説明

固体キラルジルコニウム触媒及びそれを用いたアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法

【課題】長期保存が可能で触媒的不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応に適した固体キラルジルコニウム触媒及びそれを用いたアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒中で、ビナフトール化合物又はその鏡像体と、ジルコニウム化合物とを反応させ、該反応液に非極性溶媒を加えて生じる固体沈殿物を単離して得た、粉末ジルコニウム触媒を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キラルジルコニウム触媒及びそれを用いたアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、香料、化粧料、農薬、あるいは機能性ポリマー合成等の分野において、各種の不斉合成反応法の確立が重要になってきている。これらの不斉合成に用いられる不斉触媒の中には、高活性で、目的の反応を高選択的に進行させるものも多く存在するが、多くは酸素、光、熱等の外部刺激により分解や不活性化を起こしやすく不安定である。そのため、ほとんどの不斉触媒は、安定な前駆体から使用直前に調製する必要があり、長期保存した後に利用したり、反応後に回収・再利用したりすることはほとんど不可能であった。
【0003】
一方、本発明者らは、既に不斉マンニッヒ型反応に有用なキラルジルコニウム触媒を開発している(例えば、特許文献1参照)。しかし、このキラルジルコニウム触媒も空気中や水存在下では不安定である。そこで、本発明者らは、長期保存後も安定なマンニッヒ型反応用触媒として、キラルジルコニウム触媒をゼオライトに担持させたものを開発した(特許文献2参照)。 さらに、本発明者らは、マンニッヒ型に適した触媒を調整した後にヘキサンを加えることにより不溶性固体が発生し、この固形物も不斉マンニッヒ型反応の触媒となることを見い出した(非特許文献1参照)。
【0004】
これに対し、本発明者らは、不斉アルドール反応及び不斉へテロディールス−アルダー反応に適したキラルジルコニウム触媒を開発している(例えば、特許文献3〜5参照)。又、本発明者らは、この不斉アルドール反応用触媒をゼオライトに担持させることにより長期保存後も触媒として有効に機能することを報告している(非特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003-261490号公報
【特許文献2】国際公開第2003/076072号パンフレット
【特許文献3】特開2003-299962号公報
【特許文献4】特開2006-022046号公報
【特許文献5】特開2002-356454号公報
【非特許文献1】Saruhashi, K. Kobayashi, S., J. AM. Chem. Soc. 2006, 128, 11232-11235
【非特許文献2】Kobayashi, S.; Saito, S. Ueno, M.; Yamashita, Y. Chem Commun.2003, 2016
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ゼオライトを用いずに触媒的不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応に適し、長期保存が可能な触媒は未だ報告されていない。 このようなことから、本発明は、長期保存が可能で触媒的不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応に適した固体キラルジルコニウム触媒及びそれを用いたアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の固体キラルジルコニウム触媒は、有機溶媒中で、下式(I)
【化1】

(式中のR1は、ヨウ素原子またはパーフルオロアルキル基を示し;R2は、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子またはパーフルオロアルキル基を示す)で表わされる化合物又はその鏡像体と、ジルコニウム化合物とを反応させ、該反応液に非極性溶媒を加えて生じる固体沈殿物を単離してなる保存可能な固体キラルジルコニウム触媒である。
【0008】
本発明のアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法は、前記固体キラルジルコニウム触媒の存在下、アルデヒド化合物とケイ素エノラートとを反応させ、又はアルデヒド化合物とダニシェフスキージエン化合物とを反応させ、アルドール反応物又は環化体化合物を合成する方法である。 前記方法において、さらに、反応の際に一級アルコール化合物及び/又は水を添加することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、長期保存が可能で触媒的不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応に適した固体キラルジルコニウム触媒が得られる、又、この固体キラルジルコニウム触媒を用いて高収率、かつ高エナンチオ選択的にアルドール反応物又は環化体化合物を合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の固体キラルジルコニウム触媒は、有機溶媒中で、下式(I)
【化1】

