様に、炭素原子数12〜20のアルコールから誘導されるポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)及びポリ(アルキルビニルエーテル)、及び炭素原子数12〜20の脂肪酸から誘導されるポリ(ビニルエステル)も櫛状ポリマーとして好適である。
【0082】
更に、炭素原子数が2〜30のオレフィンのホモポリマーもしくはコポリマーも流動性向上剤として好適である(成分VII)。これらは、モノエチレン性不飽和モノマーから直接誘導し得るか、またはイソプレンもしくはブタジエンなどのポリ不飽和モノマーから誘導されるポリマーを水素化することによって間接的に製造することができる。好ましいコポリマーは、エチレンの他に、炭素原子数3〜24のα−オレフィンから誘導される構造単位を含みそして120000g/モルまでの分子量を有する。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、ブテン、イソブテン、n−ヘキセン、イソヘキセン、n−オクテン、イソオクテン、n−デセン、イソデセンである。オレフィンのコモノマー含有率は好ましくは15〜50モル%、より好ましくは20〜35モル%、特に30〜45モル%である。これらのコポリマーは、少量の、例えば10モル%までの量の更に別のコモノマー、例えば非末端オレフィンまたは非共役オレフィンも含むことができる。特に好ましいものはエチレン−プロピレンコポリマーである。更に別の好ましいものは、炭素原子数が5〜30の異なるオレフィンのコポリマー、例えばポリ(ヘキセン−co−デセン)である。該オレフィンホモポリマー及びコポリマーは公知の方法、例えばチィグラー触媒もしくはメタロセン触媒を用いて製造することができる。
【0083】
更に別の好適なオレフィンコポリマーは、オレフィン性不飽和芳香族モノマーからなるブロックA及び水素化ポリオレフィンからなるブロックBを含むブロックコポリマーである。特に好適なブロックコポリマーは、(AB)nA及び(AB)m(nは1〜10であり、そしてmは2〜10である)で表される構造を有する。
【0084】
本発明の添加剤と更に別の成分V、VI及びVIIとの混合比は、各々の場合において、それぞれ1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1である。
【0085】
取り扱いをより簡単にするために、本発明の添加剤は、好ましくは、溶剤を10〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、例えば25〜60重量%の割合で含む濃厚物の形で使用される。好ましい溶剤は、比較的高沸点で低粘度の脂肪族、芳香族及びアルキル芳香族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、及びこれらの混合物である。前記濃厚物は、清浄添加剤1重量部あたり該ポリオキシアルキレン化合物を好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、例えば0.3〜3重量部の量で含む。
【0086】
本発明のポリオキシアルキレン化合物は、流動点及びCFPP値の低下及びパラフィン分散性の向上に関して慣用の流動性向上剤において、清浄添加剤を含む中間蒸留物、例えば灯油、ジェット燃料、ディーゼル及び加熱油の応答特性を向上させる。
【0087】
特に好ましい鉱油蒸留物は中間蒸留物である。中間蒸留物とは、特に、原油を蒸留することによって得られる、沸騰範囲が約150〜450℃の範囲、特に約170〜390℃の範囲の鉱油、例えば灯油、ジェット燃料、ディーゼル及び加熱油のことを言う。典型的には、中間蒸留物は、n−パラフィンを約5〜50重量%、例えば約10〜35重量%の割合で含む。このn−パラフィンのうち比較的長鎖のn−パラフィンが、温度が下がると晶出して、中間蒸留物の流動性を損ねる恐れがある。本発明の組成物は、芳香族類の含有率が21重量%以下、例えば19重量%以下と低い中間蒸留物において特に有利である。また、本発明の組成物は、終点が低い中間蒸留物、すなわち90%留出点が360℃以下、特に350℃以下、特殊な場合には340℃以下の中間蒸留物に、更に追加的に20%及び90%留出容量間の沸点範囲が120℃未満、特に110℃未満の中間蒸留物にも特に有利である。芳香族化合物とは、DIN EN 12916(2001年度版)に従いHPLCで測定することができる、単環式芳香族化合物、二環式芳香族化合物及び多環式芳香族化合物の総計を意味するものと理解される。中間蒸留物は、以下に詳述する動物及び/または植物起源の油、例えば脂肪酸メチルエステルも、副次的な量で、例えば40体積%までの量、好ましくは1〜20体積%、特に2〜15体積%、例えば3〜10体積%の量で含むことができる。
