説明

周辺監視装置

【課題】特定人物を正確に認証すると共に、バッテリーの負荷を低減することのできる周辺監視装置を提供する。
【解決手段】ユーザー認証部8によって認証された登録ユーザーの登録情報と非接触検出装置3によって検出された人物とを紐付けすることによって、特定人物と検出された人物とを関連付けるシステム制御部7を備え、システム制御部7によって紐付けられた人物を非接触検出装置3によって監視する。従って、監視を行っていない周辺撮像装置4の電源をOFFにすることを可能とする。非接触検出装置3は周辺撮像装置4に比して消費電力を抑えることができる一方、取得できる情報量が多い周辺撮像装置4によって認証を行っているため、登録ユーザーを不審者と誤判別してしまうことを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象物の周辺の監視を行う周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象物の周辺の監視を行う周辺監視装置として、車両周辺の状況と、対応する監視動作・予防処置動作とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部と、車両周辺の現在の状況を判定する状況判定部と、状況判定部による判定結果に基づいてテーブルを参照し、車両の監視動作・予防処置動作を制御する制御部とを備えるものが知られている。この周辺監視装置では、車両から所定範囲内への人物の接近がレーダーによって検出された場合に、カメラを起動させて人物の行動監視を行い、カメラ画像によって車両の正規のユーザーではないことが確認された場合に警告を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−117121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような周辺監視装置にあっては、カメラによって不審者の監視を行った場合は大きな電力が必要となるため、車両のバッテリーに対する負荷が大きくなってしまうという問題があった。一方、レーダーなどの非接触検出センサのみで監視を行った場合は低電力で監視を行うことが可能となるものの、特定人物の認証が困難となり、正規の登録ユーザーが車両に接近した場合であっても不審者と誤判別してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、特定人物を正確に認証すると共に、バッテリーの負荷を低減することのできる周辺監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、監視対象物の周辺領域に、または監視対象物内に存在する人物を非接触で検出する非接触検出手段と、特定人物の認証を行う認証手段と、認証手段によって認証された特定人物と非接触検出手段によって検出された人物とを関連付ける関連付け手段とを備え、関連付け手段によって関連付けられた人物を非接触検出手段によって監視することを特徴とする。
【0007】
この周辺監視装置では、認証手段によって認証された特定人物(登録ユーザーなど)と非接触検出手段によって検出された人物とを関連付ける関連付け手段とを備え、関連付け手段によって関連付けられた人物を非接触検出手段によって監視することができる。従って、非接触検出手段が監視を行っている間は、監視を行っていない撮像手段や生体認証手段等の電源をOFFにすることが可能となる。非接触検出手段で監視することによって撮像手段や生体認証手段等に比して消費電力を抑えることができると共に、取得できる情報量が多い撮像手段や生体認証手段等による情報に基づいて認証を行っているため、正規の登録ユーザーを不審者と誤判別してしまうことを抑制することができる。以上によって、特定人物を正確に認証すると共に、バッテリーの負荷を低減することができる。
【0008】
また、本発明に係る周辺監視装置において、認証手段は撮像手段を用いることができる。
【0009】
また、本発明に係る周辺監視装置において、非接触検出手段で人物が検出された後、撮像手段が当該人物を撮像し、認証手段が特定人物の認証を行うことが好ましい。これによって、外部から監視対象物に人物が近づいてきたときに撮像手段を起動させ、認証を行った後にその撮像手段をOFFにし、非接触検出手段のみで監視することができる。従って、例えば、登録ユーザーが自宅駐車場に駐車してある車両(監視対象物)の手入れや洗車を行う場合や、登録ユーザーの家族が車両の近くで車両に関連しない作業(洗濯や遊んでいる場合など)を行う場合に、無用に撮像手段を作動させ続けて電力を消費してしまうことを防止できる。
【0010】
