説明

周辺装置

【課題】ユーザが周辺装置に所定の機能を実行させる際に、過去に実行させたときの動作条件と同じ動作条件を容易に指定することのできる周辺装置を提供する。
【解決手段】複合機100(周辺装置)は、ネットワークを介して送られる端末からの指示に応じて所定の機能を実行することができる。複合機100は、通信プログラム122aと機能制御プログラム122bに基づいて動作する。複合機100は、端末150から、動作条件を記述した設定ファイルを受信する。複合機100は、受信した設定ファイルに記述された動作条件を設定して所定の機能を実行する。複合機100は、受信した設定ファイルに記述された動作条件をファイルに保存する。ユーザは、複合機100が保存したファイルを再利用することによって、過去に実行させたときの動作条件と同じ動作条件を容易に指定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して送られる端末からの指示に応じて所定の機能を実行する周辺装置に関する。
本明細書にいう「周辺装置」は、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、或いはそれらが一体となった複合機を意味する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して端末から送られたドキュメントファイルを印刷するプリンタが知られている。プリンタに印刷機能を実行させる際、用紙サイズや余白の設定など、印刷機能を実行する際のプリンタの動作条件を設定する必要がある。従来のプリンタの場合、ユーザは、端末にインストールされたユーザインタフェイスを利用してプリンタの動作条件を設定する。
動作条件を設定するユーザの負荷を軽減するため、特許文献1には、印刷させるドキュメントファイルに動作条件の情報を含むことが可能なプリンタが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−373064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタが様々な動作条件を設定可能である場合、ユーザは動作条件を変更して印刷機能を実行させることがある。動作条件を変更すると過去の動作条件の情報が失われてしまうため、過去に設定したことがある動作条件で再び印刷機能を実行させたい場合には、動作条件を設定し直す必要があった。特許文献1のプリンタにおいても、動作条件を変更した後に、過去の動作条件で新たなドキュメントファイルを印刷させたい場合には、その新たなドキュメントファイルに動作条件の情報を付加する際に、過去の動作条件を指定し直す必要があった。
動作条件を設定する作業は、プリンタに限らず、スキャナや複合機等の周辺装置に共通して必要とされる作業である。周辺装置が有する機能には、印刷機能、画像読み取り機能、コピー機能、ファクシミリ機能など、画像に関連する様々な機能があるため、本明細書ではこれらの機能を「所定の機能」と総称する。
本発明の目的は、ユーザが周辺装置に所定の機能を実行させる際に、過去に実行させたときの動作条件と同じ動作条件を容易に指定することのできる周辺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ネットワークを介して送られる端末からの指示に応じて所定の機能を実行する周辺装置に具現化できる。この周辺装置は、受信手段と実行手段とバックアップ手段を備える。
受信手段は、所定の機能を実行する際の動作条件を記述した設定ファイルをファイル共有プロトコルに基づいて端末から受信する。実行手段は、受信した設定ファイルに記述された動作条件を設定して所定の機能を実行する。バックアップ手段は、受信した設定ファイルに記述された動作条件をファイルに保存する。
ファイル共有プロトコルは、端末と周辺装置の間でファイルの送受信を容易にするためのプロトコルである。周辺装置はファイル共有プロトコルに基づいて通信をすることができる。従って端末は、周辺装置へ容易にファイルを送ることができるとともに、周辺装置が有するファイルを容易に取得することができる。ファイル共有プロトコルには、例えばWebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)がある。
【0006】
本発明の周辺装置は、動作条件を記述した設定ファイルを受信すると、設定ファイルに記述された動作条件に基づいて所定の機能を実行するとともに、その設定ファイルに記述された動作条件を保存する。
ユーザは、設定ファイルに記述された動作条件と同じ条件で再び所定の機能を実行させたい場合には、周辺装置が保存したファイルを再利用することができる。ユーザは、周辺装置に所定の機能を実行させたい場合に、過去に実行させたときの動作条件と同じ動作条件を容易に指定することができる。
【0007】
