回転体異常検出装置および画像形成装置
【課題】搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出する。
【解決手段】測長装置100は、搬送される記録材Sと共に回転する測長ロール110と、測長ロール110と回転軸110aを共有し測長ロール110の回転量を検出する回転量検出装置200と、測長ロール110と記録材Sとの接触部よりも記録材Sの搬送方向上流側、下流側のそれぞれで記録材Sの通過を検知する上流側検知センサ160、下流側検知センサ170とを有する。上流側検知センサ160から出力される上流側エッジ信号Su、下流側検知センサ170から出力される下流側エッジ信号Sd、回転量検出装置200に設けられたスリット円板220を介して出力される位相信号Spに基づき、測長ロール110やスリット円板220で生じた異常を検出する。
【解決手段】測長装置100は、搬送される記録材Sと共に回転する測長ロール110と、測長ロール110と回転軸110aを共有し測長ロール110の回転量を検出する回転量検出装置200と、測長ロール110と記録材Sとの接触部よりも記録材Sの搬送方向上流側、下流側のそれぞれで記録材Sの通過を検知する上流側検知センサ160、下流側検知センサ170とを有する。上流側検知センサ160から出力される上流側エッジ信号Su、下流側検知センサ170から出力される下流側エッジ信号Sd、回転量検出装置200に設けられたスリット円板220を介して出力される位相信号Spに基づき、測長ロール110やスリット円板220で生じた異常を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体異常検出装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、搬送されるシートから駆動力を受けて回転する回転体に複数のスリットを設け、回転体におけるスリットの形成位置を挟んで発光部と受光部とを配置することで回転体の回転量を検出し、得られた回転量を用いてシートの搬送方向長さを得るものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−171035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを含む回転体異常検出装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて異常の種類に応じた許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項1記載の回転体異常検出装置である。
請求項3記載の発明は、前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々のパルスの周期に対し予め決められた値を乗算することによって前記許容範囲の上限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記出力手段の異常を検出することを特徴とする請求項2記載の回転体異常検出装置である。
請求項4記載の発明は、前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々の前記パルスの周期に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該基準周期情報における各々の当該パルスの周期に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2または3記載の回転体異常検出装置である。
請求項5記載の発明は、前記異常検出手段は、前記新たな周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、当該新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の回転体異常検出装置である。
請求項6記載の発明は、前記異常検出手段は、前記取得手段で取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって他の許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該他の許容範囲の下限を設定し、当該周期情報における各々のパルスの周期が当該他の許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出するとともに当該周期情報を前記基準周期情報として前記記憶手段へ書き込むのを禁止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の回転体異常検出装置である。
【0007】
請求項7記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期が、当該周期情報に基づいて決められた許容範囲から外れているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記回転体または前記出力手段で異常が発生したことを通知する通知手段とを含む回転体異常検出装置である。
【0008】
請求項8記載の発明は、前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記出力手段による出力結果に基づいて実行される動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の回転体異常検出装置である。
【0009】
請求項9記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記出力手段から出力される前記パルスの数に基づいて前記シートの搬送方向の長さを演算する演算手段と、前記演算手段にて演算された前記シートの搬送方向の長さに基づいて当該シートに画像を形成する画像形成手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを含む画像形成装置である。
【0010】
請求項10記載の発明は、前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項11記載の発明は、前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項12記載の発明は、前記画像形成手段は、前記シートの一方の面に画像を形成するとともに、表裏が反転された当該シートの他方の面に画像を形成し、当該シートの当該他方の面に画像を形成する際に、当該シートの搬送方向の長さに基づく画像形成条件の調整を行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、許容範囲の設定次第で異常として検出したい現象を検出することが可能になる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、出力手段によるパルスの出力が欠落したことを異常として検出することが可能になる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、例えば回転体の外径変化や回転体の外周面のすべりに起因する異常を検出することが可能になる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、回転体の過剰な偏心に起因する異常を検出することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常が検出された以降に誤った周期情報に起因する許容範囲の設定がなされるのを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常が検出された以降の動作を禁止することができる。
請求項9記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常の検出において回転体の偏心に起因する誤差の影響を低減することができる。
請求項11記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、位置がずれた状態でシートに画像が形成されるのを抑制することができる。
請求項12記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、シートの両面のそれぞれに形成される画像の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態で用いた測長装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本実施の形態で用いた回転量検出装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】画像形成装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】画像形成装置を用いて、記録材の両面に画像形成を行う場合における制御部の処理の内容一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)〜(c)は、記録材の通過に伴って回転する測長ロールのロール速度と、測長装置から出力される各種信号との関係の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】記録材長さを算出するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】搬送される記録材における記録材長さと、記録材長さにおける第1長さ、第2長さ、第3長さおよび第4長さとの関係を示す図である。
【図9】(a)は偏心した測長ロール構成の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す測長ロールを回転周期で1回転させることによって得られる位相信号の一例を示す図であり、(c)は(b)に示す位相信号に基づいて得られた位相とパルス間隔との関係を示す図である。
【図10】測長装置の異常検出における制御部の処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図11】測長装置の異常検出における制御部の処理の内容の一例を示すフローチャート(つづき)である。
【図12】図10のステップ206における故障判定処理について説明するための図である。
【図13】図11のステップ214における故障判定処理について説明するための図である。
【図14】図11のステップ216における故障判定処理について説明するための図である。
【図15】図11のステップ219における故障判定処理について説明するための図である。
【図16】基準パルスデータの更新処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、所謂タンデム型の構成を有するものであって、例えば電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)を備えている。また、画像形成装置は、画像形成手段の一例としての各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20上に転写された重ね画像を記録材Sに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30とを備えている。さらに、画像形成装置は、二次転写装置30に向けて記録材Sを供給する記録材供給装置40と、二次転写装置30で二次転写された画像を記録材Sに加熱定着させる定着装置50と、画像が定着された記録材Sを冷却する冷却装置60とを備えている。
【0015】
これらのうち、各画像形成ユニット10は、回転可能に取り付けられた感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に設けられた、感光体ドラム11を帯電する帯電装置12、感光体ドラム11を露光して静電潜像を書き込む露光装置13、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写装置15、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラム清掃装置16とを、それぞれが備えている。なお、以下の説明においては、各画像形成ユニット10を、それぞれ、イエロー画像形成ユニット10Y、マゼンタ画像形成ユニット10M、シアン画像形成ユニット10C、黒画像形成ユニット10Kと呼ぶ。
【0016】
また、中間転写ベルト20は、3本のロール部材21〜23に掛け渡されて回転するように構成されている。これらのうち、ロール部材22は、中間転写ベルト20を駆動するようになっている。また、ロール部材23は、中間転写ベルト20を挟んで二次転写ロール31に対向配置されており、これら二次転写ロール31およびロール部材23によって二次転写装置30が構成されている。なお、中間転写ベルト20を挟んでロール部材21と対向する位置には、中間転写ベルト20上の残留トナーを除去するベルト清掃装置24が設けられている。
【0017】
また、記録材供給装置40は、記録材Sを収容する記録材収容部41と、この記録材収容部41に収容された記録材Sを取り出して搬送する取り出しロール42とを備えている。そして、記録材供給装置40より供給された記録材Sの搬送路には、複数の搬送ロール43が設けられている。なお、シートの一例としての記録材Sを構成する材料としては、各種紙材で構成されるものは勿論のこと、紙材の他に例えばOHPシート等に用いられる樹脂製のものであってもよく、紙材の表面に樹脂被膜のコーティングを施したものであってもよい。
【0018】
さらに、定着装置50は、記録材Sを加熱する加熱源を備えており、本実施の形態では、記録材Sに転写された画像を加熱・加圧することで定着するようになっている。
一方、冷却装置60は、定着装置50によって加熱された記録材Sを冷却する機能を有するものであって、例えば、記録材Sを挟むように配置された2つの金属ロール等の間に、記録材Sを接触させて通過させる構成を採用してよい。
【0019】
ここで、本実施の形態の画像形成装置は、記録材供給装置40から供給された記録材Sの片面に画像を形成することができるのに加え、片面に画像を形成した記録材Sを反転搬送して、この記録材Sの他面にさらに画像を形成することができるように構成されている。このため、画像形成装置は、定着装置50および冷却装置60を通過した記録材Sの表裏および搬送方向の先後端を反転させて再度二次転写装置30へと戻す反転搬送機構70を備えている。この反転搬送機構70は、冷却装置60よりも記録材Sの搬送方向下流側に設けられ、記録材Sの進行方向を画像形成装置の外部に排出するための搬送路と反転搬送するための搬送路とに切り替えるための切り替え装置71を備えている。また、反転搬送機構70は、記録材Sを反転搬送するための搬送路内に設けられ、記録材Sの搬送方向を反転させることで、再度二次転写装置30に向かう記録材Sの表裏を反転させる反転装置72をさらに備えている。なお、記録材Sを反転搬送するための搬送路にも、複数の搬送ロール43が取り付けられている。
【0020】
さらに、本実施の形態の画像形成装置は、冷却装置60よりも記録材Sの搬送方向下流側であって切り替え装置71よりも記録材Sの搬送方向上流側となる部位に設けられ、冷却装置60から搬送されてくる記録材Sの搬送方向長さを測定する測長装置100をさらに備えている。なお、測長装置100の取り付け位置は、この部位に限られるのではなく、記録材Sを反転搬送するための搬送路に取り付けるようにしてもかまわない。
【0021】
そして、この画像形成装置は、画像形成装置を構成する各装置および各部の動作を制御する制御部80と、ユーザから受けた指示を制御部80に出力するとともに制御部80から受けた指示を図示しない画面等を介してユーザに提示する通知手段の一例としてのユーザインタフェース部(UI)90とをさらに備えている。
【0022】
図2は、図1に示す画像形成装置に設けられ、搬送されてくる記録材Sの長さの測定に用いられる測長装置100の一例を示す概略構成図である。
測長装置100は、搬送路44の上方において回転軸110aを中心に回転する測長ロール110と、測長ロール110の回転軸110aに取り付けられ、測長ロール110の回転量の検出を行う回転量検出装置200とを備えている。
【0023】
回転体の一例としての測長ロール110は、円形状の断面を有し例えば金属にて構成されたロール本体111と、ゴム等の弾性体からなりロール本体111の外周面に形成される表面層112とを備えている。そして、測長ロール110の回転軸110aは、ロール本体111に取り付けられている。
【0024】
また、測長装置100は、搬送路44の上方において回転軸110aと同じ方向に伸びる揺動軸120aを中心として揺動する揺動アーム120を備えている。ここで、揺動軸120aは、測長ロール110の回転軸110aよりも記録材Sの搬送方向上流側に配置されている。また、揺動軸120aは、測長装置100の筐体(図示せず)に取り付けられている。この揺動アーム120は、図2に示す状態において記録材Sの搬送方向に沿って伸びており、記録材Sの搬送方向下流側に対応する揺動アーム120の端部には、測長ロール110の回転軸110aが取り付けられている。一方、記録材Sの搬送方向上流側に対応する揺動アーム120の端部には、コイルバネ130の一端側が取り付けられている。このコイルバネ130の他端側は、揺動アーム120を挟んで搬送路44とは反対側に設けられた支持部(図示せず)に取り付けられている。図2に示す状態において、コイルバネ130は引っ張られた状態にあり、揺動アーム120を、揺動軸120aを中心とし図2において時計回り方向に回転させようとする力を発生するようになっている。このように、測長装置100では、コイルバネ130が揺動アーム120に対し図2において時計回り方向の力を加えることで、測長ロール110を搬送路44(および搬送路44内を搬送される記録材S)に押し付けるようになっている。そして、本実施の形態では、搬送されてくる記録材Sに測長ロール110が接触することによって、測長ロール110が記録材Sの移動に従動して回転するようになっている。
【0025】
記録材Sを搬送する搬送路44は、予め決められた寸法の空間を隔てて対向配置される下側案内部材140と上側案内部材150とによって形成されている。下側案内部材140および上側案内部材150は、それぞれ板状の形状を備えており、搬送されてくる記録材Sを案内し且つその移動方向を規制する機能を備えている。本実施の形態では、記録材Sが、下側案内部材140に接触した状態で搬送路44内を搬送され、さらに記録材Sが上方に変位しないように上側案内部材150によって規制されるようになっている。ただし、測長ロール110が取り付けられる部位においては、上側案内部材150が取り除かれており、搬送路44および搬送路44内を搬送される記録材Sが露出するようになっている。
【0026】
さらに、測長装置100は、測長ロール110と記録材S(あるいは下側案内部材140)とが接する部位よりも記録材Sの搬送方向上流側において記録材Sの搬送方向先端および後端の通過を検知する上流側検知センサ160と、測長ロール110と記録材S(あるいは下側案内部材140)とが接する部位よりも記録材Sの搬送方向下流側において記録材Sの搬送方向先端および後端の通過を検知する下流側検知センサ170とをさらに備えている。本実施の形態において、上流側検知センサ160および下流側検知センサ170は、それぞれ、LED(Light Emitting Diode)とフォトセンサとによって構成される光電センサからなり、搬送される記録材Sが検出位置を通過するのを光学的に検出する。このため、上流側検知センサ160および下流側検知センサ170は、それぞれ、上側案内部材150が設けられていない部位に下側案内部材140と対向するように取り付けられている。そして、上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが、それぞれ出力されるようになっている。ここで、以下の説明においては、上流側検知センサ160による記録材Sの検出位置と下流側検知センサ170による記録材Sの検出位置との距離をギャップGと呼ぶ。また、図1に示す画像形成装置では、記録材Sが搬送路44内を予め設定された速度で搬送されるようになっており、この記録材Sの設定速度を記録材搬送速度Vsと呼ぶ。
なお、本実施の形態では、測長ロール110に対し、固定された下側案内部材140を対向配置しているが、例えば回転可能に設けられたロール部材を対向配置するようにしてもかまわない。
【0027】
図3は、図2に示す測長装置100に設けられ、回転軸110aを介して測長ロール110の回転量の検出を行う回転量検出装置200の一例を示す概略構成図である。この回転量検出装置200は、測長ロール110の一端側において、回転軸110aを共有するように設けられており、しかも、図2に示す揺動アーム120が揺動した際に、測長ロール110とともに揺動するように構成されている。
【0028】
出力手段の一例としての回転量検出装置200は、例えば直方体状の形状を備え、内部には測長ロール110の回転軸110aが挿入された筐体210と、筐体210の内部において筐体210に固定され、回転軸110aを回転可能に支持する2つの軸受211、212と、筐体210の内部において回転軸110aに対し固定された状態で取り付けられ、後述するように放射状に複数のスリットが形成された円形状のスリット円板220とを備えている。
