説明

吸収体

本発明は、第1層2と第2外層4と吸収性中間層3との少なくとも三つの層を有するドライ又はウェット環境で使用される吸収体1であって、前記第1外層2が、その所謂クリーニング表面5上に、交互に配置された第1グループ8,10,12のループ7と第2グループ9,11のループ7とを有し、前記第1グループ8,10,12がマイクロファイバを含み、前記第2グループ9,11が、1.11dtex以上の番手値の糸を含み、そして、前記吸収体1が350g/m未満の表面密度を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1外層と第2外層と中間発泡層との三つの層を有する吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ある表面から埃又はその他の有機物起源の乾燥した又は死滅粒子を除去し、その後、この表面をクリーニング、特に、脂除去又は殺菌することが望まれる時、まず乾燥摩擦によって粒子及び埃を回収するための構造を備えた第1吸収体である、含浸不織布ガーゼタイプ、特に、パラフィン系オイルを約20g/m〜30g/m含浸した、ポリプロピレンウェブ、を使用し、その次に、フロアクロス、又はクリーニングストリップタイプ、特に、前記表面を、一般にアジュバント洗剤でのウェット環境における脂除のための、第2の吸収体を使用しなければならない。前記第2の吸収体は、一般に、450g/mから800g/m以上の表面密度を有する。これらは、ループ状のマイクロファイバを含む外層と、中間発泡層と、約180g/m〜200g/mの第3外層とを有し、ほうきの台又はヘッドの下面に位置するベルクロ(登録商標)タイプの吸着バンドとの協働に適した表面を備えている。前記複数の層は、一般にそのエッジ部同士で互いに縫合、特に、かがり縫い、によって組み付けられる。使い捨てのふき取り具も市販されており、これらは一般に、不織布であり、特に、拭い取り又は洗浄のいずれか用に構成されているが、これらの機能を同時に果たすようには構成されていない。これらのふき取り具は再使用不能であるため、経済的でもエコロジカルでもない。さらに、上述した全ての理由から、このタイプの吸収体は、一般用であって、クリーニングの専門家の要求を満たすものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、一般用及びプロ用に適した、再使用可能でエコロジカルで経済的な吸収体であって、埃と泥粒子のふき取り又は回収と、洗浄、特に、処理済表面の脂除去、の両方に利用可能なものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、第1外層と第2外層と吸収性中間層との少なくとも三つの層を有するドライ又はウェット使用用の吸収体である。前記第1外層が、その所謂クリーニング表面上に、第1グループのループと第2グループのループとを交互に有し、前記第1グループがマイクロファイバを含み、前記第2グループが、1.11dtex(デシテックス)以上の番手値の糸を含み、そして、前記吸収体の表面密度が350g/m未満であることを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記1.11dtex以上の番手値の糸は、テクスチャード加工されている。テクスチャード加工された糸とは、糸に対してひだ、弾力性及びボリューム性を与えるとともにその感触と外観とを改善する公知のテクスチャード加工を施されたファイバ又はマルチフィラメント糸と紡織された連続糸を意味する。
【0006】
本発明は、添付の図面に非限定的に図示されている実施例を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】吸収体の概略斜視図である。
【図2】台に取り外し可能に取り付けられたテレスコピック式ハンドルの概略斜視図である。
【図3】吸収体が取り付けられる台のみの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、テクスチャード加工糸は、1.11dtex番手値以上でテクスチャード加工処理を施された糸を指す。
【0009】
前記第1グループのループは、前記第2グループのループと、ランダムに、又は、ジグザグなどの特定のパターンに従って、交互に配置されてよい。
【0010】