(式中のR1は、ヨウ素原子またはパーフルオロアルキル基を示し;R2は、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子またはパーフルオロアルキル基を示す)で表わされる化合物又はその鏡像体と、ジルコニウム化合物とを反応させ、該反応液に非極性溶媒を加えて生じる固体沈殿物を単離してなる。
【0011】
式(I)で表わされるビナフトール化合物は、光学活性なキラル触媒を構成する配位子等として機能し、光学活性化合物又はラセミ化合物となる。R1およびR2に用いるパーフルオロアルキル基としては、一般式Cn2n+1(nは1以上の数)で表わされるものが例示されるが、nは1〜8程度であることが好ましい。パーフルオロアルキル基として具体的には、たとえばCF3,C25,C37等が挙げられる。また、パーフルオロアルキル基のフッ素原子を結合するアルキル基炭素鎖は、直鎖状だけでなく、分枝鎖状であってもよい。分枝鎖状のものとしては、たとえばCF(CF32,CF(CF3)(CF2CF3)等が例示される。 式(I)で表わされるビナフトール化合物は、例えば、公知の化合物からの置換反応や付加反応等によって合成することができる。
【0012】
式(I)で表わされる光学活性なビナフトール化合物の具体例としては、式(II),(III)のものが挙げられる。
【化2】

【化3】

【0013】
ジルコニウム化合物は式(I)で表わされるビナフトール化合物に配位してキラル触媒を構成する。ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムの無機酸塩、有機酸塩、錯体、又は有機金属化合物が挙げられる。特に、Zr(OR)4(Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す)で表されるジルコニウムアルコキシドがより好適なものとして例示される。
【0014】
式(I)の化合物とジルコニウム化合物とを反応させる有機溶媒としては、原料物質並びに触媒を溶解するものであれば特に制限されないが、例えばトルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフランが挙げられる。又、式(I)の化合物とジルコニウム化合物との反応は、反応温度として好ましくは0〜50℃、より好ましくは20〜30℃とし、反応時間として好ましくは1〜5時間、より好ましくは1〜2時間とする。
【0015】
本発明においては、式(I)の化合物とジルコニウム化合物とを反応させた反応液に非極性溶媒を加えて固体沈殿物を生じさせ、この固体沈殿物を単離して固体触媒とする。 この固体沈殿物は触媒的不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応に適し、長期保存後に使用しても高収率、かつ高エナンチオ選択的に環化体化合物を合成することができる。 そして、使用する際には、固体触媒を適切な溶媒に溶解(又は懸濁)し、この溶媒中で不斉アルドール反応及び触媒的不斉へテロディールス−アルダー反応を起こさせればよい。 反応液に非極性溶媒を加えると固体沈殿物が生じる理由は明確ではないが、得られた固体沈殿物を3ヶ月以上の長期保存後に使用しても触媒作用を有していることを本発明者らは確認している。非極性溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、例えばn−へキサン、n−へプタン、n−オクタン等を用いることができる。
【0016】
本発明のアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法は、上記した固体キラルジルコニウム触媒の存在下、アルデヒド化合物とケイ素エノラートとを反応させ、又はアルデヒド化合物とダニシェフスキージエン(Danishefsky's diene)化合物とを反応させる。 アルデヒド化合物としては、式(IV)
【化4】

(式中、R3は、置換基を有していてもよい炭化水素又は複素環基を示す)で表わされるものが例示される。 ケイ素エノラートとしては、式(V)
【化5】

(R4およびR6は、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは複素環基を示し;R5は炭化水素基を示す)で表わされるものが例示される。
【0017】
ダニシェフスキージエン(Danishefsky's diene)化合物としては、式(VI)
【化6】

(R7およびR8は、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは複素環基を示し;R5およびR9は、各々、同一または別異に、炭化水素基を示す)で表わされるジエン化合物が例示される。
【0018】
そして、上記したアルデヒド化合物とケイ素エノラートとを反応させることにより、式(VII)
【化7】

で表わされるアルドール反応成績体を合成することができる。 又、上記したアルデヒド化合物とダニシェフスキージエン化合物を反応させることにより、式(VIII)
【化8】

