説明

商品製造装置用データ換算装置

【課題】温室効果ガスの排出量とともに、商品製造現場における生産損失および稼動エネルギーを正確に表示することができる商品製造装置用データ換算装置を提供することである。
【解決手段】商品製造装置用データ換算装置においては、制御部210a,〜,290aにより商品を製造する各種商品処理装置の製造ロスおよびフィルムロスが検知され、検出器210b,〜,290bにより各種商品処理装置からエア排出量および消費電力エネルギーが検知される。そして、制御部301により制御部210a,〜,290aおよび検出器210b,〜,290bにより検知された検知結果が二酸化炭素の排出量または金額に換算され、当該換算された換算結果である温室効果ガスの排出量または金額と、検知結果とが表示部305により表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品製造ラインにおいて使用される商品製造装置用データ換算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を製造する製造ラインまたは商品を生産する生産ラインにおいては、商品の生産性の向上が求められている。例えば、特許文献1には、生産ラインの処理速度と歩留率を監視しながらライン全体の生産性を向上させることができる生産ラインの管理方法と管理装置について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の生産ラインの管理方法においては、小分けされた物品を袋詰めにして商品を生産する生産ラインの管理方法であって、上記生産ラインの各処理工程に組み込まれた各種の処理装置で、処理したそれぞれの物品の処理結果を各物品に対応させて記録し、得られた各物品の各処理装置における処理結果から問題となる処理装置を把握するものである。
【0004】
また、特許文献1記載の生産ラインの管理装置においては、量産された物品を小分けして袋詰め商品を生産する生産ラインの管理装置であって、上記生産ラインの各処理工程に組み込まれた各種の処理装置とそれらを管理する集中管理装置とを通信回線に接続し、各処理装置は、小分けされた物品を処理する度に、その処理結果を処理した物品と関連付けて記録し、集中管理装置は、各処理装置から各物品の各処理結果を受信して、受信した各物品の各処理装置における処理結果から問題となる処理装置を把握し表示するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−301327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、特許文献1記載の生産ラインの管理方法と管理装置においては、生産ラインの処理速度と歩留率を監視しながらライン全体の生産性を向上させることができることが開示されている。
【0007】
また、近年、地球温暖化対策のために、温室効果ガスの排出量の削減についての法的拘束力のある約束等を定めるものとして1997(平成9)年12月に採択された“気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書”が、2005(平成17)年2月16日に発効されている。
【0008】
しかしながら、各国(日本を含み)においては、温室効果ガスの排出量を第一約束期間に基準年と比べて数%削減させるという条約上の約束がありながら、実際の排出量は増加傾向となっており、更なる取組みが求められている。
【0009】
また、一部の企業または自治体においては、温室効果ガスの排出量の算定、報告、公表制度も確立されている。
【0010】
本発明の目的は、温室効果ガスの排出量とともに、商品製造現場における生産損失および稼動エネルギーを正確に表示することができる商品製造装置用データ換算装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
一の局面に従う商品製造装置用データ換算装置は、商品を製造する各種商品処理装置の生産損失を検知する第1検知部と、各種商品処理装置の稼動エネルギーを検知する第2検知部と、第1検知部および第2検知部により検知された検知結果を温室効果ガスの排出量または金額に換算する換算部と、第1検知部および第2検知部により検知された結果と、換算部により換算された換算結果とを合せて表示する表示部とを含むものである。
【0012】
商品製造装置用データ換算装置においては、第1検知部により商品を製造する各種商品処理装置の生産損失が検知され、第2検知部により各種商品処理装置から稼動エネルギーが検知される。そして、換算部により第1検知部および第2検知部により検知された検知結果が温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量または金額に換算され、当該換算された換算結果である温室効果ガスの排出量または金額と、検知結果とが表示部により表示される。
【0013】
この場合、複数の単位を統一された単位に換算することにより、生産損失および稼動エネルギーの表示を統合して表示することができる。その結果、管理者に生産損失および稼動エネルギーを、統一された単位で認識および把握を行うことができる。
【0014】
(2)
商品製造装置用データ換算装置は、記録部をさらに備え、記録部は、換算部により換算された換算結果の履歴を記録し、表示部は、記録部に記録された換算結果を表示することが好ましい。
【0015】
この場合、記録部により換算結果である温室効果ガスの排出量および金額の履歴が記録されるので、温室効果ガスの排出量および金額の変動を表示し、当該変動を容易に認識することができる。
【0016】
(3)
商品製造装置用データ換算装置は、各種商品処理装置で使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を記録部に入力する入力部をさらに備え、換算部は、生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を温室効果ガスの排出量または金額に換算することが好ましい。
【0017】
この場合、商品処理装置で使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を記録部に入力することができる。例えば、部材とは、袋包装のフィルム、ラップ、容器等であり、商品の原料とは、油等の加工原料、塩等の調味料、さらに商品の主または副を成す原料を含む。その結果、製造現場のみならず、部材の生産現場および商品の原料を生産する生産現場、さらには部材および原料の運送時を含めたエネルギー消費量に基づいて換算を行うことができる。その結果、製造現場以外の要因も含めて、累積された温室効果ガスの排出量、または金額等のエネルギー損失を容易に把握することができる。
【0018】
(4)
記録部は、各種商品処理装置の運転条件を記録してもよい。
【0019】
この場合、記録部に各種商品処理装置の運転条件を記録することにより、温室効果ガスの排出量の変化を運転条件にあわせて、比較することができる。また、いずれの工程で不良品が発生して歩留まりを下げることとなっているか原因特定が容易であるため、歩留まり向上対策を容易に行うことができる。
【0020】
(5)
換算部は、各種商品処理装置毎に換算を実施し、表示部は、各種商品処理装置毎に換算結果を表示することが好ましい。
