説明

商品券類発行装置

【課題】所望の金種の貨幣をより多く収集可能な商品券類発行装置の提供。
【解決手段】一回の投入での投入合計金額が、基準金額値に達していない場合に、当該投入での各金種毎の投入枚数および投入合計金額を未処理情報として商品券類35または記憶手段に記憶させるとともに、商品券類35または記憶手段に記憶された前記未処理情報に基づいて、一の商品券類35に関連して複数回の投入で合算された前記投入合計金額が前記前記基準金額値になった時点で前記プレミアム金額決定手段30によりプレミアム金額を決定する制御部21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金代わりに使用可能な商品券やポイントカード等の商品券類を発行する商品券類発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭に保管されている硬貨を収集することを目的として小銭を大きな額面の貨幣に両替する逆両替機に関する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパート、各種商店等においては、顧客に支払う釣銭として使用する釣銭準備金を予め用意しておく必要があるが、釣銭準備金の用意を専門機関に依頼すると手数料が掛かってしまうことになり、店舗規模が大きくなればなるほど手数料コストが増大してしまうという問題があった。このため、特に少額硬貨の収集を目的として、店舗に上記のような逆両替機を設置することも考えられるが、単に逆両替機を設置しただけでは、その利用は限定的であると予想され、あまり効果が期待できない。
【0004】
このため、少額硬貨を投入すると、その金額を表示したカードを発行し、金額が一定額になると、プレミアムを付けて商品券と交換する技術がある(例えば特許文献2参照)。このようにすれば、顧客の積極的な利用が期待でき、少額硬貨の収集が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−66374号公報
【特許文献2】特開平8−115454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように少額硬貨の投入金額が一定額になるとプレミアムを付ける方式では、少額硬貨を収集できることにはなるが、実際に釣銭準備金として使用量が多い金種の硬貨が希望通りに集まらず、使用量が少ない金種の硬貨ばかり集まってしまう可能性もある。
【0007】
したがって、本発明は、所望の金種の貨幣をより多く収集可能な商品券類発行装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した額面の商品券類を発行する商品券類発行装置であって、投入された貨幣に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定するプレミアム金額決定手段を有し、前記プレミアム金額決定手段は、投入合計金額が所定の基準金額値になった時点での投入貨幣枚数に応じて前記投入合計金額に乗算するプレミアム割合が設定されており、一回の投入での投入合計金額が、前記基準金額値に達していない場合に、当該投入での各金種毎の投入枚数および投入合計金額を未処理情報として商品券類または記憶手段に記憶させるとともに、商品券類または記憶手段に記憶された前記未処理情報に基づいて、一の商品券類に関連して複数回の投入で合算された前記投入合計金額が前記基準金額値になった時点で前記プレミアム金額決定手段によりプレミアム金額を決定する制御部を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記投入貨幣枚数が多いほど前記プレミアム割合が高く設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した額面の商品券類を発行する際に、プレミアム金額決定手段が、投入された貨幣に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定することになるため、所望の金種の貨幣のより多くの投入を誘導するようにプレミアム金額を決定することで、所望の金種の貨幣をより多く収集可能となる。
【0011】
また、投入された貨幣に対して、プレミアム金額決定手段で、投入合計金額が所定の基準金額値になった時点での投入貨幣枚数に応じて設定されているプレミアム割合を各金種の金額に乗算するため、例えば同金額に対してより多い枚数を投入した場合のプレミアム割合を高く設定しておくことで、少額貨幣のより多くの投入を誘導することになり、少額貨幣をより多く収集可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、投入貨幣枚数が多いほどプレミアム割合が高く設定されているため、結果的に、少額貨幣のより多くの投入を誘導でき、少額貨幣を収集可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1参考技術および第2参考技術の商品券類発行装置を概略的に示すブロック図である。