周辺装置には、動作条件を設定すべき複数の設定項目が用意されている場合がある。その場合、本発明の周辺装置は、次の技術的特徴を有することが好ましい。周辺装置は、動作条件を設定すべき複数の設定項目の夫々に対するデフォルトの動作条件を記憶する記憶手段を備えている。実行手段は、受信した設定ファイルに動作条件が記述されていない設定項目が存在する場合に、動作条件が記述されていない設定項目に対してデフォルトの動作条件を設定して所定の機能を実行する。バックアップ手段は、受信した設定ファイルに記述された動作条件に、実行手段が設定したデフォルトの動作条件を付加して保存する。
【0008】
上記の技術的特徴によれば、ユーザは、デフォルトの動作条件で良い設定項目については動作条件を設定ファイルに記述する必要がない。設定ファイルを作成するユーザの負荷を軽減できる。
他方、記憶装置に記憶されているデフォルトの動作条件は変更される場合がある。上記の技術的特徴によれば、バックアップ手段が、受信した設定ファイルに記述された動作条件に、実行手段が設定したデフォルトの動作条件を付加して保存する。設定ファイルに動作条件が記述されていない設定項目に対して、実行手段がデフォルトの動作条件を補って所定の機能を実行したときの全ての動作条件を保存しておくことができる。デフォルトの動作条件が変更された場合でも、バックアップ手段が保存したファイルを利用することによって、過去に所定の機能を実行したときと同じ動作条件を容易に指定することができる。
【0009】
本発明の周辺装置はさらに、次の技術的特徴を有することが好ましい。周辺装置が実行する所定の機能は、画像データを出力する画像データ出力機能である。バックアップ手段は、動作条件と、その動作条件に基づいて実行した画像データ出力機能によって出力された画像データとを一体としたファイルを保存する。
画像データ出力機能は、例えば、原稿を読み取り、読み取ったデータを画像データとして出力するスキャン機能である。
【0010】
バックアップ手段が保存する動作条件に付加された画像データは、保存する動作条件に基づいて実行した結果のサンプルとなる。ユーザは、保存された動作条件を再度指定する前にサンプルを見ることによって、保存された動作条件に基づく機能実行結果の状態を事前に確認することができる。
【0011】
本発明の周辺装置のバックアップ手段は、ユーザの指示に基づいて、動作条件と画像データとを一体としたファイルを保存するか否かを切り替えることが好ましい。保存した動作条件を再度指定する際に、保存した動作条件に付加されている画像データを、新たに実行する画像データ出力機能の出力結果で更新せずに済む。サンプルとして保存した画像データを変更せずに済む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが周辺装置に所定の機能を実行させる際に、過去に実行させたときの動作条件と同じ動作条件を容易に指定することのできる周辺装置を実現できる。
【実施例】
【0013】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。本実施例の周辺装置は、印刷機能、スキャン機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能を実行することができる複合機100である。
図1に、複合機100のブロック図を示す。複合機100は、ネットワーク102を介して端末150と通信可能に接続されている。
複合機100は、CPU110、プリンタユニット112、スキャナユニット114、ファクシミリユニット116、タイマ118、及び記憶装置120を備える。
プリンタユニット112は、ドキュメントや画像を印刷する装置である。スキャナユニット114は、シートに印刷された文字や画像を読み取る装置である。ファクシミリユニット116は、電話回線(不図示)を介してデータを送受信する装置である。
プリンタユニット112は、端末150から送られるドキュメントファイルや画像ファイルのデータを印刷できる。またプリンタユニット112は、スキャナユニット114が読み込んだデータや、ファクシミリユニット116が受信したデータを印刷できる。
ファクシミリユニット116は、端末150から送られるドキュメントファイルや画像ファイルのデータ、或いはスキャナユニット114が読み込んだデータを所定の電話番号を有する相手装置へファクシミリ送信できる。
プリンタユニット112を動作させることで、印刷機能が実現される。スキャナユニット114を動作させることで、スキャン機能が実現される。ファクシミリユニット116を動作させることでファクシミリ機能が実現される。また、スキャナユニット114が読み込んだデータをプリンタユニット112で印刷することによって、コピー機能が実現される。
タイマ118は、現在の日時を取得する。
【0014】
プリンタユニット112、スキャナユニット114、及びファクシミリユニット116は、CPU110によって制御される。プリンタユニット112、スキャナユニット114、及びファクシミリユニット116は、夫々動作条件を変更可能である。動作条件とは、プリンタユニット112であれば例えば用紙サイズである。スキャナユニット114であれば例えば画像読み取りの解像度である。ファクシミリユニット116であれば例えばデータ送受信時の解像度である。プリンタユニット112等の動作条件は、CPU110によって変更される。