【0021】
この場合、表示部に各種商品処理装置毎の換算結果である温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量または金額が表示される。その結果、いずれの商品処理装置において温室効果ガスの排出量または金額が多いかを確実に認識することができる。
【0022】
(6)
換算部は、温室効果ガスの排出量を当該温室効果ガスの取引率で換算した金額を換算結果として算出し、表示部は、当該換算結果を表示することが好ましい。
【0023】
この場合、温室効果ガスの排出量を換算結果として金額で表示することができる。その結果、商品製造における監督者または作業者に対して認識しやすい単位、例えば金額で明示することができる。
また、温室効果ガスの排出量に関して目標値を下回った場合、または、温室効果ガスの排出量を削減できた場合、排出量削減分を売買することができる。その結果、地球環境に優しく、かつコスト低減を実現することができる。
【0024】
(7)
商品製造装置用データ換算装置において、表示部は、第1検知部により検知された検知結果と、最適な運転条件における第1検知部の結果とを比較し、第1検知部の差を予測する第1予測検知部と、第2検知部により検知された検知結果と、最適な運転条件における第2検知部の結果とを比較し、第2検知部の差を予測する第2予測検知部と、を含み、表示部は、第1予測検知部および第2検知部の少なくとも一方の差を表示してもよい。
【0025】
この場合、表示部は、予測した生産損失および稼動エネルギーのうち少なくとも一方を表示する。したがって、作業者は、表示部を確認することにより、予測された生産損失および稼動エネルギーの少なくとも一方を確認し、対応をとることができる。
【0026】
(8)
商品製造装置用データ換算装置において、表示部は、第1予測検知部および第2予測検知部の少なくとも一方の差に基づいて、記録部に記録されたアドバイスを選定し、表示してもよい。
【0027】
この場合、表示部は、予測した生産損失および稼動エネルギーのうち少なくとも一方を表示し、正常状態の各商品処理装置との値を比較して当該差に関する改善策(アドバイス)を表示することができる。その結果、作業者は、容易に対応をとることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る商品製造装置用データ換算装置によれば、温室効果ガスの排出量とともに、商品製造現場における生産損失および稼動エネルギーをあわせて正確に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る商品製造装置における各種商品処理装置を説明するための模式図である。
【図2】マスタサーバの一例を示す模式図である。
【図3】自動計量器および包装機を一体に設けた組合せ計量装置付き製袋包装装置を示す外観図である。
【図4】自動計量器の一例である組合せ計量装置を説明するための模式図である。
【図5】図3の下部に設けられた包装機の一例である製袋包装装置の一部の内部構造を示す模式図である。
【図6】金属検出器の一例を示す模式的外観図である。
【図7】重量チェッカの一例を示す模式図である。
【図8】シールチェッカの一例を示す模式図である。
【図9】X線検査装置の一例を示す模式的外観図である。
【図10】振分装置の一例を示す模式図である。
【図11】箱詰装置の一例を示す模式的外観図である。
【図12】ケースチェッカの一例を示す模式図である。
【図13】コントローラにおける表示部の一例を示す模式図である。
【図14】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図である。
【図15】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図である。
【図16】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図である。
【図17】二酸化炭素の排出量に関する目標値および実績を示す模式図である。
【図18】Aユニットにおける表示部の他の例を示す模式図である。
【図19】図13に示したマスタサーバにおける表示部のさらに他の例を示す模式図である。
【図20】図13および図20に示したマスタサーバにおける表示部のさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る商品製造装置用データ換算装置について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態に係る商品製造装置における各種商品処理装置を説明するための模式図であり、図2はマスタサーバの一例を示す模式図である。
【0032】
まず、図1に示すように、商品製造装置用データ換算装置100は、商品製造現場で使用される。商品製造現場は、通常複数のラインから構成される。図1には、ライン100a、100b、100cを例示した。図1に示すように、ライン100aは、自動計量器210、包装機220、金属検出器230、重量チェッカ240、シールチェッカ250、X線検査装置260、振分装置270、箱詰装置280、およびケースチェッカ290の各種商品処理装置が配置され、各種商品処理装置における電力を計量する検出器210b,〜,290bおよび各種商品処理装置の制御部210a,〜,290aと通信可能なコントローラ300aが配置されている。
【0033】
同様に、ライン100bは、自動計量器510、包装機520、金属検出器530、重量チェッカ540およびシールチェッカ550の各種商品処理装置が配置され、各種商品処理装置における電力を計量する検出器510b,〜,550bおよび各種商品処理装置の制御部510a,〜,590aと通信可能なコントローラ300bが配置されている。
【0034】
同様に、ライン100cは、自動計量器610、包装機620、および金属検出器630の各種商品処理装置が配置され、各種商品処理装置における電力を計量する検出器610b,〜,630bおよび各種商品処理装置の制御部610a,〜,630aと通信可能なコントローラ300cが配置されている。
【0035】
また、図1に示すように、コントローラ300a,〜,300cは、上位にマスタサーバ300を有する。
【0036】
また、図2に示すように、各マスタサーバ300は、制御部301、通信部302、入力部303、出力部304、表示部305および記録部310を含む。
【0037】
図2に示すように、記録部310には、商品の価格、消費期限、原材料コスト、使用する調味料および包装部材の種別、印字リボンの種別、製造に使用する窒素ガスまたは他のガスおよび製造コスト(いわゆる稼動エネルギーである電気使用量およびエア使用量を含む)等を記録した商品マスタデータベース311、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量に換算する温室効果ガス換算率データ312、消費電力量および二酸化炭素の排出量を金額に換算する金額換算率データ313、二酸化炭素の排出量を売買して取引される費用に換算する費用換算率データ314と、各種商品処理装置の運転状況を記録した運転状況履歴データ315を含む。これらの詳細については後述する。また、記録部310には、各種履歴データも記録される。
【0038】
