回路基板の接地構造及びこれを用いた電子機器
【課題】コネクタ接続される回路基板を接地するための板バネ等の部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することが可能な回路基板の接地構造を提供する。
【解決手段】接地される導体を有する回路基板21と、前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板32と、前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体29と、前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部341と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部342とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材34とを備える。
【解決手段】接地される導体を有する回路基板21と、前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板32と、前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体29と、前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部341と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部342とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材34とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路基板の接地構造及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置等の電子機器においては、制御回路や電源回路等が実装された回路基板を装置本体に装着するにあたり、回路基板の装着方向の先端部にコネクタを設け、当該回路基板をコネクタを介して装置本体側に設けられた装着用基板に装着しつつ電気的に接続するように構成されている。その際、上記回路基板は、外部或いは内部からの電磁波ノイズの影響を低減するため、回路基板に設けられた板金シールドが装置本体側の接地された筐体に電気的に接続されている。
【0003】
このように、回路基板に設けられた板金シールドを装置本体側の接地された筐体に電気的に接続するための技術としては、例えば、特開2004−148585号公報や特開2008−153663号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0004】
上記特開2001−148585号公報に係る回路基板が挿入される装置は、挿入される回路基板との電気的接続を行うコネクタを備える装置において、回路基板の挿入奥部に、当該挿入される回路基板を受け止める規制部材を設け、前記規制部材には、回路基板を受け止めた状態で回路基板の所定位置に設けられた電極と接続して当該電極を接地させる接地導体が備えられるように構成したものである。
【0005】
また、上記特開2008−153663号公報に係る電子機器は、装置本体と、プリント基板上に電子回路部品が搭載された基板アッセンブリを収容するための開口部を具備し、フレームグランドがとられるようにして前記装置本体に取り付けられた、複数枚の基板アッセンブリを着脱可能な基板収納筐体と、前記基板収納筐体に収容された1枚もしくは複数枚の基板アッセンブリとを備え、前記プリント基板の基板グランドは、前記基板収納筐体のフレームグランドと、第1の機構的な接触手段を介して電気的に接続されるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−148585号公報
【特許文献2】特開2008−153663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、コネクタ接続される回路基板を接地するための板バネ等の部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することが可能な回路基板の接地構造及びこれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、接地される導体を有する回路基板と、
前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板と、
前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体と、
前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材と
を備えたことを特徴とする回路基板の接地構造である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記接地用導電部材は、板状のバネ材料から一体的に形成されており、前記被保持部は、一端部が開口した断面矩形状に形成されているとともに、前記弾性変形部は、前記被保持部の開口端側の対向する一対の辺を前記接地導体に向けて先端が広がるように一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の接地構造である。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記接地用導電部材は、前記装着用基板又は前記隣接基板に設けられた開口部の端縁に突き当たることにより脱落するのを防止する脱落防止用凸片を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の接地構造である。
【0011】
又、請求項4に記載された発明は、前記接地導体は、前記回路基板及び前記装着用基板が収容される金属製の収容箱であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板の接地構造である。
【0012】
更に、請求項5に記載された発明は、画像形成装置を制御する制御回路が実装された回路基板を備え、
前記回路基板の接地構造として、請求項1乃至4のいずれかに記載された回路基板の接地構造を採用したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、回路基板から放射される電磁波ノイズを遮蔽するための板バネ等からなる接地用導電部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することができる。
【0014】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材の構成を簡略化することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材が誤って脱落するのを防止することができる。
【0016】
又、請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材の接地を確実に行うことができる。
【0017】