記憶装置120には、プログラム122、フォルダ属性情報124、及びファイル126が記憶されている。
CPU110は、記憶装置120に記憶されたプログラム122に従って、各種の処理を実行する。主なプログラムには、通信プログラム122a、機能制御プログラム122bがある。通信プログラム122aは、端末150とデータを送受信するためのプログラムである。機能制御プログラム122bは、プリンタユニット112等を制御するためのプログラムである。なお、図1における「PGM」の文字は、「プログラム」を意味する。
【0015】
記憶装置120に記憶されたファイル126とフォルダ属性情報124について説明する。
ファイル126は、複合機100が記憶している各種の電子ファイルである。複合機100は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、及び、ファクシミリ機能のぞれぞれの機能のデフォルトの動作条件を記述したファイル(デフォルト設定ファイル)を記憶している。
例えば、スキャン機能のデフォルトの動作条件を記述したファイルは、DefaultScanParam.txtという名称のファイルである。DefaultScanParam.txtの一例を図2に示す。DefaultScanParam.txtには、設定項目ごとに次の動作条件が記述されている。なお、等号の左辺
は、設定項目を表しており、等号の右辺は、その設定項目に設定するデフォルト動作条件を表している。
・解像度=300dpi(resolution=300dpi)
・読み取りモード=モノクロ(color=mono)
・出力フォーマット=gif(imgformat=gif)
・出力先フォルダ=outputフォルダ(folder=\output)
・明るさ=50(brightness=50)
・コントラスト=60(contrast=60)
印刷機能等の他の機能についても同様のデフォルトの動作条件を記述したファイルが記憶装置120に記憶されている。なお、拡張子が「txt」のファイルは、ユーザが直接書
き換え可能なテキストファイルを表している。
DefaultScanParam.txt等のデフォルトの動作条件を記述したファイルは記憶装置120に設定されたoutputフォルダに格納されている。
【0016】
フォルダ属性情報124は、記憶装置120に設定されているフォルダ(ファイル格納領域)を階層的に管理するためのデータである。複合機100の記憶装置120にはいくつかのフォルダが設定されており、フォルダ属性情報124には、フォルダ間の階層関係や、各フォルダに格納されているファイルの情報が記録されている。なお、記憶装置120には、ScanStartフォルダ、CopyStartフォルダ、Copyフォルダ、Facsimileフォルダ、outputフォルダが設定されている。
【0017】
図1に示す端末150について説明する。端末150は、一般的なパーソナルコンピュータである。端末150は、CPU152と記憶装置154を備える。また、図示を省略しているが端末はディスプレイを備える。記憶装置154には、プログラム156とファイル158が記憶されている。CPU152は、プログラム156に基づいて各種の処理を実行する。主なプログラムには、通信プログラム156a、表示プログラム156bがある。通信プログラム156aは、複合機100とデータを送受信するためのプログラムである。表示プログラム156bは、ファイルやフォルダなどの情報や複合機100から受信するエラーメッセージを表示するためのプログラムである。
【0018】
複合機100の通信プログラム122aと端末150の通信プログラム156aには、WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)に基づく通信プログラムが記述されている。WebDAVは、端末間(或いは端末と周辺装置の間)でファイルやフォルダ情報を相互にやり取りするための規格化されたプロトコルである。WebDAVに基づく通信プログラム122a、156aによって、複合機100と端末150は、ファイルやフォルダ情報を相互にやり取りすることができる。
ファイル共有プロトコルの一種であるWebDAVには、端末間で送受信される幾つかのコマンド(要求と呼ばれる)が規定されている。規定されているコマンドには例えば、PROPFIND要求、GET要求、PUT要求などがある。
複合機100と端末150は、これらの「要求」を送受信することによって、フォルダ属性情報やファイルを送受信することができる。
【0019】
図1を参照して、複合機100と端末150の間で送受信される「要求」やデータを例示する。
端末150は、複合機100に対してPROPFIND要求を送信する(図1に示す(1))。この要求を受信した複合機100は、記憶装置120に記憶されたフォルダ属性情報124を端末150へ送信する(図1に示す(2))。フォルダ属性情報124を受信した端末150は、複合機100が有するフォルダをその画面に表示する。
