説明

吸殻処理装置

【課題】移動可能な簡易な構成を具備し、吸殻を含んだ消火水から吸殻を除去して、該消火水を濾過後に強制的に排出するようにした吸殻処理装置を提供すること。
【解決手段】上部に蓋12aを具備し、下部にキャスター13を設けたハウジング11からなる吸殻処理装置10は、ハウジング11内が上方仕切板15及び下方仕切板16によって上中下各区画17,18,19に分割形成されている。そして、吸殻を含む消火水は、上方仕切板15に形成した開口部15aに係合する吸殻フィルタ20により吸殻等が除去される。続いて該消火水は、下方仕切板16に設けた取水口25から、下区画19に配した濾過部30に注水される。その後、濾過された該消火水は、ポンプ31によってハウジング11下部に設けた排水口14から吸殻処理装置10の外へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸殻を含む消火水から水を分離して排水する吸殻処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅のホーム上、パチンコ店の店内、ホテルのロビー等の公共の喫煙スペースに設置されている灰皿は、煙草が確実に消火されるように、該灰皿の底部に消火水が溜められている場合がある。そのため、該灰皿を回収するときは、吸殻から溶け出したタール、ニコチン等により汚染された水が吸殻とともに回収されている。この汚染された水が下水にそのまま流されると環境汚染の原因となる。
【0003】
ここで、煙草の吸殻と水との混合物を処理するために、開閉自在の排水口を有するタンクと、前記タンクの上方に配置され、前記混合物のうち前記水のみを前記タンクに通過させる吸殻フィルターと、カートリッジフィルタが充填されている汚水フィルターと、ポンプと、前記タンクと前記ポンプとの間に配置された除塵用フィルターと、濾過水パイプとからなる吸殻処理装置が実用新案登録第3136031号公報に開示されている。
該吸殻処理装置の前記ポンプは、前記タンクの下部から前記タンク内の水を吸引し、前記汚水フィルターの下方から前記水を前記汚水フィルター内に送り込んでいる。そして、前記汚水フィルターを通過した前記水は、前記汚水フィルターの上方から排出され、前記濾過水パイプを介して再び前記タンクに戻されている。
【特許文献1】実用新案登録第3136031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の吸殻処理装置は、タンクが床に戴置されているので、該吸殻処理装置自体を移動させることができず、該吸殻処理装置まで灰皿を運ばなくてはならない。そのため、灰皿の回収及び再設置に手間がかかる。
また、上記の吸殻処理装置では、濾過された水が再度タンクに戻されていることから、濾過後の浄水が新たに投入された汚染水と混じってしまう。そのため、タンク内の水を全て清澄化するまでに時間がかかる。
【0005】
したがって、上記課題を解決するためになされた本発明は、移動可能な簡易な構成を具備し、吸殻を含んだ消火水から吸殻を除去して、該消火水を濾過後に強制的に排出するようにした吸殻処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の吸殻処理装置は、吸殻を含む消火水の投入口を上部に設け、キャスターを下部に設けたハウジングを備え、該ハウジング内を上方仕切板及び下方仕切板によって上中下3区画に形成し、前記上方仕切板に開口部を形成し、該開口部に箱形の吸殻フィルタを着脱自在に嵌合し、前記下方仕切板の角隅部に取水口を形成し、該取水口へ向かって下り勾配を形成し、前記下方仕切板の前記下区画に濾過部を設け、該濾過部と前記取水口とを注水管を介して接続し、前記濾過部とポンプとを排水管を介して接続して、前記下方仕切板に滴下した水が、前記濾過部に注水されて濾過された後に、前記ハウジング下部に設けた排水口からハウジング外部へ排出されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の吸殻処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記濾過部を、複数本のフィルタケースと、該フィルタケースにそれぞれ格納した管状のカートリッジフィルタとから構成し、前記フィルタケースの内側面と前記カートリッジフィルタの外側面との間に注水されるように、前記注水管を配すると共に、前記カートリッジフィルタの中空部に前記排水管を配