説明

回転数適応型の動吸振器を備えた力伝達装置および減衰特性を改善するための方法

本発明は、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置であって、少なくとも1つの入力体と、出力体と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室内に配置された振動減衰装置とが設けられており、該振動減衰装置が、回転数適応型の動吸振器に連結されている形式のものに関する。本発明は、回転数適応型の動吸振器が、油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計されていることによって特徴付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置であって、少なくとも1つの入力体と、出力体と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室内に配置された振動減衰装置とが設けられており、該振動減衰装置が、回転数適応型の動吸振器に連結されている形式のものに関する。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも1つの入力体と、出力体と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室、特にハイドロダイナミック式の構成要素の運転媒体によって通流される室内に配置された振動減衰装置とが設けられており、該振動減衰装置が、回転数適応型の動吸振器に連結されている、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置の減衰特性を改善するための方法に関する。
【0003】
原動機と被駆動装置との間のパワートレーンに設けられた力伝達装置は、種々異なる構成で公知先行技術に基づき公知である。原動機として内燃機関が使用される場合には、クランクシャフトに、回転運動に重畳するねじり運動が生ぜしめられる。このねじり運動の周波数はシャフトの回転数によって変化する。減少させるためには、動吸振器アッセンブリが使用される。この動吸振器アッセンブリは、ばね系を介して振動系に連結された付加質量体である。動吸振器もしくは制振器の作用形式は、規定された励振周波数で主質量体が静止し続けるのに対して、付加質量体は強抑制動を実施することに基づいている。しかし、励振周波数が原動機の回転数によって変化するのに対して、動吸振器の固有周波数はコンスタントに保たれているので、抑制効果は、規定された回転数でしか生ぜしめられない。このような形式のアッセンブリは、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第10236752号明細書に基づき公知である。この公知のアッセンブリでは、原動機が少なくとも1つの始動エレメント、特にクラッチまたはハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを介して1つまたはそれ以上の伝動装置部材に結合されている。この場合、振動性のばね−質量系はパワートレーンに直列に接続されておらず、パワートレーンに対して並列接続されている。これによって、パワートレーンの弾性が損なわれない。この振動性のばね−質量系は動吸振器として機能する。この動吸振器は、特に有利な構成によれば、コンバータロックアップクラッチに相俟って、このコンバータロックアップクラッチの接続時の万が一の力衝撃を回避するために、コンバータロックアップクラッチに対応配置されている。さらに、1つの改良態様によれば、始動エレメントに、2つのトーションダンパ段を備えたトーションダンパを後置することが提案されている。この場合、このトーションダンパはパワートレーンのパワーフローに位置している。この場合、ばね−質量系は第1のトーションダンパ段と第2のトーションダンパ段との間に配置される。これによって、特に良好な伝達特性が得られるようになっている。ばね−質量系は、広域の周波数帯に使用するために可変の固有周波数を有していてよい。この場合、この固有周波数には、制御または調整を介して影響を与えることができる。
【0004】
さらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19781582号明細書の翻訳文(特開2000−505529号公報)に基づき、液体クラッチと、この液体クラッチを跨ぐための装置とを有する力伝達装置が公知である。この場合、出力伝達装置の入力装置と出力装置との間の相対回動を制御するために働く機構アッセンブリが提案されている。
【0005】
原動機の広域の回転数範囲、有利には回転数全範囲にわたる励振の作用を抑制するためには、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に相応して、パワートレーンに回転数適応型の動吸振器が設けられる。この回転数適応型の動吸振器は、固有周波数が回転数に比例していることによって、ねじり振動をより大きな回転数範囲、理想的には、原動機の回転数全範囲にわたって抑制することができる。回転数適応型の動吸振器は、遠心力場における円錐振り子もしくは遠心振り子の原理により作業する。この円錐振り子もしくは遠心振り子は、公知の形式ですでに内燃機関に対するクランクシャフト振動を抑制するために使用される。円錐振り子もしくは遠心振り子では、慣性質量体が回転軸線を中心として揺動支承されている。慣性質量体は、ねじり運動の導入時に回転軸線を中心として可能な限り大きな間隔を置いて回動する。ねじり振動は、慣性質量体の相対振り子運動に繋がる。この場合、種々異なる系が公知である。これらの公知の系では、慣性質量体が、トルク導入軸線に対して相対的に1つの円形の運動軌道で純粋に並進運動させられるかまたは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に記載のように、運動軌道が、中心の位置からの慣性質量体の変位の増加につれて少なくとも部分的に変化する曲率半径を有している。
