説明

回転角検出又は回転同期装置

【課題】ステータ巻線が巻回されるステータを備えたレゾルバにおいて、ステータ巻線から引き出される引出線を短くすること。
【解決手段】引出線としてのステータ巻線50の端線51a、51b、52a、52b、53a、53bと電気的に接続され、ステータ巻線50に対して信号の入出力をするコネクタピン71〜76が設けられたコネクタユニット60が、ステータに装着される。そして、コネクタユニット60の端線支持面62において、コネクタユニット60の接続口にあるステータティース21の近傍に方向切換用ピン63が設けられる。ステータ巻線50は、その巻回中に方向切換用ピン63に掛けられて巻回方向が変えられることで、その端線51a、51b、52a、52b、53a、53bが、それぞれコネクタピン71〜76に近い引出位置91a、91bから引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータティースが形成されたステータを備えるレゾルバ、シンクロ等の回転角検出又は回転同期装置に関し、特に、そのステータティースに巻回されるステータ巻線に巻線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータ及びロータを有し、ステータに対するロータの回転位置によってステータとロータとの間の相互インダクタンスが変化することを利用して、ステータに対するロータの回転角に応じた検出信号を出力する回転角検出装置としてのレゾルバが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、図13は、従来のレゾルバの構造を示した図である。図13のレゾルバ200は、内周面210aから内方へ突出する複数のステータティース221〜228が形成された輪状ステータ210を備える。また、輪状ステータ210の内側には、ロータ280がその輪状ステータ210に対して回転可能に設けられる。
【0003】
各ステータティース221〜228には、絶縁性の樹脂からなるボビン体240を介してステータ巻線250が巻回される。そのステータ巻線250は、複数相の巻線から構成され、具体的には、励磁信号が入力される励磁巻線とロータ280の回転角に応じた検出信号が出力される出力巻線とから構成される。各相のステータ巻線250は、各ステータティース221〜228に対して、各ステータティース221〜228ごとに定められた所定巻回数及び所定巻回方向に巻回される。そうすることで、ロータ280の回転に伴って正弦波状に変化する検出信号を出力させようとするものである。そして、例えば、コネクタピン271〜276に最も近いステータティース221から巻回が開始され、ステータティース221〜228の配置順にしたがって、各ステータティース221〜228に順次巻回される。
【0004】
また、ステータ巻線250の端線と電気的に接続され、ステータ巻線250に対して励磁信号を入力したり検出信号を出力したりするコネクタピン271〜276が設けられたコネクタユニット260が、輪状ステータ210に装着されて設けられる。図13では、6個のコネクタピン271〜276が一列に配置されており、3相分のステータ巻線250の6つの端線と接続できるようになっている。なお、図13では、1相分のステータ巻線250の両端線250a、250bのみを示しており、ステータティース221から引き出される端線250aが図13における左から2番目のコネクタピン272と接続されており、最後のステータティース228に巻回後の他方の端線250bが一番左のコネクタピン271と接続されている。そして、ステータ巻線250が励磁巻線の場合には、これらコネクタピン271、272間に励磁信号が入力される。また、ステータ巻線250が出力巻線の場合には、これらコネクタピン271、272間から検出信号が出力される。なお、その他の相のステータ巻線250の端線(図示外)も、他のコネクタピン273〜276と接続されている。
【0005】
また従来、レゾルバと同様の構造を有する回転同期装置としてのシンクロが知られている。このシンクロは、レゾルバと同様のステータ及びロータを有し、ステータティースに巻回される出力巻線からロータの回転角に応じて正弦波状に変化する互いに位相角が120度ずれた3相の信号を出力する。そして、同じ構造の2つのシンクロを接続すると、各シンクロから出力される信号の差に基づいて、一方のシンクロのロータが、他方のシンクロのロータと同じ回転角となるように回転される。すなわち、これら2つのシンクロが同期される。このように、シンクロは、一般的に、2個1組で用いられ、この場合、一方をシンクロ発信機と称し、他方をシンクロ受信機と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−344107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ステータティースから引き出されるステータ巻線の引出線の長さは、短いほうが好ましい。長いと、その引出線の共振周波数が低くなって、共振して、引出線が切れてしまうなどの弊害があるからである。この点、図13のレゾルバ200では、引出線としてのステータ巻線250の端線250aがステータティース221の右側の引出位置291aから引き出されて左側のコネクタピン272に接続されている。そのため、端線250aは、左側の引出位置291bから引き出された場合よりも長くなる。
【0008】
しかしながら、端線250aを左側の引出位置291bから引き出そうとすると、ステータティース221に対するステータ巻線250の巻回方向が、所定巻回方向と反対になってしまい、所望の検出信号を出力させることができなくなってしまう。