【0088】
また同様に、本発明の組成物は、清浄添加剤を含みそして再生可能な原料に基づく燃料(バイオ燃料)の低温流動性を向上させるのにも好適である。バイオ燃料とは、、燃料として、特にディーゼルもしくは加熱油として使用できる、動物性材料及び好ましくは植物性材料からまたはこれらの両方から得られる油、並びにこれらの誘導体を意味するものと理解される。これらは、特に、炭素原子数10〜24の脂肪酸のトリグリセライド、並びにエステル交換によってこれらから得ることができるメタノールもしくはエタノールなどの低級アルコールの脂肪酸エステルである。
【0089】
適当なバイオ燃料の例は、ナタネ油、コエンドロ油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、グラウンドナッツ油、コーン油、アーモンド油、パーム核油、ヤシ油、カラシナ種油、牛脂、骨油、魚油、及び使用済み調理油である。更に別の例としては、コムギ、ジュート、ゴマ、シアバターノキの実(shea tree nut)、ラッカセイ油(arachis oil)及び亜麻仁油から誘導される油などが挙げられる。バイオディーゼルとも知られる脂肪酸アルキルエステルは、従来公知の方法によってこれらの油から誘導することができる。好ましいものは、グリセロールでエステル化された脂肪酸の混合物であるナタネ油である。なぜならば、これは多量に入手することができ、そして菜種を圧搾することによって簡単に得ることができるからである。加えて、同様に広く入手できるヒマワリ、シュロ(palm)及び大豆の油、並びにこれらとナタネ油との混合物も好ましい。
【0090】
特に好適なバイオ燃料は、脂肪酸の低級アルキルエステルである。ここで有用な例は、炭素原子数14〜22の脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸またはエルカ酸のエチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、特にメチルエステルの商業的な混合物である。好ましいエステルは、50〜150、特に90〜125のヨウ素価を有する。特に有利な性質を有する混合物は、炭素原子数16〜22及び二重結合数1、2もしくは3の脂肪酸のメチルエステルを主として、すなわち少なくとも50重量%の割合で含むものである。好ましい脂肪酸低級アルキルエステルは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びエルカ酸のメチルエステルである。
【0091】
本発明の添加剤は、単独でまたは他の添加剤と一緒に使用することができる。このような他の添加剤としては、例えば、他の流動点降下剤もしくは脱蝋助剤、他の清浄剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、曇り除去剤(dehazars)、解乳化剤、分散剤、消泡剤、染料、腐蝕防止剤、潤滑性添加剤、スラッジ防止剤、臭気剤、及び/または曇り点を下げるための添加剤などが挙げられる。
【実施例】
【0092】
中間蒸留物の低温流動性の向上
中間蒸留物の低温流動性に対する本発明の添加剤の効果を評価するために、清浄添加剤(A)を、各々以下に記載の特徴を有する様々なポリオキシアルキレン化合物(B)並びにエチレンコポリマー(C)及びパラフィン分散剤(D)と一緒に使用した。
【0093】
鉱油及び鉱油蒸留物用の公知の低温流動性向上剤に対する清浄添加剤の悪影響を、ポリオキシアルキレン化合物が抑制することを、先ず、CFPP試験(EN116による低温濾過器目詰まり試験)によって示す。
【0094】
加えて、中間蒸留物におけるパラフィン分散性を、簡略式沈降試験(Brief sedimentation test)において次のように測定する。
【0095】
以下の表に記載の添加剤成分を混合した中間蒸留物150mlを、冷却室中で−2℃/時間の速度で−13℃まで冷却し、そしてこの温度で16時間保置した。次いで、沈降したパラフィン相及び上澄みの油相の両方の体積及び外観を測定及び視覚評価する。少量の沈降物及び不透明な油相が良好なパラフィン分散性を示す。
【0096】
加えて、上記の低温下での保置の直後、下の方の20体積%を分離し、そしてその曇り点をIP3015により測定する。前記底部相の雲り点と油の空値との差(CPcc)が小さい程、良好なパラフィン分散性を示す。