端末150は、所定のファイル名とフォルダ名を指定してPUT要求を複合機100へ送
信する(図1に示す(3))。この要求を受信した複合機100は、指定されたファイル
を指定されたフォルダに格納する。なお、端末150が送信するPUT要求が予め決められ
た特定のフォルダと特定のファイルを指定している場合には、複合機100は、指定されたファイルを指定されたフォルダへ格納するだけでなく、指定されたファイルと指定されたフォルダに応じて印刷機能やスキャン機能を実行する。即ち、複合機100は、複数の画像関連機能(印刷機能やスキャン機能など)を実行することができ、特定のファイルを特定のフォルダへ格納する要求を受信すると、「特定のファイルを特定のフォルダへ格納する要求」に予め対応付けられている特定の画像関連機能を実行する。この点については後述する。
端末150は、所定のファイル名を指定してGET要求を複合機100へ送信する。この
要求を受信した複合機100は、指定されたファイルを端末150へ送信する。
【0020】
ユーザが端末150を操作して複合機100に所定の機能を実行させるときの手順を概説する。複合機100に所望の機能を実行させるには、その所定の機能を実行するときの動作条件を複合機100へ指示しなければならない。複合機100の動作条件は、設定ファイルと称するファイルに記述し、その設定ファイルを複合機100へ送信することで設定することができる。設定ファイルは、テキスト形式の場合もあれば、テキスト形式以外の形式の場合もある。前述したDefaultScanParam.txtファイルは、テキスト形式の設定ファイルの一例である。
テキスト形式のファイルはユーザが直接書き換えることが可能である。ユーザは、DefaultScanParam.txtファイルを複合機100から取得し、その内容を書き換えて所望の動作条件を記述した設定ファイルを作成することができる。
テキスト形式以外の形式の設定ファイルについては後述する。
設定ファイルを作成したユーザは、端末150を操作して、その設定ファイルを複合機100が有する特定のフォルダへ格納させる。より具体的には、端末の画面に表示されている特定のフォルダ(複合機100の記憶装置120に設定されたフォルダ)を示すアイコンに設定ファイルをドラッグ&ドロップする。ユーザの操作に応じて端末150は、設定ファイルを特定のフォルダに格納するPUT要求を複合機100へ送信する。「設定ファ
イルを特定のフォルダに格納するPUT要求」を受信した複合機100は、設定ファイルに
記述された動作条件を自己の動作条件に設定し、「特定のフォルダ」に予め対応付けられている機能を実行する。即ち、端末150のユーザは、複合機100に設定されている所定のフォルダを示すアイコンへ設定ファイルをドラッグ&ドロップすることによって、特定の機能を所望の動作条件で実行させることができる。
【0021】
複合機100に特定の機能を実行させるときの端末150におけるユーザの操作を例示する。図3は、端末150の画面表示の一例を示している。
例として、端末150のユーザが、複合機100に対してスキャン機能を実行させる場合を説明する。
図3の画面表示200には、ScanStartフォルダのアイコン202と、outputフォルダ
のアイコン204が表示されている。また、画面表示200には、ScanParam.txtファイ
ル206(設定ファイル)がテキストエディタで開かれた状態が示されている。なお、図3に示す画面表示200には、その他のフォルダのアイコンの図示を省略している。ScanStartフォルダのアイコン202と、outputフォルダのアイコン204、及びその他のフ
ォルダのアイコン(不図示)は、複合機100がPROPFIND要求に応答してフォルダ属性情報124を送信した結果、端末150の画面に表示される。
前述したとおり、DefaultScanParam.txtファイルがoutputフォルダに格納されている。ユーザは、outputフォルダからDefaultScanParam.txtファイルを取得し、そのファイルに記述された動作条件を所望の動作条件に書き換えるとともに、ファイルの名称をDefaultScanParam.txtからScanParam.txtに変更することで、所望の動作条件を記述した設定ファ
イルを作成する。
図3に示されているScanParam.txtファイル206には、次の動作条件が記述されてい
る。なお、等号の左辺は、設定項目を表しており、等号の右辺は、その設定項目に対する動作条件を表している。
・解像度=600dpi(resolution=600dpi)
・読み取りモード=カラー(color=color)
・出力フォーマット=jpeg(imgformat=jpeg)
・出力先フォルダ=outputフォルダの下層のuser1フォルダ(folder=\output\user1)
なお、図3に示すScanParam.txtに記述された記号[panel]は、それ以下の行をコメントアウトすることを意味している。即ち、複合機100は、ScanParam.txtを受信してそ
の内容を取り込む際に、[panel]以降の記述を無視するようにプログラムされている。