前記吸収体は、特にドライ環境における処理対象表面のふき取り時に、前記ファイバの細かさによって前記表面の不規則構造に容易に取り込まれた全ての埃の収集を可能にするマイクロファイバを有する第1グループのループを備え、それらファイバの絡みによってそれらの粒子を閉じ込めるネットワークが形成される。テクスチャード加工糸を有する前記第2グループのループは、特に湿った環境において、その大きな吸収及び脂除去力を提供する第1グループのマイクロファイバと組み合わされて、大きな研磨作用を提供する。これにより、前記吸収体は、掃除用と洗浄用とに使用することが可能である。好ましくは、クリーニング手順に従って、ユーザは、掃除作業と洗浄作業との間で、同じ支持部材(又は、ほうき)のままで吸収体を交換し、これによって、特にプロ用途において、クリーニング作業が単純化され使い勝手が改善される。又、保管も簡単になる。ドライ環境でふき取るための吸収体と、湿った環境でふき取るための吸収体との間の混同を回避するために、異なる色合いの糸、特に、テクスチャード加工糸、を使用することができる。
【0011】
ふき取り用の吸収体がその所謂クリーニング面において高い摩擦係数を持つことによって特に湿った環境において滑りに対する大きな抵抗に抗してユーザの使用感を悪くすることが無いように、前記マイクロファイバに対するテクスチャード加工糸の割合は十分なものでなければならない。好ましくは、前記マイクロファイバループは、前記クリーニング面上のループの半分以上を形成し、前記テクスチャード加工ループは前記表面上のループの少なくとも1/3を占めるものとされる。この構成によって、湿った環境においてもドライ環境と同様に吸収体の使用が容易なものとなり、ふき取りが効率良く行われるものとなる。
【0012】
本発明による前記吸収体は、350g/m未満の表面密度を有するが、これは従来技術のウェット用吸収体の表面密度よりも遥かに低い。この特性により、この吸収体の保持中における水と洗浄製品の消費量が減少することから、当該吸収体の使用コストを大幅に低減することが可能である。本発明の吸収体の寿命は、一般に、前洗い、洗い、水除去そして乾燥、の工程から成る約50回の洗浄である。本出願人は、前記吸収体は、それがウェット環境であれ、又はドライ環境であれ、特に、クリーニング対象表面が、一部屋当たり約20m〜30mの小さなものである病院において、効率的なふき取りを行うために十分な表面密度を有するものであることを確認した。前記吸収体は、再使用可能で、機械洗いが可能であるので、経済的かつエコロジカルである。
【0013】
前記第1層と前記第2層とは、機織り又は編成によって得られる織物、或いは、不織布或いはタフト(房体)とすることができる。好ましくは、それらは、ワープ式又はラッセル式の編成によって得られるパネルから構成することができる。編成は、これら第1及び第2層に対してより大きな弾力性と柔軟性とを与え、それによって当該吸収体の取り扱い、特に、水分除去、を容易にする。
【0014】
前記第1外層は、好ましくは、180g/m〜250g/mの範囲の表面密度を有する。
【0015】
好ましくは、タオル状の発泡材又は発泡ポリマータイプ、或いは、糸編みポリエステル不織布、である前記中間層は、処理対象表面の洗浄中に水の貯蔵部を形成し、これによって、そのユーザが十分に前記表面の全体を効果的にクリーニングすることを可能にする。前記中間層は、好ましくは、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、又はこれらのポリマーのコポリマー、から成るポリマーのファミリーから選択される。前記中間層はまた、洗浄水が、その用途に応じて化学物質、例えば、防カビ剤、殺菌剤、などを添加されたものである場合、洗剤の貯蔵部も形成する。勿論、第1及び第2外層の織物のそれら本来の吸収力により、後者も、水と、オプションとして洗剤との貯蔵部を形成する。
【0016】
前記テクスチャード加工糸は、好ましくは、ポリアミド、レーヨン、綿、特に、ポリエステル、から成るポリマーのファミリー、又は、これらの糸の混合物、から選択される。前記テクスチャード加工糸の番手値は、好ましくは、4〜8dtex、例えば、5.11dtex、である。
【0017】
前記マイクロファイバは、その定義により、1.11dtex以下の番手値を有するものであるが、好ましくは、本発明の前記吸収体を作成するために、この番手値は、0.4dtex〜0.8dtex、好ましくは、0.56dtex〜0.58dtexの範囲である。前記マイクロファイバは、好ましくは、ナイロン、ポリプロピレン、及びポリエステルから成るポリマーのファミリー、オプションとしてそれらの混合物、から選択される。それらは、ファイバから紡糸された、好ましくは、ナイロン、レーヨン、綿、ポリエステル、ポリプロピレン、から成るポリマーのファミリー、から得られる糸(threads:より糸)と混合してもよい。
【0018】
前記吸収体は、それがクリーニング対象表面の形状に適合する瞬間からいかなる形状もとることができ、当該吸収体の取り扱いを容易にする。前記吸収体は、好ましくは、矩形又は実質的に台形の形状である。それは、又、円形又は楕円形状とすることも可能である。
