説明

吸湿剤乾燥装置および吸湿剤乾燥方法

【課題】 寿命に達した吸湿剤を吸湿呼吸器の収容容器から外部に取り出すことなくこれを乾燥処理して吸湿能力を回復させ、その後、再利用に供することのできる吸湿剤乾燥装置とその乾燥方法を提供する。
【解決手段】 吸湿呼吸器の吸湿剤収容容器内と連通する狭筒部17に連結される上蓋19に吸湿剤乾燥用容器21を連結させ、吸湿剤乾燥用容器21の下端をエアーポンプにホース22を介して接続する。エアーポンプから乾燥空気をホースを介して供給することにより、乾燥空気を吸湿剤乾燥用容器21から上蓋19および狭筒部17を介して吸湿呼吸器の吸湿剤収容容器内に供給し、これに収容される寿命に達した吸湿剤を乾燥処理し、再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿寿命に到達した吸湿剤を吸湿呼吸器の容器から取り出すことなくこれを乾燥処理して吸湿能力を回復させ、その後、再利用に供することのできる吸湿剤乾燥装置および吸湿剤乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、湿気を含んだ外気の浸入を防止する目的で吸湿呼吸器は広く利用されている。例えば、油入変圧器のコンサベータ等には、コンサベータ内の油や隔膜の劣化を防止するために吸湿呼吸器が取り付けられているのが通常である。
【0003】
前記コンサベータ内部の油は、変圧器本体や外気の温度変化によって膨張又は収縮するため、コンサベータ内の空気を呼吸(空気の出入)させる必要が生じるが、前記油は、湿気を含んだ空気と接触することにより劣化してしまうので、これを阻止するため、コンサベータに通気管を介して吸湿呼吸器を接続することにより、コンサベータ内部に吸入される空気が含む湿気を当該吸湿呼吸器によって確実に除去し、コンサベータ内の油が空気中の湿気によって電気特性が低下することを防止している。
【0004】
また、コンサベータ内の油が劣化することのないよう、コンサベータ内の油と空気を耐油性ゴム膜(以下、隔膜という)によって遮断することにより、油が空気と接触することで劣化することを防止する方法もあるが、この場合においても、当該油はその温度変化によって膨張、収縮し、前記隔膜を上下動させるため、隔膜上の空気は外気と呼吸する結果、当該隔膜も空気中に含まれる湿気によって劣化することとなる。したがって、当該隔膜が空気中の湿気と接触することのないよう吸湿呼吸器を設け、当該吸湿呼吸器によって空気中の湿気を除去した後、コンサベータの隔膜上に空気を流入させる必要がある。
【0005】
前記吸湿呼吸器としては、その収容容器内に、例えば、複数の粒からなるシリカゲル等の吸湿剤を充填し、当該吸湿剤の吸湿機能を利用して、空気中の湿気や水分を吸着することで、通気管を通してコンサベータ内に流入する空気から湿気を除去し、コンサベータ内の油又は隔膜を劣化から防いでいる。
【0006】
ここで、前記シリカゲルは、吸湿によって青色から桃色に変化していくので、例えば、吸湿呼吸器の容器側面にシリカゲルの吸湿状態(変色度合い)を目視で確認できる覗き窓を設け、シリカゲルの全体が桃色になったことを確認することでシリカゲルの寿命を認識し、寿命となったシリカゲルを新しいものと交換したり、吸湿呼吸器の容器からシリカゲルを所定の乾燥用容器内に取り出して、乾燥用容器内に空気圧縮装置(エアーポンプ)から乾燥空気を供給することにより、寿命となったシリカゲルを乾燥処理し、再利用可能にしていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−118039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の如く、寿命となったシリカゲルを新しいものと交換したり所定の再生方法により乾燥させるとしても、吸湿呼吸器の容器内から当該シリカゲルを容器外部へ取り出さなければならず、当該作業に相当の手間と時間を要し、好ましくなかった。
【0009】
