説明

商品販売装置

【課題】商品画像を表示する複数方位に表示可能な表示装置の表面上で、複数人の商品選択操作を可能にする。
【解決手段】複数の方位に表示可能な画面を有する表示手段17と、表示装置の画面上に配置された入力手段18と、表示装置の前に存在する操作者に対応して定められる画面上の表示範囲に商品画像を表示させると共に、入力手段で検出された座標情報によって商品を特定する制御手段13と、を備える商品販売装置20が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒形などの複数方位に表示可能なディスプレイが従来知られている。円筒形のディスプレイは、全方位からのディスプレイ視認を可能にするため、死角を生じる平面型のディスプレイと比してより多くの人間に広告等の画像情報を提供することが出来る。
【0003】
円筒形という形状を利用した可搬型の書籍情報管理装置がある。この書籍情報管理装置は、装置外部に備え付けられた透明円筒支持体を回転し、その回転操作運動に基づいて透明円筒支持体の内側にある円筒形状のフレキシブルディスプレイの本の背表紙画像を変更することで、書籍情報を書籍情報管理装置の利用者に提供する。
【0004】
【特許文献1】特開2007−72375号広報
【非特許文献1】“DynaScan's spectacular LED video display”, http://www.dynascanusa.com/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の円筒形状のディスプレイを用いた装置は、情報提供手段以外の利用形態は提案されていない。
【0006】
本発明の一形態は、商品画像を表示する複数方位に表示可能な表示装置の表面上で、複数人の商品選択操作を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、商品販売装置が提供される。
商品販売装置は、複数の方位に表示可能な画面を有する表示手段と、表示装置の画面上に配置された入力手段と、表示装置の前に存在する操作者に対応して定められる画面上の表示範囲に商品画像を表示させると共に、入力手段で検出された座標情報によって商品を特定する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態は、商品画像を表示する複数方位に表示可能な表示装置の表面上で、複数人の商品選択操作を可能にすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、商品販売装置のハードウェア構成の一例を説明する。
図1を用いて、商品販売装置のハードウェア構成の一例を説明する。20は商品販売装置、11は補助記憶装置、12は主記憶装置、13は処理装置、14はバスインタフェースユニット(BIU)、15はディスクインタフェース(DI)、16はネットワークインタフェースカード(NIC)を示す。17は表示装置、18は入力装置、8は受信装置、9は撮影装置、21はインターネット等のネットワーク網、22は無線通信のための基地局、23はコンピュータを示す。
【0010】
図1に示されるように、商品販売装置20は、補助記憶装置11、主記憶装置12、処理装置13、バスインタフェースユニット14、ディスクインタフェース15、ネットワークインタフェースカード16、表示装置17、入力装置18を有する。商品販売装置20は、さらに、人体検出装置8及び高さ検出装置9を有する。商品販売装置20と、インターネット等のネットワーク網21を介してコンピュータ23と接続される。図1に示されるように、補助記憶装置11、主記憶装置12、処理装置13、バスインタフェースユニット14、ディスクインタフェース15、ネットワークインタフェースカード16は、表示装置17の内部に収納される。
以下、商品販売装置20及びコンピュータ23の各ハードウェア構成要素について順に説明する。
【0011】
補助記憶装置11は、磁気ディスクドライブ、又は、フラッシュメモリのような不揮発性メモリを用いたSSD(Solid State Drive)、又は、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、又は、光学ディスクドライブである。補助記憶装置11は、光学ディスクやフロッピー(登録商標)ディスク等の媒体に記録されたプログラミング言語で書かれたプログラムを読み込んで、格納する。
【0012】
