説明

回動搬送装置

【課題】電動モータを使用することなく、物品が載置された搬送装置の走行に伴って搬送方向を転向して装置自体の構造を簡易化して小型化及び低コスト化する。
【解決手段】本体フレーム(9)に対する走行体(19)の移動に伴ってガイド部材(17)に対してガイド回転体(43)を転動させることによりラックギャ(35)を移動してピニオンギャ(29)を回転して搬送装置(11)の搬送方向を上記ガイド部材(17)の直線部(17a・17b)の相互間隔に対応する角度で変更可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される物品の搬送方向を所望の角度で変更する回動搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直線状に搬送される物品の搬送方向を変更するには、例えば特許文献1の図4に示すように所望の角度をおいて配置された搬送装置間に回動搬送装置を配置し、該回動搬送装置に対して一方の搬送装置から物品が搬入されると、該回動搬送装置を所望の角度で回動して他方の搬送装置の搬送方向上手に接続した後、該回動搬送装置を搬送駆動して載置された物品を他方の搬送装置へ移載させて物品の搬送方向を変更している。
【0003】
上記特許文献1の図4に示す回動搬送装置は、搬送装置間に配置される本体フレーム上に回転可能に支持され、単位搬送部材が設けられる回転盤に対して本体フレームに設けられた電動モータを連結し、該電動モータの駆動により該回転盤を任意の角度で回動して物品の搬送方向を転向するように構成される。
【0004】
そして電動モータを駆動して回転盤を、単位搬送部材の搬送方向上手が一方の搬送装置の搬送方向下手側に接続するように回動させた状態で一方の搬送装置及び単位搬送部材をそれぞれ搬送駆動して一方の搬送装置から搬入される物品を単位搬送部材上へ移載させた後、電動モータを駆動して回転盤を、単位搬送部材の搬送方向下手が他方の搬送装置の搬送方向上手側に接続するように回動させた後、上記状態にて単位搬送部材及び他方の搬送装置をそれぞれ搬送駆動して単位搬送部材上の物品を他方の搬送装置上へ移載して物品の搬送方向を変更している。
【0005】
しかし、特許文献1に示す回動搬送装置は、本体フレーム上に回転盤を回転可能に支持すると共に本体フレームに設けられた電動モータの回転軸を回転盤に連結して回転させる構造であるため、多くの部品により構造が複雑化して大型化し、高コスト化する問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−350147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、本体フレーム上に回転盤を回転可能に支持すると共に本体フレームに設けられた電動モータの回転軸を回転盤に連結して回転させる構造であるため、多くの部品により構造が複雑化して大型化し、高コスト化する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体フレーム上にて長手方向へ往復移動するように支持される走行体と、上記本体フレームに固定され、両端部に上記長手方向に一致し、上記長手方向と直交する方向へ所定の間隔をおいて配置される直線部及び各直線部に連続する傾斜部を有したガイド部材と、上記走行体に回転可能に軸支された回転軸の軸上部に取付けられる搬送装置と、上記回転軸の軸下部に取付けられるピニオンギャと、上記走行体の下面に設けられた直線ガイドに対して摺動するように支持されると共に上記ピニオンギャに噛合わされるラックギャと、上記ラックギャに中間部が回動可能に支持されたアームの各端部に回転可能に支持されて上記ガイド部材の両側面に当接して転動するガイド回転体とを備え、本体フレームに対する走行体の移動に伴ってガイド部材に対してガイド回転体を転動させることによりラックギャを移動してピニオンギャを回転して搬送装置の搬送方向を上記ガイド部材の直線部の相互間隔に対応する角度で変更可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、電動モータを使用することなく、物品が載置された搬送装置の走行に伴って搬送方向を転向して装置自体の構造を簡易化して小型化及び低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】回動搬送装置を含む搬送システムの概略を示す略体平面図である。
【図2】回動搬送装置の分解斜視図である。
【図3】ガイド回転体を示す分解斜視図である。
【図4】回動搬送装置による搬送装置の回動状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、本体フレームに対する走行体の移動に伴ってガイド部材に対してガイド回転体を転動させることによりラックギャを移動してピニオンギャを回転して搬送装置の搬送方向を上記ガイド部材の直線部の相互間隔に対応する角度で変更可能にしたことを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0012】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1に示すように、搬送システム1は、物品(図示せず)を所望の搬送方向へ直線状に搬送する搬入側搬送装置3と、該搬入側搬送装置3の搬送方向下手にて上記搬送方向と直交する方向へ搬送駆動され、物品の搬送方向を、例えば上記搬入側搬送装置3に対して90度、転向する本発明に係る回動搬送装置5と、該回動搬送装置5の搬送方向下手に接続され、上記搬入側搬送装置3の搬送方向に対して直交する方向に搬送方向を有した搬出側搬送装置7により構成される。
【0013】
上記搬入側搬送装置3及び搬出側搬送装置7としては、例えばベルトコンベヤ形式、ローラコンベヤ形式又は搬送距離が物品の搬送方向長さに一致する単位コンベヤを直線状に多数、接続したキャタピラー形式からなる。そして搬入側搬送装置3は、少なくとも搬送方向下手に設けられた検出器及び回動搬送装置5の搬送方向上手に設けられた検出器(いずれも図示せず)からの物品検出信号に基づいて搬送駆動されることにより物品をフリーフロー搬送する。また、搬出側搬送装置7は、回動搬送装置5の搬送方向下手に設けられた検出器からの物品検出信号に基づいて搬送駆動された後、該搬出側搬送装置7の搬送方向上手に設けられた検出器(いずれも図示せず)の信号が物品非検出状態へ遷移した際にその搬送駆動が中断される。
【0014】
図2及び図3に示すように、回動搬送装置5の本体フレーム9は、搬入側搬送装置3の搬送方向下手と搬出側搬送装置7の搬送方向上手に至る長さが少なくとも後述する単位コンベヤ11の搬送方向長さの2倍以上で、搬送直交方向の両端部には、搬送方向へ延出するレール13・15が設けられる。また、本体フレーム9には、搬送方向上手側端部が搬送直交方向の一方端部側及び搬送方向下手側端部が搬送直交方向の他方端部側にそれぞれ位置して搬送方向へ直線状に延出する直線部17a・17b及びこれら直線部17a・17bに接続される傾斜部17cが形成されたガイド部材17が取り付けられる。上記ガイド部材17における直線部17a・17bは、相互間隔、従って傾斜部17cの傾斜度が、要求される単位コンベヤ11の回動角度により決定される。
【0015】
上記本体フレーム9のレール13・15上には、走行体19が搬送方向へ往復走行するように支持される。該走行体19における搬送直交方向両端側の搬送方向上手側及び下手側には、上記レール13・15に噛合って回転する走行回転体21がそれぞれ回転可能に支持され、例えばその内の搬送方向上手側に位置する走行回転体21には、本体フレーム9に固定された電動モータ23の出力軸が連結される。該走行体19は、電動モータ23の駆動に伴って搬送方向上手と下手の間で往復走行される。
【0016】
上記走行体19の中央部には、回転軸25が軸受27を介して回転可能に支持され、該回転軸25の軸下端部には、ピニオンギャ29が固定される。また、該回転軸25の軸上端部には、取付けフレーム31が固定され、該取付けフレーム31には、搬送体としての単位コンベヤ11が固定される。上記単位コンベヤ11は、その搬送方向長さが搬送される物品の搬送方向長さに一致するキャタピラー形式のコンベヤにより構成される。該単位コンベヤ11としては、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤのいずれであってもよいことは、勿論である。また、上記単位コンベヤ11は、その搬送長さが物品,1個部の長さに限定されるものではない。
【0017】
上記走行体19の下面には、上記ピニオンギャ29に噛合い、かつ上記傾斜部17cの傾斜方向と直交する傾斜直交方向へ延出するラックギャ35が配置され、該ラックギャ35は、走行体19の下面に固定された直線ガイド37により上記傾斜直交方向へ摺動可能に支持される。該ラックギャ35の長手方向中央部には、支持軸39の基端部が固定され、該支持軸39の軸下部には、二腕アーム41の中間部が回動可能に支持される。該二腕アーム41の各腕部には、軸部41aが設けられ、各軸部41aには、ガイド回転体としてのガイドローラ43が上記ガイド部材17の相対する側面に当接する間隔をおいて回転可能に軸支される。
【0018】
次に、上記のように構成された回動搬送装置5による物品の転向搬送作用を説明する。
先ず、回動搬送装置5は、走行体19が搬送方向上手側へ移動されていると共に該走行体19の単位コンベヤ11が、その搬送方向が搬入側搬送装置3の搬送方向と一致する向きに回動された状態で待機している。
【0019】
上記状態にて搬入側搬送装置3の搬送駆動に伴って載置された物品が搬送方向下手側に搬送されて該位置の検出器が物品検知状態へ遷移されると、回動搬送装置5の単位コンベヤ11を搬送駆動して物品を搬入側搬送装置5から単位コンベヤ11へ移載させる。そして単位コンベヤ11に移載された物品が該単位コンベヤ11の搬送方向下手側へ搬送されて該位置の検出器が物品検出状態に、また上記物品の移載により搬入側搬送装置3の上記検出器が物品非検出状態へ遷移すると、搬入側搬送装置3及び単位コンベヤ11の搬送駆動を停止させる。
【0020】
次に、上記状態にて電動モータ23を駆動して走行体19を回動搬送装置5の搬送方向下手に向かって移動させる。該走行体19の移動により一対のガイドローラ43がガイド部材17の直線部17aから傾斜部17cに至ると、該傾斜部17cに対して転動するガイドローラ43によりラックギャ35が図示する矢印方向へ移動される。該ラックギャ35の移動に伴ってピニオンギャ29を介して回転軸25が、直線部17a・17bの相互間隔に応じた角度分、本例においては90度、回転して単位コンベヤ11を90度分、回動して搬送方向を搬出側搬送装置7の搬送方向に一致するように変更させる。
【0021】
このとき、支持軸39に対して二腕アーム41が回動可能に支持されるため、ガイド部材17における傾斜部17cに当接するガイドローラ43が転動する際に、二腕アーム41が傾斜部17cの傾斜に追従して回動することにより該傾斜部17cに対して一方のガイドローラ43が過度に当接して転動抵抗になるのを防止する。
【0022】
そして走行体19が回動搬送装置5の搬送方向下手に移動されて該位置に設けられた検出器から走行体検出信号が出力されると、単位コンベヤ11を逆転駆動させると共に搬出側搬送装置7を搬送駆動して単位コンベヤ11上に載置された物品を搬出側搬送装置7上に移載して搬出させる。(図4参照)
【0023】
本実施例は、走行体19の移動に伴ってガイドローラ43を傾斜部17cに沿って転動させてラックギャ35を傾斜直交方向へ移動して回転軸25を所要の角度、回転させることにより単位コンベヤ11の向きをガイド部材17における直線部17a・17bの相互間隔、従ってラックギャ35の移動量に応じた角度で変更して搬出側搬送装置7の搬送方向へ一致させることができ、単位コンベヤ11の回動機構を簡易化、小型化することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 搬送システム
3 搬入側搬送装置
5 回動搬送装置
7 搬出側搬送装置
9 本体フレーム
11 搬送装置としての単位コンベヤ
13・15 レール
17 ガイド部材
17a・17b 直線部
17c 傾斜部
19 走行体
21 走行回転体
23 電動モータ
25 回転軸
27 軸受
29 ピニオンギャ
31 取付けフレーム
35 ラックギャ
37 直線ガイド
39 支持軸
41 二腕アーム
41a 軸部
43 ガイド回転体としてのガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレーム上にて長手方向へ往復移動するように支持される走行体と、
上記本体フレームに固定され、両端部に上記長手方向に一致し、上記長手方向と直交する方向へ所定の間隔をおいて配置される直線部及び各直線部に連続する傾斜部を有したガイド部材と、
上記走行体に回転可能に軸支された回転軸の軸上部に取付けられる搬送装置と、
上記回転軸の軸下部に取付けられるピニオンギャと、
上記走行体の下面に設けられた直線ガイドに対して摺動するように支持されると共に上記ピニオンギャに噛合わされるラックギャと、
上記ラックギャに中間部が回動可能に支持されたアームの各端部に回転可能に支持されて上記ガイド部材の両側面に当接して転動するガイド回転体と、
を備え、
本体フレームに対する走行体の移動に伴ってガイド部材に対してガイド回転体を転動させることによりラックギャを移動してピニオンギャを回転して搬送装置の搬送方向を上記ガイド部材の直線部の相互間隔に対応する角度で変更可能にした回動搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、上記アームは、ラックギャの一部に固定された支持軸に中間部が回動可能に支持されると共に両端部にガイド部材の各側面に当接するガイド回転体を回転可能に支持する軸部を設けた回動搬送装置。
【請求項3】
請求項1において、上記ラックギャは、ガイド部材の傾斜部の傾斜方向と直交する方向へ移動可能に支持される回動搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−111600(P2012−111600A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262010(P2010−262010)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(506329292)スターテクノ株式会社 (45)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】