説明

噴霧器ウイッキング・システム

液体を噴霧するための振動式オリフィスプレート(37)を使用する噴霧装置(20)用交換式リザーバアセンブリ(30)は、噴霧される液体を収容する容器(31)、及び、該容器(31)内の液体に浸漬される下端と容器(31)より上に配置される上端とを有する細長い芯(56)を含む。芯(56)は、容器(31)から、容器(31)の外側にある芯(56)の上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含んでいる。芯(56)の上端は、交換式リザーバが噴霧装置(20)に配置されるときに芯(56)の先端面と振動式オリフィスプレート(37)の対向面との間の領域から大気中に対して遮断されていない流路を設けるように構成される少なくとも1つの表面を有する。振動式オリフィスプレート(37)によって噴霧される液体を収容する交換式リザーバ・アセンブリ(30)に使用するための芯(56)、及び、中実の、寸法的に安定した芯(56)の上端を配置する方法をさらに開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体の噴霧に関し、詳細には、噴霧される液体をオリフィスプレートの表面に供給するための新規な方法及び装置に関し、このオリフィスプレートは、振動によって液体を噴霧し、該プレートの反対側表面から液体の微小液滴を射出する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連するタイプの噴霧器は、振動オリフィスプレート若しくは膜を使用し、該プレートを押圧する柔軟性のある芯(ウイック)によってプレートの片側に導かれる液体を噴霧する。この種の噴霧器の例は、特許文献1に示されている。
【0003】
液体を振動式噴霧要素に供給する種々の芯又は導管(コンジット)を使用する噴霧装置は、特許文献2乃至9に開示されている。特許文献10及び11には、噴霧される液体を供給するための管又は針の使用が記載されている。特許文献12及び13には、芯について記載されている。
【0004】
本発明は、噴霧される液体をオリフィスプレートに搬送するために、中実の、寸法的に安定した芯を使用するときに発生する問題を解決する。中実の、寸法的に安定した芯を用いた噴霧装置の例は、発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/154,509号(2002年5月24日出願)に図示且つ記載され、参照することによって本明細書中に組み込まれるものとする。こうした芯は一般的にプラスチック製であり、間隙又は毛管流路を含み、これらは芯の一端から他端まで芯を通って延び、芯の一端から芯を通って他端まで液体を引き上げる。交換式リザーバの芯が、前のリザーバの芯によってまだ湿っているオリフィスプレートに押し付けられて配置されるとき、噴霧動作を再開することが困難な場合が多いことが認識されている。噴霧動作を再開するために数時間また時には数日を要することがあり、このことは噴霧器の使用に悪影響を与える。
【0005】
したがって、「自己プライミング」である、即ち噴霧装置に含まれる芯が液体を圧電ポンプに確実に且つ瞬時に供給するような噴霧装置のための技術の必要性が見出されている。
【特許文献1】米国特許第6,450,419号
【特許文献2】米国特許第6,467,476号
【特許文献3】米国特許第6,085,740号
【特許文献4】米国特許第5,529,055号
【特許文献5】米国特許第4,790,479号
【特許文献6】米国特許第4,753,579号
【特許文献7】米国特許第4,334,531号
【特許文献8】米国特許第4,301,093号
【特許文献9】欧州特許出願公開EP0897755A2
【特許文献10】米国特許第4,582,654号
【特許文献11】米国特許第4,474,326号
【特許文献12】米国特許第5,863,196号
【特許文献13】米国特許第5,124,200号
【特許文献14】米国特許第6,296,196号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新しい、寸法的に安定した芯を含む交換式リザーバが噴霧器に取り付けられるときの、振動式オリフィスプレート噴霧器に対する流体の供給を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様によると、本発明は、液体で満たされた間隙を有する、中実の、寸法的に安定した芯の上端を、振動式オリフィスプレートの表面に押し付けて配置する方法であって、該オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、オリフィスプレートが振動すると芯の間隙を満たしている液体を散布するように構成される上記方法を提供する。この方法は、上記芯が、その上端の一部が上記振動式オリフィスプレートに接した状態で配置されるとき、芯の上端とオリフィスプレートの表面との間の空間から大気中に延出する液体のない流路を維持しながら、芯を振動式オリフィスプレートに向けて移動させるステップを有する。
