説明

含窒素複素環化合物、その製造及び抗菌剤としての使用

本発明は、含窒素複素環化合物、その製造及び抗菌剤としての使用に関するものであり、前記化合物は、一般式(I)
【化1】


[式中、R1は、(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHR基(ここで、Rは(C1-C6)アルキルであり、及びnは1又は2である)であり;R2は水素原子であり;R3及びR4は、一緒になって、窒素原子1、2又は3個を含有し、1個以上のR'基(ここで、R'基は、水素原子及び炭素原子1〜6個を含有するアルキル基からなる群から選ばれるものである)で任意に置換された芳香族含窒素複素環を形成するものである]で表される、遊離形、両性イオン形、又は薬学上許容される無機又は有機塩基及び酸との塩の形の化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素複素環化合物、その製造及び抗菌剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開WO 02/100860には、次の式で表される化合物、及びこれら化合物の無機又は有機塩基又は酸との塩が記載されている:
【化1】

{式中、
a)R1は、水素原子、COOH、CN、COOR、(CH2)n'R5、CONR6R7基又は
【化2】

を表し[ここで、Rは、炭素原子1〜6個を含有するアルキル基(ピリジル基によって任意に置換される)、総炭素原子3〜9個を含有する-CH2-アルケニル基、酸素原子1〜4個及び炭素原子3〜10個を含有する(ポリ)アルコキシ基、炭素原子6〜10個を含有するアリール基又は炭素原子7〜11個を含有するアラルキル基からなる群から選ばれるものであり(アリール基又はアラルキル基の核は、OH、NH2、NO2基、炭素原子1〜6個を含有するアルキル基、炭素原子1〜6個を含有するアルコキシ基によって、又は1個又は数個のハロゲン原子によって任意に置換されている);R5は、COOH、CN、OH、NH2、CO-NR6R7、COOR、OR、OCOH、OCOR、OCOOR、OCONHR、OCONH2、OSO2R、NHR、NHCOR、NHCOH、NHSO2R、NH-COOR、NH-CO-NHR、NH-CO-NH2又はN3基であり(ここで、Rは上記のとおり定義される);R6及びR7は、同一又は相互に異なるものであって、水素原子、炭素原子1〜6個を含有するアルキル基、炭素原子6〜10個を含有するアリール基、炭素原子7〜11個を含有するアラルキル基及びピリジル基で置換された炭素原子1〜6個を含有するアルキル基からなる群から選ばれるものであり;n'は1又は2である]、
R3及びR4は、一緒になって、フェニル又は窒素、酸素及びイオウの中から選ばれるヘテロ原子1〜4個を含有し、1個又は数個のR'基(ここで、R' 基は、水素原子及び炭素原子1〜6個を含有し、1個又は数個のヒドロキシル、オキソ、ハロゲン又はシアノ基によって又はニトロ基によって任意に置換されたアルキル基、炭素原子2〜6個を含有するアルケニル、ハロゲノ、アミノ、OH、保護OH、-OR、-NHCOH、-NHCOR、NHCOOR、COOH、-COOR、-C(C6H5)3及び-CH2-CH2-S(O)m-R基からなる群から選ばれるものである(ここで、Rは上記のとおり定義され、及びmは0、1又は2である))によって任意に置換された5員又は6員の芳香複素環を形成するか、又は
b)R4は、水素原子又は(CH2)n'1R5基(ここで、n'1は0、1又は2であり、及びR5は上記のとおり定義される)を表し、及び
R1及びR3は、一緒になって、フェニル又は上記のように定義される任意に置換された複素環であり、
ケースa)及びb)のいずれにおいても、
R2は、水素原子、ハロゲン原子及びR、S(O)mR、OR、NHCOR、NHCOOR及びNHSO2R(ここで、m及びRは、上記のように定義される)からなる群から選ばれるものであり、
Xは、炭素原子によって窒素原子に結合された2価の基-C(O)-B-を表し[ここで、Bは、酸素原子によってカルボニルに結合された-O-(CH2)n''-、窒素原子によってカルボニルに結合された基-NR8-(CH2)n''-又は-NR8-O-を表し(ここで、n''は0又は1であり;R8は、水素原子、OH、R、OR、Y、OY、Y1、OY1、Y2、OY2、Y3、O-CH2-CH2-S(O)m-R、SiRaRbRc及びOSiRaRbRc基(ここで、Ra、Rb及びRcは、独立して、炭素原子1〜6個を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基又は炭素原子6〜10個を含有するアリール基を表し、R及びmは上記のように定義される)からなる群から選ばれるものであり(ここで、Yは、COR、COOR、CONH2、CONHR、CONHOH、CONHSO2R、CH2COOH、CH2COOR、CH2CONHOH、CH2CONHCN、CH2-テトラゾール、保護化CH2-テトラゾール、CH2SO3H、CH2SO2R、CH2PO(CR)2、CH2PO(OR)(OH)、CH2PO(OR)(OH)及びCH2PO(OH)2基からなる群から選ばれるものであり;Y1は、SO2R、SO2NHCOH、SO2NHCOR、SO2NHCOOR、SO2NHCONHR、SO2NHCONH2及びSO3H基からなる群から選ばれるものであり;Y2は、PO(OH)2、PO(OR)2、PO(OH)(OR)及びPO(OH)(R)基からなる群から選ばれるものであり;Y3は、テトラゾール、基Rによって置換されたテトラゾール、スクアレート、NH又はNRテトラゾール、基Rによって置換されたNH又はNRテトラゾール、NHSO2R及びNRSO2R(ここで、Rは上記のように定義される)からなる群から選ばれるものである)]、及び
nは1又は2である。}
【0003】
式(I)の化合物に含有される不斉炭素原子は、相互に独立して、配座R、S又はRSを示すことができ、従って、式(I)の化合物は、純粋な鏡像異性体又は純粋なジアステレオ異性体形又は鏡像異性体の混合物(ラセミ体)又はジアステレオ異性体の混合物形である。
【0004】
さらに、一方では、置換基R1、R2又はR4は個々に、他方、Xは、これらが結合する環に対してシス及び/又はトランス位置にあるため、式(I)の化合物は、シス又はトランス異性体又は混合物の形である。
【0005】
さらに、国際特許出願公開WO 04/052891には、関連する化合物が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、国際特許出願公開WO 02/10086に記載された化合物の中でも、特定の化合物(いずれも、これら特許出願の実験に関する記載部分には記載されていない)は、全く予測されない抗菌特性を有することを見出した。
【0007】
本発明の化合物の独自の特性は、院内感染又は嚢胞性線維症においてしばしば遭遇する細菌の菌株である緑膿菌(Pseudomonas aerugiosa)に対して優れた活性を提供するとの事実にある。
【0008】
この興味深い予測できない活性は、国際特許出願公開WO 02/10086において調製される化合物の内、本発明の化合物のもの以外のR1基を含有する化合物には存在しない。この点については、後述の実験に関する記載の部分において詳述する。
【0009】
さらに、本発明の化合物は、一般的に使用される抗生物質に対して通常耐性である菌株を含む動物感染モデルに対して活性であることを示した。本発明の化合物は、細菌の主な耐性機構(β-ラクタマーゼ、膜輸送ポンプ及びタンパク質の突然変異)を抑制することができる。
【0010】
本発明の化合物は、下記の式[式中、R2は水素原子を表し、R3及びR4は、一緒になって、5員の芳香性含窒素複素環を形成し、Xは2価の基-C(O)-NR8-(ここで、R8は、-OY1基(ここで、Y1は-SO3H基である)である)であり、及び中でも、R1は、アミノ又はアルキルアミノ基によって置換されたアルキル基である]を持つ化合物である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の目的は、一般式(I)
【化3】

