説明

噴霧装置

【課題】ミスト噴霧部のメンテナンスや修理等を噴霧装置全体を取り外すことなく行うことが可能な噴霧装置を提供する。
【解決手段】ミスト噴霧手段70とそれに関与する部位をミスト噴霧部40に設けることで、ミスト噴霧部40単独でミスト噴霧部40に対するメンテナンスや修理等を行うことができる。さらに、ミストの噴霧条件を調整する調整手段44が、ミスト噴霧部40に形成された調整孔48と電源部に形成された貫通孔とを通して露出しているため、ミスト噴霧手段70を動作させた状態で噴霧条件の調整を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間の上部に設置して空間にミストを噴霧する噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空間に水等の噴霧液をミスト化して噴霧し加湿を行う噴霧装置は、体感温度の上昇による暖房効率の向上や空気中の病原体や花粉の飛散を抑制し人体の健康維持等に極めて有益である。これら噴霧装置は、一般家庭の室内などの比較的面積の広い空間においては床に設置することが可能であるが、設置スペースの少ない車両等の比較的狭い空間や噴霧装置の存在が外観上好ましくない一般企業のフロアやディスプレイ内等では、空間の上部である天井等に設置するタイプのものを使用することが好ましい。
【0003】
上記のような空間の上部に設置する噴霧装置の例としては、下記[特許文献1]に開示された発明が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−315633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空間の上部に設置するタイプの噴霧装置は、空調器や照明等の設備が複合化されている場合が多い。このような付随設備を有する噴霧装置では、ミストを噴霧するためのミスト噴霧部のメンテナンスや修理等を行う際に、噴霧装置全体を取り外したり噴霧装置全体への電源供給を停止する必要があり、その間は付随設備を使用することができないという問題点がある。また、付随設備を備えていない場合でも、ミスト噴霧部のメンテナンスを行う度に噴霧装置全体を取り外す必要があり作業が極めて煩雑であるという問題点がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ミスト噴霧部のメンテナンスや修理等を噴霧装置全体を取り外すことなく行うことが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)空間の上部に設置され当該空間にミストを噴霧する噴霧装置において、
噴霧液を貯留するタンク部80と前記噴霧液をミスト化し空間に噴霧するミスト噴霧手段70と当該ミスト噴霧手段70を制御する噴霧手段制御部とを備えたミスト噴霧部40と、
前記ミスト噴霧部40に電力を供給する電力供給部を備えた電源部30と、を有し、
前記ミスト噴霧部40は前記電源部30に対し着脱可能に構成されていることを特徴とする噴霧装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)噴霧手段制御部がミストの噴霧条件を調整する調整手段44を有し、
当該調整手段44がミスト噴霧部40に形成された調整孔48と電源部30に形成された貫通孔32とを通して露出することを特徴とする上記(1)記載の噴霧装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る噴霧装置は、上記のような構成のため、
(1)電源部とミスト噴霧部とを別体化し、ミストの噴霧に関与する部位をミスト噴霧部に設けることで、ミスト噴霧部のみを取り外してミスト噴霧部に対するメンテナンス等を行うことができる。
