回転体のトルク制限機構及びそのトルク制限機構を備えた重送防止機構
【課題】 トルク制限機構の回転トルクの設計自由度を広げる。
【解決手段】 回転軸2aと、該回転軸2aに回転自在に支持された回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面12aに対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材133、134を備え、複数の摩擦部材133、134が、それぞれ回転体12の内周面12aの異なる箇所(12b、12c)に接触するように配置される。
【解決手段】 回転軸2aと、該回転軸2aに回転自在に支持された回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面12aに対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材133、134を備え、複数の摩擦部材133、134が、それぞれ回転体12の内周面12aの異なる箇所(12b、12c)に接触するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体のトルク制限機構及びそのトルク制限機構を備えた重送防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどには、用紙を送り出す用紙送り出し機構に、一方向への回転のみを許容し逆方向への回転を阻止する逆回転防止機構を備えたローラを有している。
【0003】
この逆回転防止機構としては、回転軸と回転体との間に、周方向へ間隔をあけて配設された複数のコロをそれぞれバネによって一方向へ付勢したベアリング構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この逆回転防止機構では、回転軸に対する回転体の一方向への回転は許容するが、他方向への回転力が回転体に作用すると、コロがバネの付勢力に抗して移動し、このコロによって回転体が回転軸に係合し、回転軸に対する他方向への回転が防止される。
【0005】
また、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置において、紙の二重送りを防ぐとともに、紙詰まりの際に、紙送り出し機構を逆転させて詰まった紙を取り除くことができるトルク制限機構を備えたローラもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−63028号公報
【特許文献2】特許第3456882号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来技術による逆回転防止機構やトルク制限機構は、複雑な構造であるため、コストが高く、また、組み立て分解が困難であるという問題点を有している。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のような従来の逆回転防止機構やトルク制限機構が有している問題点を解決し、さらに改良を加えることがその一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のトルク制限機構は、回転軸と、該回転軸に回転自在に支持された回転体との間に介装され、回転力が前記回転体に作用した際に前記回転体の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材を備え、前記複数の摩擦部材が、それぞれ前記回転体の内周面の異なる箇所に接触するように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の重送防止機構は、フィードローラと、前記フィードローラに対峙した重送送り防止ローラと、を備える重送防止機構であって、前記重送送り防止ローラは請求項1〜5のいずれか1項に記載のトルク制限機構を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明者が先に特願2005−114639として出願した逆回転防止機構の説明を図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図7に示す逆回転防止機構は、例えば、印刷機のフィードローラなどの回転体を回転自在に支持する回転軸に回転規制部材が取り付けられ、この回転規制部材が、回転軸に対して正回転方向へ向かう回転力が回転体に作用した際に回転体の内周面に対して摺動して回転を許容し、回転軸に対して逆回転方向へ向かう回転力が回転体に作用した際に回転体の内周面に密着して回転を阻止するようになっているものである。
【0011】
図1及び図2は、特願2005−114639の逆回転防止機構を備えたローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
図1に示すように、用紙送り出し機構は、積層された用紙Pの上面にピックアップローラ1を接触させて引き出し、その後、この用紙Pを(リタードローラ)重送送り防止ローラ(リタードローラ)2に対峙したフィードローラ3よって一枚ずつ送り出し、さらに、図2に示すように、一対の送り出しローラ4に挟持させて搬送する構造を有している。
【0012】
ここで、フィードローラ3は、送り出しローラ4へ用紙Pが渡されて回転軸3aの回転が停止された後に、送り出しローラ4によって送り出される用紙Pによってつれ回りするように、一方向への回転のみを許容し、逆方向への回転を阻止する逆回転防止機構を備えている。
【0013】
次に、この逆回転防止機構について詳述する。
図3は、この実施例における回転体の逆回転防止機構を示す斜視図、図4は、逆回転防止機構の構成を説明する分解斜視図、図5は、逆回転防止機構の構造を説明する断面図、図6は、逆回転防止機構を備えたフィードローラの一部を断面視した平面図、図7は、逆回転防止機構の作用を説明する断面図である。
図3〜図6に示すように、フィードローラ3は、その側部に、逆回転防止機構11が設けられている。
【0014】
この逆回転防止機構11は、フィードローラ3と連結固定された円筒状の回転体12と、この回転体12の中心に挿通されたフィードローラ3の回転軸(シャフト)3aに取り付けられた回転規制部材13と、この回転規制部材13を回転軸3aに支持するブラケット14とを有している。
【0015】
ブラケット14は、回転軸3aに固定される固定部15と、この固定部15の一端にて側方へ延在した保持部16とを有する断面視L字状に形成されている。
【0016】
ブラケット14には、固定部15の端部近傍に係合孔17が形成されている。そして、このブラケット14は、その固定部15を、回転軸3aに形成された取付孔18に挿入し、その端部を回転軸3aの反対側へ突出させた状態にて、係合孔17へ係合ピン19を嵌合させて係止することにより、回転軸3aに取り付けられている。
そして、回転規制部材13は、その基端部がブラケット14の保持部16と回転軸3aとの間に挟持されて保持されている。
【0017】
回転規制部材13は、例えば、各種のゴム、エラストマ、スポンジあるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものや合成皮革、皮、布、不織布、注型(ウレタンなど)で、ブラケット14に保持された基端部から先端部へ向かって、回転軸3aの正回転方向αへ延在して湾曲されている。そして、この回転規制部材13の一部が回転体12の内周面に対して摺動可能に接触されている。
【0018】
そして、上記構造の逆回転防止機構11では、図7(a)に示すように、回転軸3aが正回転方向αへ回転すると、その回転力により、一部が回転体12の内周面に接している回転規制部材13が、弾性変形しながら回転体12の内周面に押圧されて密着する。また、このとき、ブラケット14の保持部16によって回転規制部材13の逆回転方向β側への変形が規制され、回転規制部材13の回転体12への良好な密着状態が維持される。
【0019】
これにより、回転体12は、回転規制部材13によって回転軸3aとともに、正回転方向αへ回転し、この回転体12が連結固定されたフィードローラ3が正回転方向αへ回転される。
【0020】
