説明

回動シャフトの回動規制装置

【課題】 簡素な構成の押圧部材の単純な直進移動または回動作用により一対のコイルばねの内径を拡径または縮小することで、回動シャフトの回動規制または規制解除を確実に行なうことができることは勿論、押圧部材の組立作業を単純化した回動シャフトの回動規制装置を提供する。
【解決手段】 内径が回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64を隣接させて回動シャフト5の外周に挿通保持し、両コイルばね62,64の端部から径方向に延出させて円周方向に開放する両巻き始め端部62a,64a間に向けて押圧部材8’を直進移動させて、先端に形成されるV溝により巻き始め端部62a,64aの外側を内方に押圧した際に生ずる両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向の分力により両コイルばね62,64の内径を縮小し、回動シャフト5の回動規制を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動シャフトの回動規制または規制解除を行うようにした回動シャフトの回動規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回動シャフトの回動規制装置として、2個のコイルばねを回動シャフトの外周に軸方向に隣接して巻き付け、両コイルばねの隣接または離反する延出端部を水平なフレームに係止して回動シャフトを回動不能に保持すると共に、巻き線方向の組合わせによっては異なるが両コイルばね両端の2つの可動端部間で形成される開放角度を、外部から押圧手段の操作により両コイルばねの付勢力に抗して接近または離反し、両コイルばねの内径を拡径することで回動シャフトの規制解除を行なうようにした回動シャフトの回動規制装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、回動シャフトの外周に内径が、該回動シャフトの外径より小径で且つ、巻き線方向が互いに同一方向または反対方向となる2個のコイルばねが回動シャフトの軸線方向に隣接して嵌め込まれていて、同一巻き線方向のコイルばねの軸方向で離反する各端部が上部フレームに係止され、または反対巻き線方向のコイルばねが両コイルばねから軸方向で離反する端部、及び両コイルばねに隣接する端部が上部フレームに係止されている。
【0004】
そして、同一巻き線方向のコイルばねを組合わせた場合は、隣接する各可動端部が垂直下方に折曲した下部フレームの角形開口部を挿通して延出し、それぞれが上下方向に開放されて角形開口部の両側縁上下に係止される一対の押圧板を両可動端部で上下に押圧付勢して所定の開放角度に保持している。
【0005】
一方、反対巻き線方向の両コイルばねを組合わせた場合は、これら両コイルばねに隣接する各可動端部及び離反する各可動端部が開口部を挿通し、付勢力によって上下方向に開放され開口部の両側縁上下に係止される一対の押圧板を外側に押圧付勢して所定の開放角度に保持している。
【0006】
そこで、同一巻き線方向及び反対巻き線方向の両コイルばねは、上記開口部の両側上部に係止される押圧板の上面にはアウターパイプの下端が連結されると共に、該アウターパイプ内部のワイヤーが上部押圧板を貫通して対向する下部の押圧板に連結されており、このワイヤーを押圧板を介してアウターパイプ内に牽引することで各可動端部間を接近し、両コイルばねの内径が拡径されて回動軸を回動可能にできるようになっている。
【0007】
上記のように回動シャフトの回動規制装置は、両コイルばね両端の4箇所より延出する各端部の内、フレームに係止される2つの端部以外の2つの可動端部を付勢力に抗して接近または離反させることで回動シャフトの回動規制または規制解除を行うようにした押圧手段が使用されている。
【0008】
この押圧手段は、2つの可動端部の付勢力によりフレームの開口部両側縁上下に係止されて所定の開放角度に維持された一対の押圧板を付勢力に抗して接近または離反するために、上部押圧板の上面にアウターパイプの下端を連結させると共に、該アウターパイプ内部のワイヤーを上部押圧板を貫通して対向する下部の押圧板に連結し、アウターパイプとワイヤーを同一軸線上で操作する構成となっている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−6734号公報(段落0020〜段落0025、段落0031〜段落0035及び図1、図2、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、この種の押圧手段は、回動規制または規制解除する何れの場合でもワイヤーの牽引力を利用していることから、2つの可動端部間を互いに離反させて両コイルばねの内径を拡径する際は、上下の押圧板の裏面に2本のワイヤーを反対方向に向けて個別に連結しているため、同時に反対方向に牽引する操作が複雑になる問題を有している。
【0011】
また、両コイルばねの2つの端部がフレームに係止した状態では、両可動端部が外方に向く所定の付勢力を有しているため、両可動端部を開口部に係止した一対の押圧板に当接させて組込む作業が複雑となり、適切な開放角度に設定する作業が困難となる問題を有している。
【0012】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、簡素な構成の押圧部材の単純な直進移動または回動作用により一対のコイルばねの内径を拡径または縮小することで、回動シャフトの回動規制または規制解除を確実に行なうことができることは勿論、押圧部材の組立作業を単純化した回動シャフトの回動規制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を解決するために、本発明の請求項1に記載の回動シャフトの回動規制装置は、2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64を隣接させて挿通保持し、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、上記回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部62a,64a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置には、先端にV溝を形成した押圧部材8’がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8’を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部62a,64aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部62a,64aの外側を上記V溝の両内側斜面で内方に押圧し、両巻き始め端部62a,64aに両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置である。
上記の回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5を回動規制する際は、先端にV溝を形成した押圧部材8’を、上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部62a,64a間の中心を通る軸線上で巻き始め端部62a,64aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部62a,64aの外側が上記V溝の両内側斜面により内方に押圧され、両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0014】
本発明の請求項2に記載の回動シャフトの回動規制装置は、2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64を隣接させて挿通保持し、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、上記回動シャフト5を横切る平面上で近接する角度位からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記巻き始め端部62a,64a間の中心を通る上記回動シャフト5と平行な軸線上に於ける上記巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置には、先端にV溝を形成した押圧部材8’’がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8’’を上記軸線上でコイルばね16の付勢力に抗して両巻き始め端部62a,64aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部62a,64aの外側を上記V溝の両内側斜面で内方に押圧し、両巻き始め端部62a,64aに両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置である。