特に、上記のように吸湿剤を乾燥処理する場合は、前記特許文献1に記載されているように、吸湿呼吸器の容器内の吸湿剤を乾燥用容器内に移し変えた後、当該乾燥用容器の蓋を特殊なものと取り換え、この蓋に配管を接続するとともに、配管を通して乾燥空気を供給させることにより吸湿剤を乾燥処理する必要があり、また、乾燥処理した吸湿剤を再利用する場合は、この乾燥用容器内に収容した吸湿剤を再度、吸湿呼吸器の容器内に移し変える作業が必要となり、作業者は非常に労力を要することとなり、不便極まりなかった。
【0010】
また、このような作業(乾燥処理および再利用)を省略するため、寿命となった吸湿剤を再生させることなく廃棄処分することも考えられるが、この場合、新しい吸湿剤の購入が必要となり費用が嵩むとともに、廃棄によって環境に与える負荷が増大し、環境保護の観点からも採用すべきでない。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる問題点を解決すべく、吸湿呼吸器の容器内から寿命が到来した吸湿剤を容器外へ取り出すことなく乾燥処理させ、結果として、乾燥処理後の吸湿剤を吸湿呼吸器の容器内へ再充填する必要性を省略し、簡単に再利用することが可能な吸湿剤乾燥装置および乾燥方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、室空間と大気との間に流通路を有してなる開放型の機器又は設備において、前記流通路の中途に、吸入空気に含まれる湿気や水分を除去する吸湿呼吸器を該流通路に着脱自在に具備し、かつ、該吸湿呼吸器の容器内に充填した吸湿剤を外気から閉塞する隔離油を収容した油容器を前記吸湿呼吸器に第1の連結機構を利用して着脱自在に具備し、前記第1の連結機構と連結される前記油容器の連結部と同形状の連結部を有し、かつ、エアーポンプに接続される送気管と第2の連結機構を介して連結される連結部を有する吸湿剤乾燥用容器を備えて構成した。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記吸湿剤乾燥用容器は、前記第1の連結機構との間に、前記エアーポンプから供給される乾燥空気が前記吸湿呼吸器の容器内以外へ漏出することを防止する弾性部材を備えて構成した。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は、上部の半径寸法を下部の半径寸法と比較して若干大きく形成したテーパ形状の中空部を備えた略中空筒状となして前記吸湿剤乾燥用容器内周面に着脱不能に固着して、前記第1の連結機構を当該中空部に挿嵌するように構成した。
【0015】
請求項4記載の発明は、開放型の機器又は設備が備える室空間と大気との間に流通路を有し、該流通路の中途に、吸入空気に含まれる湿気や水分を除去する吸湿呼吸器を着脱自在に設け、かつ、該吸湿呼吸器に第1の連結機構を介して連結した油容器内に隔離油を収容して前記吸湿呼吸器の容器内に充填した吸湿剤を外気から閉塞するとともに、前記吸湿剤を乾燥させる場合は、前記吸湿呼吸器を前記流通路から取り外し、かつ、前記油容器を前記第1の連結機構から離脱させ、該第1の連結機構にエアーポンプに接続される送気管を第1の連結具を利用して取付け、該エアーポンプから乾燥用の気体を前記吸湿呼吸器の容器内に送気することにより前記吸湿剤を乾燥させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、吸湿呼吸器の容器内に収容された乾燥剤を外部に取り出すことなく乾燥処理して再利用に供することができるので、従来の乾燥剤の再生方法と比較して作業に要する労力および時間を飛躍的に削減することができ、有効である。
【0017】
また、請求項1記載の発明によれば、吸湿呼吸器を開放型の機器または設備に接続される流通路と着脱自在に構成することにより、吸湿剤の乾燥処理においてエアーポンプから吸湿呼吸器の容器内に供給した乾燥空気の吐出口を容易に確保することができ、利便である。
【0018】
