説明

噴霧ノズル及びミスト帯電防止方法

【課題】高耐久性であって無帯電噴霧が可能な噴霧ノズル、当該噴霧ノズルを含むシステムを提供する。
【解決手段】ミストの出口となるオリフィス12の液体と接触する内面を、アルミニウムおよび鉄を含有する金属部材によって構成し、かつ、その表面にアルミニウムの不働態酸化膜20を設けた噴霧ノズル及び当該噴霧ノズルを備えた水噴霧式加湿装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧ノズルに関し、時に、水噴霧式加湿装置及びミスト冷房装置に適用できる噴霧ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の噴霧ノズルを含むシステムとして、特許文献1に記載された降温用噴霧システムがある。特許文献1に記載された降温用噴霧システムは、加圧された水をミストとして噴霧して空間における温度を低下させるシステムであり、特許文献1では、ステンレスでできた配管の先端に取り付けられた噴霧ノズルの角度を水平面から例えば22.5度下方に傾けることにより、噴霧されたミストが液滴のまま落下することがないようにできることが開示されている。また、噴霧ノズルからの噴霧水圧は2〜10MPaの間が好ましいこと、6MPaの噴霧水圧のとき、体面積平均粒径(ザウター平均粒径)が20μm程度の微細なミストが噴霧されることが開示されている。
【0003】
更に、特許文献1は、噴霧ノズルの構造についても開示している。特許文献1で開示された噴霧ノズルは、加圧水受け空洞、弁収納空洞、駒を収納した噴流生成空洞、及び噴流生成空洞の先端に設けられたオリフィスを有する円筒状ハウジングを備えている。ここで、噴流生成空洞は、螺旋状に形成された溝を側面に備えた駒を収納した円柱状空洞と、その先端部に連結された漏斗状の空洞を有している。この場合、噴流生成空洞では、弁収納空洞からの加圧水を受け、駒の側面に設けられた溝により旋回噴流として漏斗状の空洞に供給し、漏斗状の空洞からオリフィスを介して、ミストを噴霧する構造が採用されている。
【0004】
微細なミストを噴霧できる上記した降温用噴霧システムを単に室外の降温に利用するだけでなく、室内の冷房や加湿に応用することも考慮されている。
【0005】
これは、ミストの平均粒径が20〜30μm程度と小さいために、空気中に噴霧されたミストは直ちに蒸発し、空気を冷却するとともに加湿できるからである。このうち冷却効果を利用したものが、夏期の屋外などで行われるミスト冷房装置である。また、加湿効果を利用したものが、水噴霧式加湿装置であり、冬期の省エネルギーな加湿方法として使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−177575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、ミスト冷房装置及び水噴霧式加湿装置に適用した場合における問題点については何等示唆していない。特に、特許文献1は、当該特許文献1に記載された噴霧ノズルを水噴霧式加湿装置に適用することについて全く考慮していない。
【0008】
ここで、水噴霧式加湿装置は、半導体装置等の電子デバイス製造に用いられるクリーンルームにも適用した場合を想定する。例えば、クリーンルームから循環する空気に乾燥した冬の低温外気を混合してクリ−ンルームへ戻す際に、高圧ポンプで圧力を上げた塵埃や水分蒸発後粒子化する成分を含まない純水をノズルから噴霧して加湿するため、高圧一流体水噴霧式は蒸気を噴出して加湿する蒸気式に比べ1/330のエネルギーで加湿できるという利点があることが判明した。
【0009】
しかしながら、特許文献1に示されたような高圧−流体水噴霧式の加湿装置をクリーンルームの加湿に利用した場合、クリーンルーム特有の問題点が生じることが判明した。
【0010】