主記憶装置12は、メインメモリ、キャッシュメモリ及びフラッシュメモリを含み、命令やデータを記憶する。主記憶装置12には、補助記憶装置11に格納されるプログラムを一時的に格納することが出来る。また、主記憶装置12は、表示装置17に表示する画像情報を保持するためのフレームバッファとして利用される。
メインメモリとしては、SIMM(Single Inline Memory Module)、DIMM(Dual Inline Memory Module)がある。フラッシュメモリとしては、EPROM(Erasable Programmable ROM)がある。
【0013】
処理装置13は、四則演算や論理演算などの演算処理を実行する装置である。処理装置13は、コンパイルプログラムを実行することで、主記憶装置12又は補助記憶装置11に格納されるプログラムを、処理装置13が直接実行可能な機械語でコード化された命令に変換する機能を行う。処理装置13は、機械語でコード化された命令を主記憶装置12から読み出し、又は、プログラム実行時に機械語でコード化された命令に変換して処理装置13内部のレジスタに格納する。さらに、処理装置13は、レジスタに格納された命令を実行することにより、上記演算処理を実行することで各種の計算や制御を行うことができる。
また、処理装置13は、頂点座標などの三次元の空間を、表示装置17の二次元平面への座標変換を行う等の画像データ処理を行う。
【0014】
バスインタフェースユニット14は、主記憶装置12、処理装置13、及びディスクインタフェース15と接続されるチップセットであり、AGP(Accelerated Graphics Port)又はPCI Expressなどの規格に従って機能する制御回路を含む。バスインタフェースユニット14は、さらに、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、IDE、キーボードポート、マウスポート、USBなどの回路を含む。バスインタフェースユニット14は、バスを介して商品販売装置20の外部に配置される入力装置18及び表示装置17に接続される。なお、バス接続される対象機器の通信速度に応じて、バスインタフェースユニット14は、高速通信用及び低速通信用に分けた2つ以上のチップセットとしても良い。
【0015】
ディスクインタフェース15は、処理装置13と補助記憶装置11とを接続する接続用回路である。ディスクインタフェース15は、例えば、SerialATA、SCSI、及びFC(Fibre Channel)等の規格に従って機能する。
【0016】
ネットワークインタフェースカード16は、コンピュータネットワーク内でコンピュータ間の通信を行うために使用されるハードウェアである。ネットワークインタフェースカード16は、イーサネット(登録商標)またはトークンリングなどの、特定の物理層およびデータリンク層を使用して通信するための回路を含む。
【0017】
表示装置17は、処理装置13から出力された出力画像を表示する複数の方位に画面表示可能な表示装置である。表示装置17の一つとして、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(electroluminescence display)又は無機ELディスプレイがある。これらのディスプレイは、あらかじめ円筒形状になるように曲率を有するディスプレイモジュールを複数連結させることによって表示装置17として機能する。
また、他の表示装置17として、背面投影型プロジェクタスクリーンがある。このプロジェクタスクリーンは、スクリーンに対して背面に設置され且つ入射光線を全方位(360度)に投影可能なレンズにより、円筒形状のスクリーンに画像を投影表示する。
なお、表示装置17の中心角は、360度に限定されず、何度であっても良いく、表示装置17の設置環境に応じて決定される。例えば、死角の無い領域に商品販売装置20が設置される場合、表示装置17の中心角は、360度になり、直線状の壁の前に商品販売装置20が設置される場合は、中心角は180度になる。
【0018】
入力装置18は、表示装置17の外周表面上に配置された位置入力装置であり、透明度があるため、表示装置17に表示される画像をそのまま外部に露出することが出来る。入力装置18の操作者が、表示装置17の表示を押すことで、入力装置18は操作入力を受け取る。入力装置18として、タッチパネルがある。入力装置18として適用可能なタッチパネルは、操作位置に応じた電圧により操作場所を検知する抵抗膜方式や、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する静電容量方式等のものである。