次に、商品製造装置における各種商品処理装置について工程の順に説明を行う。まず、図1に示すライン100aのように、原料が自動計量器210に投入され、所定の計量値毎に区分けされた原料が包装機220に渡される。包装部材が包装機220に投入され、所定の計量値毎に区分けされた原料が包装部材により包装される。包装された袋包装物(以下、商品と呼ぶ。)が金属検出器230に渡され、金属物が混入していないか否か検査される。
【0039】
次に、商品が、重量チェッカ240に渡され、商品の重量値が所定の範囲内に在るか否かが検査される。次いで、商品がシールチェッカ250に渡され、商品の封止検査が行われる。続いて、商品がX線検査装置260に渡され、商品の異物検査が行われる。その後、商品が振分装置270に渡され、金属検出器230、重量チェッカ240、シールチェッカ250およびX線検査装置260において商品が不良品であると判定された場合、振分装置270において良品の搬送径路から、不良品である商品が取り除かれる。
【0040】
続いて、良品と判定された商品が箱詰装置280により所定の運搬用箱、例えば、ダンボール箱等に所定の個数箱詰めされる。最後に、ケースチェッカ290により商品が運搬用箱に所定個数箱詰めさたか否かの検査が行われ、不良品を取り除いて良品のみが商品として出荷される。また、図1のライン100b,100cにおいても、同様の一部工程が行われる。
【0041】
次に、各種商品処理装置について商品の工程に沿って説明を行う。
<自動計量器>
図3は、自動計量器210および後述する包装機220を一体に設けた組合せ計量装置付き製袋包装装置を示す外観図である。図4は、自動計量器210の一例である組合せ計量装置を説明するための模式図である。
【0042】
図4に示すように、自動計量器210は、上方に物品の供給装置211を備え、供給装置211のベルトコンベヤまたは振動トラフ等からなる供給部211aおよび当該供給部211aを駆動するモータまたは加振機等からなる駆動部211bを含む。
【0043】
自動計量器210は、供給装置211から物品が供給される供給シュート212と、分散フィーダ213と、放射フィーダ214−1〜214−N(N:2以上の整数、以下同じ)と、プールホッパ215−1〜215−Nと、計量ホッパ217−1〜217−Nと、本体に内蔵された重量検出器(ロードセル)216−1〜216−Nと、排出シュート218と、架台219とを含む。
【0044】
プールホッパ215−1〜215−Nの各々は、対応するロードセルを含む重量検出器216−1〜216−Nに物品を排出するための排出ゲート215a−1〜215a−Nを有する。プールホッパ215−1〜215−Nは、放射フィーダ214−1〜214−Nの各々に対応するように放射状に配設される。
【0045】
計量ホッパ217−1〜217−Nの各々は、排出シュート218に物品を排出するための排出ゲート217a−1〜217a−Nを有する。計量ホッパ217−1〜217−Nは、プールホッパ215−1〜215−Nの各々に対応するように放射状に配設される。
【0046】
以下、自動計量器210の動作について説明を行う。分散フィーダ213では、内蔵されたモータが駆動され、所定時間における振動が発生される。それにより、供給シュート212の排出口から排出された物品を周方向に分散させながら径方向に搬送し、各放射フィーダ214−1〜214−Nに供給する。
【0047】
放射フィーダ214−1〜214−Nの各々は、対応するプールホッパ215−1〜215−Nの各々に搬送する。放射フィーダ214−1〜214−Nは、分散フィーダ213を中心として放射状にそれぞれ配設される。
【0048】
重量検出器216−1〜216−Nは、計量ホッパ217−1〜217−Nのそれぞれに投入された物品の重量を計測し、重量検出信号を出力する。そして、計量ホッパ217−1〜217−Nのうち複数の計量ホッパを組み合わせて所定範囲内の重量を有する物品を、排出シュート218から排出する。それにより、物品の自動計量が行われる。
【0049】
(自動計量器の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、自動計量器210においては、物品が過剰に計量ホッパ217−1〜217−Nに投入された場合、当該計量ホッパ217−1〜217−N内に投入された物品が廃棄処分となる。その結果、廃棄処分された物品による生産損失が生じる。以下、この状態をオーバスケール(過剰計量)の生産損失と呼ぶ。
【0050】
さらに、重量検出器216−1〜216−Nにおいて、零点を設定するために、当該計量ホッパ217−1〜217−N内に投入された物品が廃棄処分となる。その結果、当該廃棄処分された物品による生産損失が生じる。以下、この状態を零点の生産損失と呼ぶ。
自動計量器210の制御部210aは、過剰計量の生産損失および零点の生産損失が生じた量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0051】
さらに、自動計量器210においては、少なくとも駆動部211b、ロードセルを有する自動計量器210、排出ゲート215a−1〜215a−N,217a−1〜217a−Nのモータ、分散フィーダ213の振動装置、放射フィーダ214−1〜214−Nの振動装置において、電力を使用する。これらの電力は、検出器210bにおいて計測される。自動計量器210の制御部210aは、検出器210bにおいて計測された消費電力量を図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0052】
<包装機>
次に、図5は、図3の下部に設けられた包装機220の一例である製袋包装装置の一部の内部構造を示す模式図である。
【0053】
図5に示すように、包装機220においては、フォーマ222、プルダウンベルト223、縦シール装置224、横シール装置225およびフィルム供給ユニットを主として備える。
【0054】
包装機220においては、巻回された包装部材が交換可能に配設され、当該包装部材が内蔵されたフィルム供給装置によりフィルムFとして供給される。
【0055】
包装機220においては、搬送装置によりフィルムFが搬送され、フォーマ222により筒状フィルムFに成形される。そして、筒状フィルムFは、チューブ221の周囲で垂下し、プルダウンベルト223でさらに下方に搬送されながら、重なり合った縁部が縦シール装置224で加熱溶着されて縦にシールされる。その後、筒状フィルムFは、一対のシールジョー225a,225bからなる横シール装置225により加熱溶着されて横にシールされることによって袋Bが製造される。なお、袋Bの下端部を横シールした後に、上記チューブ221を介して自動計量器210により計量された物品が充填される。
【0056】
(包装機の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、包装機220においては、フィルムFの取換え、印字リボン損失、調整、縦シール装置224および横シール装置225の不具合により生産損失が生じる。特に、フィルムFの取換え時には、取換え自動の場合もあるが、手動によりフィルム量を多く廃棄する場合がある。当該フィルムFの廃棄量は、取換え後のフィルムFによる製品の生産量から推定できる。したがって、当該生産損失においては、印字リボン損失を含んだフィルムFおよび物品Cの生産損失が生じる。特に袋サイズに応じてフィルムFおよび物品Cの生産損失の量が変化する。