で表わされる含酸素複素環の環化体化合物を合成することができる。
【0019】
上記アルデヒド化合物、ケイ素エノラート、及びダニシェフスキージエン化合物における炭化水素基は、脂肪族、脂環式、芳香族等の各種のものであってよい。
【0020】
上記したアルデヒド化合物とケイ素エノラートとの不斉アルドール反応、及びアルデヒド化合物とダニシェフスキージエン化合物との不斉ヘテロディールス−アルダー反応において、固体キラルジルコニウム触媒に含まれる式Iの化合物の
量は、好ましくは3〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%とする。また、ジルコニウム化合物の量は、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは3〜15モル%とする。そして、このような割合となるよう、固体触媒作成時の式Iとジルコニウムの配合割合を調整する。反応時の固体キラルジルコニウム触媒としての使用量は、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは3〜15モル%である(ジルコニウムベースとして)。 又、反応原料としてのジエン化合物に対し、アルデヒド化合物を、0.2〜2倍モル、より好適には0.5〜1.5倍モル程度とすることができる。 上記不斉アルドール反応、又は不斉ヘテロディールス−アルダー反応は溶媒中で行うことが好ましく、より好適には、炭化水素溶媒やハロゲン化炭化水素溶媒等を用いる。反応温度は、-20度〜30度、より好ましくは、-10度〜10度程度の範囲で行うことができ、反応の雰囲気は、不活性雰囲気が好ましい。
【0021】
上記不斉アルドール反応又は不斉ヘテロディールス−アルダー反応において、固体キラルジルコニウム触媒に加えて、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一級アルコール化合物を反応直前に系に添加することが有効である。一級アルコール化合物の添加量は、通常、20〜200モル%、より好ましくは30〜120モル%とすることができる。 又、上記各反応において、反応系に水を添加してもよい。
【0022】
本発明の製法によれば、目的とする環化体を高立体選択的に得ることができる。アルドール反応においては、従来の方法よりも穏やかな条件下で光学活性anti- アルドール体の合成が可能となる。この光学活性anti- アルドール体の合成においては、出発物質となる化合物は限定されず、多くの化合物が適用できる。ヘテロディールス−アルダー反応においては、trans体の合成が可能となる。
【0023】
本発明の固体キラルジルコニウム触媒は、長期保存後であっても不斉アルドール反応およびヘテロディールス−アルダー反応を触媒する。又、上記固体キラルジルコニウム触媒は、広い基質一般性を有し、高収率かつ高立体選択的に光学活性β−ヒドロキシエステル化合物、アンチα-置換型β-ヒドロキシエステル化合物、アンチ-2-置換型-5,6-ジヒドロ-4-ピラノン化合物、アンチ-2,3-置換型-5,6-ジヒドロ-4-ピラノン化合物を製造することができる。そのため、実験室レベルにおいては上記各不斉合成反応を迅速に行なうことのできるツールを提供し、工業的レベルにおいては触媒が安定で均質なため、大スケール生産においてしばしば問題となるロット間の実験誤差が小さくなることが期待できる。 本発明の固体キラルジルコニウム触媒は、通常3ヶ月以上保存していてもその活性を失わない。
【0024】
<実施例> 以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。又、以下の実施例において、1H-NMRおよび13C-NMRによる測定は日本電子株式会社製JNM-ECX400またはJNM-ECX600により行い、溶媒としてCDCl3を用い、内部標準としてテトラメチルシランを用いた。また、高速液体クロマトグラフィーは、株式会社島津製作所製SHIMADZU LC-10AT 、SHIMADZU SPD-10A、SHIMADZU C-R6A又は C-R8Aを用い、カラムにはダイセル株式会社製の各カラムを化合物に合わせて使い分けた(使用したカラムの詳細は以下の化合物ごとに記載)。
【実施例1】
【0025】
<固体キラルジルコニウム触媒(粉末ジルコニウム触媒)の調製> アルゴン雰囲気下、乾燥したトルエンに(R)-3,3'-I2-BINOLとZr(OtBu)4を加えた後、これにノルマルプロパノール(8.0 mmol)と水(2.0 mmol)のトルエン溶液を注入し、室温にて3時間撹拌した。その後、反応液に乾燥したヘキサンを加えると白色の固体が沈殿した。この液を終夜撹拌後、ろ過、乾燥することで白色の粉末ジルコニウム触媒を得た。 得られた粉末に含まれるジルコニウムの含量はICPにより算出した。ICP用のサンプルの調製は以下のように行った。まず、得られたジルコニウム触媒を15 mg精秤して30 mL試験管に入れ、そこへ濃硫酸1.0 mLを加え、180℃で1時間撹拌した。その後、同じ温度で濃硝酸0.5 mLを加え、さらに1時間撹拌すると透明の溶液となった。得られた溶液を一定量の水で希釈し、その水溶液をICPのサンプルとした(ジルコニウム含量:1.0〜1.2 mmol/g, 収率50〜70%)。
【実施例2】
【0026】
< (S)-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3-フェニルプロピオン酸メチルの合成> アルゴン雰囲気下、上記粉末ジルコニウム触媒(0.04 mmol)とトルエン(1 mL)の懸濁液に対してノルマルプロパノール(0.32 mmol)のトルエン溶液(1 mL)を加え、室温にて30分間撹拌した後、0℃に冷却した。これにベンズアルデヒド(0.40 mmol)のトルエン溶液(0.75 ml)と、イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタール(0.6 mmol)のトルエン溶液(0.75 ml)とを順次滴下した。同温にて18時間撹拌した後、飽和重曹水(5 mL)を用いて反応を停止し、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出した有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧下溶媒を留去した。濃縮残渣に氷冷下、THF-1NHClの混合溶液(THF:1NHCl=9:1、10 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。5%重曹水(10 mL)を加えて反応を停止し、ジクロロメタンで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物を薄層クロマトグラフィー(ベンゼン:酢酸エチル=18:1)により精製し、白色固体の目的物を得た(式IX;収率95%、98% ee)。
【化9】

