説明

回転式攪拌器及び回転式攪拌器を用いた使用のための台所用品

回転式攪拌器であって、駆動構成に結合されるように構成された駆動軸であって、前記駆動軸は長軸を定義し、該長軸のまわりに該攪拌器が回転可能である駆動軸を有する、回転式攪拌器が提供される。該攪拌器は、該駆動軸に結合され、該長軸の方向に該駆動軸から延在し、該駆動軸に戻るよう導かれた、ワイヤループを有する、攪拌器本体を持つ。該ワイヤループは、第1の部分と、2つの上側セグメント及び2つの下側セグメントを有する第2の部分と、を有する。各上側セグメントは、該第1の部分、及び該第2の部分のそれぞれの下側セグメントに接続される。該ワイヤループは更に、該第2の部分の下側セグメントに接続するための第3の部分を有する。該第2の部分の相互に接続された上側及び下側セグメントは、該長軸に略平行な平面を定義する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置により回転させられるように構成された回転式攪拌器に関する。該攪拌器は、家電機器、台所用品又はフードプロセッサ等において利用され得る。該攪拌器は、液体物質、特に食料品を攪拌する、混合する、かき混ぜる又は泡立たせるために利用され得る。
【背景技術】
【0002】
フランス国特許文献FR1397685は、攪拌器の駆動軸から延在する単一のワイヤループを有する回転式攪拌器を開示している。該単一のワイヤループは、該ワイヤループの長さに亘って3つの部分に分割され、第1の部分は駆動軸に対して外側へ延在し、第2の部分は2つの相互に角度を付けられたセグメントを有し、第3の部分はワイヤループを駆動軸へと戻す。第2の部分及び該部分のセグメントは、該攪拌器が回転させられたときに、第2の部分の下端が、第2の部分の上端を追跡するように構成される。角度を付けられたセグメントはそれぞれ、ワイヤループの脚部を形成する。該脚部は、互いに交差するように構成され、即ちワイヤループが長軸のまわりにねじれている。フランス国特許文献FR1397685によれば、該攪拌器の独特の形状が、該攪拌器により実現されるかき混ぜ又は曝気に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この既知の攪拌器に関連する問題は、改善されたかき混ぜが達成されるものの、攪拌器の効果が最適化されておらず、更に改善が為され得る点である。
【0004】
本発明は、かき混ぜ及び泡立たせのための容積増大を最適化し、より強力な曝気効果をもたらすこと、並びに物質の加工に必要な時間を低減させることのような、先行技術より知られた回転式攪拌器を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的は、所定の回転の方向に回転させられるように構成された回転式攪拌器により達成される。前記回転式攪拌器は、駆動構成に結合されるように構成された駆動軸であって、前記駆動軸は長軸を定義し、前記長軸のまわりに前記攪拌器が回転可能である駆動軸と、前記駆動軸に結合され、前記長軸の方向に前記駆動軸から延在し、方向の複数回の変化の後に前記駆動軸に戻る、少なくとも1つのワイヤループを有する、攪拌器本体と、を有する。前記少なくとも1つのワイヤループは、前記ワイヤループを前記駆動軸に接続する2つの第1のセグメントを有する、第1の部分、及び2つの上側セグメント及び2つの下側セグメントを有する第2の部分を有する。各前記上側セグメントは、前記第1の部分のそれぞれの前記第1のセグメント、及び前記第2の部分のそれぞれの前記下側セグメントに接続される。前記少なくとも1つのワイヤループは更に、 2つの第3のセグメントを有する第3の部分であって、各前記第3のセグメントは、他方の前記第3のセグメント、及び前記第2の部分の前記下側セグメントの一方に接続される、第3の部分を有する。前記第2の部分の、相互に接続された前記上側及び下側セグメントの各対は、前記長軸に略水平であるか又は前記長軸に対して小さな角度を持つ平面を定義し、前記相互に接続された上側及び下側セグメントは、前記平面において互いに対して或る角度を為し、前記相互に接続された上側セグメントと下側セグメントとが、前記長軸に対して異なる角度方向を持つ。
【0006】
本発明の攪拌器の特殊な幾何が、他のワイヤ式攪拌器に比べて著しく減少された利用時間と、食料の著しく向上された体積増大とをもたらす。
【0007】
