説明

回転陽極型X線管

【課題】 陽極ターゲットと冷却容器との隙間に冷却用の液体金属を確実に供給することができる構造を備えた回転陽極型X線管を提供するにある。
【解決手段】 回転陽極型X線管においては、回転陽極は、ターゲットの背面に設けられた第1の内面及びこの第1の内面に対向する第2の内面を有し、第1及び第2の内面間に中空部が形成されている。この中空部には、冷却用の中空部を有する円盤状冷却部が嵌合されている。この冷却部は、第1及び第2の内面に夫々第1及び第2の間隙を空けて対向される第1及び第2の外面を有し、この第1及び第2の間隙内の液体金属に動圧を発生させる第1及び第2の動圧軸受け部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体潤滑剤を用いたスラスト軸受で支持された回転体を備えた回転陽極型X線管に関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断システム等に使用されている回転陽極型X線管は、高温、真空下で使用され、しかも、高速で陽極ターゲットが回転される厳しい使用環境にある。即ち、X線管装置1の動作状態において、ステータコイルが回転体に与える磁界を発生して回転体及びターゲットを備えた陽極を回転している。また、陰極は、陽極ターゲットに対して電子ビームを照射し、電子が衝突した陽極ターゲットからX線が放出される。X線管装置の動作時には、陽極ターゲットは、電子ビームが照射されることにより高温になる。特に、電子が衝突される電子衝突面(焦点)の温度が高温になる。このため、電子衝突面の温度は、陽極ターゲット材料の溶解温度以下でなくてはならないとされている。
【0003】
このような背景から陽極ターゲットを冷却させるための技術が開発されている。例えば、電子衝突面で発生された熱が液体金属に熱的に伝達されて、この熱が冷却容器内の冷却水に伝達され、陽極ターゲットを冷却する技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許2960089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転陽極型X線管においては、X線管装置の動作時に、陽極ターゲットは、この陽極ターゲットへの熱入力により高温になる。即ち、陽極ターゲットには、電子ビームが照射され、この電子ビームの照射により高温になる。特に、電子が衝突される電子衝突面(焦点)の温度が高温になる。このため、陽極ターゲットの温度は、材料の溶解温度以下に維持されなくてはならないとされている。
【0005】
このような背景から、陽極ターゲットを冷却させる技術が開発されている。電子衝突面の近くで液体金属を熱伝達流体として用いて、陽極ターゲットの熱を冷却容器内の冷却水に伝達し、陽極ターゲットを冷却する技術がある。
【0006】
しかし、従来の液体金属を冷却用の熱伝達流体として用いる回転陽極型X線管には、次のような問題がある。
【0007】
X線管がCT架台に設置されCT周りを回転することによって生じる遠心力や振動によって、液体金属で形成されている熱伝達面が破断する懸念がある。熱伝達面が破断した場合には、陽極ターゲットを十分に冷却することができなくなるため、電子衝突面の材料が溶解し、X線を発生させることが不可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みなされたものであって、その目的は、陽極ターゲットと冷却容器との隙間に冷却用の液体金属を確実に供給することができる構造を備えた回転陽極型X線管を提供するにある。
【0009】
この発明によれば、
電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットを備え、第1の中空部を有し、当該第1の中空部が前記ターゲットの背面に設けられた第1の内面及びこの第1の内面に対向する第2の内面間に定められている回転陽極と、
当該回転陽極を支持し、前記第1の中空部と連通する第2の中空部を有する筒状の回転体と、
前記回転陽極の第1の中空部に嵌合される第3の中空部を有する円盤状冷却部であって、前記第1及び第2の内面に夫々第1及び第2の間隙を空けて対向される第1及び第2の外面を有する円盤状冷却部と、
当該円盤状冷却部を支持し、当該回転陽極の回転軸に沿って延出され、前記回転体の第2の中空部に第3の間隙を空けて嵌合され、前記円盤状冷却部の前記第3の中空部に連通され、冷却液が流通する第4の中空部を有し、前記回転体を回転可能に支持する固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記第1及び第2の内面及び前記第1及び第2の外面との間に設けられ、第1及び第2の間隙内の前記潤滑剤に動圧を発生させる第1及び第2の動圧軸受け部と、