なお、入力装置18の一部は、商品購入の決済を行うために、購入者の身元確認を行うためのICカードの非接触型読み取りスキャナ機能を有する。また、この決済手段として機能する非接触型ICカード読み取りスキャナ機能は、入力装置18と表示装置17との間に配置される入力装置18と別個の装置として実装されても良い。このような決済手段は、ICカードに対して電波を発信し、共振作用により生じたICカードの起電力により、ICカード内のICチップを起動させ、ICチップの情報を符号化し、その符号化情報をアンテナで受信する機能を有する。決済手段は、受信した情報を処理装置13に伝送する。
【0019】
人体検出装置8は、商品販売装置20を操作するときに人が所在する操作領域内の人の進入を検出するセンサであり、高さ検出装置9は、操作領域内の人の高さを検出するセンサである。
図2は、人体検出装置8及び高さ検出装置9の検出機能を説明するための商品販売装置20の側面図である。図2において、2は、操作領域に進入する人を示す。
なお、図2において、人体検出装置8及び高さ検出装置9はただ1つ示されるが、表示装置17の中心角に応じて、人体検出装置8及び高さ検出装置9は複数個設置しても良い。
【0020】
人体検出装置8として適用可能なセンサとして、焦電式赤外線センサがある。焦電式赤外線センサは、商品販売装置20を操作するときに人が所在する操作領域内の物体を検知し、焦電波形信号を検出する。処理装置13は、検出した焦電波形信号と所定の閾値とを比較する信号処理を行うことで、物体を人体として識別検知することが出来る。人体検出のための閾値は、予め人を測定したときの焦電波形信号から得ることが出来る。
図2に示す人体検出装置8は、商品販売装置20の操作領域の上方に配置される。このような位置に配置することで、操作領域に入る人2の移動速度及び人2の大きさから焦電波形信号を得ることが出来る。
【0021】
高さ検出装置9は、上記操作領域内の人の高さを検出するセンサである。このようなセンサとして、超音波センサがある。
図2に示す高さ検出装置9は、商品販売装置20の操作領域の上方に配置される。
高さ算出処理では、処理装置13は、操作領域内へ超音波センサにより放射パルスを放出し、操作領域内の物体により反射されて受信される反射パルスとの時間差異を用いて、物体が何も無い時の基準面GLから超音波センサへの反射時間を求める。なお、超音波センサのGLからの距離は予め明確となっているため、この基準面反射時間によって超音波センサとGLとの距離が明確になる。
次に、処理装置13は、定常的に放射パルスを放出し、人2が操作領域内へ進入し、人2の頭部にあたって入ってくるときの反射パルスの頭部反射時間を求める。この頭部反射時間と基準面反射時間との差異と、超音波センサとGLとの距離との関係を用いて、人2の身長を算出する。
【0022】
コンピュータ23は、上記補助記憶装置11、主記憶装置12、処理装置13、バスインタフェースユニット14、ディスクインタフェース15、ネットワークインタフェースカード16と同じ機能を有するハードウェアを有する。
コンピュータ23は、図示しないネットワークインタフェースカードを介して、商品販売装置20からデータを受信して、補助記憶装置に格納されるプログラムを実行する。
なお、コンピュータ23は、後述する認証システム又は受注システムとして機能し得る。
【0023】
図3を用いて、商品販売装置20で実装する機能構成の一例を示す。
処理装置13に実装される機能は、制御機能部31、人体検出機能部32、高さ検出機能部33、表示範囲決定機能部34、商品画像出力機能部35、商品特定機能部36、認証情報管理機能部37、選択情報発注機能部38である。
【0024】
商品販売制御プログラム30は、制御機能部31〜選択情報発注機能部38として規定される機能をプログラミング言語で記述したものである。処理装置13は、商品販売制御プログラム30を実行することで、制御機能部31〜選択情報発注機能部38の機能を実行することが出来る。補助記憶装置11には、30で示す商品販売制御プログラム、41で示す商品管理情報が格納される。主記憶装置12又は補助記憶装置11には、商品管理情報41として補助記憶装置11に格納される商品に関する画像情報が格納される。なお、商品管理情報41は、商品画像並びに商品名、値段、納期等の商品情報を含み、後述する受注システムからネットワークを介して商品情報は更新される。
以下、商品販売装置20が行う各機能について順に説明する。
【0025】
制御機能部31は、人体検出機能部32〜選択情報発注機能部38の実行制御や、各機能部のイベントの共有を制御するための制御機能を有する。制御機能部31の制御機能は、商品販売制御プログラム30を実行後、最初に実行される機能である。
