回転スイッチ
【課題】可動板を回転させた際、可動板と固定接点との導通状態を、所望の回転位置で精度よく切り替えることができる回転スイッチを提供する。
【解決手段】一面に凹部1aが形成される絶縁材料からなるケース1と、凹部1aに収納され、凹部1aから露出する固定接点31を有する固定端子3と、ケース1の一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、凹部1a側へ突出して前記回転に伴いケース1の一面上を摺動し、固定接点31の一面に接離する湾曲部42aが形成された可動接点2を有する可動板4とを備え、湾曲部42aの回転軌跡上において、少なくとも凹部1aの開口の縁部は、固定接点31よりも可動接点42側に位置し、可動板4の回転方向において、凹部1aの開口の縁部1bと凹部1aの内壁に対向する固定接点31の側端との位置がずれていることを特徴とする。
【解決手段】一面に凹部1aが形成される絶縁材料からなるケース1と、凹部1aに収納され、凹部1aから露出する固定接点31を有する固定端子3と、ケース1の一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、凹部1a側へ突出して前記回転に伴いケース1の一面上を摺動し、固定接点31の一面に接離する湾曲部42aが形成された可動接点2を有する可動板4とを備え、湾曲部42aの回転軌跡上において、少なくとも凹部1aの開口の縁部は、固定接点31よりも可動接点42側に位置し、可動板4の回転方向において、凹部1aの開口の縁部1bと凹部1aの内壁に対向する固定接点31の側端との位置がずれていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、対象物の回転位置を検出して当該検出結果に基づいて検出信号を出力する回転スイッチが提供されている(例えば特許文献1参照)。そして、当該回転スイッチは、例えば、自動車のスライドドア等の開閉状態の検知のために用いられる。
【0003】
以下、図11を用いて従来例における回転スイッチについて説明を行う。なお、図11における上下方向を基準として説明を行う。
【0004】
上記回転スイッチは、図11に示すように、上面に凹部101aが形成された樹脂等の絶縁材料からなるケース101と、当該ケース101の凹部101aに収納されてケース101の上面から露出する固定接点102を有する固定端子103と、固定接点102に接離する可動接点104が配設されてケース101の上面に対向する可動板105とを備えている。
【0005】
固定端子103は、インサート成形によってケース101と一体に成型され、上下方向における厚み寸法が凹部101aの深さ寸法と等しい値に設定されている。そのため、固定端子103が、凹部103に収納されることで、固定接点102の上面がケース101の上面と面一となる。また、固定端子103は、側面が凹部101aの内壁に当接している。
【0006】
可動板105は、ケース101の上面と平行な面で回転自在に設けられ、ケース101の一面に対向する面に可動接点104が設けられている。
【0007】
可動接点104は、可動板105からケース101の上面側へ突出して先端側に湾曲部104aが形成されている。そして、可動板105の回転に伴って湾曲部104aがケース101の上面を摺動して固定接点102に接離する。
【0008】
ここで、可動板105と固定端子103との導通状態は、可動板105の回転に伴って回転する湾曲部104aの頂部104bが、ケース本体101に当接した状態から固定接点102に当接した状態となることで、非導通状態から導通状態に切り替わる。
【0009】
また、湾曲部104aの頂部104bが、固定接点102に当接した状態からケース本体101に当接した状態となることで、可動板105と固定端子103との導通状態が導通状態から非導通状態に切り替わる。
【0010】
つまり、可動板105と固定端子103との導通状態は、湾曲部104aの頂部104bが、凹部101aの開口の縁部101bに隣接する固定接点102の側縁部102a上を通過する際に切り替わる。言い換えると、湾曲部104aの頂部104bが、凹部101aの内壁に当接する固定端子102の側面を通る直線X3よりもケース本体101側に位置する場合は、可動板105と固定端子103とが非導通状態となる。また、湾曲部104aの頂部104bが、上記直線X3よりも固定接点102側に位置する場合は、可動板105と固定端子103とが導通状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−044750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
固定端子103は、当該固定端子103を製造する際の抜き工程により、図12に示すように、当該抜き方向における一面103Aがダレ面となって他面103Bがバリ面となる。
【0013】
そして、図12に示すように、凹部101aに配設された固定接点102の上面が、上記ダレ面103Aとなった場合、固定接点102の側縁部102aが下方向へ窪む。そのため、固定端子103がケース101にインサート成型された際、凹部101aの開口の縁部101bから固定接点102側へ液ダレGが発生する。
【0014】
従って、湾曲部104aの頂部104bが固定接点102に当接、または、離間する位置が、湾曲部104aの回転方向における液ダレGの寸法L1だけ、直線X3よりも固定接点102側へずれてしまう。
【0015】
また、図13に示すように、凹部101aに配設された固定接点102の上面が、上記バリ面103Bとなった場合、固定接点102の側縁部から上方向へバリ103aが突出する。
【0016】
そのため、湾曲部104aの頂部104bが、直線X3を通過するよりも前に、湾曲部104aの基端部が104c、または、先端部104dがバリ103aに当接し、固定接点102と可動接点104とが導通する。従って、湾曲部104aの側面とバリ103aとの当接直後における湾曲部104aの頂部104bからバリ103aまでの長さL2分だけ、湾曲部104aが固定接点102に当接、または、離間する位置が、直線X3よりもケース101側へずれてしまう。
【0017】