上記の回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5を回動規制する際は、先端にV溝を形成した押圧部材8’’を、巻き始め端部62a,64a間の中心を通る上記回動シャフト5と平行な軸線上で両巻き始め端部62a,64aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部62a,64aの外側が上記V溝の両内側斜面により内方に押圧され、両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向の分力により両コイルばね62,64の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0015】
本発明の請求項3に記載の回動シャフトの回動規制装置は、2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干小さく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね2,4を隣接させて挿通保持し、両コイルばね2,4は、巻き始め端部2a,4aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部2b,4bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね2,4の巻き始め端部2a,4aを、上記回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部2a,4a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部2a,4aから離反する近傍位置には、先端がクサビ状に形成された押圧部材8がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部2a,4aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部2a,4a間の内側を上記クサビの両外側斜面で外方に押圧し、両巻き始め端部2a,4aに両コイルばね2,4の巻き線方向と反対方向に作用する分力により両コイルばね2,4の内径を拡径し、上記回動シャフト5の規制解除を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置である。
上記の回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5を回動する際は、先端がクサビ状に形成された押圧部材8を、上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部2a,4a間の中心を通る軸線上で上記巻き始め端部2a,4aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部2a,4a間の内側が上記クサビの両外側斜面で外方に押圧され、両コイルばね2,4の巻き線方向と反対方向に作用する分力により両コイルばね2,4の内径が拡径されて回動シャフト5の回動が可能となる。
【0016】
本発明の請求項4に記載の回動シャフトの回動規制装置は、2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね72,74を隣接させて挿通保持し、両コイルばね72,74は、巻き始め端部72a,74aを上記回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部72b,74bを他方の部材側に取付けて成り、
上記回動シャフトの中心と巻き始め端部72a,74a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部72a,74aから離反する近傍位置には、先端がクサビ状に形成された押圧部材8がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部72a,74aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部72a,74a間の両内側を上記クサビの両外側斜面で外方に押圧し、両巻き始め端部72a,74aに両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね72,74の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置である。
上記の回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5を回動規制する際は、上記回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させて成る巻き始め端部72a,74aに向けて押圧部材8を直進移動することで、該押圧部材8先端に形成されたクサビの両外側斜面で両巻き始め端部72a,74a間の内側が外方に押圧され、両巻き始め端部72a,74aに作用する両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向の分力により両コイルばね72,74の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0017】
本発明の請求項5に記載の回動シャフトの回動規制装置は、2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね72,74を隣接させて挿通保持し、両コイルばね72,74は、巻き始め端部72a,74aを上記回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部72b,74bを他方の部材側に取付けて成り、
両巻き始め端部72a,74a間で形成される円周方向に開放する内側には三角カム状の押圧部材76が上記回動シャフト5と直交する方向に回動可能に配設され、上記押圧部材76の回動作用により三角カムの両角部で上記巻き始め端部72a,74a間の両内側を周方向外方に押圧する外力を付与し、両巻き始め端部72a,74aに両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね72,74の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置である。
上記の回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5を回動規制する際は、上記回動シャフト5の外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させて成る巻き始め端部72a,74a間で形成される円周方向に開放した内側に配設された三角カム状の押圧部材76を、上記回動シャフト5と直交する方向に回動させることで、両巻き始め端部72a,74a間の内側が上記三角カムの両角部で外方に押圧され、両巻き始め端部72a,74aに作用する両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向の分力により両コイルばね72,74の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の効果を奏する。