さらに、請求項1記載の発明によれば、既存の吸湿呼吸器に一切の加工を施すことなく、吸湿剤を吸湿呼吸器の容器内に充填した状態のまま、これを乾燥処理することができ、効果的である。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、エアーポンプから供給された乾燥用の気体は弾性部材によって、吸湿呼吸器の容器外へ漏出することを確実に防止できるので、吸湿剤の乾燥処理を効率化することが可能となり、至便である。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、前記弾性部材の中空部をテーパ形状に構成することによって、該弾性部材の中空部に第1の連結機構を容易に挿嵌することが可能となり、作業をより一層効率化することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、吸湿剤の乾燥処理のために特別な乾燥処理装置を用意する必要が一切なく、第1の連結機構にエアーポンプに接続した送気管(ゴムホース)を接続するだけで、簡単、確実、かつ、迅速に吸湿剤の乾燥処理を実現することができ、有効であるとともに、コストパフォーマンスにも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の吸湿呼吸器の利用形態の一例を示す全体構成図である。
【図2】前記吸湿呼吸器と貯油器の構成の一例を示す側面図である。
【図3】前記貯油器の要部切欠断面図である。
【図4】(a)は前記貯油器を構成する上蓋の要部切欠断面図であり、(b)は該上蓋の下面図である。
【図5】本発明の貯油器を構成する隔離油カップの要部切欠断面図である。
【図6】前記隔離油カップと送気管との接続状態を説明する図である。
【図7】エアーポンプを示す正面図である。
【図8】本発明の吸湿剤乾燥装置を構成する吸湿剤乾燥用容器と送気管の連結状態を示す要部切欠断面図である。
【図9】前記送気管を接続した吸湿剤乾燥用容器を上蓋に取り付けた状態を示す要部切欠断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図9を用いて説明する。図1は本発明に係る吸湿呼吸器1を油入変圧器2に使用した状態を示す全体構成図であり、図1において、3は変圧器本体4を内部に収容する外箱5上部に設置され、空気が直接、前記外箱5内に流入することを阻止し、外箱5内の絶縁油6が空気中の水分と接触して電気特性が低下することを防止するコンサベータを示している。
【0024】
7は前記コンサベータ3に連結され、該コンサベータ3内部と外部の大気とを連通させることにより、変圧器本体4の温度変化に応じて油が膨張、収縮(体積変化)した場合に、コンサベータ3内の油面上の空気を、当該コンサベータ3の外部へ流出させたり、内部に流入させるための通気管を示している。
【0025】
次に、前記吸湿呼吸器1の構成の一例を詳細に説明する。図2は図1に示す吸湿呼吸器1を拡大して示す側面図であり、該吸湿呼吸器1は、吸湿剤8を内部空間に充填する吸湿剤収容容器9(以下、単に収容容器という)と、該収容容器9に取り付けられ、当該収容容器9の下端を保持する基端部10、該基端部10を下支えする下板11、該下板11と一体に成形され、当該下板11の下方に突設する下段部12、前記収容容器9の上開口部を閉塞する天板13と、該天板13と一体に成形され、前記通気管7の例えば、図示しないねじ溝と螺合することにより該通気管7に接続される上段部14と、前記収容容器9の円周方向の複数位置(例えば、4半円位置)に配置され、その両端部を前記天板13および下板11に備えた図示しない貫通孔に挿通する固定軸15と、該固定軸15と螺合することにより、前記収容容器9を天板13と下板11間に揺動不能に挟持する固定ナット16を備えている。
【0026】
前記天板13には、連通管7の中空部と対応する位置に空気流出入孔(図示せず)が形成され、連通管7を介して図1に示すコンサベータ3内の空気と、上端に開口部を有した略中空筒状の収容容器9内部を連通している。また、前記収容容器9はその内部に前述したように吸湿剤8を充填するため、吸湿剤8の劣化状況を確認できるように、硝子やアクリル等の透明の素材によって形成されている。
【0027】
一方、前記収容容器9を保持する基端部10は中空筒状に形成されており、その上面(吸湿剤8と接触する面)には、例えば、図示しない微細な網目やスリットが形成されており、前記下段部12と一体に成形された狭筒部17の図示しない中空部を介して空気を収容容器9内に流入および流出させるよう構成されている。
