説明

回路基板内蔵コネクタ

【課題】複数種類の信号の伝送に対応するとともに、回路基板の固定力や接地面積の向上を図ることができる回路基板内蔵コネクタを提供する。
【解決手段】雄コネクタ10において、互いに向かい合う第1回路基板13と第2回路基板14をグラウンド部材12の側面部21b、21cにそれぞれ沿うように取り付け、第1回路基板13と第2回路基板14を電気的に接続するとともに、第1回路基板13と第2回路基板14と直交するように、接続基板17を取り付けて構成し、雌コネクタ30において、互いに向かい合う第3回路基板33と第4回路基板34をグラウンド部材12の側面部21b、21cにそれぞれ沿うように取り付け、第3回路基板33と第4回路基板34を電気的に接続するとともに、第3回路基板33と第4回路基板34と直交するように、接続基板37を取り付けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板が内蔵された回路基板内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジング内に回路基板を備えた回路基板内蔵コネクタは、例えば、自動車などの車両に取り付けられるフィルムアンテナなどのアンテナ素子と、同軸ケーブルなどのケーブルとを接続するために、従来から用いられている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
この種の回路基板内蔵コネクタでは、通常1つの内蔵基板1枚に付き1種類の信号が対応している。例えば同軸ケーブルから伝送された1種類の信号が、回路基板で増幅等の処理を施されてコネクタの端子から出力されたり、コネクタの端子から入力された1種類の信号が回路基板で処理を施されてケーブルへ出力されたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−35479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つのケーブルで複数種類の信号を重畳して伝送する方法は周知のように様々な方法が提案されているが、上述した回路基板内蔵コネクタでは、1つの回路基板が1種類の信号しか対応できないため、複数種類の信号を伝送する場合1種類ごとにコネクタが必要となりコストアップになってしまうという問題があった。
【0006】
また、回路基板の固定や回路基板のグラウンドの接地は、ハウジング内に設けられるグラウンド部材の基板固定爪に依存している。この基板固定爪は、回路基板を固定するとともに、回路基板のグラウンド端子と接触することで回路基板の接地を行っている。
【0007】
そのため、グラウンド部材製造時の爪部不良や、回路基板固定時の不具合、振動等の影響により、回路基板の離脱や位置ずれが発生し接触不良や断線の可能性がある。また、グラウンド部材に対する回路基板の接地面積が小さいため、回路基板のグラウンドが不安定になる可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は、複数種類の信号の伝送に対応するとともに、回路基板の固定力や接地面積の向上を図ることができる回路基板内蔵コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、平面状の回路基板がハウジング内に設けられる回路基板内蔵コネクタにおいて、互いに向かい合う2つの前記回路基板と、導電性の材料で形成され前記ハウジングの3以上の内壁に沿って設けられるグラウンド部材と、互いに向かい合う2つの前記回路基板とそれぞれ直交し、両者を接続するように設けられる接続部材と、を備え、前記回路基板が、前記グラウンド部材と接するように設けられていることを特徴とする回路基板内蔵コネクタである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記接続部材にケーブルの芯線が接続されるケーブル接続部が形成され、前記ケーブル接続部と互いに向かい合う2つの前記回路基板が電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、互いに向かい合う2つの前記回路基板が、前記ケーブルから入力された信号からそれぞれ異なる種類の信号に対して所定の処理を施すことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記接続部材が、複数の信号を重畳する重畳部を備え、互いに向かい合う2つの前記回路基板が、前記端子部から入力された信号に対してそれぞれ所定の処理を施し、該所定の処理が施された2つの信号を前記重畳部で重畳して前記ケーブルに出力することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、互いに向かい合う2つの回路基板が、ハウジングの内壁に沿って設けられたグラウンド部材と接するように設けられ、2つの回路基板と直交して両者を接続する接続部材を備えているので、2つの回路基板でそれぞれ1種類ずつの信号処理を行うことができ、また、接続部材で回路基板の固定を補強することができる。