説明

四塩化チタン流動床反応装置によるガス状生成物の分析方法

四塩化チタンを製造する流動床反応装置(10)のガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する濃度比を決定するための方法。反応装置の熱い流動床を赤外線の供給源として使用する。赤外線(18)は、反応装置の窓(15)を経て反応装置の上位部におけるガス状生成物を通過し、赤外分光計(19)に向かって誘導される。濃度比を使用して、反応装置に導入される冷たい四塩化チタンの量を制御することによって、流動床反応装置(10)の温度を制御することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状混合物の成分を決定する化学分析方法の分野に関する。より詳細には、本発明は、塩素法によって四塩化チタンを製造する流動床反応装置のガス状生成物中の成分を決定する方法の分野に関する。さらに、本発明は、そのような流動床反応装置の温度を制御する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンを製造するための塩素法は公知である。「The Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(第4版、1997)」の第24巻、およびLewis著「The Pigment Handbook」(第2版、1988)を参照されたい。二酸化チタンを製造する塩素法の最初の工程は、流動床反応装置中でのチタン含有物質(例えばルチル鉱)の塩素化である。米国特許第2,701,179号; 同2,790,703号; 同3,526,477号; 同3,883,636号; 同3,591,333号; 同4,046,854号; 同4,619,815号; 同4,854,972号; 同4,961,911号; 同5,389,353号; 同5,670,121号、および同5,585,078号を参照されたい。要約すると、反応装置の下位部の流動床において、チタン含有物質(titanium bearing material)、炭素の供給源(通常コークス)および塩素を(例えば900〜1300℃で)反応させて、四塩化チタン、一酸化炭素、二酸化炭素および硫化カルボニルを含むガス流を生成する。このガス流は、反応装置の上位部に移動し、次いでさらなる処理に向けて反応装置から排気される。
【0003】
米国特許第5,670,121号特許の教示によれば、(a)そのような反応装置では、製造される四塩化チタンの単位当たりに必要とされる炭素の量を減少するために、一酸化炭素の形成を最小にすることが望ましい。また(b)硫化カルボニルは望ましくない副生成物であるために、硫化カルボニルの形成を減少することが望ましい。米国特許第5,670,121号特許の教示によれば、一酸化炭素および硫化カルボニルの形成は、流動床を冷却すること、例えば流動床の上方の反応装置に適切な冷却物質(例えば100℃の四塩化チタン)を導入することによって、減少することが可能である。しかし、米国特許第5,670,121号特許の教示によれば、流動床が過剰に冷却されると、未反応の塩素の濃度が、反応装置からのガス流において望ましくないレベルまで増加する傾向がある。従って、流動床の最適な温度が存在し、そのような温度は、例えば、流動床の上方の反応装置に導入される冷却物質の量を調節することによって制御することが可能であると思われる。米国特許第4,961,911号特許の教示によれば、塩素を流動床のちょうど表面上に加えて、一酸化炭素を二酸化炭素に変換することが可能である。米国特許第5,585,078号特許の教示によれば、酸素を反応装置に加えて、一酸化炭素を二酸化炭素に変換すること、および硫化カルボニルを二酸化硫黄に変換することが可能である。
【0004】
上述の観点から、かかる方法に関して望ましくない副生成物の濃度を減少することが可能となるように、二酸化チタンから四塩化チタンに変換するための流動床に対して多数の異なる改善がなされていることは明らかである。例えば、望ましくない一酸化炭素の形成を減少することが可能であるか、および/または一酸化炭素を二酸化炭素に変換することが可能である。また、同様に、望ましくない硫化カルボニルの形成を減少することが可能であるか、および/または硫化カルボニルを二酸化硫黄に変換することが可能である。とにかく、改善された方法は、望ましくない成分(例えば一酸化炭素および/または硫化カルボニル)の濃度を減少するために使用され、改善された方法を制御するために、反応装置からのガス排気流を分析することが可能である。例えば、米国特許第5,670,121号特許では、硫化カルボニルについて反応装置からの排気ガス流を分析するために(そこから四塩化チタンが凝縮された後に)、フーリエ変換赤外線分析装置の使用を開示している。
【0005】