包装機220の制御部220aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
さらに、包装機220においては、フィルム供給装置のモータ、フィルムFの搬送を助けるエアーポンプ、横シール装置225の一対のシールジョー225a,225bを稼動するモータ、および横シール装置225の一対のシールジョー225a,225bに備えられたヒータにおいて電力を使用する。なお、エア排出量およびヒータの熱量についても、電力量とは、別途消費電力に換算して加算する。包装機220の制御部220aは、検出器220bにより検出された消費電力量および上記の加算して換算された消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0057】
<金属検出器>
図6は、金属検出器230の一例を示す模式的外観図である。
【0058】
図6に示すように、金属検出器230においては、渦電流を発生する渦電流発生装置231、渦電流の乱れを検知するセンサ232、搬送装置233および操作パネル234を含む。
【0059】
金属検出器230においては、渦電流発生装置231により渦電流が発生された領域に、搬送装置233により袋包装された商品が搬送される。例えば、渦電流の乱れがセンサ232により検知された場合、商品が不良であると判定され、検知されない場合には、商品が良品であると判定される。
【0060】
(金属検出器の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、金属検出器230においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失が生じる。例えば、当該生産損失においては、フィルムFおよび内容物である物品Cの生産損失が生じる。
金属検出器230の制御部230aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
さらに、金属検出器230においては、渦電流を発生させるための電力、センサ232の電力および搬送装置233のモータの電力、操作パネル234の電力を使用する。
金属検出器230の制御部230aは、検出器230bにおける消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
なお、図2のマスタサーバ300においては、金属検出器230から与えられた不具合商品の個数に対して、稼動エネルギーを換算して計算を行う。すなわち、金属検出器230において不良と判定された商品に対して、当該金属検出器230における消費電力量に、自動計量器210および包装機220において当該1個の商品の製造のために使用した消費電力量を加算する。
【0061】
<重量チェッカ>
図7は、重量チェッカ240の一例を示す模式図である。
【0062】
図7に示すように、重量チェッカ240においては、計量部241、搬送装置242、商品を検知するセンサ243および操作パネル244を含む。
【0063】
図7に示すように、重量チェッカ240においては、搬送装置242により搬送された商品がセンサ243で検知される。当該検知タイミングに応じて計量部241は、商品の重量値が、所定の範囲内にあるか否かを判定する。例えば、所定の範囲内に計量値がない場合には、商品が不良であると判定され、所定の範囲内にある場合には、商品が良品であると判定される。
【0064】
(重量チェッカの生産損失および稼動エネルギー損失)
また、重量チェッカ240においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失が生じる。例えば、当該生産損失においては、フィルムFおよび内容物である物品Cの生産損失が生じる。
重量チェッカ240の制御部240aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
さらに、重量チェッカ240においては、計量部241における電力、センサ243の電力および搬送装置242のモータの電力、操作パネル244の電力を使用する。
重量チェッカ240の制御部240aは、検出器240bの消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
なお、図2のマスタサーバ300においては、重量チェッカ240から与えられた不具合商品の個数に対して、稼動エネルギーを換算して計算を行う。すなわち、重量チェッカ240において不良と判定された商品に対して、当該重量チェッカ240における消費電力量に、自動計量器210、包装機220および金属検出器230において当該1個の商品の製造のために使用した消費電力量を加算する。
【0065】
<シールチェッカ>
図8は、シールチェッカ250の一例を示す模式図である。
【0066】
図8に示すように、シールチェッカ250は、押さえ具251、回転角検出器252および搬送装置253を含む。
【0067】
図8に示すように、シールチェッカ250の押さえ具251は、平行運動動作を行い、搬送装置253により搬送された商品Bが押さえ具251の下方を通過することにより、押さえ具251が若干斜め上方に持ち上がり、その後、押さえ具251の自重によって、商品Bが押さえ付けられる。
押さえ具251のリンク部に設けられた回転角検出器252の回転角が基準回転角の範囲内にない場合には、商品Bから空気がリークしているとして不良品と判定され、回転角検出器252の回転角が基準回転角の範囲内にある場合には、良品と判定される。
【0068】
(シールチェッカの生産損失および稼動エネルギー損失)
また、シールチェッカ250においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失が生じる。例えば、当該生産損失においては、フィルムFおよび内容物である物品Cの生産損失が生じる。
シールチェッカ250の制御部250aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
さらに、シールチェッカ250においては、回転角検出器252における電力および搬送装置253のモータの電力を使用する。
シールチェッカ250の制御部250aは、検出器250bの消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
なお、図2のマスタサーバ300においては、シールチェッカ250から与えられた不具合商品の個数に対して、稼動エネルギーを換算して計算を行う。すなわち、シールチェッカ250において不良と判定された商品に対して、当該シールチェッカ250における消費電力量に、自動計量器210から重量チェッカ240において当該1個の商品の製造のために使用した消費電力量を加算する。
【0069】
<X線検査装置>
図9は、X線検査装置260の一例を示す模式的外観図である。
【0070】
図9に示すように、X線検査装置260においては、X線源261、ラインセンサ262、搬送装置263および操作パネル264を含む。
【0071】
図9に示すように、X線検査装置260においては、搬送装置263により搬送された商品がX線源261から照射されたX線領域を通過し、当該商品を通過したX線をラインセンサ262により受け取り画像処理化することで、商品内部の異物の検査等が行われる。例えば、商品内に異物が存在する場合には、商品が不良であると判定され、異物が存在しない場合には、商品が良品であると判定される。