し、前段のフィルタケースの前記排水管と、後段のフィルタケースの前記注水管を接続して、前記取水口から前記濾過部に注水された水が、前記フィルタケース毎に濾過されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の吸殻処理装置は、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、前記上方仕切板と前記下方仕切板との間に、少なくとも一つの通孔が形成された中仕切板を設けて、前記ハウジング内の前記中区画を2区画に分割形成し、前記中仕切板の上面に取換可能な前記吸殻フィルタよりも目が細かいシート状のプレフィルタを配したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の吸殻処理装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記上方仕切板に、前記開口部へ向って下り勾配を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の吸殻処理装置によれば、ハウジング下部にキャスターを設けた簡易な構成としたので、該吸殻処理装置自体を移動させることができる。そのため、灰皿が設置されている場所まで吸殻処理装置を移動させて、その場で吸殻を回収することができる。
また、吸殻処理装置を通過させた吸殻を含む消火水は、該吸殻処理装置の下区画に設けた濾過部で濾過された後に、ハウジング下部に設けた排水口から排出される。そのため、煙草の吸殻が含まれ、溶出したニコチン、タール等によって汚染された消火水から、吸殻及びそれらの有害物質を除去して排出することができる。したがって、水質汚染や土壌汚染等の環境汚染を防ぐことができる。
さらに、ハウジング上部に設けられた投入口に吸殻を含む消火水が注入されたときに、上方仕切板に形成した開口部に嵌合した箱形の吸殻フィルタで、吸殻と消火水とを分離することができる。そのため、吸殻の水切りを容易にすることができ、該吸殻フィルタで回収した吸殻をまとめて捨てることができる。
そして、下方仕切板の角隅部に取水口を形成し、該取水口へ向かって下り勾配を形成した。そのため、該吸殻処理装置に投入された消火水の水量が少なかった場合であっても、下方仕切板の上面側で該消火水の流れが滞ったり、水溜り等が形成されることが無い。そのため、少量の消火水であっても濾過部へ誘導することができる。
【0011】
請求項2に記載の吸殻処理装置によれば、濾過部を、複数本のフィルタケースと、該フィルタケースにそれぞれ格納した管状のカートリッジフィルタとから構成した。そのため、カートリッジフィルタが交換時期に至ったとき、フィルタケース毎に交換することができるので、容易に吸殻処理装置のメンテナンスができる。
また、前段のフィルタケースに注水された水は、ポンプにより後段のフィルタケースに移されるようにした。さらに、後段のフィルタケースから水が吸い出されるにつれて、前段のフィルタケースから新たに水が後段のフィルタケースに順次移される。そのため、後段のフィルタケース一本分の水を汲み出すことができるポンプを使用すればよいので、ポンプを小型化することができ、吸殻処理装置の小型化及び軽量化ができる。
さらに、吸殻により汚染された消火水が複数本のフィルタケースに格納されたカートリッジフィルタでそれぞれ濾過されるようにした。そのため、カートリッジフィルタに吸着若しくは捕集させる物質に合わせて、カートリッジフィルタの種類等を変えることができる。それにより、吸殻により汚染された消火水から有害物質を除去することができる。
【0012】
請求項3に記載の吸殻処理装置によれば、上方仕切板と下方仕切板で上中下の3区画に区画形成されたハウジング内の中区画部分に中仕切板を設けて、該中仕切板の上面に吸殻フィルタよりも目が細かく、シート状のプレフィルタを重ねるようにした。そのため、吸殻フィルタで除去しきれなかった灰や解れた煙草の葉っぱ等の細かなゴミ等を除去することができることから、フィルタケース内のカートリッジフィルタを目詰まりしにくくすることができ、該カートリッジフィルタを長期間使用することができる。
【0013】
請求項4に記載の吸殻処理装置によれば、上方仕切板に、開口部に向かって下り勾配を設けたことにより、投入口に投入した消火水を中区画へスムーズに流すことができる。また、下り勾配により、消火水が自然に吸殻フィルタに向かって流れるので、最後の一滴まで吸殻フィルタで消火水を濾過することができる。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例を、添付した図にしたがって説明する。