反応装置からの排気ガス流の分析は、排気ガス流が熱く、腐食性であり、および微粒子を含んでいるために困難である。排気ガス流から四塩化チタンが凝縮された後の排気ガス流の分析がより好ましいが、それは、例えば、必要とされる試料採取システムが腐食し、詰まる傾向があるために問題がある。その中の成分(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化カルボニル、および二酸化硫黄)を、それらの試料を抜き出す必要なしに決定することができれば、特に、その決定が望ましくない成分の、他の関連する望ましい成分に対する濃度比(例えば、一酸化炭素の二酸化炭素に対する濃度比、または硫化カルボニルの硫化硫黄に対する濃度比)に関連すれば、四塩化チタンを製造する流動床反応装置からのガスの化学分析に関する当技術分野において進歩となるだろう。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、上述の問題に関する少なくとも1部分を解決するものである。本発明の一形態では、四塩化チタンを製造する流動床反応装置によって生じたガス中の成分を分析する化学分析方法を提供するものであり、その方法は試料採取システムを必要としない。本発明では、従来技術とは全く異なるアプローチを使用する。本発明は、四塩化チタンを製造する流動床反応装置のガス状生成物中の、第1成分(例えば一酸化炭素または硫化カルボニル)の第2成分(例えば二酸化炭素または二酸化硫黄)に対する赤外線の吸収強度の比を決定するための方法を提供する。本発明では、反応装置の熱い流動床を赤外線の供給源として使用して、その赤外線を反応装置の窓を経て反応装置の上位部におけるガス状生成物を通過して赤外分光計に向けて誘導し、少なくとも第1波数、第2波数および第3波数の赤外線の強度を決定する。第1波数は第1成分の体積パーセント当たりの吸収度が第2成分よりも高くなるところであり、第2波数は第2成分の体積パーセント当たりの吸収度が第1成分よりも高くなるところであり、第3波数は第1成分および第2成分の体積パーセント当たりの吸収度が相対的に低くなるところである。次に、第1波数および第3波数における赤外線の強度を比較することによって、第1成分の吸収強度を決定し、第2波数および第3波数における赤外線の強度を比較することによって、第2成分の吸収強度を決定する。最後に、第1成分の吸収強度を第2成分の吸収強度で割ることによって、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の第1成分の第2成分に対する赤外線の吸収強度の比を決定する。第1成分の第2成分に対する濃度比は、例えば、第1成分の吸収強度の対数を第2成分の吸収強度の対数で割り、その得られた値に校正係数を掛けることによって決定することが可能である。
【0007】
他の形態では、本発明は、四塩化チタンの製造において流動床反応装置の温度を制御する改善された方法を提供する。四塩化チタンの製造は、炭素質物質(carbonaceous material)、チタン含有物質および塩素を流動床反応装置に供給し、四塩化炭素と、一酸化炭素および二酸化炭素を含み、冷却器に誘導される排気ガス流とを形成する工程を含む。改善は、7つの工程を含む。第1工程では、赤外線を流動床から反応装置の上位部を経て赤外分光計に向けて誘導し、少なくとも第1波数、第2波数および第3波数の赤外線の強度を決定する。第1波数は一酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が二酸化炭素よりも高くなるところであり、第2波数は二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が一酸化炭素よりも高くなるところであり、第3波数は一酸化炭素および二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が相対的に低くなるところである。第2工程では、第1波数および第3波数における赤外線の強度を比較することによって、一酸化炭素の吸収強度を決定する。第3工程では、第2波数および第3波数における赤外線の強度を比較することによって、二酸化炭素の吸収強度を決定する。第4工程では、第2工程の吸収強度を第3工程の吸収強度で割ることによって、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収強度の比を決定する。第5工程では、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する所望の赤外線の吸収強度の比を決定する。第6工程では、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収強度の比と、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する所望の赤外線の吸収強度の比との間の差を計算する。第7工程では、第6工程において計算された差に対応する信号を発生し、流動床反応装置に対するフィードバック応答を提供して、流動床反応装置の温度を制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ここで図1を参照すると、図1では四塩化チタンを製造するための流動床反応装置10の上位部の側面図が示されており、反応装置10は反応装置の上方に7.5センチメートル直径のフレンジ付ノズル11を有する。第1の7.5センチメートル直径のフランジ付スプール12は、フランジ付ノズル11に取付けられている。7.5センチメートル直径のフランジ付ボールバルブ13は、第1のスプール12に取付けられている。第2の3インチ直径のフランジ付スプール14は、バルブ13に取付けられている。サファイア窓15(断面で示される)は、スプール14と7.5センチメートル直径のフレンジ付肘16(断面で示される)との間に挟まれている。赤外線ミラー17(断面で示される)は、反応装置10(ボールバルブが開いていると仮定する)から赤外線光18をフーリエ変換赤外分光計19に向かって反射させる。分光計19は、器械台20(断面で示される)上に配置され、器械台20はデッキ21(これも断面で示される)上に置かれている。第1スプール12は、窒素が第1スプール12に流れ込んで窓15の汚染防止に役立つことができるように、ライン22に嵌め込まれる。同様に、第2スプール14は、窒素が第2スプール14に流れ込み、窓15の汚染防止に役立つことができるようにライン23に嵌め込まれる。バルブ13は、反応装置10が運転中であっても、取付けまたはメンテナンスの目的のために閉じられる場合もある。