【0006】
ハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータと、このハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを介した出力伝達路を跨ぐための装置とを有する始動ユニットが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19926696号明細書に基づき公知である。この公知の始動ユニットは少なくとも1つの付加質量体を有している。この付加質量体の重心は、伝動装置エレメントの相対的な位置に関連して、モーメント伝達経路の回動軸線に対して遠心力影響下で半径方向に変位可能である。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書に基づき、自動車のパワートレーンに設けられた、原動機と被駆動装置との間でのトルク伝達するためのトルク伝達装置が公知である。この公知のトルク伝達装置は、切換可能なクラッチ装置のほかに、少なくとも1つのねじり振動減衰装置を有している。このねじり振動減衰装置には、遠心振り子装置が対応配置されている。この遠心振り子装置は複数の振り子質量体を有している。これらの振り子質量体は走行ローラによって振り子質量体支持装置に対して相対的に運動可能にこの振り子質量体支持装置に枢着されている。
【0008】
ハイドロダイナミック式の構成要素と、回転数適応型の動吸振器が連結された、組み込まれた振動減衰装置との力伝達装置の構成も同じくすでに公知先行技術に基づき公知である。しかし、回転数適応型の動吸振器の配置によって本来意図された絶縁効果が十分に得られないことが判った。
【0009】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の力伝達装置、特にハイドロダイナミック式の構成要素と、回転数適応型の動吸振器を備えた少なくとも1つの振動減衰装置とを備えた力伝達装置を改良して、大きな回転数範囲にわたって回転むらを最適な形式で抑制することができ、したがって、まさに車両のパワートレーンへの使用時に原動機と協働するこのような形式の力伝達装置の全運転範囲にわたって、最適な走行特性、特に高い走行快適性を力伝達装置の伝達挙動によって保証することができるようにすることである。
【0010】
この課題を解決するために本発明の力伝達装置では、回転数適応型の動吸振器が、油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計されているようにした。
【0011】
本発明の力伝達装置の有利な態様によれば、回転数適応型の動吸振器の共振が、励振の次数qに合致しないように、次数オフセット値qが選択されている。
【0012】
本発明の力伝達装置の有利な態様によれば、回転数適応型の動吸振器の有効次数qeffが、駆動装置の励振の次数qを0.05〜0.5、有利には0.05〜0.4、特に有利には0.05〜0.3、全く特に有利には0.14〜0.3の範囲内の次数オフセット値qだけ上回っている。
【0013】
本発明の力伝達装置の有利な態様によれば、回転数適応型の動吸振器が、遠心振り子装置として形成されており、該遠心振り子装置が、慣性質量体支持装置を有しており、該慣性質量体支持装置が、該慣性質量体支持装置に対して相対的に運動可能に該慣性質量体支持装置に配置された慣性質量体を備えており、個々の慣性質量体の重心間隔Sが、駆動装置の励振の次数qの関数として規定され、有効次数qeffへのqだけの次数オフセットが、次数オフセット値qに関連した重心間隔の変化を規定するように、回転数適応型の動吸振器が形成されていて、設計されている。
【0014】
本発明の力伝達装置の有利な態様によれば、次数オフセット値qの量が、駆動装置の励振の次数qの変化に比例して変化するようになっている。
【0015】
本発明の力伝達装置の有利な態様によれば、力伝達装置が、ハイドロダイナミック式の構成要素と、該ハイドロダイナミック式の構成要素を跨ぐための装置とを有しており、ハイドロダイナミック式の構成要素が、ポンプホイールとして機能する少なくとも1つの一次ホイールと、タービンホイールとして機能する二次ホイールとを備えており、両ホイールが、作業室を互いに形成しており、タービンホイールが、少なくとも間接的に力伝達装置の出力体に相対回動不能に結合されており、ハイドロダイナミック式の構成要素と、該ハイドロダイナミック式の構成要素を跨ぐための装置とが、それぞれ出力分岐路に配置されており、回転数適応型の動吸振器を備えた振動減衰装置が、少なくとも出力分岐路の一方に直列に接続されており、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室が、力伝達装置の内室によって形成されるようになっており、該内室が、ハイドロダイナミック式の構成要素の運転媒体によって通流されるようになっている。
【0016】
さらに、前述した課題を解決するために本発明の方法では、回転数適応型の動吸振器を、油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計するようにした。
【0017】
本発明の方法の有利な態様によれば、原動機の励振次数qを規定し、該励振次数qに対する回転数適応型の動吸振器のジオメトリを確定し、必要となる次数オフセット値qを規定し、該次数オフセット値qの関数としての動吸振器のジオメトリを検出する。
【0018】