本実施例に係る吸殻処理装置10について、正面側からの概略断面図を図1に示し、側面側からの概略断面図を図2に示す。また、正面側から見た概略図を図3に示し、側面側から見た概略図を図4に示す。
ここで本実施例において、消火水とは、煙草の火を確実に消火するために灰皿の底部に溜められている水であって、吸殻からニコチン、タール等の有害物質が溶出し、汚染されている水のことをいう。また、消火水が溜められている灰皿とは、喫煙所、ホテルのロビー、駅のホーム、レジャー施設等に設けられている公共の喫煙スペースに設置されているものをいう。
【0015】
吸殻処理装置10は、図1及び図2に示すように、上部に吸殻を含む消火水を投入する投入口12を設け、下部にキャスター13を設けたハウジング11からなる。該ハウジング11は、投入口12に開閉可能な蓋12aが取り付けられている。そのため、吸殻回収時等のときに吸殻を含む消火水から発生する臭いを拡散させないようにすることができる。また、下部に清澄化された水が排出される排水口14が設けられている。
ハウジング11の内部は、上方仕切板15と下方仕切板16とによって上区画17、中区画18、下区画19の3区画に形成されている。
図3及び図4に示すように、上区画17、中区画18の一壁面には、それぞれスリット17a,18aが形成され、該スリット17a,18aには、アクリル、ガラス等からなる透明な細板が嵌合されている。そのため、投入された消火水の水位を視認することができる。下区画19の壁面の一部は切除され、該下区画19に配されている濾過部30が露出している。濾過部30については後述する。
【0016】
上方仕切板15は、中央に開口部15aが形成され、該開口部15aに向かって下り勾配が形成されている。開口部15aには、箱形の吸殻フィルタ20が嵌合されている。開口部15aの縁部と吸殻フィルタ20の口縁部とは略面一をなす。
下り勾配を形成し、開口部15aと吸殻フィルタ20の縁部とを略面一にしたことにより、投入された消火水が少量であっても、当該消火水を吸殻フィルタ20に向かって流し、当該吸殻フィルタ20の縁で堰き止めてしまうことなく、吸殻フィルタ20内へ投入することができる。
なお、本実施例においては、上方仕切板15に下り勾配及び開口部15aを形成し、吸殻フィルタ20を開口部15aに嵌合したが、開口部15aをハウジング11の内壁まで拡大させて、吸殻フィルタ20を嵌合しても良い。この場合には、下り勾配を形成せずとも消火水を全て吸殻フィルタ20で濾過して中区画18に流すことができる。
【0017】
吸殻フィルタ20は、金属や合成樹脂等からなり、目の粗いザル21にカップ状の捕集フィルタ22を取換自在に内側へ重ねて形成されている。捕集フィルタ22はHEPAフィルタとすることが好ましい。
HEPAフィルタとは、空気清浄機等に用いられている粒径が3マイクロメートル程度の微粒子を略全て捕集することができる高性能エアフィルタであって、捕集フィルタ22としてザル21に重ねることによって、吸殻を含む消火水から、吸殻、吸い残しの葉、炭、灰、その他のゴミを取り除くことができる。
また、捕集フィルタ22は、濾紙等を用いても良い。
【0018】
下方仕切板16は、角隅部に取水口25が形成され、該取水口25に向かって下り勾配が形成されている。
下方仕切板16に下り勾配を形成したことにより、吸殻フィルタ20で吸殻を捕集した後、投入された際の勢いが弱まったり、或いは捕集フィルタ22通過後に下方仕切板16上に自然落下する消火水を取水口25に容易に誘導することができる。
該取水口25の下方仕切板16下面側には、合成樹脂等からなる注水管26が接続されている。
【0019】
下方仕切板16下面側の下区画19には、濾過部30とポンプ31が配設されている。
一端26aが取水口25に接続された注水管26の他端26bは、濾過部30の注水側に接続されている。また、濾過部30の排水側には排水管27の一端27aが接続されている。排水管27は、途中ポンプ31を介して、他端27bが排水口14に接続されている。
【0020】
濾過部30は、複数本のフィルタケース35と、該フィルタケース35のそれぞれに格納されるカートリッジフィルタ36とからなる。