【0008】
別の態様によると、本発明は、振動式オリフィスプレートによって噴霧される液体を収容する交換式リザーバに使用するための芯であって、上記オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、上記リザーバ内の液体を散布するように構成される、上記芯を提供する。この芯は、液体を下端から上端に引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含む。上記芯は、該芯の先端面と上記振動式オリフィスプレートの対向面との間の領域から大気に対し遮断されていない流路を設けるように構成される、異なる高さの面を、その上端に有する。
【0009】
更なる態様によると、本発明は、液体を噴霧するための振動式オリフィスプレートを使用する噴霧装置用交換式リザーバ・アセンブリを提供する。この交換式リザーバ・アセンブリは、噴霧される液体を収容する容器と、上記容器内の液体に浸漬される下端、及び上記容器より上に配置される上端を有する細長い芯と、を含む。上記芯は、上記容器から、上記容器の外側にある上記芯の上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含んでいる。上記交換式リザーバが噴霧装置に配置されるとき、上記芯の先端面及び振動式オリフィスプレートの対向面間の領域から大気に対し遮断されていない流路を設けるように構成される少なくとも1つの表面が、上記芯の上端に設けられている。
【0010】
更に別の態様によれば、本発明は、振動式オリフィスプレートによって噴霧される液体を収容する交換式リザーバに使用するための芯を提供する。このオリフィスプレートは該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、リザーバ内の液体を散布するように構成される。上記芯は、下端から上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料と、芯の先端面から垂下する側面、及び、上記振動式オリフィスプレートに接触しないように芯の先端面より下に配置される底面を有する切り抜き部であって、遮断されていない流路を構成する切り抜き部と、を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による噴霧装置20は概して、オリフィスプレート37を含む噴霧器アセンブリ34、及び、交換式リザーバ・アセンブリ30から構成される。リザーバ・アセンブリ30は、流体及び芯56を含むリザーバ31を有する。1つのリザーバ・アセンブリ30がユーザによって取り外され、別のリザーバ・アセンブリと交換されるとき、芯56は瞬時に流体をオリフィスプレート37に供給し、したがって噴霧装置20を大幅に向上させる。
【0012】
図1に示すように、本発明の好ましい実施の形態による、圧電的に作動される噴霧装置20は、中空のプラスチック・シェルとして形成され、平らな底壁24によって閉じられたハウジング22から構成される。水平な台25は、ハウジング22内部にわたって延びている。バッテリー26は、ハウジング22内で台25の下面から下方に延出する支持プロング25aによって支持される。さらに、プリント回路板28は、台25から上方に延出する支持要素25b上に支持される。液体リザーバ・アセンブリ30は、台25上のドーム形状部25cの下面に交換可能に取り付けられている。
【0013】
液体リザーバ・アセンブリ30は、噴霧される液体を保持するための液体容器31、該容器の上部を閉じるプラグ33、及び、液体容器31内部からプラグ33を貫通し液体容器31より上の位置に延出する芯56から構成されている。プラグ33は、台25上のドーム形状部25cの下面から液体リザーバ・アセンブリ30全体を取外し且つ交換可能にするように構成されている。望ましくは、プラグ33及び台は、この目的のために差し込み式取り付け部品(図示せず)で形成される。交換式液体リザーバ・アセンブリ30が台25上に取り付けられると、芯56はドーム形状部25cの中心開口部を通って上方に延出する。以下に更に詳細に述べられる芯56は、液体容器31内部から台25上のドーム形状部25cの真上位置に液体を供給するように毛管作用によって動作する。
【0014】
噴霧器アセンブリ34は、弾性の細長いワイヤ状の支持体27によって片持ちばり式に台25上で支持される。発明の譲受人に譲渡され、また参照することによって本明細書中に組み込まれるものとされる、同時係属米国特許出願番号第10/304,215号(2002年11月26日出願)にさらに十分に述べられるように、好ましい実施の形態では、ワイヤ状の支持体27が、図12に示される端部27a、27bにおいて台25から上方に突出する柱状部に取り付けられる。図1、図2、及び図12に示すように、支持体27は、オリフィスプレート37の下表面及びバネハウジング39を弾性的に支持するように形成され、一方、バネ43はオリフィスプレート37の上表面を弾性的に押圧する。(オリフィスプレート37そのものを押圧するよりもむしろ、バネ43は、該オリフィスプレート37に代わって、またはそれに加えて、該オリフィスプレート37に接続される後述のアクチュエータ素子35などの部材を押圧することもある。)同時に、支持体27及びバネ43は、オリフィスプレート37をワイヤ状支持体27の弾性バイアスに対して上下移動可能にするようにオリフィスプレート37を所定位置に保持する。