【0026】
人体検出機能部32は、人体検出装置8が検出した焦電波形信号にS/N比の閾値処理を行うことで、物体を人体として識別する機能を有する。
【0027】
高さ検出機能部33は、高さ検出装置9が検出した操作領域内へ超音波センサにより放射パルスを放出し、頭部反射時間と基準面反射時間との差異と、超音波センサとGLとの距離との関係を用いて、人2の身長を算出する機能を有する。
【0028】
表示範囲決定機能部34は、人体検出装置8により検出された人に近接する表示装置17上に表示され且つ検出した人の数に応じた表示範囲を決定する機能を有する。なお、ここで、表示範囲Lとは、入力装置18の円周方向長さを言い、表示範囲Hとは、入力装置の垂直方向の長さを言う。
入力装置18の円周方向長さは、人の視野角や人の操作性の問題から、過剰に長く円周方向に表示範囲を設けても、人が視認することが出来ない領域が発生する。そのため、入力装置18の円周方向長さは、人の視野角や人の操作性の問題から求めることが好ましい。
以下、表示範囲決定機能部34による表示範囲決定方法を説明するために、図4に示す商品販売装置20と人との位置関係の上面図を用いて、表示範囲Lを決定する例を説明する。
【0029】
図4において、Rは、入力装置18の内径半径を示す。r1は、人2aが入力装置18を操作するときの入力装置18と人2aとの距離を示す。r2は、人2bが入力装置18を操作するときの入力装置18と人2bとの距離を示す。α1は、人2aの最大視野角を2倍した角度であって、人2aの頭部を中心とした半径r1の円の中心角を示す。α2は、人2bの最小視野角を2倍した角度であって、人2bの頭部を中心とした半径r2の円の中心角を示す。
【0030】
人2aは、身長180[cm]であり、r1=690[mm]と規定される。人2bは、身長130[cm]であり、r2=400[mm]と規定される。
【0031】
人と表示装置との間の操作距離rは、人の腕の長さにより変わる距離であるため、同時に、人の身長に応じて変わる距離である。一般に、身長130cmの人2bが操作するために手を伸ばしたときの操作距離r1は、400[mm]であり、身長180cmの人2aが操作するために手を伸ばしたときの操作距離r2は、690[mm]である。したがって、人及び表示装置の操作距離rは、下記範囲で規定される。
400[mm]≦r≦690[mm] ・・・(式1)
【0032】
また、何かを注視する人の視野角は、15°〜30°である。したがって、視野角を2倍とした中心角αは、下記範囲で規定される。
π/6≦α≦π/3 ・・・(式2)
【0033】
一実施形態においては、入力装置18の表示範囲Lは、操作距離rと人の視野角の2倍を示す中心角αによって下式で規定出来る。
L=r×α ・・・(式3)
【0034】
したがって、最大の表示範囲L(max)は、最大のr×最大のαで算出でき、最小の表示範囲L(min)は、最小のr×最小のαで算出できる。これより、式1〜式3の関係より、最大及び最小の表示範囲Lは以下の式により求めることが出来る。
L(max)=π/3×690=230π ・・・(式4−1)
L(min)=π/6×400=66π ・・・(式4−2)
66π≦L≦230π ・・・(式5)
【0035】
また、入力装置18を複数の人で使用する場合、使用人数nに応じて入力装置18の円周長さ2πRを分割して使用することになる。この場合、一人当たりの表示範囲Lは下記式で求めることが出来る。
L=2πR/n ・・・(式6)
【0036】
例えば、L(max)を考慮して1つの入力装置18を6人で操作する場合、L(max)=230π[mm]であるため、弧度法の定義より、230π=(π/3)×Rとなるため、R=690[mm]となる。L(min)を考慮する場合は、L(min)=66π[mm]であるため、R=198[mm]となる。
【0037】
また、このようにして表示範囲Lを求めた場合、人である操作者の肩がぶつからない程度の範囲を考慮すると、肩幅を700[mm]とし、そのときの表示装置の中心角βを以下の式で規定することで、操作者の肩がぶつかることを回避できる。
700≦(R+r)×β ・・・(式7)
L=R×β ・・・(式8)
表示範囲Lを、式8で表される範囲とすることで肩がぶつかることも防げる。
この場合、予め決められたRの長さと、測定又は規定値として得られるrを用いて中心角βを決定し、式8から表示範囲Lが求められる。
【0038】
以上の例から、表示範囲決定機能部34は、表示範囲Lを様々なケース毎に決定することが出来る。