【0028】
また、収容容器9の下方には、前記下段部12と一体成形された狭筒部17と取外自在に螺着された貯油器18が配置されている。図3に貯油器18を拡大して示す。図3に示すように、貯油器18は前記狭筒部17の先端に形成された螺子山17aと螺合される螺子溝19aを内成した上蓋19(第1の連結機構)と、該上蓋19の傘部19bにおいて、その一部を内側に屈曲させた係止片19bに係止される鍔部20aを有して、前記上蓋19の中空状の中心筒19cを内部に収容する隔離油カップ(油容器)20を備えて構成されている。
【0029】
該隔離油カップ20の内部には、上蓋19の中心筒19cの先端が没入する程度の量の油(以下、隔離油という)Xが充填されている。この隔離油Xは、収容容器9内に充填した吸湿剤8が呼吸時以外は大気と接触することのないようにカップ20内に充填するものであり、その液量は、油入変圧器2内の絶縁油6が収縮時に、上蓋19とカップ20間の隙間から図2に示す矢印に沿って流入する大気が狭筒部17内に良好に吸入される量に予め設定されている。
【0030】
また、収容容器9内に充填する吸湿剤8は、例えば、シリカゲルを利用する。シリカゲルは、半透明の氷砂糖状の結晶で、吸湿の目安にするために塩化コバルトで青色に着色したものが一部又は全て混ぜられており、これが桃色に変色したときが吸湿の限度とされる。図2に示す吸湿呼吸器1においては、このシリカゲル8によって矢印(図2参照)に沿って収容容器9内に吸入する大気に含まれる水分を吸湿する。
【0031】
図4(a)は前記貯油器18を構成する上蓋19から隔離油カップ20を取り外した状態を示す側面図であり、同図(b)は前記隔離油カップ20の下面図である。図4(a)に示すように、上蓋19はその傘部19dの側壁19eの一部(例えば、4箇所)を同図(b)に示すように、中心筒19c側に屈曲させて係止片19bを形成している。つまり、係止片19bが形成される位置以外の側壁19eは、その半径R1を各係止片19bの先端間同士を繋げることによって形成される半径R2より径大に形成されている(同図(b)参照)。
【0032】
図5は図4に示す上蓋19から取り外した隔離油カップ20を示す要部切欠断面図である。隔離油カップ20の上部には、鍔部20aが所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば、4箇所)設けられており、その長手方向の一方端には、所定の斜度(テーパー)を有する傾斜面20bが形成されている。
【0033】
すなわち、隔離油カップ20の鍔部20aは図4(b)に示す半径R1を利用して上蓋19内に侵入させるものであり、その後、隔離油カップ20を上蓋19に対してその周方向に一定角度回転させることにより、隔離油カップ20の前記鍔部20aはその傾斜面20bを円滑に図4に示す係止片19e上に滑動させて、これと係止することができ、これにより、前記隔離油カップ20は図3に示す如く、上蓋19に簡単に取り付けることができる。
【0034】
次に、図6乃至図9を用いて本発明の吸湿剤乾燥装置について説明する。本発明の吸湿剤乾燥装置は、図6に示すように、図5で説明した隔離油カップ20とその上部形状が同一である吸湿剤乾燥用容器21を具備して構成されている。つまり、その上部位置には図4に示す上蓋19の係止片19bと係止される鍔部20aを所定間隔で複数個所(例えば、4箇所)備えており、その長手方向の一方端には一定の斜度(テーパー)を備えた傾斜面20bが形成されている。
【0035】
一方、該吸湿剤乾燥用容器21の下部形状は、前記隔離油カップ20のそれとは異なり、送気管(ホース)22の先端に取り付けられた連結器具(第2の連結機構)と螺合する連結螺子24を内周面に形成した連結部21aが形成されている。
【0036】
前記吸湿剤乾燥用容器21内には、例えば、ゴム樹脂等からなる略中空筒状の弾性部材25がその外周面形状を吸湿剤乾燥用容器21の内周面形状と一致させて、これに揺動不能に止着されている。なお、前記送気管(ホース)22の他方端は図7に示すエアーポンプ26の給送口27に図示しないクリップ等を利用して抜脱不能に接続されている。
