説明

器具発電ユニットを遠隔的に監視するためのセンサを含む制御モジュール付き電動外科用器具

電動機のような発電ユニットを収容したハウジング付き電動外科用器具。制御モジュールはハウジング内に搭載されたシェル内に配置される。制御モジュールは発電ユニットの作動を調整するための制御回路を収容する。発電ユニットはユニットの動作状態を表わす信号を放射し、それはシェルを形成する構造材を介して伝送される。また制御モジュールシェルの内部には、発電ユニットによって放射された信号を監視するセンサもある。センサによって出力されたこの信号は制御回路に印加される。制御回路はセンサ信号に基づいて、発電ユニットの作動を調整する。発電ユニットが電動機である場合、放射される信号は回転子の位置により変動する磁界である。センサはこの磁界の強度を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に電動外科用器具に関する。さらに詳しくは、本発明は、器具の起動を制御する回路が封入された密閉モジュール付きのコードレス電動外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の外科手術で、医療従事者に利用可能である最も重要な機器の1つが電動外科用器具である。しばしば、この器具は電動機が収容されたドリルユニットの形を取る。ドリルユニットに固定されるのは、特定の医療処置を実行するために手術部位に適用するように設計された切削アタッチメントである。例えば、電動外科用器具の中には、組織に穴をあけるため、または骨のような組織を選択的に切除するためのドリル、バー(bur)、またはリーマが具備されるものがある。他の電動外科用器具の中には、ソーヘッドが具備されるものがある。これらの器具は、硬および軟組織の大きい部分を分離する。ワイヤドライバは、その名前が暗示する通り、ワイヤを患者内に、さらに詳しくは骨内において推進させる電動器具である。電動器具は、手術室で他の機能を果たすためにも使用される。例えば、多量の外科用セメントを形成する成分を混合するために電動器具を使用することが公知である。
【0003】
患者に電動外科用器具を使用する能力は、患者に医療処置を実行するときの外科医の身体的緊張を低減する。さらに、大半の外科的処置は電動外科用器具により、それら以前に行なわれた手動による同等物より迅速かつ正確に実行することができる。
【0004】
一部の医師に特に人気のある電動外科用器具のあるタイプのものには、コードレスの電池式電動外科用器具がある。名前が暗示する通り、この器具は電動機の電源として働く電池を有する。これは、外部電源に接続された電源コードを器具に設ける必要性を排除する。電源コードの排除は、コード接続された電動外科用器具に勝る利益をもたらす。このタイプの器具を使用する外科手術従事者は、コードを無菌手術野に導入することができるようにコードを滅菌すること、または処置中に非滅菌セクションのコードが不注意に手術作業域に導入されないことを確実にすることのいずれにも気遣う必要が無い。コードの排除は結果的に、コードが外科的処置にもたらす物理的混雑および視野の遮断をも同様になくする。
【0005】
コード接続型およびコードレス電動外科用器具に共通する1つの特徴は、器具上の制御スイッチまたは部材の存在である。この部材はしばしばバイアススイッチ、トリガ、またはボタンの形を取る。多数のコード接続型およびコードレス外科用器具は、ピストルのハンドグリップに類似したハンドルを有する。この形状の器具は時々、制御部材がハンドルに褶動可能に装着されたトリガとなるように設計される。
【0006】
電動外科用器具は、多くの他の電動器具とは異なり、比較的大量の電力を伝えるということ以上のことを行なわなければならない。電動外科用器具は、水蒸気が飽和状態でありかつ非常に高温の環境への、反復される曝露に耐えることができなければならない。これは、使用前に電動外科用器具がオートクレーブで滅菌されるためである。このプロセスで、器具は、雰囲気が水蒸気(蒸気)で飽和状態である、温度が約270°F(132℃)であり、雰囲気圧力が約30psi(ゲージ)(0.21×106Pa)であるチャンバ内に配置される。器具の内部構成部品は、その制御回路の導電性構成部品を含め、保護されないままでこの環境に繰返し曝露されると、腐食する。
【0007】
1998年5月5日に発行され、引用することによって本願明細書の一部をなすものとする出願人の米国特許第5,747,953号「CORDLESS,BATTERY OPERATED SURGICAL TOOL」は、オートクレーブ滅菌の影響から外科用器具の内部構成部品を保護するための一手段を開示している。本発明の器具は、器具の作動を調整する回路を収容した密閉モジュールを有する。このモジュールの内部には、外付けされたトリガの状態を監視する非接触センサもある。各トリガに取り付けられ、器具ハウジングの内部に配置されているのは磁石である。モジュールの内部には磁界センサがある。各センサは、トリガ磁石のうちの関連する1つの近接性の関数として、変動信号を生成する。トリガの手動変位は結果的に、器具内部の磁石の同様の変位を引き起こす。トリガおよび磁石がそのように変位すると、相補型センサは移動が起きたことを示す信号を生成する。この信号を受信すると、制御回路は、付勢する電流を電動機に印加するのに必要な信号を生成する。
【0008】
上記器具のオン/オフ制御アセンブリの導電性構成部品は、オートクレーブ環境の過飽和加熱空気から遮蔽される。この器具が滅菌されるときに、これらの構成部品は悪影響を受けない。
【0009】
しかし、公知のコードレス電動器具は、露出されたままの他の敏感な構成部品を有する。これらの構成部品として一般的に、電力生産ユニットの動作を監視するセンサがある。多くの電動機付きコードレス電動外科用器具はそれらの電力生産ユニットとして、例えばブラシレス直流電動機を使用する。このタイプの電動機の内部には、電動機の回転子位置を監視するセンサがある。センサによって生成される信号は、制御回路に供給される。これらの信号は、オン/オフ信号により電動機における回転整流を調整するフィードバック信号として機能する。
【0010】
これらのセンサは、オートクレーブの腐食助長環境に曝露される。現在、これらのセンサは、滅菌プロセスの厳しい影響からそれらを遮蔽するために、ポッティングコンパウンドに包封される。それでもなお、長い間に、加圧水蒸気はこれらのセンサに到達することができる。ひとたびこれが発生すると、水蒸気はセンサを腐食して、それらの誤動作を引き起こす傾向がある。
【0011】
たとえこれらのセンサが飽和水蒸気から遮蔽されたままであり続けても、それらの使用に関連する幾らかの不利点が存在する。往々にして、これらのセンサは低温環境で最も良く動作する。例えばホール効果センサによって生成される信号は、150℃より高い温度で変動し始める。電動外科用器具と一体化した電動機は、温度をこのレベルより高く上昇させるのに十分な熱を発生することがある。ひとたびこれが発生すると、ホールセンサによって出力される信号の変動は、制御回路に器具の誤動作を助長する制御信号を発生させることがある。
【0012】
さらに、これらのセンサによって生成される電動機回転子の位置信号の精度は、当然、回転子に対するセンサの位置に強く依存する。外科手術従事者の最善の努力にもかかわらず、外科用器具が床に落下することは前例の無いことではない。器具がこの種の機械的衝撃にさらされると、電動機回転子センサの位置が偏移し得る。そのような移動は依然として、センサが電動機回転子の位置を正確に表わしていない信号を生成し得る別の理由である。
【0013】
理論的には、電動機巻線によって生成される逆EMF信号を使用して回転子の位置の指標を得ることによって、この問題を解消することが可能なはずである。これは、コード接続型電動外科用器具における回転子位置センサの使用をいかにして排除するかである。実際には、コードレス電動器具でこの解決策を実現することは難しいことが証明されている。これは、ゼロ速度、失速速度時には、そこから回転子位置を判定することのできる逆EMF信号が無いためである。代わりに、電動機で始動させるために電動機巻線を付勢する他の手段が使用される。これらの他の手段は一般的に、巻線へのかなりの電流の印加を伴う。外科的処置中に、コードレス電動器具はオンおよびオフを繰返し循環することができる。したがって、コードレス電動外科用器具が逆EMF信号の状態に基づいて駆動された場合、電動機をいつでも再始動可能にするために必要な電力は、電池の充電量の比較的急速な枯渇を引き起こし得る。このため、処置の途中で電池を充電することが必要になるおそれがある。明らかに、これは外科手術従事者が避けたいと思う作業である。
【0014】
さらに、多くの電動外科用器具は、コード接続型およびコードレス型の両方とも、様々な切削アクセサリを駆動する。例えば多くのドリルユニットは、シェーバおよびバーの両方を駆動するように設計される。往々にして、アクセサリが異なれば、別々の好ましい速度で動作し、別々の最大動作速度を有する。コード接続型電動器具を付勢して装着された切削アクセサリのタイプを示す制御コンソールにフィードバックを提供する、多数の様々なアセンブリが市販されている。この情報に基づいて、制御コンソールは器具の作動を、装着されたアクセサリに適した速度で動作するように調整する。しかし、コードレス電動器具は制御コンソールを有さない。したがって、装着されたアクセサリに基づいて器具の動作をカスタム調整するために使用できる機構を提供することが難しいことが証明されている。
【0015】
さらに、一部のコード接続型電動外科用器具は、外科医の選好に基づいてカスタム速度または動作設定をもたらすことのできる制御コンソールを有する。再び、コードレス器具はこのタイプのコンソールに接続されないので、このタイプの器具ではこのタイプの制御を外科医に提供することが難しいことが証明されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、新規の有用な電動外科用器具に関する。本発明の外科用器具は、器具の電力生産ユニットと一体化したセンサに頼らずに、ユニットの動作状態を判定する。本発明の外科用器具はまた、装着された切削アクセサリのタイプおよび/または外科医の好みに基づいてカスタム構成可能でもある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電動外科用器具は、電力生産構成部品を収容するハンドピースを含む。往々にして、この構成部品は直流電動機である。また、ハンドピースの内部には、電動機への電力の印加を調整する制御回路を収容するモジュールもある。この制御回路は密閉モジュール内に収容される。また、このハウジングの内部には、ハンドピースに装着された作動部材の状態を監視するセンサ、および電動機回転子の位置を監視するセンサもある。
【0018】
本発明のハンドピースは電動機と一体化したセンサを有していないので、これらのセンサを設けることに関連した問題は解消される。
【0019】
本発明のハンドピースはまた、制御部材の作動によって生成される信号の状態を監視するプロセッサをも有する。プロセッサは、器具が処置における使用のためにセットアップされるたびにロードされる動作命令の特定のセットを実行する。これらの命令に基づいて、プロセッサは制御部材の作動を表わす受信信号を実行するように指示され、プロセッサは制御命令の特定のセットを生成する。
【0020】
プロセッサ実行のために選択された命令は、遠隔の構成部品から器具にロードされる。特定の器具がコードレス器具である場合、命令はワイヤレス通信リンクによって伝送される。このようにして、本発明の電動外科用器具は、装着された切削アクセサリのタイプおよび外科医の選好のような変数に基づいて動作するようにカスタム構成される。
【0021】
一実施形態では、本発明の電動外科用器具はコードレス器具である。本発明の他の実施形態では、器具はコード接続される。
【0022】
本発明は特許請求の範囲に詳細に指摘されている。本発明の上記およびさらなる特徴は、添付の図面に関連して取り上げる以下の詳細な説明を参照することによって、一層よく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
I.外科用電動器具
A.概要
図1および1Aは、本発明に従って構成された外科用器具である電動器具30を示す。器具30は、電気的に作動する発電ユニットがその中に配置されたハウジング32を有する。特定の器具30では、この発電ユニットはブラシレスHalless直流電動機34である。器具ハウジング32は、電動機34がその中に納まる略円筒状ヘッド36を有するように形成される。器具ハウジング32は、ヘッド36から下方に延びるハンドル38を有するように形成される。
【0024】
ヘッド36にはまた、ハウジング32の最前部に可動に装着されたリングによって代表される結合アセンブリ39も収容される。結合アセンブリ39は、電動機がアタッチメントを作動させることができるように外科用アタッチメント41(図16)を電動機34に解放可能に装着する、機械的連結装置からなる。本発明の一部の器具システムでは、アタッチメント41は切削アクセサリと呼ばれる。結合アセンブリ39の厳密な構造は、本発明の構造に関係しない。図1および1Aの器具と同様に、発電ユニットが電動機34である場合、結合アセンブリ39は、電動機シャフトの回転と共にアクセサリが回転するように、アクセサリを電動機シャフト27に解放可能に保持する固締装置からなる。本発明の一部のバージョンでは、減速ギヤアセンブリ28が電動機34と結合アセンブリ39との間に配置される。
【0025】
ハンドル内部の空所29の内部に配置されるのは、図1に仮想線で示された気密密閉制御モジュール40である。制御モジュール40は、下述の通り、電動機34への付勢電流の印加を調整する構成部品を収容する。
【0026】
電動機34を付勢するための電力は、図6Eに概略的に示される電池42に由来する。実際には、電池42はハンドル38の突合せ端に着脱可能に装着される。本発明のこのバージョンと共に使用することのできる1つの電池42が、引用することによって本願明細書の一部をなすものとする、1999年11月2日に発行された「RECHARGEABLE BATTERY PACK AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME」と称する、出願人の譲受人の米国特許第5,977,746号,に記載されている。
【0027】
縦1列に配列された2つのトリガスイッチ46および47は、ハンドル38の前面から前方に延びる。各トリガスイッチ46および47は、器具ハウジング32に褶動可能に装着される。各トリガスイッチ46および47は略円筒状バレル50を含む。バレル50は、ハウジングハンドル38の前方に延びるトリガスイッチ46または47の部分である。指掛けとして形作られたヘッド52が、バレル50の遠位自由端上に配設される。(「遠位」とは、器具30が向けられる手術部位に向かう方向を意味すると理解されたい。「近位」とは手術部位から離れる方向を意味する。)トリガスイッチ46および47は、バレル50が制御モジュール40の前に配置されかつそれと整列するように、器具ハウジング32に装着される。
【0028】
B.機械的特徴
図2Aおよび2Bは、トリガスイッチ46および47がトリガスイッチハウジング33内にどのように装着されるかを集合的に示している。トリガスイッチハウジング33はプラスチックで形成される。ハウジング33は、各々がその近位端を閉止された2つのバレルケージを画定するように形作られる。各バレルケージ35は、関連付けられるトリガスイッチバレル50の一方の褶動可能の摺接嵌合(slidable slip fitting)を容易にするような寸法とされる。装着板37はバレルケージ35の開放遠位端と一体的に形成され、かつその周囲に延びる。装着板37は、ハンドル38の前面によって画定される陥凹空間に嵌合するように寸法決めされる(陥凹空間は図示せず)。嵌合ボス43は、バレルケージ35の間で装着板37から近位後方に延びる。嵌合ボス43は軸方向に延びる貫通穴61を有する。図示しない締結部材がボス43を貫通して延び、トリガスイッチハウジング33を器具ハウジング32に保持する。トリガスイッチハウジング33には、バレルケージ35の近位端全体に延びる止め壁45が形成される。止め壁45は、トリガスイッチ46および47が完全に押し込まれたときに、バレル50の近位端が当接するトリガハウジング構造部材である。
【0029】
つる巻きばね48は通常、トリガスイッチ46および47を完全伸長位置に保持する。各ばね48は、関連付けられたトリガスイッチバレル50の近位端から遠位方向に延びる長手方向の閉止端穴49内に着座する。ばね48の近位端は、ハウジング止め壁45に押し当てられる。ばね48は、ハウジング止め壁45の内壁から遠位前方に延びる支柱51の周囲に着座する。支柱51は部分的にバレル穴49内に延びる。各トリガスイッチ46および47の前方遠位移動は、別々のピン53によって制限される。各ピン53は、関連付けられるハウジングバレルケージ35に形成された開口(開口は同定せず)に着座し、バレルケージ内の空間内に横方向に延びる。ピン53は、トリガバレル50の外側に沿って長手方向に延びる溝55内に着座する。(図2Aにはトリガスイッチ47の溝55だけが示される。)各溝55は、溝を画定する端壁にピン53が当接することにより、トリガスイッチ46または47の前方移動および反転移動が制限されるように、両端を閉止される。
【0030】
Oリング57およびテフロン(登録商標)リング59は、トリガスイッチバレルの周りに周方向に延びる溝60内に着座する。溝60はスイッチヘッド52と長手溝55との間に配置される。Oリング57は溝60の基部に着座する。テフロン(登録商標)リング59は、溝60内でOリング57の上に着座する割りリングである。テフロン(登録商標)リング59の外面は、バレルケージ35の内壁に押し付けられる。このようにしてテフロン(登録商標)リング59は、トリガスイッチバレル50とバレルケージ35の隣接内面との間に低摩擦の平滑な界面をもたらす。
【0031】
図2Aおよび2Bには、矩形のトリガアセンブリツール27も示される。トリガスイッチ46および47がそれらのバレルケージ45内に嵌合された後、ツール27はバレルケージおよび嵌合ボス43内に滑入される。ツール27の上下両端は、トリガスイッチバレル50に形成された溝29内に着座する。トリガアセンブリツール27は、ピン53がバレルケージおよびスイッチバレル溝55内に着座するまで、トリガスイッチ46および47を適位置に保持する。
【0032】
磁石56および58は各トリガスイッチ46および47にそれぞれ装着される。各磁石56および58は、トリガスイッチバレル50の近位端に装着される。各トリガスイッチバレル50は、バレルの近位端から近位後方に延びるボス63を有する。関連する磁石56または58は、ボス63に形成された閉鎖端の穴に着座する(穴は同定せず)。
【0033】
各ハウジングバレルケージ止め壁45は、近位端開口65を有するように形成される。トリガスイッチバレル50は、関連スイッチが完全に押し込まれたときに、ボス60および磁石56または58が関連開口65を貫通してケージ止め壁45の先まで近位後方に延びるように、バレルケージ35に着座する。
【0034】
したがって、各トリガスイッチ46または47を押すと、関連付けられた磁石56または58がそれぞれ、制御モジュール40に近づく。磁石56または58が近位側でバレルケージ35の先まで延びるため、トリガスイッチバレル50の本体に対して相対的に、磁石は制御モジュール40に近づく。以下で明らかになる理由から、本発明の器具30は、トリガスイッチ46または47も、その相補型磁石56または58も、どちらも制御モジュール40に接触しないように組み立てられる。
【0035】
図3Aに示す通り、制御モジュール40の内部にはプリント回路基板64がある。プリント回路基板64に装着されているのは3対のセンサ、センサ対66および68、センサ対70および72、ならびにセンサ対74および76である(図6A)。センサ対66および68は、磁石56の相対位置の関数としての信号を生成する。センサ対70および72は、磁石58の相対位置の関数としての信号を生成する。センサ対74および76は、電力生産ユニットの動作の関数としての信号を生成する。発明の本バージョンでは、センサ対74および76は、図6Dに象徴的に示す電動機回転子78の回転の向きに基づいて信号を生成する。
【0036】
また、制御モジュール40の内部には電力FET82a〜82cおよび84a〜84cもある(図6D)。各FET82a、82b、および82cは、それぞれの電動機巻線86a、86b、および86c(図6D)の1つを電池42の正極に選択的に結合する。各FET84a、84b、および84cは、電動機巻線86a、86b、および86cの1つをグランドに選択的に結合する。
【0037】
プリント回路基板64には、下述する他の構成部品が装着される。これらの構成部品は、センサ対66〜68、70〜72、および74〜76によって生成される信号に基づいてFET82a〜82cおよび84a〜84cを選択的にゲーティングする。FET82a〜82cおよび84a〜84cのゲーティングにより、巻線86a〜86cに電流が流れて電動機34が付勢される。
【0038】
図3Aおよび3Bに示す通り、制御モジュール40は6枚の板から形成される。制御モジュール40がハウジング32内に着座したときに、前板92は板のうちで最も遠位になり、ハンドル38の内側で長手方向に延びる。頂板および底板94および96はそれぞれ、前板92の対向する頂縁および底縁からハンドル38を貫通して直角に後方に延びる。後板98は板のうちで最も近位である。後板98は頂板および底板94および98それぞれの近位端の間に延びる。前板、頂板、底板、および後板92、94、96、および98はそれぞれ一体に溶接されて、矩形のシェルを形成する(同定せず)。このシェルはプリント回路基板64が着座するモジュール40内の空間を画定する。
【0039】
蓋102および104は、モジュール40を形成する残りの2つの板である。蓋102および104は矩形に形作られ、プリント回路基板64の両面上のシールである。
【0040】
一般的に、前板92、底板96、後板98、ならびに蓋102および104は非腐食性の磁性材料から形成される。これらの構成部品を形成することのできる1つの適切な材料として、Nickel200のようなニッケルがある。本発明の記載バージョンでは、センサ66〜76は磁気感受性であるため、これらの板は磁性である必要がある。磁性材料から板を形成すると、センサは周囲磁界から遮蔽される。本発明の一のバージョンでは、板92〜98は厚さが約0.050インチ(1.27mm)であり、蓋102および104は厚さが約0.015インチ(0.381mm)である。蓋102および104の厚さの低減は、板92〜98への蓋の溶接を容易にする。
【0041】
前板92は一般的に磁性材料から形成されるが、センサ対66および68ならびにセンサ対70および72上に延在する板の部分は、図4Aに示す非腐食性非磁性リング106の形を取る。本発明の1バージョンでは、リング106は銅または銅−ニッケル合金から形成される。1つのそのような合金は、米国ウェストバージニア州ハンチントンのInco Alloysによって商標モネル(Monel)で販売されている。この合金は、銅30〜35%、ニッケル60〜65%、残りイオウおよび炭素の重量組成を有する。各リング106は、前板92に形成された個々の円形開口107に装着される。
【0042】
各リング106の中心には、非腐食性の磁性材料から形成された中実円形ディスク108がある。円形ディスク108を形成することが可能な材料としてニッケルおよびニッケル鉄合金がある。円形ディスク108を形成することのできる1つのそのような合金は、米国ペンシルベニア州レディングのCarpenter Steel Companyによって商標CARPENTER HIGH PERMEABILITY「49」で販売されている。この合金はニッケル48%、炭素0.02%、シリコン0.35%、マンガン0.50%、残りが鉄の重量組成を有する。
【0043】
前板92が様々な材料から形成される理由は、図4Aを参照することによって理解される。リング106およびディスク108の各対は、トリガスイッチ磁石56または58のうちの1つの移動の軸線に沿ってセンタリングされる(ここでは磁石56を図示している)。この線は、関連付けられるセンサの対66および68、または70および72がそれに沿って磁界の変化に最も敏感になる軸でもある。前板92、リング106、およびディスク108の磁性/非磁性/磁性関係のため、これらの構成部品は、この線に沿って磁石により放射される磁界の磁束を収束する。図4Aに、磁束は破線110で示される。したがって、磁石56または58が取り付けられたトリガスイッチ46または47の移動によって生じる磁束密度のわずかな変化が、センサ対66および68、または70および72によって容易に検知される。
【0044】
頂板94、またはそのうちの少なくともセンサ74および76を覆う部分は、非腐食性非磁性材料から形成される。銅またはモネル合金は、この板または板部分を形成する適切な材料であり得る。センサ74および76は回転子78によって放射される磁界の変化を監視することによって回転子の向きの変化を監視するので、頂板94、または少なくともセンサ対74および76を覆う部分は、非磁性材料から形成される。
【0045】
本発明の一部のバージョンでは、図示しない対向する磁性板が、蓋102および104の各々から上方に延びる。これらの板は、制御モジュール40の内側のセンサ74および76が装着される場所の両側に配置される。これらの板はセンサ74および76を周囲の磁界から遮蔽する。
【0046】
図3A、3B、3C、および3Dに戻ると、後板98に矩形の開口108が形成されていることが分かる。開口108は、端子盤(図示せず)がその中に配置される開口として機能する。端子盤と一体化した露出接点は、遠隔装置からの導線(図示せず)が接続される端子点である。遠隔装置は、外科用器具30を動作させるための命令がそこを介して制御モジュール40に供給され、あるいは器具の動作状態に関するデータがそこを介してモジュールから出力されるような頭脳として働く。この遠隔装置は、器具ハウジング32の開口上のすぐに取外し可能な板の真後ろに配置された第2端子盤とすることができる(端子盤、ハウジング開口、および板は図示せず)。代替的にこの遠隔装置は、図16に関連して記載するデータトランシーバヘッド530である。
【0047】
モジュール底板96には5つの円形開口111が形成される。各開口111は単一のドライバ/信号ピンアセンブリ112を収容する(図5に最もよく示す)。各ドライバ/信号ピンアセンブリ112は、モジュール板96を貫通して延びる銅コアピン113を含む。ピン113は、開口111の周囲に着座する円形ブシュ114の中心開口を貫通して延びる。ブシュ114は冷間圧延鋼から形成される。円形ガラスシール115はブシュ114の中心開口にピン113を保持する。
【0048】
長いクリップコネクタ116が各ピン113の露出端上に被嵌される。長いクリップコネクタ116は、電池42および巻線86a〜86cとワイヤ接続されるモジュール構成部品である。本発明の一部のバージョンでは、長いクリップコネクタ116の1つ以上は除去される。
【0049】
5つのドライバ/信号ピンアセンブリ112が制御モジュール40に装着される。ピンアセンブリ112のうちの2つは、電池42との正負接続が行なわれる導電経路として働く。残りの3つのピンアセンブリ112は、電動機巻線86a、86b、および86cとの別々の接続が行なわれる導電経路として機能する。
【0050】
矩形の装着板119(図3Bおよび3Cが最も分かりやすい)は、後板98から前方に、かつ制御モジュール40の底部で前板92を貫通して側方に延びる。装着板119は、下記から明らかになる理由のため、優れた熱伝導性を有する材料から形成される。1つのそのような材料はニッケル200である。装着板119の近位端は、底板98の開口108の下に形成された矩形スロット120内に着座する。装着板119の遠位端は、前板92に形成された同様の矩形スロット(スロットは同定せず)を貫通してその前方に延びる。装着板119は、遠位端部121が前板92の遠位前方に配置されるように寸法決めされる。
【0051】
本発明の制御モジュール40では、FET82a〜82cおよび84a〜84cが装着板119の両面に配置される。回路基板64の底端は、板119の頂面の隣接表面上に配置されて、それに固定される。制御モジュール40がハンドル38に嵌合される場合、板の遠位端部121は、モジュールが着座する空間を画定する器具ハウジング32の隣接内壁に当接する。板119はFET82a〜82cおよび84a〜84c用の装着面として働き、かつ器具ハウジング32と物理的に接触するので、板はFET用の複合装着面兼ヒートシンクとして働く。装着板119の遠位端部121はさらに、制御モジュール40の前端が器具ハウジング32の内壁に押し付けられるのを防止するために、スペーサとして機能する。
【0052】