また、図7(b)に示すように、回転軸3aが停止している状態にて、フィードローラ3に正回転方向αへ向かう回転力が作用されると、回転体12にも正回転方向αへ向かう回転力が伝わる。このように、回転体12に正回転方向αへ向かう回転力が作用すると、停止している回転軸3aに対して、回転体12が正回転方向αへ向かって回転する。つまり、回転規制部材13は、基端部から先端部へ向かって正回転方向αへ延在して湾曲されているので、回転体12が回転しても回転体12の内周面に押圧されて密着することがなく、回転体12の内周面に僅かに接して摺動することとなる。
【0021】
これにより、回転軸3aが停止した状態にて、フィードローラ3は、回転体12とともに、正回転方向αへ回転する。
【0022】
また、図7(c)に示すように、回転軸3aが停止している状態にて、フィードローラ3に逆回転方向βへ向かう回転力が作用されると、回転体12にも逆回転方向βへ向かう回転力が伝わる。このように、回転体12にも逆回転方向βへ向かう回転力が作用すると、その回転力により、一部が回転体12の内周面に接している回転規制部材13が、弾性変形しながら回転体12の内周面に押圧されて密着する。また、このとき、ブラケット14の保持部16によって回転規制部材13の逆回転方向β側への変形が規制され、回転規制部材13の回転体12への良好な密着状態が維持される。
【0023】
これにより、回転体12は、回転規制部材13によって、停止している回転軸3aと一体化し、逆回転方向βへの回転が阻止される。
【0024】
このように、上記の逆回転防止機構11によれば、回転軸3aに対する回転体12の逆回転方向βへの回転を阻止する弾性体からなる回転規制部材13を回転軸3aに設けた簡易な構成であるので、低コスト化を図ることができ、しかも、組み立て分解の容易化を図ることができ、これにより、内部の消耗部品を容易に交換することができる。
【0025】
さらに、上述した逆回転防止機構に改良を加えることによって、本発明者が先に特願2005−149717として出願したトルクリミッター機能、もしくは、ダンパー機能を有するトルク制限機構を得ることが可能である。ここで、トルクリミッター機能とは、一方向への回転には抵抗を与えず、逆方向への回転に所定の抵抗を与えて、逆方向への回転のトルク制限をする機能であり、ダンパー機能とは、両方向への回転にそれぞれ所定の抵抗を与える機能をいう。
【0026】
次に、上述した逆回転防止機構とトルク制限機構とを用いた重送防止機構について図8を用いて説明する。
図8は、重送防止機構の構成およびその作用を説明する断面図である。
【0027】
図8に示す重送防止機構は、重送送り防止ローラ2とそれに対峙したフィードローラ3を備え、積層された用紙Pを重送送り防止ローラ2およびフィードローラ3が、Fの方向に回転し、Eの方向に紙Pを一枚ずつ送り出す。
【0028】
フィードローラ3は逆回転防止機構11を備え、Fの方向には回転が許容されるが、回転規制部材13によって反対方向の回転はロックされるワンウェイクラッチとして機能する。
重送送り防止ローラ2は、トルク制限機構31を備え、Fの方向には、摩擦部材33によって所定の抵抗を与えて回転のトルク制限をするトルクリミッターとして機能する。
【0029】
よって、例えば、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置の紙送り出し機構に使用することにより、紙の重送を防ぐとともに、紙詰まりの際に、紙送り出し機構を逆転させて詰まった紙を取り除くことができる。
【0030】
以上に述べたトルク制限機構を備えた重送送り防止ローラの一例を図9及び図10を用いて説明する。
図9はトルク制限機構の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図であり、図10はその要部断面図である。
【0031】
図9に示すように、重送送り防止ローラ2は、回転体12とその回転軸2aに取り付けられたトルク制限機構31Aとから構成されている。トルク制限機構31Aは、中心に開口部を有する円形の保持板41と、保持板41の片面側から突設した保持部16と、重送送り防止ローラ21を回転させる回転軸2aに挿通された略円筒状の固定部15と、保持部16と固定部15との間に挟持された摩擦部材33と、を備えている。
【0032】
保持板41をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構31を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラ2が形成されている。なお、摩擦部材33はその一部が固定部15と保持部16との間に圧入されることによって、固定部15と保持部16との間に挟持されている。
【0033】
図10に示すように、摩擦部材33は重送送り防止ローラのA‐A線を中心として左右異なる材質から構成されている。ここでは、中心より左側に位置する摩擦部材33aはシリコンにより構成され、中心より右側に位置する摩擦部材33bはスポンジ等の他の材質により構成されている。
【0034】
このように左右の摩擦部材を異なる材質にすることによって摩擦部材33a及び摩擦部材33bのすべり具合が異なり、保持部16と回転体12との間の空間G及び空間Hへの「押し込まれ具合」を変えることが可能である。この「押し込まれ具合」を変えることにより、重送送り防止ローラ21の回転方向に応じてトルクを変えることができる。
【0035】
ところで、例えば摩擦部材33aと回転体12の内周面12aとが摺動すると、摩擦部材33aがこすられることによって、削り滓(例えば、シリコンの微粒子など)が内周面12aに残り、回転具合によっては他方の摩擦部材33bと摩擦部材接触面12b(図9参照)との間にも削り滓が入り込んでしまうことがある。このような場合には、摩擦部材33bの素材を生かせず摩擦部材接触面12bとのすべり具合が初期状態とは異なるものとなってしまう。従って、上述した「押し込まれ具合」も初期状態の具合と異なるものとなるので初期状態の回転トルクを維持することができない場合が生じる。
【0036】
次に、トルク制限機構の他の一例を組み込んだ重送送り防止ローラについて、図11及び図12を用いて説明する。
図11は、トルク制限機構の他の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図であり、図12はその要部断面図である。
【0037】
図11に示すように、重送送り防止ローラ2は、図9の例と同様に、回転体12とその回転軸2aに取り付けられたトルク制限機構31Bとから構成されている。トルク制限機構31Bは、中心に開口部を有する円形の保持板41と、保持板41の片面側から突設した保持部16と、回転軸2aに挿通された略円筒状の固定部15と、保持部16と固定部15との間に挟持された1つの摩擦部材33と、を備えている。
【0038】
保持板41をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構31Bを覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラ2が形成されている。なお、摩擦部材33はその一部が固定部15と保持部16との間に圧入されることによって、固定部15と保持部16との間に挟持されている。
【0039】
図12に示すように摩擦部材33は、回転体12のB‐B線を中心として左側から右側に向かって保持部16の近傍まで延在させた形状を有している。
【0040】
しかし、このように1つの摩擦部材33を反対側の保持部16の近傍まで延在させてしまうと、前述のトルク制限機構31Aのように左側から右側に対しても摩擦部材を延在させることは困難である。トルク制限機構31Aのように左右に摩擦部材を設ける場合においては、左右の摩擦部材の長さの合計は、回転体12の内周長から、保持部16のある領域を除く長さに制限される。
【0041】
本発明に係るトルク制限機構の実施の形態は、上述のトルク制限機構31Aや31B等に対し、複数の摩擦部材を備えたものであり、この複数の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されたものである。
【0042】