1H NMR (CDCl3) δ 1.12 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.06 (s, 1H), 4.90 (s, 1H), 7.27-7.34 (m, 5H). 13C NMR (CDCl3) δ 19.0, 23.1, 47.6, 52.1, 78.7, 127.6, 127.8, 139.9, 178.2. HPLC; Daicel Chiralcel OJ, hexane/iPrOH = 9/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 18.2 min (S), tR = 20.9 min (R).
【実施例3】
【0027】
<3-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニル)-2,2-ジメチルプロピオン酸メチルの合成> ベンズアルデヒドの代わりにp−メトキシベンズアルデヒド (0.40 mmol)を加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率93%、93% ee)の化学構造を式Xに示す。
【化10】

1H NMR (CDCl3) δ 1.09 (s, 3H), 1.13 (s, 3H), 3.03 (s, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 4.85 (s, 1H), 6.85 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.22 (d, 2H, J = 8.6 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ19.0, 22.9, 47.8, 52.0, 55.2, 78.3, 113.1, 128.7, 132.1, 159.1, 178.2. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 0.8 mL/min: tR = 15.5 min (major), tR = 19.1 min (minor).
【実施例4】
【0028】
< (E)-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5-フェニル-4-ペンテン酸メチルの合成> ベンズアルデヒドの代わりに桂皮アルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率97%、95% ee)の化学構造を式XIに示す。
【化11】

1H NMR (CDCl3) δ 1.23 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 2.85 (br, 1H), 3.72 (s, 3H), 4.36 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 6.21 (dd, 1H, J = 16, 7.1 Hz), 6.64 (d, 1H, J = 16 Hz), 7.2-7.4 (m, 5H). 13C NMR (CDCl3). HPLC; Daicel Chiralcel OJ, hexane/iPrOH = 60/1, flow rate = 1.0 mL/min: tR = 34.7 min (major), tR = 38.6 min (minor).
【実施例5】
【0029】
< (E)-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-ヘキセン酸メチルの合成> ベンズアルデヒドの代わりに(E)−クロトンアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率95%、96% ee)の化学構造を式XIIに示す。
【化12】

1H NMR (CDCl3) δ 1.16 (s, 6H), 1.72 (dt, 3H, J = 0.75, 6.4 Hz), 2.38 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 4.10 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 5.47 (ddd, 1H, J = 15.2, 7.5, 1.5), 5.72 (dq, 1H, J = 15.2, 6.4Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 17.8, 19.8, 22.7, 46.8, 51.9, 77.9, 129.0 129.7, 178.0. HPLC (after benzoylation); Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 1000/1, flow rate = 1.0 mL/min:tR = 17.1 min (major), tR = 26.3 min (minor).
【実施例6】
【0030】
<(R)-3-ヒドロキシ-3-フェニルプロパンチオS-酸エチルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりに、エタンチオS-酸エチル由来のケテンシリルアセタールを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率93%、86% ee)の化学構造を式XIIIに示す。
【化13】

1H NMR (CDCl3) δ 1.26 (t. 3H, J = 7.4 Hz), 2.87-3.08 (m, 5H), 5.17 (dd, 1H, J = 3.7, 8.8 Hz), 7.10-7.36 (m, 5H). 13C NMR (CDCl3) δ 14.5, 23.4, 52.6, 70.8, 125.6, 127.8, 128.5, 142.3, 199.0. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 0.8 mL/min : tR = 14.1 min (S), tR = 16.6 min (R).
【実施例7】
【0031】
<3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタンチオS-酸エチルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりに、エタンチオS-酸エチル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりに3−フェニルプロピオンアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率92%、78% ee)の化学構造を式XIVに示す。
【化14】

