因果関係検出方法、該装置、及び該プログラム
【課題】収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出する技術を提供する。
【解決手段】地域毎の過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む事象種別関係情報が格納される種別関係テーブルを有し、コンピュータは、地域の各所で発生した事象に関する実事象情報を取得し、取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の種別関係テーブルを選択し、原因事象種別情報に対する条件としての第1実事象情報に基づいて、選択した種別関係テーブルから、事象種別関係情報を抽出し、抽出した事象種別関係情報に含まれる結果事象種別情報、及び第1実事象情報の日時に基づいて、実事象情報から第2実事象情報を抽出し、第1実事象と第2実事象を関係付けることにより、上記課題の解決を図る。
【解決手段】地域毎の過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む事象種別関係情報が格納される種別関係テーブルを有し、コンピュータは、地域の各所で発生した事象に関する実事象情報を取得し、取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の種別関係テーブルを選択し、原因事象種別情報に対する条件としての第1実事象情報に基づいて、選択した種別関係テーブルから、事象種別関係情報を抽出し、抽出した事象種別関係情報に含まれる結果事象種別情報、及び第1実事象情報の日時に基づいて、実事象情報から第2実事象情報を抽出し、第1実事象と第2実事象を関係付けることにより、上記課題の解決を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な情報源より提供された事象に関する情報を管理・整理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害や人災、事故などの事象が発生した場合に、発生した事象を分析したり、発生した事象に関する情報を管理したりすることは防災上の観点から重要なことである。このような発生した事象の管理に関する技術として、例えば、次のものがある。
【0003】
例えば、地理的な広がりを持つシステムの状態を収集し、収集されたシステムの状態を地理的な視野を有する画面上に表示する監視システムがある。監視システムでは、地理的に広がりのある災害情報をオペレータ入力によりシステム状態画面に反映させ、監視対象システムから通知される複数の障害状態をシステム状態画面上に表示する。監視システムは、さらに、障害の発生した地域の災害情報もシステム状態画面上にオーバーラップさせ関連づけて表示する。これにより、監視対象システムのバースト的な障害アラームの発生原因が地域的に広がりのある災害により発生したものかどうかを容易に推測する。
【0004】
また、例えば、膨大なデータからある規則性やルールを発見する空間データマイニング方法がある。この空間データマイニング方法では、所定地域内で発生した特定された事象について、入力された事象発生地点の位置情報から事象の発生数が多い領域を決定し、この決定された領域が、所定地域を表す地図データ上のどの位置かを特定する。これにより、発生事象と空間データとの対応が取りやすく、取り扱う各種データから規則を導き出す空間データマイニングを提供する。
【0005】
また、例えば、プラントの安全確保や事故防止などの保安管理を支援するためのプラント保安管理システムがある。プラント保安管理システムは、個々のプロセス異常事象と個々の機器損傷事象の間での要因と結果の関係を因果関係データとして保持する。プロセス異常事象データとは、プラントを構成する機器の特定の箇所を流れるプロセス流体とこのプロセス流体の正常から逸脱した異常モードとを組み合わせたデータである。機器損傷事象データとは、プラントを構成する機器と当該機器の正常から逸脱した機器損傷モードとを組み合わせたデータである。これにより、想定される原因と、波及するであろう事象等、保安管理上の有益な情報提供を行っている。
【0006】
また、例えば、複数の拠点からファクシミリによるイメージ情報を収集して管理する災害情報収集管理システムがある。災害情報収集管理システムは、複数の拠点からのファクシミリによるイメージ情報に分析・判断情報を付与して、分析・判断情報を検索キーとして災害情報データ及び地図データを検索して読み出し、場所に対応する地図上に災害情報を出力し管理する。これにより、ファクシミリによるイメージ情報からなる災害情報を収集して分類、管理、整理を行っている。
【0007】
また、例えば、所定の地域において発生した災害による所定の構造物の被害を想定する災害被害想定装置がある。災害被害想定装置は、直後災害情報と、地震災害履歴情報とに基づいて、対象地域全域における地震動強度分布を推定し、推定された地震動強度分布と、対象地域全域において確定された停電情報と、被害率関数と、設定ネットワーク構造とに基づいて、地震災害が発生した直後の支持物の被害発生率の想定を行なう。そして、災害被害想定装置は、地震災害が発生した後に、更新された更新地震災害情報と、巡視終了地域において確定された支持物の被害情報とに基づいて、被害率関数を更新する。災害被害想定装置は、未巡視地域において、設定ネットワーク構造における支持物における被害発生率の想定を、更新して行なう。そして、災害被害想定装置は、その想定された地震被害想定マップを作成し、モニタにて表示する。これにより、災害発生後の被害想定を迅速かつ高精度に行なう。
【0008】
また、例えば、発生した事象に関して有用な情報が実際に記憶されている可能性が高い装置を検索することができる検索装置がある。検索装置では、複数の外部装置とデータ通信を行ない、事象の発生を受け付けた際に、事象が発生した場所の位置情報及び事象が発生した時刻の時刻情報を含む事象情報を記憶している外部装置を検索する。これにより、事象が発生した場合に、実際に事象に関する情報を記憶している外部装置を検索するので、有用な情報を記憶している可能性がより高い外部装置を検索する。
【0009】
また、例えば携帯電話機を用いた緊急連絡システムがある。緊急連絡システムでは、複数の携帯電話機が基地局に対して発信している制御情報をモニタリングし、第1のデータベースに格納する。また、事件、事故等に遭遇した被害者または発見者の携帯電話機から基地局に対して発信された事件・事故情報をモニタリングし、当該携帯電話機の位置情報を含めて第2のデータベースに格納する。緊急連絡システムは、未対応の事件・事故情報に対し、当該事件・事故情報を発信した携帯電話機の位置の所定距離範囲内に位置する近隣の他の携帯電話機の識別情報と位置情報を第1のデータベースから検索する。緊急連絡システムは、事件・事故情報を発信した携帯電話機の位置と近隣に存在する携帯電話機の位置とを含む事件・事故発生地図情報を生成し、近隣の他の携帯電話機へ配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−232987号公報
【特許文献2】特開2005−84930号公報
【特許文献3】特開2009−20787号公報
【特許文献4】特開2009−59345号公報
【特許文献5】特開2009−92468号公報
【特許文献6】特開2009−99055号公報
【特許文献7】特開2009−152724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
災害・事故等の事象が発生した場合、多方面から様々な情報が収集される。しかしながら、それらの収集された情報は、個々に断片的に活用されるものの、収集された事象情報間にどのような因果関係があるのかを把握することはできなかった。
【0012】
そこで、本明細書では、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
因果関係検出方法は、コンピュータが、発生した事象間の因果関係を検出する。前記コンピュータは、格納部に種別関係テーブルを有する。種別関係テーブルは、事象種別関係情報を含む。事象種別関係情報は、地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む。
【0014】
前記コンピュータは、前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する。それから、前記コンピュータは、前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する。それから、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。さらに、前記コンピュータは、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、前記コンピュータは、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける。
【発明の効果】
【0015】
上記技術によれば、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実事象因果関係検出装置の一例を示す。
【図2】ある地域をメッシュで区画し、各区画をメッシュ上の座標で示すための説明図である。
【図3】イベント種別関係テーブル2の一例を示す。
【図4】位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換したイベント種別関係テーブル2を示す。
【図5】イベント種別関係テーブル2の更新・追加を説明するための図である。
【図6】区画属性テーブル3の一例を示す。
【図7】実事象リスト4の一例を示す。
【図8】対象となる区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象の因果関係の取得のフローを示す。
【図9】同一区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象情報の因果関係の取得について説明するための図である。
【図10】対象となる区画のイベント種別関係テーブル2を適用することができず、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いる場合における実事象イベントの因果関係の取得のフローを示す。
【図11】災害情報オントロジーを説明するための図である。
【図12】用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせることを説明するための図である。
【図13】用途に応じたイベント種別関係テーブル2の一例を示す。
【図14】実施例1における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図15】実施例1における実事象情報の入力フォーム51の一例を示す。
【図16】実施例1における実事象リストの一例を示す。
【図17A】実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フロー(その1)を示す。
【図17B】実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フロー(その2)を示す。
【図18】実施例1における因果関係情報が付与された実事象リスト4aを示す。
【図19】実施例1における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の一例を示す。
【図20】実施例2における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図21】実施例2におけるフィードバック機能50によるイベント種別関係情報フィードバック処理フローを示す。
【図22】実施例3における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図23】実施例3における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。
【図24】実施例4における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図25】実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4b(因果関係付け処理前)の一例を示す。
【図26】実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4c(因果関係付け処理後)の一例を示す。
【図27】実施例4における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の表示例を示す。
【図28】コンピュータ21のハードウェア環境の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
災害時には断片的なイベント情報が多数挙がってくるが、イベント間の関係情報が分からないため、その情報を活用することができなかった。例えば、豪雨→土石流→通行止めのようなイベント間の因果関係が分からないため、そのようなイベント情報を避難行動等に有効に利用することができなかった。
【0018】
また、土石流は山の近くでないと発生しない等、イベントの因果関係は地域によって異なる。各地域に応じたイベントの因果関係を算出する関係テーブルを個別に作るのでは工数がかかりすぎる。
【0019】
そこで、本実施形態では、実事象が発生した地域の属性に基づく地域の過去の原因事象の種別と結果事象の種別の組み合わせを用いて、対象地域で得られた実事象情報同士を関係付けることにより、実事象間の因果関係を検出する。以下に本実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における実事象因果関係検出装置の一例を示す。因果関係検出装置1は、実事象リスト4、取得部5、選択部6、関係付け処理部7、重み付け部8、予測部9、表示制御部10、更新部11、格納部12を含む。格納部12には、イベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3が格納されている。
【0021】
イベント種別関係テーブル2(または、種別関係テーブル)は、事象種別関係情報を含む。事象種別関係情報は、地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む。すなわち、イベント種別関係テーブル2には、ある発生した事象(原因)と、その結果として生じる事象とに関する情報が格納されている。
【0022】
取得部5は、前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する。具体的には、取得部5は、複数の情報源から収集された1以上の実事象情報を実事象リスト4として取得する。すなわち、実事象リスト4は、官公庁等から提供される災害等の事象情報(トップダウンの情報)、利用者自身から提供される災害等の事象情報、口コミによる災害等の事象情報を収集して作成した事象情報リストである。
【0023】
選択部6は、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する。
関係付け処理部7は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。それから、関係付け処理部7は、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、関係付け処理部7は、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける。すなわち、関係付け処理部7は、対象地域(対象区画)の実事象リスト4と、イベント種別関係テーブル2のうち、対象地域(対象区画)のイベント種別関係テーブルとを用いて、実事象リスト4に含まれている事象情報間を関係付ける。
【0024】
このように構成することにより、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出することができる。
区画属性テーブル3(または、属性分類テーブル)には、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報が格納される。すなわち、区画属性テーブル3には、ある地域がメッシュ上に区切られており、その区切られた各区画についての属性、及びその属性に類似する属性を有する区画に対応するイベント種別関係テーブル名が格納されている。
【0025】
この場合、前記選択部6は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択する。また、前記選択部6は、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する。すなわち、選択部6は、関係付けができなかった事象情報がある場合、区画属性テーブル3を用いて、対象地域(対象区画)の属性と同様の属性を有する地域(区画)のイベント種別関係テーブルを取得する。このとき、関係付け処理部7は、その取得した他地域(他区画)のイベント種別関係テーブルを用いて、上記関係付けができなかった事象情報について、事象情報間を関係付ける。
【0026】
このように構成することにより、対象地域のイベント種別関係テーブル3が存在しない、または適用可能なイベント種別関係テーブルが存在しない場合でも、同様の属性を有する他の地域のイベント種別関係テーブル3を用いるができる。これにより、対象地域のイベント種別関係テーブル3の存在に関わらず、実事象間の因果関係を導くことができる。すなわち、区画属性テーブルを用いることにより、区画ごとに設定されているイベント種別関係テーブルの適用範囲を、他の区画にまで拡張することができる。
【0027】
ここで、前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含む。前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含む。このとき、前記関係付け処理部7は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出する。それから、前記関係付け処理部7は、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、前記関係付け処理部7は、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する。
【0028】
このように構成することにより、過去に生じた事象の因果関係に基づいて、収集された事象情報間の因果関係づけを行うことができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、重み付け部8を含む。重み付け部8は、前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う。
【0029】
このように構成することにより、信憑性の高い情報を使用することができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、予測部9を含む。予測部9は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。それから、予測部9は、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とする。そして、予測部9は、該結果としての事象情報を予測情報として出力する。
【0030】
このように構成することにより、ある事象がどのような事象を引き起こすかを予測することができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、更新部11を含む。更新部11は、前記関係付け処理部により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成する。そして、更新部11は、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する。
【0031】
このように構成することにより、関係付けがされた事象を用いて、イベント種別関係テーブル2を更新することができる。
前記因果関係検出装置は、さらに、表示制御部10を含む。表示制御部10は、前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる。すなわち、表示制御部10は、関係付けられた実事象リスト4の事象情報間の因果関係情報を用いて、事象間の関係を視覚的に認識できるように、表示する。
【0032】
このように構成することにより、関係する複数の事象間の因果関係を示す情報を視覚的に出力することができる。
図2は、ある地域をメッシュで区画し、各区画をメッシュ上の座標で示すための説明図である。本実施形態では、図2に示すように、ある地域を示す地図上をメッシュで区画する。各区画をメッシュ上の座標(以下、メッシュ座標という)で表す。メッシュ座標は、例えば(AmBn)(m及びnは任意の整数)で表す。Amは、メッシュ座標の横方向の座標を示す。Bnは、メッシュ座標の縦方向の座標を示す。
【0033】
なお、本明細書では、ある地域をメッシュ状で区画して得られた一定の領域を区画という。しかしながら、この区画はある地域における局所化した地域であることに変わりないので、「地域」という表現には「区画」も含まれる。
【0034】