本発明による力伝達装置は、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置であって、少なくとも1つの入力体と、出力体と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室内に配置された振動減衰装置とが設けられており、この振動減衰装置が、回転数適応型の動吸振器に連結されている形式のものにおいて、回転数適応型の動吸振器が、その幾何学的な構成に対する油影響、特にその周辺における油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計されているために形成されていることを特徴としている。
【0019】
この場合、本発明による回転数適応型の動吸振器とは、トルクを伝達せず、励振を極めて広域の範囲、有利には原動機の完全な回転数範囲にわたって抑制するために適した装置を意味している。回転数適応型の動吸振器の固有周波数は、回転数、特に励振する機械の回転数に比例している。
【0020】
次数オフセットによって、より低い次数への動吸振器の次数のオフセットを招く個々の慣性質量体への回転する油の影響が一緒に考慮され、有利には完全に補償され、これによって、有効に作用する遠心力が、運転の間に回転する油なしの構成に比べて不変となり、原動機の励振次数における回転むらの所望の絶縁が完全に保証されている。手間のかかる制御手段が不要となり、動吸振器だけがそのジオメトリに関して、次数オフセット値だけ高められた次数に対して相応に設計される。この場合、幾何学的な調和次数は、公知先行技術の構成のように、励振の調和次数に相当しておらず、所定の次数オフセット値だけ高い値に相当している。
【0021】
次数オフセット値qは、回転数適応型の動吸振器の共振が、励振の次数qに合致しないように選択される。次数オフセット値は、油充填された室内の油が遠心力影響下で動吸振器に作用することを考慮している。この作用は無視することができない。この場合、回転数適応型の動吸振器の有効次数qeffは、駆動装置の励振の次数qを次数オフセット値qだけ上回っている。この次数オフセット値qは、0.05〜0.5、有利には0.05〜0.4、特に有利には0.05〜0.3、全く特に有利には0.14〜0.3の範囲内にある。この場合、この範囲は、構成部材の精度に関する誤差規定の範囲外にあり、明らかな有効次数オフセットを生ぜしめる。
【0022】
回転数適応型の動吸振器は遠心振り子装置として形成されている。この遠心振り子装置は慣性質量体支持装置を有している。この慣性質量体支持装置は、この慣性質量体支持装置に対して相対的に運動可能にこの慣性質量体支持装置に配置された慣性質量体を備えている。回転数適応型の動吸振器は、個々の慣性質量体の重心間隔Sが、駆動装置の励振の次数qの関数として規定されるように形成されていて、設計されている。公知先行技術に比べて高い次数値への動吸振器の変更された幾何学的な設計に繋がる次数オフセット値qによって、動吸振器は、変化させられた重心間隔によって特徴付けられている。個々の慣性質量体のこの有効重心間隔Seffは、次数オフセット値に基づき生ぜしめられた量だけ重心の変位を描く。すなわち、有効重心間隔Seffは、油影響が考慮されない同じ幾何学的な状況および同じ設計での重心間隔と、回転する油を考慮して生ぜしめられる偏差との総和に相当している。
【0023】
回転数適応型の動吸振器の公知の幾何学的な形状では、有効重心間隔Seffの関数として、少なくとも重心軌道の有効半径ならびに重心軌道中心点の有効半径が規定されてよい。
【0024】
この場合、回転数適応型の動吸振器は4リンク振り子として形成されてもよいし、走行ローラを介して案内される慣性質量体を備えた転がり振り子として形成されてもよい。この場合、回転数適応型の動吸振器の公知の幾何学的な形状では、有効重心間隔Seffの関数として、走行ローラの軌道半径Reffが有効重心間隔Seffから規定可能となる。
【0025】
2次における励振を伴う駆動装置、たとえば4気筒内燃機関では、有利には約0.14の次数オフセット値qが選択される。励振の次数が、たとえば6気筒内燃機関への原動機の変更によって変化する場合には、次数オフセット値qの量が駆動装置の励振の次数qの変化に比例して変化する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】本発明により形成された力伝達装置の構成を概略的に簡単に示す図である。
【図1b】本発明により形成された力伝達装置の特に有利な構成を軸方向断面図につき示す図である。
【図2】回転数適応型の動吸振器の構成を右方から例示的に示す図である。
【図3】公知先行技術による回転数適応型の動吸振器を備えたダンパの作用形式を線図につき示す図である。
【図4】回転数適応型の動吸振器を特徴付ける幾何学的な特性量を、回転数適応型の動吸振器を右方から見た一部につき示す図である。
【0027】
本発明による解決手段を以下に図面につき説明する。
【0028】
図1aには、パワートレーン、特に車両のパワートレーンにおいて出力伝達するための本発明により形成された力伝達装置1の基本構造が概略的に簡単に示してある。この場合、この力伝達装置1は、たとえば内燃機関として形成されていてよい原動機100と、被駆動装置101との間で出力伝達するために働く。このためには、力伝達装置1が、少なくとも1つの入力体Eと少なくとも1つの出力体Aとを有している。この場合、入力体Eは原動機100に少なくとも間接的に結合されており、出力体Aは、たとえば伝動装置の形の駆動したいユニット101に少なくとも間接的に結合されている。この場合、「少なくとも間接的に」とは、連結が、直接的に、すなわち、介在された別の伝達エレメントなしに行われてもよいし、間接的に別の伝達エレメントを介して行われてもよいことを意味している。この場合、「入力体」および「出力体」という概念は、原動機から被駆動装置へのパワーフロー方向で見て、機能的な形式で解すべきものであり、構造上の詳細構成に限定されるものではない。
【0029】