(2)ミストの噴霧条件を調整する調整手段が、ミスト噴霧部に形成された調整孔と電源部に形成された貫通孔とを通して露出しているため、ミスト噴霧部を動作させた状態で噴霧条件の調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る噴霧装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る噴霧装置の設置例を示す図である。図2は、本発明に係る噴霧装置の電源部を示す図である。図3は、本発明に係る噴霧装置のミスト噴霧部を示す図である。尚、ここでは、車載用の噴霧装置を例に用いて説明を行うが、本発明は特に車載用に限定されるものではなく、空間の上部に設置するタイプの噴霧装置に対して適用が可能である。
【0010】
図1に示す本発明に係る噴霧装置100は、車両の天井部1に設置され付随設備10を備えた電源部30と、空間にミストを噴霧するとともに電源部30と着脱可能なミスト噴霧部40と、を有している。そして、電源部30は車両のバッテリ等から電源ケーブル12を介して電力を取得し、付随設備10と電源部30の各部及びミスト噴霧部40に対し電力を供給する。また、電源部30とミスト噴霧部40とは、着脱ボタン50を操作することにより容易に取り外すことができる。尚、本例においては、付随設備10として車内を照らすルームライトを設けた例を示すが、付随設備10は必ずしも設けなくとも良い。
【0011】
次に、上記の電源部30とミスト噴霧部40とを、図2、図3を用いて更に詳しく説明する。
【0012】
図2は、ミスト噴霧部40を取り外した状態の電源部30をミスト噴霧部40の設置面側、即ち噴霧装置100の設置状態における下方向から示した図である。噴霧装置100の電源部30は、ミスト噴霧部40とは別に独立して動作する付随設備10と、電源ケーブル12と、ミスト噴霧部40を取り外す際に押下する着脱ボタン50と、ミスト噴霧部40が設置可能な取り付け部38と、ミスト噴霧部40を動作させ空間にミストを噴霧するためのミスト噴霧スイッチ19と、を有している。また、電源部30の内部には、付随設備10を制御する付随設備制御部と、電源ケーブル12から供給される電力を付随設備10とミスト噴霧部40とに供給する電力供給部と、を有する電源部制御基板34が設置されている。また、電源部制御基板34の所定の位置には接触型の電源コネクタ36aが設置され、電源部30はこの電源コネクタ36aを介してミスト噴霧部40に電力を供給する。
【0013】
電源部30の取り付け部38の両側面には保持体62が形成され、この保持体62とミスト噴霧部40のストッパリブ60とを係合することで、電源部30にミスト噴霧部40を取り付けることができる。また、取り付け部38におけるミスト噴霧部40の設置面には、電源部30を車両の天井部1などにネジ等の締結部材を用いて固定するための設置孔14と、後述するミスト噴霧部40の調整手段44を電源部30の上面側に露出させる貫通孔32と、電源部制御基板34上の電源コネクタ36aを露出させるための電源コネクタ口33aと、ミスト噴霧部40の着脱に用い着脱ボタン50と連動して動作するホック部52と、同じく着脱ボタン50と連動してミスト噴霧部40の取り外し方向に突出する着脱リブ56と、を有している。
【0014】
また図3は、電源部30から取り外した状態のミスト噴霧部40をミスト噴霧部40の設置面側、即ち噴霧装置100の設置状態における上方向から示した図である。噴霧装置100のミスト噴霧部40内には、ミストとなる噴霧液を貯留するタンク部80と、ミスト噴霧手段70を制御する噴霧手段制御部を備えるとともにミスト噴霧部40の各部を制御する噴霧部制御基板46と、を有している。また、ミスト噴霧部40には、タンク部80に貯留された噴霧液をミスト化し噴霧口72から空間に噴霧するミスト噴霧手段70と、ミスト噴霧部40の両側面に形成され電源部30の保持体62と係合可能なストッパリブ60と、電源部30のホック部52と係合する受け部54と、を有している。
【0015】
また、ミスト噴霧部40のタンク部80は、タンク部80内に噴霧液を供給するための供給口82を有しており、供給口82はキャップ82aにより開閉可能となっている。また、ミスト噴霧部40の噴霧部制御基板46は、電源部30の電源コネクタ36aと接触することで電源部30から電力を取得する電源コネクタ36bと、ミストの噴出量などの噴霧条件を調整するための調整手段44と、を有している。そして、噴霧部制御基板46の電源コネクタ36bはミスト噴霧部40の所定の位置に形成された電源コネクタ口33bにより露出し、また、調整手段44は同じくミスト噴霧部40の所定の位置に形成された調整孔48により露出している。尚、電源コネクタ口33bには、タンク部80への供給時に噴霧液等が電源コネクタ36bに付着することを防止するスライド式の保護カバー16を設けても良い。