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、先端にV溝を形成した簡素な構成の押圧部材を、巻き始め端部から離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また上記押圧部材を、回動シャフトの中心と巻き始め端部間の中心を通る軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部の外側がV溝により内方に押圧されて両コイルばねの内径が縮小され回動シャフトの回動を規制することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、先端にV溝を形成した簡素な構成の押圧部材を、巻き始め端部から離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また上記押圧部材を、巻き始め端部間の中心を通る回動シャフトと平行な軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部の外側が内方に押圧されて両コイルばねの内径が縮小され回動シャフトの回動を規制することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材を、巻き始め端部から離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また上記押圧部材を、回動シャフトの中心と巻き始め端部間の中心を通る軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部の内側がクサビの両外側斜面で外方に押圧されて両コイルばねの内径が拡径され回動シャフトの回動規制を解除することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材を、巻き始め端部から離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また上記押圧部材を、回動シャフト外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフトの径方向に延出させて成る巻き始め端部に向けて直進移動をさせるだけで、両巻き始め端部の内側がクサビの両外側斜面により外方に押圧されて両コイルばねの内径が縮小され回動シャフトの回動を規制することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、三角カム状の押圧部材を、回動シャフトの外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフトの径方向に延出させて成る巻き始め端部間に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また巻き始め端部間に配設された三角カム状の押圧部材を、回動シャフトと直交する方向に回動させるだけで、両巻き始め端部間の内側が上記三角カムの両角部で外方に押圧されて両コイルばねの内径が縮小されて回動シャフトの回動を阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施例を以下に説明する。先ず本発明の回動シャフトの回動規制装置は、これに使用される一対のコイルばねの形態として、それぞれの巻き始め端部が回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する方向に延出する形態と、巻き始め端部を回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて回動シャフト5の径方向に延出する形態から構成されている。
【0025】
そして、これら両コイルばねは、内径が回動シャフト5の外径より大径で回動シャフト5の回動を可能に保持したものと、内径が回動シャフト5の外径より小径で回動シャフト5の回動を阻止するように保持したものとを有し、両コイルばねともに回動シャフト5の外周に巻き線方向が反対となるよう隣接して挿通保持されている。
【0026】
本発明の回動シャフトの回動規制装置は、以下に述べる各種形態の押圧部材により両コイルばねの巻き始め端部間を外側に開き、または内側に縮小させることで回動可能な回動シャフト5の回動を規制し、または回動が規制されている回動シャフト5の回動規制を解除するようにした形態の押圧部材により構成されている。以下実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1の(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の原理説明図、図2の(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図、図3の(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の構造を示す部分側面断面図であり、図4の(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置に係る断面図である。
【0028】
先ず、回動シャフトの回動規制装置1は、回動が規制されている回動シャフト5を押圧部材によって解除するようにしたもので、図1及び図2の(A),(B)に示すように、回動シャフト5の外周に密着状態で締め付けられて軸方向に隣接して配置される巻き線方向が反対となる一対のコイルばね2,4と、これらコイルばね2,4によって形成される円周方向に開放する巻き始め端部2a,4a間に向け直進移動させて巻き始め端部2a,4a間の内側を外方に押圧し、両コイルばね2,4の内径を拡径する押圧部材8とから構成されている。
【0029】
詳しくは、両コイルばね2,4は、回動シャフト5の外周に対し内径が回動シャフト5の外径より若干小さく形成されており、一方のコイルばね2は、巻き始め端部2aを回動シャフト5の径方向に延出させて巻き線の終端部2bが他方の部材側の係止部6に取付けられ、他方のコイルばね4は、巻き始め端部4aを回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部4bが他方の部材側の係止部6に取付られている。
【0030】
これら一対のコイルばね2,4は、図1(B)に示すように回動シャフト5の軸方向に隣接させて密着状態で締め付け保持することで、回動シャフト5の外周に矢印で示す径方向の締め付け力が作用しその回動が規制されている。
【0031】
両コイルばね2,4は、図1(B)に示すように相互の巻き始め端部2a,4aが軸方向に離反しているが、巻き始め端部2a,4a間に跨る横長のクサビ部材を使用することで両巻き始め端部2a,4a間に外方に開く分力を同時に作用させることができるようになっている。
【0032】
これら両巻き始め端部2a,4aは、回動シャフト5外周の同じ角度位置からそれぞれ反巻き線方向に向く方向に傾斜するよう折曲させることで、回動シャフト5の端部側から視て円周方向に開放する略V字形の角度が形成されている。
【0033】
次に、本実施例における押圧部材8は、図2〜図4に示すように矩形断面を有し、先端における前後の2面には巻き始め端部2a,4aの角度より広角となる二等辺三角形の両傾斜面が形成され、この両傾斜面が巻き始め端部2a,4a間の中心に向けて直進移動するクサビ部材10として構成されている。
【0034】
このクサビ部材10は、図3(A),(B)及び図4(A),(B)に示すように、回動シャフト5の中心と巻き始め端部2a,4a間の中心を通る軸線上に配設されていて、ケース体14の上端に係止された引張りコイルばね16に係止し、この引張りコイルばね16の付勢力により巻き始め端部2a,4aから離反する近傍位置に弾力的に保持されている。
【0035】
詳しくは、このクサビ部材10は、傾斜面が形成されない他の対向する両側面に一対のガイドピン10a,10bが同軸上に突設しており、これらガイドピン10a,10bは、他方の部材となるケース体14の両側面中央に長手方向に沿って貫通形成された一対の長孔12a,12bに挿通支持されている。
【0036】
従って、図2(A)及び図3(A)に示すように、クサビ部材10を巻き始め端部2a,4aに向けて直進移動させることにより、先端に形成された両傾斜面により巻き始め端部2a,4aの内側が同時に押圧されて両巻き始め端部2a,4aに両コイルばね2,4の巻き線方向と反対方向に分力が作用し、両コイルばね2,4が拡開する方向に変形して回動シャフト5への締め付け力が解除されるようになっている。
【0037】
また、巻き始め端部2a,4aは、図3(B)に示すように引張りコイルばね16の付勢力によりクサビ部材10が、両巻き始め端部2a,4aから離反する方向に後退移動することで、一対のコイルばね2,4自身の復帰弾力により元の位置に自動的に復元される。
【0038】
次に、実施例1における回動シャフトの回動規制装置の作用に付き図4の(A),(B)を参照して詳述する。
【0039】
図4(A)に示すように、2つの部材を回動可能に連結した回動シャフト5は、外周に互いに隣接させて密着状態で締め付け保持された一対のコイルばね2,4により回動が規制された状態となっている。
【0040】
そこで、回動シャフト5の回動規制を解除する際は、図4(B)に示すようにクサビ部材10を押圧することで、クサビ部材10は両ガイドピン10a,10bが一対の長孔12a,12bに案内され引張りコイルばね16の付勢力に抗して両コイルばね2,4の巻き始め端部2a,4aに向けて直進移動される。