また、2つの回路基板がグラウンド部材と接するように設けられているので、接地点が増加し、回路基板のグラウンドが安定する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、接続部材にケーブルの芯線が接続されるケーブル接続部が形成され、ケーブル接続部と互いに向かい合う2つの回路基板が電気的に接続されているので、ケーブルを接続部材に接続して当該ケーブルと2つの回路基板との間を電気的に接続することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、互いに向かい合う2つの回路基板が、ケーブルから入力された信号からそれぞれ異なる種類の信号に対して所定の処理を施すので、ケーブルから入力された2種類の信号を重畳した信号に対してそれぞれの回路基板で対応する信号に対して処理を施して端子から出力することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、接続部材が、複数の信号を重畳する重畳部を備え、互いに向かい合う2つの回路基板が、端子部から入力された信号に対してそれぞれ所定の処理を施し、該所定の処理が施された2つの信号を重畳部で重畳して前記ケーブルに出力するので、2つの回路基板でそれぞれ処理を施した2種類の信号を重畳部で重畳してケーブルに出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回路基板内蔵コネクタおよびコネクタ接続構造の分解斜視図である。
【図2】図1に示された雄コネクタの斜視図である。
【図3】図2とは異なる方向から見た雄コネクタの斜視図である。
【図4】図1に示されたグラウンド部材の斜視図である。
【図5】図1に示された雌コネクタの斜視図である。
【図6】図5とは異なる方向から見た雌コネクタの斜視図である。
【図7】雄コネクタと雌コネクタの接続部分の説明図である。
【図8】回路基板を4枚内蔵する回路基板内蔵コネクタの斜視図である。
【図9】図8とは異なる方向から見た雌コネクタの斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態にかかる回路基板内蔵コネクタの斜視図である。
【図11】図10に示された回路基板内蔵コネクタの下方から見た斜視図である。
【図12】図10とは異なる方向から見た回路基板内蔵コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態を図1ないし図7を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかるコネクタの接続構造100は雄コネクタ10と雌コネクタ30とを備えている。
【0019】
雄コネクタ10は、図2および図3に示すように、ハウジング11と、グラウンド部材12と、第1回路基板13と、第2回路基板14と、接続基板17と、を備えている。
【0020】
ハウジング11は、絶縁性の樹脂などで略箱型に形成され、長手方向の一端に開口が設けられるとともに、該開口と相対する面に後述する第1端子部15と第2端子部16とをそれぞれ通す長方形状のスリットが2箇所に設けられている。
【0021】
第1回路基板13は、平板上に形成され、電子回路配線とともに例えばICなどの回路素子が実装されており、一端部には後述する接続基板17が組み付けられる切り欠きが形成され、他端部には第1端子部15が延在している。また、第1回路基板13は、後述するケーブル50から入力された信号に対して予め定めた1種類の信号を抜き出して所定の処理を施して第1端子部15へ出力する。
【0022】
第2回路基板14は、平板上に形成され、電子回路配線とともに例えばICなどの回路素子が実装されており、一端部には後述する接続基板17が組み付けられる切り欠きが形成され、他端部には第2端子部16が延在している。また、第2回路基板14は、後述するケーブル50から入力された信号に対して第1回路基板13とは異なる予め定めた1種類の信号を抜き出して所定の処理を施して第2端子部16へ出力する。第1回路基板13と第2回路基板14とは互いに向かい合うように(平行に)後述するグラウンド部材12内に設けられる。
【0023】