また、固定端子103をケース101にインサート成形する際に、ケース本体101の樹脂圧によってケース本体101に対する固定接点102の位置がずれてしまう虞があった。その場合にも、上記同様に、湾曲部104aが固定接点102に当接、または、離間する位置が、直線X3からずれてしまう。
【0018】
つまり、固定端子103と可動板105との導通状態が切り替えられる際の可動板105の回転位置が、予め設定された設計値からずれた位置になってしまうといった問題があった。
【0019】
また、可動接点104が、ケース101の上面及び固定接点102の上面に摺接することでケース101の上面及び固定接点102の上面が磨耗したり、可動接点104自体が上記摺接により磨耗する虞があった。その場合にも、固定端子103と可動板105との導通状態が切り替えられる際の可動板105の回転位置が、予め設定された設計値からずれた位置となってしまう虞があった。
【0020】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動板を回転させた際、可動板と固定接点との導通状態を、精度よく所望の回転位置で切り替えることができる回転スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために第1の発明は、一面に凹部が形成される絶縁材料からなるケースと、前記凹部に収納され、この凹部から露出する固定接点を有する固定端子と、前記ケースの一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、前記凹部側へ突出して前記回転に伴い前記ケースの一面上を摺動し、前記固定接点の一面に接離する湾曲部が形成された可動接点を有する可動板とを備え、前記湾曲部の回転軌跡上において、少なくとも前記凹部の開口の縁部は、前記固定接点よりも前記可動接点側に位置し、前記可動板の回転方向において、前記開口の縁部と前記凹部の内壁に対向する前記固定接点の側端との位置がずれていることを特徴とする。
【0022】
第2の発明は、第1の発明において、前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点に重なる側へずれていることを特徴とする。
【0023】
第3の発明は、第1の発明において前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点から離れる方向へずれており、前記開口の縁部と前記固定端子の側端との間の寸法は、前記可動板が回転して、前記可動接点が前記固定接点上を摺動し、前記湾曲部が前記固定接点の側縁に当接するよりも前に前記開口の縁部に当接する寸法に設定されることを特徴とする。
【0024】
第4の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、前記凹部の開口の縁部は、前記凹部の深さ方向における前記ケースの一面と前記固定接点の一面との間の距離の1/5〜1/2の寸法のR加工が施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、可動板を回転させた際、可動板と固定接点との導通状態を、精度よく所望の回転位置で切り替えることができる回転スイッチを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1における回転スイッチの要部断面図を示す。
【図2】同上における回転スイッチの斜視図を示す。
【図3】同上における回転スイッチの分解斜視図を示す。
【図4】従来例の回転スイッチにおいて、固定接点の厚みに誤差が生じた場合の要部拡大図を示す。
【図5】実施形態1の回転スイッチにおいて、固定接点の厚みに誤差が生じた場合の要部拡大図を示す。
【図6】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図7】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図8】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図9】同上における回転スイッチの凹部の縁部にR加工を施した際の要部断面図を示す。
【図10】本発明の実施形態2における回転スイッチの要部拡大図を示す。
【図11】従来例における回転スイッチの要部断面図を示す。
【図12】同上における回転スイッチの別形態の要部断面図を示す。
【図13】同上における回転スイッチの別形態の要部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態の回転スイッチについて図1〜3を用いて説明を行う。
【0029】
本実施形態の回転スイッチは、図1〜3に示すように、一面に凹部1aが形成されるケース1と、一面にケース1を収納するための円形の凹部2aが形成されるハウジング2と、ケース1の凹部1aに配設される複数(本実施形態では3つ)の固定端子3と、ケース1の一面に対向して配設される可動板4と、可動板4に連結される摺動体5と、摺動体5が挿通する挿通孔6aが形成されてケース1の一面に覆設されるカバー6と、摺動体5とカバー6との間に介装されるOリング7と、摺動体5に連結されるレバー8とから構成される。
【0030】
ケース1は、図3に示すように、樹脂等の絶縁材料から形成され、3つの固定端子3をそれぞれ収納する3つの凹部1aが形成されるケース本体部11と、ケース本体部11の側面から延設されて挿通孔12aが形成される固定部12とから構成される。
【0031】
また、ケース本体部11は、固定部12が形成される側面と直角をなす側面に、当該ケース本体部11の側面から凹部1aの内壁まで挿通する3つの挿通孔1bが形成されている。
【0032】
ハウジング2は、一面に凹部2aが形成されるハウジング本体部21と、ハウジング本体部21の側面から延設されて凹部2aの内壁からハウジング2の外部まで連通する3つの挿通孔2bが形成されるコネクタ部22とから構成される。また、ハウジング本体部21には、凹部2aの内壁からハウジング本体21外まで連通する貫通孔2cが形成されている。
【0033】
そして、ハウジング2には、ケース1が一体成型されて凹部2a内にケース本体部11が収納されてケース1の固定部12がハウジング本体部21の貫通孔2cを挿通してハウジング2の外部に突出する。また、ハウジング2の3つの貫通孔2bが、ケース1の3つの挿通孔1bにそれぞれ連通する。
【0034】