【0029】
ここで、スリット円板220は、例えばガラス等で構成されている。このスリット円板220には、その表裏面を貫通するように、円周方向に等間隔に複数形成された第1スリット221と、第1スリット221の半径方向の内側において円周方向に1つだけ形成された第2スリット222とが設けられている。
【0030】
また、回転量検出装置200は、測長ロール110および回転軸110aの回転に伴ってスリット円板220が回転する際の、第1スリット221の通過を検出する第1スリット検出部230と、第2スリット222の通過を検出する第2スリット検出部240とをさらに備える。ここで、第1スリット検出部230および第2スリット検出部240は、筐体210に内蔵されている。
【0031】
これらのうち、第1スリット検出部230は、スリット円板220の周縁部側すなわち複数の第1スリット221の形成部位に向けて光を出射する第1発光素子231と、第1発光素子231から出射される光をスリット円板220に向けて集光する第1レンズ232と、第1発光素子231から出射されスリット円板220に設けられた第1スリット221を通過した光の光軸上に配置された固定スリット235と、スリット円板220に設けられた第1スリット221および固定スリット235を通過した光を受光する第1受光素子233と、第1受光素子233からの出力信号を増幅する第1アンプ234とを備える。
【0032】
一方、第2スリット検出部240は、スリット円板220の周縁部側よりも内側に設けられた単数の第2スリット222の形成部位に向けて光を出射する第2発光素子241と、第2発光素子241から出射される光をスリット円板220に向けて集光する第2レンズ242と、第2発光素子241から出射されスリット円板220に設けられた第2スリット222を通過した光を受光する第2受光素子243と、第2受光素子243からの出力信号を増幅する第2アンプ244とを備える。
【0033】
これらのうち、第1発光素子231および第2発光素子241は、例えば発光ダイオード(LED)によって構成され、第1受光素子233および第2受光素子243は、例えばフォトダイオード(PD)によって構成される。
【0034】
回転量検出装置200において、第1受光素子233は、測長ロール110の回転に伴うスリット円板220の回転によって、第1発光素子231から出射される光がスリット円板220に設けられた第1スリット221にて時間的に細切れに分断され、第1スリット221および固定スリット235を通過した光を断続的に受光し、受光した光のタイミングに応じたパルス波形を出力信号として出力する。そして、第1アンプ234は、その出力信号を増幅して得られた位相信号Spを、画像形成装置に設けられた制御部80(図1参照)に出力する。
【0035】
一方、回転量検出装置200において、第2受光素子243は、測長ロール110が一回転する毎に一度だけ第2スリット222を通過した光を受光し、その受光した光のタイミングに応じたパルス波形を出力信号として出力する。第2アンプ244は、その出力信号を増幅して得られたZ相信号Szを、画像形成装置に設けられた制御部80(図1参照)に出力する。
【0036】
なお、本実施の形態では、回転量検出装置200としていわゆるインクリメンタル型のロータリエンコーダを用いているが、測長ロール110の回転量を1周(2π(rad))未満を単位として測定できるものであれば、適宜変更して差し支えない。このような装置としては、例えばアブソリュート型のロータリエンコーダが挙げられる。また、本実施の形態では、光量変動を利用して回転量検出装置200を構成していたが、これに限られるものではなく、例えば磁気変動を利用したものを用いてもよい。
【0037】
図4は、図1に示す制御部80の構成の一例を示すブロック図である。
この制御部80は、UI90や画像形成装置に接続された外部機器(図示せず)から出力される指示を受け付ける受付部81と、受付部81を介して印刷指示を受け付けた場合に、指示とともに送られてくる画像データに基づいて、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色の画像信号を作成する画像信号作成部82とを備える。また、制御部80は、画像信号作成部82で作成された各色の画像信号を各画像形成ユニット10(より具体的には、各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力するタイミングを調整し、また、画像信号作成部82で作成された各色の画像信号の副走査方向(記録材Sの搬送方向に対応する方向)倍率を調整する画像信号出力調整部83をさらに備えている。さらに、制御部80は、各画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)、二次転写装置30、記録材供給装置40、定着装置50、冷却装置60、反転搬送機構70等、画像形成装置を構成する各部の動作を制御する動作制御部84を備えている。なお、本実施の形態では、動作制御部84が停止手段として機能するようになっている。
【0038】
また、本実施の形態の制御部80は、測長装置100から入力される各種信号に基づき、測長装置100を通過する記録材Sの搬送方向長さ(シートの搬送方向の長さ)である記録材長さLを算出する記録材長算出部85をさらに備えている。ここで、演算手段の一例としての記録材長算出部85に入力される各種信号は、上流側検知センサ160から入力される上流側エッジ信号Suと、下流側検知センサ170から入力される下流側エッジ信号Sdと、第1スリット検出部230から入力される位相信号Spと、第2スリット検出部240から入力されるZ相信号Szとを含んでいる。また、制御部80は、記録材長算出部85において記録材長さLを算出するために使用される各種係数を記憶する係数記憶部86を備えている。ここで、係数記憶部86は、測長装置100におけるギャップG(図2参照)、例えば記録材Sの種類に応じて予め決められた記録材搬送速度Vs(図2参照)、そして位相信号Spのパルス1カウントあたりの測長ロール110の周面の移動量である単位移動長Xを記憶している。そして、測長装置100で算出された記録材長さLは、画像信号出力調整部83に出力されて画像信号の出力調整に用いられ、また、動作制御部84に出力されて画像形成装置を構成する各部の動作制御に用いられる。
【0039】
さらに、本実施の形態の制御部80は、測長装置100から記録材長算出部85を介して入力される各種信号に基づき、測長装置100(より具体的には測長ロール110および回転量検出装置200)で生じた異常を検出する異常検出部87を備えている。なお、異常検出部87には、上述した上流側エッジ信号Su、下流側エッジ信号Sd、位相信号SpおよびZ相信号Szが入力されるようになっている。
【0040】
そして、異常検出部87は、入力されてくる上流側エッジ信号Su、下流側エッジ信号Sd、位相信号SpおよびZ相信号Szに基づき、測長ロール110の1回転(1周)分に対応する位相信号Spから得られる周期情報の一例としてのパルスデータを取得する、取得手段の一例としてのパルスデータ取得部87aを備えている。また、異常検出部87は、予め決められた時期にパルスデータ取得部87aで取得された基準周期情報の一例としての基準パルスデータを記憶する、記憶手段の一例としての基準パルスデータ記憶部87bを備えている。さらに、異常検出部87は、測長ロール110での異常および回転量検出装置200での異常を検出するための基準となる各種閾値を記憶する閾値記憶部87cを備えている。ここで、閾値記憶部87cは、測長ロール110の偏心異常の判定に用いられる偏心閾値α、測長ロール110の外周面異常の判定に用いられる外周面閾値βを記憶している。さらにまた、異常検出部87は、基準パルスデータとは異なる時期にパルスデータ取得部87aで取得された記録パルスデータに基づき、基準パルスデータ記憶部87bから読み出した基準パルスデータおよび閾値記憶部87cから読み出した各種閾値を用いて、測長装置100で異常が生じているか否かを判定する、異常検出手段あるいは判定手段の一例としての判定部87dを備えている。そして、判定部87dは、判定結果に基づく制御信号を動作制御部84およびUI90に出力するようになっている。なお、パルスデータ取得部87aで取得される基準パルスデータおよび記録パルスデータの詳細、そして、閾値記憶部87cに記憶される偏心閾値αおよび外周面閾値βの詳細については後述する。
【0041】
また、制御部80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備えており、CPUは、予めROMに記憶されたプログラムに従い、RAMとの間でデータのやりとりを行いながら処理を実行するようになっている。
【0042】
図5は、図1に示す画像形成装置を用いて、記録材Sの両面に画像形成を行う場合における制御部80の処理の内容の一例を示すフローチャートである。以下では、図5と図1〜図4とを参照しつつ説明を行う。
UI90あるいは外部機器より受付部81が印刷要求の指示を受け付けると(ステップ101)、動作制御部84は、画像形成装置を構成する各部を起動してウォームアップ動作を実行させ、画像信号作成部82は、入力される画像データに基づいて記録材Sの第1面に形成する各色の第1面の画像信号を作成する。次に、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させ、画像信号出力制御部83は、画像信号作成部82で作成された各色の第1面の画像信号を、記録材Sの供給に同期させて各画像形成ユニット10(より詳細には各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力する(ステップ102)。
【0043】
これに伴い、各画像形成ユニット10では、各色の第1面の画像信号に応じた画像(この例ではトナー像)の形成が行われる。具体的に説明すると、動作制御部84は、各画像形成ユニット10の感光体ドラム11を回転させ、回転する感光体ドラム11を帯電装置12によって帯電させた後、露光装置13からの各色の第1面の画像信号に対応するビームにより露光させることで、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成させる。次に、動作制御部84は、各感光体ドラム11に形成された静電潜像を、対応する各色の現像装置14によってそれぞれ現像させることで、各色の第1面の画像を形成させる。そして、動作制御部84は、各感光体ドラム11とともに回転駆動される中間転写ベルト20に対し、各一次転写装置15を用いて、各感光体ドラム11に形成された第1面の画像を順次一次転写させる(ステップ103)。一次転写されることで中間転写ベルト20上に重ね合わされた第1面の画像は、中間転写ベルト20のさらなる回転に伴って、二次転写装置30における二次転写ロール30とロール部材23との対向位置である二次転写位置へと向かう。
【0044】
一方、記録材供給装置40から供給された記録材Sは、搬送ロール43により搬送されて二次転写位置に到達する。そして、動作制御部84は、二次転写装置30を用いて、中間転写ベルト20上に形成された第1面の画像を、記録材Sの第1面に二次転写させる(ステップ104)。
【0045】
次に、動作制御部84は、第1面に画像が転写された記録材Sに対し、定着装置50を用いて例えば加熱および加圧を行うことで第1面の画像を記録材Sに定着させ、さらに、定着装置50によって加熱された記録材Sを、冷却装置60を用いて冷却させる(ステップ105)。
【0046】
第1面に画像が定着された片面記録済みの記録材Sは、冷却装置60から測長装置100に搬送される。測長装置100では、片面記録済みの記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは回転量に応じた位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からは回転数に応じたZ相信号Szが出力される。また、片面記録済みの記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85に入力される。そして、記録材長算出部85は、測長装置100から入力される各種信号と、係数記憶部86から読み出した各種係数とを用いて、測長装置100を通過した片面記録済みの記録材Sの記録材長さLを算出する(ステップ106)。その後、記録材長算出部85は、算出した記録材長さLを、画像信号出力調整部83および動作制御部84に出力する。なお、記録材長さLの算出手法については、後で詳細に説明する。
【0047】
次に、画像信号出力調整部83は、受け取った記録材長さLに基づいて、画像信号作成部82で作成される各色の第2面の画像信号を各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13に出力するタイミング(露光装置13による感光体ドラム11への書き出し位置)と、画像信号作成部82で作成される各色の第2面の画像信号の副走査方向倍率(拡縮量)とを算出する(ステップ107)。
【0048】
一方、動作制御部84は、片面記録済みの記録材Sの搬送方向先端が到達するまでに、反転搬送するための搬送路側に切り替え装置71を切り替えさせるとともに、反転装置72に搬入されてくる記録材Sを、その進行方向を反転させることで表裏を反転させて排出させる。その結果、片面記録済みの記録材Sは、反転搬送機構70により、二次転写装置30よりも搬送方向上流側の搬送路に向けて反転搬送される(ステップ108)。
【0049】
続いて、画像信号作成部82は、入力される画像データに基づいて記録材Sの第2面に形成する各色の第2面の画像信号を作成する。また、動作制御部84は、反転搬送される片面記録済みの記録材Sをさらに搬送し、画像信号出力制御部83は、画像信号作成部82で作成された各色の第2面の画像信号を、ステップ107で算出された書き出し位置と拡縮量とに応じて調整した後に、反転搬送される片面記録済みの記録材Sの供給に同期させて各画像形成ユニット10(より詳細には各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力する(ステップ109)。
【0050】
これに伴い、各画像形成ユニット10では、各色の第2面の画像信号に応じた画像の形成が行われる。具体的に説明すると、動作制御部84は、各画像形成ユニット10の感光体ドラム11を回転させ、回転する感光体ドラム11を帯電装置12によって帯電させた後、露光装置13からの各色の第2面の画像信号に対応するビームにより露光させることで、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成させる。次に、動作制御部84は、各感光体ドラム11に形成された静電潜像を、対応する各色の現像装置14によってそれぞれ現像させることで、各色の第2面の画像を形成させる。そして、動作制御部84は、各感光体ドラム11とともに回転駆動される中間転写ベルト20に対し、各一次転写装置15を用いて、各感光体ドラム11に形成された第2面の画像を順次一次転写させる(ステップ110)。一次転写されることで中間転写ベルト20上に重ね合わされた第2面の画像は、中間転写ベルト20のさらなる回転に伴って二次転写位置へと向かう。
【0051】
一方、反転搬送される片面記録済みの記録材Sは、搬送ロール43により搬送されて再び二次転写位置に到達する。そして、動作制御部84は、二次転写装置30を用いて、中間転写ベルト20上に形成された第2面の画像を、記録材Sの第2面に二次転写させる(ステップ111)。
【0052】
次に、動作制御部84は、第2面に画像が転写された記録材Sに対し、定着装置50を用いて例えば加熱および加圧を行うことで第2面の画像を記録材Sに定着させ、さらに、定着装置50によって加熱された記録材Sを、冷却装置60を用いて冷却させる(ステップ112)。
【0053】
また、動作制御部84は、第1面および第2面に画像が定着された両面記録済みの記録材Sの搬送方向先端が到達するまでに、画像形成装置の外部に排出するための搬送路側に切り替え装置71を切り替えさせており、両面記録済みの記録材Sは、搬送に伴って画像形成装置の外部に排出されて(ステップ113)、一連の動作を完了する。
【0054】
上記した手順による両面画像形成が、複数の記録材Sに対して行われると、それぞれに両面画像を形成した複数の記録材Sを束ねて1つの冊子が作成される。その際、複数の記録材S間において記録材長さLにばらつきが生じていても、測長装置100により測定された記録材長さLに基づいて書き出し位置や副走査倍率等の形成条件が調整されるので、左右見開きまたは上下見開きとした場合における記録材間の記録位置のずれ量が低減され、記録材長さLに基づく調整を行わない場合に比べて高品質の冊子が作成される。
【0055】
なお、ここでは、画像信号出力調整部83により、露光装置13に供給する第2面の画像信号の出力調整を行うことで、記録材Sの第1面および第2面に形成される画像のずれを抑制するようにしていたが、これに限られるものではない。例えば中間転写ベルト20の移動速度に対する各感光体ドラム11の回転速度を調整することで、副走査方向の倍率調整を行うようにしてもよい。
【0056】
では、上述したステップ106における記録材Sの記録材長さLの算出方法について説明する。
図6(a)は、記録材Sの通過に伴って回転する測長ロール110のロール速度Vrと、上流側検知センサ160から出力される上流側エッジ信号Suと、下流側検知センサ170から出力される下流側エッジ信号Sdと、第1スリット検出部230から出力される位相信号Spと、第2スリット検出部240から出力されるZ相信号Szとの関係の一例を示すタイミングチャートである。また、図6(b)は後述する第3時刻tc前後での下流側エッジ信号Sdと位相信号Spとの関係を、図6(c)は後述する第4時刻td前後での上流側エッジ信号Suと位相信号Spとの関係を、それぞれ拡大して示したものである。なお、ロール速度Vrは、測長ロール110の周面の移動速度を意味している。
【0057】
測長装置100に記録材Sが進入する前の第1期間T1では、記録材Sが存在しないために、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdがそれぞれオフ(off)状態となっている。また、第1期間T1においては、測長ロール110が停止しているためにロール速度Vrは0となっており、これに伴って位相信号SpおよびZ相信号Szもオフ状態を維持している。ただし、測長ロール110が停止している場合であっても、スリット円板220に設けられた第1スリット221や第2スリット222の位置によっては、位相信号Spがオン状態を維持したり、Z相信号がオン状態を維持したりすることもある。
【0058】
次に、搬送される記録材Sの搬送方向先端(以下、単に「先端」という)が上流側検知センサ160による検知位置に到達する第1時刻taにおいて、上流側エッジ信号Suがオフ状態からオン状態になる。このとき、下流側エッジ信号Sdはオフ状態を維持しており、測長ロール110は引き続き停止している(Vr=0)ことから、位相信号SpおよびZ相信号Szも引き続きオフ状態を維持する。
【0059】
第1時刻taから第2期間T2が経過した第2時刻tbにおいて、搬送される記録材Sの先端が測長ロール110との対向部に到達すると、測長ロール110が記録材Sによって回転駆動され始める。ただし、測長ロール110のロール速度Vrは直ちに記録材搬送速度Vsに到達するのではなく、記録材搬送速度Vsに向けて徐々に増速されていく。また、測長ロール110が回転を開始するのに伴ってスリット円板220が回転し始めることから、位相信号Spがオン状態とオフ状態とを繰り返すようになる。ただし、上述したようにロール速度Vrが徐々に増速されていることから、位相信号Spにおけるオン−オフの間隔が徐々に短くなっていく。
【0060】
第2時刻tbから第3期間T3が経過し、搬送される記録材Sの先端が下流側検知センサ170による検知位置に到達する第3時刻tcにおいて、下流側エッジ信号Sdがオフ状態からオン状態になる。このとき、上流側エッジ信号Suはオン状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは第3時刻tcに到達するまでの間に記録材搬送速度Vsまで増速されている。このため、少なくとも第3時刻tc以降は、位相信号Spが周期的にオン状態とオフ状態とを繰り返すようになる。
また、スリット円板220が回転し始めた後は、スリット円板220が一周する毎にZ相信号Szが一時的にオフ状態からオン状態となる。なお、図6(a)は、第2期間T2ではZ相信号Szはオン状態にならず、第3時刻tcを経過した後、初めてオン状態になる場合を例示している。
【0061】
第3時刻tcから第4期間T4が経過し、搬送される記録材Sの搬送方向後端(以下、単に「後端」という)が上流側検知センサ160による検知位置を通過する第4時刻tdにおいて、上流側エッジ信号Suがオン状態からオフ状態になる。このとき、下流側エッジ信号Sdはオン状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは引き続き記録材搬送速度Vsに維持される。
