回転型電気部品
【課題】組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減すること。
【解決手段】軸受け部となる筒状軸1aを有するケース1と、ケース1に回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸3と、操作軸3の筒部を挿入可能な開口を有し操作軸3と一体的に回転する回転部材4と、回転部材4に設けられた収納部に収納される一対の端子を有するLED5と、上記一対の端子とそれぞれ導通する一対の第1摺動部材6と、第1摺動部材6が摺接する給電用パターンが設けられた基板2と、操作軸3の回転を検出する回転検出手段とを具備し、上記収納部は、回転部材4の内周側を開放した状態で当該回転部材4に設けられ、操作軸3の筒部の外周面で収納部に回転部材4の内周側から収納されたLED5の移動を規制することを特徴とする。
【解決手段】軸受け部となる筒状軸1aを有するケース1と、ケース1に回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸3と、操作軸3の筒部を挿入可能な開口を有し操作軸3と一体的に回転する回転部材4と、回転部材4に設けられた収納部に収納される一対の端子を有するLED5と、上記一対の端子とそれぞれ導通する一対の第1摺動部材6と、第1摺動部材6が摺接する給電用パターンが設けられた基板2と、操作軸3の回転を検出する回転検出手段とを具備し、上記収納部は、回転部材4の内周側を開放した状態で当該回転部材4に設けられ、操作軸3の筒部の外周面で収納部に回転部材4の内周側から収納されたLED5の移動を規制することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型電気部品に関し、特に、電子機器等の各種制御に使用される回転型電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等の各種制御に使用される回転型電気部品において、操作つまみの回転角度位置等をLED等の発光素子の光により表示する照光表示機能付きの回転型電気部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる回転型電気部品においては、ハウジングに回転可能に保持される回転部材に取り付けられるホルダを用いて発光素子を保持している。
【特許文献1】特開2006−19046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来の回転型電気部品においては、ホルダを用いて発光素子を回転部材に取り付けることから、発光素子を回転部材に組み込む等の工程が必要となるので、組み立てる際の作業性が悪いという問題がある。また、発光素子を保持するホルダを必要とすることから、部品点数が増加してしまうので、製造コストを低減することが困難であるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
軸受け部となる筒状軸を有するケースと、前記ケースに回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸と、前記操作軸の筒部を挿入可能な開口を有し当該操作軸と一体的に回転する回転部材と、前記回転部材に設けられた収納部に収納される一対の端子を有する発光素子と、前記一対の端子とそれぞれ導通する一対の導電部材と、前記導電部材が摺接する給電用パターンが設けられた基板と、前記操作軸の回転を検出する回転検出手段とを具備し、前記収納部は、前記回転部材の内周側を開放した状態で当該回転部材に設けられ、前記操作軸の筒部の外周面で前記収納部に前記回転部材の内周側から収納された前記発光素子の移動を規制することを特徴とする。
【0006】
上記回転型電気部品によれば、発光素子が回転部材の収納部に当該回転部材の内周側から収納され、操作軸の筒部の外周面で当該発光素子の移動が規制されることから、従来のように発光素子を保持するためのホルダに相当する部品が必要とされることがない。このため、発光素子をホルダに組み込む等の作業を省略できるので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、このホルダに相当する部品を省略することができるので、部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。この結果、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することが可能となる。
【0007】
上記回転型電気部品においては、前記収納部に、前記発光素子が有する鍔部を収容する凹部を形成することが好ましい。発光素子が有する鍔部が収納部に形成された凹部に収容されることから、収納部に対して発光素子を確実且つ容易に収納することができると共に、収納部における発光素子の位置決めを行うことが可能となる。
【0008】
また、上記回転型電気部品において、前記発光素子は、前記一対の端子として一対のリード端子を有し、前記収納部に、前記一対のリード端子の離間状態を維持する突出片を形成することが好ましい。この場合には、特別な部材を用意することなく、収納部に形成される突出片により発光素子が有する一対のリード端子の離間状態を維持することができるので、発光素子の取り扱いが容易となる。
【0009】
また、上記回転型電気部品においては、前記一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて前記基板と対向する接続部を形成する一方、前記導電部材の一部を前記接続部に弾接させることが好ましい。この場合には、発光素子が有する一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて接続部を形成する一方、導電部材の一部を当該接続部に弾接させるようにしたことから、例えば、従来のように一対のリード端子の位置を固定するために所定の通孔に挿入する必要がないので、更に組み立てる際の作業性を向上することができる。また、導電部材の一部を一対のリード端子に弾接する構成であることから、導電部材を複雑な構成にする必要がないので、製造時における材料の歩留まり率を向上でき、更に製造コストを低減することができる。
【0010】
上記回転型電気部品において、前記一対の導電部材のそれぞれは、前記回転体に取り付けられる取付部と、前記取付部から延びて前記接続部に弾接する弾性腕部と、前記取付部から延びて前記給電用パターンに摺接する摺接片とを有し、前記弾性腕部と前記摺接片とが前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出することが好ましい。この場合には、弾性腕部と摺接片とを前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出させたことから、簡単な構成で導電部材をリード端子の接続部に弾接すると共に、給電用パターンに摺接させることが可能となる。
【0011】
また、上記回転型電気部品において、前記一対の導電部材のそれぞれの前記取付部は、前記一対のリード端子を挟んで対向する位置に取り付けられており、それぞれの前記弾性腕部が前記一対のリード端子のうち遠い位置に配置される前記リード端子に弾接することが好ましい。この場合には、弾性腕部における腕部分の長さを確保することができるので、リード端子との接続の信頼性を向上することが可能となる。
【0012】
特に、上記回転型電気部品において、前記一対のリード端子は、前記回転体の径方向に折り曲げられ、前記弾性腕部及び摺接片は、それぞれの前記取付部から同一方向に延びることが好ましい。この場合には、取付部から弾性腕部と摺接片とが同一方向に設けられることから、製造時における材料の歩留まり率を向上すると共に、回転体の回転角度を広く確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光素子が回転部材の収納部に当該回転部材の内周側から収納され、操作軸の筒部の外周面で当該発光素子の移動を規制するようにしたことから、従来のように発光素子をホルダに組み込む等の作業や、発光素子を保持するホルダ自体の必要性をなくすことができるので、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品の分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る回転型電気部品の全体斜視図である。なお、以下においては、適宜、図1に示す右方側を回転型電気部品の後方側(単に、後方側)と呼び、左方側を回転型電気部品の前方側(単に、前方側)と呼ぶものとする。
【0016】
図1において、ケース1は、例えば、合成樹脂等の絶縁材で構成される。ケース1には、中央に大きな中空状の空洞部を有する筒状部である筒状軸1aが突出して設けられている。筒状軸1aの基部外周には、円環状の底面部を有する収納部1bが設けられている。収納部1bには、後述する絶縁基板2が収納される。また、ケース1の外周面には、本回転型電気部品の前後方向に沿って、後述する取付部材9の係合脚片9bと係合する複数の係合溝1cが形成されている。さらに、ケース1の外周面の一定位置には、後述する取付部材9の固定片9dの開口部9eに入り込む係止片1dが形成されている。
【0017】
絶縁基板2は、フェノール樹脂等の積層板からなり、中央に大きな開口部を有する略円形の平板状に形成されている。絶縁基板2には、後述するLED5に給電する一対の給電用パターン、並びに、後述する操作軸3の回転検出用の抵抗体パターン及び集電体パターンが設けられている。これらの給電用パターン、抵抗体パターン及び集電体パターンの構成については後述する。
【0018】
操作軸3は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな中空状の空洞部を有する筒状に形成されている。操作軸3には、ケース1に設けられた軸受け部となる筒状軸1aに回転可能に軸支される円筒状の筒部である回転軸3aと、後述する回転部材4の位置決めを行う鍔部3bとが設けられている。回転軸3aの側面部には、本回転型電気部品の前後方向に沿って、後述する回転部材4の係合溝4dと係合する複数の係合片3cが形成されている。