装着板119はまた、回路基板64用の支持部材としても働く。制御モジュール40の組立て中に、ローサイドFET84a〜84cへのリードは通常、(超音波により)プリント回路基板64にワイヤボンディングされる。動作中に、装着板119は、プリント回路基板64の振動を防止する裏当て部材として機能する。
【0053】
略円筒状インサート122は、前板92の頂部から側方に内向きに延びる。インサート122は前板92に形成された穴に着座する(穴は区別せず)。インサート122には、インサートの露出面から内向きに延びる閉端ねじ付き穴123(仮想線で示す)が形成される。制御モジュール40が器具ハウジング32に着座すると、穴123に嵌合されたファスナ(図示せず)はモジュールを適位置に保持する。
【0054】
図3Cによって示される通り、インサート122は装着板119の遠端部121と同様に、前板92の遠位前方にわずかな距離だけ突出する。したがって、インサート122は装着板119と同様に、モジュール前板92が器具ハウジング32の隣接内壁と当接するのを防止するために、スペーサとして機能する。
【0055】
インサート122はさらに、平坦な表面124を有するように形成される。表面124は、制御モジュール40の長手軸と共平面である。インサート122と一体化した支柱125は、表面124から離れるように突出する。制御モジュール40が組み立てられるときに、プリント回路基板64はインサート表面124上に配置される。インサート122はしたがって、プリント回路基板64を制御モジュール40内に保持するための装着ブラケットとして働く。支柱125は回路基板64の開口内を延びる(開口は区別せず)。回路基板64を押圧する支柱125上に配置されたロックピンリテーナ(図示せず)は、回路基板を支柱に保持する。本発明の一部のバージョンでは、リテーナの機能ははんだ接続によって達成される。
【0056】
制御モジュール40は、回路基板64を支持する2つの追加タブ126および127を有する。タブ126は前板92の内側の2つの開口107の間に装着される。タブ127は、頂板94および後板98の接合によって形成される隅に配置される。タブ126および127の両方に支柱130が設けられ、該支柱上に回路基板64が取り付けられ、かつ該支柱に回路基板固定ファスナが取り付けられる。代替的に、回路基板はタブ126および127にはんだ付けされる。
【0057】
プッシュパッド131が頂板96に隣接する後板98の外面に装着される。外科用器具30が組み立てられるときに、制御モジュール40の位置決めを容易にするために、止めねじ(図示せず)が器具ハウジング32からプッシュパッド131に押し当てるように延びる。プッシュパッド131は、止めねじによって掛けられる力を分散する補強部材として働く。
【0058】
タブ99は、後板98から外向きに直角に延びる。タブ99は隣接する底板96である。タブ99には開口(同定せず)が形成される。タブ99は、コンソールをハンドル38に保持するために使用されるファスナ(図示せず)を受け止めるためのブラケットとして働く。
【0059】
図4Bは、センサ74および76、つまり電動機34の動作を監視するセンサが、プリント回路基板64にどのように装着されるかを示す。センサ74、つまり一次センサは、回路基板64の頂部に形成された切欠き132に装着される。センサ74は切欠き132に緊密に着座する。この構成は、器具30が極度の機械的衝撃にさらされた場合、例えば落下した場合に、機械的モーメントがセンサ74を電動機34に対して相対的に偏移させる可能性を最小化する。センサ74を適位置に固締することにより、センサによって生成される信号が電動機回転子の位置を正確に表わすことが確保される。
【0060】
本発明の一部のバージョンでは、個々のセンサ74および76を受容するために、個々のポケット、凹部が頂板94に形成される。これらのポケットは、頂板を形成するワークピースの半剪断パンチングによって形成することができる。制御モジュールの組立て中に、各センサ74および76は適切なポケットに着座する。ポケットは個々のセンサが着座するネストとして機能する。ポケットの空所はまた、センサが単に頂板94の内側の平坦な表面に当接配置されただけの場合より、センサを電動機回転子の近くに配置させる。
【0061】
センサ76は、センサ74と側方に整列しかつ縦方向にセンサ74から離して配置されるように、プリント回路基板64に装着される。本発明の一部のバージョンでは、センサ76と一体化したセンサリード133(1つのリードを図示する)は、2つのセンサ74および76が回路基板64の平面および長手軸の両方に対して直角に一列に並ぶように、センサ76を回路基板64の上に保持する装着支柱としての2次機能を果たす。下で明らかになる理由から、センサ76の小さい位置の偏移は、外科用器具30の動作に悪影響を及ぼさない。
【0062】
FET82a〜82cおよび84a〜84cがどのように装着板119に固定されるかの詳細な説明を、ここで図5を参照することによって提供する。上述の通り、装着板119は、FET82a〜82cおよび84a〜84c用の支持構造、ならびにこれらおよび特定の他の構成部品によって生成される熱エネルギ用のヒートシンクの両方として機能する。銅/モリブデンラミネート構造138aおよび138bがそれぞれ、板119の頂面および底面に接合される。絶縁層140aおよび140bが、それぞれ銅/モリブデン層138aおよび138b上に配置される。実際には、銅/モリブデン層139aおよび139bは層140aおよび140bそれぞれの面に接合され、それらは銅モリブデン層138aおよび138bに接合される。これは、銅−モリブデンラミネート139aまたは139bが装着板119の各銅/モリブデンラミネート層138aまたは138bにはんだ付け、ろう付け、または他の方法で固定されることを意味する。これは、装着板119のインタフェース構成要素ならびに絶縁層140aおよび140bが同一熱膨張係数を有することを確実にする。
【0063】
銅/モリブデンラミネートトレース層142は、絶縁層140aの露出面に適用される。ハイサイドFET82a、82b、および82cは絶縁層140aの露出面に取り付けられる。ワイヤ143およびFETリード83は、FET82a、82b、および82cと個々のトレースとの間の電気的接続を確立する。L字状ブラケット144(1つを図示)は、絶縁層140aの上端、モジュール頂板94に向けられた端部で、層142のトレース上に装着される。ブラケット144は、回路基板64のトレースを層142のトレースに電気接続するワイヤが接続された構造要素である(ワイヤ接続は図示せず)。L字状ブラケット145(1つを図示)は、絶縁層140aの底端、モジュール底板96に隣接する端部で、層142のトレース上に装着される。ブラケット145は、信号がそれを介してドライバ/信号ピンアセンブリピン113と交換される導電性構成部品である。
【0064】
1組のフィルタコンデンサ150(1つを図示)もまた、層142のトレース上に配置される。フィルタコンデンサ150は、電池42からの出力信号からAC成分を除去する。フィルタコンデンサ150は、これもまたセラミック材から形成される共通絶縁層148上に配置される。銅−モリブデントレース層147および149はそれぞれ、絶縁層148の上面および下面に配置される。下層147のトレースは層142の物理的に隣接するトレースとの電気接続を確立する。上層149のトレースは、コンデンサ150との電気接続を提供する。層147および149のトレースを接続する絶縁層148のビアは図示されていない。
【0065】
絶縁層140bの露出面、図5Aで蓋104に向けられた面には、銅モリブデントレース層152が設けられる。ローサイドFET84a、84b、および84cは、絶縁層140bの露出面および層152のトレース上に配置される。導線153はFET84a〜84cと層152のトレースとの間の接続を確立する。本発明の一部のバージョンでは、複数の導線153が、FETソースである各FET84a〜84cの露出面から、層152の隣接トレースに延びる。複数の導線153がFET84a〜84cのための共通グランド面を確立する。
【0066】
絶縁層140bの露出面、および層152の導電性トレース上には、電流感知FET336a、336b、および336c(1つを図示)も装着される。ワイヤ154は電流感知FET336a〜336cのリードを層152のトレースに接続する。L字状ブラケット154(1つを図示)は、絶縁層140bの底端で層152のトレース上に配置される。ブラケット154は、それを介して信号がドライバ/信号ピンアセンブリピン113と交換される導電性構成部品である。
【0067】
銅モリブデン層138bおよび139b、絶縁層140b、トレース、ならびにトレース層152は、装着板119の頂端まで延在しない。代わりに、板119の下面、蓋104に向けられた面の頂端は露出する。制御モジュール40の組立て中に、回路基板64の底端は板119のこの露出面上に配置される。板119のこの端部には2つの装着ピン156(1つを図示)が設けられる。プリント回路基板64が板119上に配置されたときに、ピン156は回路基板に形成された開口内に着座する(開口は同定せず)。回路基板64上およびピン156の周囲に取り付けられたロックピンリテーナ157(1つを図示)は、回路基板を適位置に保持する。本発明の一部のバージョンでは、回路基板64をピン156に固定するためにはんだが使用される。これにより、リテーナを提供する必要性が排除される。
【0068】
U字状コネクタブラケット160は各ドライバ/信号ピンアセンブリピン113上に装着される。図5の断面図に示されているのは、ブラケット160のセンタウェブに形成された開口であり、その中にピン113が圧入されるか、他の方法で導通固定される(開口は同定せず)。ブラケット160は、対向する平行な上方に延びる脚161を有するように形成される。脚161のうちの第1の脚はトレース層142の上に延び、フィルタコンデンサ150の1つの近くで終端する。各ブラケットの反対側の脚161は、トレース層152上に延びる。
【0069】
相隔たる2列のピン113およびブラケット160は、上の列または下の列のいずれかの導電接続ピン113を確立するために、各ブラケット160を使用することができるように形成される。したがって、図5の断面図に示すブラケット160は、180°から回転して、図で2つのピンのうちの上の方にあるピンの上に配置することができ、そうするとその脚161は適切に配置される。
【0070】
各脚161の自由端には中心開口162が形成される(図3D)。制御モジュール40が組み立てられるときに、トレース層142上に配設された各脚の開口162は、ブラケット145のうちの隣接する1つの上に着座する。トレース層152上に配設された各脚の開口162は、ブラケット154のうちの隣接する1つの上に着座する。
【0071】
C.電気的特徴
図6A〜6Eは、電動機34の作動を調整する制御モジュール40内部の回路を示す。一般的に、センサ66〜76によって生成される信号は、プロセッサに、図6Aではデジタル信号プロセッサ(DSP)170に印加される。センサ66および70によって生成される信号に基づいて、DSP170は選択的に回路を電力節約「スリープ」モードから「アクティブ」モードに移行させ、回路は電動機34を付勢する。センサ68および72によって生成される信号に基づいて、DSP170は、電動機34が動作する速度および方向の両方を示す出力信号を生成する。センサ74および76は、電動機回転子78の位置を表わす基本的信号を生成する。DSP170はこれらの信号に基づいて、回転子の位置を示す追加信号を生成する。
【0072】
DSP170によって生成される速度および方向指示信号ならびに電動機回転子位置信号は、電動機制御チップ(MCC)172に印加される。MCC172はDSP生成信号に基づいて、電力FET82a〜82cおよび84a〜84cを選択的にゲーティングする。MCC172はまた電動機34によって引き出される電流を監視する。MCC172による電動機34の作動はさらに、それが動作する速度およびそれが引き出す電流に基づく。
【0073】
さらに詳しくは、制御モジュール40の内部には2つの電圧調整器174および176もある。第1の電圧調整器、調整器174はデジタルVdd信号およびアナログVdda信号を出力し、それらはモジュール40内部の他の構成部品に供給される。本発明の1バージョンでは、VddおよびVdda信号の公称レベルは3.3ボルトである。電圧調整器174は、ハンドピース30のスリープまたは活動状態に関係なく、VddおよびVdda信号を連続的に出力する。電圧調整器176は、モジュール40内部の他の構成部品に印加されるVcc信号を出力する。本発明の1バージョンでは、Vcc信号は12ボルトである。電圧調整器176は通常、作動停止状態である。電圧調整器176がこの作動停止状態のときに、制御回路全体がスリープモードである。ハンドピース30を作動させるためにトリガスイッチ46または47の1つが押されたときにだけ、電圧調整器176は活動状態に移行する。この移行の結果、制御回路全体がスリープモードから活動モードに移行する。
【0074】
電池42の正極は、電圧調整器174および176両方に接続される。本発明の図示されたバージョンでは、電池正極は順方向バイアスダイオード177に接続される。ダイオード177のカソードは2つの平行な接続された抵抗器178および180に接続される。抵抗器178および180の反対側の接合部に存在する信号は、電圧調整器174および176の両方にVin信号として印加される。本発明の一部のバージョンでは、単一の抵抗器は抵抗器178および180の機能を実行する。適用例では、電池42の正極に存在する電圧はBATT+信号である。
【0075】
本発明の1バージョンでは、カリフォルニア州ミルピタスのLinear Technology Corporationから市販されているLT1765EFE−3.33Amp 1.25MHzステップダウンスイッチングレギュレータが、電圧調整器174として使用される。コンデンサ182はこの電圧調整器174のVin入力とグランドとの間に結合される。コンデンサ184および直列接続された抵抗器186は、電圧調整器174のVcピンとグランドとの間に結合される。コンデンサ188はコンデンサ184および抵抗器186をまたいで結合される。電圧調整器174のピンのグランドに対する他のグランド接続については特に記載しない。
【0076】
電圧調整器174からの出力電圧はVswピンから得られる。該出力信号はインダクタ190に印加される。電圧調整器174から遠位のインダクタ190の端部に存在する電圧はVdd電圧である。インダクタ190の遠位端に存在する電圧は、順方向バイアスダイオード192を介して電圧調整器のブーストピンに印加される。コンデンサ194は、電圧調整器174のVswピンとダイオード192のカソードとの間に結合される。整流ダイオード196は、グランドと電圧調整器174のVswピンとの間に順方向バイアス接続される。インダクタ198はインダクタ190の遠位端に接続される。電圧調整器174の遠位のインダクタ198の端部に存在する電圧はVdda電圧である。コンデンサ202はインダクタ190および198の接合部とグランドとの間に接続される。インダクタ190および198の接合部に存在する電圧、Vdd電圧は、フィードバック電圧として電圧調整器174に印加される。
【0077】
本発明の1バージョンでは、同じくLinear Technologiesから市販されているLT3436 3Amp 800kHzステップアップスイッチングレギュレータは、電圧調整器176として使用される。コンデンサ206はグランドと電圧調整器176のVinピンとの間に結合される。電圧抑制ダイオード208もグランドと電圧調整器176のVinピンとの間に結合される。ダイオード208は、過渡電圧が電圧調整器174および176の両方のVinピンに印加されることを防止する。コンデンサ209および直列接続された抵抗器210は、電圧調整器176のVccピンとグランドとの間に接続される。コンデンサ212はコンデンサ208および抵抗器210をまたいで結合される。電圧調整器176のピンへの他のグランド接続については論じない。
【0078】
電圧調整器176の出力電圧は、Vswピンの信号に基づく。この信号は、コンデンサ214および直列接続された順方向バイアスダイオード216に印加される。ダイオード216のカソードに存在する信号はVcc信号である。ダイオード216のカソードとグランドとの間に接続されたコンデンサ217は、Vcc信号からAC成分を除去する。電圧調整器176のVinピンに印加された信号は、インダクタ218を介して電圧調整器のVswピンに印加される。コンデンサ214およびダイオード216の接合部に存在する信号は、インダクタ220を介してグランドに結合される。ダイオード216のカソードに存在する信号は、直列接続された抵抗器222および224からなる分圧器を介して、グランドに印加される。抵抗器222および224の接合部に存在する電圧は、電圧調整器176のフィードバックピンに印加される。
【0079】
代替的電圧調整器176として、National Semiconductorから入手可能なLM3478MMがある。この電圧調整器は、インダクタ220をグランドに選択的に結合するために別個の外部FET(図示せず)を必要とする。
【0080】
DSP170からのAWAKE信号デジタル信号は、電圧調整器176に選択的に印加される。ハイにアサートされたAWAKE信号は、電圧調整器のSHDNピンに印加される。AWAKE信号のアサーションにより電圧調整器176は作動する。AWAKE信号のネゲーションは、電圧調整器176にVcc信号の出力を停止させる。
【0081】
センサ66および70は各々、関連する磁石56および58それぞれの近接性の関数として、バイステートデジタル信号を出力する。本発明の1つの好ましいバージョンでは、マサチューセッツ州ワーチェスタのAllegro Microsystemsから入手可能なA3213LUAホール効果スイッチが、センサ66および70として機能する。Vdd信号は各センサ66および70の電源ピンに印加される。各センサ66および70のグランドピンはグランドに結合される。センサ66および70の出力ピンは、DSP170の共通入力ピンに結合される。本発明の一部のバージョンでは、これらの出力ピンはDSP170の別々の入力ピンに結合される。
【0082】
センサ68および72は各々、関連する磁石56および58それぞれの近接性の関数として、アナログ信号を出力する。本発明の1バージョンでは、イリノイ州フリーポートのHoneywell Sensing and Controlから入手可能なSS495Aレシオメトリックリニア(Ratiometric Linear)(ホール)センサが、センサ68および72として使用される。5ボルト信号が各センサ68および72のVs電源ピンに印加される。各センサ68および72のVピンはグランドに結合される。センサ68および72からの出力信号は、DSP170の別々のアナログ信号入力ピンに印加される。センサ68または72からの各出力信号は、別個の抵抗器230を介してDSP170に印加される。コンデンサ232は、DSP170に隣接する各抵抗器230の端部とグランドとの間に結合される。ツェナダイオード233もまた、各センサ68および72の出力ピンとグランド、DSP170に向けられたカソードとの間に結合される。ツェナダイオード233は、センサ68および72によって放射される高電圧信号からDSP170を保護する。これらの高電圧信号は、センサが逆極性磁界にさらされたときに生成される。
【0083】
センサ74はセンサ68および72と同一である。センサ74のVsピンは5ボルト電圧電源に結合される。Vピンはグランドに結合される。センサ74の出力信号は、抵抗器234を介して増幅器236の反転入力に印加される。コンデンサ238は増幅器236の反転入力とグランドとの間に結合される。増幅器236へのフィードバックは、増幅器の出力と反転入力との間に結合された抵抗器240によって供給される。基準信号は増幅器236の非反転入力に印加される。本発明の図示したバージョンでは、基準信号は、直列接続された抵抗器242および244からなる分圧器の中心から供給される信号である。抵抗器242の自由端は5ボルト電源に接続される。抵抗器244の自由端はグランドに結合される。抵抗器242および244は、基準電圧が通常1.5ボルトと3.0ボルトとの間となるように選択される。増幅器236によって生成される出力信号は、DSP170のアナログ入力に印加される。
【0084】
本発明の図示したバージョンでは、センサ76はセンサ74と同一である。センサ76からの出力信号は、抵抗器246を介して増幅器248の反転入力に印加される。コンデンサ250は増幅器248の反転入力とグランドとの間に結合される。増幅器248の出力と反転入力との間に結合された抵抗器252は、フィードバックを供給する。増幅器236の非反転入力に印加された基準信号は、増幅器248の非反転入力に供給される。増幅器248によって生成された出力信号は、DSP170の区別されるアナログ入力に印加される。
【0085】
本発明の1バージョンでは、増幅器236および248は両方とも、カリフォルニア州サニーベールのMaxim Companyから入手可能なMAX4247超小型レールツーレール(Rail−to−Rail)I/O、ディセーブル機能付き、シングルまた
はデュアル電源低電力演算増幅器から形成される。Vdd信号が各増幅器236および248に印加される部分は図示されない。また、コンデンサ(図示せず)は増幅器236のVddピンとグランドとの間に結合される。National Semiconductorから入手可能なLMV982増幅器も増幅器236および248として使用することができる。
【0086】
増幅器236および248は各々、起動信号が選択的に印加されるSHDNピンを有する。DSP170からのAWAKE信号は、増幅器236および248のオン/オフ状態を調整するために、選択的にSHDNピンに印加される。
【0087】
本発明の1バージョンでは、アリゾナ州チャンドラーのFreescale SemiconductorからのMC56F8322 16ビットハイブリッドコントローラが、DSP170として使用される。DSP170はVddおよびVdda信号によって付勢される。DSP170に印加されるVddおよびVdda信号をフィルタリングするコンデンサは図示されない。DSP170はセンサ66〜76から上記5つの信号を入力として受け取る。DSP170はまた、電池42からのフィルタリングされた電圧を監視する。特にBATT+信号は、直列接続された抵抗器258および260からなる分圧器を介して、DSP170のアナログ入力ピンに印加される。BATT+信号は抵抗器258の自由端に印加される。抵抗器260の自由端はグランドに結合される。コンデンサ262は抵抗器260をまたいで結合される。抵抗器258および260の接合部に存在する電圧は、DSP170のアナログ入力ピンに印加される。したがってコンデンサ260は、監視のためにDSP170に印加される前に、分割されたBATT+信号をフィルタリングする。
【0088】
DSP170はまた、電動機34が過剰量の電流を引き出したときに、入力としてMCC172から指標を受け取る。特に、MCC172は、電動機34によって引き出される電流が設定量を超えたときに、DSP170に最大電流(I_LMT)信号を生成する。
【0089】
DSP170は5つの信号を出力する。第1の信号出力はAWAKE信号である。DSP170がセンサ66またはセンサ70のいずれか1つから、該センサに関連する磁石56または58それぞれが最も遠位の位置から近位側に変位したという信号を受け取ったときに、AWAKE信号はアサートされる。この信号は、関連するトリガスイッチ46または47を押してハンドピース30を作動させることを表わす。
【0090】
DSP170によって出力される第2および第3の信号は、それぞれFORWARD(FWD)およびREVERSE(REV)信号である。これらの信号は、センサ68および72によって生成される出力信号の関数として出力される。一般的に、トリガスイッチ46または47の別々の1つの作動の結果、FORWARDまたはREVERSE信号の別々の1つが出力される。FORWARDおよびREVERSE信号はMCC172に印加される。
【0091】
しかし、下で説明する通り、FORWARDまたはREVERSE信号のうちの特定の1つを出力させるために押されるトリガスイッチ46または47の間に定まった関係は無い。ハンドピース30がどのように選択的に構成されるかによって、トリガスイッチ46または47のどちらか1つを押すと、FORWARD信号が出力される。同様に、ハンドピース30の暫定的構成に基づいて、REVERSE信号をアサートさせるために、トリガスイッチ46または47のいずれかが押される。ハンドピースの構成によっては、両方のトリガスイッチ46および47を同時に押すことにより、FORWARDおよびREVERSE信号の同時アサーションを生じることができる。ハンドピース30はさらに、トリガスイッチ46または47のうちの1つを押すことによりFORWARDおよびREVERESE信号が同時にアサートされるように、構成することができる。
【0092】
DSP170によって出力される第4の信号は1組のホール信号、図では電動機回転子78の角度位置を表わす信号を表わす、HALLx信号である。HALLx信号は、電動機34に装着された従来のデジタルホールセンサが回転子の位置を表わす信号を生成する場合に生成される信号と同等である。DSP170は通常、センサ74から受け取る信号の関数として、HALLx信号を出力する。始動時に、出力されるHALLx信号はさらに、センサ76によって出力される信号の関数である。HALLx信号はMCC172に印加される。
【0093】
DSP170によって出力される第5の信号はUSER_SPEED(U_S)信号である。USER_SPEED信号は、最も大きく十分に押し込まれたトリガスイッチ46または47それぞれに関連付けられる、センサ68または72から受け取る信号の関数として生成される。本発明の記載バージョンでは、USER_SPEED信号はアナログ信号である。センサ68または72からの信号に基づいてUSER_SPEED信号を生成するために、DSP170が実行するプロセスステップについては下で説明する。
【0094】
電動機制御回路172は特定用途向け集積回路である。一般的にMCC172は、FORWARD信号、REVERSE信号、USER_SPEED信号、およびHALLx信号の状態に基づいて、FET82a〜82cおよび84a〜84cをゲーティングして電動機34を適切に作動させるために必要な信号を生成する。MCC172内部の電動機制御サブ回路の詳細な理解は、2000年2月15日に発行された出願人の米国特許第6,025,683号「MOTOR CONTROL CIRCUIT FOR REGULATING A DC MOTOR」から得られ、その内容の全ては引用することによって本願明細書の一部をなすものとする。
【0095】
MCC172内部の多数のサブ回路の詳細な理解は米国特許第6,025,683号でもたらされるが、MCC172についての以下の理解は図6Bおよび図7を参照することによってもたらされる。
【0096】
MCC172内部の1つのサブ回路として、方向コントローラ270がある。方向コントローラ270は、DSP170からFORWARD信号およびREVERSE信号を受け取るMCC172のサブ回路である。FORWARD信号およびREVERSE信号の関数として、方向コントローラ270は選択的にFORWARDまたはREVERSE(F/R)信号をアサートする。DSP170からのFORWARD信号およびREVERSE信号が同時にアサートされた場合、方向コントローラ270はFORWARDまたはREVERSE信号を循環的にアサートおよびネゲートする。これは次に、回転子78が前後に振動するように、電動機34に付勢信号を印加させる。
【0097】
方向コントローラ270はFET272を含む。FET272のドレインは、オフチップ電流測定回路の一部である抵抗器344(図6D)に結合される。下述の通り、電流測定回路は、電動機34によって引き出される電流の関数として可変信号を生成する。FET272のソースはグランドに結合される。通常、方向コントローラ270はFET272をオン状態に維持する。電動機が発振器パターンで駆動されるとき、方向コントローラ270も周期的にFET272をゲートオフする。下述の通り、これは、電動機34によって引き出される電流を表わす信号の大きさを変化させる。
【0098】
タコメータ274もまたMCC172の内部にある。タコメータ274は入力信号としてHALLx信号をDSP170から受け取る。HALLx信号に基づいて、タコメータ274はタコメータ信号(TACH)として一定オンタイムパルスを生成する。パルスが生成される周波数は、電動機34の回転速度を表わす。
【0099】