【0062】
第4時刻tdから第5期間T5が経過した第5時刻teにおいて、搬送される記録材Sの後端が測長ロール110との対向部を通過すると、測長ロール110は記録材Sからの駆動力を受けなくなる。ただし、測長ロール110のロール速度Vrは直ちに0となる(停止する)のではなく、記録材搬送速度Vsから徐々に減速されていく。また、測長ロール110の駆動が停止されるのに伴ってスリット円板220も減速され始めることから、位相信号Spにおけるオン−オフの間隔が徐々に長くなっていく。
【0063】
第5時刻teから第6期間T6が経過し、搬送される記録材Sの後端が下流側検知センサ170による検知位置を通過する第6時刻tfにおいて、下流側エッジ信号Sdがオン状態からオフ状態となる。このとき、上流側エッジ信号Suはオフ状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは第6時刻tfに到達するまでの間に0となって停止する。
【0064】
そして、測長装置110から記録材Sが排出された後の第7期間T7では、記録材Sが存在しないために、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdがそれぞれオフ状態となっている。また、第7期間T7においては、測長ロール110が回転を停止しているために、ロール速度Vrは0となっており、これに伴って位相信号SpおよびZ相信号Szもオフ状態を維持している。ただし、上述したように、測長ロール110が停止している場合であっても、位相信号Spがオン状態を維持したり、さらに、Z相信号がオン状態を維持したりすることもある。
【0065】
ここで、下流側エッジ信号Sdがオフ状態からオン状態になる第3時刻tcと、位相信号Spがオフ状態からオン状態へと移行する(以下では立ち上がると称する)タイミングあるいはオン状態からオフ状態へと移行する(以下では立ち下がると称する)タイミングとは必ずしも一致しない。そこで、以下の説明においては、図6(b)に示したように、第3時刻tcから、第3時刻tcの直後に最初に位相信号Spが立ち上がるあるいは立ち下がる下流側ずれ時刻tc0に至る期間を、下流側ずれ期間Txと呼ぶ。なお、図6(b)は、下流側ずれ時刻tc0において位相信号Spが立ち上がる場合を例示している。
【0066】
また、上流側エッジ信号Suがオフ状態からオン状態になる第4時刻tdと、位相信号Spが立ち上がるあるいは立ち下がるタイミングとは必ずしも一致しない。そこで、以下の説明においては、図6(c)に示したように、第4時刻tdから、第4時刻tdの直前に最後に位相信号Spが立ち上がりあるいは立ち下がる上流側ずれ時刻td0に至る期間を、上流側ずれ期間Tyと呼ぶ。なお、図6(c)は、上流側ずれ時刻td0において位相信号Spが立ち下がる場合を例示している。
【0067】
そして、以下の説明では、搬送される1枚の記録材Sが上流側検知センサ160および下流側検知センサ170の両者によって検知される第4期間T4において、Z相信号Szがオン状態となって次にオン状態となるまでの期間を回転周期Trと呼ぶ。この回転周期Trは、ロール速度Vrが記録材搬送速度Vsに設定された測長ロール110を1回転させることでスリット円板220を1回転させるための期間を意味している。
【0068】
図7は、図4に示す記録材長算出部85において記録材長さLを算出するための処理の一例を示すフローチャートである。また、図8は、搬送される記録材Sにおける記録材長さLと、記録材長さLにおける第1長さL1、第2長さL2、第3長さL3および第4長さL4との関係を示す図である。なお、第1長さL1乃至第4長さL4の詳細については後述する。
【0069】
記録材長算出部85は、まず、下流側エッジ信号Sdおよび位相信号Spから第3時刻tcおよび下流側ずれ時刻tc0を取得し、これら第3時刻tcと下流側ずれ時刻tc0とから下流側ずれ期間Txを算出する(ステップ1061)。
次に、記録材長算出部85は、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdから第3時刻tcおよび第4時刻tdを取得し、これら第3時刻tcと第4時刻tdとから第4期間T4を得た後、さらに位相信号Spを参照して第4期間T4内における位相信号Spの立ち上がり回数であるパルスカウント数Cを取得する(ステップ1062)。
続いて、記録材長算出部85は、上流側エッジ信号Suおよび位相信号Spから第4時刻tdおよび上流側ずれ時刻td0を取得し、これら第4時刻tdと上流側ずれ時刻td0とから上流側ずれ期間Tyを求める(ステップ1063)。
そして、記録材長算出部85は、係数記憶部86より、記録材搬送速度Vs、単位移動長XおよびギャップGを読み出す(ステップ1064)。このとき、記録材長算出部85は、測長対象となる記録材Sの種類に応じた記録材搬送速度Vsを読み出している。
【0070】
その後、記録材長算出部85は、第1長さL1、第2長さL2、第3長さL3および第4長さL4をそれぞれ計算し、得られた第1長さL1乃至第4長さL4を加算することによって記録材長さLを算出する(ステップ1065)。ここで、第1長さL1は、ステップ1061で算出した下流側ずれ期間Txとステップ1064で読み出した記録材搬送速度Vsとを乗算して得られる。また、第2長さL2は、ステップ1062で取得されたパルスカウント数Cとステップ1064で読み出した単位移動長Xとを乗算して得られる。さらに、第3長さL3は、ステップ1063で取得した上流側ずれ期間Tyとステップ1064で読み出した記録材搬送速度Vsとを乗算して得られる。さらにまた、第4長さL4は、ステップ1064で読み出したギャップGである。
そして、記録材長算出部85は、ステップ1065で算出された記録材長さLを、画像信号出力調整部83および動作制御部84に出力し(ステップ1066)、一連の処理を完了する。
【0071】
上述した記録材長さLの算出においては、第2長さL2が記録材長さLの大半を占めていることから、第4期間T4におけるパルスカウント数Cが重要な役割を担う。このため、測長ロール110として、回転軸110aの偏心が少ないものを用いることが望ましい。
しかしながら、偏心のない測長ロール110の製造は困難であり、実際には、予め決められた公差の範囲内に偏心の大きさが含まれる測長ロール110を使用することになる。
【0072】
ここで、図9(a)は偏心した測長ロール110の構成の一例を示す図であり、図9(b)は図9(a)に示す測長ロール110を回転周期Trで1回転させることによって得られる位相信号Spの一例を示す図であり、図9(c)は図9(b)に示す位相信号Spに基づいて得られた、位相と位相信号Spにおいて隣接するパルス同士の間隔(以下ではパルス間隔PRと称する)との関係を示す図である。なお、図9(b)において、横軸は時間t(sec)であり、縦軸は位相信号Spの出力値である。また、図9(c)において、横軸は位相PH(rad)であり、縦軸はパルス間隔PRである。本実施の形態では、図9(c)に示すような1つの回転周期Trにおける位相PHと各パルスPRとの相関データを、『パルスデータ』と称する。
【0073】
図9(a)に示す例において、測長ロール110には、回転軸110aが取り付けられている。このとき、取り付け精度等の理由により、全く偏心のない状態を得ることは難しく、多くの場合、多少の偏心が生じる。ここで、回転軸110aと測長ロール110の周面との距離が最短となる距離を最短径RSと呼び、最長となる距離を最長径RLと呼ぶ。また、測長ロール110の周面長さをロール周長Lrと呼ぶ。
【0074】
図9(b)は、図9(a)に示す測長ロール110を、最大半径RLとなる位置を基点として1回転させた際に得られる位相信号Spを例示している。ここで、回転周期trのうち、1回転を開始する時刻を周期開始時刻tr1と呼び、1回転を終了する時刻を周期終了時刻tr2と呼ぶ。なお、周期開始時刻tr1は図9(c)に示す位相PH=0(rad)に対応しており、周期終了時刻tr2は図9(c)に示す位相PH=2π(rad)に対応している。このように、偏心が生じた測長ロール110を用いた場合、測長ロール110のうち最短径RSとなる部位と最長径RLとなる部位とで、位相信号Spにおけるパルス間隔PRが変わってしまうことがわかる。より具体的に説明すると、最短径RSとなる部位では、最長径RLとなる部位に比べてパルス間隔PRが短くなっている。
【0075】
したがって、この例では、図9(c)に示すように、パルス間隔PRが、位相PH=0から位相PH=πに向けて徐々に減少し、その後、位相PH=πから位相PH=2πに向けて徐々に増加する正弦波状の挙動を示すようになる。また、波上にみられる細かな揺れは、スリット円板に設けられたスリットの幅や間隔の不均一性(製造誤差)によるものであり、製造の精度上、避けがたい。なお、まったく偏心がない状態で測長ロール110が取り付けられ、スリットの幅や間隔も完全に均一である場合は、図9(c)のグラフは、横軸に平行な、一直線のグラフとなる。
【0076】
では次に、偏心した測長ロール110を有する測長装置100で生じる異常を検出するための処理について説明を行う。
図10および図11は、測長装置100の異常検出における制御部80の処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【0077】
この処理では、まず、受付部81が、画像形成装置が校正モードに設定されているか否かを判断する(ステップ201)。ここで、校正モードは、例えばユーザやエンジニアが画像形成装置の保守作業を行う際に設定されるものであって、例えばUI90を介して入力が受け付けられる。また、本実施の形態では、記録材Sに対する印刷指示を受けていない場合に、校正モードへの設定が許可されるようになっている。
【0078】
ステップ201において肯定の判断を行った場合、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させる(ステップ202)。このとき、記録材Sは、予め決められた記録材搬送速度Vsで搬送される。なお、校正モードで使用する記録材Sについては、画像形成動作で使用する記録材Sと同じものとしてもよいし、校正モード専用に設定された記録材Sとしてもよい。
【0079】
記録材Sは、搬送に伴って測長装置100を通過する。すると、測長装置100では、画像形成時と同様、記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からはZ相信号Szが出力される。また、記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85を介してパルスデータ取得部87aに入力される。なお、この説明では、上述した図6に示すタイミングチャートに従って各種信号が出力されているものとする。
【0080】
次に、パルスデータ取得部87aは、入力されてくる各種信号に基づき、基準パルスデータP0を取得する(ステップ203)。なお、取得された基準パルスデータP0は、パルスデータ取得部87aから判定部87dに出力される。
【0081】
ここで、基準パルスデータP0の取得手順を、図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。パルスデータ取得部87aは、まず、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdから第3時刻tcおよび第4時刻tdを取得し、これら第3時刻tcと第4時刻tdとから第4期間T4を得る。次に、パルスデータ取得部87aは、Z相信号Szを参照して、第4期間T4内においてZ相信号Spが立ち上がった時刻(図6に示す例では、第1立ち上がり時刻tra、第2立ち上がり時刻trb、第3立ち上がり時刻trcおよび第4立ち上がり時刻trd)を取得する。続いて、パルスデータ取得部87aは、第1立ち上がり時刻traから第2立ち上がり時刻trbまでの期間、第2立ち上がり時刻trbから第3立ち上がり時刻trcまでの期間、そして第3立ち上がり時刻trcから第4立ち上がり時刻trdまでの期間を、それぞれ測長ロール110の回転周期Trとし、各回転周期Trにおける位相信号Spすなわち測長ロール110の1回転分の位相信号Spを取得する。なお、ここでは、第1立ち上がり時刻traから第2立ち上がり時刻trbまでを第1回転周期Tr1、第2立ち上がり時刻trbから第3立ち上がり時刻trcまでを第2回転周期Tr2、そして第3立ち上がり時刻trcから第4立ち上がり時刻trdまでを第3回転周期Tr3と呼ぶ。
【0082】
次に、パルスデータ取得部87aは、第1回転周期Tr1における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第1基準パルスデータと、第2回転周期Tr2における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第2基準パルスデータと、第3回転周期Tr3における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第3基準パルスデータとを算出する。なお、第1基準パルスデータ〜第3基準パルスデータは、それぞれ、図9(c)に示したように、測長ロール110の偏心に起因した波打ちを有するものとなる。
【0083】
続いて、パルスデータ取得部87aは、これら第1基準パルスデータ〜第3基準パルスデータを位相毎に平均して、基準パルスデータP0を得る。この基準パルスデータP0も、図9(c)に示したような波打ちを有するものとなる。
【0084】
では、図10に戻って説明を続ける。
判定部87dは、ステップ203において取得された基準パルスデータP0を用いて、各位相におけるパルス間隔PRの平均値である基準パルス間隔平均値Avg(P0)を算出する(ステップ204)。続いて、判定部87dは、閾値記憶部87cから偏心閾値αを読み出し(ステップ205)、基準パルス間隔平均値Avg(P0)に偏心閾値αを加えた偏心上限許容値Avg(P0)+αと、基準パルス間隔平均値Avg(P0)から偏心閾値αを差し引いた偏心下限許容値Avg(P0)−αとを計算する。そして、判定部87dは、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRのすべてが、偏心上限許容値以下且つ偏心下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ206)。
【0085】
ステップ206において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、ステップ203において取得された基準パルスデータP0を基準パルスデータ記憶部87bに格納して(ステップ207)、一連の処理を完了する。一方、ステップ206において否定の判定がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ208)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の偏心に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110に過大な偏心が存在することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ209)、一連の処理を完了する。
【0086】
次に、上述したステップ201において否定の判断を行った場合における以後の処理について、主として図11を参照しながら説明を行う。
ステップ201において否定の判断を行った場合、受付部81は、画像形成装置が印刷指示を受け付けたか否かを判断する(ステップ210)。なお、ここでいう印刷指示とは、記録材Sの両面に対する画像形成の指示だけでなく、記録材Sの片面に対する画像形成の指示も含んでいる。ステップ210において否定の判断を行った場合は、ステップ201に戻って処理を続行する。
【0087】
一方、ステップ201において肯定の判断を行った場合、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させる(ステップ211)。このとき、記録材Sは、予め決められた記録材搬送速度Vsで搬送される。また、詳細は説明しないが、搬送される記録材Sには、上述した手順により画像の形成、転写、定着そして冷却等が行われる。したがって、ステップ211以降の各種処理は、画像形成動作の背後で、記録材長さLの算出処理と並列に実行される。
【0088】
画像が定着された記録材Sは、搬送に伴って測長装置100を通過する。すると、測長装置100では、上述したように、記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からはZ相信号Szが出力される。また、記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85を介してパルスデータ取得部87aに入力される。なお、この説明でも、上述した図6に示すタイミングチャートに従って各種信号が出力されているものとする。
【0089】
次に、パルスデータ取得部87aは、入力されてくる各種信号に基づき、新たな周期情報の一例としての記録パルスデータP1を取得する(ステップ212)。なお、取得された記録パルスデータP1は、パルスデータ取得部87aから判定部87dに出力される。
【0090】
ステップ212における記録パルスデータP1の算出手順は、上述したステップ203における基準パルスデータP0の取得手順と同じであるので、その詳細な取得手順の説明を省略する。したがって、ステップ212で得られる記録パルスデータP1も、図9(c)に示したように、測長ロール110の偏心に起因した波打ちを有するものとなる。ただし、記録パルスデータP1および基準パルスデータP0は、測定対象となる記録材Sそのものが異なっている点で相違する。また、基準パルスデータP0を取得する校正モードでは画像が形成されていない記録材Sを用いていたのに対し、記録パルスデータP1を取得する場合では画像が形成された記録材Sを用いている点でも相違する。さらに、当然のことながら、基準パルスデータP0が校正モードの期間内に取得されるのに対し、記録パルスデータP1は校正モード以外の画像形成動作中に取得される点でも相違する。
【0091】
続いて、判定部87dは、ステップ207で基準パルスデータ記憶部87bに格納させておいた基準パルスデータP0を読み出す(ステップ213)。
次いで、判定部87dは、ステップ213で読み出した基準パルスデータP0の各パルス間隔PRをそれぞれ1.5倍したスリット上限許容値を計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータP1の各パルス間隔PRがすべてスリット上限許容値以下となっているか否かを判定する(ステップ214)。
【0092】
ステップ214において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、次に、閾値記憶部87cから外周面閾値βを読み出し(ステップ215)、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRにそれぞれ外周面閾値βを加えた外周面上限許容値P0+βと、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRからそれぞれ外周面閾値βを差し引いた外周面下限許容値P0−βとを計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータP1の各パルス間隔PRのすべてが、外周面上限許容値以下且つ外周面下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ216)。
【0093】
ステップ216において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、ステップ212で取得された記録パルスデータP1を用いて、各位相におけるパルス間隔PRの平均値である記録パルス間隔平均値Avg(P1)を算出する(ステップ217)。続いて、判定部87dは、閾値記憶部87cから偏心閾値αを読み出し(ステップ218)、記録パルス間隔平均値Avg(P1)に偏心閾値αを加えた偏心上限許容値Avg(P1)+αと、偏心パルス間隔平均値Avg(P1)から偏心閾値αを差し引いた偏心下限許容値Avg(P1)−αとを計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータp1の各パルス間隔PRのすべてが、偏心上限許容値以下且つ偏心下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ219)。
【0094】
ステップ219において肯定の判定がなされた場合、受付部81は、画像形成装置による印刷が終了したか否かを判断する(ステップ220)。ステップ220において肯定の判断がなされた場合は一連の処理を完了し、ステップ219において否定の判断がなされた場合はステップ211に戻って処理を続行する。
【0095】