【0009】
また、端線250aをコネクタピン272よりも近い位置にある右側のコネクタピン275、276と接続することも考えられるが、それらコネクタピン265、276が他の相のステータ巻線250の端線の接続に用いられる等で、左側のコネクタピン272を用いざる得ない場合もある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ステータ巻線の引出線が短くされた回転角検出又は回転同期装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の回転角検出又は回転同期装置は、ステータティースが形成されたステータと、
そのステータに対して回転可能に設けられたロータと、
励磁信号が入力され、又は前記ロータの回転角に応じた検出信号が出力される、前記ステータティースに対して所定巻回方向に所定巻回数だけ巻回されるステータ巻線と、
前記ステータティースの近傍に設けられ、巻回中の前記ステータ巻線に掛けられて前記ステータ巻線の巻回方向を変えるための巻線掛け部と、を備え、
前記所定巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記ステータティースから引き出される前記ステータ巻線の引出線の引出位置を順引出位置とし、前記所定巻回方向とは反対の巻回方向に巻回したときの前記引出線の引出位置を逆引出位置としたときに、
前記引出線は、前記ステータ巻線がその巻回中に前記巻線掛け部に掛けられて前記反対の巻回方向に巻回されることで、前記逆引出位置から引き出され、前記順引出位置から引き出されたときよりも前記引出線の長さが短くされたことを特徴とする。
【0012】
これによれば、ステータ巻線は、所定巻回方向への巻回を基本としつつ、その巻回中に、ステータティースの近傍に設けられた巻線掛け部に掛けられて反対の巻回方向に巻回される。そして、引出線が、所定巻回方向と反対方向に巻回したときの引出線の引出位置である逆引出位置から引き出されるので、順引出位置から引き出されたときよりも引出線の長さを短くできる。
【0013】
また、本発明において、前記ステータ巻線は、前記反対の巻回方向の巻回数を差し引いた後の前記所定巻回方向の巻回数が前記所定巻回数とされる。
【0014】
これによれば、ステータ巻線は、反対の巻回方向に巻回された分だけ多めに所定巻回方向に巻回される。そして、反対の巻回方向の巻回数を差し引いた後の所定巻回方向の巻回数が所定巻回数とされるので、検出信号の精度が悪くなるのを防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記ステータ巻線の端線と電気的に接続され、前記ステータ巻線に対する信号の入出力をするコネクタピンを備え、
前記引出線は前記ステータ巻線の端線である。
【0016】
これによって、端線の長さを短くすることができるので、端線が切れたりする等の弊害を防止できる。
【0017】
また、本発明において、前記巻線掛け部は、前記順引出位置よりも前記逆引出位置に近い位置に設けられた方向切換用ピンとすることができる。
【0018】
このように、巻線掛け部を方向切換用ピンとすることにより、その方向切換用ピンにステータ巻線を掛けて巻回方向を変えることができる。また、その方向切換用ピンは、順引出位置よりも逆引出位置に近い位置に設けられているので、所定巻回方向の巻回数と反対の巻回方向の巻回数との差分を正確に所定巻回数とすることができる。
【0019】
また、本発明において、互いに巻回方向が異なる一方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に設けられた第一の方向切換用ピンと、他方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に設けられた第二の方向切換用ピンとを備え、
それら第一、第二の方向切換用ピンのうちの、今回の前記逆引出位置とされる引出位置付近に設けられた一方が、前記ステータ巻線に掛けられて前記巻線掛け部として使用されたとしてもよい。
【0020】
このように、各引出位置に方向切換用ピンを設けることで、今回の所定巻回方向に適した方向切換用ピンを巻線掛け部として使用することができる。
【0021】
また、本発明において、互いに巻回方向が異なる一方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近から、他方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に渡って設けられた方向切換用壁部を備え、
その方向切換用壁部の端部のうちの、今回の前記逆引出位置とされる引出位置付近に位置する一方が、前記ステータ巻線に掛けられて前記巻線掛け部として使用されたとしてもよい。
【0022】
このように、一方の引出位置付近から他方の引出位置付近に渡って方向切換用壁部を設けることで、今回の所定巻回方向に応じて適宜、方向切換用壁部の端部を巻線掛け部として使用することができる。
【0023】
また、本発明において、前記ステータ巻線は、前記巻線掛け部に支持されて崩れるのを防止されたとされる。このように、巻線掛け部をステータ巻線のくずれ防止のための支持部として機能させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】レゾルバ1の斜視図である。
【図2】レゾルバ1の側面図である。
【図3】レゾルバ1の平面図である。