【0019】
別実施例において、前記中間層は、その両面のそれぞれに、前記第1及び第2外層が融着によって固定される発泡材である。この技術は、前記第1及び第2外層の間の中間合成発泡層を、融着中に炎によって表面的に溶かされるその両面に沿って積層し、それによって生産性が低く高コストである縫製作業を回避するものである。この技法により、なんら接着剤を外部的に提供することなく、層間剥離に対して非常に耐性の高いアセンブリを得ることが可能であり、縫製糸によって生じる可能性のあるほころびが回避される。
【0020】
この融着の後、吸収体を得るために、前記第1及び第2層と前記中間層とで形成された前記複合体を超音波で切断する。前記複数の層を形成する前記選択された材料によって、超音波切断が可能となる。この切断技術は正確で、迅速であって毛玉の形成を回避するものであって、前記吸収体の縁部を硬化させず、しかも、その表面密度を増加させることがない。
【0021】
別実施例において、前記中間層は、好ましくは、20kg/m〜30kg/mの範囲の密度を有する、ポリウレタン及びポリエーテルコポリマーの発泡材である。このポリウレタン及びポリエーテルコポリマーの発泡材は、弾力があり、柔軟であって、磨耗、引き裂き、及び60℃での機械洗濯に対して良好な耐性を有する。更に、前記発泡材は、前記融着処理が可能であるように選択される。
【0022】
この薄い発泡材は、約20mの部屋のクリーニングのために十分な水の保持力と、最大数の粒子とバクテリアを収集し、エルゴノミクスを良好なものにするために、ふき取り対象表面に適合するべく、好ましくは、約3mm〜5mmの十分な厚みを有する。
【0023】
別実施例において、前記吸収体は250g/m未満、特に、約230g/mの表面密度を有する。
【0024】
別実施例において、前記吸収体は、当該吸収体1g当たり3.4gの水吸収力を有する。これにより、250m〜1,000cmの所謂クリーニング表面積を有し、180g/mの前記第1外層を含めて約230g/mの基礎重量を有する吸収体によって、それに再度湿らせることなく、20mの部屋の床をクリーニングすることが可能である。更に、前記吸収体は、以下の表に示すように、従来式洗浄体と比較して、洗浄対象表面での水切れが良好である。
【0025】
【表1】

【0026】
吸収体の構成
A:本発明の吸収体
1.クリーニング表面上に、7列のポリエステルマイクロファイバのループと、3列のテクスチャード加工ポリエステル糸のループとを有する編み物の第1外層、
2.ポリウレタン及びポリエーテルコポリマー発泡材
3.第2外層:ポリエステルニット
B:洗浄(ウォッシング)市場で市販されている従来品
この吸収体に発泡材は含まれていない。
1.第1外層:85%ポリエステルマイクロファイバ及び15%ポリアミド糸のベルベット
2.第2外層:ポリエステルニット
【0027】
この特徴により、そのユーザに対してより大きな自由度が提供されるとともに、水と洗剤との無駄が回避される。これは、時として、特定の数量規制を満たすために、洗剤の投入量が測定される、薬品産業や先端産業(マイクロプロセッサの製造)等の工業上のクリーニングにとって重要な基準である。
【0028】
別実施例において、前記第1外層のクリーニング表面のループは、2mm〜5mmの範囲の高さを有する。この範囲において、前記ループは、その形状とサイズとにより、埃の粒子やその他の微粒子の回収と閉じ込めを容易にする。
【0029】
別構成において、前記第1グループと第2グループのループは、連続する交互の列を形成する。
【0030】
本出願人は、この第1及び第2グループのループの配置によってふき取りの効率が改善され、特に、所謂クリーニング表面の摩擦係数が低減させることを見出した。
【0031】
別実施例において、所謂クリーニング表面上における第2グループのループの列の数に対する前記第1グループのループの列の数の比率は、約9/1〜6/4、好ましくは、7/3である。
【0032】
好ましくは、マイクロファイバから成る前記第1グループのループの列の数は、テクスチャード加工糸からなる前記第2グループのループの列の数よりも大きい。本出願人は、掃除と洗浄とを実行するための最良の妥協構成は、ポリエステルマイクロファイバのループの7列を、ポリエステルテクスチャード加工糸のループの3列と交互に配置することであることを見出した。この配置は、第1外層のテクスチャード加工糸の30%のループに対するマイクロファイバループの70%のループの重量比率に対応する。
【0033】
別実施例において、前記第1グループのループはポリエステルマイクロファイバのみを含み、前記第2グループのループはポリエステルテクスチャード加工糸のみを含む。