固定端子3は、略扇形の平板からなりケース1の凹部1a内に配設される固定接点31と、固定接点31の側縁から延設されてケース1の挿通孔1bを挿通する端子部32とから構成されている。ここで、3つの固定端子3の各固定接点31は、インサート成型により、ケース1の3つの凹部1a内に互いに隔離された状態で配設され、ケース1の一面から露出する。詳しく説明すると、ケース1には、3つの固定接点31の外形に合わせた3つの略扇形の凹部1aがそれぞれ形成されており、凹部1aの深さ寸法が固定接点31の厚み寸法よりも0.05mm長く設定されている。そして、図1に示すように、固定接点31の側端に対向する凹部1aの内壁は、開口側の縁部1cが、固定接点31側へ突出している。つまり、凹部1aにおける開口の縁部1cが、固定接点31の厚み方向において、固定接点31の一面の端部31aに重なっている。
【0035】
また、各端子部32には、ハウジング2の挿通孔2bを介してケース1の3つの挿通孔1b内へそれぞれ挿入されるハーネス9が例えば半田付け等によって接続される。
【0036】
可動板4は、図3に示すように、ケース1の一面に対向して当該ケース1の一面に平行な平面で回転自在に設けられている。そして、可動板4は、略三角枠状の基板41と、当該基板41の3つの各頂点から基板41の側縁に沿って略円弧状に各々延設される3つの可動接点42とから構成される。
【0037】
可動接点42は、円周方向に沿ってスリット43が形成されて当該スリット43を介して対向する一対の接触片42A、42Bとから構成される。ここで、接触片42Aは、基板41と中心が同一である半径11mmの円周上に位置し、接触片42Bは、半径8mmの円周上に位置する。
そして、一対の接触片42A,42Bは、先端に向かうに従ってケース1の一面側へ傾斜し、先端側に曲率半径が0.3mmの湾曲部42aがそれぞれ形成される。以下、湾曲部42aの内、ケース1の一面側に最も近い箇所を頂部42bと称し、頂部42bよりも基板41側を基端部42c、頂部42bよりも先端側を先端部42dと称する。ここで、3つの湾曲部42aの各頂部42bは、基板41の中心を回転中心として120度間隔で各々設けられている。
【0038】
摺動体5は、円板状の支持体51と、当該支持体51の一面側に突設される円柱状の連結部52とから構成され、支持体51の他面が可動板4に対向する。そして、支持体51の他面には、可動板4の基板41の3つの頂点近傍に形成される挿通孔41aを各々挿通する図示しない3つの支持突部が突設されている。ここで、支持突部は、先端が挿通孔41aの外径よりも大きくなるように拡径されており、3つの支持突部が3つの挿通孔41aをそれぞれ挿通することで、可動板4が摺動体5に支持される。
【0039】
カバー6は、略ドーム状に形成されてその頂部に貫通孔6aが形成されており、当該挿通孔6aを摺動体5の連結部52が挿通した状態でケース1の一面に覆設される。
【0040】
Oリング7は、連結部52に挿通されてカバー6の挿通孔6aと摺動体5の連結部52との間に発生する隙間を埋める。
【0041】
レバー8は、円筒状の接続部81と、接続部81の一端側の外周部から外側方向へ延設される延設部82とから構成される。そして、レバー8は、接続部81の内径部81aに摺動体5の連結部52が嵌め込まれることで摺動体5に連結される。また、延設部82の先端側には、挿通孔82aが形成されており、当該挿通孔82aを挿通する図示しないねじが、図示しない検知対象物のねじ孔に螺合することで、当該検知対象物とレバー8とが接続される。
【0042】
上記構成からなる本実施形態の回転スイッチは、検知対象物が回転すると、当該回転に伴ってレバー8が回転し、当該レバー8に連結された摺動体5も連動して回転する。これにより、摺動体5に支持されている可動板4が回転し、当該可動板4の可動接触子42がケース1の上面を摺動する。そして、3つの可動接点42の各湾曲部42aの内のいずれか2つが、3つの固定接点31の内のいずれか2つに接触することで、可動板4を介して2つの固定接点31間が導通する。なお、3つの可動接点42の各湾曲部42aが、3つの固定接点31に同時にそれぞれ接触してもよい。
【0043】
ここで、可動接点42が、固定接点31上を図1において右方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの基端部42cが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。
【0044】
そして、当該接触後は、湾曲部42aが、凹部1aにおける開口の縁部1c上を摺動して上方へ変位するため、可動接触子42が固定接点31から離間し、可動板4と固定端子3との間が非導通状態となる。つまり、可動板4と固定端子3との導通状態が切り替わる位置X1(以下、切替位置と称する)が、可動板4の回転方向において、凹部1aの側縁1cよりも固定接点31側となる。そのため、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。
【0045】
従って、本実施形態の回転スイッチは、固定接点31の側縁の状態(例えば、バリや液ダレ等)に影響を受けることがなく、可動板4の回転に応じて、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0046】
また、可動接点42が、固定接点31上を図1において左方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの先端部42dが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。つまり、上記同様に、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。従って、可動板4の回転方向に拠らず、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0047】
また、製造誤差により、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成されたとする。その場合、図4(a)、(b)に示すように、従来例の回転スイッチでは、切替位置が予め設定されている設計値(位置)X3からずれてしまう。なお、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm薄く形成された場合も同様に、従来例の回転スイッチでは、切替位置が予め設定されている設計値(位置)からずれてしまう。