MCC172はまた、速度コントローラ276をも含む。速度コントローラ276は入力としてUSER_SPEED信号およびTACH信号を受け取る。これらの信号に基づいて速度コントローラ276は、パルス幅変調SPEED_CONTROL(S_C)信号を生成する。特に、USER_SPEED信号はDSP170から、図6Bに示す抵抗器278を介して、速度コントローラ276に印加される。コンデンサ280は、USER_SPEED信号がそれを介して入力されるMCC172ピンとグランドとの間に結合される。
【0100】
速度コントローラ276内部には、図示しない演算増幅器がある。USER_SPEED信号はこの増幅器の非反転入力に印加される。TACH信号は増幅器の反転入力に印加される。この信号はオフチップ抵抗器282を介して増幅器に印加される。この増幅器の出力信号もまたフィードバック信号として増幅器の反転入力に印加される。この信号は抵抗器284を介してフィードバックされる。コンデンサ286は抵抗器284をまたいで結合される。DC電圧もまた、速度コントローラの演算増幅器の反転入力に印加される。この電圧は直列接続された抵抗器288および290からなる分圧器から引き出される。抵抗器288の自由端は5ボルト電源に接続される。抵抗器290の自由端はグランドに接続される。抵抗器288および290の接合部に存在する電圧は、抵抗器292を介して速度コントローラの増幅器の反転入力に印加される。この増幅器および速度コントローラ276の他の構成部品は協働して、SPEED_CONTROL(S_C)信号を生成する。SPEED_CONTROL信号はパルス幅変調信号である。SPEED_CONTROL信号のオンデュティサイクルは、電動機34のユーザ選択速度と測定速度との間の差に比例する。
【0101】
速度コントローラ276はまた、デジタルBRAKE_ENABLE(B_E)信号をも選択的にアサートする。電動機回転子78がユーザ所望速度よりかなり大きい速度で回転していることを演算増幅器からの出力信号が示すときには必ず、BRAKE_ENABLE信号がアサートされる。
【0102】
図7では、BRAKE_ENABLE信号は、電動機駆動回路298に直接印加されるように示される。これは分かり易くするためである。実際には、BRAKE_ENABLE信号は方向コントローラ270に印加され得る。方向コントローラ270は、BRAKE_ENABLE信号を電動機駆動回路298にアサートする実際のサブ回路として働く。この構成は、電動機34が振動モードで駆動されるときに、方向コントローラ270がBRAKE_ENABLE信号を循環的にアサートすることを可能にする。これは、電動機34が振動するときに、器具の振動を低減する。
【0103】
再びMCC172の一部である電流モニタ296は、電動機34によって引き出される電流を監視する。電流モニタ296は基本的に比較器である。電流制限が設定限度を超えると、電流モニタ296は電流制限(I_LMT)信号をアサートする。このI_LMT信号はDSP170にアサートされる信号である。
【0104】
同じくMCC172と一体化した電動機駆動回路298は、FET82a〜82cおよび84a〜84cをゲーティングする基本トリガ信号をアサートする。電動機駆動回路298は入力信号として、S_C信号、F/R信号、BRAKE_ENABLE信号、HALLx信号、およびI_LMT信号を受け取る。これらの信号に基づいて、電動機駆動回路298は、3つ(3)のハイ駆動H_D信号および3つ(3)のロー駆動L_D信号をアサートする。H_D信号はアサートされると、FET82a〜82c、つまり巻線86a〜86cそれぞれをBATT+電圧に結合するFETを個別にゲーティングする。L_D信号はアサートされると、FET84a〜84c、つまり巻線86a〜86cそれぞれをBATT−グランドに結合するFETを個別にゲーティングする。
【0105】
電動機制御回路172はまた、ハイサイドドライバ302およびローサイドドライバ304をも含む。各H_D信号は、集合的に単一のブロックとして示すハイサイドドライバ302のうちの特定の1つに印加される。各ハイサイドドライバ302は、関連するH_D信号の受信に応答して、FET82a、82b、または82cのうちの関連する1つのゲートにハイサイド制御(Hx)信号をアサートする。各Hxハイサイド制御信号は、区別される導線308を介して関連するFET82a、82b、または82cに印加される。
【0106】
各FET82a、82b、または82cそれぞれに印加される実際のH1、H2、またはH3信号は、抵抗器315を介してFETのゲートに印加される。各FET82a〜82cのドレインは電池42のBATT+端子に結合される。各FET82a、82b、および82cのソースは、巻線86a、86b、および86cのうちの別々の1つに結合される。
【0107】
フライバック回路からのブースト信号はFET82a、82b、および82cのゲートに印加され、それらが相補型ソースに対して順方向にバイアスされることを確実にする。各フライバック回路は、Vcc信号が印加されるダイオード310からなる。この信号はコンデンサ312に印加される。コンデンサの反対側の端は、関連するFET82xが取り付けられた巻線に結合される。図6B、6C、および6Dで、M1、M2、M3導線は、それぞれ巻線86a、86b、および86cに延びるように図示されている。ツェナダイオード314は、各Hx線と関連するMx線との間に逆方向バイアス接続される。
【0108】
フライバック回路の一部であり、ハイサイド駆動回路302に含まれるブースト回路は、ブーストされたゲート信号の出力をトリガする。特に、各巻線86a、86b、または86cがグランドに結合されたときに、関連するコンデンサ312に電荷が蓄積される。コンデンサ312はCFLYx接続を介してハイサイド回路302に接続されることが、さらに観察される。ハイサイド駆動回路内部のブースト回路は、コンデンサからの電流を調整するための図示しないFETを含む。Mx線の信号は、ブースト回路用の基準信号として働く。巻線がBATT+端子に結合されると、コンデンサ312の電荷がCFLYx接続を介して印加され、ブースト回路FETをオンにする。このブースト信号は次いで、Hx線で適切なFET82a、82b、または82cのゲートに出力される。ダイオード314は、ゲート−ソース間電圧が特定のレベルを超えた場合に、関連するFET82a、82b、または82cのバーンアウトを防止する。本発明の1バージョンでは、これは15ボルトである。これは、回転子が失速することにより起こり得るFETのバーンアウトを防止する。この状況で、巻線に逆EMF信号は存在しない。この状況で、FET82xのソースに存在する電圧はゼロ近くまで降下することがある。
【0109】
各L_D信号は、集合的に単一のブロックとして示すローサイドドライバ304のうちの特定の1つに印加される。L_D信号がローサイドドライバ304に印加されると、ドライバ304はローサイド制御信号(Lx)を関連するFET84a、84b、または84cのゲートにアサートする。各ローサイドドライバ304は、図示しない1対の直列接続されたオフチップFETを含む。該FETのうちの第1FETのドレインはVdd電圧源に結合される。第2FETのソースはオフチップケルビングランド318(KGNDで表わされる導線)に結合される。第1FETのソースと第2FETのドレインとの接合部に存在する信号はLxローサイド制御信号である。巻線86a〜86cをグランドに結合するFET84a〜84cのソースもまた、導線320によってケルビングランドに接続される。
【0110】
各ローサイドドライバ304によってアサートされるLx信号は、抵抗器321を介して、FET84a、84b、または84cのうちの別々の1つのゲートに印加される。各FET84a、84b、および84cのドレインはそれぞれ別々の巻線86a、86b、および86cに結合される。FET84a〜84cのソースはBATT−ピン、つまり電池42の負極が接続される端子に結合される。
【0111】
また、MCC172の内部にはバンドギャップ回路322もある。バンドギャップ回路322は、MCC172内部の構成部品用の温度非依存定電圧源および定電流源として機能する。
【0112】
図示されていないが、MCCは5ボルトの調整電圧源を有することを理解されたい。この電圧源は、接続は図示されないが、センサ68、72、74、および76を含め、制御モジュール40内部の他の構成部品用の5ボルト電力電源として機能する。電圧調整器からの出力信号は、図6Bに示す直列接続された抵抗器324、326、および328を介してグランドに印加される。抵抗器324および326の接合部に存在する電圧は、BRAKE_ENABLE信号のアサーションのベースとなるブレーキ基準(BRK_REF)信号として速度コントローラ276に印加される。抵抗器326および328の接合部に存在する電圧は、I_LMT信号のアサーションのベースとなる基準(I_REF)信
号として、電流モニタ296に印加される。
【0113】
コンデンサ329は、抵抗器324、326、および328、ならびにグランドと並列である。抵抗器324およびコンデンサ329の接合部に存在する電圧は、フィルタリングされ電圧調整された5ボルト基準信号である。
【0114】
上記回路のより詳細な理解は、上述し参照によって組み込まれる米国特許第6,025,683号に提示されている。この文書に開示された回路では、バンドギャップレギュレータも5ボルトの調整電力電源として機能する。
【0115】
MCC172は、電圧調整器176によって生成されるVcc信号によって付勢される。Vcc信号は、MCC172の別々のVccおよびDRVccピンに印加される。コンデンサ330はVccピンとグランドとの間に結合される。MCC172の相補型アナロググランドピンはコンデンサ330のグランドに結合される。コンデンサ332はDRVccピンとグランドとの間に結合される。MCC172の相補型デジタルグランドピンは、コンデンサ332のグランドに結合される。Vcc信号は、抵抗器333を介してMCC172のVmmピンにも印加される。
【0116】
上述の通り、制御モジュール40は、電動機34によって引き出される電流を監視するための回路をも含む。該回路は3つのFET336a、336b、および336cを含む。各FET336a、336b、および336cのドレインはそれぞれ、電動機巻線86a、86b、および86cの別々の1つに結合される。各FET84a、84b、または84cそれぞれのゲートに印加されたL1、L2、またはL3ローサイド制御信号はそれぞれ、相補型FET336a、336b、または336cのゲートに印加される。したがって、FET84a、84b、または84cがオンになるたびに、相補型FET336a、336b、または336cはそれぞれ同様にオンになる。
【0117】
FET336a〜336cのソースは、共通の抵抗器338に接続される。抵抗器338の自由端は抵抗器340を介してグランドに結合される。抵抗器338および340の接合部に存在する電圧は、電動機34によって引き出される電流を表わすMTR_I信号としてMCC電流モニタ296に印加される。抵抗器340をまたいで接続されるコンデンサ342はこの信号をフィルタリングする。
【0118】
抵抗器344はまた、抵抗器338および340の接合部の一端にも接続される。抵抗器344の第2端は、FET272のドレインに接続される。通常、FET272がゲートオンされるときに、抵抗器338を横切る信号は抵抗器340および344の並列経路を介してグランドに流れる。したがって、通常、MTR_I信号は比較的低いボルトまたは電流比に基づく。
【0119】
電動機34が振動モードで駆動されるときに、方向コントローラ270は、FORWARD/REVERSEがトグルされた後の初期期間中、FET272をゲートオフする。これは、抵抗器344を電流測定回路から効果的に切断する。MTR_I信号は次いで比較的高いボルトまたは電流比に基づく。これは次に、電流モニタ296にI_LMT信号を、それ以外の場合にアサートされるより迅速にアサートさせる。I_LMT信号の迅速なアサーションは次に、付勢信号を電動機34に印加する頻度を低下させる。これは初期の電動機の加速度を低減する。電動機加速度の低減は次に、ハンドピース30が初期に生成する逆トルクを低減させる。この「逆トルク」は、電動機が第1方向に回転する結果生じるハンドピースのトルクと逆のトルクである。逆トルクの最小化により、電動機が第1方向から第2方向に回転をシフトするときにハンドピースユーザの手に生じる蹴りが低減される。
【0120】
D.器具の動作
本発明の外科用器具30の動作について、ここで、図8A〜8Dのフローチャートを参照しながら説明する。ハンドピース30の作動の前に、ステップ360で、DSP170に、各トリガスイッチ46および47が生成するコマンド信号を識別する命令が提供される。例えば、外科医の選好に基づいて、トリガスイッチ46または47のいずれかが、ハンドピース電動機を順方向に動作させるために押されるスイッチとなるように設定される。残りのトリガスイッチ47または46は、スイッチを逆方向に動作させるために押されるスイッチとなるように設定される。
【0121】
代替的なトリガスイッチ設定が可能である。例えば1つのトリガスイッチ46または47は、それを押すことにより電動機が順方向に動作するように設定することができ、第2のトリガスイッチ47または46は、それを押すことにより電動機が振動パターンを実行するように設定される。さらに別の構成では、ハンドピース30は、トリガスイッチ46または47のいずれか一方を押すと、電動機が順方向に動作するように設定される。下述の通り、ハンドピースは、スイッチ46を完全に押すことにより電動機34が第1速度で動作し、スイッチ47を完全に押すと電動機34が第2速度で動作するように設定することができる。別の代替的構成では、ハンドピース30は、1つのトリガスイッチ46または47を押すと電動機が順方向または逆方向に動作するように設定される。この構成では、第2のトリガ47または46スイッチは非活動状態に設定され、このスイッチを押しても、ハンドピースの電動機34は作動しない。
【0122】
したがって、ステップ360は、特定のトリガスイッチ46または47が押されたことを検出したときに、FORWARD、REVERSE、またはこの2つの間の振動のどの信号をDSPが生成すべきであるかを示す命令をDSP170にロードする。
【0123】
ハンドピース30の動作の前に、ステップ362で、DSP170には、特定のトリガスイッチ46または47が押込まれた程度の関数として生成されるUSER_SPEED信号の範囲を示す命令もロードされる。この範囲は、外科医の選好、ハンドピースに取り付けられる切削アクセサリのタイプ、および実行される外科的処置のタイプのような変数の関数である。例えば、1外科医の選好に基づいて、トリガスイッチは、トリガスイッチ46が電動機を逆方向に動作させるために押されるスイッチとなり、該スイッチが完全に押し込まれたときに、電動機が25,000RPMの最大速度で動作するように設定することができる。同じ外科医は、トリガスイッチ47を完全に押し込むと電動機34が逆方向に動作し、そのように作動したときに電動機が動作する最大速度が15,000RPMとなるように、DSP170を設定する。
【0124】
第2の外科医は、トリガスイッチ46または47のいずれかを押すと電動機が順方向に動作するように、DSP170を設定する。この外科医は、さらに詳しくは、トリガスイッチ46が完全に押し込まれたときに電動機が30,000RPMの最大速度で動作し、トリガスイッチ47が完全に押し込まれたときに電動機が7,500RPMの最大速度で動作するように、ハンドピース30を設定する。
【0125】
また、ステップ362の一部として、電動機34が動作する最小速度も作動させることができる。したがって外科医は、トリガスイッチ46または47の1つが作動したときに、電動機が5,000から25,000RPMの間の速度で順方向に動作するように、ハンドピースを設定することができる。第2のトリガスイッチ47または46が押し込まれたときに、電動機34は10,000から13,000RPMの間の速度で順方向に動作する。
【0126】
ステップ360および362は、特定の外科医が、DSP170に前もって格納されたデフォルト設定によって定義されるモードとは異なるモードでハンドピースを動作させることを希望する場合にのみ、実行されることを理解されたい。通常、これらのデフォルト設定は製造プロセス中にDSP170にロードされる。
【0127】
ハンドピースの実際の使用前に、DSP170は制御モジュール40内部の構成部品をスリープモードに維持する。AWAKE信号はアサートされない。したがって、電圧調整器176はVcc信号を出力しない。Vcc信号は出力されないので、MCC172は作動停止状態である。MCC172が作動停止しているので、そうでなければ印加される構成部品に対し、MCC電圧調整器は5ボルト信号を出力しない。したがってセンサ68、72、74、および76は活動しない。また、DSP170内部のアナログ−デジタル変換器(変換器は図示せず)も作動停止する。
【0128】
たとえ外科用器具30がスリープモードのときでも、電圧調整器174はVddおよびVdda信号を出力する。したがって、上述した器具構成部品がスリープモードのときでも、センサ66および70ならびにDSP170は活動する。
【0129】
トリガスイッチ46または47の1つを押すと(ステップ364)、ハンドピース30の作動が生じる。解説のために、トリガスイッチ47が押されたスイッチであると理解して、説明を進める。最初に、トリガスイッチ47の、実際には磁石58の移動は、センサ68によって検出される(ステップ366)。したがって、ステップ366で、センサ68によって生成される出力信号は状態変化を受ける。DSP170は、センサ68からの出力信号の状態の変化を検出すると、AWAKE信号をアサートする(ステップ368)。
【0130】
AWAKE信号368のアサーションにより、ステップ370で、ハンドピース30の残部は活動モードに入る。特に、AWAKE信号のアサーションは、電圧調整器176にVcc信号の出力を開始させる。Vcc信号を受信すると、MCC172が付勢される。この付勢の結果、MCC電圧調整器はセンサ68、72、74、および76を含めモジュール40の他の構成部品に、5ボルト信号を出力する。スリープから活動への遷移の別のサブプロセスは、DSP170内部のアナログ−デジタル変換器ブロックの起動である。
【0131】
ステップ370の一部として、AWAKE信号は増幅器236および246のSHDNピンにも印加される。このようにして、増幅器236および246はイネーブルされ、センサ74および76それぞれによって生成された出力信号の増幅バージョンが生成される。実際には、制御モジュール40内部の構成部品がスリープモードから活動モードに遷移するのに最大で約200ミリ秒かかる。本発明のより好ましいバージョンでは、該遷移を行なうのに最大で100ミリ秒かかる。これはユーザが知覚することのできる器具の始動の遅延の程度を最小化する。
【0132】
ひとたび制御モジュール構成部品が活動モードになると、センサ72は、磁石58の検出された移動に基づいて可変出力信号をアサートする(ステップ372)。センサ72からの信号の受信に基づいて、DSP170はステップ374および376に同時に関与する。ステップ374では、ステップ360でロードされた命令データに基づいて、DSP170は適切な状態のFORWARDもしくはREVERSE信号またはこれらの信号の組合せをアサートする。トリガスイッチ47が順方向制御スイッチとなるようにハンドピース30が設定された場合、ステップ374で、DSPはFORWARD信号をアサートする。トリガスイッチ47が逆方向制御スイッチとなるように設定された場合、DSPはREVERSE信号をアサートする。代替的に、トリガスイッチ47が振動制御スイッチとして設定された場合、DSP170はFORWARDおよびREVERSES信号の両方を同時にアサートする。
【0133】
ステップ376で、DSP170はUSER_SPEED信号を生成する。この信号は、ステップ362で受け取った命令、および磁石58がその移動経路に沿って変位した程度を表わすセンサ72からの信号に基づく。DSP170は、トリガスイッチ47が作動した程度によりUSER_SPEEDを線形的に変化させるようにプログラムされた場合、信号は次式に従って判定される。
USER_SPEED=SPDMIN+SS(SPDMAX−SPDMIN) (1)
ここで、SPDMINおよびSPDMAXはそれぞれ、トリガスイッチ47が押されたときに電動機34が動作する最小および最大速度である。これらはステップ362で供給される係数である。変数SSは、トリガスイッチ47が基準位置への伸長状態から変位した程度を表わし、0.00から1.00までに正規化された、センサ72からのセンサ信号である。
【0134】
下述の通り、DSP170は、トリガスイッチの変位に基づいて、線形関係以外でUSER_SPEEDを変化させるようにプログラムすることができる。
【0135】
ステップ374および376とほぼ同時に行なわれるステップ378で、DSP170は、電動機回転子78の位置を表わすHALLx信号をも生成する。始動時の回転子の速度0RPMで、これらのデータはセンサ74およびセンサ76の両方からの信号に基づく。この判定の基礎について、ここで、図9のグラフのプロットを参照しながら説明する。このグラフは、回転子が2極回転子である場合にセンサ74および76から生成される信号を示す。これは分かり易くするためである。したがって、センサ74からの出力信号、プロット382は、回転子の360°の回転に対する単一の正弦波である。
【0136】
MCC172が電動機始動後に適切な順序でHxおよびLx制御信号を生成するために、DSP170から供給されるHALLxは、回転子78がどの六分角つまり60°弧内に位置するかを示さなければならない。センサ74からの信号が0.866から1.00の間である場合、回転子が60から120°の円弧範囲内であることは明らかである。同様に、センサ74からの信号が−0.866から−1.0の間である場合、回転子が240から300°の円弧範囲内であることは明らかである。
【0137】
しかし、これらの範囲外では、センサ74からの単一信号は、始動時に回転子の位置を正確に示さない。これは、これらの2つの範囲外では、正弦波曲線上で回転子がどこに位置するかを単一信号が示さないからである。例えばセンサ74によって生成される信号が0.5である場合、回転子が30°の位置にあるか、それとも150°の位置にあるかが明瞭でない。プロット382では、これらの2つの位置は、点384および386によってそれぞれ表わされる。同様に、センサ74からの信号が−0.71である場合、回転子が225°の位置にあるか、それとも315°にあるかが明瞭でない。プロット382で、これらの2つの位置は点388および390によってそれぞれ表わされる。
【0138】
このようにして、始動時に、ステップ378で、DSP170はセンサ74および76の両方からの信号を使用して、回転子の位置の正確な判定値を生成する。本発明の図示したバージョンでは、センサ76はアナログ信号を出力するので、このセンサは制御モジュール40内に配置され、センサ74によって生成される信号から位相が最大60°遅れる信号を出力する。図9で、センサ76によって出力される正規化信号はプロット391として示される。
【0139】
ステップ378で、センサ74からの信号が、この信号だけを使用して回転子の位置を判定することのできる範囲外である場合、2つの評価のうちの1つが実行される。センサ74からの正規化出力信号が、回転子78が0から60°の六分角または120から180°の六分角のいずれかに存在することを示す場合、
センサ74の信号>センサ76の信号
であるか否かを判定する検査が行なわれる。この判定結果が真である場合には、センサ信号は集合的に、回転子が0から60°の間の角度位置にあることを示す。この判定結果が偽である場合には、集合的に信号は、回転子が120から180°の間の位置にあることを示す。センサ74からの正規化された出力信号が、回転子が180から240°の六分角または300から360°のいずれかに存在することを示す場合、
センサ74の信号<センサ76の信号
であるか否かを判定する検査が行なわれる。この判定結果が真である場合には、センサ信号は、回転子が180から240°の間の角度位置にあることを示す。この判定結果が偽である場合には、回転子は300から360°の間の位置に存在する。
【0140】
したがって、始動時に、センサ74からの信号、およびセンサ74および76によって生成される信号の比較に基づいて、DSP170は、電動機回転子の位置を表わすHALLx信号を生成する。
【0141】
その結果、始動直後に、DSP170は次の信号、すなわちFORWARDおよび/またはREVERSE信号、USER_SPEED信号、およびHALLx信号を、MCC172に提供する。これらの信号に基づいて、MCC172はHIGH_SIDE_CONTROL信号およびLOW_SIDE_CONTROL信号をアサートする。これらの信号は、回転子78を適切なユーザ選択方向に適切なユーザ選択速度で回転させるために必要な適切なパターンで、付勢電流を巻線に印加させるために必要な順序でアサートされる。
【0142】
上記信号に基づいて、ステップ393で、MCCは、回転子78が適切な方向に回転するように、FET82a〜82cおよび84a〜84cを適切にゲーティングして、付勢信号を巻線86a〜86cに印加させる。
【0143】
付勢信号が巻線に印加されると、回転子78は回転する。ひとたび回転子78の初期位置が判定されると、回転子78のその後の位置は、センサ74によって生成される信号のみに基づいて判定される。DSP170はこの信号を後続のHALLx信号の組に変換する。HALLx信号の状態に基づいて、MCC172は、回転子をユーザが所望する方向にユーザが所望する速度で回転させるために必要なHIGH_SIDE_CONTROL信号およびLOW_SIDE_CONTROL信号をアサートし続ける。
【0144】
HALLx信号をその後に判定する手段について、図10の波形402、および図11A〜11Dのフローチャートを参照することによって説明する。波形402は、回転子78の完全な360°の回転に対するセンサ74からの出力信号を表わす。回転子78は6極回転子であるので、回転の経路全体でセンサ74は3つの正弦波を生成する。図10で、3つのピーク値は点406a、406b、および406cにおける値である。3つの谷の値は、点408a、408b、および408cにおける信号レベルである。図10で、個々の正弦波は、同一ピークおよび谷の信号レベルを有するように示されている。実際には、非常に低温または非常に高温の始動時にさえ、これらの信号レベルには多少の差があることを理解されたい。しかし、これらの差は一般的に5%未満である。
【0145】
製造較正中に、図12によって示されるDSP170と一体化した不揮発性メモリ404は、センサ74からの出力信号のピークおよび谷点の値を表わすデータをロードされる。単一の始動ピーク値がフィールド410に格納される。単一の始動谷値がフィールド412に格納される。本発明の一部のバージョンでは、単一の始動ピーク値は、点406a、406b、または406cにおける3つのピーク値のうちの最大値である。単一の始動谷値は、3つの谷値408a、408b、または408dのうちの最低値である。本発明の代替的バージョンでは、格納された始動ピーク値は、3つのピーク値406a、406b、または406cの平均または中央値である。本発明のバージョンでは、フィールド412に格納された谷値は、3つの谷値408a、408b、または408cの平均または中央値である。
【0146】
センサ74が1つのピークから次の谷への(または1つの谷から次のピークへの)遷移を表わす出力信号を生成する前に、DSP170は信号処理を実行して、HALLx信号の状態がいつ変化するかを判定する。特にステップ416で、ピーク406aから谷408aへの信号の場合、DSP170は、ピークと谷との間の差値(Δ)を判定する。この値は、式:
Δ=信号値PEAK−信号値VALLEY (2)
によって判定される。ステップ418で、ピーク406aと谷408aとの間の中点値MPが、次式に従って判定される。
MP=Δ/2+OFFSET (3)
ここで、OFFSETは谷406aにおけるセンサ信号、SIGNAL VALUEVALLEY信号のレベルである。図10で、この中点基準信号レベルは、点420aによって表わされる。少なくとも始動直後は、SIGNAL VALUEPEAKおよびSIGNAL VALUE VALLEY値は、メモリ404から取り出される信号レベルであることを理解されたい。
【0147】
ステップ422および424で、DSP170はセンサ74からの信号の上方遷移および下方遷移をそれぞれ判定する。ステップ422で、上方遷移は式:
UPPER TRANS=MP+0.433Δ (4)
に従って判定される。ステップ424で、下方遷移は式:
LOWER TRANS=MP−0.433Δ (5)
