固体光源点灯装置およびそれを用いた照明器具
【課題】スイッチングの周波数を適切に制御することにより、高輝度域でのバースト調光の分解能を確保すると共に、低輝度域でのちらつきも低減可能とした固体光源点灯装置を提供する。
【解決手段】スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換して固体光源3に電流を流す直流電源回路部1と、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段2aと、第1のスイッチング制御手段2aよりも低周波でスイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段2bを有し、固体光源3に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段2bの周波数を変化させる。
【解決手段】スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換して固体光源3に電流を流す直流電源回路部1と、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段2aと、第1のスイッチング制御手段2aよりも低周波でスイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段2bを有し、固体光源3に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段2bの周波数を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)のような固体光源を点灯させる固体光源点灯装置およびそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特表2006−511078号公報)には、低周波PWM制御と高周波PWM制御を組み合わせてLEDを調光制御するLED照明モジュール用の給電アッセンブリが開示されている。この装置は、LED照明モジュールに定電流を供給するスイッチモードコンバータを備え、スイッチモードコンバータの制御スイッチに、高周波パルスの低周波バーストからなるデュアルPWM信号が供給される。デュアルPWM信号の低周波成分を変化させることによって、LED照明モジュールを流れる平均電流を変化させることにより、LED照明モジュールから出力される光強度を変化させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−511078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、直流電源とLED照明モジュールの間に配置されたスイッチモードコンバータは連続モード(同文献のFig.12参照)で動作しており、高周波のPWM制御によりLED照明モジュールのLED電流の大きさを制御すると共に、低周波のPWM制御により、前記LED電流の持続時間を制御するものであった。また、PWM信号を生成するために、一定周波数の鋸歯状波電圧と基準電圧を比較するPWMコンパレータを用いており、高周波PWM制御並びに低周波PWM制御の周波数は、いずれも固定周波数であった。
【0005】
一方、直流電源とLED照明モジュールの間に配置されたスイッチモードコンバータを効率の高いゼロクロスモードで動作させると、図2に示すように、高周波PWM制御のパルス幅制御に応じて、高周波の発振周波数が変化する。つまり、ピーク電流が高いときには高周波の発振周波数が低くなるのに対して、ピーク電流が低いときには高周波の発振周波数が高くなる。
【0006】
仮に、ピーク電流が低いときに合わせて低周波PWM制御の周波数を高く設定すると、ピーク電流が高いときにバーストONの期間に含まれる高周波のオンパルス数が少なくなり、調光の分解能が低下する。
【0007】
逆に、ピーク電流が高いときに合わせて低周波PWM制御の周波数を低く設定すると、ピーク電流が低いときに電流の休止期間が長くなり過ぎることにより、ちらつきが目立ちやすいという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、スイッチングの周波数を適切に制御することにより、高輝度域でのバースト調光の分解能を確保すると共に、低輝度域でのちらつきも低減可能とした固体光源点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換して固体光源3に電流を流す直流電源回路部1と、前記スイッチング素子Q1を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段2aと、第1のスイッチング制御手段2aよりも低周波で前記スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段2bを有し、図2に示すように、固体光源3に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段2bの周波数を変化させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の固体光源点灯装置において、図2、図6に示すように、第1のスイッチング制御手段2aの周波数が高くなると第2のスイッチング制御手段2bの周波数を高くすることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、図8または図10に示すように、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aの周波数を略一定とすることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、図6に示すように、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aのオン時間幅を略一定とすることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aの周波数が高くなるにつれて第2のスイッチング制御手段2bの周波数を高くすると共に、固体光源3に流れる電流が所定値以上では第2のスイッチング制御手段2bの周波数は略一定とすることを特徴とする(図12、図14)。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、前記直流電源回路部1は、前記スイッチング素子Q1と直列にインダクタL1が接続され、前記インダクタL1の充放電電流あるいはそのいずれかを利用して前記固体光源3に電流を流すものであり、第1のスイッチング制御手段2aは前記インダクタ電流がゼロクロス動作またはゼロクロス動作に近い不連続動作となるように前記スイッチング素子Q1を制御することを特徴とする(図2、図15)。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、前記直流電源回路部1は、前記固体光源3に並列に接続される容量性インピーダンス(平滑コンデンサC1)を含むと共に、第2のスイッチング制御手段2bの周波数は前記固体光源3に流れる電流が連続波形となるように設定されることを特徴とする。ここで、連続波形となるとは、例えば、(最大電流−最小電流)÷平均電流で規定される電流変動率が所定値以下(例えば、1以下)となるような状況を含むものとする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、第2のスイッチング制御手段2bの低周波の制御信号を平滑化するコンデンサC8を備え、該コンデンサC8の電圧により第1のスイッチング制御手段2aの周波数を設定することを特徴とする(図14)。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の固体光源点灯装置を備えたことを特徴とする照明器具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固体光源に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段の周波数を変化させるものであるから、固体光源に流れる電流が小さい場合でも、光のちらつきが目立ちにくいように制御することができる。また、第2のスイッチング制御手段により制御可能な高周波パルスの数が少なくなり過ぎることを回避できるので、調光の分解能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1の概略構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図4】本発明の実施形態2の概略構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図6】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の概略構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施形態3の動作説明図である。
【図9】本発明の実施形態4の概略構成を示す回路図である。
【図10】本発明の実施形態4の動作説明図である。
【図11】本発明の実施形態5の回路図である。
【図12】本発明の実施形態6の回路図である。
【図13】本発明の実施形態6または7に用いるタイマー回路の内部構成を示す回 路図である。
【図14】本発明の実施形態7の回路図である。
【図15】本発明の実施形態7の動作波形図である。
【図16】本発明に用いる直流電源回路部の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の回路図である。入力直流電源Vdcには直流電源回路部1が接続されている。直流電源回路部1は、スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換してLED(もしくは有機EL素子)のような固体光源3に直流電流を供給するスイッチング電源回路であり、ここでは降圧チョッパ回路(バックコンバータ)を用いている。
【0021】
降圧チョッパ回路の構成は周知であり、入力直流電源Vdcの正極と負極の間に、固体光源3とインダクタL1とスイッチング素子Q1と電流検出部4の直列回路が接続されており、固体光源3とインダクタL1の直列回路には回生ダイオードD1が閉回路を構成するように並列接続されている。
【0022】
降圧チョッパ回路の動作も周知であり、スイッチング素子Q1がオンすると、入力直流電源Vdcの正極→固体光源3→インダクタL1→スイッチング素子Q1→電流検出部4→入力直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流が流れて、インダクタL1にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1の誘起電圧により、インダクタL1→回生ダイオードD1→固体光源3→インダクタL1の経路で漸減電流が流れて、インダクタL1のエネルギーが放出される。
【0023】
インダクタL1のエネルギー放出が完了するよりも前にスイッチング素子Q1がオンされる動作を連続モード、インダクタL1のエネルギー放出が完了したタイミングでスイッチング素子Q1がオンされる動作を臨界モード、インダクタL1のエネルギー放出が完了した後、休止期間を経てスイッチング素子Q1がオンされる動作を不連続モードと呼ぶ。本発明では、いずれのモードを用いても構わないが、電力変換効率が高いのは臨界モードである。臨界モードは、ゼロクロスモードあるいは境界モードと呼ばれることもある。
【0024】
スイッチング素子Q1は電流制御部2により高周波でオンオフされる。スイッチング素子Q1がオンのとき、スイッチング素子Q1に流れる漸増電流は、電流検出部4により検出される。電流検出部4により検出された電流検出値は、電流制御部2により設定された所定のしきい値と比較される。電流検出値が所定のしきい値に達すると、スイッチング素子Q1がオフされる。これにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は所定のしきい値に設定される。
【0025】
図2はスイッチング素子Q1のオンオフ動作によりインダクタL1に流れる電流の波形を示している。インダクタL1に流れる電流が漸増する期間については、スイッチング素子Q1に流れる電流と同じであり、インダクタL1に流れる電流が漸減する期間については、回生ダイオードD1に流れる電流と同じである。本例では、インダクタL1に流れる電流は前述の臨界モードの場合を例示しているが、連続モードまたは不連続モードであっても良い。
【0026】