ダンパアッセンブリ2は、ダンパ段を形成する直列に接続可能な少なくとも2つのダンパ3,4と、回転数適応型の動吸振器5とを有している。この場合、「回転数適応型の動吸振器5」とは、回転むらを抑制するための装置を意味している。この装置は、出力伝達を行わず、慣性質量体が遠心力に起因してトルク導入軸線を中心として最大の間隔を置いて回動することによって、ねじり振動を比較的大きな回転数範囲、有利には回転数全範囲にわたって抑制することができる。この場合、回転数適応型の動吸振器5は遠心振り子装置によって形成される。動吸振器5の固有周波数は、励振するユニット、特に原動機100の回転数に比例している。ねじり振動による回転運動の重畳は、慣性質量体の相対振り子運動に繋がる。本発明によれば、回転数適応型の動吸振器5が、パワーフローにおいて、ダンパアッセンブリ2を介した理論的に可能な少なくとも1つのパワーフロー方向で見て、ダンパアッセンブリ2の両ダンパ3,4の間に介在されている。この場合、個々のダンパ3,4を介した振動の減衰のほかに、回転数適応型の動吸振器5はそれぞれ異なる周波数において作業する。
【0030】
別の構成要素を備えた力伝達装置内でのダンパ配置形態と結合形態とに対して複数の可能性が存在する。この場合、特にハイドロダイナミック式の構成要素6と、このハイドロダイナミック式の構成要素6を跨ぐための装置7とを備えた構成では、直列接続されたダンパ3,4を備えた構成または少なくとも弾性的なクラッチとしての直列接続されたダンパ3,4を備えた一方の構成要素を介した出力伝達時の構成と、弾性的なクラッチとしての一方のダンパ3;4の作用と動吸振器としての他方のダンパ4;3の作用とを備えた他方の構成要素を介した力伝達時の構成とが識別される。図1aには、回転数適応型の動吸振器5が組み込まれたダンパアッセンブリ2を備えた力伝達装置1の特に有利な構成が示してある。この力伝達装置1は、少なくとも1つのハイドロダイナミック式の構成要素6と、このハイドロダイナミック式の構成要素6を介した力伝達を少なくとも部分的に迂回するための装置7とを有している。ハイドロダイナミック式の構成要素6は、入力体Eとの連結時にこの入力体Eから出力体Aへのパワーフロー方向でポンプホイールPとして機能する少なくとも1つの一次ホイールと、少なくとも間接的に出力体Aに相対回動不能に連結された、入力体Eから出力体Aへの出力伝達時にタービンホイールTとして機能する二次ホイールとを有している。両ホイールは作業室ARを形成している。ハイドロダイナミック式の構成要素6は、回転数変換によって作業するハイドロダイナミック式のクラッチとして形成されていてもよいし、特に有利な構成では、ハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータとして形成されていてもよい。この場合、このハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを介した出力伝達時には、常に同時に回転数・トルク変換が行われる。この事例では、ハイドロダイナミック式の構成要素6が、少なくともさらに別の、いわゆる「ステータL」を有している。この場合、このステータLは、構成に応じて、定置に支承されていてもよいし、回転可能に支承されていてもよい。さらに、ステータLはワンウェイクラッチを介して支持されていてよい。この場合、ハイドロダイナミック式の構成要素6は入力体Eと出力体Aとの間に配置されている。ハイドロダイナミック式の構成要素6は、このハイドロダイナミック式の構成要素6を介した入力体Eと出力体Aとの間のパワーフローで見て、第1の出力分岐路Iを形成している。ハイドロダイナミック式の構成要素6を迂回するための装置7は、有利には、いわゆる「ロックアップクラッチ」の形で形成されている。このロックアップクラッチは、最も簡単な事例では、切換可能なクラッチ装置である。このクラッチ装置は、同期的に切換可能なクラッチ装置として形成されていてもよいし、クラッチ装置として形成されていてもよい。このクラッチ装置は、同じく入力体Eと出力体Aとの間に配置されていて、クラッチ装置を介した出力伝達時に第2の出力分岐路IIを形成している。この第2の出力分岐路IIでは、出力伝達が機械的に行われる。この場合、ダンパアッセンブリ2は、入力体Eから出力体Aのパワーフロー方向で装置7に後置されていて、さらに、ハイドロダイナミック式の構成要素6に後置されている。これによって、回転数適応型の動吸振器5が、入力体Eから出力体Aへのパワーフロー方向で見て、ハイドロダイナミック式の構成要素6だけでなく、機械的なクラッチにも後置されている。このことは、遠心振り子の形の回転数適応型の動吸振器5が、ハイドロダイナミック式の構成要素6の、少なくとも所定の運転状態でタービンホイールTとして機能する二次ホイールに少なくとも間接的に相対回動不能に結合されていることによって達成される。
【0031】
図1aには、直列に接続可能な2つのダンパ3,4の間に設けられた回転数適応型の動吸振器5を備えた力伝達装置1の第1の構成が示してある。この場合、ダンパ3,4は、少なくとも一方のパワーフロー方向、ここでは、両パワーフロー方向で直列に接続されていて、振動を減衰するための装置、すなわち、個々のダンパ3,4が実際にどのように形成されているかに関係なく、いわば弾性的なクラッチとして作用する。これに対して、図1bには、本発明により形成された別の力伝達装置が示してある。しかし、この場合、ここでは、両ダンパ3,4がその機能において、それぞれ一方の出力分岐路I;IIにおける一方のパワーフロー方向でしか弾性的なクラッチとして直列に接続されていない。この場合、図1bによれば、直列に接続された両ダンパ3,4から成るアッセンブリが、入力体Eと出力体Aとの間のパワーフロー方向におけるパワーフローで見て、機械的な出力分岐路IIに常に後置されており、両ダンパ3,4が弾性的なクラッチとして作用するのに対して、ハイドロダイナミック的な出力分岐路では、第1のダンパ3が動吸振器として作用する。