表1: 試験油の特徴:
使用した試験油は、欧州の精油所からの現在一般に流通している中間蒸留物であった。そのCFPP値をEN116に従いそして曇り点はISO3015に従い測定した。芳香族炭化水素群は、DIN EN12916(2001年11月版)により測定した。
【0097】
【表1】

【0098】
以下の添加剤を使用した。
【0099】
・ 使用する清浄添加剤の特徴
使用した清浄添加剤Aは、高反応性ポリオレフィン(分子量については表2参照; 末端二重結合の含有率:>90%)に基づくアルケニルコハク酸無水物(マレエート化度は約1.2〜1.3)とポリアミン類との表2に記載の種々の反応生成物であった。このためには、アルケニルコハク酸無水物及びポリアミンを、ポリアミン1モルあたり1.0〜1.5モルの酸無水物基(AA)のモル比で反応させた(表2参照)。計量添加を容易にするために、清浄添加剤は、比較的高沸点の芳香族溶剤中で33%の溶液の形で使用した。ただし、表2〜4に記載の清浄添加剤の添加量は、使用した有効成分に基づく。
(B) 使用したポリオキシアルキレン化合物の特徴
B1) グリセロール20−エチレンオキシドトリベヘネート,ソルベントナフサ中50%。
B2) グリセロール28−エチレンオキシドトリステアレート,ソルベントナフサ中50%。
B3) ペンタエリトリトール30−エチレンオキシドテトラベヘネート,ソルベントナフサ中50%。
B4) ポリエチレングリコール600−ジベヘネート,ソルベントナフサ中50%。
【0100】
例B1)〜B3)では、番号20、28及び30は、グリセロール1モルあたりのアルキレンオキシドのモル数を示す。例B4)では、番号600は、エステル化に使用したポリエチレングリコールの分子量を示す。
更に別の流動性向上剤の特徴
C1) エチレン、30重量%の酢酸ビニル及び8重量%のネオデカン酸ビニルからなるターポリマー;140℃で測定して95mPasの溶融粘度V140、灯油中65%。
C2) エチレン及び32重量%の酢酸ビニルからなるコポリマー(140℃で測定して125mPasの溶融粘度V140)とC1)のそれぞれの等部の混合物; 灯油中56%。
D1) C14/C16−α−オレフィンと無水マレイン酸からなるコポリマーと、水素化二獣脂肪アミン2当量との反応混合物2部と、ノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂1部との混合物; ソルベントナフサ中50%。
D2) 欧州特許出願公開第0 398 101号明細書に従い製造された、エチレンジアミンテトラ酢酸と二獣脂肪アミン4当量とを反応させてアミド−アンモニウム塩とした反応生成物; ソルベントナフサ中50%。
D3) 無水フタル酸とジ(水素化獣脂肪)アミン2当量との反応生成物と、ジテトラデシルフマレートのコポリマーのそれぞれ等部の混合物; ソルベントナフサ中50%。
【0101】
試験油1におけるCFPP値を、200ppmのC2及び150ppmのD1で油を添加剤配合した後に測定した。
【0102】
【表2】

【0103】
以下の表3〜5の例では、使用した清浄添加剤A1は、表2の例3に従う、ポリ(イソブテニル)コハク酸無水物とペンタエチレンヘキサミンとの反応生成物であり、使用した清浄添加剤A2は、表2の例4に従う、ポリ(イソブテニル)コハク酸無水物とペンタエチレンヘキサミンとの反応生成物であり、そして使用した清浄添加剤A3は、表2の例18に従う、ポリ(ブテニル)コハク酸無水物と重質ポリアミンとの反応生成物であった。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
上記の実験は、流動性向上剤が配合された中間蒸留物の低温流動性の低下、例えばCFPP値及びパラフィン分散性は、本発明のポリオキシアルキレン化合物を添加して初めて補われ得ることを示している。流動性向上剤を多めに使用しただけでは、この結果は達成することができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無灰窒素含有清浄添加剤を少なくとも一種含む中間蒸留物において鉱油低温流動性向上剤の応答特性を向上するための、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物の使用であって、
前記ポリオキシアルキレン化合物が、炭素原子数12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基あたり、炭素原子数2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化されたポリオールの油溶性エステル、エーテルまたはエーテル/エステルであり、そして