【図4】図1のコネクタユニット60周辺の拡大図である。
【図5】ステータ巻線50をステータティース21〜28に巻回するときの手順を説明するための図である。
【図6】他方の端線55bを右側のコネクタピン76に接続する場合の説明図である。
【図7】変形例1において、ステータ巻線50をステータティース21〜28に巻回するときの手順を説明するための図である。
【図8】変形例2において、右側の引出位置91a付近に方向切換用ピン64を設けた図である。
【図9】変形例2において、ステータ巻線50をステータティース21〜28に巻回するときの手順を説明するための図である。
【図10】変形例3において、両側の引出位置91a、91b付近にそれぞれ方向切換用ピン65、66を設けた図である。
【図11】変形例4において、方向切換用ピンに代えて、方向切換用壁部67が設けられたレゾルバ1の斜視図である。
【図12】変形例4において、方向切換用ピンに代えて、方向切換用壁部67が設けられたレゾルバ1の平面図である。
【図13】従来のレゾルバの構造を示した図である。
【図14】シンクロの用途例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る回転角検出装置としてのレゾルバの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態のレゾルバ1の斜視図、図2はレゾルバ1の側面図、図3はレゾルバ1の平面図、図4は図1のコネクタユニット60周辺の拡大図である。なお、図2、図3では、ロータ80を示していない。
【0026】
レゾルバ1は、輪状ステータ10、輪状絶縁カバー30、ステータ巻線50、コネクタユニット60及び輪状ステータ10の内側に設けられたロータ80を備える。輪状ステータ10は、磁性材料からなる輪状の部材から構成され、その内周面10aから内方へ突出する複数のステータティース20が形成されている。そのステータティース20は、輪状ステータ10の内周面10aに等間隔となるように形成された8個のステータティース21〜28から構成される(図3参照)。ステータティース21〜28は、プレス加工によって形成され、その先端面がロータ80の外周面と対向している。
【0027】
ロータ80は、磁性材料からなり、例えば電磁鋼板が積層されて形成されるドーナツ型の形状をしている。そのロータ80は、輪状ステータ10の内側に、輪状ステータ10に対して回転可能に設けられたインナーロータである。より具体的には、ロータ80は、その回転軸回りの回転により各ステータティース21〜28との間のギャップパーミアンスが変化するように、輪状ステータ10に対して回転可能に設けられる。例えば、ロータ80は、軸倍角が「2」であり、所与の半径の円周線を基準に、その円周線の1周につき、平面視おける外形輪郭線が2周期で変化する形状を有している。そして、各ステータティース21〜28の先端面と対向するロータ80の外周側の面が、ロータ80の1回転につき2周期でギャップパーミアンスが変化するようになっている。また、ロータ80は、回転軸付近において貫通されており、その貫通部にモータ等の回転角の計測対象物を取り付けることができるようになっている。
【0028】
輪状ステータ10の両端面には、PBT(Poly−butylene−terephtalate:ポリブチレンテレフタレート)やPPT(Polypropylene−terephtalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂からなる輪状絶縁カバー30が設けられる。この輪状絶縁カバー30は、予め成形されたものを輪状ステータ10に装着されたり、射出成形により輪状ステータ10と一体成形されたりする。その輪状絶縁カバー30の内周側には、各ステータティース21〜28の外周を覆うようにボビン体35が形成される。そのボビン体35は、その外側にステータ巻線50が巻回され、ステータ巻線50とステータティース20とを電気的に絶縁させるためのものである。
【0029】
また、輪状絶縁カバー30は、ステータティース21以外の各ステータティース22〜28の根本付近において、輪状ステータ10の端面と略直角を成すように突起した突起部31が形成される。その突起部31は、ステータ巻線50を各ステータティース22〜28の根本において支持して、ステータ巻線50のくずれを防止するものとして機能する。なお、コネクタユニット60との接続口に位置するステータティース21に対しては、突起部が形成されていない。
【0030】
さらに、輪状絶縁カバー30は、各ステータティース21〜28の間の位置において、ロータ80の回転軸の向きと同じ向きに起立した起立片32が形成される。その起立片32は、隣り合う2つのステータティース20における一方のステータティース20に巻回されるステータ巻線50と電気的に接続される導線が、起立片32において張力を持たせた状態で掛けられて、他方のステータティース20に巻回されるステータ巻線50と電気的に接続される。これにより、2つのステータティース20の距離が長くなっても導線が共振し難くなる上に、ステータ巻線50の巻回数を半ターン単位で調整できるようになる。
【0031】
ステータ巻線50は、ボビン体35を介して、専用の巻線機によって、ステータティース20に巻回される巻線である。より具体的には、ステータ巻線50は、励磁信号が入力される励磁巻線51と、ロータ80の回転に伴って正弦波状に変化する検出信号を出力するための出力巻線とを含む。さらに、その出力巻線は、ロータ80の回転に伴ってSIN波状に変化するSIN信号を出力するためのSIN相の巻線52と、そのSIN信号と90°位相が異なったCOS信号を出力するためのCOS相の巻線53とを含む。つまり、ステータ巻線50は、励磁巻線51と2相の出力巻線52、53との3相分の巻線から構成される。