【0032】
図1bには、回転数適応型の動吸振器5が組み込まれて配置されて、高い機能集中を伴ったダンパアッセンブリ2が形成された特に有利な構造上の構成が示してある。回転数適応型の動吸振器5は遠心振り子装置8として形成されていて、1つ、有利には複数の慣性質量体を有している。これらの慣性質量体は、慣性質量体支持装置10に対して相対的に運動可能にこの慣性質量体支持装置10に支承されている。この場合、たとえば走行ローラ11を介した支承が行われる。
【0033】
出力体Aは、ここでは、たとえば、自動車に用いられるパワートレーンへの使用時に同時に伝動装置入力軸によって形成されてよい単に暗示した軸29によって形成されてもよいし、この軸29に相対回動不能に連結可能なエレメント、特にハブ12として形成されてもよい。このハブ12はダンパハブとも呼ばれる。タービンホイールTと出力体Aとの連結は、ここでは、ダンパアッセンブリ2、特に第2のダンパ4を介して行われる。このダンパアッセンブリ2は、直列に接続可能な2つダンパ3,4を有している。この場合、両ダンパ3,4は、それぞれ1つのダンパ段を形成しており、両ダンパ段は互いに半径方向にずらされて配置されていて、したがって、第1の外側のダンパ段と、第2の内側のダンパ段とを形成している。ダンパ3,4は、ここでは、個別ダンパとして形成されている。しかし、直列ダンパまたは並列ダンパとしてのダンパ3,4の構成も可能である。この場合、有利には、空間・構成スペース節約的な配置を実現するために、第1の半径方向のダンパ段が半径方向外側のダンパ段として形成されている。すなわち、第1の半径方向外側のダンパ段が、第2の半径方向内側のダンパ段よりも大きな直径で配置されている。両ダンパ3,4もしくは両ダンパ3,4によって形成されたダンパ段は、入力体Eと出力体Aとの間のパワーフローで見て、ロックアップクラッチの形の、ハイドロダイナミック式の構成要素6を迂回するための装置を介して直列に接続されている。この場合、ロックアップクラッチの形の直結のための装置7は、第1のクラッチ部材13と第2のクラッチ部材14とを有している。両クラッチ部材13,14は少なくとも間接的に互いに相対回動不能に作用結合可能である、すなわち、直接的に作用結合可能であるかまたは別の伝達エレメントを介して間接的に作用結合可能である。連結は、ここでは、摩擦対偶を介して行われる。この摩擦対偶は第1のクラッチ部材13と第2のクラッチ部材14とによって形成される。この場合、第1のクラッチ部材13が、入力体Eに相対回動不能に少なくとも間接的に、有利には、入力体Eに直接結合されているのに対して、第2のクラッチ部材14はダンパアッセンブリ2、特に第1のダンパ3に相対回動不能に少なくとも間接的に、有利には、第1のダンパ3の入力体に直接連結されている。第1のクラッチ部材13と第2のクラッチ部材14とは、図示の事例では、内摩擦板セットおよび外摩擦板セットを有している。この場合、ここでは、図示の事例において、内摩擦板セットが、軸方向で内摩擦板支持体に支承された内摩擦板から成っている。この内摩擦板は、軸方向に方向付けられた面領域を形成している。この面領域は、これに対して相補的な、第1のクラッチ部材13の外摩擦板支持体に配置された外摩擦板における面領域に作用結合可能である。このためには、内摩擦板の少なくとも一部と、外摩擦板の少なくとも一部とが、軸方向で各摩擦板支持体に移動可能に支承されている。第2のクラッチ部材14は、ここでは、入力体Eから出力体Aへのパワーフロー方向でダンパ3の入力部材として機能するエレメントに連結されている。このエレメントは、たとえば一次部材15と呼ばれる。さらに、第1のダンパ3は二次部材16を有している。この場合、一次部材15もしくは二次部材16は、トルク伝達のための手段17と、減衰連結のための手段18とを介して互いに連結されている。この場合、この減衰連結のための手段18は、トルク伝達のための手段17、最も簡単な事例では、弾性的なエレメント19,特にばねユニット20によって形成される。この場合、一次部材15と二次部材16とは、周方向で互いに相対的に制限されて回動可能である。これは、第2のダンパ4にも類似して当てはまる。この第2のダンパ4は、ここでは、半径方向内側に位置するダンパひいては内側のダンパとして形成されている。第2のダンパ4も同じく一次部材21と二次部材22とを有している。この一次部材21と二次部材22とは、トルク伝達のための手段23と、減衰連結のための手段24とを介して互いに連結されている。この場合、一次部材21と二次部材22とは互いに同軸的に配置されていて、互いに相対的に制限されて周方向に相対的に回動可能である。ここでも、トルク伝達のための手段23が、減衰連結のための手段24によって形成されてもよいし、有利にはばねユニット25の形の1つの構成エレメントに機能的にまとめられてもよい。この場合、両ダンパ3,4の一次部材15;21と二次部材16;22とは一体に形成されていてもよいし、複数の部分から形成されていてもよい。有利には、それぞれ一方が、互いに相対回動不能に連結された2つのディスクエレメントから形成されている。両ディスクエレメントの間には、それぞれ他方の部材(二次部材22または一次部材21)が配置されている。
【0034】