第1ケースとして、表示範囲Lを最大身長(上記例では、身長180cm)で固定するケースがある。この場合、表示範囲決定機能部34は、人体検出機能部32により人体が検出された時、又は、入力装置18への人の接触があった時点で、固定された表示範囲Lで規定される表示範囲を人の前に表示する。
第2ケースとして、人の身長に応じて表示範囲Lを計算するケースがある。この場合、表示範囲決定機能部34は、高さ検出装置8から検出された人の身長から、入力装置18と人との距離を特定し、式3に従って表示範囲Lを決定する。
第3ケースとして、式6に従って、表示範囲Lを決めるケースである。この場合、一人の人が商品販売装置20を使用する場合は、全方位の使用が可能となるが、使用人数が増加するに従って、表示範囲Lは小さくなる。
表示範囲決定機能部34は、上記第1〜第3のいずれのケースであっても、式8で求められる表示範囲Lより小さくなる場合は、式8で求められる値を表示範囲Lとしても良い。
このように、表示範囲決定機能部34は、表示範囲Lを様々なケースに応じて決定することが出来る。
【0039】
表示範囲Hは、人である操作者の身長によって決めることが好ましい。表示装置17に表示される商品に対する垂直方向への視認性を確保し、且つ、式1に示すような人間の手の届く範囲での操作性を維持するためには、人間の視線の水平方向の高さから仰角45°未満とすることが好ましい。身長180[cm]で、操作距離r2=690[mm]である場合、表示範囲Hは、操作者の視線の水平位置から、垂直方向に690[mm]情報の位置未満としても良い。また、この条件を満たす場合として、操作者の身長と同じ高さを表示範囲Hの高さとしても良い。
操作者の身長は、高さ検出装置9で検出できるため、操作者の身長に応じて、表示範囲Hを設定できる。
【0040】
以上の例から、表示範囲決定機能部34は、表示範囲Hを様々なケース毎に決定することが出来る。
第1ケースとして、表示範囲Hを最大身長(上記例では、身長180cm)で固定するケースがある。この場合、表示範囲決定機能部34は、人体検出機能部32により人体が検出された時、又は、入力装置18への人の接触があった時点で、固定された表示範囲Hで規定される表示範囲を人の前に表示する。
第2ケースとして、人の身長に応じて表示範囲Hを計算するケースがある。この場合、表示範囲決定機能部34は、高さ検出装置8から検出された人の身長から、上記の例に基づいて、表示範囲Hを決定する。
このように、表示範囲決定機能部34は、表示範囲Hを様々なケースに応じて決定することが出来る。
【0041】
また、図4では、表示装置17は円筒形状のものを示してきたが、複数方位に画面表示可能な表示装置17として、表示装置は多角形状のものであっても良い。その場合、図5は、多角形形状の表示装置を有する商品販売装置の上面図である。20eは、全方位型の表示装置を有する商品販売装置の上面図であり、20fは、180°方位型の表示装置を有する商品販売装置の上面図である。
このとき、多角形の一辺は、表示範囲Lと同じ長さにしても良い。そして、上記第1ケースのように、表示範囲Lは最大身長(上記例では、身長180cm)で固定することが好ましい。各数及び辺数は、多角形の頂点を通過する円に基づいて、使用人数に応じて式6に従って求めることが出来る。なお、多角形の場合Lは固定値になるため、Rが求められ、LとRの関係から角数が決定される。
なお、表示範囲Lを固定値とした場合、表示範囲Lの計算を操作者に応じて計算することはない。したがって、高さ検出装置9は少なくとも不要となる。
【0042】
商品画像出力機能部35は、表示範囲決定機能部34により決定された表示範囲Lと入力装置の高さである表示範囲Hとに従って特定される表示装置17に表示される表示範囲に、商品画像を出力する。図6A及び図6Bを用いて、商品画像出力機能部35による商品画像出力の一例を説明する。
図6AのHは、垂直方向の表示範囲高さであり、Lは、円周方向の表示範囲長さLである。表示範囲LとHで特定される表示範囲には、棚が陳列されるように複数の商品画像が表示される。
図6Bは、図6Aに示される棚の一部を表示した図である。61は、商品表示の変更を行う場合の表示の変化を示す画面表示である。画面61に示されるように、人2が特定の棚に相当する部分の入力装置18に触れて、人2がその棚を水平方向に動かすことで、その棚の部分がけが水平方向に移動するように、商品画像出力機能部35によって表示される。移動することにより、今まで表示されていた商品は表示範囲から除外され、新たに商品が表示される。このように、棚を水平方向に移動(画面外にドラッグ)し、商品の出し入れが可能なように表示することで、操作者に対して直感的なインターフェースを提供し、且つ商品画像出力機能部35は、画像表示可能な商品の数を増やすことが出来る。