本発明者は、先行技術の攪拌器のかき混ぜ又は曝気効果は、第2の部分の一部に亘ってしか達成されないため、最適ではないことを認識した。従って、本発明者は、第2の部分の上側セグメント及び下側セグメントの、攪拌器のいずれの回転部についても等しい角速度ではなく、実際の速度が、該第2の部分の略高さ全体に亘って一定且つ最大化されることを実現することにより、かき混ぜ及び/又は曝気効果が改善され得ることを認識した。このことは、第2の部分の相互に接続された上側及び下側セグメントの各対、即ちワイヤループの各「脚部」が、長軸に略平行な平面を定義することを実現することにより、達成された。このことは、攪拌器が回転させられたときに、斯かる脚部の全ての部分が、同一の最大速度を持つという効果に帰着する。このことは、第2の部分のセグメントの一部に亘ってしか最大速度をもたらし得ない先行技術より知られた攪拌器に対する改善である。
【0008】
本発明の状況において、「小さな角度」なる語句は、それぞれの相互に接続された上側及び下側セグメントの実際の速度が最大値に近く又は等しくなることに帰着するような、上側及び下側セグメントが配置された平面間の長軸に対する角度をカバーすることを意図されている。それ故、長軸に対して小さな角度を持つ平面は、本発明の範囲から逸脱しない。実際には、斯かる角度は、いずれの方向においても0乃至15度の範囲内となり得、即ち、攪拌器の回転の間、第1の部分が第3の部分よりも大きい外径を記述する及びその逆であるようなものである。
【0009】
一実施例においては、上側セグメントと下側セグメントとの間の角度は、約120°乃至約140°の範囲内であり、好適には約130°である。この範囲の角度は、液体物質の曝気、及び従って体積の増大において、非常に優れた結果をもたらすことが分かった。特に、この範囲の角度は、かき混ぜ及び泡立たせの両方に優れた結果をもたらす。
【0010】
一実施例においては、それぞれの前記上側セグメントの下端は、前記回転の方向に、当該上側セグメントの上端を追従し、それぞれの前記下側セグメントの上端は、前記回転の方向に、当該下側セグメントの下端を追従する。攪拌器の回転の間、この構成は、下側セグメントが食品を持ち上げ、上側セグメントが食品を下向きに打ち下ろすことを実現する。加えて、上側の下向きの攪拌のために、食品を加工するための時間は低減される。
【0011】
一実施例においては、前記下側セグメントの下端は、前記回転の方向に、或る追従角だけ離れて、前記上側セグメントの上端を追従する、該追跡角は好適には約5°乃至約30°の範囲内である。このようにして、第2の部分の相互に接続されたセグメントにより形成された脚部の上部は常に下部よりも先にあるようになり、流体物質が攪拌器の回転の間に攪拌器本体から出てしまうことを効果的に防ぐ。
【0012】
一実施例においては、前記第1の部分の前記第1のセグメントは、前記長軸に垂直な平面から、前記第3の部分に向かって、約0°乃至45°の範囲内の傾斜角だけ傾斜している。
【0013】
一実施例においては、前記第2の部分の前記上側セグメントは、前記長軸に対して、約15°乃至35°の範囲内の角度を持ち、好適には該角度は約25°である。
【0014】
一実施例においては、前記第3の部分の前記第3のセグメントは、前記長軸に垂直な平面から、前記駆動軸に対して、0°乃至30°の範囲内の角度だけ傾斜しており、好適には該角度は約10°である。この角度を小さくすることは、各回転の間に加工されるべき、より多くの物質に、攪拌器が到達することを可能とし、斯くして加工時間を短縮する。一方、この角度を大きくすることは、攪拌器の取り扱いを改善する。最適値は、約10°の角度に存在することが見出されている。
【0015】
一実施例においては、前記ワイヤループは、円形の断面を持つ。このことは、ワイヤループの優れた製造容易性をもたらす。
【0016】
一実施例においては、前記攪拌器は2つの前記ワイヤループを有し、該攪拌器の動作を更に改善する。
【0017】
本発明は更に、筐体と前記筐体に備えられた駆動装置を有し、前記駆動装置は、本発明による回転式攪拌器と結合されるための結合手段を有する、台所用品、フードプロセッサ等に関する。
【0018】
駆動軸から、該駆動軸の方向に更に延在し、最後に、延在の方向における2つの変化の後に、駆動軸へと戻るように導かれた、少なくとも1つのワイヤ状の攪拌器要素を含む攪拌器を提供する、別の回転式攪拌器が、例えばイギリス国特許文献GB-977,761から知られている。該ワイヤ要素は、略3つの部分に分割され得る。第1の部分は、駆動軸から離れる方向に延在する直線部分である。第2の部分もまた直線であり、駆動軸に沿って延在する。第3の部分は直線であり、第2の部分の末端から、駆動軸に向かって延在する。第1の部分の末端は、該攪拌器が回転させられるときには、第3の部分の末端に先立つ。第1、第2及び第3の部分は、最初に金属のワイヤを平坦な長方形へと屈曲させることにより作製される。それに対し、第2の部分を形成する2つの対辺は、該長方形の元の平面から逆方向に折り曲げ出され、それにより該長方形の半分が、他方の半分の平面に対して傾斜した平面内となる。折り曲げの効果により、第2の部分は、駆動軸の長軸に対して一定の角度を持つ。傾斜した第2の部分により、イギリス国特許文献GB-977,761の攪拌器は、使用時に、加工されるべき物質に対して衝撃効果を与える。同時に、比較的マイルドな曝気動作が実行される。