【0048】
詳しく説明すると、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成された場合、切替位置が、位置X3より固定接点から離れる側へ0.0768mmずれて、可動板4の回転位置を角度に換算すると1.1度のずれが発生する。
【0049】
これに対して、本実施形態の回転スイッチでは、図5(a)、(b)に示すように、固定接点31の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成された場合、切替位置が位置X1からケース1に近づく側へ0.0162mmずれる。これは、可動板4の回転位置を角度に換算すると0.23度となる。つまり、本実施形態の回転スイッチは、製造誤差等によって固定接点31の厚みに誤差が生じた場合であっても、固定接点の一面とケースの一面とが面一である、図11に示した従来の回転スイッチに比べて、切替位置のずれを抑制することができる。
【0050】
従って、本実施形態の回転スイッチでは、固定接点31の厚み方向において、製造誤差等によってケース1の一面と固定接点31の一面との相対位置が、予め設定された位置からずれたとしても、切替位置のずれを抑制することができる。
【0051】
そのため、図6に示すように、可動接点42が摺動することで固定接点31の一面が磨耗した場合や、図7に示すように、可動接点42が摺動することでケース1の一面が磨耗した場合にも、上記同様に切替位置のずれを抑制することができる。
【0052】
また、図8に示すように、可動接点42自体が摺動により磨耗した場合にも、上記同様に切替位置のずれを抑制することができる。
【0053】
また、図9に示すように、凹部1aの開口における縁部1cは、ケース1の上面と固定接点31との上下方向における距離hの略1/2の寸法のR加工が施されていてもよい。その場合、上記R加工の寸法に、製造誤差(成型収縮等)が生じたとしても、縁部1cが直角に形成されて当該縁部の寸法に誤差が生じる場合に比べて、切り替え位置のずれを抑制することができる。なお、固定接点31をケース1にインサート成形するために用いられる金型を製作する際、金型において上記縁部1cに対向する箇所は、機械加工または放電加工により容易に製作することができる。
【0054】
(実施形態2)
本実施形態の回転スイッチについて図10を用いて説明を行う。
【0055】
本実施形態の回転スイッチは、凹部1aにおける開口の縁部に段部1fが形成されている点のみが実施形態1と異なっている。なお、その他の構成については実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態の回転スイッチが備えるケース1は、凹部1aの開口縁部1cに、当該凹部1a内に配設される固定接点31の一面と面一となる底面1dと、底面1dから可動板4側へ底面1dに対して垂直に延設される壁部1eとからなる段部1fが形成されている。
【0057】
そして、可動接点42が、固定接点31上を図10における右方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの基端部42cが、段部1fの壁部1e(縁部1c)に接触する。ここで、湾曲部42aが、縁部1cに当接した際の頂部42bの位置を切替位置X2とする。
【0058】
そして、当該接触後は、湾曲部42aが、縁部1c上を摺動して上方へ変位するため、可動接触子42が固定接点31から離間し、可動板4と固定端子3との間が非導通状態となる。ここで、可動板4の回転方向における段部1fの底面1dの寸法をR1、段部1fの壁部1eから切替位置X2までの寸法をR2とする。そして、寸法R1が、寸法R2よりも短く設定されることで、可動接点41が固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。
【0059】
従って、本実施形態の回転スイッチは、固定接点31の側縁の状態(例えば、バリや液ダレ)に影響を受けることがなく、可動板4の回転に応じて、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0060】
また、可動接点42が、固定接点31上を図10において左方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの先端部42dが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。つまり、上記同様に、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。従って、可動板4の回転方向に拠らず、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ケース
1a 凹部
1c 縁部
2 ハウジング
3 固定端子
4 可動板
31 固定接点
42 可動接点
42a 湾曲部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、対象物の回転位置を検出して当該検出結果に基づいて検出信号を出力する回転スイッチが提供されている(例えば特許文献1参照)。そして、当該回転スイッチは、例えば、自動車のスライドドア等の開閉状態の検知のために用いられる。
【0003】
以下、図11を用いて従来例における回転スイッチについて説明を行う。なお、図11における上下方向を基準として説明を行う。
【0004】
上記回転スイッチは、図11に示すように、上面に凹部101aが形成された樹脂等の絶縁材料からなるケース101と、当該ケース101の凹部101aに収納されてケース101の上面から露出する固定接点102を有する固定端子103と、固定接点102に接離する可動接点104が配設されてケース101の上面に対向する可動板105とを備えている。
【0005】
固定端子103は、インサート成形によってケース101と一体に成型され、上下方向における厚み寸法が凹部101aの深さ寸法と等しい値に設定されている。そのため、固定端子103が、凹部103に収納されることで、固定接点102の上面がケース101の上面と面一となる。また、固定端子103は、側面が凹部101aの内壁に当接している。