更に、請求項5に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置の組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を適用した機器としての画像形成装置を示す全体構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す分解斜視図である。
【図9】板バネ部材を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す拡大構成図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す拡大構成図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【図15】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【図16】比較例に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図17】比較例に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を適用した電子機器としての電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。なお、この発明に係る回路基板の接地構造を適用し得る電子機器としては、画像形成装置に限らず、画像読取装置、画像処理装置、パーソナルコンピュータなど、回路基板を用いた電子機器を広く含むことは勿論である。
【0021】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1内の上部には、原稿の画像を読み取る画像読取装置2が配置されている。この画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データや、図示しないパーソナルコンピュータあるいは図示しない通信回線を介して送られてくる画像データは、画像処置装置3によって予め定められた画像処理が施される。
【0022】
また、上記画像形成装置本体1の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した画像形成部としての画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kが並列的に配置されている。これらの4つの画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kは、基本的に形成する画像の色以外は同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム5と、この感光体ドラム5の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン6と、当該感光体ドラム5の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像露光装置7と、感光体ドラム5上に形成された静電潜像を対応する色のトナーによって現像する現像装置8と、感光体ドラム5の表面に残留したトナー等を清掃するクリーニング装置9とを備えている。
【0023】
上記画像処理装置3からは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置8Y、8M、8C、8Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0024】
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に多重に一次転写された後、中間転写ベルト10から記録用紙11上に一括して二次転写され、定着装置12によって定着処理が施されて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成された記録用紙11が出力される。
【0025】
ところで、この実施の形態に係る画像形成装置本体1の内部は、図2に示すように、当該画像形成装置の動作を制御する主電装回路基板としてのコントロール基板21や、画像形成装置の各部に予め定められた直流や交流の電圧を供給する副電装回路基板としての電源回路基板22などからなる電装回路基板ユニット23が配置されている。
【0026】
上記コントロール基板21及び電源回路基板22は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の予め定められた位置に配置された比較的高さの低い直方体形状の金属製の収納箱体24の内部に収容されている。この収納箱体24は、アルミニウムやステンレス等の金属からなる。また、上記収納箱体24は、図示しない画像形成装置本体1の本体フレームなどに固定及び電気的な接続を兼ねてボルトやネジ等によって固定されており、アースに接続された本体フレームを介して接地され、コントロール基板21及び電源回路基板22を外部からの電磁波ノイズ及び外部への電磁波ノイズから遮蔽するように構成されている。
【0027】
また、上記コントロール基板21は、図3乃至図7に示すように、例えば、図示しないCPUやROM、あるいはRAM、更にはハードディスク等の電子回路部品が実装されたプリント配線基板から構成されている。また、上記コントロール基板21には、図3及び図4に示すように、当該コントロール基板21を収納箱体24側に装着するための複数のコネクタ部材25が固定した状態で取り付けられているとともに、コントロール基板21を他の回路基板と接続するための複数のソケット部材27、28などが固定した状態で取り付けられている。なお、ここでは、コントロール基板21の構成について説明するが、電源回路基板22などの他の副電装回路基板も同様に構成されているものである。
【0028】
さらに、上記コントローラ基板21には、図3及び図6に示すように、当該コントローラ基板21を電磁波ノイズから遮蔽する接地される導体としての基板シャーシ29が略平行に配置されている。この基板シャーシ29は、アルミニウムやステンレス等の金属板によってコントローラ基板21と略同じ大きさに形成されており、合成樹脂等からなる間隙部材30を介してネジ止め30a(図6参照)等の手段によってコントローラ基板21に一体的に取り付けられている。また、上記基板シャーシ29のコネクタ部材25側に位置する一端縁には、図6に示すように、コントローラ基板21の表面側に向けて略L字形状に折り曲げた接地部31、31が、コネクタ部材25の近傍に位置するように複数設けられている。
【0029】
また、上記収容箱体24のコントローラ基板21の装着方向に沿った奥部には、図3、図6、図7に示すように、コントローラ基板21及び電源回路基板22を装着するための装着用基板としてのバックプレーン基板32が配置されている。このバックプレーン基板32には、コントローラ基板21及び電源回路基板22に取り付けられたコネクタ部材を装着するとともに電気的に接続するためのコネクタ受け部材33が設けられている。
【0030】