【0019】
回転部材4は、クリック部材として機能するものであり、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな開口部を有する円環状の基盤部4aを有している。この基盤部4aの外周側には、円環状の板状部が設けられている。この板状部の前方側の面には、後述する板ばね8が有するクリック用突起8aが摺動することで回転時のクリック感触を発生させる連続した凹凸状のクリックカム4bが形成されている。また、基盤部4aの所定位置には、後述するLED5を収納する収納部4cが形成されている。さらに、基盤部4aの内側には、操作軸3の係合片3cを収容する係合溝4dが形成されている。さらに、回転部材4における後方側の所定位置には、後述する第1摺動部材6及び第2摺動部材7が取り付けられる。
【0020】
LED5は、発光素子として機能するものであり、素子部5aと、一対のリード端子5bとから構成される。一対のリード端子5bは、本回転型電気部品の後方側の先端部近傍においてL字形状に折り曲げられている。第1摺動部材6及び第2摺動部材7は、弾性を有する金属板で形成される。第1摺動部材6は、導電部材として機能するものであり、一対のリード端子5bの先端に弾接すると共に、絶縁基板2に設けられる給電用パターンに摺接する。第2摺動部材7は、摺動部材として機能するものであり、絶縁基板2に設けられる抵抗体パターン及び集電体パターンに摺接する。なお、これらのLED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7の構成については後述する。
【0021】
板ばね8は、弾性を有する金属板(例えば、ステンレスやリン青銅等)からなり、図1に示す上方側に開口した半円弧状を有している。板ばね8の中央部には、回転部材4が有するクリックカム4b上を摺動するクリック用突起8aが設けられている。また、板ばね8の両端部には、板ばね8を後述する取付部材9に固定するための固定部8bが形成されている。板ばね8は、固定部8bにおいて、鳩目カシメなどにより取付部材9の後方側の面に固着される。
【0022】
取付部材9は、金属板を打ち抜き、折り曲げて形成されており、円環状の上板部9aと、この上板部9aから後方側に向けて延在する複数の係合脚片9b(本実施の形態では4個)と、一対の枠足9cと、2つの固定片9dとを有している。複数の係合脚片9bは、ケース1が有する複数の係合溝1cと係合する。固定片9dの内側部分には、ケース1が有する一対の係止片1dが係合する開口部9eが形成されている。
【0023】
このような構成部品を有する回転型電気部品を組み立てると、図2に示すように、ケース1内に、絶縁基板2、操作軸3及び回転部材4が収容された状態で、取付部材9が前方側から取り付けられる。このとき、取付部材9の係合脚片9bがケース1の係合溝1cに係合し、ケース1の係止片1dが固定片9dの開口部9eに入り込む。操作軸3の回転軸3a、並びに、回転部材4の収納部4cは、取付部材9の上板部9aから本回転型電気部品の前方側に向けて突出した状態となっている。このように組み立てられた状態において、操作軸3及び操作軸3に装着された回転部材4は、ケース1に対して一体的に回転可能に保持される。そして、操作軸3とクリック部材である回転部材4とにより、ケース1に対して回転可能な回転体が構成されている。
【0024】
図3及び図4は、本実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。なお、図3は、第1摺動部材6を図1に示す左右方向(幅方向)に沿って切断した場合の断面図を示し、図4は、LED5の素子部5aの中央部を図1に示す前後方向に沿って切断した場合の断面図を示している。
【0025】
図3に示すように、第1摺動部材6は、回転部材4の後方側の面に固着されている。一方、図3及び図4に示すように、LED5のリード端子5bの先端部は、回転部材4の後面側に回り込んでいる。このように回り込むリード端子5bの先端部に、後述する第1摺動部材6の弾性腕部が弾接するようになっている。一方、後述する第1摺動部材6の摺接片は、絶縁基板2上の給電用パターンに摺接するようになっている。
【0026】
なお、図3には現れていないが、第2摺動部材7は、第1摺動部材6と同様に、回転部材4の後方側の面に固着されている。後述する第2摺動部材7の一対の摺接片の一方が絶縁基板2上の抵抗体パターンに摺接し、第2摺動部材7の摺接片の他方が絶縁基板2上の集電体パターン上を摺接するようになっている(図7参照)。
【0027】
以下、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する主な構成部品の構成について説明する。具体的には、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板2、操作軸3、回転部材4、LED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7の構成について説明する。なお、これらの構成部品において、図1で説明した構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
図5は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板2の正面図である。なお、図5においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の絶縁基板2について示している。
【0029】
図5に示すように、絶縁基板2には、その外周側寄りの位置にLED5に給電する一対の給電用パターン2a、2bが設けられている。給電用パターン2a、2bは、絶縁基板2の円環形状に沿って設けられ、その端部で不図示の電源に接続する端子に連結されている。給電用パターン2a、2bは、例えば、銀(Ag)の印刷パターン(銀パターン)上にカーボンの印刷パターン(カーボンパターン)でコーティングすることにより形成されている。なお、銀(Ag)パターン上をカーボンパターンでコーティングするのは、長期間の使用に伴う銀パターンの磨耗や腐食等を防止するためである。後述する一対の第1摺動部材6の各摺接片は、これらの給電用パターン2a、2bに対応する位置に配置され、給電用パターン2a、2bを介して不図示の電源からの電源供給を受ける。
【0030】
また、絶縁基板2の内周側には、操作軸3の回転検出用の抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dが設けられている。抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dは、給電用パターン2a等と同様に、絶縁基板2の円環形状に沿って設けられ、その端部で不図示の電源や制御手段(検出回路)に接続する端子に連結されている。集電体パターン2dは、給電用パターン2a等と同様に、銀(Ag)パターン上をカーボンパターンでコーティングすることにより形成されている。抵抗体パターン2cは、両端部に位置する電極部を除いてカーボンパターンのみで形成されている。これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dと、第2摺動部材7とで可変抵抗器が構成され、回転検出手段を構成する。後述する第2摺動部材7の摺接片は、これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dに対応する位置に配置されている。本回転型電気部品に接続される不図示の制御手段(検出回路)は、これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2d上における第2摺動部材7の位置に応じた抵抗値に基づいて操作軸3の回転を検出する。
【0031】
図6は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸3の拡大斜視図である。なお、図6(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の操作軸3について示している。図6(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合の操作軸3について示している。
【0032】
図6に示すように、回転軸3aの側面部には、複数の係合片3cが形成されている。これらの係合片3cのうち、図6に示す上方側に配置された一対の係合片3cの間には、回転部材4の収納部4cに収納されたLED5の内側(回転軸3a側)への移動を規制する規制部3dが形成されている。規制部3dは、T字形状に形成された平面部で構成されている。規制部3dにおける装置の後方側端部には、僅かに図6に示す上方側に突出する凸部3eが形成されている。凸部3eは、後述する回転部材4の固定部4gに形成される収容部4jに入り込んで、収容部4jに収容されるLED5が有する一対のリード端子5b(折り曲げ部近傍)と当接あるいは近接状態で対向し、これら一対のリード端子5bが内側(内周側)へ移動するのを規制する役割を果たす。
【0033】
図7は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する回転部材4の拡大斜視図である。なお、図7(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の回転部材4について示している。図7(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合の回転部材4について示している。
【0034】
