説明

噴霧器

【課題】噴霧量が大容量であっても小さい作動荷重で噴霧可能な噴霧器を提供する。
【解決手段】下面を閉塞壁21で閉塞した筒体22の下部外面を上向き段部22aを介して大外径部24に形成すると共に、上向き段部22a上面に径方向へ延びる突条25を形成し、閉塞壁21に吐出孔23を穿設すると共に、筒体22の小外径部26を連結筒10内へ挿入し、筒体22の閉塞壁21下面に凹部からなる旋回室27を形成すると共に、大外径部24に軸方向へ延びる流路形成溝28を形成し、流路形成溝28の下端を前記旋回室27へ開口させた流路形成筒20と、下端面が閉塞壁41で閉塞された周壁42を流路形成筒20の大外径部24外面と連結筒10の下端部外面とのそれぞれへ嵌合させると共に、閉塞壁41に噴口43を穿設させたノズル筒40とを備え、前記旋回室27側面から該旋回室内へ流入した液体が旋回流形成可能に、かつ前記旋回室の天面から流入した液体が旋回流に衝突可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプ式の噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプから流出する液体をノズル先端部で旋回させつつ吐出させることで霧化させる噴霧器が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−114462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、噴霧量が0.5mlを超えるような大容量のポンプ式噴霧器では作動荷重(押下げ式ポンプでは押下げ圧)が高く、使用者の負担となっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、噴霧量が大容量であっても小さい作動荷重で噴霧可能な噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ポンプのノズルヘッド4に連通するノズル筒40の先端部に噴口43を形成すると共に、該噴口43へ底面を開口する旋回室27を設け、
前記旋回室側面から該旋回室内へ流入した液体が旋回流形成可能に、かつ前記旋回室の天面から流入した液体が旋回流に衝突可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、 ポンプのノズルヘッド4から突出する吐出筒5へ連結された連結筒10と、
下面を閉塞壁21で閉塞した筒体22の下部外面を上向き段部22aを介して大外径部24に形成すると共に、上向き段部22a上面に径方向へ延びる突条25を形成し、さらに閉塞壁21の上半部に吐出孔23を穿設すると共に、筒体22の小外径部26を連結筒10内へ挿入して、小外径部26外面と連結筒10内面との間に流路Rを形成すると共に、突条25を連結筒10の下端面へ当接させ、さらに筒体22の閉塞壁21の下半部に凹部からなる旋回室27を形成して、該旋回室天面27bへ前記吐出孔23を開口させると共に、大外径部24に軸方向へ延びて前記流路Rに連通する流路形成溝28を形成し、流路形成溝28の下端を前記旋回室27側面へ開口させた流路形成筒20と、
下端面が閉塞壁41で閉塞された筒壁42を流路形成筒20の大外径部24外面と連結筒10の下端部外面とのそれぞれへ嵌合させると共に、閉塞壁41上面を旋回室27の底面へ当接させ、さらに閉塞壁41に旋回室27へ連通する噴口43を穿設させたノズル筒40とを備え、
前記旋回室27側面から該旋回室内へ流入した液体が旋回流形成可能に、かつ前記旋回室の天面27bから流入した直進流の液体が旋回流に衝突可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記流路形成筒20の吐出孔23から前記旋回室天面の中央部へ液体を噴出させることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記流路形成筒20の吐出孔23から前記旋回室27内へ噴出する液体は直進流であることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記旋回室27近傍の流路形成溝28部分に、ポンプからの液体を前記旋回室27の弯曲状周面へ導く方向へ案内する傾斜面29a、29bを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ノズル筒に設けた、液体を旋回させるための旋回室内にポンプから吐出する液体を噴出させるため、ノズル筒の噴口から吐出する際に液体が分裂し易く、かつ液体に吐出方向への圧力が付与されるため、液体が霧化され易く、このため作動荷重を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る噴霧器の一部を断面にした側面図である。
【図2】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】流路形成筒の斜視図である。
【図5】流路形成筒を倒立させた状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
1は図示しない容器へ装着されるポンプで、容器内へ垂下されるシリンダ2を装着筒3を介して図示しない容器の口頸部へ固定すると共に、シリンダ2から上方付勢状態で起立するピストン付きステム(図示せず)へノズルヘッド4を嵌合させ、さらにノズルヘッド4からステムへ連通する吐出筒5を前方へ突設する。
【0015】
10は連結筒で、後端部を吐出筒5外面へ嵌合させると共に、前端部を下方へ屈曲させている。
【0016】
