説明

噴霧乾燥に続く乾式粉砕で製造した熱安定性三水酸化アルミニウム粒子およびこれらの使用

本発明は、向上した熱安定性を有する水酸化アルミニウムである難燃剤を製造する新規な方法、それを用いて製造した水酸化アルミニウム粒子、それを用いて製造した水酸化アルミニウム粒子を難燃性重合体配合物で用いること、そしてその難燃性重合体配合物から製造した成形もしくは押出し加工品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉱物性難燃剤の製造に関する。より詳細には、本発明は、向上した熱安定性を有する水酸化アルミニウムである難燃剤を製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化アルミニウムは多様な代替名、例えば水化アルミニウム、三水化アルミニウムなどの名称を有するが、通常はATHと呼ばれる。ATH粒子はいろいろな材料、例えば紙、樹脂、ゴム、プラスチックなどに入れる充填材として数多くの用途を有する。そのような製品は多様な商業的用途、例えばケーブルおよびワイヤーの被覆材、コンベアベルト、熱可塑性プラスチック成形品、接着剤などで用いられる。ATHは典型的にそのような材料の難燃性を向上させる目的で用いられ、それはまた煙抑制剤としても働く。ATHはまた一般に印刷配線回路板の加工で用いられる樹脂に入れる難燃剤として用いられる。このように、ATHが示す熱安定性は最終使用者が綿密に監視する性質である。例えば、印刷回路基板用途の場合、その基板の構築で用いられる積層品の熱安定性は無鉛ハンダ付けが可能なほど充分に高くなければならない。
【0003】
ATHの合成および製造方法は当技術分野で良く知られている。しかしながら、注文によるATHグレードの需要が増えており、現在の方法はそのようなグレードの全部を製造する能力を持たない。このように、注文によるATHグレードの需要が増していることから、そのようなグレードを製造する方法に対する要求もまた増している。
【0004】
発明の要約
経験的な証拠によってATHの熱安定性はATHの総ソーダ含有量に関連していることが示されているが、本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明のATHが向上した熱安定性を示すのは不溶ソーダ含有量に関係していることを見いだしかつそのように考えているが、それの不溶ソーダ含有量は典型的に総ソーダ重量を基準にして総ソーダ含有量の約70から約99重量%の範囲内でありそしてその残りは可溶ソーダである。
【0005】
本発明者らは、また、理論で範囲を限定することを望むものでないが、樹脂によるATH粒子の湿りはATH粒子の形態に依存するとも考えており、かつ本発明者らは、予想外に、本発明の方法を用いると現在入手可能なATH粒子に比べて向上した湿潤性を示すATH粒子を製造することができることを見いだした。理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明者らは、そのように向上した湿潤性は本明細書に開示する方法を用いて製造したATH粒子が示す形態が向上したことに起因すると考えている。
【0006】
本発明者らは、更に、理論で範囲を限定することを望むものでないが、そのように向上した形態は本ATH生成物粒子が示す総比細孔容積および/または孔半径中央値に起因し得るとも考えている。本発明者らは、ATH生成物の凝集物が構造化している度合が高ければ高いほど含有する孔の数が多くかつ大きさが大きいことからある重合体分子は湿り難いと思われることでBuss Koニーダーの如きニーダーまたは二軸押出し加工機またはそのような目的で用いられる当技術分野で公知の他の機械を用いてそれをコンパウンド化している時に困難さ(モーターから取り出される動力が変動する度合が高い)がもたらされると考えている。従って、本発明者らは、ATH充填材が孔径中央値がより小さくそして/または総細孔容積がより小さいことで特徴づけられることと重合体材料による湿りが向上することが相互に関係していることで向上したコンパウンド化機能がもたらされる
、即ちATH充填材含有難燃性樹脂をコンパウンド化する時に用いられるコンパウンド化用機械のエンジン(モーター)から取り出される動力が変動する度合が低くなることを見いだした。本発明者らは、本発明の方法は特にそのような特徴を有するATHを製造しようとする時に良好に適することを見いだした。
【0007】
このように、1つの態様では、本発明を用いて、約300から約700mm/gの範囲内のVmax、即ち約1000バールの時の最大比孔容積および/または約0.09から約0.33μmの範囲内のr50、即ち相対比細孔容積が50%の所の孔半径を示しかつ下記の特徴:i)約0.5から約2.5μmのd50、ii)乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、iii)ISO 787−5:1980で測定して約50%未満の油吸収率、およびiv)DIN−66132で測定して約1から約15m/gの比表面積(BET)の中の1つ以上、好適には2つ以上、より好適には3つ以上、いくつかの態様では全部を示す乾式粉砕ATH粒子を生じさせ、かつ前記乾式粉砕ATH粒子が示す導電率は水中のATHが10重量%になるように水中で測定して約200μS/cm未満である。
【0008】
別の態様において、本発明は、本発明の方法で製造した乾式粉砕ATH粒子を含有させた難燃性樹脂配合物に関する。
【0009】
いくつかの態様において、本発明の乾式粉砕ATH粒子は更に可溶ソーダ含有量が約0.1重量%未満であることも特徴とする。
【0010】
本発明は、また、乾式粉砕ATHを製造する方法にも関する。この方法は、一般に、水酸化アルミニウムスラリーもしくは濾過ケーキの噴霧乾燥を実施することで噴霧乾燥水酸化アルミニウム粒子を生じさせ、そして前記噴霧乾燥水酸化アルミニウム粒子の乾式粉砕を実施することで本明細書に記述する如き乾式粉砕ATH粒子を生じさせることを含んで成る。
【0011】
発明の詳細な説明
本明細書に開示する粒子直径測定値、即ちd50値は全部QuantachromeのCilas 1064 Lレーザー分光計を用いたレーザー回折で測定した値であることを注目すべきである。d50を測定する目的で本明細書で用いる手順は一般に最初に適切な水−分散剤溶液(調製に関しては以下を参照)を前記装置のサンプル調製用容器に導入することを通して実施可能である。次に、「Particle Expert」と呼ぶ標準的測定を選択し、また測定モデル「Range 1」も選択し、そして次に、予測粒径分布に当てはまる装置内部パラメーターを選択する。測定中のサンプルに典型的には超音波を分散中および測定中に約60秒間当てることを注目すべきである。背景値の測定を実施した後、分析すべきサンプルを約75から約100mgの量でサンプル用容器に水/分散剤溶液と一緒に入れそして測定を開始する。前記水/分散剤溶液の調製は最初にKMF
Laborchemieから入手可能なCalgon(500g)とBASFから入手可能なCAL Polysalt(3リットル)を用いて濃縮液を生じさせることを通して実施可能である。その溶液に脱イオン水を入れることで10リットルにする。この元々の10リットルから100mlを取り出した後、更に脱イオン水で希釈して10リットルにした後、この最終的な溶液を上述した水−分散剤溶液として用いる。
【0012】
スラリーおよび濾過ケーキ
本発明の1つの態様では、ATH粒子を含有するスラリーもしくは濾過ケーキに噴霧乾燥を受けさせることで噴霧乾燥ATH粒子を生じさせた後、それに乾式粉砕を受けさせることで乾式粉砕ATH粒子を生じさせる。1つの好適な態様ではスラリーに噴霧乾燥を受けさせ、そして別の好適な態様では濾過ケーキに噴霧乾燥を受けさせる。
【0013】