図示の事例において、ここでは、それぞれ一次部材15;21が、入力体Eと出力体Aとの間での出力伝達時に入力部材として機能するのに対して、二次部材16;22は各ダンパ3,4の出力部材として機能する。第1のダンパ3の入力部材ひいては一次部材15は、連行フランジ32の形の1つのディスク状のエレメントによって形成される。出力部材16は、連行ディスク33とも呼ばれる2つのディスク状のエレメントによって形成される。両エレメントは軸方向で一次部材15の両側に配置されていて、互いに相対回動不能に連結されている。この場合、第1のダンパ3の二次部材16は第2のダンパ4の一次部材21に相対回動不能に結合されているかまたは第2のダンパ4の一次部材21と共に1つの構成ユニットを形成している。この場合、一次部材21と二次部材16との間の一体の構成も可能である。第2のダンパ4の一次部材21が、ここでは、連行ディスク35とも呼ばれる2つのディスク状のエレメントによって形成されるのに対して、二次部材22は、両エレメントの間に軸方向で配置された1つのディスク状のエレメント、特にフランジ34、すなわち、中間ディスクによって形成される。この中間ディスクは出力体A、ここでは、特にハブ12に相対回動不能に結合されている。さらに、第2のダンパ4の一次部材21はタービンホイールT、特にハイドロダイナミック式の構成要素6の二次ホイールに相対回動不能に結合されている。カップリング30は、ここでは、最も簡単な事例において、摩擦接続的なかつ/または形状接続的な結合を介して行われる。図示の事例では、リベット締めの形の結合が選択されている。この場合、リベットは、押出し成形されたリベットとして形成されていてもよいし、別個のリベットとして形成されていてもよい。
【0035】
回転数適応型の動吸振器5は、ダンパアッセンブリ2の1つのエレメント、特に第2のダンパ4の一次部材21の少なくとも部分的な構成要素である。この場合、この構成では、一次部材21の少なくとも一方の連行ディスク35と、慣性質量体支持装置10とが、1つの構成ユニットを形成しているかもしくは1つの構成部材によって形成される。このためには、連行ディスク35が半径方向で内周面36の方向に延長されていて、その延在長さで半径方向に第1のダンパ3の外周面28の領域にまで延びているかまたは外周面28の領域を越えて延びている。したがって、特に図1bに示した、軸方向および半径方向へのずれを伴った両ダンパ3,4の配置時には、これにより得られるかもしくは自由に提供される構成スペースを最適に使用することができる。
【0036】
回転数適応型の動吸振器の構成は多様な形態で行うことができる。代わりに、ここでは、特にドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書ならびにドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書を示唆しておく。これによって、回転数適応型の動吸振器の構成に関する両明細書の開示内容が完全に本願に一緒に取り込まれる。動吸振器は、ねじり振動を原動機の大きな回転数範囲、理想的には、回転数全範囲にわたって抑制することができる場合に回転数適応型となる。この場合、慣性質量体9.1,9.2は遠心力に起因してトルク導入軸線に対して可能な限り大きな半径を置いて運動する。ねじり振動による回転運動の重畳によって、慣性質量体9.1,9.2の相対振り子運動が生ぜしめられる。この慣性質量体9.1,9.2の位置は単に遠心力もしくは自重に基づき調整される。このことは、復元にも当てはまる。別個の復元力は存在しない。さらに、固有周波数が回転数に比例しており、これによって、軸回転数nに同じ形式で比例する周波数を備えたねじり振動が大きな回転数範囲にわたって抑制可能となる。この場合、動吸振器5では、慣性質量体9.1,9.2がハブ部材に対して相対的に1つの円形の運動軌道で純粋に並進運動させられる。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に基づき、運動軌道が、たとえば、さらに、中心の位置からの慣性質量体9.1,9.2の変位の増加につれて少なくとも部分的に変化する曲率半径によって特徴付けられた構成が公知である。このことは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書に基づく構成にも当てはまる。このような形式の構成は、回転数適応型の動吸振器5の1つの構成として側面図で図2に例示してある。これは1つの例である。別の構成が可能である。ここには、慣性質量体支持装置10としての1つのリングディスク状のエレメントの構成と、このエレメントに周方向に均一に分配されて配置された個々の慣性質量体9.1〜9.nとを認めることができる。図示の事例では、振り子質量体9.11〜9.14の形の4つの慣性質量体が運動可能に取り付けられている。これらの慣性質量体は、被覆された段付けピン26と、走行ローラ27とによって運動可能に振り子質量体支持装置10に保持される。
【0037】
本発明により形成された回転数適応型の動吸振器5は、その幾何学的な調和次数が誤差を考慮して原動機の励振次数に直接相当しておらず、回転数適応型の動吸振器5がより高い次数にオフセットされているように設計されていて、形成されている。すなわち、回転数適応型の動吸振器5が、励振の次数qよりも高い次数に設計されている。この場合、設計は、運転状態において機関の励振次数が遠心振り子の共振に合致しないように選択される。このことは、所定の次数オフセット値qだけの次数オフセットによって行われる。
【0038】
仮に次数オフセットが与えられておらず、回転数適応型の動吸振器5が原動機による励振の次数qに設計されている場合、このことは、4つの気筒を備えた内燃機関では、たとえば2次に相当している。振動を減衰するための装置、特に減衰アッセンブリ2が、運転媒体、特に力伝達装置1の回転時の運転の間、回転する油環なしである室内に配置されている力伝達装置1では、図3に示した線図によれば、そこに実線によって示した曲線が得られる。これに対して、同じ設計でハイドロダイナミック式の構成要素6内の油の影響下での回転数適応型の動吸振器5の絶縁は破線によって示してある。ここから明らかであるように、同じ設計の場合、動吸振器5の次数のオフセットは油下でより低い次数値に行われる。この場合、動吸振器5の共振は、最も不利な事例では、機関の励振次数、ここでは、2次に合致する。さらに、一点鎖線によって、回転数適応型の動吸振器5なしのデュアルマスフライホイールの挙動が示してある。