【0041】
クサビ部材10の直進移動により、先端の両傾斜面により巻き始め端部2a,4aの内側が同時に押圧されて両巻き始め端部2a,4aに両コイルばね2,4の巻き線方向と反対方向に分力が作用し、両コイルばね2,4の内径が拡径されることで回動シャフト5に対する締め付け力が解除される。
【0042】
従って、上記のように構成された実施例1における回動シャフトの回動規制装置によれば、先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材8を、巻き始め端部2a,4aから離反した近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができる。
【0043】
また、押圧部材8を、回動シャフト5の中心と巻き始め端部2a,4a間の中心を通る軸線上で、該巻き始め端部2a,4a間の中心に向けて直進移動させるだけの単純な押圧操作で、両巻き始め端部2a,4aの内側がクサビの両外側斜面で外方に押圧され両コイルばね2,4の内径が拡径されるので回動シャフト5の回動規制を解除することができる。
【0044】
更に、クサビ部材10は、直進移動により両巻き始め端部2a,4aの内側に作用する二等辺三角形の両傾斜面の押圧力が、クサビ作用として両コイルばね2,4に巻き線方向と反対方向の分力として同時に且つ均等に作用するので、安定した解除力を付与することができる。
【0045】
そして、クサビ部材10は、押圧力が解除されると同時に引張りコイルばね16の付勢力により巻き始め端部2a,4a間から後退移動して離反位置に保持されるので、解除時の誤操作を回避することができる。
【0046】
次に、本発明の回動規制装置の使用例として、この回動規制装置を、卓上ランプのスタンドと揺動アーム間を連結する回動シャフトに取付けた例に付き図5を参照して説明する。
【0047】
図5はアーム内部に回動規制装置を組込んだ一部断面を示す卓上ランプの側面図である。符号20で示される卓上ランプは、机22の端部に固定された固定金具24を介して起立した一方の部材となるスタンド25と、スタンド25の上端に回動シャフト5を介して揺動可能に枢着された他方の部材となる中空状の揺動アーム26と、揺動アーム26の上端に枢動可能に止着された照明具30とから構成されている。
【0048】
スタンド25と揺動アーム26を揺動可能に枢着する回動シャフト5には回動規制装置1が取付けられており、この回動規制装置1は、回動シャフト5の外周に巻き線方向が反対となるように密着状態で締め付けられた一対のコイルばね2,4により回動シャフト5の回動を規制している。
【0049】
一方、押圧部材8は、中空状に構成された角筒状の揺動アーム26内部に収容されており、回動シャフト5の外周に密着状態で締め付けられた一対のコイルばね2,4の巻き始め端部2a,4aに対し、クサビ部材10が巻き始め端部2a,4aから離反する近傍位置に引張りコイルばね16により懸吊保持されている。
【0050】
そこで、揺動アーム26を上下に揺動させる際は、一対のガイドピン10a,10bの手動操作によりクサビ部材10を圧縮ばね16の付勢力に抗して巻き始め端部2a,4a間の中心に向けて直進移動する。
【0051】
これにより、巻き始め端部2a,4aは、クサビ部材10先端の両傾斜面の押圧作用で巻き始め端部2a,4a間の内側に生ずる分力により同時に外方に変位し、両コイルばね2,4に巻き線方向と反対方向の外力が同時に作用するので回動シャフト5への締め付け力が解除される。
【0052】
一方、揺動アーム26の揺動を規制する際は、今まで手動操作により押圧していたクサビ部材10から押圧力を解除することで、クサビ部材10は引張りコイルばね16の付勢力により巻き始め端部2a,4a間から長孔12a,12bの範囲で後退移動して離反した近傍位置に保持される。
【0053】
次に、回動規制装置の別の使用例として、本発明の回動シャフトの回動規制装置をノート型パソコンのキーボード装置とディスプレイ装置とを揺動自在に軸支する回動シャフトに取付けた例に付き図6、図7を参照して説明する。
【0054】
図6は回動シャフトの一部に回動規制装置を組込んだノート型パソコンの一部断面を示す正面図であり、図7は回動シャフトの一部に回動規制装置を組込んだノート型パソコンのノート型パソコンの一部断面を示す側面図である。
【0055】
符号32はノート型パソコンであって、このパソコン32は、入出力操作を行なう一方の部材となるキーボード装置34と、キーボード装置34に固定された回動シャフト5の両端に回動自在に軸支された他方の部材となるCRT装置35とから構成されている。
【0056】
CRT装置35に回動自在に軸支される回動シャフト5の一端には、回動規制装置1が取付けられており、この回動シャフト5の外周には巻き線方向が反対となる一対のコイルばね2,4が密着状態で締め付けられ、回動シャフト5の直径方向に延出する両巻き線の終端部2’b,4’bを、他方の部材となるCRT装置35に係止して回動シャフト5の回動を規制するように構成されている。
【0057】
筐体状に構成されるCRT装置35の片側空間内部には、押圧部材8となるクサビ部材10が収容されており、このクサビ部材10は、回動シャフト5の外周に巻き付けられた両コイルばね2,4の巻き始め端部2a,4a間に向けて軸線上で直進移動可能に保持されている。
【0058】
更に、このクサビ部材10は、CRT装置35上端に挿通保持された操作軸40によって押圧操作できるように構成されており、通常は圧縮ばね16’によりクサビ部材10を巻き始め端部2a,4aから離反する近傍位置に保持している。
【0059】
そこで、CRT装置35を開閉させる際は、操作部38の手動押圧操作によりクサビ部材10を圧縮ばね16’の付勢力に抗して巻き始め端部2a,4a間の中心に向けて直進移動させる。
【0060】
これにより、巻き始め端部2a,4aは、クサビ部材10先端の両傾斜面の押圧作用で巻き始め端部2a,4a間の内側に生ずる分力により同時に外方に変位し、両コイルばね2,4に巻き線方向と反対方向の外力が同時に作用して回動シャフト5への締め付け力が解除される。
【0061】
一方、CRT装置35の揺動を規制する際は、今まで手動操作により押圧していた操作部38から手を離すことで、クサビ部材10が圧縮ばね16’の付勢力により操作軸40に案内されて長孔12a,12bの範囲で後退移動し、巻き始め端部2a,4a間から離反した近傍位置に保持される。
【0062】
次に、回動規制装置の更に別の使用例として、窓を回動自在に軸支する窓枠の回動シャフトに本発明の回動シャフトの回動規制装置を取付けた例に付き図8、図9を参照して説明する。
【0063】
図8は窓を回動自在に軸支する窓枠の回動シャフトに回動規制装置を組込んだ一部断面を示す窓の正面図であり、図9は窓の内部空間に回動規制装置を組込んだ状態を示す図8のA−A断面図である。
【0064】
符号44は窓枠であって、この窓枠44内に開閉可能に設けられる窓42は、窓枠44に固定された回動シャフト5に回動自在に3箇所で軸支されており、この窓42を回動自在に軸支している回動シャフト5の中間部位には回動規制装置1が取付けられている。
【0065】
この回動規制装置1は、回動シャフト5の外周に巻き線方向が反対となる一対のコイルばね2,4が隣接して締め付けられており、回動シャフト5の直径方向に延出する両巻き線の終端部2’b,4’bが、他方の部材となる窓42の内部に挿通係止して回動シャフト5の回動を規制するように構成されている。
【0066】
窓42の中間に設けられた横枠45の中空部内には、押圧部材8となるクサビ部材10が収容されており、このクサビ部材10は、回動シャフト5の外周に巻き付けられた両コイルばね2,4の巻き始め端部2a,4aに向けて軸線上で直進移動可能に保持されている。
【0067】
更に、このクサビ部材10は、横枠45の中空部内に配置された支持部材46を挿通した操作軸40’ に連結されており、この操作軸40’は圧縮ばね48により巻き始め端部2a,4aから離反した近傍位置に外方に向けて付勢保持されている。
【0068】
窓42の中間部外側には操作レバー50が配置されており、この操作レバー50は、横枠45の中空部と連通する内部空間に臨むように回動自在に軸支された支持軸52の一端に固定され、この支持軸52の他端には円弧状の押圧レバー54が止着され、この押圧レバー54の円弧部には操作軸40’の先端が圧縮ばね48により付勢された状態で当接している。
【0069】
そこで、窓42を開閉させる際は、操作レバー50の手動操作により支持軸52を介して押圧レバー54を反時計廻りに回動させることで、操作軸40’の先端が押圧レバー54の円弧部によって押圧され、クサビ部材10を圧縮ばね48の付勢力に抗して巻き始め端部2a,4a間の中心に向けて直進移動する。