また、本実施形態では、ある地域をメッシュ状で区画したため各区画の形状は四角形であるが、形状は四角形に限定されない。同様の属性を有する局所的な一定領域を取り扱うことができれば、区画の形状は、円形状、三角形状、多角形状等の形状であってもよい。
【0035】
図3は、イベント種別関係テーブル2の一例を示す。イベント種別関係テーブル2は、区画単位で管理されている。イベント種別関係テーブル2に含まれる各イベント種別関係情報は、「原因となるイベント種別」201と、「結果となるイベント種別」202とのデータ項目を含む。
【0036】
「原因となるイベント情報種別」201には、原因としてのイベント情報が格納される。「結果となるイベント情報種別」202には、「原因となるイベント情報種別」201を原因とする、その結果のイベント情報が格納される。
【0037】
「原因となるイベント情報種別」201は、「種別」203、「位置」204、「日時」205のデータ項目を有する。「結果となるイベント情報種別」202は、「種別」206、「位置」207、「日時」208、「時間差」209のデータ項目を有する。「種別」203,206には、「豪雨」、「土石流」、「鉄砲水」、「通行止め」等のイベントの種別が格納される。「位置」204,207には、そのイベントが発生した位置(例えば、緯度、経度等)が格納される。「日時」205,208には、そのイベントが発生した日時が格納される。「時間差」209には、「日時」205と「日時」208の時間差が格納される。
【0038】
図3のイベント種別関係テーブル2の内容を説明すると、第1番目のイベント種別関係情報は、豪雨と鉄砲水とのイベントの因果関係を示す。第2番目のイベント種別関係情報は、豪雨と土石流とのイベントの因果関係を示す。第3番目のイベント種別関係情報は、土石流と通行止めとのイベントの因果関係を示す。
【0039】
図4は、イベント種別関係テーブル2の位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換したものである。イベント種別関係テーブル2の位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換する処理については後述する。
【0040】
図5は、イベント種別関係テーブル2の更新・追加を説明するための図である。イベント種別関係テーブル2は、区画ごとの位置、時間の要素を基に、イベント種別情報間の関係を設定している。そして、イベント種別関係テーブル2に対して、関連付けできない実事象情報が増えたり、関連付け先(元)の実事象情報がない場合に、実事象リスト4からイベント種別関係テーブル2へイベント種別情報がフィードバックされる。これにより、イベント種別関係テーブル2が更新・生成される。
【0041】
図5において、関連付けできない実事象が増えたり、関連付け先(元)の実事象がない場合に、実事象として適用することができるイベント種別関係情報を選別する。例えば、管理者により、豪雨と停電の種別関係についてのイベント種別関係情報2−1が選別されている。また、河川の濁りと土砂災害、流木と土砂災害、山鳴りと土砂災害、落石と土砂災害、井戸水と土砂災害の種別関係情報2−2が、実事象として適用することができるイベント種別関係情報として選別されている。その選別したイベント種別関係情報を用いて、イベント種別関係テーブルを更新したり、イベント種別関係テーブル2に追加する。
【0042】
なお、本実施形態により因果関係付けされた原因−結果の事象の組を、イベント種別関係テーブル2に追加するようにしてもよい。
なお、因果関係を得るためのイベント種別関係テーブルとして定義される因果関係ルールの組は一意に定まらない。例えば、地域、場所など状況に応じて、固有のルール(条件付ルール)がある。条件付のルールの適用により、山間部、海岸沿い、川沿い、谷地、平野部など、同じ提供情報でも適用されるルールによって、同じ事象イベントからでも、違う関連情報が結果として導かれる場合もある。このために、基本的なイベント種別関連情報テーブルはデータベースとして蓄積され、共有される。
【0043】
図6は、区画属性テーブル3の一例を示す。区画属性テーブル3に含まれる各区画属性情報は、「位置」301、「属性」302、「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」303のデータ項目を含む。「位置」301には、メッシュで区画された各区画の座標が格納される。「属性」302には、「位置」301に格納された位置に対応する区画での、例えば、降水量、平均気温、人口密度、地形情報、河川情報等の属性情報が格納される。「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」303には、「属性」302に格納された属性情報と類似する属性情報を有するイベント種別関係テーブルの名称が格納される。
【0044】
図7は、実事象リスト4の一例を示す。実事象リスト4は、実際に現場で発生している個々の実事象情報を収集したものである。具体的には、行政等からトップダウンで提供される災害・事故等の事象情報、インターネット等の通信ネットワークを介して口コミ的に拾い集められる事象情報、利用者本人の獲得情報など様々な情報源より提供された情報を収集したものである。
【0045】
実事象リスト4に含まれる各実事象情報は、「ID」401、「日付」402、「時刻」403、「場所」404、「位置」405、「コンテンツ」406、「種別」407、「情報ソース」408のデータ項目を含む。
【0046】
「ID」401には、実事象リスト4に含まれる各事象を識別するための識別番号が格納されている。「日付」402には、その事象が発生した日付が格納されている。「時刻」403には、その事象が発生した時刻が格納されている。「場所」404には、その事象が発生した場所が格納されている。「位置」405には、その事象が発生した場所の位置(緯度、経度)が格納されている。「コンテンツ」406には、その事象の内容が格納されている。「種別」407には、その事象の種別が格納されている。「情報ソース」408には、その事象についての情報の提供元(TopDown、本人、口コミ等)が格納されている。
【0047】
図8は、対象となる区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象の因果関係の取得のフローを示す。図9は、同一区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象情報の因果関係の取得について説明するための図である。
【0048】
まずは、関係付け処理部7は、実事象リスト4中の対象となる実事象情報Aの種別、位置と、イベント種別関係テーブル2の「原因となるイベント種別」の種別、位置とのマッチングを行う(S1)。例えば、実事象リスト4のID「10011」で示される実事象情報を、対象となる実事象情報Aとする。ここで、実事象情報Aの種別、位置はそれぞれ、「豪雨」、「緯度X10,経度Y10」である。この場合、イベント種別関係テーブル2から、実事象リスト4中の対象となる実事象情報Aの種別、位置と一致する「原因となるイベント種別」を含むイベント種別情報が抽出される。なお、位置(緯度、経度)については、許容誤差の範囲内(例えば、緯度±0.0020、経度±0.0020等)でマッチングを行う。
【0049】
次に、関係付け処理部7は、取得された「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の種別、位置、日時Tと、実事象リスト4の種別、位置、日時とのマッチングを行う(S2)。上記の例では、S1で取得されたイベント種別情報2−1の“結果となるイベント種別”の種別は「鉄砲水」、位置は「経度X11,緯度Y11」である。ここで、日時Tとは、対象実事象A1の日時+「時間差」以内を示す。この場合、上記の例で、日時Tは、「2009/7/21 9:00+3時間以内」となる。
【0050】
したがって、上記の例では、実事象リスト4から、種別「鉄砲水」、位置「経度X11±0.0020,緯度Y11±0.0020」、「2009/7/21 9:00+3時間以内」の条件に適合する実事象情報A2が抽出される。
【0051】
そして、関係付け処理部7は、実事象情報A1から実事象情報A2への因果関係を導く(S3)。すなわち、S3で抽出された実事象情報A2を、対象となる実事象情報A1と因果関係がある実事象情報として関連付ける。上記の例では、抽出された実事象情報A2に、実事象情報A1のIDを因果関係情報として付与する。
【0052】
図10は、対象となる区画のイベント種別関係テーブル2を適用することができず、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いる場合における実事象イベントの因果関係の取得のフローを示す。
【0053】
まず、選択部6は、対象となる区画の実事象情報A1の場所・位置(区画AmBn)に対応するイベント種別関係テーブル2を検索する(S11)。
その区画AmBnに対応するイベント種別関係テーブル2が存在すれば、関係付け処理部7は、そのイベント種別関係テーブルを用いて、因果関係を与える実事象情報A2を取得する(S12)。具体的には、図8のフローを行う。
【0054】
区画AmBnに予め設定されているイベント種別関係テーブルがない、または適用できるイベント種別関係テーブルが存在しないため、図8のフローを行うことができない場合には、関係付け処理部7は、次の処理を行う。すなわち、関係付け処理部7は、区画属性テーブル3を用いて、区画AmBnの属性と同じ属性の他区画のイベント種別関係テーブル2を取得する(S13)。
【0055】
そして、関係付け処理部7は、S13で取得した他区画のイベント種別関係テーブル2を用いて、実事象情報A1から実事象情報A2への因果関係を導く。具体的には、S13で取得した他区画のイベント種別関係テーブル2を用いて、図8のフローを行う。
【0056】
なお、実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2とのマッチングを行う場合には、災害情報オントロジーを用いて、イベント種別関係テーブルの「種別」の一般化を図るようにする。
【0057】
図11は、災害情報オントロジーを説明するための図である。災害情報オントロジーは、実事象情報をイベント種別情報に関連づける災害概念の整理情報である。例えば、同じ気象であっても、その名称は地域によって、または個人によって異なる場合がある。例えば、「豪雪」、「大雪」、「暴風雪」等はいずれも同じまたは類似の気象を表す。このように同じ現象であっても複数の用語がある現象の名称がイベント種別関係テーブル2の「種別」に格納されている場合、実事象リスト4の「種別」とのマッチングに支障をきたす。
【0058】
そこで、災害情報オントロジーを用いて、イベント種別関係テーブルの「種別」の一般化して情報の関連性を広げて検索できるようにする。
図11に示す災害情報オントロジーでは、自然現象の配下に「雪」、「雨」、「台風」等の自然現象があり、それらの自然現象の配下に、さらに、細分化された自然現象がある。例えば、「雪」の配下には、「豪雪」、「大雪」、「霰」、「暴風雪」等がある。このように、図11の災害情報オントロジーでは、下側から上側へ「自然現象」が抽象化している。災害情報オントロジーを用いることで、「種別」の関係付けに幅ができ、イベント種別関係テーブル2の「種別」に格納されている場合、実事象リスト4の「種別」とのマッチングを効率よく行うことができる。
【0059】
ところで、イベント種別関係テーブル2は、地域や地形属性に応じて、さまざまな種類がある。そこで、基本となるイベント種別関係テーブル2に、用途に応じて、イベント種別関係テーブルを組み合わせることで、得られる実事象の因果関係が異なってくる。
【0060】
図12は、用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせることを説明するための図である。図13は、用途に応じたイベント種別関係テーブル2の一例を示す。図12に示すように、災害情報オントロジー15を用いて、実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2とをマッチングする場合、用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせる。
【0061】
例えば、基本イベント種別関係テーブル2−11、任意地域のイベント種別関係テーブル2−12、特殊地域のイベント種別関係テーブル2−13、その他、災害兆候のイベント種別関係テーブル2−14がある。
【0062】
通常の場合には、例えば、基本イベント種別関係テーブル2−11を用いて、基本的な因果関係を導くことができる。
また、例えば、都市付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、豪雨と停電との種別関係を含む任意地域のイベント種別関係テーブル2−12を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、停電等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0063】
また、例えば、河川付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、豪雨と河川決壊との種別関係を含む任意地域のイベント種別関係テーブル2−13を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、河川決壊等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0064】
また、例えば、山地付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、河川の濁りと土砂災害、流木と土砂災害等との種別関係を含む災害兆候のイベント種別関係テーブル2−14を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、土砂災害等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0065】
このように、地域や地形属性に合わせたイベント種別関係テーブルを適用することにより、用途に応じた因果関係を得ることができるので、防災、避難、復興等の立案に利用することができる。
【0066】
このように、本実施形態を用いれば、対象区画のイベント種別関係テーブルが存在しない、または適用可能なイベント種別関係テーブルが存在しない場合でも、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いることで、実事象間の因果関係を導くことができる。また、イベント種別テーブルを個別に洗練させ、領域ごとの細かい関係を導くことができる。また、地形等の状況に対応したイベント種別関係テーブルを設定することで、地域ごとの実事象の因果関係を得ることができる。
【0067】
本実施形態によれば、イベント種別、位置、時間を用いて、災害時の全てのイベントを関係付ける。例えばメッシュで区分けされた地域(区画)ごとに、地域属性の類似する他の区画や過去のイベント事例に応じて、イベント種別関係テーブルを作成する。それから、イベント種別関係テーブルとイベントから、イベント間の因果関係情報を検出する。さらには、類似した位置関係にある他の区画でのイベント種別関係テーブルとイベントから、イベント間の因果関係情報を検出する。
【0068】
これにより、過去のイベント事例、地形が類似した他地域、隣接する地域等の情報を用いて、その地域に応じた因果関係の検出が可能になる。また、地域に応じて作成したイベント関係テーブルに基づいて、災害時の複数のイベントが因果関係に基づいて自動的に整理することができる。これによって、避難行動や防災計画の立案の支援をすることができる。
【0069】
以下では、本実施形態をより詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、geo RSS等のRSS(RDF Site Summary、またはReally Simple Syndication)環境における例について説明する。
【0070】
災害やイベント発生時には、統合サーバなど中央のマシンやネットワークへの接続も困難になる可能性がある。このため情報交換は、近くの形態端末同士や、拠点(コンビニエンスストアや自動販売機など通常時にネットワーク接続できている場所)とのやり取りで形態端末同士が広げていく必要がある。このような情報共有環境を実現するために、RSSのサービスは適している。しかしながら、災害情報などは、その位置が重要になることから、情報を扱えるように拡張したGeoRSSを用いることで効果的な情報共有環境を実現できるようになる。
【0071】
事象情報の共有には、位置情報と時刻の情報による絞込みが有用である。しかしながら、様々な事象情報を必要とする人に適確に提供するためには、以下に示すように、位置情報と時刻情報に加えて、イベント事象の種別による整理と関連付けが必要である。災害時やイベント発生時には、同種の多数の情報が発信提供され、その中には間違いやミスなどの不要な情報も含まれる。これらを排除するためには、扱う情報の量を増やし、かつ情報を整理することで、不要な情報を排除できる。このために、災害情報のオントロジーとイベント種別の関連情報を用いて大量の情報の整理と関連づけを行う。
【0072】
イベント種別の関係情報は、地域の属性(例えば、降水量、人工密度、気候、地形属性などのパラメータなど)により異なる。そのため、属性パラメータに基づいて、区画単位でイベント種別関連情報テーブルを用意している。このテーブル情報の共有活用を進めることで、事象間の関係を得ることができる。
【0073】
属性パラメータにより区画単位で用意されるイベント種別関連情報テーブルを利用することで、所定の事象間の因果関係を検出するために、区画内の事象間の因果関係だけでなく、隣接するまたはそれ以外の区画との事象間の因果関係も適用することができる。また、属性パラメータによる基本的なイベント種別関連情報テーブルは、予め、過去の災害情報などに基づきデータベースに蓄積されている。これらのイベント種別関係テーブルを区画単位の属性パラメータにより、活用することで、各種の事象を幅広く関連づけることができる。
【0074】
図14は、実施例1における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。コンピュータ21は、サーバ装置、パーソナルコンピュータ(PC)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等であってもよい。
【0075】
コンピュータ21の記憶部23には、geo−RSS仕様のデータ処理に適応可能な因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされている。また、記憶部23には、イベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15が格納されている。
【0076】
制御部22は、記憶部23より、因果関係検出プログラム31と、因果関係可視化プログラム36とをそれぞれ読み出して、それぞれのプログラムが有する機能を実行させる。
コンピュータ21は、RSSを適用したRSSデータを収集し、記憶部23に格納する。具体的には、コンピュータ21は、インターネット等の通信ネットワークを介して、発生した事象についてRSSデータ(geoRSS Data)を収集する。そして、コンピュータ21は、その収集したgeoRSS Dataを用いて実事象リスト4を作成し、記憶部4に記憶する。
【0077】
RSSデータは、例えば、個人収集のgeoRSS Data41、行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Data42、口コミにより提供されたgeoRSS Data43である。
【0078】
個人収集のgeoRSS Data41とは、ユーザが収集した災害等の事象情報をユーザ自身でコンピュータ21に入力したgeoRSS Dataである。行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Data42とは、インターネット等の通信ネットワークを介して収集された行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Dataである。geoRSS Data43とは、インターネット等の通信ネットワークを介して収集された通信ネットワーク上の口コミのgeoRSS Dataである。
【0079】
因果関係検出プログラム31は、読み出し機能33、イベント種別関係テーブル選択機能34、因果関係付け機能35を有する。読み出し機能33は、記憶部23からイベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15を読み出す。
【0080】
イベント種別関係テーブル選択機能34は、実事象リスト4に含まれる実事象情報が発生した地域の属性に基づく地域のイベント種別関係テーブルを選択する。具体的には、まずは、対象区画のイベント種別関係テーブルを取得する。対象区画のイベント種別関係テーブルがない場合、または因果関係付けに適用することができるイベント種別関係テーブルがない場合、イベント種別関係テーブル選択機能は、区画属性テーブル3を用いて、他の区画のイベント種別関係テーブルを取得する。また、イベント種別関係テーブル選択機能34は、ユーザからの指示に応じて、地域や地形属性に合わせたイベント種別関係テーブルを選択し、対象区画の基本となるイベント種別関係テーブルと組み合わせて適用することができる。
【0081】