フィルタケース35は、図5に示すように、合成樹脂製のケース本体37と、蓋部38とからなる。蓋部38とケース本体37とは螺合され、ケース本体37の口縁部に係合させたOリング等の密封手段によって、フィルタケース35は密封されている。
ケース本体37は、合成樹脂等からなり、カートリッジフィルタ36を格納したときに、該カートリッジフィルタ36とケース本体37の内壁面との間に隙間39aが形成される。なお、ケース本体37は格納するカートリッジフィルタ36の汚れや、濾過状況が視認し易いように、透明であることが好ましい。蓋部38には、注水管26の他端26b及び排水管27の一端27aが接続されている。
注水管26の他端26bと、ケース本体37とカートリッジフィルタ36との隙間39aとは連続し、排水管27の一端27aは、カートリッジフィルタ36の中空部39bと連続する。したがって、フィルタケース35は、注水された水をカートリッジフィルタ36に浸潤させると共に、該カートリッジフィルタ36で濾過することができる。
【0021】
なお、排水効率を高めるため、カートリッジフィルタ36の中空部39bにセンターパイプを挿通し、ケース本体37底部付近からカートリッジフィルタ36で濾過された水を吸い上げさせても良い。
図1及び図2に示すように、濾過部30の注水側に設けた前段のフィルタケース35aの排水管27の他端27bと、濾過部30の排水側に設けた後段のフィルタケース35bの注水管26の一端26aとが接続されている。そのため、フィルタケース35a,35b毎に水を濾過することができる。さらに、カートリッジフィルタ36で繰り返し濾過することにより、ニコチン等で汚染された消火水からそれら有害物質を略全て除去することができる。
【0022】
本実施例においては、前後段の2本のフィルタケース35a,35bからなる実施例を示したが、フィルタケース35の使用本数は、これに限定されるものではない。
カートリッジフィルタ36は、図6に示すように、管状に形成されている。またカートリッジフィルタ36は、セルロース等の天然繊維、若しくはポリプロピレン等の合成樹脂繊維、金属繊維、ガラス繊維等からなる極めて細い繊維を所定の密度となるように絡み合わせてスポンジ状に形成されている。
上記のように形成したカートリッジフィルタ36は、消火水に含まれる有害物質の大きさに合わせて繊維密度等を設定することができ、所定の有害物質を吸着し若しくは捕集することができる。そのため、消火水からタール成分を除去することを目的とするカートリッジフィルタ36と、ニコチン等の有害物質成分を除去することを目的とするカートリッジフィルタ36をフィルタケース35a,35bのそれぞれに分けて格納することもできる。
ポンプ31は、後段のフィルタケース35bの排水管27の他端27bが接続され、さらに、排水口14への排水管27が接続されている。
【0023】
以上のように構成される吸殻処理装置は、以下のように使用される。
吸殻処理装置10の使用者は、灰皿が設置された喫煙スペースを巡回して、当該灰皿に捨てられている吸殻を消火水と共に回収する。吸殻処理装置10の下部にはキャスター13が設けてあるので、容易に回収作業を行うことができる。
【0024】
吸殻処理装置10の投入口12に吸殻を含む消火水が投入されると、吸殻フィルタ20で吸殻のみ捕集され、該吸殻フィルタ20を通過した消火水は下方仕切板16に滴下する。投入の際に、多少勢いをつけて吸殻及び消火水を投入しても、上方仕切板15で跳ね返った水が外に飛び出なさいように、上区画17の投入口12からの深さは設定されている。また、投入口12に蓋12aを設けたので、吸殻を回収しているとき等に、投入口12から悪臭が拡散することを防ぐことができる。さらに上方仕切板15に下り勾配を設けたので、上区画17に満たされた水量の多いときは勿論のこと、水量が少ない場合であっても、吸殻フィルタ20に消火水を容易に誘導することができる。
【0025】
下方仕切板16の上面に滴下した消火水は、下方仕切板16に設けた下り勾配にしたがって、取水口25に向かって流れる。下方仕切板16に下り勾配を設けたことにより、吸殻フィルタ20で最後のほうで濾過され、勢いがなくなった消火水であっても、取水口25へ流すことができる。
投入口12に投入され、上方仕切板15上に溜められた消火水の水位と、吸殻フィルタを通過し、下方仕切板16上に溜められた消火水の水位は、上区画17と中区画18に設けたスリット17a,18aにより視認することができる。
【0026】