【0009】
さらに図1を参照すると、反応装置10には、炭素質物質、チタン含有物質および塩素が供給され、それらは反応装置10の底部付近の流動床で反応して、反応装置10
の上位部に移動するガス状生成物を生じる。ガス状生成物は、四塩化チタン、一酸化炭素および二酸化炭素を含み、反応装置10から排気され、冷却器に誘導される。赤外線18は、反応装置10における流動床から反応装置の上位部を経て赤外分光計19に向かって誘導され、少なくとも第1波数、第2波数、第3波数の赤外線の強度が決定される。第1波数は一酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が二酸化炭素よりも高くなるところであり、第2波数は二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が一酸化炭素よりも高くなるところであり、第3の波数は一酸化炭素および二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が相対的に低くなるところである。
【0010】
ここで図2を参照すると、図1の反応装置10の運転中に得られた約2450の波数から約2100の波数までの赤外線強度のスキャンが示されている。当技術分野で慣用であるように、本明細書において使用される全ての波数値はセンチメートルの逆数を意味している。約2240から約2400の波数の範囲での赤外線強度の減少は、二酸化炭素によるものである。約2100から約2220の波数の範囲での赤外線強度の増加は、一酸化炭素によるものである。したがって、一酸化炭素に関連する第1波数は、2100から2220の範囲にある波数から選択することができる。本質的に単一の波数が選択される場合には、一酸化炭素が強度において最大に減少するところとなる波数(2120付近の波数あるいは2180付近の波数)であることが好ましい。しかし、2096から2137の波数間の赤外線強度を積分(integrated)することが最も好ましい。同様に、二酸化炭素に関連する第2波数は、2240から2400の範囲にある波数から選択することができる。本質的に単一の波数が選択される場合には、二酸化炭素が強度において最大に減少するところとなる波数(2370付近の波数あるいは2330付近の波数)であることが好ましい。しかし、2243から2410の波数間の赤外線強度を積分することが最も好ましい。第3波数は、最も好ましくは2400の波数である。本発明ではフーリエ変換赤外分光計システムを使用することが望ましいが、非分散形赤外分光計のような他の赤外分光計、例えば二酸化炭素および一酸化炭素の決定に向けて、2170、2370および2420の波数の最大透過を有する3枚のフィルタが使用可能であることを理解すべきである。
【0011】
一酸化炭素の吸収強度は、第1波数および第3波数での赤外線の強度を比較することによって決定される。二酸化炭素の吸収強度は、第2波数および第3波数での赤外線の強度を比較することによって決定される。一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収強度の比は、一酸化炭素に関する吸収強度を二酸化炭素に関する吸収強度で割ることによって決定される。一酸化炭素の吸収強度の対数を二酸化炭素の吸収強度の対数で割った場合、得られる値は一酸化炭素の二酸化炭素に対する濃度比に(例えば体積パーセントに関して)比例し、そのような値に校正係数を掛けることによって計算することができる。
【0012】
本発明は一酸化炭素および二酸化炭素以外の成分(例えば硫化カルボニルと二酸化硫黄)の赤外線の吸収強度の比を決定するために使用できることを理解すべきである。ここで図3を参照すると、図2のデータが示されているが、縦軸は基準波数として2400の波数を使用した強度ではなく、吸収度に関して示されている。
【0013】
ここで図4を参照すると、横軸上の従来技術を参照した方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する体積パーセントの比に対し、縦軸上の本発明による方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比(図1に示されたシステムを使用。反応装置の流動床は異なる温度で制御され、それによって一酸化炭素の二酸化炭素に対する体積パーセントの比が生じ、約0.3から約0.8の範囲で変化する)をプロットすることによって得られたグラフが示されている。従来技術を参照した方法では、米国特許第5,670,121号の教示に従ってガス流中の一酸化炭素および二酸化炭素の濃度を決定するために冷却器の後部に設置された非分散形赤外線分析計を使用した。図4に示されたデータを採集する間、単一の流動床反応装置だけを運転し、反応装置の代表的なガス試料が非分散形赤外線分析計によって分析されるようにした。図4のデータは、反応装置における温度条件を変化させたにも関わらず、本発明の方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比と、従来技術を参照した方法との間の優れた相関性を示している。
【0014】