【図2】第1参考技術の商品券類発行装置における金種とプレミアム割合との関係を示す図表である。
【図3】第1参考技術の商品券類発行装置における投入硬貨の金種、枚数および投入額とプレミアム金額および発行額面との関係を示す図表である。
【図4】第2参考技術の商品券類発行装置における枚数とプレミアム割合との関係を示す図表である。
【図5】第3参考技術および本発明の第1実施形態の商品券類発行装置を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1参考技術の商品券類発行装置を図1〜図3を参照して以下に説明する。
図1に示すように、第1参考技術の商品券類発行装置11は、商品券類として商品券12を発行するもので、筐体13の前面側に、硬貨(貨幣)が投入される硬貨投入口15と、硬貨を返却するための返却口16と、商品券12を発行する商品券発行口17と、顧客に対する表示を行うとともに顧客による操作入力が行われる操作表示部18とを有している。
【0015】
筐体13の内部には、商品券類発行装置11の各部を制御する制御部21と、制御部21で制御されることにより、硬貨投入口15に投入された硬貨を取り込んで識別部22で真偽および金種を識別して計数し、真硬貨と識別された硬貨以外の硬貨を返却口16へ返却する一方、真硬貨と識別された硬貨を一時貯留部23に一時貯留させるとともに、その後、操作表示部18に計数結果の承認操作が入力されると一時貯留硬貨を収納部24に収納する一方、操作表示部18にキャンセル操作が入力されると硬貨を返却口16に返却する硬貨入金部25と、制御部21で制御されることにより、商品券発行口17を介して商品券12を発行する商品券発行部26とが設けられている。
【0016】
そして、第1参考技術の商品券類発行装置11は、投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した発行額面の商品券12を発行するものであり、制御部21は、投入された硬貨の金種に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定するプレミアム金額決定部(プレミアム金額決定手段)30を有している。
【0017】
つまり、プレミアム金額決定部30には、金額に乗算するプレミアム割合が金種毎に設定されており、プレミアム割合は複数あって少額貨幣ほど高く設定されている。なお、算出したプレミアム金額に小数点以下の端数が生じた場合に、プレミアム金額決定部30は、その合計値から切り上げを行う。なお、少金額の投入に対しても切り上げを行っていると、プレミアム金額が投入合計金額に対し大きくなり過ぎるため、プレミアム金額の計算の基準となる一回の投入(投入してからこれについての承認操作をするまで)に最低必要な最低投入金額が設定されており、この一回の投入に対する投入合計金額が最低投入金額以上の場合にプレミアム金額決定部30がプレミアム金額を決定する。
【0018】
具体的には、図2に示すように、釣銭準備金として大量に準備が必要な少額貨幣である1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨については、最も高い2%のプレミアム割合が設定されており、これらよりも高額の中間額貨幣の50円硬貨および100円硬貨については、中間の1%のプレミアム割合が設定されていて、最も高額の500硬貨については、最も低い0.5%のプレミアム割合が設定されている。そして、最低投入金額として1000円が設定されている。
【0019】
まず、制御部21は、待機状態として、一回で最低投入金額以上の硬貨を投入するとプレミアム金額の付いた商品券12への交換が可能である旨の表示と、硬貨の投入を促す表示とを操作表示部18に表示させておく。
【0020】
そして、顧客によって硬貨が硬貨投入口15に投入されたことを図示せぬセンサで検出すると、制御部21は、硬貨入金部25で硬貨を取り込ませ識別させて真硬貨のみ金種別に計数して一時貯留部23に一時貯留させる。制御部21は、一時貯留部23に一時貯留された硬貨の金種別の枚数とその合計金額つまり投入合計金額とを操作表示部18に表示させるとともに、この投入合計金額が最低投入金額に達しているか否かを判定し、最低投入金額に達している場合は、承認するかキャンセルするかの選択操作を促す表示を操作表示部18に表示させる。次に、制御部21は、操作表示部18にキャンセル操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて返却口16に返却し、操作表示部18に承認操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて収納部24に収納させる。