このバックプレーン基板32には、図8に示すように、コントローラ基板21及び電源回路基板22を収容箱体24にコネクタ部材25を介して装着することによって、コントローラ基板21の基板シャーシ29を接地された収容箱体24に電気的に接続することによって接地するための接地用導電部材としての板バネ部材34が装着されるように構成されている。そのため、上記バックプレーン基板32には、基板シャーシ29の接地部31に対応した位置に、板バネ部材34をコントローラ基板21の着脱方向に沿って移動可能に保持するための矩形状の開口部35が、基板シャーシ29の接地部31に対応した数だけ開口されている。上記開口部35は、板バネ部材34の保持部の平面形状に対応した矩形状に形成されている。
【0031】
なお、上記開口部35は、板バネ部材34をコントローラ基板21の着脱方向に沿って移動可能に保持するものであれば、その形状及び寸法は、任意である。また、図8では、便宜上、開口部35が図中の縦方向に沿って長く形成した状態で図示されているが、開口部35は、図中の横方向に沿って長く形成した状態で設けても勿論良い。
【0032】
上記板バネ部材34は、図9に示すように、大別して、当該板バネ部材34をバックプレーン基板32の着脱方向に沿って移動可能に保持されるための先端部側に位置する被保持部341と、端部が収容箱体24の奥側の側壁24aに接触して突き当たることで弾性変形する弾性変形部342とから構成されている。
【0033】
この板バネ部材34は、図9(a)〜(d)に示すように、例えば、バネ性及び導電性を有するステンレス等の金属からなる比較的薄肉の板状部材を、プレス加工等によって予め定められた形状に打ち抜き加工するとともに、当該金属製の板状部材を予め定められた形状に折り曲げ加工することによって形成されている。
【0034】
上記板バネ部材34の被保持部341は、図9(a)に示すように、その先端面343がバックプレーン基板32の開口部35に対応し、且つ当該開口部35よりも僅かに小さい矩形状に形成され、当該先端面343の周囲に位置する4つの側壁344、345、346、347を略直交する方向に折り曲げて基端部側に開口部348が設けられた断面矩形状ないし直方体形状に形成されている。なお、図9(a)中、349は被保持部341の先端面343に設けられた板バネ部材34を加工するための小孔を示している。
【0035】
また、上記被保持部341の相対的に短い辺に位置する第1の側壁対346、347は、図9(a)に示すように、板バネ部材34の基端部側へ向けて、他方の相対的に長い辺に位置する第2の側壁対344、345よりも長く平板状に形成されており、当該第1の側壁対346、347の基端部346a、347aは、図9(b)に示すように、外側に向けて短くL字形状に折り曲げられている。これらの第1の側壁対346、347の基端部346a、347aは、図11に示すように、バックプレーン基板32の開口部35の裏面に突き当たることにより、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から突き出るのを防止している。
【0036】
さらに、上記第1の側壁対346、347の先端近傍には、図9(b)に示すように、小さな抜け止め片346b、347bが、被保持部341の基端部に向けて斜めに傾斜した状態で短く折り曲げた状態で打ち抜きによって形成されている。この抜け止め片346b、347bは、図10に示すように、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から裏面側に抜け出るのを防止している。これらの抜け止め片346b、347bは、上述した第1の側壁対346、347の基端部346a、347aよりも突出量が小さく設定されており、板バネ部材34の被保持部341をバックプレーン基板32の開口部35に挿入する際に、抜け止め片346b、347bが弾性変形することにより、バックプレーン基板32の開口部35に比較的容易に挿入可能となっているとともに、被保持部341をバックプレーン基板32の開口部35に圧入した際でも、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から突き出るのを基端部346a、347aによって確実に防止している。
【0037】
さらに、上記被保持部341の相対的に長い辺に位置する第2の側壁対344、345は、図9(a)に示すように、第1の側壁対346、347よりも相対的に短く形成されており、当該第1の側壁対346、347の基端部には、弾性変形部342が折り曲げた状態で一体的に延長した状態で形成されている。この弾性変形部342は、第1の側壁対346、347の基端部がそれぞれスリット350、351を介して長手方向と交差する幅方向に沿って片側がそれぞれ2つの弾性片352、353と弾性片354、355とに分割されており、当該弾性片352、353と、弾性片354、355は、基端部に向けて互いに略ハの字形状に離間するように折り曲げられている。そして、これらの片側2つずつの弾性片352、353と弾性片354、355が弾性変形部342を構成している。また、上記弾性片352、353及び弾性片354、355の基端部352a、353a及び354a、355aは、図9(c)に示すように、外側へ向けて湾曲した状態で折り曲げられており、図4及び図5に示すように、当該弾性変形部342の基端部がある程度の接触面積を確保しつつ、収容箱体24の内面に接触するように構成されている。
【0038】
なお、上記弾性変形部の数342は、片側2つに限定されるものではなく、片側1つであっても良いし、片側3つ以上に分割して設けても良い。また、弾性変形部342を全長にわたってスリット350、351を介して2つに分割せずに、当該弾性変形部342の基端部のみを複数に分割するように構成しても良い。
【0039】
また、上記板バネ部材34は、図12に示すように、その全長がバックプレーン基板32と収容箱体24の内面との間隙Lよりも長く設定されており、板バネ部材34がバックプレーン基板32に装着された状態では、板バネ部材34の保持部341がバックプレーン基板32の表面側(収容箱体24の内部側)に突出するように構成されている。
【0040】
さらに、上記板バネ部材34は、図4及び図5に示すように、コントローラ基板21をバックプレーン基板32の予め定められた位置にコネクタ部材を介して装着した状態では、弾性変形部342が撓んだ状態で弾性変形し、当該弾性変形部342が有するバネ定数に応じた反発力によって収容箱体24の内面と基板シャーシ29の接続部31とに圧接するように構成されている。上記板バネ部材34は、かかる条件を満たすように、その幅や長さ等が設定されている。
【0041】
また、図6中、符号、41はコントローラ基板21の収容箱体24の開口部側に設けられた把持部を示しており、コントローラ基板21を収容箱体24内の予め定められた位置に着脱する際に、当該把持部41を手で持って着脱操作を行うようになっている。
【0042】
さらに、収容箱体24には、コントローラ基板21を案内する案内部材42が設けられており、コントローラ基板21は、把持部41を手で持って収容箱体24内の予め定められた位置に装着する際に、案内部材42によって案内されて、コントローラ基板21のコネクタ部材25と収容箱体24のバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33とが結合される。
【0043】
なお、収容箱体24の手前側の開口部は、図示しない金属製の蓋体によって覆われ、外部からの電磁波ノイズ等から保護されている。
【0044】