【0039】
発明者は、運転の間、それを介した出力伝達が行われようと行われまいと、運転媒体、特に油によって遠心的にまたは求心的に通流されるハイドロダイナミック式の構成要素を備えた力伝達装置において、回転する油質量体の油が動吸振器5、特に遠心振り子の機能に著しく作用することを認識した。この場合、特に慣性質量体と、回転する油との間に相対運動が生ぜしめられる。次数オフセット値qだけの抑制次数のオフセットに相当する、より高い次数値への幾何学的な調和次数の次数オフセットは、遠心力に抵抗する油影響から結果的に生じる作用を考慮している。
【0040】
動吸振器は、通常、回転数、特に励振の回転数nに比例する固有周波数f0Tilgerを有しており、これによって、軸回転数nに同じく比例する周波数を備えたねじり振動が大きな回転数範囲にわたって抑制可能となる。この場合、f0Tilger=q・nが当てはまる。この場合、qが次数を成している。この次数は、たとえば4気筒機関として形成された周期的に作業する原動機の場合、値q=2になる。全作業サイクルを360゜の角度で見て個々のシリンダピストンユニットにおける運動の数に関して描くことができる多気筒を備えた機関では、励振の次数が、シリンダの個数Nを2で割った数に相当している。
【0041】
さらに、動吸振器アッセンブリには、
【数1】

が当てはまり、抑制周波数には、
【数2】

が当てはまる。
【0042】
したがって、全体的に小さな振動角に対して、以下の等式:すなわち、
【数3】

が得られる。この場合、
ω=回転角速度であり、
=固有周波数であり、
L=慣性質量体の枢着点と回転軸線ひいてはトルク導入軸線との間隔であり、
l=枢着点に対する慣性質量体の間隔、特に振り子長さである。
【0043】
いま、回転数適応型の動吸振器5を、特に油充填された室に設けられたハイドロダイナミック式の構成要素としてのハイドロダイナミック式のクラッチまたはハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを備えた力伝達装置1への配置に対して設計したい場合には、次数オフセットが考慮されなければならない。この次数オフセットはqで表される。この次数オフセットqから、有効に調整しかつ有効に設定したい次数qeff=q+qが得られる。この次数qeff=q+qは、本発明によれば、0.05〜0.5の間の範囲内に規定される。この場合、次数オフセットqは、自由に選択可能な値として規定されていてもよいし、励振の個々の次数に対して、それぞれ固定の値が設定されていてもよい。
【0044】
これらの関係の認識によって、回転数適応型の動吸振器5の最適な設計が可能となる。この場合、所望の抑制次数qが設定される。その後、この抑制次数qから、回転数適応型の動吸振器の幾何学的な形状が知られている場合、油影響を考慮して得られる有効次数qeffを規定することができる。この有効次数qeffの関数として、面セグメントに対する有効重心間隔Seffを検出することができる。この有効重心間隔Seffから、図4に相応の構成に対する個々の幾何学的な特性量が、以下の等式:すなわち、
重心軌道の有効半径
【数4】

重心軌道中心点の有効半径
【数5】

ローラの軌道半径
【数6】

により得られる。
【0045】
油内、たとえばハイドロダイナミック式の構成要素内での回転数適応型の動吸振器の所望の絶縁が達成されるようにするためには、この回転数適応型の動吸振器が、より高い次数に設計されなければならない。すなわち、油、特に油圧による抑制次数のオフセットと、このオフセットから生じる力とが、設計時に一緒に考慮されなければならない。油による抑制次数のオフセットは、慣性質量体もしくは振り子質量体の重心のオフセットで表現することができるので、慣性質量体ジオメトリおよび重心の変化時には、油によるオフセットを十分に補償することができる。
【0046】
本発明による方法は、以下に説明するように実現することができる。まず、励振の次数の検出が第1のステップで行われる。この検出に関連して、出発点として、0.05〜0.5の範囲内にあるより高い次数へのオフセットが選択されることが重要となる。この場合、運転形式の間に一緒に運転される系では、設計が、乾いた遠心振り子の相応の理想状況に基づき行われる。この場合、0.05〜0.5の範囲内にある次数オフセットが設定される。この次数オフセットに関連して、慣性質量体9.11〜9.14のジオメトリの認識時に結合点ひいては重心軌道が油影響を考慮して検出される。これに基づき、有効重心間隔Seffが得られる。その後、この有効重心間隔Seffで重心の枢着が行われる。その後、必要となる別の幾何学的な特性量、たとえば重心軌道の有効半径、重心軌道中心点の有効半径および走行ローラの軌道半径が規定可能になる。この場合、重心軌道は円軌道と異なって形成されていてよい。
【符号の説明】
【0047】
1 力伝達装置
2 ダンパアッセンブリ
3 ダンパ
4 ダンパ
5 回転数適応型の動吸振器
6 ハイドロダイナミック式の構成要素
7 ハイドロダイナミック式の構成要素を跨ぐための装置
8 遠心振り子
9 慣性質量体
9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14 慣性質量体
10 慣性質量体支持装置
11 走行ローラ
12 ハブ部材
13 第1のクラッチ部材
14 第2のクラッチ部材
15 一次部材
16 二次部材
17 トルク伝達のための手段
18 減衰連結のための手段
19 弾性的なエレメント
20 ばねユニット
21 一次部材
22 二次部材
23 トルク伝達のための手段
24 減衰連結のための手段
25 ばねユニット
26 段付けピン
27 走行ローラ
28 外周面
29 軸
30 カップリング
32 連行フランジ
33 連行ディスク
34 連行フランジ
35 連行ディスク
36 内周面
37 外周面
100 原動機