また、本発明に係る周辺監視装置において、撮像手段が監視対象物内で人物を撮像し、認証手段で特定人物の認証を行った後、非接触検出手段は、監視対象物の外に出た人物を検出すると共に監視することが好ましい。このように、監視対象物内で予め人物を撮像して認証を行うことができるため、例えば、人物が車両(監視対象物)から外に出て車両から立ち去ろうとしたが、忘れ物などをとるために車両に戻ってくるという状況において、車両外部に設けられた撮像手段を起動させることなく、非接触検出手段のみで人物を監視することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定人物を正確に認証すると共に、バッテリーの負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る周辺監視装置のブロック構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る周辺監視装置の動作について説明する。
【図3】本発明の実施形態に係る周辺監視装置を備えた車両を上方から見た図である。
【図4】変形例に係る周辺監視装置を備えた車両を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る運転支援装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の実施形態に係る周辺監視装置1の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る周辺監視装置1のブロック構成を示した図である。周辺監視装置1は、車両(監視対象物)周辺に近づいた人物を監視し、当該人物が登録ユーザーであるか不審者であるかを判別することで警告や通知を行う機能を有している。図1に示すように、周辺監視装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2、非接触検出装置(非接触検出手段)3、周辺撮像装置(撮像手段)4、警報・通知装置6を備えて構成されている。
【0015】
非接触検出装置3は、監視対象物である車両の周辺領域や対象物内に存在する人物を非接触で検出する機能を有するものであり、例えば、車両上部における前後、左右に設けられた赤外線や電波式のレーダーなどによって構成されている。なお、「周辺領域」とは、本実施形態では非接触検出装置3及び周辺撮像装置4の検出可能な範囲である検出領域F1である(図3参照)。この非接触検出装置3は、主に検出領域F1に存在する人物の有無情報及びその人物の位置情報を検出することができる。この非接触検出装置3は、検出できる情報量が周辺撮像装置4に比して少ないが、周辺撮像装置4に比して低電力で作動することができる。非接触検出装置3は、検出した情報をECU2のシステム制御部7及び不審者判別部9へ出力する機能を有している。
【0016】
周辺撮像装置4は、監視対象物である車両の周辺領域、すなわち検出領域F1に存在する人物を撮像する機能を有するものであり、例えば、車両上部における前後、左右に設けられた撮像素子によって構成されている。この周辺撮像装置4は、非接触検出装置3に比して消費電力が多いが、検出できる情報量が多く、撮像した画像を用いて人物が登録されたユーザーであるかの判別に用いることができる。周辺撮像装置4は、取得した画像をECU2のユーザー認証部8及び不審者判別部9へ出力すると共に、システム制御部7からのON/OFF信号を受信することによって電源がON/OFFされる機能を有している。
【0017】
警報・通知装置6は、不審者が車両に近づいてきた場合に警報を発すると共にユーザーに警告を通知する機能を有しており、具体的には、警報器及び通信機から構成されている。警報・通知装置6は、ECU2のシステム制御部7からのON/OFF信号を受信することによって起動されると共に休止される。
【0018】
ECU2は、周辺監視装置1全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPUを主体として構成され、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などを備えている。ECU2は、システム制御部(関連付け手段)7、ユーザー認証部(認証手段)8、不審者判別部9を備えて構成されている。
【0019】
システム制御部7は、非接触検出装置3及び周辺撮像装置4の検出領域F1内に人物が存在するか否かを判定する機能を有している(図3参照)。更に、システム制御部7は、周辺撮像装置4にON/OFF信号を出力することによって周辺撮像装置4の電源をON/OFFする機能を有すると共に、警報・通知装置6に制御信号を出力することによって、警報・通知装置6を作動させる機能を有している。また、システム制御部7は、認証された特定人物すなわち登録ユーザーのユーザー情報と非接触検出装置3で検出された人物の位置情報とを紐付けすることによって、特定人物と非接触検出装置3で検出された人物とを関連付ける機能を有している。
【0020】
ユーザー認証部8は、周辺撮像装置4から出力された撮像情報に基づいて特定人物の認証を行う機能を有している。具体的には、周辺撮像装置4で撮像された検出領域F1内の人物が、メモリなどに予め登録された登録ユーザー(特定人物)であるか否かを判定する。ユーザー認証部8は、例えば、周辺撮像装置4で撮像された人物の顔の画像情報と、予めメモリなどに記憶された登録ユーザーの顔の画像情報とを照らし合わせることによって、検出された人物が特定の登録ユーザーであることを認証する。
【0021】
