説明

回路モジュール、昇圧コンバータおよび車両

【課題】本発明は、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータにおけるスイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】コンバータ40に実装されるIPM42は、複数の半導体モジュール420と、両面積層冷却構造の冷却部430と、導通部460とを備え、導通部460は、スリット450−1,2,3に収容された複数の半導体モジュール420の接続端子421,422を中間位置465で電気的に接続する接続部510,520,530を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、IPM)とも呼ばれる回路モジュールに関し、特に、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータに実装される回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータで車輪を駆動する車両(例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車など)には、電源から出力された直流電力の電圧を昇圧コンバータで昇圧し、その昇圧した直流電力をインバータで交流電力に変換して電動モータに供給するものが知られている。
【0003】
このような車両に用いられる昇圧コンバータは、スイッチング素子やダイオードなどの複数の半導体素子を用いたソフトスイッチング方式の昇圧チョッパ回路を備える。従来、昇圧コンバータにおける半導体素子同士を接続する電路のインダクタンスを低減させることによって、サージ電圧およびスナバ電圧を抑制することが提案されていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、昇圧コンバータと共に車両に搭載されるインバータには、半導体スイッチング素子を用いたハードスイッチング方式のインバータ回路を備え、半導体スイッチング素子を予め組み込んだ回路モジュールを実装したものが知られている。従来、ハードスイッチング方式のインバータにおいて、回路モジュールの半導体スイッチング素子から熱を逃がす放熱対策として、板状に半導体スイッチング素子を封止した複数の半導体モジュールを積層状態で収容し、これらの半導体モジュールの両面を冷却する構造(以下、「両面積層冷却構造」と呼ぶ)が提案されていた(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−44960号公報
【特許文献2】特開2004−242065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータにおける半導体素子の配置および電路について十分な検討がなされていなかった。例えば、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータに両面積層冷却構造を適用する場合、並列に設置した複数の半導体素子に接続された電路のインダクタンスが大きいと、これらの半導体素子に均等に電流が流れず、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧が増大してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した課題を踏まえ、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータにおけるスイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1] 適用例1の回路モジュールは、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータに実装される回路モジュールであって、板状に半導体素子を封止した複数の半導体モジュールと、前記複数の半導体モジュールを積層状態で収容する複数のスリットを形成し、一つの前記スリットあたり二つの前記半導体モジュールを同一面上に並べて収容可能である収容部と、前記複数のスリットに収容された複数の半導体モジュールにおける少なくとも二つの半導体素子同士を電気的に接続する導通部とを備え、前記複数のスリットは、順に並ぶ第1のスリット、第2のスリットおよび第3のスリットを含み、前記第1のスリットおよび前記第3のスリットに収容された四つの半導体モジュールにおける四つの半導体素子は、前記昇圧コンバータにおける昇圧チョッパ回路を構成する四つのスイッチング素子(S1)として機能し、前記第2のスリットに収容された二つの半導体モジュールにおける二つの半導体素子は、前記昇圧チョッパ回路から出力される電流を整流するダイオードである二つの整流ダイオード(D5)として機能し、前記導通部は、前記四つのスイッチング素子(S1)のコレクタと、前記二つの整流ダイオード(D5)のアノードとを、前記第2のスリットに収容された二つの半導体モジュールの中間に対応する位置である中間位置で電気的に接続する第1の接続部と、前記第1の接続部から電気的に絶縁され、前記四つのスイッチング素子(S1)のエミッタを前記中間位置で電気的に接続する第2の接続部と、前記第1の接続部および前記第2の接続部から電気的に絶縁され、前記二つの整流ダイオード(D5)のカソードを前記中間位置で電気的に接続する第3の接続部とを含むことを特徴とする。適用例1の回路モジュールによれば、四つのスイッチング素子(S1)のコレクタと二つの整流ダイオード(D5)との間、四つのスイッチング素子(S1)のエミッタ同士の間、二つの整流ダイオード(D5)のカソード同士の間、の各々を接続する電路の長さを均等に配設することができる。これによって、これらの電路のインダクタンスを低減することができる。その結果、ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータにおけるスイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる。