【0016】
噴霧液としては水道水の他、保湿性を有するヒアルロン酸水溶液や芳香成分が溶解した水溶液等、人体に悪影響を及ぼさない各種の液体を用いることができる。また、噴霧液に電解液を用いるとともに、ミスト噴霧部40の所定の部位にタンク部80内に貯留された噴霧液(電解液)を電解する電解手段を設け、電解手段で電解された電解液をミスト化して空間に噴霧するようにしても良い。この構成によれば、噴霧される電解液の効果により空間に存在する病原体や花粉による健康被害をさらに抑制することが可能となる。尚、一般的な水道水中には消毒のための次亜塩素酸化合物が溶解しており、この次亜塩素酸化合物は水の電解を助けるため水道水をそのまま電解液として使用しても良い。
【0017】
また、ミスト噴霧部40には、タンク部80内の噴霧液が凍結した場合に、凍結した噴霧液を融解させるための加熱手段を設けても良い。
【0018】
次に、本発明に係る噴霧装置100の使用法を説明する。先ず、噴霧装置100に対する初期設定を行う。噴霧装置100の初期設定は、先ず、電源部30の着脱ボタン50を押下して、電源部30のホック部52とミスト噴霧部40の受け部54との係合状態を解除する。このとき、着脱リブ56が突出してミスト噴霧部40が取り外し方向に所定量スライドする。そして、電源部30の保持体62から、ミスト噴霧部40のストッパリブ60を取り外すことで、電源部30からミスト噴霧部40を取り外す。またこれと前後して、電源部30の電源ケーブル12と車両のバッテリ等からのケーブルとを接続する。
【0019】
次に、ミスト噴霧部40内に設置されたタンク部80のキャップ82aを取り外し供給口82を開栓する。また、保護カバー16をスライドさせて電源コネクタ口33bを閉鎖する。次に、供給口82から例えば水道水などの噴霧液をタンク部80内に供給する。そして、タンク部80内に所定量の噴霧液が貯留されたところで供給を停止し、キャップ82aを供給口82に取り付けて供給口82を閉栓する。タンク部80内に所定量の噴霧液が貯留されると、ミスト噴霧手段70はタンク部80に貯留された噴霧液を吸液する。
【0020】
次に、保護カバー16をスライドさせてミスト噴霧部40の電源コネクタ口33bを開け電源コネクタ36bを露出させた後、ミスト噴霧部40のストッパリブ60と電源部30の保持体62とを係合するとともに、電源部30のホック部52とミスト噴霧部40の受け部54とを係合状態とする。これにより、ミスト噴霧部40は電源部30の取り付け部38に取り付けられる。このとき、電源部30の電源コネクタ36aとミスト噴霧部40の電源コネクタ36bとは接続状態となり、ミスト噴霧部40に対し電源コネクタ36a、36bを介して電力が供給される。またこのとき、噴霧部制御基板46上の調整手段44は、ミスト噴霧部40の調整孔48と当該調整孔48とほぼ同位置に形成された電源部30の貫通孔32とを通して露出する。
【0021】
次に、ミスト噴霧スイッチ19を操作する。これにより、噴霧部制御基板46上の噴霧手段制御部がミスト噴霧手段70を動作させ、ミスト噴霧手段70はタンク部80内から吸液した噴霧液をミスト化して噴霧口72から空間に噴霧する。
【0022】
次に、ミスト噴霧手段70が動作している状態で、調整孔48と貫通孔32とにより露出した噴霧部制御基板46上の調整手段44をドライバ等の所定の冶具を用いて調整しミスト噴出量等の噴霧条件の初期設定を行う。このように本発明に係る噴霧装置100によれば、噴霧部制御基板46上の調整手段44が調整孔48と貫通孔32とにより露出しているため、ミスト噴霧手段70が動作している状態で初期設定を行うことができる。従って、噴霧条件の調整作業と噴霧条件の確認作業と交互に行う手間を省くことが可能となり、噴霧装置100の初期設定を容易に行うことができる。
【0023】