不審者判別部9は、非接触検出装置3及び周辺撮像装置4からの情報に基づいて人物が不審者でないか否かを判定する機能を有している。不審者判別部9は、具体的に、予め記憶している不審者特有の挙動や停滞時間などと、検出した人物の挙動や停滞時間などとを比較することによって不審者か否かを判定することができる。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態に係る周辺監視装置1の動作について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る周辺監視装置1における制御処理を示すフローチャートである。図3は、本実施形態に係る周辺監視装置1を備えた車両を上方から見た図である。図2に示す処理は、ECU2において、車両の停車中、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0023】
まず、図2に示すように、システム制御部7は、検出領域F1内に人物が存在するか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、非接触検出装置3からの検出情報、すなわち人物の有無情報を参照することによって、検出領域F1内に人物が存在するかどうかを判定する。図3に示すように、例えば、人物P1,P2が検出された場合は存在すると判定される。S10において存在しないと判定された場合は再びS10へ戻り、検出領域F1内に人物が検出されるまでS10の処理が繰り返し実行される。
【0024】
一方、S10において検出領域F1に人物が存在すると判定された場合、システム制御部7は、周辺撮像装置4を起動させる(ステップS12)。具体的には、システム制御部7はON信号を出力することによって周辺撮像装置4の電源を入れる。これによって、周辺撮像装置4は、検出領域F1内に存在する人物P1,P2の画像情報を取得する。次に、ユーザー認証部8は、検出領域F1内の人物P1,P2について登録ユーザーであるかどうかの認証を行う(ステップS14)。この処理においては、検出された人物P1,P2の全ての人物が登録ユーザーでなくとも、一人でも認証できれば「検出された人物が登録ユーザーである」と判定することができる。あるいは、検出された人物P1,P2の全ての人物が登録ユーザーである場合にのみ、「検出された人物が登録ユーザーである」と判定してもよい。
【0025】
S14において、検出された人物について登録ユーザーの認証がなされた場合、システム制御部7は、S14で認証された登録ユーザーと非接触検出装置3で検出された人物P1,P2とを関連付ける(ステップS16)。具体的には、S14で認証された特定人物すなわち登録ユーザーのユーザー情報と非接触検出装置3で検出された人物P1,P2の位置情報とを紐付けすることによって関連付けを行う。これによって、非接触検出装置3で検出している限り、検出領域F1内で移動している人物P1,P2を登録ユーザーであると把握し続けることができる。S16での紐付けが終了すると、システム制御部7はOFF信号を出力して周辺撮像装置4の電源を切る(ステップS18)。これによって、人物P1,P2を非接触検出装置3のみで監視し続けることができる。次に、システム制御部7は、監視している人物P1,P2が検出領域F1よりも外に出たか否かを判定する(ステップS20)。S20において、人物P1,P2が検出範囲F1内に存在すると判定した場合は再びS18及びS20の処理を繰り返し、引き続き非接触検出装置3のみによる監視を行う。一方、S20において人物P1,P2が検出範囲F1より外に存在すると判定した場合は監視していた人物P1,P2の紐付けを解除し、図2に示す制御処理が終了し、再びS10から処理を開始する。なお、複数の人物を監視している場合、一人の人物の検出領域F1より外に出たときは当該人物についてのみ紐付けを解除し、検出領域F1に存在する他の人物については引き続き非接触検出装置3での監視を行う。
【0026】
一方、S14において検出領域F1内の人物P1,P2について認証ができず、予め登録された登録ユーザーでないと判定された場合、不審者判別部9は、非接触検出装置3及び周辺撮像装置4からの情報に基づいて人物が不審者でないか否かを判定する(ステップS22)。S22では具体的に、予め記憶している不審者特有の挙動や停滞時間などと、検出した人物P1,P2の挙動や停滞時間などとを比較することによって不審者か否かを判定する。例えば、車両の近くを単に横切っているに過ぎない人物や、単に車両の近くで立っているだけの人物は不審者ではないと判定される。S22において不審者でないと判定されると、図2に示す制御処理は終了し、再びS10から処理を開始する。一方、S22において不審者であると判定されると、システム制御部7は、警報・通知装置6を介して不審者に対して警報を与えると共に、遠隔地に居る登録ユーザーに対して不審者が車両に接近している旨の通知を行う(ステップS24)。S24の処理が終了すると、図2に示す制御処理は終了し、再びS10から処理を開始する。
【0027】