従って、図3に示されている「brightness=20」と「contrast=30」の記述は、ユーザのための単なるコメントであり、複合機100はこれらの記述を無視し、DefaultScanParam.txtファイルに記述されているこれらの項目(「brightness」と「contrast」)に関する動作条件に基づきスキャンを実行する。
【0022】
図3に太い矢印で示すように、ユーザがScanParam.txtファイル206をScanStartフォルダのアイコン202へドラッグ&ドロップすると、端末150は、ユーザの操作に応じてScanParam.txtファイル206をScanStartフォルダに格納するPUT要求を複合機100
へ送信する。このPUT要求を受信した複合機100は、ScanParam.txtファイル206に記述された動作条件を自己の動作条件に設定し、ScanStartフォルダに予め対応付けられて
いるスキャン機能を実行する。
【0023】
端末150から送られる「要求」に基づいて複合機100が実行する処理について説明する。以下の処理は、複合機100が有する通信プログラム122aや機能制御プログラム122bに記述されている。
図4は、複合機100が実行するメイン処理のフローチャート図である。なお、以下では、スキャン機能を例として説明する。その他の機能の実行については説明を省略するが、スキャン機能を実行する場合と基本的に同じ手順で説明される。
複合機100は、端末150から「要求」を受信したか否かを常に監視している(ステップS100)。
端末150から「要求」を受信すると(ステップS100:YES)、複合機100は、受信した「要求」の種類に応じた処理を実行する。「要求」がPROPFIND要求の場合(ステップS102:YES)は、フォルダ属性情報を端末150へ送信する(ステップS104)。受信した「要求」がDefaultScanParam.txtファイルのGET要求の場合(ステップ
S110:YES)は、DefaultScanParam.txtファイルを端末150へ送信する(ステップS112)。受信した「要求」がScanStartフォルダへのPUT要求の場合(ステップS118:YES)は、スキャン処理(スキャン機能)を実行する(ステップS120)。受信した「要求」が上記のいずれの「要求」でもない場合には、その「要求」に応じたその他の処理を実行する(ステップS122)。
【0024】
次に、図5を参照してスキャン処理(スキャン機能)について詳述する。図5は、スキャン処理のフローチャート図である。
スキャン処理ではまず、PUT要求を送信した端末150にScanStartフォルダへのデータのライト権があるか否かをチェックする(ステップS600)。ライト権がない場合(ステップS600:NO)、複合機100はPUT要求を送信した端末150へエラーメッセー
ジを送信する(ステップS604)。
ライト権がある場合(ステップS600:YES)、複合機100はPUT要求が指定す
るファイルが設定ファイルであるか否かをチェックする(ステップS602及びステップS603)。なお、図5に示す「パラメータファイル」は「設定ファイル」と同じ意味である。複合機100は、ファイル名に文字列「ScanParam」を含むファイルをパラメータ
ファイル(設定ファイル)と認識するようにプログラムされている。
ここで、複合機100は、パラメータファイル(設定ファイル)としてテキスト形式のパラメータファイルとjpeg形式のパラメータファイルを受け付けるようにプログラムされている。テキスト形式のパラメータファイルは、前述した「ScanParam.txt」ファイルで
ある。jpeg形式のパラメータファイルは、jpeg規格で定義されているjpegファイルの予備データ領域(より具体的には「MakerNoteタグ」と呼ばれる領域)に動作条件が記述され
たファイルである。なお、jpeg形式のパラメータファイルについては後述する。
複合機100は、テキスト形式のパラメータファイルをjpeg形式のパラメータファイルよりも優先的に受け付けるようにプログラムされている。即ち、複合機100はまず、PUT要求が指定するファイルがテキスト形式のパラメータファイルであるか否かを判断する
(ステップS602)。複合機100は、PUT要求が指定するファイルがテキスト形式の
パラメータファイルでない場合(ステップS602:NO)、PUT要求が指定するファイル
がjpeg形式のパラメータファイルであるか否かを判断する(ステップS603)。
PUT要求が指定するファイルがいずれの形式(テキスト形式又はjpeg形式)のパラメー
タファイル(設定ファイル)でもない場合(ステップS602:NO、及びステップS603:NO)、複合機100は、PUT要求を送信した端末150へエラーメッセージを送信す
る(ステップS604)。
PUT要求が指定するファイルがいずれかの形式のパラメータファイル(設定ファイル)
である場合(ステップS602:YES、又はステップS603:YES)、複合機100は、PUT要求が指定する設定ファイルを開いてそのファイルに記述されたスキャンパラ