そのようなスラリーもしくは濾過ケーキはATH粒子をこのスラリーもしくは濾過ケーキの総重量を基準にして典型的に約1から約85重量%の範囲内の量で含有する。いくつかの態様におけるスラリーもしくは濾過ケーキはATH粒子を約25から約85重量%の範囲内、他の態様ではATH粒子を約40から約70重量%の範囲内、時にはATH粒子を約55から約65重量%の範囲内の量で含有する(全部同じ基準)。他の態様におけるスラリーもしくは濾過ケーキはATH粒子を約40から約60重量%の範囲内、時にはATH粒子を約45から約55重量%の範囲内の量で含有する(両方とも同じ基準)。更に他の態様におけるスラリーもしくは濾過ケーキはATH粒子を約25から約50重量%の範囲内、時にはATH粒子を約30から約45重量%の範囲内で含有する(両方とも同じ基準)。
【0014】
本発明の実施で用いるスラリーもしくは濾過ケーキは、ATH粒子の製造で用いられるいずれかの方法で得たものであってもよい。いくつかの態様では、そのようなスラリーもしくは濾過ケーキを沈澱そして濾過を行うことでATH粒子を製造することを伴う方法で得る。典型的な態様では、粗水酸化アルミニウムを苛性ソーダに溶解させてアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせ、それを冷却そして濾過することでこの典型的な態様で用いるに有用なアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせることを包含する方法を用いることでそのようなスラリーもしくは濾過ケーキを得る。そのようにして生じさせるアルミン酸ナトリウム溶液のNaOとAlのモル比が典型的には約1.4:1から約1.55:1の範囲内になるようにする。ATH粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液から沈澱させる目的でATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液にATH種晶粒子がアルミン酸ナトリウム溶液1リットル当たり約1gからATH種晶粒子がアルミン酸ナトリウム溶液1リットル当たり約3gの範囲内の量になるように添加することで処理混合物を生じさせる。そのATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液に添加する時期は、前記アルミン酸ナトリウム溶液の溶液温度が約45から約80℃の時である。そのATH種晶粒子を添加した後の処理混合物を約100時間撹拌するか或は別法としてNaOとAlのモル比が約2.2:1から約3.5:1の範囲内になるまで撹拌することでATH懸濁液を生じさせる。その得るATH懸濁液のATH含有量が典型的にはその懸濁液を基準にして約80から約160g/lになるようにする。しかしながら、そのATH濃度を上述した範囲内で変えることも可能である。次に、その得たATH懸濁液を濾過した後、洗浄して不純物をそれから除去することで濾過ケーキを生じさせる。その濾過ケーキを水、好適には脱塩水で1回か或はいくつかの態様では2回以上洗浄してもよい。次に、その濾過ケーキに噴霧乾燥を直接受けさせてもよい。
【0015】
しかしながら、いくつかの態様では、前記濾過ケーキを水で再びスラリー状にすることでスラリーを生じさせてもよいか、或は好適な態様では、少なくとも1種、好適には1種類のみの分散剤を前記濾過ケーキに添加することでATH濃度が上述した範囲内のスラリーを生じさせる。また、前記濾過ケーキを水と分散剤の組み合わせを用いて再びスラリー状にすることも本発明の範囲内であることを注目すべきである。本明細書で用いるに適した分散剤の非限定例には、ポリアクリレート、有機酸、ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、脂肪−アルコール−ポリグリコール−エーテル、ポリプロピレン−エチレンオキサイド、ポリグリコール−エステル、ポリアミン−エチレンオキサイド、ホスフェート、ポリビニルアルコールが含まれる。前記スラリーに分散剤を含有させる場合、そのような分散剤の効果が理由で前記スラリーのATH含有量をスラリーの総重量を基準にして約80重量%以下にしてもよい。このような態様における前記スラリーもしくは濾過ケーキの残り(即ちATH粒子も分散剤1種または2種以上も含めない)は典型的に水であるが、ある種の反応体、混入物などが沈澱によって存在する可能性がある。
【0016】
本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明で製造したAT
H粒子が向上した形態を有することはATHを沈澱させる時に用いる方法に少なくともある程度起因すると考えている。このように、乾式粉砕技術は当技術分野で公知ではあるが、本発明者らは、本明細書に記述する沈澱そして濾過方法(好適な態様を包含)と一緒に本明細書に記述する乾式粉砕方法を用いると以下に記述する如き向上した形態を有するATH粒子を容易に生じさせることができることを見いだした。
【0017】
スラリーおよび/または濾過ケーキ中のATH粒子
いくつかの態様において、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子が示すBETは約1.0から約4.0m/gの範囲内である。このような態様では、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子が示すBETが約1.5から約2.5m/gの範囲内になるようにするのが好適である。このような態様では、その濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子は、また、d50が約1.8から約3.5μmの範囲内、好適には約1.8から約2.5μmの範囲内であることでも特徴付け可能であり、好適にはそのように特徴付けるが、このような粒子は、本明細書で製造する乾式粉砕ATH粒子よりも粗い。
【0018】
他の態様において、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子が示すBETは約4.0から約8.0m/gの範囲内、好適には約5から約7m/gの範囲内である。このような態様では、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子は、また、d50が約1.5から約2.5μmの範囲内、好適には約1.6から約2.0μmの範囲内であることでも特徴付け可能であり、好適にはそのように特徴付けるが、このような粒子は、本明細書で製造する乾式粉砕ATH粒子よりも粗い。
【0019】
更に他の態様において、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子が示すBETは約8.0から約14m/gの範囲内、好適には約9から約12m/gの範囲内である。このような態様では、前記濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子は、また、d50が約1.5から約2.0μmの範囲内、好適には約1.5から約1.8μmの範囲内であることでも特徴付け可能であり、好適にはそのように特徴付けるが、このような粒子は、本明細書で製造する乾式粉砕ATH粒子よりも粗い。
【0020】
粉砕乾燥ATH粒子よりも粗いは、一般に、その濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子が示すd50値の上限が本明細書で製造する乾式粉砕ATH粒子が示すd50の上限よりも少なくとも約0.2μm大きいことを意味する。
【0021】
