回転角検出装置
【課題】非接触で電源オフ時に回転体が回転された場合でも正確に絶対回転角を検出することができる回転角検出装置を提供する。
【解決手段】回転体に配設した硬磁性体に対向して、該硬磁性体により磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する発電型磁気検出部GM1、GM2と、これらの一方と磁気的に同位相及びこれらと90度の位相差を有する磁気検出信号S1、S2を出力する磁気検出部MD1、MD2とを配設し、電源オフ時に発電型磁気検出部GM1、GM2で発生されるパルス電圧により駆動され、パルス電圧が発生したときの磁気検出信号S1、S2から特定した回転方向に応じてパルス電圧数を加減算計数しその計数値を記憶する計数手段14bと、電源オン時に前記計数値に基づく回転領域と磁気的周期検出部MSからの磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部15とを備えている。
【解決手段】回転体に配設した硬磁性体に対向して、該硬磁性体により磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する発電型磁気検出部GM1、GM2と、これらの一方と磁気的に同位相及びこれらと90度の位相差を有する磁気検出信号S1、S2を出力する磁気検出部MD1、MD2とを配設し、電源オフ時に発電型磁気検出部GM1、GM2で発生されるパルス電圧により駆動され、パルス電圧が発生したときの磁気検出信号S1、S2から特定した回転方向に応じてパルス電圧数を加減算計数しその計数値を記憶する計数手段14bと、電源オン時に前記計数値に基づく回転領域と磁気的周期検出部MSからの磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部15とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在に支持された回転体の回転角を検出する回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転角検出装置としては、例えばステアリングロッドの速度と同じ速度で旋回し、多数のピックアップにより走査検出される第1の符号ディスクと、この第1の符号ディスクの速度の4分の1で旋回し、3つの符号トラックを有し、相応のピックアップによって走査検出される第2の符号ディスクとを有し、各ピックアップで走査検出した微信号及び粗信号を適切に結合して操舵角を検出するようにしたステアリング角度を検出するセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の回転角検出装置としては、例えばスプリングを介して本体に回転可能に取り付けられたカムと、このカムに係止され、多極の磁界と一極の磁界を並行に配置して形成した磁石リングと、前記多極の磁界を検知する複数個の第1の磁気抵抗素子と、前記一極の磁界を検知する第2の磁気抵抗素子と、第1及び第2の磁気抵抗素子の検知した磁界の変化をパルス信号に変換する回路とを備えた回転角検出装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表平8−511350号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特許第2532469号明細書(第1頁、図4、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、ステアリングロッドに第2の符号ディスクが遊星ギヤを介して連結されているので、構造が複雑でヒステリシスが大きく、また遊星ギヤの叩音の発生や摩耗等による経年変化を生じるという未解決の課題がある。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、ステアリング軸の回転に対して、非接触で回転を検出することができるものであるが、電源オフ時にステアリングホイールが回転すると、このときのステアリングシャフトの回転数は検出できず、電源オン時に正確な操舵絶対角を検出することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、非接触で電源オフ時に回転体が回転された場合でも正確に絶対回転角を検出することができる回転角検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る回転角検出装置は、回転自在に支持された回転体の外周面に配設される少なくとも1組のN極及びS極を有する硬磁性体と、当該硬磁性体と対向して配設され且つ前記硬磁性体によって予め設定した極の磁界が与えられたときパルス電圧を発生し且つ互いに磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する位置に配置された2つの発電型磁気検出部と、前記硬磁性体と対向して配設され、且つ一方は前記発電型磁気検出部の一方と同位相を有し、他方は前記発電型磁気検出部と磁気的に90度の位相差を有する磁気検出信号を出力する回転方向検出用の2つの磁気検出部と、前記硬磁性体の磁気的周期を検出する磁気的周期検出部と、前記パルス電圧が発生されたときの前記2つの磁気検出信号の信号値に基づいて前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、当該回転方向検出部で検出した回転方向に基づいて前記パルス電圧数を加減算計数して回転領域に応じた計数値を生成して記憶する計数手段と、電源オン時に前記計数手段に記憶されている計数値に基づく回転領域と前記磁気的周期検出部から出力される磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部と、を備え、前記磁気検出部、前記回転方向検出部及び前記計数手段は、少なくとも電源オフ時に各発電型磁気検出部で発生されるパルス電圧によって駆動されることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る回転角検出装置は、請求項1記載の回転角検出装置において、前記磁気検出部は磁極に応じた2値の磁気検出信号を出力し、前記回転方向検出部は、前記2つの磁気検出部からの磁気検出信号が共に同一値であるか否かに応じて回転方向を検出することを特徴としている。
また、請求項3に係る回転角検出装置は、請求項1又は請求項2記載の回転角検出装置において、前記発電型磁気検出部は、大バルクハウゼン現象を応用した磁気センサで構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に係る回転角検出装置は、請求項3記載の回転角検出装置において、前記磁気センサは、中心部分と外郭部分とで異なる磁気特性を有する複合磁性ワイやと該複合磁性ワイヤに巻装した検出コイルとで構成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る回転角検出装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の回転角検出装置において、前記回転体は操舵装置を構成するステアリングシャフトであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る回転角検出装置によれば、回転体の回転に伴って回転する硬磁性体に対向して、発電型磁気検出部を配設することにより、この発電型検出部から硬磁性体の回転に応じてパルス電圧を出力し、このパルス電圧で、磁気検出部、磁気的周期検出部、回転方向検出部及び計数手段を駆動して、パルス電圧を操舵方向に応じて加減算計数して記憶しておくことにより、電源オフ時に回転体が回転されたときの回転領域を特定することができる。このため、電源オン時に、記憶されている計数値に基づく回転領域と磁気検出部から検出される磁気的周期とに基づいて回転角検出部で正確な絶対回転角を検出することができる。
【0010】
また、磁気検出部からの、発電型磁気検出部に対して磁気的に同位相及び磁気的に90度の位相差を有する2つの磁気検出信号と、発電型磁気検出部からの、磁気的に180度の位相差を有する2つのパルス電圧とを用いることによって、2つの磁気検出信号がとる値の組み合わせから、磁気的周期におけるパルス電圧の発生タイミングを特定することができ、パルス電圧は予め設定した極の磁界が与えられたときに発生することから、パルス電圧の発生タイミングから回転方向を特定することができる。したがって、2つの磁気検出部を用いることにより、回転方向を容易に検出することができる。
また、本発明を操舵装置を構成するステアリングシャフトに適用することにより、操舵装置で電源オフ時に操舵を行っても操舵装置の絶対操舵角を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を操舵装置に適用した場合の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が回転体としてのステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、一端がステアリングホイール1に連結された入力軸2aと、この入力軸2aの他端に図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとで構成されている。そして、ステアリングシャフト2の回転角即ち操舵角が操舵角センサ3によって検出されると共に、ステアリングシャフト2に伝達される操舵トルクが操舵トルクセンサ4によって検出される。
【0012】
一方、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント5を介してロアシャフト6に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント7を介してピニオンシャフト8に伝達される。このピニオンシャフト8に伝達された操舵力はステアリングギヤ9を介してタイロッド10に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ9は、ピニオンシャフト8に連結されたピニオン9aとこのピニオン9aに噛合するラック9bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン9aに伝達された回転運動をラック9bで直進運動に変換している。
【0013】
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構11が連結されている。この操舵補助機構11は、出力軸2bに連結した減速ギヤ12と、この減速ギヤ12に連結された操舵補助力を発生する例えば直流モータで構成される電動モータ13とを備えている。
【0014】
操舵角センサ3は、図2に示すように、ステアリングシャフト2の入力軸2aの外周面に取付けられた、上半部をN極に、下半部をS極に励磁されたリング状の硬磁性体21と、この硬磁性体21の外周側に近接対向して円周方向に180°の間隔で固定配置された発電型磁気センサGM1及びGM2と、硬磁性体21の外周側に近接対向して固定配置された磁気検出素子MD1及びMD2と、同様に硬磁性体21の外周側に近接対向して固定配置された磁気的周期検出用の磁気検出素子MSと、を備え、磁気検出素子MD1及びMD2の一方は、磁気的に発電型磁気センサGM1及びGM2のうちの一方と同位相となり、且つ他方は各発電型磁気センサGM1及びGM2と90°の位相差となる位置に配置され、図2では、磁気検出素子MD1が、発電型磁気センサGM1及びGM2の両方に対し円周方向に90°の間隔で固定配置され、磁気検出素子MD2は、発電型磁気センサGM2と同位相となる位置に固定配置されている。また、磁気検出素子MSは、発電型磁気センサGM2に対して磁気的に45°の位相差となる位置に固定配置される。
【0015】
ここで、発電型磁気センサGM1及びGM2は、図3(a)に示すように、複合磁性ワイヤ22と、この複合磁性ワイヤ22の回りに巻装された検出コイル23とで構成されている。複合磁性ワイヤ22は、中心部と外郭部とで磁気を通し易い特性と磁石に近い特性との異なる磁気特性を有して、磁性体が磁化される時に、磁性体内部の微少な磁石単位の境界である磁壁が一度に移動する大バルクハウゼン現象を生じるように構成されている。この複合磁性ワイヤ22が硬磁性体21のN極によって磁化されると、急激な磁化の状態変化を生じ、この状態変化は短時間で発生するので、検出コイル23に電磁誘導による起電力が発生し、この起電力がパルス電圧として回転領域検出部14に出力される。これら発電型磁気センサGM1及びGM2で発生されるパルス電圧は、図3(b)に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2に硬磁性体21のN極及びS極による正弦波の磁界が加わるものとしたときに、N極による正の磁界が加えられたときに、所定のタイミング例えば磁界が零の状態から正方向に増加して所定値に達したとき、例えば45°の位置で外部磁界による急激な状態変化すなわち磁気反転を生じて、電磁誘導により検出コイル23からパルス電圧PViが出力される。このため、ステアリングホイール1を右切りしたときには、磁界が零である0°の状態から正方向に増加して例えば45°となったときに黒塗り図示のパルス電圧PViを生成し、逆にステアリングホイール1を左切りしたときには、磁界が零である180°の状態から正方向に増加して例えば135°となったときに斜線図示のパルス電圧PViを生成する。
【0016】
また、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2は、発電型磁気センサGM1及びGM2からのパルス電圧によって駆動され、硬磁性体21で発生する磁界に応じて磁極に応じたHIGHレベル及びLOWレベルのオンオフ信号を出力する、例えばデジタル出力型のホールIC等で構成され、その磁気検出信号S1及びS2は、回転領域検出部14に入力される。
【0017】
また、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSは、硬磁性体21の回転角度を0°から360°の範囲で検出する、例えばアナログ出力型のホールICや磁気センサ等で構成され、その磁気的周期検出信号S3は、後述のコントローラ15に入力される。
前記回転領域検出部14は、図4に示すように、論理回路14a及び不揮発性メモリ14bを備え、これら各部には、発電型磁気センサGM1及びGM2から出力されるパルス電圧PV1及びPV2が入力され、入力されたパルス電圧PVi(i=1又は2)によって駆動される。
【0018】
ここで、論理回路14aは、入力されるパルス電圧PViによって駆動され、同様にパルス電圧PViによって駆動される磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2を入力し、これらに基づき回転方向を判断し、回転方向に応じて加算信号又は減算信号を出力する。具体的には、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルであるとき回転方向は右と判断し、磁気検出信号SD1及びSD2のうち何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルであるとき回転方向は左と判断し、回転方向が右、すなわち右切りが行われたときには不揮発性メモリ14bに形成した加減算カウンタ領域への加算信号を出力し、回転方向が左、すなわち左切りが行われたときには前記加減算カウンタ領域への減算信号を出力する。