【0072】
(X線検査装置の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、X線検査装置260においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失が生じる。例えば、当該生産損失においては、フィルムFおよび内容物である物品Cの生産損失が生じる。
X線検査装置260の制御部260aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
さらに、X線検査装置260においては、X線源261における電力、ラインセンサ262の電力および搬送装置263のモータの電力、操作パネル264の電力を使用する。
X線検査装置260の制御部260aは、検出器260bの消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
なお、図2のマスタサーバ300においては、X線検査装置260から与えられた不具合商品の個数に対して、稼動エネルギーを換算して計算を行う。すなわち、X線検査装置260において不良と判定された商品に対して、当該X線検査装置260における消費電力量に、自動計量器210からシールチェッカ250までの当該1個の商品の製造のために使用した消費電力量を加算する。
【0073】
<振分装置>
図10は、振分装置270の一例を示す模式図である。
【0074】
図10に示すように、振分装置270においては、モータ271、振分棒272、良品搬送装置273および不良品搬送装置274を含む。
【0075】
図10に示すように、振分装置270においては、金属検出器230からX線検査装置260までの検査において不良品であると判定された商品が搬送された場合に、モータ271を矢印−Rの方向に回転させて、当該商品を不良品搬送装置274に搬送し、良品であると判定された商品が搬送された場合に、モータ271を矢印Rの方向に回転させて、当該商品を良品搬送装置273に搬送する。ここで、モータ271は、図2のマスタサーバ300の制御部301から指示を受信する。
【0076】
(振分装置の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、振分装置270においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失は生じない。すなわち、金属検出器230からX線検査装置260までの検査において不良品であると判定され、生産損失が既に計上されているからである。
さらに、振分装置270においては、モータ271、良品搬送装置273および不良品搬送装置274における電力を使用する。
振分装置270の制御部270aは、検出器270bの消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0077】
<箱詰装置>
図11は、箱詰装置280の一例を示す模式的外観図である。
【0078】
箱詰装置280は、矢印M1方向に商品を搬送する搬送装置281と、矢印M1とは逆方向の矢印M2の方向に商品を搬送する搬送装置282,283および伸縮コンベア284と、姿勢制御駆動機構285と、ダンボール箱を搬送する搬送装置286と、ダンボール箱に姿勢制御された商品を鉛直下方に移動させて箱詰めを行う箱詰機構287と、商品の通過および個数を検知するセンサを含む。
【0079】
箱詰装置280では、搬送装置281により商品を矢印M1の方向に搬送し、搬送装置282において刺身状に商品を集積し、伸縮コンベア284および姿勢制御駆動機構285により袋包装の商品を立姿勢にし、箱詰機構287によりダンボール箱内に立姿勢にされた袋包装の商品が収容される。
【0080】
(箱詰装置の生産損失および稼動エネルギー損失)
また、箱詰装置280においては、原則的に生産損失は生じない。一方、箱詰装置280においては、搬送装置281,282,283、伸縮コンベア284における駆動モータ、姿勢制御駆動機構285におけるモータ、搬送装置286における駆動モータ、箱詰機構287におけるモータ、ポンプ電力および気体流量を使用する。
【0081】
箱詰装置280の制御部280aは、検出器280bにより検出された消費電力量および上記のエア排出量に相当する消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0082】
<ケースチェッカ>
図12は、ケースチェッカ290の一例を示す模式的外観図である。
【0083】
ケースチェッカ290は、センサ291、バーコードリーダ292、センサ293、計量部294、表示部295、上流搬送装置296および下流搬送装置297を含む。
【0084】
ケースチェッカ290では、商品が収容されたダンボール箱が上流搬送装置296により搬送されるとともに、センサ291によりダンボール箱が検知され、バーコードリーダ292によりダンボール箱に付されたバーコード情報が読取られる。
【0085】
また、センサ293によりダンボール箱が検知されるとともに、下流搬送装置297によりダンボール箱が搬送される。それにより、下流搬送装置297内に内蔵された計量部294により商品が収容されたダンボール箱の重量チェックが行われる。バーコード情報に基づいた商品の重量範囲内である場合には、良品と判定され、商品の重量範囲外の場合には、不良品と判定される。
【0086】
(ケースチェッカの生産損失および稼動エネルギー損失)
また、ケースチェッカ290においては、上記の商品が不良と判定された場合に、生産損失が生じる。例えば、当該生産損失においては、ダンボール箱、フィルムFおよび内容物である物品Cの生産損失が生じる。
【0087】
ケースチェッカ290の制御部290aは、上記の生産損失が生じた量(商品の不良個数および商品サイズ、さらにフィルムFの量、ダンボール箱の量)を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0088】
さらに、ケースチェッカ290においては、計量部294における電力、センサ291,293、バーコードリーダ292の電力、上流搬送装置296、下流搬送装置297のモータの電力、表示部295の電力を使用する。
【0089】
ケースチェッカ290の制御部290aは、検出器290bの消費電力量を、図2に示すマスタサーバ300の制御部301に与える。
【0090】
なお、図2のマスタサーバ300においては、ケースチェッカ290から与えられた不具合商品の個数に対して、稼動エネルギーを換算して計算を行う。すなわち、ケースチェッカ290において不良と判定された商品に対して、当該ケースチェッカ290における消費電力量に、自動計量器210〜箱詰装置280において当該1個の商品の製造のために使用した消費電力量を加算する。
【0091】
(下流各種商品処理装置待機に関する損失)
以上の説明においては、例えば、自動計量器210で損失が発生した場合には、自動計量器210のみの損失を考慮したが、これに限定されず、自動計量器210が稼動停止した時間で、下流における各種商品処理装置、例えば、包装機220、金属検出器230等で製造出来たはずの生産損失および待機消費電力量も、以下の各種生産損失、二酸化炭素排出量および各消費電力量に含んでもよい。