図7に示すように、収納部4cは、本回転型電気部品の前方側に向けて立設されている。その先端部には、後述する素子部5aの基部5cを保持する素子保持部4eが形成されている。また、素子保持部4eよりも僅かに後方側には、後述する素子部5aの鍔部5dを収容する凹部4fが形成されている(図7(b)参照)。凹部4fに素子部5aの鍔部5dを収容した状態で、素子保持部4eで素子部5aの基部5cを保持することにより、収納部4cにLED5が保持される。このように素子部5aの鍔部5dを収容する凹部を設けることにより、収納部4cに対してLED5を確実且つ容易に収納すると共に、収納部4cにおけるLED5の位置決めを行えるようにしている。
【0035】
また、図7(b)に示すように、回転部材4の後方側の面には、第1摺動部材6及び第2摺動部材7を固定するための平面状の固定部4gが形成されている。固定部4gは、収納部4cに対応する位置に形成されている。固定部4gには、第1摺動部材6を固定するための一対の突起部4hと、第2摺動部材7を固定するための一対の突起部4iとが形成されている。また、固定部4gの中央部分には、LED5のリード端子5bを収容するための収容部4jが形成されている。突起部4h及び突起部4iはいずれも、この収容部4jを挟んで反対側の互いに対向する位置にそれぞれ配置されている。また、収容部4jの内側には、LED5が有する一対のリード端子5bの離間状態を維持するための突出片4kと、LED5のリード端子5bの先端を保持する保持片4lとが設けられている。このようにLED5が有する一対のリード端子5bの離間状態を維持する突出片4kを設けることにより、LED5の取り扱いを容易としている。
【0036】
図8は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有するLED5の拡大斜視図である。なお、図8(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合のLED5について示している。図8(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合のLED5について示している。
【0037】
図8に示すように、LED5の素子部5aは、基部5c及び鍔部5dを有している。素子部5aの後方側の面の中央近傍から一対のリード端子5bが設けられている。リード端子5bの後方側の先端部は、図8に示す上方側(回転部材4の径方向側)に向けて折り曲げられている。これにより、リード端子5bは、L字状を為す。ここでは、リード端子5bの先端が上方側に垂直に折り曲げられる場合について示すが、必ずしも垂直に限定されるものではない。折り曲げられた先端部5eは、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bと対向配置される。この先端部5eは、後述する第1摺動部材6の弾性腕部が弾接する接続部として機能する。
【0038】
図9は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する第1摺動部材6及び第2摺動部材7の拡大斜視図である。なお、図9(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の第1摺動部材6及び第2摺動部材7について示している。図9(b)は、図9(a)とは異なる角度において本回転型電気部品の前方側から見た場合の第1摺動部材6及び第2摺動部材7について示している。
【0039】
図9に示すように、第1摺動部材6は、2つの部品から構成され、すなわち、一対備えられており、それぞれ取付部6aと、取付部6aから同一方向に延びる弾性腕部6b及び摺接片6cとを有している。取付部6aには、取付孔6dが形成されている。固定部4gの突起部4hを取付孔6dに挿入した後に、突起部4hの先端をカシメなどによりつぶして変形させることで、第1摺動部材6が回転部材4に固着される。なお、本実施の形態においては、カシメとして加熱していないポンチにより突起部4hの先端を押しつぶす、いわゆる冷間カシメにて行っているが、加熱したポンチにより突起部4hを溶融させて押しつぶす(変形させる)熱カシメを採用してもよい。弾性腕部6bは、本回転型電気部品の前方側に曲げられ、LED5のリード端子5bの先端部5eに弾接する。摺接片6cは、本回転型電気部品の後方側に曲げられ、絶縁基板2上の給電用パターン2a(2b)に摺接する。なお、一対の弾性腕部6b及び一対の摺接片6cは、図3に示すように、いずれも交差するような配置となっている。
【0040】
第2摺動部材7は、一対の取付部7aと、取付部7aから互いに相手側の取付部7aの方向に延びる一対の摺接片7bとを有している。取付部7aには、取付孔7cが形成されている。第1摺動部材6と同様に、固定部4gの突起部4iを取付孔7cに挿入した後に、突起部4iの先端をカシメなどによりつぶして変形させることで、第2摺動部材7が回転部材4に固着される。一対の摺接片7bは、共に本回転型電気部品の後方側に曲げられ、交差するような配置となり、一方の先端が絶縁基板2に設けられた抵抗体パターン2cに摺接し、他方の先端が絶縁基板2に設けられた集電体パターン2dに摺接する。
【0041】
以下、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸3と回転部材4との関係、並びに、操作軸3及び回転部材4と、LED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明する。図10は、操作軸3と回転部材4との関係について説明するための図である。図11は、操作軸3及び回転部材4と、LED5との関係について説明するための図である。図12は、操作軸3及び回転部材4と、LED5、並びに、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明するための図である。なお、図10〜図12において、同図(a)は、本実施の形態に係る回転型電気部品を後方側から見た図であり、同図(b)は、回転部材4の固定部4gの周辺の拡大図である。
【0042】
複数の係合片3cが係合溝4dに収容されるように回転軸3aを回転部材4の開口部に挿入することにより、操作軸3と回転部材4とが組み立てられる。この場合、図10に示すように、固定部4gに対応する領域を除き、操作軸3の鍔部3bが回転部材4の内周部分に配置される。固定部4gは、鍔部3bが形成されていない規制部3dに対応する位置に配置される。このため、固定部4gは、本回転型電気部品の後方側に露出した状態となっている。規制部3dに形成される凸部3eの端部は、収容部4jの内側に僅かに入り込んでいる(図10(b)参照)。
【0043】
なお、図10は、説明の便宜上、LED5を組み込んでいない場合について説明しているが、本来は、LED5が組み込まれた回転部材4の開口部に対して操作軸3が挿入される。この場合において、LED5は、回転部材4の内側から収納部4cに収納され、この状態で回転部材4の開口部に対して操作軸3が挿入される。この場合、LED5が有するリード端子5bの先端部5eは、図11に示すように、収容部4jの端部近傍に収容される。具体的には、突出片4kの側方側に配置されると共に、その端部近傍を保持片4lにより保持された状態とされる。このとき、先端部5eは、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bと対向した状態となっている。
【0044】
図11に示すように操作軸3と回転部材4とが組み立てられた状態で、回転部材4に第1摺動部材6及び第2摺動部材7が取り付けられる。この場合、図12に示すように、一対の第1摺動部材6は、固定部4gの突起部4hを取付孔6dに挿通させた状態でカシメにより固着される。同様に、第2摺動部材7は、突起部4iを取付孔7cに挿通させた状態でカシメにより固着される。この場合において、第1摺動部材6と第2摺動部材7とは、図12に示すように、回転部材4の径方向に並んで配置されている。そして、図12に示す右方側に配置された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す左方側に向かって延びている。そして、その先端(ここでは、上方から2本目の弾性腕部6bの先端)が図12に示す左方側に配置されたリード端子5bの先端部5eに弾接するように構成されている。一方、図12に示す左方側に配置された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す右方側に向かって延びている。そして、その先端(ここでは、上方から4番目の弾性腕部6bの先端)が図12に示す右方側に配置されたリード端子5bの先端部5eに弾接するように構成されている。
【0045】
ここで、第1摺動部材6が有する弾性腕部6b及び摺接片6c、並びに、第2摺動部材7が有する摺接片7bの構成について図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、図12に示す状態の回転部材4に保持されたLED5と、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明するための斜視図である。なお、図13及び図14においては、説明の便宜上、操作軸3を省略している。また、図14においては、説明の便宜上、第2摺動部材7を固定部4gから離間させた状態について示している。
【0046】
図13及び図14に示すように、回転部材4の固定部4gに固定された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す下方側に曲げられる一方、摺接片6cは、同図に示す上方側に曲げられている。前者は、リード端子5bの先端部5eに弾接し、後者は、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bに摺接するように構成されている。この場合において、弾性腕部6bは、自身が連結される取付部6aから遠い位置に配置されているリード端子5bの先端部5eに弾接するようになっている。
【0047】
また、回転部材4の固定部4gに固定された第2摺動部材7の一対の摺接片7bは、図13及び図14に示すように、両方とも同図に示す上方側に曲げられている。そして、それぞれの先端が、絶縁基板2に設けられた抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dに摺接するように構成されている。
【0048】
このように本実施の形態に係る回転型電気部品によれば、LED5が回転部材4の収納部4cに当該回転部材4の内周側から収納され、操作軸3の回転軸3aの外周面でLED5の移動が規制されることから、従来のように発光素子を保持するためのホルダに相当する部品が必要とされることがない。このため、発光素子をホルダに組み込む等の作業を省略できるので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、このホルダに相当する部品を省略することができるので、部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。この結果、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、回転部材4の収納部4cに、LED5が有する鍔部5dを収容する凹部4fを設けたことから、収納部4cに対してLED5を確実且つ容易に収納することができると共に、収納部4cにおける発光素子の位置決めを行うことが可能となる。
【0050】
さらに、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、LED5に一対のリード端子5bを設け、回転部材4の収納部4cに、一対のリード端子5bの離間状態を維持する突出片4kを設けたことから、特別な部材を用意することなく、発光素子が有する一対のリード端子の離間状態を維持することができるので、発光素子の取り扱いが容易となる。
【0051】
さらに、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対のリード端子5bの先端をL字状に折り曲げて絶縁基板2と対向する接続部を形成する一方、第1摺動部材6の一部を当該接続部に弾接させている。これにより、例えば、従来のように一対のリード端子の位置を固定するために所定の通孔に挿入する必要がないので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、第1摺動部材6の一部を一対のリード端子5bに弾接する構成であることから、第1摺動部材6を複雑な構成にする必要がないので、製造時における材料の歩留まり率を向上でき、製造コストを低減することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対の第1摺動部材6のそれぞれを、回転部材4に取り付けられる取付部6aと、取付部6aから延びてリード端子5bに弾接する弾性腕部6bと、取付部6aから延びて給電用パターン2a、2bに摺接する摺接片6cとで構成し、弾性腕部6bと摺接片6cとを回転部材4の回転軸線方向の異なる方向に突出させていることから、簡単な構成で第1摺動部材6をリード端子5bの先端部5eに弾接すると共に、給電用パターン2a、2bに摺接させることが可能となる。
【0053】
特に、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対の第1摺動部材6のそれぞれの取付部6aが、一対のリード端子5b(先端部5e)を挟んで互いに対向する位置に取り付けられて、それぞれの弾性腕部6bが一対のリード端子5bのうち遠い位置に配置されるリード端子5bの先端部5eに弾接するようにしている。これにより、弾性腕部6bにおける腕部分の長さを確保することができるので、リード端子5bとの接続の信頼性を向上することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対のリード端子5bが、回転部材4の径方向(外周側)に折り曲げられると共に、第1摺動部材6を平面視した場合に、弾性腕部6b及び摺接片6cが、それぞれの取付部6aから同一方向に延びるようにしている。このように、取付部6aから弾性腕部6bと摺接片6cとが同一方向に設けるようにしたことから、製造時における材料の歩留まり率を向上すると共に、操作軸3及び回転部材4の回転角度を広く確保することが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0056】
例えば、上記実施の形態においては、本回転型電気部品に装着される発光素子として一対のリード端子を有するLED5を備える場合について説明しているが、発光素子の構成についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、一対の端子(電極)を有する表面実装タイプの発光素子を採用するようにしても良い。
【0057】
また、上記実施の形態においては、回転型電気部品として、抵抗体パターン等を備えた可変抵抗器を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、摺接パターンとしてコードパターンを備えたエンコーダであってもよい。さらには、磁気式等の非接触センサを回転検出手段に用いた回転型電気部品に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品の分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る回転型電気部品の全体斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。
【図4】上記実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。
【図5】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板の正面図である。
【図6】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸の拡大斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する回転部材の拡大斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有するLEDの拡大斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する第1摺動部材及び第2摺動部材の拡大斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸と回転部材との関係について説明するための図である。
【図11】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸及び回転部材と、LEDとの関係について説明するための図である。
【図12】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸及び回転部材と、LED、並びに、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための図である。
【図13】図12に示す状態の回転部材に保持されたLEDと、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための斜視図である。
【図14】図12に示す状態の回転部材に保持されたLEDと、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケース
1a 筒状軸(軸受け部)
1b 収納部
1c 係合溝
1d 係止片
2 絶縁基板(基板)
2a、2b 給電用パターン
2c 抵抗体パターン(回転検出手段)
2d 集電体パターン(回転検出手段)
3 操作軸
3a 回転軸(筒部)
3b 鍔部
3c 係合片
3d 規制部
3e 凸部
4 回転部材
4a 基盤部
4b クリックカム
4c 収納部
4d 係合溝
4e 素子保持部
4f 凹部
4g 固定部
4h、4i 突起部
4j 収容部
4k 突出片
4l 保持片
5 LED(発光素子)
5a 素子部
5b リード端子
5c 基部
5d 鍔部
5e 先端部(接続部)
6 第1摺動部材(導電部材)
6a 取付部
6b 弾性腕部
6c 摺接片
7 第2摺動部材(回転検出手段)
7a 取付部
7b 摺接片
8 板ばね
8a クリック用突起
9 取付部材
9a 上板部
9b 係合脚片
9c 枠足
9d 固定片
9e 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型電気部品に関し、特に、電子機器等の各種制御に使用される回転型電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等の各種制御に使用される回転型電気部品において、操作つまみの回転角度位置等をLED等の発光素子の光により表示する照光表示機能付きの回転型電気部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる回転型電気部品においては、ハウジングに回転可能に保持される回転部材に取り付けられるホルダを用いて発光素子を保持している。
【特許文献1】特開2006−19046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来の回転型電気部品においては、ホルダを用いて発光素子を回転部材に取り付けることから、発光素子を回転部材に組み込む等の工程が必要となるので、組み立てる際の作業性が悪いという問題がある。また、発光素子を保持するホルダを必要とすることから、部品点数が増加してしまうので、製造コストを低減することが困難であるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