図2(a)は、電流制御部2により設定された所定のしきい値Ip1が高い場合、図2(b)は所定のしきい値Ip2が低い場合、図2(c)は所定のしきい値Ip3がさらに低い場合である。電流制御部2により設定される所定のしきい値Ip1,Ip2,Ip3は、調光器5から電流制御部2に供給される調光信号に応じて設定される。
【0027】
図2(a),(b),(c)のt1,t2,t3は、電流制御部2からスイッチング素子Q1に高周波のオンオフ信号が出力されているバーストONの期間を示している。ここで、バーストONの期間とは、スイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ動作が許可されている期間のことである。バーストONの期間では、スイッチング素子Q1は付勢(活性化)されており、それ以外の期間では、スイッチング素子Q1は消勢(不活性化)されている。バーストONの期間は、調光器5から電流制御部2に供給される調光信号に応じて電流制御部2により設定される。
【0028】
図2(a)はスイッチング素子Q1のバーストONの期間t1が長い場合、図2(b)はバーストONの期間t2が短い場合、図2(c)はバーストONの期間t3がさらに短い場合である。
【0029】
バーストONの動作は、所定の周波数(例えば、数百Hz〜数kHz)で繰り返される。その繰り返しの周波数は、直流電源回路部1のスイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ周波数(数十kHz)に比べると低く設定されている。
【0030】
図2(a),(b),(c)のT1,T2,T3は、バーストONの動作が繰り返される周期を示している。T1>T2>T3であり、また、t1/T1>t2/T2>t3/T3という関係になっている。
【0031】
電流制御部2では、調光器5から供給される調光信号を読み取り、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip1〜Ip3を設定すると共に、スイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ動作が許可されるバーストONの期間t1〜t3を設定する。前者を第1のスイッチング制御手段、後者を第2のスイッチング制御手段とすると、両者を組み合わせて同時に適用可能とすることにより、広い範囲で安定した調光動作を実現することができる。
【0032】
例えば、調光比が高い(明るい)場合には、図2(a)のように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip1を高く設定すると共に、バーストONの期間の割合(t1/T1)を大きく設定する。また、調光比が低い(暗い)場合には、図2(c)のように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip3を低く設定すると共に、バーストONの期間の割合(t3/T3)を小さく設定する。このように、第1のスイッチング制御手段と第2のスイッチング制御手段を組み合わせて適用することにより、広い範囲の調光が可能となる。
【0033】
また、図2(c)に示すように、ピーク電流Ip3が低いときには、人間の目の特性により、ちらつきが目立ちやすいが、バーストONの周期T3が短くなることにより、インダクタL1の電流の休止期間(T3−t3)が短くなるので、固体光源3に流れる電流の休止期間が短くなり、ちらつきが目立ちにくくなる。
【0034】
さらに、図2(a)に示すように、ピーク電流Ip1が高いときには、バーストONの周期T1が長くなることにより、1周期中に含まれる高周波パルスの数を増やすことができ、調光の分解能を高めることができる。
【0035】
バーストONの周波数と調光器5から供給される調光信号の関係を図3に例示して説明する。図3(a)は調光比(電流)であり、固体光源3に流れる電流の平均値を示している。この例では、調光器5からの調光信号が増加するにつれて、調光比(電流)は減少するものとする。
【0036】
図3(b)〜(e)の制御例では、いずれも調光比(電流)が所定値I1以上では、第2のスイッチング制御手段の周波数(バーストONの周波数)は略一定(f1’)となるように制御している。また、調光比(電流)が所定値I1未満では、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’よりも高くなるように制御している。
【0037】
図3(b)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、固体光源3に流れる電流が減少するにつれて、連続的に、第2のスイッチング制御手段の周波数を高くするように制御している。図3(b)の制御例において、I1=100%としても良い。その場合には、固体光源3に流れる電流に応じて、常に、第2のスイッチング制御手段の周波数が変化することになる。
【0038】
図3(c)の制御例では、調光比(電流)が所定値I2未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。また、調光比(電流)がI2以上でI1未満のときには、固体光源3に流れる電流が減少するにつれて、連続的に、第2のスイッチング制御手段の周波数が高くなるように制御している。
【0039】
図3(d)、(e)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、段階的に、第2のスイッチング制御手段の周波数を高くするように制御している。図3(d)では2段階、図3(e)では3段階に変化させているが、変化させる段数は限定されるものではなく、4段階以上の任意の段数としても構わない。
【0040】
図3(d)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。
【0041】
図3(e)の制御例では、調光比(電流)が所定値I2未満では、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f3’)となるように制御している。また、調光比(電流)がI2以上でI1未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。
【0042】
なお、図1の入力直流電源Vdcは商用交流電源を整流平滑した直流電圧であっても良い。本発明の固体光源点灯装置は、家庭用やオフィス用の調光機能付きの照明器具に用いることができる。
【0043】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図2に示すような臨界モードのほか、図5に示すような不連続モードでも動作可能であり、図5に示すオン時間を設定するオン時間タイマー22と、図5に示す休止時間を設定する休止時間タイマー23と、これらに対して制御信号を与える調光制御回路21よりなる電流制御部を備えている。調光制御回路21は、調光器からの調光信号に応じてオン時間タイマー22のオン時間と、休止時間タイマー23の休止時間を指示すると共に、オン時間タイマー22の動作を低周波で間欠的に禁止するためのバーストON/OFFの制御信号をオン時間タイマー22に与えている。
【0044】
例えば、バーストON/OFFの制御信号がHighレベルのとき、オン時間タイマー22の動作は許可され、バーストON/OFFの制御信号がLowレベルのとき、オン時間タイマー22の動作は禁止され、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。
【0045】
バーストON/OFFの制御信号がHighレベルのとき、オン時間タイマー22は、休止時間タイマー23からオントリガーを受信すると、オン時間設定端子の指令電圧に応じた時間幅のパルス電圧を出力する。このパルス電圧によりスイッチング素子Q1がオンオフされる。
【0046】
オン時間タイマー22によりスイッチング素子Q1がオンされると、入力直流電源Vdcの正極→固体光源3→インダクタL1→スイッチング素子Q1→入力直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流IQ1が流れて、インダクタL1にエネルギーが蓄積される。所定のオン時間が経過して、スイッチング素子Q1がオフされると、インダクタL1→ダイオードD1→固体光源3→インダクタL1の経路で漸減電流ID1が流れて、インダクタL1のエネルギーが放出される。インダクタL1のエネルギー放出が続いている間は、インダクタL1の2次巻線n2にフライバック電圧が誘起される。インダクタL1のエネルギー放出が終了すると、2次巻線n2のフライバック電圧が消失する。これによりインダクタL1に流れる電流のゼロクロスが検出される。すると、休止時間タイマー23が計時動作を開始し、所定の休止時間の計時動作が終了すると、オン時間タイマー22に対してオントリガーを与える。
【0047】
これにより、図5に示すように、インダクタL1に流れる電流は、漸増電流IQ1が流れるオン時間→漸減電流ID1が流れる回生時間→電流が流れない休止時間を1セットとする発振周期を繰り返す。スイッチング素子Q1がオフされているオフ時間は、図5の(回生時間+休止時間)に相当する。休止時間=0のときは、図2に示すような臨界モードとなる。
【0048】
図6は本実施形態の動作説明図である。本実施形態では、調光比(電流)が所定値I1以上では、第1のスイッチング制御手段は臨界モード(図2参照)で動作し、所定値I1未満では、スイッチング素子Q1のオン幅を固定とし、不連続モード(図5参照)で動作する。
【0049】
スイッチング素子Q1のオン幅を固定とするには、調光制御回路21からオン時間タイマー22に与えられるオン時間設定用の指令電圧を固定とすれば良い。その後は、調光器からの調光信号が大きくなるにつれて、休止時間タイマー23の休止時間をゼロから徐々に増大させて行く。これにより、図5に示す発振周期が長くなるので、図6(a)に示すように、調光比(電流)がI1からI2へと小さくなるにつれて、図6(b)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数は低くなる。このため、それに応じて第2のスイッチング制御手段の周波数(つまり、バーストON/OFFの周波数)が低くなるように制御している(図6(c)参照)。
【0050】
なお、図6(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モード(図5の休止時間=0)で動作させ、図6(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数(高周波)がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数(低周波)がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0051】
(実施形態3)
図7は本発明の実施形態3の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図4の休止時間タイマー23に代えて、発振周期タイマー24を備えている。発振周期タイマー24は最短の発振周期、つまり、最高周波数を規定している。
【0052】
図7に示すように、発振周期タイマー24は、オン時間タイマー22の出力を監視しており、その立ち上がりエッジ(つまり、スイッチング素子Q1がオンされたタイミング)を検出すると、所定時間幅のパルス電圧を発生させる。このパルス電圧はダイオードD4を介してオン時間タイマー22の立下りトリガー端子に入力されている。また、同端子には、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧がダイオードD3を介して入力されている。ダイオードD3とD4はOR回路を構成しており、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングまたは発振周期タイマー24からのパルス電圧が立ち下がるタイミングのうち、いずれか遅い方のタイミングでオン時間タイマー22がトリガーされるようになっている。
【0053】
図8は本実施形態の動作説明図である。図7の発振周期タイマー24は、図8(b)に示す第1のスイッチング制御手段の最高周波数f2の逆数に相当する時間のパルス電圧を発生させる。また、調光制御回路21は調光器からの調光信号が増大するにつれて、オン時間タイマー22のオン時間を短縮すると共に必要に応じてバーストON/OFFのONデューティを小さくするように制御する。
【0054】
図8(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モードで動作させ、図8(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0055】
図8(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満になると、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングよりも発振周期タイマー24からのパルス電圧が立ち下がるタイミングの方が遅くなる。このため、スイッチング素子Q1の発振周期は発振周期タイマー24により決定される固定値となる。これにより、図8(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満のときには、図8(b)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数は最高周波数f2に固定される。
【0056】
その後は、図5から明らかなように、(オン時間+回生時間)が最短の発振周期よりも短くなることにより、休止時間が発生するので、自動的に臨界モードから不連続モードへと移行する。その場合、スイッチング素子Q1のオン時間が短くなるにつれて、オフ時間が長くなるから、図8(a)に示すように、調光器からの調光信号が増大するにつれて、調光比(電流)は小さくなる。
【0057】
(実施形態4)
図9は本発明の実施形態4の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図4の休止時間タイマー23に代えて、オフ時間タイマー25を備えている。オフ時間タイマー25は最短のオフ時間を規定している。
【0058】
図9に示すように、オフ時間タイマー25は、オン時間タイマー22の出力を監視しており、その立ち下がりエッジ(つまり、スイッチング素子Q1がオフされたタイミング)を検出すると、所定時間のパルス電圧を発生させる。このパルス電圧はダイオードD4を介してオン時間タイマー22の立下りトリガー端子に入力されている。また、同端子には、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧がダイオードD3を介して入力されている。ダイオードD3とD4はOR回路を構成しており、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングまたはオフ時間タイマー25からのパルス電圧が立ち下がるタイミングのうち、いずれか遅い方のタイミングでオン時間タイマー22がトリガーされるようになっている。
【0059】
図10は本実施形態の動作説明図である。図9のオフ時間タイマー25は、図10(b)に示す第1のスイッチング制御手段の周波数がf2に達したときの回生時間(図5参照)に相当する時間のパルス電圧を発生させる。また、調光制御回路21は調光器からの調光信号が増大するにつれて、オン時間タイマー22のオン時間を短縮すると共に必要に応じてバーストON/OFFのONデューティを小さくするように制御する。
【0060】
図10(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モードで動作させ、図10(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0061】
図10(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満になると、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングよりもオフ時間タイマー25からのパルス電圧が立ち下がるタイミングの方が遅くなる。このため、スイッチング素子Q1のオフ時間はオフ時間タイマー25により決定される固定値となる。
【0062】
これにより、図10(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満のときには、第1のスイッチング制御手段の周波数は略一定(≒f2)となるが、図5から明らかなように、たとえオフ時間が一定であっても、スイッチング素子Q1のオン時間が短くなるにつれて、その分だけは発振周期が短くなるから、図10(b)に示すように、調光器からの調光信号が増大するにつれて、第1のスイッチング制御手段の周波数は少しずつ高くなる。このため、それに応じて第2のスイッチング制御手段の周波数(つまり、バーストON/OFFの周波数)が少しずつ高くなるように制御している(図10(c)参照)。
【0063】
なお、回生時間が最短のオフ時間よりも短くなると、図5から明らかなように、休止時間が発生するので、自動的に臨界モードから不連続モードへと移行する。
【0064】
(実施形態5)
図11は本発明の実施形態5の回路図である。本実施形態では、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を所定のしきい値Ip1〜Ip3に制御する動作と、上述の臨界モードの制御を実現するために、汎用の力率改善制御用の集積回路20を用いている。
【0065】
この種の力率改善制御用の集積回路として、従来からSTマイクロエレクトロニクス社製のL6562が知られているが、本実施形態では、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1のバーストONの期間t1〜t3を外部信号により設定可能とするために、力率改善制御(PFC)の可否を外部信号により選択できる集積回路として、STマイクロエレクトロニクス社製のL6564を採用している。
【0066】
L6564は、従来の8ピンのL6562に対してPFC−OK端子(6番ピン)とVFF端子(5番ピン)を追加したものであり、その他のピン配置はL6562のピン配置を踏襲している。
【0067】
以下、L6564の各端子の機能について簡単に説明しながら、図11の回路構成について説明する。
【0068】
10番ピンは電源端子であり、制御電源電圧Vccに接続されている。8番ピンはグランド端子であり、入力直流電源Vdcの負極(回路グランド)に接続されている。
【0069】
9番ピンはゲートドライブ端子であり、MOSFETよりなるスイッチング素子Q1のゲート電極に接続されている。
【0070】
7番ピンはゼロクロス検出端子であり、インダクタL1の2次巻線n2の一端に抵抗R2を介して接続されている。2次巻線n2の他端は接地されている。
【0071】
6番ピンはL6562に対して追加されたPFC−OK端子であり、このピンの電圧が0.23V未満になると、ICはシャットダウンされる。ICをリスタートさせるには、この6番ピンを0.27Vよりも高く設定しなければならない。これにより、6番ピンをリモートon/off制御入力として用いることができる。
【0072】
5番ピンはフィードフォワード端子であり、本実施形態では使用しないので、抵抗R3を介して回路グランドに接続してある。
【0073】
4番ピンは電流検出端子であり、MOSFETよりなるスイッチング素子Q1のソース電極と回路グランドの間に挿入された電流検出抵抗R1の電圧を抵抗R4を介して入力されている。また、調光用のバイアス電圧を抵抗R9を介して入力されている。
【0074】
3番ピンはICに内蔵された乗算器の入力であり、本実施形態では、制御電源電圧Vccを抵抗R6,R7により分圧した所定の電圧に設定している。
【0075】
1番ピンはICに内蔵されたエラーアンプの反転入力端子、2番ピンはそのエラーアンプの出力端子である。1番ピンと2番ピンの間にエラーアンプの帰還インピーダンスとして、抵抗R8とコンデンサC3の並列回路を接続してある。また、1番ピンには抵抗R10,R11によりコンデンサC2の電圧を分圧した負帰還用の電圧信号が入力されている。コンデンサC2には、インダクタL1の2次巻線n2の誘起電圧が抵抗R12とダイオードD2を介して充電されている。コンデンサC2の電圧が増大するとスイッチング素子Q1のオンパルス幅は狭くなる方向に制御される。
【0076】
スイッチング素子Q1がオンのとき、電流検出抵抗R1に流れる電流が増加すると、4番ピンの検出電圧が上昇する。4番ピンの電圧が所定のしきい値に達すると、スイッチング素子Q1はオフされる。その後、インダクタL1のエネルギーがダイオードD1を介して放出されている期間は、インダクタL1の2次巻線n2に電圧が誘起される。ダイオードD1を介する回生電流が流れ終わると、2次巻線n2の誘起電圧が消失し、7番ピンの電圧が立ち下がる。この7番ピンの電圧の立ち下がりを検出して、スイッチング素子Q1が再びオンされる。
【0077】
4番ピンには、抵抗R9を介してコンデンサC4のDC電圧が重畳されている。このコンデンサC4は、抵抗R5を介して調光制御回路21の出力信号により充放電されている。調光制御回路21の出力信号は、例えば、矩形波電圧信号であり、そのHighレベルとLowレベルの期間の割合に応じてコンデンサC4に充電されるDC電圧が変化する。つまり、コンデンサC4と抵抗R5はCRフィルタ回路(積分回路)を構成している。
【0078】
コンデンサC4に充電されるDC電圧が高いとき、4番ピンの電圧は高くなるから、スイッチング素子Q1に流れる電流が見掛け上、大きくなったように検出されることになり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は、図2(c)に示すように低くなる。
【0079】
コンデンサC4に充電されるDC電圧が低いとき、4番ピンの電圧は低くなるから、スイッチング素子Q1に流れる電流は見掛け上、小さくなったように検出されることになり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は、図2(a)に示すように高くなる。
【0080】
このように、調光制御回路21から出力される矩形波電圧信号のHighレベルとLowレベルの期間の割合(オンオフDuty)に応じて、コンデンサC4に充電されるDC電圧の大きさを調整することにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を調整することができる。
【0081】
調光制御回路21は、例えば、調光用のマイコンで構成されていても良い。その場合、出力端子aとして、矩形波電圧信号を出力する2値出力ポートの1つを割り当てれば良い。
【0082】
また、出力端子aとして、2値出力ポートに代えて、D/A変換出力ポートを有するマイコンを用いた場合には、抵抗R5とコンデンサC4よりなるCRフィルタ回路は省略することも可能である。その場合でも、CRフィルタ回路を省略せずに、D/A変換出力ポートからアナログの出力電圧をCRフィルタ回路に入力し、1階調を隔てて隣接するDC電圧を所定のDutyで切り替えるように制御すれば、D/A変換の本来の階調よりも多階調のDC電圧を生成できる。また、2値出力ポートを用いる場合に比べると、抵抗R5とコンデンサC4の時定数が小さくても、コンデンサC4に充電されるDC電圧のリップルを小さくすることが出来るから、制御の応答性も良くなる。
【0083】
次に、図2(a)〜(c)に示したバーストONの期間t1〜t3を指定するための出力端子bとしては、マイコンの他の2値出力ポートを割り当てれば良く、バーストONの期間にHighレベル(>0.27V)、それ以外に期間にLowレベル(<0.23V)となる矩形波電圧信号を出力すれば良い。
【0084】
調光器5から調光制御回路21に入力される調光信号のDuty(%)は、0%〜100%の間で変化し、5%未満では全点灯、95%以上では消灯となる。このような調光信号は、インバータ式の蛍光灯点灯装置の分野において広く普及しており、一般的には、周波数が1kHz、振幅が10Vの矩形波電圧信号が用いられる。
【0085】
調光制御回路21では、調光器5から入力される調光信号のDuty(%)を読み取り、それに応じて、第1の出力端子aから出力される矩形波電圧信号のDutyと第2の出力端子bから出力される矩形波電圧信号のDutyを変化させる。調光制御回路21がマイコンで構成されている場合、調光器5から入力される調光信号のDuty(%)を読み取ったデジタル値をアドレスとしてデータテーブルを読み出して、読み出されたデータに基づいて、調光制御回路21の端子a、bから出力される矩形波電圧信号のDutyを制御すれば良い。
【0086】
ここでは、調光器5から出力される調光信号として、周波数が1kHz、振幅が10Vの矩形波電圧信号を用いる場合を想定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、DALIやDMX512などの各種の規格化された調光信号を用いても良いし、商用交流電源(50/60Hz)を位相制御した電圧を波形整形することにより、100/120HzのPWM信号を調光信号として電源線から抽出しても構わない。あるいは、調光器5は単なる可変抵抗であっても良く、DC電圧よりなる調光信号を調光制御回路21のA/D変換入力ポートに読み取らせるような構成としても構わない。
【0087】
本実施形態では、調光制御回路21のマイコンにより低周波のPWM制御を実現する例を示したが、以下の実施形態6のように、汎用のタイマー回路を用いて低周波のPWM制御を実現しても構わない。また、後述の実施形態7のように、汎用のPWM制御用ICを用いて低周波のPWM制御を実現しても構わない。
【0088】
(実施形態6)
図12は本発明の実施形態6の回路図である。本実施形態では、汎用のタイマー回路TM1、TM2とその周辺回路により第1及び第2のスイッチング制御手段を構成している。
【0089】
タイマー回路TM1、TM2は、図13に示す内部構成を有する周知のタイマーIC(いわゆる555)であり、例えば、ルネサスエレクトロニクス社(旧NECエレクトロニクス所管)のμPD5555またはそのデュアル版(μPD5556)もしくはそれらの互換品を用いれば良い。1番ピンはグランド端子、8番ピンは電源端子である。
【0090】
2番ピンはトリガー端子であり、この端子が5番ピンの電圧の半分(通常は電源電圧Vccの1/3)よりも低くなると、第1コンパレータCP1の出力により内部のフリップフロップFFがセットされて、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。
【0091】
4番ピンはリセット端子であり、この端子がLowレベルになると、動作停止状態となり、3番ピン(出力端子)はLowレベルに固定される。第2のタイマー回路TM2では、4番ピンがHighレベルに固定されていることにより、常に動作可能となっている。第1のタイマー回路TM1では、4番ピンが第2のタイマー回路TM2の3番ピン(出力端子)に接続されており、Highレベルのときは動作が許可され、Lowレベルのときは動作が禁止される。
【0092】
5番ピンは制御端子であり、図13に示す内部のブリーダ抵抗(3個の抵抗Rの直列回路)により通常は電源電圧Vccの2/3となる基準電圧が印加されている。第1のタイマー回路TM1では、5番ピンの基準電圧がコンデンサC5により安定化されている。第2のタイマー回路TM2では、5番ピンの基準電圧はトランジスタTr5により電源電圧Vccの2/3よりも低くなる方向に制御可能となっている。
【0093】
6番ピンはスレショルド端子であり、この端子が5番ピンの電圧(通常は電源電圧Vccの2/3)よりも高くなると、第2コンパレータCP2の出力により内部のフリップフロップFFがリセットされて、3番ピン(出力端子)がLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は内部のトランジスタTrにより1番ピンと短絡された状態となる。
【0094】
第1のタイマー回路TM1は、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフ制御する第1のスイッチング制御手段を構成している。スイッチング素子Q1のオン時間は、抵抗R14とコンデンサC6によるオン時間タイマーにより規定され、抵抗R15を介して重畳される調光電圧Vdimに応じてオン時間を可変とされている。また、スイッチング素子Q1のオフ時間は、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が消失するまでの時間により規定される。なお、スイッチング素子Q1のオフ時間は、抵抗rとコンデンサC6によるオフ時間タイマーにより最短値を制限しても良い。
【0095】
まず、スイッチング素子Q1のオン時間タイマーについて説明する。本実施形態では、図11の電流検出抵抗R1を省略し、代わりに、インダクタL1に3次巻線n3を設けて、そのフォワード側の出力電圧を時間積分することにより、等価的にスイッチング素子Q1に流れる電流をコンデンサC6の電圧として検出している。
【0096】
以下、その原理について説明する。スイッチング素子Q1がオンのとき、インダクタL1に印加される電圧をe1、スイッチング素子Q1に流れる電流をiとすると、e1=L1・(di/dt)となる。このとき、3次巻線n3に生じる電圧は、インダクタL1の1次巻線の巻数をn1とすると、e3=(n3/n1)e1となる。これを時間tにより積分すると、∫(e3)dt=(n3/n1)L1・i+Cとなる。ここで、Cは積分定数であるが、図2のような臨界モードまたは図5のような不連続モードであれば、スイッチング素子Q1に流れる電流iの初期値はゼロであるから、積分定数C=0となる。したがって、3次巻線n3に生じるフォワード側の電圧を時間積分すると、スイッチング素子Q1に流れる電流iを読み取ることができる。
【0097】
時間積分はミラー積分器を用いれば正確に求めることができるが、ここでは簡略化のために、抵抗R14とコンデンサC6よりなるCR積分回路により時間積分している。ダイオードD5は3次巻線n3に生じるフォワード側の電圧だけを積分するために設けている。
【0098】
スイッチング素子Q1がオンされると、直流電源Vdcの正極→コンデンサC1→インダクタL1→スイッチング素子Q1→直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流が流れる。このとき、インダクタL1に印加される電圧と比例する電圧e3が3次巻線n3に発生する。この電圧e3により、ダイオードD5、抵抗R14を介してコンデンサC6が充電される。このとき、タイマー回路TM1の7番ピンは開放状態であるので、低抵抗rを介する放電は生じない。また、ダイオードD4を介して高抵抗R13に流れる電流は、コンデンサC6の電圧上昇を妨げる程度のものではない。
【0099】
コンデンサC6の電圧上昇は、タイマー回路TM1の6番ピンにより検出されており、検出電圧が5番ピンの基準電圧(電源電圧Vccの2/3)を越えると、3番ピンがLowレベルとなり、スイッチング素子Q1はオフされる。このとき、7番ピンのトランジスタTrがオンとなるので、低抵抗rを介してコンデンサC6が放電されて、コンデンサC6の時間積分値はリセットされる。
【0100】
コンデンサC6の電圧は低抵抗rを介して放電されるので、比較的速やかに立ち下がる。2番ピンの電圧は6番ピンの電圧からダイオードD4の順電圧を差し引いた電圧となる。2番ピンの電圧が電源電圧Vccの1/3に降下する前に、インダクタL1の2次巻線n2のフライバック電圧が立ち上がる。2番ピンの電圧はフライバック電圧が発生している間は電源電圧Vccの1/3よりも高い状態に維持される。
【0101】
インダクタL1の回生電流が流れ終わると、2次巻線n2のフライバック電圧が消失する。すると、抵抗R13を介して2番ピンの電位は回路グランドのレベルに向けてプルダウンされる。これにより、2番ピンの第1コンパレータCP1の出力が反転し、フリップフロップFFをセットするので、3番ピンがHighレベルとなり、スイッチング素子Q1がオンとなる。また、7番ピンのトランジスタTrがオフとなるので、低抵抗rを介して回路グランドに短絡されていたコンデンサC6は、3次巻線n3からのフォワード電圧によりダイオードD5、抵抗R14を介して充電される。コンデンサC6の電圧が5番ピンの電圧に達すると、6番ピンの第2コンパレータCP2によりフリップフロップFFがリセットされて、3番ピンはLowレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオフとなる。また、7番ピンのトランジスタTrがオンとなるから、低抵抗rを介してコンデンサC6は殆ど瞬時に放電される。
【0102】
以下、同じ動作を繰り返し、第1のタイマー回路TM1の3番ピン(出力端子)からは、数十kHzの高周波パルスが繰り返し出力されることになる。高周波パルスのオン時間は、スイッチング素子Q1に流れる電流が所定のピーク値に達するまでの時間で決まり、高周波パルスのオフ時間は、インダクタL1の回生電流が流れ終わるまでの時間で決まる。したがって、インダクタL1に流れる電流は、図2に示すように、ゼロクロス動作(臨界モード)となる。
【0103】
抵抗R14と共にオン時間タイマーを構成するコンデンサC6には、他の抵抗R15を介して調光電圧Vdimが重畳されている。調光電圧Vdimが高いときは、コンデンサC6の充電速度が速くなるので、スイッチング素子Q1のオン時間は短くなる。調光電圧Vdimが低いときは、コンデンサC6の充電速度が遅くなるので、スイッチング素子Q1のオン時間は長くなる。これにより、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、図2(a)のピーク値Ip1→図2(b)のピーク値Ip2→図2(c)のピーク値Ip3のように、インダクタL1に流れる電流のピーク値を小さくするように制御することができる。調光電圧Vdimが一定であるときには、インダクタL1の3次巻線n3から帰還されるフォワード電圧に応じてオン時間幅が決まる。
【0104】
次に、第2のタイマー回路TM2は、スイッチング素子Q1の高周波のオンオフ動作を低周波で間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段を構成している。
【0105】
第2のタイマー回路TM2は、時定数設定用の抵抗R16、R17とコンデンサC7を外付けされて、無安定マルチバイブレータとして動作する。コンデンサC7の電圧は、2番ピン(トリガー端子)と6番ピン(スレショルド端子)に入力されて、内部の基準電圧と比較されている。
【0106】
電源投入初期には、コンデンサC7の電圧は2番ピン(トリガー端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧の1/2)よりも低いので、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。これにより、コンデンサC7は電源電圧Vccから抵抗R16、R17を介して充電される。
【0107】
コンデンサC7の電圧が6番ピン(スレショルド端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧)よりも高くなると、3番ピン(出力端子)はLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は1番ピンと短絡された状態となる。これにより、コンデンサC7は抵抗R17を介して放電される。
【0108】
コンデンサC7の電圧が2番ピン(トリガー端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧の1/2)よりも低くなると、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。これにより、コンデンサC7は電源電圧Vccから抵抗R16、R17を介して再び充電される。以下、同じ動作を繰り返す。
【0109】
抵抗R16、R17とコンデンサC7の時定数は、3番ピン(出力端子)の発振周波数が例えば1kHz前後の低周波となるように設定される。また、抵抗R17とコンデンサC7の接続点には、他の抵抗R18を介して調光電圧Vdimが重畳されている。
【0110】
調光電圧Vdimが高いときは、コンデンサC7の充電速度は速くなる一方、コンデンサC7の放電速度は遅くなるから、3番ピンがHighレベルである期間が短くなり、Lowレベルである期間が長くなる。反対に、調光電圧Vdimが低いときは、コンデンサC7の充電速度は遅くなる一方、コンデンサC7の放電速度は速くなるから、3番ピンがHighレベルである期間が長くなり、Lowレベルである期間が短くなる。これにより、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、低周波のPWM制御のオン・デューティ(1周期中に占めるバーストONの期間の割合)を小さくするように制御することが可能となる。
【0111】
また、調光電圧VdimがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧とトランジスタTr5のベース・エミッタ間電圧の和よりも高くなると、トランジスタTr5が導通し、5番ピンの電圧を低下させる方向に働く。調光電圧Vdimが高くなるにつれて、5番ピンの電圧は低下して行くから、タイマー回路TM2の発振周波数は高くなる。これにより、調光が深くなるにつれて、図2(a)の周期T1→図2(b)の周期T2→図2(c)の周期T3のように、低周波のPWM制御の周期は短くなる。
【0112】
以上の動作により、図2(a)のt1/T1→図2(b)のt2/T2→図2(c)のt3/T3のように、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、バーストONのデューティは小さくなり、ピーク電流の制御と相俟って広い範囲の調光が可能となる。
【0113】
また、図2(c)に示すように、ピーク電流Ip3が低いときには、バーストONの周期T3が短くなることにより、インダクタL1の電流の休止期間(T3−t3)が短くなるので、平滑コンデンサC1の容量が小さくても、固体光源3に流れる電流のリップルを低減でき、ちらつきが目立ちにくくなる。
【0114】
さらに、図2(a)に示すように、ピーク電流Ip1が高いときには、バーストONの周期T1が長くなることにより、1周期中に含まれる高周波パルスの数を増やすことができ、調光の分解能を高めることができる。
【0115】
本実施形態では、図11の回路に比べると、電流検出抵抗R1が省略されているので、その電力損失を節減できるという利点がある。また、電源変動や負荷変動があった場合でも、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタL1に印加される電圧が変動することで、その3次巻線n3の電圧e3も変動し、コンデンサC6の電圧の上昇速度の変化として検出することが可能であり、電流検出抵抗R1の機能を実質的に代替できる。
【0116】
(実施形態7)
図14は本発明の実施形態7の回路図である。本実施形態では、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフさせる高周波発振回路を汎用のタイマー回路TMで構成している。また、その高周波の発振動作を低周波で間欠的に停止させる制御と、高周波のオン時間幅とオフ時間幅の制御を、PWM制御回路IC1により実施している。PWM制御回路IC1は、タイマー回路TMの動作を許可するときには、タイマー回路TMの4番ピンをHighレベルに設定する。
【0117】
タイマー回路TMとしては、図13に示す汎用のタイマーIC(いわゆる555)を用いることができる。タイマー回路TMは無安定マルチバイブレータとして動作し、2番ピンが5番ピンの電圧の半分よりも低くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピンがHighレベルとなり、7番ピンが開放状態となるので、コンデンサC9は充電抵抗RcとダイオードD6を介して充電される。6番ピンに印加されるコンデンサC9の充電電圧が5番ピンの電圧よりも高くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピン(出力端子)がLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は1番ピンと短絡された状態となる。これによりコンデンサC9は放電抵抗Rdを介して放電されて、電圧が降下して行く。2番ピンに印加されるコンデンサC9の充電電圧が5番ピンの電圧の半分よりも低くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピンがHighレベルとなり、7番ピンが開放状態となるので、コンデンサC9は充電抵抗RcとダイオードD6を介して充電される。以下、同じ動作を繰り返す。
【0118】
このように、タイマー回路TMは一般的な無安定マルチバイブレータとして動作するものであり、スイッチング素子Q1のオン時間幅は充電抵抗RcとコンデンサC9の時定数と5番ピンの電圧により決まる可変幅となる。また、スイッチング素子Q1のオフ時間幅は放電抵抗RdとコンデンサC9の時定数と5番ピンの電圧により決まる可変幅となる。したがって、スイッチング素子Q1は、タイマー回路TMの5番ピンの電圧に応じたオン時間幅とオフ時間幅で駆動される。5番ピンの電圧が低下すると、発振用のコンデンサC9の電圧の変化幅が小さくなるので、オン時間幅もオフ時間幅も共に短くなるが、抵抗Rcを介する充電電流は増加するのに対して、抵抗Rdを介する放電電流は減少するから、オン時間幅の短縮率の方がオフ時間幅の短縮率よりも大きくなる。
【0119】
これは負荷電圧が略一定である発光ダイオードの駆動には好都合なことであり、5番ピンの電圧が最大のときに、図15(a)に示すように、インダクタL1に流れる電流が臨界モードに近い不連続モードとなるように、オン時間幅とオフ時間幅の比率を設計しておけば、5番ピンの電圧が変化しても、常に不連続モードで動作させることができる。具体的には、「オン時間幅×(電源電圧−負荷電圧)≒オフ時間幅×負荷電圧」となる臨界条件よりも僅かにオン時間幅が短くなるように、抵抗Rc、RdとコンデンサC9の値を設計しておけば良い。
【0120】
このように設計した場合、5番ピンの電圧が低下すると、図15(b)のように、スイッチング素子Q1のオン時間幅、オフ時間幅は共に短縮するが、オン時間幅の短縮率の方がオフ時間幅の短縮率よりも大きくなるので、インダクタL1に流れる電流の休止期間は増大して行くことになる。
【0121】
したがって、PWM制御回路IC1によりタイマー回路TMの5番ピンの電圧を低下させることにより、図15(b)のように、インダクタL1に流れる電流のピークを減少させると共に、電流の休止期間も長くすることができるから、バーストONの期間にインダクタL1に流れる平均電流を減少させることができる。
【0122】
この制御と組み合わせて、PWM制御回路IC1によりタイマー回路TMの4番ピンを低周波(例えば1kHz)でHigh/Lowに切り替えて、バーストONの期間を可変とすることにより、高い平均電流を長い時間にわたり流す状態から、低い平均電流を短い時間にわたり流す状態まで制御することで、広い範囲で安定した調光を実現することができる。
【0123】
PWM制御回路IC1としては、例えば、テキサスインスツルメンツ社のTL494もしくはその同等品を用いることができる。このICは、のこぎり波発振器OSCとコンパレータCPとエラーアンプEA1,EA2、出力トランジスタTr1,Tr2、基準電圧源などを内蔵しており、5番、6番ピンに外付けされたコンデンサCtと抵抗Rtで決まる周波数で発振し、3番ピンの電圧に応じたパルス幅でPWM信号を生成できる。発振周波数は、例えば1kHzのような低周波とすることも可能である。4番ピンはデッドタイム設定端子であり、本実施形態ではグランドに接続している。
【0124】
PWM制御回路IC1の発振周波数を規定する外付けの抵抗Rtには、本実施形態の特徴となる抵抗R20とトランジスタTr5の直列回路が並列接続されている。調光電圧VdimがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧とトランジスタTr5のベース・エミッタ間電圧の和よりも高くなると、トランジスタTr5が導通し、実質的に抵抗Rtの抵抗値を低下させたのと同じ動作となる。これにより、PWM制御回路IC1の発振周波数は調光電圧Vdimが上昇するにつれて高くなる。
【0125】
ツェナーダイオードZD1を省略すると、調光電圧Vdimの全範囲で低周波のPWM制御の周波数を変化させることができる。一方、ツェナーダイオードZD1を設けると、固体光源3に流れる電流が所定値以上では低周波PWM制御の周波数は一定となるように制御され、固体光源3に流れる電流が所定値未満では高周波PWM制御の周波数が高くなるにつれて、低周波PWM制御の周波数が高くなるように制御される。
【0126】
1−2番ピンに接続されたエラーアンプEA1と、15−16番ピンに接続されたエラーアンプEA2は、ダイオードOR接続されており、いずれか高い方の出力がコンパレータCPの基準電圧となる。ここでは、第2のエラーアンプEA2は使用していないので、その出力が最低電位となるように、15−16番ピンの電位を設定しておく。
【0127】
13番ピンはシングルエンド動作とプッシュプル動作を選択するための端子であり、本実施形態ではグランドに接続することにより、シングルエンド動作となっている。この場合、内部のロジック回路によりトランジスタTr1とTr2の動作は同じとなる。
【0128】
11−10番ピンのトランジスタTr2がオンのとき、タイマー回路TMの4番ピンはLowレベルとなるから、その高周波発振動作は停止し、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。また、トランジスタTr2がオフのとき、タイマー回路TMの4番ピンは抵抗R23により制御電源電圧Vccの電位にプルアップされて、タイマー回路TMの高周波発振動作が開始する。
【0129】
8−9番ピンのトランジスタTr1がオンのとき、抵抗R24を介してコンデンサC8の電荷が放電される。また、トランジスタTr1がオフのとき、コンデンサC8はタイマー回路TMに内蔵されたブリーダ抵抗の分圧出力により充電される。トランジスタTr1が低周波でオン/オフすることにより、その1周期中のオン期間の比率が増加するほど、コンデンサC8の電圧は低下する。これにより、スイッチング素子Q1のオン時間幅は短くなる。
【0130】
トランジスタTr1、Tr2の1周期中のオン期間の比率は、出力検出回路6の検出出力を受けてフィードバック制御されているので、結果的に、スイッチング素子Q1のバーストONの期間と共に、スイッチング素子Q1のオン時間幅もフィードバック制御されることになる。
【0131】
フィードバック制御回路は、エラーアンプEA1と外付けのCR回路により構成されている。エラーアンプEA1の反転入力端子と出力端子の間には、抵抗R25、R26とコンデンサC10よりなる帰還インピーダンスが接続されている。エラーアンプEA1の非反転入力端子には、14番ピンの基準電圧Vrefを抵抗R21、R22により分圧した一定電圧が印加されている。エラーアンプEA1の出力端子の電圧は、エラーアンプEA1の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧と一致するように変化する。エラーアンプEA1の反転入力端子には、第1の入力抵抗R27を介して出力検出回路6の検出電圧Vdetが入力されると共に、第2の入力抵抗R28を介して調光電圧Vdimが入力されている。
【0132】
調光電圧Vdimが増加すると、エラーアンプEA1の出力電圧は低下し、トランジスタTr1、Tr2のオン期間が長くなるので、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が長くなる。また、タイマー回路TMの5番ピンの基準電圧が低下するので、スイッチング素子Q1のオン時間幅は短くなる。逆に、調光電圧Vdimが減少すると、エラーアンプEA1の出力電圧は上昇し、トランジスタTr1、Tr2のオン期間が短くなるので、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が短くなる。また、タイマー回路TMの5番ピンの基準電圧が上昇するので、スイッチング素子Q1のオン時間幅は長くなる。
【0133】
また、調光電圧Vdimが一定であるときに、検出電圧Vdetが変動した場合にも、上記と同様の動作により、出力変動を抑制するようにフィードバック制御が掛かることになる。つまり、検出電圧Vdetが増加すると、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が長くなると共に、スイッチング素子Q1の高周波のオン時間幅が短くなる。逆に、検出電圧Vdetが減少すると、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が短くなると共に、スイッチング素子Q1の高周波のオン時間幅が長くなる。これにより、出力変動を抑制するようにフィードバック制御が掛かり、調光電圧Vdimの大きさに対して、相応の検出電圧Vdetとなるように制御される。
【0134】
次に、出力検出回路6について説明する。固体光源3には電流検出抵抗R31が直列接続されると共に、分圧抵抗R32、R34とツェナーダイオードZD2の直列回路よりなるバイパス回路が並列接続されている。このバイパス回路は、調光下限付近において、固体光源3に流れる点灯電流よりも大きいバイパス電流を流すように定数を設定されている。これにより、調光下限付近において、安定した調光点灯が可能となる(特開2011−65922号公報参照)。
【0135】
固体光源3に流れる点灯電流が増減すると、抵抗R31の両端電圧が増減する。また、固体光源3の印加電圧が増減すると、抵抗R32の両端電圧が増減する。したがって、固体光源3の点灯電流または印加電圧が増減すると、抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧が増減する。
【0136】
抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧からトランジスタTr3のベース・エミッタ間電圧を差し引いた電圧が抵抗R33に印加されるから、トランジスタTr3には、抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧に応じたベース電流が流れる。このベース電流に応じたコレクタ電流が抵抗R35、R36の直列回路に流れるから、検出電圧Vdetは固体光源3の点灯電流と印加電圧の両方を反映した電圧となる。
【0137】
なお、抵抗R31がゼロの場合、出力検出回路6は電圧検出回路として機能し、抵抗R32がゼロの場合、出力検出回路6は電流検出回路として機能する。また、抵抗R31、R32の値を適切に設定すると、出力検出回路6は擬似的に負荷電力を検出する回路として機能する。
【0138】
抵抗R31には固体光源3に流れる点灯電流とバイパス回路に流れるバイパス電流の和に相当する電流が流れる。したがって、固体光源3に流れる点灯電流がゼロに近い状態であっても、抵抗R31にはバイパス回路に流れるバイパス電流による電圧(嵩上げ電圧)が発生しており、トランジスタTr3が遮断状態となることはない。
【0139】
また、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧は、固体光源3が点灯可能な電圧よりも低い電圧に設定しておく。これにより、固体光源3が点灯している状態では、必ず抵抗R32に電圧が発生しており、トランジスタTr3が遮断状態となることはない。
【0140】
このように、図14の出力検出回路6では、バイパス回路に流れるバイパス電流を、出力検出用トランジスタTr3のベース・エミッタ間ダイオードを導通させておくためのバイアス電流として利用している。これにより、固体光源3の点灯電流または印加電圧が低い状態であっても、出力検出用のトランジスタTr3が遮断状態となることはなく、常に能動領域で動作するようにバイアスすることができる。
【0141】
なお、固体光源3の点灯電流と印加電圧を個別に検出し、第1のエラーアンプEA1により点灯電流に応じたフィードバック制御を実施すると共に、第2のエラーアンプEA2により印加電圧に応じたフィードバック制御を実施しても良い。前者の制御を高輝度〜中輝度域において実施し、後者の制御を低輝度域において実施すると良いことが知られている(特開2009−232623号公報参照)。
【0142】
上述の各実施形態の説明では、固体光源3として発光ダイオードを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、有機EL素子や半導体レーザー素子などであっても良い。
【0143】
スイッチング素子Q1はMOSFETを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、IGBTなどであっても良い。
【0144】
上述の各実施形態では、直流電源回路部1となる降圧チョッパ回路のスイッチング素子Q1が低電位側に配置されている回路例について説明したが、図16(a)に示すように、降圧チョッパ回路1aのスイッチング素子Q1が高電位側に配置されている場合であっても本発明を適用できることは言うまでもない。また、図16(b)〜(d)に示すような各種のスイッチング電源回路を本発明の直流電源回路部1として使用しても構わない。図16(b)は昇圧チョッパ回路1b、図16(c)はフライバックコンバータ回路1c、図16(d)は昇降圧チョッパ回路1dの例である。
【符号の説明】
【0145】
Q1 スイッチング素子
L1 インダクタ
1 直流電源回路部
2a 第1のスイッチング制御手段
2b 第2のスイッチング制御手段
3 固体光源(LED)
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)のような固体光源を点灯させる固体光源点灯装置およびそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特表2006−511078号公報)には、低周波PWM制御と高周波PWM制御を組み合わせてLEDを調光制御するLED照明モジュール用の給電アッセンブリが開示されている。この装置は、LED照明モジュールに定電流を供給するスイッチモードコンバータを備え、スイッチモードコンバータの制御スイッチに、高周波パルスの低周波バーストからなるデュアルPWM信号が供給される。デュアルPWM信号の低周波成分を変化させることによって、LED照明モジュールを流れる平均電流を変化させることにより、LED照明モジュールから出力される光強度を変化させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−511078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、直流電源とLED照明モジュールの間に配置されたスイッチモードコンバータは連続モード(同文献のFig.12参照)で動作しており、高周波のPWM制御によりLED照明モジュールのLED電流の大きさを制御すると共に、低周波のPWM制御により、前記LED電流の持続時間を制御するものであった。また、PWM信号を生成するために、一定周波数の鋸歯状波電圧と基準電圧を比較するPWMコンパレータを用いており、高周波PWM制御並びに低周波PWM制御の周波数は、いずれも固定周波数であった。
【0005】
一方、直流電源とLED照明モジュールの間に配置されたスイッチモードコンバータを効率の高いゼロクロスモードで動作させると、図2に示すように、高周波PWM制御のパルス幅制御に応じて、高周波の発振周波数が変化する。つまり、ピーク電流が高いときには高周波の発振周波数が低くなるのに対して、ピーク電流が低いときには高周波の発振周波数が高くなる。
【0006】
仮に、ピーク電流が低いときに合わせて低周波PWM制御の周波数を高く設定すると、ピーク電流が高いときにバーストONの期間に含まれる高周波のオンパルス数が少なくなり、調光の分解能が低下する。
【0007】
逆に、ピーク電流が高いときに合わせて低周波PWM制御の周波数を低く設定すると、ピーク電流が低いときに電流の休止期間が長くなり過ぎることにより、ちらつきが目立ちやすいという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、スイッチングの周波数を適切に制御することにより、高輝度域でのバースト調光の分解能を確保すると共に、低輝度域でのちらつきも低減可能とした固体光源点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換して固体光源3に電流を流す直流電源回路部1と、前記スイッチング素子Q1を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段2aと、第1のスイッチング制御手段2aよりも低周波で前記スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段2bを有し、図2に示すように、固体光源3に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段2bの周波数を変化させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の固体光源点灯装置において、図2、図6に示すように、第1のスイッチング制御手段2aの周波数が高くなると第2のスイッチング制御手段2bの周波数を高くすることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、図8または図10に示すように、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aの周波数を略一定とすることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、図6に示すように、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aのオン時間幅を略一定とすることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1または2記載の固体光源点灯装置において、固体光源3に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段2aの周波数が高くなるにつれて第2のスイッチング制御手段2bの周波数を高くすると共に、固体光源3に流れる電流が所定値以上では第2のスイッチング制御手段2bの周波数は略一定とすることを特徴とする(図12、図14)。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、前記直流電源回路部1は、前記スイッチング素子Q1と直列にインダクタL1が接続され、前記インダクタL1の充放電電流あるいはそのいずれかを利用して前記固体光源3に電流を流すものであり、第1のスイッチング制御手段2aは前記インダクタ電流がゼロクロス動作またはゼロクロス動作に近い不連続動作となるように前記スイッチング素子Q1を制御することを特徴とする(図2、図15)。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、前記直流電源回路部1は、前記固体光源3に並列に接続される容量性インピーダンス(平滑コンデンサC1)を含むと共に、第2のスイッチング制御手段2bの周波数は前記固体光源3に流れる電流が連続波形となるように設定されることを特徴とする。ここで、連続波形となるとは、例えば、(最大電流−最小電流)÷平均電流で規定される電流変動率が所定値以下(例えば、1以下)となるような状況を含むものとする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の固体光源点灯装置において、第2のスイッチング制御手段2bの低周波の制御信号を平滑化するコンデンサC8を備え、該コンデンサC8の電圧により第1のスイッチング制御手段2aの周波数を設定することを特徴とする(図14)。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の固体光源点灯装置を備えたことを特徴とする照明器具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固体光源に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段の周波数を変化させるものであるから、固体光源に流れる電流が小さい場合でも、光のちらつきが目立ちにくいように制御することができる。また、第2のスイッチング制御手段により制御可能な高周波パルスの数が少なくなり過ぎることを回避できるので、調光の分解能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1の概略構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図4】本発明の実施形態2の概略構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図6】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の概略構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施形態3の動作説明図である。
【図9】本発明の実施形態4の概略構成を示す回路図である。
【図10】本発明の実施形態4の動作説明図である。
【図11】本発明の実施形態5の回路図である。
【図12】本発明の実施形態6の回路図である。
【図13】本発明の実施形態6または7に用いるタイマー回路の内部構成を示す回 路図である。
【図14】本発明の実施形態7の回路図である。
【図15】本発明の実施形態7の動作波形図である。
【図16】本発明に用いる直流電源回路部の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の回路図である。入力直流電源Vdcには直流電源回路部1が接続されている。直流電源回路部1は、スイッチング素子Q1を用いて入力直流電源Vdcを電力変換してLED(もしくは有機EL素子)のような固体光源3に直流電流を供給するスイッチング電源回路であり、ここでは降圧チョッパ回路(バックコンバータ)を用いている。
【0021】
降圧チョッパ回路の構成は周知であり、入力直流電源Vdcの正極と負極の間に、固体光源3とインダクタL1とスイッチング素子Q1と電流検出部4の直列回路が接続されており、固体光源3とインダクタL1の直列回路には回生ダイオードD1が閉回路を構成するように並列接続されている。
【0022】