【0019】
同様に、米国特許US5,590,962は、連続する第1、第2及び第3の部分から成るワイヤ要素を有する攪拌器を提供している。米国特許US5,590,962は、食品を許容できないほど飛び散らせることなく食品の混合を実現するように改善された攪拌器を提供することを目的としている。使用時には、駆動軸に最も近い第1の部分が、第3の部分よりも遅れる。第2の部分は、略等しい長さを持つ上側セグメントと下側セグメントとに分けられる。該攪拌器の回転の方向に見たときに、下側セグメントよりも遅れる上側セグメントのため、食品がとりわけ強く下側セグメントにより捕獲され、上方向に移動され又は投げられる。下側セグメントにおける食品は、上方向に且つ径方向外側に持ち上げられる。上側セグメントにおいては、該セグメントは僅かな程度だけ径方向外側に向かって、且つ駆動軸に対して略平行に延在しているため、食品は単に径方向外側方向に、即ち水平方向に移動させられる。その結果、上昇する食品が水平方向に加速され、食品の飛び散りを回避する。上側セグメントを駆動軸に略平行とする他に、米国特許US5,590,962は、食品の最適な体積増大のため、下側セグメントを少なくとも60度の角度で配置し、又は駆動軸に対して移動させることを教示している。
【0020】
本発明の回転式攪拌器の更に有利な実施例は、請求項及び図面を参照する以下の説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による攪拌器の側面図を示す。
【図2】図1の攪拌器の斜視図を示す。
【図3】図1の攪拌器の底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1、2及び3を参照すると、本発明による回転式攪拌器又は泡立て器1が示されている。攪拌器1は駆動軸2を有し、該駆動軸2の一方の端は、台所用品、フードプロセッサ等の駆動構成に結合されるように構成された結合部4を備える。駆動軸2は、長軸16を定義し、前記台所用品に駆動軸2をしっかりと取り付けるための、クリンプノーズ(crimp nose)のような手段を備えても良い。該駆動構成は、バンド又はモータにより動作するものであっても良い。攪拌器1は、ハンドヘルド型であるか否かにかかわらず台所用電気機器と共に利用されても良い。該台所用機器は例えば、1つの攪拌器を備えても良いし、又は、反対方向に回転する2つの攪拌器を備えても良い。本発明による攪拌器1は、矢印Rにより示された回転の方向に回転させられるように構成される。回転速度は、例えば300rpm乃至1200又は1500rpmの範囲内である。換言すれば、本発明による攪拌器1は、食料品に利用するのに特に適している。
【0023】
結合部4とは逆側の駆動軸2の自由端12は、攪拌器本体6が備えられる。攪拌器本体6は、1つ以上のワイヤループ8、10を有する。しかしながら、攪拌器1に1つのワイヤループのみを備えることも考えられ得ることに留意されたい。本発明は以下、2つのワイヤループを有する回転式攪拌器によって説明されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
各ワイヤループ8、10は、高さh及び幅Wを持つ。図示される実施例においては、ワイヤループ8、10は互いに垂直に、即ち約90°の角度で配置される。このことは、図3に最も良く示されている。それ故、ワイヤループ8、10は、回転Rの方向に等しく分布している。
【0025】
ワイヤループ8、10は、ワイヤ、好適には金属ワイヤを、所定の形状に屈曲させることにより作製される。ワイヤループ8、10の自由端は、ハブを経由して、駆動軸2の自由端12に接続される。しかしながら、溶接のような、駆動軸2にワイヤループを取り付けるその他の方法も考えられ得る。ワイヤループ8、10は、攪拌器1の下端において互いに交差する。好適には、ワイヤループ8、10は、断面が円形であるワイヤから成るが、これに限定されるものではない。ワイヤループ8、10は好適には、双方のワイヤループが互いと交差する交点14において、互いに接続される。このことは、攪拌器1の機構的な安定性を向上させる。
【0026】
図1及び2は、ワイヤループ8、10の全体的な形状を詳細に示す。ワイヤループ8、10は、攪拌器本体6の上部に配置された第1の部分Iと、攪拌器本体6の中央部に配置された第2の部分IIと、攪拌器本体6の下部に配置された第3の部分IIIと、を有する。このことは、図1に示されている。