1H NMR (CDCl3) δ 1.26 (t, 3H, J =7.5 Hz), 1.7-1.8 (m, 2H), 2.6-2.9 (m, 4H), 2.90 (q, J = 7.3 Hz), 4.06 (dddd, 1H, J =4.1, 4.1, 4.1, 4.1 Hz), 7.1-7.3 (m, 5H). 13C NMR (CDCl3) δ 14.5, 23.3, 31.6, 38.1, 50.6, 67.9, 125.8, 128.4, 128.4, 141.6, 199.5. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 0.8 mL/min: tR = 15.8 min (major), tR = 20.8 min
【実施例8】
【0032】
<3-ヒドロキシオクタンチオS-酸エチルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにエタンチオS-酸エチル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりにn−ヘキサナールを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率87%、79% ee)の化学構造を式XVに示す。
【化15】

1H NMR (CDCl3) δ 0.90 (t, 3H, J =6.8 Hz), 1.26 (t, 3H, J = 7.5 Hz), 1.2-2.1 (m, 8H), 2.61 (br, 1H), 2.66 (dd, 1H, J = 16, 8.4 Hz), 2.74 (dd, 1H, J = 16, 3.5 Hz), 2.90 (q, 2H, J = 7.5 Hz), 4.05 (m, 1H). 13CNMR (CDCl3) δ 14.0, 14.6, 22.6, 23.4, 25.1, 31.7, 36.5, 50.6, 68.7, 199.7. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 40/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 13.7 min (minor), tR = 15.1 min (major).
【実施例9】
【0033】
<(2S, 3R)-3-ヒドロキシ-2-メチル-3-フェニルプロピオン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率99%以上、syn/anti=7/93、99% ee (anti))の化学構造を式XVIに示す。
【化16】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.18 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 2.83 (br, 1H), 3.07 (dq, 1H, J= 8.6, 7.1 Hz), 4.88 (d, 1H, J= 8.6 Hz), 7.06 (dd, 2H, J= 7.7, 1.0 Hz ), 7.20-7.44 (m, 8H); detectable peaks of Syn isomer 1.33 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 5.17 (d, 1H, J= 4.9 Hz).
13C NMR (CDCl3) Anti isomer δ 14.3, 47.4, 76.3, 121.4, 125.8, 126.6, 128.1, 128.5, 129.3, 141.3, 150.5, 174.3; detectable peaks of Syn isomerδ 11.6, 46.9, 74.2, 121.3, 126.2, 127.7, 128.3, 173.8. HPLC (after acetylation); Daicel Chiralcel AS, hexane/iPrOH = 200/1, flow rate = 1.0 mL/min: Syn isomer tR = 13.3 min (major, 2R, 3R), tR = 22.0 min (minor, 2S, 3S); Anti isomer tR = 15.8 min (minor, 2R, 3S), tR = 30.7 min (major, 2S, 3R).
【実施例10】
【0034】
<3-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-クロロフェニル)プロピオン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりにp−クロロベンズアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率99%以上、syn/anti=10/90、97% ee (anti))の化学構造を式XVIIに示す。
【化17】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.17 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 2.91 (br, 1H), 3.01 (dq, 1H, J= 8.2, 7.1 Hz), 4.83 (d, 1H, J= 8.2 Hz), 7.02-7.05 (m, 2H), 7.20-7.40 (m, 7H); detectable peaks of Syn isomer 1.29 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 5.15 (d, 1H, J= 4.8 Hz), 6.94 (d, 2H, J= 7.5 Hz). 13C NMR (CDCl3) Anti isomer δ 14.2, 47.3, 75.5, 121.4, 125.9, 128.0, 128.6, 129.4, 133.8, 139.8, 150.4, 174.1; detectable peaks of Syn isomer δ 11.2, 47.0, 73.2, 121.3, 127.5, 128.4, 133.3, 139.9, 150.2, 173.7. HPLC (after acetylation); Daicel Chiralcel ODH, hexane/iPrOH = 60/1, flow rate = 0.5 mL/min: Syn isomer tR = 17.7 min (major), tR = 24.2 min (minor); Anti isomer tR = 19.8 min (major), tR = 26.8 min (minor).
【実施例11】
【0035】
<3-ヒドロキシ-2-メチル-(4-メトキシフェニル)プロピオン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりにp−メトキシベンズアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率84、syn/anti=6/94、97% ee (anti))の化学構造を式XVIIIに示す。