取水口25から注水管26に流れ込んだ消火水は、濾過部30の前段のフィルタケース35aの内壁面とカートリッジフィルタ36との隙間39aに溜まる。そして、上区画17に次々と吸殻を含む消火水が投入されると、前段のフィルタケース35aに消火水が貯水され、カートリッジフィルタ36に消火水が浸潤する。
ある程度まで前段のフィルタケース35aに消火水が溜められた後に、ポンプ31を始動させると、消火水は、前段のカートリッジフィルタ36で濾過され、該カートリッジフィルタ36の中空部39bと連続する排水管27から吸い上げられて、後段のフィルタケース35bの内壁面とカートリッジフィルタ36との隙間39aに流れ込む。そして、後段のフィルタケース35bでも、同様に濾過された消火水は、排水管27からポンプ31を介して、排水口14からハウジング11外へ排水される。
濾過後の消火水は、清澄化されているので、汚濁が無く、そして、有害物質等が除かれているので、悪臭を放つこともない。そのため、下水等の排水可能な場所がなければ、排水口14から排水される濾過後の消火水を投入口12に戻して、吸殻処理装置10,10A内を循環させても良く、また、吸殻回収後の灰皿に濾過後の消火水を戻しても良い。
【0027】
上記のように、本実施例においては、段階ごとに吸殻フィルタ20及びカートリッジフィルタ36で繰り返し濾過している。そのため、消火水から吸殻等のゴミ、及びニコチン、タール等の有害物質等を略全て除去することができる。したがって、吸殻が含まれていた消火水を捨てる場合に、水質汚染、土壌汚染等の環境汚染を防ぐことができる。
また、吸殻フィルタ20で捕集された吸殻は、水切りした後で、内側に重ねられた捕集フィルタ22と共に捨てれば、容易に廃棄処理をすることができる。
また、吸殻処理装置10は、複数本のフィルタケース35a,35bからなる濾過部30、およびポンプ31のように、比較的重量のある物を下区画に配するとともに、吸殻を消火水と共に回収するにつれて、上区画17から滴下した消火水が下区画19に溜まるように構成されている。そのため、吸殻処理装置10の重心を低くすることができることから、回収作業の際に、当該吸殻処理装置11を安定させて移動することができる。
さらに、ポンプ31の汲出性能は、後段のフィルタケース35bに満たされた水を排出する圧力を具備すれば十分であるので、ポンプ31を小型、軽量化することができ、吸殻処理装置11を軽量化することができる。
【実施例2】
【0028】
第2実施例に係る吸殻処理装置を添付した図面にしたがって説明する。
本実施例に係る吸殻処理装置10Aについて、正面側からの概略断面図を図7に示し、側面側からの概略断面図を図8に示す。
吸殻処理装置10Aは、ハウジング11内に上仕切板15、下仕切板16が設けられ、上区画17、中区画18、下区画19に区画形成されている。ここで、上下仕切板15,16、上中下各区画17,18,19の構成は第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0029】
中区画18は、中仕切板40により上下半分に分割され、中上区画43a、中下区画43bが区画形成されている。
中仕切板40は、少なくとも一つの通孔41が形成されている。通孔41は、上方仕切板15から滴下する消火水の流れを妨げない態様であれば、中仕切板40に複数個形成しても良い。
中仕切板40の上面には、吸殻フィルタ20よりも小さな微粒子を捕集することができるシート状のプレフィルタ42が取換可能に敷設されている。そのため、上方仕切板15から滴下した消火水に含まれている吸殻フィルタ20で除去し切れなかったゴミをプレフィルタ42で除去することができる。
本実施例に示した吸殻処理装置10Aの使用方法については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0030】
第1実施例及び第2実施例に示した吸殻処理装置10,10Aによれば、下部にキャスター13を設けたハウジング11により、移動可能に構成したので、灰皿の設置されているその場で、吸殻の回収処理をすることができる。
また、吸殻が含まれている消火水を複数のフィルタ20,22,36,42で濾過し、濾過後にポンプ31により強制的にハウジング11外へ排水口14から排水するので、清浄な水を下水等に流すことができる。そのため、水質汚染、土壌汚染等の環境汚染を防ぐことができる。
さらに、排水口14から排水される浄水を投入口12に戻し、再度吸殻処理装置10,10A内を循環させても良い。この場合には、濾過前の汚染された消火水によって汚れた上区画17、中区画18を浄水で洗浄することができるので、投入口12から汚臭が発生するようなことを防ぐことができ、排水場所まで吸殻処理装置10,10Aを移動させる間に複数回にわたって消火水を濾過することができるので、より清澄化された浄水を排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施例に係る吸殻処理装置の正面側からの概略断面図である。
【図2】第1実施例に係る吸殻処理装置の側面側からの概略断面図である。
【図3】第1実施例に係る吸殻処理装置の正面側の概略図である。
【図4】第1実施例に係る吸殻処理装置の側面側の概略図である。
【図5】本実施例に係る吸殻処理装置の濾過部に配されるフィルタケースの概略断面図である。
【図6】本実施例に係る吸殻処理装置の濾過部のフィルタケースに格納されるカートリッジフィルタを示す斜視図である。
【図7】第2実施例に係る吸殻処理装置の正面側からの概略断面図である。
【図8】第2実施例に係る吸殻処理装置の側面側からの概略断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10,10A…吸殻処理装置、11…ハウジング、12…投入口、12a…蓋、13…キャスター、14…排水口、
15…上方仕切板、15a…開口部、16…下方仕切板、17…上区画、17a…スリット、18…中区画、18a…スリット、19…下区画、
20…吸殻フィルタ、21…ザル、22…捕集フィルタ、
25…取水口、26,26a,26b…注水管、27,27a,27b…排水管
30…濾過部、31…ポンプ、
35,35a,35b…フィルタケース、36…カートリッジフィルタ、37…ケース本体、38…蓋部、39a…隙間、39b…中空部、
40…中仕切板、41…通孔、42…プレフィルタ、43a…中上区画、43b…中下区画。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸殻を含む消火水の投入口を上部に設け、キャスターを下部に設けたハウジングを備え、
該ハウジング内を上方仕切板及び下方仕切板によって上中下3区画に形成し、
前記上方仕切板に開口部を形成し、該開口部に箱形の吸殻フィルタを着脱自在に嵌合し、
前記下方仕切板の角隅部に取水口を形成し、該取水口へ向かって下り勾配を形成し、
前記下方仕切板の前記下区画に濾過部を設け、
該濾過部と前記取水口とを注水管を介して接続し、
前記濾過部とポンプとを排水管を介して接続して、
前記下方仕切板に滴下した水が、前記濾過部に注水されて濾過された後に、前記ハウジング下部に設けた排水口からハウジング外部へ排出されるようにしたことを特徴とする吸殻処理装置。
【請求項2】
前記濾過部を、複数本のフィルタケースと、該フィルタケースにそれぞれ格納した管状のカートリッジフィルタとから構成し、
前記フィルタケースの内側面と前記カートリッジフィルタの外側面との間に注水されるように、前記注水管を配すると共に、前記カートリッジフィルタの中空部に前記排水管を配し、
前段のフィルタケースの前記排水管と、後段のフィルタケースの前記注水管を接続して、
前記取水口から前記濾過部に注水された水が、前記フィルタケース毎に濾過されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の吸殻処理装置。
【請求項3】
前記上方仕切板と前記下方仕切板との間に、少なくとも一つの通孔が形成された中仕切板を設けて、前記ハウジング内の前記中区画を2区画に分割形成し、
前記中仕切板の上面に取換可能な前記吸殻フィルタよりも目が細かいシート状のプレフィルタを配したことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の吸殻処理装置。
【請求項4】
前記上方仕切板に、前記開口部へ向って下り勾配を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の吸殻処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−278945(P2009−278945A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136149(P2008−136149)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(592208758)株式会社マックス (9)
【Fターム(参考)】