説明

吸込みユニット

本発明の対象は、吸込みユニット(7)であって、駆動噴流ノズル(11a)および混合管(13a)を備え、該混合管(13a)が入口領域(16a)、混合領域および出口領域(15a)を有するサクションジェットポンプ(7a)と、前記駆動噴流ノズル(11a)の上流に配置される駆動媒体管路(8)と、前記混合管(13a)と前記駆動噴流ノズル(11a)との間に配置される吸込み領域(12a)と、該吸込み領域(12a)に接続される吸込み管路(9a)とからなる形式のものに関する。サクションジェットポンプ(7a)に対して第2のサクションジェットポンプ(7b)が配置され、混合管(13a,13b)のそれぞれの出口領域(15a,15b)から流出した両液体噴流が、それぞれ他方のサクションジェットポンプ(7b,7a)の混合管(13b,13a)内の液封に至るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込みユニットであって、駆動噴流ノズルおよび混合管を備え、該混合管が入口領域、混合領域および出口領域を有するサクションジェットポンプと、前記駆動噴流ノズルの上流に配置される駆動媒体管路と、前記混合管と前記駆動噴流ノズルとの間に配置される吸込み領域と、該吸込み領域に接続される吸込み管路とからなる形式のものに関する。この種の吸込みユニットは、燃料容器内で燃料圧送のために使用される。
【0002】
冒頭で述べた形式の吸込みユニットは、従来から公知の背景技術である。吸込みユニットが直接、圧送すべき媒体内に配置されている、燃料容器の底部での使用の他、吸込みユニットが、圧送すべき媒体から離れて配置されている別の使用がある。この場合、「saugende Saugstrahlpumpe(吸込み式のサクションジェットポンプ)」と呼ばれる。それというのも、サクションジェットポンプが、サクションジェットポンプの吸込み領域から、圧送すべき媒体まで案内されている1つの吸込み管路を有するからである。最初に挙げた吸込みユニットに対する利点は、駆動媒体管路および合流噴流管路を備える従来慣用のサクションジェットポンプが2つの管路を必要とするのに対し、吸込み管路により、さらに1つの管路が、圧送したい媒体まで必要とされるにすぎない点にある。しかし、吸込み式のサクションジェットポンプの欠点は、このポンプが長い吸込み管路に基づいて必要とする負圧にある。このために、混合管の出口端部をオーバーフローポット内に配置することが公知である。この配置により、液封(Fluessigkeitsverschluss)が混合管内に形成される。液封は、サクションジェットポンプの吸込み領域内もしくは吸込み管路内の必要な負圧の形成のために必要である。その際の欠点は、オーバーフローポットを設けなければならないことであって、このことは、付加的な材料コスト、製作コストおよび組立コストの他に、貴重なスペースを要求し、燃料容器内の使用可能な容積にとって負担となる。
【0003】
それゆえ本発明は、付加的な手間なしに良好な効率を有する吸込みユニットを提供することである。
【0004】
本発明によりこの課題は、サクションジェットポンプに対して第2のサクションジェットポンプが、混合管のそれぞれの出口領域から流出した両液体噴流がそれぞれ他方のサクションジェットポンプの混合管内の液封に至るように配置されていることにより解決される。
【0005】
第2のサクションジェットポンプを、流出する液体噴流の結果、両混合管の液封が生じるように配置したことにより、両サクションジェットポンプ内には十分な負圧が形成される。その結果、サクションジェットポンプは、高い効率を有する吸込み式のサクションジェットポンプとして作業し得る。利点は、両混合管内の液封の達成のために付加的な構成部品が必要とされない点にある。特に燃料容器内には、複数のチャンバを備える燃料容器もしくは複数のチャンバと一方のチャンバ内に配置されるバッフルポットとを備える燃料容器の幾何学形状に基づいて、いずれにせよ少なくとも2つのサクションジェットポンプが必要とされるので、第2のサクションジェットポンプの配置は、付加的な手間もしくはコストを要しない。これまで唯一のサクションジェットポンプだけが必要であった用途でも、第2のサクションジェットポンプの配置は、コストを大幅に上昇させることのない僅かな追加手間にすぎない。
【0006】
構造的に簡単な構成では、サクションジェットポンプの混合管が互いに対向して配置されており、その際、混合管の長手方向軸線が互いに軸方向で整合されている。サクションジェットポンプの始動時、駆動噴流は正面衝突する。これにより、駆動噴流の渦動が発生する。この渦動域は、少なくとも混合管の出口領域が、渦動された液体により閉鎖もしくは封鎖されるような空間的な広がりを有する。その結果、液封が生じる。サクションジェットポンプの運転中、引き続いて、混合管から流出し、衝突した合流噴流は、混合管内の液封を提供する。吸込みユニットの水平の配置の他に、鉛直の配置もやはり考えられる。この配置では、特に、下から上に圧送するサクションジェットポンプにおいて、重力の結果として、極めて迅速な液封が生じる。
【0007】
サクションジェットポンプの改善された始動特性は、両サクションジェットポンプの混合管が、その長手方向軸線に関して、互いに軸線平行に配置されており、かつ両長手方向軸線間のずれが、混合管の内径よりも小さいことを特徴とする配置により達成される。ずれに基づいて、混合管から流出した駆動噴流は衝突するのではなく、互いにやり過ごし、他方のサクションジェットポンプの、それぞれ対向して位置する混合管内に進入する。これにより、渦動が生じ、ひいては極めて早期の液封が生じる。これにより、本発明による吸込みユニットは、極めて短い応答時間を有する。その際、渦動は、混合管内の、逆向きの駆動噴流との相互作用に基づいて、進入した駆動噴流の、混合管の内側輪郭への衝突または駆動噴流ノズルへの衝突により生じる。
【0008】
駆動噴流および合流噴流の圧力および通流量に依存して、混合管端部の出口領域間の間隔は、広い範囲で変更され得る。その結果、配置は種々異なる組付け状況に適合される。その際、混合管の間隔を混合管の内径の5倍以下に選択すると有利であることがわかっている。
【0009】
場合によっては、組付け状況が、両サクションジェットポンプを、混合管が互いに対向するように配置することを許容しない。この場合、両サクションジェットポンプの混合管が、混合管の両長手方向軸線が角度をなして交わり、かつ長手方向軸線の交点と、混合管の各出口領域との間隔が混合管の内径の2.5倍を超過しないように配置されていると有利であることがわかっている。衝突した噴流は、渦動された液体を形成する。その際、渦動域の空間的な広がりは、液封が混合管内に生じる大きさである。
【0010】
駆動噴流および合流噴流の圧力および通流量に依存して、混合管端部の出口領域と、混合管の長手方向軸線の交点との間の間隔、および混合管の長手方向軸線が互いに配置されている角度は、広い範囲で変更され得る。しかし、十分な渦動域の形成のためには、前記混合管の長手方向軸線間の角度が、30°〜150°であると有利であることがわかっている。
【0011】
別の有利な構成では、混合管の長手方向軸線間の角度および混合管相互の間隔が、混合管のそれぞれの長手方向軸線が、それぞれ他方のサクションジェットポンプの混合管の内側輪郭に衝突するように選択されている。その際、長手方向軸線は交わらない。長手方向軸線の交差は、長手方向軸線相互のずれにより保証される。その際、ずれは、長手方向軸線により形成される角度に対して垂直に形成されている。この配置により、サクションジェットポンプの液体噴流が、それぞれ他方のサクションジェットポンプの混合管内の液封を形成することが保証される。この場合、角度が2°〜10°の範囲にあると有利であることがわかっている。
【0012】
唯一のサクションジェットポンプを必要とする使用時、本発明による吸込みユニットの別の有利な構成は、両サクションジェットポンプの吸込み領域が、1つの共通の吸込み領域を形成し、両サクションジェットポンプの吸込み領域または吸込み管路が、1つの吸込み管路に移行することにある。これにより、第2の吸込み管路は省略される。これにより、コストは低下する。
【0013】
複数の実施例を参照しながら本発明について詳説する。
図1:燃料容器の概略断面図である。
図2:本発明による吸込みユニットの断面図である。
図3:図2に示した吸込みユニットの別の実施形態を示す図である。
図4−6:駆動噴流が交差する吸込みユニットの3つの別の実施形態を示す図である。
【0014】
図1に示す燃料容器1は、底領域で互いに隔てられた2つのチャンバ2,3を有する。チャンバ2内には、内部に燃料ポンプ5を備えるバッフルポット4が配置されている。燃料ポンプ5は燃料を、フィード管路6を介して、図示しない内燃機関へと圧送する。バッフルポット4の充填のために、本発明による吸込みユニット7が使用される。吸込みユニット7は、第1のサクションジェットポンプ7aと、第2のサクションジェットポンプ7bとからなる。吸込みユニット7は、バッフルポット4の上縁の領域で、バッフルポット4に固定されている。燃料ポンプ5により供給される駆動媒体管路8を介して、サクションジェットポンプ7a,7bは駆動される。サクションジェットポンプ7a,7bの各々は、燃料を燃料容器1からバッフルポット4に圧送するために、それぞれ1つのチャンバ2,3の底領域まで案内されている吸込み管路9a,9bを有する。
【0015】
図2は、図1に示した吸込みユニット7を、バッフルポットに固定しない状態で示す。両サクションジェットポンプ7a,7bは同じ構造を有する。接続管体10a,10bには、図示しない駆動媒体管路が接続されている。接続管体10a,10bには駆動噴流ノズル11a,11bが続く。駆動噴流ノズル11a,11bはそれぞれ1つの吸込み領域12a,12bに開口する。それぞれの吸込み領域12a,12bには、軸方向で、混合管13a,13bが接続する。各吸込み領域12a,12bは、別の接続部14a,14bを有する。接続部14a,14bは、やはり図示しない吸込み管路9a,9bに連通する。矢印は駆動噴流を象徴的に示している。駆動噴流は、接続管体10a,10bを介して駆動噴流ノズル11a,11bに供給され、かつ混合管13a,13bの出口領域15a,15bを介してそれぞれのサクションジェットポンプ7a,7bを後にする。出口領域15a,15bからの流出直後、駆動噴流は正面衝突する。その結果、駆動噴流は渦動域を形成する。渦動域は、液封を両混合管13a,13b内に形成するほど大きい。その際、両混合管13a,13b相互の間隔は、混合管13a,13bの内径にほぼ等しい。両混合管13a,13b内の液封の結果、それぞれの吸込み領域12a,12b内には、燃料を吸込むために十分な負圧が形成される。
【0016】
図3は、図2に示した吸込みユニット7の別の実施形態を示す。サクションジェットポンプ7a,7bは、矢印で象徴的に示した駆動噴流が互いに軸線平行に延びるように、互いにずらされて方向付けられている。駆動噴流の、図平面内に位置するずれは、駆動噴流が、それぞれ他方のサクションジェットポンプ7b,7aの混合管13b,13aに進入し、対向して位置する駆動噴流ノズル11b,11aに衝突するように選択されている。駆動噴流ノズル11b,11aへの衝突の結果、駆動噴流は渦動される。これにより、混合管13a,13bのそれぞれの入口領域16a,16b内での液封が生じる。こうして、やはり、燃料を吸込むために必要な負圧が達成される。
【0017】
図4および図5に示す吸込みユニット7は、図2に示したものと同じ基本構造を有する。図4では、サクションジェットポンプ7a,7bは、混合管13a,13bの、図示の駆動噴流に相当する長手方向軸線が、図平面内で6°の角度Xを形成するように配置されている。同時に、両サクションジェットポンプ7a,7bは互いにずらされている。その際、ずれは図平面に対して垂直に配置されている。こうして、混合管13a,13bから流出した駆動噴流は、交わらない。その代わりに、駆動噴流は、それぞれ他方の混合管13b,13aの内側輪郭に衝突する。ここで、駆動噴流は液封を形成する。
【0018】
図5には、両サクションジェットポンプ7a,7bがずれなしに、しかし互いに48°の角度をなして配置されている。その結果、混合管13a,13bの、駆動噴流により象徴的に示した長手方向軸線は、一点で交わる。その結果、渦動域が生じ、混合管13a,13b内の液封に至る。
【0019】
図6に示す吸込みユニット7は、図5に示した吸込みユニットとは、吸込み領域12において相違する。両サクションジェットポンプ7a,7bは、吸込み領域12で互いに接続されている。これにより、両サクションジェットポンプ7a,7bは、1つの共通の吸込み領域を形成する。この共通の吸込み領域12には、図示しない吸込み管路のための1つの接続部14が接続する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】燃料容器の概略断面図である。
【図2】本発明による吸込みユニットの断面図である。
【図3】図2に示した吸込みユニットの別の実施形態を示す図である。
【図4】駆動噴流が交差する吸込みユニットの別の実施形態を示す図である。
【図5】駆動噴流が交差する吸込みユニットの別の実施形態を示す図である。
【図6】駆動噴流が交差する吸込みユニットの別の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込みユニットであって、駆動噴流ノズルおよび混合管を備え、該混合管が入口領域、混合領域および出口領域を有するサクションジェットポンプと、前記駆動噴流ノズルの上流に配置される駆動媒体管路と、前記混合管と前記駆動噴流ノズルとの間に配置される吸込み領域と、該吸込み領域に接続される吸込み管路とからなる形式のものにおいて、サクションジェットポンプ(7a)に対して第2のサクションジェットポンプ(7b)が、混合管(13a,13b)のそれぞれの出口領域(15a,15b)から流出した両液体噴流がそれぞれ他方のサクションジェットポンプ(7b,7a)の混合管(13b,13a)内の液封に至るように配置されていることを特徴とする、吸込みユニット。
【請求項2】
前記サクションジェットポンプ(7a,7b)の混合管(13a,13b)が互いに対向して配置されており、その際、混合管(13a,13b)の長手方向軸線が互いに軸方向で整合されている、請求項1記載の吸込みユニット。
【請求項3】
両サクションジェットポンプ(7a,7b)の混合管(13a,13b)が、その長手方向軸線に関して、互いに軸線平行に配置されており、かつ両長手方向軸線間のずれが、混合管(13a,13b)の内径よりも小さい、請求項1記載の吸込みユニット。
【請求項4】
前記混合管(13a,13b)の間隔が、混合管(13a,13b)の内径の5倍を超過しない、請求項1から3までのいずれか1項記載の吸込みユニット。
【請求項5】
両サクションジェットポンプ(7a,b)の混合管(13a,13b)が、混合管(13a,13b)の両長手方向軸線が角度をなして交差し、かつ長手方向軸線の交点と、混合管(13a,13b)の各出口領域(15a,15b)との間隔が混合管(13a,13b)の内径の2.5倍を超過しないように配置されている、請求項1記載の吸込みユニット。
【請求項6】
前記混合管(13a,13b)の長手方向軸線間の角度が、30°〜150°である、請求項5記載の吸込みユニット。
【請求項7】
前記混合管(13a,13b)の長手方向軸線間の角度および前記混合管(13a,13b)相互の間隔が、混合管(13a,13b)のそれぞれの長手方向軸線が、それぞれ他方のサクションジェットポンプ(7b,7a)の混合管(13b,13a)の内側輪郭に衝突するように選択されている、請求項1記載の吸込みユニット。
【請求項8】
前記サクションジェットポンプ(7a,7b)の吸込み領域(12a,12b)が、1つの共通の吸込み領域(9)を形成する、請求項1から7までのいずれか1項記載の吸込みユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−510312(P2009−510312A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532738(P2008−532738)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066580
【国際公開番号】WO2007/036480
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508029952)ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】