即ち、特許文献1に示されたような噴霧ノズルをそのままクリーンルーム用の加湿装置に適用した場合、オリフィスの内径寸法は0.15〜0.2mm程度で、ノズル内部の噴流生成空洞の内径よりも極めて小さくなっており、噴霧されるミストの量は、1時間あたり約3リットル程度である。このとき、オリフィスにおける旋回流の速度は20〜50m/sに達するので、オリフィス部分には非常に大きなせん断力がかかり、摩耗しやすいと言う問題点があることが分った。ノズル構成部材が摩耗することでその部材の摩耗粉が噴霧水中に載っかり、気中へ飛散することが考えられる。また、噴霧されるミストの平均粒径はオリフィスの内径寸法と相関があり、摩耗が進むとミストの粒径が大きくなって、蒸発速度が遅くなり、冷房効果・加湿効果が減ってしまう。クリーンルームでは、空気の温湿度が精密に制御されることが多く、前記噴霧水の蒸発速度が遅くなるのは、加湿効率が低下することを意味し、室内空気を所定の温湿度に維持できなくなることを意味する。この摩耗を軽減するために、オリフィス部分の材質をセラミックにする等、磨耗の少ない材料にして実験を行った。
【0011】
セラミックのように磨耗が少ない絶縁材料によってオリフィスを形成した場合、純水を噴霧するとミストが帯電する現象が観測された。帯電したミストを噴霧すれば、ミスト周辺の人や装置などが静電気を帯び、さまざまな静電気障害を引き起こすという問題がある。特に、冬期の省エネルギー加湿として、電子デバイス製造用クリーンルームなどに本水噴霧式加湿が用いられる場合、例えば数百ボルトの僅かな帯電電位によって製品である電子デバイスが破壊されることがあるので、静電気障害は避けなくてはならない大きな課題である。
【0012】
一方、塗装分野では、塗料を噴霧するノズルに数kV〜数10kVの電圧を印加することにより噴霧塗料を帯電させ、被塗装物へ塗料が到達する量を高めて塗料の利用効率を高めるという、静電塗装技術が一般的に行われている。この技術を利用すれば、噴霧による帯電と逆相の電圧をノズルに印加することによって、帯電しないミストを噴霧すること(無帯電噴霧)が可能である。但しこのときノズル材料と水との界面に電圧をかけなければならないので、ノズル材料は導電性であることが求められる。
【0013】
上記のように、高圧水噴霧ノズルには、高耐久性であること、無帯電噴霧が可能であることが求められている。このうち高耐久性を実現するために、オリフィス材料にセラミックを用いる対策が取られる場合があるが、セラミックは絶縁性であり無帯電噴霧は不可能である。無帯電噴霧を実現するためには、オリフィス材料は導電性である必要があるが、導電性オリフィス材料である金属は、セラミックに比べ摩耗しやすいという問題がある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、高耐久性であって無帯電噴霧が可能な噴霧ノズル、当該噴霧ノズルを含むシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、高耐久性かつ無帯電噴霧を実現するために、本発明では金属材料でオリフィスを作り、その金属部材表面に耐久性の高い酸化被膜をごく薄く形成する。金属部材表面は酸化被膜によって保護されるため高い耐久性を有する噴霧ノズルが得られる。そして、ノズルの金属部材に電圧を印加すると、ごく薄い酸化被膜を通して、ノズル材料と水との間にトンネル電流が流れ、無帯電噴霧を可能にすることが出来る。また、当該噴霧ノズルを用いて水噴霧式加湿装置を構成すれば、送水圧力6MPa、ポンプ効率75%のときの消費エネルギーを2.2KWhまで低下させることができ、他の二流体式或いは蒸気式の加湿装置に比較して、大幅に消費電力を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルを金属部材によって構成し、金属部材表面に耐久性の高い酸化被膜をごく薄く形成することにより、高い耐久性と無帯電噴霧とを可能にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)、(b)、及び(c)は、本発明を適用できる噴霧ノズルの一部を示す断面図である。
【図2】本発明に係る噴霧ノズルの特性を測定するミスト帯電量測定装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示されたミスト帯電量測定装置で測定された各種材料の噴霧ノズルの特性を示す図である。
【図4】各種材料によって形成された噴霧ノズルの耐久性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1(a)、(b)、及び(c)を参照すると、本発明を適用できる噴霧ノズルの端部(即ち、噴流生成空洞部分)10だけが示されている。
【0020】