を具備する回転陽極型X線管が提供される。
【0010】
また、この発明によれば、
電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットを備え、第1の中空部を有し、当該第1の中空部が前記ターゲットの背面に設けられた第1の内面及びこの第1の内面に対向する第2の内面間に定められている回転陽極と、
当該回転陽極を支持し、前記第1の中空部と連通する第2の中空部を有し、前記回転陽極から当該回転陽極の回転軸に沿って互いに反対方向に延出される第1及び第2の筒状の回転体と、
前記回転陽極の第1の中空部に嵌合される第3の中空部を有する円盤状冷却部であって、前記第1及び第2の内面に夫々第1及び第2の間隙を空けて対向される第1及び第2の外面を有する円盤状冷却部と、
当該円盤状冷却部を支持し、前記回転体の第2の中空部に第3の間隙を空けて嵌合され、前記円盤状冷却部の前記第3の中空部に連通され、冷却液が流通する第4の中空部を有し、当該回転陽極の回転軸に沿って互いに反対方向に延出され、前記回転体を回転可能に支持する第1及び第2の固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記第1及び第2の内面及び前記第1及び第2の外面との間に設けられ、第1及び第2の間隙内の前記潤滑剤に動圧を発生させる第1及び第2の動圧軸受け部と、
を具備する回転陽極型X線管が提供される。
【発明の効果】
【0011】
この発明の回転陽極型X線管においては、回転陽極が空洞構造に形成され、この空洞内に固定側の円盤状冷却容器が配置され、この容器と回転陽極の内面との間に間隙が設けられている。冷却容器の陰極側の間隙とその反対側の間隙に、回転軸から外周方向へ液体金属を流すように動圧効果を生む溝構造が設けられている。従って、冷却容器周りの圧力は高まり、スラスト軸受として機能し、さらに、ターゲットの電子衝突面の背面に潤滑液を確実に保持することができる。結果として、陽極と冷却容器との隙間に液体金属を確実に供給することができ、陽極を確実に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、この発明の一実施の形態に係る回転陽極型X線管を説明する。
【0013】
図1には、回転陽極型X線管が示され、図2には、この回転陽極型X線管の陽極側の構造が部分的に拡大されて示されている。
【0014】
この図1に示すように回転陽極型X線管は、一端が固定支持された筒状の固定シャフト10、この固定シャフト10に回転可能に軸支持された筒状の回転体60、この回転体60の他端部に継手を介して固定され、回転体60と共に回転されるカップ状の回転陽極50から構成されている。陽極ターゲット52に向けて電子ビームを照射する陰極40がこの回転陽極50のターゲット52の電子衝突面に対向するように配置されている。これら固定シャフト10、回転体60、回転陽極50及び陰極40は、その内を真空に維持する真空外囲器(図示せず)に収納されて回転陽極型X線管を構成している。
【0015】
回転体60は、筒状部61及びこの筒状部61からフランジ状に延出される環状部62から構成されている。環状部62には、カップ状の回転陽極50が固定され、筒状部61には、回転体60と共に回転される銅等の導電材料で作られた筒状のモータロータ64が設けられている。このモータロータ64は、真空外囲器外に配置された回転磁界を発生させるステータコイル2に対向されている。ステータコイル2から回転磁界がモータロータ64に与えられることによってモータロータ64に生じる磁界と回転磁界とが反撥して回転力が発生されて回転体60が中心軸aの回りに回転される。
【0016】
回転陽極型X線管及びステータコイル2は、筐体(図示せず)に収納されてX線管装置を構成している。陰極40からの電子ビームが収束されて回転されている陽極ターゲット52に照射されると、陽極ターゲット52からX線が発生され、真空外囲器及び筐体に設けられたX線窓から外部にX線が照射される。
【0017】
図1に示すように、固定シャフト10は、中空円筒状の軸部14及びこの軸部14に一体的に固定された中空の円盤状冷却容器16で構成されている。固定シャフト10の軸部14は、固定シャフト10の軸部14と回転体60との間に間隙(ギャップ)G1を空けるように回転体60の筒状部61に嵌合され、この間隙G1には、液体金属30が充填されている。回転体60の開口部を塞ぐように筒状部61の内面には、間隙G1から液体金属が漏れ出ることを防止する為にシール部63が設けられ、回転体60の開口部と固定シャフト10の基部との間を液密にシールしている。