軸受け部となる筒状軸を有するケースと、前記ケースに回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸と、前記操作軸の筒部を挿入可能な開口を有し当該操作軸と一体的に回転する回転部材と、前記回転部材に設けられた収納部に収納される一対の端子を有する発光素子と、前記一対の端子とそれぞれ導通する一対の導電部材と、前記導電部材が摺接する給電用パターンが設けられた基板と、前記操作軸の回転を検出する回転検出手段とを具備し、前記収納部は、前記回転部材の内周側を開放した状態で当該回転部材に設けられ、前記操作軸の筒部の外周面で前記収納部に前記回転部材の内周側から収納された前記発光素子の移動を規制することを特徴とする。
【0006】
上記回転型電気部品によれば、発光素子が回転部材の収納部に当該回転部材の内周側から収納され、操作軸の筒部の外周面で当該発光素子の移動が規制されることから、従来のように発光素子を保持するためのホルダに相当する部品が必要とされることがない。このため、発光素子をホルダに組み込む等の作業を省略できるので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、このホルダに相当する部品を省略することができるので、部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。この結果、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することが可能となる。
【0007】
上記回転型電気部品においては、前記収納部に、前記発光素子が有する鍔部を収容する凹部を形成することが好ましい。発光素子が有する鍔部が収納部に形成された凹部に収容されることから、収納部に対して発光素子を確実且つ容易に収納することができると共に、収納部における発光素子の位置決めを行うことが可能となる。
【0008】
また、上記回転型電気部品において、前記発光素子は、前記一対の端子として一対のリード端子を有し、前記収納部に、前記一対のリード端子の離間状態を維持する突出片を形成することが好ましい。この場合には、特別な部材を用意することなく、収納部に形成される突出片により発光素子が有する一対のリード端子の離間状態を維持することができるので、発光素子の取り扱いが容易となる。
【0009】
また、上記回転型電気部品においては、前記一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて前記基板と対向する接続部を形成する一方、前記導電部材の一部を前記接続部に弾接させることが好ましい。この場合には、発光素子が有する一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて接続部を形成する一方、導電部材の一部を当該接続部に弾接させるようにしたことから、例えば、従来のように一対のリード端子の位置を固定するために所定の通孔に挿入する必要がないので、更に組み立てる際の作業性を向上することができる。また、導電部材の一部を一対のリード端子に弾接する構成であることから、導電部材を複雑な構成にする必要がないので、製造時における材料の歩留まり率を向上でき、更に製造コストを低減することができる。
【0010】
上記回転型電気部品において、前記一対の導電部材のそれぞれは、前記回転体に取り付けられる取付部と、前記取付部から延びて前記接続部に弾接する弾性腕部と、前記取付部から延びて前記給電用パターンに摺接する摺接片とを有し、前記弾性腕部と前記摺接片とが前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出することが好ましい。この場合には、弾性腕部と摺接片とを前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出させたことから、簡単な構成で導電部材をリード端子の接続部に弾接すると共に、給電用パターンに摺接させることが可能となる。
【0011】
また、上記回転型電気部品において、前記一対の導電部材のそれぞれの前記取付部は、前記一対のリード端子を挟んで対向する位置に取り付けられており、それぞれの前記弾性腕部が前記一対のリード端子のうち遠い位置に配置される前記リード端子に弾接することが好ましい。この場合には、弾性腕部における腕部分の長さを確保することができるので、リード端子との接続の信頼性を向上することが可能となる。
【0012】
特に、上記回転型電気部品において、前記一対のリード端子は、前記回転体の径方向に折り曲げられ、前記弾性腕部及び摺接片は、それぞれの前記取付部から同一方向に延びることが好ましい。この場合には、取付部から弾性腕部と摺接片とが同一方向に設けられることから、製造時における材料の歩留まり率を向上すると共に、回転体の回転角度を広く確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光素子が回転部材の収納部に当該回転部材の内周側から収納され、操作軸の筒部の外周面で当該発光素子の移動を規制するようにしたことから、従来のように発光素子をホルダに組み込む等の作業や、発光素子を保持するホルダ自体の必要性をなくすことができるので、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品の分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る回転型電気部品の全体斜視図である。なお、以下においては、適宜、図1に示す右方側を回転型電気部品の後方側(単に、後方側)と呼び、左方側を回転型電気部品の前方側(単に、前方側)と呼ぶものとする。
【0016】
図1において、ケース1は、例えば、合成樹脂等の絶縁材で構成される。ケース1には、中央に大きな中空状の空洞部を有する筒状部である筒状軸1aが突出して設けられている。筒状軸1aの基部外周には、円環状の底面部を有する収納部1bが設けられている。収納部1bには、後述する絶縁基板2が収納される。また、ケース1の外周面には、本回転型電気部品の前後方向に沿って、後述する取付部材9の係合脚片9bと係合する複数の係合溝1cが形成されている。さらに、ケース1の外周面の一定位置には、後述する取付部材9の固定片9dの開口部9eに入り込む係止片1dが形成されている。
【0017】
絶縁基板2は、フェノール樹脂等の積層板からなり、中央に大きな開口部を有する略円形の平板状に形成されている。絶縁基板2には、後述するLED5に給電する一対の給電用パターン、並びに、後述する操作軸3の回転検出用の抵抗体パターン及び集電体パターンが設けられている。これらの給電用パターン、抵抗体パターン及び集電体パターンの構成については後述する。
【0018】
操作軸3は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな中空状の空洞部を有する筒状に形成されている。操作軸3には、ケース1に設けられた軸受け部となる筒状軸1aに回転可能に軸支される円筒状の筒部である回転軸3aと、後述する回転部材4の位置決めを行う鍔部3bとが設けられている。回転軸3aの側面部には、本回転型電気部品の前後方向に沿って、後述する回転部材4の係合溝4dと係合する複数の係合片3cが形成されている。
【0019】
回転部材4は、クリック部材として機能するものであり、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな開口部を有する円環状の基盤部4aを有している。この基盤部4aの外周側には、円環状の板状部が設けられている。この板状部の前方側の面には、後述する板ばね8が有するクリック用突起8aが摺動することで回転時のクリック感触を発生させる連続した凹凸状のクリックカム4bが形成されている。また、基盤部4aの所定位置には、後述するLED5を収納する収納部4cが形成されている。さらに、基盤部4aの内側には、操作軸3の係合片3cを収容する係合溝4dが形成されている。さらに、回転部材4における後方側の所定位置には、後述する第1摺動部材6及び第2摺動部材7が取り付けられる。
【0020】
LED5は、発光素子として機能するものであり、素子部5aと、一対のリード端子5bとから構成される。一対のリード端子5bは、本回転型電気部品の後方側の先端部近傍においてL字形状に折り曲げられている。第1摺動部材6及び第2摺動部材7は、弾性を有する金属板で形成される。第1摺動部材6は、導電部材として機能するものであり、一対のリード端子5bの先端に弾接すると共に、絶縁基板2に設けられる給電用パターンに摺接する。第2摺動部材7は、摺動部材として機能するものであり、絶縁基板2に設けられる抵抗体パターン及び集電体パターンに摺接する。なお、これらのLED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7の構成については後述する。
【0021】
板ばね8は、弾性を有する金属板(例えば、ステンレスやリン青銅等)からなり、図1に示す上方側に開口した半円弧状を有している。板ばね8の中央部には、回転部材4が有するクリックカム4b上を摺動するクリック用突起8aが設けられている。また、板ばね8の両端部には、板ばね8を後述する取付部材9に固定するための固定部8bが形成されている。板ばね8は、固定部8bにおいて、鳩目カシメなどにより取付部材9の後方側の面に固着される。
【0022】
取付部材9は、金属板を打ち抜き、折り曲げて形成されており、円環状の上板部9aと、この上板部9aから後方側に向けて延在する複数の係合脚片9b(本実施の形態では4個)と、一対の枠足9cと、2つの固定片9dとを有している。複数の係合脚片9bは、ケース1が有する複数の係合溝1cと係合する。固定片9dの内側部分には、ケース1が有する一対の係止片1dが係合する開口部9eが形成されている。
【0023】
このような構成部品を有する回転型電気部品を組み立てると、図2に示すように、ケース1内に、絶縁基板2、操作軸3及び回転部材4が収容された状態で、取付部材9が前方側から取り付けられる。このとき、取付部材9の係合脚片9bがケース1の係合溝1cに係合し、ケース1の係止片1dが固定片9dの開口部9eに入り込む。操作軸3の回転軸3a、並びに、回転部材4の収納部4cは、取付部材9の上板部9aから本回転型電気部品の前方側に向けて突出した状態となっている。このように組み立てられた状態において、操作軸3及び操作軸3に装着された回転部材4は、ケース1に対して一体的に回転可能に保持される。そして、操作軸3とクリック部材である回転部材4とにより、ケース1に対して回転可能な回転体が構成されている。