このように、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するので、一つの摩擦部材がこすられて内周面12aにシリコンの微粒子が残っても、その他の摩擦部材は内周面12aの異なる箇所に接触するので、この他方の摩擦部材のすべり具合に影響を与えないので、初期状態の回転トルクを維持することができる。
【0043】
また、トルク制限機構31Bのように、1つの摩擦部材を反対側の保持部16の近傍まで延在させた場合においても、その他の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されているので、その他の摩擦部材もそれぞれ反対側の保持部16の近傍まで延在させることができる。
【0044】
以下、本発明に係るトルク制限機構の実施の形態について、更に具体的な実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図13は、本発明の実施形態に係るトルク制限機構の実施例1を説明する斜視図である。
図13に示すように、トルク制限機構100は、1つの保持板141に設けられた保持部116に、2つの摩擦部材133,134を回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、それぞれ設けた構造を有する。
トルク制限機構100は、中心に開口部を有する円形の保持板141と、保持板141の片面側から突設した保持部116と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aを挿通可能な略D字筒状の固定部115と、保持部116と固定部115との間に挟持され互いに回転軸方向にずれて配置された2つの摩擦部材133,134と、を備える。
そして、このトルク制限機構100をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構100を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラが形成される。
【0045】
摩擦部材133の一部及び摩擦部材134の一部が固定部115と保持部116との間に圧入されることによって、摩擦部材133,134は固定部115と保持部116との間に挟持されている。ここで、摩擦部材133,134は回転軸2aを中心として互いに逆の方向から圧入されている。すなわち、摩擦部材133は起端部から右側に延在するように圧入され、摩擦部材134は起端部から左側に延在するように圧入されている。このように左右両側に摩擦部材を延在させることによって、上述したトルクリミッター機能を持たせることができる。
【0046】
トルク制限機構100は、回転軸2aに回転自在に支持された回転体12と、回転軸2aと回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面12aに対して摺動し、回転トルクを制限する2つの摩擦部材133,134を備えたので、摩擦部材133,134と接触する回転体12の摩擦部材接触面12b,12cが2ヶ所に分離される。
【0047】
すなわち、回転体12が回転すると一方の摩擦部材133は、摩擦部材接触面12bと接触し、摩擦部材接触面12bの範囲で摺動し、他方の摩擦部材134は回転体12の内周面12aの摩擦部材接触面12cと接触し、摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するように構成されている。従って、摩擦部材133の表面が削られて、その削り滓の微粒子(例えば、シリコンの微粒子など)が内周面12aに付着する場合があるが、他方の摩擦部材134は、異なる箇所である摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するので、上記削り滓の微粒子の影響を受けない。
【0048】
なお、2つの摩擦部材133,134はそれぞれ異なる材質の部材を使用してもよく、例えば、摩擦部材133をシリコンゴム、摩擦部材134をスポンジ等の他の材質を使用するなどしてもよい。摩擦部材133,134に使用する素材は、例えば、各種のゴム、プラスチック、エラストマ、シリコンゴム、コルク、コルクとゴムの混合物等、あるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものでもよい。また、異なる材質の部材として、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Methylene Linkage)などにおいて、その配合がそれぞれ異なるものでもよい。
また、摩擦部材133,134は、それぞれの表面の摩擦係数を異なるものとして成形したり、幅、長さ、厚さが異なるようにしたりするなどでもよい。これにより、回転方向によって、回転トルクの特性を調整することができる。
【0049】
また、本実施例においては、2つの摩擦部材を用いたが、摩擦部材の数は2つに限られるものではなく、3つ以上設けてもよい。このように、摩擦部材を複数設けることによって、回転体12は様々な回転トルクを得ることができる。
また、摩擦部材間の領域を仕切る仕切り板を設けてもよい。
また、保持部116は保持板141の片側から突設されているが、保持板141の両側から突設するようにし、保持板141を仕切り板として左右両側に摩擦部材133,134を設けるようにしてもよい。
【0050】
なお、回転軸2aの軸方向と直交する方向に、回転軸2aを貫通するピンを設けて、保持板141を固定するようにしてもよい(この場合、必ずしも、回転軸2aの先端を略D字形に成形せず、また、固定部115を略D字筒状にしなくてもよい)。
また、回転体12の開口を塞ぐように蓋をとりつけてもよい。
【0051】
(実施例2)
図14は、本発明の実施形態に係るトルク制限機構の実施例2のトルク制限機構を説明する斜視図である。
【0052】
図14に示すように、本実施の形態におけるトルク制限機構200は、2つのトルク制限部201,202を回転軸2aに挿通させた構造を有している。
【0053】
トルク制限部201は、中心に開口部を有する円形の保持板241と、保持板241の片面側から突設した保持部216と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aを挿通可能な略D字筒状の固定部215と、保持部216と固定部215との間に挟持された摩擦部材233を備えている。
【0054】
トルク制限部202は、中心に開口部を有する円形の保持板242と、保持板242の片面側から突設した保持部217と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aに挿通された略D字筒状の固定部218と、保持部217と固定部218との間に挟持された摩擦部材234を備えている。
【0055】
そして、このトルク制限機構200のトルク制限部201,202をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構200を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラが形成される。
【0056】
なお、摩擦部材233はその一部が固定部215と保持部216との間に圧入されることによって固定部215と保持部216との間に挟持され、摩擦部材234はその一部が固定部218と保持部217との間に圧入されることによって固定部218と保持部217との間に挟持される。
【0057】
ここで、摩擦部材233,234は回転軸2aを中心として互いに逆の方向から圧入されている。すなわち、摩擦部材233はその起端部233aから右側に延在するように圧入され、摩擦部材234はその起端部234aから左側に延在するように圧入されている。このように左右両側から摩擦部材を延在させることによって、上述したトルクリミッター機能を持たせることができる。
【0058】
すなわち、回転体12が回転すると一方のトルク制限部201が備える摩擦部材233が摩擦部材接触面12bと接触し、摩擦部材接触面12bの範囲で摺動し、他方のトルク制限部201が備える摩擦部材234が回転体12の内周面12aの摩擦部材接触面12cと接触し、摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するように構成されている。
【0059】
従って、1つのトルク制限部のみの場合には左右から延在される摩擦部材の長さの合計が最長でも保持部216(217)のある領域を除く回転体12の内周長に制限されてしまうところ、複数(2つ)のトルク制限部201,202を設けることによって、複数(2つ)の摩擦部材233,234を個々に回転体12の保持部216(217)のある領域を除く回転体12の内周長の長さまで延在させることが可能となり、様々な長さの摩擦部材を組み合わせ、回転体12における回転トルクの設計の自由度を広げることができる。
【0060】
なお、トルク制限部201,202における摩擦部材233,234はそれぞれ異なる材質の部材を使用してもよく、例えば、摩擦部材233をシリコンゴム、摩擦部材234をスポンジ等の他の材質を使用するなどしてもよい。摩擦部材233,234に使用する素材は、例えば、各種のゴム、プラスチック、エラストマ、シリコンゴム、コルク、コルクとゴムの混合物等、あるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものでもよい。また、異なる材質の部材として、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Methylene Linkage)などにおいて、その配合がそれぞれ異なるものでもよい。
また、摩擦部材233,234は、それぞれの表面の摩擦係数を異なるものとして成形したり、幅、長さ、厚さが異なるようにしたりするなどでもよい。これにより、回転方向によって、回転トルクの特性を調整することができる。
【0061】
また、本実施例においては、2つのトルク制限部201,202を設置したが、トルク制限部の数は2つに限られるものではなく、3つ以上設けてもよい。このように、トルク制限部を複数設けて、それらのトルク制限部の回転トルクを様々な値に設定することによって、回転体12は様々な回転トルクを得ることができる。
【0062】
なお、回転軸2aの軸方向と直交する方向に、回転軸2aを貫通するピンを設けて、保持板241、242を固定するようにしてもよい(この場合、必ずしも、回転軸2aの先端を略D字形に成形せず、また、固定部215、218を略D字筒状にしなくてもよい)。
また、回転体12の開口を塞ぐように蓋をとりつけてもよい。
【0063】
以上、詳述したように、本発明の実施の形態に係るトルク制限機構100(200)は、回転軸2aに回転自在に支持された回転体12と、回転軸2aと回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材133、134(233、234)と、を備え、複数の摩擦部材133、134(233、234)は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されている。
これにより、摩擦部材毎に回転体12の内周面の異なる箇所に接触するので、他の摩擦部材による内周面への影響(摩擦部材の表面が削れて微粒子が残る等)を受けないようにできるので、初期状態の回転トルクを維持することができる。
また、1つの摩擦部材を反対側の保持部の近傍まで延在させた場合においても、その他の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されているので、その他の摩擦部材もそれぞれ反対側の保持部の近傍まで延在させることができるので、様々な長さの摩擦部材を組み合わせ、回転体12における回転トルクの設計の自由度を広げることができる。
これにより、用途として、例えば、OA機器(複写機、プリンタ、ファクシミリなど)の給紙部・紙送り機構や、開閉タイプの携帯電話やPDAのヒンジや、カセットデッキなどの音響機器の開閉機構などに適用することができる。
【0064】
また、本発明の実施の形態に係る重送防止機構は、フィードローラ3と、フィードローラ3に対峙した重送送り防止ローラ2と、を備える重送防止機構であって、重送送り防止ローラ2は、前述の本発明の実施の形態に係るトルク制限機構を有するものである。
これにより、例えば、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置の紙送り出し機構等に適用できるフィードローラ3と重送送り防止ローラ2とからなる重送防止機構において、重送送り防止ローラ2に上記トルク制限機構を設けることで、重送送り防止ローラ2の回転トルクの設計の自由度を広げることができ、重送送り防止機能の調整をより細かく設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】フィードローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
【図2】フィードローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
【図3】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を示す斜視図である。
【図4】図3の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を説明する断面図である。
【図6】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を備えたフィードローラの一部を断面視した平面図である。
【図7】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造の作用を説明する断面図である。
【図8】重送防止機構の構成およびその作用を説明する断面図である。
【図9】トルク制限機構の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図である。
【図10】図9の要部分解断面図である。
【図11】トルク制限機構の他の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図である。
【図12】図11の要部分解断面図である。
【図13】本発明に係るトルク制限機構の実施例1を説明する斜視図である。
【図14】本発明に係るトルク制限機構の実施例2を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
2a 回転軸
12 回転体
12a 回転体の内周面
12b、12c 摩擦部材接触面
100、200 トルク制限機構
115、215、218 固定部
116、216、217 保持部
133、134、233、234 摩擦部材
141、241、242 保持板
201、202 トルク制限部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体のトルク制限機構及びそのトルク制限機構を備えた重送防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどには、用紙を送り出す用紙送り出し機構に、一方向への回転のみを許容し逆方向への回転を阻止する逆回転防止機構を備えたローラを有している。
【0003】
この逆回転防止機構としては、回転軸と回転体との間に、周方向へ間隔をあけて配設された複数のコロをそれぞれバネによって一方向へ付勢したベアリング構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この逆回転防止機構では、回転軸に対する回転体の一方向への回転は許容するが、他方向への回転力が回転体に作用すると、コロがバネの付勢力に抗して移動し、このコロによって回転体が回転軸に係合し、回転軸に対する他方向への回転が防止される。
【0005】
また、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置において、紙の二重送りを防ぐとともに、紙詰まりの際に、紙送り出し機構を逆転させて詰まった紙を取り除くことができるトルク制限機構を備えたローラもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−63028号公報