【0015】
上記の方法のほかに噴霧器アセンブリ34を支持する他の方法も実行でき、こうした別の方法は、上記に示された米国特許出願第10/154,509号(2002年5月24日出願)に開示されている。
【0016】
噴霧器アセンブリ34は、環状に形成された圧電アクチュエータ素子35と、このアクチュエータ素子35を差し渡しており、アクチュエータ素子にはんだ付けあるいは固定される円形オリフィスプレート37とから構成される。バイブレータ式噴霧器アセンブリの構造は、本質的に周知であり、例えば米国特許第6,296,196号(特許文献14を参照)に述べられ、参照することによって本明細書中に組み込まれるものとする。したがって、交流電圧がアクチュエータ素子35の上下両側に印加されるときに、こうした電圧がアクチュエータ素子全体に電界を生成し、アクチュエータ素子を半径方向に伸縮させることを除いて、噴霧器アセンブリ34について詳細に説明しない。この伸縮がオリフィスプレート37に伝達されると、該プレートが曲げられ、その中央領域が上下に振動する。オリフィスプレート37の中央領域は、剛性を付与し噴霧作用を向上させるために、わずかに上向きにドーム状とされている。この中央領域はまた、複数の微小オリフィスで形成され、該複数の微小オリフィスは、オリフィスプレート37の下面若しくは裏面からその上面に、オリフィスプレート37を貫通している。このドーム形状の中央領域の周囲にはフランジが設けられている。
【0017】
作動中、バッテリー26はプリント回路板28上の回路に電力を供給し、これらの回路はこの電力を高周波交流電圧に変換する。こうした電圧を生成するための好適な回路は、上記の米国特許第6,296,196号に図示、説明されている。この米国特許に述べられているように、装置は、連続的なオン−オフタイムの間に作動することができる。こうしたオン−オフタイムの相対的持続時間は、ハウジング22の外側で外部スイッチアクチュエータ40によって調整し、プリント回路板28上のスイッチ素子42と結びつけることができる。
【0018】
噴霧器アセンブリ34が支持部材27によって支持されるとき、オリフィスプレート37のフランジは芯56の上端と接触した状態で配置される。噴霧器アセンブリ34はそれによって、液体リザーバ・アセンブリ30の上で支持され、図2に示すように、芯56の上端がオリフィスプレート37の下面と接することになる。したがって、芯56は毛管作用によって液体リザーバ31内からオリフィスプレート37の下面に液体を供給し、オリフィスプレート37は、振動によって、液体がそのオリフィスを通過し、微小液滴の形状でオリフィスプレートの反対側(即ち、上側)から射出されるようにする。
【0019】
上記の説明から、水平な台25が液体リザーバ・アセンブリ30及び噴霧器アセンブリ34の両方に対する共通構造用支持体として機能することを理解されたい。したがって、水平な台は液体リザーバ・アセンブリ30を維持し、特に、噴霧器アセンブリ34のオリフィスプレート37と一直線上にある芯56の上端を維持する。さらに、噴霧器アセンブリ34及びオリフィスプレート37が弾性的に取り付けられるので、1つの液体リザーバが別のものに交換されるときの製造上の公差のために生じ得る寸法変化に関係なく、芯56の上端は、オリフィスプレート37の下面及び/又はアクチュエータ素子35を常に押圧することになる。これは、交換用液体リザーバ・アセンブリ30の芯56が元の液体リザーバ・アセンブリ30の芯56よりも高い又は低い位置にある場合、バネ43の作用により、交換用リザーバ・アセンブリ30の芯56の位置に従ってオリフィスプレート37が上下移動可能となるからであり、そのため、芯56がオリフィスプレート37の下側及び/又はアクチュエータ素子35を常に押圧することになる。芯56が、弾性的に支持されたオリフィスプレート37の下側に押し付けられるときに変形しないように、中実の、寸法的に安定した材料であるべきことを理解されたい。こうした中実の、寸法的に安定した芯56の例は後述される。
【0020】
図1において理解できるように、芯56は、液体リザーバ31内部から、該リザーバ31の上部にあるプラグ33内を上方に貫通して、液体リザーバ31の底部近傍からオリフィスプレート37及び/又はアクチュエータ素子35に接触する。芯56は、容器31内部から芯56の上端へと液体を引き上げる、縦方向に延びる毛管流路を有する。
【0021】