ここで図5を参照すると、横軸上の図1の流動床の温度(華氏度)に対し、縦軸上の本発明による方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比をプロットすることによって得られたグラフが示されている。図5におけるデータは、本発明の方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比と、反応装置における流動床の温度との間の優れた相関性を示している。そのような相関性は、本発明の他の形態に従って反応装置における流動床の温度を制御するためのシステムで使用することができる。
【0015】
ここで図6を参照すると、1つの冷却器に接続された2つの流動床反応装置を示す概念図が示されており、これは本発明の好ましい一実施形態に従い各反応装置の温度を制御する改善された方法を例示するものである。炭素質物質(例えばコークス)、チタン含有物質(例えばルチル鉱)および塩素が各反応装置に供給される。各反応装置からのガス状生成物は、冷却器システムに供給され、冷却器からの液体流と、一酸化炭素、二酸化炭素およびいくらかの未反応の塩素を含むガス状生成物とが回収される。第1の分析装置(分析装置#1)および第2の分析装置(分析装置#2)は、一対の制御システム(例えば、分散制御システムまたは他のフィードバック制御システム)に対して、反応装置の上位部におけるガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収強度の比に関する、CO/CO比の信号(電気的、空気、デジタルなど)を送信し、その数値は、設定値と比較されるか、あるいは設定範囲内または範囲外のいずれかとして決定される。
【0016】
反応装置における一酸化炭素の二酸化炭素(「被制御変数」)に対する赤外線吸収強度の比が、設定値と等しくない場合または設定範囲から外れる場合には、測定され制御された可変変数と設定値との間の差が決定され、この差に対応する第2の信号(電気的、空気、デジタルなど)が手動で、または好ましくは適切なフィードバック制御器(例えば、比例積分または比例積分誘導動作制御器、あるいはフィードバック応答を提供する他の適切なコンピュータソフトウェアまたはアルゴニズム)によって発生される。そのようなフィードバック応答は、1対の制御装置を経由して各反応装置への冷却物質の流量において比例する変更を加えることによって、各反応装置に加えられる冷却物質の量を変化させる。好ましくは、制御装置は自動流量調節バルブである。
【0017】
各反応装置の温度を制御するために加えられる冷却物質は、本質的に四塩化チタンの製造に悪影響を与えないか、または本発明による分析を阻害しない、いかなる冷却物質であってもよい。より好ましくは、冷却物質は、例えば約100℃の四塩化チタンである。
【0018】
複数の流動床反応装置が単一の冷却器に接続される場合(図6に示されたように)、各反応装置からの排気ガス流は冷却器中で混合されるために、米国特許第5,670,121号で教示された温度制御方法(ここでは冷却器からのガスが分析される)は、有効にならないことが認識されるであろう。本発明では、各反応装置自身が分析装置を有するため、冷却器でのガスの任意の混合前に、各反応装置で生成したガスの分析が提供される。すなわち、本発明では、図6に示したように、各反応装置の温度を効率的に制御するシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】四塩化チタンを製造する流動床反応装置の上位部の側面図であり、反応装置は、反応装置の上方にフレンジを付けたノズルと、そのノズルに接続された配管部品に埋込まれたサファイヤ窓とを有し、赤外線は配管肘に埋め込まれたミラーを経由して反応装置から窓を経てフーリエ変換赤外分光計に向かって誘導される。
【図2】図1のフーリエ変換赤外分光計を使用して決定された、横軸上の波数に対し縦軸上の赤外線の強度をプロットすることによって得られたグラフである。
【図3】図1のフーリエ変換赤外分光計を使用して決定された、横軸上の波数に対し縦軸上の赤外線の吸収度をプロットすることによって得られたグラフである。
【図4】横軸上の従来技術を参照した方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する体積パーセントの比に対し、縦軸上の本発明による方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比をプロットすることによって得られたグラフである。
【図5】横軸上の図1の流動床の温度に対し、縦軸上の本発明による方法を使用して決定された一酸化炭素の二酸化炭素に対する赤外線の吸収度の比をプロットすることによって得られたグラフである。
【図6】1つの冷却器に接続された2つの流動床反応装置を示す概念図であり、本発明の一実施形態による各反応装置の温度を制御するための改善された方法を例示するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタン、炭素、および塩素を含有する物質を流動床反応装置(10)の下位部にある流動床で反応させて、前記流動床反応装置の上位部に移動するガス状生成物を生成することによって四塩化チタンを製造する流動床反応装置の四塩化チタン、第1成分および第2成分を含むガス状生成物中の第1成分の第2成分に対する赤外線の吸収強度の比を決定する化学分析方法であって、