【0070】
これにより、巻き始め端部2a,4aは、クサビ部材10先端の両傾斜面の押圧作用で巻き始め端部2a,4a間の内側に生ずる分力により同時に外方に変位し、両コイルばね2,4に巻き線方向と反対方向の外力が同時に作用して回動シャフト5への締め付け力が解除される。
【0071】
一方、窓42の開閉を規制する際は、今まで反時計廻りに回動させていた操作レバー50を時計廻りの回動操作で元の位置に戻すことで、クサビ部材10が圧縮ばね48の付勢力により操作軸40’を介して長孔12a,12bの範囲で後退移動し、巻き始め端部2a,4a間から離反した近傍位置に保持される。
【0072】
次に、図10は回動シャフト5の一端を、摩擦カラーを介して本体側に取付けた支持構造を示す断面図であって、回動シャフト5の一端は、図10に示すように本体側56(図5の卓上ランプの例ではスタンド25、図6のノート型パソコンの例ではキーボード装置34、図8の窓の例では窓枠44に相当する。)に、摩擦カラー55を介して取り付けられている。
【0073】
この摩擦カラー55は、高摩擦の材質で円筒状に形成したもので、回動シャフト5の一端を、摩擦カラー55を介して本体56に軸支されることで、一対のコイルばね2,4によってこの回動シャフト5が締め付けられている時に、他方の側面57(図5の例では揺動アーム26、図6の例ではディスプレイ装置36、図8の例では窓42に相当する。)が過大な負荷の作用で不用意に回動された場合には、回動シャフト5が摩擦カラー55の摩擦力を介して回動されるので、回動シャフト5と本体56並びにその周辺の破損を防止することができる。
【実施例2】
【0074】
次に、本発明の実施例2における回動シャフトの回動規制装置に付き、図11(A),(B)を参照して説明する。図11の(A),(B)は本発明の実施例2における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。尚、上記実施例1と共通な構成部材には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0075】
先ず、実施例2における回動シャフトの回動規制装置は、符号11で示されており、この回動シャフトの回動規制装置11は、回動可能に保持されている回動シャフト5を押圧部材によって回動を規制するようにしたもので、図11の(A),(B)に示すように、回動シャフト5の外周に緩く巻回されて軸方向に隣接して配置され巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64と、これらコイルばね62,64によって形成される円周方向に開放する巻き始め端部62a,64a間に向け直進移動させて巻き始め端部62a,64a間の内側を外方に押圧し、両コイルばね62,64の内径を縮小する押圧部材8’とから構成されている。
【0076】
本実施例2の回動規制装置11として回動シャフト5に使用される一対のコイルばね62,64は、内径が回動シャフト5の外径より若干大きく形成されており、巻き線方向が反対となるよう互いに隣接して回動シャフト5の外周に緩く巻回されている。
【0077】
そして、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材の係止部6に取付け、一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成している。
【0078】
本実施例2で使用される押圧部材8’は、矩形断面を有し、先端には図11(A),(B)に示すようにV溝Gが形成され、V溝Gの両傾斜面の中心が巻き始め端部62a,64a間の中心に向けて直進移動するV溝部材10’として構成されている。
【0079】
このV溝部材10’は、両側面に一対のガイドピン10’a,10’bが同軸上に突設しており、これらガイドピン10’a,10’bは、例えば図4に示すケース体14の両側面中央に直線方向に貫通形成された一対の長孔12a,12bに挿通支持されている。
【0080】
そこで、回動シャフト5を回動規制する際は、先端にV溝Gを形成したV溝部材10’を、回動シャフト5の中心と巻き始め端部62a,64a間の中心を通る軸線上で巻き始め端部62a,64aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部62a,64aの外側がV溝の両内側斜面により内方に押圧され、両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する両巻き始め端部62a,64aの分力により両コイルばね2,4の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0081】
従って、上記のように構成された実施例2における回動シャフトの回動規制装置によれば、先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材8’を、巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができる。
【0082】
また押圧部材8’を、回動シャフト5の中心と巻き始め端部62a,64a間の中心を通る軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部62a,64aの外側がV溝Gにより内方に押圧されて両コイルばね62,64の内径が縮小されるので回動シャフトの回動を規制することができる。
【実施例3】
【0083】
次に、本発明の実施例3における回動シャフトの回動規制装置に付き、図12(A),(B)を参照して説明する。図12の(A),(B)は本発明の実施例3における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。尚、上記実施例1、2と共通な構成部材には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0084】
実施例3における回動シャフトの回動規制装置21は、実施例2と同様に回動可能に保持されている回動シャフト5を押圧部材によって回動を規制するようにしたものであるが、この押圧部材8’’は、図12の(A),(B)に示すように、回動シャフト5と平行に配置されている点が上記実施例2とは相違している。
【0085】
すなわち、この回動シャフトの回動規制装置21は、回動シャフト5の外周に緩く巻回されて軸方向に隣接して配置される巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64と、これら一対のコイルばね62,64によって形成される円周方向に開放する巻き始め端部62a,64a間に向け回動シャフト5と平行な直進移動により両巻き始め端部62a,64aの外側を両内側斜面で内方に押圧し、両コイルばね62,64の内径を縮小する押圧部材8’’とから構成されている。
【0086】
回動規制装置21として回動シャフト5に使用される一対のコイルばね62,64は、内径が回動シャフト5の外径より若干大きく形成されており、巻き線方向が反対となるよう互いに隣接して回動シャフト5の外周に緩く巻回されている。
【0087】
回動シャフト5は、ベースBの両端に立設し一対の脚部Hに回動可能に支持された大径の支持軸71の一端に形成されており、回動シャフト5の外周に緩く巻回される一対のコイルばね62,64は段付き部5aによって軸方向の移動が規制されている。
【0088】
そして、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材(ベースB)側に取付け、一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、回動シャフト5を横切る平面上で近接する角度位からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成している。
【0089】
本実施例3で使用される押圧部材8’’は水平な板状断面を有し、先端には図12(A),(B)に示すようにV溝Gが形成され、巻き始め端部62a,64a間の中心を通る回動シャフト5と平行な軸線上でV溝Gの両傾斜面の中心が巻き始め端部62a,64a間の中心に向けて直進移動するV溝部材10’’として構成されている。
【0090】