なお、商品は、商品管理情報41として登録されており、上記のような棚の回転移動によって新たに表示される商品は、商品画像出力機能部35が商品管理情報41から商品データを取得することによって表示される。
【0043】
商品特定機能部36は、入力装置18に入力された位置データを取得し、その位置に対応する商品を特定する機能を有する。商品特定機能部36は、表示装置17に表示される商品の識別データと、位置関係とを常に対応付けており、入力装置18によって人によって入力された位置を取得することによって、商品特定機能部36は、その位置に対応する商品を特定できる。
【0044】
また、商品特定機能部36は、画面表示される商品の購入に関する画面出力を行う。図7に商品購入に関する画面表示の一例を示す。商品特定機能部36は、商品の選択入力を、例えば、商品画像に2度連続して触れることによって確認した場合、図7の画面51に示されるように、商品の詳細情報と、商品購入の確認画面を表示する。
【0045】
認証情報管理機能部37は、商品購入に関して、購入者の身分証明確認を行う機能を有する。入力装置18の一部は、ICカードの読み取りスキャナ機能を有するため、認証情報管理機能部37は、スキャナ機能を有する入力装置18の部分に、画面52に示す表示をおこない、購入者にIDをあてる操作を促す。図6Bの62に示すように、購入者がICカードをスキャナにあてると、認証情報管理機能部37は、スキャナから読み取ったIDを、ネットワークインタフェースカード16を介して、外部接続される認証システムに問い合わせる。認証システムで認証の確認が取れ、その結果が認証情報管理機能部37に通知されると、図7の画面53に示すように認証確認がとれたことを表示する。
【0046】
選択情報発注機能部38は、ネットワークインタフェースカード16を介して、購入対象となった商品を、外部接続される商品を実際に取り扱う会社の受注システムに発注処理を行う。選択情報発注機能部38は、受注システムからネットワークを介して、受注確認及び商品発送の返答を受領すると、図7の画面54に示すように商品発送指示を行ったことを表示する。
【0047】
以下に、上記した商品販売装置20の機能を用いて行われる処理の流れを説明する。
図8は、商品販売装置20が実行する商品販売処理の処理フローチャートの一例である。
まず、商品販売装置20の起動処理終了後、人体検出機能部32は、人体検出装置8が検出した信号を信号処理して、人体を検出する(S101)。表示範囲決定機能部34は、表示範囲Lを決定する(S102)。商品画像出力機能部35は、表示範囲決定機能部34により決定された表示範囲に、商品画像を出力する(S103)。このステップでは、図6Aに示したように、表示範囲に、複数の商品画像が出力される。商品特定機能部36は、入力装置18に入力された位置に対応する商品を特定する(S104)。このステップでは、商品販売装置20の操作者による入力位置に対応する商品が特定される。なお、操作者は、商品特定をする前に、図6Bに示すように、商品を水平方向に移動させた後に商品は特定されても良い。商品特定機能部36は、画面表示される商品の購入に関する画面出力を行う(S105)。ここで出力される画面の例は、図7の画面51に示されるような画面である。
【0048】
認証情報管理機能部37は、商品購入に関して、購入者の身分証明確認を行う機能を有する(S106)。ここでは、認証情報管理機能部37は、図7の画面52に示す表示をおこない購入者にIDをあてる操作を促し、スキャナから読み取ったIDを外部接続される認証システムに問い合わせ、認証の確認が取れると、図7の画面53に示す認証確認を表示する。選択情報発注機能部38は、外部接続される受注システムに対して購入商品に関する発注処理を行う(S107)。このステップが完了すると、図7の画面54に示すように発注商品の商品発送指示が行われたことが表示される。次に、処理装置13は、入力装置18又はネットワークを介してシステム停止命令があるか否かを監視し、システム停止命令が無い場合(S108 No)は、上記ステップS101〜S107を実行し続ける。システム停止命令がある場合(S108 Yes)、処理装置13は商品販売処理を終了することで(S109)、商品販売処理のフローを終了する。
なお、ステップS101の前に、ICカードの認証処理を実行して、操作者の履歴を考慮した商品陳列を行っても良い。その場合、ステップS103では、今までよく購入したものを最初に表示装置17に画面表示したり、年齢層に合わせた商品を表示しても良い。
