説明

含フッ素共重合体フィルム及びその用途

【課題】透明性、外観に優れる含フッ素共重合体のフィルムの提供。
【解決手段】エチレンに基づく繰り返し単位、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位、ヘキサフルオロプロピレンに基づく繰り返し単位及びCF=CFOR(Rは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)で表されるフルオロアルキルビニルエーテルに基づく繰り返し単位からなり、前記繰り返し単位が特性組成範囲であり、297℃における容量流速が0.1〜30mm/秒である含フッ素共重合体が、320℃以下の成形温度で成形されてなる含フッ素共重合体のフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観に優れる含フッ素共重合体フィルム及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂複合材からなるフィルムは、軽量で、耐候性、機械的強度等に優れることから、プール、体育館、テニスコート、サッカー場、倉庫、集会場、展示場、園芸ハウス、農業用ハウス等の被覆資材として使用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。しかし、特許文献2に開示されるガラス繊維とフッ素樹脂との複合材からなるフィルムは、透明性が不充分である。したがって前記フィルムが構造物の屋根の被覆資材として使用されると、前記屋根の太陽光線透過率は低くなる。そのため、構造物内部にある植物の生育は不充分となる。以上のことから、前記複合材からなるフィルムは、園芸施設や芝生が生育するスポーツ施設等の構造物の被覆資材として適用できない。また、建築物内部に開放感が充分でない問題があった。ここで、屋根や外壁にフィルム等の膜材料が使用された建築物を膜構造物という。また、鉄、木材等の骨組みに固定され、構造物の屋根や外壁部を形成するフィルムを膜構造物用フィルムという。
【0003】
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEという。)フィルムは、太陽光線の透過性に優れる。したがって、ETFEフィルムは、農業ハウス、園芸ハウス、芝生が育成するスポーツ施設、展示場等の膜構造物用のフィルムとして好適に使用される。複数枚重ね合わされた膜構造物用フィルムが、鉄枠で挟まれてパネル状となる。前記パネルのフィルム間に空気が送られる。前記パネルは、膨らまされて屋根が得られることが提案されている(非特許文献1を参照。)。このような膜構造物用フィルムには、耐候性、透明性に加えて、引張強度、引裂強度等の機械的強度が要求される。また、膜構造物用フィルムは夏の直射日光に曝される(非特許文献2を参照。)。したがって、膜構造物用フィルムは、60℃位の高温においても優れた機械的強度を保持することが要求される。
【0004】
機械的強度に優れるETFEとして、エチレンの40〜60モル%、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)の30〜55モル%、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという。)の1.5〜10モル%及び第4成分であるコモノマーの0.05〜2.5モル%を共重合した4元共重合体系ETFEが提案されている。前記4元共重合体系ETFEは、第4成分のコモノマーを共重合しない3元共重合体系ETFEと比較して機械的強度に優れる(特許文献3を参照。)。
【0005】
しかし、このような4元共重合体系ETFEは、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のパーフルオロ系含フッ素共重合体と比較して、熱安定性が低い。前記4元共重合体系ETFEは、成形時にフィッシュアイ(以下、F−Eという。)と呼ばれる欠点が発生する場合がある。F−Eが発生した場合、フィルムの外観は損なわれる。また、該F−Eが起点となりフィルムが破断する可能性があった。
【0006】
【特許文献1】特開平3−188132号公報
【特許文献2】特開昭63−222852号公報
【特許文献3】特開昭57−38807号公報
【非特許文献1】International Conference on Building Envelope Systems and Technology 2nd.,S.Tanno et al.,1997
【非特許文献2】日本建築学会 建築物荷重指針・同解説
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような背景のもとに開発が要請されている、透明性に優れ、F−Eが少なく、外観に優れ、機械的強度に優れる含フッ素共重合体フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エチレンに基づく繰り返し単位、TFEに基づく繰り返し単位、HFPに基づく繰り返し単位及びCF=CFOR(Rは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)で表されるフルオロアルキルビニルエーテルに基づく繰り返し単位からなり、エチレンに基づく繰り返し単位/TFEに基づく繰り返し単位のモル比が10/90〜60/40であり、HFPに基づく繰り返し単位の含有量が全繰り返し単位に対して0.1〜20モル%、前記フルオロアルキルビニルエーテルの含有量が全繰り返し単位に対して0.1〜10モル%であり、297℃における容量流速が0.1〜30mm/秒である含フッ素共重合体が、320℃以下の成形温度で成形されてなることを特徴とする含フッ素共重合体のフィルムを提供する。
【0009】