【特許文献2】特許第3456882号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来技術による逆回転防止機構やトルク制限機構は、複雑な構造であるため、コストが高く、また、組み立て分解が困難であるという問題点を有している。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のような従来の逆回転防止機構やトルク制限機構が有している問題点を解決し、さらに改良を加えることがその一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のトルク制限機構は、回転軸と、該回転軸に回転自在に支持された回転体との間に介装され、回転力が前記回転体に作用した際に前記回転体の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材を備え、前記複数の摩擦部材が、それぞれ前記回転体の内周面の異なる箇所に接触するように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の重送防止機構は、フィードローラと、前記フィードローラに対峙した重送送り防止ローラと、を備える重送防止機構であって、前記重送送り防止ローラは請求項1〜5のいずれか1項に記載のトルク制限機構を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明者が先に特願2005−114639として出願した逆回転防止機構の説明を図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図7に示す逆回転防止機構は、例えば、印刷機のフィードローラなどの回転体を回転自在に支持する回転軸に回転規制部材が取り付けられ、この回転規制部材が、回転軸に対して正回転方向へ向かう回転力が回転体に作用した際に回転体の内周面に対して摺動して回転を許容し、回転軸に対して逆回転方向へ向かう回転力が回転体に作用した際に回転体の内周面に密着して回転を阻止するようになっているものである。
【0011】
図1及び図2は、特願2005−114639の逆回転防止機構を備えたローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
図1に示すように、用紙送り出し機構は、積層された用紙Pの上面にピックアップローラ1を接触させて引き出し、その後、この用紙Pを(リタードローラ)重送送り防止ローラ(リタードローラ)2に対峙したフィードローラ3よって一枚ずつ送り出し、さらに、図2に示すように、一対の送り出しローラ4に挟持させて搬送する構造を有している。
【0012】
ここで、フィードローラ3は、送り出しローラ4へ用紙Pが渡されて回転軸3aの回転が停止された後に、送り出しローラ4によって送り出される用紙Pによってつれ回りするように、一方向への回転のみを許容し、逆方向への回転を阻止する逆回転防止機構を備えている。
【0013】
次に、この逆回転防止機構について詳述する。
図3は、この実施例における回転体の逆回転防止機構を示す斜視図、図4は、逆回転防止機構の構成を説明する分解斜視図、図5は、逆回転防止機構の構造を説明する断面図、図6は、逆回転防止機構を備えたフィードローラの一部を断面視した平面図、図7は、逆回転防止機構の作用を説明する断面図である。
図3〜図6に示すように、フィードローラ3は、その側部に、逆回転防止機構11が設けられている。
【0014】
この逆回転防止機構11は、フィードローラ3と連結固定された円筒状の回転体12と、この回転体12の中心に挿通されたフィードローラ3の回転軸(シャフト)3aに取り付けられた回転規制部材13と、この回転規制部材13を回転軸3aに支持するブラケット14とを有している。
【0015】
ブラケット14は、回転軸3aに固定される固定部15と、この固定部15の一端にて側方へ延在した保持部16とを有する断面視L字状に形成されている。
【0016】
ブラケット14には、固定部15の端部近傍に係合孔17が形成されている。そして、このブラケット14は、その固定部15を、回転軸3aに形成された取付孔18に挿入し、その端部を回転軸3aの反対側へ突出させた状態にて、係合孔17へ係合ピン19を嵌合させて係止することにより、回転軸3aに取り付けられている。
そして、回転規制部材13は、その基端部がブラケット14の保持部16と回転軸3aとの間に挟持されて保持されている。
【0017】
回転規制部材13は、例えば、各種のゴム、エラストマ、スポンジあるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものや合成皮革、皮、布、不織布、注型(ウレタンなど)で、ブラケット14に保持された基端部から先端部へ向かって、回転軸3aの正回転方向αへ延在して湾曲されている。そして、この回転規制部材13の一部が回転体12の内周面に対して摺動可能に接触されている。
【0018】
そして、上記構造の逆回転防止機構11では、図7(a)に示すように、回転軸3aが正回転方向αへ回転すると、その回転力により、一部が回転体12の内周面に接している回転規制部材13が、弾性変形しながら回転体12の内周面に押圧されて密着する。また、このとき、ブラケット14の保持部16によって回転規制部材13の逆回転方向β側への変形が規制され、回転規制部材13の回転体12への良好な密着状態が維持される。
【0019】
これにより、回転体12は、回転規制部材13によって回転軸3aとともに、正回転方向αへ回転し、この回転体12が連結固定されたフィードローラ3が正回転方向αへ回転される。
【0020】
また、図7(b)に示すように、回転軸3aが停止している状態にて、フィードローラ3に正回転方向αへ向かう回転力が作用されると、回転体12にも正回転方向αへ向かう回転力が伝わる。このように、回転体12に正回転方向αへ向かう回転力が作用すると、停止している回転軸3aに対して、回転体12が正回転方向αへ向かって回転する。つまり、回転規制部材13は、基端部から先端部へ向かって正回転方向αへ延在して湾曲されているので、回転体12が回転しても回転体12の内周面に押圧されて密着することがなく、回転体12の内周面に僅かに接して摺動することとなる。
【0021】
これにより、回転軸3aが停止した状態にて、フィードローラ3は、回転体12とともに、正回転方向αへ回転する。
【0022】
また、図7(c)に示すように、回転軸3aが停止している状態にて、フィードローラ3に逆回転方向βへ向かう回転力が作用されると、回転体12にも逆回転方向βへ向かう回転力が伝わる。このように、回転体12にも逆回転方向βへ向かう回転力が作用すると、その回転力により、一部が回転体12の内周面に接している回転規制部材13が、弾性変形しながら回転体12の内周面に押圧されて密着する。また、このとき、ブラケット14の保持部16によって回転規制部材13の逆回転方向β側への変形が規制され、回転規制部材13の回転体12への良好な密着状態が維持される。
【0023】
これにより、回転体12は、回転規制部材13によって、停止している回転軸3aと一体化し、逆回転方向βへの回転が阻止される。
【0024】
このように、上記の逆回転防止機構11によれば、回転軸3aに対する回転体12の逆回転方向βへの回転を阻止する弾性体からなる回転規制部材13を回転軸3aに設けた簡易な構成であるので、低コスト化を図ることができ、しかも、組み立て分解の容易化を図ることができ、これにより、内部の消耗部品を容易に交換することができる。
【0025】
さらに、上述した逆回転防止機構に改良を加えることによって、本発明者が先に特願2005−149717として出願したトルクリミッター機能、もしくは、ダンパー機能を有するトルク制限機構を得ることが可能である。ここで、トルクリミッター機能とは、一方向への回転には抵抗を与えず、逆方向への回転に所定の抵抗を与えて、逆方向への回転のトルク制限をする機能であり、ダンパー機能とは、両方向への回転にそれぞれ所定の抵抗を与える機能をいう。
【0026】
次に、上述した逆回転防止機構とトルク制限機構とを用いた重送防止機構について図8を用いて説明する。
図8は、重送防止機構の構成およびその作用を説明する断面図である。
