説明

吸着装置及びフィルム貼付装置

【課題】フィルムの貼付に際して、フィルムの吸着及び吸着解除を確実に行うフィルム貼付装置を提供する。
【解決手段】フィルム貼付装置100のフィルム貼付部10は、回転軸20に回転可能に支持される円筒状の外側枠体30と、回転軸20に外側枠体30と独立に回転可能に支持される内側枠体40との間に形成される閉空間Eを有する。フィルムステージ50は、外側枠体30の円筒面にフィルム51を供給する。貼付ステージ60は、円筒面に供給されたフィルム51を貼付する液晶パネル61を載置する。閉空間Eが、外側枠体30の第1の隔壁34と、内側枠体40の第2の隔壁41とによって、大気に連通する第1の領域Fと、減圧される第2の領域Gとに区画され、外側枠体30及び内側枠体40のいずれかを回転させて、第1の領域F及び第2の領域Gを縮小又は拡大させて、フィルム51を吸着又は吸着解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着装置及びフィルム貼付装置に関し、更に詳しくは、フィルム状の物体などを吸着するために利用される吸着装置、及び表示パネル等の貼付対象にフィルムを貼付するフィルム貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶パネルに偏光板フィルムを貼り付ける液晶表示素子用フィルム貼付装置が記載されている。液晶表示素子用フィルム貼付装置では、液晶パネルをテーブル上に保持し、偏光板フィルムを吸着面が湾曲形状の支持体に吸着し、偏光板フィルムの端部が液晶パネルの端部に当接したとき、支持体の吸着孔より吸着解除の給気を行い、液晶パネルの移動と共に、偏光板フィルムにクリーンエアを吹き付けつつ貼り付ける。
【0003】
特許文献1には、液晶パネルと偏光板フィルムの粘着材層が当接する領域近傍で順次吸着を解除することは記載されているが、その具体的な構成の記載がない。
【0004】
これに対して、特許文献2には、偏光膜吸着用のチャックドラムの内側に、ガスケットで仕切る溝空間を持つドラムを挿入し、チャックドラムのみを回転し、ガスケットで仕切る溝空間の減圧で偏光膜を吸着させ、逆回転で偏光膜端から吸着作用を消滅させて、液晶表示素子に偏光膜を貼付する技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−42315号公報(段落0049)
【特許文献2】特開昭57−51776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の技術は、ガスケットで溝空間が固定化されており、フィルムの吸着及び吸着解除に際して、溝空間の減圧を高精度で調整しなければ、フィルムの貼付位置がずれてしまうという問題があった。
【0007】
また、フィルムの落下や貼付位置ずれ等を回避するためには、特許文献1に記載のように、エアー吹き付け機構を新たに設置することも考えられる。しかし、この場合には、液晶パネルと偏光板フィルムの間にエアーによって巻き込まれたゴミが混入するという問題があった。さらに、エアーを吹き付けることにより液晶パネルと偏光板フィルムの間にエアー溜りが生じて気泡が発生するという問題もあった。
【0008】
本発明は、フィルム状の物体や粉末状の物質などの取付や運搬などに供することができる吸着装置を提供することを目的とする。また、本発明は、フィルムの貼付に際して、フィルムの吸着及び吸着解除を確実に行うことができるフィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸に回転可能に支持される円筒状の外側枠体と、前記回転軸に前記外側枠体と独立に回転可能に支持され、前記外側枠体よりも小径の円筒状の内側枠体との間に形成される閉空間を有し、
前記閉空間が、前記外側枠体に一体的に支持され前記閉空間内に突出する第1の隔壁と、前記内側枠体に一体的に支持され、前記閉空間内に突出する第2の隔壁とによって、第1の領域及び第2の領域に区画されており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記外側枠体の円筒面に配列された複数のスリットによって外部と連通すると共に、前記第1の領域は大気接続孔を介して大気又は加圧系に接続し、前記第2の領域は減圧接続孔を介して減圧装置によって減圧されていることを特徴とする吸着装置を提供する。
【0010】
本発明は、上述の吸着装置と、前記外側枠体の円筒面にフィルムを供給するフィルムステージと、前記円筒面に供給されたフィルムを貼付する貼付対象を載置する貼付ステージとを備えるフィルム貼付装置であって、
前記フィルムステージを前記外側枠体の円筒面に近づけ、前記第2の領域が拡大するように前記外側枠体及び前記内側枠体の少なくとも一方を回転させて、前記スリットを介してフィルムを前記外側枠体の円筒面に吸着させる第1の工程と、
前記貼付ステージを前記外側枠体の円筒面に近づけ、前記第2の領域が縮小するように前記外側枠体及び前記内側枠体の少なくとも一方を回転させて、前記貼付対象にフィルムを貼付する第2の工程とを含んで作動することを特徴とするフィルム貼付装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸着装置によると、外側枠体及び内側枠体の少なくとも一方を回転させて、減圧空間となる第2の領域を拡大又は縮小させることにより、物体を外側枠体の表面に吸着させ、或いは、第2の領域内に吸入し、次いで、外側枠体の表面から離脱させ、或いは、第2の領域から排出することができ、フィルム状の物体や粉末状の物質などの取付や運搬などに供することが出来る。