以上の構成において、この実施の形態に係る回路基板の接地構造を適用した画像形成装置では、次のようにして、コネクタ接続される回路基板を接地するための板バネ等の部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することが可能となっている。
【0045】
すなわち、上記画像形成装置では、図2に示すように、サービスエンジニアによってメンテナンスやコントローラ基板21へのメモリの増設作業などが行なわれる際に、画像形成装置本体1の図示しない外部カバー及び内部のフレームカバー等を開いて、コントロール基板21及び電源回路基板22が収納された収納箱体24を露出させ、当該収納箱体24の内部からコントロール基板21等を取り出す作業が行なわれる。
【0046】
上記コントロール基板21は、図6に示すように、その手前側に設けられた把持部を手で持って手前側に引き出すことにより、コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33との結合が解除されて、収納箱体24から取り出される。
【0047】
その際、上記コントロール基板21の基板シャーシ29は、図 に示すように、その接続部が板バネ部材34を介して収納箱体24の内面に圧接しているが、コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33との結合が解除されると、板バネ部材34の被保持部341から基板シャーシ29の接続部が離間する。すると、板バネ部材34は、弾性変形部342の弾性復元力によってバックプレーン基板32の表面側に被保持部341の先端部が突出した状態となる。その際、上記板バネ部材34には、第1の側壁対346、347の基端部346a、347aが外側に折り曲げられているので、バックプレーン基板32の表面側に突き出ることはない。
【0048】
その後、上記画像形成装置本体1の収納箱体24から取り出されたコントロール基板21は、必要に応じて、メンテナンスや部品の交換、あるいはメモリの増設等が行われ、取り出す際と反対の工程で画像形成装置本体1の収納箱体24に装着される。
【0049】
上記コントロール基板21は、収納箱体24の案内部材によって案内されて奥側へ移動し、当該コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33とが結合されて、コントロール基板21がバックプレーン基板32の予め定められた位置にコネクタ部材25を介して装着されるとともに、コントロール基板21とバックプレーン基板32とが電気的に接続される。
【0050】
その際、上記のごとくコネクタ部材25を介して互いに接続されるコントロール基板21とバックプレーン基板32の間からは、バックプレーン基板32からコントロール基板21に供給されるビデオクロックなどの高周波電流のリターン電流の影響によって、電磁波ノイズ(放射ノイズ)が発生する場合があることが本発明者等の研究によって明らかとなっている。
【0051】
そのため、上記コネクタ接続されるコントロール基板21とバックプレーン基板32間から発生する電磁波ノイズ(放射ノイズ)の影響を抑制するために、コネクタ部材25の近傍においてコントロール基板21の基板シャーシ29を接地することが望ましい。
【0052】
この実施の形態では、図 に示すように、コントロール基板21のコネクタ部材25の近傍に、基板シャーシ29の一部31をバックプレーン基板32を通して収納箱体24に接続して接地するための板バネ部材34が設けられている。そのため、上記コントロール基板21は、コネクタ部材25の近傍において、基板シャーシ29の一部31がバックプレーン基板32を通して板バネ部材34により接地された収納箱体24に電気的に接続され、電磁波ノイズ(放射ノイズ)の影響が抑制されている。
【0053】
しかも、上記板バネ部材34は、図 に示すように、バックプレーン基板32の表面側に被保持部341の先端部が露出しているのみであるため、誤って手が保持部341の先端部に接触しても何ら支障はなく、コントロール基板21や基板シャーシ29の一部が誤って板バネ部材34に接触しても、板バネ部材34が変形したり、変形した板バネ部材34が他の電気部品に誤って接触して誤動作が生じたりすることがなく、作業性に優れたものとなっている。
【0054】
また、上記板バネ部材34は、図4及び図5に示すように、コネクタ部材25を介してコントロール基板21とバックプレーン基板32とを接続することにより、コントロール基板21の基板シャーシ29の一部31によって押されて、弾性変形部342が収納箱体24の内面に圧接し、基板シャーシ29を確実に接地することができる。
【0055】
なお、コントロール基板21の接地すべき導体は、基板シャーシ29に限らず、コントロール基板21に設けられた接地すべき導体そのものであっても勿論良い。
【0056】
比較例
図16及び図17はこの発明の比較例を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この比較例は、コントロール基板21の基板シャーシの一部が、バックプレーン基板32の表面側にネジ402止めされた湾曲形状の板バネ410を介して接地されるように構成したものである。なお、板バネ410は、バックプレーン基板32の裏面側に設けられた図示しない他の部材を介して収納箱体24の内面に接続されている。
【0057】
この比較例の場合には、図16及び図17に示すように、板バネ401がバックプレーン基板32の表面側に直接露出しているため、誤って手が板バネ401に接触する虞れがあるばかりか、コントロール基板21や基板シャーシ29の一部が誤って板バネ401に接触すると、板バネ401が変形したり、変形した板バネ401が他の電気部品に誤って接触して誤動作が生じたりする虞れがある。
【符号の説明】
【0058】
21:コントロール基板、24:収納箱体(接地導体)、29:基板シャーシ(接地される導体)、32:バックプレーン基板(装着用基板)、34:板バネ部材(接地用導電部材)、341:被保持部、342:弾性変形部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路基板の接地構造及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置等の電子機器においては、制御回路や電源回路等が実装された回路基板を装置本体に装着するにあたり、回路基板の装着方向の先端部にコネクタを設け、当該回路基板をコネクタを介して装置本体側に設けられた装着用基板に装着しつつ電気的に接続するように構成されている。その際、上記回路基板は、外部或いは内部からの電磁波ノイズの影響を低減するため、回路基板に設けられた板金シールドが装置本体側の接地された筐体に電気的に接続されている。
【0003】
このように、回路基板に設けられた板金シールドを装置本体側の接地された筐体に電気的に接続するための技術としては、例えば、特開2004−148585号公報や特開2008−153663号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0004】
上記特開2001−148585号公報に係る回路基板が挿入される装置は、挿入される回路基板との電気的接続を行うコネクタを備える装置において、回路基板の挿入奥部に、当該挿入される回路基板を受け止める規制部材を設け、前記規制部材には、回路基板を受け止めた状態で回路基板の所定位置に設けられた電極と接続して当該電極を接地させる接地導体が備えられるように構成したものである。