【0027】
図8に示す重送防止機構は、重送送り防止ローラ2とそれに対峙したフィードローラ3を備え、積層された用紙Pを重送送り防止ローラ2およびフィードローラ3が、Fの方向に回転し、Eの方向に紙Pを一枚ずつ送り出す。
【0028】
フィードローラ3は逆回転防止機構11を備え、Fの方向には回転が許容されるが、回転規制部材13によって反対方向の回転はロックされるワンウェイクラッチとして機能する。
重送送り防止ローラ2は、トルク制限機構31を備え、Fの方向には、摩擦部材33によって所定の抵抗を与えて回転のトルク制限をするトルクリミッターとして機能する。
【0029】
よって、例えば、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置の紙送り出し機構に使用することにより、紙の重送を防ぐとともに、紙詰まりの際に、紙送り出し機構を逆転させて詰まった紙を取り除くことができる。
【0030】
以上に述べたトルク制限機構を備えた重送送り防止ローラの一例を図9及び図10を用いて説明する。
図9はトルク制限機構の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図であり、図10はその要部断面図である。
【0031】
図9に示すように、重送送り防止ローラ2は、回転体12とその回転軸2aに取り付けられたトルク制限機構31Aとから構成されている。トルク制限機構31Aは、中心に開口部を有する円形の保持板41と、保持板41の片面側から突設した保持部16と、重送送り防止ローラ21を回転させる回転軸2aに挿通された略円筒状の固定部15と、保持部16と固定部15との間に挟持された摩擦部材33と、を備えている。
【0032】
保持板41をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構31を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラ2が形成されている。なお、摩擦部材33はその一部が固定部15と保持部16との間に圧入されることによって、固定部15と保持部16との間に挟持されている。
【0033】
図10に示すように、摩擦部材33は重送送り防止ローラのA‐A線を中心として左右異なる材質から構成されている。ここでは、中心より左側に位置する摩擦部材33aはシリコンにより構成され、中心より右側に位置する摩擦部材33bはスポンジ等の他の材質により構成されている。
【0034】
このように左右の摩擦部材を異なる材質にすることによって摩擦部材33a及び摩擦部材33bのすべり具合が異なり、保持部16と回転体12との間の空間G及び空間Hへの「押し込まれ具合」を変えることが可能である。この「押し込まれ具合」を変えることにより、重送送り防止ローラ21の回転方向に応じてトルクを変えることができる。
【0035】
ところで、例えば摩擦部材33aと回転体12の内周面12aとが摺動すると、摩擦部材33aがこすられることによって、削り滓(例えば、シリコンの微粒子など)が内周面12aに残り、回転具合によっては他方の摩擦部材33bと摩擦部材接触面12b(図9参照)との間にも削り滓が入り込んでしまうことがある。このような場合には、摩擦部材33bの素材を生かせず摩擦部材接触面12bとのすべり具合が初期状態とは異なるものとなってしまう。従って、上述した「押し込まれ具合」も初期状態の具合と異なるものとなるので初期状態の回転トルクを維持することができない場合が生じる。
【0036】
次に、トルク制限機構の他の一例を組み込んだ重送送り防止ローラについて、図11及び図12を用いて説明する。
図11は、トルク制限機構の他の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図であり、図12はその要部断面図である。
【0037】
図11に示すように、重送送り防止ローラ2は、図9の例と同様に、回転体12とその回転軸2aに取り付けられたトルク制限機構31Bとから構成されている。トルク制限機構31Bは、中心に開口部を有する円形の保持板41と、保持板41の片面側から突設した保持部16と、回転軸2aに挿通された略円筒状の固定部15と、保持部16と固定部15との間に挟持された1つの摩擦部材33と、を備えている。
【0038】
保持板41をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構31Bを覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラ2が形成されている。なお、摩擦部材33はその一部が固定部15と保持部16との間に圧入されることによって、固定部15と保持部16との間に挟持されている。
【0039】
図12に示すように摩擦部材33は、回転体12のB‐B線を中心として左側から右側に向かって保持部16の近傍まで延在させた形状を有している。
【0040】
しかし、このように1つの摩擦部材33を反対側の保持部16の近傍まで延在させてしまうと、前述のトルク制限機構31Aのように左側から右側に対しても摩擦部材を延在させることは困難である。トルク制限機構31Aのように左右に摩擦部材を設ける場合においては、左右の摩擦部材の長さの合計は、回転体12の内周長から、保持部16のある領域を除く長さに制限される。
【0041】
本発明に係るトルク制限機構の実施の形態は、上述のトルク制限機構31Aや31B等に対し、複数の摩擦部材を備えたものであり、この複数の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されたものである。
【0042】
このように、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するので、一つの摩擦部材がこすられて内周面12aにシリコンの微粒子が残っても、その他の摩擦部材は内周面12aの異なる箇所に接触するので、この他方の摩擦部材のすべり具合に影響を与えないので、初期状態の回転トルクを維持することができる。
【0043】
また、トルク制限機構31Bのように、1つの摩擦部材を反対側の保持部16の近傍まで延在させた場合においても、その他の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されているので、その他の摩擦部材もそれぞれ反対側の保持部16の近傍まで延在させることができる。
【0044】
以下、本発明に係るトルク制限機構の実施の形態について、更に具体的な実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図13は、本発明の実施形態に係るトルク制限機構の実施例1を説明する斜視図である。
図13に示すように、トルク制限機構100は、1つの保持板141に設けられた保持部116に、2つの摩擦部材133,134を回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、それぞれ設けた構造を有する。
トルク制限機構100は、中心に開口部を有する円形の保持板141と、保持板141の片面側から突設した保持部116と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aを挿通可能な略D字筒状の固定部115と、保持部116と固定部115との間に挟持され互いに回転軸方向にずれて配置された2つの摩擦部材133,134と、を備える。
そして、このトルク制限機構100をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構100を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラが形成される。
【0045】
摩擦部材133の一部及び摩擦部材134の一部が固定部115と保持部116との間に圧入されることによって、摩擦部材133,134は固定部115と保持部116との間に挟持されている。ここで、摩擦部材133,134は回転軸2aを中心として互いに逆の方向から圧入されている。すなわち、摩擦部材133は起端部から右側に延在するように圧入され、摩擦部材134は起端部から左側に延在するように圧入されている。このように左右両側に摩擦部材を延在させることによって、上述したトルクリミッター機能を持たせることができる。