【0006】
可動板105は、ケース101の上面と平行な面で回転自在に設けられ、ケース101の一面に対向する面に可動接点104が設けられている。
【0007】
可動接点104は、可動板105からケース101の上面側へ突出して先端側に湾曲部104aが形成されている。そして、可動板105の回転に伴って湾曲部104aがケース101の上面を摺動して固定接点102に接離する。
【0008】
ここで、可動板105と固定端子103との導通状態は、可動板105の回転に伴って回転する湾曲部104aの頂部104bが、ケース本体101に当接した状態から固定接点102に当接した状態となることで、非導通状態から導通状態に切り替わる。
【0009】
また、湾曲部104aの頂部104bが、固定接点102に当接した状態からケース本体101に当接した状態となることで、可動板105と固定端子103との導通状態が導通状態から非導通状態に切り替わる。
【0010】
つまり、可動板105と固定端子103との導通状態は、湾曲部104aの頂部104bが、凹部101aの開口の縁部101bに隣接する固定接点102の側縁部102a上を通過する際に切り替わる。言い換えると、湾曲部104aの頂部104bが、凹部101aの内壁に当接する固定端子102の側面を通る直線X3よりもケース本体101側に位置する場合は、可動板105と固定端子103とが非導通状態となる。また、湾曲部104aの頂部104bが、上記直線X3よりも固定接点102側に位置する場合は、可動板105と固定端子103とが導通状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−044750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
固定端子103は、当該固定端子103を製造する際の抜き工程により、図12に示すように、当該抜き方向における一面103Aがダレ面となって他面103Bがバリ面となる。
【0013】
そして、図12に示すように、凹部101aに配設された固定接点102の上面が、上記ダレ面103Aとなった場合、固定接点102の側縁部102aが下方向へ窪む。そのため、固定端子103がケース101にインサート成型された際、凹部101aの開口の縁部101bから固定接点102側へ液ダレGが発生する。
【0014】
従って、湾曲部104aの頂部104bが固定接点102に当接、または、離間する位置が、湾曲部104aの回転方向における液ダレGの寸法L1だけ、直線X3よりも固定接点102側へずれてしまう。
【0015】
また、図13に示すように、凹部101aに配設された固定接点102の上面が、上記バリ面103Bとなった場合、固定接点102の側縁部から上方向へバリ103aが突出する。
【0016】
そのため、湾曲部104aの頂部104bが、直線X3を通過するよりも前に、湾曲部104aの基端部が104c、または、先端部104dがバリ103aに当接し、固定接点102と可動接点104とが導通する。従って、湾曲部104aの側面とバリ103aとの当接直後における湾曲部104aの頂部104bからバリ103aまでの長さL2分だけ、湾曲部104aが固定接点102に当接、または、離間する位置が、直線X3よりもケース101側へずれてしまう。
【0017】
また、固定端子103をケース101にインサート成形する際に、ケース本体101の樹脂圧によってケース本体101に対する固定接点102の位置がずれてしまう虞があった。その場合にも、上記同様に、湾曲部104aが固定接点102に当接、または、離間する位置が、直線X3からずれてしまう。
【0018】
つまり、固定端子103と可動板105との導通状態が切り替えられる際の可動板105の回転位置が、予め設定された設計値からずれた位置になってしまうといった問題があった。
【0019】
また、可動接点104が、ケース101の上面及び固定接点102の上面に摺接することでケース101の上面及び固定接点102の上面が磨耗したり、可動接点104自体が上記摺接により磨耗する虞があった。その場合にも、固定端子103と可動板105との導通状態が切り替えられる際の可動板105の回転位置が、予め設定された設計値からずれた位置となってしまう虞があった。
【0020】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動板を回転させた際、可動板と固定接点との導通状態を、精度よく所望の回転位置で切り替えることができる回転スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために第1の発明は、一面に凹部が形成される絶縁材料からなるケースと、前記凹部に収納され、この凹部から露出する固定接点を有する固定端子と、前記ケースの一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、前記凹部側へ突出して前記回転に伴い前記ケースの一面上を摺動し、前記固定接点の一面に接離する湾曲部が形成された可動接点を有する可動板とを備え、前記湾曲部の回転軌跡上において、少なくとも前記凹部の開口の縁部は、前記固定接点よりも前記可動接点側に位置し、前記可動板の回転方向において、前記開口の縁部と前記凹部の内壁に対向する前記固定接点の側端との位置がずれていることを特徴とする。
【0022】
第2の発明は、第1の発明において、前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点に重なる側へずれていることを特徴とする。
【0023】
第3の発明は、第1の発明において前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点から離れる方向へずれており、前記開口の縁部と前記固定端子の側端との間の寸法は、前記可動板が回転して、前記可動接点が前記固定接点上を摺動し、前記湾曲部が前記固定接点の側縁に当接するよりも前に前記開口の縁部に当接する寸法に設定されることを特徴とする。
【0024】