【化18】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.14 (d, 3H, J= 7.0 Hz), 2.74 (br, 1H), 3.03 (dq, 1H, J= 8.8, 7.3 Hz), 3.81 (s, 3H), 4.82 (d, 1H, J= 8.6 Hz), 6.91 (d, 2H, J= 8.8 Hz), 7.08 (m, 2H), 7.21-7.40 (m, 5H); detectable peaks of Syn isomer 1.34 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 5.07 (d, 1H, J= 5.6 Hz). 13C NMR (CDCl3) Anti isomer δ 14.3, 47.5, 55.2, 76.0, 113.8, 121.5, 125.8, 127.9, 12.3, 133.5, 150.5, 159.4, 174.4; detectable peaks of Syn isomer δ 11.9, 47.1, 55.2, 74.0, 113.7, 121.3, 127.4, 129.3, 129.4, 133.6, 150.3, 159.1, 173.8. HPLC (after acetylation); Daicel Chiralcel ODH, hexane/iPrOH = 30/1, flow rate = 0.5 mL/min: Syn isomer tR = 21.8 min (major), tR = 29.1 min (minor); Anti isomer tR = 24.0 min (major), tR = 33.0 min (minor).
【実施例12】
【0036】
<(E)-3-ヒドロキシ-2-メチル-5-フェニル-4-ペンテン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりに桂皮アルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率96%、syn/anti=17/83、99% ee (anti))の化学構造を式XIXに示す。
【化19】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.36 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 2.59 (br, 1H), 2.92 (dq, 1H, J= 7.3 Hz, 7.1 Hz), 4.51 (dd, 1H, J= 7.3 Hz, 7.0 Hz), 6.25 (dd, 1H, J= 16 Hz, 7.0 Hz), 6.69 (d, 1H, J= 16 Hz), 7.07 (d, 2H, J= 7.7 Hz), 7.17-7.41 (m, 8H); detectable peaks of Syn isomer 1.38 (d, 3H, J= 7.3 Hz), 2.92-3.02 (m, 1H), 4.69 (ddd, 1H, J= 7.7, 4.6, 1.3 Hz), 6.29 (dd, 1H, J= 16, 6.2 Hz), 6.71 (d, 1H, J= 16 Hz). 13C NMR (CDCl3) Anti isomer δ 14.0, 45.9, 74.8, 121.5, 125.9, 126.6, 128.0, 128.6, 128.9, 129.4, 132.6, 136.2, 150.5, 173.9; detectable peaks of Syn isomer δ 11.7, 45.4, 73.3, 121.4, 126.6, 127.9, 128.4, 129.5, 132.0, 136.3, 150.4, 173.7. HPLC; Daicel Chiralcel OJ, hexane/iPrOH = 4/1, flow rate = 0.8 mL/min: Syn isomer tR = 29.3 min (major), tR = 40.3 min (minor); Anti isomer tR = 46.9 min (minor), tR = 84.6 min (major).
【実施例13】
【0037】
<(E)-3-ヒドロキシ-2-メチル-4-ヘキセン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりに(E)−クロトンアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率90%、syn/anti=14/86、99% ee (anti))の化学構造を式XXに示す。
【化20】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.28 (d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.74 (dd, J = 6.4, 1.5 Hz), 2.79 (dq, 1H, J = 7.6, 7.3 Hz), 4.28 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 5.53 (ddq, 1H, J = 15.4, 7.6, 1.7 Hz), 5.79 (dq, 1H, J = 15.4, 6.3 Hz), 7.08 (m, 2H), 7.22 (m, 1H), 7.37 (m, 2H); detectable peaks of Syn isomer 1.33 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 2.85 (dq, 1H, J = 7.3, 2.2 Hz), 4.42 (dd, 1H, J= 5.9, 5.9 Hz), 5.60 (ddq, 1H, J= 15, 6.8, 1.5 Hz). 13C NMR (CDCl3); Anti isomer δ 13.9, 17.7, 45.8, 74.9, 121.5, 125.9, 129.4, 129.5, 130.8, 150.5, 174.2; detectable peaks of Syn isomer δ 11.9, 45.4, 73.5, 121.4, 125.9, 128.9, 130.2, 173.7. HPLC (after acetylation); Daicel Chiralcel OJ, hexane/iPrOH = 9/1, flow rate = 0.5 mL/min: Syn isomer tR = 33.1 min (minor), tR = 38.0 min (major); Anti isomer tR = 15.0 min (minor), tR = 16.3 min (major).
【実施例14】
【0038】
<3-ヒドロキシ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸フェニルの合成> イソ酪酸メチル由来のケテンシリルアセタールの代わりにプロピオン酸フェニル由来のケテンシリルアセタールを使用し、ベンズアルデヒドの代わりに3−フェニルプロピオンアルデヒドを加えたこと以外は実施例2とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率63%、syn/anti=18/82、80% ee (anti))の化学構造を式XXIに示す。
【化21】