【0024】
図3及び図4は、本実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。なお、図3は、第1摺動部材6を図1に示す左右方向(幅方向)に沿って切断した場合の断面図を示し、図4は、LED5の素子部5aの中央部を図1に示す前後方向に沿って切断した場合の断面図を示している。
【0025】
図3に示すように、第1摺動部材6は、回転部材4の後方側の面に固着されている。一方、図3及び図4に示すように、LED5のリード端子5bの先端部は、回転部材4の後面側に回り込んでいる。このように回り込むリード端子5bの先端部に、後述する第1摺動部材6の弾性腕部が弾接するようになっている。一方、後述する第1摺動部材6の摺接片は、絶縁基板2上の給電用パターンに摺接するようになっている。
【0026】
なお、図3には現れていないが、第2摺動部材7は、第1摺動部材6と同様に、回転部材4の後方側の面に固着されている。後述する第2摺動部材7の一対の摺接片の一方が絶縁基板2上の抵抗体パターンに摺接し、第2摺動部材7の摺接片の他方が絶縁基板2上の集電体パターン上を摺接するようになっている(図7参照)。
【0027】
以下、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する主な構成部品の構成について説明する。具体的には、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板2、操作軸3、回転部材4、LED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7の構成について説明する。なお、これらの構成部品において、図1で説明した構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
図5は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板2の正面図である。なお、図5においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の絶縁基板2について示している。
【0029】
図5に示すように、絶縁基板2には、その外周側寄りの位置にLED5に給電する一対の給電用パターン2a、2bが設けられている。給電用パターン2a、2bは、絶縁基板2の円環形状に沿って設けられ、その端部で不図示の電源に接続する端子に連結されている。給電用パターン2a、2bは、例えば、銀(Ag)の印刷パターン(銀パターン)上にカーボンの印刷パターン(カーボンパターン)でコーティングすることにより形成されている。なお、銀(Ag)パターン上をカーボンパターンでコーティングするのは、長期間の使用に伴う銀パターンの磨耗や腐食等を防止するためである。後述する一対の第1摺動部材6の各摺接片は、これらの給電用パターン2a、2bに対応する位置に配置され、給電用パターン2a、2bを介して不図示の電源からの電源供給を受ける。
【0030】
また、絶縁基板2の内周側には、操作軸3の回転検出用の抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dが設けられている。抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dは、給電用パターン2a等と同様に、絶縁基板2の円環形状に沿って設けられ、その端部で不図示の電源や制御手段(検出回路)に接続する端子に連結されている。集電体パターン2dは、給電用パターン2a等と同様に、銀(Ag)パターン上をカーボンパターンでコーティングすることにより形成されている。抵抗体パターン2cは、両端部に位置する電極部を除いてカーボンパターンのみで形成されている。これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dと、第2摺動部材7とで可変抵抗器が構成され、回転検出手段を構成する。後述する第2摺動部材7の摺接片は、これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dに対応する位置に配置されている。本回転型電気部品に接続される不図示の制御手段(検出回路)は、これらの抵抗体パターン2c及び集電体パターン2d上における第2摺動部材7の位置に応じた抵抗値に基づいて操作軸3の回転を検出する。
【0031】
図6は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸3の拡大斜視図である。なお、図6(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の操作軸3について示している。図6(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合の操作軸3について示している。
【0032】
図6に示すように、回転軸3aの側面部には、複数の係合片3cが形成されている。これらの係合片3cのうち、図6に示す上方側に配置された一対の係合片3cの間には、回転部材4の収納部4cに収納されたLED5の内側(回転軸3a側)への移動を規制する規制部3dが形成されている。規制部3dは、T字形状に形成された平面部で構成されている。規制部3dにおける装置の後方側端部には、僅かに図6に示す上方側に突出する凸部3eが形成されている。凸部3eは、後述する回転部材4の固定部4gに形成される収容部4jに入り込んで、収容部4jに収容されるLED5が有する一対のリード端子5b(折り曲げ部近傍)と当接あるいは近接状態で対向し、これら一対のリード端子5bが内側(内周側)へ移動するのを規制する役割を果たす。
【0033】
図7は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する回転部材4の拡大斜視図である。なお、図7(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の回転部材4について示している。図7(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合の回転部材4について示している。
【0034】
図7に示すように、収納部4cは、本回転型電気部品の前方側に向けて立設されている。その先端部には、後述する素子部5aの基部5cを保持する素子保持部4eが形成されている。また、素子保持部4eよりも僅かに後方側には、後述する素子部5aの鍔部5dを収容する凹部4fが形成されている(図7(b)参照)。凹部4fに素子部5aの鍔部5dを収容した状態で、素子保持部4eで素子部5aの基部5cを保持することにより、収納部4cにLED5が保持される。このように素子部5aの鍔部5dを収容する凹部を設けることにより、収納部4cに対してLED5を確実且つ容易に収納すると共に、収納部4cにおけるLED5の位置決めを行えるようにしている。
【0035】
また、図7(b)に示すように、回転部材4の後方側の面には、第1摺動部材6及び第2摺動部材7を固定するための平面状の固定部4gが形成されている。固定部4gは、収納部4cに対応する位置に形成されている。固定部4gには、第1摺動部材6を固定するための一対の突起部4hと、第2摺動部材7を固定するための一対の突起部4iとが形成されている。また、固定部4gの中央部分には、LED5のリード端子5bを収容するための収容部4jが形成されている。突起部4h及び突起部4iはいずれも、この収容部4jを挟んで反対側の互いに対向する位置にそれぞれ配置されている。また、収容部4jの内側には、LED5が有する一対のリード端子5bの離間状態を維持するための突出片4kと、LED5のリード端子5bの先端を保持する保持片4lとが設けられている。このようにLED5が有する一対のリード端子5bの離間状態を維持する突出片4kを設けることにより、LED5の取り扱いを容易としている。
【0036】
図8は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有するLED5の拡大斜視図である。なお、図8(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合のLED5について示している。図8(b)においては、本回転型電気部品の後方側から見た場合のLED5について示している。
【0037】
図8に示すように、LED5の素子部5aは、基部5c及び鍔部5dを有している。素子部5aの後方側の面の中央近傍から一対のリード端子5bが設けられている。リード端子5bの後方側の先端部は、図8に示す上方側(回転部材4の径方向側)に向けて折り曲げられている。これにより、リード端子5bは、L字状を為す。ここでは、リード端子5bの先端が上方側に垂直に折り曲げられる場合について示すが、必ずしも垂直に限定されるものではない。折り曲げられた先端部5eは、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bと対向配置される。この先端部5eは、後述する第1摺動部材6の弾性腕部が弾接する接続部として機能する。
【0038】
図9は、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する第1摺動部材6及び第2摺動部材7の拡大斜視図である。なお、図9(a)においては、本回転型電気部品の前方側から見た場合の第1摺動部材6及び第2摺動部材7について示している。図9(b)は、図9(a)とは異なる角度において本回転型電気部品の前方側から見た場合の第1摺動部材6及び第2摺動部材7について示している。
【0039】
図9に示すように、第1摺動部材6は、2つの部品から構成され、すなわち、一対備えられており、それぞれ取付部6aと、取付部6aから同一方向に延びる弾性腕部6b及び摺接片6cとを有している。取付部6aには、取付孔6dが形成されている。固定部4gの突起部4hを取付孔6dに挿入した後に、突起部4hの先端をカシメなどによりつぶして変形させることで、第1摺動部材6が回転部材4に固着される。なお、本実施の形態においては、カシメとして加熱していないポンチにより突起部4hの先端を押しつぶす、いわゆる冷間カシメにて行っているが、加熱したポンチにより突起部4hを溶融させて押しつぶす(変形させる)熱カシメを採用してもよい。弾性腕部6bは、本回転型電気部品の前方側に曲げられ、LED5のリード端子5bの先端部5eに弾接する。摺接片6cは、本回転型電気部品の後方側に曲げられ、絶縁基板2上の給電用パターン2a(2b)に摺接する。なお、一対の弾性腕部6b及び一対の摺接片6cは、図3に示すように、いずれも交差するような配置となっている。
【0040】
第2摺動部材7は、一対の取付部7aと、取付部7aから互いに相手側の取付部7aの方向に延びる一対の摺接片7bとを有している。取付部7aには、取付孔7cが形成されている。第1摺動部材6と同様に、固定部4gの突起部4iを取付孔7cに挿入した後に、突起部4iの先端をカシメなどによりつぶして変形させることで、第2摺動部材7が回転部材4に固着される。一対の摺接片7bは、共に本回転型電気部品の後方側に曲げられ、交差するような配置となり、一方の先端が絶縁基板2に設けられた抵抗体パターン2cに摺接し、他方の先端が絶縁基板2に設けられた集電体パターン2dに摺接する。
【0041】
以下、本実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸3と回転部材4との関係、並びに、操作軸3及び回転部材4と、LED5、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明する。図10は、操作軸3と回転部材4との関係について説明するための図である。図11は、操作軸3及び回転部材4と、LED5との関係について説明するための図である。図12は、操作軸3及び回転部材4と、LED5、並びに、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明するための図である。なお、図10〜図12において、同図(a)は、本実施の形態に係る回転型電気部品を後方側から見た図であり、同図(b)は、回転部材4の固定部4gの周辺の拡大図である。
【0042】
複数の係合片3cが係合溝4dに収容されるように回転軸3aを回転部材4の開口部に挿入することにより、操作軸3と回転部材4とが組み立てられる。この場合、図10に示すように、固定部4gに対応する領域を除き、操作軸3の鍔部3bが回転部材4の内周部分に配置される。固定部4gは、鍔部3bが形成されていない規制部3dに対応する位置に配置される。このため、固定部4gは、本回転型電気部品の後方側に露出した状態となっている。規制部3dに形成される凸部3eの端部は、収容部4jの内側に僅かに入り込んでいる(図10(b)参照)。
【0043】
なお、図10は、説明の便宜上、LED5を組み込んでいない場合について説明しているが、本来は、LED5が組み込まれた回転部材4の開口部に対して操作軸3が挿入される。この場合において、LED5は、回転部材4の内側から収納部4cに収納され、この状態で回転部材4の開口部に対して操作軸3が挿入される。この場合、LED5が有するリード端子5bの先端部5eは、図11に示すように、収容部4jの端部近傍に収容される。具体的には、突出片4kの側方側に配置されると共に、その端部近傍を保持片4lにより保持された状態とされる。このとき、先端部5eは、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bと対向した状態となっている。
【0044】
図11に示すように操作軸3と回転部材4とが組み立てられた状態で、回転部材4に第1摺動部材6及び第2摺動部材7が取り付けられる。この場合、図12に示すように、一対の第1摺動部材6は、固定部4gの突起部4hを取付孔6dに挿通させた状態でカシメにより固着される。同様に、第2摺動部材7は、突起部4iを取付孔7cに挿通させた状態でカシメにより固着される。この場合において、第1摺動部材6と第2摺動部材7とは、図12に示すように、回転部材4の径方向に並んで配置されている。そして、図12に示す右方側に配置された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す左方側に向かって延びている。そして、その先端(ここでは、上方から2本目の弾性腕部6bの先端)が図12に示す左方側に配置されたリード端子5bの先端部5eに弾接するように構成されている。一方、図12に示す左方側に配置された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す右方側に向かって延びている。そして、その先端(ここでは、上方から4番目の弾性腕部6bの先端)が図12に示す右方側に配置されたリード端子5bの先端部5eに弾接するように構成されている。
【0045】
ここで、第1摺動部材6が有する弾性腕部6b及び摺接片6c、並びに、第2摺動部材7が有する摺接片7bの構成について図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、図12に示す状態の回転部材4に保持されたLED5と、第1摺動部材6及び第2摺動部材7との関係について説明するための斜視図である。なお、図13及び図14においては、説明の便宜上、操作軸3を省略している。また、図14においては、説明の便宜上、第2摺動部材7を固定部4gから離間させた状態について示している。
【0046】
図13及び図14に示すように、回転部材4の固定部4gに固定された第1摺動部材6の弾性腕部6bは、同図に示す下方側に曲げられる一方、摺接片6cは、同図に示す上方側に曲げられている。前者は、リード端子5bの先端部5eに弾接し、後者は、絶縁基板2に設けられた給電用パターン2a、2bに摺接するように構成されている。この場合において、弾性腕部6bは、自身が連結される取付部6aから遠い位置に配置されているリード端子5bの先端部5eに弾接するようになっている。
【0047】
また、回転部材4の固定部4gに固定された第2摺動部材7の一対の摺接片7bは、図13及び図14に示すように、両方とも同図に示す上方側に曲げられている。そして、それぞれの先端が、絶縁基板2に設けられた抵抗体パターン2c及び集電体パターン2dに摺接するように構成されている。
【0048】
このように本実施の形態に係る回転型電気部品によれば、LED5が回転部材4の収納部4cに当該回転部材4の内周側から収納され、操作軸3の回転軸3aの外周面でLED5の移動が規制されることから、従来のように発光素子を保持するためのホルダに相当する部品が必要とされることがない。このため、発光素子をホルダに組み込む等の作業を省略できるので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、このホルダに相当する部品を省略することができるので、部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。この結果、組み立てる際の作業性に優れると共に、製造コストを低減することができる回転型電気部品を提供することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、回転部材4の収納部4cに、LED5が有する鍔部5dを収容する凹部4fを設けたことから、収納部4cに対してLED5を確実且つ容易に収納することができると共に、収納部4cにおける発光素子の位置決めを行うことが可能となる。
【0050】
さらに、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、LED5に一対のリード端子5bを設け、回転部材4の収納部4cに、一対のリード端子5bの離間状態を維持する突出片4kを設けたことから、特別な部材を用意することなく、発光素子が有する一対のリード端子の離間状態を維持することができるので、発光素子の取り扱いが容易となる。
【0051】
さらに、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対のリード端子5bの先端をL字状に折り曲げて絶縁基板2と対向する接続部を形成する一方、第1摺動部材6の一部を当該接続部に弾接させている。これにより、例えば、従来のように一対のリード端子の位置を固定するために所定の通孔に挿入する必要がないので、組み立てる際の作業性を向上することができる。また、第1摺動部材6の一部を一対のリード端子5bに弾接する構成であることから、第1摺動部材6を複雑な構成にする必要がないので、製造時における材料の歩留まり率を向上でき、製造コストを低減することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対の第1摺動部材6のそれぞれを、回転部材4に取り付けられる取付部6aと、取付部6aから延びてリード端子5bに弾接する弾性腕部6bと、取付部6aから延びて給電用パターン2a、2bに摺接する摺接片6cとで構成し、弾性腕部6bと摺接片6cとを回転部材4の回転軸線方向の異なる方向に突出させていることから、簡単な構成で第1摺動部材6をリード端子5bの先端部5eに弾接すると共に、給電用パターン2a、2bに摺接させることが可能となる。
【0053】
特に、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対の第1摺動部材6のそれぞれの取付部6aが、一対のリード端子5b(先端部5e)を挟んで互いに対向する位置に取り付けられて、それぞれの弾性腕部6bが一対のリード端子5bのうち遠い位置に配置されるリード端子5bの先端部5eに弾接するようにしている。これにより、弾性腕部6bにおける腕部分の長さを確保することができるので、リード端子5bとの接続の信頼性を向上することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態に係る回転型電気部品においては、一対のリード端子5bが、回転部材4の径方向(外周側)に折り曲げられると共に、第1摺動部材6を平面視した場合に、弾性腕部6b及び摺接片6cが、それぞれの取付部6aから同一方向に延びるようにしている。このように、取付部6aから弾性腕部6bと摺接片6cとが同一方向に設けるようにしたことから、製造時における材料の歩留まり率を向上すると共に、操作軸3及び回転部材4の回転角度を広く確保することが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0056】
例えば、上記実施の形態においては、本回転型電気部品に装着される発光素子として一対のリード端子を有するLED5を備える場合について説明しているが、発光素子の構成についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、一対の端子(電極)を有する表面実装タイプの発光素子を採用するようにしても良い。
【0057】
また、上記実施の形態においては、回転型電気部品として、抵抗体パターン等を備えた可変抵抗器を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、摺接パターンとしてコードパターンを備えたエンコーダであってもよい。さらには、磁気式等の非接触センサを回転検出手段に用いた回転型電気部品に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品の分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る回転型電気部品の全体斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。
【図4】上記実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。
【図5】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する絶縁基板の正面図である。
【図6】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する操作軸の拡大斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する回転部材の拡大斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有するLEDの拡大斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係る回転型電気部品が有する第1摺動部材及び第2摺動部材の拡大斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸と回転部材との関係について説明するための図である。
【図11】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸及び回転部材と、LEDとの関係について説明するための図である。
【図12】上記実施の形態に係る回転型電気部品の操作軸及び回転部材と、LED、並びに、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための図である。
【図13】図12に示す状態の回転部材に保持されたLEDと、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための斜視図である。
【図14】図12に示す状態の回転部材に保持されたLEDと、第1摺動部材及び第2摺動部材との関係について説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケース
1a 筒状軸(軸受け部)
1b 収納部
1c 係合溝
1d 係止片
2 絶縁基板(基板)
2a、2b 給電用パターン
2c 抵抗体パターン(回転検出手段)
2d 集電体パターン(回転検出手段)
3 操作軸
3a 回転軸(筒部)
3b 鍔部
3c 係合片
3d 規制部
3e 凸部
4 回転部材
4a 基盤部
4b クリックカム
4c 収納部
4d 係合溝
4e 素子保持部
4f 凹部
4g 固定部
4h、4i 突起部
4j 収容部
4k 突出片
4l 保持片
5 LED(発光素子)
5a 素子部
5b リード端子
5c 基部
5d 鍔部
5e 先端部(接続部)
6 第1摺動部材(導電部材)
6a 取付部
6b 弾性腕部
6c 摺接片
7 第2摺動部材(回転検出手段)
7a 取付部
7b 摺接片
8 板ばね
8a クリック用突起
9 取付部材
9a 上板部
9b 係合脚片
9c 枠足
9d 固定片
9e 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受け部となる筒状軸を有するケースと、前記ケースに回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸と、前記操作軸の筒部を挿入可能な開口を有し当該操作軸と一体的に回転する回転部材と、前記回転部材に設けられた収納部に収納される一対の端子を有する発光素子と、前記一対の端子とそれぞれ導通する一対の導電部材と、前記導電部材が摺接する給電用パターンが設けられた基板と、前記操作軸の回転を検出する回転検出手段とを具備し、
前記収納部は、前記回転部材の内周側を開放した状態で当該回転部材に設けられ、前記操作軸の筒部の外周面で前記収納部に収納された前記発光素子の移動を規制することを特徴とする回転型電気部品。
【請求項2】
前記収納部に、前記発光素子が有する鍔部を収容する凹部を形成したことを特徴とする請求項1記載の回転型電気部品。
【請求項3】
前記発光素子は、前記一対の端子として一対のリード端子を有し、前記収納部に、前記一対のリード端子の離間状態を保つ突出片を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転型電気部品。
【請求項4】
前記一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて前記基板と対向する接続部を形成する一方、前記導電部材の一部を前記接続部に弾接させたことを特徴とする請求項3記載の回転型電気部品。
【請求項5】
前記一対の導電部材のそれぞれは、前記回転部材に取り付けられる取付部と、前記取付部から延びて前記接続部に弾接する弾性腕部と、前記取付部から延びて前記給電用パターンに摺接する摺接片とを有し、前記弾性腕部と前記摺接片とが前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出することを特徴とする請求項4記載の回転型電気部品。
【請求項6】
前記一対の導電部材のそれぞれの前記取付部は、前記一対のリード端子を挟んで対向する位置に取り付けられており、それぞれの前記弾性腕部が前記一対のリード端子のうち遠い位置に配置される前記リード端子に弾接することを特徴とする請求項5記載の回転型電気部品。
【請求項7】
前記一対のリード端子は、前記回転体の径方向に折り曲げられ、前記弾性腕部及び摺接片は、それぞれの前記取付部から同一方向に延びることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の回転型電気部品。
【請求項1】
軸受け部となる筒状軸を有するケースと、前記ケースに回転可能に保持される中空状の筒部を有する操作軸と、前記操作軸の筒部を挿入可能な開口を有し当該操作軸と一体的に回転する回転部材と、前記回転部材に設けられた収納部に収納される一対の端子を有する発光素子と、前記一対の端子とそれぞれ導通する一対の導電部材と、前記導電部材が摺接する給電用パターンが設けられた基板と、前記操作軸の回転を検出する回転検出手段とを具備し、
前記収納部は、前記回転部材の内周側を開放した状態で当該回転部材に設けられ、前記操作軸の筒部の外周面で前記収納部に収納された前記発光素子の移動を規制することを特徴とする回転型電気部品。
【請求項2】
前記収納部に、前記発光素子が有する鍔部を収容する凹部を形成したことを特徴とする請求項1記載の回転型電気部品。
【請求項3】
前記発光素子は、前記一対の端子として一対のリード端子を有し、前記収納部に、前記一対のリード端子の離間状態を保つ突出片を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転型電気部品。
【請求項4】
前記一対のリード端子の先端をL字状に折り曲げて前記基板と対向する接続部を形成する一方、前記導電部材の一部を前記接続部に弾接させたことを特徴とする請求項3記載の回転型電気部品。
【請求項5】
前記一対の導電部材のそれぞれは、前記回転部材に取り付けられる取付部と、前記取付部から延びて前記接続部に弾接する弾性腕部と、前記取付部から延びて前記給電用パターンに摺接する摺接片とを有し、前記弾性腕部と前記摺接片とが前記回転体の回転軸線方向の異なる方向に突出することを特徴とする請求項4記載の回転型電気部品。
【請求項6】
前記一対の導電部材のそれぞれの前記取付部は、前記一対のリード端子を挟んで対向する位置に取り付けられており、それぞれの前記弾性腕部が前記一対のリード端子のうち遠い位置に配置される前記リード端子に弾接することを特徴とする請求項5記載の回転型電気部品。
【請求項7】
前記一対のリード端子は、前記回転体の径方向に折り曲げられ、前記弾性腕部及び摺接片は、それぞれの前記取付部から同一方向に延びることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の回転型電気部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−257916(P2008−257916A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96455(P2007−96455)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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