一方、ステップ214において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ221)。次に、判定部87dは、UI90に向けて回転量検出装置200に設けられたスリット円板220に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けてスリット円板220に割れ等に起因する故障が生じていることを通知し(ステップ222)、一連の処理を完了する。
【0096】
また、ステップ216において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ223)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の外周面に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110の外周面に異物が付着することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ224)、一連の処理を完了する。
【0097】
さらに、ステップ218において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ225)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の偏心に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110に過大な偏心が存在することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ226)、一連の処理を完了する。
【0098】
図12は、上記ステップ206(図10参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図12(a)は、ステップ206において肯定の判定がなされる場合における基準パルスデータP0と、基準パルスデータP0から求まる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、基準パルス間隔平均値Avg(P0)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値(Avg(P0)+α)および偏心下限許容値(Avg(P0)−α)との関係の一例を示している。なお、図12(a)では、基準パルスデータP0を『P0a』として示している。
一方、図12(b)は、ステップ206において否定の判断がなされる場合における基準パルスデータP0と、基準パルスデータP0から求まる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、基準パルス間隔平均値Avg(P0)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値および偏心下限許容値との関係の一例を示している。なお、図12(b)では、基準パルスデータP0を『P0b』として示している。
【0099】
本実施の形態では、測長装置100において測長ロール110が偏心していると、最長径RLとなる部位が記録材Sに接する場合と最小径RSとなる部位となる部位が記録材Sに接する場合とで、コイルバネ130および揺動アーム120を介して測長ロール110にかかる力に変化が生じる。より具体的に説明すると、測長ロール110の最長径RLとなる部位が記録材Sに接する場合は、最短径RSとなる部位が記録材Sと接する場合に比べて、測長ロール110から記録材Sに加えられる力が減少する。これは、測長ロール110の最長径RLとなる部位が記録材Sと接する位置へと移動していく場合は、測長ロール110の回転軸110aが上方(記録材Sから遠ざかる側)に移動することにより、揺動アーム120を介してコイルバネ130に対しコイルバネ130を伸ばそうとする力がかかることに起因する。また、測長ロール110の最短径RSとなる部位が記録材Sに接する位置へと移動していく場合は、測長ロール110の回転軸110aが下方(記録材Sへと近づく側)に移動することにより、移動アーム120を介してコイルバネ130に対しコイルバネ130を縮めようとする力がかかることに起因する。
【0100】
測長ロール110から記録材Sに加えられる力が減少すると、力が減少する前に比べ測長ロール110を構成する表面層112の変形量(つぶれ量)が少なくなる。一方、測長ロール110から記録材Sに加えられる力が増加すると、力が増加する前に比べ表面層112のつぶれ量が多くなる。ここで、表面層112のつぶれ量が少なくなった場合は、つぶれ量が少なくなる前と比べロール周長Lrが実質的に減る。これに対し、表面層112のつぶれ量が多くなった場合は、つぶれ量が多くなる前と比べロール周長Lrが実質的に増える。
【0101】
すると、測長ロール110の偏心に起因して測長ロール110から記録材Sに加えられる力が周期的に大きく変動することとなった場合に、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
【0102】
そこで、本実施の形態では、校正モードを実行するに際して、パルス間隔PRを介して測長ロール110の偏心の度合いを検出し、偏心に起因するパルス間隔PRの変動が予め決められた範囲(偏心上限許容値および偏心下限許容値)から外れるものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0の算出結果から得られる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、予め決められた偏心閾値αとによって決定するようにした。したがって、偏心閾値αは、記録材長さLの測長誤差への影響が無視できなくなるレベル未満となるように決定される。なお、基準パルスデータ記憶部87bに記憶される基準パルスデータP0自体に測長ロール110の取り付け精度誤差による偏心の影響や、スリット円板に設けられたスリットの幅や間隔の製造誤差の影響が含まれてしまう可能性は避けられないが、補正可能な程度に抑えられていれば問題はなく、これを異常として判断することはない。
【0103】
図13は、上記ステップ214(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図13(a)は、ステップ214において肯定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、スリット上限許容値(P0×1.5)との関係の一例を示している。なお、図13(a)では、記録パルスデータP1を『P1a』として示している。
一方、図13(b)は、ステップ214において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、スリット上限許容値との関係の一例を示している。なお、図13(b)では、記録パルスデータP1を『P1b』として示している。
【0104】
本実施の形態では、測長装置100の回転量検出装置200として、スリット円板220を有するロータリエンコーダを用いている。ここで、記録パルスデータP1の基となる位相信号Spは、スリット円板220の回転に伴う複数の第1スリット221の移動によって発生する。ただし、例えばスリット円板220に割れやひびが生じることによって隣接する2つの第1スリット221が繋がってしまった場合には、これら2つの第1スリット221を通過することによって生じるパルス数が2つから1つになってしまうことから、実際の回転量に対してパルスカウント数Cが少なくなってしまう。
【0105】
すると、スリット円板220の割れ等に起因してパルスカウント数Cが減少することとなった場合に、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
【0106】
そこで、本実施の形態では、画像形成動作を実行している間に、パルス間隔PRを介してスリット円板220に設けられた第1スリット221の状態を検出し、パルス間隔PRの変動量が予め決められた上限(スリット上限許容値)を超えたものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0の1.5倍とした。この理由は、例えばスリット円板220において隣接する2つの第1スリット221が繋がってしまった場合に、そこでのパルス間隔PRが、両者が繋がる前の約2倍となるためである。また、異常判断のための基準を基準パルスデータP0の1.0倍に近づけていくと、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくなったものを、スリット円板220の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。また、この異常検知において、基準パルス間隔平均値Avg(P0)ではなく基準パルスデータP0を用いたのも、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくなったものを、スリット円板220の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。
【0107】
図14は、上記ステップ216(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図14(a)は、ステップ216において肯定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、外周面上限許容値(P0+β)と、外周面下限許容値(P0−β)との関係の一例を示している。なお、図14(a)では、記録パルスデータP1を『P1c』として示している。
一方、図14(b)、(c)は、ステップ216において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、外周面上限許容値と、外周面下限許容値との関係の一例を示している。なお、図14(b)では記録パルスデータP1を『P1d』として示し、図14(c)では記録パルスデータP1を『P1e』として示している。
【0108】
本実施の形態では、測長ロール110による記録材Sの測長回数が増加するに従って、測長ロール100の外周面に設けられ、記録材Sと接触する表面層112の状態が変化する。例えば、記録材Sと接触することによって表面層112が摩耗した場合には、測長ロール110の径が減少する。また、記録材Sと接触することによって表面層112に記録材Sの紙粉や記録材Sに形成されたトナー像が転移、付着した場合には、測長ロール110の径が増加することもある。
【0109】
例えば前者のように、測長装置110において測長ロール110の径が当初の径よりも小さくなってしまうと、測長ロール110のロール周長Lrが短くなる。そして、ロール周長Lrが当初よりも短くなった場合には、同一のパルス間隔PRにおいて測長ロール110の外周面の進む距離すなわち単位移動長がその分だけ短くなる。
【0110】
すると、予め決められた単位移動長Xに対し実際の単位移動長が短くなってしまうことに起因してパルスカウント数Cが増加してしまうことから、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。なお、この場合には、測長装置100によって算出される記録材長さLが、実際よりも長くなる。
【0111】
また、例えば後者のように、測長装置100において測長ロール110の径が当初の径よりも小さくなってしまうと、上述した説明とは逆の現象が発生し、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。なお、この場合には、測長装置100によって算出される記録材長さLが、実際よりも短くなる。
【0112】
ここで、図14(b)は、測長ロール110の径が当初よりも著しく小さくなることによって、記録パルスデータP1dがすべて外周面下限許容値を下回った場合を例示している。また、図示はしないが、例えば測長ロール110の径が当初よりも著しく大きくなった場合は、記録パルスデータp1dがすべて外周面上限許容値を上回ることになる。
【0113】
一方、例えば測長ロール110の使用に伴って測長ロール110の外周面に局所的に異物が付着することもある。なお、ここでいう異物としては、例えば記録材Sの紙粉、定着装置50によって記録材Sに付着させられたオイル等が挙げられる。このようにして測長ロール110の外周面に局所的に異物が付着した場合に、その部位において記録材Sとの間ですべりが生じることがある。
【0114】
測長装置100において測長ロール110の外周面の一部で局所的にすべりが生じるようになると、その部位での位相信号Spは実質的に測長ロール110の径が減少したのと同じになり、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
ここで、図14(c)は、図中「slip」で示す部位において測長ロール110がすべってしまったことにより、記録パルスデータP1dの一部が外周面下限許容値を下回った場合を例示している。
【0115】
そこで、本実施の形態では、画像形成動作を実行している間に、パルス間隔PRを介して測長ロール110の速度変動の度合いを検出し、速度変動に起因するパルス間隔PRの変動が予め決められた範囲(外周面上限許容値および外周面下限許容値)から外れるものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0と予め決められた外周面閾値βとによって決定するようにした。したがって、外周面閾値βは、記録材長さLの測長誤差への影響が無視できなくなるレベル未満となるように決定される。なお、この異常検知において、基準パルス間隔平均値Avg(P0)ではなく基準パルスデータP0を用いたのは、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくあるいは小さくなったものを、測長ロール110の外周面の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。
【0116】
図15は、上記ステップ219(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図15(a)は、ステップ219において肯定の判定がなされる場合における記録パルスデータP1と、記録パルスデータP1から求まる記録パルス間隔平均値Avg(P1)と、記録パルス間隔平均値Avg(P1)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値(Avg(P1)+α)および偏心下限許容値(Avg(P1)−α)との関係の一例を示している。なお、図15(a)では、記録パルスデータP1を『P1f』として示している。
一方、図15(b)は、ステップ219において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、記録パルスデータP1から求まる記録パルス間隔平均値Avg(P1)と、記録パルス間隔平均値Avg(P1)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値および偏心下限許容値との関係の一例を示している。なお、図15(b)では、記録パルスデータP1を『P1g』として示している。
【0117】
なお、ステップ219における故障判定処理は、基準パルスデータP0に代えて記録パルスデータP1を用いている点を除けば、上述したステップ206における故障判定処理と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0118】
図16は、基準パルスデータP0の更新処理について説明するための図である。なお、図16では、更新前の基準パルスデータP0を『P0a』として、更新後の基準パルスデータP0を『P0c』として、それぞれ示している。
【0119】
図10を用いて説明したように、本実施の形態では、校正モードが設定されるたびに基準パルスデータP0の取得が行われ、基準パルスデータP0に基づく故障判定において異常がなければ、後から取得された基準パルスデータP0(更新後の基準パルスデータP0b)が、これよりも以前に取得され基準パルスデータ記憶部87bに格納されていた基準パルスデータ(更新前の基準パルスデータP0a)に上書きされることによって更新される。
【0120】
なお、本実施の形態では、回転体の一例としての測長ロール110を搬送されてくる記録材Sに接触配置することで、記録材Sの搬送方向長さを測定する場合について説明を行ったが、回転体の利用手法についてはこれに限られない。例えば、測長ロール110の回転量の検出結果からシートの搬送速度を検出する速度検出装置に用いてもよいし、測長ロール110との対向部を通過する記録材の搬送方向位置を検出する位置検出装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、40…記録材供給装置、50…定着装置、60…冷却装置、70…反転搬送機構、80…制御部、90…ユーザインタフェース部、100…測長装置、110…測長ロール、200…回転量検出装置、210…筐体、220…スリット円板、230…第1スリット検出部、240…第2スリット検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体異常検出装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、搬送されるシートから駆動力を受けて回転する回転体に複数のスリットを設け、回転体におけるスリットの形成位置を挟んで発光部と受光部とを配置することで回転体の回転量を検出し、得られた回転量を用いてシートの搬送方向長さを得るものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−171035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを含む回転体異常検出装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて異常の種類に応じた許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項1記載の回転体異常検出装置である。
請求項3記載の発明は、前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々のパルスの周期に対し予め決められた値を乗算することによって前記許容範囲の上限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記出力手段の異常を検出することを特徴とする請求項2記載の回転体異常検出装置である。
請求項4記載の発明は、前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々の前記パルスの周期に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該基準周期情報における各々の当該パルスの周期に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2または3記載の回転体異常検出装置である。
請求項5記載の発明は、前記異常検出手段は、前記新たな周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、当該新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の回転体異常検出装置である。
請求項6記載の発明は、前記異常検出手段は、前記取得手段で取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって他の許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該他の許容範囲の下限を設定し、当該周期情報における各々のパルスの周期が当該他の許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出するとともに当該周期情報を前記基準周期情報として前記記憶手段へ書き込むのを禁止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の回転体異常検出装置である。
【0007】
請求項7記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期が、当該周期情報に基づいて決められた許容範囲から外れているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記回転体または前記出力手段で異常が発生したことを通知する通知手段とを含む回転体異常検出装置である。
【0008】
請求項8記載の発明は、前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記出力手段による出力結果に基づいて実行される動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の回転体異常検出装置である。
【0009】
請求項9記載の発明は、予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、前記出力手段から出力される前記パルスの数に基づいて前記シートの搬送方向の長さを演算する演算手段と、前記演算手段にて演算された前記シートの搬送方向の長さに基づいて当該シートに画像を形成する画像形成手段と、前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを含む画像形成装置である。