に従って判定される。方程式(4)および(5)で、定数0.433は、本発明のこのバージョンでは、HALLx信号の遷移が波形402の60°の位相変化毎に発生するという事実に基づく。第1の位相変化/HALLx信号の遷移は、波形が359°から0°位置に変化するときに発生する。したがって、次のHALLx信号の遷移誘発位相は、センサ74信号が60°位置より上で遷移するときに発生する。60°の正弦は0.866である。同様に、センサ74が179°位置から180°位置に遷移するときに、HALLx信号遷移誘発位相変化がある。したがって、次のHALLx信号遷移誘発位相変化は、センサ74の信号が240°より下に降下したときに発生する。240°の正弦は−0.866である。
【0148】
センサ74によって生成される信号は全て0.0ボルトより上で出力されるので、MP>0.0である。したがって中点値は、信号が359°から0°に、かつ179°から180°に遷移するときのセンサ74の信号レベルを表わす。方程式(3)および(4)の遷移信号値は中点値からオフセットされる。
【0149】
図10のグラフで、波形402上の点426aは、センサ74からの信号がピーク値406aから谷値408aに降下したときの上方遷移基準信号レベルを表わす。点428aは、信号がこの遷移を経験するときの下方遷移基準信号レベルを表わす。
【0150】
このようにして、上記遷移基準信号レベルは、ピーク値406aより上のレベルから谷値408aに遷移するときのセンサ74からの出力信号のレベルを判定するために使用される。これらの信号レベルは、回転子78が回転するときの角度位置を表わす。これらの信号レベルの判定は次に、HALLx信号の状態がいつ変化するかを判定するために、DSP170によって使用される。
【0151】
図11A〜11Dの残りのステップでは、ステップ378で、電動機回転子78の始動時の0RPMの位置が、ピーク値406a、406b、または406cのいずれか1つによって表わされるピーク位置から30°以内であることが判定されたと想定する。始動時に、メモリ404に格納されるピークおよび谷値は同一である。したがって、回転子78の360°の1回転に対するセンサ74の信号の3回のサイクルの各々に対して、中点ならびに上方および下方遷移信号がそこから判定されるデータが存在する。したがって、残りのステップを使用して始動直後の回転子の位置を判定するために、3回の360°出力信号サイクルのうちのどれをセンサ74が現在循環しているかを示すデータを、DSP170に供給する必要が無い。したがって、実施例として、センサ74からの出力信号はそれがピークレベル406aの位置に近いことを示していると、随意に想定される。
【0152】
センサ74からの出力信号のサイクル中に、DSP170は出力信号を監視して、ピーク406aのセンサから実際のピーク値信号レベルを取得する。この値は、DSP170に関連付けられたRAMメモリ432(図13)に格納される。実際には、取得したピーク値は点406a用のピーク値のテーブル434aに格納される。集合的に、これらの2つのプロセスはステップ436によって表わされる。この信号レベルの格納の目的については下述する。始動時に、ステップ436を実行することができないことがあることをさらに理解されたい。
【0153】
次いで、ステップ438で、DSP170は、センサ74の出力信号が上方遷移基準信号レベル、つまり点426aのレベルより下に降下するかどうかを判定するために検査し続ける。出力信号がこのレベルより下に降下すると、ステップ440でDSPは、回転子78の新しい位置を反映するようにHALLx信号をリセットする。次いで、ステップ442で、DSP170はセンサ74の出力信号を絶えず検査して、それが中点基準信号レベル、つまり点420aのレベルより下に降下するかどうかを判定する。この事象が発生すると、ステップ444でHALLx信号が再びリセットされる。
【0154】
ステップ446で、DSP170はセンサ74の出力信号を検査して、信号レベルが下方遷移基準信号レベル、つまり点428aのレベルより下に降下するかどうかを判定する。この事象が発生すると、ステップ448で、DSP170は再びHALLx信号をリセットする。
【0155】
ステップ448の後、DSP170はステップ416、418、422、および424を再実行する。図10では、ステップ416、418、422、および424の再実行をステップ450として示す。ステップ416、418、422、および424のこの実行では、センサ74からの信号出力が谷値408aからピーク値406bに遷移するときに、HALLx信号の状態がいつリセットされるかを判定するために、DSP170は中点ならびに上方および下方遷移基準信号レベルを判定する。図10で、新しい下方遷移基準信号レベルは点428bによって表わされ、新しい中点基準信号レベルは点420bによって表わされ、新しい上方遷移基準信号レベルは点426cによって表わされる。再び、少なくとも初期には、これらの信号の中点ならびに上方および下方遷移レベルは、メモリ404に格納されたピーク値信号レベルデータに基づいて算出されることを理解されたい。
【0156】
また、ステップ452で、DSP170は、センサ74の出力信号を監視して谷408aの実際の信号レベルを判定する。この値は、RAM432のテーブル454aに格納される。
【0157】
次いで、センサ74からの出力信号が谷408aからピーク406bに上昇すると、信号は新しい中点および遷移基準信号レベルに照らして検査される。特に、センサ74の出力信号が下方遷移基準信号レベル、点428bより上に上昇するときを判定するために、ステップ458が実行される。この事象が発生すると、ステップ460で、HALLx信号は適切にリセットされる。次いで、ステップ462が実行され、センサ74の出力信号が中点基準信号レベル、点420bより上に上昇するときを検査する。この事象が発生した後、DSP170はHALLx信号を適宜リセットする(ステップ464)。
【0158】
ステップ466で、DSP170は次いで、センサ74の出力信号が上方遷移基準信号レベルより上、点426bのレベルより上に上昇するときを判定するために検査する。この事象が発生すると、DSP170は再びHALLx信号をリセットする(ステップ468)。
【0159】
回転子78が完全な360°の回転を完了すると、上記プロセスが再実行される。このようにして、センサ74の出力信号がピーク値406xから谷値408xに遷移するたびに、ステップ416、418、422、424、および438〜448が実行される。センサ74の出力信号が谷値408xから次のピーク値406xに遷移するたびに、ステップ450および458〜468が実行される。
【0160】
上記から、センサ74からの出力信号が、1つのピークから隣接する谷を介して次のピークまで、単一の正弦波周期を通過するたびに、HALLx信号が6回の状態遷移を経験することを理解されたい。センサ74の出力信号が次の正弦波周期を通過するときに、HALLx信号は同じ6回の遷移を経験する。FET82a〜82cおよび84a〜84cを適切にゲーティングするために、MCC172は、正弦波周期のどの六分角に回転子78が位置付けられるかを示すデータを必要とするだけである。MCC172は、回転子78の360°の回転中に生成される3つの正弦波のうちのいずれで回転子の遷移が起きているかを知る必要が無い。わずか3つの個別HALLx導線だけが、回転子の位置を表わす3ビットのバイナリHALL信号をMCC172に提供する必要がある理由は、このためである。
【0161】
上記はまた、始動時に、正弦波周期のどの六分角に回転子78が位置付けられるかを示すために十分なセンサデータをDSP170に提供することだけが必要とされる理由でもある。これらのデータのみに基づいて、DSP170は、センサ74から後で受け取りかつ変化する出力信号が比較対照される基準レベルを即座に算出することができる。
【0162】
また回転子78の回転中にも、DSPは絶えずステップ436を実行し、各正弦波のピーク406a、406b、および406cの値を取得して格納する。これらの値はRAM432のテーブル432a、432b、および432cそれぞれに格納される。ハンドピース30が作動し続ける限り、各正弦波の谷408a、408b、および408cの値を取得して格納するために、ステップ452もまた絶えず実行される。これらの値はRAM432のテーブル454a、454b、および454cにそれぞれ格納される。
【0163】
正弦波のピークおよび谷を表わすセンサ74の出力信号値が格納される理由について、ここで、図14および図15を参照することによって説明する。図14は、ハンドピースをある時間作動させた後、回転子78の完全な360°の回転に対するセンサ74の出力信号のプロット402’である。ここで、個々の正弦波の間にピークおよび谷信号レベルの差があることを見ることができる。これらの差が生じる1つの理由は、電動機の加熱および回転子磁石の内在的な物理的相違のため、個々の回転子によって放射される磁界が変動し始めるためである。
【0164】
代替的に、製造後に、センサ74の位置が偏移することがある。そのような偏移は、ハンドピース30が落下した場合に機械的衝撃にさらされるために起きることがある。センサ74がそのように偏移した場合、それは検知される磁界の振幅が変動するように配置され得る。これは、製造後に、センサ74からの出力信号が図11の比較的一様な外観から図14の不均等な外観に変化する第2の理由である。図14で、点406a’、406b’、および406c’は新しいピーク値を表わし、点408a’、408b’、および408c’は新しい谷値を表わす。
【0165】
器具のオートクレーブ滅菌の結果、センサ74が熱にさらされることも、センサ74の出力信号が変動する原因になり得る。
【0166】
センサ74の出力信号のずれを補償するために、DSP170は図15のさらなる処理を実行する。特に、ステップ470で、DSP170は、メモリ432のテーブル434a、434b、または434cのうちの1つに格納されたピーク値データを取り出す。データは次いで、ステップ472で、新しい推定値を生成するために処理され、関連する正弦波ピークの仮想信号レベルが生成される。本発明の1バージョンでは、各テーブル434xは最後に取得したピーク信号値を含む。この値は次いで、HALLx信号遷移基準信号レベルを判定するために次の組の計算でピーク信号として使用される。
【0167】
本発明の他のバージョンでは、各テーブルフィールド434xおよび複数の取得されたピーク信号値。ステップ472で、これらの値の単純平均または加重平均を使用して、ピーク406xの仮想信号レベルが生成される。ピーク406a、406b、および406cのこれらの仮想値は、フィールド476a、476b、および47cそれぞれに格納される。これらのプロセスステップ470〜474は、3つの正弦波の各々に対して実行される(ループバックは図示せず)。
【0168】
同様に、ステップ480で、DSP170はメモリ432のテーブル454a、454b、または454cの1つに格納された谷値データを取り出す。データは次いで、ステップ482で、新しい推定値を生成するために処理され、関連する正弦波ピークの仮想信号レベルが生成される。一般的に、各ピークの仮想信号レベルを生成するために使用されたのと同じアルゴリズムが、各谷408a、408b、または408cの仮想信号レベルを生成するために使用される。ステップ484で、算出された仮想正弦波谷レベルは、メモリ432のフィールド486a、486b、または486cに格納される。プロセスステップ480〜484は、3つの正弦波の各々に対して実行される(ループバックは図示せず)。
【0169】
ひとたびステップ470〜474および480〜484が実行されると、ステップ490が実行される。ステップ490で、DSP170は、中点ならびに上方および下方遷移信号レベルを判定するために使用された以前のレベルを、これらの算出された仮想ピークおよび谷信号レベルに置き換える。このようにして、ステップ416、418、422、424、および450の将来の実行においては、これらの仮想信号レベルが上記の方程式2および3の入力変数として使用される。このようにして、ひとたびステップ490が実行されると、後で生成される中点ならびに上方および下方遷移基準信号レベルは、センサ74によって生成される実際のピークおよび谷信号レベルに密に近似するピークおよび谷信号レベルに基づく。これは、センサ74からの出力信号が製造後に変動し、あるいは一処置中に変動した場合、DSP170が回転子の位置を正確に表わすHALLx信号をアサートし続けることを確実にする。
【0170】
図8Cに戻って、トリガスイッチ46および/または47が押され続ける限り、DSP170はACTUATE信号、FORWARDおよび/またはREVERSE信号、USER_SPEED信号、およびHALLx信号をアサートする(ステップ494)ことを理解されたい。MCC172は次に、ステップ496で、回転子をユーザ選択速度で適切な方向に回転させるために適宜、FET82a〜82cおよび84a〜84cをゲーティングし続ける。
【0171】
ステップ494および496は、トリガスイッチ46および/または47が押され続ける限り、絶えず実行される。ステップ497によって表わされる通り、最終的に外科医は、トリガスイッチ46および/または47に対する圧力を解放して、ハンドピースを作動停止させる。最初に、この事象が起きると、磁石56および/または58は、センサ68または72がかなりの磁界の存在を検出することができなくなる位置に移動する。このようにしてセンサ68または70は、DSP170にゼロ速度USER_SPEED信号をアサートさせる出力信号を生成する(ステップ498)。
【0172】
MCC速度コントローラ276がこのゼロ速度USER_SPEED信号を受け取る時点で、電動機回転子78は回転している。したがって速度コントローラ276は、巻線86a〜86cに電流を印加させて回転子の回転を引き起こす、信号のFET82a〜82cおよび84a〜84cへのアサーションをMCCにネゲートさせる(ステップ502)。代わりに、速度コントローラはBRAKE_ENABLE信号をアサートする。これにより、MCC172は、巻線が制動モードに入り回転子78の回転を減速するように、FET82a〜82cおよび84a〜84cをゲーティングする(ステップ504)。
【0173】
磁石56または58が制御モジュール40からさらに離れると、発生する磁界はセンサ66または70によってもはや検知されない。その結果、ステップ506で、センサ66または70からの出力信号はオフ状態になる。センサ66または70からの信号がオフ状態にトグルされると、DSP170はAWAKE信号のアサーションを停止する(ステップ508)。これにより電圧調整器176および増幅器の作動停止が引き起こされる。電圧調整器176の作動停止は結果的に、MCC172の同様の作動停止を生じる。集合的に、ステップ510によって表わされるこれらの構成部品の作動停止は、ハンドピースがエネルギを節約するスリープモードに戻ることである。
【0174】
本発明の1バージョンでは、センサ66または70からの出力がオフ状態信号に戻るやいなや、DSP170が即座にAWAKE信号をネゲートする。本発明の別のバージョンでは、センサ66または70がオフ状態信号をアサートしたときからDSPがAWAKE信号をネゲートするときまでの間に、最高で5秒の遅延がある。この遅延期間中に、MCC172は、電動機回転子172の制動を促進する信号をアサートし続ける。この制動を続ける利点は、そうしなかった場合にハンドピース30を保持している個人が受ける機械的衝撃を低減することである。
【0175】
ハンドピース30は、ステップ364が再実行され、トリガスイッチ46または47が再び押されるまで、スリープ状態に維持される。
【0176】
II.統合システム
上述の通り、器具30は各用途向けにカスタム構成可能である。ステップ360で、トリガスイッチの機能(順方向、逆方向、振動、またはオフ)がDSP170にロードされる。ステップ362で、DSP170には、トリガスイッチ46または47の押込みの関数としてそれが生成する範囲のUSER_SPEED信号がロードされる。これらおよび他の命令が器具30にロードされるメカニズムについて、ここで、最初に図16および17を参照することによって説明する。器具30は、制御モジュール40内部の該モジュール構成部品に加えて、1つ以上のデータトランシーバヘッド530をも含む(1つを図示)。各トランシーバヘッド530は、器具30とは物理的に分離したユニットと信号を交換する。図16のブロック図バージョンの器具に示される通り、トランシーバヘッド530は制御モジュール40の外部となる。本発明の一部のバージョンでは、制御モジュール40の内部にトランシーバヘッド530を配置することが可能であり得る。本発明の1バージョンでは、DSP170(器具制御プロセッサ)はシリアルデータ通信線531でトランシーバヘッドと信号を交換する。
【0177】
トランシーバヘッド530が分離したユニットと信号を交換する実際の手段は、本発明では、特定の技術に限定されない。本発明の一部のバージョンでは、信号の交換を容易にするために、器具はドッキングステーション532に着座する。ドッキングステーション532はそれ自体のトランシーバヘッド534を有する。器具30aがドッキングステーション532に着座すると、2つのトランシーバヘッド530および534は、それらの間で信号交換が可能になるように一緒に十分に近接配置される。
【0178】
本発明のこれらのバージョンの一部では、トランシーバヘッド530および534は、器具(図17では器具30a)がドッキングしたときに接合する、露出電気接点である。代替的に、トランシーバヘッド530および534は、誘導信号伝達を可能にする相補型コイルである。トランシーバヘッド530および534は、相補型の発光部品および光検出部品の対とすることができる。本発明のこれらのバージョンは、場合によっては赤外スペクトルの光を含め、特定の周波数の光を放出しかつ/または検出する。代替的に、トランシーバヘッド530および534は相補型RFアンテナである。本発明のこれらのバージョンでは、各トランシーバヘッド530および534は、電気的状態およびRF状態の間で交換信号を変換するように、適切な信号変調および復調サブ回路をも含む。トランシーバヘッド530および534は、相補型の露出した導線の組とすることさえできる。この構成は、外科用器具30aをドッキングステーションに物理的に接続する必要がある。この構成の利点は、器具30aとシステムの他の構成部品との間の非常に高いボーレートが可能になることである。
【0179】
図17の器具30bおよびワイヤレストランシーバヘッド536によって示される通り、データトランシーバ530が分離ユニットと信号を交換するために、器具を静的ドッキング状態にする必要はない。本発明のこれらのバージョンでは、器具30bがヘッド536から1メートル以上離れていたり移動している場合でも、器具のトランシーバヘッド530およびワイヤレストランシーバヘッド536が信号をワイヤレスで交換する。この信号交換は、赤外パルスを含む光、WiFi、ブルートゥース、もしくはG3のような技術を含む無線波、または電磁パルスの交換による。
【0180】
本発明のこの実施形態の一部のバージョンでは、器具トランシーバヘッド530およびワイヤレストランシーバヘッド536は、外科用ナビゲーションシステムの一部である。手短に言うと、外科用ナビゲーションシステムは、位置が追跡される装置に取り付けられた固定ユニットおよび移動ユニットを含む。ユニットの1つは1組2つ以上の信号、一般的に光、電磁波、またはRFを送信する。第2のユニットは、送信された信号を受信する2つ以上のセンサを有する。受信した信号の信号強度の差に基づいて、外科用ナビゲーションコンソール(データプロセッサ)540は、固定ユニットに対する移動ユニットの位置および向きを示すデータを生成する。多くの外科用ナビゲーションシステムは、移動ユニットが光を放射するように設計される。トラッカ539と呼ばれるこの移動ユニットは、移動装置、図16の外科用器具30bに取り付けられる。ローカライザ538と呼ばれる固定ユニットは、放射された光を監視するセンサを含む。トラッカ539はセンサを含む。器具30bの位置および向きを追跡することによって、外科用ナビゲーションコンソール540は、患者の手術部位に対する外科用器具30bおよび/または相補型アタッチメントの位置を示す信号を生成する。
【0181】
本発明の一部のバージョンでは、器具トランシーバヘッド530はトラッカ539内に組み込まれる。ワイヤレストランシーバヘッド536はローカライザ538内に組み込まれる。
【0182】
器具30aまたは30bは1つ以上のユニットと信号を交換する。これらのユニットの1つが、例えば外科用ナビゲーションコンソール540である。器具30aまたは30bが信号を交換する第2のタイプのユニットは、ハンドピース制御コンソール542である。コンソール542は通常、付勢信号をコード接続型外科用器具に印加するために使用される。2つのそのようなコンソール542が、出願人の譲受人の2001年1月25日に発行された米国特許第6,017,354号「INTEGRATED SYSTEM FOR POWERED SURGICAL TOOLS」および2004年9月30日に出願したその米国特許出願第10/955,381号「INTEGRATED SYSTEM FOR CONTROLLING PLURAL SURGICAL TOOLS」(米国特許公開第2006/0074405A1号、今は米国特許第_____号)に開示されており、この両方は引用することによって本願明細書の一部をなすものとする。
【0183】
パーソナルコンピュータ544もまた、器具30aまたは30bと通信するユニットとして働くことができる。コンピュータ544または他の任意のユニットは、器具30aおよび30bと、処置が実行されている手術室または外科手術スイート(surgical suite)に配置されてさえいないユニットとの間で、それを介してデータが交換されるゲートウェイとして働くことができることを理解されたい。そのようなユニットは、例えば器具30aもしくは30bの使用または外科的処置に関するデータの記録が維持される、メモリ格納装置とすることができる。パーソナルコンピュータ544または他の手術室ユニットは、イーサネット(登録商標)またはPOTSのような従来のネットワークを介してこの遠隔ユニットに接続することができる。
【0184】
音声またはワイヤレスヘッド546もまた、器具30aまたは30bと信号を交換するユニットとして働くことができる。1つのそのようなヘッド546は、商標SIDNEで出願人の譲受人によって販売されている。マイクロフォン搭載ヘッドセット(図示せず)を使用する外科手術従事者はコマンドを話す。音声またはワイヤレスヘッド546は、可聴コマンドをデジタル信号パケットに変換するスピーチ認識回路を含む。ヘッド546はまた、ワイヤードまたはワイヤレス装置(ワイヤレスペンダント548を図示)からの信号がそれを介して受信されるヘッドとしても働く。このようにして外科医は、ペンダント548に提示されるタッチスクリーンボタンを押すことによって、コマンドを入力する。これらのコマンドはヘッド546に同報通信される。ヘッド546は次に、これらのコマンドをデジタル信号パケットに変換する。
【0185】
器具と通信するために使用される、外科用ナビゲーションコンソール540、ハンドピース制御コンソール542、またはパーソナルコンピュータ544のような他の遠隔ユニットは、器具にコマンドを入力することを可能にするボタンが提示されるタッチスクリーンディスプレイを有することができることを、同様に理解されたい。代替的に、外科用ナビゲーションコンソール540またはパーソナルコンピュータ544のようなユニットは、キーボードおよび/またはマウスを有し、それを通してコマンドが入力される。
【0186】
図17で、ドッキングステーション530、ワイヤレストランシーバヘッド536、ナビゲーションコンソール540、ハンドピース制御コンソール542、パーソナルコンピュータ544、および音声ワイヤレスヘッド546は、共通バス552に結合される。バスは、IEEE−1394ファイヤワイヤバスまたはLANのような任意のバスとすることができる。このようにして、本発明のこの構成では、各外部ユニットナビゲーションコンソール540、ハンドピース制御コンソール542、パーソナルコンピュータ544、および音声ワイヤレスヘッド546は、器具30aまたは30bのいずれかと信号を交換することができる。また、下述の通り、システムのこの構成はさらに、器具30aが器具30bと通信することを可能にする。
【0187】
代替的に、あまり複雑でないシステムでは、単一の外部ユニットは単純に、ドッキングステーション530またはワイヤレストランシーバヘッド536に接続された唯一の構成部品である。
【0188】
信号を本発明の器具30cと交換することのできるさらに別の手段を、図18に関連して説明する。上述の通り、一部の外科医は、状況によっては、コード接続型器具で作業することをいとわない。これらの器具がもたらす1つの利点は、病院の電力供給網から電力が常に得られるので、電池の放電のため、器具が減速し、あるいは動作を停止する可能性が排除されることである。したがって、これらの外科医にコード接続型パワーパック558を提供することが公知である。パワーパック558は、器具ハウジング32の通常コードレス電池パックが取り付けられる場所に結合される。コード560はパック558から延びる。コード560の近位端は、そうしなければコード接続型器具の電源コードが取り付けられるはずのハンドピース制御コンソール542のソケット(同定せず)部に差し込まれる。コンソール542は、コード560を介してパック558に付勢信号を供給する。パック558の内部には、ハンドピース制御コンソール542によって供給された付勢信号を、そうしなければ電池42によって供給されるはずの形を模倣する形に変換する、図示せずかつ本発明に関係しない構成部品がある。
【0189】
また、パック558およびコード560の内部には、単一線562によって表わされるデータ導線がある。データ導線は、器具30c内のデータトランシーバヘッド530とハンドピース制御コンソール542内のプロセッサとの間の導電性経路である。したがって、本発明のこの構成では、器具30cおよびハンドピース制御コンソール542は、ドッキングステーションまたはワイヤレストランシーバヘッドを使用せずに信号を交換する。
【0190】
図18に、フットスイッチユニット563は、ケーブル543によってハンドピース制御コンソール542に接続された状態で示される。フットスイッチペダル(ペダルは同定せず)を選択的に押圧することによって、コマンドを本発明のシステムに入力することができる。本発明のシステムの一部のバージョンでは、フットスイッチユニット563は他のシステム構成部品にワイヤレス接続される。
【0191】
外科用器具30と遠隔ユニットとの間に通信リンクが確立すると、器具内部の制御プロセッサ(図16のDSP170)は、多数の様々なタイプのデータを遠隔ユニットに送信する。データトランシーバヘッド530が、トラッカ539に組み込まれた外科用ナビゲーションシステムの一部である場合、これらのデータは、外科用ナビゲーションシステムが器具の位置および向きを判定することを可能にする情報を含む。これらのデータは、他のフレキシブル通信リンクが確立されたときに送信されることを理解されたい。これらの通信リンクは、他のワイヤレスリンク、またはケーブル543のようなフレキシブルケーブルによって確立されるリンクである。
【0192】
DSP170はまた、器具電動機34の動作速度を示すデータをも遠隔ユニットに提供する。本発明の一部のバージョンでは、MCC172によって生成される電動機速度のPWM尺度がDSP170に供給される。DSP170はこの信号に基づいて、電動機速度のこの尺度に基づく電動機速度を表わすマルチビットデジタル信号を生成する。本発明の代替バージョンでは、DSP170は、センサ74からの出力信号またはHALLx信号のいずれかの周期性に基づいて、電動機速度のそれ自体の尺度を算出する。これは、データトランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットに供給される電動機速度信号である。
【0193】
電動機以外の装置が発電ユニットである本発明の他の外科用器具で、制御プロセッサは依然として、発電ユニットによって放射される電力の尺度を遠隔ユニットに送信する。例えば器具がRFアブレーションプローブである場合、外科用アタッチメントの遠位端には感温性トランスデューサ、しばしば熱電対がある。制御プロセッサは、熱電対によって測定された温度のデジタル表現を生成し、これらのデータを遠隔ユニットに供給する。
【0194】
外科用アタッチメント41が着脱可能かつ交換可能である本発明のバージョンでは、器具30は器具のアイデンティティに関するデータも提供する。本発明のこれらのバージョンでは、外科用アタッチメントは、アタッチメントの特性に関するデータが格納された識別用構成部品568を有する。構成部品568は一般的に、電気的または光学的プロセスを通して読み出される。しばしば構成部品568はRFIDまたはNOVRAMの形を取る。器具30は、識別用構成部品568に格納されたものを読み出すことのできる読取器570を有する。例えば、引用することによって本願明細書の一部をなすものとする、2002年8月8日に出願した出願人の米国特許出願第10/214,937号「SURGICAL TOOL SYSTEMS WITH COMPONENTS THAT PERFORM INDUCTIVE DATA TRANSFER」(米国特許公開第2003/0093103号、今は米国特許第_____号)は、時に切削アクセサリと呼ばれる外科用アタッチメント内のRFIDチップから、データがどのようにしてコード接続型およびコードレス両方の外科用器具によって読み出されるかを開示している。