1H NMR (CDCl3) Anti isomer δ 1.34 (d, 3H, J= 7.1 Hz), 1.81-1.98 (m, 2H), 2.45-2.91 (m, 4H), 3.81 (m, 1H), 7.05 (d, 2H, J= 7.5 Hz), 7.10-7.39 (m, 8H); detectable peaks of Syn isomer 4.05 (m, 1H). 13C NMR (CDCl3) Anti isomer δ 14.1, 31.8, 36.4, 45.6, 72.6, 121.4, 121.4, 125.9, 125.9, 128.4, 129.4, 141.7, 150.4, 174.4. Detectable peaks of Syn isomer δ 10.8, 32.2, 35.7, 71.0, 129.5, 141.6, 174.5. HPLC; Daicel Chiralcel OJ, hexane/iPrOH = 4/1, flow rate = 0.5 mL/min: Syn isomer tR = 24.9 min (major), tR = 38.2 min (minor); Anti isomer tR = 34.3 min (minor), tR = 61.2 min (major).
【実施例15】
【0039】
<(R)-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> アルゴン雰囲気下、上記粉末ジルコニウム触媒(0.04 mmol)とトルエン(0.5 mL)の懸濁液に対してノルマルプロパノール(0.20 mmol)のトルエン溶液(0.8 mL)を加え、室温にて30分間撹拌した後、-78℃まで冷却した。これにベンズアルデヒド(0.40 mmol)のtert-ブチルメチルエーテル(0.35 mL)溶液と、Danishefskyジエン(0.48 mmol)のtert-ブチルメチルエーテル(0.35 mL)溶液とを順次滴下し、その後-20℃まで昇温し、18時間撹拌した。飽和重曹水(10 mL)により反応を停止し、ジクロロメタン(10 mL)で3回抽出し、各有機層を混合して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮した。濃縮残渣にジクロロメタン(8 mL)を注入し、氷冷した後、トリフルオロ酢酸(0.5 mL)を注入し、同温にて1時間撹拌した。飽和重曹水で反応を停止し、ジクロロメタン(10 mL×2)で抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物を薄層クロマトグラフィー(ベンゼン:酢酸エチル=15:1)により精製し、無色透明の液体である目的物を得た(式XXII;収率96%、95% ee)。
【化22】

1H NMR (CDCl3) δ 2.66 (dd, 1H, J = 17, 3.5 Hz), 2.90 (dd, 1H, J = 17, 14 Hz), 5.42 (dd, 1H, J = 15, 3.7 Hz), 5.52 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.3-7.4 (m, 5H), 7.48 (d, 1H, J = 6.0 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 43.3, 81.0, 107.3, 126.0, 128.8, 128.9, 137.8, 163.1, 192.1. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 40/1, flow rate = 1.0 mL/min : tR = 24.0 min (S), tR = 29.4 min (R).
【実施例16】
【0040】
<2-(4-クロロ)-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> ベンズアルデヒドの代わりにp−クロロベンズアルデヒドを加えたこと以外は実施例15とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率90%、81% ee)の化学構造を式XXIIIに示す。
【化23】

1H NMR (CDCl3) δ 2.64 (dd, 1H, J = 17, 3.7 Hz), 2.85 (dd, 1H, J = 17, 14 Hz), 5.41 (dd, 1H, J = 14, 3.5 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 6.1 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.39 (d, 2H, 8.7 Hz), 7.47 (d, 1H, J = 6.1 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 43.3, 80.2, 107.5, 127.4, 129.0, 134.7, 136.3, 162.9, 191.6. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 40/1, flow rate = 1.0 mL/min : tR = 27.6 min (minor), tR = 35.2 min (major).
【実施例17】
【0041】
<2-(4-トルイル)-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> ベンズアルデヒドの代わりにp-メチルベンズアルデヒドを加えたこと以外は実施例15とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率92%、91% ee)の化学構造を式XXIVに示す。
【化24】