【0019】
前記不揮発性メモリ14bは、入力されるパルス電圧PViによって駆動され、論理回路14aから入力される加算信号又は減算信号に基づいて、加減算カウンタを構成する加減算カウンタ領域に記憶されているステアリングシャフト2の入力軸2aの回転領域を表す正負の値をとる計数値Nを、加算信号が入力されたときにカウントアップし、減算信号が入力されたときにカウントダウンするように構成されている。
【0020】
そして、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域に記憶されている回転領域を表す計数値Nは、後述するコントローラ15から読取り可能とされている。
図1に戻って、操舵トルクセンサ4は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気的変化又は電気的変化に変換して操舵トルク検出値Tを検出するように構成されている。
【0021】
そして、コントローラ15は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成され、バッテリ17からの電力がイグニッションスイッチ18及びフューズ19を介して入力される。このコントローラ15には、操舵トルクセンサ4で検出した操舵トルク検出値T及び車速センサ16で検出した車速検出値Vが入力されると共に、図示しないモータ電流検出回路で検出された電動モータ13に供給されるモータ電流検出値IMDも入力され、さらに回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの加減算カウンタに記憶されている計数値Nを読込み、操舵トルク検出値T、車速検出値V及びモータ電流検出値IMDに基づいて操舵補助制御処理を行うと共に、不揮発性メモリ14bの計数値Nに基づいて操舵角検出処理を実行する。
【0022】
操舵補助制御処理は、図5に示す機能ブロック図で表すように、操舵トルクセンサ4から入力される操舵トルクTが操舵補助指令値演算部40及びセンタ応答性改善部41に入力され、これら操舵補助指令値演算部40及びセンタ応答性改善部41の出力が加算器42に入力され、その加算結果がトルク制御演算部43に入力されている。センタ応答性改善部41は、アシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行う、トルク制御演算部43の出力信号はモータロス電流補償部44に入力され、その出力が加算器45を経て最大電流制限部46に入力され、最大電流制限部46で最大電流値が制限されて電流制御部50に入力される。モータロス電流補償部44は、モータ電流が流れてもモータ出力に現れない電流を上乗せして、モータ出力トルク“0”からの立ち上がりを改善し、最大電流制限部46は、電流指令値の最大値が定格電流となるように制限している。電流制御部50の出力は、Hブリッジ特性補償部51に入力され、これにより電流ドライブ回路52を介して電動モータ13を駆動する。
【0023】
電動モータ13のモータ電流はモータ電流オフセット補正部60を経てモータ角速度推定部61、電流ドライブ切換部62及び電流制御部50に入力され、モータ端子電圧Vmは直接モータ角速度推定部61に入力される。モータ角速度推定部61で推定された角速度ωmはモータ角加速度推定部・慣性補償部63、モータロストルク補償部64及びヨーレート推定部65に入力され、ヨーレート推定部65の出力は収斂性制御部66に入力され、収斂性制御部66及びモータロストルク補償部64の各出力は、加算器67で加算され、その加算結果がさらに加算器71を経て加算器42に入力される。モータ角加速度推定部・慣性補償部63はモータ慣性を加減速させるトルクを操舵トルクから排除し、慣性感の無い操舵感にし、収斂性制御部66は車両のヨーを改善するために、ステアリングホイール1が振れ回る動作を抑制する。モータロストルク補償部64は電動モータ13のロストルクの発生する方向、つまり電動モータ13のロストルクの発生する方向、つまり電動モータ13の回転方向に対してロストルク相当のアシストを行う。また、電流ディザ信号発生部80が設けられており、電流ディザ信号発生部80及びモータ角速度推定部・慣性補償部63の各出力が加算器81で加算され、その加算結果が加算器45に入力されている。電流ディザ信号発生部80は、モータが静摩擦で張りついてしまうのを防止する。
【0024】
また、加算器71には、ハンドル戻し制御部90からハンドル戻し制御信号HRが印加され、ハンドル戻し制御部90には車速センサ16からの車速V、後述する操舵角検出処理で算出した操舵角θR、操舵角速度ωhが入力されている。操舵角速度ωhとしては、操舵角θRを微分した微分値又はモータ角速度推定部61によって推定されたモータ角速度ωm、或いは舵角速度センサを設け、その舵角速度センサからの値を利用するようにしてもよい。
【0025】
ここで、ハンドル戻し制御部90の具体的構成は、図6に示すように、操舵角θRに基づいて所定関数でハンドル戻し基本電流値Irを出力するハンドル戻し基本電流回路90Aと、車速Vを入力して所定関数により車速Vに応じたゲインGvを出力するゲイン回路90Bと、ハンドル戻し基本電流回路90Aからのハンドル戻し基本電流値Irとゲイン回路90BからのゲインGvとを乗算する乗算器90Cと、乗算器90Cからの出力Ir・Gvを接点a又はbに切換えて出力するスイッチ90Dと、操舵角θR及び操舵角速度ωhを入力し、両者の符号の一致又は不一致を判定する符号判定回路90Fと、スイッチ90Dが接点b側に切換えられたときの出力を“0”とする零出力回路90Eとで構成されている。
【0026】
符号判定回路90Fは、判定信号としてスイッチ信号SWを出力してスイッチ90Dの接点を切り換えるが、操舵角θR及び操舵角速度ωhの符号が不一致のときにスイッチ信号SWで接点bに切り換える。また、スイッチ90Dの接点a,bは、操舵角速度ωhが零となったことを検出する回路(図示せず)からも切り換えられるようになっている。
一方、コントローラ15で実行する操舵角検出処理は、イグニッションスイッチ18がオン状態となってコントローラ15に電源が投入されている状態で、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として、図7に示す手順で実行される。
【0027】
なお、ここでは、図9に示すように、中立状態を0°とし、ステアリングシャフト2の回転する範囲を、LOCK TO LOCKの範囲である“−720°から+720°”の範囲とし、回転角度が180°毎に、一つの回転領域を設定している。すなわち、図9(d)に示すように、“−180°から0°”を回転領域RA(0)、“0°から180°”を回転領域RA(1)、“180°から360°”を回転領域RA(2)とし、以後同様にして、回転領域RA(3)、RA(4)とする。さらに、“−360°から−180°”を回転領域RA(−1)、“−540°から360°”を回転領域RA(−2)とし、“−720°から−540°”を回転領域RA(−3)とする。
【0028】
そして、操舵角検出処理では、まず、ステップS1で、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納された、イグニッションスイッチ18がオフ状態となる前に発電型磁気センサGM1又はGM2から最後にパルス電圧を入力したときの、ステアリングシャフト2の入力軸2aの回転領域を表す最終回転領域RAlastを読込み、これを基点領域RAsとする。
【0029】
次いで、ステップS2に移行し、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域から、イグニッションスイッチ18がオフ状態である期間における、回転領域の移動量を表す計数値Nと、操舵角センサ3の磁気的周期検出用の磁気検出素子MSから出力される磁気的周期検出信号S3と、を読込む。
次いで、ステップS3に移行し、ステップS1で設定した基点領域RAsを基点とし、計数値Nが正値であれば右回転方向、負値であれば左回転方向に回転領域を移動させ、現時点における入力軸2aの回転領域の領域値を表す現領域値Nnowを算出する。
【0030】
次いで、ステップS4に移行し、磁気検出素子MSからの磁気的周期検出信号S3に基づいて、0°から360°の範囲で舵角θを算出する。
次いで、ステップS5に移行して、ステップS3で検出した入力軸2aの現領域値Nnowと、ステップS4で算出した舵角θとから、操舵角θRを算出する。
【0031】
具体的には、図8に示すように、まず、ステップS11で、前記ステップS3で特定した入力軸2aの現在の回転領域を表す現領域値Nnowの符号が正負であるか“0”であるかを判定し、現領域値Nnowが“0”であるときにはステップS12に移行し、舵角θが、左切り第1周期目の回転領域RA(0)を基準として、その範囲を左切り方向に“−45°”、右切り方向に“+45°”だけ広げた、“−225°から45°”の範囲にあるものと判定する。
【0032】
そして、舵角θが0°≦θ<45°を満足するときには、舵角θが中立よりも右切り方向の第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、中立よりも左切り方向の第1周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。
【0033】
つまり、例えば、左切り360°の状態から右方向に操舵を行った場合、発電型磁気センサGM1又はGM2からのパルス電圧は、−315°、−135°、45°、225°のタイミングで発生され、逆に、右切り360°の状態から左方向に操舵を行った場合には、315°、135°、−45°、−225°のタイミングで発生され、180°毎に発生されることから、このパルス電圧をカウントすることにより回転領域を推測することができる。しかしながら、カウント値の更新タイミングと、回転領域RAの範囲が切り換わるタイミングとが異なるため、加減算カウンタのカウント値から特定される現領域値Nnowの範囲に対し、舵角θは、右操舵方向及び左操舵方向に45°ずつ拡大した角度範囲内に存在する可能性があることから、この範囲について操舵角θRを設定している。
そして、このようにして算出した操舵角θRを操舵角記憶領域に記憶した後、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻って、ステップS6に移行する。
【0034】
次に、ステップS11での判定結果が、現領域値Nnowの符号が正であるときには、ステップS13に移行し、回転領域Nnowが“1”であるか否かを判定し、Nnow=1であるときにはステップS14に移行し、舵角θが、右切り方向第1周期目の回転領域RA(1)を基準として、その範囲を左切り方向に−45°、右切り方向に+45°広げた、“−45°から225°”の範囲にあるものと判定する。そして、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θが右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<225°を満足しないときには、舵角θが左切り方向第1周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻って、ステップS6に移行する。
【0035】
次に、現領域値Nnowが“1”でないときにはステップS15に移行し、現領域値Nnowが“2”であればステップS16に移行する。そして、舵角θが、右切り方向第1周期目の回転領域RA(2)を基準とする、“135°から405°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに、“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0036】
次に、現領域値Nnowが“2”でないときには、ステップS17に移行し、現領域値Nnowが“3”であればステップS18に移行する。そして、舵角θが、右切り第2周期目の回転領域RA(3)を基準とする、“315°から585°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに、“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<225°を満足しないときには、舵角θは、右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0037】
次に、現領域値Nnowが“3”でないときにはステップS19に移行し、舵角θが、右切り方向第2周期目の回転領域RA(4)を基準とする、“495°から765°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第3周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに“720°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0038】
一方、前記ステップS11での判定結果が、現領域値Nnowの符号が負であるときには、ステップS21に移行し、現領域値Nnowが“−1”であるか否かを判定し、現領域値Nnowが“−1”であるときにはステップS22に移行し、舵角θが、左切り方向第1周期目の回転領域RA(−1)を基準として、“−405°から−135°”の範囲にあるものと判定する。そして、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θは、左切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<225°を満足しないときには、舵角θは、左切り方向第2周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0039】
次に、現領域値Nnowが“−1”でないときにはステップS23に移行し、現領域値Nnowが“−2”であればステップS24に移行する。そして、舵角θが、左切り方向第2周期目の回転領域RA(−2)を基準とする、“−585°から−315°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、左切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、左切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0040】
次に、現領域値Nnowが“−2”でないときにはステップS25に移行し、舵角θが、左切り方向第2周期目の回転領域RA(−3)を基準とする、“−765°から−495°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、左切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<225°を満足しないときには、左切り方向第3周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“1080°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0041】