前記無灰窒素含有清浄添加剤が、極性基に結合した少なくとも一つのアルキルもしくはアルケニル基を含む油溶性両親媒性化合物であり、ただし、前記アルキルもしくはアルケニル基は10〜500個の炭素原子を含み、そして前記極性基は2個もしくはそれ以上の窒素原子を含む、上記使用。
【請求項2】
上記中間蒸留物が、少なくとも一種の無灰窒素含有清浄添加剤を10ppmを超える量で含む、請求項1の使用。
【請求項3】
上記無灰窒素含有清浄添加剤の1重量部を基準として0.01〜10重量部の量で少なくとも一種の上記油溶性ポリオキシアルキレン化合物を使用する、請求項1または2の使用。
【請求項4】
清浄添加剤のアルキルもしくはアルケニル基が、炭素原子数3〜6の低級オレフィンのオリゴマーから誘導される、請求項1〜3のいずれか一つの使用。
【請求項5】
清浄添加剤のアルキルもしくはアルケニル基が、15〜500個の炭素原子を含む、請求項1〜4のいずれか一つの使用。
【請求項6】
清浄添加剤が、不飽和カルボン酸と反応させたポリ(オレフィン)の割合を基準にしてマレエート化度が平均してアルキル基あたり1を超えるジカルボン酸単位数であるアルケニルコハク酸無水物から誘導される、請求項1〜5のいずれか一つの使用。
【請求項7】
清浄添加剤の極性基が、次式
(R9)2N-[A-N(R9)]q-(R9)
[式中、
各々のR9は、独立して、水素、炭素原子数が24までのアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、式-(A-O)r-のポリオキシアルキレン基、または式-[A-N(R9)]s-(R9)のポリイミノアルキレン基であるが、少なくとも一つのR9は水素であり、qは1〜19の整数であり、Aは炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、r及びsは、各々独立して、1〜50の整数である]
で表されるポリアミンから誘導される、請求項1〜6のいずれか一つの使用。
【請求項8】
清浄添加剤が誘導されるポリアミンが、ピペラジンから誘導される構造要素を含む、請求項1〜7のいずれか一つの使用。
【請求項9】
清浄添加剤が誘導されるポリアミンが、少なくとも一つの第一級アミノ基を含む、請求項1〜8のいずれか一つの使用。
【請求項10】
清浄添加剤が誘導されるポリアミンが、qが4に等しいかもしくは4よりも大きいアミンを10重量%を超える量で含む、請求項7の使用。
【請求項11】
油溶性ポリオキシアルキレン化合物が、少なくとも3個の脂肪族炭化水素基を有する、請求項1〜10のいずれか一つの使用。
【請求項12】
油溶性ポリオキシアルキレン化合物が、3個もしくはそれ以上のOH基を有するポリオールから誘導される、請求項1〜11のいずれか一つの使用。
【請求項13】
油溶性ポリオキシアルキレン化合物が、エステル化に使用した脂肪酸の50モル%未満が二重結合を含むエステル、エーテル及び/またはエーテル/エステルである、請求項1〜12のいずれか一つの使用。
【請求項14】
低温流動性向上剤が、エチレンと8〜21モル%のオレフィン性不飽和化合物とのコポリマーを含み、この際、前記オレフィン性不飽和化合物が、一種もしくはそれ以上のビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル及び/またはアルケンから選択され、そしてこれらの各々が、ヒドロキシル基によって置換されていてもよい、請求項1〜13のいずれか一つの使用。
【請求項15】
低温流動性向上剤が、式NR678[式中、R6、R7及びR8は、同一かまたは異なることができ、そしてこれらの基のうちの少なくとも一つは、C8-C36-アルキル、C6-C36-シクロアルキル、C8-C36-アルケニル、特にC12-C24-アルキル、C12-C24-アルケニルまたはシクロヘキシルであり、そして残りの基は、水素、C1-C36-アルキル、C2-C36-アルケニル、シクロヘキシル、または式-(A-O)x-Eもしくは-(CH2)n-NYZの基のいずれかであり、この際、Aはエチルもしくはプロピル基であり、xは1〜50であり、Eは、H、C1-C30-アルキル、C5-C12-シクロアルキルまたはC6-C30-アリールであり、そしてnは、2、3もしくは4であり、そしてY及びZは、それぞれ独立して、H、C1-C30-アルキルまたは-(A-O)xである]で表されるアミンと、アシル基含有化合物との反応生成物である油溶性極性窒素化合物を含む、請求項1〜14のいずれか一つの使用。