【0049】
図9は、商品販売装置の一実施例を示す図である。
図9では、複数の商品販売装置20a及び20bが図示される。商品販売装置20aでは、図6Bの62に示すようなICカードの認証が行われることが示される。商品販売装置20bでは、図6Bの61に示すような商品の選択が操作者によって行われることが示される。
【0050】
図10は、商品販売装置の画面表示の実施例を示す図である。
図10では、複数の商品販売装置20c及び20dが図示される。商品販売装置20cでは背の低い操作者が、商品を選択する行為が示される。商品販売装置20dでは背の高い操作者が、商品を選択する行為が示される。
図10に示すように、操作者が選択する画面を、透明度100%で示して、他の棚の段に関しては透明度を下げて表示しても良い。このように、透明度を変化させることで、選択した商品に対する操作者の商品認識力を向上させることが出来る。なお、図10において、人の形に即して透明度を上げるように表示することで、水平方向のみならず垂直方向における操作者の商品認識力の向上を図ることも出来る。
【0051】
以上述べたように、一実施形態に係る商品販売装置は、複数方位に表示可能な表示装置の表面上で、複数人の商品選択操作を可能にすることが出来る。
また、商品販売装置は、実際の商品を陳列及び保存することなく、実物販売類似の形態で商品の可視化を行うとともに、商品選択及び商品発注を可能にする。そのため、実際の商品を陳列する場合と比して、省スペースで商品選択及び商品発注が可能になる。このような効果により、商品を陳列する場所が不要になり、商品は在庫から消費者へ短期間及び短距離で提供され、いわゆるフードマイレージの削減が可能になる。また、このような流通経路の簡易化により、商品のトレーサビリティを向上させる。
さらに、商品販売装置は、全自動であるため、商品に関する人員を必要としない。そのため、労働者が不足する地域であっても、多種の商品の販売が可能になる。
【0052】
以上述べた実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の方位に表示可能な画面を有する表示手段と、
前記表示装置の画面上に配置された入力手段と、
前記表示装置の前に存在する操作者に対応して定められる前記画面上の表示範囲に商品画像を表示させると共に、前記入力手段で検出された座標情報によって商品を特定する制御手段と、
を備える商品販売装置。
(付記2)
前記入力手段の入力可能領域へ操作者が進入したことを検出する人体検出装手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記人体検出手段により検出された操作者に近接する前記画面上に表示され且つ前記検出した操作者の数に応じて表示範囲を決定する付記1に記載の商品販売装置。
(付記3)
非接触型の決済手段を備える付記1又は2に記載の商品販売装置。
(付記4)
前記表示手段は円筒形状であり、
前記表示範囲に対応する前記入力装置の弧の長さは、66π[mm]以上且つ230π[mm]以下になるように決定される付記2に記載の商品販売装置。
(付記5)
前記表示手段は円筒形状であると共に、
操作者の高さを検出する高さ検出手段をさらに備え、
前記表示範囲に対応する前記入力手段の弧の長さ(L)は、
L≦r×α
r:前記入力装置の外周表面と操作者との距離
α:前記操作者の視野角を2倍とした中心角
で規定される付記2に記載の商品販売装置。
(付記6)
操作者の高さを検出する高さ検出手段をさらに備え、
前記表示範囲に対応する前記入力手段の弧の長さ(L)は、
L≦θ×(R+r)
θ:前記入力装置の操作範囲に対応する中心角
R:前記入力装置の内径半径
r:前記入力装置の外周表面と操作者との距離
で規定される付記1〜5のいずれか1項に記載の商品販売装置。
(付記7)
前記人の高さを検出する高さ検出装置によって検出された身長(H1)によって、前記表示範囲の表示する高さ上限を(H2)を、
H2≦H1
の範囲とする付記1〜6のいずれか1項に記載の商品販売装置。
(付記8)
前記検出した操作者の数に応じた表示範囲を決定するために、前記検出した人数(N)に対して、前記表示範囲に対応する前記表示装置の弧の長さ(L)は、
L=2πR/N
R:前記表示装置の内径半径