このようにして、操舵角θRを算出したならば、図7のステップS6では、パルス電圧が発生したか否かを判断する。この判断は、例えば、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域を参照し、加減算カウンタが更新されたか否かにより判断する。加減算カウンタが更新されていれば、パルス電圧を発生したとしてステップS7に移行し、この時点における操舵角θRに基づいてこの加減算カウンタを更新させたパルス電圧がどの回転領域RAで発生されたかを検出し、検出した回転領域RAを、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納する。そして、ステップS8に移行する。
【0042】
一方、パルス電圧が発生していない場合にはそのままステップS8に移行する。そして、イグニッションスイッチ18がオフ状態となったかどうかを判断し、オフ状態となっていない場合にはそのままステップS2に戻り、引き続き所定のタイミングで操舵角θRの算出を行う。一方、イグニッションスイッチ18がオフ状態となった場合には、ステップS9に移行し、加減算カウンタを“0”にリセットした後、処理を終了する。なお、コントローラ15は、イグニッションスイッチ18がオフ状態となった場合であっても、イグニッションスイッチ18がオフ状態となったときに実行すべき所定の処理が終了するまでの間、少なくとも動作可能に構成されている。
【0043】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が走行状態にある状態から、例えば車両のステアリングホイール1を中立位置即ち直進走行時の操舵角θRが“0”となっている状態で停止させ、イグニッションスイッチ18をオフ状態としたものとする。
このイグニッションスイッチ18がオフ状態であるときにはコントローラ15に電源が投入されておらず、このコントローラ15で実行する操舵補助制御処理及び操舵角検出処理は作動停止状態にある。
【0044】
しかしながら、操舵角センサ3は、図2に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2を備えており、ステアリングホイール1が操舵されると、発電型磁気センサGM1及びGM2から出力されるパルス電圧PV1及びPV2が回転領域検出部14及び磁気検出素子MD1及びMD2に供給される。
ここで、ステアリングホイール1が操舵角0°にあるとき、図2に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2が、硬磁性体21のN極及びS極の境界線上に対向し、磁気検出素子MD1は硬磁性体21のS極の中央部に対向し、磁気検出素子MD2は、発電型磁気センサGM2と同様に、硬磁性体21のN極及びS極の境界線上に対向しているものとする。
【0045】
この状態では、ステアリングホイール1が操舵されていないので、図9(a)に示すように、各発電型磁気センサGM1及びGM2からパルス電圧PV1及びPV2は出力されず、回転領域検出部14及び磁気検出センサMD1及びMD2も作動停止状態にある。
この車両の停止状態で、車両に運転者が乗車して、ステアリングホイール1を例えば右切りすると、これに応じて硬磁性体21が図2で、矢印Aで示すように時計方向に回動する。このため、発電型磁気センサGM1に硬磁性体21のN極が近づくことになり、ステアリングホイール1が45°回転した位置で、発電型磁気センサGM1から図9(a)に示すパルス電圧PV1が出力される。
【0046】
このパルス電圧PV1が論理回路14a、不揮発性メモリ14b及び磁気検出素子MD1、MD2に供給されるので、これら論理回路14a、不揮発性メモリ14b、及び磁気検出素子MD1、MD2が作動状態となる。このため、磁気検出素子MD1、MD2から位相が90°ずれた磁気検出信号S1、S2(図9(d))が出力される。
【0047】
ここで、上記図3(b)に示すように、パルス電圧PViは、右切りの場合には45°の位置、左切りの場合には135°の位置で生成される。また、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2は90°の位相差があり、また、磁気検出信号S2は、発電型磁気センサGM2と同位相となるように配置されていることから、入力軸2aを右方向に回転させた場合に、発電型磁気センサGM1及びGM2の磁界がそれぞれ45°となる位置で生成されるパルス電圧PViのタイミングで、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又は共にLOWレベルとなり、逆に、左方向に回転させた場合に、磁界が135°となる位置で生成されるパルス電圧PViのタイミングで、磁気検出信号S1及びS2の一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなる。したがって、パルス電圧PViを入力したときに、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルであるときは、右切りが行われ、磁気検出信号S1及びS2の一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルであるときには、左切りが行われているとみなすことができる。
【0048】
上述のようにステアリングホイール1が45°回転された位置でパルス電圧PV1が入力されたとき、図9(d)に示すように、磁気検出信号S1及びS2は共にLOWレベルであることから、回転方向は右と判定され、論理回路14aから加算信号が出力され、これによって、不揮発性メモリ14bに形成された加減算カウンタがカウントアップし、加減算カウンタは、イグニッションスイッチ18オフ状態とした時点で加減算カウンタは“0”にリセットされていることから、計数値Nは“1”となる。
【0049】
この状態から、さらに、ステアリングホイール1の右切りを継続すると、図9(a)に示すように、ステアリングホイール1が中立位置から約225°回転した状態で、発電型磁気センサGM2からパルス電圧PV2が出力される。このパルス電圧PV2によって、再度論理回路14aと不揮発性メモリ14bと、磁気検出素子MD1及びMD2とが作動状態となって、論理回路14aにおいて回転方向が判別される。この場合、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2は共にHIGHレベルとなることから、回転方向は右と判定されて加算信号が出力され、加減算カウンタがカウントアップし、計数値Nは“2”となる。
【0050】
このステアリングホイール1を、225°を越えた例えば230°の状態で保舵した車両の停止状態から、車両を発進させるために、イグニッションスイッチ18をオン状態とすると、これに伴ってコントローラ15にバッテリ17からの電力が投入されることにより、このコントローラ15で操舵補助制御処理及び図7に示す操舵角検出処理が実行開始される。
【0051】
このうち、操舵角検出処理では、図7に示すように、まず、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納された、イグニッションスイッチ18がオフされる前に発電型磁気センサGM1又はGM2から最後にパルス電圧を入力したときの、このパルス電圧が存在する回転領域を表す最終回転領域RAlastを読込み、これを基点領域RAsとする。このとき、例えば、最終回転領域RAlastとしてRA(0)が格納されているものとすると、基点領域RAsとしてRA(0)が設定される(ステップS1)。
【0052】
次いで、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSの磁気的周期検出信号S3を読み込むと共に、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの加減算カウンタに記憶されている計数値Nを読み込み(ステップS2)、計数値Nと、基点領域RAsとから、現時点における入力軸2aの回転領域を表す現領域値Nnowを検出する。この場合、基点領域RAsはRA(0)、計数値Nは“2”であることから、現在の回転領域はRA(2)となって現領域値Nnowは“2”となる。
【0053】
そして、磁気検出素子MSからの磁気的周期検出信号S3に基づいて、“0°から360°”の範囲で舵角θが算出され(ステップS4)、この場合、ステアリングホイール1が中立位置に対して右方向に230°回転された位置で停止されているので、舵角θは230°として算出される。
【0054】
そして操舵角θRの算出が行われ、この時点における現領域値Nnowは“2”であることから、図8のステップS11からステップS13、ステップS15を経てステップS16に移行し、舵角θが230°であり、0°≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは、右切り第1周期目にあると判定され、舵角θがそのまま操舵角θRとして設定され、すなわち“230°”として算出され(ステップS5)、これが操舵角記憶領域に更新記憶されると共に、ハンドル戻し制御部90に出力される。この時点では、新たなパルス電圧が発生していないことから、図7のステップS6からステップS8を経てそのままメインプログラムに戻り、引き続き所定のタイミングで操舵角θRの算出を行う。
【0055】
一方、ハンドル戻し制御部90では、操舵角θRが230°で停止しているので、その微分値である操舵角速度ωhが“0”となるため、非操舵状態と判断してスイッチ90Dをb接点側に切り換え、ハンドル戻し制御信号HRを零とする。
この停止状態から、ステアリングホイール1を保舵したまま車両を旋回発進させてからステアリングホイール1を左切りして中立方向に戻すと、135°の位置に達するまでパルス電圧は発生されず加減算カウンタの更新は行われないことから、現領域値Nnowは“2”を維持するため、引き続き図8のステップS16で、舵角θの大きさに応じて操舵角θRが算出され、この時点では舵角θは0°≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは右切り第1周期目にあると判定されて、舵角θがそのまま操舵角θRとして算出される。このため、左方向への操舵に伴う舵角θの減少に伴って操舵角θRも減少する。
【0056】
そして、このようにして算出された操舵角θRは、逐次操舵角記憶領域に更新記憶されると共に、ハンドル戻し制御部90に出力される。
このとき、操舵角θRの符号は正であり、操舵角速度ωhの符号は左切りによる負であって両者の符号が異なることにより、ハンドル戻し状態であると判断されて、ハンドル戻し制御部90のスイッチ90Dがa接点側に切換えられ、これにより、操舵角θRに基づいてハンドル戻し電流基本回路90Aで算出されるハンドル戻し基本電流値Irにゲイン回路90Bから出力される車速感応ゲインGvとを乗算器90Cで乗算した値Ir・Gvがハンドル戻し制御信号HRとして加算器71に出力される。このため、ハンドル戻し時にのみ良好なハンドル戻し制御を行うことができる。
【0057】
この状態から、さらに左方向への操舵を行うと、操舵角θRが135°を越えた時点で、発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生され、これによって加減算カウンタが更新され、“1”になる。
このため、基点領域RAs(=RA(0))と計数値N(=1)とから、現領域値Nnowは“1”となり、図8のステップS11からステップS13を経てステップS14に移行し、舵角θが0°≦θ<225°を満足する間は、右切り第1周期目にあるものと判定されて舵角θがそのまま操舵角θRとして設定される。このため、左切り方向への操舵に伴う舵角θの減少に伴って操舵角θRも減少し、その後中立状態となり舵角θが略零となると、操舵角θRも略零として算出される。
【0058】
さらに、左切り方向に操舵を行い、中立状態を越えると、舵角θは0°≦θ<225°を満足しなくなることから、ステップS14の処理で、舵角θは、左切り第1周期目にあるものと判定され、舵角θから“360°”を減算した値が操舵角θRとして算出される。よって、例えば舵角θが“330°”の場合には、操舵角θRは“−30°”として算出される。
このとき、操舵角θRと操舵角速度ωhの符号が一致するため、ハンドル戻し制御部90で、スイッチ90Dがb接点に切り換えられることによりハンドル制御信号HRが“0”を維持し、ハンドル戻し制御が停止される。
【0059】
そして、引き続き左方向に操舵を行い“−270°”まで操舵した状態でイグニッションスイッチ18をオフ状態にすると、“−45°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されることからこの時点で、加減算カウンタが更新されて計数値Nは“0”となる。さらに、“−225°”を通過した時点で発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生され、同様にして減算信号が発生されて加減算カウンタの計数値Nは“0”から“−1”に変化し、“−270°”まで操舵された時点では、現領域値Nnowは“−1”であることから図8のステップS11からステップS21を経てステップS22に移行し、このときの舵角θ(=90°)は0°≦θ<225°を満足することから左切り第1周期目にあるものと判定されて舵角θから“360°”を減算した値が操舵角θR(=−270°)として算出される。
【0060】
このとき、パルス電圧が発生される毎に、パルス電圧が発生されたときの入力軸2a、つまり舵角θが存在する回転領域RAが逐次最終パルス記憶領域に記憶され、この“−225°”のタイミングでパルス電圧が発生されたときの入力軸2aの回転領域RA(−1)も、最終パルス記憶領域に格納される。そして、この場合、“−270°”まで操舵された後にイグニッションスイッチ18がオフ状態となるため、この時点で最終パルス記憶領域に格納されている回転領域RA(−1)が、最終回転領域RAlastとなる。そして、イグニッションスイッチ18がオフ状態となることから、図7のステップS8からステップS9に移行し、加減算カウンタが“0”にリセットされて操舵角検出処理が終了する。
【0061】
そして、このイグニッションスイッチ18がオフの状態で操舵が行われ、“−270°”から例えば“−160°”まで操舵されると、この間、発電型磁気センサGM1及びGM2の何れからもパルス電圧は発生されないため、加減算カウンタは“0”のままを維持する。このため、“−160°”まで戻した状態で、イグニッションスイッチ18がオン状態となった場合には、最終回転領域RAlastはRA(−1)であるためこれが基点領域RAsとなり、加減算カウンタの計数値Nは“0”のままであることから、現領域値Nnowは“−1”となる。よって、図8のステップS11からステップS21を経てステップS22に移行し、舵角θは、“−405°から−135°”の範囲に存在する可能性があると判定され、舵角θが0≦θ<225°を満足することから、舵角θは、左切り第1周期目にあるとして、舵角θ(=200°)から“360°”を減算した値、すなわち、“−160°”が操舵角θRとして算出される。そして、以後、上記と同様の手順で操舵角θRが算出される。
【0062】
このとき、“−270°”から“−160°ではなく、“−270°”から“−90°”まで操舵した後、イグニッションスイッチ18をオン状態にした場合には、“−135°”を通過した時点で、発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されるため、加減算カウンタは“1”に更新される。そして、基点領域RAsはRA(−1)であることから、現領域値Nnowは“1”となる。