第1端子部15は、第1回路基板13と一体に形成され、ハウジング11の長手方向の他端から突出している。第2端子部16は、第2回路基板14と一体に形成され、ハウジング11の長手方向の他端から突出している。第1端子部15と第2端子部16は互いに平行に設けられ、第1端子部15の接点部15aと第2端子部16の接点部16aは、第1端子部15と第2端子部16の向かい合う面とは逆側の面にそれぞれ形成されている。接点部15a、16aは、勿論、それぞれ対応する回路基板と電気的に接続されている。
【0024】
グラウンド部材12は、金属などの導電性の材料で形成され、図4に詳細を示すように、基板収容部21と、基板固定爪18、19と、かしめ部20と、を備えている。
【0025】
基板収容部21は、底面部21aと底面部21aの両端から立設した側面部21b、21cとから構成された断面がコ字状となるように形成されている。即ち、ハウジング11の3以上の内壁に沿って設けられる。また、基板収容部21の底面部21aには第1回路基板13と第2回路基板14とをそれぞれハウジング11の長手方向と略平行に固定するための基板固定爪18が複数形成されている。また、側面部21b、21cには、後述する接続基板17を長手方向と略平行かつ第1回路基板13と第2回路基板14とは直交して固定するための基板固定爪19が複数形成されている。
【0026】
基板固定爪18は、第1回路基板13と第2回路基板14の端部を固定するとともに、第1回路基板13と第2回路基板14のグラウンド端子と接触して第1回路基板13と第2回路基板14を接地する。基板固定爪19は、接続基板17の端部を固定するとともに、接続基板17のグラウンド端子と接触して接続基板17を接地する。
【0027】
かしめ部20は、基板収容部21の長手方向の一端から突出するように設けられ、ケーブル50をかしめる断面が略半円状の本体部20aと、底面部21aの一端から突出するように延在し本体部20aを支持する支持部20bと、から構成されている。
【0028】
接続部材としての接続基板17は、第1回路基板13と第2回路基板14とを後述するケーブル50と電気的に接続する回路基板であり、第1回路基板13と第2回路基板14のスリットに嵌合するとともに、両端部がグラウンド部材12の側面部21b、21cに設けられた基板固定爪19で固定されている。接続基板17は、第1回路基板13と第2回路基板14のスリットに嵌合することで、ケーブル50と接続する信号線と基板のグラウンド線とが各回路基板に接続される。また、接続基板17は、第1回路基板13と第2回路基板14の中央近傍を接続して、この3つの回路基板がH字状の形状となる。即ち、接続基板17は、互いに向かい合う第1回路基板13と第2回路基板14とそれぞれ直交し、両者を接続するように設けられている。
【0029】
さらに、接続基板17は、接続基板17自身の長手方向の中央部、つまり第1回路基板13と第2回路基板14の中間部に後述するケーブル50の芯線接続用の端子17aが形成されている。即ち、端子17aから第1回路基板13と第2回路基板14の2方向へ分岐して、互いに向かい合う第1回路基板13と第2回路基板14が電気的に接続するように配線が形成されている。
【0030】
ケーブル50は、同軸ケーブルであり、内部導体である芯線50aと、芯線50aの周囲に設けられた誘電体50bと、誘電体50bの周囲に設けられたシールド部である編組と、編組の周囲に設けられる絶縁性の材料から形成される外皮50cと、から構成されている。
【0031】
上述した構成の雄コネクタ10は、グラウンド部材12に第1回路基板13と第2回路基板14を固定し、接続基板17を第1回路基板13と第2回路基板14のスリットに嵌め込むとともにグラウンド部材12に固定する。次に、第1回路基板13、第2回路基板14、接続基板17が固定されたグラウンド部材12をハウジング11に収容して固定する。そして、ケーブル50の芯線50aを接続基板17の端子17aに半田付けにて固定し、かしめ部20でケーブル50をかしめて固定することで、組み立てられる。
【0032】
雌コネクタ30は、図5および図6に示すように、ハウジング31と、グラウンド部材12と、第3回路基板33と、第4回路基板34と、接続基板37と、を備えている。
【0033】
ハウジング31は、絶縁性の樹脂などで略箱型に形成され、長手方向の一端に開口が設けられるとともに、該開口と相対する面に後述する第3端子部35と第4端子部36とをそれぞれ通す長方形状のスリットが2箇所に設けられているグラウンド部材収容部31aと、グラウンド部材収容部31aの他端側で連なり前記第3端子部35と第4端子部36を収容する接続部31bとが一体的に形成されている。
【0034】