第4の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、前記凹部の開口の縁部は、前記凹部の深さ方向における前記ケースの一面と前記固定接点の一面との間の距離の1/5〜1/2の寸法のR加工が施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、可動板を回転させた際、可動板と固定接点との導通状態を、精度よく所望の回転位置で切り替えることができる回転スイッチを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1における回転スイッチの要部断面図を示す。
【図2】同上における回転スイッチの斜視図を示す。
【図3】同上における回転スイッチの分解斜視図を示す。
【図4】従来例の回転スイッチにおいて、固定接点の厚みに誤差が生じた場合の要部拡大図を示す。
【図5】実施形態1の回転スイッチにおいて、固定接点の厚みに誤差が生じた場合の要部拡大図を示す。
【図6】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図7】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図8】同上における回転スイッチの磨耗発生時の要部断面図を示す。
【図9】同上における回転スイッチの凹部の縁部にR加工を施した際の要部断面図を示す。
【図10】本発明の実施形態2における回転スイッチの要部拡大図を示す。
【図11】従来例における回転スイッチの要部断面図を示す。
【図12】同上における回転スイッチの別形態の要部断面図を示す。
【図13】同上における回転スイッチの別形態の要部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態の回転スイッチについて図1〜3を用いて説明を行う。
【0029】
本実施形態の回転スイッチは、図1〜3に示すように、一面に凹部1aが形成されるケース1と、一面にケース1を収納するための円形の凹部2aが形成されるハウジング2と、ケース1の凹部1aに配設される複数(本実施形態では3つ)の固定端子3と、ケース1の一面に対向して配設される可動板4と、可動板4に連結される摺動体5と、摺動体5が挿通する挿通孔6aが形成されてケース1の一面に覆設されるカバー6と、摺動体5とカバー6との間に介装されるOリング7と、摺動体5に連結されるレバー8とから構成される。
【0030】
ケース1は、図3に示すように、樹脂等の絶縁材料から形成され、3つの固定端子3をそれぞれ収納する3つの凹部1aが形成されるケース本体部11と、ケース本体部11の側面から延設されて挿通孔12aが形成される固定部12とから構成される。
【0031】
また、ケース本体部11は、固定部12が形成される側面と直角をなす側面に、当該ケース本体部11の側面から凹部1aの内壁まで挿通する3つの挿通孔1bが形成されている。
【0032】
ハウジング2は、一面に凹部2aが形成されるハウジング本体部21と、ハウジング本体部21の側面から延設されて凹部2aの内壁からハウジング2の外部まで連通する3つの挿通孔2bが形成されるコネクタ部22とから構成される。また、ハウジング本体部21には、凹部2aの内壁からハウジング本体21外まで連通する貫通孔2cが形成されている。
【0033】
そして、ハウジング2には、ケース1が一体成型されて凹部2a内にケース本体部11が収納されてケース1の固定部12がハウジング本体部21の貫通孔2cを挿通してハウジング2の外部に突出する。また、ハウジング2の3つの貫通孔2bが、ケース1の3つの挿通孔1bにそれぞれ連通する。
【0034】
固定端子3は、略扇形の平板からなりケース1の凹部1a内に配設される固定接点31と、固定接点31の側縁から延設されてケース1の挿通孔1bを挿通する端子部32とから構成されている。ここで、3つの固定端子3の各固定接点31は、インサート成型により、ケース1の3つの凹部1a内に互いに隔離された状態で配設され、ケース1の一面から露出する。詳しく説明すると、ケース1には、3つの固定接点31の外形に合わせた3つの略扇形の凹部1aがそれぞれ形成されており、凹部1aの深さ寸法が固定接点31の厚み寸法よりも0.05mm長く設定されている。そして、図1に示すように、固定接点31の側端に対向する凹部1aの内壁は、開口側の縁部1cが、固定接点31側へ突出している。つまり、凹部1aにおける開口の縁部1cが、固定接点31の厚み方向において、固定接点31の一面の端部31aに重なっている。
【0035】
また、各端子部32には、ハウジング2の挿通孔2bを介してケース1の3つの挿通孔1b内へそれぞれ挿入されるハーネス9が例えば半田付け等によって接続される。
【0036】
可動板4は、図3に示すように、ケース1の一面に対向して当該ケース1の一面に平行な平面で回転自在に設けられている。そして、可動板4は、略三角枠状の基板41と、当該基板41の3つの各頂点から基板41の側縁に沿って略円弧状に各々延設される3つの可動接点42とから構成される。
【0037】
可動接点42は、円周方向に沿ってスリット43が形成されて当該スリット43を介して対向する一対の接触片42A、42Bとから構成される。ここで、接触片42Aは、基板41と中心が同一である半径11mmの円周上に位置し、接触片42Bは、半径8mmの円周上に位置する。
そして、一対の接触片42A,42Bは、先端に向かうに従ってケース1の一面側へ傾斜し、先端側に曲率半径が0.3mmの湾曲部42aがそれぞれ形成される。以下、湾曲部42aの内、ケース1の一面側に最も近い箇所を頂部42bと称し、頂部42bよりも基板41側を基端部42c、頂部42bよりも先端側を先端部42dと称する。ここで、3つの湾曲部42aの各頂部42bは、基板41の中心を回転中心として120度間隔で各々設けられている。
【0038】
摺動体5は、円板状の支持体51と、当該支持体51の一面側に突設される円柱状の連結部52とから構成され、支持体51の他面が可動板4に対向する。そして、支持体51の他面には、可動板4の基板41の3つの頂点近傍に形成される挿通孔41aを各々挿通する図示しない3つの支持突部が突設されている。ここで、支持突部は、先端が挿通孔41aの外径よりも大きくなるように拡径されており、3つの支持突部が3つの挿通孔41aをそれぞれ挿通することで、可動板4が摺動体5に支持される。
【0039】
カバー6は、略ドーム状に形成されてその頂部に貫通孔6aが形成されており、当該挿通孔6aを摺動体5の連結部52が挿通した状態でケース1の一面に覆設される。
【0040】
Oリング7は、連結部52に挿通されてカバー6の挿通孔6aと摺動体5の連結部52との間に発生する隙間を埋める。