因果関係付け機能35は、災害情報オントロジー15を用いて、geoRSS Dataより作成された実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2の関係付けを行う。また、因果関係付け機能35は、実事象リスト4と関係付けられたイベント種別関係テーブル2を用いて、実事象リスト中の実事象情報間の因果関係付けを行い、結果となる実事象情報に、原因となる実事象情報のIDを因果関係情報として付与する。これにより、因果関係付け処理後の実事象リスト4aが生成される。
【0082】
因果関係視覚化プログラム36は、絞込み機能37、表示制御機能38を有する。
絞込み機能37は、因果関係付け処理後の実事象リスト4aを読み込む。それから、絞込み機能37は、ユーザが入力装置を用いて任意に入力した表示条件(例えば、日時、場所、種別等)を用いて、因果関係付け処理後の実事象リスト4aからその表示条件に適合する実事象情報を抽出する。
【0083】
表示制御機能38は、因果関係情報を用いて絞込み機能37で抽出された各実事象情報を繋いでいく。そして、表示制御機能38は、その繋ぎ合わせた実事象情報間の因果関係を描画して、ディスプレイ24に表示させる。
【0084】
図15は、実施例1における実事象情報の入力フォーム51の一例を示す。例えば、携帯情報端末や携帯電話等の情報端末50に、「新規の実事象の入力」についての入力フォーム51が表示されている。
【0085】
「日時(自動)」52には、現在の日時が表示されている。「場所(GPS自動)」53には、当該情報端末51のある位置の緯度と経度が表示されている。なお、「日時(自動)」52、「場所(GPS自動)」53は、自動で入力される項目である。
【0086】
「タイトル」54には、入力しようとする実事象のタイトルをテキストで入力することができる。「概要」55には、入力しようとする実事象の概要をテキストで入力することができる。「捕捉情報」56には、例えば写真を添付することができる。
【0087】
「種別」57については、「雨」「雷雨」「豪雨」「土石流」「濁流」「鉄砲水」「洪水」等の災害情報オントロジー15の適用可能な実事象の種別をポップアップリスト58から選択することができる。
【0088】
入力フォーム51への入力完了後、登録を示すボタンを押下すると、入力フォーム51に入力された内容がgeoRSS Data59として、通信ネットワークを介してコンピュータ21に送られる。
【0089】
図16は、実施例1における実事象リストの一例を示す。コンピュータ21の制御部22は、図15の入力フォームにより入力されて、送信された個人収集のgeoRSS Data41、TopDownによるgeoRSS Data42または通信ネットワーク上の口コミによるgeoRSS Data43を収集する。制御部23は、その収集したgeoRSS Dataを用いて、実事象リスト4を作成し、記憶部23に格納する。
【0090】
図17A、図17Bは、実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。コンピュータ21の制御部22は、因果関係検出プログラム31を記憶装置から読み出して、以下の処理を実行する。
【0091】
制御部22は、記憶部23から対象区画の実事象リスト4を取得する(S21)。それから、制御部22は、その対象区画の実事象リスト4から、1つの実事象情報(対象実事象情報A1)を読み出す(S22)。
【0092】
制御部22は、記憶部23に当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在するか判定する(S23)。当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在しない場合(S23で「No」)、制御部22は、S29の処理を行う。
【0093】
当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在する場合、制御部22は、記憶部23から、その対象区画のイベント種別関係テーブル2Aを取得する(S23で「Yes」)。
【0094】
それから、制御部22は、対象実事象情報A1の「種別」、「位置」と、対象区画イベント種別関係テーブル2Aの「原因となるイベント種別」の「種別」、「位置」とのマッチングを行う(S24)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、「位置」については、上述の通り、所定の誤差は許容されており、マッチングの結果、その許容誤差内であれば、その照合した「位置」は一致したものとする。
【0095】
マッチングの結果、制御部22は、一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の「種別」、「位置」、日時Tと、実事象リスト4の「種別」、「位置」、「日時」とのマッチングを行う(S25)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。「位置」については、上述の通り、所定の誤差は許容されており、マッチングの結果、その許容誤差内であれば、その照合した「位置」は一致したものとする。また、日時Tとは、上述の通り、対象実事象A1の日時+その「結果となるイベント種別」の「時間差」以内を示す。
【0096】
マッチングの結果、制御部22は、実事象リスト4において、S25でマッチした実事象情報(実事象情報A2)に、対象実事象情報A1のIDを、因果関係情報として付与する(S26)。
【0097】
制御部22は、対象実事象情報Aと、当該対象区画における関係する全てのイベント種別関係テーブル2とのマッチングを行うまで、S24−S26を繰り返す(S27)。すなわち、制御部22は、その地域と属性によって提供されている当該対象区画におけるイベント関係テーブルに対して、S24−S26を繰り返す。
【0098】
制御部22は、S24−S27の処理により、対象実事象情報A1と他の実事象情報との因果関係付けができた場合には(S28で「No」)、S37の処理へ進む。一方、S24〜S27の処理において一致するイベント種別関係情報を有するイベント種別関係テーブルが存在しない場合(S28で「Yes」)、制御部22は、S29の処理を行う。
【0099】
すなわち、制御部22は、区画属性テーブル3を用いて、対象区画の属性と同じ属性を有する他の区画のイベント種別関係テーブルを取得する(S29)。具体的には、制御部22は、区画属性テーブル3から、対象区画のメッシュ座標に対応する「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」に格納されているイベント種別関係テーブルの名称を取得する。それから、制御部22は、その取得したイベント種別関係テーブルの名称に対応するイベント種別関係テーブル(以下、「他区画イベント種別関係テーブル2B」)を、記憶部23から読み出す(。
【0100】
それから、制御部22は、取得した他区画イベント種別関係テーブル2Bの「位置」204,207に格納されている位置情報を、メッシュ座標に変換する(S30)。
制御部22は、さらに、メッシュ座標に変換された他区画イベント種別関係テーブル2Bの「位置」204,207に格納されているそのメッシュ座標をそれぞれ、予め対応付けられたメッシュ座標に変換する(S31)。例えば、メッシュ座標に変換された他の区画のイベント種別関係テーブルの「原因となるイベント種別」の「位置」204が「A2B4」であれば、「A4B4」に変換するというように予め対応づけが設定されている。なお、1つのメッシュ座標について、複数のメッシュ座標が対応付けされている場合もある。この場合、後述するように、順次メッシュ座標の変換を行う。
【0101】
それから、制御部22は、対象実事象情報A1の「種別」、「位置」と、他区画イベント種別関係テーブル2Bの「原因となるイベント種別」の「種別」、「位置」とのマッチングを行う(S32)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、このとき、制御部22は、「位置」については、対象実事象情報A1の「位置」を経度、緯度からメッシュ座標に変換してマッチングを行う。
【0102】
マッチングの結果、制御部22は、マッチした「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の「種別」、「位置」、日時Tと、実事象リスト4の「種別」、「位置」、「日時」とのマッチングを行う(S33)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、このとき、制御部22は、実事象リスト4の「位置」を経度、緯度からメッシュ座標に変換してマッチングを行う。また、日時Tとは、上述の通り、対象実事象A1の日時+その「結果となるイベント種別」の「時間差」以内を示す。
【0103】
マッチングの結果、制御部22は、実事象リスト4において、S33でマッチした実事象情報(実事象情報A3)に、対象実事象情報A1のIDを、因果関係情報として付与する(S34)。
【0104】
制御部22は、S30で説明したように、変換したメッシュ座標の他に、予め対応付けられたメッシュ座標がある間、S31〜S34の処理を繰り返す(S35)。制御部22は、他の区画における、関係する全てのイベント種別関係テーブルでのマッチングを行うまで、S30〜S35を繰り返す(S36)。
【0105】
当該対象区画の実事象リスト4に含まれる各実事象情報を対象実事象情報A1として、S21〜S36の処理を行う(S37)。これにより、図18の因果関係情報が付与された実事象リスト4aが得られる。
【0106】
図18は、実施例1における因果関係情報が付与された実事象リスト4aを示す。図18は、図16の実事象リスト4を入力して、図17A,図17Bのフローを実行して得られた結果である。因果関係情報が付与された実事象リスト4aは、記憶部23に格納されている。
【0107】
図18は、図16と比較して、「因果関係」409のデータ項目が追加されている。「因果関係」409には、それぞれの実事象情報の原因として関連付けられた実事象のIDが因果関係情報として格納されている。
【0108】
図18において、因果関係情報に基づくと、次の因果関係が分かる。「新幹線ホーム混雑」(ID=10012)、「新幹線ホーム閉鎖」(ID=10013)、「新幹線運休」(ID=10014)、「新幹線運休」(ID=10015)は、「山口県に豪雨」(ID=10011)と因果関係がある。
【0109】
また、「支流氾濫」(ID=10020)」、「土石流発生」(ID=10030)、「土砂災害」(ID=10041)、「鉄砲水被害」(ID=10042)、「民家浸水」(ID=10043)も、「山口県に豪雨」(ID=10011)と因果関係がある。
【0110】
「土石流発生」(ID=10031)は、「土石流発生」(ID=10030)と因果関係がある。「土砂崩れ」(ID=10032)、「土砂崩れ」(ID=10032)は、「土砂崩れ」(ID=10031)と因果関係がある。「民家浸水」(ID=10043)は、「鉄砲水被害」(ID=10042)と因果関係がある。
【0111】
「民家倒壊」(ID=10051)、「民家全壊」(ID=10052)、「集落孤立」(ID=10053)は、「通行止め情報」(ID=10050)と因果関係がある。「空き巣被害」(ID=10054)は、「集落孤立」(ID=10053)と因果関係がある。
【0112】
なお、コンピュータ21が、例えば端末装置である場合、各端末装置のgeo−RSSデータの収集状況に応じて、実事象情報(または実事象リスト)や因果関係情報により関係付けられた実事象リストは、端末装置間で異なってくる。そこで、実事象情報(または実事象リスト)や因果関係情報により関係付けられた実事象リストをgeo−RSSデータとして端末間で所定の間隔でやり取りすることにより、端末装置間の情報格差を解消することができる。また、利用者には、最新情報を提供することができる。
【0113】
また、中央のネットワークなどにアクセスできない場合でも、拠点とのアクセスや、アドホックモードによる端末装置同士の直接双方向通信により、そのようなgeo−RSSデータを端末装置相互で補完して最新情報を保持することができる。
【0114】
図19は、実施例1における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の一例を示す。図19の表示例は、図18の因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、因果関係可視化プログラム36の表示制御機能38により実事象情報間の因果関係が可視化されたものである。
【0115】
因果関係情報により関係付けられた事象情報はそれぞれ、イベントノードと呼ばれる矩形で表示されている。因果関係情報により関係付けられたイベントノード間は、因果関係線で結ばれている。
【0116】
因果関係系列表示画面では、因果関係情報に従って、イベントノードを時系列に並べる。この時、バックグランドの配色を変えることで、イベントノードの日付などの違いを区別することができる。このように、実事象情報間の因果関係を視覚的に把握することができる。
【0117】
なお、イベントノードの選択や絞込みには、イベントノードを直接選択するだけでなく、イベント種別、時刻、実因果関係、などの属性を用いて利用者が必要に応じて取捨選択できる。すると、絞込み機能37により、得たい情報だけを適確に絞りこんで、因果関係系列表示画面で参照できるようになる。また、絞込み機能37により、利用者自身が集めた情報や行政からの情報などに絞って因果関係を参照するなどもできる。
【0118】
このように、携帯端末等により、因果関係検出プログラムは、統合サーバや拠点サーバからgeoRSSデータを受け取り、実事象リストが作成される。実事象リストは、位置の近さ、及び災害情報オントロジーが適用された「種別」に基づいて、区画毎にあるイベント種別関連情報テーブルに定義された原因側の事象と関係付けが行われる。そして、その関係付けが行われた原因側の事象に対応する結果側の事象の位置の近さ、及び災害情報オントロジーが適用された「種別」、及び時間差を考慮した日時に基づいて、実事象リストと関係付けが行われる。このように、関係付けの基礎となる実事象と、その関係付けにより得られた実事象とを関係付ける。それにより、RSSに適応した装置(サーバ装置、携帯情報端末等)において、因果関係を明らかにした事象の情報共有を行うことができる。
【0119】
また、区画ごとに設定されているイベント種別関係テーブルは、区画属性テーブルを用いることにより、その適用可能な範囲を拡張することができる。すなわち、対象となる区画にイベント種別関係テーブルが設定されていなくても、区画属性テーブルを用いることにより、他の区画のイベント種別関係情報テーブルを適用して、広く実事象間の因果関係情報を得ることができる。
【0120】
また、事象イベントや得られた因果関係情報などを含む災害情報は、RSSにより端末間でやり取りされ、利用者には、常に最新情報が更新される。中央のネットワークなどにアクセスできない場合でも、拠点とのアクセスや端末同士の双方向RSSにより、端末相互で情報を補完して最新情報を保持できる。
【0121】
なお、予め与えられるイベント種別関係テーブルは、一意の規則のように定まるものではない。イベント間の関係も、その地形や配置、習慣、場所、天候や時間、など様々な要因によって異なるものである。このため、各種の条件ごとに個別のイベント種別の関連情報テーブルを用意して、適用することで、より現実的な事象の関係付けと情報提供が行えるようになる。
【0122】
(実施例2)
実施例2では、実施例1で作成した因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新する因果関係検出プログラムについて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0123】
図20は、実施例2における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図20は、図14にフィードバック機能50を追加したものである。
【0124】
フィードバック機能50は、実施例1で作成した因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新する。フィードバック機能50の詳細については、図21を用いて説明する。
【0125】
図21は、実施例2におけるフィードバック機能50によるイベント種別関係情報フィードバック処理フローを示す。
制御部22は、実施例1で作成した実事象リスト4aの因果関係情報に基づいて、実事象リスト4aから「原因となるイベント種別」と「結果となるイベント種別」の組を取得し、イベント種別関係情報を作成する(S41)。
【0126】
S41の処理について、例えば、図18において、上から3つ目の実事象情報(ID=10013)を例に説明する。「ID=10013」の実事象情報の有する因果関係情報は、「ID=10011」である。したがって、ID=10011の実事象情報が「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報に該当する。「ID=10013」の実事象情報が「結果となるイベント種別」202側に格納されるイベント種別情報に対応する。
【0127】
制御部22は、実事象リスト4aの実事象情報から「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報の各種情報(「種別」407、「位置」405、日時(「日付」402、「時刻」403)を取得する。また、制御部22は、実事象リスト4aの実事象情報から「結果となるイベント種別」202側に設定されるイベント種別情報の各種情報(「種別」407、「位置」405、日時(「日付」402、「時刻」403)を取得する。
【0128】
さらに、制御部22は、「結果となるイベント種別」202側に設定されるイベント種別情報の日時から「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報の日時を差し引いて時間差を算出する。
【0129】
このようにして、制御部22は、イベント種別関係テーブル2に格納されるイベント種別関係情報のデータ要素を取得する。
そして、制御部22は、S41で作成したイベント種別関係情報を、イベント種別関係テーブルに追加する(S42)。
【0130】
本実施例によれば、実施例1で作成実事象リスト4aの因果関係情報に基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新することができる。
(実施例3)
実施例3では、実事象リスト4に原因となる実情報に対して、結果となる実事象情報が存在しない場合、イベント種別関係テーブルの「結果となるイベント種別」202の内容を予測情報として提供する因果関係検出プログラムについて説明する。すなわち、実施例3では、現在確認できていない事象に関しても、これまでに得られている事象に対して、今後関係しそうな事象をイベント種別関係テーブルから導くことにより、予測的にイベント情報を提供する。なお、本実施例において、実施例1または実施例2と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0131】
図22は、実施例3における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図22は、図14に予測機能60を追加したものである。
【0132】
予測機能60は、実事象リスト4に原因となる実情報に対して、結果となる実事象情報が存在しない場合、イベント種別関係テーブルの「結果となるイベント種別」202の内容を予測情報として提供する。予測機能60の詳細については、図23を用いて説明する。
【0133】
図23は、実施例3における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。図23のフローは、図17Bに、S51,S52の処理を追加したものである。
S36の処理後、制御部22は、実事象リスト4に、対象実事象情報A1と関連付けることができる実事象情報が存在しないか否かを判定する(S51)。すなわち、制御部22は、対象実事象情報A1について、S33において、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」とマッチング可能な実事象情報が存在しないか否かを判定する。
【0134】
判定の結果、制御部22は、対象実事象情報A1について、S33において、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」とマッチング可能な実事象情報が存在しない場合(S51で「Yes」)、制御部22は、次を行う。すなわち、制御部22は、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」を、対象実事象に対して結果となり得る予測事象情報として出力する。
【0135】
このように、関係付けられる実事象は、区画に整理されたイベント種別関係テーブルに定義された因果関係を用いて結び付られる既に起こった事象だけでない。すなわち、イベント種別関係テーブルに定義された関係により、事象としてまだ存在していないものも、予測される事象として関係するイベントとして得ることができる。
【0136】
実施例3によれば、対象実事象情報A1と関係付けられる事象情報は、イベント種別関係テーブルを用いて結び付られる既に起こった実事象だけでなく、イベント種別関連テーブルの「結果となるイベント種別」の事象でもよい。これにより、「結果となるイベント種別」を、対象実事象に対して結果となり得る予測事象情報として提供することができる。
【0137】