図1(a)に示された噴霧ノズルの端部10aは、先端に設けられたオリフィス12、当該オリフィス12に連結された漏斗状空洞14、及び、漏斗状空洞14に続く円筒状空洞16を有している。円筒状空洞16内には、図1(a)の下部に示された旋回板18が軸支されており、旋回板18の外周に、圧力を掛けた液体(ここでは、水)が加えられると、旋回板18は旋回し、結果として、漏斗状の空洞14及びオリフィス12を通して、旋回噴流が噴出する。このため、円筒状空洞16は、液体の渦を生じさせる渦室として機能している。
【0021】
図1(b)に示された噴霧ノズルの端部10bは、オリフィス12、漏斗状空洞14、及び円筒状空洞16を備え、円筒状空洞(渦室)16内部に、外周に螺旋状を有する旋回子22を有している。
【0022】
また、図1(c)に示された噴霧ノズルの端部10cは、円筒状空洞16内部に、外周に旋回溝を備えた旋回子24を備えている。いずれの場合にも、加圧水が円筒状空洞16に加えられると、旋回子22又は24が回転して、旋回噴流がオリフィス12から噴出される。
【0023】
図1(a)〜図1(c)に示された噴霧ノズルの円筒状空洞(渦室)16、漏斗状空洞14、及びオリフィス12を規定する噴霧ノズルの端部10は、金属材料によって形成され、金属材料の少なくとも内表面には、酸化膜20が形成されている。尚、円筒状空洞16内部に配置される旋回板18及び旋回子22、24にも噴霧ノズルと同様に、酸化膜が形成されても良い。一方、酸化膜20は少なくともオリフィス12の内側に形成されていれば良い。
【0024】
ここで、噴霧ノズルを形成する金属材料としては、金属材料中に不働態酸化被膜を形成可能な成分(例えば、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、アルミニウム)を含むものが用いられる。
【0025】
また、金属材料中において酸化されるべき金属は一種類であって、その金属が選択的に酸化されることで、不働態酸化被膜中の酸化物配列が規則的になるため、緻密になり、より安定した酸化被膜となる金属材料が選択される。ここで、金属材料に含まれるべき、不働態酸化被膜を形成可能な(酸化されるべき)金属成分は、アルミニウムであることがより好ましい。
【0026】
また、酸化被膜層の平均厚さは5nm以上100nmであり、部材の電圧をトンネル効果によって水に電位を印加することによって、無帯電ミストとするためには、50〜300オングストローム、すなわち、5nm〜30nm程度の厚さが好ましい。
【0027】
本実施形態では、噴出ノズル10a〜10cの金属材料として、オーステナイト系のステンレス鋼(SUS316)にアルミニウムを含有させた鋼(アルミニウム含有ステンレス鋼)を用いている。その酸化被膜形成方法は、アルミニウム含有ステンレス鋼の表面に酸化性ガスを接触させ、熱処理を行うことにより、アルミニウム以外の金属の酸化膜を含まない酸化アルミニウムから成る不働態酸化被膜を形成することが可能である。
【0028】
具体的な形成方法は、酸素もしくは水分を含む酸化性ガスにアルミニウム含有ステンレス鋼に接触させ酸化アルミニウム不働態膜を形成させる。その酸素濃度は、500ppb〜100ppm、好ましくは、1ppm〜50ppmであり、また水分濃度は、200ppb〜50ppm、好ましくは500ppb〜10ppmである。さらに、酸化性ガス中に水素を含む酸化性混合ガスであることが好ましい。
【0029】
実際には、アルミニウム含有ステンレス鋼は、通常、アルミニウムの他に、鉄、クロム、ニッケルといったステンレス鋼成分が含有されており、酸化性成分が多量に存在すると他金属もアルミニウムと一緒に酸化されてしまい、他金属酸化膜の存在しない酸化アルミニウム不働態膜を形成することは困難である。また、酸化性成分が少なすぎると酸化膜が形成できないため、他金属は酸化されず、アルミニウムのみ酸化されるような上記に記載の酸化性雰囲気で処理を行うことにより、酸化アルミニウム不働態膜が形成可能となる。また、さらに過剰な酸化性雰囲気においても還元性の水素を添加し、酸化雰囲気の酸化性成分の濃度を幅広く設定することを可能にした。また、水素を添加することにより、より緻密で強固な酸化アルミニウム不働態膜を形成することが可能である。
【0030】
本実施形態における酸化被膜形成温度は、酸化処理温度が700℃〜1200℃、好ましくは800℃〜1100℃である。前記記載の他金属酸化膜の存在しない酸化アルミニウム不働態膜の形成方法において、選択的にアルミニウムのみを酸化するため上記温度で酸化を行い、他金属の酸化を防止することができる。