【0005】
また、上記特開2008−153663号公報に係る電子機器は、装置本体と、プリント基板上に電子回路部品が搭載された基板アッセンブリを収容するための開口部を具備し、フレームグランドがとられるようにして前記装置本体に取り付けられた、複数枚の基板アッセンブリを着脱可能な基板収納筐体と、前記基板収納筐体に収容された1枚もしくは複数枚の基板アッセンブリとを備え、前記プリント基板の基板グランドは、前記基板収納筐体のフレームグランドと、第1の機構的な接触手段を介して電気的に接続されるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−148585号公報
【特許文献2】特開2008−153663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、コネクタ接続される回路基板を接地するための板バネ等の部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することが可能な回路基板の接地構造及びこれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、接地される導体を有する回路基板と、
前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板と、
前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体と、
前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材と
を備えたことを特徴とする回路基板の接地構造である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記接地用導電部材は、板状のバネ材料から一体的に形成されており、前記被保持部は、一端部が開口した断面矩形状に形成されているとともに、前記弾性変形部は、前記被保持部の開口端側の対向する一対の辺を前記接地導体に向けて先端が広がるように一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の接地構造である。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記接地用導電部材は、前記装着用基板又は前記隣接基板に設けられた開口部の端縁に突き当たることにより脱落するのを防止する脱落防止用凸片を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の接地構造である。
【0011】
又、請求項4に記載された発明は、前記接地導体は、前記回路基板及び前記装着用基板が収容される金属製の収容箱であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板の接地構造である。
【0012】
更に、請求項5に記載された発明は、画像形成装置を制御する制御回路が実装された回路基板を備え、
前記回路基板の接地構造として、請求項1乃至4のいずれかに記載された回路基板の接地構造を採用したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、回路基板から放射される電磁波ノイズを遮蔽するための板バネ等からなる接地用導電部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することができる。
【0014】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材の構成を簡略化することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材が誤って脱落するのを防止することができる。
【0016】
又、請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接地用導電部材の接地を確実に行うことができる。
【0017】
更に、請求項5に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置の組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を適用した機器としての画像形成装置を示す全体構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す斜視構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を示す分解斜視図である。
【図9】板バネ部材を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す拡大構成図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造の要部を示す拡大構成図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【図15】この発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【図16】比較例に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す構成図である。
【図17】比較例に係る回路基板の接地構造のコントローラ基板を取り外した状態を示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る回路基板の接地構造を適用した電子機器としての電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。なお、この発明に係る回路基板の接地構造を適用し得る電子機器としては、画像形成装置に限らず、画像読取装置、画像処理装置、パーソナルコンピュータなど、回路基板を用いた電子機器を広く含むことは勿論である。
【0021】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1内の上部には、原稿の画像を読み取る画像読取装置2が配置されている。この画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データや、図示しないパーソナルコンピュータあるいは図示しない通信回線を介して送られてくる画像データは、画像処置装置3によって予め定められた画像処理が施される。
【0022】
また、上記画像形成装置本体1の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した画像形成部としての画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kが並列的に配置されている。これらの4つの画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kは、基本的に形成する画像の色以外は同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム5と、この感光体ドラム5の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン6と、当該感光体ドラム5の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像露光装置7と、感光体ドラム5上に形成された静電潜像を対応する色のトナーによって現像する現像装置8と、感光体ドラム5の表面に残留したトナー等を清掃するクリーニング装置9とを備えている。