(実施例4)
実施例4では、収集される実事象情報の提供元の信頼度に応じて、重み付けを行い、その重み付けに応じて、事象間の因果関係の表示形態を変化させる。なお、本実施例において、実施例1、実施例2または実施例3と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0138】
図24は、実施例4における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図24は、図14に重み付け機能70を追加したものである。
【0139】
重み付け機能70は、収集される実事象情報の提供元の信頼度に応じて、重み付けを行う。予測機能60の詳細については、図25、図26を用いて説明する。
図25は、実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4b(因果関係付け処理前)の一例を示す。図25は、図16の実事象リスト4に、データ項目「信頼度」410を追加したものである。データ項目「信頼度」410には、重み付け機能70により、実事象情報の提供元に応じた重み付けされた値が格納される。情報ソースが「TopDown」の場合、重み付け機能70は、例えば、「信頼度」410に「100」をセットする。また、情報ソースが「本人」の場合、重み付け機能70は、例えば、「信頼度」410に「100」をセットする。また、情報ソースが「口コミ」の場合、重み付け機能70は、例えば、口コミ数が多いほど高い値を「信頼度」410にセットする。
【0140】
図26は、実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4c(因果関係付け処理後)の一例を示す。図26は、図25に対して、データ項目「因果関係」409を付加したものである。データ項目「信頼度」410は、因果関係付け処理には影響を及ぼさないので、データ項目「因果関係」409の内容は、図18と同様である。
【0141】
図27は、実施例4における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の表示例を示す。図27では、表示制御機能38により、信頼度の高さに応じて、因果関係を示す線(以下、因果関係線という)の太さを変えている。
【0142】
「山口県に豪雨」から、「新幹線ホーム混雑」、「新幹線ホーム閉鎖」、「新幹線運休」、「支流氾濫」、「土石流発生」、「土砂災害」、「鉄砲水」への因果関係は信頼度がいずれも「100」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も太い線で示す。また、「鉄砲水被害」から「民家浸水」への因果関係も同様に信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、その因果関係線を最も太い線で示す。
【0143】
また、「通行止め情報」から、「民家倒壊」、「民家全壊」、「集落孤立」への因果関係も同様に信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も太い線で示す。また、「集落孤立」から、「空き巣被害」への因果関係線も同様に、信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、その因果関係線を最も太い線で示す。
【0144】
「土石流発生」から「土石流発生」への因果関係は、信頼度が「70」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を、信頼度が「100」の因果関係線よりも細い線で示す。
【0145】
「土石流発生」から、「土砂崩れ」、「土砂崩れ」への因果関係は、信頼度がいずれも「50」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も細い線で示す。
信頼度調整領域75には、スライドバー76とスライダー77が設けられている。スライダー77をスライドバー76に沿って、左右へ移動させると、スライダー77が止まった位置に対応するバーの目盛りに応じた信頼度以上の信頼度を有するイベントノードのみを表示させることができる。
【0146】
このように、予想される事象も含めて、全ての事象は、その起因資源が明らかにされている。起因資源として、例えば、行政等からのTop Downで提供された事象情報、口コミとして仲間やコミュニティ等の中で得られた事象情報、ユーザ本人が獲得した事象情報、予測される事象などである。この起因資源の違いにより、各事象情報に重み付けがされる。これにより、利用者が情報の信憑性など判定できる。なお、絞込み機能37により、情報の出所または信頼度を指定することで、図27において表示される実事象情報を絞り込むこともできる。
【0147】
なお、実施例4では、集まった事象の発生元の信頼度(例えば、行政からの情報、自分で集めた情報、口コミの情報、写真入の情報、など)に応じて重み付けを行ったり、集まった事象の量から相対的に重み付けを行ったが、これに限定されない。例えば、イベント種別関係テーブル自体に重みを付与しておき、そのイベント種別関係テーブルと関連付けされた実事象に対して、そのイベント種別関係テーブルの重みを付与するようにしてもよい。
【0148】
図28は、コンピュータ21のハードウェア環境の構成ブロック図である。コンピュータは、CPU82、ROM83、RAM86、通信I/F84、記憶装置87、出力I/F81、入力I/F85、読み取り装置88、バス89、出力機器91、入力機器92によって構成されている。
【0149】
ここで、CPUは、中央演算装置を示す。ROMは、リードオンリメモリを示す。RAMは、ランダムアクセスメモリを示す。I/Fは、通信インターフェースを示す。バス89には、CPU82、ROM83、RAM86、通信I/F84、記憶装置87、出力I/F81、入力I/F85、及び読み取り装置88が接続されている。読み取り装置88は、可搬型記録媒体を読み出す装置である。出力機器91は、出力I/F81に接続されている。入力機器92は、入力I/F85に接続にされている。
【0150】
記憶装置87としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができる。格納部12または記憶部23としての記憶装置87またはROM83には、上記で説明した用いたフローのプログラム及びイベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15等が格納されている。
【0151】
CPU82は、記憶装置87等に格納した因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36を読み出する。これにより、CPU82は、読み出し機能33、イベント種別関係テーブル選択機能34、因果関係付け機能35、絞込み機能37、表示制御機能38、フィードバック機能50、予測機能60、重み付け機能70を実行する。
【0152】
因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36は、プログラム提供者側から通信ネットワーク90、および通信I/F84を介して、例えば記憶装置87に格納してもよい。また、因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36は、市販され、流通している可搬型記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、この可搬型記憶媒体は読み取り装置88にセットされて、CPU82によってそのプログラムが読み出されて、実行されてもよい。可搬型記憶媒体としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、USBメモリ装置など様々な形式の記憶媒体を使用することができ、このような記憶媒体に格納されたプログラムが読み取り装置88によって読み取られる。
【0153】
また、入力機器92には、キーボード、マウス、電子カメラ、ウェブカメラ、マイク、スキャナ、センサ、タブレットなどを用いることが可能である。また、出力機器91には、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを用いることが可能である。また、ネットワーク90は、インターネット、LAN、WAN、専用線、有線、無線等の通信網であってよい。
【0154】
なお、上記の実施例では、因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラムは、コンピュータ21にインストールしていたが、それぞれ別のコンピュータ(例えば、サーバとユーザ端末)にインストールされていてもよい。
【0155】
本実施形態によれば、過去のイベント事例、地形が類似した他地域、隣接する地域のイベント種別関係テーブル等を用いることにより、その地域に応じた因果関係を導くことが可能になる。
【0156】
また、地域に応じて作成したイベント種別関係テーブルに基づいて、災害時の複数の実事象間の因果関係を自動的に整理することができる。これによって、避難行動や防災計画の立案の支援をすることができる。
【0157】
また、災害時のイベント情報を、さらに、信頼度を含めたイベント関連情報群として提供し、その信頼度に応じて、因果関係に重み付けを行うことができる。
また、実事象に応じて、種別間のイベント種別関係テーブルを適宜更新することもできるので、用途や地域、属性に応じたイベント種別関係テーブルを着目イベントに関する因果関係のつながりが提供される。また、因果関係情報により関係付けられた実事象をピックアップすると、参照すべき因果関係のある関連した実事象情報を提供することができる。
【0158】
また、例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星データの応用活用事例の1つになり得る。また、携帯端末などの普及で、口コミ情報を簡単に取込めることができる。また、さらに地理情報の活用との融合により、実事象情報が位置情報や因果関係で関係付けられることで、実事象情報の利用シーンを増やすことができる。
【0159】
また、個人情報を格納・管理するような(例えば、銀行にお金を預けるように、情報を預け、共有させるようなところが今後出てくると)個人情報銀行のようなサービスが提供されるようになるとする。すると、本実施形態を、提供する情報の共有や管理、活用に関するソリューションとしての展開に活用できる。
【0160】
なお、本実施形態は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。また、実施例1〜実施例4のうち2以上の実施例を組み合わせてもよい。
【0161】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータにより実行される、発生した事象間の因果関係を検出する因果関係検出方法であって、
前記コンピュータが、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得し、
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納されている格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択し、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける
ことを特徴とする因果関係検出方法。
(付記2)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記種別関係テーブルを選択する場合、前記コンピュータは、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記1に記載の因果関係検出方法。
(付記3)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付けを行う場合、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記1または2に記載の因果関係検出方法。
(付記4)
前記コンピュータは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う
ことを特徴とする付記1〜3のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記5)
前記コンピュータは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する
ことを特徴とする付記1〜4のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記6)
前記コンピュータは、さらに、
前記関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する
ことを特徴とする付記1〜5のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記7)
前記コンピュータは、さらに、
前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる
ことを特徴とする付記1〜6のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記8)
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部と、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得部と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択部と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理部と、
を備えることを特徴とする因果関係検出装置。
(付記9)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記選択部は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から、該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記8に記載の因果関係検出装置。
(付記10)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付け処理部は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記8または9に記載の因果関係検出装置。
(付記11)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う重み付け部と、
を備えることを特徴とする付記8〜10のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記12)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する予測部と、
を備えることを特徴とする付記8〜11のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記13)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記関係付け処理部により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する更新部
を備えることを特徴とする付記8〜12のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記14)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる表示制御部
を備えることを特徴とする付記8〜13のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記15)
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部を有するコンピュータに、発生した事象間の因果関係を検出する処理を実行させる因果関係検出プログラムであって、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得処理と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択処理と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする因果関係検出プログラム。
(付記16)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記選択処理は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記15に記載の因果関係検出プログラム。
(付記17)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付け処理は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記15または16に記載の因果関係検出プログラム。
(付記18)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う重み付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜17のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
(付記19)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する予測処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜18のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
(付記20)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記関係付け処理により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する更新処理
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜19のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
【符号の説明】
【0162】
1 因果関係検出装置
2 イベント種別関係テーブル
3 区画属性テーブル
4 実事象リスト
5 取得部
6 選択部
7 関係付け処理部
8 重み付け部
9 予測部
10 表示制御部
11 更新部
12 格納部
15 災害情報オントロジー
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な情報源より提供された事象に関する情報を管理・整理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害や人災、事故などの事象が発生した場合に、発生した事象を分析したり、発生した事象に関する情報を管理したりすることは防災上の観点から重要なことである。このような発生した事象の管理に関する技術として、例えば、次のものがある。
【0003】
例えば、地理的な広がりを持つシステムの状態を収集し、収集されたシステムの状態を地理的な視野を有する画面上に表示する監視システムがある。監視システムでは、地理的に広がりのある災害情報をオペレータ入力によりシステム状態画面に反映させ、監視対象システムから通知される複数の障害状態をシステム状態画面上に表示する。監視システムは、さらに、障害の発生した地域の災害情報もシステム状態画面上にオーバーラップさせ関連づけて表示する。これにより、監視対象システムのバースト的な障害アラームの発生原因が地域的に広がりのある災害により発生したものかどうかを容易に推測する。
【0004】
また、例えば、膨大なデータからある規則性やルールを発見する空間データマイニング方法がある。この空間データマイニング方法では、所定地域内で発生した特定された事象について、入力された事象発生地点の位置情報から事象の発生数が多い領域を決定し、この決定された領域が、所定地域を表す地図データ上のどの位置かを特定する。これにより、発生事象と空間データとの対応が取りやすく、取り扱う各種データから規則を導き出す空間データマイニングを提供する。
【0005】
また、例えば、プラントの安全確保や事故防止などの保安管理を支援するためのプラント保安管理システムがある。プラント保安管理システムは、個々のプロセス異常事象と個々の機器損傷事象の間での要因と結果の関係を因果関係データとして保持する。プロセス異常事象データとは、プラントを構成する機器の特定の箇所を流れるプロセス流体とこのプロセス流体の正常から逸脱した異常モードとを組み合わせたデータである。機器損傷事象データとは、プラントを構成する機器と当該機器の正常から逸脱した機器損傷モードとを組み合わせたデータである。これにより、想定される原因と、波及するであろう事象等、保安管理上の有益な情報提供を行っている。
【0006】
また、例えば、複数の拠点からファクシミリによるイメージ情報を収集して管理する災害情報収集管理システムがある。災害情報収集管理システムは、複数の拠点からのファクシミリによるイメージ情報に分析・判断情報を付与して、分析・判断情報を検索キーとして災害情報データ及び地図データを検索して読み出し、場所に対応する地図上に災害情報を出力し管理する。これにより、ファクシミリによるイメージ情報からなる災害情報を収集して分類、管理、整理を行っている。