【0034】
定義上、疎水性である前記ポリエステルファイバは、低い吸収力を有するが、過剰無く化学物質を保持するには十分である。更に、それらは、洗浄される表面上でほとんど水を放出せず、したがって、乾きが早い。本来的に、ポリエステルは、脂肪を吸収し、それによって脂肪が再び堆積することを防止する。最後に、ポリエステルは、磨耗と化学物質、特に、アルカリ性洗剤に使用されるものに対する耐性が非常に高い。ポリエステルは合成材料であるので、所謂クリーニング表面の摩擦によって、そのファイバは静電気を帯び、それによってより多くの粒子を引き付ける。マイクロファイバ番手値は、好ましくは、0.56dtex〜0.58dtexの範囲である。前記テクスチャード加工糸との番手値は、好ましくは、5.11dtexの値を有する。
【0035】
別実施例において、前記第2外層は、その片面の全部又は一部上に、フックを有する支持洗浄部材に対してくっつくことが可能なループを備え、これらのループは、この第2外層が作られた前記パネルの編成時に形成される。
【0036】
好ましくは、前記第2層を形成するニットは、吸収体のリサイクルを容易にするべくポリエステルであって、前記第1外層もまたポリエステルである。前記第2外層は、好ましくは、約20〜50g/mの表面密度を有する。
【0037】
好ましくは、前記ループは、第2外層のニットに形成される孔又は「透孔」によって形成され、これらの孔又は透孔を通して、前記中間層の発泡材が見える。前記自己吸着式のフックおよび/又はループは、前記第第2外層のニットの表面に対してしっかりとくっつくことができる。
【0038】
上述した吸収体は、以下を有するクリーニングセットに使用することができる。即ち、当該クリーニングセットは、その下面に自己接着式フックを備える台に取り外し可能に取り付けられたテレスコピック(伸縮自在)式ハンドルとして構成される支持部材と、その二つの面の一方のループによって前記台の下面に取り付け可能である前記吸収体とを備える。
【0039】
前記テレスコピック式ハンドルは、その定義から調節可能な長さを有し、それにより、そのユーザは高さにおいて表面に容易にアクセスしてそれをクリーニングすることができる。前記吸収体は、その自己接着式取り付けシステムによって、前記テレスコピック式ハンドルに取り外し可能に取り付けられた前記台又は「ヘッド」の下面にしっかりと取り付けられるので、ユーザは、この吸収体を回収するのに膝を曲げる必要が無く、テレスコピック式ハンドルを揺動するだけで十分である。
【0040】
第2態様による本発明の対象は、所与の表面をクリーニングする方法であって、これは、上述の第1クリーニングセットによって埃を除去するべくドライ環境において前記表面をふき取る第1工程と、上述の第2クリーニングセットによって前記表面を洗浄するべくウェット環境において前記表面をふき取る第2工程とを有することを特徴とする。前記第1及び第2クリーニングセットは同じ支持部材を共有する。
【0041】
これにより、前記第1工程中に、ユーザは第1支持部材と、掃除用の第1吸収体とを使用する。次に、洗浄を行うために、膝を曲げることなく、ユーザは第1吸収体を、前記第1支持部材の台上で第2吸収体と取り替える。この方法は、好ましくは、約20m〜30mの比較的小さな表面用に特に適している。
【0042】
有利な構成として、前記吸収体の両外層は、それらを同じ支持部材の台上に位置するベルクロ(登録商標)タイプのフックおよび/又はループとの固定のために協働可能なループ又は「透孔」を備える。これにより、ユーザ、特に、プロのクリーニング分野のユーザ、は自分のカートに、現在の技術においては、それぞれ埃除去用の含浸不織布と洗浄用の約450g/mの表面密度を有する綿又はマイクロファイバの細片との二つの支持部材に代えて、必要な支持部材が1つだけになる。事実、現在の技術では、特性がかなり異なる二つの吸収体を使用するにはそれぞれの支持体が必要とされる。例えば、非常に軽量である予め含浸させた不織布の使用には、その不織布を支持するために十分に重い台が必要であり、これによってステーションの使い勝手が低減してしまう。
【0043】
吸収体1は、三つの層、即ち、第1外層2と、第2外層4と、中間層3とを有する。この吸収体1により、表面から埃を除去して、この表面を洗浄することができる。この目的のために、前記第1外層2は、所謂クリーニング表面5を有し、これは、複数グループの交互のループの列を備えている。図1において、同じループの三つの第1グループ8,10,12の列と、同じループの二つの第2のグループ9,11の列とが交互に設けられて識別されている。前記三つの第1グループ8,10,12は、ポリエステルマイクロファイバから成り、前記二つの第2グループ9,11はポリエステルテクスチャード加工糸から成る。好ましくは、前記ポリエステルテクスチャード加工糸は、約5.11dtexに等しい番手値を有し、前記ポリエステルマイクロファイバは、0.56dtex〜0.58dtexの番手値を有する。