【0027】
各第1の部分Iは、2つの第1のセグメント8a、8h、10a、10hを有し、図2の例においては、これらセグメントは、略直線であり、且つ駆動軸2から略径方向外側に向かって延在している。第1のセグメント8a、8h、10a、10hが屈曲されていても良い。第1のセグメント8a、8h、10a、10hは、攪拌器本体6の第3の部分IIIに向かって、平面Yから傾斜角αだけ傾斜して示されている(図1において、平面Yは2次元で示されているが、平面Yは攪拌器1の長軸16に垂直である)。実際的な実施例においては、傾斜角αは0°乃至45°の範囲、又は10°乃至40°の範囲内であっても良く、例えば約30°である。しかしながら、該傾斜角については他の値も可能である。第1の部分Iは、第2の部分IIを駆動軸2に接続する。実用的な理由のため、第1の部分Iもまたワイヤから作られるが、代替としては例えばディスクの形状をとっても良い。本発明の範囲から逸脱することなく、第1の部分Iをデザインする他の方法もまた考えられ得る。
【0028】
1つのワイヤループの各第2の部分IIは、2つの上側セグメント8b、8g、10b、10gと、2つの下側セグメント8c、8f、10c、10fとを有する。該上側セグメントは、図面において、下向きに延在していることが分かる。上側セグメント8b、8g、10b、10gは、長軸16に対して角度βだけ傾斜した平面内に配置される。
【0029】
実際的な実施例においては、角度βは15°乃至35°の範囲内であり、約25°の最適値を持つ。同様に、下側セグメントは、長軸16に対して15°乃至35°、好適には20°乃至30°の範囲内であり約22°乃至25°に最適値を持つ角度だけ傾いた平面内に配置される。
【0030】
2つの下側セグメント8c、8f、10c、10fは同様に、図面において下向きに延在し、これらセグメントが接続しているそれぞれの上側セグメントに対して角度γで配置されている。図2及び3に示されるように、各ワイヤループは、2つの相互に接続された上側及び下側セグメント8b、8c、8g、8f、10b、10c及び10g、10fを有し、ここで各相互に接続された上側及び下側セグメントの対は、攪拌器本体6の脚部を形成する。更に、図2及び3に示されるされるように、斯かる脚部及び第2の部分IIの各相互に接続された上側及び下側セグメントは、それぞれ長軸16に略水平な平面Xa及びXbを定義する。換言すれば、該平面Xa及びXbは、長軸16と交差しない。このことは、図3によく示されているように、第2の部分II及び該部分のセグメントが、攪拌器本体6の外径又は幅Wに対して可能な限り近くに配置され、斯くして、攪拌器1が回転させられるときに、全て同じ実際の速度(回転速度のみではない)を得ることに帰着する。平面Xa及びXbは、長軸16に対して小さな角度を持っていても良いことは留意されたい。実際には、「小さな角度」なる語句は、本発明の文脈においては、これらセグメントの実際の速度が依然として最大値に近いか又は等しくなる角度をカバーするものとして理解されるべきである。それ故、長軸に対して小さな角度を持つ平面は、本発明の範囲から逸脱するものではない。実際には、斯かる角度は、いずれの方向にも0乃至15度の範囲内であっても良く、即ち、攪拌器の回転の間、第1の部分が第3の部分よりも大きい外径を記述する及びその逆であるようなものである。
【0031】
該平面Xa、Xb内において、それぞれの相互に接続された上側及び下側セグメントは、これらセグメントが長軸16に対して異なる角度方向を持つように、互いに対して角度γを為す。角度γは、第2の部分IIの略中央、即ち略同じ長さを持つ上側セグメントと下側セグメントとの間に配置される。角度γは、約130°に等しい(図1及び2)。角度γは、かき混ぜ及び泡立たせのための妥協点であり、好適には120°乃至約140°の範囲内である。かき混ぜは約140°の角度γで最適であり、泡立たせは約120°の角度γで最適である。
【0032】
各第3の部分は、2つの第3のセグメント8d、8e、10d、10eを有し、これらセグメントは、第1の部分の第1のセグメントと同様に、長軸16から略径方向外側に延在する。第3の部分の第3のセグメントは、駆動軸2の自由端12に向かって、平面Zから角度δだけ傾いていても良い(平面Zは図1において2次元に示されているが、攪拌器1の長軸16に垂直である)。
【0033】
実際的な実施例においては、角度δは0°乃至30°の範囲内であっても良く、例えば約10°である。角度δを小さくすることは、攪拌器が、回転毎に、より多くの加工される物質に到達することを可能とし、斯くして加工時間を短縮する。一方で、角度δを大きくすることは、攪拌器の操作性を向上させる。最適値は、約10°の角度δに見出された。