このV溝部材10’’は、ベースBの一端上面より立設したスタンドS上端のホルダ65aに挿通支持されるスライド軸65の先端に一体的に形成されており、スライド軸65の後端に装着されたキャップ68とホルダ65aとの間に介装される圧縮ばね66により後方に付勢されて巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置に保持され、軸方向に形成されたガイド長孔65aに挿嵌したガイドピン70によってガイド長孔65aの範囲で移動可能に案内されている。
【0091】
そこで、回動シャフト5を回動規制する際は、V溝部材10’’を、巻き始め端部62a,64a間の中心を通る回動シャフト5と平行な軸線上で巻き始め端部62a,64aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部62a,64aの外側がV溝の両内側斜面により内方に押圧され、両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する両巻き始め端部62a,64aの分力により両コイルばね62,64の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0092】
従って、上記のように構成された実施例3における回動シャフトの回動規制装置によれば、
先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材8’’を、巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができ、また押圧部材8’’を、巻き始め端部62a,64a間の中心を通る回動シャフト5と平行な軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部62a,64aの外側が内方に押圧されて両コイルばね62,64の内径が縮小され回動シャフト5の回動を規制することができる。
【実施例4】
【0093】
次に、本発明の実施例4における回動シャフトの回動規制装置に付き、図13(A),(B)を参照して説明する。図13の(A),(B)は本発明の実施例4における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。尚、上記実施例1〜3と共通な構成部材には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0094】
実施例4における回動シャフトの回動規制装置31は、回動可能に保持されている回動シャフトを押圧部材によって回動を規制するようにしたものであり、この押圧部材8は、図13の(A),(B)に示すように、クサビ部材10を使用しており、両コイルばね72,74は、内径が回動シャフト5の外径より若干大きく形成され、相互の巻き始め端部72a,74aを回動シャフト5の外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて回動シャフト5の径方向に延出させると共に、両巻き線の終端部72b,74bが他方の部材側の係止部6に取付けられている。
【0095】
そこで、回動シャフト5を回動する際は、先端がクサビ状に形成された押圧部材8を、回動シャフト5の中心と巻き始め端部72a,74a間の中心を通る軸線上で巻き始め端部72a,74aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部72a,74a間の内側がクサビの両外側斜面で外方に押圧され、両コイルばね72,74の巻き線方向と反対方向に作用する分力により両コイルばね72,74の内径が拡径されて回動シャフト5の回動が可能となる。
【0096】
従って、上記のように構成された実施例4における回動シャフトの回動規制装置によれば、
先端がクサビ状に形成された簡素な構成の押圧部材8を、巻き始め端部72a,74aから離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができる。
【0097】
また押圧部材8は、回動シャフト5の中心と巻き始め端部72a,74a間の中心を通る軸線上で直進移動させるだけで、両巻き始め端部72a,74aの内側がクサビの両外側斜面で外方に押圧されて両コイルばね72,74の内径が拡径され回動シャフト5の回動規制を解除することができる。
【実施例5】
【0098】
次に、本発明の実施例6における回動シャフトの回動規制装置に付き、図14(A),(B)及び図15(A),(B)を参照して説明する。図14の(A),(B)は本発明の実施例5における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図、図15の(A),(B)は本発明の実施例5における回動規制装置の作用を説明する側面断面図である。尚、上記実施例4と共通な構成部材には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0099】
実施例5における回動シャフトの回動規制装置41は、回動可能に保持されている回動シャフトを押圧部材によって回動を規制するようにしたもので、図13(A),(B)に示す実施例4の両コイルばね72,74と同一構成のコイルばねが使用されており、押圧部材の構成のみが相違している。
【0100】
この押圧部材76は、断面が略正三角形の角柱状に形成される三角カム部材78であって、この三角カム部材78は、図14(A),(B)に示すように、両巻き始め端部72a,74a間で形成される円周方向に開放する内側に回動シャフト5と直交する方向に回動可能に配設されている。
【0101】
詳しくは、三角カム部材78は、図15(A),(B)に示すように両端から突設した支持軸80が回動シャフト5と平行な軸線上で回動シャフト5を覆うケース81の内部に回動可能に支持されており、ケース81外部に挿通した一方の支持軸80にはハンドルNが装着されている。
【0102】
そこで、回動シャフト5の回動を規制する際は、図14(A)、図15(A)に示すように、ハンドルNの回動操作により三角カム部材78が回動シャフト5と直交する方向に所定角度回動されて三角カム部材78の一対の角部78a,78bにより互いに交差させた両巻き始め端部72a,74a間の内側が同時に外方に押圧されることで、両巻き始め端部72a,74aに作用する両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向の分力により両コイルばね72,74の内径が縮小されて回動シャフト5の回動が阻止される。
【0103】
また、回動シャフト5の回動規制を解除する際は、図14(B)、図15(B)に示すように、ハンドルNの回動操作により何れかの角部が両巻き始め端部72a,74aの中心を向く角度位置まで三角カム部材78を回動させることで、両コイルばね72,74の内径が自らの復帰弾力により回動シャフト5の外径より若干大きい元の状態に復帰し、回動シャフト5の回動規制が解除される。
【0104】
従って、上記のように構成された実施例6における回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5の外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて回動シャフト5の径方向に延出させて成る巻き始め端部72a,74a間に、三角カム状の押圧部材76を配設した簡素な構成となるので組立作業を極めて単純化することができる。
【0105】
また、巻き始め端部72a,74a間に配設された三角カム状の押圧部材76を、回動シャフト5と直交する方向に回動させるだけの簡単な回動位置決め操作で、両巻き始め端部72a,74a間の内側が三角カム部材78の両角部78a,78bで外方に押圧されて両コイルばね72,74の内径が縮小されて回動シャフト5の回動を阻止することができる。
【実施例6】
【0106】
次に、本発明の実施例6における回動シャフトの回動規制装置に付き、図16(A),(B)を参照して説明する。図16の(A),(B)は本発明の実施例6における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【0107】
本実施例6における回動シャフトの回動規制装置51は、回動が規制されている回動シャフトを押圧部材によって解除するようにしたもので、図13(A),(B)に示す実施例4の両コイルばね72,74とコイルばねの内径が回動シャフト5の外径より小径に形成されている以外は同一構成のコイルばね72,74が使用されており、押圧部材の構成のみが相違している。
【0108】
この押圧部材8’は、重複する説明は省略するが図11(A),(B)に示す押圧部材と同一構成のV溝部材10’が使用されており、先端に形成されるV溝Gの両傾斜面の中心が巻き始め端部72a,74a間の中心に向けて直進移動するように構成されている。
【0109】