また、本発明は、該含フッ素共重合体のフィルムからなる、農業ハウス用フィルム及び膜構造物用フィルム、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムはF−Eが少なく、透明性、外観に優れる。また、引裂強度、引張破断強度等の機械的強度にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における含フッ素共重合体は、エチレンに基づく繰り返し単位、TFEに基づく繰り返し単位、HFPに基づく繰り返し単位及びCF=CFOR(Rは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)で表されるフルオロアルキルビニルエーテルに基づく繰り返し単位からなる。また、エチレンに基づく繰り返し単位/TFEに基づく繰り返し単位のモル比が10/90〜60/40である。該モル比は、35/65〜50/50が好ましく、45/55〜50/50がより好ましい。該モル比がこの範囲内であると、含フッ素共重合体のフィルムは、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れる。
【0012】
HFPに基づく繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して0.1〜20モル%である。該含有量は、0.2〜15モル%が好ましく、0.3〜1.5モル%がより好ましい。該含有量がこの範囲より少ないと機械的強度、特にエルメンドルフ引裂強度が低く、この範囲より多いと耐熱性及び機械的強度が低い。該含有量がこの範囲であると、含フッ素共重合体のフィルムは、機械的強度、耐熱性に優れる。
【0013】
CF=CFOR(Rは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)で表されるフルオロアルキルビニルエーテル(以下、FAVという。)の含有量は、全繰り返し単位に対して0.1〜10モル%である。該含有量は、0.2〜5モル%が好ましく、0.3〜1.5モル%がより好ましく、0.4〜1.0がもっとも好ましい。FAVに基づく繰り返し単位の含有量が、この範囲より少ないと透明性が低く、多いと耐熱性及び機械的強度が低い。該含有量がこの範囲にあると、含フッ素共重合体のフィルムは、透明性、機械的強度、耐熱性に優れる。
【0014】
CF=CFORにおけるRとしては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、また、エーテル性の酸素原子を含んでもよい。Rとしては、直鎖状のものが好ましい。Rの炭素数は、1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは2〜5である。Rとしては、ポリフルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアルキル基がより好ましい。すなわち、FAVとしては、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)がより好ましい。FAVの具体例としては、CF=CFOCF、CF=CFO(CFF(以下、PEVEという。)、CF=CFO(CFF(以下、PPVEという。)、CF=CFO(CFF(以下、PBVEという。)、CF=CFOCFCF(CF、CF=CFO(CFF、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF等が挙げられる。FAVとしては、PEVE、PPVE、PBVEがより好ましく、PPVEが最も好ましい。
【0015】
本発明における含フッ素共重合体の、297℃における容量流速は0.1〜30mm/秒である。容量流速は、1.0〜20mm/秒が好ましく、5.0〜15mm/秒がより好ましい。前記容量流速が、この範囲よりも小さいとメルトフラクチャーが発生して外観が著しく損なわれる。また、押出時の負荷が増大するため生産性が低くなる。容量流速がこの範囲よりも大きいと、成形時に溶融した含フッ素共重合体の粘度が低くなるため、フィルムとして巻き取るのが困難になる。
【0016】
本発明における含フッ素共重合体の製造方法としては、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等が挙げられる。特にラジカル重合が好ましく、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、重合媒体の存在下に、エチレン、TFE、HFP及びFAVを共重合する、溶液重合がより好ましい。
【0017】
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である温度が0〜100℃である開始剤が好ましく、20〜90℃である開始剤がより好ましい。具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド、(Z(CFCOO)(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)等の含フッ素ジアシルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
【0018】
重合媒体としては、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、フルオロエーテル、アルコール、エーテル等の有機溶媒、水性媒体等が挙げられる。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコ−ル、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン等が挙げられる。重合条件は特に限定されず、重合温度は0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。重合圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は1〜30時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