第3回路基板33は、平板上に形成され、電子回路配線とともに例えばICなどの回路素子が実装されており、一端部には後述する接続基板37が組み付けられる切り欠きが形成され、他端部には第3端子部35が延在している。また、第3回路基板33は、第3端子部35から入力された信号に対して予め定めた所定の処理を施して接続基板37へ出力する。本実施形態では第3回路基板33では少なくとも第1回路基板13とは異なる機能の回路が実装されている。
【0035】
第4回路基板34は、平板上に形成され、電子回路配線とともに例えばICなどの回路素子が実装されており、一端部には後述する接続基板37が組み付けられる切り欠きが形成され、他端部には第4端子部36が延在している。また、第4回路基板34は、第4端子部36から入力された信号に対して予め定めた所定の処理を施して接続基板37へ出力する。本実施形態では、第4回路基板34では少なくとも第2回路基板14とは異なる機能の回路が実装されている。第3回路基板33と第4回路基板34とは互いに向かい合うように(平行に)後述するグラウンド部材12内に設けられる。
【0036】
第3端子部35は、第3回路基板33と一体に形成され、ハウジング31の長手方向の他端から突出している。第4端子部36は、第4回路基板34と一体に形成され、ハウジング31の長手方向の他端から突出している。第3端子部35と第4端子部36は互いに平行に設けられ、第3端子部35の接点部35aと第4端子部36の接点部36aは、第3端子部35と第4端子部36の向かい合う面にそれぞれ形成されている。接点部35a、36aは、勿論、それぞれ対応する回路基板と電気的に接続されている。
【0037】
グラウンド部材12は、雄コネクタ10と同様である。但し、基板固定爪18では第3回路基板33と第4回路基板34が固定され、基板固定爪19では接続基板37が固定される。
【0038】
接続部材としての接続基板37は、第3回路基板33と第4回路基板34とを後述するケーブル51と電気的に接続する回路基板であり、第3回路基板33と第4回路基板34のスリットに嵌合するとともに、両端部がグラウンド部材12の側面部21b、21cに設けられた基板固定爪19で固定されている。接続基板37は、第3回路基板33と第4回路基板34のスリットに嵌合することで、ケーブル51と接続する信号線と基板のグラウンド線とが各回路基板に接続される。また、接続基板37は、第3回路基板33と第4回路基板34の中央近傍を接続して、この3つの回路基板がH字状の形状となる。即ち、接続基板37は、互いに向かい合う第3回路基板33と第4回路基板34とそれぞれ直交し、両者を接続するように設けられている。
【0039】
さらに、接続基板37は、接続基板37自身の長手方向の中央部、つまり第3回路基板33と第4回路基板34の中間部に後述するケーブル51の芯線接続用の端子37aが形成されているとともに、第3回路基板33と第4回路基板34からの信号を重畳して端子37aに出力する重畳部としての回路37bが形成されている。即ち、所定の処理が施された2つの信号を重畳部で重畳してケーブル51に出力している。
【0040】
ケーブル51は、同軸ケーブルであり、内部導体である芯線51aと、芯線51aの周囲に設けられた誘電体51bと、誘電体51bの周囲に設けられたシールド部である編組と、編組の周囲に設けられる絶縁性の材料から形成される外皮51cと、から構成されている。
【0041】
上述した構成の雌コネクタ30は、グラウンド部材12に第3回路基板33と第4回路基板34を固定し、接続基板37を第3回路基板33と第4回路基板34のスリットに嵌め込むとともにグラウンド部材12に固定する。次に、第3回路基板33、第4回路基板34、接続基板37が固定されたグラウンド部材12をハウジング31に収容して固定する。そして、ケーブル51の芯線51aを接続基板37の端子37aに半田付けにて固定し、かしめ部20でケーブル51をかしめて固定することで、組み立てられる。
【0042】
次に、上述した雄コネクタ10と雌コネクタ30との接続部分について図7を参照して説明する。
【0043】
図7に示したように、雌コネクタ30の第3端子部35と第4端子部36はハウジング31の接続部31bの内壁に沿って設けられている。そこに雄コネクタ10の第1端子部15と第2端子部16が接続部31bに進入すると、第1端子部15と第2端子部16は
第3端子部35と第4端子部36の内側に進入する。第1端子部15と第3端子部35、第2端子部16と第4端子部36は互いに平行になるように設けられているので、第1端子部15の接点部15aは第3端子部35の接点部35aと重なって接触し、第2端子部16の接点部16aは第4端子部36の接点部36aと重なって接触する。このようにして雄コネクタ10と雌コネクタ30とが電気的に接続される。なお、図示はしないが雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合を保持するためのロック機構等を雄コネクタ10と雌コネクタ30に設けてもよい。