【0021】
他方、制御部21は、投入合計金額が最低投入金額に達していない場合に、追加投入を促す表示およびキャンセル操作が選択可能である旨の表示を操作表示部18に表示させる。操作表示部18にキャンセル操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて返却口16に返却させることになるが、キャンセル操作が入力されるか硬貨が追加投入されて投入合計金額が最低投入金額に達するまでは待機する。
【0022】
上記した承認操作が入力されると、制御部21は、一回の投入が完了したと判定し、そのプレミアム金額決定部30が、上記のように予め金種毎に設定されたプレミアム割合をこの一回の投入における各金種毎の投入金額に乗算して、プレミアム金額を得て、このプレミアム金額をこの一回の投入での投入合計金額に加算して発行額面を決めるプレミアム付加処理を行う。なお、上記のように承認するかキャンセルするかの選択操作の入力を促す際に、投入合計金額とプレミアム金額とこれらを加算した発行額面とを操作表示部18に表示させて選択操作の判断材料とするようにしても良い。
【0023】
ここで、例えば、図3に示すように、顧客により、1円硬貨が100枚の100円と、5円硬貨が20枚の100円と、10円硬貨が50枚の500円と、100円硬貨が3枚の300円の合計173枚の1000円分の硬貨が一回の投入で硬貨投入口15に投入され一時貯流部23に一時貯留された場合に、制御部21は、上記した承認操作が入力されると、1円硬貨100枚の投入金額100円に対し2%のプレミアム割合を乗算して2円のプレミアム金額を、5円硬貨20枚の投入金額100円に対し2%のプレミアム割合を乗算して2円のプレミアム金額を、10円硬貨50枚の投入金額500円に対し2%のプレミアム割合を乗算して10円のプレミアム金額を、100円硬貨3枚の投入金額300円に対し1%のプレミアム割合を乗算して3円のプレミアム金額を、それぞれ得る。そして、制御部21は、投入合計金額の1000円に対して合計17円のプレミアム金額が付いた1017円の発行額面の商品券12を商品券発行部26に発行させる。
【0024】
以上に述べた第1参考技術の商品券類発行装置11によれば、投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した発行額面の商品券12を発行する際に、制御部21のプレミアム金額決定部30が、投入された硬貨に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定することになり、より具体的には、投入された硬貨に対して、金種毎の金額に、少額貨幣ほど高く設定されているプレミアム割合を乗算してプレミアム金額を決定することになるため、所望の金種の硬貨、つまり少額硬貨のより多くの投入を誘導でき、少額硬貨、つまり1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨をより多く収集可能となる。
【0025】
しかも、上記のように金種毎に設定されているプレミアム割合を各金種の金額に乗算するため、顧客に分かりやすく所望の金額の硬貨、つまり少額硬貨のより多くの投入を誘導することになり、少額硬貨をより確実に収集可能となる。
【0026】
なお、最低投入金額や、各金種別のプレミアム割合は、上記に限らず種々の変更が可能であり、例えば、全金種に対して異なるプレミアム割合を設定したりすることが可能である。
【0027】
第2参考技術の商品券類発行装置を図1、図3および図4を参照して第1参考技術との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1参考技術と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0028】
第2参考技術は、第1参考技術に対しプレミアム金額決定部30のプレミアム金額の決定方式が異なっている。つまり、第2参考技術のプレミアム金額決定部30は、一回の投入に対する投入合計金額が所定の基準金額値になった時点での投入貨幣枚数に応じて、異なる比率で投入合計金額に乗算するプレミアム割合が設定されており、基準金額値毎にプレミアム割合を決定しプレミアム金額を決定する。具体的には、一回の投入における基準金額値毎の投入貨幣枚数が多いほどプレミアム割合が高く設定されている。
【0029】