芯56は、中実の多孔性プラスチック材料のような中実の、寸法的に安定した材料から構成されることが好ましい。この中実の多孔性プラスチック材料は、マイクロポア・プラスチック社(MicroPore Plastics, Inc.)(米国ジョージア州ストーンマウンテン)、又はポレックス社(Porex Corporation)(米国ジョージア州フェアバーン)から、好ましい実施の形態で販売されている。このプラスチック材料は高分子量ポリエチレンであることが好ましいが、他の材料も好適である。本発明の他の態様、すなわち液体供給システムが寸法的に安定していなくてもよい場合、布や編み糸などでできた芯構成要素のような柔軟な芯構成要素を使用することもでき、以下にさらに詳細に述べられる。
【0022】
芯56は、芯56をプラグ33に固定するための、一体形成された取り付けアセンブリを含むことが好ましい。言うまでもなく、取り付けアセンブリは芯56に固定される別個の要素であってもよい。取り付けアセンブリは、比較的半径の大きな下部分104及び比較的半径の小さな上部分106を有するカラー102を含んでいる。下部分104の先端部は、芯56が容器31から出て行かないようにプラグ33と接触する。上部分106は、摩擦によってプラグ33の穴に嵌合する。
【0023】
図2において理解できるように、芯56の上端はバネハウジング39の底部の開口部に入り込んで、オリフィスプレート37の下表面のすぐ下の位置若しくは該下表面上に液体を供給する。芯56はオリフィスプレート37のドーム形状部の周囲のフランジ部と実質的に接している。芯56はアクチュエータ素子35と接してもよい。しかしながら、芯56の一部がオリフィスプレート37又はアクチュエータ素子35と接しないように、芯56の先端面は異なる高さの面を有する。この部分は、大気から遮断されていない流路となる。
【0024】
図3に示すように、一実施の形態において、遮断されていない流路は、パイ形状の切り抜き部(カットアウト)100を含む芯56の上端として設けられている。図4及び図5に示すように、芯56の外周上のパイ形状の切り抜き部100の幅は、切り抜き部100の深さと同じであることが好ましい。芯56によって引き上げられる液体が切り抜き部100によって除去された体積分を満たし、それによってオリフィスプレート37と接することが起こらないよう、切り抜き部100を十分大きく寸法決定すべきことが好ましいと確信される。すなわち、切り抜き部100は、液体のない流路を形成するのに十分な大きさである。
【0025】
切り抜き部100が一定の深さを有し、約10度乃至約50度、好ましくは約15度乃至約30度の角度αを成すとき、適切なサイズの切り抜き部100が得られることが認識されている。角度αの他の範囲には、約20度乃至約40度、約23度乃至約37度、又は約25度乃至約30度の角度が含まれる。一般に、角度が小さくなるほど、オリフィスプレート37への流体の流れが、時間が経つにつれより定速になることを見出した。
【0026】
切り抜き部100の見かけ上の効果は、図6及び図7を参照して最もよく示される。図6は、噴霧装置20内に配置された状態の芯56を示す。芯56がオリフィスプレート37に接近するにつれて、湿ったオリフィスプレート37、及び容器31からの流体が染み込んだ芯56の先端面との間に空気が閉じ込められる可能性があることが確信される。しかしながら、図7に示すように、空気が切り抜き部100から、矢印で示すように大気中に流出できるので、切り抜き部100によって気泡が閉じ込められない。
【0027】
他の実施の形態もまた、同様の効果を有することができる。例えば、図8に示すように、芯56の先端部の一部がオリフィスプレート37と接触し、残りの部分がオリフィスプレート37から離れるように、該先端部を傾斜させて設ける。代わりの方法として、噴霧器アセンブリ34又は少なくともオリフィスプレート37を、同じ効果を得るために、水平の先端部を有する芯56に対して傾けることができる。芯56の先端面及びオリフィスプレート37の間の空間の少なくとも一部が液体のない流路となるように、芯56の先端面(又はオリフィスプレート37)を充分な角度で傾けるべきである。この実施の形態において、先端面の一部は、空気が大気中に流出するための遮断されていない流路を形成するように、オリフィスプレート37から離間されている。
【0028】
さらに、芯56の他の実施の形態も考えられる。図9に示すように、芯56は、可撓性の連続気泡発泡体200を内部に埋設することもできる。この種の発泡材料はウレタン発泡体から構成されるが、液体容器31内の液体に対して化学的に不活性であるならば、他の材料も使用することができる。発泡体200は芯56と実質的に同軸上に設置され得るが、又は、ずれていてもよい。さらに、発泡体200は、図示のように芯56の断面積の大部分を占めてもよく、あるいはまた、かかる断面積のわずかな部分のみを構成するものでもよい。この発泡体200は、空気が吸収される通路、又は、リザーバ・アセンブリ30の交換後に残存し得る、オリフィスプレート37の底面上に残留する液体が、オリフィスプレート37のオリフィスを通って分散、吸収、若しくは通過する通路ともなり得る。このようにして、気泡が閉じ込められないようにすることもできる。
【0029】