[式中、R1は、(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHR基(ここで、Rは、(C1-C6)アルキルであり、及びnは1又は2である)であり;
R2は水素原子であり;
R3及びR4は、一緒になって、窒素原子1、2又は3個を含有し、1個又は数個のR'基(ここで、R'基は、水素原子及び炭素原子1〜6個を含有するアルキル基からなる群から選ばれるものである)で任意に置換された5員の芳香族含窒素複素環を形成するものである]で表される、遊離形、両性イオン形、及び薬学上許容される無機又は有機塩基及び酸との塩の形の化合物にある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで使用する表現「炭素原子1〜6個を含有するアルキル基」は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基、及び直鎖状又は分枝状のペンチル又はヘキシル基を意味するものと理解される。
【0013】
ここで使用する表現「炭素原子2〜6個を含有するアルケニル基」は、特に、アリル基及び直鎖状又は分枝状のブテニル、ペンテニル又はヘキセニル基を意味するものと理解される。
【0014】
ここで使用する表現「芳香性複素環」は、特に、下記の一覧から選ばれるものであり、2つの結合は、含窒素環との接続を表す(R3R4):
【化4】

【0015】
一般式(I)の化合物の酸との塩の中でも、特に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸又はリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸、アルカンスルホン酸(例えば、メタン及びエタンスルホン酸)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼン及びパラトルエンスルホン酸)のような有機酸とで形成される塩が挙げられる。
【0016】
一般式(I)の化合物の塩基との塩の中でも、特に、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムの水酸化物のような無機塩基、又は、例えば、メチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エタノールアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ベンジルアミン、プロカイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、N-メチルグルカミンのような有機塩基とで形成されるもの、又はホスホニウム(例えば、アルキル-ホスホニウム、アリール-ホスホニウム、アルキル-アリール-ホスホニウム、アルケニル-アリール-ホスホニウム)の塩又は4級アンモニウム塩(例えば、テトラ-n-ブチルアンモニウム塩)が挙げられる。
【0017】
一般式(I)の化合物の中でも、本発明の注目すべき対象は、R3及びR4が、一緒になって、任意に置換されたピラゾリル又はトリアゾリル複素環を形成している化合物である。
【0018】
一般式(I)の化合物の中でも、本発明の注目すべき対象は、R1が、基(CH2)n-NH2及び(CH2)n-NHCH3(ここで、nは上述のとおり定義される)からなる群から選ばれるものであり、R3及びR4によって形成される複素環が(C1〜C6)アルキル基によって置換されている化合物である。
【0019】
一般式(I)の化合物の中でも、本発明の特に注目すべき対象は、R1が、基(CH2)n-NH2及び(CH2)n-NHCH3(ここで、nは上述のとおり定義される)からなる群から選ばれるものであり、R3及びR4が、一緒になって、(C1-C6)アルキル基で置換されたピラゾリル環を形成している化合物である。
【0020】
式(I)の化合物の中でも、本発明の非常に格別の対象は、遊離形、両性イオン形の
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;及び
‐トランス-8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン
又はその薬学上許容される無機又は有機塩基又は酸との塩である。
【0021】
本発明の他の目的は、一般式(I)の化合物の製造を可能にする方法にある。
【0022】
この方法は、
a)必要であれば、塩基の存在下、一般式(II)
【化5】

(式中、R'1は、CN、保護化COOH、COOR又は(CH2)nR'5基を表し、R'5は、保護化OH、CN、NH2、NHR、保護化CO2H、CO2R基であり、n、R、R3及びR4は上述のとおり定義され、R3及びR4によって形成される複素環上に任意に存在するアミノアルキル置換基は、必要であれば、保護されており、ZHは-NHOH基を表す)の化合物をカルボニル化剤と反応させて、一般式(III)
【化6】

[式中、R'1、R3及びR4は上記と同意義であり、X1は水素原子又は保護基であり、及びX2は-Z-CO-X3基(ここで、X3はカルボニル化剤の残基を表す)を表すか、又はX2が-ZH基であり、及びX1がCO-X3基(ここで、X3は上述のとおり定義される)である]の中間化合物を得る工程;
b)上記の得られた中間化合物を、塩基の存在下で、環化する工程
を含んでなり、
c)必要であれば、工程a)に先立って及び/又は工程b)に続いて、次の反応:
‐反応性官能基の保護化
‐反応性官能基の脱保護化
‐エステル化
‐ケン化
‐硫酸化
‐エステル還元
‐アルキル化
‐カルバモイル化
‐アジド基の形成
‐アジドのアミンへの還元
‐塩形成
‐イオン交換
‐ジアステレオ異性体の分割又は分離
の1つ又はいくつかを、好適な順序で行うことを特徴とする。
【0023】
カルボニル化剤として、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲンのような試薬、クロロギ酸フェニル又はp-ニトロフェニルのようなクロロギ酸アリール、クロロギ酸ベンジルのようなクロロギ酸アラルキル、クロロギ酸メチル又はアリルのようなクロロギ酸アルキル又はアルケニル、tert-ブチルジカーボネートのようなアルキルジカーボネート、カルボニル-ジイミダゾール及びそれらの混合物を使用することができ、ジホスゲンが好適である。
【0024】
反応は、好ましくは、生成される酸を中和する塩基又は塩基混合物の存在下で行われる。塩基は、特に、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンのようなアミンである。しかし、一般式(II)の原料化合物を塩基として使用して、操作を行うこともできる。
【0025】
必要であれば、一般式(II)の化合物を、酸との塩、例えば、塩酸塩又はトリフッ化酢酸塩の形で使用する。
【0026】
工程b)における塩基として、アミン、又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物、アルコラート、アミド又は炭酸塩を使用できる。
【0027】
アミンは、例えば、上記のリストから選ばれる。
【0028】
水素化物としては、特に、水素化ナトリウム又はカリウムを使用できる。
【0029】
アルカリ金属アルコラートとして、好ましくは、カリウムt-ブチラートが使用される。
【0030】
アルカリ金属アミドとしては、特に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドが使用される。
【0031】
炭酸塩としては、特に、炭酸又は炭酸水素ナトリウム又はカリウムが使用される。
【0032】
必要であれば、一般式(III)を持つ中間体を、カルボニル化反応の間に再生される酸塩、特に塩酸塩の形で得ることができる。ついで、環化反応において、この形で使用する。
【0033】
主として、環化反応は、一般式(III)を持つ中間体を単離することなく、実施される。
【0034】
工程c)に記載の反応は、一般に、当業者には周知の一般的な反応である。使用する条件の例は、国際特許出願公開WO 02/100860に記載されており、同04/052891にも記載されている。
【0035】
時に保護を必要とする反応性官能基は、カルボン酸、アミン、アミド、ヒドロキシル及びヒドロキシルアミン基である。
【0036】
酸官能基の保護は、特に、アルキルエステル、アリル、ベンジル、ベンズヒドリル又はヒドロキシルアミンエステルの形で提供される。
【0037】
脱保護化は、ケン化、酸加水分解、水素化分解又は可溶性パラジウムO錯体を使用する開裂によって行われる。
【0038】
これらの保護化及び脱保護化は、国際特許出願公開WO 02/100860に開示されている。
【0039】
アミン、複素環窒素及びアミドの保護は、特に、ケースに応じて、ベンジル又はトリチル化誘導体の形、カルバメート、特に、アリル、ベンジル、フェニル又はtert-ブチルカルバメートの形、又はtert-ブチルジメチル、トリメチル、トリフェニル又はジフェニルtert-ブチル-シリル誘導体のようなシリル化誘導体、又はフェニルスルホニルアルキル又はシアノアルキル誘導体の形で提供される。
【0040】
脱保護化は、保護基の性質に応じて、アンモニア水中のナトリウム又はリチウムによって、水素化分解又は可溶性パラジウムO錯体を使用することによって、酸の作用、又はフッ化テトラブチルアンモニウム又は水素化ナトリウムのような強塩基又はカリウムt-ブチラートの作用によって行われる。
【0041】
ヒドロキシルアミンの保護化は、特に、ベンジル又はアリルエーテルの形で行われる。
【0042】
エーテルの開裂は、水素化分解又は可溶性パラジウムO錯体を使用することによって行われる。
【0043】
アルコール又はフェノールの保護化は、一般的な方法で、エーテル、エステル又はカーボネートの形で行われる。エーテルは、アルキル又はアルコキシアルキルエーテル、好ましくは、メチル又はメトキシエトキシメチルエーテル、アリールエーテル又は好ましくはアラルキルエーテル、例えば、上述のシリル化誘導体である。エステルは、当業者に知られた各種の開裂可能なエステルであり、好ましくは、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステル又はp-ニトロ安息香酸エステルである。炭酸エステルは、炭酸メチル、tert-ブチル、アリル、ベンジル又はp-ニトロベンジルエステルである。
【0044】
脱保護化は、当業者に知られた手段、特に、ケン化、水素化分解、可溶性パラジウムO錯体による開裂又は、シリル化誘導体については、フッ化テトラブチルアンモニウムによって行われる。実験を記載する部分に例を示す。
【0045】
硫酸化反応は、ピリジン中で作用するSO3-ピリジン又はSO3-ジメチルホルムアミドのようなSO3-アミンの作用によって行われ、ついで、生成した塩、例えば、ピリジン塩を、例えば、他のアミンの塩、4級アンモニウム又はアルカリ金属塩と交換できる。実験を記載する部分に例を示す。
【0046】
アルキル化反応は、ケースに応じて、ヒドロキシル化誘導体、エステル又はケトンエノラート、複素環アミン又は窒素に対する硫酸アルキル又はハロゲン化アルキル又は置換アルキルの作用によって、特に、遊離又はエステル化カルボニルラジカルによって行われる。アルキル化反応は還元アミノ化によっても行われる。
【0047】
酸による塩形成は、必要であれば、化合物の可溶相への酸の添加によって行われる。スルホオキシ官能基の塩基による塩形成は、SO3-ピリジン錯体の作用の間に得られるピリジニウム塩を使用して行われ、このピリジニウム塩から他の塩も得られる。樹脂上でのイオン交換も実施できる。
【0048】
カルバモイル化反応は、クロロギ酸エステル又はBoc-ONタイプの反応体、ついでアミン又は必要であればアンモニアを使用することによって行われる。
【0049】
アジド基は、例えば、メシレートタイプの中間体に対するアジ化ナトリウムの作用によって、又はMitsunobuタイプの反応によって導入される。
【0050】
アジド基の還元は、トリアルキル又はトリアリールホスフィンの作用によって行われる。
【0051】
鏡像異性体及びジアステレオ異性体の分離は、当業者に知られた技術、特に、クロマトグラフィーに従って行われる。
【0052】
上記の方法以外にも、一般式(I)の化合物は、初めに、一般式(II)(ここで、R'1、R3、R4及びHZは、調製しようとする化合物のものに直接(変換なしで)つながる意義を有する)を使用する方法によって得られる。必要であれば、これらの基(上述のもののような反応性官能基を含む)の化合物を保護化し、工程b)の環化後又は合成の間の他の好適な各種の時点で脱保護化を行う。ついで、上述のように、保護化及び脱保護化を行う。
【0053】
本発明の他の目的は、上述の方法であって、一般式(II)の化合物を、一般式(IV)
【化7】

