説明

回転操作棒

【課題】鉛直姿勢のポール部材を回転操作するときには水平姿勢にする一方、使用しないときには邪魔にならずに落下等の恐れのない鉛直姿勢にすることのできる安全で容易に準備して操作することのできる回転操作棒を提供すること。
【解決手段】鉛直姿勢のまま回転自在に立設されているポール部材101を回転させる操作棒10であって、前記ポール部材の外周面の回転軸を中心にする対称位置に突出する一対のピン部材102のそれぞれに回動自在に係合する一対の回動軸部11と、該回動軸部の双方を一体的に回動させるように連結するとともに前記操作棒により一体的に回動可能に該操作棒の一端部を連結する連結支持部12と、を備えており、前記ポール部材に一端部を連結する水平姿勢と該ポール部材に隣接する鉛直姿勢との間を回動させることができるように当該ポール部材に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作棒に関し、詳しくは、鉛直の回転軸を操作する機能を確保しつつ邪魔にならない状態にすることのできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置機械の機能を利用するために動作・停止を切り換えるなどの操作をする方式として、鉛直なポール部材を設置して、そのポール部材を鉛直姿勢のまま回転させることにより、その操作力を連結されている装置機械側に伝達して切り換え操作などをするように構築されているものがある。
【0003】
例えば、送電設備の送電系統の変更などを行うために断路器が設置されており、この断路器には、鉛直姿勢のポール部材をそのまま回転させることにより操作するように構築されているものがある。特許文献1では、ポール部材のネジ棒をハンドルで回転することにより連結棒を上下させて操作するようになっている。特許文献2、3では、回転碍子を回転させることにより操作するようになっている。
【0004】
簡単に説明すると、例えば、送電設備の鉄塔上部などに設けられている断路器では、遠隔位置からその断路器を操作することができるように、鉄塔内に準備されている作業場所に設置する操作ユニットに鉛直姿勢のまま回転させるポール部材を取り付けて断路器に連結することにより、そのポール部材を回転させることで断路器を操作することができるように構築されているものがある。この断路器には、鉄塔上で操作する手動だけではなく、地上からも遠隔操作することができるようにした電動のものもあるが、場合によっては、手動の操作が必要になる場合もある。
【0005】
このポール部材は、図3に示すように、外周面の径方向対称位置に一対のピン部材102が固設されているので、そのポール部材101を収納可能な大きさのコ字形状部材111が先端側に連設されている操作棒110を準備して、そのコ字形状部材111の対面部112に形成されている凹部112aをピン部材102に係合させて操作棒110を水平姿勢のまま回動させることにより、ポール部材101を鉛直姿勢のまま回転させることができるようになっており、その回転操作棒110は、使用後には、ピン部材102から外して近傍に片付けて置くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−50209号公報
【特許文献2】特開2000−251586号公報
【特許文献3】特開2000−251587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような回転操作棒110にあっては、ポール部材101を操作しない場合には、そのポール部材101から外す必要があり、ポール部材101を鉛直姿勢のまま回転させる負荷は大きいことから、例えば、鉄製の長尺部材で作製するために相当な重量のある道具となって、不用意に落下させると、作業員だけでなく、周囲にも危険が及ぶ恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、鉛直姿勢のポール部材を回転操作するときには水平姿勢にする一方、使用しないときには邪魔にならずに落下等の恐れのない鉛直姿勢にすることのできる安全で容易に準備して操作することのできる回転操作棒を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する回転操作棒の発明は、鉛直姿勢のまま回転自在に立設されているポール部材を回転させる操作棒であって、前記ポール部材の回転軸を中心にして外周面の対称位置に突出する一対のピン部材のそれぞれに回動自在に係合する一対の回動軸部と、該回動軸部の双方を一体的に回動させるように連結するとともに前記操作棒の一端部を一体的に回動させるように連結する連結支持部と、を備えており、前記ポール部材に一端部を連結する水平姿勢と該ポール部材に隣接する鉛直姿勢との間を回動させることができるように当該ポール部材に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明では、ポール部材のピン部材のそれぞれに回動軸部を回転自在に係合させるだけで、その回動軸部と一体の連結支持部を介して一端部が連結されている操作棒を水平姿勢と鉛直姿勢とに回動させることができ、ポール部材を回動中心にして水平姿勢の操作棒を回動させることにより、そのモーメント力でポール部材を鉛直姿勢のまま回転させることができる一方、使用しないときにはそのポール部材に隣接する鉛直姿勢に操作棒を回動させることができる。したがって、図3に示す回転操作棒110と同様に操作してポール部材101を鉛直姿勢のまま回転させることができるのに加えて、操作しないときには、取り外すことなく、鉛直姿勢にして隣接するポール部材101に縛るなどして片付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、ポール部材に取り付けたまま水平姿勢に回動させるだけでそのポール部材を鉛直姿勢のまま回転させる操作をすることができるとともに、そのまま鉛直姿勢にしてポール部材に隣接する状態に片付けることができる。したがって、ポール部材から取り外すことなく、そのままそのポール部材を回転させる操作をすることができ、一端側が回動自在に係合されているので、重量のある道具を運ぶ必要がなく、このため、落下等の事故の可能性をなくして、安全かつ容易にポール部材を操作することを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る回転操作棒の一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す正面図である。
【図2】その要部構造を示す図であり、(a)は図1における紙面の裏面側からの拡大背面図、(b)はその側面側からの拡大側面図、(c)は図1におけるA−A断面図である。
【図3】従来技術を示す使用時の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態としては、上記の課題解決手段のように、鉛直姿勢のまま回転自在に立設されているポール部材を回転させる操作棒であって、前記ポール部材の回転軸を中心にして外周面の対称位置に突出する一対のピン部材のそれぞれに回動自在に係合する一対の回動軸部と、該回動軸部の双方を一体的に回動させるように連結するとともに前記操作棒の一端部を一体的に回動させるように連結する連結支持部と、を備えており、前記ポール部材に一端部を連結する水平姿勢と該ポール部材に隣接する鉛直姿勢との間を回動させることができるように当該ポール部材に取り付けられていることを基本構成とするのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0014】
第1の形態としては、前記回転軸部は、前記ピン部材の外径程度の内径を有して該ピン部材を開口側から収納して当該ピン部材の外周周りに回転自在に係合するC字形状に形成されているとともに、前記連結支持部は、前記回転軸部が側方を開口する姿勢のときに前記ポール部材に隣接する鉛直姿勢の前記操作棒の一端部を当該回転軸部に連結しており、前記回転軸部は、開口側に前記ピン部材が離脱することを制限する脱落制限手段を備えているとともに、前記操作棒の他端部側には、前記ポール部材に隣接する鉛直姿勢ときに当該姿勢を維持するように該ポール部材に解除可能に係合するロック手段が設けられていてもよい。
【0015】
この形態では、ポール部材のピン部材を操作棒一端部のC字形状の回動軸部内に収納してその操作棒を水平姿勢と鉛直姿勢とに回転自在に係合させることができ、その操作棒が鉛直姿勢のときに回動軸部のC字形状の側方の開口側からピン部材が離脱することを制限するとともに、隣接するポール部材に係合ロックさせて待機させることができる。したがって、操作棒が不用意に外れて脱落してしまうことを未然に回避することができ、使用する度に操作棒を取り付ける手間を省くことができるとともに、使用しないときには邪魔にならない状態にしておくことができる。
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1および図2は本発明に係る回転操作棒の一実施形態を示す図である。ここで、本実施形態では、図3で説明したポール部材101を同様に回転操作する場合を一例にして説明する。
【0017】
図1および図2において、回転操作棒10は、送電線を架線する鉄塔に設置されている不図示の断路器を送電系統の変更などを行う際に操作するものであり、その送電線近傍の断路器に向かって操作ボックス100から上方に延在しているポール部材101をその鉛直姿勢のまま回転させて操作することができるように設置されている。
【0018】
回転操作棒10は、ポール部材101の回転軸を中心にする外周面対称位置で突出する一対のピン部材102のそれぞれを収納して回動自在に係合する一対の回動軸部11と、この回動軸部11同士を一体的に回動させるように連結するとともに操作棒本体10aも一体回動させるように連結して支持する連結支持部12と、を備えて構築されている。
【0019】
具体的には、回動軸部11は、ピン部材102の外径程度の内径を有するC字形状に形成されており、そのC字形状内に開口側から収納することによりピン部材102の外周周りに回転自在に係合することができる。なお、ポール部材101は、ピン部材102の下方にフランジ形状部103が形成されているので、回動軸部11は、開口側を側方から上方に向ける180度の範囲で回動することができる。
【0020】
連結支持部12は、C字形状の開口を側方に向けている姿勢の回動軸部11のそれぞれの上面に固設されて上方に延在する延長部12aと、ポール部材101の外周面に沿うように湾曲して延長部12aのそれぞれの上部が固設されている湾曲部12bと、を備えており、操作棒本体10aの一端部は一方の湾曲部12bの上部に固設されている。
【0021】
これにより、回転操作棒10は、回動軸部11、連結支持部12(延長部12a、湾曲部12b)および操作棒本体10aが相対的に姿勢を変えることができないように一体的に固設されることにより、操作棒本体10aの一端側の回動軸部11(ピン部材102)を中心にして上下方向に回動させることができる。この回転操作棒10は、その操作棒本体10aの他端側を把持して水平姿勢に回動させた後に、その水平姿勢のまま水平方向に回動させることができ、ポール部材101を鉛直姿勢のまま操作棒本体10aのモーメント力で容易に回転させることができる。一方、回転操作棒10は、その操作棒本体10aの他端側を把持して回転操作する水平姿勢から上昇させてポール部材101に隣接する位置で同様の鉛直姿勢にすることもできる。
【0022】
そして、回転操作棒10は、回動軸部11のC字形状の開口を閉止するようにネジ止めする脱落防止板(脱落制限手段)13が取り付けられており、ポール部材101にはフランジ形状部103が設けられているのでそうそうないことではあるが、操作棒本体10aの不用意な操作によってピン部材102から回動軸部11が外れてしまうことを制限するようになっている。
【0023】
また、その操作棒本体10aには、図1に示すように、鉛直姿勢のときに隣接するポール部材101に向かって近接または離隔する方向に回動自在に一対の板状部材(ロック手段)14が一端側を回動軸14aに軸支されており、この板状部材14は、図中時計回りに回動させたときにストッパ15に突き当たって衝止される位置で、操作棒本体10aの回動方向に対して直交する方向からポール部材101を図面の表裏側で挟み込んで解除不能に係合することにより、その操作棒本体10aが水平姿勢になる方向に回動しようとするのを制限することができる。
【0024】
これにより、回転操作棒10は、ピン部材102から回動軸部11が外れて脱落してしまうことなく操作することができるとともに、使用しないときには鉛直姿勢にしてポール部材101を板状部材14で挟み込むことにより水平姿勢になる方向に回動してしまわないように保持することができ、邪魔にならない状態にして待機させることができる。また、ポール部材101を回転させる際には、その板状部材14を反時計回りに回動させるだけで係合ロックする状態を解除して回転操作棒10(操作棒本体10a)を水平姿勢に回動させるだけで使用することができる。
【0025】
このように本実施形態においては、回転操作棒10は、回動軸部11内にピン部材102を収納させてポール部材101に取り付けた状態のまま、水平姿勢に回動させるだけでそのポール部材101を鉛直姿勢のまま回転させることができるとともに、そのまま上方に回動させて鉛直姿勢にしてポール部材101に板状部材14を係合させることにより隣接状態にして片付けることができる。したがって、重量のある他に使い道のない回転操作棒10は、ポール部材101から取り外すことなく、そのまま必要なときに水平姿勢にして利用する一方、使用しないときにはそのまま鉛直姿勢にして邪魔にならないように片付けることができ、落下等の事故を起こすことなく、安全かつ容易にポール部材101の操作をすることができる。
【0026】
ここで、本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、板状部材14を省略して操作棒本体10aをポール部材101に縛るようにしても良いが、縛るにしても緩む可能性があることから、本実施形態のように構築するのが好適である。また、その操作棒本体10aは、連結支持部12の延長部12a間の湾曲部12bに一端部を固設しても良いが、板状部材14を側方から回動させて操作棒本体10aの回動を制限するように係合させることができることから、本実施形態のように構築するのが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
10……回転操作棒 10a……操作棒本体 11……回動軸部 12……連結支持部 14……板状部材 15……ストッパ 100……操作ボックス 101……ポール部材 102……ピン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直姿勢のまま回転自在に立設されているポール部材を回転させる操作棒であって、
前記ポール部材の外周面の回転軸を中心にする対称位置に突出する一対のピン部材のそれぞれに回動自在に係合する一対の回動軸部と、該回動軸部の双方を一体的に回動させるように連結するとともに前記操作棒の一端部を一体的に回動させるように連結する連結支持部と、を備えており、
前記ポール部材に一端部を連結する水平姿勢と該ポール部材に隣接する鉛直姿勢との間を回動させることができるように当該ポール部材に取り付けられていることを特徴とする回転操作棒。
【請求項2】
前記回転軸部は、前記ピン部材の外径程度の内径を有して該ピン部材を開口側から収納して当該ピン部材の外周周りに回転自在に係合するC字形状に形成されているとともに、
前記連結支持部は、前記回転軸部が側方を開口する姿勢のときに前記ポール部材に隣接する鉛直姿勢の前記操作棒の一端部を当該回転軸部に連結しており、
前記回転軸部は、開口側に前記ピン部材が離脱することを制限する脱落制限手段を備えているとともに、
前記操作棒の他端部側には、前記ポール部材に隣接する鉛直姿勢ときに当該姿勢を維持するように該ポール部材に解除可能に係合するロック手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転操作棒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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