説明

回転バレル用の回転容器

【課題】被研磨物の研磨作業の確実性と、効率化を図る、又は研磨精度の向上を図る。
【解決手段】樹脂製の回転体11を、一方開口の本体と、本体の内面側の長手方向に向って形成された多数条の凹凸部で構成し、回転体に収容される回転籠20を、本体の凸部の頂面に摺設する対の環状体と、環状体間で、かつ長手方向に向って形成した複数本の帯状の差渡し板で構成し、回転体に、回転籠を自転可能に収容するとともに、開口に蓋12を取付ける構成とした回転バレル用の回転容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型を介して、樹脂の常温加硫で成形する回転体と、この回転体に間隔をおいて、自転可能に設置(内装)される回転籠とでなる回転バレル用の回転容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回転バレル用の回転容器は、本出願人が提案する特開2006−43538の「プレートミックスミル」で提案する簡易形の回転ミル装置である。このミル装置は、回転軸(モータ内蔵方式であるが、一例である)の上に、回転容器を設置する構造であり、この回転軸の回転(駆動)を利用し、この回転容器を回転可能とする構成となっている。従って、簡易な装置を介して、確実かつ低コストで研磨できる特徴があり、有益かつ重宝する。本発明の回転バレル用の回転容器も、このミル装置に設置される構造である。
【0003】
次に、本発明と、構造及び/又は作用に関して、関連性を有するミルドラムと、ボールミルに関する先行文献を挙げる。
1) 文献1は、米国特許第5390866号の「ミルドラム」で、粉砕用のミルドラムであって、鉱石、石炭類を粉砕することを意図する。このミルドラムは内側に、何種類かの高さの違う棒と小型の突起を設けた構造であり、この棒と突起を利用して、粉砕物(砕料)を掬い上げ、この砕料の自重で落下するとともに、この落下時に、粉砕処理する構成である。その特徴は、砕料を、細かい粒子に妨げられずに、棒に絡み付けて掬い上げ、また粉砕製品を、突起の隙間から自由に落下させることにある。
2) 文献2は、特開平6−47304号の「温度制御付き回分式遊星ボールミル」であって、大型、かつ装置に備え付けられるボールミル装置である。このボールミルは、公転と自転可能なミルケーシングと、このケーシング内に設けたミルポットが、公転しつつ自転する構造であり、このミルポット内の粉体処理、又は純度の高い合金を得ることを意図する。
3) 文献3は、実公平6−32195号の「連続式遊星ボールミル」であって、大型、かつ装置に備え付けられるボールミル装置である。このボールミルは、自転する主軸に、公転する複数のミルポットを均等に設け、この主軸の回転を介して、ミルポットを公転しつつ、このミルポット自身が自転する構造であり、ミルポットを一々停止することなく、操業中に所望の粉砕媒体の補充を容易に行うことができる特徴と、また遠心力と、ミルポットの公転・自転とを介して、生産性の向上と製品の品質安定を図ることを意図する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5390866号
【特許文献2】特開平6−47304号
【特許文献3】実公平6−32195号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献1の発明は、粉砕用のミルドラムであり、棒と小型の突起では、内容物(砕料)の粉砕は可能であるが、このミルドラムに収容した被研磨物を、研磨材(研磨粒子)との接触及び/又は磨耗を介して、効率よく、かつ簡易に研磨すること、又はこの磨耗の際に、被研磨物を掬い上げ、上方からの落下を介して、効率よく、かつ簡易に研磨すること等は不可能と考えられる。そして、本発明との、相違点を述べると、このミルドラムには、駆動源を要せずに、自転する環状体と差渡し板で構成する回転籠を備えた構造でないので、内容物(砕料)の粉砕は可能としても、十分な効果が得られないと考えられること、殊に、本発明が意図する被処理物の研磨作業には、不向きと考えられること等の改良点が挙げられる。
【0006】
また文献2の発明は、複数のミルポットを、ミルケーシングに収容し、このミルケーシングの回転で公転しながら、当該ミルポットが自転する構造であり、メカニカルアロイング等の化学的な反応促進を図ることを意図する。そして、本発明と、相違点を述べると、このミルポットには、前記回転籠を備えた構造でないので、内容物(メカニカルアロイング等の化学的な反応促進)の処理は可能としても、本発明が意図する被処理物の研磨作業には、不向きと考えられる。
【0007】