【0046】
トルク制限機構100は、回転軸2aに回転自在に支持された回転体12と、回転軸2aと回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面12aに対して摺動し、回転トルクを制限する2つの摩擦部材133,134を備えたので、摩擦部材133,134と接触する回転体12の摩擦部材接触面12b,12cが2ヶ所に分離される。
【0047】
すなわち、回転体12が回転すると一方の摩擦部材133は、摩擦部材接触面12bと接触し、摩擦部材接触面12bの範囲で摺動し、他方の摩擦部材134は回転体12の内周面12aの摩擦部材接触面12cと接触し、摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するように構成されている。従って、摩擦部材133の表面が削られて、その削り滓の微粒子(例えば、シリコンの微粒子など)が内周面12aに付着する場合があるが、他方の摩擦部材134は、異なる箇所である摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するので、上記削り滓の微粒子の影響を受けない。
【0048】
なお、2つの摩擦部材133,134はそれぞれ異なる材質の部材を使用してもよく、例えば、摩擦部材133をシリコンゴム、摩擦部材134をスポンジ等の他の材質を使用するなどしてもよい。摩擦部材133,134に使用する素材は、例えば、各種のゴム、プラスチック、エラストマ、シリコンゴム、コルク、コルクとゴムの混合物等、あるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものでもよい。また、異なる材質の部材として、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Methylene Linkage)などにおいて、その配合がそれぞれ異なるものでもよい。
また、摩擦部材133,134は、それぞれの表面の摩擦係数を異なるものとして成形したり、幅、長さ、厚さが異なるようにしたりするなどでもよい。これにより、回転方向によって、回転トルクの特性を調整することができる。
【0049】
また、本実施例においては、2つの摩擦部材を用いたが、摩擦部材の数は2つに限られるものではなく、3つ以上設けてもよい。このように、摩擦部材を複数設けることによって、回転体12は様々な回転トルクを得ることができる。
また、摩擦部材間の領域を仕切る仕切り板を設けてもよい。
また、保持部116は保持板141の片側から突設されているが、保持板141の両側から突設するようにし、保持板141を仕切り板として左右両側に摩擦部材133,134を設けるようにしてもよい。
【0050】
なお、回転軸2aの軸方向と直交する方向に、回転軸2aを貫通するピンを設けて、保持板141を固定するようにしてもよい(この場合、必ずしも、回転軸2aの先端を略D字形に成形せず、また、固定部115を略D字筒状にしなくてもよい)。
また、回転体12の開口を塞ぐように蓋をとりつけてもよい。
【0051】
(実施例2)
図14は、本発明の実施形態に係るトルク制限機構の実施例2のトルク制限機構を説明する斜視図である。
【0052】
図14に示すように、本実施の形態におけるトルク制限機構200は、2つのトルク制限部201,202を回転軸2aに挿通させた構造を有している。
【0053】
トルク制限部201は、中心に開口部を有する円形の保持板241と、保持板241の片面側から突設した保持部216と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aを挿通可能な略D字筒状の固定部215と、保持部216と固定部215との間に挟持された摩擦部材233を備えている。
【0054】
トルク制限部202は、中心に開口部を有する円形の保持板242と、保持板242の片面側から突設した保持部217と、その先端が略D字形に成形された回転軸2aに挿通された略D字筒状の固定部218と、保持部217と固定部218との間に挟持された摩擦部材234を備えている。
【0055】
そして、このトルク制限機構200のトルク制限部201,202をその開口部から回転軸2aに挿入し、さらに、トルク制限機構200を覆うように回転体12を回転軸2aに挿通させることによって重送送り防止ローラが形成される。
【0056】
なお、摩擦部材233はその一部が固定部215と保持部216との間に圧入されることによって固定部215と保持部216との間に挟持され、摩擦部材234はその一部が固定部218と保持部217との間に圧入されることによって固定部218と保持部217との間に挟持される。
【0057】
ここで、摩擦部材233,234は回転軸2aを中心として互いに逆の方向から圧入されている。すなわち、摩擦部材233はその起端部233aから右側に延在するように圧入され、摩擦部材234はその起端部234aから左側に延在するように圧入されている。このように左右両側から摩擦部材を延在させることによって、上述したトルクリミッター機能を持たせることができる。
【0058】
すなわち、回転体12が回転すると一方のトルク制限部201が備える摩擦部材233が摩擦部材接触面12bと接触し、摩擦部材接触面12bの範囲で摺動し、他方のトルク制限部201が備える摩擦部材234が回転体12の内周面12aの摩擦部材接触面12cと接触し、摩擦部材接触面12cの範囲で摺動するように構成されている。
【0059】
従って、1つのトルク制限部のみの場合には左右から延在される摩擦部材の長さの合計が最長でも保持部216(217)のある領域を除く回転体12の内周長に制限されてしまうところ、複数(2つ)のトルク制限部201,202を設けることによって、複数(2つ)の摩擦部材233,234を個々に回転体12の保持部216(217)のある領域を除く回転体12の内周長の長さまで延在させることが可能となり、様々な長さの摩擦部材を組み合わせ、回転体12における回転トルクの設計の自由度を広げることができる。
【0060】
なお、トルク制限部201,202における摩擦部材233,234はそれぞれ異なる材質の部材を使用してもよく、例えば、摩擦部材233をシリコンゴム、摩擦部材234をスポンジ等の他の材質を使用するなどしてもよい。摩擦部材233,234に使用する素材は、例えば、各種のゴム、プラスチック、エラストマ、シリコンゴム、コルク、コルクとゴムの混合物等、あるいはこれらの複合物などの弾性材から形成されたものでもよい。また、異なる材質の部材として、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Methylene Linkage)などにおいて、その配合がそれぞれ異なるものでもよい。
また、摩擦部材233,234は、それぞれの表面の摩擦係数を異なるものとして成形したり、幅、長さ、厚さが異なるようにしたりするなどでもよい。これにより、回転方向によって、回転トルクの特性を調整することができる。
【0061】
また、本実施例においては、2つのトルク制限部201,202を設置したが、トルク制限部の数は2つに限られるものではなく、3つ以上設けてもよい。このように、トルク制限部を複数設けて、それらのトルク制限部の回転トルクを様々な値に設定することによって、回転体12は様々な回転トルクを得ることができる。
【0062】
なお、回転軸2aの軸方向と直交する方向に、回転軸2aを貫通するピンを設けて、保持板241、242を固定するようにしてもよい(この場合、必ずしも、回転軸2aの先端を略D字形に成形せず、また、固定部215、218を略D字筒状にしなくてもよい)。
また、回転体12の開口を塞ぐように蓋をとりつけてもよい。
【0063】
以上、詳述したように、本発明の実施の形態に係るトルク制限機構100(200)は、回転軸2aに回転自在に支持された回転体12と、回転軸2aと回転体12との間に介装され、回転力が回転体12に作用した際に回転体12の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材133、134(233、234)と、を備え、複数の摩擦部材133、134(233、234)は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されている。
これにより、摩擦部材毎に回転体12の内周面の異なる箇所に接触するので、他の摩擦部材による内周面への影響(摩擦部材の表面が削れて微粒子が残る等)を受けないようにできるので、初期状態の回転トルクを維持することができる。
また、1つの摩擦部材を反対側の保持部の近傍まで延在させた場合においても、その他の摩擦部材は、それぞれの摩擦部材が回転体12の内周面のそれぞれ異なる箇所に接触するように、各摩擦部材が配置されているので、その他の摩擦部材もそれぞれ反対側の保持部の近傍まで延在させることができるので、様々な長さの摩擦部材を組み合わせ、回転体12における回転トルクの設計の自由度を広げることができる。
これにより、用途として、例えば、OA機器(複写機、プリンタ、ファクシミリなど)の給紙部・紙送り機構や、開閉タイプの携帯電話やPDAのヒンジや、カセットデッキなどの音響機器の開閉機構などに適用することができる。
【0064】
また、本発明の実施の形態に係る重送防止機構は、フィードローラ3と、フィードローラ3に対峙した重送送り防止ローラ2と、を備える重送防止機構であって、重送送り防止ローラ2は、前述の本発明の実施の形態に係るトルク制限機構を有するものである。
これにより、例えば、複写機、プリンタあるいはファクシミリなどの給紙装置の紙送り出し機構等に適用できるフィードローラ3と重送送り防止ローラ2とからなる重送防止機構において、重送送り防止ローラ2に上記トルク制限機構を設けることで、重送送り防止ローラ2の回転トルクの設計の自由度を広げることができ、重送送り防止機能の調整をより細かく設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】フィードローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
【図2】フィードローラを有する用紙送り機構の概略構成図である。
【図3】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を示す斜視図である。
【図4】図3の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を説明する断面図である。
【図6】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造を備えたフィードローラの一部を断面視した平面図である。
【図7】回転体の逆回転防止機構またはトルク制限機構の基本構造の作用を説明する断面図である。
【図8】重送防止機構の構成およびその作用を説明する断面図である。
【図9】トルク制限機構の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図である。
【図10】図9の要部分解断面図である。
【図11】トルク制限機構の他の一例を説明するための重送送り防止ローラの要部分解斜視図である。
【図12】図11の要部分解断面図である。
【図13】本発明に係るトルク制限機構の実施例1を説明する斜視図である。
【図14】本発明に係るトルク制限機構の実施例2を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
2a 回転軸
12 回転体
12a 回転体の内周面
12b、12c 摩擦部材接触面
100、200 トルク制限機構
115、215、218 固定部
116、216、217 保持部
133、134、233、234 摩擦部材
141、241、242 保持板
201、202 トルク制限部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、該回転軸に回転自在に支持された回転体との間に介装され、回転力が前記回転体に作用した際に前記回転体の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材を備え、
前記複数の摩擦部材が、それぞれ前記回転体の内周面の異なる箇所に接触するように配置されることを特徴とする回転体のトルク制限機構。
【請求項2】
1つの保持板に設けられた保持部と固定部との間に挟持し、互いに回転軸方向にずらして前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項3】
前記保持板の両面にそれぞれ設けられた保持部と固定部との間に挟持して、前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項2に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項4】
複数のトルク制限部を前記回転体の回転軸に挿通させることを特徴とする請求項1に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項5】
前記トルク制限部は、保持板と該保持板に設けられた保持部及び固定部とを備え、前記保持部と前記固定部との間に挟持して、前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項4に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項6】
フィードローラと、前記フィードローラに対峙した重送送り防止ローラと、を備える重送防止機構であって、
前記重送送り防止ローラは請求項1〜5のいずれか1項に記載のトルク制限機構を有することを特徴とする重送防止機構。
【請求項1】
回転軸と、該回転軸に回転自在に支持された回転体との間に介装され、回転力が前記回転体に作用した際に前記回転体の内周面に対して摺動し、回転トルクを制限する弾性材からなる複数の摩擦部材を備え、
前記複数の摩擦部材が、それぞれ前記回転体の内周面の異なる箇所に接触するように配置されることを特徴とする回転体のトルク制限機構。
【請求項2】
1つの保持板に設けられた保持部と固定部との間に挟持し、互いに回転軸方向にずらして前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項3】
前記保持板の両面にそれぞれ設けられた保持部と固定部との間に挟持して、前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項2に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項4】
複数のトルク制限部を前記回転体の回転軸に挿通させることを特徴とする請求項1に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項5】
前記トルク制限部は、保持板と該保持板に設けられた保持部及び固定部とを備え、前記保持部と前記固定部との間に挟持して、前記複数の摩擦部材を配置することを特徴とする請求項4に記載の回転体のトルク制限機構。
【請求項6】
フィードローラと、前記フィードローラに対峙した重送送り防止ローラと、を備える重送防止機構であって、
前記重送送り防止ローラは請求項1〜5のいずれか1項に記載のトルク制限機構を有することを特徴とする重送防止機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−76799(P2007−76799A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266044(P2005−266044)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(591043569)オムロン プレシジョンテクノロジー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(591043569)オムロン プレシジョンテクノロジー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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