【0044】
前記第1外層2は、編成織布パネル、又は、房又は不織布から形成することができる。前記パネルは、ワープ又はラッセル式の編成、特に、耐伝線性ニットを得ることが可能なラッセル式織りによって編成される。前記第1層2は、180g/m〜250g/mの範囲、より好ましくは180g/mに等しい表面密度を有する。
【0045】
前記中間層3には、その両面のそれぞれに、前記第1及び第2外層2,4が融着によって固定される。この技法は、前記第1及び第2外層2,4がはりつけられる、前記中間層3の各面の表面を融着し、それによって生産性が低くコスト高である縫製作業とほころびの危険性とを回避するものである。これにより、シャープな縁部が得られるとともに、前記吸収体1を構成する前記層2,3及び4の柔軟性が保持される。
【0046】
前記所謂クリーニング表面5のループ7は、好ましくは、2mm〜5mmの範囲の高さを有する。それらの形状と寸法とにより、これらのループ7によって、前記第1外層2がニット又はベルベット生地である場合よりも、多くの埃を収集し、閉じ込めることが可能となる。
【0047】
前記中間層3は、好ましくは、下記のポリマー又はコポリマーのファミリー、即ち、ポリエステル、ポリエーテル又はポリウレタン、から選択される。
【0048】
より詳しくは、前記中間層3は、20kg/m〜30kg/mの範囲、好ましくは25kg/mに等しい密度を有して、前記吸収体の磨耗及び圧縮に対する良好な耐性を提供する、ポリウレタンとポリエーテルのコポリマー発泡材である。前記中間層3は、20g/m〜50g/mの範囲、好ましくは、30g/mに等しい表面密度を有する。前記中間層3は、洗浄中において、水の、又オプションとして洗剤の貯蔵部を形成する。これらの第1及び第2グループは、それらを形成するファイバ又は糸により、前記吸収体を、乾燥摩擦による埃及びその他の粒子の除去と、必ずしも洗剤を使用する必要なく、ウェット環境での表面の洗浄と脂除去との両方に使用可能にする。事実、任意の表面上でマイクロファイバを乾燥条件下で擦ることによって、マイクロファイバは静電気現象によってプラスに帯電され、埃とその他の微粒子を引き付ける。
【0049】
同様に、ウェット環境では、洗浄中において、前記マイクロファイバは、極めて吸収性が高く、なんら洗剤を必要とせずに表面を脂除去することができる。前記テクスチャード加工糸は、その皺により、マイクロファイバよりも遥かに大きな番手値と見かけ体積を有する。ウェット環境においてと同様、ドライ環境においても、前記テクスチャード加工糸が、吸収されるべき表面に対して軽い磨耗を与えることを可能にし、それによってこの表面からの前記粒子の除去を容易にする。さらに、前記テクスチャード加工ポリエステル糸は、ふき取り、特にウェット環境でのふき取り中に、吸収体のスライドを容易にすることによって所謂クリーニング表面5の摩擦係数を低減する。
【0050】
この層3は、好ましくは、吸収体1g当たり水3.4gの吸収力を有する。洗浄中、前記吸収体1は、クリーニング対象表面上で徐々に水を放出し、それによって脂除去、更に、オプションとして、洗浄水に洗剤が添加されている場合には、均一な消毒、を確保する。
【0051】
前記第1グループ8,10,12のループの列の数は、前記第2グループ9,11のループの列の数が1〜4であるのに対して、7〜9である。図1では、第1グループ8,10及び12のループの列の数は7つであり、第2グループ9及び11のループの列の数は三つである。このレイアウトは、テクスチャード加工ポリエステル糸30%に対するポリエステルマイクロファイバ70%の重量比率に対応する。この比率が、埃の除去と洗浄との両方において効率的な吸収体1を製造するために最適である。
【0052】
前記第2外層4は、吸収体1を、ベルクロ(登録商標)式の自己接着手段によってほうきの台又はヘッドの下面に確実に固定する機能を有する。前記第2層4は、編成又は不織布又は織布、特に、ニット中にそれを通して前記発泡材3が見える開口部又は「透孔」を作り出すワープ式ニットによって編成可能なパネルに形成される。前記第2層4は、20g/m〜50g/mの範囲、好ましくは、20g/mに等しい表面密度と、好ましくは、0.5mm〜5mmの範囲の厚み、とを有する。前記ワープ式ニットは、前記台又はほうきのヘッドの前記下面を介して、前記支持された自己接着手段とのくっつきを可能にするべく、所定の織り方、特にジャージ織り、で製造される。
【0053】