で規定される付記2〜7のいずれか1項に記載の商品販売装置。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】商品販売装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】人体検出装置8及び高さ検出装置9の検出機能を説明するための商品販売装置20の側面図である。
【図3】商品販売装置で実装する機能構成の一例を示す図である。
【図4】商品販売装置と人との位置関係の上面図である。
【図5】多角形形状の表示装置を有する商品販売装置の上面図である。
【図6A】商品画像出力機能部35による商品画像出力の一例を説明する図である。
【図6B】商品画像出力機能部35による商品画像出力の一例を説明する図である。
【図7】商品購入に関する画面表示の一例を示す図である。
【図8】商品販売装置が実行する商品販売処理のフローチャートの一例である。
【図9】商品販売装置の一実施例を示す図である。
【図10】商品販売装置の画面表示の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
8 人体検出装置
9 高さ検出装置
11 補助記憶装置
12 主記憶装置
13 処理装置
14 バスインタフェースユニット
15 ディスクインタフェース
16 ネットワークインタフェースカード
17 表示装置
18 入力装置
20 商品販売装置
21 ネットワーク網
23 コンピュータ
30 商品販売制御プログラム
31 制御機能部
32 人体検出機能部
33 検出機能部
34 表示範囲決定機能部
35 商品画像出力機能部
36 商品特定機能部
37 認証情報管理機能部
38 選択情報発注機能部
41 商品管理情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方位に表示可能な画面を有する表示手段と、
前記表示装置の画面上に配置された入力手段と、
前記表示装置の前に存在する操作者に対応して定められる前記画面上の表示範囲に商品画像を表示させると共に、前記入力手段で検出された座標情報によって商品を特定する制御手段と、
を備える商品販売装置。
【請求項2】
前記入力手段の入力可能領域へ操作者が進入したことを検出する人体検出装手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記人体検出手段により検出された操作者に近接する前記画面上に表示され且つ前記検出した操作者の数に応じて表示範囲を決定する請求項1に記載の商品販売装置。
【請求項3】
非接触型の決済手段を備える請求項1又は2に記載の商品販売装置。
【請求項4】
前記表示手段は円筒形状であり、
前記表示範囲に対応する前記入力装置の弧の長さは、66π[mm]以上且つ230π[mm]以下になるように決定される請求項2に記載の商品販売装置。
【請求項5】
前記表示手段は円筒形状であると共に、
操作者の高さを検出する高さ検出手段をさらに備え、
前記表示範囲に対応する前記入力手段の弧の長さ(L)は、
L≦r×α
r:前記入力装置の外周表面と操作者との距離
α:前記操作者の視野角を2倍とした中心角
で規定される請求項2に記載の商品販売装置。
【請求項6】
操作者の高さを検出する高さ検出手段をさらに備え、
前記表示範囲に対応する前記入力手段の弧の長さ(L)は、
L≦θ×(R+r)
θ:前記入力装置の操作範囲に対応する中心角
R:前記入力装置の内径半径
r:前記入力装置の外周表面と操作者との距離
で規定される請求項1〜5のいずれか1項に記載の商品販売装置。
【請求項7】
前記人の高さを検出する高さ検出装置によって検出された身長(H1)によって、前記表示範囲の表示する高さ上限を(H2)を、
H2≦H1
の範囲とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の商品販売装置。
【請求項8】
前記検出した操作者の数に応じた表示範囲を決定するために、前記検出した人数(N)に対して、前記表示範囲に対応する前記表示装置の弧の長さ(L)は、
L=2πR/N
R:前記表示装置の内径半径
で規定される付記2〜7のいずれか1項に記載の商品販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図6B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157115(P2010−157115A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335273(P2008−335273)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】