【0007】
また、例えば、所定の地域において発生した災害による所定の構造物の被害を想定する災害被害想定装置がある。災害被害想定装置は、直後災害情報と、地震災害履歴情報とに基づいて、対象地域全域における地震動強度分布を推定し、推定された地震動強度分布と、対象地域全域において確定された停電情報と、被害率関数と、設定ネットワーク構造とに基づいて、地震災害が発生した直後の支持物の被害発生率の想定を行なう。そして、災害被害想定装置は、地震災害が発生した後に、更新された更新地震災害情報と、巡視終了地域において確定された支持物の被害情報とに基づいて、被害率関数を更新する。災害被害想定装置は、未巡視地域において、設定ネットワーク構造における支持物における被害発生率の想定を、更新して行なう。そして、災害被害想定装置は、その想定された地震被害想定マップを作成し、モニタにて表示する。これにより、災害発生後の被害想定を迅速かつ高精度に行なう。
【0008】
また、例えば、発生した事象に関して有用な情報が実際に記憶されている可能性が高い装置を検索することができる検索装置がある。検索装置では、複数の外部装置とデータ通信を行ない、事象の発生を受け付けた際に、事象が発生した場所の位置情報及び事象が発生した時刻の時刻情報を含む事象情報を記憶している外部装置を検索する。これにより、事象が発生した場合に、実際に事象に関する情報を記憶している外部装置を検索するので、有用な情報を記憶している可能性がより高い外部装置を検索する。
【0009】
また、例えば携帯電話機を用いた緊急連絡システムがある。緊急連絡システムでは、複数の携帯電話機が基地局に対して発信している制御情報をモニタリングし、第1のデータベースに格納する。また、事件、事故等に遭遇した被害者または発見者の携帯電話機から基地局に対して発信された事件・事故情報をモニタリングし、当該携帯電話機の位置情報を含めて第2のデータベースに格納する。緊急連絡システムは、未対応の事件・事故情報に対し、当該事件・事故情報を発信した携帯電話機の位置の所定距離範囲内に位置する近隣の他の携帯電話機の識別情報と位置情報を第1のデータベースから検索する。緊急連絡システムは、事件・事故情報を発信した携帯電話機の位置と近隣に存在する携帯電話機の位置とを含む事件・事故発生地図情報を生成し、近隣の他の携帯電話機へ配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−232987号公報
【特許文献2】特開2005−84930号公報
【特許文献3】特開2009−20787号公報
【特許文献4】特開2009−59345号公報
【特許文献5】特開2009−92468号公報
【特許文献6】特開2009−99055号公報
【特許文献7】特開2009−152724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
災害・事故等の事象が発生した場合、多方面から様々な情報が収集される。しかしながら、それらの収集された情報は、個々に断片的に活用されるものの、収集された事象情報間にどのような因果関係があるのかを把握することはできなかった。
【0012】
そこで、本明細書では、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
因果関係検出方法は、コンピュータが、発生した事象間の因果関係を検出する。前記コンピュータは、格納部に種別関係テーブルを有する。種別関係テーブルは、事象種別関係情報を含む。事象種別関係情報は、地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む。
【0014】
前記コンピュータは、前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する。それから、前記コンピュータは、前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する。それから、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。さらに、前記コンピュータは、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、前記コンピュータは、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける。
【発明の効果】
【0015】
上記技術によれば、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実事象因果関係検出装置の一例を示す。
【図2】ある地域をメッシュで区画し、各区画をメッシュ上の座標で示すための説明図である。
【図3】イベント種別関係テーブル2の一例を示す。
【図4】位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換したイベント種別関係テーブル2を示す。
【図5】イベント種別関係テーブル2の更新・追加を説明するための図である。
【図6】区画属性テーブル3の一例を示す。
【図7】実事象リスト4の一例を示す。
【図8】対象となる区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象の因果関係の取得のフローを示す。
【図9】同一区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象情報の因果関係の取得について説明するための図である。
【図10】対象となる区画のイベント種別関係テーブル2を適用することができず、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いる場合における実事象イベントの因果関係の取得のフローを示す。
【図11】災害情報オントロジーを説明するための図である。
【図12】用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせることを説明するための図である。
【図13】用途に応じたイベント種別関係テーブル2の一例を示す。
【図14】実施例1における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図15】実施例1における実事象情報の入力フォーム51の一例を示す。
【図16】実施例1における実事象リストの一例を示す。
【図17A】実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フロー(その1)を示す。
【図17B】実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フロー(その2)を示す。
【図18】実施例1における因果関係情報が付与された実事象リスト4aを示す。
【図19】実施例1における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の一例を示す。
【図20】実施例2における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図21】実施例2におけるフィードバック機能50によるイベント種別関係情報フィードバック処理フローを示す。
【図22】実施例3における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図23】実施例3における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。
【図24】実施例4における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。
【図25】実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4b(因果関係付け処理前)の一例を示す。
【図26】実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4c(因果関係付け処理後)の一例を示す。
【図27】実施例4における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の表示例を示す。
【図28】コンピュータ21のハードウェア環境の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
災害時には断片的なイベント情報が多数挙がってくるが、イベント間の関係情報が分からないため、その情報を活用することができなかった。例えば、豪雨→土石流→通行止めのようなイベント間の因果関係が分からないため、そのようなイベント情報を避難行動等に有効に利用することができなかった。
【0018】
また、土石流は山の近くでないと発生しない等、イベントの因果関係は地域によって異なる。各地域に応じたイベントの因果関係を算出する関係テーブルを個別に作るのでは工数がかかりすぎる。
【0019】
そこで、本実施形態では、実事象が発生した地域の属性に基づく地域の過去の原因事象の種別と結果事象の種別の組み合わせを用いて、対象地域で得られた実事象情報同士を関係付けることにより、実事象間の因果関係を検出する。以下に本実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における実事象因果関係検出装置の一例を示す。因果関係検出装置1は、実事象リスト4、取得部5、選択部6、関係付け処理部7、重み付け部8、予測部9、表示制御部10、更新部11、格納部12を含む。格納部12には、イベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3が格納されている。
【0021】
イベント種別関係テーブル2(または、種別関係テーブル)は、事象種別関係情報を含む。事象種別関係情報は、地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、を含む。すなわち、イベント種別関係テーブル2には、ある発生した事象(原因)と、その結果として生じる事象とに関する情報が格納されている。
【0022】
取得部5は、前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する。具体的には、取得部5は、複数の情報源から収集された1以上の実事象情報を実事象リスト4として取得する。すなわち、実事象リスト4は、官公庁等から提供される災害等の事象情報(トップダウンの情報)、利用者自身から提供される災害等の事象情報、口コミによる災害等の事象情報を収集して作成した事象情報リストである。
【0023】
選択部6は、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する。
関係付け処理部7は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。それから、関係付け処理部7は、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、関係付け処理部7は、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける。すなわち、関係付け処理部7は、対象地域(対象区画)の実事象リスト4と、イベント種別関係テーブル2のうち、対象地域(対象区画)のイベント種別関係テーブルとを用いて、実事象リスト4に含まれている事象情報間を関係付ける。
【0024】
このように構成することにより、収集された事象間の因果関係を、事象の種別及び地域の属性に応じて、検出することができる。
区画属性テーブル3(または、属性分類テーブル)には、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報が格納される。すなわち、区画属性テーブル3には、ある地域がメッシュ上に区切られており、その区切られた各区画についての属性、及びその属性に類似する属性を有する区画に対応するイベント種別関係テーブル名が格納されている。
【0025】
この場合、前記選択部6は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択する。また、前記選択部6は、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する。すなわち、選択部6は、関係付けができなかった事象情報がある場合、区画属性テーブル3を用いて、対象地域(対象区画)の属性と同様の属性を有する地域(区画)のイベント種別関係テーブルを取得する。このとき、関係付け処理部7は、その取得した他地域(他区画)のイベント種別関係テーブルを用いて、上記関係付けができなかった事象情報について、事象情報間を関係付ける。
【0026】
このように構成することにより、対象地域のイベント種別関係テーブル3が存在しない、または適用可能なイベント種別関係テーブルが存在しない場合でも、同様の属性を有する他の地域のイベント種別関係テーブル3を用いるができる。これにより、対象地域のイベント種別関係テーブル3の存在に関わらず、実事象間の因果関係を導くことができる。すなわち、区画属性テーブルを用いることにより、区画ごとに設定されているイベント種別関係テーブルの適用範囲を、他の区画にまで拡張することができる。
【0027】
ここで、前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含む。前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含む。このとき、前記関係付け処理部7は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出する。それから、前記関係付け処理部7は、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出する。そして、前記関係付け処理部7は、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する。
【0028】
このように構成することにより、過去に生じた事象の因果関係に基づいて、収集された事象情報間の因果関係づけを行うことができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、重み付け部8を含む。重み付け部8は、前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う。
【0029】
このように構成することにより、信憑性の高い情報を使用することができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、予測部9を含む。予測部9は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出する。それから、予測部9は、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とする。そして、予測部9は、該結果としての事象情報を予測情報として出力する。
【0030】
このように構成することにより、ある事象がどのような事象を引き起こすかを予測することができる。
前記因果関係検出装置1は、さらに、更新部11を含む。更新部11は、前記関係付け処理部により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成する。そして、更新部11は、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する。
【0031】
このように構成することにより、関係付けがされた事象を用いて、イベント種別関係テーブル2を更新することができる。
前記因果関係検出装置は、さらに、表示制御部10を含む。表示制御部10は、前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる。すなわち、表示制御部10は、関係付けられた実事象リスト4の事象情報間の因果関係情報を用いて、事象間の関係を視覚的に認識できるように、表示する。
【0032】
このように構成することにより、関係する複数の事象間の因果関係を示す情報を視覚的に出力することができる。
図2は、ある地域をメッシュで区画し、各区画をメッシュ上の座標で示すための説明図である。本実施形態では、図2に示すように、ある地域を示す地図上をメッシュで区画する。各区画をメッシュ上の座標(以下、メッシュ座標という)で表す。メッシュ座標は、例えば(AmBn)(m及びnは任意の整数)で表す。Amは、メッシュ座標の横方向の座標を示す。Bnは、メッシュ座標の縦方向の座標を示す。
【0033】
なお、本明細書では、ある地域をメッシュ状で区画して得られた一定の領域を区画という。しかしながら、この区画はある地域における局所化した地域であることに変わりないので、「地域」という表現には「区画」も含まれる。
【0034】
また、本実施形態では、ある地域をメッシュ状で区画したため各区画の形状は四角形であるが、形状は四角形に限定されない。同様の属性を有する局所的な一定領域を取り扱うことができれば、区画の形状は、円形状、三角形状、多角形状等の形状であってもよい。
【0035】
図3は、イベント種別関係テーブル2の一例を示す。イベント種別関係テーブル2は、区画単位で管理されている。イベント種別関係テーブル2に含まれる各イベント種別関係情報は、「原因となるイベント種別」201と、「結果となるイベント種別」202とのデータ項目を含む。
【0036】
「原因となるイベント情報種別」201には、原因としてのイベント情報が格納される。「結果となるイベント情報種別」202には、「原因となるイベント情報種別」201を原因とする、その結果のイベント情報が格納される。
【0037】
「原因となるイベント情報種別」201は、「種別」203、「位置」204、「日時」205のデータ項目を有する。「結果となるイベント情報種別」202は、「種別」206、「位置」207、「日時」208、「時間差」209のデータ項目を有する。「種別」203,206には、「豪雨」、「土石流」、「鉄砲水」、「通行止め」等のイベントの種別が格納される。「位置」204,207には、そのイベントが発生した位置(例えば、緯度、経度等)が格納される。「日時」205,208には、そのイベントが発生した日時が格納される。「時間差」209には、「日時」205と「日時」208の時間差が格納される。
【0038】
図3のイベント種別関係テーブル2の内容を説明すると、第1番目のイベント種別関係情報は、豪雨と鉄砲水とのイベントの因果関係を示す。第2番目のイベント種別関係情報は、豪雨と土石流とのイベントの因果関係を示す。第3番目のイベント種別関係情報は、土石流と通行止めとのイベントの因果関係を示す。
【0039】
図4は、イベント種別関係テーブル2の位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換したものである。イベント種別関係テーブル2の位置情報(緯度、経度)を、メッシュ座標に変換する処理については後述する。
【0040】
図5は、イベント種別関係テーブル2の更新・追加を説明するための図である。イベント種別関係テーブル2は、区画ごとの位置、時間の要素を基に、イベント種別情報間の関係を設定している。そして、イベント種別関係テーブル2に対して、関連付けできない実事象情報が増えたり、関連付け先(元)の実事象情報がない場合に、実事象リスト4からイベント種別関係テーブル2へイベント種別情報がフィードバックされる。これにより、イベント種別関係テーブル2が更新・生成される。
【0041】
図5において、関連付けできない実事象が増えたり、関連付け先(元)の実事象がない場合に、実事象として適用することができるイベント種別関係情報を選別する。例えば、管理者により、豪雨と停電の種別関係についてのイベント種別関係情報2−1が選別されている。また、河川の濁りと土砂災害、流木と土砂災害、山鳴りと土砂災害、落石と土砂災害、井戸水と土砂災害の種別関係情報2−2が、実事象として適用することができるイベント種別関係情報として選別されている。その選別したイベント種別関係情報を用いて、イベント種別関係テーブルを更新したり、イベント種別関係テーブル2に追加する。
【0042】
なお、本実施形態により因果関係付けされた原因−結果の事象の組を、イベント種別関係テーブル2に追加するようにしてもよい。
なお、因果関係を得るためのイベント種別関係テーブルとして定義される因果関係ルールの組は一意に定まらない。例えば、地域、場所など状況に応じて、固有のルール(条件付ルール)がある。条件付のルールの適用により、山間部、海岸沿い、川沿い、谷地、平野部など、同じ提供情報でも適用されるルールによって、同じ事象イベントからでも、違う関連情報が結果として導かれる場合もある。このために、基本的なイベント種別関連情報テーブルはデータベースとして蓄積され、共有される。
【0043】
図6は、区画属性テーブル3の一例を示す。区画属性テーブル3に含まれる各区画属性情報は、「位置」301、「属性」302、「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」303のデータ項目を含む。「位置」301には、メッシュで区画された各区画の座標が格納される。「属性」302には、「位置」301に格納された位置に対応する区画での、例えば、降水量、平均気温、人口密度、地形情報、河川情報等の属性情報が格納される。「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」303には、「属性」302に格納された属性情報と類似する属性情報を有するイベント種別関係テーブルの名称が格納される。