【0195】
ひとたびこれらのデータが読み出されると、制御プロセッサはデータ転送ヘッド530によって遠隔ユニットにデータを転送する。
【0196】
上記の、参照によって組み込まれる出願第10/214,937号は、器具ハウジングと手術部位に適用される実際のアタッチメントとの間の中間装置から、データをいかに読み出すかも開示している。この文書はまた、器具によって適位置に嵌合されるインプラントについて記載するデータが、どのようにして器具に読み戻されるかも開示している。したがって、これらのデータが同様にデータトランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットに送信されることを、同様に理解されたい。
【0197】
器具制御プロセッサ(DSP170)はまた、器具構成部品の動作状態を記載するデータをも遠隔ユニットに提供する。例えば、上述の通り、これらのデータは例えば、電池の充電レベルを示すデータを含む。図6Bに戻って、電池の電圧を表わす信号が抵抗器258および260の接合部からDSP170に供給されることが理解される。DSP170はこの信号のレベルに基づいて、トランシーバヘッド530を介して、電池の充電レベルを示すデータを出力する。
【0198】
第2の器具動作パラメータ出力は、器具の温度である。図16に、器具30は温度トランスデューサ572を有するように示されている。トランスデューサ572はしばしば、器具の熱発生構成部品、一般的に発電構成部品(電動機34)の近くに配置される。代替的にトランスデューサ572は、通常外科医によって把持される器具の表面、例えばハンドル38に隣接して配置される。トランスデューサ572によって生成される出力信号は、制御プロセッサ(DSP170)に供給される。制御プロセッサはこの温度のデジタル化表現を生成し、これらのデータをトランシーバヘッド530によって遠隔ユニットに出力する。
【0199】
器具30は加速度計574およびノイズ検出器576を有する。加速度計574は、器具の振動の関数として出力信号を生成する。ノイズ検出器576は、器具30および関連する外科用アタッチメント41によって放射されるノイズの関数として、可変信号を生成する。加速度計574およびノイズ検出器576からの出力信号は、制御プロセッサ(DSP170)に供給される。これらの器具の振動および放射ノイズの両方のデジタル表現は、データトランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットに伝達される。
【0200】
上述の通り、発電ユニット(電動機34)が過度の電流を引き出そうとしたことを電力調整器(MCC172)が判定すると、この事象が発生したことを示すパルスビットが、制御プロセッサ(DSP170)に送られる。制御プロセッサはこの情報を次に、トランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットに転送する。
【0201】
器具30のコードレスバージョンを付勢するために使用される電池42の中には、内部温度センサ(図示せず)を有するものがある。トランスデューサからの信号もまた、制御プロセッサ(DSP170)に供給される。制御プロセッサは同様に、検知された電池温度を表わすデジタル信号を、トランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットに転送する。
【0202】
器具結合アセンブリ39もまた、該アセンブリの状態を監視するセンサ(図示せず)を有し得る。通常、このタイプのセンサは、結合アセンブリ39がロック状態であるときを示す、第1信号をアサートする。アセンブリは外科用アタッチメント41を適位置に保持している。センサは、結合アセンブリ39がロード状態であるときに、第2信号をアサートする。アタッチメント41を結合アセンブリから取外し、かつそこに戻すことができる。このセンサによってアサートされた出力信号は、制御プロセッサ(DSP170)に送られる。このセンサからの信号がトグルするときは必ず、DSP170がデータトランシーバヘッド530を介して遠隔ユニットにデータパケットを送信する。
【0203】
III.カスタム器具構成
遠隔ユニットが器具30に供給するデータの型について、最初に図19を参照することによって説明する。この図は、器具を構成するための外科医の選好をロードするプロセスステップを表わす。最初に、遠隔ユニット、例えばハンドピースコンソール542またはパーソナルコンピュータ544が動作状態になり、外科医の選択するカスタム構成データを受け入れる(ステップは図示せず)。ステップ580で、遠隔ユニットはタッチスクリーン画面を生成し、そこで外科手術従事者はハンドピーストリガ46の機能、すなわち順方向、逆方向、振動、またはオフを指定するように催促される。ステップ582で、従事者は適切なタッチスクリーンボタンを押すことによって、選択した機能を入力する。
【0204】
ステップ584で、遠隔ユニットは1つ以上の画面を提示し、そこで外科手術従事者は、部分的に後退した状態から完全に後退した状態までのトリガの移動範囲に基づいて、発電ユニットが動作する範囲を指定するように催促される。発電ユニットが電動機34からなる場合、ステップ584で、遠隔ユニットは、トリガ46または47が後退する程度に基づいて電動機が動作する、最小および最大の選択速度を入力するように外科手術従事者に催促する画面を提示する。下述の通り、ステップ584で、遠隔ユニットはまた、発電ユニットの変化率、例えば速度の段階的増加または線形増加を指示するように外科手術従事者に催促する。ステップ586で、遠隔ユニットの画面に提示された適切なボタンを押すことによって、外科手術従事者は外科医が希望する動作範囲プロフィールを入力する。
【0205】
ステップ580〜586は次いで、第2トリガスイッチ47に対して再実行される(ループバックは図示せず)。外科医選択動作構成後、ステップ360および362が実行される。ステップ360および362は遠隔ユニットによって実行され、器具30a、30b、または30cのどれが構成されるかによって、外科医選択動作構成データがドッキングステーショントランシーバヘッド534に、ワイヤレストランシーバヘッド536に、またはケーブル562で転送される。これらのデータは次いで、制御モジュール40のRAMメモリ432の適切な場所にロードされる(メモリ場所は図示せず)。次いで、トリガ46または47どちらを作動させるか、かつトリガをどの程度作動させるかによって、発電ユニット(電動機34)は外科医の選好に従って作動する。
【0206】
器具構成は、器具に結合される特定の外科用アタッチメント41に応じて設定することができる。図20で、このプロセスの初期ステップ590は、新しい外科用アタッチメントが器具30に結合されたことをシステムが検出することである。アタッチメントの特定のアイデンティティを判定する多数の手段がある。アタッチメント41がアタッチメント識別用構成部品568を有し、器具30が相補型読取器570を有する本発明のバージョンでは、読取器がこの機能を果たす。
【0207】
本発明の代替的構成では、別の構成部品が、アタッチメント識別用構成部品に格納されたデータを読み出す機能を果たす。例えば、引用することによって本願明細書の一部をなすものとする、2004年12月9日に出願した「Wireless System For Providing Instrument And Implant Data To A Surgical Navigation Unit」と称する出願人の米国特許出願第60/634,588号(米国特許公開第_____号、今は米国特許第_____号)は、中間アタッチメントが、手術部位に対しまたは器具を使用して手術部位に嵌合されるインプラントに対して適用される実際のアタッチメントから、どのようにデータを読み取るかを開示している。これらのデータは次いで、ナビゲーションローカライザ538のような静的ヘッドに送信される。
【0208】
本発明のさらに別のバージョンでは、アタッチメントデータは手動的に入力される。本発明のこれらのバージョンでは、制御プロセッサ(DSP170)は、結合アセンブリ41と一体化したセンサからアサートされた信号がロード状態から実行状態に遷移したときに、信号を遠隔ユニットに送信する。遠隔ユニット、例えばハンドピース制御コンソール542またはパーソナルコンピュータ544はこの情報を、新しい外科用アタッチメント41が器具30に装着されたことを示すものと解釈する。この事象が発生したことを遠隔ユニットが判定すると、遠隔ユニットは、新しく装着された外科用アクセサリ41を識別するように外科手術従事者に要求する画面を生成する(ステップは図示せず)。
【0209】
ひとたびステップ590が実行されると、ステップ592が実行され、新しく装着されたアタッチメント用のハンドピース動作パラメータが識別される。ステップ592は、アタッチメント識別用構成部品568に格納された追加データを読み出すことによって実行される。代替的に、ステップ592は、各種の外科用アタッチメント41に対し特定の動作特性を識別する遠隔ルックアップのデータを取り出すことによって実行される。このルックアップテーブルは、器具30を構成するために使用される手術室遠隔ユニット、または手術室から離れた場所にあるファイルサーバに存在することができる。この動作パラメータデータは、器具およびアタッチメントのタイプの関数である。例えば電動機34が発電ユニットを備え、かつ外科用アタッチメントがバーである場合、これらのデータは、バーの初期および最大速度とすることができる。器具がRFアブレーション装置であり、かつ外科用アタッチメントがアブレーション電極である場合、これらのデータは、電極が動作する好ましい温度および最高温度、ならびに電極が引き出すべき最大電流である。
【0210】
ステップ592は、遠隔ユニットを介するデータの手動入力によって実行することができることを理解されたい。
【0211】
ステップ594で、これらの動作特性は、ハンドピース30を構成するために使用される遠隔ユニットによって表示される。この表示の一部として、かつステップ596として示されるように、外科手術従事者は取り出された動作特性に基づいて器具の動作特性を容認またはリセットするように催促される。ステップ598は、外科手術従事者が器具動作特性を、取り出された特性から離れてリセットすることを表わす。したがってステップ598は、ボタンを押して取り出された特性を上下させ、器具の動作特性をリセットする、ステップ586の実行である。
【0212】
ステップ596で好ましい動作特性が容認され、あるいはステップ598で特性がリセットされると、ステップ600が実行される。ステップ598は、ステップ362と同様に実行され、アタッチメント特定的なパラメータが制御プロセッサ(DSP170)にロードされる。
【0213】
上記説明から、器具30をある状態で動作するように構成する外科医の選択肢が、アタッチメント41に指定された動作特性データによって指定されるより大きいことは明らかである。本発明のシステムは、器具41がそのように動作するときに関する追加フィードバックを提供する。特に、ステップ602によって表わされるように、器具の動作状態が、取り出された動作特性から確立される定義された状態を超える場合の監視がある。例えばステップ602で、電動機34の動作が監視され、電動機の動作速度が好ましい最大速度に基づくレベルを超えているかどうかが判定される。このレートは例えば、好ましい最大動作速度の1.0倍から2.0倍の間である。
【0214】
ステップ602の監視は、器具制御プロセッサ(DSP170)または遠隔ユニット(ハンドピースコンソール542またはパーソナルコンピュータ544)によって実行することができる。監視が遠隔ユニットによって実行される場合、別個のステップ(図示せず)で、器具制御プロセッサは、動作状態を超えていることを示すメッセージを遠隔ユニットに送信する。
【0215】
動作状態を超えていることが判定されると、システムはステップ606および608を実行する。ステップ606で、遠隔ユニットは、器具30が定義された動作状態を超えて動作することを一時的に防止する。例えば器具が電動機34を含む場合、制御プロセッサ(DSP170)は、電力調整器に定義されたより高い速度レベルで電動機を駆動させる信号をアサートしない。器具がアブレーション器具である場合、制御プロセッサは、アブレーション電極に印加するように定義されたより高いレベルの電流を電力調整器に印加させる信号をアサートしない。
【0216】
ステップ608で、遠隔ユニットは、器具が定義されたレベルを超えて駆動されようとしていることを外科医に忠告する画面を生成する。次いで外科手術従事者はステップ610で、意図的に器具をそのように操作することを確認しなければならない。外科手術従事者がこの確認を入力すると、遠隔ユニットは器具動作のロックを解除する(ステップ612)。ステップ612で、遠隔ユニットは、トランシーバヘッド536および530(または導線562)を介して器具制御プロセッサに適切なコマンドを送信することによって、この機能を果たす。次いで、器具制御プロセッサはステップ614で、器具の動作ロックを解除する。
【0217】
本発明の一部のバージョンでは、ステップ612の確認が入力されると、システムは器具および外科的処置の事象ログに、器具30およびアタッチメントが好ましい最大動作レートを超えるレートで動作したことを記録する。
【0218】
図21のプロセスステップによって表わされるように、遠隔ユニットはまた、器具の内部構成部品の監視された動作特性に基づいて、器具30の動作を調整する。上述の通り、器具制御プロセッサ(DSP170)は、器具内部の構成部品の動作状況に関する情報を含むデータパケットを遠隔ユニットに送る。本発明の一部のバージョンでは、これらのパケットは動作状態または状況を定量化するデータを含む。このタイプのデータパケットは例えば、トランスデューサ572によって測定された器具電動機34の温度の正確な指標を含む。代替的に、器具制御プロセッサ(DSP170)によって実行される温度監視に基づいて、制御プロセッサは、トランスデューサ572からの出力信号が定義されたレベルより上昇するときには必ずデータパケットを送信する。
【0219】
同様の監視およびデータパケットの生成は、電池42の充電量、加速度計574、ノイズ検出器576、または電池内部の温度トランスデューサから受け取る信号を監視することによって受け取る動作特性データに基づいて実行される。電動機が過剰な量の電流を引き出しているという指摘を制御プロセッサが受け取ったときに、データパケットは制御プロセッサによっても送信される。
【0220】
図21で、ステップ620は、器具30がもはや正常な状態ではなく、異例の動作状態に入ったことの検出を表わす。異例の動作状態の例として、電池がまもなく放電されること、電池がその温度の上昇によって示される通り、破壊状態に近づいていること、器具30が保持することが難しい温度であるか、それに近づいていること、器具が過度に振動しているか、過度のノイズを発していること、または電動機が過度に加熱されていることの判定が挙げられる。さらに別の異例な動作状態は、発電ユニット(電動機34)が設定限度レベルを超える電流を、予め定められたレベルを超える頻度で、繰返し引き出すときに発生する。
【0221】
述べた通り、ステップ620の判定は、器具制御プロセッサ(DSP170)によって実行される監視によって行なうことができる。代替的に、遠隔ユニット、ハンドピース制御コンソール542またはパーソナルコンピュータ544が、器具制御プロセッサによって送信されるデータに基づいてステップ620の監視を実行することができる。
【0222】
ステップ620で器具が異例の動作状態であることが判定されると、遠隔ユニットはステップ622で、器具の動作に関する警告を提示する。この警告は、異例の性質を示す。例えば、ステップ620で電池42がほぼ完全に放電していることが判定された場合、この情報が提示される。ステップ620で、電動機の温度が、電動機の誤動作または破損を引き起こし得るレベルまで上昇していることが判定された場合、この情報が提示される。
【0223】
ステップ622と同時に、またはその直後に、遠隔ユニットは外科医に保守動作モードの選択肢を提示する(ステップ624)。このステップで、外科医に対し、器具の動作が崩壊することまたは中断されることを防止するために、器具を低下した動作レベルで動作させる選択肢が与えられる。一般的に、この保守動作モードは、発電ユニットが動作するレートを制限する。例えば発電ユニットが電動機34であり、ステップ620で、電池が完全放電に近いか、あるいは電動機の温度が容認できないレベルに近づいていることが判定された場合、保守動作は、電動機が動作することのできる最大速度を低減する。保守動作モードの別の例として、RFアブレーションプローブが手術部位に印加することのできる電力の低減がある。
【0224】
ステップ626で、外科医は保守モードで動作する誘いを受け入れるか、あるいは拒否する。外科医は、器具の使用が短時間だけ必要であることが分かっている場合には、保守モードでの器具の動作を拒否することを選択することができる。外科医が器具の保守動作の受入れを拒否すると、動作は以前通りに続く(ステップ627)。このステップの一部として、器具が特定の異例の状態に入りかつ外科手術従事者が器具を保守動作モードにするという誘いを拒否したというデータを、遠隔ユニットが外部器具ログに書き込むことを理解されたい。
【0225】
代替的に、外科医は器具を長時間必要としており、処置は器具の動作の中断が望ましくない時点にあることを前提として、ステップ626で、彼または彼女は保守動作モードを受け入れる。
【0226】
保守動作モードが受け入れられると、ステップ628で、遠隔ユニットは保守動作モードパラメータを器具にロードする。したがってステップ628は、新しい動作特性が器具制御プロセッサ(DSP170)にロードされるステップ362の再実行に類似する。ひとたびステップ628が実行されると、器具は、保守動作モード特性によって指定されるレベルであるが、動作し続ける。
【0227】
本発明のシステムのこの特徴は、それが無ければ異例の事象の発生により器具を動作し続けることが難しくなる場合に、外科用器具30を動作し続ける手段を提供する。
【0228】
本発明の外科用器具30は、外科用ナビゲーションシステムと組み合わせて、アタッチメントを適用すべきでない身体場所に外科用アタッチメントが近づいているか、あるいはそこに存在しているときに、外科医に注意を提供するようにさらに構成される。図22のステップ632によって表わされるように、外科的処置中に、外科用ナビゲーションコンソール540は外科用アクセサリ41の位置を監視する。この監視は、器具30、アクセサリ、または器具と部位に実際に適用されるアクセサリとの間の中間アクセサリに取り付けられた、トラッカ539に基づいて実行される。
【0229】
処置の開始前に、外科用ナビゲーションプロセッサ540には、外科用アタッチメントを適用すべきでないかあるいは細心の注意無しに適用すべきでない、手術部位に隣接する身体場所を指摘するマップデータが提供される。集合的に、これらの領域は「ノーカットゾーン(no cut zones)」と呼ばれる(ステップは図示せず)。
【0230】
ステップ634で、ステップ632で取得したアクセサリ位置データに基づいて、外科用ナビゲーションプロセッサ540は、アタッチメント41がノーカットゾーンの境界にあるか、あるいはそれを超えていないかを判定する。
【0231】
外科用アタッチメント41がそのような位置にある場合、外科用ナビゲーションコンソール540はステップ636で、低速またはゼロ速度命令を器具の制御プロセッサ(DSP170)にロードする。したがって、ステップ636はステップ362の再実行である。ステップ636で、器具制御プロセッサ(DSP170)は、器具が作動停止するかあるいは最低でも、非常に低い動作レートで稼動すべきであることを示すデータをロードされる。例えば発電ユニットが電動機34である場合、制御プロセッサは、電動機が低速度で稼動すべきである(電動機の最大速度がかなり低減される)か、あるいは完全に作動停止すべきであることを示す命令をロードされる。発電器具がRFアブレーションプローブである場合、ステップ636でロードされる命令は一般的に、器具が作動停止すべきであるという命令である。これらの命令に基づいて、制御プロセッサは適切なUSER_SPEED信号を電力調整器(MCC172)に生成する。電力調整器は次に器具発電ユニットの動作を適切にリセットする(ステップは図示せず)。
【0232】
外科用ナビゲーションユニット540によるステップ636の実行、および器具30の稼動のその後の低減が達成されて、アタッチメント41がノーカットゾーンで作動することは防止されないまでも、その程度は即座に最小化される。
【0233】
ステップ636の実行と基本的に同時に、ステップ638で警告が提示される。一般的にこの警告は、外科用ナビゲーションプロセッサ540と一体化したディスプレイに提示される。ステップ638で、この警告は、アタッチメント41がノーカットゾーンにあるか、あるいはそこに入ったので、器具の使用が低減され、または完全に阻止されたという指摘に含まれる。
【0234】
警告と一体的に、同じくステップ638で、外科医には無効化の選択肢も提示される。無効化の選択肢は、たとえアタッチメント41がノーカットゾーンの近くにあるか、あるいはその中に入ってしまった場合でも、外科医が器具を操作し続けることを可能にする。ステップ640は、外科医が無効化の選択肢を選択的に受け入れるプロセスを表わす。この選択肢が選択されなければ、ステップ636で入力されたコマンドに基づく器具の動作が続行される。
【0235】
代替的に、ステップ640で、外科医は無効化コマンドを入力する。この事象が発生すると、ステップ642で、遠隔ユニット、外科用ナビゲーションコントローラプロセッサ540、ハンドピース制御コンソール542、またはパーソナルコンピュータ544は、無効化動作特性を器具制御プロセッサ(DSP170)にロードする。予め定められたこれらの特性は、ノーカットゾーンまたはその近くでの外科用アタッチメントの使用を制限する。例えば、ステップ636で器具の使用が完全に阻止された場合、ステップ640で、無効化特性が、低い動作レートではあるが、器具の動作を続行させることを可能にする。
【0236】
代替的に、ステップ636でロードされる命令は、制御プロセッサに器具発電ユニットが動作するレートを低減させるだけである可能性がある。この場合、ステップ642でロードされた命令は、制御プロセッサに発電ユニットをステップ636の命令で指定されたより高いレートで動作させるように指示する。ステップ642で新しい命令は、制御プロセッサに発電ユニットを、ステップ636が実行される前に定義されたレートで動作させ続けるように指示することさえある。
【0237】
IV.運動学的機械の位置決め
本発明の統合システムは、患者に装着される運動学的機械を正確に配置するために使用される。通常、運動学的機械は、患者の身体の静的点に対して選択的に配置される少なくとも1つの、しばしば2つ以上の可動リンクを有する。リンクを正確に位置付けることによって、該機械を使用しての治療作業が達成される。図23は1つのそのような運動学的機械、治具アセンブリ648を示す。治具アセンブリ648は、固定マーカブロック656と、装着ブロックに対して移動可能な治具ヘッド650とを含む。治具ヘッド650にはガイドスロット652が形成される。インプラントを骨654に取り付けるプロセス中に、治具ヘッド650は正確に位置決めされる。ひとたび治具ヘッド650およびガイドスロット652がそのように位置決めされると、ソーブレードがガイドスロット652内に挿入され、インプラントが嵌合される空間を形成するために骨の一部分が除去される。
【0238】
マーカブロック656は骨654に取り付けられる。治具ヘッド650は、それ自体可動にマーキングブロック656に取り付けられた位置決めブロック658に可動に取り付けられる。本発明の統合システムは、治具ヘッド650を正確に位置決めして、組織の適切な場所が切削されることを確実にするために使用される。
【0239】
図24Aのステップ672によって表わされる通り、本発明の統合プロセスは、マーカブロック656を固定位置に装着することから開始される。通常、この位置は身体上の位置、例えば骨654の一部分である。外科用構成部品、ここでは治具ヘッド650を配置すべき場所に近い位置でのマーカブロックの位置決めを容易にするために、普通は外科用ナビゲーションシステムが使用される。本発明の1バージョンでは、マーカブロックを骨654に保持するために、マーカブロック656と一体化したピン674が使用される。
【0240】
ステップ676で、治具ヘッド650または他の外科用装置もしくは外科用インプラントがマーカブロック656に取り付けられる。本発明の1バージョンでは、治具ヘッド650およびマーカブロックには相補型脚および溝(図示せず)が設けられる。治具ヘッド650またはマーカブロック656のうちの一方にある脚は、マーカブロック656または治具ヘッド650のうちのもう一方に形成された1つ以上の溝に緊密に摺接嵌合するように、寸法決めされる。これらの2つの構成部品の緊密な摺接嵌合を容易にするために、他の手段を設けることができる。
【0241】
本発明の図示したバージョンでは、治具ヘッド650は位置決めブロック658に可動に取り付けられ、位置決めブロック658はマーカブロック656に可動に取り付けられる。
【0242】
治具ヘッド650がマーカブロック656に対して相対的に移動することを可能にする結合アセンブリに加えて、これら2つの構成部品に集合的に相補型駆動アセンブリが設けられる。この駆動アセンブリは、治具ヘッド650がマーカブロック656に対して相対的に移動することを可能にする。本発明の開示バージョンでは、2つの駆動アセンブリがある。第1の駆動アセンブリは、位置決めブロック658をマーカブロック656に対して相対的に縦方向に移動させる。図23で、この駆動アセンブリは、マーカブロック656に回転装着された円形歯車680、および位置決めブロック658に回転装着されたウォーム歯車682によって表わされる。第2の駆動アセンブリは、治具ヘッド650を位置決めブロック658に対して相対的に水平方向に移動させる。該駆動アセンブリは、位置決めブロック658に回転装着された円形歯車684、および治具ヘッド650に回転嵌合されたウォーム歯車686によって表わされる。
【0243】
ひとたび治具アセンブリ648が患者に嵌合されると、ステップ690で外科用ナビゲーションユニットは治具ヘッドの原位置を判定する。図23で、治具ヘッド650は3つのLED692を有するように示されている。LED692は、治具ヘッド650に組み込まれたトラッカを表わす。位置決めブロック658はまた、3つのLED693をも有するように示されている。LED693は、外科用ナビゲーションユニットによる位置決めブロック693の位置の判定を容易にする。
【0244】
ステップ694で、治具ヘッド650の初期変位率が生成される。この変位率は、外科用ナビゲーションコンソール540、ハンドピース制御コンソール542、またはパーソナルコンピュータ544のような遠隔ユニットの1つによって生成することができる。変位率は、治具ヘッド650が配置される患者における以前に設定された位置、およびステップ690で得た治具ヘッド650の現在の位置に基づく。一般的に、初期変位率は、以前に判定された最終位置に対する治具ヘッド(またはインプラント)の原距離に反比例する。またステップ694で、初期治具ヘッド変位率に基づいて、ハンドピース電動機の初期速度が判定される。ステップ695で、初期のハンドピース電動機速度がハンドピース制御プロセッサ(DSP170)にロードされる。これらのタスクが実行されたことを示すメッセージも表示される。
【0245】
ステップ696で、外科用器具30が駆動アセンブリに取り付けられる。図23で、これは、治具ヘッド650のウォーム歯車686への外科用器具30の結合によって表わされる。この結合は、駆動アセンブリおよび外科用器具の可動部材に相補型結合機能を提供することによって達成される。例えばウォーム歯車682および686の近位端に、閉端方形穴を設ける。外科用器具30の駆動シャフトは、シャフトをウォーム歯車682の近位端の穴内に緊密に摺接嵌合することを可能にする方形の遠位端を有する。
【0246】
