説明

回転式電子部品

【課題】ケースの開口部に対して回転式電子部品本体を位置ずれなく設置することができる回転式電子部品を提供する。
【解決手段】機能部品収納部79内に機能部品(スイッチ115及び発光素子117)を設置すると共に、機能部品収納部79の周囲に回転体170及び回転体170の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部(摺動子150及びオンオフ用パターン173)を設置してなる回転式電子部品本体50と、開口部12を有する外装ケース10と、主基板250とを具備する。外装ケース10に回転式電子部品本体50を外装ケース10の開口部12内に機能部品収納部79が位置するように取り付ける。外装ケース10に主基板250を取り付ける。回転式電子部品本体50に設置した機能部品と電気的機能部とを電気的接続手段(連結部111等)によって主基板250に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転式電子部品に関し、特に中央に他の機能部品を設置してなる回転式電子部品をケースに取り付けるのに用いて好適な回転式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式電子部品の中には、中央に押圧式電子部品の押釦つまみ等を設置し、その周囲に回転式電子部品の回転つまみを設置し、さらにその周囲をケースで覆ってなる構造のケース付きの回転式電子部品がある。
【0003】
この種のケース付きの回転式電子部品500は、例えば図7に示すように、主基板510上に回転式電子部品本体530を取り付け、その上(周囲)を外装ケース600で覆って構成されている。ここで図8はケース付きの回転式電子部品500の分解概略断面図である。同図に示すように主基板510は硬質基板511の上面中央に押圧スイッチ513を構成する反転板515を設置し、その周囲に発光素子517を取り付け、またその所定位置に複数の上下に貫通する貫通孔519を設けて構成されている。
【0004】
回転式電子部品本体530は、特許文献1の図1に示す回転型可変抵抗器の構成と略同様の構成を有するものであり、中央に機能部品収納部533を設けた円筒状の軸部531の下部外周からつば状の基板載置部535を突出して構成される基体部537と、前記軸部531の外周に回動自在に取り付けられるリング状の回転体541と、回転体541の上面を覆うように取り付けられるカバー545と、前記基板載置部535上に載置されるリング状のフレキシブル回路基板545と、フレキシブル回路基板545と回転体541の間に設置される摺動子547及び摺接パターン549からなる電気的機能部551と、回転体541とカバー545の間に設置され回転体541の上面に設けたクリック用凹凸部543に弾接するクリックバネ551とを具備して構成されている。ここでフレキシブル回路基板545には金属端子553が取り付けられてその先端が基板載置部535の下面側に折り曲げられており、基板載置部535の下面からは位置決め突起555が突出しており、またカバー545の外周の一部は長尺な取付片557となって基板載置部535の下方に折り曲げられている。
【0005】
外装ケース600は、前記回転式電子部品本体530及び主基板510を覆う形状の成形品であり、回転式電子部品本体530の軸部531を露出する円形の開口部603を有し、またその外周側壁の下端面にねじ取付孔605を設けて構成されている。
【0006】
そして回転式電子部品500を組み立てるには、まず図9に示すように主基板510上に回転式電子部品本体530を載置する。その際、主基板510の各貫通孔519に回転式電子部品本体530の金属端子553の先端と位置決め突起555と取付片557とを挿入し、取付片557の先端を主基板510の下面に折り曲げることで回転式電子部品本体530を主基板510上に固定する。また金属端子553の先端を半田付けによって主基板510の表面に設けた図示しない回路パターンに電気的に接続する。そして回転式電子部品本体530を取り付けた主基板510上に外装ケース600を被せ、外装ケース600に設けたねじ取付穴605に主基板510の貫通孔519を介してねじ630をねじ込めば、図7に示すケース付きの回転式電子部品500が完成する。なお図7に点線で示すように回転体541の上部には筒状の回転つまみ640が取り付けられ、また一点鎖線で示すように回転つまみ640の中央には機能部品収納部533内に上下動自在に挿入される押釦つまみ650が設置される。そして回転つまみ640を回転すれば、これと一体に回転体541が回転して電気的機能部551の出力が変化する。押釦つまみ650を押圧すれば、押圧スイッチ513がオンする。
【0007】
上記ケース付きの回転式電子部品500は、自動車のコンソールパネルやインストルメントパネルなどに取り付けられ、例えばエアコンなどの各種電装部品を操作する操作つまみとして利用されるものである。即ちこの場合、コンソールパネルやインストルメントパネルなどが外装ケース600になる。
【0008】
しかしながら上記従来のケース付きの回転式電子部品500においては、主基板510上に回転式電子部品本体530を取り付けたものを、外装ケース600の下面に取り付けるので、主基板510と外装ケース600との取付誤差、及び主基板510と回転式電子部品本体530との取付誤差等により、図9に示す回転式電子部品本体530の軸部531の中心軸L1と、外装ケース600の開口部603の中心軸L2とが一致しないでずれてしまう恐れがあった。前記中心軸L1,L2間にずれが生じると、図7に示す回転式電子部品本体530に取り付けた回転つまみ640の外周と外装ケース600の開口部603との隙間がその全周において均一でなくなり、外装ケース600をその上面側から見た場合の美観が阻害されるばかりか、回転つまみ640の外周側面が開口部603の内周側面に接触してその回転操作感覚が悪くなる恐れもあった。
【0009】
特に通常、外装ケース600には複数の開口部603(図7の紙面手前奥側にある)が設けられ、一方一枚の主基板510上に複数の回転式電子部品本体530を取り付け、この主基板510上に外装ケース600を取り付けることで複数の回転式電子部品本体530の機能部品収納部533を同時に各開口部603に露出するように設置することが行われるが、このように構成した場合、主基板510上に取り付ける各回転式電子部品本体530間の取付誤差がさらに加わり、上記問題がさらに大きくなってしまう。
【特許文献1】特開2005−93583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、ケースの開口部に対して回転式電子部品本体を容易に位置ずれなく設置することができる回転式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願請求項1に記載の発明は、機能部品収納部を設けこの機能部品収納部内に機能部品を設置すると共に、前記機能部品収納部の周囲に回転体及びこの回転体の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部を設置してなる回転式電子部品本体と、開口部を有するケースと、前記機能部品及び電気的機能部と電気的に接続される主基板とを具備し、前記ケースに前記回転式電子部品本体をケースの開口部内に機能部品収納部が位置するように取り付け、且つこのケースに前記主基板を取り付け、前記回転式電子部品本体に設置した機能部品と電気的機能部とを電気的接続手段によって前記主基板に接続したことを特徴とする回転式電子部品にある。
【0012】
本願請求項2に記載の発明は、前記回転式電子部品本体は、前記機能部品と前記電気的機能部を取り付けた回路基板を具備し、前記電気的接続手段は、前記回路基板と主基板間を連結する可撓性を有する連結部を用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式電子部品にある。
【0013】
本願請求項3に記載の発明は、前記主基板は前記回転式電子部品本体と所定の隙間を介してケースに取り付けられ、前記隙間には他の電子部品が実装されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転式電子部品にある。
【0014】
本願請求項4に記載の発明は、前記回転式電子部品本体にはその外周から張り出す取付部を設け、この取付部の部分を前記ケースに取り付けることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の回転式電子部品にある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、ケースに回転式電子部品本体を直接取り付けた上で、回転式電子部品本体とは別にケースに主基板を取り付けるので、ケースの開口部内に容易且つ精度良く回転式電子部品本体の機能部品収納部を位置決めして設置することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、回路基板と主基板間を可撓性を有する連結部を介して両者を電気的に接続したので、主基板の取付位置ずれは回転式電子部品本体の位置に影響を与えない。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、主基板と回転式電子部品本体の間に生じる隙間(空間)を利用して他の電子部品を実装でき、電子部品の実装密度を高めることができる。実装するのは主基板と回転式電子部品本体の対向面の内の何れか一方でも良く、両方でも良い。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、回転式電子部品本体に設けた取付部によって、回転式電子部品本体を容易にケースに位置決めして取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態にかかるケース付きの回転式電子部品1の概略側断面図(切断面は説明の都合上、各部で異なっている)である。同図に示すようにケース付きの回転式電子部品1は、ケース(以下「外装ケース」という)10の下面側に回転式電子部品本体50を取り付け、さらに回転式電子部品本体50の下方に設置した主基板250を外装ケース10に取り付けて構成されている。なおこの実施形態にかかるケース付きの回転式電子部品1は、自動車のコンソールパネルやインストルメントパネルなどに取り付けられ、例えばエアコンなどの各種電装部品を操作するものである。即ちこの場合、コンソールパネルやインストルメントパネルなどが外装ケース10になる。以下各構成部品について説明する。なお以下の説明において、上又は上方向とは主基板250から見て回転式電子部品本体50等を設置した側をいい、下又は下方向とはその反対側をいう。
【0020】
図2,図3は回転式電子部品本体50の上側の部品と下側の部品とを分割してそれぞれ示す分解斜視図である。これらの図に示すように回転式電子部品本体50は、取付基台60上に回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)100と、複数本(4本)の摺動子150と、回転体170とを設置し、その上にクリック板230を取り付けたカバー200を取り付けて構成されている。
【0021】
取付基台60は図1,図3に示すように合成樹脂の一体成形品であり、平板で円形状の載置部61の上面中央に円形の筒状の軸部65を突出して設け、また載置部61の外周から上方に向かって円形の筒状の側壁部69を突出して設け、さらに載置部61の外周の180°対向する位置から半径方向外方に向けて一対の舌片状の取付部73を張り出すように設けて構成されている。載置部61は軸部65の内側の上面を機能部品用載置部61A、軸部65の外側の上面を電気的機能部用載置部61Bとしており、それぞれの所定位置に小突起状の取付部77(図ではその一部のみを示している)を設けている。軸部65は筒状であってその中央の凹部を機能部品収納部79とし、その根元部分の一部に軸部65の内部と外部とを連通する矩形状の開口からなる連通部81が設けられている。側壁部69はその一部(連通部81に対向する位置)に切り欠きからなる挿通部83を設け、またその外周側面に上下方向に向かう帯状凹部からなる複数(7ヶ所、図3では6ヶ所示す)の溝部85を設けている。取付部73は平板状であって上下に貫通する小穴からなる取付穴87と、位置決め用の小穴からなる位置決め穴89とが設けられている。
【0022】
フレキシブル回路基板100は一枚の可撓性を有する合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム)101の表面に各種回路パターンを形成して構成されており、合成樹脂フイルム101中には機能部品取付部103と電気的機能部形成部107と電気的接続手段(以下「連結部」という)111とが形成されている。機能部品取付部103は前記取付基台60の機能部品収納部79内に挿入されて機能部品用載置部61A上に載置される外形形状であって前記取付基台60の連通部81に挿入される帯状の接続部113を介してその外側の略リング状に設置される電気的機能部形成部107に接続されている。機能部品取付部103の上面には180°対向する位置に一対のスイッチ(押圧スイッチ)115を取り付け、また180°対向し且つ前記一対のスイッチ115とは90°回転した位置に一対の発光素子117を取り付けている。スイッチ115は機能部品取付部103の表面に形成したスイッチパターン上に弾性金属板をドーム状に形成した反転板を取り付けて構成されている。スイッチ115と発光素子117は何れもこの回転式電子部品本体50に設置され、回転体170の操作による回転式電子部品の機能とは別の機能を有する機能部品である。電気的機能部形成部107は前記機能部品取付部103の周囲を囲むように略リング状に形成されており、その外周の前記接続部113に対向する位置に前記連結部111を接続し、また連結部111を接続した180°対向する位置にリングの一部を切り欠く切り欠き部121を設けている。切り欠き部121で切り欠かれた電気的機能部形成部107の左右両側略中央の上面には、それぞれ一対ずつの接続パターン部109が設けられ、各接続パターン部109中には一対ずつの小孔からなる取付孔112が設けられている。連結部111は前記電気的機能部形成部107の外周に接続されてその半径方向外方に向けて引き出されている。連結部111の先端にはコネクタ(メス型コネクタ)123が取り付けられている。このコネクタ123も電気的接続手段の一部である。また機能部品取付部103の所定の二ヶ所と、電気的機能部形成部107の切り欠き部121の両側二ヶ所と、連結部111の根元部分の二ヶ所には、それぞれ小孔からなる取付部125が設けられている。連結部111のコネクタ123には、前記各スイッチ115や発光素子117や接続パターン部109に接続された回路パターンが引き出されて電気的に接続されている。
【0023】
摺動子150は弾性金属板製であり略矩形状の摺動子基部151の一外周辺からアーム部155を突出してその根元を少し上方向に折り曲げ、その先端を弾接部159として構成されている。各摺動子基部151には、2つずつの小孔からなる取付固定部153が設けられている。
【0024】
回転体170は合成樹脂の成形品であり、略平板リング状の回転体基部171の中央に回転体基部171の上方に向けて突出する円筒状の軸受部172を設けて構成されている。図6は回転体170の底面図である。同図に示すように回転体基部171の下面には多数のオンオフ用パターン173が櫛歯状でリング状に等間隔に形成されている。各オンオフ用パターン173は連結接続部175によって連結されている。オンオフ用パターン173と連結接続部175は一枚の金属板によって構成され、その表面が回転体基部171の下面に露出するように回転体170を成形する際に一体に埋め込まれ、その表面は回転体基部171の下面と同一面になっている。一方図2に示すように回転体基部171の上面にはこの上面全体にわたってリング状の凹凸からなるクリック係合部177が設けられている。軸受部172の外周には上下方向に向かって延びる2本で一対のつまみ取付部179が等間隔に4ヶ所設けられている。
【0025】
カバー200は金属板を略リング状に形成して構成されている。カバー200はリング状のカバー本体部201を有し、その中央に円形であって前記回転体170の軸受部172を挿通する開口部203を設け、またその外周から複数本(7本)の細帯状の取付部205と1つの矩形状の覆い部207を突出してそれらの根元部分をそれぞれ下方向に折り曲げて構成されている。カバー本体部201はその外周がちょうど取付基台60の側壁部69上に載置され、これによって電気的機能部用載置部61Bの上部を覆う寸法に形成されており、またその所定位置(2ヶ所)には小孔からなるクリック板取付部209が設けられている。前記各取付部205は前記取付基台60の各溝部85にちょうど挿入される寸法形状に形成されており、前記覆い部207は前記取付基台60の挿通部83にちょうど挿入される寸法形状に形成されている。
【0026】
クリック板230は弾性金属板を略円弧状であって、カバー本体部201の下面に位置する形状寸法に形成されている。クリック板230の両端は略矩形状のクリック板基部231となっていて両クリック板基部231間を連結するように円弧状のアーム部233が設けられ、その中央に下方向に向かって凸となるクリック弾接部235が設けられている。アーム部233はその両端においてクリック板基部231の面より下方向に折り曲げられている。両クリック板基部231の前記カバー200のクリック板取付部209に対向する位置にはそれぞれクリック板取付部209と略同一内径の貫通孔からなるクリック板取付挿入部237が設けられている。
【0027】
回転式電子部品本体50の組立方法を説明する。まず予めカバー200のカバー本体部201の下面にクリック板230を設置して一対のクリック板取付部209とクリック板取付挿入部237の位置を合わせ、これらに図2に示すビス241の基部243の下端面から突出する軸部245を挿入し、軸部245の先端をかしめ、これによってカバー本体部201の下面にクリック板230を取り付けておく。次に図3に示す取付基台60の載置部61の上面にフレキシブル回路基板100を載置する。その際、機能部品取付部103は取付基台60の連通部81を通して機能部品収納部79内に挿入して機能部品用載置部61A上に載置し、一方電気的機能部形成部107は取付基台60の電気的機能部用載置部61B上に載置する。このとき取付基台60に設けた各取付部77をフレキシブル回路基板100に設けた各取付孔112及び取付部125に挿入する。さらにフレキシブル回路基板100の各接続パターン部109に各摺動子150の摺動子基部151を載置し、その際取付孔112に挿入した取付部77を各摺動子150の取付固定部153に挿入する。そして全ての取付部77の先端を熱かしめすることで、載置部61上にフレキシブル回路基板100を取り付けると同時に、フレキシブル回路基板100の各接続パターン部109上に各摺動子150を取り付ける。このときフレキシブル回路基板100の連結部111は取付基台60の挿通部83を通って外方に突出する。次に前記取付基台60の軸部65を回転体170の軸受部172中央の開口内に挿入して回転体170を軸部65外周に回転自在に軸支する。このとき回転体170の回転体基部171は取付基台60の側壁部69の内側の凹部内に収納され、各摺動子150の弾接部159が回転体基部171の下面に弾接する。次に前記回転体170の上部にカバー200を被せ、その際取付基台60の軸部65及び回転体170の軸受部172をカバー200の開口部203に挿入し、同時にカバー本体部201の外周下面を取付基台60の側壁部69上に載置する。このときカバー200の各取付部205を取付基台60の各溝部85に挿入し、カバー200の覆い部207を取付基台60の挿通部83に挿入してこれを塞ぐ。またこのときクリック板230のクリック弾接部235は回転体170のクリック係合部177に弾接している。そして取付基台60の底面側に突出する各取付部205の先端を取付基台60の底面に折り曲げてカバー200を取付基台60に取り付ける。これによって回転式電子部品本体50が完成する。
【0028】
図1に戻って外装ケース10は合成樹脂の成形品であり、前記回転式電子部品本体50及び主基板250の上部を覆うケース本体部11と、ケース本体部11の下面側に突出する側壁部13とを具備して構成されている。ケース本体部11には、前記回転式電子部品本体50の機能部品収納部79を露出する開口部12が設けられている。開口部12はケース本体部11の図1に示す紙面手前奥方向に向かって複数設けられており、従って外装ケース10は図1に示す紙面手前奥方向に向かって長尺に形成されている。各開口部12は円形であって下記する回転つまみ300の外径よりも少し大きい内径を有している。側壁部13の下端部にはねじ取付孔からなる主基板取付部15がその複数箇所に設けられている。またケース本体部11の下面の側壁部13の内側部分からは下方向に向かって電子部品取付基部17が突出して設けられ、その下面にねじ取付穴からなる電子部品取付部19と、小突起からなる位置決め部21とが設けられている。これら電子部品取付部19と位置決め部21は、それぞれ前記取付基台60の取付部73に設けた取付穴87と位置決め穴89に対向する位置に設けられ、電子部品取付部19の内径と取付穴87の内径、及び位置決め部21の外径と位置決め穴89の内径とはそれぞれ略同一に形成されている。
【0029】
主基板250は硬質基板の表面に各種回路パターンを形成し、また図示しない各種電子部品を搭載して構成されている。主基板250は前記外装ケース10の下面全体を略覆うように、図1に示す紙面手前奥方向に向かって長尺に形成されている。そして外装ケース10の各開口部12に対応する数だけ、主基板250上にオス側コネクタ251(図4参照)を設け、また前記外装ケース10の各主基板取付部15に対向する位置に主基板取付部15と略同一内径寸法の貫通孔からなる取付挿入部253を設けている。オス側コネクタ251は前記コネクタ123に挿入される複数のピンからなり、電気的接続手段の一部を構成する。この主基板250と前記外装ケース10は、装着される前記複数の回転式電子部品本体50に共用されるものである。
【0030】
次にケース付きの回転式電子部品1の組立方法を説明する。図4,図5はケース付きの回転式電子部品1の組立方法説明図である。ケース付きの回転式電子部品1を組み立てるには、まず予め図4に点線で示すように、回転体170の軸受部172の外周に筒状の回転つまみ300を取り付ける。その取り付けには前記軸受部172の外周に設けたつまみ取付部179(図2参照)を利用する。また図4に一点鎖線で示すように機能部品収納部79内に上下動自在に2つの押釦つまみ310を収納して設置する。押釦つまみ310は図4では明示されていないが何れも半円筒状であって両者の平面状の外周側面を対向させることで1つの円筒形状となるように設置される。各押釦つまみ310の下端面にはそれぞれスイッチ115を押圧する押圧部311が設けられている。なお回転つまみ300や押釦つまみ310は回転式電子部品本体50に外れないように取り付けられているが、その構造の記載は省略している。また押釦つまみ310は少なくともその一部が透光性の材料によって構成されることで、発光素子117から発光された光が押釦つまみ310の表面から外部に放射される構造となっている。
【0031】
そして図4において外装ケース10の下面に、回転つまみ300と押釦つまみ310とを取り付けた回転式電子部品本体50を設置する。その際回転式電子部品本体50の取付部73を外装ケース10の電子部品取付基部17の下端面に当接して位置決め穴89に位置決め部21を挿入し、取付穴87と電子部品取付部19の位置を合わせる。なお取付穴87と電子部品取付部19(及び位置決め部21と位置決め穴89)は図1,図4,図5では図示の都合上、1ヶ所のみ示しているが、実際は各回転式電子部品本体50に対して図3に示すように2ヶ所ずつある。そして位置を合わせた一対ずつの取付穴87と電子部品取付部19にそれぞれおねじ31をねじ込んで図5に示すように両者を一体化する。上記外装ケース10への複数の回転式電子部品本体50の取付作業は、複数ある各開口部12に対してそれぞれ行われる。
【0032】
このように各開口部12に直接各回転式電子部品本体50を取り付ければ、回転式電子部品本体50の軸部65(回転体170の軸受部172)の中心軸L3と開口部12の中心軸L4とがずれることはなく(偏心することなく)、両者は精度良く一致した状態で一体化される。従って回転式電子部品本体50に取り付けた回転つまみ300の外周と外装ケース10の開口部12との隙間はその全周において精度良く均一になり、外装ケース10を上面側から見た場合の美観が向上するばかりか、回転つまみ300の外周側面が開口部12の内周側面に接触してその回転操作感覚が悪くなることもない。
【0033】
そして外装ケース10の下面に主基板250を接近し、各回転式電子部品本体50から引き出されている各コネクタ123と各オス側コネクタ251とを接続する。次に主基板250を外装ケース10の側壁部13の下端面に当接して外装ケース10の主基板取付部15と主基板250の取付挿入部253の位置を合わせる。そして位置を合わせた主基板取付部15と取付挿入部253におねじ35をねじ込んで両者を一体化する。これによって図1に示すケース付きの回転式電子部品1の組立が完了する。
【0034】
以上のようにして組み立てられたケース付きの回転式電子部品1において、回転つまみ300を回転すれば、これと一体に回転体170が回転して電気的機能部である左右一対ずつの摺動子150の弾接部159(図3参照)にそれぞれ回転体170のオンオフ用パターン173が摺接し、オンオフ用パターン173への当接タイミングに応じてフレキシブル回路基板100の一対ずつの接続パターン部109(図3参照)にそれぞれ所望のオンオフ波形が得られる。一方一対の押釦つまみ310の内の何れか一方の押釦つまみ310を押圧すれば、押圧した押釦つまみ310の押圧部311によってこれに対向するスイッチ115がオンする。前記押釦つまみ310への押圧を解除すれば、スイッチ115はオフする。また発光素子117を発光すれば、押釦つまみ310がその下面側から明るく照らし出され照光される。
【0035】
ところで主基板250は一般に硬質基板(プリント配線基板)によって構成され、取付挿入部253は工作機械等によって加工されるため、必ずしも取付挿入部253の位置が精度良い寸法で形成されているとは限らず、また一般に1枚の外装ケース10に対して1枚の主基板250を取り付けるため、従来のように複数の回転式電子部品本体50をこの主基板250上に取り付けたものを外装ケース10に取り付けると、前述のように外装ケース10に対する各回転式電子部品本体50の位置に誤差が生じ易く、回転式電子部品本体50を精度良い位置に設置することは困難である。しかしながら本発明によれば、外装ケース10に回転式電子部品本体50を直接取り付けた上で、回転式電子部品本体50とは別に外装ケース10に主基板250を取り付けるので、外装ケース10の開口部12内に容易且つ精度良く回転式電子部品本体50の機能部品収納部79を位置決めして設置することができる。またこの実施形態によれば、外装ケース10に設けた複数の開口部12内に精度良く複数の回転式電子部品本体50の機能部品収納部79を位置決めして設置することができる。またフレキシブル回路基板100と主基板250間を可撓性を有する連結部111を介して電気的に接続したので、主基板250の外装ケース10への取付位置ずれが回転式電子部品本体50の位置に影響を与えることはない。またこの実施形態においては回転式電子部品本体50に設けた取付部73によって、回転式電子部品本体50を容易に外装ケース10に取り付けることができる。またこの実施形態においては、主基板250は回転式電子部品本体50と所定の隙間Sを介して外装ケース10に取り付けられており、従ってこの隙間Sに図示しない他の電子部品を実装している(この実施形態では前記隙間Sに面する主基板250の面(上面)に図示しない他の各種電子部品を搭載しているが、その代りに或いはそれと共に、回転式電子部品本体50の前記隙間Sに面する面(下面)に他の各種電子部品を搭載しても良い)。このように主基板250と回転式電子部品本体50の間に生じる隙間(空間)Sを利用して他の電子部品を実装できるので、電子部品の実装密度を高めることができる。
【0036】
なお上記ケース付き回転式電子部品1に用いる外装ケース10,取付基台60,回転体170を構成する合成樹脂(成形樹脂)としては、成形できる合成樹脂であれば種々の材質の合成樹脂が利用でき、例えばPMMA樹脂、ABS樹脂、PBT樹脂、POM樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。またフレキシブル回路基板100を構成する合成樹脂フイルム101の材質としては、PETフイルムの他に、他の各種熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の合成樹脂フイルム、例えばポリフェニレンスルフイド(PPS)フイルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フイルム、ポリエーテルイミド(PEI)フイルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フイルム、ポリエーテルケトン(PEK)フイルム、ポリカーボネート(PC)フイルム、ポリブチレンナフタレート(PBN)フイルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フイルム等を用いることができる。
【0037】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では機能部品としてスイッチ115と発光素子117を用いたが、他の種々の機能を発揮する機能部品であっても良く、例えば別の回転式電子部品、シーソースイッチ、揺動型電子部品、電気的機能以外の機能を有する機能部品(例えば化粧板等)であってもよい。また上記実施形態では回転式電子部品として電気的機能部がオンオフ波形を連続して出力する機能を有する回転式スイッチ(エンコーダ)を設置したが、他のスイッチ波形を出力する回転式スイッチや、抵抗値を変化する回転式可変抵抗器等、他の各種電機的出力が得られる電気的機能部を具備する回転式電子部品を設置しても良い。上記実施形態では1つの外装ケースに複数の開口部を設けた例を示したが、1つの外装ケースに1つの開口部を設けたものであっても本発明を適用できる。
【0038】
また上記実施形態では回路基板としてフレキシブル回路基板を用いたが、硬質の回路基板を用いても良い。その場合、回路基板と主基板間は別途フレキシブル回路基板やリード線などの可撓性を有する連結部(何れも電気的接続手段)によって連結することとなる。また場合によっては可撓性を有さない電気的接続手段によって機能部品と電気的機能部とを主基板に接続してもよい。また上記実施形態ではコネクタとオス側コネクタとによってフレキシブル回路基板と主基板とを電気的に接続したが、例えば導電性接着材等の他の手段を用いて接続しても良い。上記実施形態では主基板として硬質回路基板を用いたが、硬質の取付部材上にフレキシブル回路基板を載置することでこれに代えても良い。回転式電子部品本体を外装ケースに取り付ける取付部を設置する位置は上記実施形態の位置に限定されず、他の種々の位置であっても良い。主基板は必ずしも複数の回転式電子部品に共用させなくても良い。またケースは場合によっては外装ケース以外のケースであっても良い。また上記実施形態では本発明にかかる回転式電子部品を、自動車の内装電子部品として用いた例を示したが、自動車以外の各種装置・機器に搭載する回転式電子部品として用いても良い。なおスイッチ115の構造は種々の変更が可能であり、例えば2枚の合成樹脂フイルムを積層し両者の対向面に一対の接点パターンを薄い隙間を介して対向してなるいわゆるメンブレンスイッチであっても良く、またケース内にスイッチ機構を収納してなる単品のスイッチであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ケース付きの回転式電子部品1の概略側断面図である。
【図2】回転式電子部品本体50を構成する上側の部品を示す分解斜視図である。
【図3】回転式電子部品本体50を構成する下側の部品を示す分解斜視図である。
【図4】ケース付きの回転式電子部品1の組立方法説明図である。
【図5】ケース付きの回転式電子部品1の組立方法説明図である。
【図6】回転体170の底面図である。
【図7】ケース付きの回転式電子部品500の概略側断面図である。
【図8】ケース付きの回転式電子部品500の分解概略断面図である。
【図9】ケース付きの回転式電子部品500の組立方法説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 回転式電子部品
10 外装ケース(ケース)
12 開口部
50 回転式電子部品本体
60 取付基台
65 軸部
73 取付部
79 機能部品収納部
100 フレキシブル回路基板(回路基板)
111 連結部(電気的接続手段)
115 スイッチ(機能部品)
117 発光素子(機能部品)
123 コネクタ(電気的接続手段)
150 摺動子(電気的機能部)
170 回転体
173 オンオフ用パターン(電気的機能部)
200 カバー
250 主基板
251 オス側コネクタ(電気的接続手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部品収納部を設けこの機能部品収納部内に機能部品を設置すると共に、前記機能部品収納部の周囲に回転体及びこの回転体の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部を設置してなる回転式電子部品本体と、
開口部を有するケースと、
前記機能部品及び電気的機能部と電気的に接続される主基板とを具備し、
前記ケースに前記回転式電子部品本体をケースの開口部内に機能部品収納部が位置するように取り付け、且つこのケースに前記主基板を取り付け、
前記回転式電子部品本体に設置した機能部品と電気的機能部とを電気的接続手段によって前記主基板に接続したことを特徴とする回転式電子部品。
【請求項2】
前記回転式電子部品本体は、前記機能部品と前記電気的機能部を取り付けた回路基板を具備し、
前記電気的接続手段は、前記回路基板と主基板間を連結する可撓性を有する連結部を用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式電子部品。
【請求項3】
前記主基板は前記回転式電子部品本体と所定の隙間を介してケースに取り付けられ、前記隙間には他の電子部品が実装されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転式電子部品。
【請求項4】
前記回転式電子部品本体にはその外周から張り出す取付部を設け、この取付部の部分を前記ケースに取り付けることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の回転式電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−282703(P2008−282703A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126342(P2007−126342)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】