【0031】
700℃以下では鉄やクロムも酸化されてしまい、また、1200℃以上では、形成された酸化アルミニウム不働態膜の表面に酸化アルミニウムの結晶が析出してしまい、流体を供給すると析出した酸化アルミニウムの結晶が剥離してしまい、また亀裂が生じてしまう。この結果、供給流体が汚染してしまう恐れがあるため、処理温度は70℃〜1200℃が適している。
【0032】
本実施形態に係る形成方法における酸化処理時間は30分〜3時間である。酸化アルミニウム不働態膜形成にかかる時間が30分〜3時間と短いため、従来のようなアルミニウム被覆後に熱処理を施すといった手間がかからず、生産性の向上が可能である。
【0033】
ここで、本実施形態に係る無帯電噴霧の可能性について説明する。
【0034】
ノズル材料として、各種材料を使用した場合に、無帯電噴霧が可能か否かを判定するために、図2に示されたミスト帯電量測定装置を用いて、噴霧されるミストの帯電量を計測した。図2に示すように、測定対象となるノズルに直流電圧を印加しておき、加圧ポンプで加圧した超純水をノズルに供給し、ノズルから噴霧ミストが噴出する。図示された例では、噴霧ミストは金属二重管中に噴出される。金属二重管の一方は接地されており、他方には微小電流を計測できる微小電流計が接続されている。また、金属二重管の底部にはタンクが設けられて、金属二重管を通った水を貯蔵する一方、金属二重管の内部には、SUSメッシュが配置され、SUSメッシュ上に流れる微小電流が測定される。
【0035】
微小電流計における測定結果は、データロガに記録される。この例では、加圧水の酸化還元電位(ORP)、溶存酸素濃度(DO)、及び、導電率もデータロガに記録される。
【0036】
図3を参照すると、図2に示されたミスト帯電量測定装置を用いた測定結果が示されており、横軸及び縦軸はそれぞれ直流電圧(kv)及びミスト帯電電流(μA)を示している。
【0037】
図3には、Cu、SUS316、Alの3種の金属、SUS316表面にアルミニウムから成る不働態膜を形成したもの(SUS+Al2O3)、Al表面に不働態膜を形成したもの(Al+Al2O3)、及びセラミックの測定結果が示されている。
【0038】
図3において、例えば、Alは電圧印加しないとき、ミストの帯電量(ミスト電流)は-1μAである。また、ノズルに−電圧を印加するとミストの帯電量はより−になり、ノズルに+電圧を印加するとミストの帯電量はより+となる。ただし、Al材料はミストの帯電が大きく−に偏るために、+8kVを印加しても無帯電噴霧を行うことは出来ない。またセラミックではノズル材料が絶縁性であるため電圧を印加してもノズル材料・界面におけるトンネル電流を生じないため無帯電噴霧することはできない。
【0039】
一方、SUS、Cuではノズルへの印加電圧によっては無帯電噴霧が可能である。
【0040】
また、表面に不働態膜を形成した場合では、SUS表面にAl2O3を形成した場合において、+3.5kVの電圧印加にて無帯電噴霧を行うことが出来る。母材にAlを用いて同様に不働態処理した場合(Al+Al2O3)には母材の−帯電しやすいという特性を引き継ぎ、+8kVまで印加した範囲においては無帯電噴霧することは出来ない。
【0041】
このことから、SUS 、Cu、(SUS+Al2O3)では無帯電噴霧が可能であり、無帯電噴霧の点だけをとれば、SUS 、Cu、(SUS+Al2O3)によって形成されたノズルがクリーンルーム用の加湿装置に使用されるノズルの候補となることが分る。
【0042】
しかしながら、無帯電噴霧が可能であっても、耐久性の点でも十分に使用に耐えるかどうかを検討しておく必要がある。
【0043】
ミストの帯電量は、ノズル金属の仕事関数(電子の放出のしにくさを表す物性値)と水の酸化還元電位(水の電子のやりとりのしやすさを表す物性値)の関係により変動する。例えば、金属が酸化・還元すると仕事関数は大きく変動し、電流値も変化する。
【0044】
また、摩耗などにより界面の粗さが変化すると、界面においてノズル材料と水との接触面積が変化するので、電流値も変化する。界面において何らかの化学反応や、摩耗が生じると電流値が変化するので、ミストの電流値の安定性を調べれば、耐久性の善し悪しを判断することが出来る。
【0045】