このため、図8のステップS11からステップS12に移行し、舵角θは“270°”であって、0≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは、左切り第1周期目に存在するものと判定され、舵角θ(=270°)から“360°”を減算した値が操舵角θR(=−90°)として設定される。
【0063】
また、上記のように“−270°”の状態でイグニッションスイッチ18をオフ状態にした後、“−270°”から中立位置まで一旦戻し、その後、再度“−450°”まで左切りを行い、この時点で、イグニッションスイッチ18をオン状態とすると、“−270°”から右方向への操舵を行い、“−135°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されて加減算カウンタの計数値Nは“1”となり、その後、中立位置に達した後、左方向への操舵に切り換えると、“−45°”を通過する時点では発電型磁気センサGM2において磁気反転が発生しないためパルス電圧は発生されず、“−225°”を通過した時点で発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生されて計数値Nは“0”となり、さらに、“−405°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されて計数値Nは“−1”となる。よって、基点領域RAsはRA(−1)、計数値Nは“−1”であることから、現領域値Nnowは“−2”となるため、図8のステップS11からステップS21、ステップS23を経てステップS24に移行し、舵角θは、“−585°から−315°”の範囲にあると判定され、舵角θ(=270°)が0≦θ<45°を満足しないことから、左切り第2周期目にあるとして舵角θから“720°”を減算した値が操舵角θRとして設定され、すなわち、“−450°”として算出される。
【0064】
このように、上記実施の形態によれば、操舵角センサ3として発電型磁気センサGM1及びGM2を採用しているので、車両が停止状態でイグニッションスイッチ18がオフ状態であって、コントローラ15で操舵角検出が行えない状態であっても、ステアリングホイール1を操舵したときに、発電型磁気センサGM1及びGM2で発生されるパルス電圧PV1及びPV2に基づいて回転領域検出部14の論理回路14aと不揮発性メモリ14b、さらに磁気検出素子MD1及びMD2とが駆動されることにより、不揮発性メモリ14bに形成した加減算カウンタの計数値Nがステアリングホイール1の操舵による回転情報を表すことから、車両のイグニッションスイッチ18をオフ状態とした停止中に、ステアリングホイール1の操舵状態を正確に記憶することができ、その後、イグニッションスイッチ18をオン状態としてコントローラ15に電源が投入されて操舵角検出処理が実行されたときには、計数値Nと、イグニッションスイッチ18をオフ状態とする前に最後にパルス電圧を入力したときの舵角θの回転領域である最終回転領域RAlastとに基づいて正確な絶対角の操舵角θRを算出することができる。
【0065】
また、このとき、発電型磁気センサGM1及びGM2により発生されるパルス電圧PV1及びPV2によって、回転領域検出部14の論理回路14aと不揮発性メモリ14b、さらに磁気検出素子MD1及びMD2を駆動することで、ステアリングホイール1の操舵状態を表すパルス電圧数を得てこれを記憶するようにしているから、イグニッションスイッチ18がオフ状態である間の操舵状態を表すパルス電圧数を、最小限の電圧で獲得しこれを記憶することができ、より少ない消費電力で実現することができる。
そして、正確な操舵角θRに基づいてハンドル戻し制御部90でハンドル戻し制御を行うことにより、ステアリングホイール1を中立位置に戻すハンドル戻し時のみハンドル戻し制御を行うことにより、最適なハンドル戻し制御を行うことができる。
【0066】
また、パルス電圧が発生したときの、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1、S2に基づいて回転方向を検出しているため、2つの磁気検出素子を用いるだけで、ステアリングホイール1の回転方向を容易に検出することができ、この回転方向に応じてパルス電圧PViをカウントすることによって、回転方向に応じた回転領域の移動量を容易に検出することができる。
なお、上記実施形態においては、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを、硬磁性体21の外側に近接対向して固定配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図10(a)に示すように、硬磁性体21の回転軸上に固定配置してもよく、また図10(b)に示すように、硬磁性体21の上方に配置してもよい。
【0067】
同様に、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2を、図10(c)に示すように、硬磁性体21の上方に固定配置し、且つ、一方が発電型磁気センサMG1、MG2の何れか一方と同位相となり、また、他方が90°位相がずれるように配置してもよい。また、このように、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2を硬磁性体の上方向に固定した状態で、さらに、図10(d)に示すように、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを硬磁性体21の回転軸上に固定配置してもよく、図10(e)に示すように、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを、硬磁性体21の上方の、硬磁性体21の回転軸を挟んで磁気検出素子MD1と対向する位置に固定配置してもよい。
【0068】
同様に、発電型磁気センサMG1及びMG2を、図11(a)に示すように、硬磁性体21の上方に配置してもよく、また、図11(b)に示すように、発電型磁気センサMG1及びMG2と、磁気検出素子MD1及びMD2とを共に、硬磁性体21の上方に配置してもよく、また、図11(a)、(b)の何れの場合も発電型磁気センサMG1及びMG2の何れか一方のみを硬磁性体21の上方に配置してもよく、要は、硬磁性体21の回転に伴う磁極の反転に応じたタイミングで、発電型磁気センサGM1、GM2によりパルス電圧を発生させることの可能な位置であれば、どの位置に配置してもよい。なお、この場合も、磁気検出素子MSを、硬磁性体21の上方や回転軸上に配置してもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、硬磁性体21の着磁形態については言及していないが、図12(a)に示すように、硬磁性体21の円周方向に1組のN極及びS極を配置したり、図12(b)に示すように、軸方向にN極及びS極を着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として、2組の磁極部を形成したりしてもよい。さらには、図13(a)に示すように、硬磁性体21の対向する4半部を軸方向にN極及びS極を着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として2組の磁極部を形成したり、図13(b)に示すように、硬磁性体21の対向する4半部を半径方向にN極及びS極に着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として1組の磁極部を形成したり、図13(c)に示すように、非磁性部の円周方向の対向する4半部における外周面に軸方向に互いに逆方向に着磁した磁石部を形成したり、図13(d)に示すように、非磁性部の円周方向の対向する4半部における外周面に半径方向に互いに逆方向に着磁した磁石部を形成するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、硬磁性体21を円周方向に1組のN極及びS極を形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円周方向に2組のN極及びS極を交互に形成するようにしてもよく、この場合の着磁形態としては、図14(a)に示すように、円周方向に1組のN極及びS極を配置する場合や、図14(b)に示すように、軸方向にN極及びS極を着磁してその着磁方向を順次反転させる場合としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、磁気検出素子MD1及びMD2の磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルとなるときに右回転、何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなるときに左方向と判定する場合について説明したが、これに限らず、何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなるときに右回転、これらが共にHIGHレベル又はLOWレベルとなるときに左回転と判定するように、磁気検出素子MD1及びMD2を配置してもよく、要は、磁気検出信号S1及びS2のHIGHレベル及びLOWレベルの組み合わせによって回転方向を特定することができればどのような組み合わせであってもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、磁気検出素子MD1及びMD2として、デジタル出力型のホールICを用いた場合について説明したが、これに限るものではなく、アナログ出力型のホールICを用い、その検出信号から、磁極の極性に応じたHIGHレベル及びLOWレベルの2値の信号を生成するようにしてもよく、要は、磁極の極性に応じたHIGH及びLOWレベルの2値の信号を出力することができればどのようなセンサを用いても良い。
【0073】
さらに、上記実施形態においては、電動モータ13をHブリッジで駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではく、電動モータをブラシレスモータとしたインバータ回路で駆動するようにしてもよく、この場合には、操舵補助制御処理としてベクトル制御処理を適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、操舵角検出処理で検出した操舵角θRを電動パワーステアリング装置のハンドル戻し制御部90に供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、サスペンション制御装置や車両走行制御装置等の操舵角θRに基づいて制御を行う任意の車載装置に本発明を適用することができる。
【0074】
さらに、上記実施形態においては、操舵角を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、任意の回転体の絶対回転角を検出する場合に本発明を適用し得るものである。
ここで、上記実施形態において、発電型磁気センサGM1、GM2が発電型磁気検出部に対応し、磁気検出素子MD1、MD2が磁気検出部に対応し、磁気検出素子MSが磁気的周期検出部に対応し、論理回路14aが回転方向検出部に対応し、不揮発性メモリ14bが計数手段に対応し、コントローラ15が回転角検出部に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】操舵角センサを示す概略構成図である。
【図3】発電型磁気センサを示す説明図であって、(a)は構成図、(b)はパルス電圧波形図である。
【図4】回転領域検出部の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】コントローラで実行する操舵補助制御処理の機能ブロック図である。
【図6】図5のハンドル戻し制御部の具体的構成を示すブロック図である。
【図7】コントローラで実行する操舵角検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7の操舵角算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の動作の説明に供する信号波形図である。
【図10】回転方向検出用の磁気検出素子MD1、MD2及び磁気的周期検出用の磁気検出素子MSのその他の配置例を示す説明図である。
【図11】発電型磁気センサGM1及びGM2のその他の配置例を示す説明図である。
【図12】円周方向に1組の磁極部を形成した硬磁性体の着磁例を示す説明図である。
【図13】円周方向に1組の磁極部を形成した硬磁性体の着磁例の他の例を示す説明図である。
【図14】円周方向に2組の磁極部を形成した硬磁性体を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
9 ステアリングギヤ機構
11 操舵補助機構
12 減速ギヤ
13 電動モータ
14 回転領域検出部
15 コントローラ
16 車速センサ
17 バッテリ
18 イグニッションスイッチ
GM1、GM2 発電型磁気センサ
MD1、MD2 磁気検出素子