【0023】
上記画像処理装置3からは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置8Y、8M、8C、8Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0024】
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に多重に一次転写された後、中間転写ベルト10から記録用紙11上に一括して二次転写され、定着装置12によって定着処理が施されて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成された記録用紙11が出力される。
【0025】
ところで、この実施の形態に係る画像形成装置本体1の内部は、図2に示すように、当該画像形成装置の動作を制御する主電装回路基板としてのコントロール基板21や、画像形成装置の各部に予め定められた直流や交流の電圧を供給する副電装回路基板としての電源回路基板22などからなる電装回路基板ユニット23が配置されている。
【0026】
上記コントロール基板21及び電源回路基板22は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の予め定められた位置に配置された比較的高さの低い直方体形状の金属製の収納箱体24の内部に収容されている。この収納箱体24は、アルミニウムやステンレス等の金属からなる。また、上記収納箱体24は、図示しない画像形成装置本体1の本体フレームなどに固定及び電気的な接続を兼ねてボルトやネジ等によって固定されており、アースに接続された本体フレームを介して接地され、コントロール基板21及び電源回路基板22を外部からの電磁波ノイズ及び外部への電磁波ノイズから遮蔽するように構成されている。
【0027】
また、上記コントロール基板21は、図3乃至図7に示すように、例えば、図示しないCPUやROM、あるいはRAM、更にはハードディスク等の電子回路部品が実装されたプリント配線基板から構成されている。また、上記コントロール基板21には、図3及び図4に示すように、当該コントロール基板21を収納箱体24側に装着するための複数のコネクタ部材25が固定した状態で取り付けられているとともに、コントロール基板21を他の回路基板と接続するための複数のソケット部材27、28などが固定した状態で取り付けられている。なお、ここでは、コントロール基板21の構成について説明するが、電源回路基板22などの他の副電装回路基板も同様に構成されているものである。
【0028】
さらに、上記コントローラ基板21には、図3及び図6に示すように、当該コントローラ基板21を電磁波ノイズから遮蔽する接地される導体としての基板シャーシ29が略平行に配置されている。この基板シャーシ29は、アルミニウムやステンレス等の金属板によってコントローラ基板21と略同じ大きさに形成されており、合成樹脂等からなる間隙部材30を介してネジ止め30a(図6参照)等の手段によってコントローラ基板21に一体的に取り付けられている。また、上記基板シャーシ29のコネクタ部材25側に位置する一端縁には、図6に示すように、コントローラ基板21の表面側に向けて略L字形状に折り曲げた接地部31、31が、コネクタ部材25の近傍に位置するように複数設けられている。
【0029】
また、上記収容箱体24のコントローラ基板21の装着方向に沿った奥部には、図3、図6、図7に示すように、コントローラ基板21及び電源回路基板22を装着するための装着用基板としてのバックプレーン基板32が配置されている。このバックプレーン基板32には、コントローラ基板21及び電源回路基板22に取り付けられたコネクタ部材を装着するとともに電気的に接続するためのコネクタ受け部材33が設けられている。
【0030】
このバックプレーン基板32には、図8に示すように、コントローラ基板21及び電源回路基板22を収容箱体24にコネクタ部材25を介して装着することによって、コントローラ基板21の基板シャーシ29を接地された収容箱体24に電気的に接続することによって接地するための接地用導電部材としての板バネ部材34が装着されるように構成されている。そのため、上記バックプレーン基板32には、基板シャーシ29の接地部31に対応した位置に、板バネ部材34をコントローラ基板21の着脱方向に沿って移動可能に保持するための矩形状の開口部35が、基板シャーシ29の接地部31に対応した数だけ開口されている。上記開口部35は、板バネ部材34の保持部の平面形状に対応した矩形状に形成されている。
【0031】
なお、上記開口部35は、板バネ部材34をコントローラ基板21の着脱方向に沿って移動可能に保持するものであれば、その形状及び寸法は、任意である。また、図8では、便宜上、開口部35が図中の縦方向に沿って長く形成した状態で図示されているが、開口部35は、図中の横方向に沿って長く形成した状態で設けても勿論良い。
【0032】
上記板バネ部材34は、図9に示すように、大別して、当該板バネ部材34をバックプレーン基板32の着脱方向に沿って移動可能に保持されるための先端部側に位置する被保持部341と、端部が収容箱体24の奥側の側壁24aに接触して突き当たることで弾性変形する弾性変形部342とから構成されている。
【0033】
この板バネ部材34は、図9(a)〜(d)に示すように、例えば、バネ性及び導電性を有するステンレス等の金属からなる比較的薄肉の板状部材を、プレス加工等によって予め定められた形状に打ち抜き加工するとともに、当該金属製の板状部材を予め定められた形状に折り曲げ加工することによって形成されている。
【0034】
上記板バネ部材34の被保持部341は、図9(a)に示すように、その先端面343がバックプレーン基板32の開口部35に対応し、且つ当該開口部35よりも僅かに小さい矩形状に形成され、当該先端面343の周囲に位置する4つの側壁344、345、346、347を略直交する方向に折り曲げて基端部側に開口部348が設けられた断面矩形状ないし直方体形状に形成されている。なお、図9(a)中、349は被保持部341の先端面343に設けられた板バネ部材34を加工するための小孔を示している。
【0035】
また、上記被保持部341の相対的に短い辺に位置する第1の側壁対346、347は、図9(a)に示すように、板バネ部材34の基端部側へ向けて、他方の相対的に長い辺に位置する第2の側壁対344、345よりも長く平板状に形成されており、当該第1の側壁対346、347の基端部346a、347aは、図9(b)に示すように、外側に向けて短くL字形状に折り曲げられている。これらの第1の側壁対346、347の基端部346a、347aは、図11に示すように、バックプレーン基板32の開口部35の裏面に突き当たることにより、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から突き出るのを防止している。