【0019】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムは、320℃以下の成形温度で成形されてなる。通常、含フッ素共重合体を押出し機で溶融させてペレットを成形し、ついでフィルムを成形することが好ましい。前記フィルムを成形するとき、予め、含フッ素共重合体はペレット化されることが好ましい。成形時、ペレット化された含フッ素共重合体は、円滑に供給されうる。さらに、フィルム中での気泡の発生が抑制されうるので好ましい。含フッ素共重合体がペレットに成形される温度としては320℃以下が好ましく、280〜315℃がより好ましく、301〜315℃が最も好ましい。フィルムの成形方法としては、次に記載の方法が好ましく挙げられる。含フッ素共重合体のペレットが押出し機中で溶融されて、Tダイから吐出される。Tダイから吐出され、成形されたフィルムは、ロールで巻き取られる。押出し条件としては、スクリュウ及びTダイの温度(以下、併せて成形温度ともいう。)は320℃以下である。280〜315℃が好ましく、305〜315℃がより好ましい。成形温度がこの範囲にあるとフィルムにF−Eの発生が少ない。押出し機としては、単軸又は二軸の押出機が好ましい。
【0020】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムに含有されるF−Eの大きさと数は、0.05mm以上0.1mm未満のものが50個/m以下であり、0.1mm以上のものが15個/m以下であることが好ましい。0.05mm以上0.1mm未満のものが30個/m以下であり、0.1mm以上のものが10個/m以下であることがより好ましい。F−Eの大きさと数がこの範囲にあると、含フッ素共重合体のフィルムは、外観に優れ、透明性に優れ、機械的強度に優れる。
【0021】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムにおいてエルメンドルフ引裂強度は70N以上が好ましく、75N以上がより好ましい。前記フィルムのエルメンドルフ引裂強度は、大きければ大きいほど好ましい。通常、前記フィルムのエルメンドルフ引裂強度は、100N以下である。また、該フィルムの引張破断強度は50MPa以上が好ましく、55MPa以上がより好ましく、60MPa以上が最も好ましい。前記フィルムの引張破断強度は、大きければ大きいほど好ましい。通常、前記フィルムの引張破断強度は、100MPa以下である。エルメンドルフ引裂強度及び引張破断強度がこの範囲にあると、含フッ素共重合体のフィルムは、次に挙げる外力を受けた場合でも、裂けにくく、また、破れにくい。外力の一例としては、飛来物が衝突することにより生じた外力、強風による外力、該フィルム上への積雪により生ずる外力等が挙げられる。また、該フィルムにおけるヘイズは、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が最も好ましい。前記フィルムのヘイズの下限値は、低ければ低いほど好ましい。通常前記フィルムのヘイズは、0.5%以上である。ヘイズが前記範囲にあると、該フィルムは、透明性に優れる。したがって、該フィルムを使用した農業ハウスや膜構造物内における植物の生育を阻害しない。また、屋外にいるような開放感を演出できる。
【0022】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムにおいて、F−Eが著しく少ない理由は、必ずしも明確でないが以下のように考えられる。成形時に熱分解された含フッ素共重合体が残渣としてフィルム中に含まれると考えられる。前記残渣がフィルム中に含まれるため、F−Eが発生すると考えられる。したがって、F−Eを少なくするためには、本発明における含フッ素共重合体が熱分解しない温度で成形されることが重要である。該含フッ素共重合体において、成形温度は、320℃以下が適切であることがわかった。特に、280〜315℃の範囲が好ましく、さらに305〜310℃の範囲が好ましい。したがって、この温度範囲で成形することにより、F−Eが少なく、外観に優れるフィルムが得られたものと考えられる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例に記載した物性値は、以下に示す方法で測定した。
[含フッ素共重合体の組成]溶融フッ素NMR及びフッ素含有量分析により求めた。
[融点(℃)]走査型示差熱分析器(セイコーインスツルメンツ社製、DSC220CU)を用いて、窒素雰囲気下に300℃まで10℃/分で加熱した際の吸熱ピークから求めた。
[容量流速(mm/秒)]島津製作所製フローテスタを用いて、温度297℃、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィスから含フッ素共重合体を押出すときの押出し速度で示す。
【0024】
[ヘイズ(%)]押出成形で得られた厚さ200μmのフィルムをJIS K7105に記載されている方法に準拠し、スガ試験機社製SM−5を用いて測定した。
[エルメンドルフ引裂強度(N)]押出成形で得られた厚さ200μmのフィルムをJISK7128−2に記載されている長方形試験片を切り抜いてサンプルとした。測定は、エルメンドルフ引裂試験機(東洋精機製作所製)を用いて測定した。
[引張破断強度(MPa)]押出成形で得られた厚さ200μmのフィルムをJIS K7162に記載されている5B型試験片を切り抜いてサンプルとした。サンプルの両端を引張試験機(オリエンテック社製)のチャック部にセットし、200mm/分の速度で引張試験を行い、破断時の引張強度を測定した。
【0025】
[F−Eの大きさと数の測定]押出成形で得られた厚さ200μmのフィルムを用い、その表面から0.25mの面積に相当する場所を任意に選択し、該場所に含まれるF−Eの数を目視により数えた。その数値を4倍し、1mあたりのF−Eの数を算出した。単位は個/mで表す。また、F−Eの大きさは、夾雑物測定図表(財務省印刷局発行)に従い、見本を参考にして、0.1mm以上、0.05mm以上0.1mm未満、0.03mm以上0.05mm未満の3つに分類した。なお、本発明のフィルムの評価においては、0.05mm未満の範囲は、フィルムの外観に影響を与えないので、規定しなかった。
【0026】
[実施例1]