【0010】
[適用例2] 適用例1の回路モジュールにおいて、前記第1の接続部には、前記昇圧チョッパ回路を構成するリアクトル(L1)に接続される第1の端子が前記中間位置に設けられ、前記第2の接続部には、前記昇圧コンバータのグランドに接地される第2の端子が前記中間位置に設けられ、前記第3の接続部には、前記昇圧チョッパ回路から出力される電流のリップルを低減するコンデンサである平滑コンデンサ(C3)に接続される第3の端子が前記中間位置に設けられたとしても良い。適用例2の回路モジュールによれば、四つのスイッチング素子(S1)とリアクトル(L1)との間、二つの整流ダイオード(D5)とリアクトル(L1)との間、四つのスイッチング素子(S1)とグランドとの間、二つの整流ダイオード(D5)と平滑コンデンサ(C3)との間、の各々を接続する電路の長さを均等に配設することができる。これによって、これらの電路のインダクタンスを低減することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0011】
[適用例3] 適用例2の回路モジュールにおいて、前記第3の端子に接続した平滑コンデンサ(C3)を、前記第2の端子を介して前記グランドに接地しても良い。適用例3の回路モジュールによれば、スイッチング素子(S1)、整流ダイオード(D5)、平滑コンデンサ(C3)およびグランドで構成される電気的ループを短縮することができる。その結果、スイッチング動作に伴うスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0012】
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかの回路モジュールにおいて、前記複数のスリットは、前記第3のスリットに続いて並ぶ第4のスリットおよび第5のスリットを含み、前記第4のスリットに収容された少なくとも一つの半導体モジュールにおける半導体素子は、前記昇圧チョッパ回路のスイッチング損失を低減するソフトスイッチング回路におけるスナバ回路を構成するダイオードであるスナバダイオード(D3)として機能し、前記第5のスリットに収容された少なくとも一つの半導体モジュールにおける半導体素子は、前記ソフトスイッチング回路において前記昇圧チョッパ回路へと電力を回生する電路に設けられたダイオードである回生ダイオード(D2)として機能し、前記導通部は、更に、前記第1の接続部、前記第2の接続部および前記第3の接続部から電気的に絶縁され、前記スナバダイオード(D3)のカソードと、前記回生ダイオード(D2)のアノードとを電気的に接続する第4の接続部を含み、前記第4の接続部には、前記ソフトスイッチング回路における共振回路を構成するコンデンサである共振コンデンサ(C2)に接続される第4の端子が設けられたとしても良い。適用例4の回路モジュールによれば、スイッチング素子(S1)、スナバダイオード(D3)、共振コンデンサ(C2)およびグランドで構成される電気的ループを短縮することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧を一層抑制することができる。
【0013】
[適用例5] 適用例1ないし適用例4のいずれかの回路モジュールにおいて、前記第1の接続部、前記第2の接続部および前記第3の接続部における電路の各々は相互に並走しても良い。適用例5の回路モジュールによれば、第1の接続部、第2の接続部および第3の接続部の各々のインダクタンスを低減することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0014】
[適用例6] 適用例1ないし適用例5のいずれかの回路モジュールにおいて、前記収容部は、前記スリットに収容された半導体モジュールの両面を冷却する冷却部であっても良い。適用例6の回路モジュールによれば、両面積層冷却構造の回路モジュールを適用したソフトスイッチング方式の昇圧コンバータにおいて、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる。
【0015】
[適用例7] 適用例7の昇圧コンバータは、適用例1ないし適用例6のいずれかの回路モジュールを備えることを特徴とする。適用例7の昇圧コンバータによれば、両面積層冷却構造によって半導体素子から熱を逃がす放熱性能を向上させつつ、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる。その結果、昇圧コンバータの耐久性能を向上させることができる。
【0016】
[適用例8] 適用例8の車両は、適用例7の昇圧コンバータを搭載したことを特徴とする。適用例8の車両によれば、昇圧コンバータの耐久性能を向上させることができる。
【0017】
[適用例9] 適用例8の車両において、前記昇圧コンバータの前記収容部を構成する部品は、前記昇圧コンバータと共に搭載されるハードスイッチ方式のインバータと共通する部品であり、前記昇圧コンバータの前記半導体モジュールは、該半導体モジュールに封止された半導体素子を制御する制御端子を含み、前記昇圧コンバータにおける前記収容部に対する前記制御端子の位置関係は、前記インバータにおける半導体モジュールの制御端子と同じ位置関係であるとしても良い。適用例8の車両によれば、昇圧コンバータの回路モジュールに制御端子を介して制御基板を組み付ける工程を、インバータの回路モジュールに制御基板を組み付ける工程と同様に実施することができる。そのため、昇圧コンバータの製造工程とインバータの製造工程との共通化によって製造工数の低減を図ることができる。