さらに文献3の発明は、公転する主軸に複数のミルポットを自転可能に架承した構造であり、文献2と同様な内容を意図する。そして、本発明との、相違点を述べると、このミルポットは、前記回転籠を備えた構造でないので、内容物(処理粉体の分子構造の変換)の処理は可能としても、本発明が意図する被処理物の研磨作業には、不向きと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、回転籠の自転と、樹脂製の回転体の凹凸部との摺設及びこの回転籠の外形寸法を、回転体の凹凸部の内径寸法に対して、小径に形成する構成とし、被研磨物の研磨作業の確実性と、効率化を図ること、又は研磨精度の向上を図ること等を意図する。またこの請求項1の発明は、回転籠に設けた差渡し板を介して、被研磨物を、確実に掬い上げ、かつその後、落下させる構造を採用し、この被研磨物の流動化と、この流動化を介して、研磨作業の短縮化と、効率化を図ること、又は研磨精度の向上を図ること等を意図する。さらに請求項1の発明は、樹脂製の回転体とすることで、この回転体の軽量化を図りつつ、回転装置に係る負担を軽減し、かつ駆動に要する資源の減少化と、CОの減少化等を図ることを意図する。
【0009】
請求項1は、樹脂製の回転体を、一方が開口された筒状の本体と、この本体の内面側の長手方向に向って形成された多数条の凹凸部とで構成し、この回転体に収容される回転籠を、前記本体の凸部の頂面に摺設する対の環状体と、この環状体間で、かつ前記長手方向に向って形成した複数本の帯状の差渡し板とで構成し、前記回転体に、この回転籠を自転可能に収容するとともに、前記開口に蓋を取付ける構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転籠の構造を提供することを意図する。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転籠の帯状の差渡し板が、取付け基端側を平板部とし、開放側を傾斜状の掬い部とする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転体の本体と、この本体に着脱自在に取付けられる蓋の構造を提供することを意図する。
【0013】
請求項3は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この本体の一方の開口に止め杆を立設し、この止め杆に蓋と、止め具を取付ける構成とし、この止め具を、前記本体の凸部に複数本立設する構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転体の蓋の構造を提供することを意図する。
【0015】
請求項4は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この蓋には、この回転体の内部が視認できるように透明窓を設ける構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転籠の構造を提供することを意図する。
【0017】
請求項5は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転籠の環状体を丸棒鋼材で構成し、また差渡し板を鋼板で構成し、この環状体及び/又は差渡し板を、樹脂でコーティングする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転体の成形方法と、この回転体の構造を提供することを意図する。
【0019】
請求項6は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転体を、成形型を介して、樹脂の常温加硫で成形する構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項3の目的を達成すること、この目的を達成するために最適な回転体の本体に設けた止め具の構造を提供することを意図する。
【0021】
請求項7は、請求項3に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この止め杆を、螺軸とし、止め具を蝶ナットとする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、樹脂製の回転体を、一方が開口された筒状の本体と、本体の内面側の長手方向に向って形成された多数条の凹凸部とで構成し、回転体に収容される回転籠を、本体の凸部の頂面に摺設する対の環状体と、環状体間で、かつ長手方向に向って形成した複数本の帯状の差渡し板とで構成し、回転体に、回転籠を自転可能に収容するとともに、開口に蓋を取付ける構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0023】
従って、請求項1は、回転籠の自転と、樹脂製の回転体の凹凸部との摺設及びこの回転籠の外形寸法を、回転体の凹凸部の内径寸法に対して、小径に形成する構成とし、被研磨物の研磨作業の確実性と、効率化が図れること、又は研磨精度の向上が図れること等の特徴を有する。またこの請求項1は、回転籠に設けた差渡し板を介して、被研磨物を、確実に掬い上げ、かつその後、落下させる構造を採用し、この被研磨物の流動化と、この流動化を介して、研磨作業の短縮化と、効率化が図れること、又は研磨精度の向上が図れること等の実益がある。さらに請求項1は、樹脂製の回転体とすることで、この回転体の軽量化を図りつつ、回転装置に係る負担を軽減し、かつ駆動に要する資源の減少化と、CОの減少化等が図れる実益を有する。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
