説明

図形描画プログラム、方法及び装置

【目的】本発明は、図形描画プログラム、方法及び装置に関し、複数の評価項目における複数の評価対象をそれぞれ識別する必要があるグラフやチャート等の図面において評価得点が重なった場合でも全ての評価対象の視認性を向上することを目的とする。
【構成】コンピュータに、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画させる図形描画プログラムであって、評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップを実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形描画プログラム、方法及び装置に関し、特に、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を表示させる図形描画プログラム、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの破線が重なり合っても直線のような画像となることを防止するため、画像形成面上の座標に応じて各点を画像の形成部又は非形成部とすることで、どれだけ多くの破線が重なり合っても形成部と非形成部とが重畳しない画像形成技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
しかし、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表すグラフやチャート等の図形においては、図7に示すように、ある評価項目において複数の評価対象の評価が同一(または線の太さ以内の近似)得点となることによって線が重なる場合があり、一番上位に位置する評価対象以外の評価対象の視認を容易とし得るものではなかった。
【特許文献1】特開平8−30593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した従来の技術の問題に鑑みてなされた発明であって、複数の評価項目における複数の評価対象をそれぞれ識別する必要があるグラフやチャート等の図面において評価得点が重なった場合でも、全ての評価対象の視認性を向上することが可能な図形描画プログラム、方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、コンピュータに、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画させる図形描画プログラムであって、評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、コンピュータに上述の位置調整ステップを実行させることにより、複数の評価対象をそれぞれ識別する必要があるグラフやチャート等の図面において線が重なった場合でも、全ての評価対象の視認性を向上させ得るという効果を上げるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の図形描画装置の構成概要図を示す。
【0008】
本発明の図形描画装置100は、利用者からのキーボード111、マウス112等の入力装置を介した情報入力を制御する入力制御手段110、ディスプレイ121、プリンタ122等の出力装置への情報出力を制御する出力制御手段120、上述した描画位置調整ステップを実行するための描画位置調整手段130、各種データを記憶する記憶手段140等から構成されるパーソナルコンピュータ等の情報処理装置(コンピュータ)である。
【0009】
次に、図2に示す図形描画装置100の記憶手段140に記憶する各種データのデータレイアウト及び図3に示す描画位置調整処理フローチャートを用い、本発明の図形描画装置100の描画位置調整手段130による処理フローを詳細に説明する。
【0010】
本発明の図形描画装置100の描画位置調整手段130は、図3のS001で、図形キーボード111やマウス112などのユーザ操作に基づき入力制御手段110により入力された図形描画指示に基づき、予め入力制御手段110により入力され、記憶手段140に記憶した図2(1)に示すような、複数の評価項目141N毎に、複数の評価対象141n毎の得点141Snを含む評価処理対象レコード141rからなる可視化処理対象テーブル141を参照し、同じ評価項目141N及び評価対象141nからなる図2(5)に示すような可視化処理結果テーブル145を生成し記憶手段140に記憶する。
【0011】
S002で評価項目カウンタNに1を設定する。
【0012】
S003で評価対象カウンタnに1を設定し、図2(2)に示すような該評価項目141Nにおける得点141Snが異なる毎に該得点141Snを記憶するための過去得点リスト142を初期化し、記憶手段140に記憶する。
【0013】
S004で可視化処理対象テーブル141から評価項目カウンタN番目の評価処理対象レコード141rを取得する。
【0014】
S005で、S004で取得した評価処理対象レコード141rを可視化処理結果テーブル145の該当評価項目Nに対応する複数の評価対象141n毎の得点141Snに出力することで、記憶手段140に追加記憶する。
【0015】
S006で、図2(3)に示すような、評価項目Nで同一(または線の太さ以内の近似)得点となった評価対象141xと得点Sxとを検出順に対応付けて記憶するための同一得点対象抽出テーブル143、及び、図2(4)に示すような、該同一得点対象抽出テーブル143に記憶した評価対象141nの評価項目N+1での評価対象141nの得点による並べ替え実行結果の順位を記憶するための次評価項目得点順テーブル144を初期化して記憶手段140に記憶した後、評価対象141nの得点Snを取得する。
【0016】
S007で、過去得点リスト142にS006で取得した得点Snと同じ値を記憶してあるか否かを判定し、記憶してある(S007でYES)と判定するとS018に進み、記憶していない(S007でNO)と判定するとS008に進む。
【0017】
S008で、過去得点リスト142にS006で取得した得点Snを出力することで、記憶手段140に追加記憶する。
【0018】
S009で、S004で取得した評価処理対象レコード141rに、S006で取得した得点Snと同一(または線の太さ以内の近似)得点である全ての評価対象141x及びその得点Sxを検出順に同一得点対象抽出テーブル143に出力することで、記憶手段140に追加記憶する。
【0019】
S010で同一得点対象カウンタJに、S009で同一得点対象抽出テーブル143に記憶した全評価対象141xの個数を設定する。
【0020】