ひとたびステップ696が実行されると、ステップ698で、外科医は外科用器具30を作動させて治具ヘッド650を位置決めする。ステップ694で治具ヘッドの変位率または電動機の速度が算出されかつロードされる本発明のバージョンでは、トリガスイッチ46または47を押して器具を作動させると、電動機34が指定された速度で動作するように、制御プロセッサ(DSP170)が自動的にUSER_SPEEDを設定する。外科用器具によって出力される機械的エネルギは、駆動アセンブリが治具ヘッド650を適切な最終位置まで移動するために使用される(ステップは図示せず)。
【0247】
治具ヘッド650が変位する時間中ずっと、外科用ナビゲーションシステムは治具ヘッドの位置を監視する(ステップ702)。ステップ704で、外科用ナビゲーションコンソール540またはハンドピース制御コンソール542は、治具ヘッドと標的位置との間の距離の変化に基づいて、治具ヘッドの変位率または電動機の速度を更新する。ステップ704の一部として、新しいユーザ速度を設定するコマンドデータが絶えずハンドピース制御プロセッサ(DSP170)に送信される。これらのデータに基づいて、制御プロセッサは絶えずUSER_SPEED信号をリセットする。このようにして、治具ヘッド650が標的位置に接近するにつれて、それが移動する速度が低下する。
【0248】
最終的に、外科用ナビゲーションプロセッサ540はステップ706で、治具ヘッドが標的位置に到達したことを判定する。図24Bで、これはループバックするステップ702、704、および706の反復的実行によって表わされる。ひとたび該事象が発生すると、外科用ナビゲーションプロセッサ540またはハンドピース制御コンソール542は、作動停止コマンドを外科用器具に送る(ステップ708)。このコマンドを受け取ると、制御プロセッサ(DSP170)はUSER_SPEED信号をゼロに設定する。これにより、電力調整器(MCC172)は電動機回転子78を作動停止させ、制動する。
【0249】
次いでステップ710が実行され、治具ヘッド650が所望の位置にクランプされる。図23には、止めねじ712がマーカブロック656を貫通して延びるように示されている。止めねじ712は、位置決めブロック658に押し当てるように配置される。このようにして止めねじ712は、位置決めブロック658を正しい位置に保持するクランプ部材として機能する。図示しない同様の止めねじを使用して、治具ヘッド650を適位置に保持することができる。
【0250】
本発明の統合器具システムのこの構成は、電動機付き外科用器具30を使用して、外科用構成部品またはインプラントを正確に配置する。ひとたび運動学的機械がそのように配置されると、器具30は作動停止する。
【0251】
本発明のシステムおよび方法を使用して位置決めすることのできる他の運動学的機械として、身体固定器ユニットがある。1つのそのようなタイプのアセンブリが、頭蓋を鎖骨に対して静止状態に保持するために使用されるハロー型ユニットである。他の運動学的機械が、脊椎円板を相互に固定位置に保持するために使用される。さらに他の運動学的機械は、骨折した骨の破片を一体に保持する。図24Aおよび24Bの方法は運動学的機械の位置決めに限定されないことを、同様に理解されたい。本発明のシステムおよび方法は、身体組織マーカに対してインプラントを正確に位置決めするためにも使用することができる。
【0252】
V.統合型セメント混合
本発明の外科用器具30を有するシステムは、図25を参照することによって分かるように、外科用セメントを混合するためにも使用される。ここで、セメント粉末740はカートリッジ742に含まれる。モノマ(図示せず)もカートリッジ742内に入れられる。カートリッジ内のブレード744はセメント粉末およびモノマを一緒に混合して、セメントの未硬化塊を形成する。ブレード744に取り付けられたシャフト746は、カートリッジ上に配置されたキャップ748から延びる。シャフト746は、外科用器具30の出力シャフト750に結合される。外科用器具30は、混合プロセスの終了時にセメント塊が所望のレートで硬化、固化し、かつ硬化したときに、外科医が選択した所望の空隙率および不透明度を有するように、選択時間量だけ選択速度で作動する。
【0253】
図26a、26b、および26cは集合的に、セメントの適切な混合を助長するために、本発明のシステムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを形成する。プロセスは、ステップ750および752でそれぞれ、混合されるセメントのタイプおよび量を入力することから開始される。ステップ750および752を実行する多数の手段が存在する。本発明の1バージョンで、セメントのタイプおよび量の情報は、ハンドピース制御コンソール542、パーソナルコンピュータ544、またはペンダント548のようなシステムの構成部品の1つにある、特定のタッチスクリーンボタンを押すことによって入力される。
【0254】
代替的に、図27によって表わされる通り、これらのデータは、混合前のセメントを保持するパケット754に由来することができる。ここでは、パケット754に、Philips Semiconductorから入手可能であるような高周波識別チップ(RFID)756が取り付けられる。RFID756はパケット754上に配置される。RFIDを適位置に保持するために、紙またはプラスチックのようなRF透過性保護材758の小片がRFID756に配される。
【0255】
RFID756の内部には、図28のテーブル760によって表わされるメモリがあり、その中にセメントの特性を記載するデータが格納される。これらのデータは、フィールド762によって表わされるセメントのタイプの指摘を含む。セメントの量を表わすデータはフィールド764に格納される。セメントを最後に使用することのできる使用期限日は、フィールド766に格納することができる。セメントと混合すべきモノマ、または少なくともセメントと混合するのに好ましいモノマを指定するデータは、フィールド768に格納される。フィールド768は、所与のパケットのセメントと混合すべきモノマの量に関するデータも含む。セメントを硬化させるために使用すべきでないモノマに関するデータは、フィールド770に格納される。フィールド772は、セメントと混合することのできる受入れ可能な添加材を記載するデータを格納する。フィールド774は、セメントと混合することのできない添加材のリストを含む。
【0256】
RFID756は、プローブ780内の読取器(図示せず)によって走査される。プローブ780および読取器は、ハンドピース制御コンソール542またはコンピュータ544のようなシステムの別の構成部品に接続される。
【0257】
代替的に、本発明の一部のバージョンでは、カートリッジ742は予め測定された量のセメント粉末740を含む。本発明のこれらのバージョンでは、RFID782はカートリッジと一体的に関連付けられる。RFID782はカートリッジキャップ748内に収容することができる。本発明のこれらのバージョンでは、データは外科用器具30内のRFID読取器またはプローブ780内の読取器によって読み出すことができる。本発明のこのバージョンの一部の変形例では、RFID782は、カートリッジ742が収納されるパッケージングに取り付けられる。ここで、ステップ750および752はプローブ780により実行される。
【0258】
ステップ750および752の後、システムはステップ786で、実行される処置にセメント720が適しているかどうかを判定する。ステップ786で、多数の別々の評価が実行される。1つの評価は、RFID使用期限フィールド766内のデータに基づいて、セメントの使用のための期限日が過ぎていないかどうかを判定することである。
【0259】
また、他のデータに基づいて、ステップ786で、セメントのタイプおよび量が処置に適しているか否かに関する判定が行なわれる。これらの判定が行なわれるときの参考データは、データ処置前に外科手術従事者によって入力されるデータに由来することができる。代替的に、これらのデータは、処置を実行するために使用される別の構成部品または計器から得ることができる。例えば、前述し、参照によって組み込まれる2002年8月8日出願の出願人の米国特許出願第10/214,937号「SURGICAL TOOL SYSTEMS WITH COMPONENTS THAT PERFORM INDUCTIVE DATA TRANSFER」。
【0260】
米国特許公開第2003/0093103号は、外科用インプラントにどのようにRFIDを設けるかを記載している。図29は、これらのRFIDのうちの1つのメモリ790に格納されたデータの幾つかの部分的リストである。フィールド792によって表わされるように、これらのデータは、インプラントを取り付けるために使用することのできるセメントのタイプの指摘を含む。使用すべきでないセメントを示すデータは、フィールド794に格納される。フィールド796は、一般的に必要なセメントの量を示すデータを格納する。処置で嵌合されるインプラントがメモリ790のデータを有するタイプである場合には、ステップ750の前に、システム、例えばパーソナルコンピュータ544が、好ましいセメントのタイプおよび量のデータを表示する。
【0261】
セメントが受け入れられないことが判定されると、システムは、ステップ797によって表わされるように、警告を表示する。ステップ797で、警告は警告の原因、例えば間違ったセメント、期限切れのセメント、またはリコールされたロットを指摘する。警告が提示された後で、外科手術従事者によって実行されるステップは示されていない。外科手術従事者は、新しいバッチのセメントを混合してプロセスを再始動することを決断し得る。代替的に、外科手術従事者は、例えばセメントの使用期限日が最近過ぎたばかりである場合、警告の原因が混合プロセスの再始動を正当化するものではないと判断し得る。そのような状況で、外科手術従事者は警告表示と共に提示された確認ボタンを押す。次いで、確認の入力は外科的処置のログに記録される。図26Aで、警告の発生後に実行されるステップ、ステップ797は示されていない。ステップ798は、混合ユニット、例えばカートリッジ742へのセメントの添加である。
【0262】
セメントが満足できることが判定されると、システムはステップ799で、セメントと混合することが容認できるモノマの指摘、ならびにセメントおよびモノマを混合ユニット(カートリッジ722)に最初にロードするときの順序を表示する。これらのデータはシステムに事前にプログラムすることができる。代替的に、メモリ760のフィールド768および771によって表わされるように、これらのデータはセメントと一体化したRFID756に格納し、そこから取り出すことができる。
【0263】
シーケンスにおいてモノマを入力する時間になると、モノマの特性に関するデータがシステムに入力される(ステップ803)。このステップは手動的に実行することができる。代替的に、モノマが貯蔵されている容器805に取り付けられたRFID804が読み出される。このRFID804は、セメントパケットのRFID756を読み出すために使用されたのと同じ構成部品によって読み出される。RFID804は、図30のテーブル808によって表わされるメモリを含む。モノマのRFIDメモリ808の内部には、モノマの種類を示すデータフィールド810、モノマの量を示すデータフィールド812、および使用期限日を示すデータフィールド814がある。RFIDメモリ806だけでなく、セメントのRFID756のメモリ760にも、製造者および製造ロット番号に関する情報が格納されたデータフィールドがあることも、図示されていないが、理解されたい。
【0264】
ひとたびステップ803が実行されると、システムはステップ818を実行して、モノマが受け入れられるかどうかが判定される。このステップは、以前に得た参考データに基づいて実行される。これらの参考データはシステムにハード格納するか、処置前に格納するか、あるいはセメントのRFID756から得たデータとすることができる。ステップ818で、添加のために選択されたモノマが受け入れられないことが判定された場合、システムは警告を表示する(ステップ820)。ステップ820は、外科手術従事者に警告の原因の通知が与えられる点で、ステップ797に類似している。外科手術従事者は次いで、該モノマを使用するか、あるいは新しい容器のモノマを選択することを決断することができる。外科手術従事者が潜在的に問題のあるモノマを使用することを選択した場合、確認が入力される。ステップ820の実行後に実行されるステップは示されていない。
【0265】
ステップ818で、モノマが受け入れられると判定された場合、それは混合ユニット(カートリッジ742)に添加される(ステップ821)。
【0266】
ステップは示されていないが、本発明のシステムおよび方法は、セメント混合物に添加されるモニタの量も監視することを理解されたい。量的判定は、数量フィールド812に示される全てのモノマが混合物に添加されると仮定することによって行なわれる。この量がフィールド768に指定されたセメントの量に対して多量または大量すぎる場合、適切な警告メッセージが表示される。この評価で、システムに添加されたモノマが多すぎたことが示された場合、このシステムは、混合物を廃棄すべきか否かに関して決断することができるように、通知を提供する。評価で、添加されたモノマが少なすぎることが示された場合、通知は追加モノマを添加する機会を提供する。
【0267】
セメントおよびモノマが混合ユニットに入れられた後、ステップ822で表わされるように、添加材もユニットに入れることができる。セメント混合物に含まれる1つの添加材はときには治療用物質、例えば抗生物質である。含めることのできる別のタイプの添加材として、医用撮像ユニットのセメントの画像を取り込む能力を改善するように企図された物質がある。硫酸バリウムは時々、この目的のためにセメントに添加される。
【0268】
図26Aで、添加材の添加は単一のステップ822として示される。本発明のシステムおよび方法では、添加材を含める必要性、またはプロセスが添加材を添加すべき時ではないことを示す画像を提示することができることを理解されたい。添加すべき添加材の特性に関するデータは、セメント粉末およびモノマに関するデータが入力される方法と同様に、手動または電子的手段を用いて入力される。添加材が貯蔵されれる容器と一体化したRFIDが読み出される。システムに添加材説明データが提供される場合、添加材および/または添加材の量が受け入れられるか否かを判定するために、ステップ818と同様のステップが実行される。
【0269】
この判定が行なわれるときの参考データは、セメントのRFIDメモリ760のフィールド772または774に由来することができる。代替的に、これらの参考データはインプラントのRFIDメモリ808のフィールド823および824から読み出される。ここで、フィールド823は、インプラントと共に使用することが容認され、または望ましいまたは必要である添加材を指摘するデータを含む。フィールド824は、インプラントと共に使用するのに適さない添加材を記載するデータを含む。フィールド772および823はまた、効果的な量が存在することを確実にするために添加すべき添加材の体積または質量を指摘するデータをも含むことを理解されたい。容認でき、所望され、要求され、かつ容認できないデータを記載する同様のデータは、モノマ容器に関連するRFID804の一部にも格納される。
【0270】
ステップ822は、添加材がセメント形成混合物に含めるのに適しており、かつ十分な量の添加材が含まれていることを確認するサブステップを含むことも理解されたい。
【0271】
上記プロセスステップは異なる順序で繰り返し、かつ/または再実行することができることも理解されたい。上記ステップが再実行される正確な回数およびそれらの実行順序は、混合されるセメントの量、およびセメント、モノマ、および添加材が混合ユニット(カートリッジ722)に加えられる順序に応じて判定される。一部のセメントおよびモノマは、交互の順序で混合される。他のセメントは、最初に全ての粉末を加え、次いで全てのモノマを加えることによって作られる。そのような順序データ(セメントのRFID756から得られる)および数量データ(インプラントのRFIDメモリ790から得られる)は、初期成分添加ステップが実行される順序を最初に判定するために、システムによって使用される。これらのステップを実行するための順序を示す指示データは、システムによって画面の1つに提示されることを理解されたい。
【0272】
セメント混合物を形成するために混合される材料が混合ユニットに添加されると、外科医が選択した固化時間が、ステップ828によって表わされるように、システムに入力される。「固化時間」とは、混合の後、未硬化セメントがそのピーク散熱反応をするまでの時間量である。この事象の発生は、セメントがもはや容易に成形できないポイントまで硬化したことを意味する。セメントを容易に適切に成形することができる時間である「作業時間」は固化時間に正比例し、かつそれより短い。
【0273】
ステップ829で、硬化したセメントの所望の空隙率を示すデータがシステムに入力される。これらのデータは入力するか、あるいはインプラントのRFIDメモリ790のフィールド832のデータに基づくことができる。本発明の一部のバージョンでは、ステップ829は、インプラントのメモリフィールド831から取り出された空隙率レベルの表示から開始される。次いで外科医は推薦レベルを受け入れるか、あるいは現在の外科的処置の詳細に基づいてレベルを調整する。インプラントが空隙率レベルを提供しない本発明のバージョンでは、システムはステップ829で、外科医に選択空隙率レベルを入力するように指示する。
【0274】
システムはステップ831で、混合を実行するために使用される器具の特性をも判定する。これらのデータは、タッチスクリーン画面に提示されるボタンを押すことによって入力される。代替的に、これらのデータは、データトランシーバヘッド530を介して器具制御プロセッサ(DSP170)によって提供される器具識別特性データに基づいて、システムによって知られる。
【0275】
ステップ832で、周囲温度および相対湿度がシステムに入力される。これらのデータは手動的に入力される。代替的に、環境モニタ833が手術室内にあり、他のユニット(ハンドピース制御コンソール542またはパーソナルコンピュータ544)の1つに接続される。環境モニタ833は、温度および湿度に感応するトランスデューサを含む。これらのトランスデューサによって生成される出力信号は、セメント混合プロセスを制御しかつ監視するシステムユニットに転送される。システムのこの構成では、ステップ832は人間の関与無しに実行される。
【0276】
ステップ834で、混合システムの詳細がシステムに入力される。これらの詳細は混合ユニットのタイプ(ボウルまたはカートリッジ)、ブレードのタイプ、ブレード振動ユニットの有無、加熱器の有無を含む。
【0277】
上記データに基づいて、システムはステップ836で、混合プロセス変数を生成する。これらの変数は電動機34が動作する速度、混合時間、電動機が動作する全時間、およびブレードの方向(一方向または循環順方向/逆方向/順方向/逆方向)を含む。混合システムが長手方向にブレードを振動させることができる場合、振動レートが判定される。混合ユニットが加熱器を有する場合、混合ユニットが加熱される目標温度が判定される。
【0278】
ステップ836で、上記混合変数は、パーソナルコンピュータ544のような構成部品に含まれるルックアップテーブルに格納されたデータに基づいて判定される。代替的に、またはルックアップテーブルのデータと組み合わせて、混合変数は格納されたアルゴリズムの実行に基づいて判定される。ステップ750、752、803、822、828、829、831、832、および834で入力されたデータ、および/またはルックアップテーブルからのデータは、アルゴリズムのための入力変数として機能する。
【0279】
ルックアップテーブルおよびアルゴリズムの定数、係数、および指数は一般的に、実証分析によって判定される。表1は、上記の変数と電動機34が動作するレートおよび/または混合時間との間の一般的関係をリストする。
【表1】

【0280】
電動機の速度および混合時間は、器具のタイプに応じて異なる。例えば取り付けられた器具が低速リーマである場合、混合時間は、器具が一般的により高速で動作するドリルであった場合より長くなる可能性がある。ブレードのタイプ、および混合ユニットのタイプのような混合システムの構成部品のような変数は、混合速度および/または混合時間に様々に影響する。
【0281】
一般的に、比較的短い固化時間のセメントを希望する場合、システムは、混合ユニットの加熱器が混合されるコンパウンドの温度を下げることを判定する。ブレードの回転方向、およびそれが長手方向に振動するか否かは一般的に、セメントのタイプ、添加材のタイプ、ブレードのタイプに応じて異なる。
【0282】
また、ステップ836で、混合プロセスの終了時の混合されたセメントの粘度が判定される。再び、これは一般的に実証的プロセスによって判定される。実証的プロセスに基づくルックアップデータは、システム、例えばパーソナルコンピュータ544または病院の中央データベースに格納される。これらのデータに基づいて、器具の電動機34によって引き出すべき電流の判定も、ステップ836で生成される。本発明の一部のバージョンでは、これらの後者のデータだけが生成される。本発明の好ましいバージョンでは、システムは電動機が実際の混合プロセス中に経時的に引き出すべき電流を表わすデータを生成する。図31のプロット840は1組のそのようなデータを表わす。
【0283】
ステップ842で、システムは次いで混合設定値を器具制御プロセッサ(DSP170)に転送する。最低限、ステップ842でシステムは、ステップ836で判定された通り電動機が駆動すべき速度を示すデータを器具制御プロセッサに提供する。ブレードが順方向/逆方向/順方向/逆方向に循環する場合、最小限のデータは、電動機を各方向にどれだけ長く回転させるべきかの指示を制御プロセッサにプリロードすることをも含む。ステップ842で、システムはさらに、判定された混合時間を示すデータを器具制御プロセッサに提供することができる。また、ステップ842の一部として、器具がセメントを混合するように設定されたことが、システムによって表示される。
【0284】
次のステップ、ステップ844は、混合を実行する器具の作動である。混合の前に、ブレードの所望の回転に影響するように、ブレードシャフト746が器具のシャフト750に結合される(ステップは図示せず)ことを理解されたい。器具速度はすでに設定されているので、外科手術従事者は、電動機が正しい速度でかつ/または正しい期間回転することを確実にするために、トリガスイッチ46または47を正確に押すように精神的または身体的に努力する必要が無い。プリロードされた命令に基づいて、制御プロセッサ(DSP170)は、適切なUSER_SPEED信号ならびにFORWARDおよびREVERSE信号を電力調整器(MCC172)にアサートする。このようにして、プリロードされた命令は電動機34を正しい速度で正しい方向に回転させる。
【0285】
外科用器具が作動すると、システムは、ステップ846によって表わされるように、器具がどれだけ長く作動するか、およびハンドピース電動機によって引き出された電流の両方を監視する。本発明のシステムの一部のバージョンでは、これらのデータは遠隔ユニット(ハンドピース制御コンソール542またはパーソナルコンピュータ544)に送信される。
【0286】
ステップ848および850は、混合プロセス全体で、システム、一般的に遠隔ユニットが、ハンドピース電動機34によって引き出される電流を監視することを表わす。特に、ステップ848で、システムは、引き出される電流が混合プロセス中の所与の時間に引き出される予想される電流よりかなり低いか否かに関して行なわれる判定を監視する。図31で、受入れ可能な最小引出し電流は破線プロット852によって示される。したがって、時間tNで受入れ可能な最小引出し電流はIMINである。引出し電流が受入れ可能な最小引出し電流レベルより低い場合、セメントは、混合プロセスのその時点であるべき粘度より低い粘度になる可能性が高い。セメントがこの状態である場合、システムは、混合時間および/または電動機のRPMを増大する命令を生成するステップ856を実行することによって応答する。(これらの命令を器具30に送信し、器具によりそれらを実行するステップは図示しない。)
【0287】
ステップ860で、システムは、引出し電流が混合プロセスにおけるその時点に対する最大レベルを超えているかどうかを判定する。図31で、任意の時間における最大引出し電流は、破線プロット858によって表わされる。時間tNで、受け入れられる最大引出し電流はIMAXである。引出し電流が受入れ可能な最大レベルより高い場合、セメント混合物は、混合プロセスにおけるこの時点にあるべき粘度より高い粘度になる可能性が高い。セメントがこの状態である場合、システムはステップ861で、混合時間および/または電動機のRPMを低減する命令を生成する。(これらの命令を器具30に送信し、器具によりそれらを実行するステップは図示しない。)
【0288】
システムはまた、混合を実行する外科用器具が混合時間に等しい時間だけ作動したかを監視する(ステップ862)。ステップ862で、セメントが選択された時間混合されたことが判定されると、外科用器具30は作動停止する(ステップ864)。この作動停止は、器具制御プロセッサ(DSP170)が格納された命令に基づいて混合時間の終了時にゼロ速度USER_SPEED信号を自動的に発生することに基づいて生じ得る。代替的に、遠隔ユニットが、ゼロ速度USER_SPEED信号をアサートするように制御プロセッサに指示する特定の命令を外科用器具30に対して発生する。
【0289】
器具30の作動停止の直前に器具電動機34によって引き出される電流も再度検査される(ステップ866)。ステップ866で、この引出し電流を検査して、それが混合プロセスの終了時に期待される受け入れられるレベルより高いかどうかが判定される。システムは肯定的な判定を、混合されたセメントが期待されるより高い粘度を有することを示すものと解釈する。これは、混合されたセメントが作業し難くなり、固定時間が切れることを意味する。したがって、ステップ866の判定が肯定的である場合、システムはステップ868で、セメントの異例な状態に関する警告を提示する。外科手術従事者がセメントを使用することを選択した場合、彼らはシステムに確認を入力する(ステップは図示せず)。
【0290】
ステップ866の評価が否定的であることを示した場合には、セメントは受入れ可能な粘度である。システムは、ステップ870によって表わされるように、セメント混合物が満足できることを示すメッセージを発生する。
【0291】
セメントの混合が完了すると、システムはステップ872で、予想された固化時間を判定する。この判定を行なうために使用される1つの入力変数は、電動機34によって引き出される電流の最後の尺度である。上述の通り、これらのデータはセメントの最終粘度に比例する。この判定を行なうために使用される他の入力変数として、以前に入力されたデータ、すなわちセメントのタイプ、周囲温度、周囲相対湿度、量を含む添加材、および(存在するならば)混合ユニット加熱器温度がある。
【0292】
ステップ872における固化時間の判定は、ステップ836で混合時間を判定するために用いられたのと同様の方法論を使用して実行される。経験的に導出された参考データを使用して、ステップ872で固化時間を判定するために使用されるルックアップテーブル、定数、係数、および/または指数が生成される。表2は、混合後の未硬化セメントと固化時間との間の一般的関係をリストする。
【表2】

【0293】
ひとたび固化時間が判定されると、ステップ872はこの時間を表示して終了する。ステップ872は、868の電流引出し検査の代替物として、またはその後に実行することができることを理解されたい。本発明のこれらのバージョンでは、固化時間が短すぎ、例えば外科医選択固化時間のわずか80%または90%であることが判定された場合には、警告表示ステップ870が実行される。
【0294】
外科医の選好に基づいて、ステップ872でシステムはセメント作業時間を算出して表示することを、同様に理解されたい。
【0295】
ステップ874で、システム(パーソナルコンピュータ544)は固化時間を示す表示画面で時間をクロックダウンする。システムはまた時間が予想固化時間に近づくときをも監視する(ステップ876)。固化時間が近づくと、ステップ878で警告が提示される。この警告は、視覚的であることに加えて、聴覚的であることもできる。また、セメントが混合されるときに、電動機34によって引き出される電流が絶えず、受入れ可能な最小レベルより下であり続けることも理解されたい。この事象が発生すると、混合プロセスは固化時間境界を超えて増加する。ステップ882で(図26E)、システムは混合時間を監視して、それが過度でないかどうかを判定する。この判定結果が肯定的である場合、警告が提示される。これは外科手術従事者に、セメントを混合するために使用される構成部品に何か異常があるという通知を提供する。
【0296】