(式中、R'1、R3及びR4は上述のように定義され、Aは水素原子又は窒素を保護する基である)の化合物を還元剤によって処理して、一般式(V)
【化8】

(式中、A、R'1、R3及びR4は上述の意義を有する)の化合物を生成し、ここで、必要であれば、OH基を離脱基と交換して、一般式(VI)
【化9】

(式中、A、R'1、R3及びR4は上述の意義を有し、及びR9は脱離基を表す)の化合物を生成し、この化合物を、式
Z1H2
(式中、Z1は保護化-HN-OH基を表す)の化合物にて処理し、ついで、必要であれば、好適な窒素原子の脱保護化剤によって処理する方法によって得ることを特徴とする方法にある。
【0054】
本発明のさらに他の目的は、上述の方法であって、一般式(II)の化合物を、一般式(IV)の化合物を、上述のように、ヒドロキシルアミンによって処理してヒドロキシル基で保護化して、一般式(VII)
【化10】

(式中、A、R'1、R'2、R3、R4、n及びR'8は上述のように意義される)の化合物を生成し、この化合物を還元剤と反応させて、一般式(VIII)
【化11】

(式中、A、R'1、R3、R4、n''及びZHは上述のように意義される)の化合物を生成し、必要であれば、この化合物を好適な窒素原子の脱保護化剤によって処理する方法によって得ることを特徴とする方法にある。
【0055】
窒素の保護化剤は、特に、上述のものの1つである。
【0056】
還元剤は、特に、アルカリ金属ボロヒドリッドである。
【0057】
脱離基は、特に、塩基の存在下、対応する塩化スルホニルの作用によって得られるスルホネート、例えば、メシレート又はトシレート、又は例えば、塩化チオニル又はP(C6H5)3CBr4又はPBr3の作用によって、又はヨウ素原子の場合には、スルホネートに対するヨウ化アルカリの作用によって得られるハロゲン、さらに詳しくは、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0058】
脱保護化剤は、特に、上述のものの1つである。
【0059】
一般式(VII)の化合物について使用される還元剤は、特に、シアン化ナトリウム又はアセトキシボロヒドリッドである。
【0060】
上述のように、一般式(I)の化合物は、緑膿菌に対して、及び一般的に使用される抗菌剤に耐性の菌株による動物感染のモデルにおいて、優秀な抗生物質活性を有する。この顕著かつ予期できない抗生物質活性は、国際特許出願公開WO 02/100860に記載された化合物について観察されはいない。
【0061】
これらの特性は、遊離形、両性イオン形、又は薬学上許容される塩基又は酸との塩の形の前記化合物を、重篤なシュードモナス菌感染、特に、院内感染、及び一般に、ヒトにおける危険な状態の主要な感染症の治療における薬剤としての使用に適するものとする。これらは、特に、呼吸器系の感染症(例えば、上気道の急性肺炎又は慢性感染症)、血液の感染症(例えば、敗血症)、尿路の急性又は慢性の感染症、聴覚系の感染症(例えば、悪性の外耳炎、又は化膿性の慢性外耳炎)、皮膚又は軟組織の感染症(例えば、皮膚炎、細菌感染した傷、毛嚢炎、膿皮症、抵抗形のニキビ)、眼の感染症(例えば、角膜潰瘍)、中枢神経系の感染症(特に、髄膜炎及び脳の膿瘍)、心臓の感染症(例えば、心内膜炎)、骨及び関節の感染症(例えば、胸骨と鎖骨の化膿性関節症、化膿性脊椎炎、恥骨結合)、消化管の感染症(例えば、壊死性腸嚢胞及び直腸周囲の感染症)である。
【0062】
従って、本発明の目的は、薬剤、特に抗生物質としての使用のための、上述のように定義される一般式(I)の化合物にもある。
【0063】
本発明の格別の目的は、一般式(I)の化合物の中でも、R3及びR4が、一緒になって、ピラゾリル又はトリアゾリル複素環(任意に置換されていてもよい)を形成している化合物、これらの中でも、R1が、基(CH2)n-NH2及び(CH2)n-NHCH3(ここで、nは上述のように定義される)でなる群から選ばれるものであり、R3及びR4によって形成される複素環が(C1-C6)アルキル基によって置換されている化合物の薬剤としての使用にある。
【0064】
本発明の格別の目的は、一般式(I)の化合物の中でも、R1が基(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHCH3(ここで、nは上述のように定義される)を表し、R3及びR4が、一緒になって、(C1-C6)アルキル基によって置換されたピラゾリル環を形成している化合物の薬剤としての使用にある。
【0065】
一般式(I)の化合物の中でも、本発明の非常に格別の目的は、遊離形、両性イオン形又は薬学上許容される無機又は有機塩基又は酸との塩の形の
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;及び
‐トランス-8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン
の薬剤としての使用にある。
【0066】
本発明のさらに他の目的は、有効成分として、上述のように定義される本発明による化合物の少なくとも1つを含んでなる医薬組成物にある。これらの組成物は、経口投与、直腸投与、非経口投与、特に、筋肉内投与又は皮膚又は粘膜への局所適用によって投与される。
【0067】
本発明による組成物は、固体又は液体であり、ヒト用医薬品において現在使用されているような剤形、例えば、錠剤又はコーティング錠、カプセル、顆粒、座剤、注射剤、軟膏、クリーム、ジェルであり、これらは、通常の方法で調製される。有効成分は、これらの医薬組成物において通常使用されている賦形剤、例えば、タルク、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオ脂、水性又は他の媒体、動物性又は植物性の脂肪、パラフィン誘導体、グリコール、各種の湿潤剤、分散剤又は乳化剤、保存料に配合される。
【0068】
これら組成物は、特に、好適な溶媒、例えば、発熱物質を含まない滅菌水に、要求に応じて溶解されるように、凍結乾燥物の形をとることができる。
【0069】
投与される用量は、処置状態、患者、投与ルート及び当該生成物に応じて変動する。例えば、実施例1に記載の生成物を使用する場合、ヒトにおいて、経口投与では、1日当たり0.250〜10gであり、筋肉内又は静脈内注射では、1日当たり0.25〜10gである。
【0070】
一般式(I)の生成物は、外科用器具の消毒剤としても使用される。
【0071】
下記の実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例1】
【0072】
トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩
ステージA:
4,7-ジヒドロ-1-メチル-4-((フェニルメトキシ)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-6(5H),7-ジカルボン酸6-(1,1-ジメチルエチル)及び7-メチルエステル(B)
国際特許出願公開WO 02/100860に記載された誘導体(A)(4,7-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-6(5H),7-ジカルボン酸6-(1,1-ジメチルエチル)及び7-メチルエステル)(10g, 32.12ミリモル)を、窒素雰囲気下、撹拌しながら、室温において、ジクロロメタン(100 ml)に懸濁させた。懸濁液にトリエチルアミン(14.30 ml, 10.28ミリモル, 3.2当量)を添加した後、溶解させた。−78℃に冷却した反応媒体に、塩化メタンスルホニル(11.4 ml, 96.36ミリモル, 3当量)のジクロロメタン(12ml, 1容量)溶液を1滴ずつ添加した。30分間接触させた後、アルコールAが、完全にメシレートに転化した。
o-ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(25.4g, 160.6ミリモル, 5当量)から、新たに、o-ベンジルヒドロキシアミンのジクロロメタン溶液を調製した。o-ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩を、o-ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(100 ml)及び水(50ml)の混合物として溶解している。2Nカ性ソーダ溶液(85ml, 176.66ミリモル)を0℃において添加した。10分間接触させ、デカントした後、有機相をリン酸マグネシウムにて45分間乾燥させ、ついで、半分の容積まで濃縮した。上記のように調製したメシレートへのこの溶液の添加を、−78℃において、1滴ずつ、1時間で行った。反応混合物を撹拌し、続いて、温度を室温に徐々に上昇させた。水(200 ml)を添加し、ジクロロメタン(100 ml)にて希釈し、撹拌し、デカントし、ついで、水相をジクロロメタンにて再抽出した。有機相を飽和NaCl溶液(200 ml)にて洗浄し、乾燥し、ついで、濃縮して乾固させた。白色の非晶形粉末を回収し、クロマトグラフィー後、所望の誘導体(B)を得た(8.25g, 66%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=417.2
1H NMR(400 MHz, CDCl3):1ジアステレオ異性体(2回転異性体)δ(ppm):1.43(s, 9H, tBu), 3.15(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.68/3.70(s, 3H, CH3), 3.84(s, 3H, CH3), 3.98(m, 2H, N-CH2-CH-N), 4.6-4.8(塊状, 3H, NH-O-CH2-Ph及びN-CH2-CH-N), 5.40/5.8(s, 1H, CH-CO2Me), 7.22-7.31(塊状, 5H, Ph), 7.40(s,1H, H-ピラゾール)
【0073】
ステージB:
トランス1-メチル-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,5,6,8-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8(7H)-メチルカルボキシレート(C)
HCl/ジオキサンの4N溶液(400 ml, 15当量)を、室温において、ジオキサン(50ml)に溶解した誘導体(B)(21g, 50.42ミリモル)の溶液に注加した。反応混合物を30分間撹拌し、ついで、ジオキサンを蒸発させた。撹拌しながら、水(100 ml)及び酢酸エチル(500 ml)の混合物に残渣を吸収した。0℃において、濃度20%のアンモニア溶液(42ml)を添加した。撹拌を30分間続けた。デカンテーション後、水相を酢酸エチル(2*300 ml)にて再抽出し、最後の抽出を、水相をNaClにて飽和した後に実施した。有機相を乾燥し、ついで、濃縮した。中間体の脱保護化ピペリジンを、黄色のオイルの形で得た(m=15.7g, 98%)後、アセトニトリル(400 ml)に吸収した。0℃に冷却したこの混合物に、トリエチルアミン(21ml, 151.2ミリモル, 3当量)を添加し、ついで、ジホスゲン(3.04 ml, 25.2ミリモル, 0.5当量)を30分間で1滴ずつ添加した。室温において一夜接触させた後、媒体を濃縮し、ついで、酢酸エチル(500 ml)にて吸収し、10%酒石酸溶液(200 ml)にて処理した。混合物を撹拌し、デカントした。有機相を10%酒石酸溶液で洗浄し(2*200ml)、ついで、飽和NaCl溶液にて洗浄し、ついで、乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた白色の生成物(m=15.3g, 89%)を、ジクロロメタン(150 ml)にて吸収した。1,8-ジアゼビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(7.53 ml, 50.04ミリモル)を1滴ずつ添加した。混合物を2時間撹拌し、水(200 ml)にて処理し、撹拌し、デカントした。有機相を水(2*200 ml)、ついで、飽和NaCl溶液(1*200 ml)にて洗浄し、MgSO4にて乾燥し、ついで、濃縮乾固した。
所望の誘導体(C)が白色固体として回収された(m=14.72g, 85%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=343
1H NMR(400 MHz, CDCl3):δ(ppm):3.25(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.45(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.80(s, 3H, CH3), 3.88(s, 3H, CH3), 3.9(s, 1H, N-CH2-CH-N), 4.7(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.02(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.22(s, 1H, CH-CO2Me), 7.39-7.43(塊状, 6H, H ピラゾール+Ph)
【0074】
ステージC:
4,8-ジヒドロ-8-(ヒドロメキシチル)-1-メチル-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン(D)
誘導体(C)(5g, 14.60ミリモル)のテトラヒドロフラン(150 ml)/メタノール(50ml)無水混合物溶液を、窒素雰囲気下、撹拌しながら、−10℃に冷却した。水素化ホウ素リチウム(668 mg, 30.67ミリモル, 1.2当量)を反応媒体に添加した。−10℃において2時間撹拌した後、LiBH4を、さらに1.2当量添加した。反応を冷状態で2時間行い、10%NaH2PO4溶液にて処理した。テトラヒドロフラン及びメタノールを、減圧下で蒸発させた(200ミリバール, 40℃)。残留する混合物を酢酸エチル(200 ml)にて吸収し、撹拌し、デカントした。水相を酢酸エチル100 mlにて再抽出した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、濃縮乾固した。得られた淡黄色の粉末(6.6g)を、二酸化ケイ素にてクロマトグラフ処理(溶離液:酢酸エチル)して、誘導体(D)を得た(3.2g, 10.18ミリモル, 64%)
MS(ES(+)):m/z[M+]=315
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):3.16(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.48(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.71(s, 3H, CH3), 3.81-3.91(塊状, 2H, CH2OH), 4.44(m, 1H, N-CH2-CH-N), 4.48(m, 1H, CHCH2OH), 4.88(m, 2H, N-O-CH2-Ph), 5.20(m, 1H, OH), 7.35-7.40(塊状, 6H, H ピラゾール+Ph)
【0075】
ステージD:
トランス4,8-ジヒドロ-1-メチル-8-[(メチルスルホニル)オキシメチル)]-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン(E)
窒素雰囲気下、撹拌しながら、室温において、誘導体(D)(2.76g, 8.78ミリモル)をジクロロメタン(100 ml)に溶解した。0℃に冷却した後、トリエチルアミン(1.83 ml, 13.17ミリモル, 1.5当量)を添加し、ついで、塩化メシル(1.61g, 14.05ミリモル)のジクロロメタン(100 ml)溶液を1滴ずつ添加した。室温において1時間接触させた後、撹拌しながら、反応系を10%NaH2PO4溶液(80ml)で処理した。撹拌及びデカンテーションの後、水相をジクロロメタン(50ml)にて再抽出した。有機相を乾燥し、ついで、減圧下で濃縮して、所望の誘導体を得た(3.44g, 定量的収率)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=393
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):3.23(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.26(s, 3H, CH3), 3.45(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.76(s, 3H, CH3), 4.52(m, 1H, N-CH2-CH-N), 4.58(dd, 1H, CH-CH2-OMs), 4.66(dd, 1H, CH-CH2-OMs), 4.88(m, 3H, CHCH2OMs及びN-O-CH2-Ph), 7.35-7.45(塊状, 6H, H ピラゾール+Ph)
【0076】
ステージE:
トランス8-(アジドメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン(F)
窒素雰囲気下、撹拌しながら、室温において、誘導体(E)(3.44g, 8.78ミリモル)のジメチルホルムアミド(70ml)溶液に、アジ化ナトリウム(1.71g, 26.3ミリモル)の全量を一度に添加した。反応媒体を65℃に一夜加熱し、ついで、10%NaH2PO4水溶液(50ml)で処理した。撹拌及びデカンテーションの後、水相をジクロロメタン(2*50ml)にて再抽出した。有機相を乾燥し、ついで、減圧下で濃縮して、所望の誘導体(F)を得た(3g, 8.78ミリモル)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=340
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):3.20(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.48(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.66(dd, 1H, CH-CH2-N3), 3.72(s, 3H, CH3), 3.92(dd, 1H, CH-CH2-N3), 4.50(d, 1H, N-CH2-CH-N), 4.76(dd, 1H, CHCH2ON3), 4.89(m, 2H, N-O-CH2-Ph), 7.35-7.45(塊状, 6H, H ピラゾール+Ph)
【0077】
ステージF:
トランス[[4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステル(G)
窒素雰囲気下、撹拌しながら、室温において、誘導体(F)(1.15g, 3.39ミリモル)のトルエン(5ml)/テトラヒドロフラン(5 ml)混合物溶液に、トリメチルホスフィンのモル溶液(3.4ml, 3.4ミリモル)を1滴ずつ添加した。3時間接触させた後、0℃に冷却した反応媒体に、BOC-ON(0.92g, 3.6ミリモル)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を1滴ずつ添加した。室温において撹拌を3時間続けた。反応系を10%NaHCO3溶液(50ml)で処理した。撹拌及びデカンテーションの後、水相を酢酸エチル(50ml)にて再抽出した。有機相を乾燥し、ついで、減圧下で濃縮して、オイル2.2gを得た。未精製の生成物を、二酸化ケイ素カラムにてクロマトグラフ処理した(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル, 5/5)。所望の生成物を得た(0.62g, 1.49ミリモル, 70%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=414
