説明

回転デコレーションケーキ台

【課題】安価、かつ相互に滑りのよいポリオレフィン系樹脂の薄いシートからの真空成型で容易に製品化でき、ケーキ台の断面形状に工夫を加え薄くても十分な強度を有する回転デコレーションケーキ台とする。
【解決手段】ポリプロピレンシートの真空成形による成形品の回転板1とその支持台2とからなり、回転板1は浅い外周壁11と外周フランジ12を有するケーキ受け面13となる円板状で構成され、支持台2は深絞り円形台であって中央円筒状の軸受突起21と外周ドーナツ状の周レール突起22で構成され、回転板1のケーキ受け面13は同心円状に複数の周溝リブ14と、複数の放射状リブ15で補強され、中央の周溝リブ14で前記支持台2の軸受突起21に被さる軸受リブ16を形成し、中間の周溝リブ14で前記支持台2の周レール突起22に被さる摺接リブ17を形成してなることを特徴とする回転デコレーションケーキ台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形等の大型洋菓子スポンジ台すなわちケーキ台に生クリーム等でデコレーションを施す回転デコレーションケーキ台に関する。
【背景技術】
【0002】
回転デコレーションケーキ台は、円形を基調とするパウンドケーキ(スポンジ)に生クリームや果物等でデコレーションを施すのに便利なため、古くから各種の材質で種々の形状に組み立てたものが多く提案されている。このような回転デコレーションケーキ台は、ほぼ同じ形状の円板を2枚重ね、下方の円板を支持台にし、上方の円板を回転板にしたものが一般的で、出来上がったデコレーションケーキを等分に切り分けるための目盛が回転板に施されている(例えば、特許文献1、又は特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭62−43477号公報
【特許文献2】実開昭64−04275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の製品は、合成樹脂の場合、プレス成形品が多く使用され、一部高級品にはアルミ合金のダイカスト成形品も見られる。これらの回転板の回転機構には、円板の中心軸を凹凸で位置決めし、円板の外周付近に複数の突起を設けたもの(特許文献1)や円板の中心で回転板を固定板に自由状態でカシメて、固定板周辺に設けた複数のローラで支持する構造(特許文献2)のほか、固定板の外周溝内に複数の金属ボールを設けて回転板を支持するなどがある。いずれにしても従来製品の回転板は重量物であるし、回転機構も複雑で、いきおいコスト高にならざるを得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、回転デコレーションケーキ台の主要な構成は、ポリオレフィン系樹脂シートの真空・圧空成形による成形品の回転板とその支持台とからなり、回転板は浅い外周壁と外周フランジを有するケーキ受け面となる円板状で構成され、支持台は深絞り円形台であって中央円筒状の軸受突起と外周ドーナツ状の周レール突起で構成され、回転板のケーキ受け面は同心円状に複数の周溝リブと、複数の放射状リブで補強され、中央の周溝リブで前記支持台の軸受突起に被さる軸受リブを形成し、中間の周溝リブで前記支持台の周レール突起に被さる摺接リブを形成してなることを特徴とする。
【0006】
このような回転デコレーションケーキ台は、安価、かつ相互に滑りのよいポリプロピレンや硬質ポリエチレンの薄いシートからの真空成型で容易に製品化でき、ケーキ台の断面形状に工夫を加えたために薄くても十分な強度が得られる。特に、回転板上面のケーキ受け面は同心円状に複数の周溝リブで円板の強度を高めるとともに、その一部の周溝リブを支持台との円滑な摺接条を形成でき、複数の放射状リブで補強され、その放射状リブを切り分ける際の目盛の役目を果たすことになる。
【0007】
支持台の構造には、更にその中央円筒状の軸受突起が段付周壁で形成され、外周ドーナツ状の周レール突起は上面が上方に断面円弧状の突起で構成する。このことにより支持台の強度を高め、かつ支持台上に載置した回転板を円滑に回わすことのできる回転デコレーションケーキ台が得られる。
【0008】
支持台は、更にまた、その外周ドーナツ状の周レール突起に対し、その外周壁に複数の補強リブと外周壁から外方に接面フランジを形成してケーキの荷重に対する支持強度とテーブル面上への載置安定性を高めるリブ構造を採用した。
【0009】
回転板に対しても、その外周壁の周囲に等間隔の複数の縦リブを設けて強度を高めるとともに、その縦リブ部分を色付けして、デコレーションや切り分けに便利な目盛と兼用する回転デコレーションケーキ台とした。
【0010】
回転板の外周フランジには、その外方に向けて複数の張り出しフランジと上方への膨出リブからなる回転つまみを設けて、回転デコレーションケーキ台の自由な往復回転操作をすることができるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転デコレーションケーキ台は、以上のような材質、成型方法及び支持台と回転板のシート補強リブ構造としたために、安価、かつ相互に滑りのよいポリプロピレンや硬質ポリエチレンの薄いシートが利用でき、しかも安価かつ成形の容易なシートからの真空・圧空成型で容易に製品化できる。
【0012】
支持台も回転台も工夫された補強リブやフランジの有効活用によって、薄いシート、例えば0.5mm〜1mm厚前後のシートであっても、ケーキの重さに十分耐えることのできる回転デコレーションケーキ台が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の回転デコレーションケーキ台の回転板の平面図である。
【図2】本発明の回転デコレーションケーキ台の支持台の平面図である。
【図3】図1の回転板のA−A断面図である。
【図4】図1の回転板のB−B断面図である。