【請求項16】
低温流動性向上剤が、次式
【化1】

[式中、R11は、C1-C200-アルキルもしくはC1-C200-アルケニル、O-R10またはO-C(O)-R10であり、R10は、C1-C200-アルキルもしくはC1-C200-アルケニルであり、そしてnは2〜100である]
で表される繰り返し構造単位を有するオリゴマーもしくはポリマーであるアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1〜15のいずれか一つの使用。
【請求項17】
低温流動性向上剤が、次式
【化2】

[式中、
Aは、R’、COOR’、OCOR’、R”−COOR’、OR’であり、
Dは、H、CH3、AまたはR”であり、
Eは、H、Aであり、
Gは、H、R”、R”−COOR’、アリール基または複素環式基であり、
Mは、H、COOR”、OCOR”、OR”、COOHであり、
Nは、H、R”、COOR”、OCOR、アリール基であり、
R’は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖であり、
R”は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖であり、
mは、0.4〜1.0であり、そして
nは、0〜0.6である]
で表される櫛状ポリマーを含む、請求項1〜16のいずれか一つの使用。
【請求項18】
低温流動性向上剤が、分子量が120000g/モルまでの、炭素原子数2〜30のオレフィンのホモポリマーもしくはコポリマーを含む、請求項1〜17のいずれか一つの使用。
【請求項19】
硫黄含有率が100ppm未満で、20容量%及び90容量%との間の蒸留沸騰範囲が120℃未満である中間蒸留物における請求項1〜18のいずれか一つの使用。
【請求項20】
a) 極性基に結合した少なくとも一つのアルキルもしくはアルケニル基を含む油溶性両親媒性化合物 −ただし、前記アルキルもしくはアルケニル基は10〜500個の炭素原子を含み、そして前記極性基は2個もしくはそれ以上の窒素原子を含む− である、少なくとも一種の無灰窒素含有清浄添加剤、及び
b) 炭素原子数12〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも二つ有するポリオールのOH基あたり、炭素原子数2〜5のアルキレンオキシドから誘導される繰り返しアルコキシ単位を少なくとも三つ有するアルコキシル化ポリオールの油溶性エステル、エーテル、またはエーテル/エステル、
を含む組成物。
【請求項21】
無灰窒素含有清浄添加剤1重量部あたり、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物を0.01〜10重量部含む、請求項20の組成物。
【請求項22】
成分a)及びb)を5〜90重量%、及び溶剤を10〜95重量%含む、請求項20または21の組成物。
【請求項23】
無灰窒素含有清浄添加剤1重量部を基準にして、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物を0.01〜10重量部含む、請求項20〜22のいずれか一つの組成物。
【請求項24】
清浄添加剤のアルキルもしくはアルケニル基が、炭素原子数3〜6の低級オレフィンのオリゴマーから誘導される、請求項20〜23のいずれか一つの組成物。
【請求項25】
清浄添加剤のアルキルもしくはアルケニル基が15〜500個の炭素原子を含む、請求項20〜24のいずれか一つの組成物。
【請求項26】
清浄添加剤が、不飽和カルボン酸と反応させたポリ(オレフィン)の割合を基準にして、マレエート化度が平均してアルキル基あたり1を超えるジカルボン酸単位数であるアルケニルコハク酸無水物から誘導される、請求項20〜25のいずれか一つの組成物。
【請求項27】
清浄添加剤の極性基が、次式
(R9)2N-[A-N(R9)]q-(R9)
[式中、各R9は、独立して、水素、炭素原子数が24までのアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、式-(A-O)r-のポリオキシアルキレン基または式-[A-N(R9)]s-(R9)のポリイミノアルキレン基であるが、少なくとも一つのR9は水素であり、qは1〜19の整数であり、Aは、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、r及びsは、各々独立して、1〜50の整数である]