【0041】
レバー8は、円筒状の接続部81と、接続部81の一端側の外周部から外側方向へ延設される延設部82とから構成される。そして、レバー8は、接続部81の内径部81aに摺動体5の連結部52が嵌め込まれることで摺動体5に連結される。また、延設部82の先端側には、挿通孔82aが形成されており、当該挿通孔82aを挿通する図示しないねじが、図示しない検知対象物のねじ孔に螺合することで、当該検知対象物とレバー8とが接続される。
【0042】
上記構成からなる本実施形態の回転スイッチは、検知対象物が回転すると、当該回転に伴ってレバー8が回転し、当該レバー8に連結された摺動体5も連動して回転する。これにより、摺動体5に支持されている可動板4が回転し、当該可動板4の可動接触子42がケース1の上面を摺動する。そして、3つの可動接点42の各湾曲部42aの内のいずれか2つが、3つの固定接点31の内のいずれか2つに接触することで、可動板4を介して2つの固定接点31間が導通する。なお、3つの可動接点42の各湾曲部42aが、3つの固定接点31に同時にそれぞれ接触してもよい。
【0043】
ここで、可動接点42が、固定接点31上を図1において右方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの基端部42cが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。
【0044】
そして、当該接触後は、湾曲部42aが、凹部1aにおける開口の縁部1c上を摺動して上方へ変位するため、可動接触子42が固定接点31から離間し、可動板4と固定端子3との間が非導通状態となる。つまり、可動板4と固定端子3との導通状態が切り替わる位置X1(以下、切替位置と称する)が、可動板4の回転方向において、凹部1aの側縁1cよりも固定接点31側となる。そのため、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。
【0045】
従って、本実施形態の回転スイッチは、固定接点31の側縁の状態(例えば、バリや液ダレ等)に影響を受けることがなく、可動板4の回転に応じて、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0046】
また、可動接点42が、固定接点31上を図1において左方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの先端部42dが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。つまり、上記同様に、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。従って、可動板4の回転方向に拠らず、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0047】
また、製造誤差により、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成されたとする。その場合、図4(a)、(b)に示すように、従来例の回転スイッチでは、切替位置が予め設定されている設計値(位置)X3からずれてしまう。なお、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm薄く形成された場合も同様に、従来例の回転スイッチでは、切替位置が予め設定されている設計値(位置)からずれてしまう。
【0048】
詳しく説明すると、固定接点の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成された場合、切替位置が、位置X3より固定接点から離れる側へ0.0768mmずれて、可動板4の回転位置を角度に換算すると1.1度のずれが発生する。
【0049】
これに対して、本実施形態の回転スイッチでは、図5(a)、(b)に示すように、固定接点31の厚みが予め設定されている厚みよりも、例えば0.01mm厚く形成された場合、切替位置が位置X1からケース1に近づく側へ0.0162mmずれる。これは、可動板4の回転位置を角度に換算すると0.23度となる。つまり、本実施形態の回転スイッチは、製造誤差等によって固定接点31の厚みに誤差が生じた場合であっても、固定接点の一面とケースの一面とが面一である、図11に示した従来の回転スイッチに比べて、切替位置のずれを抑制することができる。
【0050】
従って、本実施形態の回転スイッチでは、固定接点31の厚み方向において、製造誤差等によってケース1の一面と固定接点31の一面との相対位置が、予め設定された位置からずれたとしても、切替位置のずれを抑制することができる。
【0051】
そのため、図6に示すように、可動接点42が摺動することで固定接点31の一面が磨耗した場合や、図7に示すように、可動接点42が摺動することでケース1の一面が磨耗した場合にも、上記同様に切替位置のずれを抑制することができる。
【0052】
また、図8に示すように、可動接点42自体が摺動により磨耗した場合にも、上記同様に切替位置のずれを抑制することができる。
【0053】
また、図9に示すように、凹部1aの開口における縁部1cは、ケース1の上面と固定接点31との上下方向における距離hの略1/2の寸法のR加工が施されていてもよい。その場合、上記R加工の寸法に、製造誤差(成型収縮等)が生じたとしても、縁部1cが直角に形成されて当該縁部の寸法に誤差が生じる場合に比べて、切り替え位置のずれを抑制することができる。なお、固定接点31をケース1にインサート成形するために用いられる金型を製作する際、金型において上記縁部1cに対向する箇所は、機械加工または放電加工により容易に製作することができる。
【0054】
(実施形態2)
本実施形態の回転スイッチについて図10を用いて説明を行う。
【0055】
本実施形態の回転スイッチは、凹部1aにおける開口の縁部に段部1fが形成されている点のみが実施形態1と異なっている。なお、その他の構成については実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態の回転スイッチが備えるケース1は、凹部1aの開口縁部1cに、当該凹部1a内に配設される固定接点31の一面と面一となる底面1dと、底面1dから可動板4側へ底面1dに対して垂直に延設される壁部1eとからなる段部1fが形成されている。