1H NMR (CDCl3) δ 2.28 (s, 3H), 2.53 (dd, 1H, J = 17, 3.5 Hz), 2.81 (dd, 1H, J = 17, 15 Hz), 5.29 (dd, 1H, J = 14, 3.3 Hz), 5.43 (dd, 1H, J = 6.1, 1.3 Hz), 7.1-7.3 (m, 4H), 7.37 (d, 1H, J = 6.1 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 21.2, 43.3, 81.0, 107.3, 126.1, 129.5, 134.8, 138.9, 163.2, 192.3. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 40/1, flow rate = 1.0 mL/min : tR = 21.3 min (minor), tR = 25.5 min (major).
【実施例18】
【0042】
<(R)-2-スチリル-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> ベンズアルデヒドの代わりに桂皮アルデヒドを加え、トリフルオロ酢酸の代わりにスカンジウムトリフラート(0.04 mmol)を用いて室温下、12時間撹拌したこと以外は実施例15とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率92%、88% ee)の化学構造を式XXVに示す。
【化25】

1H NMR (CDCl3) δ 2.62 (dd, 1H, J = 17, 4.1 Hz), 2.74 (dd, 1H, J = 17, 13 Hz), 5.09 (dt, 1H, J = 12, 6.6 Hz), 5.47 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 6.30 (dd, 1H, J = 16, 6.6 Hz), 6.72 (d, 1H, J = 16 Hz), 7.2-7.4 (m, 5H), 7.41 (d, 1H, J = 6.0 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 41.9, 79.7, 107.3, 1
24.9, 126.7, 128.5, 133.8, 135.6, 162.9, 191.8. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 9/1, flow rate = 1.0 mL/min : tR = 21.1 min (S), tR =47.6 min (R).
【実施例19】
【0043】
<(S)-2-フェネチル-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> ベンズアルデヒドの代わりに3-フェニルプロピオンアルデヒドを加えたこと以外は実施例15とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率94%、88% ee)の化学構造を式XXVIに示す。
【化26】

1H NMR (CDCl3) δ 1.95 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 2.42 (dd, 1H, J = 17, 3.8 Hz), 2.55 (dd, 1H, J = 17, 13 Hz), 2.80 (m, 2H), 4.39 (m, 1H), 5.40 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.1-7.3 (m, 5H), 7.38 (d, 1H, J = 6.1 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 30.9, 36.0, 41.8, 78.4, 107.1, 126.2, 128.4, 128.6, 140.6, 163.1, 192.4. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 1.0 mL/min : tR = 22.6 min (R), tR = 42.3 min (S).
【実施例20】
【0044】
<2-ペンチル-2,3-ジヒドロ-4H-ピラン-4-オンの合成> ベンズアルデヒドの代わりにn−ヘキサナールを加えたこと以外は実施例15とまったく同様にして合成反応を行った。 得られた目的物(収率93%、92% ee)の化学構造を式XXVIIに示す。
【化27】

1H NMR (CDCl3) δ 0.90 (t, 3H, J = 6.8 Hz), 1.3 - 1.5 (m, 6H), 1.66 (m, 1H), 1.81 (m, 1H), 2.4-2.5 (m, 1H), 4.4 (m, 1H), 5.4 (dd, 4H, J = 5.9, 0.7 Hz), 7.35 (d, 1H, J = 6.1 Hz). 13C NMR (CDCl3) δ 13.9, 22.4, 24.4, 31.4, 34.3, 41.8, 79.5, 106.9, 163.3, 192.7. HPLC; Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 40/1, flow rate = 0.5 mL/min : tR = 17.6 min (minor), tR = 19.1 min (major).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中で、下式(I)
【化1】

(式中のR1は、ヨウ素原子またはパーフルオロアルキル基を示し;R2は、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子またはパーフルオロアルキル基を示す)で表わされる化合物又はその鏡像体と、ジルコニウム化合物とを反応させ、該反応液に非極性溶媒を加えて生じる固体沈殿物を単離してなる保存可能な固体キラルジルコニウム触媒。
【請求項2】
請求項1に記載の固体キラルジルコニウム触媒の存在下、アルデヒド化合物とケイ素エノラートとを反応させ、又はアルデヒド化合物とダニシェフスキージエン化合物とを反応させ、アルドール反応物又は環化体化合物を合成する方法。
【請求項3】
さらに、反応の際に一級アルコール化合物及び/又は水を添加する請求項2記載のアルドール反応物又は環化体化合物の合成方法。

【公開番号】特開2008−212792(P2008−212792A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51428(P2007−51428)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】