【0012】
本発明のフィルム貼付装置によると、外側枠体と内側枠体との間に形成される閉空間が、第1の隔壁と第2の隔壁とによって、大気と連通する第1の領域と、減圧される第2の領域とに区画され、これらの第1及び第2の領域を、外側枠体及び内側枠体の少なくとも一方を回転させることによって、縮小又は拡大できる。その結果として、フィルムを貼付する際に、吸着力を容易に制御して、フィルムの吸着及び吸着解除を確実に行うことができる。なお、第1の領域は大気系及び加圧系と共に、第2の領域よりは大気に近い減圧系にも接続することも出来る。一例として、第1の領域を加圧系に接続した場合には、フィルム吸着面とフィルムとの密着力が高すぎる際にフィルムの剥離を促進させるのに有効である。また、第2の領域よりは大気に近い減圧系に第1の領域を接続した場合には、柔軟性の低いフィルムなどを用いる際に、フィルム吸着面からの意図しない剥離を抑制するのに有効である。以下の説明では、第1の領域と外部を接続する孔を、単に大気接続孔と記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。フィルム貼付装置100は、フィルム貼付部10と、フィルムステージ50と、貼付ステージ60とを備える。フィルム貼付部10は、回転軸20に回転可能に支持される円筒状の外側枠体30と、回転軸20に外側枠体30と独立に回転可能に支持され、外側枠体30よりも小径の円筒状の内側枠体40とを有し、外側枠体30と内側枠体40との間には、閉空間Eが形成される。フィルムステージ50は、外側枠体30の円筒面にフィルム51を供給する。貼付ステージ60は、円筒面に供給されたフィルム51を貼付する貼付対象となる液晶パネル61を載置する。同図では、外側枠体30が反時計回りに回転し、外側枠体30に吸着されているフィルム51と、貼付ステージ60上の液晶パネル61とが当接し、フィルム51を液晶パネル61に貼付する状態を示している。
【0014】
本実施形態では、フィルム51は、偏光板や位相差板等の光学フィルム、又は可撓性樹脂材料からなる光学フィルムである。また、貼付対象としては、液晶パネル61である。しかし、本発明のフィルム貼付装置100では、貼付対象としては、貼付ステージ60に載置できるフィルムであればよい。一例として、貼付対象は、LCD装置に用いられる基板であり、例えば、可撓性の小さいガラス基板や、可撓性の大きいPESフィルム(ポリエーテルサルフォン)であってもよい。
【0015】
図2(a)及び(b)は、それぞれフィルム貼付部10の側面、及び、A−B線に沿った断面を示す図である。外側枠体30は、円筒面(以下、フィルム吸着面ともいう)31に形成された吸着溝32及び吸着孔33と、外側枠体30に一体的に支持され閉空間E内に突出する外側の障壁(以下、第1の隔壁という)34とを有する。第1の隔壁34には、その内部に外部と連通するための大気接続孔34aと、図示しない減圧装置に接続される減圧接続孔34bとが形成されている。また、内側枠体40は、同図(b)に示すように、内側枠体40に一体的に支持され、閉空間E内に突出する内側の障壁(以下、第2の隔壁という)41を有する。なお、図2(b)では、吸着孔33及び吸着溝32を省略している。
【0016】
図1に示した閉空間Eは、図2(b)に示すように、外側枠体30の第1の隔壁34と、内側枠体40の第2の隔壁41とによって、第1の領域F及び第2の領域Gに区画されている。第1の隔壁34は、内側枠体40の外表面(内側枠体外壁)42を摺動し、第2の隔壁41は、外側枠体30の内表面(外側枠体内壁)35を摺動する。つまり、第1の隔壁34の先端34cが、内側枠体外壁42に接触しており、また、第2の隔壁41の先端41cが、外側枠体内壁35に接触している。先端34c,41cは、同図に黒丸で示しており、同図以降も同様とし、符号は省略する。なお、外側枠体内壁35と内側枠体外壁42とにより閉空間Eが規定されている。
【0017】
第1の領域Fは、大気接続孔34aを介して外部に連通しているので大気圧に維持される。第2の領域Gは、減圧接続孔34bを介して減圧装置により減圧された減圧空間となる。なお、同図には、外側枠体30と内側枠体40とがそれぞれ回転軸20を介して回転する方向を矢印で示している。
【0018】
図3(a)及び(b)は、それぞれフィルム貼付部10の正面、及び、C−D線に沿った断面を示す図である。同図(b)では、外側枠体30のフィルム吸着面31に形成されている吸着溝32と吸着孔33との断面形状が示されている。減圧空間Gの吸着力が吸着孔33及び吸着溝32を介してフィルム51に作用し、フィルム51は、外側枠体30のフィルム吸着面31に吸着されている。なお、同図(b)では、吸着溝32を吸着孔33よりも大きな径としたが、その径や形状は適宜変更可能である。
【0019】