例えば、一回の投入に対する基準金額値として1000円が設定されており、図4に示すように、基準金額値になった時点での投入貨幣枚数が10枚以内である場合に対して最も低い0.4%のプレミアム割合が、基準金額値になった時点での投入貨幣枚数が11枚以上50枚以内である場合に対して次に低い0.8%のプレミアム割合が、基準金額値になった時点での投入貨幣枚数が51枚以上100枚以内である場合に対して中間の1.2%のプレミアム割合が、基準金額値になった時点での投入貨幣枚数が101枚以上200枚以内である場合に対してやや高い1.6%のプレミアム割合が、基準金額値になった時点での投入貨幣枚数が201枚以上である場合に対して最も高い2%のプレミアム割合が、それぞれ設定されている。
【0030】
そして、制御部21は、第1参考技術と同様に、硬貨入金部25で硬貨を取り込ませ、識別して真硬貨のみ金種別に計数して一時貯留部23に一時貯留させて、一時貯留部23に一時貯留された全枚数と投入合計金額とを操作表示部18に表示させるとともに、投入合計金額が基準金額値に達しているか否かを判定し、投入合計金額が基準金額値に達している場合は、承認するかキャンセルするかの選択操作を操作表示部18の表示で促す。次に、制御部21は、操作表示部18にキャンセル操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて返却口16に返却する一方、操作表示部18に承認操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて収納部24に収納する。
【0031】
他方、制御部21は、投入合計金額が基準金額値に達していない場合に、追加投入を促す表示およびキャンセル操作が選択可能である旨の表示を操作表示部18に表示させる。操作表示部18にキャンセル操作が入力された場合、一時貯留部23の硬貨をすべて返却口16に返却することになるが、操作表示部18にキャンセル操作が入力されるか硬貨が追加投入されて合計金額が基準金額値に達するまでは待機する。
【0032】
上記した承認操作が入力されると、制御部21は、一回の投入が完了したと判定し、そのプレミアム金額決定部30が、上記のように枚数毎に設定されたプレミアム割合をこの一回の投入に対する投入合計金額に乗算して、プレミアム金額を得て、このプレミアム金額をこの一回の投入での投入合計金額に加算して発行額面を得るプレミアム付加処理を行う。一回の投入で基準金額値の複数倍の金額が投入されたときには各基準金額値毎に、枚数を得て、プレミアム割合を設定し、プレミアム金額を得る。このとき、最も高いプレミアム金額が得られるように各基準金額値毎に枚数を振り分ける。また、基準金額値を越え、次の基準金額値に満たない金額については、金額と枚数との関係によって別途のプレミアム割合を決定し乗算してプレミアム金額を決定する。なお、次の基準金額値に満たない金額については、プレミアム金額は付与せずにその額面通りの金額としたり、一律のプレミアム割合を乗算してプレミアム金額を決定したりしても良い。上記のように承認するかキャンセルするかの選択操作の入力を促す際に、投入合計金額とプレミアム金額とこれらを加算した発行額面とを操作表示部18に表示させて選択操作の判断材料とするようにしても良い。
【0033】
ここで、例えば、図3に示すように、第1参考技術と同じ合計173枚の1000円分が投入された場合に、制御部21は、上記した承認操作が入力されると、173枚に対する1.6%のプレミアム割合を乗算して16円のプレミアム金額を得て、このプレミアム金額を投入合計金額の1000円に加算した1016円の発行額面を得る。そして、制御部21は、合計の投入合計金額1000円に対して16円のプレミアム金額が付いた1016円の発行額面の商品券12を商品券発行部26に発行させる。
【0034】
以上に述べた第2参考技術の商品券類発行装置11によれば、投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した発行額面の商品券12を発行する際に、制御部21のプレミアム金額決定部30が、投入された硬貨に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定することになり、より具体的には、投入合計金額が基準金額値になった時点での投入貨幣枚数に応じて、投入貨幣枚数が多いほど高いプレミアム割合を投入合計金額に乗算してプレミアム金額を決定することになるため、結果的には、第1参考技術と同様に、少額硬貨のより多くの投入を誘導でき、少額硬貨を収集可能となる。
【0035】
なお、基準金額値、プレミアム割合、プレミアム割合を異ならせる枚数区分等は、上記に限らず種々の変更が可能である。
【0036】
第3参考技術の商品券類発行装置を図5を参照して第1参考技術との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1参考技術と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0037】