【0018】
中空の円盤状冷却容器16は、中空円盤状の回転陽極50の内表面に亘って間隙G2,G3、G4を空けるように回転陽極50の内に適合されている。即ち、中空の円盤状冷却容器16の外側周面には、間隙G3が設けられ、軸部14に連接する円盤状冷却容器16のリング状の平坦面16Aに間隙G2が設けられ、円盤状冷却容器16の頂面に相当し、ターゲット52の背面に相当する平坦な円盤面に間隙G4が設けられている。これらの間隙G2,G3、G4は、間隙G1に連通され、同様に液体金属30が充填されている。
【0019】
中空円筒状の軸部14の中空部は、円盤状冷却容器16の中空部に連通され、両中空部は、冷却水の流路20に規定され、中空円筒状の軸部14及び円盤状冷却容器16は、回転陽極50を冷却する冷却構造を構成している。軸部14の中空部は、外部に開口し、この開口部から冷却水供給用のチューブ(図示せず)が挿入され、このチューブを介して冷却水が冷却水供給源から軸部14内に供給されて円盤状冷却容器16が冷却される。冷却水供給用のチューブを流路20に挿入しなくとも、冷却水供給源から直接流路20に冷却水を供給して軸部14及び円盤状冷却容器16を冷却しても良い。
【0020】
円盤状冷却容器16のリング状の平坦面16Aには、図3に示すように螺旋溝18が形成され、平坦面16Aと回転陽極50の内表面との間に動圧溝構造70してのスラスト軸受けを形成している。図3に示されるスラスト軸受けは、回転陽極50の回転とともに流入される液体金属潤滑剤の流体動圧によって回転陽極50を回転体60の軸方向に沿って支持している。また、円盤状冷却容器16の頂面に相当する平坦な円盤面16Bには、図4に示すように同様に螺旋溝19が形成され、その円盤面と回転陽極50の内表面との間に動圧溝構造71としてのスラスト軸受けが形成されている。ここで、動圧溝構造70、71は、図3及び図4に示すように、回転軸aから回転軸aの外周に向けて液体金属潤滑剤30を流動させるようなパターンを有する螺旋溝で形成されている。
【0021】
尚、図1及び図2において、回転軸aの回りの円盤状冷却容器16の頂面と回転陽極50の内表面との間の微小間隙G4が白抜きで描かれている。回転陽極50が回転されていない静止時においては、この白抜きの微小間隙G4には、液体金属潤滑剤が充填されている。回転陽極50が回転される回転時においては、この白抜きの微小間隙G4から液体金属潤滑剤が動圧溝構造70に流動される。図1及び図2において、この白抜きは、回転時における液体金属潤滑剤が抜け出た状態を示している。
【0022】
両動圧溝構造70,71は、リング状の平坦面16A及び平坦な円盤面16Bの突出した領域に形成され、この突出した領域の外周がこの領域に比べて凹部に形成され、十分な液体金属30を両動圧溝構造70,71の周囲に貯蔵することができる構造に形成されることが好ましい。このような構造により、十分な液体金属30を回転陽極50の内表面と円盤状冷却容器16の外表面との間に確保することができる。
【0023】
尚、固定シャフト10の軸受け面10S或いは筒状部61の内面には、螺旋溝が形成され、液体金属30に動圧を発生させて筒状部61をラジアル方向で支持するラジアル軸受け(図示せず)が形成されても良い。
【0024】
X線管装置が動作されると、回転体60が回転されるとともに回転陽極50は、ターゲット52への熱入力により高温になる。即ち、陽極ターゲット52は、電子ビームが照射されることにより高温になる。特に、電子が衝突される電子衝突面(焦点)の温度が高温になる。ここで、回転体60の回転に伴い、動圧溝構造70、71に間隙G1〜G4の液体金属が移動されて動圧溝構造70、71の動圧が高まり、回転体60がスラスト方向で支持される。また、動圧溝構造70、71の作用により回転陽極50のターゲット52の背面には、液体金属30が必ず保持される。従って、陽極ターゲット52に生じた熱は、間隙G2,G3及びG4内の液体金属30に伝達され、また、この液体金属30を介して円盤状冷却容器16に伝達される。円盤状冷却容器16においては、冷却容器16内を流通する冷却液によって冷却容器16が冷却される。即ち、陰極40から照射される電子ビームがターゲット52の電子衝突面に衝突することで発生する熱は、間隙G2、G4に確実に保持されている液体金属30を介して円盤状冷却容器16に伝達されて外部に導出される。その結果、高温となる回転陽極50を安定して冷却することができる。
【0025】
上述したように図1に示される回転陽極型X線管においては、回転陽極50の温度の上昇を抑制することができ、陽極ターゲット50が溶融温度にまで上昇するような事態を防止することができる。
【0026】
図5は、本発明の他の実施の形態に係る回転陽極型X線管の実施例の一部断面図である。
【0027】
図2に示されたX線管においては、円盤状冷却容器16のリング状の平坦面16A及び平坦な円盤面16Bに動圧溝構造70、71が形成されているが、図5に示されるように回転陽極50の内面に動圧溝構造70、71が形成されても良い。即ち、回転陽極50の内面であって、円盤状冷却容器16Aのリング状の平坦面16に対向する回転体60の環状部62に螺旋溝18が形成された動圧溝構造70が設けられ、陽極ターゲット52の背面に相当し、円盤状冷却容器16の平坦な円盤面16Bに対向する平坦な内面には、螺旋溝19が形成された動圧溝構造71が設けられても良い。両動圧溝構造70,71は、回転陽極50の内面が突出した領域に形成され、この突出した領域の外周がこの領域に比べて凹部51aに形成され、十分な液体金属30を両動圧溝構造70,71の周囲に貯蔵することができる構造に形成されることが好ましい。このような構造により、十分な液体金属30を回転陽極50の内表面と円盤状冷却容器16の外表面との間に確保することができる。
【0028】
図5に示すような構造においても、回転陽極50から間隙G2、G3及びG4内の液体金属30に伝達された熱は、円盤状冷却容器16及び軸部14に効率的に伝達され、効果的に冷却水を介してX線管外部に導かれる。従って、回転陽極50の温度の上昇を抑制することができ、陽極ターゲット50が溶融温度にまで上昇するような事態を防止することができる。
【0029】
図6は、本発明の更に他の実施の形態に係る回転陽極型X線管の実施例の断面図である。
【0030】
図1に示したX線管では、固定シャフト10の一端が固定され、他端が自由端としての円盤状冷却容器16に連結されている片持ち構造を採用している。X線管は、このような片持ち構造に限らず、図6に示すように第1及び第2の固定シャフト10が円盤状冷却容器16の両側に連結され、中心軸aに沿って互いに反対方向に延出される両持ち構造に形成されても良い。この両持ち構造では、図6に示されるように第1及び第2の固定シャフト10間に円盤状冷却容器16が設けられている。第1及び第2の固定シャフト10の中空部が互いに連通されるように円盤状冷却容器16内の中空部に連通され、冷却水の流路20に規定され、回転陽極50を冷却する冷却構造を構成している。
【0031】
第1及び第2の固定シャフト10が両持ち構造を構成するに伴って回転体60には、この第1及び第2の固定シャフト10が嵌合される互いに反対方向に延出される第1及び第2の筒状体61が連結され、その間に回転陽極50が設けられている。この回転陽極50内には、円盤状冷却容器16が嵌合され、この円盤状冷却容器16のリング状の平坦面に同様に螺旋溝18、19で動圧溝構造70,71が形成されている。
【0032】
第1及び第2の固定シャフト10と円盤状冷却容器16の両側の第1及び第2の筒状部61との間にラジアル軸受け(図示せず)が設けられ、第1及び第2の筒状部61がラジアル方向で支持されても良い。また、第1及び第2の固定シャフト10の両側の基部には、シール部材61が設けられ、第1及び第2の筒状体61で開口がこのシール部63によってシールされ、液体金属30が外部に漏れ出ることが防止されている。
【0033】
図6に示される両持ち構造のX線管においても、回転陽極50から間隙G2、G3及びG4内の液体金属30に伝達された熱は、円盤状冷却容器16及び軸部14に効率的に伝達され、効果的に冷却水を介してX線管外部に導かれる。従って、回転陽極50の温度の上昇を抑制することができ、陽極ターゲット50が溶融温度にまで上昇するような事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施の形態に係る回転陽極型X線管の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示される陽極側の構造を部分的に拡大して示す部分断面図である。
【図3】図1に示される円盤状冷却容器の外面に形成されるスラスト軸受け用の螺旋溝を概略的に示す平面図である。
【図4】図1に示される円盤状冷却容器の外面に形成されるスラスト軸受け用の螺旋溝を概略的に示す平面図である。
【図5】この発明の他の実施の形態に係る回転陽極型X線管の陽極側の構造を部分的に拡大して示す部分断面図である。
【図6】この発明の更に他の実施の形態に係る回転陽極型X線管の構造を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
2…ステータコイル、10…固定シャフト、10S…軸受面、16…冷却容器、20…冷却液、30…液体金属、40…陰極、50…回転陽極、52…陽極ターゲット、51a…凹部、52…電子衝突面、60…回転体、60S…軸受面、61…筒状部、62…環状部、63…シール部、64…モータロータ、70…動圧溝構造、71…動圧溝構造、a…中心軸、G1〜G4…間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットを備え、第1の中空部を有し、当該第1の中空部が前記ターゲットの背面に設けられた第1の内面及びこの第1の内面に対向する第2の内面間に定められている回転陽極と、
当該回転陽極を支持し、前記第1の中空部と連通する第2の中空部を有する筒状の回転体と、
前記回転陽極の第1の中空部に嵌合される第3の中空部を有する円盤状冷却部であって、前記第1及び第2の内面に夫々第1及び第2の間隙を空けて対向される第1及び第2の外面を有する円盤状冷却部と、
当該円盤状冷却部を支持し、当該回転陽極の回転軸に沿って延出され、前記回転体の第2の中空部に第3の間隙を空けて嵌合され、前記円盤状冷却部の前記第3の中空部に連通され、冷却液が流通する第4の中空部を有し、前記回転体を回転可能に支持する固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記第1及び第2の内面及び前記第1及び第2の外面との間に設けられ、第1及び第2の間隙内の前記潤滑剤に動圧を発生させる第1及び第2の動圧軸受け部と、
を具備する回転陽極型X線管。
【請求項2】
電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットを備え、第1の中空部を有し、当該第1の中空部が前記ターゲットの背面に設けられた第1の内面及びこの第1の内面に対向する第2の内面間に定められている回転陽極と、
当該回転陽極を支持し、前記第1の中空部と連通する第2の中空部を有し、前記回転陽極から当該回転陽極の回転軸に沿って互いに反対方向に延出される第1及び第2の筒状の回転体と、
前記回転陽極の第1の中空部に嵌合される第3の中空部を有する円盤状冷却部であって、前記第1及び第2の内面に夫々第1及び第2の間隙を空けて対向される第1及び第2の外面を有する円盤状冷却部と、
当該円盤状冷却部を支持し、前記回転体の第2の中空部に第3の間隙を空けて嵌合され、前記円盤状冷却部の前記第3の中空部に連通され、冷却液が流通する第4の中空部を有し、当該回転陽極の回転軸に沿って互いに反対方向に延出され、前記回転体を回転可能に支持する第1及び第2の固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記第1及び第2の内面及び前記第1及び第2の外面との間に設けられ、第1及び第2の間隙内の前記潤滑剤に動圧を発生させる第1及び第2の動圧軸受け部と、
を具備する回転陽極型X線管。
【請求項3】
前記第1及び第2の動圧軸受け部は、前記回転陽極の回転に伴い前記回転軸から当該回転軸の外周に向けて前記潤滑剤を流動させる溝で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2の回転陽極型X線管。
【請求項4】
前記潤滑剤は、液体金属潤滑剤で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2の回転陽極型X線管。
【請求項5】
前記第1及び第2の動圧軸受け部は、前記回転陽極を前記回転軸に沿って支持するスラスト軸受けを構成することを特徴とする請求項1又は請求項2の回転陽極型X線管。
【請求項6】
前記固定シャフトは、一端が円盤状冷却部に連結され、他端が固定されていることを特徴とする請求項1の回転陽極型X線管。
【請求項7】
前記第1及び第2の固定シャフトは、一端が円盤状冷却部に連結され、他端が固定されていることを特徴とする請求項2の回転陽極型X線管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−81065(P2009−81065A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250090(P2007−250090)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】