回転籠の帯状の差渡し板が、取付け基端側を平板部とし、開放側を傾斜状の掬い部とする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0025】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転籠の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
本体の一方の開口に止め杆を立設し、止め杆に蓋と、止め具を取付ける構成とし、止め具を、本体の凸部に複数本立設する構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0027】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転体の本体と、この本体に着脱自在に取付けられる蓋の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
蓋には、回転体の内部が視認できるように透明窓を設ける構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0029】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転体の蓋の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0030】
請求項5の発明は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
回転籠の環状体を丸棒鋼材で構成し、また差渡し板を鋼板で構成し、環状体及び/又は差渡し板を、樹脂でコーティングする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0031】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転籠の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0032】
請求項6の発明は、請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
回転体を、成形型を介して、樹脂の常温加硫で成形する構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0033】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転体の成形方法と、この回転体の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項7の発明は、請求項3に記載の回転バレル用の回転容器であって、
止め杆を、螺軸とし、止め具を蝶ナットとする構成とした回転バレル用の回転容器である。
【0035】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するために最適な回転体の本体に設けた止め具の構造を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の一例を説明する。
【0037】
図面の説明をすると、図1は回転容器を回転(駆動)する回転装置と、回転容器との関係を説明する縮尺斜視図、図2は回転容器を立設した状態の一部欠截の斜視図、図3は回転籠を横設した状態の斜視図、図4は回転容器の要部を示した拡大俯瞰図、図5は回転容器に回転籠をセット(収容)し、その中に被研磨物と、研磨材を収容した状態の斜視図、図6は図5の状態に透明窓を有する蓋を取付けた状態の平面図、図7は回転容器に回転籠をセットし、この少なくとも回転籠に被研磨物と、研磨材を収容し、かつ蓋を取外した状態の要部斜視図である。
【0038】
最初に、回転装置1の一例を説明すると、フレーム2(開放型の外枠)と、このフレーム2に適宜の傾斜角度で設けられる駆動部3と、この駆動部3を支持する枠形状を呈する複数の差渡し棚板5(内枠)と、を主構造とする。そして、この差渡し棚板5の傾斜角度は、適宜変更可能とする。また駆動部3は、前記差渡し棚板5に回転自在に軸止したモータ内蔵の回転ローラ300(他の駆動ローラでも可能である)と、同様に回転自在に軸止した補助ローラ301(従動ローラ)とを交互に設置する構造とする。この回転ローラ300と補助ローラ301の間に、後述する回転容器を架承する。この状態において、回転ローラ300を駆動すると、この回転ローラ300と、回転容器との接触を介して、この回転容器が所定の方向及び/又は回転速度で回転する。この回転の際に、補助ローラ301が従動回転する構造である。図中6は電動装置、7は回転ローラ300及び/又は補助ローラ301の鍔片を示す。またこの回転ローラ300及び/又は補助ローラ301には、回転容器との摩擦抵抗の向上と、スリップ防止(回転及び/又は伝達の効率化)を図るために、例えば、ゴム、樹脂等でなるスリップ防止手段が設けられている。以上で詳述した回転装置1は、一例であり、他の手段であっても、主として、横設及び/又は傾斜方式で回転する機構であれば限定されない。