S011では同一得点対象カウンタJが、S0012での評価対象141xの並べ替えが不要な1以下か否か判定し、並べ替えが不要な対象数(S011でYES)と判定すると、S020に進み、並べ替えが必要な対象数(S011でNO)であると判定すると、S012に進む。
【0021】
S012で、S009で同一得点対象抽出テーブル143に記憶した全評価対象141xについて、次評価項目、つまり、評価項目カウンタN+1(N+1が評価項目数を超える場合には1)番目の評価処理対象レコード141rを参照して得点Sxを取得し、この得点Sxを第1キー、評価項目141xを第2キーとして並べ替え、次評価項目得点順テーブル144に出力することで、記憶手段140に追加記憶する。
【0022】
S013で、次評価項目得点順テーブル144に記憶した順位に対応する順位カウンタiに1を設定する。
【0023】
S014で、S012で次評価項目得点順テーブル144に記憶した順位に基づき、評価対象141x毎に、所定値(例えばグラフの傾斜度や、線の太さ以上の線が識別可能となるような値)に順位を乗算したものをS012で同一得点対象抽出テーブル143に記憶した該評価対象141xの得点Sxに加算(または減算)した値を算出し、S015で可視化処理結果テーブル145の該当評価項目Nと該当評価対象141xとに対応する得点欄に出力することで、記憶手段140に追加記憶する。
【0024】
S016では順位カウンタiが、S014の該当評価対象141xに対応する対象数が同一得点対象カウンタJ以上か否か判定し、同一得点対象カウンタ以上でないと判定すると、S017に進んで順位カウンタiに1を加算してS014に戻り、評価対象数以上であると判定すると、S018に進む。
【0025】
S018では評価対象カウンタnが評価対象数以上か否か判定し、評価対象数以上でないと判定すると、S019に進んで評価対象カウンタnに1を加算してS006に戻り、評価対象数以上であると判定すると、S020に進む。
【0026】
S020で、評価項目カウンタNが評価項目数以上か否か判定し、評価項目数以上でないと判定すると、S021に進んで評価項目カウンタNに1を加算してS003に戻り、評価項目数以上であると判定すると、S022に進む。
【0027】
S022では、出力制御手段120が、S015で記憶した可視化処理結果テーブル145を参照し、作図種別に従ったグラフのデータとして全ての得点141Sxを読み出し、図4に示すような図形をディスプレイ121やプリンタ122に出力する。
【0028】
以上、図2に示すデータレイアウト及び図3に示すフローチャートを用いて説明した本願発明の処理により、評価項目における評価対象の描画位置を該評価項目の隣接評価項目における該評価対象の得点順に基づき調整しているため、線の重なりや交差を抑えたグラフ図形を表示することが可能となり、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表すグラフやチャート等の図形の視認性を向上するという効果をあげることができる。
【0029】
ところで、本実施の形態で説明した図形描画装置100および図形描画方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。
【0030】
そこで、次に、本実施の形態で説明した図形描画装置100(図形描画方法)と同様の機能を有する図形描画プログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0031】
図5は、本実施の形態に係るコンピュータシステムの構成を示すシステム構成図であり、図6は、図5に示したコンピュータシステムに係る本体部の構成を示すブロック図である。
【0032】
図5に示すように、本実施の形態に係るコンピュータシステム900は、本体部901と、本体部901からの指示によって表示画面902aに画像などの情報を表示するためのディスプレイ902と、このコンピュータシステム900に種々の情報を入力するためのキーボード903と、ディスプレイ902の表示画面902a上の任意の位置を指定するためのマウス904とを備える。
【0033】
また、このコンピュータシステム900における本体部901は、図6に示すように、CPU921と、RAM922と、ROM923と、ハードディスクドライブ(HDD)924と、CD−ROM909を受け入れるCD−ROMドライブ925と、フレキシブルディスク(FD)908を受け入れるFDドライブ926と、キーボード111、マウス112ディスプレイ121ならびにプリンタ122を接続するI/Oインターフェース927と、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク(LAN/WAN)105に接続するLANインターフェース928とを備える。
【0034】
さらに、このコンピュータシステム900には、LANインターフェース928およびLAN/WAN105を介して、他のコンピュータシステム(PC)910などが接続される。
【0035】
そして、このコンピュータシステム900は、所定の記録媒体に記録された図形描画プログラムを読み出して実行することで、図形描画装置100(図形描画方法)を実現する。
【0036】
ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)908、CD−ROM909、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム900の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)924や、RAM922、ROM923などの「固定用の物理媒体」、さらに、モデム905を介して接続される公衆回線907や、他のコンピュータシステム910などが接続されるLAN/WAN105などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステム900によって読み取り可能な図形描画プログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。
【0037】
すなわち、図形描画プログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム900は、このような記録媒体から図形描画プログラムを読み出して実行することで図形描画装置100および図形描画方法を実現する。
【0038】
なお、図形描画プログラムは、コンピュータシステム900によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム910が図形描画プログラムを実行する場合や、これらが協働して図形描画プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0039】