【0044】
図7は、実事象リスト4の一例を示す。実事象リスト4は、実際に現場で発生している個々の実事象情報を収集したものである。具体的には、行政等からトップダウンで提供される災害・事故等の事象情報、インターネット等の通信ネットワークを介して口コミ的に拾い集められる事象情報、利用者本人の獲得情報など様々な情報源より提供された情報を収集したものである。
【0045】
実事象リスト4に含まれる各実事象情報は、「ID」401、「日付」402、「時刻」403、「場所」404、「位置」405、「コンテンツ」406、「種別」407、「情報ソース」408のデータ項目を含む。
【0046】
「ID」401には、実事象リスト4に含まれる各事象を識別するための識別番号が格納されている。「日付」402には、その事象が発生した日付が格納されている。「時刻」403には、その事象が発生した時刻が格納されている。「場所」404には、その事象が発生した場所が格納されている。「位置」405には、その事象が発生した場所の位置(緯度、経度)が格納されている。「コンテンツ」406には、その事象の内容が格納されている。「種別」407には、その事象の種別が格納されている。「情報ソース」408には、その事象についての情報の提供元(TopDown、本人、口コミ等)が格納されている。
【0047】
図8は、対象となる区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象の因果関係の取得のフローを示す。図9は、同一区画のイベント種別関係テーブル2のみを用いる場合における実事象情報の因果関係の取得について説明するための図である。
【0048】
まずは、関係付け処理部7は、実事象リスト4中の対象となる実事象情報Aの種別、位置と、イベント種別関係テーブル2の「原因となるイベント種別」の種別、位置とのマッチングを行う(S1)。例えば、実事象リスト4のID「10011」で示される実事象情報を、対象となる実事象情報Aとする。ここで、実事象情報Aの種別、位置はそれぞれ、「豪雨」、「緯度X10,経度Y10」である。この場合、イベント種別関係テーブル2から、実事象リスト4中の対象となる実事象情報Aの種別、位置と一致する「原因となるイベント種別」を含むイベント種別情報が抽出される。なお、位置(緯度、経度)については、許容誤差の範囲内(例えば、緯度±0.0020、経度±0.0020等)でマッチングを行う。
【0049】
次に、関係付け処理部7は、取得された「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の種別、位置、日時Tと、実事象リスト4の種別、位置、日時とのマッチングを行う(S2)。上記の例では、S1で取得されたイベント種別情報2−1の“結果となるイベント種別”の種別は「鉄砲水」、位置は「経度X11,緯度Y11」である。ここで、日時Tとは、対象実事象A1の日時+「時間差」以内を示す。この場合、上記の例で、日時Tは、「2009/7/21 9:00+3時間以内」となる。
【0050】
したがって、上記の例では、実事象リスト4から、種別「鉄砲水」、位置「経度X11±0.0020,緯度Y11±0.0020」、「2009/7/21 9:00+3時間以内」の条件に適合する実事象情報A2が抽出される。
【0051】
そして、関係付け処理部7は、実事象情報A1から実事象情報A2への因果関係を導く(S3)。すなわち、S3で抽出された実事象情報A2を、対象となる実事象情報A1と因果関係がある実事象情報として関連付ける。上記の例では、抽出された実事象情報A2に、実事象情報A1のIDを因果関係情報として付与する。
【0052】
図10は、対象となる区画のイベント種別関係テーブル2を適用することができず、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いる場合における実事象イベントの因果関係の取得のフローを示す。
【0053】
まず、選択部6は、対象となる区画の実事象情報A1の場所・位置(区画AmBn)に対応するイベント種別関係テーブル2を検索する(S11)。
その区画AmBnに対応するイベント種別関係テーブル2が存在すれば、関係付け処理部7は、そのイベント種別関係テーブルを用いて、因果関係を与える実事象情報A2を取得する(S12)。具体的には、図8のフローを行う。
【0054】
区画AmBnに予め設定されているイベント種別関係テーブルがない、または適用できるイベント種別関係テーブルが存在しないため、図8のフローを行うことができない場合には、関係付け処理部7は、次の処理を行う。すなわち、関係付け処理部7は、区画属性テーブル3を用いて、区画AmBnの属性と同じ属性の他区画のイベント種別関係テーブル2を取得する(S13)。
【0055】
そして、関係付け処理部7は、S13で取得した他区画のイベント種別関係テーブル2を用いて、実事象情報A1から実事象情報A2への因果関係を導く。具体的には、S13で取得した他区画のイベント種別関係テーブル2を用いて、図8のフローを行う。
【0056】
なお、実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2とのマッチングを行う場合には、災害情報オントロジーを用いて、イベント種別関係テーブルの「種別」の一般化を図るようにする。
【0057】
図11は、災害情報オントロジーを説明するための図である。災害情報オントロジーは、実事象情報をイベント種別情報に関連づける災害概念の整理情報である。例えば、同じ気象であっても、その名称は地域によって、または個人によって異なる場合がある。例えば、「豪雪」、「大雪」、「暴風雪」等はいずれも同じまたは類似の気象を表す。このように同じ現象であっても複数の用語がある現象の名称がイベント種別関係テーブル2の「種別」に格納されている場合、実事象リスト4の「種別」とのマッチングに支障をきたす。
【0058】
そこで、災害情報オントロジーを用いて、イベント種別関係テーブルの「種別」の一般化して情報の関連性を広げて検索できるようにする。
図11に示す災害情報オントロジーでは、自然現象の配下に「雪」、「雨」、「台風」等の自然現象があり、それらの自然現象の配下に、さらに、細分化された自然現象がある。例えば、「雪」の配下には、「豪雪」、「大雪」、「霰」、「暴風雪」等がある。このように、図11の災害情報オントロジーでは、下側から上側へ「自然現象」が抽象化している。災害情報オントロジーを用いることで、「種別」の関係付けに幅ができ、イベント種別関係テーブル2の「種別」に格納されている場合、実事象リスト4の「種別」とのマッチングを効率よく行うことができる。
【0059】
ところで、イベント種別関係テーブル2は、地域や地形属性に応じて、さまざまな種類がある。そこで、基本となるイベント種別関係テーブル2に、用途に応じて、イベント種別関係テーブルを組み合わせることで、得られる実事象の因果関係が異なってくる。
【0060】
図12は、用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせることを説明するための図である。図13は、用途に応じたイベント種別関係テーブル2の一例を示す。図12に示すように、災害情報オントロジー15を用いて、実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2とをマッチングする場合、用途に応じて、イベント種別関係テーブル2を組み合わせる。
【0061】
例えば、基本イベント種別関係テーブル2−11、任意地域のイベント種別関係テーブル2−12、特殊地域のイベント種別関係テーブル2−13、その他、災害兆候のイベント種別関係テーブル2−14がある。
【0062】
通常の場合には、例えば、基本イベント種別関係テーブル2−11を用いて、基本的な因果関係を導くことができる。
また、例えば、都市付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、豪雨と停電との種別関係を含む任意地域のイベント種別関係テーブル2−12を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、停電等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0063】
また、例えば、河川付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、豪雨と河川決壊との種別関係を含む任意地域のイベント種別関係テーブル2−13を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、河川決壊等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0064】
また、例えば、山地付近の現象に関して因果関係を得たい場合には、基本イベント種別関係テーブル2−11に、河川の濁りと土砂災害、流木と土砂災害等との種別関係を含む災害兆候のイベント種別関係テーブル2−14を組み合わせる。これにより、基本となる因果関係だけでなく、土砂災害等の因果関係を含めた因果関係を導くことができる。
【0065】
このように、地域や地形属性に合わせたイベント種別関係テーブルを適用することにより、用途に応じた因果関係を得ることができるので、防災、避難、復興等の立案に利用することができる。
【0066】
このように、本実施形態を用いれば、対象区画のイベント種別関係テーブルが存在しない、または適用可能なイベント種別関係テーブルが存在しない場合でも、他の区画のイベント種別関係テーブルを用いることで、実事象間の因果関係を導くことができる。また、イベント種別テーブルを個別に洗練させ、領域ごとの細かい関係を導くことができる。また、地形等の状況に対応したイベント種別関係テーブルを設定することで、地域ごとの実事象の因果関係を得ることができる。
【0067】
本実施形態によれば、イベント種別、位置、時間を用いて、災害時の全てのイベントを関係付ける。例えばメッシュで区分けされた地域(区画)ごとに、地域属性の類似する他の区画や過去のイベント事例に応じて、イベント種別関係テーブルを作成する。それから、イベント種別関係テーブルとイベントから、イベント間の因果関係情報を検出する。さらには、類似した位置関係にある他の区画でのイベント種別関係テーブルとイベントから、イベント間の因果関係情報を検出する。
【0068】
これにより、過去のイベント事例、地形が類似した他地域、隣接する地域等の情報を用いて、その地域に応じた因果関係の検出が可能になる。また、地域に応じて作成したイベント関係テーブルに基づいて、災害時の複数のイベントが因果関係に基づいて自動的に整理することができる。これによって、避難行動や防災計画の立案の支援をすることができる。
【0069】
以下では、本実施形態をより詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、geo RSS等のRSS(RDF Site Summary、またはReally Simple Syndication)環境における例について説明する。
【0070】
災害やイベント発生時には、統合サーバなど中央のマシンやネットワークへの接続も困難になる可能性がある。このため情報交換は、近くの形態端末同士や、拠点(コンビニエンスストアや自動販売機など通常時にネットワーク接続できている場所)とのやり取りで形態端末同士が広げていく必要がある。このような情報共有環境を実現するために、RSSのサービスは適している。しかしながら、災害情報などは、その位置が重要になることから、情報を扱えるように拡張したGeoRSSを用いることで効果的な情報共有環境を実現できるようになる。
【0071】
事象情報の共有には、位置情報と時刻の情報による絞込みが有用である。しかしながら、様々な事象情報を必要とする人に適確に提供するためには、以下に示すように、位置情報と時刻情報に加えて、イベント事象の種別による整理と関連付けが必要である。災害時やイベント発生時には、同種の多数の情報が発信提供され、その中には間違いやミスなどの不要な情報も含まれる。これらを排除するためには、扱う情報の量を増やし、かつ情報を整理することで、不要な情報を排除できる。このために、災害情報のオントロジーとイベント種別の関連情報を用いて大量の情報の整理と関連づけを行う。
【0072】
イベント種別の関係情報は、地域の属性(例えば、降水量、人工密度、気候、地形属性などのパラメータなど)により異なる。そのため、属性パラメータに基づいて、区画単位でイベント種別関連情報テーブルを用意している。このテーブル情報の共有活用を進めることで、事象間の関係を得ることができる。
【0073】
属性パラメータにより区画単位で用意されるイベント種別関連情報テーブルを利用することで、所定の事象間の因果関係を検出するために、区画内の事象間の因果関係だけでなく、隣接するまたはそれ以外の区画との事象間の因果関係も適用することができる。また、属性パラメータによる基本的なイベント種別関連情報テーブルは、予め、過去の災害情報などに基づきデータベースに蓄積されている。これらのイベント種別関係テーブルを区画単位の属性パラメータにより、活用することで、各種の事象を幅広く関連づけることができる。
【0074】
図14は、実施例1における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。コンピュータ21は、サーバ装置、パーソナルコンピュータ(PC)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等であってもよい。
【0075】
コンピュータ21の記憶部23には、geo−RSS仕様のデータ処理に適応可能な因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされている。また、記憶部23には、イベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15が格納されている。
【0076】
制御部22は、記憶部23より、因果関係検出プログラム31と、因果関係可視化プログラム36とをそれぞれ読み出して、それぞれのプログラムが有する機能を実行させる。
コンピュータ21は、RSSを適用したRSSデータを収集し、記憶部23に格納する。具体的には、コンピュータ21は、インターネット等の通信ネットワークを介して、発生した事象についてRSSデータ(geoRSS Data)を収集する。そして、コンピュータ21は、その収集したgeoRSS Dataを用いて実事象リスト4を作成し、記憶部4に記憶する。
【0077】
RSSデータは、例えば、個人収集のgeoRSS Data41、行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Data42、口コミにより提供されたgeoRSS Data43である。
【0078】
個人収集のgeoRSS Data41とは、ユーザが収集した災害等の事象情報をユーザ自身でコンピュータ21に入力したgeoRSS Dataである。行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Data42とは、インターネット等の通信ネットワークを介して収集された行政等から提供されたTopDownによるgeoRSS Dataである。geoRSS Data43とは、インターネット等の通信ネットワークを介して収集された通信ネットワーク上の口コミのgeoRSS Dataである。
【0079】
因果関係検出プログラム31は、読み出し機能33、イベント種別関係テーブル選択機能34、因果関係付け機能35を有する。読み出し機能33は、記憶部23からイベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15を読み出す。
【0080】
イベント種別関係テーブル選択機能34は、実事象リスト4に含まれる実事象情報が発生した地域の属性に基づく地域のイベント種別関係テーブルを選択する。具体的には、まずは、対象区画のイベント種別関係テーブルを取得する。対象区画のイベント種別関係テーブルがない場合、または因果関係付けに適用することができるイベント種別関係テーブルがない場合、イベント種別関係テーブル選択機能は、区画属性テーブル3を用いて、他の区画のイベント種別関係テーブルを取得する。また、イベント種別関係テーブル選択機能34は、ユーザからの指示に応じて、地域や地形属性に合わせたイベント種別関係テーブルを選択し、対象区画の基本となるイベント種別関係テーブルと組み合わせて適用することができる。
【0081】
因果関係付け機能35は、災害情報オントロジー15を用いて、geoRSS Dataより作成された実事象リスト4とイベント種別関係テーブル2の関係付けを行う。また、因果関係付け機能35は、実事象リスト4と関係付けられたイベント種別関係テーブル2を用いて、実事象リスト中の実事象情報間の因果関係付けを行い、結果となる実事象情報に、原因となる実事象情報のIDを因果関係情報として付与する。これにより、因果関係付け処理後の実事象リスト4aが生成される。
【0082】
因果関係視覚化プログラム36は、絞込み機能37、表示制御機能38を有する。
絞込み機能37は、因果関係付け処理後の実事象リスト4aを読み込む。それから、絞込み機能37は、ユーザが入力装置を用いて任意に入力した表示条件(例えば、日時、場所、種別等)を用いて、因果関係付け処理後の実事象リスト4aからその表示条件に適合する実事象情報を抽出する。
【0083】
表示制御機能38は、因果関係情報を用いて絞込み機能37で抽出された各実事象情報を繋いでいく。そして、表示制御機能38は、その繋ぎ合わせた実事象情報間の因果関係を描画して、ディスプレイ24に表示させる。
【0084】
図15は、実施例1における実事象情報の入力フォーム51の一例を示す。例えば、携帯情報端末や携帯電話等の情報端末50に、「新規の実事象の入力」についての入力フォーム51が表示されている。
【0085】
「日時(自動)」52には、現在の日時が表示されている。「場所(GPS自動)」53には、当該情報端末51のある位置の緯度と経度が表示されている。なお、「日時(自動)」52、「場所(GPS自動)」53は、自動で入力される項目である。
【0086】
「タイトル」54には、入力しようとする実事象のタイトルをテキストで入力することができる。「概要」55には、入力しようとする実事象の概要をテキストで入力することができる。「捕捉情報」56には、例えば写真を添付することができる。
【0087】
「種別」57については、「雨」「雷雨」「豪雨」「土石流」「濁流」「鉄砲水」「洪水」等の災害情報オントロジー15の適用可能な実事象の種別をポップアップリスト58から選択することができる。
【0088】
入力フォーム51への入力完了後、登録を示すボタンを押下すると、入力フォーム51に入力された内容がgeoRSS Data59として、通信ネットワークを介してコンピュータ21に送られる。
【0089】
図16は、実施例1における実事象リストの一例を示す。コンピュータ21の制御部22は、図15の入力フォームにより入力されて、送信された個人収集のgeoRSS Data41、TopDownによるgeoRSS Data42または通信ネットワーク上の口コミによるgeoRSS Data43を収集する。制御部23は、その収集したgeoRSS Dataを用いて、実事象リスト4を作成し、記憶部23に格納する。
【0090】
図17A、図17Bは、実施例1における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。コンピュータ21の制御部22は、因果関係検出プログラム31を記憶装置から読み出して、以下の処理を実行する。
【0091】
制御部22は、記憶部23から対象区画の実事象リスト4を取得する(S21)。それから、制御部22は、その対象区画の実事象リスト4から、1つの実事象情報(対象実事象情報A1)を読み出す(S22)。
【0092】
制御部22は、記憶部23に当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在するか判定する(S23)。当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在しない場合(S23で「No」)、制御部22は、S29の処理を行う。
【0093】
当該対象区画のイベント種別関係テーブル2が存在する場合、制御部22は、記憶部23から、その対象区画のイベント種別関係テーブル2Aを取得する(S23で「Yes」)。
【0094】
それから、制御部22は、対象実事象情報A1の「種別」、「位置」と、対象区画イベント種別関係テーブル2Aの「原因となるイベント種別」の「種別」、「位置」とのマッチングを行う(S24)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、「位置」については、上述の通り、所定の誤差は許容されており、マッチングの結果、その許容誤差内であれば、その照合した「位置」は一致したものとする。
【0095】
マッチングの結果、制御部22は、一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の「種別」、「位置」、日時Tと、実事象リスト4の「種別」、「位置」、「日時」とのマッチングを行う(S25)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。「位置」については、上述の通り、所定の誤差は許容されており、マッチングの結果、その許容誤差内であれば、その照合した「位置」は一致したものとする。また、日時Tとは、上述の通り、対象実事象A1の日時+その「結果となるイベント種別」の「時間差」以内を示す。