で表されるポリアミンから誘導される、請求項20〜26のいずれか一つの組成物。
【請求項28】
清浄添加剤が誘導されるポリアミンが、ピペラジンから誘導される構造要素を含む、請求項20〜27のいずれか一つの組成物。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれか一つに記載の組成物を10〜10000ppm及び少なくとも一種の鉱油低温流動性向上剤を含む、硫黄含有率が100ppm未満で、20容量%と90容量%との間の蒸留沸騰範囲が120℃未満である、中間蒸留物。
【請求項30】
少なくとも一種の無灰窒素含有清浄添加剤を10ppmを超える量で、及び前記無灰窒素含有清浄添加剤の1重量部を基準にして、少なくとも一種の油溶性ポリオキシアルキレン化合物を0.01〜10重量部含む、請求項29の中間蒸留物。
【請求項31】
鉱油低温流動性向上剤が、
III) エチレンと8〜21モル%のオレフィン性不飽和化合物とのコポリマー、ただし、前記オレフィン性不飽和化合物は、一種もしくはそれ以上のビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル及び/またはアルケンから選択され、これらの各々は、ヒドロキシル基によって置換されていてもよい;
IV) 式NR678[式中、R6、R7及びR8は、同一かまたは異なることができ、そしてこれらの基のうちの少なくとも一つは、C8-C36-アルキル、C6-C36-シクロアルキル、C8-C36-アルケニル、特にC12-C24-アルキル、C12-C24-アルケニルまたはシクロヘキシルであり、そして残りの基は、水素、C1-C36-アルキル、C2-C36-アルケニル、シクロヘキシル、または式-(A-O)x-Eもしくは-(CH2)n-NYZの基のいずれかであり、この際、Aは、エチルまたはプロピル基であり、xは1〜50であり、Eは、H、C1-C30-アルキル、C5-C12-シクロアルキルまたはC6-C30-アリールであり、そしてnは、2、3または4であり、そしてY及びZは、各々独立して、H、C1-C30-アルキルまたは-(A-O)xである]で表されるアミンとアシル基含有化合物との反応生成物である、油溶性極性窒素化合物;
V) 次式
【化3】

[式中、R11は、C1-C200-アルキルもしくはC1-C200-アルケニル、O-R10またはO-C(O)-R10であり、R10は、C1-C200-アルキルまたはC1-C200-アルケニルであり、そしてnは2〜100である]
で表される繰り返し構造単位を有するオリゴマーまたはポリマーである、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂;
VI) 次式
【化4】

[式中、
Aは、R’、COOR’、OCOR’、R”−COOR’、OR’であり、
Dは、H、CH3、AまたはR”であり、
Eは、H、Aであり、
Gは、H、R”、R”−COOR’、アリール基または複素環式基であり、
Mは、H、COOR”、OCOR”、OR”、COOHであり、
Nは、H、R”、COOR”、OCOR、アリール基であり、
R’は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖であり、
R”は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖であり、
mは、0.4〜1.0であり、そして
nは、0〜0.6である]
で表される櫛状ポリマー;
VII) 分子量が120000g/モルまでの、炭素原子数2〜30のオレフィンのホモポリマーもしくはコポリマー;
から選択される、請求項29または30の中間蒸留物。
【請求項32】
鉱油低温流動性向上剤が、IV)1重量部あたりIII)0.1〜10重量部の混合物である、請求項31の中間蒸留物。
【請求項33】
無灰窒素含有清浄添加剤と油溶性ポリオキシアルキレン化合物との総含有量と、請求項31に記載の鉱油低温流動性向上剤の総含有量との重量比が、10:1〜1:10である、請求項29〜32のいずれか一つの中間蒸留物。

【公開番号】特開2007−169648(P2007−169648A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343988(P2006−343988)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(597109656)クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】