1H NMR(400 MHz, CDCl3):δ(ppm):1.39(s, 9H, tBu), 3.05(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.19(dd, 1H, CH-CH2-NHBoc), 3.27(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.72(s, 3H, CH3), 3.78(m, 1H, CH-CH2-NHBoc), 3.88(d, 1H, N-CH2-CH-N), 4.48(dd, 1H, CHCH2NHBoc), 4.79(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 4.92(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.18(m, 1H, H可動性), 7.35(s, 1H, Hピラゾール), 7.37-7.48(塊状, 5H, Ph)
【0078】
ステージG:
トランス[[4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステルのピリジニウム塩(H)
誘導体(G)(0.6g, 1.45ミリモル)のメタノール(10ml)溶液に、10%炭担持パラジウム(140 mg)を添加した。反応系を3時間水素化した。ついで、減圧下で、メタノールを蒸発させて、脱ベンジル化誘導体を得た。
MS(ES(+)):m/z[M+]=324
ピリジン/三酸化イオウ錯体(462 mg, 2.9ミリモル)の存在下、ピリジン(3ml)中で脱ベンジル化中間体を抽出した。室温において、一夜、反応系を撹拌下に維持した。ついで、反応媒体を、減圧下で濃縮した。未精製の反応生成物を、二酸化ケイ素カラムにてクロマトグラフ処理して(溶離液:100%ジクロロメタン、ついで、5%から20%までのメタノールのグラディエント)、誘導体(H)を得た(0.49g, 1.25ミリモル, 84%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=402
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):1.41(s, 9H, tBu), 3.30-3.80(塊状, 4H, 2CH2), 3.72(s, 3H, CH3), 4.42(dd, 1H, CHCH2ONHBoc), 4.64(d, 1H, N-CH2-CH-N), 7.21(m, 1H, H可動性), 7.35(s, 1H, Hピラゾール), 8.02(dd, 2H, ピリジン), 8.54 (m, 1H, ピリジン), 8.91(m, 2H, ピリジン)
【0079】
ステージH:
トランス[[4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステルのナトリウム塩(I)
2Nカ性ソーダ溶液(300 ml)中に樹脂DOWEX 50WX8 60gを含有する懸濁液を1時間撹拌し、ついで、クロマトグラフカラムに注いだ。脱塩水にて、pHが中性となるまで溶出し、ついで、カラムを水/THFの90/10混合物で調整した。誘導体(H)(0.49g, 1.01ミリモル)を最少量の水に溶解し、カラムに注加し、ついで、水/THFの90/10混合物で溶離した。物質を含有するフラクションをプールし、凍結させた。凍結した溶液を凍結乾燥して、所望の生成物(I)を得た(0.44g, 1.03ミリモル, 100%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=402
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):1.39(s, 9H, tBu), 3.30-3.72(m, 7H, 2CH2, CH3), 4.42(m, 1H, CHCH2ONHBoc), 4.64(s, 1H, N-CH2-CH-N), 7.16(m, 1H, H可動性), 7.35(s, 1H, Hピラゾール)
【0080】
ステージI:
トランス[[8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩(J)
窒素雰囲気下、トリフルオロ酢酸(10ml)のジクロロメタン(10ml)溶液を、誘導体I(0.15g, 0.35ミリモル)のジクロロメタン(5ml)溶液に1滴ずつ添加し、0℃に冷却した。室温において、1時間、反応系を撹拌下に維持した。反応混合物を蒸発乾固させ、最少量の水で抽出した。溶液を凍結し、ついで、凍結乾燥して、所望の誘導体(J)を得た(193 mg, 0.35ミリモル, 100%)。
MS(ES(+)):m/z[M-]=301
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):3.32(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.33-3.37(m, 1H, 2CH), 3.43(d, 1H, N-CH2-CH-N), 3.74(s, 3H, CH3), 4.73(m, 2H, CH-CH2-NH3+), 7.41 (s, 1H, Hピラゾール), 8.10 (m, 3H, NH3+)
【実施例2】
【0081】
トランス[[8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩
ステージA:
トランス-8-(ヒドロキシメチル)-4,5,6,8-テトラヒドロ-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e]ジアゼピン-6(5H)-オン
国際特許出願公開WO 2004/052891(実施例1, ステージK)に記載されたトランス-4,5,6,8-テトラヒドロ-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-カルボン酸メチルエステル(5g, 15.2ミリモル)を、窒素下、無水メタノール/テトラヒドロフランの1/1混合物(100 ml)に溶解した。ついで、NaBH4(2.3g, 60.9ミリモル)を少量ずつ添加した。室温において、一夜、反応媒体を撹拌し、ついで、10%NaH2PO4水溶液(100 ml)にて処理した。蒸発乾固させた後、反応混合物を水で抽出した。生成した沈殿物を、氷浴内で、一夜撹拌し、ついで、濾過し、P2O5の存在下、真空中で、少なくとも24時間乾燥させて、所望の化合物を白色粉末の形で得た(3.3g, 11.0ミリモル, 72%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=301
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm):3.18-3.50(ABX, 2H, N-CH2-CH-N), 3.65-3.76(ABX, 2H, N-CH-CH2-OH), 4.34(t, 1H, N-CH-CH2-OH), 4.46(d, 1H, N-CH2-CH-N), 4.88(s, 2H, CH2-Ph), 7.29-7.43(m, 5H, Ph), 7.66(s, 1H, Hピラゾール), 12.72(ブロード, 1H, OH)
【0082】
ステージB:
トランス[4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエステル
撹拌しながら、0℃において、上記実施例2のステージAにおいて得られたアルコール(1.73g, 5.76ミリモル)を無水のピリジン(35ml)に溶解した。塩化メタンスルホニル(1.78 ml, 23ミリモル)を1滴ずつ添加した。室温において、2時間半撹拌した後、反応媒体を飽和塩化アンモニウム水溶液(100 ml)にて処理し、ついで、酢酸エチルにて抽出した。ついで、合せた有機相を、飽和塩化アンモニウム水溶液にて5回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、ついで、真空中で蒸発させて、所望のジメシル化誘導体を黄色オイルの形で得た。
ジメシル化中間体を、窒素雰囲気中、アジ化ナトリウム(1.12g, 17.3ミリモル)の存在下で、無水のジメチルホルムアミド(45ml)に溶解した。反応混合物を70℃に24時間加熱した。必要であれば、アジ化物1当量を添加して、完全な転化を行う。反応が完了した時点で、混合物を10%NaH2PO4水溶液(100 ml)にて処理し、ついで、ジクロロメタンで抽出した。合せた有機相を硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、ついで、真空中で濃縮して、所望のアジ化物を黄色オイルの形で得た。
窒素雰囲気下、無水エタノール(17.5 ml)中で、中間体を反応に供した。ついで、ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.38g, 6.34ミリモル)、トリメチルシラン(1.38 ml, 8.64ミリモル)及び10%炭担持水酸化パラジウム(52mg)を、逐次、添加した。室温において一夜放置した後、反応混合物を濾過し、ついで、濃縮して、粗製の黄色オイルを得た。この粗製オイルを、二酸化ケイ素カラムでのクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2/MeOHの1%当り100/0から95/5のグラディエント)によって精製して、所望の化合物を白色固体として得た(1.36g, 3.40ミリモル, 34%)
MS(ES(+)):m/z[M+]=401
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4):δ(ppm):1.51(s, 9H, C(CH3)3), 3.21-3.59(m, 4H, N-CH2-CH-N及びN-CH-CH2-NHBoc), 4.36(m, 1H, N-CH-CH2-OH), 4.46(m, 1H, N-CH2-CH-N), 4.99(AB, 2H, CH2-Ph), 7.41-7.52(m, 5H, Ph), 7.63(s, 1H, Hピラゾール)
【0083】
ステージC:
トランス[[4,8-ジヒドロ-1-tert-ブトキシカルバメート-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエステル
上記実施例2のステージBにおいて得られた化合物(104 mg, 0.26ミリモル)を、無水のジクロロメタン(2.5ml)に溶解し、ついで、混合物に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(114 mg, 0.52ミリモル)及びジメチルアミノピリジン(32mg, 0.26ミリモル)を添加した。室温において一夜撹拌した後、反応媒体を水にて処理した。相を分離し、ついで、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、ついで、真空中で濃縮した。このようにして得られた粗製の生成物を二酸化ケイ素でのクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2/AcOEtの90/10混合物)によって精製して、所望の生成物を得た(76mg, 0.15ミリモル, 59%)。
MS(ES(+)):m/z[M+]=500
【0084】
ステージD:
トランス[[4,8-ジヒドロ-1-tert-ブトキシカルバメート-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-カルバミン酸1,1-ジメチルエステルのピリジニウム塩
上記実施例2ステージCで得られた化合物(76mg, 0.15ミリモル)を、窒素雰囲気下、ジメチルホルムアミド/CH2Cl2の無水の1/3混合物(0.87 ml)に溶解した。10%炭担持パラジウムの50%水懸濁液(49mg)を添加した。真空/窒素による排気を3回行った後、原料物質がHPLCにおいて消失するまで、反応混合物を水素雰囲気中に置いた。ついで、混合物を真空中で濃縮し、無水のジクロロメタンにて3回同時蒸発させ、ついで、P2O5の存在下、減圧中で2時間乾燥した。
脱ベンジル化誘導体を、ピリジン/三酸化イオウ錯体(48mg, 0.30ミリモル)の存在下、窒素中で、無水のピリジン(0.43 ml)にて抽出した。HPLCにて完全な転化が確認されるまで、反応混合物を室温において撹拌し、ついで、水を添加することによって処理した後、蒸発乾固した。このようにして得られた粗製の生成物を、二酸化ケイ素でのクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2/MeOHの90/10混合物)によって精製して、所望の生成物を得た(47mg, 0.083ミリモル, 55%)
MS(ES(−):m/z[M-2*Boc]=388
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4):δ(ppm):1.52(s, 18H, 2×C(CH3)3), 3.50(m, 4H, N-CH2-CH-N及びCH2-NHBoc), 4.62(m, 1H, CH-CH2-NHBoc), 4.85(d, 1H, N-CH2-CH-N), 7.72(s, 1H, Hピラゾール)
【0085】
ステージE:
トランス[[8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩
2Nカ性ソーダ溶液(30ml)中に樹脂DOWEX 50WX8 6gを含有する懸濁液を1時間撹拌し、ついで、クロマトグラフカラムに注いだ。H2Oにて、pHが中性となるまで洗浄した後、カラムをTHF/H2Oの10/90混合物で調整した。上記実施例2のステージDにおいて得られた化合物(47mg, 0.08ミリモル)を最少量のメタノールに溶解し、カラムに注加した。THF/H2Oの10/90混合物で溶離した後、所望の生成物を含有するフラクションをプールし、凍結させ、ついで、凍結乾燥して、所望のナトリウム塩を得た。
このナトリウム塩を、窒素雰囲気下、無水のジクロロメタン(1.04 ml)にて抽出し、ついで、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸/無水ジクロロメタンの1/1溶液(2.04 ml)を1滴ずつ添加した。ついで、反応混合物を、室温において、45分間撹拌した。蒸発乾固させた後、無水のジクロロメタンにて同時蒸発させ、化合物を水(〜2ml)で抽出し、凍結させ、凍結乾燥して、所望の塩を、淡黄色の粉末の形で得た(16mg, 0.030ミリモル, 36%)。
MS(ES(−)):m/z[M-]=288
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4):δ(ppm):3.37-3.69(m, 4H, N-CH2-CH-N及びCH-CH2-NH2), 4.81(dd, 1H, CH-CH2-NH2), 4.98(d, 1H, N-CH2-CH-N), 7.79(s, 1H, Hピラゾール)
【実施例3】
【0086】
トランス8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩
ステージA:
トランス[[[4,5,6,8-テトラヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-メチルアミノ]トリメチルホスホニウムヨウ化物
窒素雰囲気下、撹拌しながら、室温において、上記実施例1のステージEにおいて得られた誘導体(0.5g, 1.25ミリモル)のテトラヒドロフラン(15ml)溶液に、トリメチルホスフィン(1.5ml, 1.5ミリモル)のモル溶液を1滴ずつ添加した。撹拌を2時間行った後、反応系にヨウ化メチル(0.21g, 3.75ミリモル)を添加した。淡黄色の沈殿物が迅速に生成した。室温において一夜撹拌した後、反応系を減圧下で濃縮した。粗製の生成物を、ジクロロメタン中で摩砕した。沈殿物を濾過して、所望の生成物を黄色がかったヨウ素塩の形で得た(0.42g, 1.04ミリモル, 84%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)2配座異性体の形:δ(ppm)=2.04(s, 3H, CH3P), 2.32(s, 3 H, CH3P), 2.35(s, 3H, CH3P), 3.03(s, 3H, P-NCH3(A)-CH2), 3.05(s, 3H, P-NCH3(B)-CH2), 3.37(m, 1H, N-CH2-CH-N又はCH-CH2-N(CH3)P), 3.44(m, 1H, N-CH2-CH-N又はCH-CH2-N(CH3)P), 3.69(m, 1H, N-CH2-CH-N又はCH-CH2-N(CH3)P), 3.82(s, 3H, CH3), 3.88(m, 1H, N-CH2-CH-N又はCH-CH2-N(CH3)P), 4.05(d, 1H, N-CH2-CH-N), 4.59(d, 1H, CH-CH2-N(CH3)P), 4.88(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.00(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 7.35(s, 1H, Hピラゾール), 7.35-7.45(塊状, 5H, Ph)
【0087】
ステージB:
トランス8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン
炭酸ナトリウム水溶液(2.5N, 9ml)に、上記実施例3のステージAにおいて得られた誘導体(0.42g, 1.04ミリモル)を添加した。反応系を、55℃において3時間30分撹拌した。室温に冷却した後、酢酸エチル(25ml)の存在下で、反応系に塩化ナトリウムを飽和させた。水相を酢酸エチルにて抽出した(3×25ml)。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、減圧下で濃縮して、黄色のオイルを得た(0.26g)。粗製の反応生成物を、二酸化ケイ素でのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン100%、ついで、2%から10%までのメタノールグラディエント)によって精製して、所望の誘導体を得た(0.084g, 0.256ミリモル, 26%)。
MS(ES(+)):m/z[M+H]+=328
1H NMR(400 MHz, CDCl3):δ(ppm)=2.97-3.00(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.00(CH-CH2-NCH3), 3.15(dd, 1H, CH-CH2-NCH3), 3.9(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 3.75(s, 3H, CH3), 3.98(d, 1H, CH-CH2-N(CH3)Boc), 4.72(dd, 1H, N-CH2-CH-N), 4.90(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.03(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 7.30(s, 1H, Hピラゾール), 7.34-7.44(塊状, 5H, Ph)
【0088】
ステージC:
トランス[[4,5,6,8-テトラヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(フェニルメトキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-メチルカルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステル
上記実施例3のステージBにおいて得られた誘導体(80mg, 0.244ミリモル)を、ジクロロメタン(1ml)溶液とし、ついで、室温において、トリエチルアミン(60μl, 0.488ミリモル)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(106 mg, 0.488ミリモル)を、逐次、添加した。室温において4時間撹拌した後、反応系に飽和塩化ナトリウム溶液(5ml)を添加した。水相をジクロロメタンにて抽出した(3×20ml)。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、減圧下で濃縮して、非晶形の白色粉末を得た(157 mg)。粗製の反応生成物をシリカカラムでのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン100%、ついで20%から30%までの酢酸エチルグラディエント)に供して、所望の誘導体を得た(0.068g, 0.159ミリモル, 60%)。
MS(ES(+)):m/z[M+H]+=428
1H NMR(400 MHz, CDCl3):δ(ppm)=1.59(s, 9H, C(CH3)3), 3.05(s, 3H, CH3NBoc-CH2), 3.10(m, 3H, N-CH2-CH-N, CH-CH2-NBoc), 3.75(m, 1H, CH-CH2-CH-N), 3.85(s, 3H, CH3), 3.99(s, 1H, N-CH2-CH-N), 4.75(m, 1H, CH-CH2-N(CH3)Boc), 4.90(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 5.02(d, 1H, N-O-CH2-Ph), 7.37(s, 1H, Hピラゾール), 7.40-7.46(塊状, 5H, Ph)
【0089】
ステージD:
トランス[[4,5,6,8-テトラヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-メチルカルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステルのピリジニウム塩
上記実施例1のステージGに記載したように操作して、上記実施例3のステージCにおいて得られた化合物(0.068g, 0.159ミリモル)を、メタノール(5ml)中、10%炭担持パラジウム(25mg)の存在下で処理して、脱ベンジル化生成物を得た。
MS(ES(+)):m/z[M+H]+=337
脱ベンジル化中間体、ピリジン(1ml)、ピリジン/三酸化イオウ錯体(50mg, 0.318ミリモル)から所望の塩を得た(0.045g, 0.090ミリモル, 100%)
MS(ES(−)):m/z[M-H]-=416
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)2配座異性体の形:δ(ppm)=1.53(s, 9H, C(CH3)3), 3.09(s, 3H, CH3(A)NHBoc), 3.10(s, 3H, CH3(B)NHBoc), 3.37(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.58(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.75(s, 3H, CH3), 3.84(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.90(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 4.90(m, 2H, N-CH-CH2-N, N-CH2-CH-N+シグナルH2O), 7.54(s, 1H, Hピラゾール), 8.16(dd, 2H, ピリジン), 8.70(dd, 2H, ピリジン), 8.94(d, 1H, ピリジン)
【0090】
ステージE:
トランス[[4,5,6,8-テトラヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-8-イル]メチル]-メチルカルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステルのナトリウム塩
上記実施例1のステージHに記載したように操作して、上記実施例3のステージDにおいて得られた塩(0.045g, 0.090ミリモル)、樹脂DOWEX 50WX8(30g)及び2Nソーダ(150 ml)から、所望のナトリウム塩を得た(0.039g, 0.090ミリモル, 100%)。
MS(ES(−)):m/z[M-H]-=416
1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)2配座異性体の形:δ(ppm)=1.56(s, 9H, C(CH3)3), 3.09(s, 3H, CH3(A)NHBoc), 3.10(s, 3H, CH3(B)NHBoc), 3.37(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.64(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.75(s, 3H, CH3), 3.84(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 3.93(m, 1H, BocN(CH3)-CH2-CH又はN-CH2-CH-N), 4.90(m, 1H, N-CH-CH2-N, N-CH2-CH-N+シグナルH2O), 7.55(s, 1H, Hピラゾール)
【0091】
ステージF:
トランス8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オンのナトリウム及びトリフルオロ酢酸塩
上記実施例1のステージIに記載したように操作して、上記実施例3のステージEにおいて得られたナトリウム塩(0.039g, 0.088ミリモル)、ジクロロメタン(5ml)及びトリフルオロ酢酸/無水のジクロロメタンの1/1混合物(4ml)から、所望の生成物を得た(39mg, 0.08ミリモル, 100%)。
MS(ES(−)):m/z[M-H]-=315
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm)=2.76(s, 3H, CH3NH+2-CH2), 3.30-3.50(m, 4H, N-CH2-CH-N, NH+2-CH2-CH), 3.75(s, 3H, CH3), 4.74(m, 1H, N-CH2-CH-N), 4.82(d, 1H, CH-CH2-NH+2CH3), 7.43 (s, 1H, Hピラゾール), 8.67(m, 2H, NH3+)
【実施例4】
【0092】
医薬組成物
下記成分を含んでなる注射用組成物を調製した。
‐実施例1の化合物 500 mg
‐殺菌した水性賦形剤 q.s.p. 5cm3
【0093】
本発明の生成物の薬理学的検討
インビボ活性(液体媒体における希釈法):
等量の殺菌栄養培地を入れた一連の試験管を用意し、各試験管に、徐々に増大する量の検討対象生成物を入れ、ついで、各試験管に、細菌の菌株を入れた。オーブン内において37℃で24時間インキュベーションした後、透視法(最小阻害濃度(MIC:, μg/mlで表される)を測定することを可能にする)によって、生育の阻害をアッセイした。
このようにして、実施例1及び2の生成物についてテストを行い、国際特許出願公開WO 02/100860の実施例18及び19の生成物と比較した。実施例1及び2の生成物は緑膿菌に対して非常に活性であることが示されたが、対照の生成物については、いずれも活性ではなかった。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、R1は、(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHR基(ここで、Rは、(C1-C6)アルキルであり、及びnは1又は2である)であり;
R2は水素原子であり;
R3及びR4は、一緒になって、窒素原子1、2又は3個を含有し、1又は数個のR'基(ここで、R'基は、水素原子及び炭素原子1〜6個を含有するアルキル基からなる群から選ばれるものである)で任意に置換された5員の芳香族含窒素複素環を形成するものである]で表される、遊離形、両性イオン形、及び薬学上許容される無機又は有機塩又は酸との塩の形の化合物。
【請求項2】
R3及びR4が、一緒になって、任意に置換されたピラゾリル又はトリアゾリル基を形成している請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が、(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHCH3(ここで、nは請求項1において定義したとおりである)からなる群から選ばれるものであり、及びR3及びR4によって形成される複素環が(C1〜C6)アルキル基によって置換されている請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
R1が、(CH2)n-NH2又は(CH2)n-NHCH3(ここで、nは請求項1において定義したとおりである)からなる群から選ばれるものであり、及びR3及びR4が、(C1〜C6)アルキル基によって置換されたピラゾリル環を形成している請求項1又は3記載の化合物。
【請求項5】
遊離形、両性イオン形、又は薬学上許容される無機又は有機塩基又は酸との塩の形の
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-1-メチル-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;
‐トランス-8-(アミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン;又は
‐トランス-8-(メチルアミノメチル)-4,8-ジヒドロ-6-オキソ-5-(スルホオキシ)-4,7-メタノ-7H-ピラゾロ[3,4-e][1,3]ジアゼピン-6(5H)-オン
である請求項1記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物を製造する方法であって、
a)必要であれば、塩基の存在下、一般式(II)
【化2】