本発明で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子は、また、総ソーダ含有量がスラリーもしくは濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.2重量%未満であることでも特徴付け可能であり、好適にはそのように特徴付ける。好適な態様で可溶ソーダ含有量を本ATH粒子の特徴にする場合、総ソーダ含有量が前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子の総重量を基準にして0.18重量%未満、より好適には0.12重量%未満になるようにする。ATHの総ソーダ含有量の測定はDr.Bruno Lange GmbH(デュッセルドルフ/ドイツ)の炎光光度計M7DCを用いて実施可能である。本発明では、ATH粒子の総ソーダ含有量の測定を最初に1gのATH粒子を石英ガラス製ボウルに加えた後に3mlの濃硫酸を前記石英ガラス製ボウルに加えそして前記ガラス製ボウルの内容物をガラス製ロッドで注意深く撹拌することを通して実施した。次に、その混合物を観察し、そしてATHの結晶が完全には溶解しなかった場合には、更に3mlの濃硫酸を加えて内容物を再び混合する。次に、前記ボウルを加熱用プレートの上に置いて、余分な硫酸が完全に蒸発するまで加熱する。次に、前記石英ガラス製ボウルの内容物をほぼ室温に冷却した後、脱イオン水を約50ml添加することで、前記ボウル内にいくらか存在する塩を溶解させる。その後、前記ボウルの内容物を高温に前記塩が溶解するまで約20分間維持する。次に、前記ガラス製
ボウルの内容物を約20℃に冷却し、500mlのメスフラスコに移した後、それを脱イオン水で満たしそして振とうを行うことで均一にする。次に、前記500mlのメスフラスコに入っている溶液を前記炎光光度計でATH粒子の総ソーダ含有量に関して分析する。
【0022】
本発明で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子は、また、可溶ソーダ含有量が前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.1重量%未満であることでも特徴付け可能であり、好適にはそのように特徴付ける。他の態様では、その濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子を更に可溶ソーダ含有量が約0.001以上から約0.1重量%の範囲内、いくつかの態様では約0.02から約0.1重量%の範囲内(両方とも前記濾過ケーキおよび/またはスラリー中のATH粒子を基準)であることで特徴付けることも可能である。一方、他の態様では、その濾過ケーキおよび/またはスラリーに入っているATH粒子を更に可溶ソーダ含有量が約0.001から0.04重量%未満の範囲内、いくつかの態様では約0.001から0.03重量%未満の範囲内、他の態様では約0.001から0.02重量%未満の範囲内(同じ基準)であることで特徴付けることも可能である。この可溶ソーダ含有量は炎光光度計で測定した含有量である。可溶ソーダ含有量を測定する時、サンプルの溶液を下記のようにして調製した:20gのサンプルを1000mlのメスフラスコに移した後、約250mlの脱イオン水を用いて約95℃の水浴上で約45分間滲出させる。次に、前記フラスコを20℃に冷却し、脱イオン水を較正目盛まで充填した後、振とうすることで均一にする。前記サンプルを沈降させると前記フラスコの首部の中に透明な溶液が生じ、濾過用シリンジを用いるか或は遠心分離を用いて、炎光光度計を用いた測定に必要な量の溶液を前記フラスコから取り出してもよい。
【0023】
本発明の実施で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を、また、不溶ソーダ含有量が本明細書に記述するように総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内でありかつ残りが可溶ソーダであるとして記述することも可能である。経験的証拠でATHの熱安定性と総ソーダ含有量が関連していることが示されているが、本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明の方法で製造した乾式粉砕ATH粒子が向上した熱安定性を有することと不溶ソーダ含有量が関連していると考えており、それの不溶ソーダ含有量は典型的に総ソーダ含有量の約70から約99.8重量%の範囲内でありかつその残りは可溶ソーダである。本発明のいくつかの態様において、本発明の実施で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子の総ソーダ含有量は典型的に前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.20重量%未満の範囲内、好適には前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.18重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.12重量%未満の範囲内である。本発明の他の態様において、本発明の実施で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子の総ソーダ含有量は典型的に前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.30重量%未満の範囲内、好適には前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.25重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.20重量%未満の範囲内である。本発明の更に他の態様において、本発明の実施で用いるスラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子の総ソーダ含有量は典型的に前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.40重量%未満の範囲内、好適には前記スラリーおよび/または濾過ケーキに入っているATH粒子を基準にして約0.30重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.25重量%未満の範囲内である。
【0024】
噴霧乾燥
噴霧乾燥は、水酸化アルミニウムの製造で通常用いられる技術である。この技術は、一
般に、ATH供給材料(ここでは粉砕ATHスラリーもしくは濾過ケーキ)をノズルおよび/または回転式噴霧装置を用いて噴霧することを伴う。次に、その噴霧された供給材料を熱気体、典型的に熱風と接触させた後、噴霧乾燥を受けたATHを前記熱気体流れから回収する。その噴霧された供給材料の接触は向流または並流様式のいずれかで実施可能であり、そして気体の温度、噴霧、接触および気体および/または噴霧された供給材料の流量を制御することで所望の生成物特性を有するATH粒子を生じさせることができる。
【0025】
その噴霧乾燥ATHの回収を濾過の如き回収技術を用いて達成してもよいか、或はその噴霧乾燥粒子を単に噴霧乾燥機内で落下させて集めた後にそれを取り出してもよいが、適切な如何なる回収技術も使用可能である。好適な態様では、その噴霧乾燥ATHを沈降させることでそれを噴霧乾燥機から回収しそしてそれをスクリューコンベアで前記噴霧乾燥機から回収した後に圧縮空気でパイプに通してサイロに送る。
【0026】
そのような噴霧乾燥の条件は通常の条件であり、以下に記述する所望のATH粒子生成物品質を認識した当技術分野の通常の技術者はそのような条件を容易に選択するであろう。そのような条件には、一般に、流入空気温度を典型的に250から550℃の範囲にしそして流出空気温度が典型的に105から150℃の範囲になるようにすることが含まれる。
【0027】
次に、その噴霧乾燥を受けさせたATHに乾式粉砕を受けさせる。
【0028】
乾式粉砕
乾式粉砕は、前記噴霧乾燥を受けさせたATHにこのATHが脱凝集を噴霧乾燥ATHが示す粒径がほとんど小さくなることなく起こすようなさらなる処理を受けさせることを意味する。「粒径がほとんど小さくなることなく」は、乾式粉砕ATHのd50が噴霧乾燥前の前記スラリーもしくは濾過ケーキに入っているATHが示すそれの約40から約90%の範囲内であることを意味する。好適な態様において、乾式粉砕ATHが示すd50は噴霧乾燥前の前記スラリーもしくは濾過ケーキに入っているATHが示すそれの約60から約80%の範囲内、より好適には噴霧乾燥前の前記スラリーもしくは濾過ケーキに入っているATHが示すそれの約70から約75%の範囲内である。
【0029】
