説明

周囲空気気化器用の構造及び方法

極低温流体は、周囲空気気化器の2つの区画を用いて気化され、第1の区画において、周囲空気は、部分的に加熱された極低温流体の冷凍成分を用いて、水の凝固点又は水の凝固点を上回る温度で脱水され、脱水空気は、極低温流体から部分的に加熱された極低温流体を形成するために、第2の区画において用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願番号60/940066(2007年5月24日出願)及び出願番号60/942150(2007年6月5日出願)を有する同時係属中の米国特許仮出願に対し優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、熱源として周囲空気を用いて、極低温ガス、特に液化天然ガス(LNG)の気化の構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大気の周囲空気気化器は、当該技術分野で知られており、種々の極低温液体、特に液化天然ガスを気化するために、多くの極低温液体プラントで一般に用いられる。大気気化器は典型的に、熱交換器構造に基づいており、空気の顕熱及び水の潜熱が、沸点のきわめて低い極低温液体(例えば、液体酸素、液体窒素又は液化天然ガス)を沸点より高い温度に加熱するために用いられる。
【0004】
残念なことに、現在知られている周囲空気気化器の気化効率は、LNG再ガス化ターミナルによって必要とされる大きな効率に比べて低い。従って、LNGの再ガス化用の大部分の知られている周囲空気気化器は、かなり大きな設置面積を必要とし、特にオフショア及び浮上LNG再ガス化施設において、不経済又は非実用的であることが多い。
【0005】
最新技術の周囲空気気化器/熱交換器は典型的に、種々の直列構造及び/又は並列構造における複数の個別のマルチフィン型熱伝達要素を含む。そのようなフィン型熱交換器は、LNGを気化して過熱するために、周囲空気から熱を伝達するための効率が比較的よい。これらの熱交換器の大部分は、垂直配向にあり、気化器チューブにおいて(重力により)下向きの冷たいより濃い空気とLNGの上向きの流れとの間の向流を有する。そのような構造の典型的な実施例は、米国特許第4,479,359号明細書、米国特許第5,174,371号明細書及び米国特許第5,251,452号明細書に記載されている。熱交換流体又は直接加熱を伴う更に知られているLNG再ガス化構造が、米国特許出願公開第2006/0196449号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような周囲空気交換器の大部分は、少なくともかなりの操業期間中、比較的効率的にLNGを再ガス化する間、特にLNGが入る交換器の下部において、外部フィンにおける氷形成及び蓄積は、氷の断熱特性により熱伝達を妨げる。更に、氷層は、チューブに沿って不均一に分散される可能性があり、交換器に重量を加え、場合によっては、交換器の重心を変えることさえある。過剰な氷層形成はまた、風及び地震荷重のための厳しい構造的規準を満たすために、構造設計において問題となる。
【0007】
氷層が許容可能でないレベルまで蓄積した場合には、LNGの気化は典型的に、停止され、交換器は、除氷サイクル待機に委ねられる。多くの場合には、除氷は、自然通風対流によって行われ、時間がかかる。従来の交換器において除氷時間を削減するために、1つ以上の強制通風空気ファンが利用されてもよい。しかしながら、そのような動作は、加熱動作を更に抑制する更なる氷生成により、あまり効果的ではない上、空気循環ファンの高いエネルギ消費を必要とする(例えば、高温かつ高湿の環境において、熱交換器に関する動作コストの50%を超えるコストが、除氷又は霜取り要求のためとなる)。大部分の知られている周囲空気気化器の動作はまた、温度、相対湿度、風、太陽放射及び/又は周囲の構造などの環境要因に左右される。湿度及び乾球温度における日較差であっても、熱交換器性能に影響を及ぼす可能性がある。米国特許出願公開第2007/0214806号明細書及び米国特許出願公開第2007/0214807号明細書に記載されているように、氷生成を削減するために、中間熱伝達流体サイクルは、冷却された空気を空気気化器に押し込む前に、周囲空気を冷却し、部分的に脱水させるために用いられてもよい。或いは、米国特許第7,155,917号明細書に記載されているように、氷生成の削減又は防止のために、直接加熱が、利用されてもよい。そのようなデバイス及び方法において得られるいくつかの利点にもかかわらず、中間熱伝達流体のポンプ機能、加熱及び温度調整は、相当のエネルギを必要とし、LNG気化器の複雑さ及びスペース要件を増大させる。