【0044】
このようにして接続された雄コネクタ10と雌コネクタ30からなるコネクタの接続構造100は、2種類の信号が重畳された状態でケーブル50で伝送されて雄コネクタ10へ入力されると第1回路基板13および第2回路基板14はそれぞれ処理を施す信号を取り出して処理を施し、雌コネクタ30へ分割した状態で伝達されて、第3回路基板33および第4回路基板34で別の処理を施して再び1つに重畳してケーブル51へ出力される。なお、各回路基板で行われる処理としては、例えば、増幅や波形整形などの中継機能や他の形式への変換やフィルタなどの機能が挙げられる。
【0045】
本実施形態によれば、雄コネクタ10において、互いに向かい合う第1回路基板13と第2回路基板14をグラウンド部材12の側面部21b、21cにそれぞれ沿うように取り付け、第1回路基板13と第2回路基板14を電気的に接続するとともに第1回路基板13と第2回路基板14と直交するように接続基板17を取り付けて構成し、雌コネクタ30において、互いに向かい合う第3回路基板33と第4回路基板34をグラウンド部材12の側面部21b、21cにそれぞれ沿うように取り付け、第3回路基板33と第4回路基板34を電気的に接続するとともに第3回路基板33と第4回路基板34と直交するように接続基板37を取り付けて構成しているので、雄コネクタ10、雌コネクタ30ともに、2つの回路基板でそれぞれ1種類ずつの信号処理を行うことができる。また、接続基板17で第1回路基板13と第2回路基板14の固定を補強することができる。さらに、第1回路基板13と第2回路基板14と接続基板17のそれぞれの両端部がグラウンド部材12と接続されるので、接地点が増加し回路基板のグラウンドが安定する。接続基板37と第3回路基板、第4回路基板も同様である。
【0046】
また、接続基板17にケーブル50の芯線50aが接続される端子17aが形成され、端子17aと互いに向かい合う第1回路基板13、第2回路基板14が電気的に接続されているので、ケーブル50を接続基板17に接続すれば第1回路基板13、第2回路基板14との信号伝達を行うことができる。接続基板37端子37aを形成し、回路37bを設け第3回路基板33と第4回路基板34を電気的に接続しているのでケーブル51に信号伝達を行うことができる。
【0047】
また、雄コネクタ10の第1端子部15が第1回路基板13から延在して一体に構成され、第2端子部16が第2回路基板14から延在して一体に構成され、さらに、雌コネクタ30の第3端子部35が第3回路基板33から延在して一体に構成され、第4端子部36が、第4回路基板34から延在して一体に構成され、第1端子部15の接点部15aと第3端子部35の接点部35aが重なり、第2端子部16の接点部16aと第4端子部36の接点部36aが重なることで雄コネクタ10と雌コネクタ30が電気的に接続されるので、各端子部と回路基板と一体的に構成することができ、また、各端子部が延在する方向と雄コネクタ10と雌コネクタ30の嵌合方向が同じであり、その方向に沿って各接点部を設けているので接触面積を大きくとることができる。
【0048】
なお、上述した実施形態では互いに向かい合う回路基板が1組であったが、図8および図9に示すように複数組設けてもよい。図8および図9は2組設けた雌コネクタ60の例であるが雄コネクタの場合も同様に構成できる。図8および図9では、図5および図6に対して、第5回路基板65と、第5回路基板65から延在した第5端子部68と、第6回路基板66と、第6回路基板66から延在した第6端子部69と、が設けられている。さらに、断面コ字状のグラウンド部材12が断面四角形状のグラウンド部材62に変更されている。このように構成することで、4種類の信号を1つのコネクタで処理することができ、4つの回路基板と接続基板17の両端部がグラウンド部材62に接地され接地点が増加する。
【0049】
また、図8の場合、接続基板17からの信号線を第3回路基板33や第4回路基板34を介して第5回路基板65や第6回路基板66に供給しているが、例えば接続基板17を十字状にして接続基板17を直接第5回路基板65や第6回路基板66と電気的に接続するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では同軸ケーブルは1本であったが、図10ないし図12に示したようにツイストペアケーブルに適用することも可能である。図10ないし図12は2組のツイストペアケーブル78a、78bが接続されている雌コネクタ70を示しているが、勿論雄コネクタでも同様である。なお、図中ツイストペアケーブル78a、78bを1本のケーブルとするために覆っているシールド膜や外皮は省略している。