(式中、R'1は、CN、保護化COOH、COOR又は(CH2)nR'5基を表し、R'5は、保護化OH、CN、NH2又はNHR、保護化CO2H、CO2R基であり、n、R、R3及びR4は請求項1に記載のとおり定義され、R3及びR4によって形成される複素環に任意に存在するアミノアルキル置換基は、必要であれば、保護されており、ZHは-NHOH基を表す)の化合物をカルボニル化剤と反応させて、一般式(III)
【化3】

[式中、R'1、R3及びR4は、上記と同意義であり、X1は水素原子又は保護基であり、及びX2は-Z-CO-X3基(ここで、X3はカルボニル化剤の残基を表す)を表すか、又はX2が-ZH基であり、及びX1がCO-X3基(ここで、X3は前記のとおり定義される)である]の中間化合物を得る工程;
b)上記の得られた中間化合物を、塩基の存在下で、環化する工程
を含んでなり、
c)必要であれば、工程a)に先立って及び/又は工程b)に続いて、次の反応:
‐反応性官能基の保護化
‐反応性官能基の脱保護化
‐エステル化
‐ケン化
‐硫酸化
‐エステル還元
‐アルキル化
‐カルバモイル化
‐アジド基の形成
‐アジドのアミンへの還元
‐塩形成
‐イオン交換
‐ジアステレオ異性体の分割又は分離
の1つ又はいくつかを、好適な順序で行うことを特徴とする一般式(I)の化合物の製法。
【請求項7】
カルボニル化剤が、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、クロロギ酸アリール、クロロギ酸アラルキル、クロロギ酸アルキル又はクロロギ酸アルケニル、アルキルジカーボネート、カルボニル-ジイミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものである請求項6記載の製法。
【請求項8】
カルボニル化反応をアミンの存在下で行う、請求項6又は7記載の製法。
【請求項9】
一般式(II)の化合物が、一般式(IV)
【化4】

(式中、R'1、R3及びR4は上述のように定義され、Aは水素原子又は窒素を保護する基である)の化合物を還元剤によって処理して、一般式(V)
【化5】

(式中、A、R'1、R3及びR4は上述の意義を有する)の化合物を生成し、ここで、必要であれば、OH基を離脱基と交換して、一般式(VI)
【化6】

(式中、A、R'1、R3及びR4は上述の意義を有し、及びR9は脱離基を表す)の化合物を生成し、この化合物を、式
Z1H2
(式中、Z1は保護化-HN-OH基を表す)の化合物にて処理し、ついで、必要であれば、好適な窒素原子の脱保護化剤によって処理する方法によって得たものである請求項6〜8のいずれかに記載の製法。
【請求項10】
一般式(II)の化合物が、一般式(IV)の化合物を、上述のように、ヒドロキシル基が保護されたヒドロキシルアミンによって処理して、一般式(VII)
【化7】

(式中、A、R'1、R2、R3及びR4は請求項9に記載のとおり定義される)の化合物を生成し、この化合物を還元剤と反応させて、一般式(VIII)
【化8】

(式中、A、R'1、R3、R4、n''及びZHは上述のように意義される)の化合物に生成し、及び必要であれば、この化合物を好適な窒素原子の脱保護化剤によって処理する方法によって得たものである請求項6〜8のいずれかに記載の製法。
【請求項11】
医薬として使用される請求項1〜4のいずれかに記載の生成物又はその薬学上許容される酸又は塩基との塩。
【請求項12】
医薬として使用される請求項5に記載の生成物。
【請求項13】
有効成分として、請求項11又は12のいずれかに記載の少なくとも1の医薬を含有することを特徴とする医薬化合物。

【公表番号】特表2010−523630(P2010−523630A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502548(P2010−502548)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000509
【国際公開番号】WO2008/142285
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(508276176)
【Fターム(参考)】