【0096】
マッチングの結果、制御部22は、実事象リスト4において、S25でマッチした実事象情報(実事象情報A2)に、対象実事象情報A1のIDを、因果関係情報として付与する(S26)。
【0097】
制御部22は、対象実事象情報Aと、当該対象区画における関係する全てのイベント種別関係テーブル2とのマッチングを行うまで、S24−S26を繰り返す(S27)。すなわち、制御部22は、その地域と属性によって提供されている当該対象区画におけるイベント関係テーブルに対して、S24−S26を繰り返す。
【0098】
制御部22は、S24−S27の処理により、対象実事象情報A1と他の実事象情報との因果関係付けができた場合には(S28で「No」)、S37の処理へ進む。一方、S24〜S27の処理において一致するイベント種別関係情報を有するイベント種別関係テーブルが存在しない場合(S28で「Yes」)、制御部22は、S29の処理を行う。
【0099】
すなわち、制御部22は、区画属性テーブル3を用いて、対象区画の属性と同じ属性を有する他の区画のイベント種別関係テーブルを取得する(S29)。具体的には、制御部22は、区画属性テーブル3から、対象区画のメッシュ座標に対応する「属性の類似するイベント種別関係テーブルの名称」に格納されているイベント種別関係テーブルの名称を取得する。それから、制御部22は、その取得したイベント種別関係テーブルの名称に対応するイベント種別関係テーブル(以下、「他区画イベント種別関係テーブル2B」)を、記憶部23から読み出す(。
【0100】
それから、制御部22は、取得した他区画イベント種別関係テーブル2Bの「位置」204,207に格納されている位置情報を、メッシュ座標に変換する(S30)。
制御部22は、さらに、メッシュ座標に変換された他区画イベント種別関係テーブル2Bの「位置」204,207に格納されているそのメッシュ座標をそれぞれ、予め対応付けられたメッシュ座標に変換する(S31)。例えば、メッシュ座標に変換された他の区画のイベント種別関係テーブルの「原因となるイベント種別」の「位置」204が「A2B4」であれば、「A4B4」に変換するというように予め対応づけが設定されている。なお、1つのメッシュ座標について、複数のメッシュ座標が対応付けされている場合もある。この場合、後述するように、順次メッシュ座標の変換を行う。
【0101】
それから、制御部22は、対象実事象情報A1の「種別」、「位置」と、他区画イベント種別関係テーブル2Bの「原因となるイベント種別」の「種別」、「位置」とのマッチングを行う(S32)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、このとき、制御部22は、「位置」については、対象実事象情報A1の「位置」を経度、緯度からメッシュ座標に変換してマッチングを行う。
【0102】
マッチングの結果、制御部22は、マッチした「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」の「種別」、「位置」、日時Tと、実事象リスト4の「種別」、「位置」、「日時」とのマッチングを行う(S33)。このとき、制御部22は、災害情報オントロジー15を「種別」について適用する。また、このとき、制御部22は、実事象リスト4の「位置」を経度、緯度からメッシュ座標に変換してマッチングを行う。また、日時Tとは、上述の通り、対象実事象A1の日時+その「結果となるイベント種別」の「時間差」以内を示す。
【0103】
マッチングの結果、制御部22は、実事象リスト4において、S33でマッチした実事象情報(実事象情報A3)に、対象実事象情報A1のIDを、因果関係情報として付与する(S34)。
【0104】
制御部22は、S30で説明したように、変換したメッシュ座標の他に、予め対応付けられたメッシュ座標がある間、S31〜S34の処理を繰り返す(S35)。制御部22は、他の区画における、関係する全てのイベント種別関係テーブルでのマッチングを行うまで、S30〜S35を繰り返す(S36)。
【0105】
当該対象区画の実事象リスト4に含まれる各実事象情報を対象実事象情報A1として、S21〜S36の処理を行う(S37)。これにより、図18の因果関係情報が付与された実事象リスト4aが得られる。
【0106】
図18は、実施例1における因果関係情報が付与された実事象リスト4aを示す。図18は、図16の実事象リスト4を入力して、図17A,図17Bのフローを実行して得られた結果である。因果関係情報が付与された実事象リスト4aは、記憶部23に格納されている。
【0107】
図18は、図16と比較して、「因果関係」409のデータ項目が追加されている。「因果関係」409には、それぞれの実事象情報の原因として関連付けられた実事象のIDが因果関係情報として格納されている。
【0108】
図18において、因果関係情報に基づくと、次の因果関係が分かる。「新幹線ホーム混雑」(ID=10012)、「新幹線ホーム閉鎖」(ID=10013)、「新幹線運休」(ID=10014)、「新幹線運休」(ID=10015)は、「山口県に豪雨」(ID=10011)と因果関係がある。
【0109】
また、「支流氾濫」(ID=10020)」、「土石流発生」(ID=10030)、「土砂災害」(ID=10041)、「鉄砲水被害」(ID=10042)、「民家浸水」(ID=10043)も、「山口県に豪雨」(ID=10011)と因果関係がある。
【0110】
「土石流発生」(ID=10031)は、「土石流発生」(ID=10030)と因果関係がある。「土砂崩れ」(ID=10032)、「土砂崩れ」(ID=10032)は、「土砂崩れ」(ID=10031)と因果関係がある。「民家浸水」(ID=10043)は、「鉄砲水被害」(ID=10042)と因果関係がある。
【0111】
「民家倒壊」(ID=10051)、「民家全壊」(ID=10052)、「集落孤立」(ID=10053)は、「通行止め情報」(ID=10050)と因果関係がある。「空き巣被害」(ID=10054)は、「集落孤立」(ID=10053)と因果関係がある。
【0112】
なお、コンピュータ21が、例えば端末装置である場合、各端末装置のgeo−RSSデータの収集状況に応じて、実事象情報(または実事象リスト)や因果関係情報により関係付けられた実事象リストは、端末装置間で異なってくる。そこで、実事象情報(または実事象リスト)や因果関係情報により関係付けられた実事象リストをgeo−RSSデータとして端末間で所定の間隔でやり取りすることにより、端末装置間の情報格差を解消することができる。また、利用者には、最新情報を提供することができる。
【0113】
また、中央のネットワークなどにアクセスできない場合でも、拠点とのアクセスや、アドホックモードによる端末装置同士の直接双方向通信により、そのようなgeo−RSSデータを端末装置相互で補完して最新情報を保持することができる。
【0114】
図19は、実施例1における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の一例を示す。図19の表示例は、図18の因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、因果関係可視化プログラム36の表示制御機能38により実事象情報間の因果関係が可視化されたものである。
【0115】
因果関係情報により関係付けられた事象情報はそれぞれ、イベントノードと呼ばれる矩形で表示されている。因果関係情報により関係付けられたイベントノード間は、因果関係線で結ばれている。
【0116】
因果関係系列表示画面では、因果関係情報に従って、イベントノードを時系列に並べる。この時、バックグランドの配色を変えることで、イベントノードの日付などの違いを区別することができる。このように、実事象情報間の因果関係を視覚的に把握することができる。
【0117】
なお、イベントノードの選択や絞込みには、イベントノードを直接選択するだけでなく、イベント種別、時刻、実因果関係、などの属性を用いて利用者が必要に応じて取捨選択できる。すると、絞込み機能37により、得たい情報だけを適確に絞りこんで、因果関係系列表示画面で参照できるようになる。また、絞込み機能37により、利用者自身が集めた情報や行政からの情報などに絞って因果関係を参照するなどもできる。
【0118】
このように、携帯端末等により、因果関係検出プログラムは、統合サーバや拠点サーバからgeoRSSデータを受け取り、実事象リストが作成される。実事象リストは、位置の近さ、及び災害情報オントロジーが適用された「種別」に基づいて、区画毎にあるイベント種別関連情報テーブルに定義された原因側の事象と関係付けが行われる。そして、その関係付けが行われた原因側の事象に対応する結果側の事象の位置の近さ、及び災害情報オントロジーが適用された「種別」、及び時間差を考慮した日時に基づいて、実事象リストと関係付けが行われる。このように、関係付けの基礎となる実事象と、その関係付けにより得られた実事象とを関係付ける。それにより、RSSに適応した装置(サーバ装置、携帯情報端末等)において、因果関係を明らかにした事象の情報共有を行うことができる。
【0119】
また、区画ごとに設定されているイベント種別関係テーブルは、区画属性テーブルを用いることにより、その適用可能な範囲を拡張することができる。すなわち、対象となる区画にイベント種別関係テーブルが設定されていなくても、区画属性テーブルを用いることにより、他の区画のイベント種別関係情報テーブルを適用して、広く実事象間の因果関係情報を得ることができる。
【0120】
また、事象イベントや得られた因果関係情報などを含む災害情報は、RSSにより端末間でやり取りされ、利用者には、常に最新情報が更新される。中央のネットワークなどにアクセスできない場合でも、拠点とのアクセスや端末同士の双方向RSSにより、端末相互で情報を補完して最新情報を保持できる。
【0121】
なお、予め与えられるイベント種別関係テーブルは、一意の規則のように定まるものではない。イベント間の関係も、その地形や配置、習慣、場所、天候や時間、など様々な要因によって異なるものである。このため、各種の条件ごとに個別のイベント種別の関連情報テーブルを用意して、適用することで、より現実的な事象の関係付けと情報提供が行えるようになる。
【0122】
(実施例2)
実施例2では、実施例1で作成した因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新する因果関係検出プログラムについて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0123】
図20は、実施例2における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図20は、図14にフィードバック機能50を追加したものである。
【0124】
フィードバック機能50は、実施例1で作成した因果関係情報が付与された実事象リスト4aに基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新する。フィードバック機能50の詳細については、図21を用いて説明する。
【0125】
図21は、実施例2におけるフィードバック機能50によるイベント種別関係情報フィードバック処理フローを示す。
制御部22は、実施例1で作成した実事象リスト4aの因果関係情報に基づいて、実事象リスト4aから「原因となるイベント種別」と「結果となるイベント種別」の組を取得し、イベント種別関係情報を作成する(S41)。
【0126】
S41の処理について、例えば、図18において、上から3つ目の実事象情報(ID=10013)を例に説明する。「ID=10013」の実事象情報の有する因果関係情報は、「ID=10011」である。したがって、ID=10011の実事象情報が「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報に該当する。「ID=10013」の実事象情報が「結果となるイベント種別」202側に格納されるイベント種別情報に対応する。
【0127】
制御部22は、実事象リスト4aの実事象情報から「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報の各種情報(「種別」407、「位置」405、日時(「日付」402、「時刻」403)を取得する。また、制御部22は、実事象リスト4aの実事象情報から「結果となるイベント種別」202側に設定されるイベント種別情報の各種情報(「種別」407、「位置」405、日時(「日付」402、「時刻」403)を取得する。
【0128】
さらに、制御部22は、「結果となるイベント種別」202側に設定されるイベント種別情報の日時から「原因となるイベント種別」201側に設定されるイベント種別情報の日時を差し引いて時間差を算出する。
【0129】
このようにして、制御部22は、イベント種別関係テーブル2に格納されるイベント種別関係情報のデータ要素を取得する。
そして、制御部22は、S41で作成したイベント種別関係情報を、イベント種別関係テーブルに追加する(S42)。
【0130】
本実施例によれば、実施例1で作成実事象リスト4aの因果関係情報に基づいて、イベント種別関係テーブル2を更新することができる。
(実施例3)
実施例3では、実事象リスト4に原因となる実情報に対して、結果となる実事象情報が存在しない場合、イベント種別関係テーブルの「結果となるイベント種別」202の内容を予測情報として提供する因果関係検出プログラムについて説明する。すなわち、実施例3では、現在確認できていない事象に関しても、これまでに得られている事象に対して、今後関係しそうな事象をイベント種別関係テーブルから導くことにより、予測的にイベント情報を提供する。なお、本実施例において、実施例1または実施例2と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0131】
図22は、実施例3における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図22は、図14に予測機能60を追加したものである。
【0132】
予測機能60は、実事象リスト4に原因となる実情報に対して、結果となる実事象情報が存在しない場合、イベント種別関係テーブルの「結果となるイベント種別」202の内容を予測情報として提供する。予測機能60の詳細については、図23を用いて説明する。
【0133】
図23は、実施例3における実事象イベントの因果関係の取得フローを示す。図23のフローは、図17Bに、S51,S52の処理を追加したものである。
S36の処理後、制御部22は、実事象リスト4に、対象実事象情報A1と関連付けることができる実事象情報が存在しないか否かを判定する(S51)。すなわち、制御部22は、対象実事象情報A1について、S33において、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」とマッチング可能な実事象情報が存在しないか否かを判定する。
【0134】
判定の結果、制御部22は、対象実事象情報A1について、S33において、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」とマッチング可能な実事象情報が存在しない場合(S51で「Yes」)、制御部22は、次を行う。すなわち、制御部22は、S32で一致した「原因となるイベント種別」に対応する「結果となるイベント種別」を、対象実事象に対して結果となり得る予測事象情報として出力する。
【0135】
このように、関係付けられる実事象は、区画に整理されたイベント種別関係テーブルに定義された因果関係を用いて結び付られる既に起こった事象だけでない。すなわち、イベント種別関係テーブルに定義された関係により、事象としてまだ存在していないものも、予測される事象として関係するイベントとして得ることができる。
【0136】
実施例3によれば、対象実事象情報A1と関係付けられる事象情報は、イベント種別関係テーブルを用いて結び付られる既に起こった実事象だけでなく、イベント種別関連テーブルの「結果となるイベント種別」の事象でもよい。これにより、「結果となるイベント種別」を、対象実事象に対して結果となり得る予測事象情報として提供することができる。
【0137】
(実施例4)
実施例4では、収集される実事象情報の提供元の信頼度に応じて、重み付けを行い、その重み付けに応じて、事象間の因果関係の表示形態を変化させる。なお、本実施例において、実施例1、実施例2または実施例3と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0138】
図24は、実施例4における因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラム36とがインストールされたコンピュータ21の一例を示す。図24は、図14に重み付け機能70を追加したものである。
【0139】
重み付け機能70は、収集される実事象情報の提供元の信頼度に応じて、重み付けを行う。予測機能60の詳細については、図25、図26を用いて説明する。
図25は、実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4b(因果関係付け処理前)の一例を示す。図25は、図16の実事象リスト4に、データ項目「信頼度」410を追加したものである。データ項目「信頼度」410には、重み付け機能70により、実事象情報の提供元に応じた重み付けされた値が格納される。情報ソースが「TopDown」の場合、重み付け機能70は、例えば、「信頼度」410に「100」をセットする。また、情報ソースが「本人」の場合、重み付け機能70は、例えば、「信頼度」410に「100」をセットする。また、情報ソースが「口コミ」の場合、重み付け機能70は、例えば、口コミ数が多いほど高い値を「信頼度」410にセットする。
【0140】
図26は、実施例4における重み付け機能70により信頼度が付加された実事象リスト4c(因果関係付け処理後)の一例を示す。図26は、図25に対して、データ項目「因果関係」409を付加したものである。データ項目「信頼度」410は、因果関係付け処理には影響を及ぼさないので、データ項目「因果関係」409の内容は、図18と同様である。
【0141】
図27は、実施例4における関連する複数のイベントの因果関係系列表示画面の表示例を示す。図27では、表示制御機能38により、信頼度の高さに応じて、因果関係を示す線(以下、因果関係線という)の太さを変えている。
【0142】
「山口県に豪雨」から、「新幹線ホーム混雑」、「新幹線ホーム閉鎖」、「新幹線運休」、「支流氾濫」、「土石流発生」、「土砂災害」、「鉄砲水」への因果関係は信頼度がいずれも「100」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も太い線で示す。また、「鉄砲水被害」から「民家浸水」への因果関係も同様に信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、その因果関係線を最も太い線で示す。
【0143】
また、「通行止め情報」から、「民家倒壊」、「民家全壊」、「集落孤立」への因果関係も同様に信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も太い線で示す。また、「集落孤立」から、「空き巣被害」への因果関係線も同様に、信頼度が「100」なので、表示制御機能38は、その因果関係線を最も太い線で示す。
【0144】
「土石流発生」から「土石流発生」への因果関係は、信頼度が「70」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を、信頼度が「100」の因果関係線よりも細い線で示す。
【0145】
「土石流発生」から、「土砂崩れ」、「土砂崩れ」への因果関係は、信頼度がいずれも「50」なので、表示制御機能38は、それらの因果関係線を最も細い線で示す。
信頼度調整領域75には、スライドバー76とスライダー77が設けられている。スライダー77をスライドバー76に沿って、左右へ移動させると、スライダー77が止まった位置に対応するバーの目盛りに応じた信頼度以上の信頼度を有するイベントノードのみを表示させることができる。
【0146】
このように、予想される事象も含めて、全ての事象は、その起因資源が明らかにされている。起因資源として、例えば、行政等からのTop Downで提供された事象情報、口コミとして仲間やコミュニティ等の中で得られた事象情報、ユーザ本人が獲得した事象情報、予測される事象などである。この起因資源の違いにより、各事象情報に重み付けがされる。これにより、利用者が情報の信憑性など判定できる。なお、絞込み機能37により、情報の出所または信頼度を指定することで、図27において表示される実事象情報を絞り込むこともできる。
【0147】
なお、実施例4では、集まった事象の発生元の信頼度(例えば、行政からの情報、自分で集めた情報、口コミの情報、写真入の情報、など)に応じて重み付けを行ったり、集まった事象の量から相対的に重み付けを行ったが、これに限定されない。例えば、イベント種別関係テーブル自体に重みを付与しておき、そのイベント種別関係テーブルと関連付けされた実事象に対して、そのイベント種別関係テーブルの重みを付与するようにしてもよい。
【0148】
図28は、コンピュータ21のハードウェア環境の構成ブロック図である。コンピュータは、CPU82、ROM83、RAM86、通信I/F84、記憶装置87、出力I/F81、入力I/F85、読み取り装置88、バス89、出力機器91、入力機器92によって構成されている。
【0149】