本発明のシステムの上記構成は、外科用セメントの混合を自動化する。外科手術従事者には、セメントのタイプおよび量、モノマのタイプおよび量、セメントが使用される構成部品、インプラントの関数として望ましい/必要な添加材のような、セメントを形成するために使用すべき混合成分が自動的に通知される。これは、潜在的に不適切な成分または成分量がセメント混合物に導入される可能性を低減する。同様に、セメントを形成するために使用される成分、外科医の選好、および混合システムの構成部品に基づいて、成分が一緒に混合される時間およびプロセスが自動的に算出される。これは、これらの計算を行なうのに要する時間、および人為ミスが結果的に不正確な計算をもたらす可能性を低減する。
【0297】
実際の混合プロセス中に、本発明のシステムは、混合を実行するために用いられる器具30の動作を調整する。外科手術従事者は、器具が成分を一緒に適切に混合してセメントを形成することを確実にすることに、かなりの精神的および身体的努力を注ぐ必要が無い。再び、器具30の自動制御のため、人為ミスが結果的に過度のまたは不十分な混合を引き起こす可能性が実質的に低減される。
【0298】
混合プロセスが完了すると、システムは、セメントが使用するには粘度が高すぎないか、あるいは速く固化しすぎないかどうかを即時に示す。システムはまた、セメントがいつ固化するかを示すデータも提供する。したがって、セメントが10分の固化時間を有することを希望することを外科医が示した場合、システムは固化時間が足りない、例えば9分30秒である場合、それを示す。この情報は、外科的処置の特定の部分を比較的速いレートで実行しなければならない可能性があることを、外科医に知らせる。代替的に、システムによって生成されるデータが、わずかに長い時間で、例えば10:00分の代わりに11:00分で固化時間に達したことを示す場合、外科医は同様にこの事実を知らされるので、外科医がこの事実を認識し、処置の実行を適切に調整することができる。
【0299】
VI.補助ユニットの通信および電力共用
上述の通り、トランシーバヘッド530またはトラッカ539(両方とも図17)のような補助ユニットを、本発明の電動外科用器具30に取り付けることができる。そのような接続することのできる他のタイプの補助ユニットとして、レーザポインタおよび光源がある。さらに別の分類の補助ユニットは、検知機能を実行する。1つのそのような補助ユニットとして赤外トランスデューサが挙げられる。このタイプの補助ユニットは、手術部位の組織の温度を監視するために使用される。
【0300】
図32および33は、データ信号がそれを介して補助ユニットと交換される接点920が本発明の外科用器具30dにどのように設けられるかを示す。接点920はまた、器具電池42(図6E)からの電力がそれを介して選択的に補助ユニットに供給される導電部材としても働く。
【0301】
器具30dは、ヘッド36d付きでそこからハンドル38dが延びるハウジング32dを有する。ハウジング32dは、ハンドル38dから近位側に延びるヘッド36dのヘッド底面910が平面的であるように形成される。キャップ912はハウジングヘッド36dの開放近位端を閉鎖する。キャップ912の基部は、ヘッドの底面870と共平面である。2つの相隔たる矩形陥凹914が、キャップ872の平坦な底面に形成される。器具30dは単一のスイッチ46を有するように示されている。
【0302】
ヘッド底面910には、キャップ912が縁に沿ってハウジング32dと界接する部分に開口する、矩形のカットアウト916が形成される。カットアウト876内に端子918が着座する。ハンドル38dに向かって下方に延びる接点920は、端子918の一部である。本発明の図示したバージョンでは、4つの接点820が設けられる。
【0303】
図34は、接点920が接続される器具30d内部の構成部品を示す。2つの接点920は通信接点である。本発明の1バージョンでは、器具30dと補助ユニットとの間の通信は、Philips Semiconductorから入手可能なI2Cプロトコルに準拠する。したがって、接点920のうちの最初の1つは、クロック信号、SCL信号がそれを介して送信される接点である。第2の接点920はシリアルデータ信号、SDL信号がそれを介して交換される接点である。図34で、通信接点として機能する各接点920はDSP170aに接続される。さらに詳しくは、各接点は抵抗器886を介してDSP170aに接続される。ダイオード888は各抵抗器886をまたいで直列に接続される。ダイオード888は、DSP170aから補助ユニットに放射されるSCLおよびSDA信号のために、抵抗器886を迂回する低抵抗バイパス路を提供する。
【0304】
逆バイアスツェナダイオード890がDSP170aの各I2Cピンとグランドとの間に接続される。このようにしてダイオード890は、DSP170aを電圧スパイクから保護する。
【0305】
接点920のうちの第3の1つは、器具電池42の電荷がそれを通して補助ユニットに供給される導電部材として機能する。電池42は、常開pチャネルFET896によって接点920に選択的に結合される。BATT+信号はFET896のドレインに印加される。接点920はFETソースに結合される。BATT+は、通常FETを開状態に保持するように、抵抗器898を介してFET896のゲートに印加される。
【0306】
nチャネルFET902はFET896のゲートの電圧をソース電圧より低くして、FET896を選択的に閉じさせる。FET902のソースは、抵抗器904によってFET896のゲートに接続される。FET902のドレインはグランドに結合される。FET902は、DSP170aからの単一のアサーションによってゲーティングされる。ツェナダイオード906は、BATT+ピンと抵抗器898および904の接合部との間に逆バイアス接続される。ダイオード908はFET896のソースとグランドとの間に逆バイアス接続される。
【0307】
通常、抵抗器898を介してFET898のゲートに印加されるBATT+信号は、FET898をオフ状態に保持する。
【0308】
補助ユニット(図示せず)は、ユニットがハウジングヘッド36dの近位端に被嵌することを可能にする開面シェルを有することができる。シェルがそのように配置されると、シェルと一体化した可動フィンガがハウジングの陥凹部874に着座する。補助ユニットの一部である係止機構がフィンガを陥凹内に保持するので、フィンガは補助ユニットを器具30dに保持する。
【0309】
2C通信リンクで受信される補助ユニットからのデータは、補助ユニットが電池42に蓄積された電力を引き出すことを許されたことを、DSP170aに知らせることができる。補助ユニットがそのように許可された場合、DSP170aは信号をアサートしてFET902をゲーティングする。したがってFET902は閉じて、抵抗器904をグランドに結合する。この結果、FET896のゲートに存在する電圧はソースの電圧より下に降下して、FET896をオンにする。
【0310】
図34に示すように、第4の接点920は、補助ユニット内部の回路と器具30dの回路のグランドとの間の接続を確立する。
【0311】
本発明の外科用器具30の密閉モジュール40は、器具発電ユニット(電動機34)の作動を調整し、かつユーザ作動制御部材(トリガスイッチ46および47)を監視する回路構成部品を、単に保護する以上のことを行なう。モジュール40は、発電ユニットの動作状態を表わす出力信号を生成するセンサ(ホールセンサ74および76)をも保護する。センサ74および76は、オートクレーブ滅菌の厳しい湿潤環境に曝露されない。センサをそのように保護することによって、それらの故障の可能性が低減される。
【0312】
電動機34を含む本発明の外科用器具30のバージョンのさらに別の特徴は、電動機回転子78の位置を表わす信号を提供するために、2つだけのセンサ、ホールセンサ74および76が必要であることである。これは、ブラシレス直流電動機の位置を監視するために必要なフィードバックを提供するために通常使用されるセンサの個数を1つ低減させる。これは、従来の監視アセンブリに勝るコスト削減を意味する。
【0313】
また、2つのホールセンサ74および76の使用、および電動機が始動するとき、0RPM状態の回転子の位置を判定するための正確な手段を提供する手段は、電動機を始動させかつ初期回転子位置を判定するために、かなりの量の電力を消費し得る他の手段を使用する必要性を排除する。これは、電動機を付勢する電力が電池42に由来する本発明のバージョンでは、特に有用である。本発明の始動時の低下電力引出しの最小化は、電池が放電するまでに電動機34を付勢するために任意の1個の電池を使用することのできる全体的時間を増大するのに役立つ。
【0314】
電力制御モジュール40の構成は他の利点を有する。特に装着板119は、FET82a〜82c、84a〜84c、および336a〜336cが装着される単なる部材以上の機能を果たす。装着板119は、FETから器具ハウジング32に熱を取り去るヒートシンクとして働く。装着板の遠端部121は、モジュール前板92がトリガスイッチ46または47の近位端と当接するのを防止するスペーサとして機能する。そのような接触が発生することを許すと、磁石56および57によって放射される磁界のパターンに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0315】
制御モジュール40の組立て中に、装着板は回路基板64用の裏当てとして機能する。これは、FET84a〜84cおよび336a〜33cと回路基板の隣接面との間のワイヤボンディングを実行するために、別個の裏当て板をアセンブリプロセスに導入する必要性を排除する。ひとたび制御モジュール40が製造されると、装着板64は回路基板64用の支持ブラケットとして機能する。
【0316】
本発明の外科用器具30のさらに別の特徴は、器具が作動している途中であるか、あるいは作動されたばかりでない限り、制御回路構成部品がスリープモードであることである。制御回路構成部品がこのモードにあるときは、それらが活動モードにあるときより、少ない電力が消費される。この構成は電池42の引出しを最小化する。トリガスイッチ46または47いずれかが最初に静止位置から変位したときに、センサ66または70は基本的に直ちに状態変化を経験する。この結果、制御回路の残部が基本的に同時に覚醒モードに遷移する。したがって、本発明のこの特徴は電池42の電流引出しを低減するのに役立つが、器具の動作に目立った影響は無い。
【0317】
本発明の外科用器具30はさらに、作動部材(トリガスイッチ46および47)の押込みに応じて生成される器具制御信号を変化させるべく、器具(DSP170)内部の制御プロセッサが選択的にプログラムされるように構成される。上述したプロセスによって示したように、本発明のこの特徴は、部材の作動に基づく器具発電ユニット(電動機34)の動作を、医師の選好、取り付けられた外科用アタッチメント41のタイプ、実行される処置、または処置の時点に基づいてカスタム設定することを可能にする。したがって、本発明のコードレス外科用器具30は、以前にはコード接続型器具だけがそのように構成されかつ動作することができたのと基本的に同じ方法で、カスタム構成し、かつカスタム動作することができる。
【0318】
VII.代替的実施形態
上記説明は、本発明の特定の実施形態に向けられている。本発明の他のバージョンは、これまで説明したものとは異なる特徴を有することができる。例えば、記載した電動機は回転シャフトを有するが、本発明の他の電動機付き外科用器具は、振動または往復運動する駆動部材を有する。
【0319】
本発明が電動機付き外科用器具に限定されないことは、同様に明白である。本発明の他の外科用器具は、RFエネルギ、熱、光エネルギ、または超音波エネルギを放射するように設計されたユニットのような、他の発電ユニットを有することができる。
【0320】
発電ユニットの動作を監視する制御モジュール内部の検知トランスデューサのタイプは、発電ユニットのタイプに応じて異なる。例えば、発電ユニットがRFエネルギを放射する場合、ユニット内部には、ユニットによって放射される電力に応じて磁界を発生するインダクタが存在し得る。モジュール内部には、磁界の強度を監視する記述したホール効果センサと同様のセンサがある。代替的に、発電ユニットは、ユニットの動作状態に応じて紫外、可視、または赤外スペクトルの光を放射し得る。例えば発光発電ユニットによって放射される光の一部分は、制御モジュールの方向に転向し得る。代替的に、RF発電ユニットは、手術部位または関連する外科用アタッチメントが加熱される程度に応じて赤外光信号を放射する部材を含むことができる。本発明のこれらのバージョンでは、モジュールの構造的構成部品は、発電ユニットまたは手術部位によって放射される光のタイプを透過する窓を含む。制御モジュールの内部、窓の背後には、放射される光のスペクトルに感応するトランスデューサがある。
【0321】
代替的に、制御モジュール内部のトランスデューサアセンブリは、発電ユニットによって放射される機械的エネルギに感応する。例えば、発電ユニットが振動トランスデューサを含む場合、外科用器具は、発生する振動の一部分がそこを通して制御モジュールに伝達される導管を有することができる。本発明のこのバージョンでは、制御モジュールの構造壁は、これらの振動を目立つほど減衰しない材料から形成される。制御モジュール内部の運動感受性トランスデューサは、出力される振動に応答して信号を発生する。
【0322】
発電ユニットが何らかのタイプの電動機アセンブリである本発明のバージョンでさえも、発電ユニットの動作を遠隔的に監視する制御モジュール内部のセンサアセンブリは、必ずしも磁気強度センサである必要はないことを同時に理解された。例えば本発明の一部のバージョンでは、制御モジュールセンサは、電動機によって放射または反射される光に反応する感光ユニットである。本発明のこれらのバージョンでは、電動機34は、異なる反射率の材料が適用される可動面を備えるか、有する。光は可動面に向かって放射される。制御モジュール内部には、固定領域から反射する光を監視する感光トランスデューサがある。可動面が固定領域を通過するときに、センサによって検出される反射光の量は、適用される材料の反射率により変化する。したがって、発明のこのバージョンでは、制御モジュールに配置されたセンサは、磁界を監視することなく、機械的発電ユニットの動作状態に関するフィードバックを提供する。磁気的にバイアスしてもしなくてもよいインダクタもまた、センサとして機能することができる。
【0323】
同様に、本発明の一部のバージョンでは、制御モジュール内部のセンサは、電動機によって発せられ、制御モジュールを介して伝達される機械的運動、振動に感応する。
【0324】
さらに本発明の一部のバージョンでは、磁束管が、器具発電ユニットによって放射されるエネルギを制御モジュールに伝達するための導管として働くことができる。そのようなアセンブリを図35に模式的に示す。ここで、放射エネルギのための良好な導管として働き、あるいはエネルギを透過する磁束管924は、発電ユニット34から延びる。例えば磁気エネルギが発電ユニット34によって放射される場合、磁束管924は透磁率の高い材料から形成される。(この状況で、磁束管は実際には、透磁率の高い材料の中心コア、比較的不透磁性の材料の内部スリーブ、および透磁率の高い材料の外部スリーブを含むことができる。)放射エネルギが光エネルギである場合、磁束管920は、発電ユニットによって放射される光を比較的透過する材料から形成される。磁束管の自由端は、モジュールセンサを封入する制御モジュール構造部材に隣接して終端する。本発明のこの構成の利点は、発電ユニットから、そうでない場合にモジュールを配置することが可能になるより遠くに離して、制御モジュールを配置することが可能になることである。
【0325】
同様に、本発明の全てのバージョンで、制御モジュール40を気密密閉することが要求されないことを理解されたい。製造経済性または他の要因から、制御モジュールをそのような組み立てることは望ましくない可能性がある。したがって、モジュール内部の構成部品を滅菌の厳しさから保護することが依然として必要である本発明の一部のバージョンでは、モジュールにポッティングコンパウンドを充填することができる。
【0326】
同様に、本発明の全てのバージョンが、上述した構成部品の各々を有する必要はない。したがって、本発明の一部のバージョンでは、制御モジュールは、手動的に作動される制御部材の作動を監視するためのセンサを含まなくてもよい。同様に、本発明の器具30は必ずしもコードレスである必要はない。同様に、本発明の多くのバージョンで、電動機回転子の位置を表わす信号を生成するホールセンサ74および76が制御モジュールに取り付けられるが、必ずしもそうする必要はない。本発明の一部のバージョン、例えばセンサを厳しい環境から保護する必要のない本発明の器具では、製造経済性または他の要因から、センサ74および76の一方または両方を、制御モジュールの外部に配置することが必要な可能性がある。例えばこれらのセンサは、電動機回転子78の比較的近くで、器具に配置することができる。
【0327】
また、制御アセンブリに本発明の装着板構成上の電力FETを設けることが望ましい器具があり得る。しかし、他の理由で、作動部材センサも発電ユニットセンサもモジュールに配置されない。本発明のこれらのバージョンでは、制御アセンブリは密閉モジュールでさえない可能性がある。
【0328】
この器具の独創的な特徴は外科用器具以外の器具に使用することができることを、同様に理解されたい。
【0329】
電動機回転子78の位置を表わす信号を生成するためにホールセンサ74が使用される、本発明に従って構成された電動機付き器具では、HALLx信号がいつ状態遷移を行なうかを判定するために信号基準レベルを絶えず更新する、上述したプロセスを実行する必要が無い可能性がある。実証分析により、ホールセンサ74からの出力信号が器具動作の時間全体にわたって、かつ温度が変化しても、比較的安定していることが判定される場合、この更新は排除することができる。これらのステップを排除すると、制御プロセッサ(DSP170)が実行しなければならないプロセスステップが減少される。
【0330】
また、本発明のシステムおよび方法によって実施されるプロセスステップは、記載したものとは異なってもよい。例えばステップ494で、制御プロセッサ(DSP170)は線形方程式の方程式1を使用し、トリガ変位に基づいて、USER_SPEED信号を生成する。方程式1は、USER_SPEED信号を生成するために使用することのできる単なる1方程式の例である。代替的に、制御プロセッサは、トリガ変位の関数として非線形的に変化するUSER_SPEED信号を生成するように設定することができる。
【0331】
例えば図36のプロット930は、方程式1を変形した場合、トリガスイッチの変位により指数関数的に増加するUSER_SPEED信号を制御プロセッサ(DSP170)がどのように出力するかを示し、プロット930は概して指数関数的であるが、不連続部932も有する。不連続部932は、特定の速度を超えるとスキップするUSER_SPEED信号を生成するように、いかにして制御プロセッサ170をさらにプログラムすることができるかを表わす。この不連続性が望ましい1つの理由は、バーのような外科用アクセサリ41がバーの固有共振周波数に等しい速度で回転するのを防止するためである。該周波数でのバーの駆動を回避することにより、バーが作動している間に振動する程度が最小化される。
【0332】
同様に、本発明の器具を動作させるために使用されるプロセスは、様々な構成部品の使用のため、変化することがある。例えば始動時の0RPMの回転子の位置を判定するステップ378の検査は、センサ76が電気的にセンサ74の60°以内であるという前提に基づいている。本発明の代替的構成では、センサ76は電気的にセンサ74の60°から120°の間である。本発明のこれらのバージョンでは、センサ76は回転子の位置に応じてデジタル信号を出力することさえある。図9で、この信号はプロット908によって表わされる。
【0333】
ここで、始動時に、ステップ378で、回転子が位置付けられる特定の(電気的)六分角の判定は、次のプロセスに従って行なわれる。回転子78が0から60°の六分角または120から180°の六分角のいずれかにあることを、センサ74からの正規化出力信号が示している場合、
センサ76の信号>0
であるか否かを判定する検査が行なわれる。
【0334】
この判定が偽となった場合、センサ信号は集合的に、回転子が0から60°の間の角度位置にあることを示す。この判定が真となった場合、信号は集合的に、回転子が120から180°の間の位置にあることを示す。センサ74からの正規化出力信号が、回転子は180から240°の六分角または300から360°にあることを示した場合、センサ76からの出力信号の上記検査が実行される。ここで、この判定が真となった場合、センサ信号は、回転子が180から240°の間の角度位置にあることを示す。この判定が偽となった場合、回転子は300から360°の間の位置にある。
【0335】
本発明の上記バージョンの利点は、センサ74および76の出力信号の振幅を相互に対して正確に設定する必要性が排除されることである。本発明の前述のバージョンでは、記載した比較を実行することのできる信号を生成するために、そのような調整が必要である。(信号調整の程度は、センサ74および76の相互に対する電気的位相差に反比例する。)本発明のこのバージョンでは、センサ76からの信号は基準値と比較されるので、そのような調整は必要ない。また、本発明のこのバージョンでは、センサ76はアナログまたはデジタル信号のどちらでも出力することができる。
【0336】
始動時の電動機回転子の位置、信号周期のどの部分に信号があるかを、補助センサ、センサ76からの信号無しで、判定することさえ可能であり得る。図37は、このプロセスを実行するためにベース仮定アルゴリズムを使用して実行されるプロセスステップを示す。このプロセスでは、ステップ940で、センサ74からの信号に基づいて、DSPは初期信号SNSINITを判定出力する。これは、回転子の位置が、図38の点942を含む第1六分角、または点962を含む第3六分角のいずれかにあることを意味する。簡素化のために、図38は2極回転子の場合のセンサ74からの信号のプロットである。したがって、電動機回転子センサ74によって出力される単一の0から360°の信号は、電動機回転子78の1回転に対応する。ステップ946で、DSPは、センサ74からのSNSINIT信号は回転子78が第1六分角にあることを示すという前提に基づいて、始動信号を電動機にアサートする。ステップ948によって表わされるように、DSP170はセンサ74からの信号を監視し続ける。
【0337】
ステップ946の実行の前提が正しい場合、回転子は選択された方向に回転する。この結果、センサ74によって出力されるSNS信号は、SNSINITレベルからかなりの変化を経験する。換言すると、ΔSNSまたはΔ時間勾配はかなりの程度である。図37で、これは、SNSINIT信号のレベルとはかなり異なる点949によって表わされる、SNST1ASMPTN#CRCT信号のレベルによって表わされる。したがって、ステップ950で次の測定信号、センサ74からのSNST1信号に基づいて、DSPはΔSNSまたはΔ時間勾配の大きさを判定する。ステップ952で、ΔSNSまたはΔ時間勾配の大きさは、目標勾配と比較される。算出された勾配の大きさが少なくとも目標勾配と同じである場合、DSP170はこの結果を、初期前提が正しかった、つまり回転子が回転の第1六分角にあったことを示していると解釈する。したがってDSP170は、今は正しいことが証明された回転子の回転位置に関する初期前提に基づいて、制御信号をアサートし続ける(ステップ954)。
【0338】
しかし、SNSINIT信号は実際には、始動時の回転子が第3六分角、点962の信号に関連する六分角にあったことを示し得る。そのような状況では、ステップ946の回転子位置の誤った前提に基づいて電動機コイルに印加された付勢信号は、回転子を目立つほどには移動させない。代わりに、少なくとも短時間、電動機コイルに印加された信号は、回転子がロック位置に入るまで回転子の小さい移動を引き起こすだけである。電動機回転子のこの比較的小さい角度変位を前提として、センサ74から出力されるSNST1AMSPTN#INCRCT信号のレベルは、同様にSNSINIT信号レベルとはわずかに異なるだけである。図37で、これは、点962および965における信号レベル間の比較的小さい差によって表わされる。
【0339】
したがって、この状況において、ステップ950で、ΔSNSまたはΔ時間勾配を算出すると、勾配は比較的小さくなる。ステップ952の検査で、算出される勾配は目標勾配未満となる。DSP170はこの結果を、実際には回転子は回転の第1六分角になく、実際、第3六分角にあったことを示すと解釈する。したがって、その後の処理ステップ、ステップ966で、DSPは、回転子位置の改定され証明された正しい解釈に基づいて、MCC172に制御信号をアサートし続ける。
【0340】
上記プロセスステップで、ステップ952の検査は絶対勾配に基づいていることを理解されたい。勾配の正または負の傾きは回転子の運動の方向の関数であるので、これは無関係である。
【0341】
始動時の回転子位置を判定するために、2つのセンサを設ける必要性を回避するために、代替的手段を使用することができる。別の代替的スキームでは、制御回路は始動時に、最初に、単一のセンサ74からのピークまたは谷信号から判定することのできる既知の位置まで電動機回転子を回転させる電流をコイルに印加する。回転子がこの状態にあることをセンサ74が示すと、回転子を既知の状態から回転させるために追加的始動信号が印加される。
【0342】
器具制御プロセッサ(DSP170)と信号を交換するために、I2C以外の通信プロトコルも使用することができることを、同様に理解されたい。1つの代替的プロトコルは、Dallas Semiconductorによって作成されたワンワイヤプロトコルとすることができる。
【0343】
本発明の代替的バージョンでは、DSP170は、電動機制御回路172によって実行される制御機能の一部を実行することができる。例えば、DSP170は、器具が振動モードで駆動されるときに、器具30の動作を調整することができる。本発明のこのバージョンでは、DSPは、電動機回転子78が振動サイクルの各方向に回転する回転度を監視する。任意の瞬間に、DSPはFORWARDまたはREVERSE信号のうちの1つをMCCにアサートするだけである。DSPは、回転子が1方向に、例えば「逆」方向に設定された度数回転したことを判定すると、REVERSE信号をアサートすることからFORWARD信号に切り替える。命令信号のこの切替えにより、MCCは、回転子を逆方向に回転させる信号をアサートすることを停止し、回転子を順方向に回転させる信号をアサートし始める。
【0344】
上記構成の利点は、DSPが電動機回転子を不同の回転順序で振動させるように、外科医がDSP170をプログラムすることができることである。例えば、DSPを使用して振動を調整することにより、回転子が、より詳しくは減速後に、アタッチメントが最初に第1方向に720°回転し、次いで第2方向に360°回転し、その後に該シーケンスを繰り返すように、器具30を構成することができる。他のシーケンスも可能である。例えば第1方向に720°、第2方向に360°、第1方向に360°、そして第2方向に360°回転し、その後に繰り返すことも可能である。
【0345】
さらに、DSPに振動を調整させることによって、DSPは、各方向サイクルの回転の始動時および終了期間のそれぞれで、回転子の速度を上下させることができる。回転子の加速および減速(制動)のこの減衰は、器具の振動を低減させることができる。
【0346】
また、本発明のシステムの制御機能を、記載したものからさらに変化させることができることも理解されたい。明らかに、外科医は処置の途中で各トリガスイッチ46および47の制御機能を再構成することができる。また、複数の器具30が使用されるときに、1つを他のオーバライドとして使用することができる。従って、指導状況で、1つのトリガスイッチが押されたときに、制御プロセッサが第2器具30bによる実行の停止コマンドを生成するように、教官の器具30aは構成される。この停止コマンドは、器具データトランシーバヘッド530を介してワイヤレストランシーバヘッド536に伝送される。ワイヤレストランシーバヘッド536による受信後に、ヘッド536または別の構成部品が停止コマンドを学生のハンドピース30bに伝達させる。システムのこの構成では、教官のハンドピース30aの第2トリガスイッチは、そのハンドピース内部の電力消費ユニットを作動させて、教官が処置を完了することができるように構成される。
【0347】
また、外科用器具30の動作を調整するために使用される手動設定アクチュエータは、開示したトリガスイッチとは異なってもよい。本発明の一部のバージョンでは、器具は単一のトリガスイッチだけを有することができる。本発明のこれらのバージョンでは、器具はバイステートレバーアームを有することができる。外科医は、自身が器具を動作させたい動作モードに基づいて、レバーアームを選択的に設定する。したがって、器具内部の発電ユニットが電動機34である場合、レバーアームの設定によって調整することのできるバイステート設定の一部として、順方向または逆方向、順方向または振動、および低速または高速がある。本発明のこれらのバージョンでは、ステップ360および262で、器具のバイステート動作範囲が制御プロセッサ(DSP170)にロードされる。