次に、図4を参照して、フィルム貼付部10がフィルム51を吸着又は吸着解除する原理について説明する。まず、同図(a)では、閉空間Eが、第1の隔壁34及び第2の隔壁41によって、減圧接続孔34bを減圧装置に接続して減圧状態にある減圧空間G(以下、第2の領域ともいう)と、大気接続孔34aが開放して大気圧にある空間(以下、大気圧空間又は第1の領域という)Fとに区画されている。
【0020】
減圧空間Gに連通する吸着孔b1〜b4は、フィルムステージ50から供給されるフィルム51を配置すれば、フィルム51をフィルム吸着面31に吸着する。一方、大気圧空間Fに位置する吸着孔b5〜b8は、フィルム51を吸着できない。同図(a)では吸着孔b1〜b4を介してフィルム51をフィルム吸着面31に吸着させた状態を示している。
【0021】
ここで、外側枠体30と内側枠体40の少なくとも一方を回転させると、第1の隔壁34と第2の隔壁41の相対位置が変化する。そのため、閉空間Eでの減圧空間Gと大気圧空間Fとの空間容積(空間エリア)が変化する、即ち拡大又は縮小する。
【0022】
同図(b)は、減圧空間Gの容積を小さくする方向に、外側枠体30を回転させた状態を示している。この際、減圧空間Gに連通する吸着孔33は、吸着孔b1及び吸着孔b2である。つまり、ここに位置するフィルム部位a1−a2は、フィルム吸着面31で保持される。
【0023】
一方、大気圧空間Fに連通する吸着孔b3〜b5では、ここに位置するフィルム部位a3−a4は、フィルム吸着面31に吸着されない。このようにして、フィルム貼付部10では、フィルム51の脱着(吸着及び吸着解除)が可能となる。
【0024】
以下、図5〜図8を用いて、フィルム貼付装置100の動作を詳述する。なお、図5及び図6は、フィルム51をフィルム貼付部10に吸着する動作(以下、第1の工程という)を示している。また、図7及び図8は、フィルム貼付部10に吸着されたフィルム51の吸着を解除すると共に、液晶パネル61に貼付する動作(以下、第2の工程という)を示している。
【0025】
まず、第1の工程について説明する。第1の工程では、フィルムステージ50を外側枠体30のフィルム吸着面31に近づけ、第2の領域Gが拡大するように外側枠体30を一方向に回転させる。また、フィルムステージ50をフィルム吸着面31の移動方向と同方向に移動させて、吸着孔33及び吸着溝32を介して、フィルム51を外側枠体30のフィルム吸着面31に吸着させる。ここで、「同方向」とは、フィルムステージ50と外側枠体30との接線における方向をいう。
【0026】
以下、第1の工程を具体的に説明する。まず、図5に示すように、フィルム51を吸着する前は、第2の隔壁41が吸着孔b1よりも第1の隔壁34側に位置し、全ての吸着孔が非減圧状態となっている。この状態でフィルム51と外側枠体30のフィルム吸着面31とを当接させる。
【0027】
続いて、図6(a)に示すように、反時計方向に吸着孔b1と吸着孔b2の間まで、内側枠体40を回転させる。その後、内側枠体40は、その位置を維持したまま、フィルム51を搭載したフィルムステージ50と外側枠体30とを連動して、同図に示す矢印の向きに、それぞれ移動(左方向)及び回転(時計回り)させる。そのため、同図(b)に示すように、外側枠体30のフィルム吸着面31に、該フィルム51が保持される。
【0028】
このようにして、フィルムステージ50に配置されたフィルム51は、減圧状態にある減圧空間Gに連結された吸着溝32によって、フィルム吸着面31に保持される。ここで、フィルム51を吸着孔b1で吸着するために内側枠体40を回転させる例を示したが、この動作を実施せずに、内側枠体40はその位置を維持したままフィルム51を搭載したフィルムステージ50と外側枠体30とを連動して、同図に示す矢印の向きに、それぞれ移動(左方向)及び回転(時計回り)させ、外側枠体30のフィルム吸着面31に、該フィルム51を保持してもよい。
【0029】
次に、第2の工程について説明する。第2の工程では、貼付ステージ60を外側枠体30のフィルム吸着面31に近づけ、第2の領域Gが縮小するように、外側枠体30を逆方向(反時計回り)に回転させ、貼付ステージ60をフィム吸着面31の移動方向と同方向に移動させて、液晶パネル61にフィルム51を貼付する。ここで、「同方向」とは、貼付ステージ60と外側枠体30との接線における方向をいう。
【0030】
以下、第2の工程を具体的に説明する。まず、図7(a)に示すように、第2の隔壁41と第1の隔壁34の間に形成される減圧空間Gの空間容積(エリア)が変化しないように、外側枠体30及び内側枠体40が連動して、貼付ステージ60に載置された液晶パネル61のフィルム貼付け開始位置まで、フィルム吸着面31にフィルム51を保持したまま回転及び移動を行い、フィルム51と液晶パネル61とを当接させる。なお、この際、フィルム51と液晶パネル61との位置合わせ(アライメント)は、公知の光学方式又は機械的な方式であってもよい。
【0031】
続いて、内側枠体40は、同図(b)に示すように、上記位置を保持したまま、フィルム51を吸着している外側枠体30と、貼付ステージ60とを、同図の矢印の向きに夫々連動して回転及び移動することにより、フィルム51を液晶パネル61に貼付する。このような第2の工程では、外側枠体30のフィルム吸着面31に保持されたフィルム51が、大気圧に維持される大気圧空間Fによって、フィルム吸着面31から容易に剥離(吸着解除)できる。