メータ(スキャン機能を実行する際の動作条件)を読み込む(ステップS606)。なお、以下では、スキャンパラメータを単にパラメータと称する。
次に複合機100は、読み込んだパラメータが正常か否かをチェックする(ステップS608)。換言すれば、複合機100は、読み込んだパラメータが自己に適合するか否かを判断する。読み込んだパラメータが自己に適合しない場合には(ステップS608:NO)、複合機100は、PUT要求を送信した端末へエラーメッセージを送信する(ステッ
プS604)。読み込んだパラメータが自己に適合しない場合とは、例えば、パラメータファイル(設定ファイル)に記述されたパラメータ(動作条件)が識別不能の場合、或いは、パラメータが示す数値が、複合機100が許容する数値範囲を超えている場合などである。なお、前述したように、複合機100は、パラメータファイルがScanParam.txtと
いう名称のテキストファイルの場合、そのファイルに記述された文字列「panel」以降の
記述は無視するようにプログラムされている。
読み込んだパラメータが自己に適合する場合には(ステップS608:YES)、複合機100は、PUT要求を送信した端末150へOKを返す(ステップS610)。
次に複合機100は、パラメータ設定処理(ステップS614)を実行する。パラメータ設定処理とは、読み込んだパラメータ(動作条件)を自己の動作条件に設定する処理である。パラメータ設定処理については後述する。
次に複合機100は、スキャンユニット114にセットされたドキュメントのスキャンを実行し(ステップS614)、次いで、読み取ったスキャン結果(画像データ)を出力する出力処理を実行する(ステップS616)。なお、出力処理については後述する。
こうして複合機100は、パラメータファイル(設定ファイル)を受信すると、パラメータファイルに記述された動作条件を設定してスキャン機能(画像関連機能)を実行する。
【0025】
次に、パラメータ設定処理(図5に示したステップS612)について説明する。図6は、パラメータ設定処理のフローチャート図である。
まず、図5のステップS606で読み込んだパラメータを、自己の各設定項目に設定する(ステップS700)。
次に、ステップS700の処理において未設定の設定項目があるか否かをチェックする(ステップS702)。未設定の設定項目がある場合とは、複合機100が受信したパラメータファイル(設定ファイル)に動作条件が記述されていない設定項目が存在する場合
である。
例えば、パラメータファイルが図3に示すScanParam.txtファイル206の場合、「brightness」と「contrast」の設定項目がコメントアウトされている。従って、複合機10
0がこのScanParam.txtファイル206を受信した場合、ステップS700の処理では、
「brightness」と「contrast」の設定項目が未設定となる。
未設定の設定項目がある場合には(ステップS702:YES)、記憶装置120に記憶しているDefaultScanParam.txtファイルから、未設定の設定項目に対応するデフォルトのパラメータ(動作条件)を読み込んで、読み込んだパラメータを未設定の設定項目に設定する(ステップS704)。前述した例の場合、「brightness」と「contrast」の設定項目が未設定である。そこで、複合機100は、図2に示したDefaultScanParam.txtから、「brightness=50」と「contrast=60」を読み込んで、設定項目brightness」に対してデフォルトの動作条件「50」を設定し、設定項目「contrast」に対してデフォルトの動作条件「60」を設定する。こうして、全ての設定項目に動作条件が設定される。
【0026】
次に、出力処理(図5に示したステップS616)について説明する。図7は、出力処理のフローチャート図である。
まず、複合機100は、ScanParam_time.txtという名称の新たなテキストファイルを作成し、パラメータ設定処理によって複合機100が設定した全パラメータをその新たなファイルに出力する(ステップS800)。即ち、複合機100は、パラメータ設定処理によって複合機100が設定した全パラメータを保存する。
なお、「ScanParam_time.txt」という名称における文字列「time」には、複合機100が備えるタイマ118(図1参照)が取得した現在の日時が代入される。例えば、現在の日時がyy年mm年dd日tt時ss分の場合、新たに作成される設定ファイルは、「ScanParam_yymmddttss.txt」という名称となる。
新たに作成されるファイルには、受信したScanParam.txtファイル206に記述された
動作条件に、図6のステップS704で設定されたデフォルトの動作条件が付加される。具体的には、図8に示す通り、ScanParam_time.txtファイルには、図3に示したScanParam.txtファイル206に記述された動作条件に、図2に示したDefaultParam.txtファイル