【0010】
請求項10記載の発明は、前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項11記載の発明は、前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項12記載の発明は、前記画像形成手段は、前記シートの一方の面に画像を形成するとともに、表裏が反転された当該シートの他方の面に画像を形成し、当該シートの当該他方の面に画像を形成する際に、当該シートの搬送方向の長さに基づく画像形成条件の調整を行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、許容範囲の設定次第で異常として検出したい現象を検出することが可能になる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、出力手段によるパルスの出力が欠落したことを異常として検出することが可能になる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、例えば回転体の外径変化や回転体の外周面のすべりに起因する異常を検出することが可能になる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、回転体の過剰な偏心に起因する異常を検出することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常が検出された以降に誤った周期情報に起因する許容範囲の設定がなされるのを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常が検出された以降の動作を禁止することができる。
請求項9記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、搬送されるシートに接触して回転する、偏心した回転体または偏心した回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段における異常を検出することができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常の検出において回転体の偏心に起因する誤差の影響を低減することができる。
請求項11記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、位置がずれた状態でシートに画像が形成されるのを抑制することができる。
請求項12記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、シートの両面のそれぞれに形成される画像の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態で用いた測長装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本実施の形態で用いた回転量検出装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】画像形成装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】画像形成装置を用いて、記録材の両面に画像形成を行う場合における制御部の処理の内容一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)〜(c)は、記録材の通過に伴って回転する測長ロールのロール速度と、測長装置から出力される各種信号との関係の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】記録材長さを算出するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】搬送される記録材における記録材長さと、記録材長さにおける第1長さ、第2長さ、第3長さおよび第4長さとの関係を示す図である。
【図9】(a)は偏心した測長ロール構成の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す測長ロールを回転周期で1回転させることによって得られる位相信号の一例を示す図であり、(c)は(b)に示す位相信号に基づいて得られた位相とパルス間隔との関係を示す図である。
【図10】測長装置の異常検出における制御部の処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図11】測長装置の異常検出における制御部の処理の内容の一例を示すフローチャート(つづき)である。
【図12】図10のステップ206における故障判定処理について説明するための図である。
【図13】図11のステップ214における故障判定処理について説明するための図である。
【図14】図11のステップ216における故障判定処理について説明するための図である。
【図15】図11のステップ219における故障判定処理について説明するための図である。
【図16】基準パルスデータの更新処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、所謂タンデム型の構成を有するものであって、例えば電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)を備えている。また、画像形成装置は、画像形成手段の一例としての各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20上に転写された重ね画像を記録材Sに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30とを備えている。さらに、画像形成装置は、二次転写装置30に向けて記録材Sを供給する記録材供給装置40と、二次転写装置30で二次転写された画像を記録材Sに加熱定着させる定着装置50と、画像が定着された記録材Sを冷却する冷却装置60とを備えている。
【0015】
これらのうち、各画像形成ユニット10は、回転可能に取り付けられた感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に設けられた、感光体ドラム11を帯電する帯電装置12、感光体ドラム11を露光して静電潜像を書き込む露光装置13、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写装置15、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラム清掃装置16とを、それぞれが備えている。なお、以下の説明においては、各画像形成ユニット10を、それぞれ、イエロー画像形成ユニット10Y、マゼンタ画像形成ユニット10M、シアン画像形成ユニット10C、黒画像形成ユニット10Kと呼ぶ。
【0016】
また、中間転写ベルト20は、3本のロール部材21〜23に掛け渡されて回転するように構成されている。これらのうち、ロール部材22は、中間転写ベルト20を駆動するようになっている。また、ロール部材23は、中間転写ベルト20を挟んで二次転写ロール31に対向配置されており、これら二次転写ロール31およびロール部材23によって二次転写装置30が構成されている。なお、中間転写ベルト20を挟んでロール部材21と対向する位置には、中間転写ベルト20上の残留トナーを除去するベルト清掃装置24が設けられている。
【0017】
また、記録材供給装置40は、記録材Sを収容する記録材収容部41と、この記録材収容部41に収容された記録材Sを取り出して搬送する取り出しロール42とを備えている。そして、記録材供給装置40より供給された記録材Sの搬送路には、複数の搬送ロール43が設けられている。なお、シートの一例としての記録材Sを構成する材料としては、各種紙材で構成されるものは勿論のこと、紙材の他に例えばOHPシート等に用いられる樹脂製のものであってもよく、紙材の表面に樹脂被膜のコーティングを施したものであってもよい。
【0018】
さらに、定着装置50は、記録材Sを加熱する加熱源を備えており、本実施の形態では、記録材Sに転写された画像を加熱・加圧することで定着するようになっている。
一方、冷却装置60は、定着装置50によって加熱された記録材Sを冷却する機能を有するものであって、例えば、記録材Sを挟むように配置された2つの金属ロール等の間に、記録材Sを接触させて通過させる構成を採用してよい。
【0019】
ここで、本実施の形態の画像形成装置は、記録材供給装置40から供給された記録材Sの片面に画像を形成することができるのに加え、片面に画像を形成した記録材Sを反転搬送して、この記録材Sの他面にさらに画像を形成することができるように構成されている。このため、画像形成装置は、定着装置50および冷却装置60を通過した記録材Sの表裏および搬送方向の先後端を反転させて再度二次転写装置30へと戻す反転搬送機構70を備えている。この反転搬送機構70は、冷却装置60よりも記録材Sの搬送方向下流側に設けられ、記録材Sの進行方向を画像形成装置の外部に排出するための搬送路と反転搬送するための搬送路とに切り替えるための切り替え装置71を備えている。また、反転搬送機構70は、記録材Sを反転搬送するための搬送路内に設けられ、記録材Sの搬送方向を反転させることで、再度二次転写装置30に向かう記録材Sの表裏を反転させる反転装置72をさらに備えている。なお、記録材Sを反転搬送するための搬送路にも、複数の搬送ロール43が取り付けられている。
【0020】
さらに、本実施の形態の画像形成装置は、冷却装置60よりも記録材Sの搬送方向下流側であって切り替え装置71よりも記録材Sの搬送方向上流側となる部位に設けられ、冷却装置60から搬送されてくる記録材Sの搬送方向長さを測定する測長装置100をさらに備えている。なお、測長装置100の取り付け位置は、この部位に限られるのではなく、記録材Sを反転搬送するための搬送路に取り付けるようにしてもかまわない。
【0021】
そして、この画像形成装置は、画像形成装置を構成する各装置および各部の動作を制御する制御部80と、ユーザから受けた指示を制御部80に出力するとともに制御部80から受けた指示を図示しない画面等を介してユーザに提示する通知手段の一例としてのユーザインタフェース部(UI)90とをさらに備えている。
【0022】
図2は、図1に示す画像形成装置に設けられ、搬送されてくる記録材Sの長さの測定に用いられる測長装置100の一例を示す概略構成図である。
測長装置100は、搬送路44の上方において回転軸110aを中心に回転する測長ロール110と、測長ロール110の回転軸110aに取り付けられ、測長ロール110の回転量の検出を行う回転量検出装置200とを備えている。
【0023】
回転体の一例としての測長ロール110は、円形状の断面を有し例えば金属にて構成されたロール本体111と、ゴム等の弾性体からなりロール本体111の外周面に形成される表面層112とを備えている。そして、測長ロール110の回転軸110aは、ロール本体111に取り付けられている。
【0024】
また、測長装置100は、搬送路44の上方において回転軸110aと同じ方向に伸びる揺動軸120aを中心として揺動する揺動アーム120を備えている。ここで、揺動軸120aは、測長ロール110の回転軸110aよりも記録材Sの搬送方向上流側に配置されている。また、揺動軸120aは、測長装置100の筐体(図示せず)に取り付けられている。この揺動アーム120は、図2に示す状態において記録材Sの搬送方向に沿って伸びており、記録材Sの搬送方向下流側に対応する揺動アーム120の端部には、測長ロール110の回転軸110aが取り付けられている。一方、記録材Sの搬送方向上流側に対応する揺動アーム120の端部には、コイルバネ130の一端側が取り付けられている。このコイルバネ130の他端側は、揺動アーム120を挟んで搬送路44とは反対側に設けられた支持部(図示せず)に取り付けられている。図2に示す状態において、コイルバネ130は引っ張られた状態にあり、揺動アーム120を、揺動軸120aを中心とし図2において時計回り方向に回転させようとする力を発生するようになっている。このように、測長装置100では、コイルバネ130が揺動アーム120に対し図2において時計回り方向の力を加えることで、測長ロール110を搬送路44(および搬送路44内を搬送される記録材S)に押し付けるようになっている。そして、本実施の形態では、搬送されてくる記録材Sに測長ロール110が接触することによって、測長ロール110が記録材Sの移動に従動して回転するようになっている。
【0025】
記録材Sを搬送する搬送路44は、予め決められた寸法の空間を隔てて対向配置される下側案内部材140と上側案内部材150とによって形成されている。下側案内部材140および上側案内部材150は、それぞれ板状の形状を備えており、搬送されてくる記録材Sを案内し且つその移動方向を規制する機能を備えている。本実施の形態では、記録材Sが、下側案内部材140に接触した状態で搬送路44内を搬送され、さらに記録材Sが上方に変位しないように上側案内部材150によって規制されるようになっている。ただし、測長ロール110が取り付けられる部位においては、上側案内部材150が取り除かれており、搬送路44および搬送路44内を搬送される記録材Sが露出するようになっている。
【0026】
さらに、測長装置100は、測長ロール110と記録材S(あるいは下側案内部材140)とが接する部位よりも記録材Sの搬送方向上流側において記録材Sの搬送方向先端および後端の通過を検知する上流側検知センサ160と、測長ロール110と記録材S(あるいは下側案内部材140)とが接する部位よりも記録材Sの搬送方向下流側において記録材Sの搬送方向先端および後端の通過を検知する下流側検知センサ170とをさらに備えている。本実施の形態において、上流側検知センサ160および下流側検知センサ170は、それぞれ、LED(Light Emitting Diode)とフォトセンサとによって構成される光電センサからなり、搬送される記録材Sが検出位置を通過するのを光学的に検出する。このため、上流側検知センサ160および下流側検知センサ170は、それぞれ、上側案内部材150が設けられていない部位に下側案内部材140と対向するように取り付けられている。そして、上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが、それぞれ出力されるようになっている。ここで、以下の説明においては、上流側検知センサ160による記録材Sの検出位置と下流側検知センサ170による記録材Sの検出位置との距離をギャップGと呼ぶ。また、図1に示す画像形成装置では、記録材Sが搬送路44内を予め設定された速度で搬送されるようになっており、この記録材Sの設定速度を記録材搬送速度Vsと呼ぶ。
なお、本実施の形態では、測長ロール110に対し、固定された下側案内部材140を対向配置しているが、例えば回転可能に設けられたロール部材を対向配置するようにしてもかまわない。
【0027】
図3は、図2に示す測長装置100に設けられ、回転軸110aを介して測長ロール110の回転量の検出を行う回転量検出装置200の一例を示す概略構成図である。この回転量検出装置200は、測長ロール110の一端側において、回転軸110aを共有するように設けられており、しかも、図2に示す揺動アーム120が揺動した際に、測長ロール110とともに揺動するように構成されている。
【0028】
出力手段の一例としての回転量検出装置200は、例えば直方体状の形状を備え、内部には測長ロール110の回転軸110aが挿入された筐体210と、筐体210の内部において筐体210に固定され、回転軸110aを回転可能に支持する2つの軸受211、212と、筐体210の内部において回転軸110aに対し固定された状態で取り付けられ、後述するように放射状に複数のスリットが形成された円形状のスリット円板220とを備えている。
【0029】
ここで、スリット円板220は、例えばガラス等で構成されている。このスリット円板220には、その表裏面を貫通するように、円周方向に等間隔に複数形成された第1スリット221と、第1スリット221の半径方向の内側において円周方向に1つだけ形成された第2スリット222とが設けられている。
【0030】
また、回転量検出装置200は、測長ロール110および回転軸110aの回転に伴ってスリット円板220が回転する際の、第1スリット221の通過を検出する第1スリット検出部230と、第2スリット222の通過を検出する第2スリット検出部240とをさらに備える。ここで、第1スリット検出部230および第2スリット検出部240は、筐体210に内蔵されている。
【0031】
これらのうち、第1スリット検出部230は、スリット円板220の周縁部側すなわち複数の第1スリット221の形成部位に向けて光を出射する第1発光素子231と、第1発光素子231から出射される光をスリット円板220に向けて集光する第1レンズ232と、第1発光素子231から出射されスリット円板220に設けられた第1スリット221を通過した光の光軸上に配置された固定スリット235と、スリット円板220に設けられた第1スリット221および固定スリット235を通過した光を受光する第1受光素子233と、第1受光素子233からの出力信号を増幅する第1アンプ234とを備える。
【0032】
一方、第2スリット検出部240は、スリット円板220の周縁部側よりも内側に設けられた単数の第2スリット222の形成部位に向けて光を出射する第2発光素子241と、第2発光素子241から出射される光をスリット円板220に向けて集光する第2レンズ242と、第2発光素子241から出射されスリット円板220に設けられた第2スリット222を通過した光を受光する第2受光素子243と、第2受光素子243からの出力信号を増幅する第2アンプ244とを備える。
【0033】
これらのうち、第1発光素子231および第2発光素子241は、例えば発光ダイオード(LED)によって構成され、第1受光素子233および第2受光素子243は、例えばフォトダイオード(PD)によって構成される。
【0034】
回転量検出装置200において、第1受光素子233は、測長ロール110の回転に伴うスリット円板220の回転によって、第1発光素子231から出射される光がスリット円板220に設けられた第1スリット221にて時間的に細切れに分断され、第1スリット221および固定スリット235を通過した光を断続的に受光し、受光した光のタイミングに応じたパルス波形を出力信号として出力する。そして、第1アンプ234は、その出力信号を増幅して得られた位相信号Spを、画像形成装置に設けられた制御部80(図1参照)に出力する。
【0035】
一方、回転量検出装置200において、第2受光素子243は、測長ロール110が一回転する毎に一度だけ第2スリット222を通過した光を受光し、その受光した光のタイミングに応じたパルス波形を出力信号として出力する。第2アンプ244は、その出力信号を増幅して得られたZ相信号Szを、画像形成装置に設けられた制御部80(図1参照)に出力する。
【0036】
なお、本実施の形態では、回転量検出装置200としていわゆるインクリメンタル型のロータリエンコーダを用いているが、測長ロール110の回転量を1周(2π(rad))未満を単位として測定できるものであれば、適宜変更して差し支えない。このような装置としては、例えばアブソリュート型のロータリエンコーダが挙げられる。また、本実施の形態では、光量変動を利用して回転量検出装置200を構成していたが、これに限られるものではなく、例えば磁気変動を利用したものを用いてもよい。
【0037】
図4は、図1に示す制御部80の構成の一例を示すブロック図である。
この制御部80は、UI90や画像形成装置に接続された外部機器(図示せず)から出力される指示を受け付ける受付部81と、受付部81を介して印刷指示を受け付けた場合に、指示とともに送られてくる画像データに基づいて、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色の画像信号を作成する画像信号作成部82とを備える。また、制御部80は、画像信号作成部82で作成された各色の画像信号を各画像形成ユニット10(より具体的には、各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力するタイミングを調整し、また、画像信号作成部82で作成された各色の画像信号の副走査方向(記録材Sの搬送方向に対応する方向)倍率を調整する画像信号出力調整部83をさらに備えている。さらに、制御部80は、各画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)、二次転写装置30、記録材供給装置40、定着装置50、冷却装置60、反転搬送機構70等、画像形成装置を構成する各部の動作を制御する動作制御部84を備えている。なお、本実施の形態では、動作制御部84が停止手段として機能するようになっている。
【0038】