そこで、回動シャフト5の回動規制を解除する際は、先端にV溝Gを形成したV溝部材10’を、回動シャフト5の中心と巻き始め端部72a,74a間の中心を通る軸線上で巻き始め端部72a,74aに向けて直進移動することで、両巻き始め端部72a,74aの外側がV溝の両内側斜面により内方に押圧され、両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向に作用する両巻き始め端部72a,74aの分力により両コイルばね72,74の内径が拡径されて回動シャフト5の回動規制が解除される。
【0110】
従って、上記のように構成された実施例5における回動シャフトの回動規制装置によれば、先端にV溝を形成した簡素な構成のV溝部材10’を、巻き始め端部72a,74aから離反する近傍位置に直進移動可能に配設することで組立作業を極めて単純化することができる。
【0111】
また、V溝部材10’を、回動シャフト5の外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて回動シャフト5の径方向に延出させて成る巻き始め端部72a,74aに向けて直進移動をさせるだけで、両巻き始め端部72a,74aの外側がV溝により内方に押圧されて両コイルばね72,74の内径が拡径され回動シャフト5の回動規制を解除することができる。
【実施例7】
【0112】
次に、本発明の実施例7における回動シャフトの回動規制装置に付き、図17(A),(B)を参照して説明する。図17の(A),(B)は本発明の実施例7における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【0113】
本発明の実施例7における回動シャフトの回動規制装置61は、回動が規制されている回動シャフトを押圧部材によって解除するようにしたもので、実施例1の両コイルばね2,4と同一構成のコイルばねが使用されており、押圧部材の構成のみが相違している。
【0114】
本実施例7に使用される押圧部材は、実施例6で使用される三角カム部材78と同一構成のカム部材が使用されているので同一符号を付して重複する説明を省略するが、使用される両コイルばねは実施例6とは構成が相違しているため逆の作用が行なわれる。
【0115】
すなわち、回動シャフト5の回動規制を解除する際は、図17(A)に示すように、ハンドルNの回動操作により三角カム部材78が回動シャフト5と直交する方向に所定角度回動されて三角カム部材78の一対の角部78a,78bにより両巻き始め端部62a,64a間の内側が同時に外方に押圧されることで、両巻き始め端部62a,64a間に作用する両コイルばね62,64の巻き線方向と反対方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径が拡径されて回動シャフト5の回動規制が解除される。
【0116】
従って、上記のように構成された実施例7における回動シャフトの回動規制装置によれば、回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する巻き始め端部62a,64a間に、三角カム状の押圧部材76を配設した簡素な構成となるので組立作業を極めて単純化することができる。
【0117】
また、巻き始め端部62a,64a間に配設された三角カム状の押圧部材76を、回動シャフト5と直交する方向に回動させるだけの簡単な回動位置決め操作で、両巻き始め端部62a,64a間の内側が三角カム部材78の両角部78a,78bで外方に押圧されて両コイルばね62,64の内径が拡径されて回動シャフト5の回動規制を解除することができる。
【0118】
次に、実施例1におけるコイルばね2,4の変形例に付き図18、図19を参照して説明する。図18(A)は巻き線間にコイル線径の隙間を形成して巻回された巻き線方向が反対となる1組のコイルばねの側面図、(B)はコイル線径の隙間に巻き線方向が反対となる1組のコイルばねを組込んだ組合わせコイルばねの側面図、図19は巻き線方向が反対となる1組のコイルばねを組込んだ組合わせコイルばねを回動シャフトの外周に巻付けた状態を示す斜視図である。
【0119】
図18(A)に示すように、巻き線方向が反対となる1組のコイルばね82,84として、一方の左巻きコイルばね82は、径方向に延出した巻き始め端部82aから巻き線間にコイル線径の隙間が形成されるように左に3回巻きされて巻き線の終端部82bが径方向に延出するよう構成されている。
【0120】
他方の右巻きコイルばね84は、径方向に延出した巻き始め端部84aから巻き線間にコイル線径の隙間が形成されるように右に3回巻きされて巻き線の終端部84bが径方向に延出するよう構成されている。
【0121】
そこで、上記の巻き線方向が反対となるコイルばね82,84を、相互のコイル線径の隙間に差込むことで、図18(B)に示すような一体化した組合わせコイルばねが構成される。これら組合わせコイルばねを回動シャフト5の外周に装着し、巻き線の各終端部82b、84bを他方の部材側の係止部6にそれぞれ取付けることで図19に示される回動シャフトの回動規制装置を構成することができる。
【0122】
図19に示すように、両コイルばね82,84の巻き始め端部82a,84a及び各終端部82b、84bが回動シャフト5の軸端から視て同じ位相となるように回動シャフト5の外周に装着し、各終端部82b、84b間の距離L2を離反させて配置した場合は、巻き始め端部82a,84a間の離反距離L1を回動シャフト5の軸方向に接近させることができる。また、各巻き線間毎に差込まれる両コイルばね82,84の差込み位置を軸方向で変更させることで巻き始め端部82a,84a間の離反距離L1を調整することができる。尚、両コイルばね82,84の内径は、回動シャフトの外径に対して適宜使用形態に応じて大径または小径に形成できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の原理説明図である。
【図2】(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図3】(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置の構造を示す部分側面断面図である。
【図4】(A),(B)は、本発明の実施例1における回動シャフトの回動規制装置に係る断面図である。
【図5】本発明の回動規制装置の使用例であって、アーム内部に回動規制装置を組込んだ一部断面を示す卓上ランプの側面図である。
【図6】本発明の回動規制装置の別の使用例であって、回動シャフトの一部に回動規制装置を組込んだノート型パソコンの一部断面を示す正面図である。
【図7】同じく、回動シャフトの一部に回動規制装置を組込んだ一部断面を示すノート型パソコンの一部断面を示すノート型パソコンの側面図である。
【図8】本発明の回動規制装置の更に別の使用例であって、窓を回動自在に軸支する窓枠の回動シャフトに回動規制装置を組込んだ一部断面を示す窓の正面図である。
【図9】同じく、窓の内部空間に回動規制装置を組込んだ状態を示す図8のA−A断面図である。
【図10】回動シャフト5の一端を、摩擦カラーを介して本体側に取付けた支持構造を示す断面図である。
【図11】(A),(B)は本発明の実施例2における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図12】(A),(B)は本発明の実施例3における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図13】(A),(B)は本発明の実施例4における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図14】(A),(B)は本発明の実施例5における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図15】(A),(B)は本発明の実施例5における回動規制装置の作用を説明する側面断面図である。
【図16】(A),(B)は本発明の実施例6における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図17】(A),(B)は本発明の実施例7における回動シャフトの回動規制装置の作用説明図である。
【図18】(A)は巻き線間にコイル線径の隙間を形成して巻回された巻き線方向が反対となる1組のコイルばねの側面図、(B)はコイル線径の隙間に巻き線方向が反対となる1組のコイルばねを組込んだ組合わせコイルばねの側面図である。
【図19】巻き線方向が反対となる1組のコイルばねを組込んだ組合わせコイルばねを回動シャフトの外周に巻付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0124】