MS 磁気検出素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在に支持された回転体の回転角を検出する回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転角検出装置としては、例えばステアリングロッドの速度と同じ速度で旋回し、多数のピックアップにより走査検出される第1の符号ディスクと、この第1の符号ディスクの速度の4分の1で旋回し、3つの符号トラックを有し、相応のピックアップによって走査検出される第2の符号ディスクとを有し、各ピックアップで走査検出した微信号及び粗信号を適切に結合して操舵角を検出するようにしたステアリング角度を検出するセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の回転角検出装置としては、例えばスプリングを介して本体に回転可能に取り付けられたカムと、このカムに係止され、多極の磁界と一極の磁界を並行に配置して形成した磁石リングと、前記多極の磁界を検知する複数個の第1の磁気抵抗素子と、前記一極の磁界を検知する第2の磁気抵抗素子と、第1及び第2の磁気抵抗素子の検知した磁界の変化をパルス信号に変換する回路とを備えた回転角検出装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表平8−511350号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特許第2532469号明細書(第1頁、図4、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、ステアリングロッドに第2の符号ディスクが遊星ギヤを介して連結されているので、構造が複雑でヒステリシスが大きく、また遊星ギヤの叩音の発生や摩耗等による経年変化を生じるという未解決の課題がある。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、ステアリング軸の回転に対して、非接触で回転を検出することができるものであるが、電源オフ時にステアリングホイールが回転すると、このときのステアリングシャフトの回転数は検出できず、電源オン時に正確な操舵絶対角を検出することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、非接触で電源オフ時に回転体が回転された場合でも正確に絶対回転角を検出することができる回転角検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る回転角検出装置は、回転自在に支持された回転体の外周面に配設される少なくとも1組のN極及びS極を有する硬磁性体と、当該硬磁性体と対向して配設され且つ前記硬磁性体によって予め設定した極の磁界が与えられたときパルス電圧を発生し且つ互いに磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する位置に配置された2つの発電型磁気検出部と、前記硬磁性体と対向して配設され、且つ一方は前記発電型磁気検出部の一方と同位相を有し、他方は前記発電型磁気検出部と磁気的に90度の位相差を有する磁気検出信号を出力する回転方向検出用の2つの磁気検出部と、前記硬磁性体の磁気的周期を検出する磁気的周期検出部と、前記パルス電圧が発生されたときの前記2つの磁気検出信号の信号値に基づいて前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、当該回転方向検出部で検出した回転方向に基づいて前記パルス電圧数を加減算計数して回転領域に応じた計数値を生成して記憶する計数手段と、電源オン時に前記計数手段に記憶されている計数値に基づく回転領域と前記磁気的周期検出部から出力される磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部と、を備え、前記磁気検出部、前記回転方向検出部及び前記計数手段は、少なくとも電源オフ時に各発電型磁気検出部で発生されるパルス電圧によって駆動されることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る回転角検出装置は、請求項1記載の回転角検出装置において、前記磁気検出部は磁極に応じた2値の磁気検出信号を出力し、前記回転方向検出部は、前記2つの磁気検出部からの磁気検出信号が共に同一値であるか否かに応じて回転方向を検出することを特徴としている。
また、請求項3に係る回転角検出装置は、請求項1又は請求項2記載の回転角検出装置において、前記発電型磁気検出部は、大バルクハウゼン現象を応用した磁気センサで構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に係る回転角検出装置は、請求項3記載の回転角検出装置において、前記磁気センサは、中心部分と外郭部分とで異なる磁気特性を有する複合磁性ワイやと該複合磁性ワイヤに巻装した検出コイルとで構成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る回転角検出装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の回転角検出装置において、前記回転体は操舵装置を構成するステアリングシャフトであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る回転角検出装置によれば、回転体の回転に伴って回転する硬磁性体に対向して、発電型磁気検出部を配設することにより、この発電型検出部から硬磁性体の回転に応じてパルス電圧を出力し、このパルス電圧で、磁気検出部、磁気的周期検出部、回転方向検出部及び計数手段を駆動して、パルス電圧を操舵方向に応じて加減算計数して記憶しておくことにより、電源オフ時に回転体が回転されたときの回転領域を特定することができる。このため、電源オン時に、記憶されている計数値に基づく回転領域と磁気検出部から検出される磁気的周期とに基づいて回転角検出部で正確な絶対回転角を検出することができる。
【0010】
また、磁気検出部からの、発電型磁気検出部に対して磁気的に同位相及び磁気的に90度の位相差を有する2つの磁気検出信号と、発電型磁気検出部からの、磁気的に180度の位相差を有する2つのパルス電圧とを用いることによって、2つの磁気検出信号がとる値の組み合わせから、磁気的周期におけるパルス電圧の発生タイミングを特定することができ、パルス電圧は予め設定した極の磁界が与えられたときに発生することから、パルス電圧の発生タイミングから回転方向を特定することができる。したがって、2つの磁気検出部を用いることにより、回転方向を容易に検出することができる。
また、本発明を操舵装置を構成するステアリングシャフトに適用することにより、操舵装置で電源オフ時に操舵を行っても操舵装置の絶対操舵角を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を操舵装置に適用した場合の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が回転体としてのステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、一端がステアリングホイール1に連結された入力軸2aと、この入力軸2aの他端に図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとで構成されている。そして、ステアリングシャフト2の回転角即ち操舵角が操舵角センサ3によって検出されると共に、ステアリングシャフト2に伝達される操舵トルクが操舵トルクセンサ4によって検出される。
【0012】
一方、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント5を介してロアシャフト6に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント7を介してピニオンシャフト8に伝達される。このピニオンシャフト8に伝達された操舵力はステアリングギヤ9を介してタイロッド10に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ9は、ピニオンシャフト8に連結されたピニオン9aとこのピニオン9aに噛合するラック9bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン9aに伝達された回転運動をラック9bで直進運動に変換している。
【0013】
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構11が連結されている。この操舵補助機構11は、出力軸2bに連結した減速ギヤ12と、この減速ギヤ12に連結された操舵補助力を発生する例えば直流モータで構成される電動モータ13とを備えている。
【0014】
操舵角センサ3は、図2に示すように、ステアリングシャフト2の入力軸2aの外周面に取付けられた、上半部をN極に、下半部をS極に励磁されたリング状の硬磁性体21と、この硬磁性体21の外周側に近接対向して円周方向に180°の間隔で固定配置された発電型磁気センサGM1及びGM2と、硬磁性体21の外周側に近接対向して固定配置された磁気検出素子MD1及びMD2と、同様に硬磁性体21の外周側に近接対向して固定配置された磁気的周期検出用の磁気検出素子MSと、を備え、磁気検出素子MD1及びMD2の一方は、磁気的に発電型磁気センサGM1及びGM2のうちの一方と同位相となり、且つ他方は各発電型磁気センサGM1及びGM2と90°の位相差となる位置に配置され、図2では、磁気検出素子MD1が、発電型磁気センサGM1及びGM2の両方に対し円周方向に90°の間隔で固定配置され、磁気検出素子MD2は、発電型磁気センサGM2と同位相となる位置に固定配置されている。また、磁気検出素子MSは、発電型磁気センサGM2に対して磁気的に45°の位相差となる位置に固定配置される。
【0015】
ここで、発電型磁気センサGM1及びGM2は、図3(a)に示すように、複合磁性ワイヤ22と、この複合磁性ワイヤ22の回りに巻装された検出コイル23とで構成されている。複合磁性ワイヤ22は、中心部と外郭部とで磁気を通し易い特性と磁石に近い特性との異なる磁気特性を有して、磁性体が磁化される時に、磁性体内部の微少な磁石単位の境界である磁壁が一度に移動する大バルクハウゼン現象を生じるように構成されている。この複合磁性ワイヤ22が硬磁性体21のN極によって磁化されると、急激な磁化の状態変化を生じ、この状態変化は短時間で発生するので、検出コイル23に電磁誘導による起電力が発生し、この起電力がパルス電圧として回転領域検出部14に出力される。これら発電型磁気センサGM1及びGM2で発生されるパルス電圧は、図3(b)に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2に硬磁性体21のN極及びS極による正弦波の磁界が加わるものとしたときに、N極による正の磁界が加えられたときに、所定のタイミング例えば磁界が零の状態から正方向に増加して所定値に達したとき、例えば45°の位置で外部磁界による急激な状態変化すなわち磁気反転を生じて、電磁誘導により検出コイル23からパルス電圧PViが出力される。このため、ステアリングホイール1を右切りしたときには、磁界が零である0°の状態から正方向に増加して例えば45°となったときに黒塗り図示のパルス電圧PViを生成し、逆にステアリングホイール1を左切りしたときには、磁界が零である180°の状態から正方向に増加して例えば135°となったときに斜線図示のパルス電圧PViを生成する。
【0016】
また、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2は、発電型磁気センサGM1及びGM2からのパルス電圧によって駆動され、硬磁性体21で発生する磁界に応じて磁極に応じたHIGHレベル及びLOWレベルのオンオフ信号を出力する、例えばデジタル出力型のホールIC等で構成され、その磁気検出信号S1及びS2は、回転領域検出部14に入力される。
【0017】
また、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSは、硬磁性体21の回転角度を0°から360°の範囲で検出する、例えばアナログ出力型のホールICや磁気センサ等で構成され、その磁気的周期検出信号S3は、後述のコントローラ15に入力される。
前記回転領域検出部14は、図4に示すように、論理回路14a及び不揮発性メモリ14bを備え、これら各部には、発電型磁気センサGM1及びGM2から出力されるパルス電圧PV1及びPV2が入力され、入力されたパルス電圧PVi(i=1又は2)によって駆動される。
【0018】
ここで、論理回路14aは、入力されるパルス電圧PViによって駆動され、同様にパルス電圧PViによって駆動される磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2を入力し、これらに基づき回転方向を判断し、回転方向に応じて加算信号又は減算信号を出力する。具体的には、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルであるとき回転方向は右と判断し、磁気検出信号SD1及びSD2のうち何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルであるとき回転方向は左と判断し、回転方向が右、すなわち右切りが行われたときには不揮発性メモリ14bに形成した加減算カウンタ領域への加算信号を出力し、回転方向が左、すなわち左切りが行われたときには前記加減算カウンタ領域への減算信号を出力する。
【0019】
前記不揮発性メモリ14bは、入力されるパルス電圧PViによって駆動され、論理回路14aから入力される加算信号又は減算信号に基づいて、加減算カウンタを構成する加減算カウンタ領域に記憶されているステアリングシャフト2の入力軸2aの回転領域を表す正負の値をとる計数値Nを、加算信号が入力されたときにカウントアップし、減算信号が入力されたときにカウントダウンするように構成されている。
【0020】
そして、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域に記憶されている回転領域を表す計数値Nは、後述するコントローラ15から読取り可能とされている。
図1に戻って、操舵トルクセンサ4は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気的変化又は電気的変化に変換して操舵トルク検出値Tを検出するように構成されている。
【0021】
そして、コントローラ15は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成され、バッテリ17からの電力がイグニッションスイッチ18及びフューズ19を介して入力される。このコントローラ15には、操舵トルクセンサ4で検出した操舵トルク検出値T及び車速センサ16で検出した車速検出値Vが入力されると共に、図示しないモータ電流検出回路で検出された電動モータ13に供給されるモータ電流検出値IMDも入力され、さらに回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの加減算カウンタに記憶されている計数値Nを読込み、操舵トルク検出値T、車速検出値V及びモータ電流検出値IMDに基づいて操舵補助制御処理を行うと共に、不揮発性メモリ14bの計数値Nに基づいて操舵角検出処理を実行する。
【0022】
操舵補助制御処理は、図5に示す機能ブロック図で表すように、操舵トルクセンサ4から入力される操舵トルクTが操舵補助指令値演算部40及びセンタ応答性改善部41に入力され、これら操舵補助指令値演算部40及びセンタ応答性改善部41の出力が加算器42に入力され、その加算結果がトルク制御演算部43に入力されている。センタ応答性改善部41は、アシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行う、トルク制御演算部43の出力信号はモータロス電流補償部44に入力され、その出力が加算器45を経て最大電流制限部46に入力され、最大電流制限部46で最大電流値が制限されて電流制御部50に入力される。モータロス電流補償部44は、モータ電流が流れてもモータ出力に現れない電流を上乗せして、モータ出力トルク“0”からの立ち上がりを改善し、最大電流制限部46は、電流指令値の最大値が定格電流となるように制限している。電流制御部50の出力は、Hブリッジ特性補償部51に入力され、これにより電流ドライブ回路52を介して電動モータ13を駆動する。
【0023】
電動モータ13のモータ電流はモータ電流オフセット補正部60を経てモータ角速度推定部61、電流ドライブ切換部62及び電流制御部50に入力され、モータ端子電圧Vmは直接モータ角速度推定部61に入力される。モータ角速度推定部61で推定された角速度ωmはモータ角加速度推定部・慣性補償部63、モータロストルク補償部64及びヨーレート推定部65に入力され、ヨーレート推定部65の出力は収斂性制御部66に入力され、収斂性制御部66及びモータロストルク補償部64の各出力は、加算器67で加算され、その加算結果がさらに加算器71を経て加算器42に入力される。モータ角加速度推定部・慣性補償部63はモータ慣性を加減速させるトルクを操舵トルクから排除し、慣性感の無い操舵感にし、収斂性制御部66は車両のヨーを改善するために、ステアリングホイール1が振れ回る動作を抑制する。モータロストルク補償部64は電動モータ13のロストルクの発生する方向、つまり電動モータ13のロストルクの発生する方向、つまり電動モータ13の回転方向に対してロストルク相当のアシストを行う。また、電流ディザ信号発生部80が設けられており、電流ディザ信号発生部80及びモータ角速度推定部・慣性補償部63の各出力が加算器81で加算され、その加算結果が加算器45に入力されている。電流ディザ信号発生部80は、モータが静摩擦で張りついてしまうのを防止する。
【0024】
また、加算器71には、ハンドル戻し制御部90からハンドル戻し制御信号HRが印加され、ハンドル戻し制御部90には車速センサ16からの車速V、後述する操舵角検出処理で算出した操舵角θR、操舵角速度ωhが入力されている。操舵角速度ωhとしては、操舵角θRを微分した微分値又はモータ角速度推定部61によって推定されたモータ角速度ωm、或いは舵角速度センサを設け、その舵角速度センサからの値を利用するようにしてもよい。
【0025】
ここで、ハンドル戻し制御部90の具体的構成は、図6に示すように、操舵角θRに基づいて所定関数でハンドル戻し基本電流値Irを出力するハンドル戻し基本電流回路90Aと、車速Vを入力して所定関数により車速Vに応じたゲインGvを出力するゲイン回路90Bと、ハンドル戻し基本電流回路90Aからのハンドル戻し基本電流値Irとゲイン回路90BからのゲインGvとを乗算する乗算器90Cと、乗算器90Cからの出力Ir・Gvを接点a又はbに切換えて出力するスイッチ90Dと、操舵角θR及び操舵角速度ωhを入力し、両者の符号の一致又は不一致を判定する符号判定回路90Fと、スイッチ90Dが接点b側に切換えられたときの出力を“0”とする零出力回路90Eとで構成されている。
【0026】
符号判定回路90Fは、判定信号としてスイッチ信号SWを出力してスイッチ90Dの接点を切り換えるが、操舵角θR及び操舵角速度ωhの符号が不一致のときにスイッチ信号SWで接点bに切り換える。また、スイッチ90Dの接点a,bは、操舵角速度ωhが零となったことを検出する回路(図示せず)からも切り換えられるようになっている。
一方、コントローラ15で実行する操舵角検出処理は、イグニッションスイッチ18がオン状態となってコントローラ15に電源が投入されている状態で、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として、図7に示す手順で実行される。
【0027】
なお、ここでは、図9に示すように、中立状態を0°とし、ステアリングシャフト2の回転する範囲を、LOCK TO LOCKの範囲である“−720°から+720°”の範囲とし、回転角度が180°毎に、一つの回転領域を設定している。すなわち、図9(d)に示すように、“−180°から0°”を回転領域RA(0)、“0°から180°”を回転領域RA(1)、“180°から360°”を回転領域RA(2)とし、以後同様にして、回転領域RA(3)、RA(4)とする。さらに、“−360°から−180°”を回転領域RA(−1)、“−540°から360°”を回転領域RA(−2)とし、“−720°から−540°”を回転領域RA(−3)とする。
【0028】
そして、操舵角検出処理では、まず、ステップS1で、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納された、イグニッションスイッチ18がオフ状態となる前に発電型磁気センサGM1又はGM2から最後にパルス電圧を入力したときの、ステアリングシャフト2の入力軸2aの回転領域を表す最終回転領域RAlastを読込み、これを基点領域RAsとする。
【0029】
次いで、ステップS2に移行し、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域から、イグニッションスイッチ18がオフ状態である期間における、回転領域の移動量を表す計数値Nと、操舵角センサ3の磁気的周期検出用の磁気検出素子MSから出力される磁気的周期検出信号S3と、を読込む。
次いで、ステップS3に移行し、ステップS1で設定した基点領域RAsを基点とし、計数値Nが正値であれば右回転方向、負値であれば左回転方向に回転領域を移動させ、現時点における入力軸2aの回転領域の領域値を表す現領域値Nnowを算出する。
【0030】
次いで、ステップS4に移行し、磁気検出素子MSからの磁気的周期検出信号S3に基づいて、0°から360°の範囲で舵角θを算出する。
次いで、ステップS5に移行して、ステップS3で検出した入力軸2aの現領域値Nnowと、ステップS4で算出した舵角θとから、操舵角θRを算出する。
【0031】
具体的には、図8に示すように、まず、ステップS11で、前記ステップS3で特定した入力軸2aの現在の回転領域を表す現領域値Nnowの符号が正負であるか“0”であるかを判定し、現領域値Nnowが“0”であるときにはステップS12に移行し、舵角θが、左切り第1周期目の回転領域RA(0)を基準として、その範囲を左切り方向に“−45°”、右切り方向に“+45°”だけ広げた、“−225°から45°”の範囲にあるものと判定する。
【0032】
そして、舵角θが0°≦θ<45°を満足するときには、舵角θが中立よりも右切り方向の第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、中立よりも左切り方向の第1周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。
【0033】
つまり、例えば、左切り360°の状態から右方向に操舵を行った場合、発電型磁気センサGM1又はGM2からのパルス電圧は、−315°、−135°、45°、225°のタイミングで発生され、逆に、右切り360°の状態から左方向に操舵を行った場合には、315°、135°、−45°、−225°のタイミングで発生され、180°毎に発生されることから、このパルス電圧をカウントすることにより回転領域を推測することができる。しかしながら、カウント値の更新タイミングと、回転領域RAの範囲が切り換わるタイミングとが異なるため、加減算カウンタのカウント値から特定される現領域値Nnowの範囲に対し、舵角θは、右操舵方向及び左操舵方向に45°ずつ拡大した角度範囲内に存在する可能性があることから、この範囲について操舵角θRを設定している。
そして、このようにして算出した操舵角θRを操舵角記憶領域に記憶した後、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻って、ステップS6に移行する。
【0034】
次に、ステップS11での判定結果が、現領域値Nnowの符号が正であるときには、ステップS13に移行し、回転領域Nnowが“1”であるか否かを判定し、Nnow=1であるときにはステップS14に移行し、舵角θが、右切り方向第1周期目の回転領域RA(1)を基準として、その範囲を左切り方向に−45°、右切り方向に+45°広げた、“−45°から225°”の範囲にあるものと判定する。そして、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θが右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<225°を満足しないときには、舵角θが左切り方向第1周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻って、ステップS6に移行する。
【0035】
次に、現領域値Nnowが“1”でないときにはステップS15に移行し、現領域値Nnowが“2”であればステップS16に移行する。そして、舵角θが、右切り方向第1周期目の回転領域RA(2)を基準とする、“135°から405°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに、“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0036】
次に、現領域値Nnowが“2”でないときには、ステップS17に移行し、現領域値Nnowが“3”であればステップS18に移行する。そして、舵角θが、右切り第2周期目の回転領域RA(3)を基準とする、“315°から585°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに、“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<225°を満足しないときには、舵角θは、右切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θをそのまま操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0037】
次に、現領域値Nnowが“3”でないときにはステップS19に移行し、舵角θが、右切り方向第2周期目の回転領域RA(4)を基準とする、“495°から765°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、右切り方向第3周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに“720°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、右切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θに“360°”を加算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0038】
一方、前記ステップS11での判定結果が、現領域値Nnowの符号が負であるときには、ステップS21に移行し、現領域値Nnowが“−1”であるか否かを判定し、現領域値Nnowが“−1”であるときにはステップS22に移行し、舵角θが、左切り方向第1周期目の回転領域RA(−1)を基準として、“−405°から−135°”の範囲にあるものと判定する。そして、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、舵角θは、左切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとしてRAM等の記憶部に形成した操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0°≦θ<225°を満足しないときには、舵角θは、左切り方向第2周期目にあるものと判定し、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0039】
次に、現領域値Nnowが“−1”でないときにはステップS23に移行し、現領域値Nnowが“−2”であればステップS24に移行する。そして、舵角θが、左切り方向第2周期目の回転領域RA(−2)を基準とする、“−585°から−315°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0≦θ<45°を満足するときには、舵角θは、左切り方向第1周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“360°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<45°を満足しないときには、舵角θは、左切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行し、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0040】
次に、現領域値Nnowが“−2”でないときにはステップS25に移行し、舵角θが、左切り方向第2周期目の回転領域RA(−3)を基準とする、“−765°から−495°”の範囲にあるものと判定し、舵角θが0°≦θ<225°を満足するときには、左切り方向第2周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“720°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。一方、舵角θが0≦θ<225°を満足しないときには、左切り方向第3周期目にあるものと判定して、ステップS4で算出した舵角θから“1080°”を減算した値を操舵角θRとして操舵角記憶領域に記憶する。そして、ステップS30に移行して、操舵角記憶領域に記憶されている操舵角θRをハンドル戻し制御部90に出力してから図7に戻ってステップS6に移行する。
【0041】
このようにして、操舵角θRを算出したならば、図7のステップS6では、パルス電圧が発生したか否かを判断する。この判断は、例えば、不揮発性メモリ14bの加減算カウンタ領域を参照し、加減算カウンタが更新されたか否かにより判断する。加減算カウンタが更新されていれば、パルス電圧を発生したとしてステップS7に移行し、この時点における操舵角θRに基づいてこの加減算カウンタを更新させたパルス電圧がどの回転領域RAで発生されたかを検出し、検出した回転領域RAを、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納する。そして、ステップS8に移行する。
【0042】
一方、パルス電圧が発生していない場合にはそのままステップS8に移行する。そして、イグニッションスイッチ18がオフ状態となったかどうかを判断し、オフ状態となっていない場合にはそのままステップS2に戻り、引き続き所定のタイミングで操舵角θRの算出を行う。一方、イグニッションスイッチ18がオフ状態となった場合には、ステップS9に移行し、加減算カウンタを“0”にリセットした後、処理を終了する。なお、コントローラ15は、イグニッションスイッチ18がオフ状態となった場合であっても、イグニッションスイッチ18がオフ状態となったときに実行すべき所定の処理が終了するまでの間、少なくとも動作可能に構成されている。
【0043】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が走行状態にある状態から、例えば車両のステアリングホイール1を中立位置即ち直進走行時の操舵角θRが“0”となっている状態で停止させ、イグニッションスイッチ18をオフ状態としたものとする。
このイグニッションスイッチ18がオフ状態であるときにはコントローラ15に電源が投入されておらず、このコントローラ15で実行する操舵補助制御処理及び操舵角検出処理は作動停止状態にある。
【0044】
しかしながら、操舵角センサ3は、図2に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2を備えており、ステアリングホイール1が操舵されると、発電型磁気センサGM1及びGM2から出力されるパルス電圧PV1及びPV2が回転領域検出部14及び磁気検出素子MD1及びMD2に供給される。
ここで、ステアリングホイール1が操舵角0°にあるとき、図2に示すように、発電型磁気センサGM1及びGM2が、硬磁性体21のN極及びS極の境界線上に対向し、磁気検出素子MD1は硬磁性体21のS極の中央部に対向し、磁気検出素子MD2は、発電型磁気センサGM2と同様に、硬磁性体21のN極及びS極の境界線上に対向しているものとする。
【0045】
この状態では、ステアリングホイール1が操舵されていないので、図9(a)に示すように、各発電型磁気センサGM1及びGM2からパルス電圧PV1及びPV2は出力されず、回転領域検出部14及び磁気検出センサMD1及びMD2も作動停止状態にある。
この車両の停止状態で、車両に運転者が乗車して、ステアリングホイール1を例えば右切りすると、これに応じて硬磁性体21が図2で、矢印Aで示すように時計方向に回動する。このため、発電型磁気センサGM1に硬磁性体21のN極が近づくことになり、ステアリングホイール1が45°回転した位置で、発電型磁気センサGM1から図9(a)に示すパルス電圧PV1が出力される。
【0046】
このパルス電圧PV1が論理回路14a、不揮発性メモリ14b及び磁気検出素子MD1、MD2に供給されるので、これら論理回路14a、不揮発性メモリ14b、及び磁気検出素子MD1、MD2が作動状態となる。このため、磁気検出素子MD1、MD2から位相が90°ずれた磁気検出信号S1、S2(図9(d))が出力される。
【0047】
ここで、上記図3(b)に示すように、パルス電圧PViは、右切りの場合には45°の位置、左切りの場合には135°の位置で生成される。また、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2は90°の位相差があり、また、磁気検出信号S2は、発電型磁気センサGM2と同位相となるように配置されていることから、入力軸2aを右方向に回転させた場合に、発電型磁気センサGM1及びGM2の磁界がそれぞれ45°となる位置で生成されるパルス電圧PViのタイミングで、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又は共にLOWレベルとなり、逆に、左方向に回転させた場合に、磁界が135°となる位置で生成されるパルス電圧PViのタイミングで、磁気検出信号S1及びS2の一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなる。したがって、パルス電圧PViを入力したときに、磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルであるときは、右切りが行われ、磁気検出信号S1及びS2の一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルであるときには、左切りが行われているとみなすことができる。
【0048】
上述のようにステアリングホイール1が45°回転された位置でパルス電圧PV1が入力されたとき、図9(d)に示すように、磁気検出信号S1及びS2は共にLOWレベルであることから、回転方向は右と判定され、論理回路14aから加算信号が出力され、これによって、不揮発性メモリ14bに形成された加減算カウンタがカウントアップし、加減算カウンタは、イグニッションスイッチ18オフ状態とした時点で加減算カウンタは“0”にリセットされていることから、計数値Nは“1”となる。
【0049】
この状態から、さらに、ステアリングホイール1の右切りを継続すると、図9(a)に示すように、ステアリングホイール1が中立位置から約225°回転した状態で、発電型磁気センサGM2からパルス電圧PV2が出力される。このパルス電圧PV2によって、再度論理回路14aと不揮発性メモリ14bと、磁気検出素子MD1及びMD2とが作動状態となって、論理回路14aにおいて回転方向が判別される。この場合、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1及びS2は共にHIGHレベルとなることから、回転方向は右と判定されて加算信号が出力され、加減算カウンタがカウントアップし、計数値Nは“2”となる。
【0050】
このステアリングホイール1を、225°を越えた例えば230°の状態で保舵した車両の停止状態から、車両を発進させるために、イグニッションスイッチ18をオン状態とすると、これに伴ってコントローラ15にバッテリ17からの電力が投入されることにより、このコントローラ15で操舵補助制御処理及び図7に示す操舵角検出処理が実行開始される。
【0051】
このうち、操舵角検出処理では、図7に示すように、まず、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの最終パルス記憶領域に格納された、イグニッションスイッチ18がオフされる前に発電型磁気センサGM1又はGM2から最後にパルス電圧を入力したときの、このパルス電圧が存在する回転領域を表す最終回転領域RAlastを読込み、これを基点領域RAsとする。このとき、例えば、最終回転領域RAlastとしてRA(0)が格納されているものとすると、基点領域RAsとしてRA(0)が設定される(ステップS1)。
【0052】
次いで、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSの磁気的周期検出信号S3を読み込むと共に、回転領域検出部14の不揮発性メモリ14bの加減算カウンタに記憶されている計数値Nを読み込み(ステップS2)、計数値Nと、基点領域RAsとから、現時点における入力軸2aの回転領域を表す現領域値Nnowを検出する。この場合、基点領域RAsはRA(0)、計数値Nは“2”であることから、現在の回転領域はRA(2)となって現領域値Nnowは“2”となる。
【0053】
そして、磁気検出素子MSからの磁気的周期検出信号S3に基づいて、“0°から360°”の範囲で舵角θが算出され(ステップS4)、この場合、ステアリングホイール1が中立位置に対して右方向に230°回転された位置で停止されているので、舵角θは230°として算出される。
【0054】
そして操舵角θRの算出が行われ、この時点における現領域値Nnowは“2”であることから、図8のステップS11からステップS13、ステップS15を経てステップS16に移行し、舵角θが230°であり、0°≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは、右切り第1周期目にあると判定され、舵角θがそのまま操舵角θRとして設定され、すなわち“230°”として算出され(ステップS5)、これが操舵角記憶領域に更新記憶されると共に、ハンドル戻し制御部90に出力される。この時点では、新たなパルス電圧が発生していないことから、図7のステップS6からステップS8を経てそのままメインプログラムに戻り、引き続き所定のタイミングで操舵角θRの算出を行う。
【0055】
一方、ハンドル戻し制御部90では、操舵角θRが230°で停止しているので、その微分値である操舵角速度ωhが“0”となるため、非操舵状態と判断してスイッチ90Dをb接点側に切り換え、ハンドル戻し制御信号HRを零とする。
この停止状態から、ステアリングホイール1を保舵したまま車両を旋回発進させてからステアリングホイール1を左切りして中立方向に戻すと、135°の位置に達するまでパルス電圧は発生されず加減算カウンタの更新は行われないことから、現領域値Nnowは“2”を維持するため、引き続き図8のステップS16で、舵角θの大きさに応じて操舵角θRが算出され、この時点では舵角θは0°≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは右切り第1周期目にあると判定されて、舵角θがそのまま操舵角θRとして算出される。このため、左方向への操舵に伴う舵角θの減少に伴って操舵角θRも減少する。
【0056】
そして、このようにして算出された操舵角θRは、逐次操舵角記憶領域に更新記憶されると共に、ハンドル戻し制御部90に出力される。
このとき、操舵角θRの符号は正であり、操舵角速度ωhの符号は左切りによる負であって両者の符号が異なることにより、ハンドル戻し状態であると判断されて、ハンドル戻し制御部90のスイッチ90Dがa接点側に切換えられ、これにより、操舵角θRに基づいてハンドル戻し電流基本回路90Aで算出されるハンドル戻し基本電流値Irにゲイン回路90Bから出力される車速感応ゲインGvとを乗算器90Cで乗算した値Ir・Gvがハンドル戻し制御信号HRとして加算器71に出力される。このため、ハンドル戻し時にのみ良好なハンドル戻し制御を行うことができる。
【0057】
この状態から、さらに左方向への操舵を行うと、操舵角θRが135°を越えた時点で、発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生され、これによって加減算カウンタが更新され、“1”になる。
このため、基点領域RAs(=RA(0))と計数値N(=1)とから、現領域値Nnowは“1”となり、図8のステップS11からステップS13を経てステップS14に移行し、舵角θが0°≦θ<225°を満足する間は、右切り第1周期目にあるものと判定されて舵角θがそのまま操舵角θRとして設定される。このため、左切り方向への操舵に伴う舵角θの減少に伴って操舵角θRも減少し、その後中立状態となり舵角θが略零となると、操舵角θRも略零として算出される。
【0058】
さらに、左切り方向に操舵を行い、中立状態を越えると、舵角θは0°≦θ<225°を満足しなくなることから、ステップS14の処理で、舵角θは、左切り第1周期目にあるものと判定され、舵角θから“360°”を減算した値が操舵角θRとして算出される。よって、例えば舵角θが“330°”の場合には、操舵角θRは“−30°”として算出される。
このとき、操舵角θRと操舵角速度ωhの符号が一致するため、ハンドル戻し制御部90で、スイッチ90Dがb接点に切り換えられることによりハンドル制御信号HRが“0”を維持し、ハンドル戻し制御が停止される。
【0059】
そして、引き続き左方向に操舵を行い“−270°”まで操舵した状態でイグニッションスイッチ18をオフ状態にすると、“−45°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されることからこの時点で、加減算カウンタが更新されて計数値Nは“0”となる。さらに、“−225°”を通過した時点で発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生され、同様にして減算信号が発生されて加減算カウンタの計数値Nは“0”から“−1”に変化し、“−270°”まで操舵された時点では、現領域値Nnowは“−1”であることから図8のステップS11からステップS21を経てステップS22に移行し、このときの舵角θ(=90°)は0°≦θ<225°を満足することから左切り第1周期目にあるものと判定されて舵角θから“360°”を減算した値が操舵角θR(=−270°)として算出される。
【0060】
このとき、パルス電圧が発生される毎に、パルス電圧が発生されたときの入力軸2a、つまり舵角θが存在する回転領域RAが逐次最終パルス記憶領域に記憶され、この“−225°”のタイミングでパルス電圧が発生されたときの入力軸2aの回転領域RA(−1)も、最終パルス記憶領域に格納される。そして、この場合、“−270°”まで操舵された後にイグニッションスイッチ18がオフ状態となるため、この時点で最終パルス記憶領域に格納されている回転領域RA(−1)が、最終回転領域RAlastとなる。そして、イグニッションスイッチ18がオフ状態となることから、図7のステップS8からステップS9に移行し、加減算カウンタが“0”にリセットされて操舵角検出処理が終了する。
【0061】
そして、このイグニッションスイッチ18がオフの状態で操舵が行われ、“−270°”から例えば“−160°”まで操舵されると、この間、発電型磁気センサGM1及びGM2の何れからもパルス電圧は発生されないため、加減算カウンタは“0”のままを維持する。このため、“−160°”まで戻した状態で、イグニッションスイッチ18がオン状態となった場合には、最終回転領域RAlastはRA(−1)であるためこれが基点領域RAsとなり、加減算カウンタの計数値Nは“0”のままであることから、現領域値Nnowは“−1”となる。よって、図8のステップS11からステップS21を経てステップS22に移行し、舵角θは、“−405°から−135°”の範囲に存在する可能性があると判定され、舵角θが0≦θ<225°を満足することから、舵角θは、左切り第1周期目にあるとして、舵角θ(=200°)から“360°”を減算した値、すなわち、“−160°”が操舵角θRとして算出される。そして、以後、上記と同様の手順で操舵角θRが算出される。
【0062】
このとき、“−270°”から“−160°ではなく、“−270°”から“−90°”まで操舵した後、イグニッションスイッチ18をオン状態にした場合には、“−135°”を通過した時点で、発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されるため、加減算カウンタは“1”に更新される。そして、基点領域RAsはRA(−1)であることから、現領域値Nnowは“1”となる。
このため、図8のステップS11からステップS12に移行し、舵角θは“270°”であって、0≦θ<45°を満足しないことから、舵角θは、左切り第1周期目に存在するものと判定され、舵角θ(=270°)から“360°”を減算した値が操舵角θR(=−90°)として設定される。
【0063】
また、上記のように“−270°”の状態でイグニッションスイッチ18をオフ状態にした後、“−270°”から中立位置まで一旦戻し、その後、再度“−450°”まで左切りを行い、この時点で、イグニッションスイッチ18をオン状態とすると、“−270°”から右方向への操舵を行い、“−135°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されて加減算カウンタの計数値Nは“1”となり、その後、中立位置に達した後、左方向への操舵に切り換えると、“−45°”を通過する時点では発電型磁気センサGM2において磁気反転が発生しないためパルス電圧は発生されず、“−225°”を通過した時点で発電型磁気センサGM1からパルス電圧が発生されて計数値Nは“0”となり、さらに、“−405°”を通過した時点で発電型磁気センサGM2からパルス電圧が発生されて計数値Nは“−1”となる。よって、基点領域RAsはRA(−1)、計数値Nは“−1”であることから、現領域値Nnowは“−2”となるため、図8のステップS11からステップS21、ステップS23を経てステップS24に移行し、舵角θは、“−585°から−315°”の範囲にあると判定され、舵角θ(=270°)が0≦θ<45°を満足しないことから、左切り第2周期目にあるとして舵角θから“720°”を減算した値が操舵角θRとして設定され、すなわち、“−450°”として算出される。
【0064】
このように、上記実施の形態によれば、操舵角センサ3として発電型磁気センサGM1及びGM2を採用しているので、車両が停止状態でイグニッションスイッチ18がオフ状態であって、コントローラ15で操舵角検出が行えない状態であっても、ステアリングホイール1を操舵したときに、発電型磁気センサGM1及びGM2で発生されるパルス電圧PV1及びPV2に基づいて回転領域検出部14の論理回路14aと不揮発性メモリ14b、さらに磁気検出素子MD1及びMD2とが駆動されることにより、不揮発性メモリ14bに形成した加減算カウンタの計数値Nがステアリングホイール1の操舵による回転情報を表すことから、車両のイグニッションスイッチ18をオフ状態とした停止中に、ステアリングホイール1の操舵状態を正確に記憶することができ、その後、イグニッションスイッチ18をオン状態としてコントローラ15に電源が投入されて操舵角検出処理が実行されたときには、計数値Nと、イグニッションスイッチ18をオフ状態とする前に最後にパルス電圧を入力したときの舵角θの回転領域である最終回転領域RAlastとに基づいて正確な絶対角の操舵角θRを算出することができる。