【0092】
<コントローラの動作>
上述したように、マスタサーバ300の制御部301は、各種商品処理装置からの生産損失の量および各検出器210b〜290bからの消費電力量等について通信部302を介して受け取り、記録部310に記録する。
【0093】
次に、マスタサーバ300の制御部301は、各種商品処理装置から受け取った生産損失に該当する物品Cの量を記録部310に記録された商品マスタデータベース311から抽出し、当該商品マスタデータベース311に記録された生産単価に換算する。
【0094】
すなわち、制御部301は、オーバスケールによる物品の損失、零点の物品の損失を含む原料に相当する生産損失(以下、製造ロスと呼ぶ)を算出する。
【0095】
また、制御部301は、マスタサーバ300の制御部301は、記録部310に記録された商品マスタデータベース311のうちから該当する商品1個当たりに使用するフィルム量を算出し、当該フィルム量と不良品個数とを積算する。さらに、マスタサーバ300の制御部301は、当該積算結果にフィルムの取換え作業において生じるフィルム損失、試運転時におけるフィルム調整に係るフィルム量、シール不良によるフィルム量も加算し、およびダンボール箱の量を加算して、フィルムロスFWとして換算する。
【0096】
ここで、例えば、商品マスタデータベース311に記載された単価とは、製造工場においてのみ発生する物品Cの単価であるため、本来であれば、二酸化炭素を含む温室効果ガスは、それだけにとどまらない。そのため、入力部303を操作し、物品Cの生産に係るコスト、例えば、物品Cを製造工場まで運搬する際にかかる費用、物品Cを調理する際に使用する設備機器(フライヤなど)、調味料等、さらには、ダンボール箱(ラップ、フィルム、容器等の場合も含む)を製造し運搬する費用等を入力し、単価に加算させてもよい。
【0097】
また、マスタサーバ300の制御部301は、記録部310に記録された金額換算率データ313を用いて各種商品処理装置から受け取った消費電力量およびエア排出量を個々に計算し、総合消費電力量および総合エア排出量を算出し、さらにそれらを合算して、一般的な総合電力コストに換算する。同時に、マスタサーバ300の制御部301は、オーバスケール、零点、フィルム交換、フィルム調整、シール不良の発生した状態において費やした不良品消費電力量を不良品電力コストとして算出する。
【0098】
さらに、マスタサーバ300の制御部301は、上記において算出した総合電力コストに対して、温室効果ガス換算率データ312を用いて総合二酸化炭素の排出量に換算する。同時にマスタサーバ300の制御部301は、製造ロス、フィルムロスおよび不良品電力コストを合算して、不良品二酸化炭素の排出量として算出する。
【0099】
また、マスタサーバ300の制御部301は、総合二酸化炭素の排出量に対して、費用換算率データ314を用いて二酸化炭素の排出量を売買して取引される費用に換算する。以下に上記の換算結果をマスタサーバ300の表示部305に表示する例について具体的に説明を行う。
【0100】
図13は、マスタサーバ300における表示部305の一例を示す模式図である。
【0101】
まず、図13に示すように、マスタサーバ300の制御部301は、表示部305に商品マスタデータベース311に記載された商品マスタの情報320を含む表示305aを表示させる。
【0102】
また、表示305aには、総合電力コスト321、総合消費電力量322、温室効果ガスである総合二酸化炭素の排出量323等が含まれる。
【0103】
すなわち、総合電力コスト321は、商品の生産(不良品を含む)に費やした合計の電力コストを示し、総合消費電力量322は、商品の生産(不良品を含む)に費やした合計の消費電力量を示し、温室効果ガスである総合二酸化炭素の排出量323は、商品の生産(不良品を含む)に費やした合計の二酸化炭素の排出量を示す。
【0104】
さらに、表示305aには、製造ロス330およびフィルムFのフィルムロス331が円グラフを用いて表示され、かつ製造ロス332およびフィルムFのフィルムロス333が数値で表示される。
【0105】
ここで、表示305aの製造ロス330、332においては、製造ロスが0%と表示されており、物品の損失が0%であることを示している。一方、フィルムロス331においては、フィルムロスが5%と表示されている。そして、Aユニットにおいて2%の損失があり、Bユニットにおいて1%の損失があり、Cユニットにおいて1%の損失があることを示している。
【0106】
具体的に、Aユニットとは、自動計量器210および包装機220の合算である自動計量器を備えた製袋包装装置を示し、Bユニットとは、シールチェッカ250を示し、Cユニットとは、その他の商品処理装置の合算を示す。
【0107】
続いて、表示305aには、不良品電力コスト341、不良品消費電力量342、不良品二酸化炭素の排出量343が数値で表示される。
【0108】
その結果、管理者は、表示305aを確認することにより、製造工程において製造ロスおよびフィルムロスの生じた割合、および不良品電力コスト、不良品消費電力量、不良品二酸化炭素の排出量に換算した場合の値を認識することができる。また、商品の生産に費やされた総合電力コスト、総合消費電力量、総合二酸化炭素の排出量に換算した場合の値を認識することができる。
【0109】
続いて、図14は、マスタサーバ300における表示部305の他の例を示す模式図であり、図15は、マスタサーバ300における表示部305の他の例を示す模式図であり、図16は、マスタサーバ300における表示部305の他の例を示す模式図である。なお、図14から図16においては、製造ロスおよびフィルムロスが生じた場合ではなく、時間経過における各種商品処理装置の総合的な変化を示した図である。
【0110】
図14においては、縦軸が消費電力量を示し、横軸が時間を示す。また、図15においては、縦軸が電力料金を示し、横軸が時間を示す。さらに、図16においては、縦軸が二酸化炭素の排出量を示し、横軸が時間を示す。
【0111】
まず、図14に示すように、制御部301は、記録部310に記録された総合消費電力量、総合電力コスト、総合二酸化炭素の排出量および金額データのうち総合消費電力量を用いて表示部305に表示305bを表示させる。
【0112】
ここで、表示部305の表示305bには、Aユニットの総合消費電力量、Bユニットの総合消費電力量、Cユニットの総合消費電力量、およびA〜Cユニットを合算した総合消費電力量の変化が表示される。
【0113】
また、図15に示すように、制御部301は、記録部310に記録された総合電力コストを用いて表示部305に表示305cを表示させる。
【0114】
ここで、表示部305の表示305cには、Aユニットの総合電力コスト、Bユニットの総合電力コスト、Cユニットの総合電力コスト、およびA〜Cユニットを合算した総合電力コストの変化が表示される。
【0115】
さらに図16に示すように、制御部301は、記録部に記録された総合二酸化炭素の排出量を用いて表示部305に表示305dを表示させる。
【0116】
ここで、表示部305の表示305dには、Aユニットの総合二酸化炭素の排出量、Bユニットの総合二酸化炭素の排出量、Cユニットの総合二酸化炭素の排出量、およびA〜Cユニットを合算した総合二酸化炭素の排出量の変化が表示される。