図4はノズル材料を、Al、SUS316、Cuの金属材料、及び、SUS表面にAl2O3を形成した場合の4種につき、1時間連続して電流値を計測した結果である。明らかにSUS+Al2O3の場合電流値が安定していることが分かる。従って、他のノズルに比べて界面が非常に安定しており、高耐久性を有していることが分かる。
【0046】
このように、本発明の実施形態では、SUS表面にAl2O3を形成することにより、無帯電噴霧が可能で、且つ、耐久性の点でも問題の無いノズルを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る噴霧ノズルは、電子デバイス製造装置内に使用される加湿装置だけでなくミスト冷房装置、通常の水噴霧式加湿装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0048】
10a、10b、10c 噴霧ノズルの端部
12 オリフィス
14 漏斗状空洞部
16 円筒状空洞部(渦部)
18 旋回板
20 不働態酸化膜
22 螺旋状旋回子
24 旋回子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流入させる渦室と、液体の出口となるオリフィスとを有する噴霧ノズルにおいて、少なくとも前記オリフィスの液体が接触する内面を、アルミニウムおよび鉄を含有する金属部材によって構成し、かつその表面にアルミニウムの不働態酸化膜を設けたことを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項2】
請求項1において、前記アルミニウムの不働態酸化膜は、前記噴霧ノズルに印加される電圧をトンネル効果によって前記液体に印加できる厚さを有していることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項3】
請求項2において、前記アルミニウムの不働態酸化膜の厚さは、5nm〜30nmであることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項4】
請求項1に記載の噴霧ノズルにアルミニウムの不働態酸化膜を形成する方法であって、内部を800℃〜1100℃の温度、酸素濃度を500ppb〜100ppmの範囲、及び水分濃度を200ppb〜50ppmの範囲に保ち、水素ガスとともに酸化性ガスを導入する構成を有する容器中で前記不働態酸化膜を形成することを特徴とする噴霧ノズルにアルミニウムの不働態酸化膜を形成する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の噴霧ノズルにアルミニウムの不働態酸化膜を形成する方法であって、噴霧ノズルを前記容器に入れて所定の温度、内部濃度条件に整えた後、アルミニウムの不働態酸化膜を形成する酸化処理時間が30分〜3時間であることを特徴とする噴霧ノズルにアルミニウムの不働態酸化膜を形成する方法。
【請求項6】
噴霧ノズルから噴霧されるミストの帯電を防止するミスト帯電防止方法において、前記噴霧ノズルに流入する液体に、酸化膜を通して電圧を印加することにより、無帯電ミストを生成することを特徴とするミスト帯電防止方法。
【請求項7】
請求項6において、前記酸化膜は5nm〜30nmの厚さであることを特徴とするミスト帯電防止方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、前記酸化膜は、前記噴霧ノズルを形成する金属部材の表面に形成され、前記金属部材を構成する金属の不働態酸化膜であることを特徴とするミスト帯電防止方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかにおいて、前記液体には、前記酸化膜を通して、トンネル効果により電圧が印加されることを特徴とするミスト帯電防止方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかにおいて、前記酸化膜はアルミニウム酸化膜であることを特徴とするミスト帯電防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−179221(P2010−179221A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23616(P2009−23616)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】