降圧チョッパ回路の動作も周知であり、スイッチング素子Q1がオンすると、入力直流電源Vdcの正極→固体光源3→インダクタL1→スイッチング素子Q1→電流検出部4→入力直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流が流れて、インダクタL1にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1の誘起電圧により、インダクタL1→回生ダイオードD1→固体光源3→インダクタL1の経路で漸減電流が流れて、インダクタL1のエネルギーが放出される。
【0023】
インダクタL1のエネルギー放出が完了するよりも前にスイッチング素子Q1がオンされる動作を連続モード、インダクタL1のエネルギー放出が完了したタイミングでスイッチング素子Q1がオンされる動作を臨界モード、インダクタL1のエネルギー放出が完了した後、休止期間を経てスイッチング素子Q1がオンされる動作を不連続モードと呼ぶ。本発明では、いずれのモードを用いても構わないが、電力変換効率が高いのは臨界モードである。臨界モードは、ゼロクロスモードあるいは境界モードと呼ばれることもある。
【0024】
スイッチング素子Q1は電流制御部2により高周波でオンオフされる。スイッチング素子Q1がオンのとき、スイッチング素子Q1に流れる漸増電流は、電流検出部4により検出される。電流検出部4により検出された電流検出値は、電流制御部2により設定された所定のしきい値と比較される。電流検出値が所定のしきい値に達すると、スイッチング素子Q1がオフされる。これにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は所定のしきい値に設定される。
【0025】
図2はスイッチング素子Q1のオンオフ動作によりインダクタL1に流れる電流の波形を示している。インダクタL1に流れる電流が漸増する期間については、スイッチング素子Q1に流れる電流と同じであり、インダクタL1に流れる電流が漸減する期間については、回生ダイオードD1に流れる電流と同じである。本例では、インダクタL1に流れる電流は前述の臨界モードの場合を例示しているが、連続モードまたは不連続モードであっても良い。
【0026】
図2(a)は、電流制御部2により設定された所定のしきい値Ip1が高い場合、図2(b)は所定のしきい値Ip2が低い場合、図2(c)は所定のしきい値Ip3がさらに低い場合である。電流制御部2により設定される所定のしきい値Ip1,Ip2,Ip3は、調光器5から電流制御部2に供給される調光信号に応じて設定される。
【0027】
図2(a),(b),(c)のt1,t2,t3は、電流制御部2からスイッチング素子Q1に高周波のオンオフ信号が出力されているバーストONの期間を示している。ここで、バーストONの期間とは、スイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ動作が許可されている期間のことである。バーストONの期間では、スイッチング素子Q1は付勢(活性化)されており、それ以外の期間では、スイッチング素子Q1は消勢(不活性化)されている。バーストONの期間は、調光器5から電流制御部2に供給される調光信号に応じて電流制御部2により設定される。
【0028】
図2(a)はスイッチング素子Q1のバーストONの期間t1が長い場合、図2(b)はバーストONの期間t2が短い場合、図2(c)はバーストONの期間t3がさらに短い場合である。
【0029】
バーストONの動作は、所定の周波数(例えば、数百Hz〜数kHz)で繰り返される。その繰り返しの周波数は、直流電源回路部1のスイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ周波数(数十kHz)に比べると低く設定されている。
【0030】
図2(a),(b),(c)のT1,T2,T3は、バーストONの動作が繰り返される周期を示している。T1>T2>T3であり、また、t1/T1>t2/T2>t3/T3という関係になっている。
【0031】
電流制御部2では、調光器5から供給される調光信号を読み取り、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip1〜Ip3を設定すると共に、スイッチング素子Q1の高周波的なオンオフ動作が許可されるバーストONの期間t1〜t3を設定する。前者を第1のスイッチング制御手段、後者を第2のスイッチング制御手段とすると、両者を組み合わせて同時に適用可能とすることにより、広い範囲で安定した調光動作を実現することができる。
【0032】
例えば、調光比が高い(明るい)場合には、図2(a)のように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip1を高く設定すると共に、バーストONの期間の割合(t1/T1)を大きく設定する。また、調光比が低い(暗い)場合には、図2(c)のように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値Ip3を低く設定すると共に、バーストONの期間の割合(t3/T3)を小さく設定する。このように、第1のスイッチング制御手段と第2のスイッチング制御手段を組み合わせて適用することにより、広い範囲の調光が可能となる。
【0033】
また、図2(c)に示すように、ピーク電流Ip3が低いときには、人間の目の特性により、ちらつきが目立ちやすいが、バーストONの周期T3が短くなることにより、インダクタL1の電流の休止期間(T3−t3)が短くなるので、固体光源3に流れる電流の休止期間が短くなり、ちらつきが目立ちにくくなる。
【0034】
さらに、図2(a)に示すように、ピーク電流Ip1が高いときには、バーストONの周期T1が長くなることにより、1周期中に含まれる高周波パルスの数を増やすことができ、調光の分解能を高めることができる。
【0035】
バーストONの周波数と調光器5から供給される調光信号の関係を図3に例示して説明する。図3(a)は調光比(電流)であり、固体光源3に流れる電流の平均値を示している。この例では、調光器5からの調光信号が増加するにつれて、調光比(電流)は減少するものとする。
【0036】
図3(b)〜(e)の制御例では、いずれも調光比(電流)が所定値I1以上では、第2のスイッチング制御手段の周波数(バーストONの周波数)は略一定(f1’)となるように制御している。また、調光比(電流)が所定値I1未満では、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’よりも高くなるように制御している。
【0037】
図3(b)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、固体光源3に流れる電流が減少するにつれて、連続的に、第2のスイッチング制御手段の周波数を高くするように制御している。図3(b)の制御例において、I1=100%としても良い。その場合には、固体光源3に流れる電流に応じて、常に、第2のスイッチング制御手段の周波数が変化することになる。
【0038】
図3(c)の制御例では、調光比(電流)が所定値I2未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。また、調光比(電流)がI2以上でI1未満のときには、固体光源3に流れる電流が減少するにつれて、連続的に、第2のスイッチング制御手段の周波数が高くなるように制御している。
【0039】
図3(d)、(e)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、段階的に、第2のスイッチング制御手段の周波数を高くするように制御している。図3(d)では2段階、図3(e)では3段階に変化させているが、変化させる段数は限定されるものではなく、4段階以上の任意の段数としても構わない。
【0040】
図3(d)の制御例では、調光比(電流)が所定値I1未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。
【0041】
図3(e)の制御例では、調光比(電流)が所定値I2未満では、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f3’)となるように制御している。また、調光比(電流)がI2以上でI1未満のときには、第2のスイッチング制御手段の周波数が略一定(f2’)となるように制御している。
【0042】
なお、図1の入力直流電源Vdcは商用交流電源を整流平滑した直流電圧であっても良い。本発明の固体光源点灯装置は、家庭用やオフィス用の調光機能付きの照明器具に用いることができる。
【0043】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図2に示すような臨界モードのほか、図5に示すような不連続モードでも動作可能であり、図5に示すオン時間を設定するオン時間タイマー22と、図5に示す休止時間を設定する休止時間タイマー23と、これらに対して制御信号を与える調光制御回路21よりなる電流制御部を備えている。調光制御回路21は、調光器からの調光信号に応じてオン時間タイマー22のオン時間と、休止時間タイマー23の休止時間を指示すると共に、オン時間タイマー22の動作を低周波で間欠的に禁止するためのバーストON/OFFの制御信号をオン時間タイマー22に与えている。
【0044】
例えば、バーストON/OFFの制御信号がHighレベルのとき、オン時間タイマー22の動作は許可され、バーストON/OFFの制御信号がLowレベルのとき、オン時間タイマー22の動作は禁止され、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。
【0045】
バーストON/OFFの制御信号がHighレベルのとき、オン時間タイマー22は、休止時間タイマー23からオントリガーを受信すると、オン時間設定端子の指令電圧に応じた時間幅のパルス電圧を出力する。このパルス電圧によりスイッチング素子Q1がオンオフされる。
【0046】
オン時間タイマー22によりスイッチング素子Q1がオンされると、入力直流電源Vdcの正極→固体光源3→インダクタL1→スイッチング素子Q1→入力直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流IQ1が流れて、インダクタL1にエネルギーが蓄積される。所定のオン時間が経過して、スイッチング素子Q1がオフされると、インダクタL1→ダイオードD1→固体光源3→インダクタL1の経路で漸減電流ID1が流れて、インダクタL1のエネルギーが放出される。インダクタL1のエネルギー放出が続いている間は、インダクタL1の2次巻線n2にフライバック電圧が誘起される。インダクタL1のエネルギー放出が終了すると、2次巻線n2のフライバック電圧が消失する。これによりインダクタL1に流れる電流のゼロクロスが検出される。すると、休止時間タイマー23が計時動作を開始し、所定の休止時間の計時動作が終了すると、オン時間タイマー22に対してオントリガーを与える。
【0047】
これにより、図5に示すように、インダクタL1に流れる電流は、漸増電流IQ1が流れるオン時間→漸減電流ID1が流れる回生時間→電流が流れない休止時間を1セットとする発振周期を繰り返す。スイッチング素子Q1がオフされているオフ時間は、図5の(回生時間+休止時間)に相当する。休止時間=0のときは、図2に示すような臨界モードとなる。
【0048】
図6は本実施形態の動作説明図である。本実施形態では、調光比(電流)が所定値I1以上では、第1のスイッチング制御手段は臨界モード(図2参照)で動作し、所定値I1未満では、スイッチング素子Q1のオン幅を固定とし、不連続モード(図5参照)で動作する。
【0049】
スイッチング素子Q1のオン幅を固定とするには、調光制御回路21からオン時間タイマー22に与えられるオン時間設定用の指令電圧を固定とすれば良い。その後は、調光器からの調光信号が大きくなるにつれて、休止時間タイマー23の休止時間をゼロから徐々に増大させて行く。これにより、図5に示す発振周期が長くなるので、図6(a)に示すように、調光比(電流)がI1からI2へと小さくなるにつれて、図6(b)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数は低くなる。このため、それに応じて第2のスイッチング制御手段の周波数(つまり、バーストON/OFFの周波数)が低くなるように制御している(図6(c)参照)。
【0050】
なお、図6(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モード(図5の休止時間=0)で動作させ、図6(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数(高周波)がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数(低周波)がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0051】