【図5】図2の支持台のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の回転デコレーションケーキ台の実施形態につき、図に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の回転デコレーションケーキ台の回転板を示す平面図であり、図2は回転デコレーションケーキ台の支持台を示す平面図である。
【0015】
これらの図から明らかなように、回転デコレーションケーキ台は、ポリプロピレンシートの真空成形による成形品の回転板1とその支持台2とからなり、いずれも厚さ0.8mmの薄いシートを用いて成形する。回転板1は例えば直径200mmの場合、15mm程度の浅い外周壁11とその外方へ張り出した3mm程度の外周フランジ12を有するケーキ受け面13となる円板状で構成される。また、支持台2は深絞り円形台であって、中央は円筒状の軸受突起21と外周はドーナツ状の周レール突起22で構成される。
【0016】
一方、回転板1のケーキ受け面13には同心円状に複数の、この場合は5本の周溝リブ14と、中央の周溝リブから外方へ、この場合6方向への放射状リブ15が設けられて回転板1が補強され、周溝リブ14の中央部で前記支持台2の軸受突起21に被さる軸受リブ16を形成し、外方の周溝リブ14で前記支持台2の周レール突起22に被さる摺接リブ17を形成している。
【0017】
このような回転デコレーションケーキ台は、図3〜図5の断面図に示されるように安価、かつ相互に滑りのよいポリプロピレンや硬質ポリエチレンの薄いシートからの真空成型で容易に製品化でき、ケーキ台の断面形状に工夫を加えたために薄くても十分な強度が得られる。特に、回転板1上面のケーキ受け面13は同心円状に複数の周溝リブ14で円板の強度を高めるとともにその一部である2本の周溝リブ14、14間で形成した上方へ円弧状の摺接リブ17によって支持台2の周レール突起22と重なって円滑な摺接条を形成でき、複数の放射状リブ15によっても補強されるとともにその放射状リブ15そのものをケーキの切り分けに際して、目盛の役目を果たすことになる。
【0018】
支持台2の構造には、更にその中央円筒状の軸受突起21は段付周壁23で形成され、外周ドーナツ状の周レール突起22は上面が上方へ断面円弧状の突起で構成する。このことにより強度が高まるうえに回転板1の摺接リブ17とのみ重なって全体として摩擦が少なく回転板1を円滑に回わすことのできる回転デコレーションケーキ台となる。
【0019】
支持台2は、更にその外周ドーナツ状の周レール突起22に対し、その外周壁24に複数の、ここでは12本の縦方向の補強リブ25と外周壁24から外方に接面フランジ26を形成して強度増大と調理テーブル面上への載置安定性を高めている。接面フランジ26の形状は、図2に示す例の場合、正方形であるが、六角形周レール突起22の強度は外周壁24基部の外周段27と内周壁28基部の内周段29とで全周をリブ構造としている。
【0020】
回転板1に対しても、更にその外周壁11の周囲に等間隔の複数、この例では8条の溝状の縦リブ18を設けて強度を高めるとともに、そのリブを色付けしてデコレーションや8分割の切り分けに便利な横からも見やすい目盛として、本発明の回転デコレーションケーキ台とした。
【0021】
回転板1の外周フランジ12は、その外方に向けて複数、この例では4個の張り出しフランジと上方への膨出リブからなる回転つまみ19を設けて回転板1を手によって回しやすくし、回転デコレーションケーキ台の自由な往復回転操作をすることができるようにしている。
【符号の説明】
【0022】
1 回転板
2 支持台
11 外周壁
12 外周フランジ
13 ケーキ受け面
14 周溝リブ
15 放射状リブ
16 軸受リブ
17 摺接リブ
18 縦リブ
19 回転つまみ
21 軸受突起
22 周レール突起
23 段付周壁
24 外周壁
25 補強リブ
26 接面フランジ
27 外周段
28 内周壁
29 内周段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂シートの真空・圧空成形による成形品の回転板とその支持台とからなり、回転板は浅い外周壁と外周フランジを有するケーキ受け面となる円板状で構成され、支持台は深絞り円形台であって中央円筒状の軸受突起と外周ドーナツ状の周レール突起で構成され、回転板のケーキ受け面は同心円状に複数の周溝リブと、複数の放射状リブで補強され、中央の周溝リブで前記支持台の軸受突起に被さる軸受リブを形成し、中間の周溝リブで前記支持台の周レール突起に被さる摺接リブを形成してなることを特徴とする回転デコレーションケーキ台。
【請求項2】
支持台の中央円筒状の軸受突起は段付周壁で形成され、外周ドーナツ状の周レール突起は上面が上方に断面円弧状の突起である請求項1記載の回転デコレーションケーキ台。
【請求項3】
支持台の外周ドーナツ状の周レール突起は、その外周壁に複数の補強リブと外周壁から外方に接面フランジを形成した請求項1又は2記載の回転デコレーションケーキ台。
【請求項4】
回転板の外周壁は、その周囲に等間隔の複数のリブからなる目盛を設けてなる請求項1記載の回転デコレーションケーキ台。
【請求項5】
回転板の外周フランジは、その外方に向けて複数の張り出しフランジと上方への膨出リブからなる回転つまみを設けた請求項1記載の回転デコレーションケーキ台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−254856(P2011−254856A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129276(P2010−129276)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(591030776)株式会社丸善 (4)
【Fターム(参考)】