また、本実施の形態の制御部80は、測長装置100から入力される各種信号に基づき、測長装置100を通過する記録材Sの搬送方向長さ(シートの搬送方向の長さ)である記録材長さLを算出する記録材長算出部85をさらに備えている。ここで、演算手段の一例としての記録材長算出部85に入力される各種信号は、上流側検知センサ160から入力される上流側エッジ信号Suと、下流側検知センサ170から入力される下流側エッジ信号Sdと、第1スリット検出部230から入力される位相信号Spと、第2スリット検出部240から入力されるZ相信号Szとを含んでいる。また、制御部80は、記録材長算出部85において記録材長さLを算出するために使用される各種係数を記憶する係数記憶部86を備えている。ここで、係数記憶部86は、測長装置100におけるギャップG(図2参照)、例えば記録材Sの種類に応じて予め決められた記録材搬送速度Vs(図2参照)、そして位相信号Spのパルス1カウントあたりの測長ロール110の周面の移動量である単位移動長Xを記憶している。そして、測長装置100で算出された記録材長さLは、画像信号出力調整部83に出力されて画像信号の出力調整に用いられ、また、動作制御部84に出力されて画像形成装置を構成する各部の動作制御に用いられる。
【0039】
さらに、本実施の形態の制御部80は、測長装置100から記録材長算出部85を介して入力される各種信号に基づき、測長装置100(より具体的には測長ロール110および回転量検出装置200)で生じた異常を検出する異常検出部87を備えている。なお、異常検出部87には、上述した上流側エッジ信号Su、下流側エッジ信号Sd、位相信号SpおよびZ相信号Szが入力されるようになっている。
【0040】
そして、異常検出部87は、入力されてくる上流側エッジ信号Su、下流側エッジ信号Sd、位相信号SpおよびZ相信号Szに基づき、測長ロール110の1回転(1周)分に対応する位相信号Spから得られる周期情報の一例としてのパルスデータを取得する、取得手段の一例としてのパルスデータ取得部87aを備えている。また、異常検出部87は、予め決められた時期にパルスデータ取得部87aで取得された基準周期情報の一例としての基準パルスデータを記憶する、記憶手段の一例としての基準パルスデータ記憶部87bを備えている。さらに、異常検出部87は、測長ロール110での異常および回転量検出装置200での異常を検出するための基準となる各種閾値を記憶する閾値記憶部87cを備えている。ここで、閾値記憶部87cは、測長ロール110の偏心異常の判定に用いられる偏心閾値α、測長ロール110の外周面異常の判定に用いられる外周面閾値βを記憶している。さらにまた、異常検出部87は、基準パルスデータとは異なる時期にパルスデータ取得部87aで取得された記録パルスデータに基づき、基準パルスデータ記憶部87bから読み出した基準パルスデータおよび閾値記憶部87cから読み出した各種閾値を用いて、測長装置100で異常が生じているか否かを判定する、異常検出手段あるいは判定手段の一例としての判定部87dを備えている。そして、判定部87dは、判定結果に基づく制御信号を動作制御部84およびUI90に出力するようになっている。なお、パルスデータ取得部87aで取得される基準パルスデータおよび記録パルスデータの詳細、そして、閾値記憶部87cに記憶される偏心閾値αおよび外周面閾値βの詳細については後述する。
【0041】
また、制御部80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備えており、CPUは、予めROMに記憶されたプログラムに従い、RAMとの間でデータのやりとりを行いながら処理を実行するようになっている。
【0042】
図5は、図1に示す画像形成装置を用いて、記録材Sの両面に画像形成を行う場合における制御部80の処理の内容の一例を示すフローチャートである。以下では、図5と図1〜図4とを参照しつつ説明を行う。
UI90あるいは外部機器より受付部81が印刷要求の指示を受け付けると(ステップ101)、動作制御部84は、画像形成装置を構成する各部を起動してウォームアップ動作を実行させ、画像信号作成部82は、入力される画像データに基づいて記録材Sの第1面に形成する各色の第1面の画像信号を作成する。次に、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させ、画像信号出力制御部83は、画像信号作成部82で作成された各色の第1面の画像信号を、記録材Sの供給に同期させて各画像形成ユニット10(より詳細には各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力する(ステップ102)。
【0043】
これに伴い、各画像形成ユニット10では、各色の第1面の画像信号に応じた画像(この例ではトナー像)の形成が行われる。具体的に説明すると、動作制御部84は、各画像形成ユニット10の感光体ドラム11を回転させ、回転する感光体ドラム11を帯電装置12によって帯電させた後、露光装置13からの各色の第1面の画像信号に対応するビームにより露光させることで、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成させる。次に、動作制御部84は、各感光体ドラム11に形成された静電潜像を、対応する各色の現像装置14によってそれぞれ現像させることで、各色の第1面の画像を形成させる。そして、動作制御部84は、各感光体ドラム11とともに回転駆動される中間転写ベルト20に対し、各一次転写装置15を用いて、各感光体ドラム11に形成された第1面の画像を順次一次転写させる(ステップ103)。一次転写されることで中間転写ベルト20上に重ね合わされた第1面の画像は、中間転写ベルト20のさらなる回転に伴って、二次転写装置30における二次転写ロール30とロール部材23との対向位置である二次転写位置へと向かう。
【0044】
一方、記録材供給装置40から供給された記録材Sは、搬送ロール43により搬送されて二次転写位置に到達する。そして、動作制御部84は、二次転写装置30を用いて、中間転写ベルト20上に形成された第1面の画像を、記録材Sの第1面に二次転写させる(ステップ104)。
【0045】
次に、動作制御部84は、第1面に画像が転写された記録材Sに対し、定着装置50を用いて例えば加熱および加圧を行うことで第1面の画像を記録材Sに定着させ、さらに、定着装置50によって加熱された記録材Sを、冷却装置60を用いて冷却させる(ステップ105)。
【0046】
第1面に画像が定着された片面記録済みの記録材Sは、冷却装置60から測長装置100に搬送される。測長装置100では、片面記録済みの記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは回転量に応じた位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からは回転数に応じたZ相信号Szが出力される。また、片面記録済みの記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85に入力される。そして、記録材長算出部85は、測長装置100から入力される各種信号と、係数記憶部86から読み出した各種係数とを用いて、測長装置100を通過した片面記録済みの記録材Sの記録材長さLを算出する(ステップ106)。その後、記録材長算出部85は、算出した記録材長さLを、画像信号出力調整部83および動作制御部84に出力する。なお、記録材長さLの算出手法については、後で詳細に説明する。
【0047】
次に、画像信号出力調整部83は、受け取った記録材長さLに基づいて、画像信号作成部82で作成される各色の第2面の画像信号を各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13に出力するタイミング(露光装置13による感光体ドラム11への書き出し位置)と、画像信号作成部82で作成される各色の第2面の画像信号の副走査方向倍率(拡縮量)とを算出する(ステップ107)。
【0048】
一方、動作制御部84は、片面記録済みの記録材Sの搬送方向先端が到達するまでに、反転搬送するための搬送路側に切り替え装置71を切り替えさせるとともに、反転装置72に搬入されてくる記録材Sを、その進行方向を反転させることで表裏を反転させて排出させる。その結果、片面記録済みの記録材Sは、反転搬送機構70により、二次転写装置30よりも搬送方向上流側の搬送路に向けて反転搬送される(ステップ108)。
【0049】
続いて、画像信号作成部82は、入力される画像データに基づいて記録材Sの第2面に形成する各色の第2面の画像信号を作成する。また、動作制御部84は、反転搬送される片面記録済みの記録材Sをさらに搬送し、画像信号出力制御部83は、画像信号作成部82で作成された各色の第2面の画像信号を、ステップ107で算出された書き出し位置と拡縮量とに応じて調整した後に、反転搬送される片面記録済みの記録材Sの供給に同期させて各画像形成ユニット10(より詳細には各画像形成ユニット10に設けられた露光装置13)に出力する(ステップ109)。
【0050】
これに伴い、各画像形成ユニット10では、各色の第2面の画像信号に応じた画像の形成が行われる。具体的に説明すると、動作制御部84は、各画像形成ユニット10の感光体ドラム11を回転させ、回転する感光体ドラム11を帯電装置12によって帯電させた後、露光装置13からの各色の第2面の画像信号に対応するビームにより露光させることで、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成させる。次に、動作制御部84は、各感光体ドラム11に形成された静電潜像を、対応する各色の現像装置14によってそれぞれ現像させることで、各色の第2面の画像を形成させる。そして、動作制御部84は、各感光体ドラム11とともに回転駆動される中間転写ベルト20に対し、各一次転写装置15を用いて、各感光体ドラム11に形成された第2面の画像を順次一次転写させる(ステップ110)。一次転写されることで中間転写ベルト20上に重ね合わされた第2面の画像は、中間転写ベルト20のさらなる回転に伴って二次転写位置へと向かう。
【0051】
一方、反転搬送される片面記録済みの記録材Sは、搬送ロール43により搬送されて再び二次転写位置に到達する。そして、動作制御部84は、二次転写装置30を用いて、中間転写ベルト20上に形成された第2面の画像を、記録材Sの第2面に二次転写させる(ステップ111)。
【0052】
次に、動作制御部84は、第2面に画像が転写された記録材Sに対し、定着装置50を用いて例えば加熱および加圧を行うことで第2面の画像を記録材Sに定着させ、さらに、定着装置50によって加熱された記録材Sを、冷却装置60を用いて冷却させる(ステップ112)。
【0053】
また、動作制御部84は、第1面および第2面に画像が定着された両面記録済みの記録材Sの搬送方向先端が到達するまでに、画像形成装置の外部に排出するための搬送路側に切り替え装置71を切り替えさせており、両面記録済みの記録材Sは、搬送に伴って画像形成装置の外部に排出されて(ステップ113)、一連の動作を完了する。
【0054】
上記した手順による両面画像形成が、複数の記録材Sに対して行われると、それぞれに両面画像を形成した複数の記録材Sを束ねて1つの冊子が作成される。その際、複数の記録材S間において記録材長さLにばらつきが生じていても、測長装置100により測定された記録材長さLに基づいて書き出し位置や副走査倍率等の形成条件が調整されるので、左右見開きまたは上下見開きとした場合における記録材間の記録位置のずれ量が低減され、記録材長さLに基づく調整を行わない場合に比べて高品質の冊子が作成される。
【0055】
なお、ここでは、画像信号出力調整部83により、露光装置13に供給する第2面の画像信号の出力調整を行うことで、記録材Sの第1面および第2面に形成される画像のずれを抑制するようにしていたが、これに限られるものではない。例えば中間転写ベルト20の移動速度に対する各感光体ドラム11の回転速度を調整することで、副走査方向の倍率調整を行うようにしてもよい。
【0056】
では、上述したステップ106における記録材Sの記録材長さLの算出方法について説明する。
図6(a)は、記録材Sの通過に伴って回転する測長ロール110のロール速度Vrと、上流側検知センサ160から出力される上流側エッジ信号Suと、下流側検知センサ170から出力される下流側エッジ信号Sdと、第1スリット検出部230から出力される位相信号Spと、第2スリット検出部240から出力されるZ相信号Szとの関係の一例を示すタイミングチャートである。また、図6(b)は後述する第3時刻tc前後での下流側エッジ信号Sdと位相信号Spとの関係を、図6(c)は後述する第4時刻td前後での上流側エッジ信号Suと位相信号Spとの関係を、それぞれ拡大して示したものである。なお、ロール速度Vrは、測長ロール110の周面の移動速度を意味している。
【0057】
測長装置100に記録材Sが進入する前の第1期間T1では、記録材Sが存在しないために、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdがそれぞれオフ(off)状態となっている。また、第1期間T1においては、測長ロール110が停止しているためにロール速度Vrは0となっており、これに伴って位相信号SpおよびZ相信号Szもオフ状態を維持している。ただし、測長ロール110が停止している場合であっても、スリット円板220に設けられた第1スリット221や第2スリット222の位置によっては、位相信号Spがオン状態を維持したり、Z相信号がオン状態を維持したりすることもある。
【0058】
次に、搬送される記録材Sの搬送方向先端(以下、単に「先端」という)が上流側検知センサ160による検知位置に到達する第1時刻taにおいて、上流側エッジ信号Suがオフ状態からオン状態になる。このとき、下流側エッジ信号Sdはオフ状態を維持しており、測長ロール110は引き続き停止している(Vr=0)ことから、位相信号SpおよびZ相信号Szも引き続きオフ状態を維持する。
【0059】
第1時刻taから第2期間T2が経過した第2時刻tbにおいて、搬送される記録材Sの先端が測長ロール110との対向部に到達すると、測長ロール110が記録材Sによって回転駆動され始める。ただし、測長ロール110のロール速度Vrは直ちに記録材搬送速度Vsに到達するのではなく、記録材搬送速度Vsに向けて徐々に増速されていく。また、測長ロール110が回転を開始するのに伴ってスリット円板220が回転し始めることから、位相信号Spがオン状態とオフ状態とを繰り返すようになる。ただし、上述したようにロール速度Vrが徐々に増速されていることから、位相信号Spにおけるオン−オフの間隔が徐々に短くなっていく。
【0060】
第2時刻tbから第3期間T3が経過し、搬送される記録材Sの先端が下流側検知センサ170による検知位置に到達する第3時刻tcにおいて、下流側エッジ信号Sdがオフ状態からオン状態になる。このとき、上流側エッジ信号Suはオン状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは第3時刻tcに到達するまでの間に記録材搬送速度Vsまで増速されている。このため、少なくとも第3時刻tc以降は、位相信号Spが周期的にオン状態とオフ状態とを繰り返すようになる。
また、スリット円板220が回転し始めた後は、スリット円板220が一周する毎にZ相信号Szが一時的にオフ状態からオン状態となる。なお、図6(a)は、第2期間T2ではZ相信号Szはオン状態にならず、第3時刻tcを経過した後、初めてオン状態になる場合を例示している。
【0061】
第3時刻tcから第4期間T4が経過し、搬送される記録材Sの搬送方向後端(以下、単に「後端」という)が上流側検知センサ160による検知位置を通過する第4時刻tdにおいて、上流側エッジ信号Suがオン状態からオフ状態になる。このとき、下流側エッジ信号Sdはオン状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは引き続き記録材搬送速度Vsに維持される。
【0062】
第4時刻tdから第5期間T5が経過した第5時刻teにおいて、搬送される記録材Sの後端が測長ロール110との対向部を通過すると、測長ロール110は記録材Sからの駆動力を受けなくなる。ただし、測長ロール110のロール速度Vrは直ちに0となる(停止する)のではなく、記録材搬送速度Vsから徐々に減速されていく。また、測長ロール110の駆動が停止されるのに伴ってスリット円板220も減速され始めることから、位相信号Spにおけるオン−オフの間隔が徐々に長くなっていく。
【0063】
第5時刻teから第6期間T6が経過し、搬送される記録材Sの後端が下流側検知センサ170による検知位置を通過する第6時刻tfにおいて、下流側エッジ信号Sdがオン状態からオフ状態となる。このとき、上流側エッジ信号Suはオフ状態を維持しており、また、測長ロール110のロール速度Vrは第6時刻tfに到達するまでの間に0となって停止する。
【0064】
そして、測長装置110から記録材Sが排出された後の第7期間T7では、記録材Sが存在しないために、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdがそれぞれオフ状態となっている。また、第7期間T7においては、測長ロール110が回転を停止しているために、ロール速度Vrは0となっており、これに伴って位相信号SpおよびZ相信号Szもオフ状態を維持している。ただし、上述したように、測長ロール110が停止している場合であっても、位相信号Spがオン状態を維持したり、さらに、Z相信号がオン状態を維持したりすることもある。
【0065】
ここで、下流側エッジ信号Sdがオフ状態からオン状態になる第3時刻tcと、位相信号Spがオフ状態からオン状態へと移行する(以下では立ち上がると称する)タイミングあるいはオン状態からオフ状態へと移行する(以下では立ち下がると称する)タイミングとは必ずしも一致しない。そこで、以下の説明においては、図6(b)に示したように、第3時刻tcから、第3時刻tcの直後に最初に位相信号Spが立ち上がるあるいは立ち下がる下流側ずれ時刻tc0に至る期間を、下流側ずれ期間Txと呼ぶ。なお、図6(b)は、下流側ずれ時刻tc0において位相信号Spが立ち上がる場合を例示している。
【0066】
また、上流側エッジ信号Suがオフ状態からオン状態になる第4時刻tdと、位相信号Spが立ち上がるあるいは立ち下がるタイミングとは必ずしも一致しない。そこで、以下の説明においては、図6(c)に示したように、第4時刻tdから、第4時刻tdの直前に最後に位相信号Spが立ち上がりあるいは立ち下がる上流側ずれ時刻td0に至る期間を、上流側ずれ期間Tyと呼ぶ。なお、図6(c)は、上流側ずれ時刻td0において位相信号Spが立ち下がる場合を例示している。
【0067】
そして、以下の説明では、搬送される1枚の記録材Sが上流側検知センサ160および下流側検知センサ170の両者によって検知される第4期間T4において、Z相信号Szがオン状態となって次にオン状態となるまでの期間を回転周期Trと呼ぶ。この回転周期Trは、ロール速度Vrが記録材搬送速度Vsに設定された測長ロール110を1回転させることでスリット円板220を1回転させるための期間を意味している。
【0068】
図7は、図4に示す記録材長算出部85において記録材長さLを算出するための処理の一例を示すフローチャートである。また、図8は、搬送される記録材Sにおける記録材長さLと、記録材長さLにおける第1長さL1、第2長さL2、第3長さL3および第4長さL4との関係を示す図である。なお、第1長さL1乃至第4長さL4の詳細については後述する。
【0069】
記録材長算出部85は、まず、下流側エッジ信号Sdおよび位相信号Spから第3時刻tcおよび下流側ずれ時刻tc0を取得し、これら第3時刻tcと下流側ずれ時刻tc0とから下流側ずれ期間Txを算出する(ステップ1061)。
次に、記録材長算出部85は、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdから第3時刻tcおよび第4時刻tdを取得し、これら第3時刻tcと第4時刻tdとから第4期間T4を得た後、さらに位相信号Spを参照して第4期間T4内における位相信号Spの立ち上がり回数であるパルスカウント数Cを取得する(ステップ1062)。
続いて、記録材長算出部85は、上流側エッジ信号Suおよび位相信号Spから第4時刻tdおよび上流側ずれ時刻td0を取得し、これら第4時刻tdと上流側ずれ時刻td0とから上流側ずれ期間Tyを求める(ステップ1063)。
そして、記録材長算出部85は、係数記憶部86より、記録材搬送速度Vs、単位移動長XおよびギャップGを読み出す(ステップ1064)。このとき、記録材長算出部85は、測長対象となる記録材Sの種類に応じた記録材搬送速度Vsを読み出している。
【0070】
その後、記録材長算出部85は、第1長さL1、第2長さL2、第3長さL3および第4長さL4をそれぞれ計算し、得られた第1長さL1乃至第4長さL4を加算することによって記録材長さLを算出する(ステップ1065)。ここで、第1長さL1は、ステップ1061で算出した下流側ずれ期間Txとステップ1064で読み出した記録材搬送速度Vsとを乗算して得られる。また、第2長さL2は、ステップ1062で取得されたパルスカウント数Cとステップ1064で読み出した単位移動長Xとを乗算して得られる。さらに、第3長さL3は、ステップ1063で取得した上流側ずれ期間Tyとステップ1064で読み出した記録材搬送速度Vsとを乗算して得られる。さらにまた、第4長さL4は、ステップ1064で読み出したギャップGである。