【0032】
なお、同図(b)に示す第2の工程で、外側枠体30を逆方向(反時計回り)に回転させ、貼付ステージ60をフィム吸着面31の移動方向と同方向に移動させるようにしたが、これに限定されず、貼付ステージ60を移動させず、外側枠体30を逆方向に回転させてもよい。つまり、フィルム51をフィルム吸着面31から剥離されるのは、外側枠体30と貼付ステージ60との相対的な位置関係に依存する。
【0033】
次いで、フィルム吸着面31の外側のフィルム面には、液晶パネル61と容易に接着可能な接着層が設けられており、該接着層と液晶パネル61とが接触すれば、フィルム51が外側枠体30のフィルム吸着面31から剥離して、図8に示すように、液晶パネル61に貼付される。
【0034】
本実施形態に係るフィルム貼付装置によれば、以下の効果を奏する。即ち、閉空間Eが、第1の隔壁34と第2の隔壁41とによって、大気圧空間となる第1の領域Fと、減圧される第2の領域Gとに区画され、これらの空間が、外側枠体30及び/又は内側枠体40の回転に伴って、縮小又は拡大される。つまり、枠体の回転によって、これらの空間の圧力状態を容易に制御して、フィルム51を液晶パネル61に貼付できる。
【0035】
また、フィルム51は、減圧空間でフィルム吸着面31に保持され、かつ、フィルム貼付時には、大気圧空間によりスムーズにフィルム吸着面31から離れる。その結果として、フィルム51と液晶パネル61とを指定の位置で精度よく貼付できる。さらに、フィルム51に不要なテンションをかけずに、液晶パネル61に貼付できるので、フィルム51がシワにならない。
【0036】
さらには、フィルム51は、貼り始めから貼り終わりまで確実にフィルム吸着面31に保持されるので、貼付途中でフィルム51が落下することはなく、エアー吹付けによる保持が不要である。そのため、フィルム51と液晶パネル61との間に気泡を入れずに貼付できる。
【0037】
なお、貼付状態をさらに好適なものとするには、フィルム吸着面31や貼付ステージ60に、硬度20〜40度程度の弾性を有するゴム又は樹脂等の弾性体を用いるとよい。その理由は、以下の通りである。液晶パネル61には、部材の歪みや装置の歪み等で、ガラス表面には略50μm程度の高低差を有するうねりがある。これに対して、フィルム吸着面31や貼付ステージ60に弾性を持たせることで、上記うねりにフィルム51や液晶パネル61が倣い、貼付圧力が均等にかかるので、気泡がより入り難くなる。つまり、平坦度の粗悪な貼付対象にもフィルム51を好適に貼付できる。
【0038】
さらに、近年、液晶パネル61の軽量化に伴い、液晶パネル61の基材であるガラス基板も薄板化が進展しており、フィルム吸着面31や貼付ステージ60に弾性を持たせることは、ガラスの割れ、欠け等を防止する等の効果もある。その他に、気泡の混入防止による低級ガラスの使用が可能となり、また、ガラスの薄板化の使用による軽量化を図ることもできる。
【0039】
対角2インチ〜23インチまでの液晶パネル61への適用を考慮して、該範囲で、液晶パネル61に対応した大きさのガラス板を用いて、一般的に市販されている液晶用偏光板を用いた偏光板貼付試験を行った。このとき、偏光板を吸着する真空圧力は−0.2kgf/cm程度以上の真空度であれば、貼付時に偏光板が落下せずに好適に貼付できることを確認している。
【0040】
また、外側枠体30の第1の隔壁34と、内側枠体40の第2の隔壁41とを用いて減圧制御が可能であるので、多数のメカニカルバルブを装置に採用する必要がない。このため、装置の製造コストの低下や故障率の低減を実現できる。
【0041】
また、外側枠体30と内側枠体40の相対的な角度を変えて、減圧空間G及び大気圧空間Fの容積を変えるだけで、複数のフィルム51のサイズ(長さ)に対応できる。これにより、液晶表示装置を製造する際のコストを低減できる。
【0042】
なお、フィルム貼付装置100では、第1の領域(大気圧空間)Fは大気系及び加圧系と共に、第2の領域(減圧空間)Gよりは大気に近い減圧系に接続してもよい。このようにすれば、一例として第1の領域Fを加圧系に接続した場合には、フィルム吸着面31とフィルム51との密着力が高すぎる際にフィルムの剥離を促進させるのに有効である。また、第2の領域Gよりは大気に近い減圧系に第1の領域Fを接続した場合には、柔軟性の低いフィルム等を用いる際に、フィルム吸着面31からの意図しない剥離を抑制するのに有効である。
【0043】
ここで、フィルム貼付装置100によりフィルム51が貼付された液晶パネル61は、液晶表示装置に用いられる。なお、液晶表示装置は、表示用電極を有する一対のガラス等の基板間に液晶等を充填させて、ガラス面上に偏光板を貼付けた後に、表示用回路基板等を取付けて、バックライトと共にシャーシに組込んで形成されるものである。
【0044】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。同図(a)は、フィルム貼付部10Aの正面を示し、同図(b)は、H−I線に沿った断面を示す図である。また、図10(a)は、フィルム貼付部10Aの側面を示し、同図(b)及び(c)は、J−K線に沿った断面を示す図である。フィルム貼付部10Aは、外側枠体30及び内側枠体40に加えて、貼付枠体70で空間を作る点で、上記フィルム貼付部10と異なる。