【0018】
本発明の形態は、回路モジュール、昇圧コンバータおよび車両に限るものではなく、例えば、回路モジュールの製造方法、回路モジュールを備える装置など種々の形態に適用することも可能である。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】車両の構成を示す説明図である。
【図2】コンバータの回路構成を示す説明図である。
【図3】コンバータに搭載されるIPMの詳細構成を示す説明図である。
【図4】半導体モジュールの詳細構成を示す説明図である。
【図5】IPMの導通部における電路構成を示す説明図である。
【図6】IPMの導通部における電路構成を示す説明図である。
【図7】IPMの導通部における電路構成を示す説明図である。
【図8】IPMの導通部における電路構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した回路モジュールについて説明する。
【0021】
図1は、車両10の構成を示す説明図である。車両10は、燃料電池自動車であり、燃料電池20と、コンバータ40と、インバータ50と、電動モータ60と、車輪91,92とを備える。車両10の燃料電池20は、車両10の電源であり、電気化学反応に基づいて直流電力を生成する。車両10のコンバータ40は、燃料電池20から出力された直流電力の電圧を昇圧するソフトスイッチング方式の昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ)である。車両10のインバータ50は、コンバータ40で昇圧された直流電力を交流電力に変換するハードスイッチング方式のDC/ACインバータである。車両10の電動モータ60は、インバータ50から出力された交流電力を回転動力に変換することによって、車輪91,92を駆動する。本実施例では、車両10の電源に燃料電池20を使用するが、他の実施形態において、燃料電池20と併用して、または燃料電池20に代えて、二次電池を車両10の電源に使用しても良い。本実施例では、コンバータ40は、車両10に搭載されるが、車両に限らず、電気で作動する電気機械機器に搭載されても良い。
【0022】
車両10のコンバータ40は、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、以下、「IPM」と呼ぶ)42と、制御基板48とを備える。コンバータ40のIPM42は、スイッチング素子やダイオードなどの複数の半導体素子を予め組み込んだ回路モジュールであり、コンバータ40を構成する他の回路素子と共に実装される。コンバータ40の制御基板48は、IPM42に組み込まれた半導体素子を制御する制御回路であり、IPM42に組み付けられる。本実施例では、コンバータ40におけるIPM42と制御基板48との組み付け構造は、インバータ50におけるIPM52と制御基板58との組み付け構造と同様である。
【0023】
図2は、コンバータ40の回路構成を示す説明図である。コンバータ40は、直流電力の電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路を構成する回路素子として、リアクトルL1と、スイッチング素子S1と、ダイオードD4,D5と、コンデンサC1,C3,C4とを備え、昇圧チョッパ回路のスイッチング損失を低減するソフトスイッチング回路を構成する回路素子として、リアクトルL2と、スイッチング素子S2と、ダイオードD1,D2,D3と、コンデンサC2とを備える。スイッチング素子S1,S2およびダイオードD1,D2,D3,D4,D5は、IPM42に予め組み込まれた半導体素子である。本実施例では、スイッチング素子S1,S2は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)であり、スイッチング素子S1,S2のベース電流は、制御基板48によって制御される。本実施例では、コンバータ40は、図2に示す回路構成を三組備え、三相の直流電力の電圧を昇圧する電力変換装置である。
【0024】
コンバータ40は、入力端子T1,T2と、出力端子T3,T4とを備える。コンバータ40の入力端子T1は、燃料電池20の高電位側に接続される端子であり、コンバータ40の出力端子T3は、インバータ50の高電位側に接続される端子である。コンバータ40の入力端子T2および出力端子T4は、低電位側の端子であり、車両10のグランドに接地される。
【0025】
入力端子T1とグランドとの間には、コンデンサC1が接続され、コンデンサC1は、燃料電池20から出力される電流のリップルを低減する平滑回路を構成する平滑コンデンサとして機能する。出力端子T3とグランドとの間には、コンデンサC3,C4がそれぞれ並列に接続されている。コンデンサC3は、出力端子T3を通じて出力される電流のリップルを低減する平滑回路を構成する平滑コンデンサとして機能する。コンデンサC4は、スイッチング素子S1による電流遮断時に生じる過渡的な高電圧を吸収するスナバ回路を構成するスナバコンデンサとして機能する。
【0026】
入力端子T1と出力端子T3との間には、入力端子T1側から順に、リアクトルL1、ダイオードD5が直列に接続されている。ダイオードD5のアノードは、リアクトルL1に接続され、ダイオードD5のカソードは、出力端子T3に接続されている。ダイオードD5は、出力端子T3を通じて出力される電流を整流する整流ダイオードとして機能する。
【0027】
スイッチング素子S1のコレクタは、リアクトルL1とダイオードD5のアノードとの間に接続され、スイッチング素子S1のエミッタはグランドに接続されている。ダイオードD4は、スイッチング素子S1と並列に接続され、スイッチング素子S1を保護する。
【0028】
スイッチング素子S1のコレクタおよびダイオードD5のアノードには、ダイオードD3のアノードが接続され、ダイオードD3のカソードは、コンデンサC2を介してグランドに接続されている。ダイオードD3は、スイッチング素子S1による電流遮断時に生じる過渡的な高電圧を吸収するスナバ回路を構成するスナバダイオードとして機能する。コンデンサC2は、リアクトルL2と共に共振回路を構成してソフトスイッチングによる共振型コンバータを実現する共振コンデンサとして機能する。
【0029】
ダイオードD3のカソードには、ダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードは、スイッチング素子S2のコレクタに接続されている。スイッチング素子S2のエミッタと入力端子T1との間には、リアクトルL2が接続されている。ダイオードD1は、スイッチング素子S2と並列に接続され、スイッチング素子S2を保護する。ダイオードD2は、ソフトスイッチング回路から昇圧チョッパ回路へと電力を回生する電路に設けられた回生ダイオードである。スイッチング素子S2のエミッタには、ダイオードD6のカソードが接続され、ダイオードD6のアノードは、グランドに接続されている。
【0030】
図3は、コンバータ40に搭載されるIPM42の詳細構成を示す説明図である。IPM42は、筐体410と、複数の半導体モジュール420と、冷却部430と、導通部460とを備える。IPM42の筐体410は、複数の半導体モジュール420、冷却部430および導通部460を収容する。IPM42の半導体モジュール420は、板状に半導体素子を封止したパワーモジュールである。本実施例では、コンバータ40は、三相の直流電力の電圧を昇圧する電力変換装置であり、一相あたり10個の半導体モジュール420が使用されるため、IPM42は、合計30個の半導体モジュール420を備える。
【0031】
図4は、半導体モジュール420の詳細構成を示す説明図である。半導体モジュール420は、接続端子421と、接続端子422と、制御端子423と、絶縁部424と、半導体スイッチ素子428と、半導体ダイオード素子429とを備える。半導体モジュール420の絶縁部424は、半導体スイッチ素子428および半導体ダイオード素子429を内部に封入した絶縁部材である。本実施例では、絶縁部424は、絶縁樹脂で扁平の矩形板状に形成されている。半導体モジュール420の半導体スイッチ素子428は、コンバータ40のスイッチング素子S1,S2として動作可能な半導体素子である。半導体モジュール420の半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD1〜D6として動作可能な半導体素子である。
【0032】
半導体モジュール420の接続端子421は、絶縁部424の一辺に突設された板状の電気伝導体であり、絶縁部424の内部で半導体スイッチ素子428のコレクタおよび半導体ダイオード素子429のカソードに電気的に接続されている。半導体モジュール420の接続端子422は、絶縁部424の一辺に接続端子421と共に突設された板状の電気伝導体であり、絶縁部424の内部で半導体スイッチ素子428のエミッタおよび半導体ダイオード素子429のアノードに電気的に接続されている。半導体モジュール420の制御端子423は、接続端子421および接続端子422が設けられた辺に対向する絶縁部424の一辺に突設されたピン状の電気伝導体である。本実施例では、接続端子422は、五つ並設され、そのうちの一つは、絶縁部424の内部で半導体スイッチ素子428のベースに接続されている。制御端子423は、IPM42と共にコンバータ40に実装される制御基板48に接続される。
【0033】
図3の説明に戻り、IPM42の冷却部430は、複数の半導体モジュール420を積層状態で収容する複数のスリット450を形成する収容部である。本実施例では、冷却部430は、複数のスリット450に収容された半導体モジュール420の両面を冷却する両面積層冷却構造の冷却装置である。冷却部430は、複数の冷却板432と、導入管434と、導出管435とを備える。冷却部430の冷却板432は、冷却水を流す流路が内部に形成された部材である。冷却部430の導入管434は、複数の冷却板432の各々に冷却媒体をIPM42の外部から導入し、冷却部430の導出管435は、複数の冷却板432の各々から冷却媒体をIPM42の外部へ導出する。複数の冷却板432は、相互に間隔を開けて積層され、冷却板432同士の間に形成される隙間がスリット450になる。
【0034】
冷却部430における複数のスリット450には、一つのスリット450あたり二つの半導体モジュール420を同一面上に並べて収容可能である。本実施例では、冷却部430は、16個の冷却板432を備え、これらの冷却板432の間に15個のスリット450を形成し、合計30個の半導体モジュール420を収容する。一つのスリット450に収容される二つの半導体モジュール420は、相互に表裏が逆向きであり、一つのスリット450には、一方の半導体モジュール420における接続端子421、接続端子422に続いて、他方の半導体モジュール420における接続端子422、接続端子421が並ぶ。
【0035】
本実施例の説明では、複数の冷却板432の積層方向をX軸方向と呼び、一つのスリット450に二つの半導体モジュール420が並ぶ方向をY軸方向と呼び、スリット450に半導体モジュール420を着脱する方向をZ軸方向と呼ぶ。本実施例の説明では、冷却部430のスリットを一般的に示す場合には、「450」の符号を用い、特定のスリットを示す場合には、導入管434側からX軸方向に並ぶ順序を示す数字を「450−」の後に付した符号を用いる。例えば、導入管434側から1番目のスリットには「450−1」の符号を用い、2番目のスリットには「450−2」の符号を用い、3番目のスリットには「450−3」の符号を用いる。本実施例の説明では、冷却部430に収容された半導体モジュールを一般的に示す場合には、「420」の符号を用い、X軸方向に二列に並ぶ半導体モジュールのうち、一方の列に並ぶ半導体モジュールを示す場合には、「420−a」の符号を用い、他方の列に並ぶ半導体モジュールを示す場合には、「420−b」の符号を用いる。
【0036】
本実施例では、コンバータ40におけるIPM42の冷却部430に用いられる部品は、インバータ50におけるIPM52の冷却部に用いられる部品と共通であり、コンバータ40におけるIPM42の冷却部430に対する半導体モジュール420の制御端子423の位置関係は、インバータ50における半導体モジュールの制御端子と同じ位置関係である。本実施例では、コンバータ40のIPM42に対する制御基板48の組み付け工程は、インバータ50のIPM52に対する制御基板58の組み付け工程と同じ製造設備で実施される。
【0037】
IPM42の導通部460は、冷却部430に収容された複数の半導体モジュール420における少なくとも二つの半導体素子同士を電気的に接続する。本実施例では、導通部460は、絶縁樹脂で複数の電路を封止した部品であるが、他の実施形態において、金属板を板金加工した複数のバスバーを組み合わせた部品であっても良い。
【0038】
導通部460は、複数の係合部462と、5個の接続端子519,529,539,549,559とを備える。導通部460における複数の係合部462は、冷却部430に収容された複数の半導体モジュール420における接続端子421,422の各々に係合する。これによって、導通部460は、複数の係合部462を介して半導体モジュール420と電気的に接続される。導通部460の接続端子519は、コンバータ40のリアクトルL1に接続される第1の端子である。導通部460の接続端子529は、コンバータ40のグランドに接地される第2の端子である。導通部460の接続端子539は、コンバータ40のコンデンサC3に接続される第3の端子であり、本実施例では、接続端子539に接続されるコンデンサC3のグランド端子は、接続端子529に接続される。導通部460の接続端子549は、コンバータ40のコンデンサC2に接続される第4の端子である。導通部460の接続端子559は、リアクトルL2に接続される第5の端子である。
【0039】
図5、図6,図7および図8は、IPM42の導通部460における電路構成を示す説明図である。図5〜図8に示すように、導通部460は、6系統の電路である接続部510,520,530,540,550,560を備え、本実施例では、これらの電路は絶縁樹脂で封止されている。図5〜図8には、IPM42に組み付けられた導通部460における各電路をZ軸方向から見た位置関係を、スリット450に収容された半導体モジュール420の配置に重ね合わせて図示した。図5〜図8には、三相の直流電力のうち一相分に対応する10個の半導体モジュール420を収容する5個のスリット450−1〜450−5に関する電路構成を図示した。スリット450−1〜450−5に続くスリット450−6〜450−10およびスリット450−11〜450〜15に関する電路構成は、スリット450−1〜450−5の電路構成と同様である。
【0040】
図5〜図8には、導通部460の中間位置465をハッチングで図示した。導通部460の中間位置465は、スリット450−2に収容された半導体モジュール420−aと半導体モジュール420−bとの中間に対応する位置である。中間位置465のX軸方向の領域は、スリット450−1とスリット450−2との中心から、スリット450−2とスリット450−3との中心までの領域であり、中間位置465のY軸方向の領域は、半導体モジュール420−aと半導体モジュール420−bとの間に挟まれた領域である。
【0041】
図5〜図8に示すように、第1のスリットであるスリット450−1に収容された二つの半導体モジュール420における二つの半導体スイッチ素子428は、コンバータ40のスイッチング素子S1として機能し、これら二つの半導体モジュール420における二つの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD4として機能する。第2のスリットであるスリット450−2に収容された二つの半導体モジュール420における二つの半導体スイッチ素子428は使用されず、これら二つの半導体モジュール420における二つの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD5として機能する。第3のスリットであるスリット450−3に収容された二つの半導体モジュール420における二つの半導体スイッチ素子428は、コンバータ40のスイッチング素子S1として機能し、これら二つの半導体モジュール420における二つの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD4として機能する。
【0042】
第4のスリットであるスリット450−4に収容された二つの半導体モジュール420における二つの半導体スイッチ素子428は使用されず、これら二つの半導体モジュール420のうち、半導体モジュール420−aの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD3として機能し、半導体モジュール420−bの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD6として機能する。第5のスリットであるスリット450−5に収容された半導体モジュール420−aの半導体スイッチ素子428は使用されず、その半導体モジュール420−aの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD2として機能する。第5のスリットであるスリット450−5に収容された半導体モジュール420−bの半導体スイッチ素子428は、コンバータ40のスイッチング素子S2として機能し、その半導体モジュール420−bの半導体ダイオード素子429は、コンバータ40のダイオードD1として機能する。
【0043】
図5に示す導通部460の接続部510は、四つのスイッチング素子S1のコレクタと、二つのダイオードD5のアノードとを中間位置465で電気的に接続する第1の接続部である。接続部510は、Y軸方向に沿った電路511,512,513と、X軸方向に沿った電路515とを備える。接続部510には、コンバータ40のリアクトルL1に接続される接続端子519が中間位置465に設けられている。
【0044】
接続部510の電路511は、スリット450−1における半導体モジュール420−aの接続端子421と、スリット450−1における半導体モジュール420−bの接続端子421との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部510の電路512は、中間位置465を通過して、スリット450−2における半導体モジュール420−aの接続端子422と、スリット450−2における半導体モジュール420−bの接続端子422との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部510の電路513は、スリット450−3における半導体モジュール420−aの接続端子421と、スリット450−3における半導体モジュール420−bの接続端子421との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部510の電路515は、中間位置465を通過して、Y軸方向に沿った三つの電路511,512,513の各中点をX軸方向に沿って電気的に接続し、電路515の中点は、中間位置465にあり、電路512の中点に一致する。中間位置465における電路515の中点には、接続端子519が電気的に接続される。
【0045】
図6に示す導通部460の接続部520は、接続部510から電気的に絶縁され、四つのスイッチング素子S1のエミッタを中間位置465で電気的に接続する第2の接続部である。接続部520は、Y軸方向に沿った電路521,523と、X軸方向に沿った電路525とを備える。
【0046】
接続部520には、コンバータ40のグランドに接地される接続端子529が中間位置465に設けられている。接続部520の電路521は、スリット450−1における半導体モジュール420−aの接続端子422と、スリット450−1における半導体モジュール420−bの接続端子422との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部520の電路523は、スリット450−3における半導体モジュール420−aの接続端子422と、スリット450−3における半導体モジュール420−bの接続端子422との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部520の電路525は、中間位置465を通過して、Y軸方向に沿った二つの電路521,523の各中点をX軸方向に沿って電気的に接続し、電路525の中点は、中間位置465にある。中間位置465における電路525の中点には、接続端子529が電気的に接続される。
【0047】
図7に示す導通部460の接続部530は、接続部510および接続部520から電気的に絶縁され、二つのダイオードD5のカソードを中間位置465で電気的に接続する第3の接続部である。接続部530は、Y軸方向に沿った電路532を備える。接続部520には、コンバータ40のコンデンサC3に接続される接続端子539が中間位置465に設けられている。
【0048】
接続部530の電路532は、スリット450−2における半導体モジュール420−aの接続端子421と、スリット450−2における半導体モジュール420−bの接続端子421との間をY軸方向に沿って電気的に接続し、電路532の中点は、中間位置465にある。中間位置465における電路532の中点には、接続端子539が電気的に接続される。
【0049】
図8に示すように、第1の接続部である接続部510は、更に、X軸方向に沿った電路516を備え、第2の接続部である接続部520は、更に、X軸方向に沿った電路526を備える。接続部510の電路516は、スリット450−4における半導体モジュール420−aの接続端子422と、接続端子519との間をX軸方向に沿って電気的に接続し、接続部520の電路526は、スリット450−4における半導体モジュール420−bの接続端子422と、接続端子529との間をX軸方向に沿って電気的に接続する。接続部510の電路516と、接続部520の電路526とは、半導体モジュール420−aと半導体モジュール420−bとの中点をX軸方向に沿って通る直線を対称軸とする線対称の関係にある。
【0050】
図8に示す導通部460の接続部540は、接続部510、接続部520および接続部530から電気的に絶縁され、ダイオードD3のカソードとダイオードD2のアノードとの間を電気的に接続する第4の接続部である。接続部540には、コンバータ40のコンデンサC2に接続される接続端子549が設けられている。接続部540は、スリット450−4における半導体モジュール420−aの接続端子421と、スリット450−5における半導体モジュール420−aの接続端子422との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。
【0051】
図8に示す導通部460の接続部550は、接続部510、接続部520、接続部530および接続部540から電気的に絶縁され、ダイオードD6のカソードとスイッチング素子S2のエミッタとの間を電気的に接続する第5の接続部である。接続部550には、コンバータ40のリアクトルL2に接続される接続端子559が設けられている。接続部550は、スリット450−4における半導体モジュール420−bの接続端子421と、スリット450−5における半導体モジュール420−bの接続端子422との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。接続部540と接続部550とは、半導体モジュール420−aと半導体モジュール420−bとの中点をX軸方向に沿って通る直線を対称軸とする線対称の関係にある。
【0052】
図8に示す導通部460の接続部560は、接続部510、接続部520、接続部530、接続部540および接続部550から電気的に絶縁され、ダイオードD6のアノードとスイッチング素子S2のコレクタとの間を電気的に接続する第6の接続部である。接続部560は、スリット450−5における半導体モジュール420−aの接続端子421と、スリット450−5における半導体モジュール420−bの接続端子421との間をY軸方向に沿って電気的に接続する。
【0053】
以上説明したIPM42によれば、四つのスイッチング素子S1のコレクタと二つのダイオードD5との間、四つのスイッチング素子S1のエミッタ同士の間、二つのダイオードD5のカソード同士の間、の各々を接続する接続部510,520,530における電路の長さを均等に配設することができる。これによって、接続部510,520,530における電路のインダクタンスを低減することができる。その結果、両面積層冷却構造のIPM42を適用したコンバータ40において、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる。
【0054】
また、四つのスイッチング素子S1とリアクトルL1との間、二つのダイオードD5とリアクトルL1との間、四つのスイッチング素子S1とグランドとの間、二つのダイオードD5とコンデンサC3との間、の各々を接続する接続部510,520,530における電路の長さを均等に配設することができる。これによって、接続部510,520,530における電路のインダクタンスを低減することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0055】
また、接続端子539に接続したコンデンサC3を、接続端子529を介してグランドに接地するため、スイッチング素子S1、ダイオードD5、コンデンサC3およびグランドで構成される電気的ループを短縮することができる。その結果、スイッチング動作に伴うスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0056】
また、スイッチング素子S1、ダイオードD3、コンデンサC2およびグランドで構成される電気的ループを短縮することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧を一層抑制することができる。
【0057】
また、導通部460における接続部510、接続部520および接続部530をそれぞれ構成する電路はX軸方向およびY軸方向で相互に並走するため、接続部510、接続部520および接続部530の各々のインダクタンスを低減することができる。その結果、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を一層抑制することができる。
【0058】
また、IPM42を実装するコンバータ40によれば、両面積層冷却構造によって半導体素子から熱を逃がす放熱性能を向上させつつ、スイッチング動作に伴うサージ電圧およびスナバ電圧を抑制することができる。その結果、コンバータ40の耐久性能を向上させることができる。
【0059】
また、コンバータ40におけるIPM42の冷却部430に対する半導体モジュール420の制御端子423の位置関係は、インバータ50における半導体モジュールの制御端子と同じ位置関係であるため、コンバータ40の回IPM42に制御端子423を介して制御基板48を組み付ける工程を、インバータ50のIPM52に制御基板58を組み付ける工程と同様に実施することができる。そのため、コンバータ40の製造工程とインバータ50の製造工程との共通化によって製造工数の低減を図ることができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【0061】
例えば、導通部460の中間位置465における接続端子519,529,539の相互の位置関係は、実施例の位置関係に限るものではなく、接続端子519,529,539の全てが中間位置465に存在するのであれば、実施例の位置関係から、X軸方向および/またはY軸方向にずれても良い。
【0062】
また、スリット450−4における半導体モジュール420−aをダイオードD6として機能させ、スリット450−4における半導体モジュール420−bをダイオードD3として機能させるように電路を形成しても良い。また、スリット450−5における半導体モジュール420−aをスイッチング素子S2として機能させ、スリット450−5における半導体モジュール420−bをダイオードD2として機能させるように電路を形成しても良い。
【符号の説明】
【0063】
10…車両
20…燃料電池
40…コンバータ
42…インテリジェントパワーモジュール(IPM)
48…制御基板
50…インバータ
52…インテリジェントパワーモジュール(IPM)
58…制御基板
60…電動モータ
91,92…車輪
410…筐体
420,420−a,420−b…半導体モジュール
421…接続端子
422…接続端子
423…制御端子
424…絶縁部
428…半導体スイッチ素子
429…半導体ダイオード素子
430…冷却部
432…冷却板
434…導入管
435…導出管
450,4501〜15…スリット
460…導通部
462…係合部
465…中間位置
510…接続部
511,512,513,515,516…電路
519…接続端子
520…接続部
521,523,525,526…電路
529…接続端子
530…接続部
532…電路
539…接続端子
540…接続部
549…接続端子
550…接続部
559…接続端子
560…接続部
C1〜C4…コンデンサ
D1〜6…ダイオード
L1,L2…リアクトル
S1,S2…スイッチング素子
T1,T2…入力端子
T3,T4…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトスイッチング方式の昇圧コンバータに実装される回路モジュールであって、
板状に半導体素子を封止した複数の半導体モジュールと、
前記複数の半導体モジュールを積層状態で収容する複数のスリットを形成し、一つの前記スリットあたり二つの前記半導体モジュールを同一面上に並べて収容可能である収容部と、
前記複数のスリットに収容された複数の半導体モジュールにおける少なくとも二つの半導体素子同士を電気的に接続する導通部と
を備え、
前記複数のスリットは、順に並ぶ第1のスリット、第2のスリットおよび第3のスリットを含み、
前記第1のスリットおよび前記第3のスリットに収容された四つの半導体モジュールにおける四つの半導体素子は、前記昇圧コンバータにおける昇圧チョッパ回路を構成する四つのスイッチング素子(S1)として機能し、
前記第2のスリットに収容された二つの半導体モジュールにおける二つの半導体素子は、前記昇圧チョッパ回路から出力される電流を整流するダイオードである二つの整流ダイオード(D5)として機能し、
前記導通部は、
前記四つのスイッチング素子(S1)のコレクタと、前記二つの整流ダイオード(D5)のアノードとを、前記第2のスリットに収容された二つの半導体モジュールの中間に対応する位置である中間位置で電気的に接続する第1の接続部と、
前記第1の接続部から電気的に絶縁され、前記四つのスイッチング素子(S1)のエミッタを前記中間位置で電気的に接続する第2の接続部と、
前記第1の接続部および前記第2の接続部から電気的に絶縁され、前記二つの整流ダイオード(D5)のカソードを前記中間位置で電気的に接続する第3の接続部と
を含む、回路モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の回路モジュールであって、
前記第1の接続部には、前記昇圧チョッパ回路を構成するリアクトル(L1)に接続される第1の端子が前記中間位置に設けられ、
前記第2の接続部には、前記昇圧コンバータのグランドに接地される第2の端子が前記中間位置に設けられ、
前記第3の接続部には、前記昇圧チョッパ回路から出力される電流のリップルを低減するコンデンサである平滑コンデンサ(C3)に接続される第3の端子が前記中間位置に設けられた、回路モジュール。
【請求項3】
前記第3の端子に接続した平滑コンデンサ(C3)を、前記第2の端子を介して前記グランドに接地した請求項2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路モジュールであって、
前記複数のスリットは、前記第3のスリットに続いて並ぶ第4のスリットおよび第5のスリットを含み、
前記第4のスリットに収容された少なくとも一つの半導体モジュールにおける半導体素子は、前記昇圧チョッパ回路のスイッチング損失を低減するソフトスイッチング回路におけるスナバ回路を構成するダイオードであるスナバダイオード(D3)として機能し、
前記第5のスリットに収容された少なくとも一つの半導体モジュールにおける半導体素子は、前記ソフトスイッチング回路において前記昇圧チョッパ回路へと電力を回生する電路に設けられたダイオードである回生ダイオード(D2)として機能し、
前記導通部は、更に、前記第1の接続部、前記第2の接続部および前記第3の接続部から電気的に絶縁され、前記スナバダイオード(D3)のカソードと、前記回生ダイオード(D2)のアノードとを電気的に接続する第4の接続部を含み、
前記第4の接続部には、前記ソフトスイッチング回路における共振回路を構成するコンデンサである共振コンデンサ(C2)に接続される第4の端子が設けられた、回路モジュール。
【請求項5】
前記第1の接続部、前記第2の接続部および前記第3の接続部における電路の各々は相互に並走する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記収容部は、前記スリットに収容された半導体モジュールの両面を冷却する冷却部である請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の回路モジュールを備える昇圧コンバータ。
【請求項8】
請求項7に記載の昇圧コンバータを搭載した車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両であって、
前記昇圧コンバータの前記収容部を構成する部品は、前記昇圧コンバータと共に搭載されるハードスイッチ方式のインバータと共通する部品であり、
前記昇圧コンバータの前記半導体モジュールは、該半導体モジュールに封止された半導体素子を制御する制御端子を含み、
前記昇圧コンバータにおける前記収容部に対する前記制御端子の位置関係は、前記インバータにおける半導体モジュールの制御端子と同じ位置関係である、回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244640(P2011−244640A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116212(P2010−116212)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】