に記述された動作条件のうちの「brightness=50」と「contrast=60」が置き換えられ状態で、全ての設定項目に対する動作条件が記述される。なお、図3に示したScanParam.txt
ファイル206に記述された文字列[panel]はそのまま保存される。
複合機100が受信したパラメータファイル(設定ファイル)に、全ての設定項目に対する動作条件が記述されている場合には、新たに作成されるScanParam_time.txtファイルは、受信したパラメータファイルと同一の内容となる。
【0027】
次に複合機100は、スキャン機能を実行して読み取ったスキャン結果(画像データ)に、パラメータ設定処理で設定した全パラメータを付加するか否かをチェックする(ステップS802)。即ち、全パラメータと画像データを一体化したファイルを出力するか否かをチェックする。換言すれば、全パラメータと画像データを一体化したファイルを保存するか否かをチェックする。全パラメータと画像データを一体化したファイルを出力するか否かは、事前にユーザから指示されている。この指示は、複合機100が有する操作スイッチ(不図示)によって与えられてもよいし、パラメータファイル(設定ファイル)の中で指定するように構成してもよい。
ステップS802の判断がNOの場合、複合機100は、スキャン機能を実行して読み取った画像データを、パラメータファイルに記述された出力先フォルダに出力する(ステップS804)。パラメータファイルが図3に示すScanParam.txtファイル206の場合
、出力先フォルダは、「\output\user1」である。
ステップS802の判断がYESの場合、複合機100は、全パラメータと画像データを一体化したファイルを、パラメータファイルに記述された出力先フォルダに出力する(ステップS806)。
ステップS804とステップS806のいずれの場合も、出力されるファイルはjpeg形式のファイルである。ステップS806の場合、全パラメータ(動作条件)は、jpeg形式のファイルの予備データ領域に記述される。予備データ領域とは具体的にはjpeg規格で定義されているjpegファイルの「MakerNoteタグ」と呼ばれる領域である。以下では、全パ
ラメータと画像データを一体化したファイルを動作条件付き画像ファイルと称する。
ユーザは、動作条件付き画像ファイルの名称に文字列「ScanParam」を加えることによ
って、そのjpegファイルをパラメータファイルとして利用することができる。なお、複合機100は、図5のステップS606において、パラメータファイルがjpeg形式の動作条件付き画像ファイルの場合には、そのファイルの「MakerNoteタグ」領域から動作条件を
読み込むようにプログラムされている。
【0028】
以上、本発明に係る実施例を説明した、実施例の複合機100には、次の利点がある。(1)図7に示した出力処理によって、スキャン機能を実行した際の全ての動作条件が「ScanParam_time.txt」という名称のファイル、さらには動作条件付き画像ファイルに記述されて複合機100の記憶装置120内のoutputフォルダに保存される。ユーザは、ファイル共有プロトコルを利用して、複合機100から保存された「ScanParam_time.txt」或いは動作条件付き画像ファイルを取得することができる。ユーザは、取得したファイルを利用することで、過去に指定した動作条件と同じ動作条件でスキャン機能を実行させることができる。ユーザは、過去に指定した動作条件を記述した設定ファイルを改めて作成する必要がない。
(2)複合機100は、スキャン機能を実行する際のデフォルトの動作条件をDefaultScanParam.txtファイルに記述して記憶している。複合機100は、ユーザが端末150から受信した設定ファイルに動作条件が記述されていない設定項目が存在する場合に、動作条件が記述されていない設定項目に対してデフォルトの動作条件を設定してスキャン機能を実行する。ユーザは、デフォルトの動作条件でよい設定項目については設定ファイルに記述する必要がない。
(3)端末150から受信した設定ファイルに動作条件が記述されていない設定項目が存在する場合には、複合機100は、受信した設定ファイルに記述された動作条件に、スキャン機能実行時に設定したデフォルトの動作条件を付加して保存する。
デフォルトの動作条件を記述したDefaultScanParam.txtファイルは、複合機100のoutputフォルダに格納されているテキストファイルである。従って、ユーザは、このDefaultScanParam.txtファイルを書き換えることもできる。複合機100は、デフォルトの動作条件を設定してスキャン機能を実行する場合には、設定したデフォルトの動作条件を含めて実行時の動作条件を保存する。従って、デフォルトの動作条件が変更された場合でも、変更前に実行したときの動作条件を容易に再度指定することができる。
(4)複合機100は、スキャン機能を実行したときに、実行時の動作条件とその実行結果である画像データとを一体化したファイル(前述した動作条件付き画像ファイル)を保存することができる。具体的には、図7に示した出力処理によって、スキャン機能を実行した際の全ての動作条件が、スキャン機能の実行結果の画像ファイルに付加されて保存される。ユーザは、動作条件付き画像ファイルの画像データを見ることによって、そのファイルに記述された動作条件に基づくスキャン機能の実行結果の状態を確認することができる。過去に指定した動作条件を再び指定する前に、その動作条件がどのような実行結果をもたらすかを把握することができる。
(5)複合機100は、動作条件をファイルに保存する際に、保存した日時をファイル名に付加する。これによって、ユーザは、その動作条件を利用した日時をファイル名から容易に知ることができる。
【0029】
複合機100において、図4に示したステップS100の処理を実行するときのCPU110が、請求項の「受信手段」に相当する。図5に示したスキャン処理と図6に示したパラメータ設定処理を実行するときのCPU110が請求項の「実行手段」に相当する。
図7に示したステップS800、或いはステップS806を実行するときのCPU110が、請求項の「バックアップ手段」に相当する。なお、ステップS804或いはステップS806の処理において、「ScanParam_time.txt」或いは動作条件付き画像ファイルを保存する場所は、複合機100の記憶装置120でなくともよい。複合機100は、ネットワークに接続された他の端末の記憶装置に「ScanParam_time.txt」或いは動作条件付き画像ファイルを保存してもよい。
【0030】
上記の実施例では、スキャン機能を例として説明した。本発明の周辺装置が実行する所定の機能はスキャン機能に限定されるものではない。印刷機能やファクシミリ機能であっっても本発明は適用することができる。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、複合機(周辺装置)のブロック図である。
【図2】図2は、デフォルト動作条件を記述した設定ファイルを説明する図である。
【図3】図3は、端末の画面表示の一例を示す図である。
【図4】図4は、複合機が実行するメイン処理のフローチャート図である。
【図5】図5は、複合機が実行するスキャン処理のフローチャート図である。
【図6】図6は、複合機が実行するパラメータ設定処理のフローチャート図である。
【図7】図7は、複合機が実行する出力処理のフローチャート図である。
【図8】図8は、複合機が保存する動作条件を記述したファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
100:複合機
102:ネットワーク
110:CPU
112:プリンタユニット
114:スキャナユニット
116:ファクシミリユニット
118:タイマ
120:記憶装置
122:プログラム
124:フォルダ属性情報
126:ファイル
150:端末
152:CPU
154:記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して送られる端末からの指示に応じて所定の機能を実行する周辺装置であり、
所定の機能を実行する際の動作条件を記述した設定ファイルをファイル共有プロトコルに基づいて端末から受信する受信手段と、
受信した設定ファイルに記述された動作条件を設定して所定の機能を実行する実行手段と、
受信した設定ファイルに記述された動作条件をファイルに保存するバックアップ手段と、
を備えることを特徴とする周辺装置。
【請求項2】
動作条件を設定すべき複数の設定項目の夫々に対するデフォルトの動作条件を記憶する記憶手段を備えており、
実行手段は、受信した設定ファイルに動作条件が記述されていない設定項目が存在する場合に、動作条件が記述されていない設定項目に対してデフォルトの動作条件を設定して所定の機能を実行し、
バックアップ手段は、受信した設定ファイルに記述された動作条件に、実行手段が設定したデフォルトの動作条件を付加して保存することを特徴とする請求項1の周辺装置。
【請求項3】
前記所定の機能は、画像データを出力する画像データ出力機能であり、
バックアップ手段は、動作条件と、その動作条件に基づいて実行した画像データ出力機能によって出力された画像データとを一体としたファイルを保存することを特徴とする請求項1又は2に記載の周辺装置。
【請求項4】
バックアップ手段は、ユーザの指示に基づいて、動作条件と画像データとを一体としたファイルを保存するか否かを切り替えることを特徴とする請求項3に記載の周辺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−155676(P2011−155676A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58853(P2011−58853)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2007−83436(P2007−83436)の分割
【原出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】