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてもよいものである。
【0040】
また、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0041】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0042】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0043】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
(付記1)
コンピュータに、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画させる図形描画プログラムであって、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップ
を実行させることを特徴とする図形描画プログラム。(1)●
(付記2)
前記位置調整ステップは、評価項目毎に、該評価項目における近似得点となった複数の評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目における該近似得点となった複数の評価対象の得点の順に基づき、重ならないよう調整する
ことを特徴とする付記1記載の図形描画プログラム。(2)●
(付記3)
コンピュータに、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画させる図形描画プログラムであって、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップ
を実行させることを特徴とする図形描画プログラムを記憶したコンピュータ読み書き可能な記憶媒体。
【0044】
(付記4)
前記位置調整ステップは、評価項目毎に、該評価項目における近似得点となった複数の評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目における該近似得点となった複数の評価対象の得点の順に基づき、重ならないよう調整する
ことを特徴とする請求項1記載の図形描画プログラムを記憶したコンピュータ読み書き可能な記憶媒体。
(付記5)
複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画する図形描画方法であって、コンピュータが、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップ
を実行することを特徴とする図形描画方法(3)。
(付記6)
前記位置調整ステップは、評価項目毎に、該評価項目における近似得点となった複数の評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目における該近似得点となった複数の評価対象の得点の順に基づき、重ならないよう調整する
ことを特徴とする付記5記載の図形描画方法(4)。
(付記7)
複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画する装置であって、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整手段
を備えることを特徴とする図形描画装置(5)。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の構成概要図である
【図2】データレイアウト例である
【図3】本発明の描画位置調整処理フローチャートである
【図4】本発明による図形描画例である
【図5】本実施の形態に係るコンピュータシステムの構成を示すシステム構成図である
【図6】図5に示したコンピュータシステムに係る本体部の構成を示すブロック図である
【図7】従来の図形描画例例である
【符号の説明】
【0046】
100:図形描画装置
110:入力制御手段
111:キーボード
112:マウス
120:出力制御手段
121:ディスプレイ
122:プリンタ
130:描画位置調整手段
140:記憶手段
141:可視化処理対象テーブル
142:過去得点リスト
143:同一得点対象抽出テーブル
144:次評価項目得点順テーブル
145:可視化処理結果テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画させる図形描画プログラムであって、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップ
を実行させることを特徴とする図形描画プログラム。
【請求項2】
前記位置調整ステップは、評価項目毎に、該評価項目における近似得点となった複数の評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目における該近似得点となった複数の評価対象の得点の順に基づき、重ならないよう調整する
ことを特徴とする請求項1記載の図形描画プログラム。
【請求項3】
複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画する図形描画方法であって、コンピュータが、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整ステップ
を実行することを特徴とする図形描画方法。
【請求項4】
前記位置調整ステップは、評価項目毎に、該評価項目における近似得点となった複数の評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目における該近似得点となった複数の評価対象の得点の順に基づき、重ならないよう調整する
ことを特徴とする請求項3記載の図形描画方法。
【請求項5】
複数の評価対象について複数の評価項目毎の得点を線で繋いで表す図形を描画する図形描画装置であって、
評価項目毎に、該評価項目における評価対象の得点の描画位置を、隣接する評価項目での評価対象の得点に応じ重ならないよう調整する描画位置調整手段
を備えることを特徴とする図形描画装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−240701(P2007−240701A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60664(P2006−60664)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】