【0037】
図8に前記吸湿剤乾燥用容器21と送気管(ホース)22を連結器具23を介して接続した状態を示す。該吸湿剤乾燥用容器21内に止着した弾性部材25の中空部はその径寸法を、図4(a)に示す上蓋19の中心筒19cの外径寸法と略同径に形成されているが、その上端の半径寸法r1は下端の半径寸法r2と比較して若干径大に形成されている。つまり、弾性部材25の中空部は上方に進むに従い径大となるテーパー状に形成されている。
【0038】
次に、図2に示す収容容器9内の吸湿剤8を乾燥処理する場合は、図8に示す吸湿剤乾燥用容器21を図4(a)(b)に示す上蓋19に取り付ける。このとき、吸湿剤乾燥用容器21の鍔部20aを図4(b)に示す係止片19c間の隙間を利用して上蓋19の傘部19d内に侵入させ、その後、吸湿剤乾燥用容器21をその周方向に回転させることにより、前記鍔部20aを上蓋19の係止片19b上に滑動させてこれと係止させる。
【0039】
このとき、前記鍔部20aには、図8に示すように、その長手方向の一方端に傾斜面20bが形成されているので、この傾斜面20bが形成された側に回転させることにより、当該吸湿剤乾燥用容器21はその鍔部20aを上蓋19の係止片19b上を円滑に滑動して、これに係止させることが可能となる(図9参照)。
【0040】
また、前記吸湿剤乾燥容器21を上蓋19に取り付けるにあたって、該容器21内に具備された弾性部材25はその中空部内に上蓋19の中心筒19cを嵌合するが、該弾性部材25の中空部はその上端の半径寸法r1が下端の半径寸法r2に比して径大に形成されているので、上蓋19の中心筒19cは、弾性部材25の中空部内に円滑に嵌合される。この結果、中心筒19cと弾性部材25は気密状態を形成する。
【0041】
さらに、図2に示す吸湿呼吸器1の上段部14と通気管7との連結を若干緩めることにより、収容容器9内と外気を連通させるか、若しくは、前記上段部14と通気管7の連結状態を完全に解除して、吸湿呼吸器1を完全に通気管7から取り外して、収容容器9内と外気を連通させる。
【0042】
この状態で、図7に示すエアーポンプ26のスイッチ26aをONにすると、エアーポンプ26より乾燥した気体(例えば、圧縮空気や窒素であるが、以下、代表的に乾燥空気と記載する)が送気管(ホース)22を介して図9に示す吸湿剤乾燥用容器21内に供給される。このとき、吸湿剤乾燥用容器21と上蓋19の中心筒19c間は弾性部材25によって気密状態が保たれているので、送気管(ホース)22より供給された乾燥空気は、全て上蓋19の中心筒19c内に供給される。
【0043】
中心筒19c内に供給された乾燥空気は、該中心筒19c内を通過して狭筒部17内に吐出される。狭筒部17内に吐出された乾燥空気は、図2に示す吸湿呼吸器1の下段部12内を通過して収容容器9の内部に供給される。
【0044】
この結果、収容容器9内の吸湿剤8は乾燥空気によって乾燥処理され、例えば、吸湿剤8としてシリカゲルを使用している場合は、桃色(吸湿限度の色)から青色(吸湿能力が回復した色)に変色する。なお、吸湿度合いに応じて変色しない吸湿剤8を乾燥処理する場合は、収容容器9内に充填した吸湿剤8の分量に応じて予め設定した時間(乾燥処理に必要な時間)だけ乾燥空気を収容容器9内に供給する。
【0045】
この結果、収容容器9内に収容された吸湿剤8は、その吸湿能力を再度回復させることができる。なお、乾燥処理後の空気は上段部14と通気管7間に形成した隙間、若しくは、吸湿呼吸器1を通気管7から完全に取り外した場合は、上段部7の中空部(図示せず)より収容容器9の外部へ流出する。
【0046】
前記吸湿剤8の乾燥処理が終了したら、図7に示すエアーポンプ26のスイッチ26aをOFFし、送気管(ホース)を通して供給される乾燥空気を停止する。次に、図9に示す吸湿剤乾燥用容器21と連結器具23の連結状態を解除して送気管(ホース)22を吸湿剤乾燥用容器21から取り外す。
【0047】
この状態で、吸湿剤乾燥用容器21をその周方向に回転させて、その鍔部20aを図9に示す上蓋19の係止片19b上から移動(滑動)させ、図4(b)に示す各係止片19b間に位置させた後、図9に示す下方へ引き抜くことにより、吸湿剤乾燥用容器21を上蓋19から取り外す。