前記噴霧乾燥を受けさせたATHに乾式粉砕を受けさせる時に用いる粉砕機は、当技術分野で公知の如何なる乾式粉砕機からも選択可能である。適切な乾式粉砕機の非限定例には、ボウルもしくは媒体ミル、コーンおよびジャイレートリークラッシャー、ディスク型摩擦粉砕機、コロイドおよびロールミル、スクリーンミルおよび顆粒装置、ハンマーおよびケージミル、ピンおよび万能ミル、衝撃式製粉機および破砕機、ジョークラッシャー、ジェットおよび流体エネルギーミル、ロールクラッシャー、ディスクミルおよび縦型ローラーおよびドライパン、振動ミルが含まれる。
【0030】
前記噴霧乾燥ATHに乾式粉砕を受けさせることで回収した乾式粉砕ATHに選別を公知の選別技術のいずれかを用いて受けさせてもよい、と言うのは、乾式粉砕中に使用する粉砕機に応じて凝集物が生じる可能性があるからである。適切な選別技術の非限定例には風力選別機が含まれる。ある種の選別機は組み込み型風力選別機であり、これが備わっていない場合には、個別の風力選別機を用いてもよいことを注目すべきである。この乾式粉砕でピンミル(pin mill)を用いなかった場合には、その乾式粉砕を受けさせたATHに1基以上のピンミルを用いたさらなる処理を受けさせてもよい。
【0031】
その噴霧乾燥ATHの乾式粉砕を、本明細書で考察する特性を有する乾式粉砕ATH粒子をもたらすに有効な条件下で実施する。
【0032】
本発明に従う乾式粉砕ATH粒子
一般に、前記噴霧乾燥ATH粒子の乾式粉砕を実施すると一般に特定の総比細孔容積および/または孔半径中央値(「r50」)を示すことに加えて下記の特徴:i)約0.5から約2.5μmのd50、ii)乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、iii)ISO 787−5:1980で測定して約50%未満の油吸収率、およびiv)DIN−66132で測定して約1から約15m/gの比表面積(BET)の中の1つ以上、好適には2つ以上、より好適には3つ以上、いくつかの態様では全部を示すことを特徴とする乾式粉砕ATH粒子がもたらされ、かつ前記乾式粉砕ATH粒子が示す導電率は水中のATHが10重量%になるように水中で測定して約200μS/cm未満である。
【0033】
上述したように、本発明者らは、ATH粒子の凝集物が構造化している度合が高ければ高いほど含有する孔の数が多くかつ大きさが大きいことからある重合体分子では湿り難いと思われることでBuss Koニーダーの如きニーダーまたは二軸押出し加工機またはそのような目的で用いられる当技術分野で公知の他の機械を用いてそれをコンパウンド化している時に困難さ(モーターから取り出される動力が変動する度合が高い)がもたらされると考えている。本発明者らは、本発明の乾式粉砕ATH粒子は孔径中央値がより小さくそして/または総細孔容積がより小さいことを特徴とし、このような特徴と重合体材料による湿りが向上することが相互に関係していることで向上したコンパウンド化機能がもたらされる、即ちATH充填材含有難燃性樹脂をコンパウンド化する時に用いられるコンパウンド化用機械のエンジン(モーター)から取り出される動力が変動する度合が低くなることを見いだした。
【0034】
噴霧乾燥ATH粒子が約1000バールの時に示す比細孔容積およびr50を水銀ポロシメータを用いて引き出すことができる。水銀ポロシメータの理論は、非反応性で非湿潤性の液体はこれが孔の中に入り込むに充分な圧力をかけるまではそれの中に入り込まないと言った物理的原理が基になっている。このように、孔径は液体が孔の中に入り込むに要する圧力が高ければ高いほど小さい。本乾式粉砕ATH粒子の孔径がより小さいことおよび/または総比細孔容積がより小さいこととそれの湿潤性が良好なことが相互に関係していることを見いだした。本乾式粉砕ATH粒子の孔径の計算はCarlo Erba Strumentazione(イタリア)のPorosimeter 2000を用いた水銀ポロシメータを用いて引き出したデータを用いることで実施可能である。Porosimeter 2000のマニュアルに従い、測定圧pから孔半径rを計算する目的で下記の式を用いる:r=−2γcos(θ)/p[ここで、θは湿り角であり、そしてγは表面張力である]。本明細書で行う測定ではθとして141.3゜の値を用いそしてγを480dyn/cmに設定した。
【0035】
この測定の再現性を向上させる目的で、本乾式粉砕ATH粒子の孔径の計算をPorosimeter 2000マニュアルに記述されている如き2回目のATH侵入試験実験を用いて実施した。本発明者らは乾式粉砕ATH粒子のサンプルを押出し加工した後、即ち圧力が周囲の圧力に放出された後に体積Vを有する水銀がある量で前記サンプル中に残存したままであることを観察したことから2回目の試験実験を用いた。このように、以下に説明する如きデータを用いてr50を引き出すことができる。
【0036】
1番目の試験実験では、乾式粉砕ATH粒子のサンプルの調製をPorosimeter 2000のマニュアルに記述されているようにして実施し、そして細孔容積を1000バールの最大圧力を用いてかけた侵入圧pの関数として測定した。この1番目の試験実験が完了した時点で圧力を放出させることで周囲の圧力に到達させた。2番目の侵入試験実験(Porosimeter 2000のマニュアルに従う)では1番目の試験実験で得た厳正に同じ乾式粉砕ATHサンプルを用いて実験を実施し、この2番目の試験実施の
比細孔容積V(p)の測定では、体積Vを新しい出発体積として採用した後、それを2番目の試験実験でゼロに設定する。
【0037】
2番目の侵入試験実験では、サンプルが示す比細孔容積V(p)の測定を再び1000バールの最大圧力を用いてかける侵入圧の関数として実施した。約1000バール、即ちこの測定で用いた最大圧力の時の細孔容積を本明細書ではVmaxと呼ぶ。
【0038】
この2番目の乾式粉砕ATH侵入試験実験を基に細孔半径rの計算をPorosimeter 2000を用いて式:r=−2γcos(θ)/p[ここで、θは湿り角であり、γは表面張力であり、そしてpは侵入圧である]に従って実施した。本明細書で行ったr測定の全部に関して、θとして141.3゜の値を用いそしてγを480dyn/cmに設定した。必要ならば、比細孔容積を孔半径rと対比させてプロットすることで、得た結果をグラフで表示することも可能である。定義として、相対的比細孔容積が50%の所の孔半径を本明細書では孔半径中央値r50と呼ぶ。
【0039】
50およびVmaxのグラフ表示に関しては米国仮特許出願60/818,632、60/818,633、60/818,670、60/815,515および60/818,426(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0040】
本発明に従う乾式粉砕ATH粒子のサンプルを用いて上述した手順を繰り返した結果、本乾式粉砕ATH粒子が示すr50、即ち相対的比細孔容積が50%の所の孔半径は約0.09から約0.33μmの範囲内であることを見いだした。本発明のいくつかの態様では、本乾式粉砕ATH粒子が示すr50は約0.20から約0.33μmの範囲内、好適には約0.2から約0.3μmの範囲内である。他の態様におけるr50は約0.185から約0.325μmの範囲内、好適には約0.185から約0.25μmの範囲内である。更に他の好適な態様におけるr50は約0.09から約0.21μmの範囲内、より好適には約0.09から約0.165μmの範囲内である。
【0041】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、Vmax、即ち約1000バールの時の最大比細孔容積が約300から約700mm/gの範囲内であることでも特徴付け可能である。本発明のいくつかの態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すVmaxは約390から約480mm/gの範囲内、好適には約410から約450mm/gの範囲内である。他の態様におけるVmaxは約400から約600mm/gの範囲内、好適には約450から約550mm/gの範囲内である。更に他の態様におけるVmaxは約300から約700mm/gの範囲内、好適には約350から約550mm/gの範囲内である。