【0057】
そして、可動接点42が、固定接点31上を図10における右方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの基端部42cが、段部1fの壁部1e(縁部1c)に接触する。ここで、湾曲部42aが、縁部1cに当接した際の頂部42bの位置を切替位置X2とする。
【0058】
そして、当該接触後は、湾曲部42aが、縁部1c上を摺動して上方へ変位するため、可動接触子42が固定接点31から離間し、可動板4と固定端子3との間が非導通状態となる。ここで、可動板4の回転方向における段部1fの底面1dの寸法をR1、段部1fの壁部1eから切替位置X2までの寸法をR2とする。そして、寸法R1が、寸法R2よりも短く設定されることで、可動接点41が固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。
【0059】
従って、本実施形態の回転スイッチは、固定接点31の側縁の状態(例えば、バリや液ダレ)に影響を受けることがなく、可動板4の回転に応じて、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【0060】
また、可動接点42が、固定接点31上を図10において左方向へ摺動してケース1側へ移動する場合、湾曲部42aの頂部42bが、固定端子31の縁部31aに達するよりも前に、湾曲部42aの先端部42dが、凹部1aにおける開口の縁部1cに接触する。つまり、上記同様に、可動接点41が、固定接点31における一面の側端31aに接触することがない。従って、可動板4の回転方向に拠らず、精度よく所望の回転位置で固定接点3と可動板4との導通状態を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ケース
1a 凹部
1c 縁部
2 ハウジング
3 固定端子
4 可動板
31 固定接点
42 可動接点
42a 湾曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に凹部が形成される絶縁材料からなるケースと、
前記凹部に収納され、この凹部から露出する固定接点を有する固定端子と、
前記ケースの一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、前記凹部側へ突出して前記回転に伴い前記ケースの一面上を摺動し、前記固定接点の一面に接離する湾曲部が形成された可動接点を有する可動板とを備え、
前記湾曲部の回転軌跡上において、少なくとも前記凹部の開口の縁部は、前記固定接点よりも前記可動接点側に位置し、前記可動板の回転方向において、前記開口の縁部と前記凹部の内壁に対向する前記固定接点の側端との位置がずれていることを特徴とする回転スイッチ。
【請求項2】
前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点に重なる側へずれていることを特徴とする請求項1記載の回転スイッチ。
【請求項3】
前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点から離れる方向へずれており、前記開口の縁部と前記固定端子の側端との間の寸法は、前記可動板が回転して、前記可動接点が前記固定接点上を摺動し、前記湾曲部が前記固定接点の側縁に当接するよりも前に前記開口の縁部に当接する寸法に設定されることを特徴とする請求項1記載の回転スイッチ。
【請求項4】
前記凹部の開口の縁部は、前記凹部の深さ方向における前記ケースの一面と前記固定接点の一面との間の距離の1/5〜1/2の寸法のR加工が施されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の回転スイッチ。
【請求項1】
一面に凹部が形成される絶縁材料からなるケースと、
前記凹部に収納され、この凹部から露出する固定接点を有する固定端子と、
前記ケースの一面に対向して当該一面に対して略平行な平面で回転自在に設けられ、前記凹部側へ突出して前記回転に伴い前記ケースの一面上を摺動し、前記固定接点の一面に接離する湾曲部が形成された可動接点を有する可動板とを備え、
前記湾曲部の回転軌跡上において、少なくとも前記凹部の開口の縁部は、前記固定接点よりも前記可動接点側に位置し、前記可動板の回転方向において、前記開口の縁部と前記凹部の内壁に対向する前記固定接点の側端との位置がずれていることを特徴とする回転スイッチ。
【請求項2】
前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点に重なる側へずれていることを特徴とする請求項1記載の回転スイッチ。
【請求項3】
前記開口の縁部は、前記可動板の回転方向において、前記固定接点から離れる方向へずれており、前記開口の縁部と前記固定端子の側端との間の寸法は、前記可動板が回転して、前記可動接点が前記固定接点上を摺動し、前記湾曲部が前記固定接点の側縁に当接するよりも前に前記開口の縁部に当接する寸法に設定されることを特徴とする請求項1記載の回転スイッチ。
【請求項4】
前記凹部の開口の縁部は、前記凹部の深さ方向における前記ケースの一面と前記固定接点の一面との間の距離の1/5〜1/2の寸法のR加工が施されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の回転スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−210452(P2011−210452A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75459(P2010−75459)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510086501)パナソニック電工朝日株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510086501)パナソニック電工朝日株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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