【0348】
同様に、電動機34が発電ユニットとして機能する本発明のバージョンでは、始動中に、2つのセンサを使用して、記載したように回転子位置を判定することができる。次いで、始動後に、2つ以上のセンサを使用して、回転する電動機回転子のその後の位置が判定される。
【0349】
同様に、本発明の他のバージョンでは、手動アクチュエータはトリガスイッチではない可能性がある。本発明のこれらのバージョンでは、器具ハウジング32に装着された1つ以上の押しボタンが、発電ユニットの作動を調整する。各押しボタンは、短時間、センサからの出力信号が状態遷移を経験するように、磁石を関連する制御モジュールセンサに十分に近接させることができる。これらのタイプの制御部材は、ステップレベル制御に適した発電ユニットの作動を調整するのに適している。RFアブレーション器具は1つのそのようなタイプの器具である。
【0350】
本発明の一部のバージョンでは、スイッチが作動したかどうかを判定するために使用されるセンサ、記載した実施形態ではセンサ66および70は、デジタルセンサでなくてもよい。本発明の代替的バージョンでは、センサはアナログセンサとすることができる。これらのセンサは、マイクロスイッチまたはリードスイッチとすることさえできる。本発明のこれらのバージョンでは、スイッチと一体的なワイパが、関連するスイッチの変位に基づいて接続を開閉する。
【0351】
代替的に、本発明の一部のバージョンからセンサ66および70を排除することが可能である。スイッチの作動を監視するために使用されるセンサからの信号は、AWAKE信号の作動およびネゲーションを制御するために第1回路によって使用される。該信号は次いで、ハンドピース内部の発電ユニットのユーザ希望動作レートを表わす出力信号を生成するために、第2回路によって使用される。
【0352】
本発明の多くのバージョンでは、結合アセンブリ39が外科用アタッチメント41を器具30に着脱可能に取り付けることを可能にするが、常にそうであるとは限らないことを、同様に理解されたい。本発明の一部のバージョンでは、結合アセンブリ39は、外科用アタッチメントをハウジング32および発電ユニットに永久保持する締結装置または締結アセンブリである。これらのアセンブリは、本発明の使い捨てバージョンに一般的である。
【0353】
したがって、本発明の器具を形成する他の個々の構成部品は、記載したもののは異なることができることを理解されたい。従来のマイクロプロセッサが器具制御プロセッサとして機能することができる。電動機制御回路172を形成するASICを複数の構成部品に置き換えることができる。本発明の一部のバージョンでは、磁石56または58それぞれが最初にアサートされたときに、センサ66または70によってアサートされる信号は、AWAKE信号として機能することができる。これにより、そうでなければこの信号をアサートするために必要な、DSP170によって要求される処理が排除される。
【0354】
ハンドピースハウジング32の内部に、制御プロセッサ(DSP170)によってデータが書き込まれる不揮発性メモリを設けることができる。このメモリは、異例の事象が発生したときおよびその内容に関する詳細を含め、器具の動作に関するデータが格納される器具ログとして機能する。
【0355】
同様に、本発明のプロセスは、記載したものより少数のステップまたはステップの代替的構成を用いて実行することができる。
【0356】
したがって、添付する特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神および範囲内に入る全てのそのような変形および変化を範囲に含めることである。
【図面の簡単な説明】
【0357】
【図1】本発明の特徴を組み込んだ電動器具の側面図である。
【図1A】本発明の電動器具の断面図である。
【図2A】本発明の器具のトリガアセンブリの分解組立図である。
【図2B】トリガアセンブリの断面図である。
【図3A】制御モジュールの断面図である。
【図3B】制御モジュールを形成するパネル部材の分解組立図である。
【図3C】制御モジュールの内部の平面図である。
【図3D】制御モジュールに装着および搭載された構成部品の一部を示す制御モジュールの内部の分解組立図である。
【図4A】トリガスイッチの位置を監視する制御モジュール内部のセンサに対するトリガスイッチ磁石の配列を示す側面図である。
【図4B】電動機回転子の位置を監視するセンサが制御モジュール内部のプリント回路基板にどのように実装されるかの部分断面図である。
【図5】電力FETが制御モジュールにどのように実装されるかを示す側面図である。
【図6】図6A、6B、6C、6D、および6Eが本発明の制御回路の略図およびブロック図からまたは図にどのように組み立てられるかを示す組立図である。
【図7】電動機制御回路を形成する主要サブ回路のブロック図である。
【図8】器具の作動直後に器具内部の構成部品によって実行されるプロセスステップのフローチャートである。
【図9】器具の電動機回転子の位置を監視する制御モジュールセンサによって生成される信号のプロットである。
【図10】電動機回転子の位置を監視する1次センサによって生成される出力信号の波形のプロットである。
【図11A】回転子が回転するにつれて電動機回転子の位置を表わすデジタル信号を生成するために、器具の制御モジュールと一体化したプロセッサによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図11B】回転子が回転するにつれて電動機回転子の位置を表わすデジタル信号を生成するために、器具の制御モジュールと一体化したプロセッサによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図11C】回転子が回転するにつれて電動機回転子の位置を表わすデジタル信号を生成するために、器具の制御モジュールと一体化したプロセッサによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図11D】回転子が回転するにつれて電動機回転子の位置を表わすデジタル信号を生成するために、器具の制御モジュールと一体化したプロセッサによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図12】制御モジュールプロセッサと一体化した永久メモリに格納されたデータの一部を示す。
【図13】制御モジュールプロセッサと一体化したランダムアクセスメモリに格納されたデータの一部を示す。
【図14】電動機回転子の位置を監視する1次センサによって生成された出力信号の代替的波形のプロットである。
【図15】電動機のセンサ出力信号が比較される信号遷移レベルを更新するために実行されるプロセスステップのフローチャートである。
【図16】器具の可変構成および遠隔制御を容易にする本発明の器具内部の構成部品のブロック図である。
【図17】器具を外部から構成および制御するために使用される器具外部の構成部品を示す系統図である。
【図18】本発明の器具がコード接続型パワーパックを介してどのようにハンドピース制御コンソールとデータおよび命令を交換するかの略図である。
【図19】器具が外科医の選好に従って構成される本発明の統合器具システムによって実行されるステップのフローチャートである。
【図20A】器具が装着されたアクセサリの特性に基づいて構成され、これらの特性に基づいて動作するときに、器具システムによって実行されるステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図20B】器具が装着されたアクセサリの特性に基づいて構成され、これらの特性に基づいて動作するときに、器具システムによって実行されるステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図21】器具構成部品が異例の動作状態に入ったときに、器具の動作を警告し保全するために本発明の統合器具システムによって実行されるプロセスステップのフローチャートである。
【図22】処置が実行されている手術部位での適用を超える器具アタッチメントの適用を阻止するために統合器具によって実行されるプロセスステップのフローチャートである。
【図23】本発明の統合システムが、図示する治具のような運動学的機械の位置決めを容易にするためにどのように使用されるかを示す。
【図24A】外科用インプラントまたは他の外科用装置を配置するためにシステムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図24B】外科用インプラントまたは他の外科用装置を配置するためにシステムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図25】整形外科用セメントを予め定められた時間量だけ混合し、セメントの粘度を監視するために、本発明の外科用器具がどのように使用されるかの斜視図である。
【図26A】セメントが適切な時間量だけ混合されることを確実にし、かつセメントの粘度を監視するために、本発明の外科用器具システムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図26B】セメントが適切な時間量だけ混合されることを確実にし、かつセメントの粘度を監視するために、本発明の外科用器具システムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図26C】セメントが適切な時間量だけ混合されることを確実にし、かつセメントの粘度を監視するために、本発明の外科用器具システムによって実行されるプロセスステップのフローチャートを集合的に形成する。
【図27】混合されるセメントを形成する成分の特性に関するデータがどのようにシステムに供給されるかの斜視図である。
【図28】外科用セメントを含むパケットと一体化したデータ格納装置に格納されたデータ型の幾つかを示す。
【図29】外科用セメントを硬化させるために使用されるモノマを貯蔵する容器と一体化したデータ格納装置に格納されたデータ型の幾つかを示す。
【図30】外科用インプラントと一体化したデータ格納装置に格納されたデータ型の幾つかを示す。
【図31】本発明のシステムが外科用セメントを混合するために使用されるときに引き出される電流の経時的変化のプロットである。
【図32】本発明の外科用器具の代替的器具ハウジングの側面図である。
【図33】図32の線33−33から見たときのハウジングヘッドの近位端の底面の平面図である。
【図34】器具制御プロセッサと補助ユニットとの間で信号がどのように交換されるか、および器具に接続された電池から電力がどのように選択的に補助ユニットに供給されるかを示す、代替的器具内部の電気的構成部品の部分略図である。
【図35】器具の発電ユニットによって放射されるエネルギを遠隔配置された制御モジュール内のセンサに伝達するための導管として、磁束管がどのように働くかの略図である。
【図36】器具作動部材の変位の関数として非線形的にUSER_SPEED信号を変動させるように、器具の制御プロセッサをどのようにプログラムすることができるかのグラフ表現である。
【図37】単一のセンサで始動時に回転子の位置を判定するために、本発明の器具のベース仮定アルゴリズムの一部として実行されるステップのフローチャートである。
【図38】2極回転子の状態を監視するセンサによって生成された信号の波形であり、プロット点はベース仮定アルゴリズムの実行中に得られた測定値を示すために使用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(32)と、
ハウジング内に配置された発電ユニット(34)と、
ハウジングから延び、外科的または医療作業を実行するために発電ユニットに接続され、該発電ユニットによって作動するアタッチメント(41)と、
少なくとも1つの構造部材(92、94、96、98)から形成されたシェルと、発電ユニットの状態を表わす信号を受け取り、発電ユニットの状態に基づいて発電ユニットを選択的に作動させる、シェル内の制御回路(170、172)とを有する、ハウジング内に配置された制御モジュール(40)と
を含んでなる電動外科用器具(30)であって、
発電ユニットが発電ユニットの状態を表わす信号を放射し、
制御モジュールシェル構造部材(94)の少なくとも1つが、発電ユニットによって放射される信号をシェルに伝えることを可能にする材料から形成され、
発電ユニットが放射する信号を監視するための少なくとも1つの第1センサ(74、76)が制御モジュールシェル内に配置され、監視されている信号に基づいて、第2センサが発電ユニットの状態を表わす信号を制御回路に生成するようにされることを特徴とする電動外科用器具。
【請求項2】
発電ユニット(34)が回転子(78)を有する電動機であり、
前記少なくとも1つの第1センサ(74、76)が電動機回転子の回転位置を監視するようにされている、請求項1に記載の電動外科用器具。
【請求項3】
前記発電ユニットが発電ユニットの状態に応じて可変磁気信号を出力し、
ハウジング構造部材(94)が、磁界を伝えることができる材料によって形成され、
前記少なくとも1つの第1センサが、発電ユニットによって出力される磁界に応答する磁界センサ(74)である、請求項1または2に記載の電動外科用器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1センサが、発電ユニットの作動状態を集合的に示す信号を生成する第1感知ユニット(74)および第2感知ユニット(76)を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項5】
作動可能な制御部材(46、47)が、ハウジングに可動に取り付けられ、前記制御部材がシェルを介して伝わる可変の信号を制御部材の作動に応じて放射するものであり、
第2センサ(66、70)が、シェルによって放射される信号を監視するためにシェルに配置され、監視された信号に応答して可変の第2センサ信号を生成するようにされており、
制御回路(170、172)が、第2センサ信号を受信し、第2センサ信号に基づいて発電ユニットを選択的に作動させるようにさらにされている、請求項1〜4のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1センサ、前記第2センサ、および制御回路、および第2センサが制御モジュールシェル内に気密密閉される、請求項1〜4のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項7】
アタッチメント(41)をハウジング(32)に解放可能に保持し、発電ユニット(34)にアタッチメントを接続するための結合アセンブリ(39)をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項8】
シェルを形成する少なくとも1つの構造部材(94、96、98、102、および104)と、
シェルの外部の発電機(34)を調整するためにシェル内に配置され、発電機の状態を表わす信号を受け取り、発電機の作動を調整する信号を生成するようにされた制御回路(170、172)と
を含んでなる電動器具制御モジュール(40)であって、
発電ユニットが発電ユニットの状態に応じて信号を放射し、
構造部材の少なくとも1つが、発電ユニットによって放射される信号を伝えることを可能にする材料から形成され、
少なくとも1つの第1センサ(74、76)が、発電ユニットによって放射され構造部材を通して伝わる信号を監視するためにハウジングに配置され、前記少なくとも1つの第1センサが、発電ユニットからの検知信号に基づいて、発電機の状態を表わす少なくとも1つの第2センサの信号を制御回路に生成するようにされていることを特徴とする電動器具制御モジュール。
【請求項9】
制御モジュールによって調整するようにされた電動器具が、回転子(78)を有する電動機であり、回転子がハウジング構造部材を通して信号を発し、
前記少なくとも1つの第1センサ(74、76)が、回転子が発した信号に基づいて回転子の回転位置を監視する、請求項8に記載の電動器具制御モジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1センサ(74、76)が前記少なくとも1つの第1センサ信号をアナログ信号として出力する、請求項1、8、または9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1センサ(74)が、前記センサによって監視される信号に応じて反復している循環信号を出力し、
前記制御回路が、
少なくとも1つの第1センサ信号について、信号サイクルのどの部分に信号があるかを判定し、
少なくとも1つの第1センサ信号がある信号サイクルの部分に基づいて、発電機を選択的に作動させる、ようにさらになされている、請求項8〜10のいずれかに記載の電動器具制御モジュール。
【請求項12】
前記制御回路が、少なくとも1つの第2センサ信号に基づいて、少なくとも1つの第2センサ信号が信号サイクルの第1部分にあるか、それとも第1部分と対称な信号サイクルの第2部分にあるかを、発電ユニットの初期作動後に最初に判定する、請求項11に記載の電動器具制御モジュール。
【請求項13】
前記第2センサが1次センサ(74)および2次センサ(76)を含み、各前記センサが別々の信号を生成し、
前記制御回路は、前記1次センサからの信号が信号サイクルのどの部分にあるかを判定するものであり、
1次センサからの信号が信号サイクルのどの部分にあるかの初期の判定が、1次センサからの信号および前記2次センサからの信号に基づいており、
該初期判定後における1次センサからの信号がどの部分にあるかの判定が、前記1次センサからの信号のみに基づいている、請求項12に記載の電動器具制御モジュール。
【請求項14】
前記制御回路が、第2センサ信号がある信号サイクルの部分の初期判定を行なうものであり、該判定が、
第2センサ信号が信号サイクルの第1部分にあるという仮定に基づいて発電ユニットを作動させ、
第2センサ信号の変化を監視し、
第2センサ信号の変化が第1方向である場合、第2センサ信号が信号サイクルの第1部分にあったという仮定に基づいて発電ユニットを作動させ続け、
第2センサ信号の変化が第2方向である場合、第2センサ信号が信号サイクルの第2部分にあったという仮定に基づいて発電ユニットを作動させる、
ことによるものである、請求項12に記載の電動器具制御モジュール。
【請求項15】
シェルの外部の作動部材によって放射される信号を監視するためにシェルの内部に配置された第2センサ(66)をさらに含む、請求項8〜13のいずれかに記載の電動器具制御モジュール。
【請求項16】
ハウジング(32)と、
ハウジング内に配置された発電ユニット(34)と、
ハウジングから延び、外科的または医療作業を実行するために発電ユニットに接続され、該発電ユニットによって作動するアタッチメント(41)と、
発電ユニットの作動を調整するためにハウジングに取り付けられ、制御信号を出力する作動可能な制御部材(46、47)と、
発電ユニットの作動に基づいて前記発電ユニットの作動を調整するために、前記ハウジング内に配置された電力調整器(172)と
を含んでなる電動外科用器具(30)であって、
プログラム可能制御ユニット(170)が、前記制御信号を受信するために前記ハウジング内に配置されており、該プログラム可能制御ユニットは、制御信号をユーザ指定作動信号に対応付けするユーザプログラム命令を受信し、前記制御信号およびユーザプログラム命令の受信に基づいて可変作動信号を生成するようにされており、
前記電力調整器は、前記制御ユニットから作動信号を受信し、作動信号に基づいて発電ユニットの作動を調整するものであることを特徴とする電動外科用器具。
【請求項17】
前記プログラム可能制御ユニットが、制御信号の受信に基づいてユーザプログラム動作レートを表わす可変作動信号を出力するようにされ、
前記電力調整器が、作動信号の受信に基づいて、ユーザプログラムされた動作レートによって前記発電ユニットが動作するように前記発電ユニットの作動を調整する、請求項16に記載の電動外科用器具。
【請求項18】
発電ユニット(34)が可変速電動機であり、
前記プログラム可能制御ユニットが、ユーザプログラムされた速度を表わす可変作動信号を出力するようにされており、
電動機が該ユーザプログラム速度で動作するように、前記電力調整器が作動信号の受信に基づいて電動機の作動を調整するようにされている、請求項16または17に記載の電動外科用器具。
【請求項19】
前記プログラム可能制御ユニットが、制御信号の受信に基づいてユーザプログラムされた電動機回転方向を表わす可変作動信号を出力するようにされ、
電力調整器が、作動信号の受信に基づいて、電動機が該ユーザプログラムの方向に回転するように電動機の作動を調整する、請求項18に記載の電動外科用器具。
【請求項20】
発電ユニットの作動を調整するための命令を含むワイヤレス信号を受信するために前記ハウジングに取り付けられ、前記受信がワイヤレス信号の受信に応答して命令信号を生成するようにされた受信器をさらに含み、
前記プログラム可能制御ユニットが命令信号を受信するために前記受信器に接続され、命令信号の受信に応答して、電力調整器に発電ユニットの作動を変更させる作動信号を電力調整器に生成するようにされている、請求項16〜19のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項21】
アタッチメントをハウジングに解放可能に保持し、アタッチメントを発電ユニットに取り付けるための結合アセンブリ(39)をさらに含む、請求項16〜20のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項22】
発電ユニットを付勢するために前記ハウジングに取り付けられた電池(42)をさらに含む請求項16〜21のいずれかに記載の電動外科用器具。
【請求項23】
ハウジング(32)と、
外科的または医療作業を実行するためにハウジングから延びるアタッチメント(41)と、
ハウジング内に配置され、アタッチメントを作動させるためにアタッチメントに接続された発電ユニット(34)と、
発電ユニットを付勢するためにハウジングに取り付けられた電池(42)と
を備える電動外科用器具(30)であって、
電池からの電力を前記ハウジングに取り付けられた補助電力消費ユニットに選択的に印加するためにスイッチが前記ハウジング内に配置され、
ハウジングに取り付けられた該補助電力消費ユニットからデータを読み出すために、制御回路(172)がハウジング内に配置され、該制御回路が、該補助電力消費ユニットから読み出されたデータに基づいて前記スイッチを選択的に作動させることを特徴とする電動外科用器具。
【請求項24】
電動器具を調整するための制御アセンブリ(40)であって、
制御モジュールが、
少なくとも1つの構造部材(92、94、96、98)から形成されたシェルと、
前記ハウジング内で構造部材の1つの背後に配置され、構造部材の前に生成される磁界に反応するセンサが、検知した磁界に応答してセンサ信号を生成するようにされたセンサ(66、70)と、
電動器具を調整するために前記ハウジング内に配置され、センサ信号を受信し、センサ信号に応答して電動器具を選択的に作動させるようにされた回路(170、172)と
を備える制御アセンブリにおいて、
センサの前の構造部材(92)が、
透磁性材料から形成され、少なくとも部分的にセンサが占める空間を画定する開口(107)を有する本体と、
透磁性材料から形成され、本体開口内に前記本体から間隔を置いて配置されるコア(108)と、
非磁性材料から形成され、前記本体開口内に配置され、前記本体から前記コアまで延びる、フレーム(106)と
を含むことを特徴とする制御アセンブリ。
【請求項25】
前記コア(108)または前記フレーム(106)の少なくとも一方が円形断面プロフィールを有している、請求項24に記載の制御アセンブリ。
【請求項26】
前記ハウジングが気密密閉される、請求項24または25に記載の制御アセンブリ。
【請求項27】
混合されるセメントを形成するいくつかの成分を、混合ブレードを有する容器(798、821)に入れるステップと、
電動器具によって混合ブレード(844)を動かして該成分を一緒に混合するステップと
を含んでなる医用または外科用セメントの混合方法であって、
前記混合ブレードの作動中に、電動器具(846)によって出力される電力を監視し、
電動器具によって出力された電力に基づいて、セメント混合物(848、860、866)の状態を判定することを特徴とする方法。
【請求項28】
セメント混合物の状態の前記判定に基づいて、セメント混合物の状態を示すデータを表示するステップをさらに含む、請求項28に記載の医用または外科用セメントの混合方法。
【請求項29】
混合器(862)を作動させるために電動器具が作動する時間を監視するステップをさらに含み、
セメント混合物の状態の前記判定が、電動器具によって出力される電力、および電動器具が作動する時間(882)の両方に基づいている、請求項27または28に記載の医用または外科用セメントの混合方法。
【請求項30】
電動器具(30)が電気的に作動する器具であり、
電動器具によって出力される電力を監視する前記ステップが、電動器具によって引き出される電流を監視することによって実行される、請求項27〜29のいずれかに記載の医用または外科用セメントの混合方法。
【請求項31】
ベース(656)およびベースに対して可動であるヘッド(650)を有し、ベースに対して移動可能である少なくとも1つのリンク(658)がヘッドをベースに対して選択的に位置付けるようにされている運動学的機械(648)と、
運動学的機械ヘッド(702)の位置を追跡するための外科用ナビゲーションシステム(538、540、692)と
を含んでなる治療的または外科的処置を実行するための運動学的アセンブリであって、
駆動器具(30)は、少なくとも1つのリンクに着脱可能に取付け可能であり、該リンクによって駆動ヘッドが選択的に位置付けされるように該リンクを移動させるものであり、
前記外科用ナビゲーションユニットは、運動学的機械ヘッドが選択位置(706)にあると前記外科用ナビゲーションユニットが判定したときに前記外科用ナビゲーションユニットが駆動器具(708)の作動を阻止するように、前記駆動器具の作動を調整するために前記駆動器具に接続されることを特徴とする運動学的アセンブリ。
【請求項32】
前記駆動器具が電動機(34)を含み、
前記外科用ナビゲーションユニットが、電動機の作動を阻止することによって前記駆動器具の作動を阻止するようにされた、請求項31に記載の運動学的アセンブリ。
【請求項33】
前記外科用ナビゲーションユニットが、運動学的機械ヘッドの位置に基づいて、駆動ユニットの電動機の速度を調整するようにさらにされた、請求項31に記載の運動学的アセンブリ。
【請求項34】
前記運動学的機械がドリル治具である、請求項31〜33のいずれかに記載の運動学的アセンブリ。
【請求項35】
前記運動学的機械が骨固定器である、請求項31〜33のいずれかに記載の運動学的アセンブリ。
【請求項36】
ハウジングと、
ハウジング内に配置された発電ユニットと、
ハウジングから延び、外科的または医療作業を実行するために発電ユニットに接続され、該発電ユニットによって作動するアタッチメント(41)と、
発電ユニットを付勢するためにハウジングに取り付けられた電池(42)と、
発電ユニットを作動させるための制御部材と、
発電ユニットを作動させるために電池から発電ユニットに電荷を選択的に印加するために制御部材に応答する制御回路であって、電池によって付勢される制御回路と
を備えてなる電動外科用器具にであって、
制御回路は、制御部材が作動するときに低電力消費モードで動作し、制御部材が作動するときを監視し、制御部材が作動するときに高電力消費モードで動作するようにされることを特徴とする電動外科用器具。
【請求項37】
制御回路が、制御部材が作動するときを監視するための第1センサであって、第1センサからの信号が制御回路を高電力消費モードにするトリガ信号として使用される、第1センサと、発電ユニットの作動の基礎になるセンサ信号を生成する第2センサとを有する、請求項36に記載の外科用器具。

【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2008−546503(P2008−546503A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519398(P2008−519398)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/024120
【国際公開番号】WO2007/002180
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(506410062)ストライカー・コーポレイション (36)
【Fターム(参考)】