第3参考技術の商品券類発行装置11は、商品券類として額面を記憶および表示可能なICカード等のカード35を発行するものである。このため、第3参考技術の商品券類発行装置11は、第1参考技術の商品券発行口17および商品券発行部26に換えて、カード35が挿入されるとともにカード35を返却するカード入出口36と、カード入出口36を介して挿入されたカード35の表示データおよび記憶データを制御部21で制御されることにより書き換えてカード入出口36から発行するカード発行部37とを有している。
【0038】
そして、第3参考技術の商品券類発行装置11は、一回の投入に対する投入合計金額が上記した第1参考技術の最低投入金額に達していなくても、承認操作を可能とし、承認操作が入力されると各金種毎の投入枚数および投入金額をカード35に記憶させた後にカード35を返却することになり、このような硬貨投入の複数回について各金種毎の投入枚数および投入金額を合算して、合算された投入合計金額が最低投入金額になった時点で第1参考技術と同様のプレミアム付加処理を行う。
【0039】
つまり、まず、カード35がカード入出口36に挿入されると、制御部21は、カード発行部37でカード35に記憶された情報を読み出し、それまでに記憶されたプレミアム付加処理が未処理(以下単に未処理と称す)の各金種毎の投入枚数および未処理の投入合計金額を読み出す。そして、今回の一回の投入で一時貯留部23に硬貨が一時貯留され、承認操作が入力されると、今回の投入硬貨の各金種毎の投入枚数および投入金額を、上記した未処理の各金種毎の投入枚数および未処理の投入合計金額に加算する。
【0040】
上記のようにして、一回もしくは複数回の投入で未処理の投入合計金額が最低投入金額に達すると、第1参考技術と同様に、制御部21のプレミアム金額決定部30が、予め金種毎に設定されたプレミアム割合を未処理分の各金種毎の投入金額に乗算して、プレミアム金額を得る。そして、プレミアム金額を乗算の元になった未処理であった投入合計金額に加算し、これをさらにそれより前にプレミアム付加処理を行った処理済(以下単に処理済と称す)の投入合計金額に加算した発行額面をカード35に記憶させるとともにこの発行額面をカード35に表示させて今回のプレミアム付加処理を完了する。
【0041】
なお、処理済の投入合計金額については未処理の各金種毎の投入枚数および投入金額とは区別して記憶し、プレミアム付加処理が複数回行われてしまうことがないようにする。
【0042】
このカード35は、例えば処理済の額面と未処理の額面とを別々に表示させており、例えば処理済の額面分の金額が商品購入等に使用可能となっている。商品購入等に使用した場合、レジが、代金の一部あるいは全部として、商品購入等に使用した金額分をカード35に記憶された処理済の額面分の金額から除いて新たな処理済の額面を算出しこれをカード35に記憶および表示させることになる。
【0043】
また、処理済の額面分の金額と未処理の額面分の金額とを両方とも商品購入等に使用可能としても良い。この場合、カード35には処理済の金額と未処理の金額との合計の額面を表示させることになり、商品購入等に使用すると、レジが、代金の一部あるいは全部として、商品購入等に使用した金額分をカード35に記憶された処理済の額面分の金額および未処理の額面分の金額の合計の金額から除いて新たな額面を算出しこれをカード35に記憶および表示させることになる。このとき、処理済の額面分の金額から優先的に除くようにし、未処理の金額が多く残るようにする。
【0044】
第1参考技術のように最低投入金額が設定されていると硬貨を多数準備する手間等によって硬貨の収集が進まない可能性があるが、以上の第3参考技術の商品券類発行装置11によれば、少数でも硬貨を受け入れることができるため、硬貨の収集をさらに確実に行うことができる。
【0045】
本発明の第1実施形態の商品券類発行装置を図5を参照して第2参考技術との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第2参考技術と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0046】
第1実施形態の商品券類発行装置11は、第3参考技術と同様に商品券類として額面を記憶および表示可能なICカード等のカード35を発行するものである。
【0047】
そして、第1実施形態の商品券類発行装置11は、一回の投入に対する投入合計金額が第2参考技術の基準金額値にならなくても、承認操作を可能とし、承認操作が入力されると各金種毎の投入枚数および投入金額をカード35のデータに加算して記憶させた後にカード35を返却することになり、このような硬貨投入の複数回について各金種毎の投入枚数および投入金額を合算して、合計投入金額が基準金額値になった時点で第2参考技術と同様のプレミアム付加処理を行う。
【0048】
つまり、まず、カード35がカード入出口36に挿入されると、制御部21は、カード発行部37でカード35に記憶された情報を読み出し、それまでに記憶されたプレミアム付加処理が未処理(以下単に未処理と称す)の各金種毎の投入枚数および未処理の投入合計金額を読み出す。そして、今回の一回の投入で一時貯留部23に硬貨が一時貯留され、承認操作が入力されると、今回の投入硬貨の各金種毎の投入枚数および投入金額を、上記した未処理の金種毎の投入枚数および未処理の投入合計金額に加算する。
【0049】
上記のようにして、一回もしくは複数回の投入で投入合計金額が基準金額値に達すると、第2参考技術と同様に、制御部21のプレミアム金額決定部30が、枚数毎に設定されたプレミアム割合を投入合計金額の中の基準金額値に乗算して、プレミアム金額を得る。そして、プレミアム金額を乗算の元になったの基準金額値に加算し、これをさらにそれより前にプレミアム付加処理を行った処理済(以下単に処理済と称す)の投入合計金額に加算した発行額面を、カード発行部37においてカード35に記憶させるとともにこの発行額面をカード35に表示させてプレミアム付加処理を完了する。基準金額値の複数倍の金額が投入されたときには各基準金額値毎に、枚数を得て、プレミアム割合を設定し、プレミアム金額を得る。このときも、最も高いプレミアム金額が得られるように各基準金額値毎に枚数を振り分ける。
【0050】
なお、基準金額値を越えて硬貨が投入された場合、基準金額値を越え、次の基準金額値に満たない金額については、投入枚数および投入金額は未処理の投入枚数および未処理の投入金額として再び、処理済の金額とは別に記憶する。このときの基準金額値とそれを越える分との振り分けは、プレミアム金額が多くなるように少額硬貨をより多く含む組み合わせでプレミアム割合を乗算する基準金額値を得るようにし、残りを未処理分とする。
【0051】
このカード35も、第3参考技術と同様に、処理済の額面分の金額、あるいはこれに未処理の額面分の金額を合わせた金額が商品購入等に使用可能となっており、使用時には第3参考技術と同様に、レジにおいて、カード35に記憶された額面分の金額から使用された金額分が除かれた新たな額面がカード35に記憶および表示される。
【0052】
以上の第1実施形態の商品券類発行装置11によれば、第3参考技術と同様に、少数でも硬貨を受け入れることができるため、硬貨の収集をさらに確実に行うことができる。
【0053】
なお、第3参考技術および第1実施形態において、カード35に金額等を記憶させるのではなく、カード35には他と区別するための識別情報のみを記憶させ、商品券類発行装置11あるいは、複数の商品券類発行装置11を取りまとめる中央制御装置等に、識別情報と関連づけて額面等を記憶させ、カード35が商品券類発行装置11に挿入された場合にこのカード35の識別と関連する額面等を商品券類発行装置11に表示させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0054】
11 商品券類発行装置
15 商品券(商品券類)
30 プレミアム金額決定部(プレミアム金額決定手段)
35 カード(商品券類)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣の投入合計金額に対してプレミアム金額を付した額面の商品券類を発行する商品券類発行装置であって、
投入された貨幣に応じて、異なる比率でプレミアム金額を決定するプレミアム金額決定手段を有し、
前記プレミアム金額決定手段は、投入合計金額が所定の基準金額値になった時点での投入貨幣枚数に応じて前記投入合計金額に乗算するプレミアム割合が設定されており、
一回の投入での投入合計金額が、前記基準金額値に達していない場合に、当該投入での各金種毎の投入枚数および投入合計金額を未処理情報として商品券類または記憶手段に記憶させるとともに、商品券類または記憶手段に記憶された前記未処理情報に基づいて、一の商品券類に関連して複数回の投入で合算された前記投入合計金額が前記基準金額値になった時点で前記プレミアム金額決定手段によりプレミアム金額を決定する制御部を有することを特徴とする商品券類発行装置。
【請求項2】
前記投入貨幣枚数が多いほど前記プレミアム割合が高く設定されていることを特徴とする請求項1記載の商品券類発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−238262(P2010−238262A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167119(P2010−167119)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2004−368053(P2004−368053)の分割
【原出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】