1 回動規制装置
2,4 コイルばね
2a,4a 巻き始め端部
2b,4b 終端部
2’b,4’b 終端部
5 回動シャフト
5a 段付き部
6 係止部
8 押圧部材
10 クサビ部材
10a,10b ガイドピン
10’、10’’ V溝部材
11 回動規制装置
12a,12b 長孔
14 ケース体
20 卓上ランプ
21 回動規制装置
22 机
24 固定金具
25 スタンド
26 揺動アーム
30 照明具
31 回動規制装置
32 パソコン
34 キーボード装置
35 CRT装置
36 ディスプレイ装置
38 操作部
40 操作軸
41 回動規制装置
42 窓
44 窓枠
45 横枠
46 支持部材
50 操作レバー
52 支持軸
54 押圧レバー
55 摩擦カラー
56 本体
57 側面
62,64 コイルばね
62a,64a 巻き始め端部
62b,64b 終端部
65 スライド軸
65a ホルダ
68 キャップ
70 ガイドピン
71 支持軸
72 コイルばね
72a,74a 巻き始め端部
72b,74b 終端部
76 押圧部材
78 三角カム部材
78a,78b 角部
80 支持軸
81 ケース
82,84 コイルばね
82a,84a 巻き始め端部
82b,84b 終端部
B ベース
G V溝
H 脚部
L1,L2 離反距離
N ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64を隣接させて挿通保持し、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、上記回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部62a,64a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置には、先端にV溝を形成した押圧部材8’がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8’を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部62a,64aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部62a,64aの外側を上記V溝の両内側斜面で内方に押圧し、両巻き始め端部62a,64aに両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置。
【請求項2】
2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね62,64を隣接させて挿通保持し、両コイルばね62,64は、巻き始め端部62a,64aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部62b,64bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね62,64の巻き始め端部62a,64aを、上記回動シャフト5を横切る平面上で近接する角度位からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記巻き始め端部62a,64a間の中心を通る上記回動シャフト5と平行な軸線上に於ける上記巻き始め端部62a,64aから離反する近傍位置には、先端にV溝を形成した押圧部材8’’がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8’’を上記軸線上でコイルばね16の付勢力に抗して両巻き始め端部62a,64aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部62a,64aの外側を上記V溝の両内側斜面で内方に押圧し、両巻き始め端部62a,64aに両コイルばね62,64の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね62,64の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置。
【請求項3】
2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干小さく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね2,4を隣接させて挿通保持し、両コイルばね2,4は、巻き始め端部2a,4aを上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部2b,4bを他方の部材側に取付け、上記一対のコイルばね2,4の巻き始め端部2a,4aを、上記回動シャフト5外周の略同じ角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて円周方向に開放する角度を形成して成り、
上記回動シャフト5の中心と巻き始め端部2a,4a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部2a,4aから離反する近傍位置には、先端がクサビ状に形成された押圧部材8がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部2a,4aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部2a,4a間の内側を上記クサビの両外側斜面で外方に押圧し、両巻き始め端部2a,4aに両コイルばね2,4の巻き線方向と反対方向の分力を作用させて両コイルばね2,4の内径を拡径し、上記回動シャフト5の規制解除を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置。
【請求項4】
2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね72,74を隣接させて挿通保持し、両コイルばね72,74は、巻き始め端部72a,74aを上記回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部72b,74bを他方の部材側に取付けて成り、
上記回動シャフトの中心と巻き始め端部72a,74a間の中心を通る軸線上に於ける上記巻き始め端部72a,74aから離反する近傍位置には、先端がクサビ状に形成された押圧部材8がコイルばね16により離反する方向に付勢状態で保持され、該押圧部材8を上記コイルばね16の付勢力に抗して上記巻き始め端部72a,74aに向く直進移動により、上記両巻き始め端部72a,74a間の両内側を上記クサビの両外側斜面で外方に押圧し、両巻き始め端部72a,74aに両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね72,74の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置。
【請求項5】
2つの部材の一方に固定され、且つ他方の部材に回動自在に支持されて相互間を連結した回動シャフト5の外周に、内径が上記回動シャフト5の外径より若干大きく、巻き線方向が反対となる一対のコイルばね72,74を隣接させて挿通保持し、両コイルばね72,74は、巻き始め端部72a,74aを上記回動シャフト5外周で交差させた角度位置からそれぞれ巻き線方向と反対方向に折曲させて上記回動シャフト5の径方向に延出させると共に巻き線の終端部72b,74bを他方の部材側に取付けて成り、
両巻き始め端部72a,74a間で形成される円周方向に開放する内側には三角カム状の押圧部材76が上記回動シャフト5と直交する方向に回動可能に配設され、上記押圧部材76の回動作用により三角カムの両角部で上記巻き始め端部72a,74a間の両内側を周方向外方に押圧する外力を付与し、両巻き始め端部72a,74aに両コイルばね72,74の巻き線方向と同方向に作用する分力により両コイルばね72,74の内径を縮小し、上記回動シャフト5の回動規制を行うようにしたことを特徴とする回動シャフトの回動規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−77848(P2006−77848A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261246(P2004−261246)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(595074521)
【Fターム(参考)】