(a)赤外線(18)を前記流動床から前記反応装置の上位部を経て赤外分光計(19)に向けて誘導し、少なくとも第1波数、第2波数および第3波数の前記赤外線の強度を決定する工程であり、前記第1波数は前記第1成分の体積パーセント当たりの吸収度が前記第2成分よりも高くなるところであり、前記第2波数は前記第2成分の体積パーセント当たりの吸収度が前記第1成分よりも高くなるところであり、前記第3波数は前記第1成分および第2成分の体積パーセント当たりの吸収度が相対的に低くなるところである工程と;
(b)前記第1波数および前記第3波数における前記赤外線の強度を比較することによって、前記第1成分の吸収強度を決定する工程と;
(c)前記第2波数および前記第3波数における前記赤外線の強度を比較することによって、前記第2成分の吸収強度を決定する工程と;
(d)前記工程(b)の吸収強度を前記工程(c)の吸収強度で割ることによって、前記反応装置の上位部における前記ガス状生成物中の前記第1成分の前記第2成分に対する前記赤外線の吸収強度の比を決定する工程と
によって特徴づけられる方法。
【請求項2】
前記工程(d)において、工程(b)の吸収強度の対数を工程(c)の吸収強度の対数で割り、得られた値に校正係数を掛けて、前記第1成分の前記第2成分に対する濃度比を決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1成分が一酸化炭素であり、前記第2成分が二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1成分が一酸化炭素であり、前記第2成分が二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
四塩化チタンの製造において流動床反応装置の温度を制御する改善された方法であって、
四塩化チタンの製造が、流動床反応装置に炭素質物質、チタン含有物質および塩素を供給して、四塩化炭素と、一酸化炭素および二酸化炭素を含み、冷却器に誘導される排気ガス流とを形成する工程を含み、
前記改善が、
(a)赤外線を前記流動床から前記反応装置の上位部を経て赤外分光計に向けて誘導し、少なくとも第1波数、第2波数および第3波数の前記赤外線の強度を決定する工程であり、前記第1波数は一酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が二酸化炭素よりも高くなるところであり、前記第2波数は二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が一酸化炭素よりも高くなるところであり、前記第3波数は一酸化炭素および二酸化炭素の体積パーセント当たりの吸収度が相対的に低くなるところである工程と;
(b)前記第1波数および前記第3波数における前記赤外線の強度を比較することによって、一酸化炭素の吸収強度を決定する工程と;
(c)第2波数および第3波数における前記赤外線の強度を比較することによって、二酸化炭素の吸収強度を決定する工程と;
(d)前記工程(b)の吸収強度を前記工程(c)の吸収強度で割ることによって、前記反応装置の上位部における前記ガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する前記赤外線の吸収強度の比を決定する工程と;
(e)前記反応装置の前記上位部における前記ガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する所望の赤外線の吸収強度の比を決定する工程と;
(f)前記反応装置の前記上位部における前記ガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する前記赤外線の吸収強度の比と、前記反応装置の前記上位部における前記ガス状生成物中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する前記所望の赤外線の吸収強度の比との間の差を計算する工程と;
(g)前記工程(f)において計算された前記差に対応する信号を発生し、前記流動床反応装置に対するフィードバック応答を提供して、前記流動床反応装置の前記温度を制御する工程と
によって特徴づけられる方法。
【請求項6】
複数の流動床反応装置が、単一の冷却器に誘導される複数の排気ガス流を生じることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記四塩化チタンの製造が、冷却物質を前記流動床反応装置に導入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記四塩化チタンの製造が、冷却物質を各流動床反応装置に導入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却物質が、四塩化チタンを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却物質が、四塩化チタンを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−516424(P2007−516424A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532990(P2006−532990)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014861
【国際公開番号】WO2004/104518
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500002799)トロノックス エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】