そして、記録材長算出部85は、ステップ1065で算出された記録材長さLを、画像信号出力調整部83および動作制御部84に出力し(ステップ1066)、一連の処理を完了する。
【0071】
上述した記録材長さLの算出においては、第2長さL2が記録材長さLの大半を占めていることから、第4期間T4におけるパルスカウント数Cが重要な役割を担う。このため、測長ロール110として、回転軸110aの偏心が少ないものを用いることが望ましい。
しかしながら、偏心のない測長ロール110の製造は困難であり、実際には、予め決められた公差の範囲内に偏心の大きさが含まれる測長ロール110を使用することになる。
【0072】
ここで、図9(a)は偏心した測長ロール110の構成の一例を示す図であり、図9(b)は図9(a)に示す測長ロール110を回転周期Trで1回転させることによって得られる位相信号Spの一例を示す図であり、図9(c)は図9(b)に示す位相信号Spに基づいて得られた、位相と位相信号Spにおいて隣接するパルス同士の間隔(以下ではパルス間隔PRと称する)との関係を示す図である。なお、図9(b)において、横軸は時間t(sec)であり、縦軸は位相信号Spの出力値である。また、図9(c)において、横軸は位相PH(rad)であり、縦軸はパルス間隔PRである。本実施の形態では、図9(c)に示すような1つの回転周期Trにおける位相PHと各パルスPRとの相関データを、『パルスデータ』と称する。
【0073】
図9(a)に示す例において、測長ロール110には、回転軸110aが取り付けられている。このとき、取り付け精度等の理由により、全く偏心のない状態を得ることは難しく、多くの場合、多少の偏心が生じる。ここで、回転軸110aと測長ロール110の周面との距離が最短となる距離を最短径RSと呼び、最長となる距離を最長径RLと呼ぶ。また、測長ロール110の周面長さをロール周長Lrと呼ぶ。
【0074】
図9(b)は、図9(a)に示す測長ロール110を、最大半径RLとなる位置を基点として1回転させた際に得られる位相信号Spを例示している。ここで、回転周期trのうち、1回転を開始する時刻を周期開始時刻tr1と呼び、1回転を終了する時刻を周期終了時刻tr2と呼ぶ。なお、周期開始時刻tr1は図9(c)に示す位相PH=0(rad)に対応しており、周期終了時刻tr2は図9(c)に示す位相PH=2π(rad)に対応している。このように、偏心が生じた測長ロール110を用いた場合、測長ロール110のうち最短径RSとなる部位と最長径RLとなる部位とで、位相信号Spにおけるパルス間隔PRが変わってしまうことがわかる。より具体的に説明すると、最短径RSとなる部位では、最長径RLとなる部位に比べてパルス間隔PRが短くなっている。
【0075】
したがって、この例では、図9(c)に示すように、パルス間隔PRが、位相PH=0から位相PH=πに向けて徐々に減少し、その後、位相PH=πから位相PH=2πに向けて徐々に増加する正弦波状の挙動を示すようになる。また、波上にみられる細かな揺れは、スリット円板に設けられたスリットの幅や間隔の不均一性(製造誤差)によるものであり、製造の精度上、避けがたい。なお、まったく偏心がない状態で測長ロール110が取り付けられ、スリットの幅や間隔も完全に均一である場合は、図9(c)のグラフは、横軸に平行な、一直線のグラフとなる。
【0076】
では次に、偏心した測長ロール110を有する測長装置100で生じる異常を検出するための処理について説明を行う。
図10および図11は、測長装置100の異常検出における制御部80の処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【0077】
この処理では、まず、受付部81が、画像形成装置が校正モードに設定されているか否かを判断する(ステップ201)。ここで、校正モードは、例えばユーザやエンジニアが画像形成装置の保守作業を行う際に設定されるものであって、例えばUI90を介して入力が受け付けられる。また、本実施の形態では、記録材Sに対する印刷指示を受けていない場合に、校正モードへの設定が許可されるようになっている。
【0078】
ステップ201において肯定の判断を行った場合、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させる(ステップ202)。このとき、記録材Sは、予め決められた記録材搬送速度Vsで搬送される。なお、校正モードで使用する記録材Sについては、画像形成動作で使用する記録材Sと同じものとしてもよいし、校正モード専用に設定された記録材Sとしてもよい。
【0079】
記録材Sは、搬送に伴って測長装置100を通過する。すると、測長装置100では、画像形成時と同様、記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からはZ相信号Szが出力される。また、記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85を介してパルスデータ取得部87aに入力される。なお、この説明では、上述した図6に示すタイミングチャートに従って各種信号が出力されているものとする。
【0080】
次に、パルスデータ取得部87aは、入力されてくる各種信号に基づき、基準パルスデータP0を取得する(ステップ203)。なお、取得された基準パルスデータP0は、パルスデータ取得部87aから判定部87dに出力される。
【0081】
ここで、基準パルスデータP0の取得手順を、図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。パルスデータ取得部87aは、まず、上流側エッジ信号Suおよび下流側エッジ信号Sdから第3時刻tcおよび第4時刻tdを取得し、これら第3時刻tcと第4時刻tdとから第4期間T4を得る。次に、パルスデータ取得部87aは、Z相信号Szを参照して、第4期間T4内においてZ相信号Spが立ち上がった時刻(図6に示す例では、第1立ち上がり時刻tra、第2立ち上がり時刻trb、第3立ち上がり時刻trcおよび第4立ち上がり時刻trd)を取得する。続いて、パルスデータ取得部87aは、第1立ち上がり時刻traから第2立ち上がり時刻trbまでの期間、第2立ち上がり時刻trbから第3立ち上がり時刻trcまでの期間、そして第3立ち上がり時刻trcから第4立ち上がり時刻trdまでの期間を、それぞれ測長ロール110の回転周期Trとし、各回転周期Trにおける位相信号Spすなわち測長ロール110の1回転分の位相信号Spを取得する。なお、ここでは、第1立ち上がり時刻traから第2立ち上がり時刻trbまでを第1回転周期Tr1、第2立ち上がり時刻trbから第3立ち上がり時刻trcまでを第2回転周期Tr2、そして第3立ち上がり時刻trcから第4立ち上がり時刻trdまでを第3回転周期Tr3と呼ぶ。
【0082】
次に、パルスデータ取得部87aは、第1回転周期Tr1における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第1基準パルスデータと、第2回転周期Tr2における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第2基準パルスデータと、第3回転周期Tr3における位相PHとパルス間隔PRとの関係を示す第3基準パルスデータとを算出する。なお、第1基準パルスデータ〜第3基準パルスデータは、それぞれ、図9(c)に示したように、測長ロール110の偏心に起因した波打ちを有するものとなる。
【0083】
続いて、パルスデータ取得部87aは、これら第1基準パルスデータ〜第3基準パルスデータを位相毎に平均して、基準パルスデータP0を得る。この基準パルスデータP0も、図9(c)に示したような波打ちを有するものとなる。
【0084】
では、図10に戻って説明を続ける。
判定部87dは、ステップ203において取得された基準パルスデータP0を用いて、各位相におけるパルス間隔PRの平均値である基準パルス間隔平均値Avg(P0)を算出する(ステップ204)。続いて、判定部87dは、閾値記憶部87cから偏心閾値αを読み出し(ステップ205)、基準パルス間隔平均値Avg(P0)に偏心閾値αを加えた偏心上限許容値Avg(P0)+αと、基準パルス間隔平均値Avg(P0)から偏心閾値αを差し引いた偏心下限許容値Avg(P0)−αとを計算する。そして、判定部87dは、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRのすべてが、偏心上限許容値以下且つ偏心下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ206)。
【0085】
ステップ206において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、ステップ203において取得された基準パルスデータP0を基準パルスデータ記憶部87bに格納して(ステップ207)、一連の処理を完了する。一方、ステップ206において否定の判定がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ208)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の偏心に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110に過大な偏心が存在することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ209)、一連の処理を完了する。
【0086】
次に、上述したステップ201において否定の判断を行った場合における以後の処理について、主として図11を参照しながら説明を行う。
ステップ201において否定の判断を行った場合、受付部81は、画像形成装置が印刷指示を受け付けたか否かを判断する(ステップ210)。なお、ここでいう印刷指示とは、記録材Sの両面に対する画像形成の指示だけでなく、記録材Sの片面に対する画像形成の指示も含んでいる。ステップ210において否定の判断を行った場合は、ステップ201に戻って処理を続行する。
【0087】
一方、ステップ201において肯定の判断を行った場合、動作制御部84は、記録材供給装置40より記録材Sの供給を開始させる(ステップ211)。このとき、記録材Sは、予め決められた記録材搬送速度Vsで搬送される。また、詳細は説明しないが、搬送される記録材Sには、上述した手順により画像の形成、転写、定着そして冷却等が行われる。したがって、ステップ211以降の各種処理は、画像形成動作の背後で、記録材長さLの算出処理と並列に実行される。
【0088】
画像が定着された記録材Sは、搬送に伴って測長装置100を通過する。すると、測長装置100では、上述したように、記録材Sの搬送に伴って測長ロール110が回転し、第1スリット検出部230からは位相信号Spが出力され、第2スリット検出部240からはZ相信号Szが出力される。また、記録材Sの搬送に伴って上流側検知センサ160からは上流側エッジ信号Suが出力され、下流側検知センサ170からは下流側エッジ信号Sdが出力される。測長装置100から出力される各種信号は、記録材長算出部85を介してパルスデータ取得部87aに入力される。なお、この説明でも、上述した図6に示すタイミングチャートに従って各種信号が出力されているものとする。
【0089】
次に、パルスデータ取得部87aは、入力されてくる各種信号に基づき、新たな周期情報の一例としての記録パルスデータP1を取得する(ステップ212)。なお、取得された記録パルスデータP1は、パルスデータ取得部87aから判定部87dに出力される。
【0090】
ステップ212における記録パルスデータP1の算出手順は、上述したステップ203における基準パルスデータP0の取得手順と同じであるので、その詳細な取得手順の説明を省略する。したがって、ステップ212で得られる記録パルスデータP1も、図9(c)に示したように、測長ロール110の偏心に起因した波打ちを有するものとなる。ただし、記録パルスデータP1および基準パルスデータP0は、測定対象となる記録材Sそのものが異なっている点で相違する。また、基準パルスデータP0を取得する校正モードでは画像が形成されていない記録材Sを用いていたのに対し、記録パルスデータP1を取得する場合では画像が形成された記録材Sを用いている点でも相違する。さらに、当然のことながら、基準パルスデータP0が校正モードの期間内に取得されるのに対し、記録パルスデータP1は校正モード以外の画像形成動作中に取得される点でも相違する。
【0091】
続いて、判定部87dは、ステップ207で基準パルスデータ記憶部87bに格納させておいた基準パルスデータP0を読み出す(ステップ213)。
次いで、判定部87dは、ステップ213で読み出した基準パルスデータP0の各パルス間隔PRをそれぞれ1.5倍したスリット上限許容値を計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータP1の各パルス間隔PRがすべてスリット上限許容値以下となっているか否かを判定する(ステップ214)。
【0092】
ステップ214において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、次に、閾値記憶部87cから外周面閾値βを読み出し(ステップ215)、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRにそれぞれ外周面閾値βを加えた外周面上限許容値P0+βと、基準パルスデータP0の各パルス間隔PRからそれぞれ外周面閾値βを差し引いた外周面下限許容値P0−βとを計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータP1の各パルス間隔PRのすべてが、外周面上限許容値以下且つ外周面下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ216)。
【0093】
ステップ216において肯定の判定がなされた場合、判定部87dは、ステップ212で取得された記録パルスデータP1を用いて、各位相におけるパルス間隔PRの平均値である記録パルス間隔平均値Avg(P1)を算出する(ステップ217)。続いて、判定部87dは、閾値記憶部87cから偏心閾値αを読み出し(ステップ218)、記録パルス間隔平均値Avg(P1)に偏心閾値αを加えた偏心上限許容値Avg(P1)+αと、偏心パルス間隔平均値Avg(P1)から偏心閾値αを差し引いた偏心下限許容値Avg(P1)−αとを計算する。そして、判定部87dは、記録パルスデータp1の各パルス間隔PRのすべてが、偏心上限許容値以下且つ偏心下限許容値以上となっているか否かを判定する(ステップ219)。
【0094】
ステップ219において肯定の判定がなされた場合、受付部81は、画像形成装置による印刷が終了したか否かを判断する(ステップ220)。ステップ220において肯定の判断がなされた場合は一連の処理を完了し、ステップ219において否定の判断がなされた場合はステップ211に戻って処理を続行する。
【0095】
一方、ステップ214において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ221)。次に、判定部87dは、UI90に向けて回転量検出装置200に設けられたスリット円板220に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けてスリット円板220に割れ等に起因する故障が生じていることを通知し(ステップ222)、一連の処理を完了する。
【0096】
また、ステップ216において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ223)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の外周面に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110の外周面に異物が付着することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ224)、一連の処理を完了する。
【0097】
さらに、ステップ218において否定の判断がなされた場合、判定部87dは、動作制御部84に向けて画像形成装置の動作を停止させる信号を出力し、動作制御部84は、この信号を受けて画像形成装置を構成する各部の動作を停止させる(ステップ225)。次に、判定部87dは、UI90に向けて測長ロール110の偏心に異常が生じていることを示す信号を出力し、UI90は、この信号を受けて測長ロール110に過大な偏心が存在することに起因する故障が生じていることを通知し(ステップ226)、一連の処理を完了する。
【0098】
図12は、上記ステップ206(図10参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図12(a)は、ステップ206において肯定の判定がなされる場合における基準パルスデータP0と、基準パルスデータP0から求まる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、基準パルス間隔平均値Avg(P0)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値(Avg(P0)+α)および偏心下限許容値(Avg(P0)−α)との関係の一例を示している。なお、図12(a)では、基準パルスデータP0を『P0a』として示している。
一方、図12(b)は、ステップ206において否定の判断がなされる場合における基準パルスデータP0と、基準パルスデータP0から求まる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、基準パルス間隔平均値Avg(P0)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値および偏心下限許容値との関係の一例を示している。なお、図12(b)では、基準パルスデータP0を『P0b』として示している。
【0099】
本実施の形態では、測長装置100において測長ロール110が偏心していると、最長径RLとなる部位が記録材Sに接する場合と最小径RSとなる部位となる部位が記録材Sに接する場合とで、コイルバネ130および揺動アーム120を介して測長ロール110にかかる力に変化が生じる。より具体的に説明すると、測長ロール110の最長径RLとなる部位が記録材Sに接する場合は、最短径RSとなる部位が記録材Sと接する場合に比べて、測長ロール110から記録材Sに加えられる力が減少する。これは、測長ロール110の最長径RLとなる部位が記録材Sと接する位置へと移動していく場合は、測長ロール110の回転軸110aが上方(記録材Sから遠ざかる側)に移動することにより、揺動アーム120を介してコイルバネ130に対しコイルバネ130を伸ばそうとする力がかかることに起因する。また、測長ロール110の最短径RSとなる部位が記録材Sに接する位置へと移動していく場合は、測長ロール110の回転軸110aが下方(記録材Sへと近づく側)に移動することにより、移動アーム120を介してコイルバネ130に対しコイルバネ130を縮めようとする力がかかることに起因する。
【0100】
測長ロール110から記録材Sに加えられる力が減少すると、力が減少する前に比べ測長ロール110を構成する表面層112の変形量(つぶれ量)が少なくなる。一方、測長ロール110から記録材Sに加えられる力が増加すると、力が増加する前に比べ表面層112のつぶれ量が多くなる。ここで、表面層112のつぶれ量が少なくなった場合は、つぶれ量が少なくなる前と比べロール周長Lrが実質的に減る。これに対し、表面層112のつぶれ量が多くなった場合は、つぶれ量が多くなる前と比べロール周長Lrが実質的に増える。
【0101】
すると、測長ロール110の偏心に起因して測長ロール110から記録材Sに加えられる力が周期的に大きく変動することとなった場合に、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
【0102】
そこで、本実施の形態では、校正モードを実行するに際して、パルス間隔PRを介して測長ロール110の偏心の度合いを検出し、偏心に起因するパルス間隔PRの変動が予め決められた範囲(偏心上限許容値および偏心下限許容値)から外れるものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0の算出結果から得られる基準パルス間隔平均値Avg(P0)と、予め決められた偏心閾値αとによって決定するようにした。したがって、偏心閾値αは、記録材長さLの測長誤差への影響が無視できなくなるレベル未満となるように決定される。なお、基準パルスデータ記憶部87bに記憶される基準パルスデータP0自体に測長ロール110の取り付け精度誤差による偏心の影響や、スリット円板に設けられたスリットの幅や間隔の製造誤差の影響が含まれてしまう可能性は避けられないが、補正可能な程度に抑えられていれば問題はなく、これを異常として判断することはない。
【0103】
図13は、上記ステップ214(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図13(a)は、ステップ214において肯定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、スリット上限許容値(P0×1.5)との関係の一例を示している。なお、図13(a)では、記録パルスデータP1を『P1a』として示している。
一方、図13(b)は、ステップ214において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、スリット上限許容値との関係の一例を示している。なお、図13(b)では、記録パルスデータP1を『P1b』として示している。
【0104】
本実施の形態では、測長装置100の回転量検出装置200として、スリット円板220を有するロータリエンコーダを用いている。ここで、記録パルスデータP1の基となる位相信号Spは、スリット円板220の回転に伴う複数の第1スリット221の移動によって発生する。ただし、例えばスリット円板220に割れやひびが生じることによって隣接する2つの第1スリット221が繋がってしまった場合には、これら2つの第1スリット221を通過することによって生じるパルス数が2つから1つになってしまうことから、実際の回転量に対してパルスカウント数Cが少なくなってしまう。
【0105】
すると、スリット円板220の割れ等に起因してパルスカウント数Cが減少することとなった場合に、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
【0106】
そこで、本実施の形態では、画像形成動作を実行している間に、パルス間隔PRを介してスリット円板220に設けられた第1スリット221の状態を検出し、パルス間隔PRの変動量が予め決められた上限(スリット上限許容値)を超えたものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0の1.5倍とした。この理由は、例えばスリット円板220において隣接する2つの第1スリット221が繋がってしまった場合に、そこでのパルス間隔PRが、両者が繋がる前の約2倍となるためである。また、異常判断のための基準を基準パルスデータP0の1.0倍に近づけていくと、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくなったものを、スリット円板220の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。また、この異常検知において、基準パルス間隔平均値Avg(P0)ではなく基準パルスデータP0を用いたのも、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくなったものを、スリット円板220の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。
【0107】
図14は、上記ステップ216(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図14(a)は、ステップ216において肯定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、外周面上限許容値(P0+β)と、外周面下限許容値(P0−β)との関係の一例を示している。なお、図14(a)では、記録パルスデータP1を『P1c』として示している。
一方、図14(b)、(c)は、ステップ216において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、外周面上限許容値と、外周面下限許容値との関係の一例を示している。なお、図14(b)では記録パルスデータP1を『P1d』として示し、図14(c)では記録パルスデータP1を『P1e』として示している。
【0108】
本実施の形態では、測長ロール110による記録材Sの測長回数が増加するに従って、測長ロール100の外周面に設けられ、記録材Sと接触する表面層112の状態が変化する。例えば、記録材Sと接触することによって表面層112が摩耗した場合には、測長ロール110の径が減少する。また、記録材Sと接触することによって表面層112に記録材Sの紙粉や記録材Sに形成されたトナー像が転移、付着した場合には、測長ロール110の径が増加することもある。
【0109】
例えば前者のように、測長装置110において測長ロール110の径が当初の径よりも小さくなってしまうと、測長ロール110のロール周長Lrが短くなる。そして、ロール周長Lrが当初よりも短くなった場合には、同一のパルス間隔PRにおいて測長ロール110の外周面の進む距離すなわち単位移動長がその分だけ短くなる。
【0110】
すると、予め決められた単位移動長Xに対し実際の単位移動長が短くなってしまうことに起因してパルスカウント数Cが増加してしまうことから、パルスカウント数Cを介して第2長さL2に含まれる誤差成分が増え、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。なお、この場合には、測長装置100によって算出される記録材長さLが、実際よりも長くなる。
【0111】
また、例えば後者のように、測長装置100において測長ロール110の径が当初の径よりも小さくなってしまうと、上述した説明とは逆の現象が発生し、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。なお、この場合には、測長装置100によって算出される記録材長さLが、実際よりも短くなる。
【0112】
ここで、図14(b)は、測長ロール110の径が当初よりも著しく小さくなることによって、記録パルスデータP1dがすべて外周面下限許容値を下回った場合を例示している。また、図示はしないが、例えば測長ロール110の径が当初よりも著しく大きくなった場合は、記録パルスデータp1dがすべて外周面上限許容値を上回ることになる。
【0113】
一方、例えば測長ロール110の使用に伴って測長ロール110の外周面に局所的に異物が付着することもある。なお、ここでいう異物としては、例えば記録材Sの紙粉、定着装置50によって記録材Sに付着させられたオイル等が挙げられる。このようにして測長ロール110の外周面に局所的に異物が付着した場合に、その部位において記録材Sとの間ですべりが生じることがある。
【0114】
測長装置100において測長ロール110の外周面の一部で局所的にすべりが生じるようになると、その部位での位相信号Spは実質的に測長ロール110の径が減少したのと同じになり、結果として、第2長さL2を用いて得られる記録材長さLに含まれる誤差成分の増加を招いてしまう。
ここで、図14(c)は、図中「slip」で示す部位において測長ロール110がすべってしまったことにより、記録パルスデータP1dの一部が外周面下限許容値を下回った場合を例示している。
【0115】
そこで、本実施の形態では、画像形成動作を実行している間に、パルス間隔PRを介して測長ロール110の速度変動の度合いを検出し、速度変動に起因するパルス間隔PRの変動が予め決められた範囲(外周面上限許容値および外周面下限許容値)から外れるものを、異常と判定するようにした。特に、本実施の形態では、異常判断のための基準を、基準パルスデータP0と予め決められた外周面閾値βとによって決定するようにした。したがって、外周面閾値βは、記録材長さLの測長誤差への影響が無視できなくなるレベル未満となるように決定される。なお、この異常検知において、基準パルス間隔平均値Avg(P0)ではなく基準パルスデータP0を用いたのは、測長ロール110の偏心に起因してパルス間隔PRが大きくあるいは小さくなったものを、測長ロール110の外周面の異常によるものと誤検知するおそれがあるためである。
【0116】
図15は、上記ステップ219(図11参照)における故障判定処理について説明するための図である。
ここで、図15(a)は、ステップ219において肯定の判定がなされる場合における記録パルスデータP1と、記録パルスデータP1から求まる記録パルス間隔平均値Avg(P1)と、記録パルス間隔平均値Avg(P1)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値(Avg(P1)+α)および偏心下限許容値(Avg(P1)−α)との関係の一例を示している。なお、図15(a)では、記録パルスデータP1を『P1f』として示している。
一方、図15(b)は、ステップ219において否定の判断がなされる場合における記録パルスデータP1と、記録パルスデータP1から求まる記録パルス間隔平均値Avg(P1)と、記録パルス間隔平均値Avg(P1)および偏心閾値αから求まる偏心上限許容値および偏心下限許容値との関係の一例を示している。なお、図15(b)では、記録パルスデータP1を『P1g』として示している。
【0117】
なお、ステップ219における故障判定処理は、基準パルスデータP0に代えて記録パルスデータP1を用いている点を除けば、上述したステップ206における故障判定処理と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0118】
図16は、基準パルスデータP0の更新処理について説明するための図である。なお、図16では、更新前の基準パルスデータP0を『P0a』として、更新後の基準パルスデータP0を『P0c』として、それぞれ示している。
【0119】
図10を用いて説明したように、本実施の形態では、校正モードが設定されるたびに基準パルスデータP0の取得が行われ、基準パルスデータP0に基づく故障判定において異常がなければ、後から取得された基準パルスデータP0(更新後の基準パルスデータP0b)が、これよりも以前に取得され基準パルスデータ記憶部87bに格納されていた基準パルスデータ(更新前の基準パルスデータP0a)に上書きされることによって更新される。
【0120】
なお、本実施の形態では、回転体の一例としての測長ロール110を搬送されてくる記録材Sに接触配置することで、記録材Sの搬送方向長さを測定する場合について説明を行ったが、回転体の利用手法についてはこれに限られない。例えば、測長ロール110の回転量の検出結果からシートの搬送速度を検出する速度検出装置に用いてもよいし、測長ロール110との対向部を通過する記録材の搬送方向位置を検出する位置検出装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、40…記録材供給装置、50…定着装置、60…冷却装置、70…反転搬送機構、80…制御部、90…ユーザインタフェース部、100…測長装置、110…測長ロール、200…回転量検出装置、210…筐体、220…スリット円板、230…第1スリット検出部、240…第2スリット検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段と
を含む回転体異常検出装置。
【請求項2】
前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて異常の種類に応じた許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項1記載の回転体異常検出装置。
【請求項3】
前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々のパルスの周期に対し予め決められた値を乗算することによって前記許容範囲の上限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記出力手段の異常を検出することを特徴とする請求項2記載の回転体異常検出装置。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々の前記パルスの周期に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該基準周期情報における各々の当該パルスの周期に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2または3記載の回転体異常検出装置。
【請求項5】
前記異常検出手段は、前記新たな周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、当該新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の回転体異常検出装置。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記取得手段で取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって他の許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該他の許容範囲の下限を設定し、当該周期情報における各々のパルスの周期が当該他の許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出するとともに当該周期情報を前記基準周期情報として前記記憶手段へ書き込むのを禁止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の回転体異常検出装置。
【請求項7】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期が、当該周期情報に基づいて決められた許容範囲から外れているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記回転体または前記出力手段で異常が発生したことを通知する通知手段と
を含む回転体異常検出装置。
【請求項8】
前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記出力手段による出力結果に基づいて実行される動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の回転体異常検出装置。
【請求項9】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記出力手段から出力される前記パルスの数に基づいて前記シートの搬送方向の長さを演算する演算手段と、
前記演算手段にて演算された前記シートの搬送方向の長さに基づいて当該シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段と
を含む画像形成装置。
【請求項10】
前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、前記シートの一方の面に画像を形成するとともに、表裏が反転された当該シートの他方の面に画像を形成し、当該シートの当該他方の面に画像を形成する際に、当該シートの搬送方向の長さに基づく画像形成条件の調整を行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項1】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段と
を含む回転体異常検出装置。
【請求項2】
前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて異常の種類に応じた許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項1記載の回転体異常検出装置。
【請求項3】
前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々のパルスの周期に対し予め決められた値を乗算することによって前記許容範囲の上限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記出力手段の異常を検出することを特徴とする請求項2記載の回転体異常検出装置。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記基準周期情報における各々の前記パルスの周期に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該基準周期情報における各々の当該パルスの周期に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、前記新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2または3記載の回転体異常検出装置。
【請求項5】
前記異常検出手段は、前記新たな周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって前記許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該許容範囲の下限を設定し、当該新たな周期情報における各々のパルスの周期が当該許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の回転体異常検出装置。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記取得手段で取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期を算術平均することで平均値を求め、当該平均値に対し予め決められた値を加算することによって他の許容範囲の上限を設定するとともに、当該平均値に対し予め決められた値を減算することによって当該他の許容範囲の下限を設定し、当該周期情報における各々のパルスの周期が当該他の許容範囲から外れた場合に、前記回転体の異常を検出するとともに当該周期情報を前記基準周期情報として前記記憶手段へ書き込むのを禁止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の回転体異常検出装置。
【請求項7】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記周期情報における各々の前記パルスの周期が、当該周期情報に基づいて決められた許容範囲から外れているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記回転体または前記出力手段で異常が発生したことを通知する通知手段と
を含む回転体異常検出装置。
【請求項8】
前記判定手段にて各々の前記パルスの周期が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記出力手段による出力結果に基づいて実行される動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の回転体異常検出装置。
【請求項9】
予め決められた速度で搬送されるシートに接触して回転する回転体と、
前記回転体の回転に伴って当該回転体の回転量に比例した数のパルスを出力する出力手段と、
前記出力手段から出力される前記パルスの数に基づいて前記シートの搬送方向の長さを演算する演算手段と、
前記演算手段にて演算された前記シートの搬送方向の長さに基づいて当該シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記回転体が前記速度で回転することに伴って前記出力手段から出力される複数の前記パルスに基づき、当該回転体が1周する間における当該回転体の回転位置と各々の当該パルスの周期とを対応付けた周期情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された周期情報を基準周期情報として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報と、当該基準周期情報が取得された後に前記取得手段で取得された新たな周期情報とに基づいて、前記回転体または前記出力手段で生じた異常を検出する異常検出手段と
を含む画像形成装置。
【請求項10】
前記異常検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記基準周期情報に基づいて許容範囲を設定し、前記取得手段で取得された前記新たな周期情報が当該許容範囲から外れた場合に前記異常を検出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させる停止手段をさらに含むことを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、前記シートの一方の面に画像を形成するとともに、表裏が反転された当該シートの他方の面に画像を形成し、当該シートの当該他方の面に画像を形成する際に、当該シートの搬送方向の長さに基づく画像形成条件の調整を行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−144020(P2011−144020A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7170(P2010−7170)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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