説明

回転装飾装置及び遊技機

【課題】回転体の前面からほぼ一様に光が出射する回転装飾装置を提供する。
【解決手段】シャフト孔139を有し、シャフト孔139を貫通するシャフト11を回転軸として回転自在に配置される回転体13と、回転体13の入光面132に対向して配置される光源部16とで回転装飾装置10を構成する。回転体13は、前面より光源部16からの光を出射する散乱部135と、散乱部135の背面側に設けられ、且つ散乱部135へ入光面132から入射した光を導く導光部131とを有し、散乱部135は、シャフト11から外周端までの平均距離が導光部131の対応する平均距離よりも大きく、且つ導光部131からの光の少なくとも一部を反射する反射面136と、背面側に配置され、反射面136で反射された光を散乱させる散乱面137とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装飾装置及び遊技機に関し、より詳しくは回転体から光を出射する回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機をはじめとする遊技機の遊技盤には、遊技者の興趣を高めるために、様々な装飾装置が用いられてきた。その中でも、パチンコ機においては、盤上を落下する遊技球によって回転し、遊技球の落下方向を変えるための回転体は、遊技者にとって注目の集まる部分であるため、回転体用の様々な装飾装置が開発されている。
【0003】
例えば、回転体の前面プレートを透光性部材にして、基体に取り付けられた発光ユニットから前面プレートに向けて光を照射する遊技機用発光装置が知られている(特許文献1参照)。この遊技機用発光装置では、さらに回転体の裏側外縁部に反射面が設けられ、反射光により遊技機用発光装置の周囲の盤面もあわせて照明する。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の遊技機用発光装置では、発光ユニットから導出される光を直接前面プレートに照射するため、前面プレートのうち、光源の直上にあたる部分は明るく照明されるが、回転体の外縁部に近づくにつれて、前面プレートの照明は暗くなり、前面プレートを一様に照明することは困難であった。また、回転体の羽根と光源との位置関係によっては、羽根の影が前面プレートに投射され、照明にムラを生じる場合もあった。さらに、遊技球の通過の際にも、同様に遊技球により生じた影が前面プレートに投射され、照明にムラを生じる場合もあった。
【0005】
一方、パイプ状の遮光性を有する外側シャフト部と、シャフト部の内部に一体に組み付けられた棒状の透光性を有する内側シャフトからなる導光シャフトを有し、内側シャフトの後端部より光を入射し、風車体の前面にある発光部を照射する可動電飾装置が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された可動電飾装置では、球受け部(すなわち、羽根)の上部を光らせることが出来ないため、風車体前面の発光可能面積が小さい。また、導光シャフトは、プラスチックで形成されるため、強度を考慮するとシャフトの径を大きくしなければならず、したがってシャフトと軸受けの接触面積が大きくなり、回転摩擦力が増えるために回転し難くなるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−190751号公報
【特許文献2】特開平8−173598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の問題点に鑑み、本発明は、回転体の前面からほぼ一様に光が出射する回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明の別の目的として、光量の損失を少なくして光源からの光を効率よく回転体の装飾に利用できる回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
本発明のさらに別の目的として、落下する遊技球の接触により回転体が回転して遊技球を振り分ける機能を損なわず、回転体の前面からほぼ一様に光が出射する回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る回転装飾装置は、シャフト孔を有し、シャフト孔を貫通するシャフトを回転軸として回転自在に配置される回転体と、回転体の入光面に対向して配置される光源部とを備え、回転体は、前面より光源部からの光を出射する散乱部と、散乱部の背面側に設けられ、且つ散乱部へ入光面から入射した光を導く導光部とを有し、散乱部は、シャフトから外周端までの平均距離が導光部の平均距離よりも大きく、且つ導光部からの光の少なくとも一部を反射する反射面と、背面側に配置され、反射面で反射された光を散乱させる散乱面とを有することを特徴とする。
【0012】
光源からの光線を、回転体内を伝播させるため、遮光されるおそれなく回転体の前面まで伝播させることができ、その光線を反射面及び散乱面で散乱させて回転体から出射させるため、回転体の前面をほぼ一様に光らせることができる。また、シャフト内を光線伝播させる必要がないため、シャフトに金属のような剛性の高い材質を使用できるので、シャフト自体を細くすることができ、回転摩擦力の増大を抑制することができる。
【0013】
また、導光部の外周が円形であることが好ましい。導光部の外周面がシャフトを中心とする曲面に形成されるので、光源からの光線が外周面で反射される際にシャフトの周囲を回るように伝播し、光源との位置関係による到達光量の差を少なくすることができるためである。
【0014】
さらに、散乱部は、シャフトから離れるにつれて前面端から背面端までの厚さが減少することが好ましい。散乱部の外周端から出射する光線の量を少なくして、光量のロスを少なくできるためである。
【0015】
また、光源部は、互いに異なる発光色を有する複数の光源を有し、複数の光源のそれぞれは、シャフトを中心とした円周上の異なる位置に配置され、且つ入光面は、導光部の光源部側端面の一部のみに形成されることが好ましい。回転体が回転するだけで、入光面と向き合う光源が異なるため、回転体の前面が異なる色で発光しているように見せることが可能になるためである。特に、入光面はシャフトを中心とする扇形であることが好ましく、さらに扇の中心角は、180°以下であることが好ましい。
【0016】
さらに、回転装飾装置は、回転体の外周に配置され、導光部及び散乱部の散乱面の一部又は全てを覆う回転体カバーを有することが好ましい。遊技盤上を落下する遊技球が、直接回転体に接触することによる回転体の破損を防止できるためである。なお、回転体カバーは、導光部及び散乱面が直接外部と触れる面を有さないように完全に覆うものに限らず、導光部及び散乱面の一部が直接外部と触れる孔部を有してもよい。ただし、そのような孔部を有する場合でも、遊技球が直接回転体に触れることが無いように、遊技球の直径(一般に、11mm)と回転体カバーの厚みに基づいて、孔部の幅は制限される。
【0017】
また、本発明に係る遊技盤を備える遊技機は、遊技盤の前面に、上記の何れかの回転装飾装置を少なくとも1個有し、且つ、所定の力で遊技球を発射する操作部と、操作部で発射された遊技球を遊技盤の上方へ誘導するレールと、遊技球が入ると複数個の遊技球を払出す入賞装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回転体の前面からほぼ一様に光が出射する回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することが可能となる。
【0019】
また本発明によれば、光量の損失を少なくして光源からの光を効率よく回転体の装飾に利用できる回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することが可能となる。
【0020】
さらに本発明によれば、落下する遊技球の接触により回転体が回転して遊技球を振り分ける機能を損なわず、回転体の前面からほぼ一様に光が出射する回転装飾装置及びそのような回転装飾装置を備えた遊技機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る回転装飾装置及び回転装飾装置を備えた遊技機について詳細に説明する。
【0022】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る回転装飾装置を備えた遊技機1の概略斜視図を示す。図1に示すように、遊技機1は、上部から中央部の大部分の領域に設けられた遊技盤2と、下部に配設された球受け部3及びハンドルを備えた操作部4などで構成される。遊技者の操作に応じて、操作部4の回動量に応じて図示しない発射装置より所定の力で遊技球を発射する。発射された遊技球は、遊技盤2の側方に設けられたレール5に沿って上方へ移動し、遊技盤2上に設けられた多数の障害釘6の間を落下する。遊技盤2には、障害釘6の他に、液晶表示装置などで構成され、遊技者に様々な情報を提供する表示装置7と、表示装置7の周囲に配置され、遊技の演出に用いられる役物部8と、遊技球が入ると複数個の遊技球を獲得することができる入賞装置9などが配設されている。
【0023】
さらに、遊技盤2上には、遊技球が接触することにより回転し、その回転によって遊技球を不規則な方向に導く、本発明の第1の実施形態に係る回転装飾装置10が配設されている。
そして、遊技機1は、回転装飾装置10に設けられた光源部により、回転装飾装置の前面から光を出射させて、遊技者の興趣を高めるようにしたものである。
なお、以下の説明では、遊技盤2の前面側、すなわち遊技者から見える方の面を前面と呼び、遊技盤2の裏面側から見える面を背面と呼ぶ。
【0024】
次に、本発明の第1の実施形態に係る回転装飾装置10について、詳細に説明する。
図2(a)に、回転装飾装置10を前面斜め上方から見た分解斜視図を示し、図2(b)に、回転装飾装置10を背面斜め上方から見た分解斜視図を示す。また、図3(a)に、回転装飾装置10を前面斜め上方から見た概略斜視図を示し、図3(b)に、回転装飾装置10を背面斜め上方から見た概略斜視図を示す。さらに、図4に、遊技機1と回転装飾装置10を分解して展開した分解斜視図を示す。
【0025】
図2及び図3に示すように、回転装飾装置10は、回転装飾装置10の回転軸となるシャフト11と、シャフト11に取り付けられ、遊技球の接触により回転するとともに、前面から光を出射する回転体ユニット12と、回転装飾装置10を遊技機1の遊技盤2に取り付けるための取付ベース15と、取付ベース15に設けられ、回転体ユニット12に光を供給する光源部16と、シャフト11を固定するためのシャフト止め17で構成される。また、回転体ユニット12は、光源部16から照射された光線を内部で伝播させ、前面から出射する回転体13と、回転体13の側面を覆うように配置され、回転体13を保護する回転体カバー14で構成される。
【0026】
本発明の第1の実施形態に係る回転装飾装置10は、遊技球が回転体カバー14に設けられた羽根141に接触することで、遊技球から加えられた力に応じて、シャフト11を回転軸として回転するものであり、一方、光源部16から照射された光線を回転体13の内部を伝播させて回転体13の前面から出射させることによって、光のロスを少なくし、且つ羽根141の影が投影されることなく、回転体13の前面をムラなく一様に光らせることを可能にしたものである。
【0027】
以下、回転装飾装置10の各部について詳細に説明する。
シャフト11は、回転体ユニット12の前面から、取付ベース15の背面まで貫通する円柱形状を有し、取付ベース15に回転自在に取り付けられている。また、前面側端部には、回転体13のシャフト孔139よりも大きい直径を有する円盤状の留め部111が形成されており、取付ベース15の背面でシャフト11に取り付けられるシャフト止め17とともに、回転体ユニット12が、シャフト11から外れることを防止している。また、シャフト11は、遊技盤2上を落下する遊技球から力を加えられるため、そのような接触で破損することがないように、鉄、ステンレスなどの金属で構成される。
【0028】
回転体ユニット12は、遊技球の接触により回転し、遊技球の落下方向を不特定に変化させるものであり、図2及び図3に示すように、シャフト11を回転中心とし、円柱状の導光部131及び導光部131の前面側に一体的に形成され、導光部131よりも直径が大きく、シャフト11から離れるにつれて厚さが減少する円盤状の散乱部135からなる回転体13と、回転体13の導光部131及び散乱部135の背面を覆うように配置される回転体カバー14で構成される。そして、回転体13は、光源部16からの光線を導光部131の背面側端部に形成された入光面132から入射させ、内部伝播させて、前面側の天井面138から出射させ、遊技者には天井面138が一様に発光して見えるように構成される。
【0029】
図5(a)に、回転装飾装置10を遊技盤2に向かって右側から見た概略側面図を示し、図5(b)に、図5(a)の矢視A−Aによる概略断面図を示す。
【0030】
回転体13は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネート(PC)などの光学プラスチックのような透光性の部材からなる。本実施形態では、一例としてPMMAで形成した。また、図2(b)及び図5(b)に示すように、回転体13には、中心部にシャフト11を挿通させるシャフト孔139が形成されている。そして、回転体13の導光部131の背面側端面には、光源部16に近接し、対向して入光面132が設けられる。また、導光部131のシャフト11側の内壁面133及び外壁面134は、それぞれ導光部131の内部を伝播する光が反射可能な光学面を形成する。
【0031】
また、導光部131の前面側には、導光部131よりも直径が大きい散乱部135が導光部131と一体的に形成され、回転体13は、全体として前面側が開放されたラッパ状に形成されている。本実施形態では、導光部131の直径を6.5mm、散乱部135の直径を25mmとした。また、散乱部135の前面側中央部には、回転体13の前面から、シャフト孔139へ向けて45°の角をなす反射面136がシャフト孔139の周囲に形成されている。さらに、散乱部135の背面側には、シャフト11を中心とする同心円状に形成された複数のV字状溝を有する散乱面137が形成されている。ここで、反射面136は、導光部131を直進する光線を散乱面137へ向けて反射可能できるように、直径が導光部131と同じ6.5mmを有している。また、散乱面137に、溝の頂角が90°であるV字状溝を同心円状に0.3mmピッチで形成した。しかし、散乱面の溝の形状は、これに限られるものではなく、溝の幅をもっと狭く、又はもっと広くしてもよい。また、溝の頂角の角度をより広く、又はより狭く設定してもよい。さらに、V字状の溝の代わりに、U字状の溝でも、半球状の点又は窪みで構成してもよい(なお、それぞれの溝形状について、天井面138側に溝の凸面が形成されるものとする)。U字状又は半球状の点又は窪みに形成すると、溝に入射した光線が散乱される角度が拡がるため、天井面138が光って見える範囲が広くなる。一方、溝の頂角が鋭角な場合には、天井面138が光って見える範囲は、相対的に天井面138の正面近傍に限定されるものの、より明るく光っているように見える。
【0032】
一方、散乱部135の前面側の天井面138は、回転体13の内部を伝播してきた光が回転体13の外部へ出射可能な光学面となっている。なお、散乱部135は、シャフト11から離れるにつれて、散乱面137が徐々に天井面138に近づくように、中心が厚く、端部が薄いコマ状の形状となっている。このような形状とすることで、散乱部135の外周端面から漏出する光の量を減らし、その代わりに散乱面137で散乱される光量を増加させることができる。本実施形態では、散乱面137と天井面138のなす角が10°となるように構成した。しかし、散乱面137と天井面138のなす角は、10°に限られず、回転体13の設計仕様に応じて、適宜最適な角度に設定することができる。
【0033】
回転体カバー14は、その内径が回転体13の導光部131及び散乱部135の散乱面137の外側に密接するように形成され、外径が前面側から背面側に向かうにつれて、徐々に直径が小さくなるラッパ状の形状を有する。また、回転体カバー14の外形には、遊技盤2上を落下する遊技球との接触可能面を広くして回転を生じ易いように、シャフト11から放射状に、互いに120°の間隔で3枚の羽根141が設けられている。なお、羽根の配置角度及び枚数はこれに限らず何でもよい。さらに、回転体カバー14は、回転体13の内部を伝播する光が側面から漏出させず、遊技球との接触による摩耗又は破損が生じ難いように、ABS樹脂など、不透明で且つ回転体13と比較して強度に優れたプラスチックで形成される。
【0034】
取付ベース15は、シャフト11及び回転体ユニット12の軸受けとして機能する。また、図2及び図3に示すように、取付ベース15は、平板状のベース部151と、ベース部151の背面に設けられた軸受け部152から構成され、プラスチックで形成される。
【0035】
ベース部151の略中央部には、回転体ユニット12が遊嵌される回転体孔151aと、ネジ孔151b、151cが形成されている。そして、図4に示すように、取付ベース15はネジ孔151b、151cを通して遊技盤2に固定される。
また、軸受け部152には、シャフト11を回転自在に軸支するように軸受け孔152aが形成されている。また、軸受け孔152aは、シャフト11の直径と略等しい径を有し、回転孔151aと中心が略一致するように形成される。
さらに、取付ベース15は、ベース部151の背面に近接して、軸受け部152に光源部16を嵌め込むための光源部取付ガイド153が形成されている。光源部取付ガイド153は、ベース部151に略平行な溝として形成される。
【0036】
光源部16は、回転体13の天井面138が光っているように遊技者に見せるための光線を供給するものであり、図2(a)及び(b)に示すように、プリント基板(PWB)161と、PWB161に取り付けられた光源であるLED162などで構成される。
【0037】
PWB161には、図示しない演出用CPUからLED162を制御するための信号及び電力を供給する電気配線を接続するコネクタ163が上部背面側に形成されている。また、プリント基板161の略中央部には、シャフト11を貫通させるプリント基板孔161aと、その下部にLED162を取り付けるLED取付孔161bが形成されている。そして、LED162を背面実装可能なように、PWB161の背面側、且つLED取付孔161bの周囲に、LED取付用の端子が形成されている。
【0038】
光源であるLED162は、回転体13の天井面138から一様に光線が出射するように、広拡散タイプのものが使用される。本実施形態では、一例として指向半値角が50°のLEDが使用される。ただし、LED162と回転体13の入光面132が離れるにつれて、回転体13に入射する光量が減少し、光量のロスが増加するため、LED162の指向半値角は、LED162の中心から入光面132の端部を望んだ場合の見込み角と略等しいことが好ましい。
【0039】
また、LED162として、半球状の発光部の下部に平板状に形成された電極を有する、逆付け実装可能な面実装タイプが使用される。そして、LED162は、その発光部がLED取付孔161bに収まるようにPWB161の背面側に実装される。このような面実装タイプのLEDを使用して逆付け実装することにより、光源部16の厚さを低減することができるため、回転装飾装置10を小型化できる。しかし、LED162は、面実装タイプのLEDに限られず、他のタイプのLEDを使用してもよい。また、光源としてLEDの代わりに小型電球、無機EL素子若しくは有機EL素子のような他の発光素子を使用してもよい。さらに、光源自体は、入光面132と離れた位置に配置して、光ファイバなどの導光部材で、入光面132に近接するところまで、光源からの光を導光するように構成してもよい。
また、LED162は、コネクタ163を通じて図示しない演出用CPUからの制御信号に基づいて明滅、若しくは発光輝度を変化させ、遊技の状況に応じた装飾を可能にしている。
【0040】
次に、本発明の第1の実施形態に係る回転装飾装置10の動作を説明する。
図6(a)に、光源から出射した光が導光部を経て回転体前面から出射する様子を示す。また図6(b)に、散乱面での光の散乱の様子を表す、図6(a)の詳細A部分の拡大図を示す。
【0041】
まず、光源部16のLED162から発した光は、回転体13の入光面132から回転体13の導光部131に入射する。回転体13の導光部131に入射した光は、内壁面133及び外壁面134の間を反射しながら、散乱部135へ向かう。ここで、導光部131は、円筒形状を有しているため、内壁面133はシャフト11に対して直交する平面では凸面鏡として機能し、また外壁面134はシャフト11に対して直交する平面では凹面鏡として機能する。そのため、図6(a)の光線r1のように、LED162から発した光の一部は、シャフト11の周りを周回するように反射されながら散乱部135へ向かう。そのため、光源をシャフト11の周囲全体を囲むように配置しなくとも、LED162の正面だけでなく、シャフト11を挟んで、LED162の反対側にも光が届くため、散乱部135全体に光を供給することができる。
【0042】
散乱部135に届いた光線の一部は、反射面136を透過して回転体13の前面側から出射する。また、散乱部135に届いた光線の他の一部は、反射面136で反射又は全反射されて、散乱部135の内部を、シャフト11から離れるように外周側へ拡がっていく。反射面136で反射又は全反射した光の大部分は、散乱部135の背面側に設けられた散乱面137で散乱され、天井面138を通過して回転体13を出射する。そのため、遊技者は、回転体13の天井面138全体が光っているように見える。ここで、散乱面137は、外周に向かうにつれて、散乱面137が天井面138に近づくように構成されているため、散乱部135の外周端面から出射する光線が少なく、光量のロスが少ない。また反射面136上の任意の点から散乱面137を望んだ場合における、散乱面137の外周端から内周端までの見込み角が、散乱面137を天井面138と平行に形成した場合と比較して大きくなるため、シャフト11からの距離による変化が相対的に少なくなり、一様に天井面138から光線が出射する。そのため、遊技者からは、回転体13の天井面138が、一様に光っているように見える。
【0043】
なお、散乱部135の外周面の散乱面137側を、例えば45°で面取りすることにより、外周面の面積を減らすとともに、その面取り面で反射された光が天井面138を通して出射するため、光量のロスを減らすことができる。また、光量のロスをさらに減らすために、散乱部135の外周面に金属薄膜を蒸着して反射面とし、外周面から出射する光をなくすように構成してもよい。
【0044】
次に、本発明に係る回転装飾装置の第2の実施形態である回転装飾装置20について、詳細に説明する。
本発明に係る回転装飾装置の第2の実施形態である回転装飾装置20は、光源部に発光色の異なる複数のLEDを有し、回転装飾装置20の前面が一様に発光するとともに、回転装飾装置20の回転によってその発光色が変化し、遊技者の興趣を高めるようにしたものである。
【0045】
図7(a)に、回転装飾装置20を前面斜め上方から見た分解斜視図を示し、図2(b)に、回転装飾装置20を背面斜め上方から見た分解斜視図を示す。なお、図7(a)及び(b)において、第1の実施形態である回転装飾装置10と同様の機能・構成を有するものについては、同一の符号で表す。
【0046】
図7(a)及び(b)に示すように、回転装飾装置20は、回転装飾装置10と同様に、シャフト11と、シャフト11に取り付けられ、遊技球の接触により回転するとともに、前面から光を出射する回転体ユニット22と、取付ベース15と、取付ベース15に設けられ、複数の発光色の異なる光源を有する光源部26と、シャフト止め17で構成される。また、回転体ユニット22は、光源部26から照射された光線を内部で伝播させ、前面から出射する回転体23と、回転体23の周囲に配置され、回転体23を保護するとともに、回転体23の入光面の一部を光源部26から遮蔽する回転体カバー24で構成される。
【0047】
本発明に係る回転装飾装置の第2の実施形態である回転装飾装置20は、第1の実施形態である回転装飾装置10と比較して、光源部26が発光色の異なる複数の光源を有すること、及び回転体23の入光面232に、同時には一部の光源の光のみ入射させるように構成した点で異なり、他は同一である。そこで、以下では、第1の実施形態である回転装飾装置10との相違点についてのみ説明する。
【0048】
光源部26は、光源として赤色LED262a、緑色LED262b、青色LED262cの3個のLEDを有する。これらLED262a〜262cは、それぞれ逆付け実装可能な面実装タイプのLEDである。そして、LED262a〜262cは、プリント基板261のシャフト孔261dの周囲に、互いに120°の角をなすように形成されたLED取付孔261a〜261cに発光部が収まり、プリント基板261の前面から発光部が見えるように、それぞれ、逆付け実装される。
【0049】
回転体23は、光源部26側端面が半円状に切り欠き形成されている。一方、回転体カバー24の光源部26側端面には、回転体23の切り欠き部231と光源部26の間を遮蔽し、回転体23の切り欠きされていない端面が嵌合するように略半円状の導光路242が形成されている。そして、導光路242を介して、直接光源部26と向き合う回転体23の端面が、入光面232となる。
【0050】
図を用いて、回転体23の入光面232と、光源部26の各LED262a〜262cとの位置関係を説明する。
図8(a)に、各LED262a〜262cと回転体ユニット22を背面から見た概略斜視図を示す。また図8(b)に、各LED262a〜262cの発光部と入光面232の位置関係を示した回転体ユニット22の背面図を示す。図8においては、説明の明確化のために、取付ベース15などは省略している。
【0051】
図8(a)及び(b)に示されるように、入光面232は、半円状となっており、一方、各LED262a〜262cは、互いに120°の角をなして配置されているため、入光面232に同時に向かい合うLEDは最大2個である。また回転体23の回転に伴って入光面232が回転すると、順次向かい合うLEDが変わり、それに伴って回転体23の天井面238から出射する光の成分も変化し、遊技者にとっては、回転体23の天井面238が、回転体23の回転に伴って異なる色に発光しているように見える。
【0052】
例えば、図8(b)においては、入光面232は、赤色LED262aの発光部とは半分、緑色LED262bとは完全に重なっている。その一方で、青色LED262cと入光面232は、重なっている部分がない。そのため、入光面232を経て回転体23に入射する光としては、緑色LED262bからの光量が最も多く、その約半分の光量が赤色LED262aから入射する。しかし、青色LED262cからの光は、殆ど回転体23には入射しない。そのため、遊技者は、回転体23の天井面238が、緑色と赤色が約2:1の比率で加法混色されたような色で光っているように見える。
【0053】
そして、回転体ユニット23が、図8(b)において時計周りに回転すると、入光面232と赤色LED262aとの重なりが徐々に減少する。そのため、回転体23に入射する赤色光が減少し、回転体23の天井面238から出射する光は、徐々に緑色に近づいていく。
さらに回転体ユニット23が回転すると、入光面232と青色LED262cが重なりはじめるため、回転体23に青色光が入射するようになる。そのため、回転体23の天井面238から出射する光は、徐々に青味を帯びていく。そして、入光面232と緑色LED262bの発光部との重なりが減少するにつれて、徐々に回転体23に入射する緑色光が減少し、回転体23の天井面238から出射する光は、徐々に青の単色に近づいていく。
【0054】
このように、回転装飾装置20では、回転体23が回転するにつれて、回転体23の天井面238から出射する光の色が、緑から青、青から赤、赤から緑、緑から青と順番に、且つ中間色を経ながら徐々に変化するため、各LEDをそれぞれ別個に明滅させるなどの制御を行わなくても、幻想的な光の演出を行うことができる。なお、回転体23が上記と逆向きの回転する場合、回転体23の天井面238から出射する光の色は、緑から赤、赤から青、青から緑、緑から赤と、逆向きに、且つ中間色を経ながら徐々に変化する。
【0055】
以上、本発明に係る回転装飾装置について、実施例を用いて説明してきたが、本発明に係る回転装飾装置は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、回転体の天井面の一部にカラーフィルタなどを貼付して、模様を形成してもよい。同様に、回転体の散乱面に、V字状の溝、U字状の溝、半球状の点または窪みなどのドットパターンで模様・図柄を形成させてもよい。また、回転体の外周形状を、六角形や八角形などの多角形としてもよい。さらに、回転体カバーの内壁を反射鏡とし、導光部を単なる空隙とし、散乱部のみを回転体として形成してもよい。
また、本発明に係る回転装飾装置は、回胴式遊技機のように、遊技球を使用しない遊技機においても、回転装飾装置のシャフトをモータで駆動して回転させて使用することもできる。このように、本発明の範囲内で適宜変更及び修正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る回転装飾装置を備えた遊技機の概略斜視図である。
【図2】(a)は本発明に係る回転装飾装置を前面から見た分解斜視図であり、(b)は本発明に係る回転装飾装置を背面から見た分解斜視図である。
【図3】(a)は本発明に係る回転装飾装置を前面から見た概略斜視図であり、(b)は本発明に係る回転装飾装置を背面から見た概略斜視図である。
【図4】本発明に係る回転装飾装置と遊技機の分解斜視図である。
【図5】(a)は本発明に係る回転装飾装置の概略側面図であり、(b)は(a)の矢視A−Aにおける回転装飾装置の断面図である。
【図6】(a)は光源から出射した光が導光部を経て回転体前面から出射する様子を示す概略説明図であり、(b)は散乱面での光の散乱の様子を示す、(a)の詳細A部分の拡大説明図である。
【図7】(a)は本発明の第2の実施形態に係る回転装飾装置を前面から見た分解斜視図であり、(b)は本発明の第2の実施形態に係る回転装飾装置を背面から見た分解斜視図である。
【図8】(a)は本発明の第2の実施形態に係る回転装飾装置の回転体ユニットと光源部のLEDの位置関係を表す概略斜視図であり、(b)は本発明の第2の実施形態に係る回転装飾装置の回転体ユニットとLEDの位置関係を表す概略背面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機
2 遊技盤
3 球受け部
4 操作部
5 レール
6 障害釘
7 表示装置
8 役物部
9 入賞装置
10 回転装飾装置
11 シャフト
111 留め部
12 回転体ユニット
13 回転体
131 導光部
132 入光面
133 内壁面
134 外壁面
135 散乱部
136 反射面
137 散乱面
138 天井面
139 シャフト孔
14 回転体カバー
141 羽根
15 取付ベース
151 ベース部
151a 回転体孔
151b、151c ネジ孔
152 軸受け部
152a 軸受け孔
153 光源部取付ガイド
16 光源部
161 プリント基板
161a プリント基板孔
161b LED取付孔
162 LED
163 コネクタ
17 シャフト止め
20 回転装飾装置
23 回転体
231 切り欠き部
232 入光面
238 天井面
24 回転体カバー
242 導光路
26 光源部
261 プリント基板
261a、261b、261c LED取付孔
261d シャフト孔
262a 赤色LED
262b 緑色LED
262c 青色LED
1 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト孔を有し、該シャフト孔を貫通するシャフトを回転軸として回転自在に配置される回転体と、
前記回転体の入光面に対向して配置される光源部とを備え、
前記回転体は、前面より前記光源部からの光を出射する散乱部と、該散乱部の背面側に設けられ、且つ該散乱部へ入光面から入射した光を導く導光部とを有し、該散乱部は、前記シャフトから外周端までの平均距離が該導光部の該平均距離よりも大きく、且つ該導光部からの光の少なくとも一部を反射する反射面と、背面側に配置され、該反射面で反射された光を散乱させる散乱面とを有することを特徴とする回転装飾装置。
【請求項2】
前記導光部の外周が円形である、請求項1に記載の回転装飾装置。
【請求項3】
前記散乱部は、前記シャフトから離れるにつれて前面端から背面端までの厚さが減少する、請求項1又は2に記載の回転装飾装置。
【請求項4】
前記光源部は、互いに異なる発光色を有する複数の光源を有し、該複数の光源のそれぞれは、前記シャフトを中心とした円周上の異なる位置に配置され、且つ前記入光面は、前記導光部の光源部側端面の一部のみに形成される、請求項1〜3の何れか一項に記載の回転装飾装置。
【請求項5】
前記回転体の外周に配置され、前記導光部及び前記散乱部の散乱面の一部又は全てを覆う回転体カバーを有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の回転装飾装置。
【請求項6】
遊技盤を備える遊技機であって、
前記遊技盤の前面に、請求項1〜5の何れか一項に記載の回転装飾装置を少なくとも1個有し、且つ、
所定の力で遊技球を発射する操作部と、
前記操作部で発射された遊技球を前記遊技盤の上方へ誘導するレールと、
遊技球が入ると複数個の遊技球を払出す入賞装置と、
を有することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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