前記吸収体1は、図2に図示されているように、台14に対して取り外し可能に取り付けられるテレスコピック(伸縮自在)ハンドル13を含むクリーニングセットの一部とすることができる。前記台14は、その下面に、前記第2層4の開口又は「透孔」に係合可能なループ/フック式の自己接着手段を備えている。これにより、ユーザは、吸収体1を回収するためにかがむ必要がない。更に、前記台14は、その上面にも、その二つの短辺に沿って、自己接着手段13a及び13bを備えている。図3においては、前記吸収体の端部15及び16は、この吸収体1の台14への固定を強化するために、前記自己接着手段13a及び13b上に折りたたまれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライ又はウェット環境で使用される吸収体であって、第1外層と、第2外層と、吸収性中間層との少なくとも三つの層を備えたものにおいて、
前記第1外層が、その所謂クリーニング表面上に、互いに交互に配置された、第1グループのループと、第2グループのループとを備え、
前記第1グループがマイクロファイバを含み、前記第2グループが1.11detx以上の番手値を有する糸を含み、そして
前記吸収体が、350g/m未満の表面密度を有することを特徴とする吸収体。
【請求項2】
前記中間層は、その両面のそれぞれに、前記第1及び第2外層が融着によって固定される発泡材である請求項1に記載の吸収体。
【請求項3】
前記中間層は、好ましくは20kg/cm〜30kg/cmの範囲の密度を有するポリウレタン及びポリエーテルコポリマーの発泡材である請求項1及び2のいずれかに記載の吸収体。
【請求項4】
当該吸収体は、250g/m未満、好ましくは、約230g/m、の表面密度を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項5】
当該吸収体は、この吸収体1g当たり水約3.4gの吸収力を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項6】
前記第1外層の前記所謂クリーニング表面上の前記ループは、2mm〜5mmの範囲の高さを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項7】
前記第1グループのループと前記第2グループのループとは、連続性で交互の列を形成している請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項8】
前記所謂クリーニング表面上の前記第2グループの列の数に対する前記第1グループのループの列の数の比率は、9/1〜6/4、好ましくは、7/3である請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項9】
前記第1グループのループはポリエステルマイクロファイバのみから成り、前記第2グループのループはポリエステルテクスチャード加工糸のみから成る請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項10】
前記第2外層は、その二つの面の一方の全体又は一部上に、フックを含む支持接着部に接着可能なループを有し、これらのループは、前記第2外層が製造されるパネルの編成中に形成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項11】
その下面に自己接着フックを備える台に取り外し可能に取り付けられたテレスコピック式ハンドルとして構成される支持部材と、その二つの面の一方のループによって前記台の下面に取り付け可能な請求項10の吸収体とを備えるクリーニングセット。
【請求項12】
請求項11の第1クリーニングセットによって、埃除去のために、前記表面をドライ環境においてふき取る第1工程、及び
請求項11の第2クリーニングセットによって、それを洗浄するために、前記表面をウェット環境においてふき取る第2工程を包含し、前記第1及び第2クリーニングセットは同じ支持部材を共用する、所与の表面をクリーニングする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−524725(P2010−524725A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503561(P2010−503561)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050685
【国際公開番号】WO2008/145900
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509289146)
【Fターム(参考)】