上記のようにして、噴霧装置100に対する初期設定が終了したら、ミスト噴霧手段70の動作を一旦停止し、前述の手順に則って電源部30からミスト噴霧部40を取り外す。そして、電源部30の設置孔14に所定の締結部材を挿入し、電源部30を車両の天井部1などに固定した上で、再度、電源部30にミスト噴霧部40を取り付ける。
【0024】
そして、ミスト噴霧部40を動作させる場合には上記のミスト噴霧スイッチ19を操作することによりミスト噴霧手段70が動作し、ミスト化された噴霧液が空間に初期設定された噴霧条件で噴霧される。また、付随設備10に対する図示しない付随設備操作スイッチを操作することで、噴霧装置100の付随設備10がミスト噴霧部40とは別に独立して所定の動作を行う。
【0025】
また、ミスト噴霧部40のメンテナンスや修理等を行う場合には、ミスト噴霧部40を電源部30から取り外して行う。尚、ミスト噴霧部40は、ミスト噴霧手段70、噴霧手段制御部、タンク部80等のミストの生成に関与する部分を全て備えているため、電源部30が無くともミスト噴霧部40に対するメンテナンスや修理等を行うことができる。また、付随設備10に対する電力供給と制御を行う電源部制御基板34は電源部30の側に存在するため、噴霧装置100の付随設備10はメンテナンスや修理等のためにミスト噴霧部40を長期に亘って取り外す場合であっても問題なく使用することができる。
【0026】
以上のことから、本発明に係る噴霧装置100によれば、ミスト噴霧手段70とそれに関与する部位をミスト噴霧部40に設けることで、ミスト噴霧部40単独でミスト噴霧部40に対するメンテナンスや修理等を行うことができる。また、付随設備10はミスト噴霧部40を取り外している状態でも問題なく使用することができる。
【0027】
さらに、ミストの噴霧条件を調整する調整手段44が、ミスト噴霧部40に形成された調整孔48と電源部30に形成された貫通孔32とを通して露出しているため、ミスト噴霧手段70を動作させた状態で噴霧条件の調整を行うことができる。
【0028】
尚、調整孔48と貫通孔32とを噴霧装置100の側面方向に形成し、電源部30を車両の天井部1などに固定した後に初期設定を行えるようにしても良い他、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る噴霧装置の設置例を示す図である。
【図2】本発明に係る噴霧装置の電源部を示す図である。
【図3】本発明に係る噴霧装置のミスト噴霧部を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
30 電源部
32 貫通孔
40 ミスト噴霧部
44 調整手段
48 調整孔
70 ミスト噴霧手段
80 タンク部
100 噴霧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間の上部に設置され当該空間にミストを噴霧する噴霧装置において、
噴霧液を貯留するタンク部と前記噴霧液をミスト化し空間に噴霧するミスト噴霧手段と当該ミスト噴霧手段を制御する噴霧手段制御部とを備えたミスト噴霧部と、
前記ミスト噴霧部に電力を供給する電力供給部を備えた電源部と、を有し、
前記ミスト噴霧部は前記電源部に対し着脱可能に構成されていることを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
噴霧手段制御部がミストの噴霧条件を調整する調整手段を有し、
当該調整手段がミスト噴霧部に形成された調整孔と電源部に形成された貫通孔とを通して露出することを特徴とする請求項1記載の噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−7900(P2010−7900A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165183(P2008−165183)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(391043815)サンヨー・オートメディア・センディリアン・バハド (36)
【住所又は居所原語表記】Plot 10,Phase 4,Prai Industrial Estate,13600 Prai,Penag.Malasya
【Fターム(参考)】