【0045】
即ち、フィルム貼付部10Aは、図9(b)に示すように、回転軸20に回転可能に支持された外側枠体30、内側枠体40及び貼付枠体70を互いに当接させて、圧力状態を制御する閉空間Eを形成している。
【0046】
貼付枠体70には、図9(b)及び図10(a)に示すように、貼付枠体70の内側に位置する上記閉空間Eと、フィルム吸着面71に配置された吸着溝32とを連結する、複数の吸着孔(吸着孔b1及び吸着孔b2)が配置されている。つまり、貼付枠体70は、吸着溝及び吸着孔と、フィルム吸着面71とを有しており、外側枠体30には吸着孔を設ける必要がない。なお、貼付枠体70は、回転軸20の軸方向に内側枠体40よりも外側に伸びる拡張部に相当する。
【0047】
次に、フィルム貼付部10Aの動作について説明する。閉空間Eは、図10(b)に示すように、隔壁34,41により、減圧空間である第2の領域Gと、大気圧空間である第1の領域Fとに区画されている。そのため、減圧空間に位置する吸着孔c2と吸着孔c3は、フィルム吸着面71に配置された吸着溝32にフィルム51を配置すれば、フィルム51を保持できる。一方、大気圧空間に位置する吸着孔c1とc4は、非減圧状態であるので、フィルム51を吸着できない。
【0048】
つまり、同図(b)には、外側枠体30と内側枠体40の少なくとも一方を回転させると、第1の隔壁34と第2の隔壁41の相対位置が変化するので、減圧空間及び大気圧空間の空間容積が変化する。このように同図(a)及び(b)では、減圧空間及び大気圧空間の空間容積が変化する状態が示されている。
【0049】
図10(c)は、外側枠体30と貼付枠体70を同期させて同じ方向に回転させた状態、ここでは減圧空間の容積を小さくする方向に、枠体30,70を回転させた状態を示している。ここで、減圧空間に接続する吸着孔はc2であり、フィルム51は、ここに位置する吸着溝d2によってフィルム吸着面71で保持される。一方、大気圧空間に接続する吸着孔c1とc3及びc4は、大気圧(又は加圧)となるので、フィルム吸着面71に位置する吸着溝d1とd3及びd4も大気圧(又は加圧)となる。このため、フィルム51は吸着されない。このようにして、フィルム貼付部10Aでは、フィルム51の脱着が可能となる。
【0050】
従って、貼付枠体70のフィルム吸着面71に保持されたフィルム51は、非減圧状態にある空間によって、フィルム吸着面71から容易に剥離できる。ここで、フィルム吸着面71の外側のフィルム面には、液晶パネル61と容易に接着可能な接着層が設けられており、該接着層と液晶パネル61とが接触すれば、フィルム51が貼付枠体70のフィルム吸着面71から剥離して、液晶パネル61に貼付される。
【0051】
このように本実施形態によれば、外側枠体30と内側枠体40とを製造した後に、フィルム51の幅に合わせた貼付枠体70を用意しておけば、フィルム51の幅に合わせて各種貼付枠体70を交換することもできる。
【0052】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。ここでのフィルム貼付部10Bは、減圧接続孔及び大気接続孔の配置位置が、第1の実施形態及び第2の実施形態のフィルム貼付部10,10Aと異なっている。即ち、フィルム貼付部10Bでは、第1の隔壁34ではなく、第2の隔壁41での側面の対向する位置に、減圧接続孔41b及び大気接続孔41aをそれぞれ配置している。
【0053】
フィルム貼付部10Bでは、減圧接続孔41bと大気接続孔41aを第2の隔壁41に設けることにより、外部減圧接続孔と外部大気接続孔を内側枠体40に設けることができる。つまり、外側枠体30は、フィルム51を貼付する際に大きく回転するが(動作範囲が大きい)、内部枠体40は外側枠体30に比べて動作範囲が小さい。このため、外部減圧接続孔と外部大気接続孔を内側枠体40に設けると、外部との接続配管の構成がシンプルで容易になり、さらに、接続配管の小型化、超寿命化も図ることができる。従って、装置の製造やメンテナンスのコストを下げることができる。
【0054】
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。ここでのフィルム貼付部10Cは、同図(a)及び(b)に示すように、2種類の接続孔が第1の隔壁34を挟むようにして、その近傍に配置されている。
【0055】
即ち、フィルム貼付部10Cでは、減圧接続孔34bと大気接続孔34aを隔壁の側面に設けるのではなく、第1の隔壁34を挟むようにして、その近傍に設けている。その結果として、2種類の接続孔34a,34bの加工を容易に行うことができ、装置の製造コストを下げることができる。
【0056】
(第5の実施形態)
図13(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。ここでのフィルム貼付部10Dは、2種類の接続孔を共に第2の隔壁41を挟むようにして、その近傍に配置している。
【0057】
フィルム貼付部10Dでは、減圧接続孔41bと大気接続孔41aを第2の隔壁41を挟むようにして、その近傍に設けることにより、外部減圧接続孔と外部大気接続孔を内側枠体40に設けることができる。
【0058】
従って、フィルム貼付部10Dでは、上記したフィルム貼付部10Bと同様に、外部との接続配管の構成を簡素化でき、さらに、接続配管の小型化、超寿命化を図ることができる。また、2種類の接続孔の加工が容易となり、装置の製造やメンテナンスのコストを下げることができる。
【0059】
なお、上記各実施形態では、2種類の接続孔の配置を複数示したが、これに限定されず、これらを適宜に組み合わせてもよい。一例としては、2種類の接続孔のうち、一方の接続孔を隔壁の側面に、他方の接続孔を、隔壁を挟んでその近傍に配置してもよい。
【0060】
(第6の実施形態)
図14は、本発明の第6の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図である。ここでのフィルム貼付部10Eでは、外側枠体30の第1の隔壁34、及び、内側枠体40の第2の隔壁41が、それぞれ2組配置された点で、上記各実施形態と異なっている。フィルム貼付部10Eでは、同図(a)に示すように、減圧空間及び大気圧空間をそれぞれ2つ区画することが可能となる。なお、それぞれの隔壁34,41の数をさらに増やしてもよく、また、減圧接続孔及び大気接続孔の配置位置は、上記各実施形態で示した配置を適宜選択してもよい。
【0061】
以下、図14(b)〜図15(b)を参照して、フィルム貼付部10Eの動作を説明する。まず、図14(b)に示すように、フィルムステージs1に搭載したフィルムf1、及び、フィルムステージs2に搭載したフィルムf2と、外側枠体30のフィルム吸着面31とを当接させる。
【0062】
続いて、図15(a)に示すように、フィルムステージs1とフィルムステージs2と外側枠体30とを同期して、矢印の方向に移動させると共に、フィルム吸着面31も矢印の方向に回転させる。これにより、フィルムステージs1,s2に配置されたフィルムf1及びf2は、共にフィルム吸着面31に同時に保持される。
【0063】
なお、図14(a)は、フィルムを保持した際の第1の隔壁34と第2の隔壁41の位置関係を示す図である。このように、フィルムf1及びf2は、第1の隔壁34と第2の隔壁41とで形成される減圧空間に位置する吸着孔b1〜b4及び吸着孔b5〜b8でそれぞれ保持される。
【0064】
次いで、フィルムの貼付は、図15(b)に示すように、対抗した面に配置した貼付ステージt1と貼付ステージt2が液晶パネルp1及び液晶パネルp2を搭載して、フィルムの貼付開始位置まで移動する。さらに、貼付ステージt1と貼付ステージt2を同期して、図15(b)の矢印の方向に移動させると共に、フィルム吸着面31も矢印の方向に回転させる。その後、図15(b)に示すように、フィルム吸着面31に保持されたフィルムは、フィルム吸着面31から剥離し液晶パネルに貼付けられる。
【0065】
本実施形態によれば、1回の動作でフィルムの着脱及びフィルム貼付が可能であり、単位時間当たりの処理能力を2倍まで高められる。その結果として、液晶表示装置を製造する際のコストを下げることができる。
【0066】
上記各実施形態では、吸着溝32を単なる穴としたが、これに限定されず、図16(a)に示すように吸着溝32にさらに多孔質体31aを配置してもよく、また、図16(b)に示すように、吸着溝32に微細孔体31bを用いてもよい。つまり、吸着溝32に多孔質体31a(同図(a))、又は、小径の孔を配置した微細孔体31b(同図(b))によりフィルムを吸着することで、フィルムと直接接触して吸着するひとつひとつの吸着部位が微細となる。
【0067】
従って、吸着部位によるフィルムへのダメージも小さくなり、視認し難くなると共に、その程度も軽減できる(又は発生しない)。従って、不良品を減らして歩留を向上できる。なお、ダメージとは、吸着により、対象物の吸着部分が盛上ることや吸着部位の形状が痕跡としてフィルム表面に残る現象をいう。
【0068】
また、図17に示すように吸着溝32にボール36を備えてもよい。なお、同図(a)は、吸着孔33が減圧状態であることを示しており、同図(b)は、吸着孔33が大気又は加圧状態であることを示している。吸着溝32にボール36を備えることで、フィルムを剥離する場合にボール36がフィルム吸着面31より飛び出すので、フィルムの剥離が容易となる。さらに、フィルムを剥離する際に大気接続孔を介在して吸着孔33を加圧した場合であっても、ボール36がバルブとして機能し、加圧した気体が吸着溝32から漏れことを防止する。
【0069】
吸着孔33が減圧空間にある場合には、同図(a)に示すように、ボール36はスプリング37に打ち勝って持上げられて、フィルム吸着面31から引き込まれ、フィルムの吸着がバイパス孔38を経由して行われる。
【0070】
吸着孔33が大気又は加圧空間に有る場合には、同図(b)に示すように、ボール36は内部に備えたスプリング37によりボール受け39に押し付けられ、ボール受け39と接触して気密を保ち、気体の漏れを防止すると共に、ボール36がフィルム吸着面より露出し、フィルムを強制的に剥離する。
【0071】
このように、フィルムを強制的に剥離する機構を設けることで、フィルムがフィルム吸着面31に静電気等により張り付いた場合でも容易に剥離できる。さらに、仮に、加圧(ブロー)気体等のフィルム剥離の補助手段を用いた場合であっても、フィルムの剥離の完了した吸着溝32からの気体の漏れを防止でき、気体の漏れによるゴミの巻上げ等を防ぐことができる。従って、フィルムの張り付きによるフィルムの剥離不良を減らすと共に、巻上げたゴミによる不良品を減らすことで歩留を上げられるという効果がある。
【0072】
さらに、図18に示すように、吸着溝32にボール36及び多孔質体31aを備えてもよい。なお、同図(a)は吸着孔33が減圧状態であることを示し、同図(b)は、吸着孔33が加圧状態であることを示す。吸着溝32にボール36を備えたことにより、フィルムの剥離で吸着孔33を加圧した場合に、ボール36がバルブとして機能し、加圧した気体が吸着溝32から漏れるのを防止する。
【0073】
吸着孔33が減圧空間にある場合には、同図(a)に示すように、ボール36はスプリング37により押し上げられ、フィルムの吸着はバイパス孔38を経由して行われる。また、吸着孔33が大気圧空間(ここでは、加圧空間)に有る場合には、同図(b)に示すように、ボール36はスプリング37に打ち勝って下に押し下げられて、ボール受け39と接触して気密を保ち、加圧気体の漏れを防止する。
【0074】
このようにすれば、加圧(ブロー)気体等のフィルム剥離の補助手段を用いた場合でもフィルムの剥離の完了した吸着溝32からの気体の漏れを防止でき、気体の漏れによるゴミの巻上げ等を防ぐことができる。従って、巻上げたゴミによる不良品を減らすことで歩留を向上できる。
【0075】
以上説明したように、本発明のフィルム貼付装置では、以下の態様の採用が可能である。
【0076】
第1の領域及び第2の領域の組が複数形成される。円筒面にフィルムを複数吸着できるので、効率を高めることができる。
【0077】
大気接続孔及び減圧接続孔を、第1の隔壁に形成してもよい。大気接続孔及び減圧接続孔が、第2の隔壁に形成されている。この場合には、第2の隔壁は、第1の隔壁に比べて動作範囲が小さいので、大気接続孔及び減圧接続孔に接続される配管の構成を簡素化できる。なお、大気接続孔及び減圧接続孔をそれぞれ、第1及び第2の隔壁に形成してもよい。
【0078】
大気接続孔及び減圧接続孔が、回転軸の軸方向に沿って形成されている。第1及び第2の隔壁を加工する必要がなく、大気接続孔及び減圧接続孔を容易に形成できる。
【0079】
スリットの表面に、多孔質体又は微細孔体が配設されている。この場合には、フィルムを吸着する際に、フィルムが傷つくことがない。
【0080】
スリットが、スプリングによって付勢されるボール弁によって閉止可能である。円筒面に吸着されたフィルムが、ボール弁により強制的に円筒面から剥離されるので、吸着力が低下すると、フィルムを確実に吸着解除できる。
【0081】
外側枠体は、回転軸の軸方向に内側枠体よりも外側に伸びる軸方向拡張部を備えており、該軸方向拡張部にスリットが形成されている。この場合には、軸方向拡張部にフィルムが吸着されるので、フィルムの幅に応じた軸方向拡張部を用意するだけで、各種フィルムを貼付できる。
【0082】
外側枠体の円筒面又は軸方向拡張部の円筒面が弾性体で形成されている。この場合には、貼付対象にうねりがあっても、フィルムを好適に貼付できる。
【0083】
貼付対象として表示パネルを採用できる。また、フィルムとして、光学フィルム又は、保護フィルムを採用できる。なお、光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルムがある。
【0084】
上記フィルム貼付装置のフィルム貼付部は、フィルムの貼付以外の用途にも使用可能である。例えば、減圧空間となる第2の領域を拡大又は縮小させることにより、物体を外側枠体の表面に吸着させ、或いは、第2の領域内に吸入し、次いで、外側枠体の表面から離脱させ、或いは、第2の領域から排出することができ、フィルム状の物体や粉末状の物質などの取付けや運搬などに供することが出来る吸着装置として利用可能である。
【0085】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の吸着装置及びフィルム貼付装置は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図2】(a)及び(b)は、それぞれフィルム貼付部の側面と断面とを示す図。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれフィルム貼付部の正面と断面とを示す図。
【図4】(a)及び(b)は、フィルム貼付部によるフィルムの吸着及び吸着解除の原理を説明する図。
【図5】フィルムを吸着する前のフィルム貼付部の状態を示す図。
【図6】(a)及び(b)は、図5に続いてフィルムを吸着する際でのフィルム貼付部の動作を示す図。
【図7】(a)及び(b)は、図6に続いて吸着したフィルムを吸着解除する際でのフィルム貼付部の動作を示す図。
【図8】図7に続いて、フィルムを吸着解除したフィルム貼付部の状態を示す図。
【図9】(a)及び(b)本発明の第2の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図10】(a)〜(c)は、図9に示すフィルム貼付部の動作を示す図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図12】(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図13】(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図14】(a)及び(b)は、本発明の第6の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す図。
【図15】(a)及び(b)は、図14に示すフィルム貼付部の動作を示す図。
【図16】(a)及び(b)は、それぞれ吸着溝に多孔質体又は微細孔体を配置した例を示す図。
【図17】(a)及び(b)は、それぞれ吸着溝にボール弁を配置した例を示す図。
【図18】(a)及び(b)は、それぞれ吸着溝にボール弁及び多孔質体を配置した例を示す図。
【符号の説明】
【0087】
10:フィルム貼付部
20:回転軸
30:外側枠体
34:第1の隔壁(外側の障壁)
40:内側枠体
41:第2の隔壁(内側の障壁)
50:フィルムステージ
51:フィルム
60:貼付ステージ
61:液晶パネル
100:フィルム貼付装置
E:閉空間
F:第1の領域(大気圧空間)
G:第2の領域(減圧空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に回転可能に支持される円筒状の外側枠体と、前記回転軸に前記外側枠体と独立に回転可能に支持され、前記外側枠体よりも小径の円筒状の内側枠体との間に形成される閉空間を有し、
前記閉空間が、前記外側枠体に一体的に支持され前記閉空間内に突出する第1の隔壁と、前記内側枠体に一体的に支持され、前記閉空間内に突出する第2の隔壁とによって、第1の領域及び第2の領域に区画されており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記外側枠体の円筒面に配列された複数のスリットによって外部と連通すると共に、前記第1の領域は大気接続孔を介して大気又は加圧系に接続し、前記第2の領域は減圧接続孔を介して減圧装置によって減圧されていることを特徴とする吸着装置。
【請求項2】
前記第1の領域及び第2の領域の組が複数形成される、請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
前記大気接続孔及び減圧接続孔が、前記第1の隔壁に形成されている、請求項1又は2に記載の吸着装置。
【請求項4】
前記大気接続孔及び減圧接続孔が、前記第2の隔壁に形成されている、請求項1又は2に記載の吸着装置。
【請求項5】
前記大気接続孔及び減圧接続孔がそれぞれ、前記第1及び第2の隔壁に形成されている、請求項1又は2に記載の吸着装置。
【請求項6】
前記大気接続孔及び減圧接続孔が、前記回転軸の軸方向に沿って形成されている、請求項1又は2に記載の吸着装置。
【請求項7】
前記スリットの表面に、多孔質体又は微細孔体が配設されている、請求項1〜6の何れか一に記載の吸着装置。
【請求項8】
前記スリットが、スプリングによって付勢されるボール弁によって閉止可能である、請求項1〜6の何れか一に記載の吸着装置。
【請求項9】
前記外側枠体の円筒面が弾性体で形成されている、請求項1〜8の何れか一に記載の吸着装置。
【請求項10】
前記外側枠体は、回転軸の軸方向に前記内側枠体よりも外側に伸びる軸方向拡張部を備えており、該軸方向拡張部に前記スリットが形成されている、請求項1〜8の何れか一に記載の吸着装置。
【請求項11】
前記軸方向拡張部の円筒面が弾性体で形成されている、請求項10に記載の吸着装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一に記載の吸着装置と、前記外側枠体の円筒面にフィルムを供給するフィルムステージと、前記円筒面に供給されたフィルムを貼付する貼付対象を載置する貼付ステージとを備えるフィルム貼付装置であって、
前記フィルムステージを前記外側枠体の円筒面に近づけ、前記第2の領域が拡大するように前記外側枠体及び前記内側枠体の少なくとも一方を回転させて、前記スリットを介してフィルムを前記外側枠体の円筒面に吸着させる第1の工程と、
前記貼付ステージを前記外側枠体の円筒面に近づけ、前記第2の領域が縮小するように前記外側枠体及び前記内側枠体の少なくとも一方を回転させて、前記貼付対象にフィルムを貼付する第2の工程とを含んで作動することを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項13】
前記貼付対象が表示パネルであり、前記フィルムが、光学フィルム、又は、保護フィルムである、請求項12に記載のフィルム貼付装置。
【請求項14】
前記光学フィルムは、偏光フィルム又は位相差フィルムである、請求項13に記載のフィルム貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−227430(P2009−227430A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76955(P2008−76955)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】