【0032】
励磁巻線51は、励磁信号が入力されることで、各ステータティース21〜28に磁束を発生させるための巻線である。その励磁巻線51は、隣り合うステータティース間で巻回方向が互いに反対方向になるように、各ステータティース21〜28に所定巻回数だけ巻回された巻線である。
【0033】
出力巻線52、53は、上述したように、それぞれ検出信号として、SIN信号、COS信号を出力するための巻線である。そして、検出信号がSIN信号、COS信号となるようにするために、各ステータティース21〜28における出力巻線52、53の巻回方向及び巻回数がステータティース21〜28ごとに予め設定される。つまり、出力巻線52、53は、各ステータティース21〜28において、ステータティース21〜28ごとに設定された所定巻回方向及び所定巻回数にしたがって巻回された巻線である。
【0034】
このように、各ステータティース21〜28には、3相分の巻線51〜53が巻回されることになるが、例えば各ステータティースにおける巻回位置を相毎でずらすことで、各巻線51〜53が巻回される。
【0035】
コネクタユニット60は、PBTやPPT等の絶縁性の樹脂からなり、輪状絶縁カバー30と一体的に形成され、輪状ステータ10の外方に突出するように設けられる。コネクタユニット60は、輪状ステータ10の外周部のうちのステータティース21付近の部分と接続される。そして、図2の上側の面を上面としたときに、コネクタユニット60の上面には、ピン支持面61と端線支持面62とを有する。ピン支持面61には、ステータ巻線50と電気的に接続される導電材からなるコネクタピン70が設けられる。より具体的には、励磁巻線51、出力巻線52、53の各端線55と接続する6個のコネクタピン71〜76が、ピン支持面61に、一列に配置されて設けられる。
【0036】
さらに詳細には、図4に示すように、端線55の引出位置としての、ステータティース21に対して右側の引出位置91a、左側の引出位置91bに対して、同図の一番左のコネクタピン71及び左から2番目のコネクタピン72は、左側の引出位置91bの側に形成されている。また、真ん中のコネクタピン73、74は、右側の引出位置91a、左側の引出位置91bから等距離となる位置に形成されている。また、右から2番目のコネクタピン75及び一番右のコネクタピン76は、右側の引出位置91aの側に形成されている。
【0037】
そして、一番左のコネクタピン71は、SIN相の出力巻線52の一方の端線52bが接続される。また、左から2番目のコネクタピン72は、SIN相の出力巻線52の他方の端線52aが接続される。なお、これら端線52a、52bは、左側の引出位置91bから引き出されている。
【0038】
また、左から3番目のコネクタピン73は、COS相の出力巻線53の一方の端線53aが接続される。また、左から4番目のコネクタピン74は、励磁巻線51の一方の端線51aが接続される。また、右から2番目のコネクタピン75は、COS相の出力巻線53の他方の端線53bが接続される。また、一番右のコネクタピン76は、励磁巻線51の他方の端線51bが接続される。なお、これら端線51a、51b、53a、53bは、右側の引出位置91aから引き出されている。
【0039】
なお、各端線51a、51b、52a、52b、53a、53bは、コネクタユニット60の端線支持面62において支持されており、図4の紙面垂直方向の変位が規制されている。なお、以下では、端線51a、51b、52a、52b、53a、53bを総括して言うときには、端線55と言う。
【0040】
そして、励磁巻線51の端線51a、51bが接続されたコネクタピン74、76間には励磁信号が入力される。また、SIN相の出力巻線52の端線52a、52bが接続されたコネクタピン72、71の間には、出力巻線52に発生した検出信号が出力される。また、COS相の出力巻線53の端線53a、53bが接続されたコネクタピン73、75の間には、出力巻線53に発生した検出信号が出力される。
【0041】
また、コネクタユニット60の端線支持面62には、5個の中継ピン跡69が形成されている。これら中継ピン跡69は、ステータ巻線50をステータティース20に巻回するときに設けられる中継ピン(図示外)の設置跡である。ステータ巻線50は、その中継ピンを経由して、ステータティース20に巻回される。その巻回後、中継ピンは取り除かれる。したがって、各端線55は、中継ピン跡69の脇を通っている。
【0042】
また、コネクタユニット60の端線支持面62には、ステータティース21の根本付近の、左側の引出位置91b付近(右側の引出位置91aよりも引出位置91bに近い位置)において、巻線掛け部としての方向切換用ピン63が設けられる。その方向切換用ピン63は、コネクタユニット60と同じ絶縁性の樹脂からなり、コネクタユニット60と一体的に形成される。その方向切換用ピン63は、ステータティース21に巻回されるステータ巻線50がその巻回中に掛けられることで、ステータ巻線50の巻回方向を変えるためのピンである。そして、ステータティース21から引き出されるステータ巻線50の引出線としての端線55の引出位置を必要に応じて調節するためのものである。図4に示すように、本実施形態では、方向切換用ピン63にステータ巻線50が掛けられており、端線55の引出位置が調節されている。その引出位置の調節については、本発明の特徴的部分であるので、後に詳細に説明する。
【0043】