【0039】
回転容器10は、樹脂製の回転体11と、この樹脂製の回転体11の内面に適宜間隔S1をおいて設けられた回転籠20とを主構造とする。先ず、回転体11は、二液性のポリウレタン樹脂を、図示しない金型を介して、常温加硫で成形する本体1100と、この本体1100の開口(後述する)に取付けられる蓋12とで構成される。そして、この本体1100の内面に凹凸部14、15(波形形状が望ましい)を形成する。また、この本体1100の一方側を閉塞1100aし、他方側を開口1100bとする。尚、蓋12も同様に、図示しない金型を介して、常温加硫で成形し、樹脂製の透明窓1201を設ける構造であり、必要により鋳込み成形をすることも可能である。そして、この蓋12には、止め杆16用の孔1200を複数個開設する。またこの止め杆16は、本体1100の肉厚の薄肉化を図ることから、凸部15に立設することが望ましい。また強度的にもこの箇所が有益である。またこの止め杆16を介して、前記開口1100bに蓋12を取付けるには、この各止め杆16を、各孔1200に挿入し、この蓋12で開口1100bを塞いだ後に、この各止め杆16の先端螺子部に、止め具17(蝶ナット)を緊締することで、この蓋12が本体1100に密着状態に取付けられる。そして、この蓋12は、透明窓1201を有することから、内部を容易に視認できる特徴がある。またこの凹凸部14、15は、研磨の効率化・品質の向上、被研磨物W及び/又は研磨材Aへの緩衝効果(破壞防止、耐久性の向上等)、又は本体1100の耐摩耗性の向上等に好影響を与えることが考えられる。さらに回転容器10の長手方向においても、樹脂製の回転体11と、回転籠20との間に、適宜間隔S2を形成することで、組立ての容易化(後述する蓋12の取付け)と、この回転籠20の自転の確保が図れ、有益であること等の利点がある。
【0040】
尚、前記ポリウレタン樹脂で、本体1100と蓋12の外周部を成形することで、例えば、消音効果と、耐摩耗性の向上と、軽量化、落下による破損の減少化、または前述の如く、常温加硫で成形できること等の特徴と、実効性を備えた構造となる。また金型は、各種の金属型に限定されず、木型、樹脂型、石膏型、又は紙型でも可能であり、重宝すること、環境に優しいこと、オーダーメイドが可能となり、さらには回転装置1の寸法の大小、その凹凸部14、15の形状及び/又は寸法の大小・形態等の調整が可能となること等の実用的な特徴を備えた構造である。
【0041】
また回転籠20は、前記本体1100の凸部15の頂面に摺設する対の環状体21と、この環状体21間で、かつ前記長手方向に向って形成した複数本の帯状の差渡し板22とで構成する。そして、この差渡し板22は、取付け基端側を平板部2200とし、開放側を傾斜状の掬い部2201とする構成とした。これにより、次のような特徴が発揮できる。即ち、この掬い部2201で、被研磨物Wを確実に掬い、そして、平板部2200で、この掬った被研磨物Wを水平に支持した状態で、かつ回転体11の凹凸部14、15に誘導されるように持上げられている。この持上げとともに、回転籠20が、順次、自転する。この自転する回転籠20が、回転体11の頂面やや下方に至り、この平板部2200が傾斜するに従って、この平板部2200の傾斜面をスライドし、かつ凹凸部14、15の誘導から開放されて、掬い部2201の自由端から落下する構造である。このような、この被研磨物Wの上下移動と、回転体11の公転(回転)とによる総合的な動き(回転による動き及び/又はランダムな動き)を介して、研磨材Aとの接触が図れて研磨されて、バリの除去と、表面研磨が図れる特徴がある。そして、この回転籠20は、四本の差渡し板22が設けられている以外は、開放20aされており、この開放20aからこぼれた被研磨物Wと研磨材Aは、回転体11の凹凸部14、15に誘導かつ強制され、前述した総合的な動きを補助する構造である。尚、この回転籠20の環状体21を丸棒鋼材で構成し、また差渡し板22を鋼板で構成し、環状体21及び/又は差渡し板22を、例えば、前記樹脂でコーティングする構成とし、耐摩耗性の向上と、研磨の効率化・品質の向上、被研磨物W及び/又は研磨材Aへの緩衝効果等に好影響を与えることが考えられる。この回転籠20を、回転体11の内面に適宜間隔S1、S2をおいて設けることで、この回転籠20が自転し、またこの回転籠20が凸部15の頂面に摺設(接触)することで、公転する構造である。
【0042】