【0048】
つづいて、図5に示す隔離油カップ20をその鍔部20aを利用して図4(a)に示す上蓋19の係止片19bに係止することにより取り付け、同時に吸湿呼吸器1の上段部14と通気管7の先に一旦緩めた連結(若しくは、取り外した)状態を再度強固に連結し、図2に示す状態を再構築する。
【0049】
これにより、吸湿呼吸器1は通常の使用状態に復帰し、図2に示す矢印に沿って貯油器18内を通過して収容容器9内に吸入する外気に含まれる水分を吸湿能力が復帰した吸湿剤8によって確実に吸湿され、図1に示すコンサベータ3内に流入する空気の水分が絶縁油に接触することにより、これを劣化させることを完全に阻止することができる。
【0050】
なお、前記吸湿剤8を乾燥処理する場合、前記吸湿呼吸器1の上段部14と通気管7との連結を若干緩めるか、当該連結を完全に解除する方法に替えて、通気管7の中途に既知の三方コックを備えることにより、収容容器9内と外気とを連通させるように構成してもよい。
【0051】
つづいて、本発明の他の実施例について説明する。図2に示す通常の使用状態において、収容容器9内に充填した吸湿剤8の吸湿能力が喪失(シリカゲルであれば青色から桃色に変色)した場合、貯油器18の上蓋19から図3に示す隔離油カップ20を取り外す。取り外し方については、先の実施例と同様であるので、説明は割愛する。
【0052】
前記隔離油カップ20を取り外した上蓋19は図4(a)に示す状態となるが、この上蓋19の中心筒19cに図10に示すように、送気管(ホース)22の一方端をクリップ(第1の連結具)28を利用して接続する。当該送気管(ホース)22の他方端は図7に示すエアーポンプ26の給送口27に接続されている。
【0053】
この状態で、エアーポンプ26のスイッチ26aをONすることにより、該エアーポンプ26より乾燥空気が送気管(ホース)22を介して図10に示す上蓋19の中心筒19c内に供給される。中心筒19c内に供給された乾燥空気は、上蓋19と連結される狭筒部17内を通過して収容容器9内に供給されて、該収容容器9内に充填された吸湿剤8を乾燥処理する。
【0054】
この結果、前記吸湿剤8はその吸湿能力を回復(シリカゲル等であれば桃色から青色に変色)させることができる。なお、このとき、吸湿呼吸器1の上段部14と通気管7との連結状態を若干緩めるか、若しくは、通気管7と上段部14間の連結状態を完全に解除して、収容容器9内に供給された乾燥空気が吸湿剤8を乾燥処理した後、収容容器9の外部へ流出できるようにしておくことは、先の実施例と同様である。
【0055】
上記の如く、吸湿剤8の乾燥処理が終了したら、図10に示すクリップ28を緩め、送気管(ホース)22を上蓋19の中心筒19cから取り外した後、図5に示す隔離油カップ20を再び、図4に示す上蓋19に取り付け、図2に示す通常の使用状態を再構築する。
【0056】
この結果、本実施例においても、図2に示す矢印に沿って貯油器18内を通過して収容容器9内に吸入する外気に含まれる水分を吸湿能力が復帰した吸湿剤8によって確実に吸湿され、図1に示すコンサベータ3内に流入する空気の水分が絶縁油に接触することにより、これを劣化させることを完全に阻止することができる。
【0057】
なお、上記2実施例において、図7に示すエアーポンプ26の給送口27と送気管(ホース)22の間に、エアーポンプ26から供給される乾燥空気を加熱する装置を取り付けることにより、前記吸湿剤8の乾燥処理時間を短縮することも可能である。
【0058】
以上説明したように、本発明の吸湿剤乾燥装置および吸湿剤乾燥方法によれば、寿命に達した吸湿剤8を新しい吸湿剤と交換するために収容容器9内から取り出す必要はなく、作業に要する労力と時間を排除することができ、非常に便利である。
【0059】
また、寿命に達した吸湿剤8を乾燥処理することにより吸湿能力を回復させ再利用できるので、新たな吸湿剤を購入するための費用を削減できるとともに、寿命に達した吸湿剤を廃棄することにより発生する環境に与える悪影響を排除できる。
【0060】