また、方向切換用ピン63は、ステータティース21の根本において、ステータティース21に巻回されたステータ巻線50を支持する支持部としての機能も有する。これにより、ステータティース21におけるステータ巻線50のくずれを防止できる。
【0044】
以上のような構成を有するレゾルバ1では、励磁巻線51に励磁信号が入力されることで、各ステータティース21〜28が励磁されて磁束が発生する。この際、励磁巻線51は、上述したように、隣り合うステータティース間で巻回方向が互いに反対方向になるように巻回されているので、隣り合うステータティース21〜28間の磁束がロータ80を介して結合する。すなわち、隣り合うステータティース21〜28及びロータ80間でそれぞれ磁気回路が形成される。この際、ロータ80の回転にともなって、各ステータティース21〜28とロータ80との間のギャップパーミアンスが変化するので、各磁気回路に発生する磁束が変化する。よって、出力巻線52、53には、ロータ80の回転にともなって変化する検出信号が発生する。さらに、出力巻線52、53の各ステータティース21〜28における巻回数及び巻回方向が調節されているので、その検出信号は、ロータ80の回転に応じてSIN波状、COS波状に変化する。よって、第1相の出力巻線52からの検出信号と第2相の出力巻線53からの検出信号とに基づいて、ロータ80の回転角の絶対値を一意に求めることができる。例えば、ロータ80をブラシレスモータの回転軸に固定することにより、そのブラシレスモータの回転角を求めることができる。
【0045】
次に、本発明の特徴的部分である、ステータ巻線50の端線55の引出位置の調節について説明する。ステータティース21から引き出される端線55の長さは、短いほうが好ましい。長いと、その端線55の共振周波数が低くなって、共振して、端線55が切れてしまうなどの弊害があるからである。この点、本実施形態のレゾルバ1では、図4に示すように、左側のコネクタピン71、72に接続される端線52a、52bは、それぞれ、左側の引出位置91bから引き出されているので、右側の引出位置91aから引き出された場合よりも、長さが短くなっている。また、右側のコネクタピン75、76に接続される端線53b、51bは、それぞれ、右側の引出位置91aから引き出されているので、左側の引出位置91bから引き出された場合よりも、長さが短くなっている。なお、真ん中のコネクタピン73、74は、両引出位置91a、91bから等距離に位置しているので、どちらの引出位置91a、91bから引き出されても端線55の長さは同じである。今回は、右側の引出位置91aから引き出されて、端線53a、51aがコネクタピン73、74に接続されている。
【0046】
このように端線55が短くなっているのは、ステータティース21の根本に設けられた方向切換用ピン63に、ステータ巻線50がその巻回中に掛けられて、所定巻回方向とは反対の巻回方向に変えられているためである。ここで、図5は、ステータ巻線50をステータティース21〜28に巻回するときの手順を説明するための図である。なお、図5では、ステータ巻線50として、SIN相の出力巻線52のみを示している。また、図5では、ステータティース21における出力巻線52の巻回の様子を確認できるようにするために、ステータティース21においては、ステータティース21の先端面から出力巻線52を見たときの様子を示している。また、図5の時計回りの方向をプラス、反時計回りの方向をマイナスとして、図5では、各段階で巻回する巻回数も示している。
【0047】
ここで、SIN相の出力巻線52は、左から2番目のコネクタピン72から巻回が開始され、ステータティース21に対して、図5の時計回りの方向に巻回数Nだけ巻回する必要があるとする。この場合、時計回りの方向に巻回するため、従来であるならば右側の引出位置91aから導線を引き入れて、ステータティース21に対して巻回していく必要があるが、そうすると、端線が長くなってしまう。そこで、本実施形態では、図5(1)に示すように、先ず、出力巻線52の導線を左側の引出位置91bから引き入れる。そして、そのまま、所定巻回方向の反対方向である反時計回りの方向に一回だけ巻回し、方向切換用ピン63に出力巻線52を掛ける。
【0048】
次いで、図5(2)に示すように、所定巻回方向である時計回りの方向に、(N+1)回だけ巻回する。つまり、所定巻回数Nよりも一回多く巻回する。これによって、図5(1)の反時計回りの方向の巻回を打ち消すことができる。なおかつ、方向切換用ピン63が左側の引出位置91b付近に設けられているので、時計回りの方向の巻回数(=N+1)と反時計回りの方向の巻回数(=−1)との差を所定巻回数Nとすることができる。つまり、所定巻回方向に所定巻回数Nだけ巻回したのと同じになる。
【0049】
そして、このように巻回することにより、出力巻線52の一方の端線52aを左側の引出位置91bから引き出したことになり、端線52aを短くすることができる。ここで、所定巻回方向にステータ巻線50を巻回したときのステータティース21から引き出される端線55の引出位置を順引出位置とし、所定巻回方向とは反対の巻回方向に巻回したときの端線55の引出位置を逆引出位置とする。この場合、出力巻線52を所定巻回方向である時計回りの方向に巻回すると、右側の引出位置91aから端線55が引き出されることになるので、右側の引出位置91aが今回の順引出位置となる。一方、出力巻線52を反時計回りの方向に巻回すると、左側の引出位置91bから端線55が引き出されることになるので、左側の引出位置91bが今回の逆引出位置となる。すなわち、図5(1)、(2)では、出力巻線52をその巻回中に方向切換用ピン63に掛けて巻回方向を変えることで、逆引出位置である左側の引出位置91bから端線52aを引き出したことになる。