20は流路形成筒で、下面を閉塞壁21で閉塞した円筒体22の下部外面を上向き段部22aを介して大外径部24に形成して、上向き段部22a上面に径方向へ延びる複数(本実施形態では4個)の突条25を等しい円周角度をおいて形成すると共に、閉塞壁21の中央上半部に吐出孔23を穿設し、さらに図2に示すように円筒体22の小外径部26を連結筒10内へ挿入して、小外径部26外面と連結筒10内面との間に流路Rを形成する。
【0017】
さらに、円筒体22の閉塞壁21の中央下半部に円形状の凹部からなる旋回室27を形成して、該旋回室天面27bへ吐出孔23を開口させると共に、大外径部24に軸方向へ延びる左右一対の流路形成溝28を軸対称に形成する。流路形成溝28は大外径部24の上下両端面の外周部に達していて、大外径部24上面に達する流路形成溝28は突条25間に開口する。
【0018】
一方、大外径部24の下面に達する流路形成溝28は旋回室27の周面に開口する。そして、図3に示すように左側の流路形成溝28における旋回室27近傍部分の上面は傾斜面29aに、かつ右側の流路形成溝28における旋回室27近傍部分の下面は傾斜面29bに、それぞれ形成することで、左側の流路形成溝28から旋回室27へ流入する液体は旋回室27の下側の弯曲面に衝突するように、また右側の流路形成溝28から旋回室27へ流入する液体は旋回室27の上側の弯曲面に衝突するようにして旋回流を形成させることで旋回室27の内周面沿いに液膜が形成されるようにする。
【0019】
40はノズル筒で、連結筒10外面へ嵌合させた筒壁42の下端面を閉塞する閉塞壁41上面を流路形成筒の閉塞壁21下面(旋回室27の底面)へ当接させ、さらに閉塞壁41中央部に旋回室27へ連通する噴口43を穿設させている。
【0020】
次に本実施形態の作用について説明する。
吐出するには、図2に示すように、連結筒10と流路形成筒20との間隙が形成する流路Rと流路形成溝28とが連通した状態でノズルヘッド4を押下げればよく、するとシリンダ2で加圧された液体が流路Rへ流入し、さらに流路形成溝28を介して旋回室27内へ流入して旋回流を形成しつつ吐出孔23からの直進流と衝突した後、噴口43から霧状に吐出する。
【0021】
一方、連結筒10内の加圧流の一部は流路形成筒20内へ流入し、さらに吐出孔23を介して旋回室27の天面(上面)27bから旋回室27の中央部内へ直進流状に噴出して旋回流に衝突するため、旋回室27内の液体の分裂をさらに促進することが可能であり、霧化が容易になるため、ノズルヘッド4の押下げ力の低減化を図ることが可能である。
【0022】
なお、吐出孔23の径については特に限定はないが、旋回室内の液体の分裂をできるだけ容易にすることが可能な範囲であればよく、最適の数値は液体の種類等を考慮して適宜に設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、アルコール等の除菌用液体を噴霧可能なポンプ式の噴霧器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
2 シリンダ
4 ノズルヘッド
10 連結筒
20 流路形成筒
22 筒体
23 吐出孔
24 大外径部
26 小外径部
27 旋回室
28 流路形成溝
40 ノズル筒
42 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプのノズルヘッド4に連通するノズル筒40の先端部に噴口43を形成すると共に、該噴口43へ底面を開口する旋回室27を設け、
前記旋回室側面から該旋回室内へ流入した液体が旋回流形成可能に、かつ前記旋回室の天面27bから流入した液体が旋回流に衝突可能に設けたことを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
ポンプのノズルヘッド4から突出する吐出筒5へ連結された連結筒10と、
下面を閉塞壁21で閉塞した筒体22の下部外面を上向き段部22aを介して大外径部24に形成すると共に、上向き段部22a上面に径方向へ延びる突条25を形成し、さらに閉塞壁21の上半部に吐出孔23を穿設すると共に、筒体22の小外径部26を連結筒10内へ挿入して、小外径部26外面と連結筒10内面との間に流路Rを形成すると共に、突条25を連結筒10の下端面へ当接させ、さらに筒体22の閉塞壁21の下半部に凹部からなる旋回室27を形成して、該旋回室天面27bへ前記吐出孔23を開口させると共に、大外径部24に軸方向へ延びて前記流路Rに連通する流路形成溝28を形成し、流路形成溝28の下端を前記旋回室27側面へ開口させた流路形成筒20と、
下端面が閉塞壁41で閉塞された筒壁42を流路形成筒20の大外径部24外面と連結筒10の下端部外面とのそれぞれへ嵌合させると共に、閉塞壁41上面を旋回室27の底面へ当接させ、さらに閉塞壁41に旋回室27へ連通する噴口43を穿設させたノズル筒40とを備え、
前記旋回室27側面から該旋回室内へ流入した液体が旋回流形成可能に、かつ前記旋回室の天面27bから流入した液体が旋回流に衝突可能に設けたことを特徴とする噴霧器。
【請求項3】
前記流路形成筒20の吐出孔23から前記旋回室天面27bの中央部へ液体を噴出させることを特徴とする請求項1又は2記載の噴霧器。
【請求項4】
前記流路形成筒20の吐出孔23から前記旋回室27内へ噴出する液体は直進流であることを特徴とする請求項2又は3項記載の噴霧器。
【請求項5】
前記旋回室27近傍の流路形成溝28部分に、ポンプからの液体を前記旋回室27の弯曲状周面へ導く方向へ案内する傾斜面29a、29bを設けたことを特徴とする請求項5記載の噴霧器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−177634(P2011−177634A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43473(P2010−43473)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】