次に研磨作業の一例を説明すると、回転体11の開口1100bから、回転ローラ300と補助ローラ301に被研磨物Wと研磨材Aを投入し、この開口1100bの凸部15に設けた止め杆16に、蓋12の孔1200を差込み、この止め杆16に止め具17を緊締し、この蓋12で回転体11を密封する。この状態で、スイッチを入れ回転ローラ300を回転することで、被研磨物Wと研磨材Aが投入された回転容器10の回転(公転)と、回転籠20の自転(回転)が行なわれる。この公転と自転とを介して、前記被研磨物Wと研磨材Aのランダムな動きが発生し、この被研磨物Wの研磨作業が、繰返しかつ数時間実行される。この研磨作業の過程での消音と、緩衝効果、透明窓1201からの確認行為、並びに研磨の迅速化等が図れる。そして、研磨後の特徴は前述の通りである。この研磨後には、止め具17を螺戻(取外)し、止め杆16から蓋12を取外し、回転体11の開口1100bから仕上がり被研磨物(図示せず)と研磨材Aを取出すことで、研磨作業が終了する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は回転容器を回転(駆動)する回転装置と、回転容器との関係を説明する縮尺斜視図
【図2】図2は回転容器を立設した状態の一部欠截の斜視図
【図3】図3は回転籠を横設した状態の斜視図
【図4】図4は回転容器の要部を示した拡大俯瞰図
【図5】図5は回転容器に回転籠をセット(収容)し、その中に被研磨材と、研磨材を収容した状態の斜視図
【図6】図6は図5の状態に透明窓を有する蓋を取付けた状態の平面図
【図7】図7は回転容器に回転籠をセットし、この少なくとも回転籠に被研磨物と、研磨材を収容し、かつ蓋を取外した状態の要部斜視図
【符号の説明】
【0044】
1 回転装置
2 フレーム
3 駆動部
300 回転ローラ
301 補助ローラ
5 差渡し棚板
6 電動装置
7 鍔片
10 回転容器
11 回転体
1100 本体
1100a 閉塞
1100b 開口
12 蓋
1200 孔
1201 透明窓
14 凹部
15 凸部
16 止め杆
17 止め具
20 回転籠
20a 開放
21 環状体
22 差渡し板
2200 平板部
2201 掬い部
A 研磨材
S1 間隔
S2 間隔
W 被研磨物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の回転体を、一方が開口された筒状の本体と、この本体の内面側の長手方向に向って形成された多数条の凹凸部とで構成し、この回転体に収容される回転籠を、前記本体の凸部の頂面に摺設する対の環状体と、この環状体間で、かつ前記長手方向に向って形成した複数本の帯状の差渡し板とで構成し、前記回転体に、この回転籠を自転可能に収容するとともに、前記開口に蓋を取付ける構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項2】
請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転籠の帯状の差渡し板が、取付け基端側を平板部とし、開放側を傾斜状の掬い部とする構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項3】
請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この本体の一方の開口に止め杆を立設し、この止め杆に蓋と、止め具を取付ける構成とし、この止め具を、前記本体の凸部に複数本立設する構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項4】
請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この蓋には、この回転体の内部が視認できるように透明窓を設ける構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項5】
請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転籠の環状体を丸棒鋼材で構成し、また差渡し板を鋼板で構成し、この環状体及び/又は差渡し板を、樹脂でコーティングする構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項6】
請求項1に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この回転体を、成形型を介して、樹脂の常温加硫で成形する構成とした回転バレル用の回転容器。
【請求項7】
請求項3に記載の回転バレル用の回転容器であって、
この止め杆を、螺軸とし、止め具を蝶ナットとする構成とした回転バレル用の回転容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−72873(P2009−72873A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245514(P2007−245514)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(504214453)株式会社 ニュー・サンワ (5)
【Fターム(参考)】