【0008】
従って、LNGの周囲空気気化の様々な構造及び方法は、当該技術分野で知られているが、それらの全て及び殆どは、1つ以上の欠点を被る。従って、LNGの再ガス化のための改善した構造及び方法を提供することに依然として需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、周囲空気気化器において極低温流体を気化する種々の構造及び方法に関し、部分的に加熱された極低温流体の冷凍成分を用いて、周囲空気から水が凝縮されて脱水空気を形成し、次に、極低温流体を加熱するために利用され、それにより、部分的に加熱された極低温流体を生成する。その結果、霜取りサイクル及び/又は霜取り流体を必要とすることなく、減少したエネルギ消費で連続動作が可能である。
【0010】
本発明主題の一態様において、周囲空気気化器は、複数の気化管路を少なくとも部分的に包囲する区切られたエンクロージャを含み、エンクロージャの第1の区画は、収集トレイによって第2の区画から離隔される。最も好ましくは、第1の区画は、少なくとも32°Fの温度で周囲空気からの水の凝縮を可能にし、更に冷却源として気化管路を用いて脱水空気の生成を可能にし、収集トレイは、第1の区画から第2の区画への脱水空気の通過を可能にし、第1の区画から凝縮物の除去を可能にする。そのような気化器において、第2の区画は、脱水空気を用いて気化管路における極低温流体の加熱を可能にし、気化管路は、第1の区画及び第2の区画にわたって延在することが特に好ましい。
【0011】
最も好ましくは、第1の区画は、凝集(coalescing)フィルタ又は要素と、収集トレイに流体的に接続される排水管とを備え、第1の区画及び第2の区画は、互いに垂直に接続され、上から下への空気の流れ又は下向きの空気の流れを可能にする。また、ファンは、エンクロージャに接続され、周囲空気を第1の区画に押し込むことが好ましい。本発明の主題に限定されるわけではないが、一般に、制御システムは、例えば、第1の区画からの気化された極低温流体の流れを制御することによって、及び/又は第2の区画への極低温流体の流れを制御することによって、第1の区画の気温を32°Fを上回るように維持することが更に好ましい。或いは又はその上、従来の周囲空気気化器において落下する氷に関連する危険を回避するために、気化器への極低温流体の供給流量を低減し、上部区画における周囲空気及び凝集器(coalescer)トレイからの熱を用いて、制御された霜取り工程を可能にする制御システムが、検討される。
【0012】
異なる視点から見れば、極低温流体用の特に好ましい気化器は、1つ以上の気化管路(典型的に、フィン型交換器チューブ)を少なくとも部分的に包囲する第1の区画及び第2の区画を有するエンクロージャを含み、第1の区画及び第2の区画は、第2の区画における空気を用いて、気化管路における極低温流体の加熱を可能にし、第1の区画における空気の水分を凝縮するが、凍らせないようにするために有効な第1の区画における温度を加熱された極低温流体が、有するような温度にする。
【0013】
そのようなデバイスにおいて、一般に、排水管部分及び収集トレイ(第1の区画と第2の区画との間に位置決めされる)が更に一層好ましく、トレイは、第1の区画から第2の区画への空気の通過を可能にし、第1の区画からの凝縮物の取水を可能にする。最も典型的には、ファンは、エンクロージャに接続され、エンクロージャの外側から第1の区画、収集トレイ及び第2の区画を通って空気を移動させる。また、上述のように、制御システムは、例えば、気化管路への極低温流体の流れ又は気化管路からの極低温流体の流れを制御することによって、第1の区画における気温を32°F付近(例えば、+/−5°F)又は32°Fより高い温度に維持することが好ましい。更に好ましい態様において、凝集フィルタ又は要素は、第1の区画に含まれる。
【0014】
その結果、周囲空気を用いて気化管路において極低温流体(例えば、LNG)を気化する方法が、検討され、部分的に加熱された極低温流体が、周囲空気を冷却して脱水し、32°Fを下らない温度にする。凝縮物は次に、脱水空気から除去され、冷却及び脱水された空気は次に、極低温流体から部分的に加熱された極低温流体を形成するために用いられる。最も典型的には、周囲空気を脱水するステップは、部分的に加熱された極低温流体が形成される第2の区画から分離される気化器の第1の区画において行われる。本発明の主題に限定されるわけではないが、第1の区画の温度は、制御システムによって、典型的に、気化管路における極低温流体の流れの制御を介して(例えば、制御システムは、第1の区画からの気化された極低温流体の流出及び/又は第2の区画への極低温流体の流入を制御する)、維持されることが好ましい。最も典型的には、凝縮物を除去するステップは、凝集フィルタと、第1の区画と第2の区画との間に配置される収集トレイとを用いて行われる。
【0015】
本発明の種々の目的、特徴、態様及び利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更に明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の主題による周囲空気気化器の1つの概略図である。
【図2】本発明の主題による周囲空気気化器の別の概略図であり、制御システムは、気化された極低温流体の流出を調節することによって温度を制御する。
【図3】本発明の主題による周囲空気気化器の他の概略図であり、制御システムは、極低温流体の流入を調節することによって温度を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者は、水の略凝固点又は水の凝固点を超える温度で動作する気化器の区画において、水が凝縮され、周囲空気から除去され、従って、冷却されて乾燥された空気が次に、交換器の別の区画における気化のために更に用いられるデバイス及び方法において、周囲空気気化器の霜取りが減少されるか、又は完全に回避すらされることができることを発見した。最も好ましくは、そのような区画は、直列に配置され、強制空気の流れを利用し、水分が、凝集フィルタ、分離デバイス及び凝縮物排水管システムを含み得る種々のデバイスを用いて、気化器の温かい区画から除去される。最も好ましくは、種々の周囲温度及び相対湿度の下で霜の付かない動作を提供する制御システムが、実装される。
【0018】
そのような構造は、霜取り時間を削減又は短縮し、オンストリーム操業を増大し、熱交換サイズ及びプラント設置面積を減少させることを認識すべきである。また、検討される水除去構造において、下部区画に流れる空気は、略完全に乾燥され、従って、極低温流体が入る下部区画において、氷生成を回避し、気化器の底部を出るより低温の空気(典型的に−50°Fから−100°F)及びより小さな熱交換器を結果として生じることを留意すべきである。更に、検討される構造及び方法は、周囲空気が温かく、高湿度を有する熱帯地域において、特に有利であることを留意すべきである。従って、交換器フィンの結氷の回避により、削減したスペース要件でLNG加熱サイクルの効率を著しく改善する。所望であれば(例えば、オフショア再ガス化ターミナルにおいて)、好ましい構造及び方法は、検討される周囲空気加熱器においてLNGを加熱する前に、LNG圧力をパイプライン圧力まで引き上げるステップを含んでもよい。周囲空気気化器は、垂直チューブ配向を有し、水が空気から凝縮され、重力によって除去され、チューブが自然対流モード又は誘導空気ファンを用いた強制対流において、周囲空気によって加熱されることが典型的に好ましい。その上、検討されるデバイス及び方法はまた、米国特許仮出願第60/899292号(2007年2月1日出願)の同時係属中の特許仮出願に記載されたものと組み合わせてもよく、出願番号60/899292号は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0019】
従って、極低温流体用及び特にLNG用の検討される気化器は、気化管路を少なくとも部分的に包囲する少なくとも2つの区画を有するエンクロージャ(典型的に頂部及び底部に開放端部がある)を含み、第1の区画及び第2の区画は、第2の区画における空気を用いて気化管路における極低温流体の加熱を可能にするように構成、寸法化され、第1の区画における空気の水分を凝縮するが、凍らせないようにするために有効な第1の区画における温度を加熱された極低温流体が、有するような温度にする。そのように凝縮された水は典型的に、凝集フィルタによって形成され、エンクロージャから、複数の開口部を含み、トレイの上の区画からトレイの下の区画に空気を流すことを可能にする収集トレイを介して除去される。トレイ又はハウジングはこのとき、区画からの水の除去を可能にする排水管要素を更に含む。当然のことながら、特に、気化器が比較的高湿の気候に位置している場合には、2つ以上の水除去区画が用いられてもよいことを認識すべきである。更に、気化器は、強制通風ファン又は頂部から底部方向への周囲空気の強制移動を可能にする他の空気移動デバイス(例えば、ブロワ、ジェットなど)を含むことが一般に好ましい。
【0020】
異なる視点から見れば、好ましい気化器は、複数の気化管路(好ましくは、第1の区画及び第2の区画にわたって延在する)を少なくとも部分的に包囲するように構成される区切られたエンクロージャを含み、エンクロージャの第1の区画は、収集トレイによって第2の区画から離隔されることを認識すべきである。最も典型的には、第1の区画は、少なくとも32°Fの温度で、周囲空気からの水の凝縮を可能にし、冷却源として気化管路を用いた脱水空気の形成を可能にするように構成される。収集トレイは、第1の区画から第2の区画への脱水空気の通過を可能にし、第1の区画からの凝縮物の除去を可能にするように構成され、第2の区画は、脱水空気を用いて気化管路における極低温流体の加熱を可能にするように構成される。
【0021】
1つの特に好ましい構造において、周囲空気は、二重区画空気気化器設計及び構造を用いて、LNGへの加熱を提供するために用いられる。頂部区画は、約20°Fから40°FへLNGストリーム9を加熱し、下部区画は、−250°Fから20°FへLNGストリーム8を加熱する。LNGは典型的に、自然対流ファン又は誘導通風ファンのいずれかを用いて、周囲空気を下向きにする垂直配向における周囲空気気化器において加熱される。殆ど全ての水が、頂部区画において周囲空気から除去されるため、乾燥した空気(水の欠乏した空気)は、知られている結氷問題を生じることなく、下部区画において低温のLNGを更に加熱するために用いられることができ、従って、霜取りサイクルに関連する非効率性及び工程の中断を回避する。このようにして生成された水は、高純度からなり、住宅消費用に又は産業消費用に更に再生されることができるか、又は何らの環境問題を生じることなく、海に直接排出されることができる。
【0022】
従って、LNG及び他の極低温流体は、極低温流体の冷凍成分が、2つの区画において利用される構造及び方法において、気化されることができることを特に認識すべきである。第1の区画において、冷凍成分は、水の略凝固点又は水の凝固点をわずかに超える温度(例えば、5°F)まで周囲空気を冷却するために利用され、それにより、周囲空気から水を凝縮する。第2の区画において、冷凍成分は、第1の区画から(少なくとも部分的に)乾燥した空気を更に一層冷却するために利用される。最も典型的には、そのような構造は、向流モードにおいて作動され、第2の区画は、極低温流体を受け入れて、温めた液体(又は2相ストリーム)を第1の区画に提供する。
【0023】
1つの例示の周囲空気LNG気化器が、図1に概略的に示されている。本明細書では、約1200から1600psig及び−260°Fから−250°Fの加圧されたLNGストリーム1が、マニホルド51を介して周囲空気気化器70の底部に入る。好ましくは、気化器70は、フィン型交換器チューブ71として典型的に構成され、エンクロージャ72において部分的に包囲される複数の気化管路を含み、その結果、強制空気ファン50によって駆動される周囲空気ストリーム5が、下向きに流れ、エンクロージャ72を出ると同時に、マニホルド51を介して気化器の底部に入るLNG入口ストリームを加熱する。十分な熱量が、LNGを気化するために必要とされることは、認識されるべきである。例えば、1600psigで1BCFDのLNGを気化することは、熱効率約500NN Btu/hを必要とする。そのような状況下で、気化器における水は、気化器が作動中である位置の相対湿度に応じて、約300から500gpmで生成される。
【0024】
冷却された周囲空気から水ミストを凝集するためには、多段分離器要素が用いられることが好ましい。最も好ましくは、分離器要素は、典型的に重力及び/又は遠心力による微粒子及び液滴の除去のための凝集フィルタ54を含む。水滴は、収集トレイ55に落ち、重力によって降水管58へ排水されて、続いて、ストリーム10としてシステムから除去される。分離器要素は、1つ以上の層状凝集フィルタ(例えば、グラスファイバ/ポリプロピレン複合材料)を含んでもよい。一般に、水同伴空気は、凝集フィルタの内側から外側に流れ、最も内側の層が典型的に、前置フィルタとして作用し、1ミクロン未満の水滴を除去することが好ましい。層のファイバは、空気に浮上している微細な液滴を捕捉し、結果として液滴を混合し、凝集フィルタの中でより大きな液滴を形成する。これらのより大きな液滴は次に、凝集フィルタの外面に現れ、重力によって収集トレイ55に排水される。所望であれば、第2段凝集フィルタ56及び水収集トレイ57が、ストリーム6からの残りの水を更に冷却して降水管59を介して除去するために用いられることができる。
【0025】
収集トレイ57からの空気ストリームは典型的に、32°Fから40°Fであり、本質的に水分が含まれていない(典型的に5%未満の相対湿度)。このようにして除湿された空気は次に、下部区画においてLNGと更に熱交換され、約−100°Fで交換器の下部を出る。入口空気3と出口空気4との間の温度差は、約180°Fであることを認識すべきである。気化されたLNG2は、出口マニホルド2Aを介して気化器を出る。そのような大きな温度差を利用して、空気ファンへの空気の流れが、著しく削減されることができることを留意すべきである。
【0026】
周囲温度及び相対湿度が高い夏の間、周囲空気気化器は典型的により高い効率用に設計されることも更に一層留意すべきである。冬の操業中、周囲温度が下がると、上部区画における気温も対応して下がり、32°Fから40°F未満の温度までの過冷却は、上部区画における霜又は氷生成を結果として生じる可能性があり、そのときには、機器の霜取り及び/又は運転停止を必要とする。そのような問題を回避するために、周囲空気気化器は、図1と本質的に同一の構造が用いられる図2に概略的に示されるような制御システムを備える霜取り構造を更に含んでもよいことが検討される。本明細書では、上部区画温度が、101及び102で温度要素を用いて測定され、TC104及び/又はTC105などの少なくとも1つの温度制御装置に供給される。制御機構は好ましくは、温度制御弁106と厳密に組み込まれる。周囲温度が下がると、温度要素101及び102は、温度制御装置104及び105と通信し、信号を制御弁106に送って、気化器を出る天然ガスの流れをスロットルで調整する。スロットル機能は、気化器を通る流れを減少させて、気化するLNGからの冷却効果を効果的に低下させ、続いて、32°Fより高く40°Fまで101及び102の温度を上昇させ、氷の蓄積を霜取りすることを可能にする。温度制御弁からの出口流れ107は、熱交換器108において廃熱を用いて更に加熱され、パイプライン温度仕様、典型的に40°Fを満たす出口ストリーム109を形成する。同様に、霜又は氷生成を回避する別の周囲空気LNG気化器制御システムが、図3に概略的に示されており、類似の参照符号は、図2と比べて、類似の構成要素を指す。本明細書では、図2の構造と類似の方式で32°Fより高く40°Fまでに、上部区画温度を維持するために、制御弁106は、温度制御装置104及び105からの信号によってLNGの流れを制御するために、入口LNGラインに位置している。
【0027】
エンクロージャに関して、特に好ましいエンクロージャは、気化器の強制通風通気を支援することが検討される。従って、適切なエンクロージャは、頂部部分及び底部部分で開放端部を有しており、更なる通気を提供するために、側部に1つ以上の開口部を更に含んでもよい。また、エンクロージャは、連続構造において両方の区画(上部区画における凝縮及び加熱と、下部区画における凍らない加熱)を収容することが好ましい。最も典型的には、エンクロージャは、1から100個の気化管路を包囲するが、より大きなエンクロージャもまた、検討される。冷たい脱水空気が、気化器から排出されなければならないため、エンクロージャは典型的に、支持材の上の高くなった位置にある。或いは、エンクロージャはまた、冷たい空気を放出可能にするために、複数の開口部を含んでもよい。所望であれば、エンクロージャ内の空気の移動を支援するために、追加のファン又は他のデバイスが、実装されてもよい。
【0028】
気化管路は好ましくは、フィン又は他の突出要素を更に含む連続交換器チューブである。所望であれば、管路はまた、追加の温度制御要素を含み、特に適切な要素は、流体を加熱するための管路である。更に及び所望であれば、気化器内部を安定化するために、気化管路は、互いに機械的に接続される。
【0029】
収集トレイに関して、そのような構造が、トレイから下部区画に空気を通過させ、凝縮物を収集可能にする限り、全ての構造が適切であると見なされることが検討される。例えば、煙突を介した凝縮物の移動を防止するために、適切なトレイは、複数の煙突(典型的に、平坦な形状又は鐘形状の上部によって覆われる)を有する水平に配置されたトレイを含む。或いは、米国特許第7,004,988号明細書に例示によって記載されているように、空気の流れから凝縮物をこのように分離するために、U字形の輪郭を有する複数の水平に傾斜した樋が、エンクロージャを横切ってもよい。検討されるトレイは典型的に、区画の下端部に位置決めされ、水が通過する空気から除去され、湿度、空気の流量及び/又はエンクロージャの具体的な寸法に応じて、検討される気化器は、1から複数(例えば、2から7個又はそれ以上)のトレイを備える。
【0030】
エンクロージャのそれぞれの区画において比較的微細なミストとして水分が凝縮するため、そのようなミストをより大きな液滴に凝集する全ての知られている方法が、本明細書において用いるのに適切であると見なされることが更に一般に検討される。例えば、ミストは、全ての知られている凝集フィルタ又は静的デバイス又は回転デバイスのいずれであってもよいデバイス(例えば、微孔性材料又はマイクロファイバを含むもの)を用いて、冷却した空気から除去されることができる。冷却された空気に遠心運動量を与えるために、エンクロージャ及び/又は気化管路における追加の流れの制御構造が存在してもよいことが更に一層検討される。更に一層検討される態様において、ミストもまた、静電気による方法及び/又は凝縮エンハンサを用いて、凝集されてもよく、又は凝結されてもよい。冷却された空気からの水ミストを除去する形式に関係なく、凝集フィルタは、エンクロージャにおける背圧をあまり著しく(例えば、10%超)増大しないことが一般に好ましい。
【0031】
従って、周囲空気気化器の特定の構造及び方法が、開示された。しかしながら、既に記載されたもの以外の多くの更なる修正が、本明細書における本発明の概念を逸脱することなく可能であることは、当業者には明白であるべきである。従って、本発明の主題は、本開示の精神を除き、限定されるべきではない。更に、明細書及び検討される請求項を解釈する際、全ての用語は、文脈に一致する最も広義の可能な形式において解釈されるべきである。特に、「備える」及び「備えている」なる語は、非排他的な形式で要素、構成要素又はステップについて言及していると解釈すべきであり、参照される要素、構成要素又はステップが存在してもよく、又は利用されてもよく、又は明確に参照されていない他の要素、構成要素又はステップと組み合わせてもよいことを示す。更に、本明細書に参照により組み込まれる参考文献における定義又は用語の使用が、本明細書において提供される該当する用語の定義と不一致又は相反する場合には、本明細書において提供される該当する用語の定義が適用され、参考文献における該当する用語の定義は、適用されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲空気気化器であって、複数の気化管路を少なくとも部分的に包囲するように構成される区切られたエンクロージャを含み、エンクロージャの第1の区画は、収集トレイによって第2の区画から離隔され、
第1の区画が、少なくとも32°Fの温度で周囲空気からの水の凝縮を可能にし、冷却源として気化管路を用いて脱水空気の生成を可能にするように構成され、
収集トレイが、第1の区画から第2の区画への脱水空気の通過を可能にし、第1の区画から凝縮物の除去を可能にするように構成され、
第2の区画が、脱水空気を用いて気化管路における極低温流体の加熱を可能にするように構成され、
気化管路が、第1の区画及び第2の区画にわたって延在する、周囲空気気化器。
【請求項2】
第1の区画が、凝集フィルタと、収集トレイに流体的に接続される排水管とを備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
第1の区画及び第2の区画が、上から下への空気の流れを可能にするために、互いに垂直に接続される、請求項1に記載の気化器。
【請求項4】
エンクロージャに接続され、第1の区画へ周囲空気の押し込みを可能にするように構成されるファンを更に備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項5】
気化器に動作的に接続され、第1の区画における気温を32°Fを上回る温度に維持することと、氷の蓄積の霜取りを可能にすることの少なくとも1つを行うように構成される制御システムを更に備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項6】
制御システムが、第1の区画からの気化された極低温流体の流れを制御することによって、第1の区画における気温を維持するように構成される、請求項5に記載の気化器。
【請求項7】
制御システムが、第2の区画への極低温流体の流れを制御することによって、第1の区画における気温を維持するように構成される、請求項5に記載の気化器。
【請求項8】
極低温流体用の気化器であって、第1の区画及び第2の区画を備えるエンクロージャを備え、両方の区画が、気化管路を少なくとも部分的に包囲し、第1の区画及び第2の区画が、第2の区画における空気を用いて気化管路における極低温流体の加熱を可能にするように構成、寸法化され、第1の区画における空気の水分を凝縮するが、凍らせないようにするために有効な第1の区画における温度を加熱された極低温流体が、有するような温度にする、極低温流体用の気化器。
【請求項9】
排水管部分と、第1の区画と第2の区画との間に位置している収集トレイとを更に備え、トレイが、第1の区画から第2の区画への空気の通過を可能にし、第1の区画からの凝縮物の取水を可能にするように構成される、請求項8に記載の気化器。
【請求項10】
エンクロージャに接続されるファンを更に備え、ファンが、エンクロージャの外側から第1の区画、収集トレイ及び第2の区画を介した空気の強制移動を可能にするように構成される、請求項9に記載の気化器。
【請求項11】
気化管路において極低温流体の流れを制御することによって、第1の区画における気温を32°Fを超える温度に維持するように構成される制御システムを更に備える、請求項8に記載の気化器。
【請求項12】
気化管路の第2の部分への極低温流体の流れ及び気化管路の第1の部分からの気化された極低温流体の流れの少なくとも一方を制御することによって、第1の区画における気温を維持するように構成される制御システムを更に備える、請求項8に記載の気化器。
【請求項13】
第1の区画における凝集フィルタを更に備える、請求項8に記載の気化器。
【請求項14】
気化管路が、フィン型気化交換器チューブである、請求項8に記載の気化器。
【請求項15】
周囲空気を用いて気化管路における極低温流体を気化する方法であって、部分的に加熱された極低温流体を用いて、32°Fを下らない温度まで周囲空気を冷却して脱水するステップと、脱水空気から凝縮物を除去するステップと、冷却された脱水空気を用いて、極低温流体から部分的に加熱された極低温流体を形成するステップとを含む、方法。
【請求項16】
周囲空気を脱水するステップが、部分的に加熱された極低温流体が形成される第2の区画から分離される気化器の第1の区画において行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の区画の温度が、気化管路における極低温流体の流れを制御する制御システムによって維持され、氷の蓄積の霜取り及び収集トレイからの除去を可能にする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
制御システムが、第1の区画からの気化された極低温流体の流出及び第2の区画への極低温流体の流入の少なくとも一方を制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
凝縮物を除去するステップが、凝集フィルタと、第1の区画と第2の区画との間に配置される収集トレイとを用いて行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
極低温流体が、液化天然ガスである、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−528829(P2010−528829A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509395(P2010−509395)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/006605
【国際公開番号】WO2008/153750
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】