【0036】
さらに、上記第1の側壁対346、347の先端近傍には、図9(b)に示すように、小さな抜け止め片346b、347bが、被保持部341の基端部に向けて斜めに傾斜した状態で短く折り曲げた状態で打ち抜きによって形成されている。この抜け止め片346b、347bは、図10に示すように、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から裏面側に抜け出るのを防止している。これらの抜け止め片346b、347bは、上述した第1の側壁対346、347の基端部346a、347aよりも突出量が小さく設定されており、板バネ部材34の被保持部341をバックプレーン基板32の開口部35に挿入する際に、抜け止め片346b、347bが弾性変形することにより、バックプレーン基板32の開口部35に比較的容易に挿入可能となっているとともに、被保持部341をバックプレーン基板32の開口部35に圧入した際でも、被保持部341がバックプレーン基板32の開口部35から突き出るのを基端部346a、347aによって確実に防止している。
【0037】
さらに、上記被保持部341の相対的に長い辺に位置する第2の側壁対344、345は、図9(a)に示すように、第1の側壁対346、347よりも相対的に短く形成されており、当該第1の側壁対346、347の基端部には、弾性変形部342が折り曲げた状態で一体的に延長した状態で形成されている。この弾性変形部342は、第1の側壁対346、347の基端部がそれぞれスリット350、351を介して長手方向と交差する幅方向に沿って片側がそれぞれ2つの弾性片352、353と弾性片354、355とに分割されており、当該弾性片352、353と、弾性片354、355は、基端部に向けて互いに略ハの字形状に離間するように折り曲げられている。そして、これらの片側2つずつの弾性片352、353と弾性片354、355が弾性変形部342を構成している。また、上記弾性片352、353及び弾性片354、355の基端部352a、353a及び354a、355aは、図9(c)に示すように、外側へ向けて湾曲した状態で折り曲げられており、図4及び図5に示すように、当該弾性変形部342の基端部がある程度の接触面積を確保しつつ、収容箱体24の内面に接触するように構成されている。
【0038】
なお、上記弾性変形部の数342は、片側2つに限定されるものではなく、片側1つであっても良いし、片側3つ以上に分割して設けても良い。また、弾性変形部342を全長にわたってスリット350、351を介して2つに分割せずに、当該弾性変形部342の基端部のみを複数に分割するように構成しても良い。
【0039】
また、上記板バネ部材34は、図12に示すように、その全長がバックプレーン基板32と収容箱体24の内面との間隙Lよりも長く設定されており、板バネ部材34がバックプレーン基板32に装着された状態では、板バネ部材34の保持部341がバックプレーン基板32の表面側(収容箱体24の内部側)に突出するように構成されている。
【0040】
さらに、上記板バネ部材34は、図4及び図5に示すように、コントローラ基板21をバックプレーン基板32の予め定められた位置にコネクタ部材を介して装着した状態では、弾性変形部342が撓んだ状態で弾性変形し、当該弾性変形部342が有するバネ定数に応じた反発力によって収容箱体24の内面と基板シャーシ29の接続部31とに圧接するように構成されている。上記板バネ部材34は、かかる条件を満たすように、その幅や長さ等が設定されている。
【0041】
また、図6中、符号、41はコントローラ基板21の収容箱体24の開口部側に設けられた把持部を示しており、コントローラ基板21を収容箱体24内の予め定められた位置に着脱する際に、当該把持部41を手で持って着脱操作を行うようになっている。
【0042】
さらに、収容箱体24には、コントローラ基板21を案内する案内部材42が設けられており、コントローラ基板21は、把持部41を手で持って収容箱体24内の予め定められた位置に装着する際に、案内部材42によって案内されて、コントローラ基板21のコネクタ部材25と収容箱体24のバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33とが結合される。
【0043】
なお、収容箱体24の手前側の開口部は、図示しない金属製の蓋体によって覆われ、外部からの電磁波ノイズ等から保護されている。
【0044】
以上の構成において、この実施の形態に係る回路基板の接地構造を適用した画像形成装置では、次のようにして、コネクタ接続される回路基板を接地するための板バネ等の部材が回路基板側に露出することに起因した弊害を回避することが可能となっている。
【0045】
すなわち、上記画像形成装置では、図2に示すように、サービスエンジニアによってメンテナンスやコントローラ基板21へのメモリの増設作業などが行なわれる際に、画像形成装置本体1の図示しない外部カバー及び内部のフレームカバー等を開いて、コントロール基板21及び電源回路基板22が収納された収納箱体24を露出させ、当該収納箱体24の内部からコントロール基板21等を取り出す作業が行なわれる。
【0046】
上記コントロール基板21は、図6に示すように、その手前側に設けられた把持部を手で持って手前側に引き出すことにより、コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33との結合が解除されて、収納箱体24から取り出される。
【0047】
その際、上記コントロール基板21の基板シャーシ29は、図 に示すように、その接続部が板バネ部材34を介して収納箱体24の内面に圧接しているが、コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33との結合が解除されると、板バネ部材34の被保持部341から基板シャーシ29の接続部が離間する。すると、板バネ部材34は、弾性変形部342の弾性復元力によってバックプレーン基板32の表面側に被保持部341の先端部が突出した状態となる。その際、上記板バネ部材34には、第1の側壁対346、347の基端部346a、347aが外側に折り曲げられているので、バックプレーン基板32の表面側に突き出ることはない。
【0048】
その後、上記画像形成装置本体1の収納箱体24から取り出されたコントロール基板21は、必要に応じて、メンテナンスや部品の交換、あるいはメモリの増設等が行われ、取り出す際と反対の工程で画像形成装置本体1の収納箱体24に装着される。
【0049】
上記コントロール基板21は、収納箱体24の案内部材によって案内されて奥側へ移動し、当該コントロール基板21のコネクタ部材25とバックプレーン基板32のコネクタ受け部材33とが結合されて、コントロール基板21がバックプレーン基板32の予め定められた位置にコネクタ部材25を介して装着されるとともに、コントロール基板21とバックプレーン基板32とが電気的に接続される。
【0050】
その際、上記のごとくコネクタ部材25を介して互いに接続されるコントロール基板21とバックプレーン基板32の間からは、バックプレーン基板32からコントロール基板21に供給されるビデオクロックなどの高周波電流のリターン電流の影響によって、電磁波ノイズ(放射ノイズ)が発生する場合があることが本発明者等の研究によって明らかとなっている。
【0051】