【0117】
管理者は、表示305b,305c,305dを確認することにより、製造の全工程において総合消費電力量およびエア消費量を合算した総合電力コスト、消費電力量、温室効果ガスである総合二酸化炭素の排出量のそれぞれの単位において変動を認識することができる。
【0118】
続いて、図17は、二酸化炭素の排出量に関する目標値および実績の例を示す模式図である。図17の縦軸は二酸化炭素の排出量を示し、横軸は月を示す。
【0119】
図17に示すように、制御部301は、記録部310に記録された二酸化炭素の排出量を用いて表示部305に表示305eを表示させる。
【0120】
ここで、表示部305の表示305eには、月毎の二酸化炭素の排出量が表示され、昨年度の実績(LAST YEAR)および今年の目標値ライン(TARGET)が表示され、さらに、今年度における実績の割合が90%であることが表示される。
【0121】
また、マスタサーバ300の制御部301は、記録部310に記録された費用換算率データ314を用いて制御目標値90%の達成時における残りの10%の二酸化炭素排出量の売買価格を5000ユーロと表示する。
【0122】
管理者は、表示305eを確認することにより、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減する目標を高く維持することができ、製造工場において指示を徹底することができるため、地球環境に優しく、歩留まりも向上し、結果として生産コストを低減することもできる。
【0123】
次に、図18は、Aユニットにおける表示部305の他の例を示す模式図である。
【0124】
図18に示すように、制御部301は、記録部310に記録された二酸化炭素の排出量を用いて表示部305に表示305fを表示させる。ここで、表示305fは、図3に示した自動計量器210および包装機220の二酸化炭素の排出量に関するデータである。
【0125】
図18に示すように、表示部305の表示305fには、ポンプまたはエア排出量に関する二酸化炭素の排出量が最も高く、電気による二酸化炭素の排出量が次に高く、ヒータ等の熱に関する二酸化炭素の排出量が最も低い状態が表示される。
【0126】
次いで、図19は、図13に示したマスタサーバ300における表示部305のさらに他の例を示す模式図である。以下、図13の表示と主に異なる点について説明を行う。
【0127】
図19においては、図13に示した英語表記の表示305aと異なり、日本語表記の表示305gを示す。
マスタサーバ300の制御部301は、言語切換えボタン351を操作された場合、表示部305に商品マスターベース311に記載された商品マスタの情報を含む日本語表記の表示305gを表示させる。なお、図19は、日本語表記について説明しているが、これに限定されず、図19の表示305gは、図13と同様に英語表記、または、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語、韓国語、タイ語等、他の任意の言語であってもよい。
【0128】
例えば、図19の表示部305は、タッチパネルであり、表示305gの領域(価値稼動時間、良品数)352を操作することにより、ポップアップ画面305hが表示される。ポップアップ画面305hは、領域352の詳細データを示す。
同様に、領域353を操作することにより、ポップアップ画面305iが表示される。ポップアップ画面305iは、領域353の詳細データを示し、領域354を操作することにより、ポップアップ画面305jが表示される。ポップアップ画面305jは、領域354の詳細データを示す。
【0129】
また、領域355を操作することにより、レポートの横軸である時間幅または縦軸のパラメータを調整することができる。例えば、横軸は、数秒単位以上から数週間単位、数年単位以下まで調整することができる。なお、表示350gの出力は、紙媒体およびデータ出力、例えばCSV形式pdf形式、dat形式でも出力できる。
【0130】
次いで、図20は、図13または図19に示したマスタサーバ300における表示部305のさらに他の例を示す模式図である。以下、図13および図19の表示と主に異なる点について説明を行う。
【0131】
図20においては、図13および図19の表示305a,305gと異なり、予測消費のデータ表示305kを示す。
当該予測消費のデータ表示305kは、通常の問題が生じていない場合の数値を基準として、当該基準と現在の情報とを比較し、最終生産損失および消費電力量、二酸化炭素排出量を推定する。さらに当該比較結果の差について、過去の履歴情報から原因および対策を提供するものである。
【0132】
例えば、図20の表示部305は、タッチパネルであり、表示305kの領域(価値稼動時間、良品数)352を操作することにより、ポップアップ画面305mが表示される。ポップアップ画面305mは、領域352の詳細データおよび推定される生産個数を示す。
【0133】
同様に、領域353を操作することにより、ポップアップ画面305nが表示される。ポップアップ画面305nは、領域353の詳細データおよび不良品として排出される推定個数を示す。
【0134】
また、ポップアップ画面305nには、“原因&対策”ボタンが設けられており、さらに当該ボタンを操作することにより、不良品として排出される商品個数の原因と対策とがアドバイス表示305pされる。
すなわち、各種商品処理装置の全てが規定通りに機能している場合を基準として、数値の異なる箇所、特に生産処理の遅延している場所を選定し、過去の生産履歴情報から原因を選定し、当該原因に対する対策を優先順位を付けてアドバイス表示する。
【0135】
例えば、エア漏れが生じている場合、電力漏れが生じている場合等、種々の各種商品処理装置について基準と差が生じている場合にアドバイス表示305pが表示される。
【0136】
なお、上記の推定において規定通りに機能している場合の数値を基準としたが、これに限定されず、任意の数値を基準としてもよい。例えば、過去の履歴のデータの中で最も最善のデータを用いてもよく、平均データを用いてもよい。
【0137】
なお、以上の実施の形態において、消費電力量(図13の総合消費電力量322)は、積算電力量であり、例えば、数秒以上数百秒以下の範囲で、生産電力量を集計したものであり、電力金額(電力コスト:図13の総合電力コスト321)は、積算電力量に予め設定された金額を積算して算出したものである。
また、二酸化炭素排出量(総合二酸化炭素の排出量323)に関する金額は、積算電力量に京都議定書で決定された数値(0.555)を積算して換算したものであり、損失単位は、最終的に良品とされた生産個数1個あたりで積算電力量を除算して算出した。
【0138】
以上のように、本発明に係る商品製造装置用データ換算装置100によれば、消費電力量、電力コスト、二酸化炭素の排出量等の複数の単位を統一された単位で表示することができる。
【0139】
また、記録部310により履歴が記録されるので、二酸化炭素の排出量および金額の変動を表示することができる。さらに、入力部303を使用することにより製造現場以外の要因も含めて、累積された二酸化炭素の排出量、または金額等のエネルギー損失を勘案し、表示させることができる。その結果、いずれの商品処理装置において二酸化炭素の排出量または金額が増加しているかを表示することができる。
【0140】