【0065】
また、このとき、発電型磁気センサGM1及びGM2により発生されるパルス電圧PV1及びPV2によって、回転領域検出部14の論理回路14aと不揮発性メモリ14b、さらに磁気検出素子MD1及びMD2を駆動することで、ステアリングホイール1の操舵状態を表すパルス電圧数を得てこれを記憶するようにしているから、イグニッションスイッチ18がオフ状態である間の操舵状態を表すパルス電圧数を、最小限の電圧で獲得しこれを記憶することができ、より少ない消費電力で実現することができる。
そして、正確な操舵角θRに基づいてハンドル戻し制御部90でハンドル戻し制御を行うことにより、ステアリングホイール1を中立位置に戻すハンドル戻し時のみハンドル戻し制御を行うことにより、最適なハンドル戻し制御を行うことができる。
【0066】
また、パルス電圧が発生したときの、磁気検出素子MD1及びMD2からの磁気検出信号S1、S2に基づいて回転方向を検出しているため、2つの磁気検出素子を用いるだけで、ステアリングホイール1の回転方向を容易に検出することができ、この回転方向に応じてパルス電圧PViをカウントすることによって、回転方向に応じた回転領域の移動量を容易に検出することができる。
なお、上記実施形態においては、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを、硬磁性体21の外側に近接対向して固定配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図10(a)に示すように、硬磁性体21の回転軸上に固定配置してもよく、また図10(b)に示すように、硬磁性体21の上方に配置してもよい。
【0067】
同様に、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2を、図10(c)に示すように、硬磁性体21の上方に固定配置し、且つ、一方が発電型磁気センサMG1、MG2の何れか一方と同位相となり、また、他方が90°位相がずれるように配置してもよい。また、このように、回転方向検出用の磁気検出素子MD1及びMD2を硬磁性体の上方向に固定した状態で、さらに、図10(d)に示すように、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを硬磁性体21の回転軸上に固定配置してもよく、図10(e)に示すように、磁気的周期検出用の磁気検出素子MSを、硬磁性体21の上方の、硬磁性体21の回転軸を挟んで磁気検出素子MD1と対向する位置に固定配置してもよい。
【0068】
同様に、発電型磁気センサMG1及びMG2を、図11(a)に示すように、硬磁性体21の上方に配置してもよく、また、図11(b)に示すように、発電型磁気センサMG1及びMG2と、磁気検出素子MD1及びMD2とを共に、硬磁性体21の上方に配置してもよく、また、図11(a)、(b)の何れの場合も発電型磁気センサMG1及びMG2の何れか一方のみを硬磁性体21の上方に配置してもよく、要は、硬磁性体21の回転に伴う磁極の反転に応じたタイミングで、発電型磁気センサGM1、GM2によりパルス電圧を発生させることの可能な位置であれば、どの位置に配置してもよい。なお、この場合も、磁気検出素子MSを、硬磁性体21の上方や回転軸上に配置してもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、硬磁性体21の着磁形態については言及していないが、図12(a)に示すように、硬磁性体21の円周方向に1組のN極及びS極を配置したり、図12(b)に示すように、軸方向にN極及びS極を着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として、2組の磁極部を形成したりしてもよい。さらには、図13(a)に示すように、硬磁性体21の対向する4半部を軸方向にN極及びS極を着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として2組の磁極部を形成したり、図13(b)に示すように、硬磁性体21の対向する4半部を半径方向にN極及びS極に着磁し、その着磁方向を左右で逆方向として1組の磁極部を形成したり、図13(c)に示すように、非磁性部の円周方向の対向する4半部における外周面に軸方向に互いに逆方向に着磁した磁石部を形成したり、図13(d)に示すように、非磁性部の円周方向の対向する4半部における外周面に半径方向に互いに逆方向に着磁した磁石部を形成するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、硬磁性体21を円周方向に1組のN極及びS極を形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円周方向に2組のN極及びS極を交互に形成するようにしてもよく、この場合の着磁形態としては、図14(a)に示すように、円周方向に1組のN極及びS極を配置する場合や、図14(b)に示すように、軸方向にN極及びS極を着磁してその着磁方向を順次反転させる場合としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、磁気検出素子MD1及びMD2の磁気検出信号S1及びS2が共にHIGHレベル又はLOWレベルとなるときに右回転、何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなるときに左方向と判定する場合について説明したが、これに限らず、何れか一方がHIGHレベル、他方がLOWレベルとなるときに右回転、これらが共にHIGHレベル又はLOWレベルとなるときに左回転と判定するように、磁気検出素子MD1及びMD2を配置してもよく、要は、磁気検出信号S1及びS2のHIGHレベル及びLOWレベルの組み合わせによって回転方向を特定することができればどのような組み合わせであってもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、磁気検出素子MD1及びMD2として、デジタル出力型のホールICを用いた場合について説明したが、これに限るものではなく、アナログ出力型のホールICを用い、その検出信号から、磁極の極性に応じたHIGHレベル及びLOWレベルの2値の信号を生成するようにしてもよく、要は、磁極の極性に応じたHIGH及びLOWレベルの2値の信号を出力することができればどのようなセンサを用いても良い。
【0073】
さらに、上記実施形態においては、電動モータ13をHブリッジで駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではく、電動モータをブラシレスモータとしたインバータ回路で駆動するようにしてもよく、この場合には、操舵補助制御処理としてベクトル制御処理を適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、操舵角検出処理で検出した操舵角θRを電動パワーステアリング装置のハンドル戻し制御部90に供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、サスペンション制御装置や車両走行制御装置等の操舵角θRに基づいて制御を行う任意の車載装置に本発明を適用することができる。
【0074】
さらに、上記実施形態においては、操舵角を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、任意の回転体の絶対回転角を検出する場合に本発明を適用し得るものである。
ここで、上記実施形態において、発電型磁気センサGM1、GM2が発電型磁気検出部に対応し、磁気検出素子MD1、MD2が磁気検出部に対応し、磁気検出素子MSが磁気的周期検出部に対応し、論理回路14aが回転方向検出部に対応し、不揮発性メモリ14bが計数手段に対応し、コントローラ15が回転角検出部に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】操舵角センサを示す概略構成図である。
【図3】発電型磁気センサを示す説明図であって、(a)は構成図、(b)はパルス電圧波形図である。
【図4】回転領域検出部の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】コントローラで実行する操舵補助制御処理の機能ブロック図である。
【図6】図5のハンドル戻し制御部の具体的構成を示すブロック図である。
【図7】コントローラで実行する操舵角検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7の操舵角算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の動作の説明に供する信号波形図である。
【図10】回転方向検出用の磁気検出素子MD1、MD2及び磁気的周期検出用の磁気検出素子MSのその他の配置例を示す説明図である。
【図11】発電型磁気センサGM1及びGM2のその他の配置例を示す説明図である。
【図12】円周方向に1組の磁極部を形成した硬磁性体の着磁例を示す説明図である。
【図13】円周方向に1組の磁極部を形成した硬磁性体の着磁例の他の例を示す説明図である。
【図14】円周方向に2組の磁極部を形成した硬磁性体を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
9 ステアリングギヤ機構
11 操舵補助機構
12 減速ギヤ
13 電動モータ
14 回転領域検出部
15 コントローラ
16 車速センサ
17 バッテリ
18 イグニッションスイッチ
GM1、GM2 発電型磁気センサ
MD1、MD2 磁気検出素子
MS 磁気検出素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持された回転体の外周面に配設される少なくとも1組のN極及びS極を有する硬磁性体と、
当該硬磁性体と対向して配設され且つ前記硬磁性体によって予め設定した極の磁界が与えられたときパルス電圧を発生し且つ互いに磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する位置に配置された2つの発電型磁気検出部と、
前記硬磁性体と対向して配設され、且つ一方は前記発電型磁気検出部の一方と同位相を有し、他方は前記発電型磁気検出部と磁気的に90度の位相差を有する磁気検出信号を出力する回転方向検出用の2つの磁気検出部と、
前記硬磁性体の磁気的周期を検出する磁気的周期検出部と、
前記パルス電圧が発生されたときの前記2つの磁気検出信号の信号値に基づいて前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、
当該回転方向検出部で検出した回転方向に基づいて前記パルス電圧数を加減算計数して回転領域に応じた計数値を生成して記憶する計数手段と、
電源オン時に前記計数手段に記憶されている計数値に基づく回転領域と前記磁気的周期検出部から出力される磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部と、を備え、
前記磁気検出部、前記回転方向検出部及び前記計数手段は、少なくとも電源オフ時に各発電型磁気検出部で発生されるパルス電圧によって駆動されることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項2】
前記磁気検出部は磁極に応じた2値の磁気検出信号を出力し、
前記回転方向検出部は、前記2つの磁気検出部からの磁気検出信号が共に同一値であるか否かに応じて回転方向を検出することを特徴とする請求項1記載の回転角検出装置。
【請求項3】
前記発電型磁気検出部は、大バルクハウゼン現象を応用した磁気センサで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサは、中心部分と外郭部分とで異なる磁気特性を有する複合磁性ワイやと該複合磁性ワイヤに巻装した検出コイルとで構成されていることを特徴とする請求項3記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記回転体は操舵装置を構成するステアリングシャフトであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の回転角検出装置。
【請求項1】
回転自在に支持された回転体の外周面に配設される少なくとも1組のN極及びS極を有する硬磁性体と、
当該硬磁性体と対向して配設され且つ前記硬磁性体によって予め設定した極の磁界が与えられたときパルス電圧を発生し且つ互いに磁気的に180度の位相差を有するパルス電圧を発生する位置に配置された2つの発電型磁気検出部と、
前記硬磁性体と対向して配設され、且つ一方は前記発電型磁気検出部の一方と同位相を有し、他方は前記発電型磁気検出部と磁気的に90度の位相差を有する磁気検出信号を出力する回転方向検出用の2つの磁気検出部と、
前記硬磁性体の磁気的周期を検出する磁気的周期検出部と、
前記パルス電圧が発生されたときの前記2つの磁気検出信号の信号値に基づいて前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、
当該回転方向検出部で検出した回転方向に基づいて前記パルス電圧数を加減算計数して回転領域に応じた計数値を生成して記憶する計数手段と、
電源オン時に前記計数手段に記憶されている計数値に基づく回転領域と前記磁気的周期検出部から出力される磁気的周期とに基づいて絶対回転角を検出する回転角検出部と、を備え、
前記磁気検出部、前記回転方向検出部及び前記計数手段は、少なくとも電源オフ時に各発電型磁気検出部で発生されるパルス電圧によって駆動されることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項2】
前記磁気検出部は磁極に応じた2値の磁気検出信号を出力し、
前記回転方向検出部は、前記2つの磁気検出部からの磁気検出信号が共に同一値であるか否かに応じて回転方向を検出することを特徴とする請求項1記載の回転角検出装置。
【請求項3】
前記発電型磁気検出部は、大バルクハウゼン現象を応用した磁気センサで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサは、中心部分と外郭部分とで異なる磁気特性を有する複合磁性ワイやと該複合磁性ワイヤに巻装した検出コイルとで構成されていることを特徴とする請求項3記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記回転体は操舵装置を構成するステアリングシャフトであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の回転角検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−203200(P2008−203200A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42478(P2007−42478)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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