そのため、上記コネクタ接続されるコントロール基板21とバックプレーン基板32間から発生する電磁波ノイズ(放射ノイズ)の影響を抑制するために、コネクタ部材25の近傍においてコントロール基板21の基板シャーシ29を接地することが望ましい。
【0052】
この実施の形態では、図 に示すように、コントロール基板21のコネクタ部材25の近傍に、基板シャーシ29の一部31をバックプレーン基板32を通して収納箱体24に接続して接地するための板バネ部材34が設けられている。そのため、上記コントロール基板21は、コネクタ部材25の近傍において、基板シャーシ29の一部31がバックプレーン基板32を通して板バネ部材34により接地された収納箱体24に電気的に接続され、電磁波ノイズ(放射ノイズ)の影響が抑制されている。
【0053】
しかも、上記板バネ部材34は、図 に示すように、バックプレーン基板32の表面側に被保持部341の先端部が露出しているのみであるため、誤って手が保持部341の先端部に接触しても何ら支障はなく、コントロール基板21や基板シャーシ29の一部が誤って板バネ部材34に接触しても、板バネ部材34が変形したり、変形した板バネ部材34が他の電気部品に誤って接触して誤動作が生じたりすることがなく、作業性に優れたものとなっている。
【0054】
また、上記板バネ部材34は、図4及び図5に示すように、コネクタ部材25を介してコントロール基板21とバックプレーン基板32とを接続することにより、コントロール基板21の基板シャーシ29の一部31によって押されて、弾性変形部342が収納箱体24の内面に圧接し、基板シャーシ29を確実に接地することができる。
【0055】
なお、コントロール基板21の接地すべき導体は、基板シャーシ29に限らず、コントロール基板21に設けられた接地すべき導体そのものであっても勿論良い。
【0056】
比較例
図16及び図17はこの発明の比較例を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この比較例は、コントロール基板21の基板シャーシの一部が、バックプレーン基板32の表面側にネジ402止めされた湾曲形状の板バネ410を介して接地されるように構成したものである。なお、板バネ410は、バックプレーン基板32の裏面側に設けられた図示しない他の部材を介して収納箱体24の内面に接続されている。
【0057】
この比較例の場合には、図16及び図17に示すように、板バネ401がバックプレーン基板32の表面側に直接露出しているため、誤って手が板バネ401に接触する虞れがあるばかりか、コントロール基板21や基板シャーシ29の一部が誤って板バネ401に接触すると、板バネ401が変形したり、変形した板バネ401が他の電気部品に誤って接触して誤動作が生じたりする虞れがある。
【符号の説明】
【0058】
21:コントロール基板、24:収納箱体(接地導体)、29:基板シャーシ(接地される導体)、32:バックプレーン基板(装着用基板)、34:板バネ部材(接地用導電部材)、341:被保持部、342:弾性変形部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地される導体を有する回路基板と、
前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板と、
前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体と、
前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材と
を備えたことを特徴とする回路基板の接地構造。
【請求項2】
前記接地用導電部材は、板状のバネ材料から一体的に形成されており、前記被保持部は、一端部が開口した断面矩形状に形成されているとともに、前記弾性変形部は、前記被保持部の開口端側の対向する一対の辺を前記接地導体に向けて先端が広がるように一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の接地構造。
【請求項3】
前記接地用導電部材は、前記装着用基板又は前記隣接基板に設けられた開口部の端縁に突き当たることにより脱落するのを防止する脱落防止用凸片を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の接地構造。
【請求項4】
前記接地導体は、前記回路基板及び前記装着用基板が収容される金属製の収容箱であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板の接地構造。
【請求項5】
画像形成装置を制御する制御回路が実装された回路基板を備え、
前記回路基板の接地構造として、請求項1乃至4のいずれかに記載された回路基板の接地構造を採用したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
接地される導体を有する回路基板と、
前記回路基板がコネクタ部材を介して装着される装着用基板と、
前記装着用基板の前記回路基板の装着側と反対側に配置される接地された接地導体と、
前記装着用基板又は前記装着用基板に隣接する隣接基板に設けられた開口部に、前記回路基板の着脱方向に沿って移動可能に保持される被保持部と、前記被保持部が前記装着用基板に装着される前記回路基板の接地される導体によって押されることにより、先端が前記接地導体に突き当たることで弾性変形する弾性変形部とを有し、前記弾性変形部の弾性復元力によって前記回路基板の接地される導体と前記接地導体とを電気的に接続して接地する接地用導電部材と
を備えたことを特徴とする回路基板の接地構造。
【請求項2】
前記接地用導電部材は、板状のバネ材料から一体的に形成されており、前記被保持部は、一端部が開口した断面矩形状に形成されているとともに、前記弾性変形部は、前記被保持部の開口端側の対向する一対の辺を前記接地導体に向けて先端が広がるように一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の接地構造。
【請求項3】
前記接地用導電部材は、前記装着用基板又は前記隣接基板に設けられた開口部の端縁に突き当たることにより脱落するのを防止する脱落防止用凸片を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の接地構造。
【請求項4】
前記接地導体は、前記回路基板及び前記装着用基板が収容される金属製の収容箱であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板の接地構造。
【請求項5】
画像形成装置を制御する制御回路が実装された回路基板を備え、
前記回路基板の接地構造として、請求項1乃至4のいずれかに記載された回路基板の接地構造を採用したことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−8428(P2012−8428A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145888(P2010−145888)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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