また、記録部310に各種商品処理装置の運転条件を記録することにより、二酸化炭素の排出量の変化を運転条件にあわせて、比較することができる。また、いずれの工程で不良品が発生して歩留まりを下げることとなっているか原因特定が容易であるため、歩留まり向上対策を容易に行うことができる。
【0141】
また、二酸化炭素の排出量に関して目標値を下回った場合、または、二酸化炭素の排出量を削減できた場合、排出量削減分を売買することができる。その結果、地球環境に優しく、かつコスト低減を実現することができる。
【0142】
以上により、管理者に製造ロス、フィルムロスおよび消費電力エネルギー、エア排出量、二酸化炭素の排出量等を、容易に好みの単位、すなわち、金額の単位か、二酸化炭素の排出量の単位(kg-CO2)の単位か、いずれかの単位で全ての消費エネルギー、またはロスの生じている分の消費エネルギーを認識することができ、さらには、当該消費エネルギーの変動を把握することができる。
【0143】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては商品Wおよび物品Cが商品に相当し、自動計量器210、包装機220、金属検出器230、重量チェッカ240、シールチェッカ250、X線検出器260、振分装置270、箱詰装置280およびケースチェッカ290が各種商品処理装置に相当し、製造ロスおよびフィルムロスが生産損失に相当し、制御部210a,220a,〜,290aが第1検知部に相当し、消費電力エネルギーおよびエア排出量が稼動エネルギーに相当し、検出器210b,220b,〜,290bが第2検知部に相当し、制御部301が換算部に相当し、表示部305が表示部に相当し、マスタサーバ300が商品製造装置用データ換算装置に相当し、記録部310が記録部に相当し、ダンボール箱、フィルムが各種商品処理装置で使用する部材に相当し、物品Cが原料に相当し、費用換算率データ314が温室効果ガスの取引率に相当する。
【0144】
<変形例>
なお、上記の実施の形態においては、商品処理装置の総合的または所定の区分ごと(Aユニット〜Cユニット)の二酸化炭素の排出量、電力料金、消費電力エネルギー、さらに製造ロスまたはフィルムロスにおける二酸化炭素の排出量、電力料金、消費電力エネルギーについて説明行ったが、これに限定されず、個々の商品処理装置において総合的なまたは製造ロスまたはフィルムロスにおける二酸化炭素の排出量、電力料金、消費電力エネルギーについて表示部305に表示を行ってもよい。
【0145】
また、箱詰装置280において計量包装検査を経て箱詰装置280に商品が供給されるが、当該商品が箱詰装置280の期待していないものである場合がある。仮に、期待していないものである場合には、ダンボール箱に正常に収容することができない。したがって、箱詰装置280(オートケーサ)の情報(袋サイズまたは能力)と計量機器、包装機器、検査器器の情報(袋サイズまたは能力)を相互、または制御部301でチェックし、期待していないものである場合、表示部305を用いてまたは警告音発生装置をさらに備えて警告を出すようにしてもよい。それにより、商品の食い違いによるオートケーサでの稼動不良を防止することができる。
【0146】
さらに、本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の主旨と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0147】
210 自動計量器
220 包装機
230 金属検出器
240 重量チェッカ
250 シールチェッカ
260 X線検出器
270 振分装置
280 箱詰装置
290 ケースチェッカ
210a,220a,〜,290a 制御部
210b,220b,〜,290b 検出器
300 コントローラ
301 制御部
305 表示部
310 記録部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を製造する各種商品処理装置の生産損失を検知する第1検知部と、
前記各種商品処理装置の稼動エネルギーを検知する第2検知部と、
前記第1検知部および前記第2検知部により検知された検知結果を温室効果ガスの排出量または金額に換算して換算結果とする換算部と、
前記第1検知部および前記第2検知部により検知された結果と、前記換算部により換算された換算結果とを合せて表示する表示部とを含むことを特徴とする商品製造装置用データ換算装置。
【請求項2】
記録部をさらに備え、
前記記録部は、前記換算部により換算された換算結果の履歴を記録し、
前記表示部は、前記記録部に記録された換算結果を表示することを特徴とする請求項1記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項3】
前記各種商品処理装置で使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を前記記録部に入力する入力部をさらに備え、
前記換算部は、前記生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を前記温室効果ガスの排出量または金額に換算することを特徴とする請求項1または2に記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項4】
前記記録部は、前記各種商品処理装置の運転条件を記録することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項5】
前記換算部は、前記各種商品処理装置毎に換算結果を算出し、
前記表示部は、前記各種商品処理装置毎に前記換算結果を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項6】
前記換算部は、前記温室効果ガスの排出量を当該温室効果ガスの取引率で換算した金額を前記換算結果として算出し、
前記表示部は、当該換算結果を表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項7】
前記表示部は、
前記第1検知部により検知された検知結果と、最適な運転条件における前記第1検知部の結果とを比較し、前記第1検知部の差を予測する第1予測検知部と、
前記第2検知部により検知された検知結果と、最適な運転条件における前記第2検知部の結果とを比較し、前記第2検知部の差を予測する第2予測検知部と、を含み、
前記表示部は、前記第1予測検知部および第2検知部の少なくとも一方の差を表示することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の商品製造装置用データ換算装置。
【請求項8】
前記表示部は、
前記第1予測検知部および前記第2予測検知部の少なくとも一方の差に基づいて、前記記録部に記録されたアドバイスを選定し、表示することを特徴とする請求項7記載の商品製造装置用データ換算装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−255962(P2011−255962A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99339(P2011−99339)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】