図10に示される更なる実施の形態として、芯56の先端部に、繊維性材料300を埋め込むことができる。こうした繊維性材料300は、ナイロン、ポリプロピレン又は綿から構成することができる。液体容器31内の液体に対して化学的に不活性であるならば、他の材料もまた使用することができる。繊維性材料300は、空気が吸収される通路、又は、リザーバ・アセンブリ30の交換後に残存し得る、オリフィスプレート37の底面上に残留する液体が、オリフィスプレート37のオリフィスを通って分散、吸収、若しくは通過する通路ともなり得る。このようにして、気泡が閉じ込められないようにすることもできる。
【0030】
図11に示される更なる実施の形態において、寸法的に安定した芯56の先端部は隆起したドーム400を含み、該ドームもまた寸法的に安定している。隆起ドーム400は、図示のように、芯56の先端部の断面積より実質的に小さい断面積を有することができる。代わりの方法として、隆起したドームは、芯56の断面積より大きく占めるように構成することもできる。それにもかかわらず、隆起したドーム400の複数の部分及び/又は芯56それ自体は、オリフィスプレート37と接していない。例えば、隆起したドーム400はオリフィスプレート37のフランジと接触し、したがってオリフィスプレート37の対向面と接触せずに芯の先端面を維持する。隆起したドーム400は、芯56の先端面の少なくとも一部と、オリフィスプレート37との間に液体のない通路を生成するのに十分な高さがある。すなわち、液体は、芯56の先端面の少なくとも一部からは、オリフィスプレート37に移動しないことになる。
【0031】
上記の芯は、表面張力による接点として、芯56とオリフィスプレート37との間に瞬時且つ連続的に液体の接点を確保する。切り抜き部100が特に効果的であることが認識されている。
【0032】
好ましい実施の形態による芯56は、既述のように交換可能な、空になった液体リザーバ・アセンブリ30が廃棄され、新しい液体リザーバ・アセンブリ30が挿入されるときに発生することがある問題を回避することが確信される。この時、オリフィスプレート37は、前の使用によってまだ湿っていることがある。さらに、交換式液体リザーバ・アセンブリ30が噴霧装置20内の所定位置に持ち込まれると、気泡が生じることがある。芯56の上端と湿ったオリフィスプレート37が接触することにより結合して気泡を閉じ込めるので、液体によって流通不能とされ得ることが確信される。新しい芯56の上端からの液体がこの気泡内を貫通できないことは明らかである。
【0033】
この気泡を排出するために開放通気路が設けられる場合、芯56の先端部とオリフィスプレート62の裏面との間の空間全体に液体を供給することができ、この液体が噴霧装置20によって容易にポンプ作用で送り込まれることが確信される。
【0034】
上記にかかわらず、本発明の好ましい実施の形態による芯は、実際には、上記した動作とは異なって動作するかもしれない。とは言うものの、交換式リザーバ・アセンブリ30が噴霧装置20に挿入されるときに、芯56が液体の瞬時の流れを一貫して実行することが見出された。
【0035】
本発明の多くの種々の実施の形態は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく構成することができる。本発明が本明細書中に述べられた特定の実施の形態に制限されないことを理解されたい。それとは反対に、本発明は、本明細書中の後の部分で請求されるような発明の精神及び範囲内に含まれる種々の修正及び同等の装置を網羅することを意図している。この請求の範囲は、このような修正、同等の構造、及び機能のすべてを網羅するように最も広い解釈が与えられるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本明細書中に述べられた実施の形態は、噴霧装置が着実に起動できるようにするので、容器に収容された液体は、容器が取り外され、別の容器と交換された後でも確実に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明を具体化する噴霧装置の断面正面図である。
【図2】図2は、図1の噴霧装置において使用される振動式オリフィスプレート噴霧配置に加え、交換式リザーバの上部を正面から見た拡大部分断面図である。
【図3】図3は、図2の交換式リザーバの一部を形成する芯の上部を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の芯の上部を示す拡大正面図である。
【図5】図5は、図3の芯の上端の上面図である。
【図6】図6は、所定の位置に置かれたときの芯の上端を断面で示した拡大正面図である。
【図7】図7は、最終位置に置かれた後の芯の上端を断面で示した拡大正面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施の形態を構成する芯の上端の斜視図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施の形態を構成する芯の上端の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施の形態を構成する芯の上端の斜視図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施の形態を構成する芯の上端の斜視図である。