【0051】
ツイストペアケーブルは撚り合わされた一対のケーブルで1種類の信号を伝送するため、図10や図11に示したように接続基板77には配線パターンを両面に設けて一対当たり接続基板77の表面と裏面に接続するように2箇所のケーブル接続用端子が形成されている。例えば、ツイストペアケーブル78aは接続用端子77aと77bに接続され、ツイストペアケーブル78bは接続用端子77cと77dに接続される。これによってツイストペアケーブルによって伝送されてきた差動信号が同じ基板に伝達される。また、図12に示したようにツイストペアケーブル78aや78bで伝送されてきた差動信号を基板での処理後に出力するために第3端子部35や第4端子部36の端子も2つ(端子36b、36c)形成されている。
【0052】
また、上述した実施形態ではケーブルが接続される回路基板内蔵コネクタで説明したが、例えば基板やモジュールなどに直接設けられ、ケーブル50が接続された雄コネクタ10と接続される雌コネクタとして形成しても良い。この場合は、雌コネクタにはケーブル51が接続されずに、各回路基板はそれぞれ個別に基板やモジュール内に接続されるように構成される。この際の接続基板は、グラウンドパターンのみとし互いに向かい合う回路基板のグラウンドを接続するのみとする。勿論、雄コネクタと雌コネクタは逆の場合も同様である。
【0053】
また、上述した実施形態では、回路基板の両端が基板固定爪18で固定されることで接地していたが、それに加えて、回路基板に近接する側面部などに切り込みを入れて折り曲げた、短冊状の接触片を立設して回路基板に接触させて接地するようにしてもよい。例えば第1回路基板13の場合は側面部21bに接触片を立設する。このようにすることで、さらに接地点を増やすことができる。
【0054】
なお、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 雄コネクタ
11 ハウジング
12 グラウンド部材
13 第1回路基板(互いに向かい合う回路基板)
14 第2回路基板(互いに向かい合う回路基板)
15 第1端子部(端子部)
16 第2端子部(端子部)
17 接続基板(接続部材)
17a 端子(ケーブル接続部)
30 雌コネクタ
31 ハウジング
33 第3回路基板(互いに向かい合う回路基板)
34 第4回路基板(互いに向かい合う回路基板)
35 第3端子部(端子部)
36 第4端子部(端子部)
37 接続基板(接続部材)
37a 端子(ケーブル接続部)
37b 回路(重畳部)
50 ケーブル
50a 芯線
51 ケーブル
51a 芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の回路基板がハウジング内に設けられる回路基板内蔵コネクタにおいて、
互いに向かい合う2つの前記回路基板と、
導電性の材料で形成され前記ハウジングの3以上の内壁に沿って設けられるグラウンド部材と、
互いに向かい合う2つの前記回路基板とそれぞれ直交し、両者を接続するように設けられる接続部材と、を備え、
前記回路基板が、前記グラウンド部材と接するように設けられている
ことを特徴とする回路基板内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記接続部材にケーブルの芯線が接続されるケーブル接続部が形成され、前記ケーブル接続部と互いに向かい合う2つの前記回路基板が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板内蔵コネクタ。
【請求項3】
互いに向かい合う2つの前記回路基板が、前記ケーブルから入力された信号からそれぞれ異なる種類の信号に対して所定の処理を施すことを特徴とする請求項2に記載の回路基板内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記接続部材が、複数の信号を重畳する重畳部を備え、
互いに向かい合う2つの前記回路基板が、前記端子部から入力された信号に対してそれぞれ所定の処理を施し、該所定の処理が施された2つの信号を前記重畳部で重畳して前記ケーブルに出力することを特徴とする請求項2に記載の回路基板内蔵コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−170977(P2011−170977A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30909(P2010−30909)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】