【0042】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、ISO 787−5:1980で測定した時の油吸収率が約50%未満、時には約1から約50%の範囲内であることでも特徴付け可能である。いくつかの態様において、本乾式粉砕ATH粒子は油吸収率が約23から約30%の範囲内、好適には約24%から約29%の範囲内、より好適には約25%から約28%の範囲内であることを特徴とする。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子は油吸収率が約25%から約40%の範囲内、好適には約25%から約35%の範囲内、より好適には約26%から約30%の範囲内であることを特徴とする。更に他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子は油吸収率が約25から約50%の範囲内、好適には約26%から約40%の範囲内、より好適には約27%から約32%の範囲内であることを特徴とする。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示す油吸収率は約19%から約23%の範囲内、更に他の態様では、製造した本乾式粉砕ATH粒子が示す油吸収率は約21%から約25%の範囲内である。
【0043】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、DIN−66132で測定した時のBET比表面積が約1から15m/gの範囲内であることでも特徴付け可能である。いくつかの態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すBET比表面積は約3から約6m/gの範囲内、好適には約3.5から約5.5m/gの範囲内である。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すBET比表面積は約6から約9m/gの範囲内、好適には約6.5から約8.5m/gの範囲内である。更に他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すBET比表面積は約9から約15m/gの範囲内、好適には約10.5から約12.5m/gの範囲内である。
【0044】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、d50が約0.5から2.5μmの範囲内であることでも特徴付け可能である。いくつかの態様において、本発明を用いて製造した乾式粉砕ATH粒子が示すd50は約1.5から2.5μmの範囲内、好適には約1.8から2.2μmの範囲内である。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すd50は約1.3から2.0μmの範囲内、好適には約1.4から1.8μmの範囲内である。更に他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示すd50は約0.9から1.8μmの範囲内、より好適には約1.1から1.5μmの範囲内である。
【0045】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、乾式粉砕ATH粒子を基準にした総ソーダ含有量が約0.4重量%未満であることでも特徴付け可能である。いくつかの態様において、可溶ソーダ含有量を本乾式粉砕ATH粒子が示す1つの特徴にする場合、その総ソーダ含有量が乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.20重量%未満、好適には約0.18重量%未満、より好適には0.12重量%未満になるようにする。他の態様において、可溶ソーダ含有量を本乾式粉砕ATH粒子が示す1つの特徴にする場合、その総ソーダ含有量が乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.3重量%未満、好適には約0.25重量%未満、より好適には0.20重量%未満になるようにする。他の態様において、可溶ソーダ含有量を本乾式粉砕ATH粒子が示す1つの特徴にする場合、その総ソーダ含有量が乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.40重量%未満、好適には約0.30重量%未満、より好適には0.25重量%未満になるようにする。この総ソーダ含有量の測定はこの上に概略を示した手順に従って実施可能である。
【0046】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、以下の表1、2および3に記述する如き熱安定性を示すことでも特徴付け可能である。
【0047】
【表1】

【0048】
熱安定性を本明細書で用いる場合、これは乾式粉砕ATH粒子からの水の放出を指し、これの評価は数種の熱分析方法、例えば熱重力分析(「TGA」)などを用いて直接実施可能であり、本発明では、乾式粉砕ATH粒子が示す熱安定性の測定をTGAを用いて実施した。測定を実施する前に乾式粉砕ATH粒子のサンプルをオーブンに入れて約105℃で4時間乾燥させることで表面の水分を除去しておいた。次に、TGA測定をMettler Toledoを用い、70μlのアルミナ製るつぼ(初期重量が約12mg)を用いて、N(1分当たり70ml)下で下記の加熱速度、1分当たり10℃で30℃から150℃、1分当たり1℃で150℃から350℃、1分当たり10℃で350℃から600℃の加熱速度を用いて実施した。本乾式粉砕ATH粒子(この上に記述したようにして前以て乾燥させておいた)が1重量%の損失および2重量%の損失(両方とも乾式粉砕ATH粒子の重量を基準)を起した時のTGA温度を測定した。この上に記述したTGA測定値は前記るつぼを覆う蓋を用いて測定した値であることを注目すべきである。
【0049】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、導電率が約200μS/cm未満の範囲内、いくつかの態様では150μS/cm未満、他の態様では100μS/cm未満であることでも特徴付け可能である。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示す導電率は約10から約45μS/cmの範囲内である。導電率の測定を全部以下に記述するように乾式粉砕ATH含有量が溶液を基準にして約10重量%の水溶液に関して実施した。
【0050】
導電率の測定ではWissenschaftlich−Technische−Werkstaetten GmbH(Weilheim/ドイツ)のMultiLab 540導電率測定装置を用いて下記の手順で実施した:100mlの三角フラスコに分析すべきサンプルを10gおよび脱イオン水(周囲温度)を90ml入れて、Gesellschaft for Labortechnik mbH(Burgwedel/ドイツ)から入手可能なGFL 3015振とう装置を最大性能で用いて10分間振とうする。次に、導電性電極を前記懸濁液に浸漬した後、導電率を測定する。
【0051】
本乾式粉砕ATH粒子は、また、乾式粉砕ATH粒子を基準にした可溶ソーダ含有量が約0.1重量%未満であることでも特徴付け可能である。他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子は、更に、可溶ソーダ含有量が約0.001以上から約0.1重量%の範囲内、いくつかの態様では約0.02から約0.1重量%の範囲内(両方とも乾式粉砕ATH粒子を基準)であることでも特徴付け可能である。一方、他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子は、更に、可溶ソーダ含有量が約0.001から約0.03重量%未満の範囲内、いくつかの態様では約0.001から0.04重量%未満の範囲内、他の態様では約0.001から0.02重量%未満の範囲内(全部同じ基準)であることでも特徴付け可能である。可溶ソーダ含有量の測定はこの上に概略を示した手順に従って実施可能である。
【0052】
本乾式粉砕ATH粒子は、不溶ソーダ含有量でも特徴付け可能であり、好適にはそれで特徴付けする。経験的な証拠によってATHの熱安定性はATHの総ソーダ含有量に関連していることが示されているが、本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明の方法で製造した乾式粉砕ATH粒子が向上した熱安定性を示すのは不溶ソーダ含有量に関係していると考えている。本発明の乾式粉砕ATH粒子が示す不溶ソーダ含有量は典型的に乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内であると共にその残りは可溶ソーダである。本発明のいくつかの態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示す総ソーダ含有量は典型的に乾式粉砕ATHを基準にして約0.20重量%未満の範囲内、好適には乾式粉砕ATHを基準にして約0.18重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.12重量%未満の範囲内である。本発明の他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示す総ソーダ含有量は典型的に乾式粉砕ATHを基準にして約0.30重量%未満の範囲内、好適には乾式粉砕ATHを基準にして約0.25重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.20重量%未満の範囲内である。本発明の更に他の態様において、本乾式粉砕ATH粒子が示す総ソーダ含有量は典型的に乾式粉砕ATHを基準にして約0.40重量%未満の範囲内、好適には乾式粉砕ATHを基準にして約0.30重量%未満の範囲内、より好適には同じ基準で約0.25重量%未満の範囲内である。
【0053】
乾式粉砕ATHの使用
本発明に従う乾式粉砕ATH粒子はいろいろな合成樹脂に入れる難燃剤として使用可能である。このように、1つの態様において、本発明は、少なくとも1種の合成樹脂、いくつかの態様では1種類のみの合成樹脂を含有しかつ本発明に従う乾式粉砕ATH粒子を難燃量で含有して成る難燃性重合体配合物およびこの難燃性重合体配合物から製造した成形および/または押出し加工品に関する。
【0054】
本乾式粉砕ATH粒子の難燃量は、一般に、難燃性重合体配合物の重量を基準にして約5重量%から約90重量%の範囲内、好適には同じ基準で約20重量%から約70重量%の範囲内であることを意味する。最も好適な態様における乾式粉砕ATH粒子の難燃量は同じ基準で約30重量%から約65重量%の範囲内である。従って、そのような難燃性重合体配合物は少なくとも1種の合成樹脂を難燃性重合体配合物の重量を基準にして典型的には約10から約95重量%の範囲内、好適には難燃性重合体配合物の約30から約40重量%の範囲内、より好適には少なくとも1種の合成樹脂の約35から約70重量%の範囲内(全部同じ基準)の量で含有して成る。
【0055】
本ATH粒子を用いることができる熱可塑性樹脂の非限定例には、ポリエチレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、CからCオレフィン(α−オレフィン)の重合体および共重合体、例えばポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)など、そのようなオレフィンとジエンの共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルのグラフト共重合体樹脂、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−プロピレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂などが含まれる。適切な合成樹脂のさらなる例には、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂および尿素樹脂が含まれ、そしてまた天然または合成のゴム、例えばEPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NIR、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、NBRおよびクロロスルホン化ポリエチレンなども含まれる。更に重合体懸濁液(ラテックス)も含まれる。
【0056】
そのような合成樹脂は好適にはポリエチレンが基になった樹脂、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル樹脂)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル樹脂)、EMA(エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体樹脂)および超高分子量のポリエチレンなど、およびCからCオレフィン(α−オレフィン)の重合体および共重合体、例えばポリブテンおよびポリ(4−メチルペンテン−1)など、ポリ塩化ビニルおよびゴムである。より好適な態様における合成樹脂はポリエチレンが基になった樹脂である。
【0057】
本難燃性重合体配合物にまた当技術分野で通常用いられる他の添加剤を含有させることも可能である。本発明の難燃性重合体配合物で用いるに適した他の添加剤の非限定例には、押出し加工助剤、例えばポリエチレンワックス、Siが基になった押出し加工助剤、脂肪酸、カップリング剤、例えばアミノ−、ビニル−もしくはアルキルシランまたはマレイン酸グラフト化重合体など、ステアリン酸バリウムまたはステアリン酸カルシウム、有機過酸化物、染料、顔料、充填材、発泡剤、消臭剤、熱安定剤、抗酸化剤、帯電防止剤、補強剤、金属捕捉剤もしくは不活性化剤、衝撃改良剤、加工助剤、離型助剤、滑剤、抗ブロッキング剤、他の難燃剤、紫外線安定剤、可塑剤、流動助剤などが含まれる。必要ならば、また、核形成剤、例えばケイ酸カルシウムまたはインジゴなどを本難燃性重合体配合物に含有させることも可能である。そのような他の任意の添加剤の比率は通常の比率であり、所定状況の必要性に適するように変えることができる。
【0058】
本難燃性重合体配合物に含める成分を混合および添加する方法そして成形を行う方法は本発明にとって決定的ではなく、選択する方法が均一な混合および成形を伴う限り当技術分野で公知の如何なる方法であってもよい。例えば、この上に示した成分および任意の添加剤を用いる場合にはそれの各々をBuss Koニーダー、内部ミキサー、Farrel連続ミキサーまたは二軸押出し加工機を用いてか或はある場合にはまた単軸押出し加工機または二本ロールミルを用いて混合した後、次の工程段階で難燃性重合体配合物の成形を実施してもよい。その上、本難燃性重合体配合物の成形品に引き伸ばし加工、エンボス加工、コーティング、印刷、メッキ、穴開けまたは切断などの用途に適した加工を受けさせた後にそれを用いることも可能である。また、その混練りした混合物にインフレーション成形、射出成形、押出し加工成形、ブロー成形、プレス成形、回転成形またはカレンダー成形を受けさせることも可能である。
【0059】
押出し加工品の場合、本難燃性重合体配合物で用いる合成樹脂1種または2種以上を用いた時に有効であることが知られている如何なる押出し加工技術も使用可能である。1つの典型的な技術では、合成樹脂、乾式粉砕ATH粒子および任意の成分(選択する場合)をコンパウンド化用機械でコンパウンド化することで難燃性樹脂配合物を生じさせる。次
に、その難燃性樹脂配合物を押出し加工機内で加熱して溶融状態にした後、その溶融状態の難燃性樹脂配合物を選択したダイスに通して押出すことで押出し加工品を生じさせるか或はそれで例えば金属ワイヤーまたはデータ伝送で用いられるガラス繊維などを被覆する。
【0060】
いくつかの態様では、そのような合成樹脂をエポキシ樹脂、ノボラック樹脂、DOPOの如き燐含有樹脂、臭素化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステルから選択する。そのような態様における乾式粉砕ATH粒子の難燃量は、ATHが樹脂100部当たり約5から約200部(「phr」)の範囲内である。好適な態様では、本難燃配合物の乾式粉砕ATH粒子含有量を約15から約100phr、好適には約15から約75phr、より好適には約20から約55phrにする。この態様では、その難燃性重合体配合物にまたそのような特別な樹脂と一緒に当技術分野で通常用いられる他の添加剤を含有させることも可能である。そのような難燃性重合体配合物で用いるに適した他の添加剤の非限定例には、例えば臭素、燐または窒素などが基になった他の難燃剤、溶媒、硬膜剤もしくは促進剤の如き硬化剤、分散剤または燐化合物、微細シリカ、粘土またはタルクが含まれる。そのような他の任意添加剤の比率は通常の比率であり、所定状況の必要性に適するように変えることができる。そのような難燃性重合体配合物に含める成分を混合および添加する好適な方法は高せん断混合による方法である。例えば、せん断が用いられているヘッドミキサー(例えばSilverson Companyが製造している)を用いる。その樹脂−充填材混合物を更に加工して「プレプレグ」段階にした後に硬化した積層品を生じさせることが一般的な最新技術であり、文献、例えばMcGraw−Hill Book Companyが出版している「Handbook of Epoxide Resins」(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
【0061】
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当技術分野の技術者は、本発明の精神を実施するに適していて等しく有効な他の手段を考案することができるであろうことを認識するであろう。また、本発明の好適な態様は本明細書で考察するあらゆる範囲がより少ないいずれかの量からより多いいずれかの量の範囲を包含することを意図することも注目すべきである。例えば、本乾式粉砕ATHが示す油吸収を考察する時、約30%から約32%、約19%から約25%、約21%から約27%などの範囲は本発明の範囲内であることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式粉砕ATH粒子の製造方法であって、
a)ATH含有量がスラリーおよび/または濾過ケーキの総重量を基準にして約1から約85重量%の範囲内の水酸化アルミニウムスラリーもしくは濾過ケーキの噴霧乾燥を実施することで噴霧乾燥水酸化アルミニウム粒子を生じさせ、そして
b)前記噴霧乾燥水酸化アルミニウム粒子の乾式粉砕を実施することで乾式粉砕ATH粒子を生じさせる、
ことを含んで成っていて、前記乾式粉砕ATH粒子が約300から約700mm/gの範囲内のVmaxおよび/または約0.09から約0.33μmの範囲内のr50を示しかつ下記の特徴:i)約0.5から約2.5μmのd50、ii)乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、iii)ISO 787−5:1980で測定して約50%未満の油吸収率、およびiv)DIN−66132で測定して約1から約15m/gの比表面積(BET)の中の1つ以上を示しかつ前記乾式粉砕ATH粒子が示す導電率が水中のATHが10重量%になるように水中で測定して約200μS/cm未満である方法。
【請求項2】
前記スラリーもしくは濾過ケーキが沈澱そして濾過を行うことでATH粒子を製造することを伴う方法で得たものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スラリーもしくは濾過ケーキが水酸化アルミニウムを苛性ソーダに溶解させてアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせ、前記アルミン酸ナトリウム溶液を濾過して不純物を除去し、前記アルミン酸ナトリウム溶液を冷却そして希釈して適切な温度および濃度にし、ATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液に添加し、ATH粒子を前記溶液から沈澱させることでATHを懸濁液を基準にして約80から約160g/lの範囲内で含有するATH懸濁液を生じさせ、前記ATH懸濁液を濾過することで前記濾過ケーキを生じさせそして前記濾過ケーキに噴霧乾燥を受けさせる前にそれを場合により水で1回以上洗浄しておいてもよいことを含んで成る方法で得たものである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記スラリーもしくは濾過ケーキが水酸化アルミニウムを苛性ソーダに溶解させてアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせ、前記アルミン酸ナトリウム溶液を濾過して不純物を除去し、前記アルミン酸ナトリウム溶液を冷却そして希釈して適切な温度および濃度にし、ATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液に添加し、ATH粒子を前記溶液から沈澱させることでATHを懸濁液を基準にして約80から約160g/lの範囲内で含有するATH懸濁液を生じさせ、前記ATH懸濁液を濾過することで濾過ケーキを生じさせ、前記濾過ケーキを再びスラリー状にする前にそれを場合により水で1回以上洗浄しておいてもよく、そして前記濾過ケーキを再びスラリー状にすることでATHをスラリーの総重量を基準にして約1から約85重量%の範囲内の量で含有して成るスラリーを生じさせることを含んで成る方法で得たものである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子が示すBETがa)約1.0から約4.0m/gの範囲内であるか或はb)約4.0から約8.0m/gの範囲内であるか或はc)約8.0から約14m/gの範囲内である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子が示すd50が約1.5から約3.5μmの範囲内である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記スラリーもしくは濾過ケーキがi)ATH粒子を約1から約85重量%の範囲内、ii)ATH粒子を約25から約70重量%の範囲内、iii)ATH粒子を約55から約65重量%の範囲内、ATH粒子を約40から約60重量%の範囲内、iv)ATH粒
子を約45から約55重量%の範囲内、v)ATH粒子を約25から約50重量%の範囲内、またはvi)ATH粒子を約30から約45重量%の範囲内の量で含有しかつあらゆる重量%が前記スラリーもしくは濾過ケーキの総重量を基準にした重量%である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子が示す総ソーダ含有量が前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子を基準にして約0.2重量%未満である請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子が示す可溶ソーダ含有量が前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子を基準にして約0.1重量%未満である請求項1または8のいずれか記載の方法。
【請求項10】
前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子が示す不溶ソーダ含有量が前記総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内でありそして残りが可溶ソーダである請求項1または8のいずれか記載の方法。
【請求項11】
前記スラリーもしくは濾過ケーキが分散剤を含有して成る請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記乾式粉砕ATH粒子が示す可溶ソーダ含有量が前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATH粒子を基準にして約0.1重量%未満である請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記乾式粉砕ATH粒子が示す不溶ソーダ含有量が前記総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内でありそして残りが可溶ソーダである請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記乾式粉砕ATH粒子に1基以上のピンミルを用いた選別または処理を受けさせる請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1に従う乾式粉砕ATH粒子。
【請求項16】
乾式粉砕ATH粒子であって、約300から約700mm/gの範囲内のVmaxおよび/または約0.09から約0.33μmの範囲内のr50を示しかつ下記の特徴:i)約0.5から約2.5μmのd50、ii)乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、iii)ISO 787−5:1980で測定して約50%未満の油吸収率、およびiv)DIN−66132で測定して約1から約15m/gの比表面積(BET)の中の1つ以上を示しかつ水中のATHが10重量%になるように水中で測定して約200μS/cm未満の導電率を示す乾式粉砕ATH粒子。
【請求項17】
約19から約23%の範囲内の油吸収率を示す請求項16記載の乾式粉砕ATH粒子。
【請求項18】
a)約3から約6m/gの範囲内のBET、約1.5から約2.5μmの範囲内のd50、約23から約30%の範囲内の油吸収率、約0.2から約0.33μmの範囲内のr50、約390から約480mm/gの範囲内のVmax、約0.2重量%未満の総ソーダ含有量、約100μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.02重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表1:
【表1】

に記述する如き熱安定性を示すか、或は
b)約6から約9m/gの範囲内のBET、約1.3から約2.0μmの範囲内のd50、約25から約40%の範囲内の油吸収率、約0.185から約0.325μmの範囲内のr50、約400から約600mm/gの範囲内のVmax、約0.3重量%未満の総ソーダ含有量、約150μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.03重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表2:
【表2】

に記述する如き熱安定性を示すか、或は
c)約9から約15m/gの範囲内のBETおよび約0.9から約1.8μmの範囲内のd50、約25から約50%の範囲内の油吸収率、約0.09から約0.21μmの範囲内のr50、約300から約700mm/gの範囲内のVmax、約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、約200μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.04重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表3:
【表3】

に記述する如き熱安定性を示す、
請求項16記載の乾式粉砕ATH粒子。
【請求項19】
乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99重量%の範囲内の不溶ソーダ含有量を示す請求項16記載の乾式粉砕ATH粒子。
【請求項20】
少なくとも1種の合成樹脂を含有しかつ請求項15記載の乾式粉砕ATH粒子を難燃性重合体配合物の重量を基準にして約5重量%から約90重量%の範囲内の量で含有して成る難燃性重合体配合物。
【請求項21】
前記乾式粉砕ATH粒子が約300から約700mm/gの範囲内のVmaxおよび/または約0.09から約0.33μmの範囲内のr50を示しかつ下記の特徴:i)約0.5から約2.5μmのd50、ii)乾式粉砕ATH粒子の総重量を基準にして約0
.4重量%未満の総ソーダ含有量、iii)ISO 787−5:1980で測定して約50%未満の油吸収率、およびiv)DIN−66132で測定して約1から約15m/gの比表面積(BET)の中の1つ以上を示しかつ前記乾式粉砕ATH粒子が示す導電率が水中のATHが10重量%になるように水中で測定して約200μS/cm未満である請求項20記載の難燃性重合体配合物。
【請求項22】
前記乾式粉砕ATH粒子が約19から約23%の範囲内の油吸収率を示す請求項21記載の難燃性重合体配合物。
【請求項23】
前記乾式粉砕ATH粒子が
a)約3から約6m/gの範囲内のBET、約1.5から約2.5μmの範囲内のd50、約23から約30%の範囲内の油吸収率、約0.2から約0.33μmの範囲内のr50、約390から約480mm/gの範囲内のVmax、約0.2重量%未満の総ソーダ含有量、約100μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.02重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表1:
【表4】

に記述する如き熱安定性を示すか、或は
b)約6から約9m/gの範囲内のBET、約1.3から約2.0μmの範囲内のd50、約25から約40%の範囲内の油吸収率、約0.185から約0.325μmの範囲内のr50、約400から約600mm/gの範囲内のVmax、約0.3重量%未満の総ソーダ含有量、約150μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.03重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表2:
【表5】

に記述する如き熱安定性を示すか、或は
c)約9から約15m/gの範囲内のBETおよび約0.9から約1.8μmの範囲内のd50、約25から約50%の範囲内の油吸収率、約0.09から約0.21μmの範囲内のr50、約300から約700mm/gの範囲内のVmax、約0.4重量%未満の総ソーダ含有量、約200μS/cm未満の範囲内の導電率、乾式粉砕ATH粒子を基準にして0.001から0.04重量%未満の範囲内の可溶ソーダ含有量、乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99.8%の範囲内の不溶ソーダ含有量および熱重量分析で測定して以下の表3:
【表6】

に記述する如き熱安定性を示す、
請求項21記載の難燃性重合体配合物。
【請求項24】
前記乾式粉砕ATH粒子が示す不溶ソーダ含有量が乾式粉砕ATHの総ソーダ含有量の約70から約99重量%の範囲内である請求項23記載の難燃性重合体配合物。
【請求項25】
請求項20−24のいずれか記載の難燃性重合体配合物から作られた成形もしくは押出し加工品。

【公表番号】特表2010−512293(P2010−512293A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515990(P2009−515990)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002314
【国際公開番号】WO2007/148226
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508340857)マルテインスベルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (8)
【Fターム(参考)】