【図12】図12は、噴霧装置の構成要素の分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体で満たされた間隙を有する、中実の、寸法的に安定した芯の上端を、振動式オリフィスプレートの表面に押し付けて配置する方法であって、該オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、オリフィスプレートが振動すると芯の間隙を満たしている液体を散布するように構成され、
前記芯が、その上端の一部が前記振動式オリフィスプレートに接した状態で配置されるとき、芯の上端とオリフィスプレートの表面との間の空間から大気中に延出する液体のない流路を維持しながら、前記芯を前記振動式オリフィスプレートに向けて移動させるステップを有する、前記方法。
【請求項2】
液体のない流路を維持しながら芯を移動させる前記ステップが、芯の上端に切り抜き部を設けることを含み、該切り抜き部が側面及び底面を有し、該底面が前記振動式オリフィスプレートに接触しないように芯の先端面よりも下にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体のない流路を維持しながら芯を移動させる前記ステップが、大気に対し遮断されていない流路を設けるように構成される表面を前記芯に設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面が、切り抜き部として芯の上端に形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
表面を提供する前記ステップは、前記芯がオリフィスプレートに押し付けられて配置されるときに、芯の間隙を満たす液体が前記切り抜き部によって除去された体積分を満たさないように切り抜き部を寸法決定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記寸法決定ステップによって、前記切り抜き部が約10度乃至約50度の角度を成す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記寸法決定ステップによって、前記切り抜き部が約15度乃至約30度の角度を成す、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
液体のない流路を維持しながら芯を移動させる前記ステップが、芯に傾斜した先端面を設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
液体のない流路を維持しながら芯を移動させる前記ステップが、隆起したドームを設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
振動式オリフィスプレートによって噴霧される液体を収容する交換式リザーバに使用するための芯であって、前記オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、前記リザーバ内の液体を散布するように構成され、
前記芯は、液体を下端から上端に引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含み、該芯の先端面と前記振動式オリフィスプレートの対向面との間の領域から大気に対し遮断されていない流路を設けるように構成される異なる高さの面をその上端に有する、
前記芯。
【請求項11】
前記寸法的に安定した材料が高分子量ポリエチレンでできている、請求項10に記載の芯。
【請求項12】
前記芯の異なる高さの面を有する上端は、前記芯の先端面から垂下する側面、及び、前記振動式オリフィスプレートに接触しないように前記芯の先端面より下に配置される底面を含み、前記切り抜き部が遮断されていない流路を構成する、請求項10に記載の芯。
【請求項13】
前記切り抜き部が約10度乃至約50度の角度を成す、請求項12に記載の芯。
【請求項14】
前記切り抜き部が約15度乃至約30度の角度を成す、請求項12に記載の芯。
【請求項15】
前記切り抜き部は、該切り抜き部によって除去された体積分を液体が満たさないように寸法決定される、請求項12に記載の芯。
【請求項16】
前記芯の上端が傾斜され、異なる高さの面を形成する、請求項10に記載の芯。
【請求項17】
前記芯の上端が隆起したドームを含み、それによって異なる高さの面を形成する、請求項10に記載の芯。
【請求項18】
液体を噴霧するための振動式オリフィスプレートを使用する噴霧装置用交換式リザーバ・アセンブリであって、
噴霧される液体を収容する容器と、
前記容器内の液体に浸漬される下端、及び前記容器より上に配置される上端を有する細長い芯と、
を含み、
前記芯が、前記容器から、前記容器の外側にある前記芯の上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含み、
前記交換式リザーバが噴霧装置に配置されるとき、前記芯の先端面と、振動式オリフィスプレートの対向面との間の領域から大気に対し遮断されていない流路を設けるように構成される少なくとも1つの表面を、前記芯の上端が有する、
交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項19】
前記寸法的に安定した材料が高分子量ポリエチレンから成る、請求項18に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項20】
前記芯の上端の少なくとも1つの表面が、前記芯の先端面から垂下する側面、及び、振動式オリフィスプレートに接触しないように前記先端面より下に配置される底面を含み、前記切り抜き部が遮断されていない流路を構成する、請求項18に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項21】
前記切り抜き部が約10度乃至約50度の角度を成す、請求項20に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項22】
前記切り抜き部が約15度乃至約30度の角度を成す、請求項20に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項23】
前記切り抜き部は、前記切り抜き部によって除去された体積分を前記容器からの液体が満たさないように寸法決定される、請求項20に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項24】
前記芯の上端の少なくとも1つの表面は、前記芯の先端面の上に延出し、前記芯の上端が振動式オリフィスプレートに押し付けられて配置されるときにオリフィスプレートと接触する隆起したドームを含み、前記芯の先端面と振動式オリフィスプレートとの間の空間が遮断されていない流路を形成する、請求項18に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項25】
前記少なくとも1つの表面が前記芯の先端面であり、前記芯の先端面が、該先端面の一部と振動式オリフィスプレートとの間に遮断されていない流路を形成するように傾斜される、請求項18に記載の交換式リザーバ・アセンブリ。
【請求項26】
振動式オリフィスプレートによって噴霧される液体を収容する交換式リザーバに使用するための芯であって、前記オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、上記リザーバ内の液体を散布するように構成され、
前記芯は、下端から上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料を含み、前記芯の上端が振動式オリフィスプレートに押し付けられて配置されるとき、空気若しくは液体を吸収するように構成される異なる材料を上端に有する、
芯。
【請求項27】
前記異なる材料の少なくとも1つが、前記芯の上端に埋設される繊維性材料である、請求項26に記載の芯。
【請求項28】
前記繊維性材料が、ナイロン、綿、及びポリプロピレンのうちの1つを含む、請求項27に記載の芯。
【請求項29】
前記異なる表面の少なくとも1つが、前記芯の上端に埋設される可撓性発泡体である、請求項26に記載の芯。
【請求項30】
前記寸法的に安定した材料が高分子量ポリエチレンを含む、請求項26に記載の芯。
【請求項31】
振動式オリフィスプレートによって噴霧される液体を収容する交換式リザーバに使用するための芯であって、前記オリフィスプレートが該プレートを貫通して形成された複数の微小オリフィスを有し、リザーバ内の液体を散布するように構成され、
下端から上端に液体を引き上げるための毛管流路を有する、寸法的に安定した材料と、
前記芯の先端面から垂下する側面、及び、前記振動式オリフィスプレートに接触しないように前記芯の先端面より下に配置される底面を有する切り抜き部であって、遮断されていない流路を構成する切り抜き部と、
を含む、
芯。
【請求項32】
前記切り抜き部が約10度乃至約50度の角度を成す、請求項31に記載の芯。
【請求項33】
前記切り抜き部が約15度乃至約30度の角度を成す、請求項31に記載の芯。
【請求項34】
前記切り抜き部は、該切り抜き部によって除去された体積分を液体が満たさないように寸法決定される、請求項31に記載の芯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2006−523532(P2006−523532A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510008(P2006−510008)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011436
【国際公開番号】WO2004/091804
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】