ここで、CPUは、中央演算装置を示す。ROMは、リードオンリメモリを示す。RAMは、ランダムアクセスメモリを示す。I/Fは、通信インターフェースを示す。バス89には、CPU82、ROM83、RAM86、通信I/F84、記憶装置87、出力I/F81、入力I/F85、及び読み取り装置88が接続されている。読み取り装置88は、可搬型記録媒体を読み出す装置である。出力機器91は、出力I/F81に接続されている。入力機器92は、入力I/F85に接続にされている。
【0150】
記憶装置87としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができる。格納部12または記憶部23としての記憶装置87またはROM83には、上記で説明した用いたフローのプログラム及びイベント種別関係テーブル2、区画属性テーブル3、実事象リスト4、災害情報オントロジー15等が格納されている。
【0151】
CPU82は、記憶装置87等に格納した因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36を読み出する。これにより、CPU82は、読み出し機能33、イベント種別関係テーブル選択機能34、因果関係付け機能35、絞込み機能37、表示制御機能38、フィードバック機能50、予測機能60、重み付け機能70を実行する。
【0152】
因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36は、プログラム提供者側から通信ネットワーク90、および通信I/F84を介して、例えば記憶装置87に格納してもよい。また、因果関係検出プログラム31、因果関係可視化プログラム36は、市販され、流通している可搬型記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、この可搬型記憶媒体は読み取り装置88にセットされて、CPU82によってそのプログラムが読み出されて、実行されてもよい。可搬型記憶媒体としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、USBメモリ装置など様々な形式の記憶媒体を使用することができ、このような記憶媒体に格納されたプログラムが読み取り装置88によって読み取られる。
【0153】
また、入力機器92には、キーボード、マウス、電子カメラ、ウェブカメラ、マイク、スキャナ、センサ、タブレットなどを用いることが可能である。また、出力機器91には、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを用いることが可能である。また、ネットワーク90は、インターネット、LAN、WAN、専用線、有線、無線等の通信網であってよい。
【0154】
なお、上記の実施例では、因果関係検出プログラム31と因果関係可視化プログラムは、コンピュータ21にインストールしていたが、それぞれ別のコンピュータ(例えば、サーバとユーザ端末)にインストールされていてもよい。
【0155】
本実施形態によれば、過去のイベント事例、地形が類似した他地域、隣接する地域のイベント種別関係テーブル等を用いることにより、その地域に応じた因果関係を導くことが可能になる。
【0156】
また、地域に応じて作成したイベント種別関係テーブルに基づいて、災害時の複数の実事象間の因果関係を自動的に整理することができる。これによって、避難行動や防災計画の立案の支援をすることができる。
【0157】
また、災害時のイベント情報を、さらに、信頼度を含めたイベント関連情報群として提供し、その信頼度に応じて、因果関係に重み付けを行うことができる。
また、実事象に応じて、種別間のイベント種別関係テーブルを適宜更新することもできるので、用途や地域、属性に応じたイベント種別関係テーブルを着目イベントに関する因果関係のつながりが提供される。また、因果関係情報により関係付けられた実事象をピックアップすると、参照すべき因果関係のある関連した実事象情報を提供することができる。
【0158】
また、例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星データの応用活用事例の1つになり得る。また、携帯端末などの普及で、口コミ情報を簡単に取込めることができる。また、さらに地理情報の活用との融合により、実事象情報が位置情報や因果関係で関係付けられることで、実事象情報の利用シーンを増やすことができる。
【0159】
また、個人情報を格納・管理するような(例えば、銀行にお金を預けるように、情報を預け、共有させるようなところが今後出てくると)個人情報銀行のようなサービスが提供されるようになるとする。すると、本実施形態を、提供する情報の共有や管理、活用に関するソリューションとしての展開に活用できる。
【0160】
なお、本実施形態は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。また、実施例1〜実施例4のうち2以上の実施例を組み合わせてもよい。
【0161】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータにより実行される、発生した事象間の因果関係を検出する因果関係検出方法であって、
前記コンピュータが、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得し、
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納されている格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択し、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける
ことを特徴とする因果関係検出方法。
(付記2)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記種別関係テーブルを選択する場合、前記コンピュータは、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記1に記載の因果関係検出方法。
(付記3)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付けを行う場合、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記1または2に記載の因果関係検出方法。
(付記4)
前記コンピュータは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う
ことを特徴とする付記1〜3のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記5)
前記コンピュータは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する
ことを特徴とする付記1〜4のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記6)
前記コンピュータは、さらに、
前記関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する
ことを特徴とする付記1〜5のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記7)
前記コンピュータは、さらに、
前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる
ことを特徴とする付記1〜6のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
(付記8)
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部と、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得部と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択部と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理部と、
を備えることを特徴とする因果関係検出装置。
(付記9)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記選択部は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から、該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記8に記載の因果関係検出装置。
(付記10)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付け処理部は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記8または9に記載の因果関係検出装置。
(付記11)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う重み付け部と、
を備えることを特徴とする付記8〜10のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記12)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する予測部と、
を備えることを特徴とする付記8〜11のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記13)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記関係付け処理部により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する更新部
を備えることを特徴とする付記8〜12のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記14)
前記因果関係検出装置は、さらに、
前記関係付けられた実事象情報を相互に接続して表示させる表示制御部
を備えることを特徴とする付記8〜13のうちいずれか1項に記載の因果関係検出装置。
(付記15)
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部を有するコンピュータに、発生した事象間の因果関係を検出する処理を実行させる因果関係検出プログラムであって、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得処理と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択処理と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする因果関係検出プログラム。
(付記16)
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記選択処理は、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする付記15に記載の因果関係検出プログラム。
(付記17)
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付け処理は、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする付記15または16に記載の因果関係検出プログラム。
(付記18)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う重み付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜17のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
(付記19)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する予測処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜18のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
(付記20)
前記因果関係検出プログラムは、さらに、
前記関係付け処理により関係付けられた実事象情報について、前記第1実事象情報を前記原因事象種別情報とし、前記第2実事象情報を前記結果事象種別情報とする、前記事象種別関係情報を作成し、該作成した事象種別関係情報により前記種別関係テーブルの内容を更新する更新処理
を、コンピュータに実行させることを特徴とする付記15〜19のうちいずれか1項に記載の因果関係検出プログラム。
【符号の説明】
【0162】
1 因果関係検出装置
2 イベント種別関係テーブル
3 区画属性テーブル
4 実事象リスト
5 取得部
6 選択部
7 関係付け処理部
8 重み付け部
9 予測部
10 表示制御部
11 更新部
12 格納部
15 災害情報オントロジー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される、発生した事象間の因果関係を検出する因果関係検出方法であって、
前記コンピュータが、
地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得し、
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納されている格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択し、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける
ことを特徴とする因果関係検出方法。
【請求項2】
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記種別関係テーブルを選択する場合、前記コンピュータは、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の因果関係検出方法。
【請求項3】
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付けを行う場合、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の因果関係検出方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
【請求項6】
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部と、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得部と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択部と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理部と、
を備えることを特徴とする因果関係検出装置。
【請求項7】
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部を有するコンピュータに、発生した事象間の因果関係を検出する処理を実行させる因果関係検出プログラムであって、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得処理と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択処理と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする因果関係検出プログラム。
【請求項1】
コンピュータにより実行される、発生した事象間の因果関係を検出する因果関係検出方法であって、
前記コンピュータが、
地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得し、
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納されている格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択し、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける
ことを特徴とする因果関係検出方法。
【請求項2】
前記格納部には、さらに、前記地域の属性に応じて前記事象種別関係情報が分類された地域属性分類情報を含む属性分類テーブルが格納され、
前記種別関係テーブルを選択する場合、前記コンピュータは、前記第1実事象情報の事象が発生した対象となる地域に対応する事象種別関係情報があれば、前記格納部から該事象種別関係情報を対象地域事象種別関係情報として選択し、該対象地域事象種別関係情報がなければ、前記地域属性分類情報を用いて、前記格納部から該対象となる地域の属性と同じ属性の地域に対応する他の地域の事象種別関係情報を他地域事象種別関係情報として選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の因果関係検出方法。
【請求項3】
前記原因事象種別情報は、前記原因としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記結果事象種別情報は、前記結果としての事象の種別情報と、該事象の発生した位置情報と、該事象の発生した日時情報を含み、
前記関係付けを行う場合、前記コンピュータは、前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報の前記種別情報及び前記位置情報に基づいて、前記種別関係テーブルから前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報の前記結果事象種別情報に含まれる前記種別情報、前記位置情報、及び、前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象情報を識別する第1識別情報を因果関係情報として前記第2実事象情報に付与する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の因果関係検出方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、さらに、
前記取得した実事象情報の提供元に応じて、該実事象情報に重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、さらに、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記取得した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報を、前記第1実事象情報に対しての結果となる事象情報とし、該結果としての事象情報を予測情報として出力する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の因果関係検出方法。
【請求項6】
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部と、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得部と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択部と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理部と、
を備えることを特徴とする因果関係検出装置。
【請求項7】
地域毎の、過去に発生した、原因としての事象の種別に関する原因事象種別情報と、該原因としての事象に関係する結果としての事象の種別に関する結果事象種別情報と、が関連付けられた情報である事象種別関係情報を含む種別関係テーブルが格納される格納部を有するコンピュータに、発生した事象間の因果関係を検出する処理を実行させる因果関係検出プログラムであって、
前記地域の各所で発生した事象に関する1以上の実事象情報を取得する取得処理と、
前記格納部から、前記取得した実事象情報のうち第1実事象情報の事象が発生した位置の地域の属性に基づく地域の前記種別関係テーブルを選択する選択処理と、
前記原因事象種別情報に対する条件としての前記第1実事象情報に基づいて、前記選択した種別関係テーブルから、前記事象種別関係情報を抽出し、該抽出した事象種別関係情報に含まれる前記結果事象種別情報、及び前記第1実事象情報の日時に基づいて、前記実事象情報から第2実事象情報を抽出し、前記第1実事象と前記第2実事象を関係付ける関係付け処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする因果関係検出プログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図28】
【図2】
【図15】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−68860(P2012−68860A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212612(P2010−212612)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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