【0034】
各第3のセグメント8d、8e、10d、10eは、同じワイヤループ8の他方のセグメントに接続され、それぞれのワイヤループの両方の第2の部分IIを相互接続することにより、該ワイヤループを閉じる。
【0035】
ここで、単一のワイヤループの第2の部分II、特に2つの相互に接続された上側及び下側セグメントにより形成される単一の脚部に戻ると、図2において、該相互に接続された上側及び下側セグメントは、回転の方向Rに対して相互に逆向きの角度方向を持ち、それぞれの下側セグメント8gの下端50が該セグメントの上端30の後を追い、それぞれの下側セグメント8fの上端50(上側セグメントの下端と一致する)が、回転の方向Rにおいて、該セグメントの下端40の後を追うようになっていることが分かる。このことは、加工されるべき流体物質が、下側セグメントにより上方向に持ち上げられ、上側セグメントにより下方向に打ち落とされるという効果を持つ。
【0036】
このことは、第3の部分の第3のセグメント8d、8e、10d、10eが、回転の方向Rにおける角度εだけ、第1の部分Iの第1のセグメント8a、8h、10a、10hに対して遅れるという更なる効果を持つ。実際的な実施例においては、角度εは、5°乃至30°の範囲内であっても良く、例えば約15°である。このようにして、第2の部分の相互に接続されたセグメントにより形成される脚部の上部が、常に該脚部の下部よりも先んじ、攪拌器の回転の間に攪拌器本体から流体物質が出てしまうことを効果的に防ぐ。
【0037】
第2の部分IIはそれ故、第1の部分Iと第3の部分IIIとの間に配置され、ワイヤループ(幅W)の最大径が超えられないようにされるが、第2の部分の上側及び下側セグメントの全ての端部が、長軸16から略同じ距離0.5*Wだけ離されて配置される。
【0038】
本発明の攪拌器は、既存の回転式攪拌器に比べて改良されたものである。以上に説明された攪拌器の利点は、直線のワイヤによる攪拌器に比べて、著しく短縮された利用時間と、著しく向上された体積増大とをもたらす、幾何学的形状である。本発明の攪拌器は、ハンドミキサのための安価で魅力的な基本機能である。
【0039】
該攪拌器の空間的な幾何は、他のワイヤによる攪拌器に比べて、著しく短縮された利用時間と、著しく向上された体積増大とに寄与する。攪拌器の回転の間、第2の部分IIの下側セグメントは食品材料を持ち上げ、第2の部分IIの上側セグメントが該食品材料を下向きに強打する。この手順の間、該材料に空気が導入され、他の既に入手可能なワイヤによる攪拌器に比べて、体積が増大させられる。本発明による攪拌器の動作は、該攪拌器のこれらの部分、即ち第2の部分の上側及び下側セグメントが、全てとり得る最高の速度を持ち、該速度が第2の部分の長さ全体に亘って略一定であるという事実により、更に改善される。
【0040】
本発明は図面及び以上の記載において説明されたが、斯かる説明及び記載は説明するもの又は例示的なものとみなされるべきであり、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項又は明細書に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」の使用は、複数の斯かる要素又はステップの存在を除外するものではない。図面及び明細書は単に説明のためのものとみなされるべきであり、本発明を限定するものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0041】
説明された例においては、ワイヤループは円形の断面を持っている。しかしながら、長方形、三角形、楕円形等のような、代替の断面形状も可能である。
【0042】
説明された例においては、ワイヤループは該ワイヤループの自由端において駆動軸に取り付けられている。しかしながら、ワイヤループを有する攪拌器本体が、上側部分と反対側の自由端との間の点において駆動軸に取り付けられ、例えばそれにより攪拌器本体の第3の部分が、駆動軸の自由端に接続されることも考えられ得る。また、斯かる場合において、攪拌器本体が、駆動軸に沿って移動可能となり可変の幅を持つ攪拌器が得られるように、駆動軸に着脱可能に接続されることも考えられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転の方向に回転させられるように構成された回転式攪拌器であって、前記回転式攪拌器は、
駆動構成に結合されるように構成された駆動軸であって、前記駆動軸は長軸を定義し、前記長軸のまわりに前記攪拌器が回転可能である駆動軸と、
前記駆動軸に結合され、前記長軸の方向に前記駆動軸から延在し、方向の複数回の変化の後に前記駆動軸に戻る、少なくとも1つのワイヤループを有する、攪拌器本体と、
を有し、前記少なくとも1つのワイヤループは、
前記ワイヤループを前記駆動軸に接続する2つの第1のセグメントを有する、第1の部分と、
2つの上側セグメント及び2つの下側セグメントを有する第2の部分であって、各前記上側セグメントは、前記第1の部分のそれぞれの前記第1のセグメント、及び前記第2の部分のそれぞれの前記下側セグメントに接続される、第2の部分と、
2つの第3のセグメントを有し、各前記第3のセグメントは、他方の前記第3のセグメント、及び前記第2の部分の前記下側セグメントの一方に接続される、第3の部分と、
を有し、前記第2の部分の、相互に接続された前記上側及び下側セグメントの各対は、前記長軸に略水平であるか又は前記長軸に対して小さな角度を持つ平面を定義し、前記相互に接続された上側及び下側セグメントは、前記平面において互いに対して或る角度を為し、前記相互に接続された上側セグメントと下側セグメントとが、前記長軸に対して異なる角度方向を持つ、回転式攪拌器。
【請求項2】
前記上側セグメントと前記下側セグメントとの間の角度は、約120°乃至約140°の範囲内である、請求項1に記載の回転式攪拌器。
【請求項3】
前記上側セグメントと前記下側セグメントとの間の角度は、約130°である、請求項1又は2に記載の回転式攪拌器。
【請求項4】
前記下側セグメントの下端は、前記回転の方向に、或る追従角だけ離れて、前記上側セグメントの上端を追従する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項5】
前記追従角は、約5°乃至30°の範囲内である、請求項4に記載の回転式攪拌器。
【請求項6】
それぞれの前記上側セグメントの下端は、前記回転の方向に、当該上側セグメントの上端を追従し、それぞれの前記下側セグメントの上端は、前記回転の方向に、当該下側セグメントの下端を追従する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項7】
前記第1の部分の前記第1のセグメントは、前記長軸に垂直な平面から、前記第3の部分に向かって、約0°乃至45°の範囲内の傾斜角だけ傾斜した、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項8】
前記第2の部分の前記上側セグメントは、前記長軸に対して、約15°乃至35°の範囲内の角度を持つ、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項9】
前記第2の部分の前記上側セグメントの前記角度は、約25°である、請求項8に記載の回転式攪拌器。
【請求項10】
前記第3の部分の前記第3のセグメントは、前記長軸に垂直な平面から、前記駆動軸に対して、0°乃至30°の範囲内の角度だけ傾斜している、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項11】
前記第3の部分の前記第3のセグメントの前記角度は、約10°である、請求項10に記載の回転式攪拌器。
【請求項12】
前記ワイヤループは略円形の断面を持つ、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項13】
2つの前記ワイヤループを有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の回転式攪拌器。
【請求項14】
前記ワイヤループは、前記回転の方向に等間隔に配置された、請求項12に記載の回転式攪拌器。
【請求項15】
筐体及び前記筐体内に具備された駆動構成を有し、前記駆動構成が、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の回転式攪拌器との結合のための結合手段を有する、台所用品又はフードプロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−522661(P2011−522661A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513107(P2011−513107)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052475
【国際公開番号】WO2009/150621
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】