【0050】
その後、図5(3)に示すように、例えば時計回りの配置順に、他のステータティース22〜28に対して、それぞれに設定された巻回方向及び巻回数を巻回していく。そして、最後のステータティース28に巻回した後、他方の端線52bを左側の引出位置91bから引き出して、一番左のコネクタピン71に接続する。
【0051】
なお、出力巻線52の他方の端線52bを、仮に、右側のコネクタピン75、76に接続しなければならない場合には、右側の引出位置91aから端線52bを引き出すようにするのが望ましい。端線52bが長くなるのを防止するとともに、コネクタピン72に接続された他方の端線52aと交差するのを防止するためである。この場合、例えば、図6に示すように、最後のステータティース28に巻回した後、出力巻線52をステータティース21の裏側に通す。そして、右側の引出位置91aから端線52bを引き出して、コネクタピン76に接続する。
【0052】
SIN相の出力巻線52以外の他の相の巻線51、53についても、各ステータティース21〜28に巻回していく。この際、各端線51a、51b、53a、53bが長くなってしまう場合には、上記した出力巻線52のときと同様に、方向切換用ピン63を使用して、逆引出位置から引き出すようにする。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のレゾルバ1では、ステータティース21の根本付近に設けられた方向切換用ピン63を使用することで、ステータ巻線50の端線55の長さを短くできる。また、所定巻回方向及び所定巻回数が維持されているので、検出信号の精度が悪くのるのを防止できる。
【0054】
さらに、端線55を短くできることで、端線55を端線支持面62においてワニスで固定しない場合であっても、端線55が変動するのを抑制できる。よって、端線55をワニスで固定するワニス処理工程に伴うコストを軽減できる。
【0055】
(変形例1)
上記実施形態では、図5に示すように、最初に反時計回りの方向に一回だけ巻回し(同図(1))、その後、時計回りの方向の(N+1)回だけ巻回することで(同図(2))、差し引き、時計回りの方向にN回だけ巻回するようにしていた。しかしながら、差し引き、時計回りの方向にN回だけ巻回したことになるのであれば、上記実施形態に限定されず、例えば、図7のように巻回してもよい。すなわち、図7(1)に示すように、図5(1)と同様に、先ず、出力巻線52の導線を左側の引出位置91bから引き入れる。そして、そのまま、所定巻回方向の反対方向である反時計回りの方向に一回だけ巻回し、方向切換用ピン63に出力巻線52を掛ける。
【0056】
次いで、図7(2)に示すように、所定巻回方向である時計回りの方向に、所定巻回数Nより少ないα回だけ巻回する。その後、他のステータティース22〜28に対して、それぞれに設定された巻回方向及び巻回数を巻回していく。
【0057】
そして、最後のステータティース28に巻回した後、図7(3)に示すように、再度、ステータティース21に対して、時計回りの方向に、(N1+α−1)回だけ巻回する。これによって、図7の(1)、(2)、(3)のそれぞれの巻回数を差し引くと、所定巻回方向に所定巻回数Nだけ巻回したのと同じになる。その後、他方の端線52bを左側の引出位置91bから引き出して、コネクタピン71に接続する。
【0058】
このように、反時計回りの方向の巻回数を打ち消すための、時計回りの方向への巻回を、必要に応じて複数回に分けてもよい。
【0059】
また、反時計回りの方向の巻回数も一回でなく、必要に応じて何回巻回してもよい。この場合、時計回りの方向の巻回を、反時計回りの巻回数の分だけ多くする必要がある。
【0060】
(変形例2)
上記実施形態では、方向切換用ピン63は、左側の引出位置91b付近に設けられていた。これは、端線52aを左側の引出位置91bから引き出すようにするためである。この趣旨から、仮に、端線52aを右側の引出位置91aから引き出すようにする場合には、図8に示すように、右側の引出位置91a付近に方向切換用ピン64を設けるようにしてもよい。
【0061】
この場合、例えば、図9に示すように、ステータ巻線50を巻回する。なお、図9において、ステータ巻線50は、一番右のコネクタピン76から巻回が開始され、ステータティース21に対して、図9の反時計回りの方向に巻回数Nだけ巻回する必要があるとする。この場合は、図9(1)に示すように、ステータ巻線50の導線を右側の引出位置91aから引き入れる。そして、そのまま、所定巻回方向の反対方向である時計回りの方向に一回だけ巻回し、方向切換用ピン64にステータ巻線50を掛ける。
【0062】
次いで、図9(2)に示すように、所定巻回方向である反時計回りの方向に、(N+1)回だけ巻回する。つまり、所定巻回数Nよりも一回多く巻回する。これにより、ステータ巻線50の一方の端線55aを右側の引出位置91aから引き出したことになり、左側の引出位置91bから引き出した場合よりも端線55aを短くすることができる。なお、この場合、ステータ巻線50を所定巻回方向である反時計回りの方向に巻回すると、左側の引出位置91bから端線55が引き出されることになるので、左側の引出位置91bが今回の順引出位置となる。一方、ステータ巻線50を時計回りの方向に巻回すると、右側の引出位置91aから端線55が引き出されることになるので、右側の引出位置91aが今回の逆引出位置となる。よって、図9(1)、(2)では、ステータ巻線50をその巻回中に方向切換用ピン64に掛けて巻回方向を変えることで、逆引出位置である右側の引出位置91aから端線55aを引き出したことになる。
【0063】
その後、図9(3)に示すように、他のステータティース22〜28に対して、それぞれに設定された巻回方向及び巻回数を巻回していく。そして、最後のステータティース28に巻回した後、他方の端線55bを左側の引出位置91bから引き出して、一番左のコネクタピン71に接続する。
【0064】
(変形例3)
上記実施形態では、方向切換用ピン63は、左側の引出位置91b付近に設けられていたが、図10に示すように、両側の引出位置91a、91b付近にそれぞれ第一の方向切換用ピン65及び第二の方向切換用ピン66を設けるようにしても良い。そして、それら第一、第二の方向切換用ピン65、66のうち、今回の巻回方向及び端線55と接続するコネクタピン71〜76の位置に応じた一方を使用する。これによって、適宜に、巻回方向及び端線55と接続するコネクタピン71〜76を決定した場合でも、柔軟に対応することができる。なお、図10では、左側の第一の方向切換用ピン65がステータ巻線50に掛けられて使用されている。
【0065】
またこの場合、複数相のステータ巻線50のうちの一方に対して一方の方向切換用ピン65、66を使用して端線55の引出位置を調節し、他方のステータ巻線50に対して他方の方向切換用ピン65、66を使用して端線55の引出位置を調節するようにしても良い。
【0066】
(変形例4)
上記実施形態では、巻線掛け部として方向切換用ピンを設けていたが、図11、図12に示すように、方向切換用ピンに代えて、右側に引出位置91a付近から左側の引出位置91b付近に渡って、コネクタユニット60の端線支持面62に対して起立した方向切換用壁部67を設けるとしても良い。なお、図11は、図1において、方向切換用ピン63に代えて、方向切換用壁部67を図示した図であり、図12は、図3において、方向切換用ピン63に代えて、方向切換用壁部67を図示した図である。
【0067】
そして、方向切換用壁部67の両端部67a、67bのうち、今回の巻回方向及び端線55と接続するコネクタピン71〜76の位置に応じた一方を、ステータ巻線50に掛けられる巻線掛け部として使用する。これによって、適宜に、巻回方向及び端線55と接続するコネクタピン71〜76を決定した場合でも、柔軟に対応することができる。なお、図12では、左側の端部67bがステータ巻線50に掛けられて使用されている。また、複数相のステータ巻線50に対して、両方の端部67a、67bを使用しても良い。
【0068】
(第二実施形態)
上記実施形態ではレゾルバに本発明を適用した例について説明したが、回転同期装置としてのシンクロに本発明を適用してもよい。このシンクロは、ステータとロータとステータティースに巻回されたステータ巻線(励磁巻線、出力巻線)とを備えており、その出力巻線から、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力する点で、レゾルバと同じである。つまり、シンクロも、正弦波信号を出力するように、出力巻線の巻回方向及び巻回数が予め定められる。また、シンクロは、3相分の出力巻線がステータティースに巻回され、各出力巻線から出力される出力信号が、互いに位相角が120度ずれている点で、レゾルバと異なっている。このように、シンクロは、ステータ巻線の巻線構造以外はレゾルバと同じと考えることができるので、上記実施形態はそのままシンクロにも適用することができる。すなわち、励磁巻線及び3相分の出力巻線の少なくとも1つが、方向切換用ピンに掛けられることで、その端線を短くすることができる。
【0069】
ここで、図14は、シンクロの用途例を示した図である。シンクロは、図14に示すように、主に、複数の機器間でそれらの運転を同期させるために用いられ、一般的に、同じ構造のシンクロ発信機とシンクロ受信機のセットで用いられる。具体的には、図14において、シンクロとしてのシンクロ発信機702は、その回転軸701が、一方の機器(発信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ発信機702は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。また、同様に、シンクロとしてのシンクロ受信機703は、その回転軸704が他方の機器(受信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ受信機703は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。そして、これらシンクロ発信機702とシンクロ受信機703の各相が接続される。これらの動作について、(1)シンクロ発信機702とシンクロ受信機703でロータの位置が異なると、それらの間で電位差が生じ、各相に電流が流れる。(2)その電流によって、シンクロ受信機703のロータが回転する。すなわち、トルクが発生する。(3)シンクロ受信機703のロータ(回転軸704)の回転にともなって、それに接続された受信側の機器が回転される。(4)シンクロ受信機703のロータの位置がシンクロ発信機702のロータの位置と同じになると、各相に電流が流れなくなる。(5)電流が流れなくなると、シンクロ受信機703のロータの回転が停止される。よって、シンクロ発信機702とシンクロ受信機703のロータの位置が同じ、つまり発信側の機器と受信側に機器の運転が同期される。このように、レゾルバと同様に、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力するシンクロ発信機及びシンクロ受信機に対して本発明を適用しても、端線を短くできるので、好適である。