さらに、前記乾燥処理は、寿命が達した吸湿剤8を収容容器9内に充填したまま行うことができるので、乾燥処理作業に費やす手間と時間を大幅に低減することができ、至便である。
【0061】
なお、上記実施例では、吸湿呼吸器1を油入変圧器2に使用した場合を例にとり説明したが、本発明は当該実施例に限定されるものではなく、室空間と大気との間に流通路を有してなるあらゆる開放型の機器又は設備について利用可能であることは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
寿命となった吸湿剤を吸湿呼吸器内から外部へ取り出すことなく乾燥処理してこれを再生することのできる吸湿剤乾燥装置と乾燥方法を提供するものである。
【符号の説明】
【0063】
1 吸湿呼吸器
2 油入変圧器
3 コンサベータ
4 変圧器本体
5 外箱
6 絶縁油
7 連通管
8 吸湿剤(シリカゲル)
9 吸湿剤収容容器
10 基端部
11 下板
12 下段部
13 天板
14 上段部
15 固定軸
16 固定ナット
17 狭筒部
18 貯油部
19 上蓋(第1の連結機構)
19a 螺子溝
19b 係止片
19c 中心筒
19d 傘部
19e 側壁
20 隔離油カップ(油容器)
20a 鍔部
20b 傾斜面
21 吸湿剤乾燥用容器
21a 連結部
22 送気管(ホース)
23 連結器具(第2の連結機構)
24 連結螺子
25 弾性部材
26 エアーポンプ
26a スイッチ
27 給送口
28 クリップ(第1の連結具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室空間と大気との間に流通路を有してなる開放型の機器又は設備において、前記流通路の中途に、吸入空気に含まれる湿気や水分を除去する吸湿呼吸器を該流通路に着脱自在に具備し、かつ、該吸湿呼吸器の容器内に充填した吸湿剤を外気から閉塞する隔離油を収容した油容器を前記吸湿呼吸器に第1の連結機構を利用して着脱自在に具備し、前記第1の連結機構と連結される前記油容器の連結部と同形状の連結部を有し、かつ、エアーポンプに接続される送気管と第2の連結機構を介して連結される連結部を有する吸湿剤乾燥用容器を備えて構成したことを特徴とする吸湿剤乾燥装置。
【請求項2】
前記吸湿剤乾燥用容器は、前記第1の連結機構との間に、前記エアーポンプから供給される乾燥用の気体が前記吸湿呼吸器の容器内以外へ漏出することを防止する弾性部材を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の吸湿剤乾燥装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、上部の半径寸法を下部の半径寸法と比較して若干大きく形成したテーパ形状の中空部を備えた略中空筒状となして前記吸湿剤乾燥用容器内周面に着脱不能に固着して、前記第1の連結機構を当該中空部に挿嵌するように構成したことを特徴とする請求項2記載の吸湿剤乾燥装置。
【請求項4】
開放型の機器又は設備が備える室空間と大気との間に流通路を有し、該流通路の中途に、吸入空気に含まれる湿気や水分を除去する吸湿呼吸器を着脱自在に設け、かつ、該吸湿呼吸器に第1の連結機構を介して連結した油容器内に隔離油を収容して前記吸湿呼吸器の容器内に充填した吸湿剤を外気から閉塞するとともに、前記吸湿剤を乾燥させる場合は、前記吸湿呼吸器を前記流通路から取り外し、かつ、前記油容器を前記第1の連結機構から離脱させ、該第1の連結機構にエアーポンプに接続される送気管を第1の連結具を利用して取付け、該エアーポンプから乾燥用の気体を前記吸湿呼吸器の容器内に送気することにより前記吸湿剤を乾燥させることを特徴とする吸湿剤乾燥方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−172836(P2010−172836A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19134(P2009−19134)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】