101 被駆動装置
E 入力体
A 出力体
P ポンプホイール
T タービンホイール
AR 作業室
L ステータ
I 第1の出力分岐路
II 第2の出力分岐路
S 駆動装置の励振の次数qの関数としての重心間隔
M 質量
eff 有効重心間隔
ρ 油密度
r 慣性質量体の作用半径
eff 重心軌道の有効半径
eff 重心軌道中心点の有効半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置(1)であって、少なくとも1つの入力体(E)と、出力体(A)と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室内に配置された振動減衰装置(3,4)とが設けられており、該振動減衰装置(3,4)が、回転数適応型の動吸振器(5)に連結されている形式のものにおいて、回転数適応型の動吸振器(5)が、油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計されていることを特徴とする、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置。
【請求項2】
回転数適応型の動吸振器(5)の共振が、励振の次数qに合致しないように、次数オフセット値qが選択されている、請求項1記載の力伝達装置。
【請求項3】
回転数適応型の動吸振器(5)の有効次数qeffが、駆動装置の励振の次数qを0.05〜0.5、有利には0.05〜0.4、特に有利には0.05〜0.3、全く特に有利には0.14〜0.3の範囲内の次数オフセット値qだけ上回っている、請求項1または2記載の力伝達装置。
【請求項4】
回転数適応型の動吸振器(5)が、遠心振り子装置として形成されており、該遠心振り子装置が、慣性質量体支持装置(10)を有しており、該慣性質量体支持装置(10)が、該慣性質量体支持装置(10)に対して相対的に運動可能に該慣性質量体支持装置(10)に配置された慣性質量体(9,9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14)を備えており、個々の慣性質量体(9,9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14)の重心間隔Sが、駆動装置の励振の次数qの関数として規定され、有効次数qeffへのqだけの次数オフセットが、次数オフセット値qに関連した重心間隔の変化を規定するように、回転数適応型の動吸振器(5)が形成されていて、設計されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項5】
次数オフセット値qの量が、駆動装置の励振の次数qの変化に比例して変化するようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項6】
力伝達装置(1)が、ハイドロダイナミック式の構成要素と、該ハイドロダイナミック式の構成要素を跨ぐための装置とを有しており、ハイドロダイナミック式の構成要素が、ポンプホイール(P)として機能する少なくとも1つの一次ホイールと、タービンホイール(T)として機能する二次ホイールとを備えており、両ホイールが、作業室(AR)を互いに形成しており、タービンホイール(T)が、少なくとも間接的に力伝達装置(1)の出力体(A)に相対回動不能に結合されており、ハイドロダイナミック式の構成要素と、該ハイドロダイナミック式の構成要素を跨ぐための装置とが、それぞれ出力分岐路に配置されており、回転数適応型の動吸振器(5)を備えた振動減衰装置(3,4)が、少なくとも出力分岐路の一方に直列に接続されており、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室が、力伝達装置(1)の内室によって形成されるようになっており、該内室が、ハイドロダイナミック式の構成要素の運転媒体によって通流されるようになっている、請求項1から5までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項7】
少なくとも1つの入力体(E)と、出力体(A)と、少なくとも部分的に運転媒体、特に油で充填可能な室、特にハイドロダイナミック式の構成要素の運転媒体によって通流される室内に配置された振動減衰装置(3,4)とが設けられており、該振動減衰装置(3,4)が、回転数適応型の動吸振器(5)に連結されている、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置(1)の減衰特性を改善するための方法において、回転数適応型の動吸振器(5)を、油影響に関連して、駆動装置の励振の次数qよりも所定の次数オフセット値qだけ大きい有効次数qeffに設計することを特徴とする、駆動装置と被駆動装置との間で出力伝達するための力伝達装置の減衰特性を改善するための方法。
【請求項8】
前記方法が、以下の方法ステップ:すなわち、
・原動機の励振次数qを規定し、
・該励振次数qに対する回転数適応型の動吸振器(5)のジオメトリを確定し、
・必要となる次数オフセット値qを規定し、
・該次数オフセット値qの関数としての動吸振器(5)のジオメトリを検出する:
を有している、請求項7記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−504987(P2011−504987A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535208(P2010−535208)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001901
【国際公開番号】WO2009/067988
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany