説明

回転駆動装置及びこれを備えた自転車

【課題】部品点数が少なく、構造簡単な回転駆動装置を提供する。
【解決手段】装置本体2内に回転軸3を軸架し、回転軸3には前後2つのピニオン4,5を夫々同じ方向性をもつ一方向クラッチ6,7を介して取り付け、両ピニオン4,5の左右両側には一方のピニオン4に噛合するラック8と他方のピニオン5に噛合するラック9を有する左右一対の縦枠10,11を昇降自在に配置すると共に、左右両縦枠10,11を連結枠12で連結して門形の昇降枠体13を形成し、この昇降枠体13の連結枠12と装置本体2との間に昇降枠体上昇復帰用のバネ14を介装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動装置及びこの回転駆動装置を備えた自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリー(蓄電池)でモーター(電動機)を回して人力を補助するようにした電動補助自転車が知られているが、この自転車では、バッテリーの充電に時間がかかり、しかも電池寿命が短いため頻繁に充電を行う必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、例えば自転車に乗った人がサドルに腰を下ろす動作と腰を浮かせる動作とを繰り返すことによって生じさせる直線運動を回転運動に変換させて回転駆動力を出力するようにした回転駆動装置、及びこの回転駆動装置を備えた自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照番号を付して説明すると、請求項1に係る回転駆動装置は、装置本体2内に回転軸3を軸架し、回転軸3には前後2つのピニオン4,5を夫々同じ方向性をもつ一方向クラッチ6,7を介して取り付け、両ピニオン4,5の左右両側には一方のピニオン4に噛合するラック8と他方のピニオン5に噛合するラック9を有する左右一対の縦枠10,11を昇降自在に配置すると共に、左右両縦枠10,11を連結枠12で連結して門形の昇降枠体13を形成し、この昇降枠体13の連結枠12と装置本体2との間に昇降枠体上昇復帰用のバネ14を介装し、しかして昇降枠体13をバネ14の付勢力に抗して押し下げると、何れか一方のピニオン4が正方向に回転して、回転軸3を正方向に回転させ、他方のピニオン5は逆方向に空転し、その押し下げ力を解放して昇降枠体13がバネ付勢力で上昇すると、前記一方のピニオン4は逆方向に空転し、他方のピニオン5が正方向に回転して回転軸3を引き続き正方向に回転させ、以降昇降枠体13が昇降することにより、回転軸3が連続回転するようになっていることを特徴とする。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載の回転駆動装置において、前記昇降枠体上昇復帰用のバネ14は、装置本体2の上面と昇降枠体13の連結枠12との間に介装された圧縮コイルバネからなることを特徴とする。
【0006】
請求項3に係る発明の自転車は、自転車のフレーム18の一部を構成する立管19に請求項1又は2に記載の回転駆動装置1の装置本体2を固定し、この立管19に上から昇降スライド自在に差し込んだサドルポスト20に、連結腕21を介して回転駆動装置1の昇降枠体13を昇降自在に連結すると共に、回転駆動装置1の回転軸3に連動連結したスプロケット22を自転車のチェーン23に噛合し、自転車使用者が、サドルポスト20の上端部に取り付けたサドル24に対し腰を下ろして体重をかける動作と腰を浮かして体重をかけない動作とを繰り返して、回転駆動装置1の昇降枠体13を昇降させることにより、その回転軸3を連続回転させて、スプロケット22の回転により自転車のチェーン23を前進駆動させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項4は、請求項3に記載の自転車において、前記スプロケット22は回転駆動装置1の回転軸3に一体的に取り付けてなることを特徴とする。
【0008】
請求項5は、請求項3に記載の自転車において、前記スプロケット22は回転駆動装置1の回転軸3に回転自在に取り付けると共に、その回転軸3に回動レバー37の一端部を固定し、この回動レバー37の他端部とスプロケット22との間には、前記昇降枠体13の昇降による回転軸3の回転により回動レバー37が回動する時に圧縮作用を受けるバネ40を介装し、このバネ40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転させるようにしてなることを特徴とする。
【0009】
請求項6は、請求項3に記載の自転車において、前記スプロケット22は回転駆動装置1の回転軸3に回転自在に取り付けると共に、その回転軸3に回動杆43の長手方向中央部を固定し、この回動杆43の一端部の一側面とスプロケット22との間、及び回動杆43の他端部の他側面とスプロケット22との間には、前記昇降枠体13の昇降による回転軸3の回転により回動杆43が回動する時に圧縮作用を受けるバネ40,40を夫々介装し、これら両バネ40,40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転させるようにしてなることを特徴とする。
【0010】
請求項7は、請求項5又は6に記載の自転車において、前記バネ40は圧縮コイルバネからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照番号を付して説明すると、請求項1に係る発明の回転駆動装置1によれば、昇降枠体13の連結枠12に定期的に押力を加えるだけの簡単な操作で、昇降枠体13を昇降させて回転軸3を連続的に回転させることができる。また、この回転駆動装置1は、部品点数が少なく、構造が簡単であるから、装置全体を小型にすることができると共に、安価に製作することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、昇降枠体上昇復帰用のバネ14としては、装置本体2の上面と昇降枠体13の連結枠12との間に介装された圧縮コイルバネが好ましい。
【0013】
請求項3に係る発明の自転車によれば、サドル24に対し腰を下ろして体重をかけると、サドルポスト20にかかる荷重は回転駆動装置1の昇降枠体13に作用して、この昇降枠体13を押し下げるから、回転軸3が回転してスプロケット22を同方向に回転させ、チェーン23を前進方向に駆動し、そして使用者が腰を浮かせると、サドル24に荷重がかからなくなるから、回転駆動装置1のバネ14の付勢力によって昇降枠体13及びサドルポスト20が上昇限位置へ復帰し、この昇降枠体13が上昇する時も回転軸3が引き続き同じ方向に回転するから、スプロケット22を回転させてチェーン23を駆動し、後輪29を自転車前進方向に回すことができる。従って、この回転駆動装置付き自転車では、従来の電動補助自転車のように充電を行なう必要がため、手間がかからず、きわめて経済的である。
【0014】
請求項4に記載のように、スプロケット22は回転駆動装置1の回転軸3に一体的に取り付けることができる。
【0015】
請求項5に記載のように、回転軸3の回転により回動レバー37が回動してバネ40を圧縮し、このバネ40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転するようにすれば、坂道走行時のように自転車のチェーン23に大きな前進駆動力を要する時には、昇降枠体13の昇降により回転軸3が回転して回動レバー37が回動することによりバネ40が圧縮して圧縮付勢力を蓄積するから、その蓄積された圧縮付勢力によって、スプロケット22に大きな回転トルクが得られ、チェーン23を強力に駆動することができる。
【0016】
請求項6によれば、回動杆43の一端部の一側面とスプロケット22との間、及び回動杆43の他端部の他側面とスプロケット22との間にバネ40,40を介装した場合は、圧縮バネ40が蓄積する圧縮付勢力は、請求項5の回動レバー37の場合の2倍になるため、スプロケット22により大きな回転トルクが得られ、チェーン23をより強力に駆動することができる。
【0017】
請求項7に記載のように、バネ40としては圧縮コイルバネが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明すると、図1の(a) は本発明に係る回転駆動装置1を示す斜視図、(b) は(a) のX−X線断面図であり、図2の(a) は図1の(a) の概ねY−Y線に沿って断面した断面図で、昇降枠体が上限位置にある状態を示し、(b) は同様な断面図で、昇降枠体が下限位置にある状態を示す。
【0019】
この回転駆動装置1は、装置本体2内に回転軸3を軸受15によって軸架し、この回転軸3には、前後2つのピニオン4,5を夫々同じ方向性をもつ一方向クラッチ6,7を介して取り付け、両ピニオン4,5の左右両側には前部側ピニオン4に噛合するラック8と後部側ピニオン5に噛合するラック9を有する左右一対の縦枠10,11を昇降自在に配置すると共に、左右両縦枠10,11を連結枠12で連結して門形の昇降枠体13を形成し、この昇降枠体13の連結枠12と装置本体2との間に昇降枠体上昇復帰用のバネ14を介装してなるもので、昇降枠体13をバネ14の付勢力に抗して押し下げると、前部側のピニオン4が図1及び図2の矢印Aで示す時計回り(正方向)に回転して、回転軸3を時計回り(正方向)に回転させ、このとき後部側のピニオン5は図1及び図2の矢印Bで示す反時計回り(逆方向)に空転し、そして昇降枠体13に対する押し下げ力を解放して昇降枠体13がバネ14の付勢力により上昇すると、前部側ピニオン4は反時計回り方向に空転し、後部側ピニオン5が時計回りに回転して、回転軸3を引き続き正方向に回転させ、以降昇降枠体13が昇降することによって、回転軸3が連続回転するようになっている。
【0020】
尚、図2の(a) ,(b) は図1の(a) の概ねY−Y線に沿って断面した断面図ではあるが、前部側ピニオン4と右側縦枠10のラック8とが噛合した状態を右半分に示し、後部側ピニオン5と左側縦枠11のラック9とが噛合した状態を左半分に示したものである。
【0021】
上記回転駆動装置1の構成について更に詳しく説明すれば、回転軸3と前部側ピニオン4との間に介設された一方向クラッチ6と、回転軸3と後部側ピニオン4との間に介設された一方向クラッチ7とは、両者が同じ方向性をもつように配置されている。すなわち、クラッチ6,7は何れも、例えば時計回りの一方向にのみ動力を伝達し、他方向の反時計回りには空転する爪式やカム式の一方向性クラッチで、クラッチ6は、前部側ピニオン4が時計回りに回転すると、その回転を回転軸3に伝えて回転軸3を時計回りに回転させ、反時計回りに回転すると、空転して、回転軸3には回転を伝えず、クラッチ7も同じで、後部側ピニオン5が時計回りに回転すると、その回転を回転軸3に伝えて回転軸3を時計回りに回転させ、反時計回りに回転すると、空転するようになっている。
【0022】
昇降枠体上昇復帰用のバネ14は、装置本体2の上面2aと昇降枠体13の連結枠12との間に介装された圧縮コイルバネからなるもので、このバネ14の付勢力によって昇降枠体13を上昇限位置に復帰させるようになっている。この場合、昇降枠体13が上昇限位置を越えて飛び出さないように、上昇限位置制限用ストッパー16が設けてある。このストッパー16はボルトからなり、このボルト16を、昇降枠体13の連結枠12の両端部に設けたボルト挿通孔17に挿通して、その下端ネジ部17bを装置本体2に螺入したもので、昇降枠体13の上昇限位置でボルト16の頭16aが昇降枠体13の連結枠12に係止するようになっている。
【0023】
上記のような構成よりなる回転駆動装置1の使用において、図2の(a) に示す状態から昇降枠体13の連結枠12をコイルバネ14の付勢力に抗して押し下げると、縦枠10側のラック8の下動により前部側ピニオン4が図2の矢印Aで示す時計回りに回転して、回転軸3を同じ時計回りに回転させ、この時、縦枠11側のラック9の下動によって後部側ピニオン5は図2の矢印Bで示す反時計回りに空転する。
【0024】
こうして昇降枠体13を下降限位置ま下降させた後、昇降枠体13に対する押し下げ力を解放すると、昇降枠体13はコイルバネ14の付勢力によって上昇するが、この上昇時には縦枠10側のラック8の上動により前部側ピニオン4は図2の矢印Bで示す反時計回りに空転し、縦枠11側のラック9の上動により後部側ピニオン5が図2の矢印Aで示す時計回りに回転して、回転軸3を引き続き時計回りに回転させる。
【0025】
従って、上記のような昇降枠体13の昇降動作を繰り返し行なわせることにより、回転軸3を連続的に回転させることができる。つまり、上記回転駆動装置1は、昇降枠体13の上下直線運動を、左右縦枠10,11のラック8,9と、このラック8,9にかみ合う前部側及び後部側のピニオン4,5と、各ピニオン4,5と回転軸3との間に介装された一方向クラッチ7,8とによって、回転軸3を連続回転させる回転運動に変換させる運動変換機構を構成するものである。
【0026】
上述したような回転駆動装置1によれば、昇降枠体13の連結枠12に定期的に押力を加えるだけの簡単な操作で、昇降枠体13を昇降させて回転軸3を連続的に回転させることができる。また、この回転駆動装置1は、部品点数が少なく、構造が簡単であるから、装置全体を小型にすることができると共に、安価に製作することができる。
【0027】
図3の(a) は上記回転駆動装置1を備えた自転車を示したもので、自転車使用者がサドルに体重をかけたり、かけなくすることを繰り返し行って回転駆動装置1の昇降枠体13を昇降させることにより、回転軸3を連続回転させて自転車のチェーンを前進駆動させ、人力を補助するようになっている。
【0028】
上記の回転駆動装置1を自転車に設置するには、自転車のダイヤモンドフレーム18の一部を構成する角筒状の立管(シートチューブとも言う)19の背面側に回転駆動装置1の装置本体2をクランプ25によって取り付け固定し、この立管19に上方より昇降スライド自在に差し込んだ角筒状のサドルポスト20に、連結腕21を介して昇降枠体13を連動連結すると共に、昇降枠体13の回転軸3に同軸で一体回転可能に取り付けたスプロケット22を自転車のチェーン23に噛合させるようにすればよく、しかして自転車使用者が、サドルポスト20の上端部に取り付けたサドル24に対し、腰を下ろして体重をかける動作と、腰を浮かして体重をかけない動作とを繰り返し行って、昇降枠体13を昇降させることにより、回転軸3を連続回転させて、スプロケット22の回転により自転車のチェーン23を前進駆動させるようにしたものである。自転車の非使用時は、回転駆動装置1の昇降枠体13は上昇限位置にある。
【0029】
図3の(b) に示すように、角筒状のサドルポスト20には上下2箇所に摺動部材26が夫々四側面部に取り付けられていて、立管19内でのサドルポスト20の昇降が円滑に行なえるようにしている。また、連結腕21は、その基端部がサドルポスト20の下端部側に突入されて、サドルポスト20に対し直角となるように一体的に固定され、そして角筒状立管19の背面側側壁部に形成されたガイド溝27に沿って上下スライドするようになっている。連結腕21の先端部は、昇降枠体13の連結枠12に連結固定されている。
【0030】
この自転車の使用において、使用者がサドル24に跨がり、両足をペダル28,28に掛けた状態で、サドル24に対し、腰を下ろして体重をかける動作と、腰を浮かせて体重をかけない動作とを交互に行なって、昇降枠体13を昇降させることにより、回転軸3を連続回転させて、スプロケット22の回転により自転車のチェーン23を前進駆動させることができる。
【0031】
即ち、サドル24に対し腰を下ろして体重をかけると、サドルポスト20にかかる荷重は連結腕21を介し回転駆動装置1の昇降枠体13に作用して、この昇降枠体13を押し下げるから、回転軸3が図3の矢印方向に回転してスプロケット22を同図の矢印方向に回転させ、チェーン23を同図の矢印方向に駆動し、後輪29を自転車前進方向に回し、そして使用者が腰を浮かせると、サドル24に荷重がかからなくなるため、回転駆動装置1のコイルバネ14の付勢力によって昇降枠体13及びサドルポスト20が上昇限位置へ復帰し、この昇降枠体13が上昇する時も回転軸3が引き続き同じ方向に回転するから、スプロケット22を回転させて、チェーン23を駆動して後輪29を自転車前進方向に回すことになる。
【0032】
また、使用者は、両足でペダル28を踏んでその踏力でチェーン23を駆動しながら、上記のようにサドル24に対して腰を下ろしたり浮かせたりする動作を繰り返し行って、回転軸3の回転によりスプロケット22を回転させてチェーン23に駆動力を与えるようにしてもよく、そうすることによって比較的小さいペダル踏力で大きなチェーン駆動力が得られ、坂道でも楽々走行することができる。尚、図3において、30は前輪、31はハンドルフレーム、32はダイヤモンドフレーム18の上管、33は下管、34は頭管、35はチェーンステイを示す。
【0033】
図3の(a) により説明した自転車では、回転駆動装置1の回転軸3にスプロケット22を回転軸3と一体回転可能に取り付け、回転軸3の回転によってスプロケット22を直接回転させるようにしたスプロケット・チェーン機構の実施形態を示したが、図4の(a) ,(b) には、スプロケット22を回転駆動装置1の回転軸3に軸受36を介して回転自在に取り付けると共に、その回転軸3には回動レバー37の一端部を固定し、この回動レバー37の他端部と、スプロケット22に固定ボルト38で取り付けたバネ取付片39との間には、前記昇降枠体13の昇降による回転軸3の回転により回動レバー37が回動する時に圧縮作用を受ける圧縮コイルバネ40を介装し、このコイルバネ40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転させ、このスプロケット22の回転によってチェーン23を前進方向に駆動するようにしたスプロケット・チェーン機構の実施形態を示す。尚、回動レバー37の一端部を回転軸3に固定するには、回動レバー37の一端部に設けた軸挿通孔41を回転軸3に挿通し、回転軸3と軸挿通孔41との間にキー42を挿着するようにすればよい。
【0034】
この図4の(a) ,(b) に示す実施形態のように、回転軸3の回転により回動レバー37が回動して圧縮コイルバネ40を圧縮し、このコイルバネ40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転させるようにすれば、坂道走行時のように自転車のチェーン23に大きな前進駆動力を要する時には、前記昇降枠体13の昇降により回転軸3が回転して回動レバー37が回動することによりコイルバネ40が圧縮して圧縮付勢力を蓄積するから、その蓄積された圧縮付勢力によって、スプロケット22には大きな回転トルクが得られ、チェーン23を強力に駆動することができる。
【0035】
また、図5には、スプロケット22を回転駆動装置1の回転軸3に回転自在に取り付けると共に、その回転軸3には回動杆43の長手方向中央部を固定し、この回動杆43の一端部の一側面とスプロケット22に固定ボルト38で取り付けたバネ取付片39との間、及び回動杆43の他端部の他側面とスプロケット22に固定ボルト38で取り付けたバネ取付片39との間には、前記昇降枠体13の昇降による回転軸3の回転により回動杆43が回動する時に圧縮作用を受ける圧縮コイルバネ40,40を夫々介装し、これら両バネ40,40の圧縮付勢力を介してスプロケット22を回転させ、このスプロケット22の回転によってチェーン23を前進方向に駆動するようにしたスプロケット・チェーン機構を示す。
【0036】
この図5に示すスプロケット・チェーン機構のように回動杆43の一端部の一側面とスプロケット22との間、及び回動杆43の他端部の他側面とスプロケット22との間に圧縮バネ40,40を夫々介装した場合は、圧縮バネ40が蓄積する圧縮付勢力は図4(a) ,(b) の場合の2倍になるため、スプロケット22にはより大きな回転トルクが得られ、チェーン23をより強力に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a) は本発明に係る回転駆動装置を示す斜視図、(b) は(a) のX−X線断面図である。
【図2】(a) は図1の(a) の概ねY−Y線に沿って断面した断面図で、昇降枠体が上限位置にある状態を示し、(b) は同様な断面図で、昇降枠体が下限位置にある状態を示す。
【図3】(a) は本発明に係る回転駆動装置付き自転車を示す側面図、(b) は(a) のZ−Z線拡大断面図である。
【図4】(a) はスプロケット・チェーン機構の実施形態を示す正面図、(b) は(a) のV−V線断面図である。
【図5】他のスプロケット・チェーン機構の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 回転駆動装置
2 装置本体
3 回転軸
4,5 ピニオン
6,7 一方向クラッチ
8,9 ラック
10,11 縦枠
12 連結枠
13 昇降枠体
14 バネ
18 自転車のフレーム
19 フレームの立管
20 サドルポスト
21 連結腕
22 スプロケット
23 チェーン
24 サドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に回転軸を軸架し、回転軸には前後2つのピニオンを夫々同じ方向性をもつ一方向クラッチを介して取り付け、両ピニオンの左右両側には一方のピニオンに噛合するラックと他方のピニオンに噛合するラックを有する左右一対の縦枠を昇降自在に配置すると共に、左右両縦枠を連結枠で連結して門形の昇降枠体を形成し、この昇降枠体の連結枠と装置本体との間に昇降枠体上昇復帰用のバネを介装し、しかして昇降枠体をバネの付勢力に抗して押し下げると、何れか一方のピニオンが正方向に回転して、回転軸を正方向に回転させ、他方のピニオンは逆方向に空転し、その押し下げ力を解放して昇降枠体がバネ付勢力で上昇すると、前記一方のピニオンは逆方向に空転し、他方のピニオンが正方向に回転して回転軸を引き続き正方向に回転させ、以降昇降枠体が昇降することにより、回転軸が連続回転するようになっている回転駆動装置。
【請求項2】
前記昇降枠体上昇復帰用のバネは、装置本体の上面と昇降枠体の連結枠との間に介装された圧縮コイルバネからなる請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項3】
自転車のフレームの一部を構成する立管に請求項1又は2に記載の回転駆動装置の装置本体を固定し、この立管に上から昇降スライド自在に差し込んだサドルポストに、連結腕を介して回転駆動装置の昇降枠体を昇降自在に連結すると共に、回転駆動装置の回転軸に連動連結したスプロケットを自転車のチェーンに噛合し、自転車使用者が、サドルポストの上端部に取り付けたサドルに対し腰を下ろして体重をかける動作と腰を浮かして体重をかけない動作とを繰り返して、回転駆動装置の昇降枠体を昇降させることにより、その回転軸を連続回転させて、スプロケットの回転により自転車のチェーンを前進駆動させるようにしてなる自転車。
【請求項4】
前記スプロケットは回転駆動装置の回転軸に一体的に取り付けてなる請求項3に記載の自転車。
【請求項5】
前記スプロケットは回転駆動装置の回転軸に回転自在に取り付けると共に、その回転軸に回動レバーの一端部を固定し、この回動レバーの他端部とスプロケットとの間には、前記昇降枠体の昇降による回転軸の回転により回動レバーが回動する時に圧縮作用を受けるバネを介装し、このバネの圧縮付勢力を介してスプロケットを回転させるようにしてなる請求項3に記載の自転車。
【請求項6】
前記スプロケットは回転駆動装置の回転軸に回転自在に取り付けると共に、その回転軸に回動杆の長手方向中央部を固定し、この回動杆の一端部の一側面とスプロケットとの間、及び回動杆の他端部の他側面とスプロケットとの間には、前記昇降枠体の昇降による回転軸の回転により回動杆が回動する時に圧縮作用を受けるバネを夫々を介装し、これら両バネの圧縮付勢力を介してスプロケットを回転させるようにしてなる請求項3に記載の自転車。
【請求項7】
前記バネは圧縮コイルバネからなる請求項5又は6に記載の自転車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−208491(P2009−208491A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50479(P2008−50479)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(505167347)
【Fターム(参考)】