【0070】
なお、本発明に係るレゾルバ、シンクロは、上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変形することができる。例えば、上記実施形態では、輪状ステータの内側にロータが設けられたインナーロータ型のレゾルバ、シンクロについて説明したが、輪状ステータの外側にロータが設けられたアウターロータ型のレゾルバ、シンクロにも適用できる。また、上記実施形態では、ステータティースが輪状ステータの内方(半径方向)に向いたレゾルバ、シンクロについて説明したが、ステータティースが軸方向(スラスト方向)に向いたレゾルバ、シンクロにも適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 レゾルバ(回転角検出装置)
10 輪状ステータ(ステータ)
20、21〜28 ステータティース
50 ステータ巻線
51 励磁巻線
52、53 出力巻線
55、55a、55b、51a、51b、52a、52b、53a、53b 端線(引出線)
60 コネクタユニット
62 端線支持面
63、64 方向切換用ピン(巻線掛け部)
65、66 第一、第二の方向切換用ピン(巻線掛け部)
67 方向切換用壁部(巻線掛け部)
67a、67b 方向切換用壁部の端部
70、71〜76 コネクタピン
80 ロータ
91a、91b 引出位置
702 シンクロ発信機(シンクロ、回転同期装置)
703 シンクロ受信機(シンクロ、回転同期装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータティースが形成されたステータと、
そのステータに対して回転可能に設けられたロータと、
励磁信号が入力され、又は前記ロータの回転角に応じた検出信号が出力される、前記ステータティースに対して所定巻回方向に所定巻回数だけ巻回されるステータ巻線と、
前記ステータティースの近傍に設けられ、巻回中の前記ステータ巻線に掛けられて前記ステータ巻線の巻回方向を変えるための巻線掛け部と、を備え、
前記所定巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記ステータティースから引き出される前記ステータ巻線の引出線の引出位置を順引出位置とし、前記所定巻回方向とは反対の巻回方向に巻回したときの前記引出線の引出位置を逆引出位置としたときに、
前記引出線は、前記ステータ巻線がその巻回中に前記巻線掛け部に掛けられて前記反対の巻回方向に巻回されることで、前記逆引出位置から引き出され、前記順引出位置から引き出されたときよりも前記引出線の長さが短くされたことを特徴とする回転角検出又は回転同期装置。
【請求項2】
前記ステータ巻線は、前記反対の巻回方向の巻回数を差し引いた後の前記所定巻回方向の巻回数が前記所定巻回数とされることを特徴とする請求項1に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項3】
前記ステータ巻線の端線と電気的に接続され、前記ステータ巻線に対する信号の入出力をするコネクタピンを備え、
前記引出線は前記ステータ巻線の端線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項4】
前記巻線掛け部は、前記順引出位置よりも前記逆引出位置に近い位置に設けられた方向切換用ピンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項5】
互いに巻回方向が異なる一方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に設けられた第一の方向切換用ピンと、他方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に設けられた第二の方向切換用ピンとを備え、
それら第一、第二の方向切換用ピンのうちの、今回の前記逆引出位置とされる引出位置付近に設けられた一方が、前記ステータ巻線に掛けられて前記巻線掛け部として使用されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項6】
互いに巻回方向が異なる一方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近から、他方の巻回方向に前記ステータ巻線を巻回したときの前記引出線の引出位置付近に渡って設けられた方向切換用壁部を備え、
その方向切換用壁部の端部のうちの、今回の前記逆引出位置とされる引出位置付近に位置する一方が、前記ステータ巻線に掛けられて前記巻線掛け部として使用されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項7】
前記ステータ巻線は、前記巻線掛け部に支持されて崩れるのを防止されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転角検出又は回転同期装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−232213(P2011−232213A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103601(P2010−103601)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】