以上によって、本実施形態に係る周辺監視装置1によれば、ユーザー認証部8によって認証された登録ユーザーの登録情報と非接触検出装置3によって検出された人物とを紐付けすることによって、特定人物と検出された人物とを関連付けるシステム制御部7を備え、システム制御部7によって関連付けられた人物を非接触検出装置3によって監視することができる。従って、非接触検出装置3が監視を行っている間、監視を行っていない周辺撮像装置4の電源はOFFにすることが可能となる。非接触検出装置3で監視することによって周辺撮像装置4に比して消費電力を抑えることができると共に、取得できる情報量が多い周辺撮像装置4による撮像情報に基づいて認証を行っているため、登録ユーザーを不審者と誤判別してしまうことを抑制することができる。以上によって、登録ユーザーを正確に認証すると共に、バッテリーの負荷を低減することができる。
【0028】
また、周辺撮像装置4は、非接触検出装置3で人物が検出された後、周辺撮像装置4が当該人物を撮像し、システム制御部7が登録ユーザーの認証を行うことによって、外部から車両に人物が近づいてきたときに周辺撮像装置4を起動させ、認証を行った後に周辺撮像装置4をOFFにし、非接触検出装置3のみで監視することができる。これによって、例えば、登録ユーザーが自宅駐車場に駐車してある車両の手入れや洗車を行う場合や、登録ユーザーの家族が車両の近くで車両に関連しない作業(洗濯や遊んでいる場合など)を行う場合に、無用に周辺撮像装置4を起動させ続けて電力を消費してしまうことを防止できる。
【0029】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0030】
上述の実施形態では撮像手段として車両上部に備えた周辺撮像装置を適用したが、これに代えて、図4に示すように車室内に設置された車室内撮像装置(撮像手段)20を適用してもよい。この実施形態では、車内撮像装置20で人物を正規のユーザーであると認証しておき、図4(a)に示す状況では、ドアの開閉から人物の位置を推定して、非接触検出装置3の位置情報と紐付けすることによって、認証されたユーザーと非接触検出装置3によって検出された人物とを関連付け、当該人物を非接触検出装置3によって監視することができる。これによって、図4(b)に示すように、人物P1が車両から外に出て車両から立ち去ろうとしたが、忘れ物などをとるために車両に戻ってくるという状況においても、車外の撮像装置を起動させることなく非接触検出装置3のみで人物P1を監視することができる。
【0031】
また、撮像装置によるユーザーの判別結果を車両ドアのアンロック許可情報としている場合、撮像装置の起動に要する時間を無くすことによって、ユーザーは待ち時間なくアンロック(再乗車)が可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、ユーザー認証部は撮像手段である周辺撮像装置を用いて特定人物の認証を行っていたが、これにかえて、乗車中の指紋認証や声紋認証などの生体認証手段を用いて特定人物の認証を行ってもよい。これによって、生体認証手段で認証を行っておき、その認証結果と非接触検出手段の検出結果を紐付けし、降車後の人物監視を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では車両についての人物監視の場合について説明したが、車両の他、ホーム、オフィス、街、空港、駅などの人物監視などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…周辺監視装置、3…非接触検出装置(非接触検出手段)、4…周辺撮像装置(撮像手段)、7…システム制御部(関連付け手段)、8…ユーザー認証部(認証手段)、20…車内撮像手段(撮像手段)、F1…検出領域(周辺領域)、P1,P2…人物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物の周辺領域に、または前記監視対象物内に存在する人物を非接触で検出する非接触検出手段と、
特定人物の認証を行う認証手段と、
前記認証手段によって認証された前記特定人物と前記非接触検出手段によって検出された前記人物とを関連付ける関連付け手段とを備え、
前記関連付け手段によって関連付けられた前記人物を前記非接触検出手段によって監視することを特徴とする周辺監視装置。
【請求項2】
前記認証手段が撮像手段を用いることを特徴とする請求項1記載の周辺監視装置。
【請求項3】
前記非接触検出手段で前記人物が検出された後、前記撮像手段が当該人物を撮像し、前記認証手段が前記特定人物の認証を行うことを特徴とする請求項2記載の周辺監視装置。
【請求項4】
前記撮像手段が前記監視対象物内で前記人物を撮像し、前記認証手段で前記特定人物の認証を行った後、
前記非接触検出手段は、前記監視対象物の外に出た前記人物を検出すると共に監視することを特徴とする請求項2記載の周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−34292(P2011−34292A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179307(P2009−179307)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】