内容積が94リットルの撹拌機付き重合槽を脱気した。該重合槽中に、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの70.6kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子製、以下、AK225cbという。)の20.4kg、PPVEの1.89kg、HFPの2.25kgを仕込んだ。該重合槽内の温度を66℃に昇温し、圧力が1.5MPa−Gになるまで、TFE/エチレン=76/24(モル比)の混合ガスを圧入した。該重合槽中に、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%AK225cb溶液の65mLを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/エチレン=50/50(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。重合開始7.3時間後、モノマー混合ガスの7.1kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに、圧力が常圧になるまで未反応モノマーをパージした。
【0027】
得られた含フッ素共重合体1のスラリーが、水の75kgが仕込まれた200Lの造粒槽に投入された。次いで前記造粒槽内の前記スラリー及び水は、撹拌されながら105℃まで昇温された。前記造粒槽内では、溶媒が留出除去されながら造粒された。得られた造粒物は、150℃で5時間乾燥されることにより、含フッ素共重合体造粒物1の7.4kgが得られた。
含フッ素共重合体1の組成はTFEに基づく重合単位/エチレンに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位=50.6/48.2/0.7/0.7(モル比)であった。融点は267℃、容量流速は5.8mm/秒であった。
【0028】
含フッ素共重合体造粒物1は、305℃の単軸押出し機にてペレット化されて、ペレット1が得られた。ついで、ペレット1は、単軸押出機を用いて310℃の成形温度で、厚さ200μmのフィルムに成形された。得られたフィルムのF−Eの大きさと数は、0.05mm以上0.1mm未満のものが28個/mであり、0.1mm以上のものが6個/mであった。ヘイズは7.6%、エルメンドルフ引裂強度は82N、引張破断強度は68MPaであった。
【0029】
[比較例1]
含フッ素共重合体造粒物1は、330℃の温度で単軸押出機にてペレット化されて、ペレット2が得られた。ペレット2は、単軸押出機を用いて成形温度330℃で、厚さ200μmのフィルムに成形された。得られたフィルムのF−Eの大きさと数は、0.05mm以上0.1mm未満のものが237個/mであり、0.1mm以上のものが38個/mであった。ヘイズは8.1%、エルメンドルフ引裂強度は81N、引張破断強度は65MPaであった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の含フッ素共重合体のフィルムは、農業ハウス用フィルム及び膜構造物用フィルムに適する。また、透明性に優れることから、太陽電池用保護フィルム、離型フィルム、キャリアフィルム等にも適用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく繰り返し単位、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位、ヘキサフルオロプロピレンに基づく繰り返し単位及びCF=CFOR(Rは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)で表されるフルオロアルキルビニルエーテルに基づく繰り返し単位からなり、エチレンに基づく繰り返し単位/テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位のモル比が10/90〜60/40であり、ヘキサフルオロプロピレンに基づく繰り返し単位の含有量が全繰り返し単位に対して0.1〜20モル%、前記フルオロアルキルビニルエーテルの含有量が全繰り返し単位に対して0.1〜10モル%であり、297℃における容量流速が0.1〜30mm/秒である含フッ素共重合体が、320℃以下の成形温度で成形されてなることを特徴とする含フッ素共重合体のフィルム。
【請求項2】
が、ペルフルオロアルキル基である、請求項1に記載の含フッ素共重合体フィルム。
【請求項3】
フルオロアルキルビニルエーテルが、CF=CFO(CFFである請求項1又は2に記載の含フッ素共重合体フィルム。
【請求項4】
前記フィルムに含有されるフィッシュアイの大きさと数が0.05mm以上0.1mm未満のものが50個/m以下であり、0.1mm以上のものが15個/m以下である請求項1、2又は3に記載の含フッ素共重合体のフィルム。
【請求項5】
エルメンドルフ引裂強度が70N以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体のフィルム。
【請求項6】
ヘイズが15%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体のフィルム。
【請求項7】
引張破断強度が50MPa以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体のフィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体のフィルムからなる農業ハウス用フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体のフィルムからなる膜構造物用フィルム。

【公開番号】特開2006−45515(P2006−45515A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186739(P2005−186739)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】