(実施形態3)
図7は本発明の実施形態3の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図4の休止時間タイマー23に代えて、発振周期タイマー24を備えている。発振周期タイマー24は最短の発振周期、つまり、最高周波数を規定している。
【0052】
図7に示すように、発振周期タイマー24は、オン時間タイマー22の出力を監視しており、その立ち上がりエッジ(つまり、スイッチング素子Q1がオンされたタイミング)を検出すると、所定時間幅のパルス電圧を発生させる。このパルス電圧はダイオードD4を介してオン時間タイマー22の立下りトリガー端子に入力されている。また、同端子には、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧がダイオードD3を介して入力されている。ダイオードD3とD4はOR回路を構成しており、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングまたは発振周期タイマー24からのパルス電圧が立ち下がるタイミングのうち、いずれか遅い方のタイミングでオン時間タイマー22がトリガーされるようになっている。
【0053】
図8は本実施形態の動作説明図である。図7の発振周期タイマー24は、図8(b)に示す第1のスイッチング制御手段の最高周波数f2の逆数に相当する時間のパルス電圧を発生させる。また、調光制御回路21は調光器からの調光信号が増大するにつれて、オン時間タイマー22のオン時間を短縮すると共に必要に応じてバーストON/OFFのONデューティを小さくするように制御する。
【0054】
図8(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モードで動作させ、図8(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0055】
図8(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満になると、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングよりも発振周期タイマー24からのパルス電圧が立ち下がるタイミングの方が遅くなる。このため、スイッチング素子Q1の発振周期は発振周期タイマー24により決定される固定値となる。これにより、図8(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満のときには、図8(b)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数は最高周波数f2に固定される。
【0056】
その後は、図5から明らかなように、(オン時間+回生時間)が最短の発振周期よりも短くなることにより、休止時間が発生するので、自動的に臨界モードから不連続モードへと移行する。その場合、スイッチング素子Q1のオン時間が短くなるにつれて、オフ時間が長くなるから、図8(a)に示すように、調光器からの調光信号が増大するにつれて、調光比(電流)は小さくなる。
【0057】
(実施形態4)
図9は本発明の実施形態4の回路図である。主回路の構成は図1と同様である。本実施形態では、図4の休止時間タイマー23に代えて、オフ時間タイマー25を備えている。オフ時間タイマー25は最短のオフ時間を規定している。
【0058】
図9に示すように、オフ時間タイマー25は、オン時間タイマー22の出力を監視しており、その立ち下がりエッジ(つまり、スイッチング素子Q1がオフされたタイミング)を検出すると、所定時間のパルス電圧を発生させる。このパルス電圧はダイオードD4を介してオン時間タイマー22の立下りトリガー端子に入力されている。また、同端子には、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧がダイオードD3を介して入力されている。ダイオードD3とD4はOR回路を構成しており、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングまたはオフ時間タイマー25からのパルス電圧が立ち下がるタイミングのうち、いずれか遅い方のタイミングでオン時間タイマー22がトリガーされるようになっている。
【0059】
図10は本実施形態の動作説明図である。図9のオフ時間タイマー25は、図10(b)に示す第1のスイッチング制御手段の周波数がf2に達したときの回生時間(図5参照)に相当する時間のパルス電圧を発生させる。また、調光制御回路21は調光器からの調光信号が増大するにつれて、オン時間タイマー22のオン時間を短縮すると共に必要に応じてバーストON/OFFのONデューティを小さくするように制御する。
【0060】
図10(a)に示す調光比(電流)が100%から所定値I1に低下するまでの動作については、図2(a)〜(c)において説明したのと同様であり、第1のスイッチング制御手段を臨界モードで動作させ、図10(b),(c)に示すように、第1のスイッチング制御手段の周波数がf1からf2へと高くなるにつれて、第2のスイッチング制御手段の周波数がf1’からf2’へと高くなるように制御する。これにより、調光比(電流)が大きいときのスイッチング損失を低減でき、効率を高めることができる。
【0061】
図10(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満になると、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が立ち下がるタイミングよりもオフ時間タイマー25からのパルス電圧が立ち下がるタイミングの方が遅くなる。このため、スイッチング素子Q1のオフ時間はオフ時間タイマー25により決定される固定値となる。
【0062】
これにより、図10(a)に示す調光比(電流)が所定値I1未満のときには、第1のスイッチング制御手段の周波数は略一定(≒f2)となるが、図5から明らかなように、たとえオフ時間が一定であっても、スイッチング素子Q1のオン時間が短くなるにつれて、その分だけは発振周期が短くなるから、図10(b)に示すように、調光器からの調光信号が増大するにつれて、第1のスイッチング制御手段の周波数は少しずつ高くなる。このため、それに応じて第2のスイッチング制御手段の周波数(つまり、バーストON/OFFの周波数)が少しずつ高くなるように制御している(図10(c)参照)。
【0063】
なお、回生時間が最短のオフ時間よりも短くなると、図5から明らかなように、休止時間が発生するので、自動的に臨界モードから不連続モードへと移行する。
【0064】
(実施形態5)
図11は本発明の実施形態5の回路図である。本実施形態では、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を所定のしきい値Ip1〜Ip3に制御する動作と、上述の臨界モードの制御を実現するために、汎用の力率改善制御用の集積回路20を用いている。
【0065】
この種の力率改善制御用の集積回路として、従来からSTマイクロエレクトロニクス社製のL6562が知られているが、本実施形態では、図2(a)〜(c)に示すように、スイッチング素子Q1のバーストONの期間t1〜t3を外部信号により設定可能とするために、力率改善制御(PFC)の可否を外部信号により選択できる集積回路として、STマイクロエレクトロニクス社製のL6564を採用している。
【0066】
L6564は、従来の8ピンのL6562に対してPFC−OK端子(6番ピン)とVFF端子(5番ピン)を追加したものであり、その他のピン配置はL6562のピン配置を踏襲している。
【0067】
以下、L6564の各端子の機能について簡単に説明しながら、図11の回路構成について説明する。
【0068】
10番ピンは電源端子であり、制御電源電圧Vccに接続されている。8番ピンはグランド端子であり、入力直流電源Vdcの負極(回路グランド)に接続されている。
【0069】
9番ピンはゲートドライブ端子であり、MOSFETよりなるスイッチング素子Q1のゲート電極に接続されている。
【0070】
7番ピンはゼロクロス検出端子であり、インダクタL1の2次巻線n2の一端に抵抗R2を介して接続されている。2次巻線n2の他端は接地されている。
【0071】
6番ピンはL6562に対して追加されたPFC−OK端子であり、このピンの電圧が0.23V未満になると、ICはシャットダウンされる。ICをリスタートさせるには、この6番ピンを0.27Vよりも高く設定しなければならない。これにより、6番ピンをリモートon/off制御入力として用いることができる。
【0072】
5番ピンはフィードフォワード端子であり、本実施形態では使用しないので、抵抗R3を介して回路グランドに接続してある。
【0073】
4番ピンは電流検出端子であり、MOSFETよりなるスイッチング素子Q1のソース電極と回路グランドの間に挿入された電流検出抵抗R1の電圧を抵抗R4を介して入力されている。また、調光用のバイアス電圧を抵抗R9を介して入力されている。
【0074】
3番ピンはICに内蔵された乗算器の入力であり、本実施形態では、制御電源電圧Vccを抵抗R6,R7により分圧した所定の電圧に設定している。
【0075】
1番ピンはICに内蔵されたエラーアンプの反転入力端子、2番ピンはそのエラーアンプの出力端子である。1番ピンと2番ピンの間にエラーアンプの帰還インピーダンスとして、抵抗R8とコンデンサC3の並列回路を接続してある。また、1番ピンには抵抗R10,R11によりコンデンサC2の電圧を分圧した負帰還用の電圧信号が入力されている。コンデンサC2には、インダクタL1の2次巻線n2の誘起電圧が抵抗R12とダイオードD2を介して充電されている。コンデンサC2の電圧が増大するとスイッチング素子Q1のオンパルス幅は狭くなる方向に制御される。
【0076】
スイッチング素子Q1がオンのとき、電流検出抵抗R1に流れる電流が増加すると、4番ピンの検出電圧が上昇する。4番ピンの電圧が所定のしきい値に達すると、スイッチング素子Q1はオフされる。その後、インダクタL1のエネルギーがダイオードD1を介して放出されている期間は、インダクタL1の2次巻線n2に電圧が誘起される。ダイオードD1を介する回生電流が流れ終わると、2次巻線n2の誘起電圧が消失し、7番ピンの電圧が立ち下がる。この7番ピンの電圧の立ち下がりを検出して、スイッチング素子Q1が再びオンされる。
【0077】
4番ピンには、抵抗R9を介してコンデンサC4のDC電圧が重畳されている。このコンデンサC4は、抵抗R5を介して調光制御回路21の出力信号により充放電されている。調光制御回路21の出力信号は、例えば、矩形波電圧信号であり、そのHighレベルとLowレベルの期間の割合に応じてコンデンサC4に充電されるDC電圧が変化する。つまり、コンデンサC4と抵抗R5はCRフィルタ回路(積分回路)を構成している。
【0078】
コンデンサC4に充電されるDC電圧が高いとき、4番ピンの電圧は高くなるから、スイッチング素子Q1に流れる電流が見掛け上、大きくなったように検出されることになり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は、図2(c)に示すように低くなる。
【0079】
コンデンサC4に充電されるDC電圧が低いとき、4番ピンの電圧は低くなるから、スイッチング素子Q1に流れる電流は見掛け上、小さくなったように検出されることになり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は、図2(a)に示すように高くなる。
【0080】
このように、調光制御回路21から出力される矩形波電圧信号のHighレベルとLowレベルの期間の割合(オンオフDuty)に応じて、コンデンサC4に充電されるDC電圧の大きさを調整することにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を調整することができる。
【0081】
調光制御回路21は、例えば、調光用のマイコンで構成されていても良い。その場合、出力端子aとして、矩形波電圧信号を出力する2値出力ポートの1つを割り当てれば良い。
【0082】
また、出力端子aとして、2値出力ポートに代えて、D/A変換出力ポートを有するマイコンを用いた場合には、抵抗R5とコンデンサC4よりなるCRフィルタ回路は省略することも可能である。その場合でも、CRフィルタ回路を省略せずに、D/A変換出力ポートからアナログの出力電圧をCRフィルタ回路に入力し、1階調を隔てて隣接するDC電圧を所定のDutyで切り替えるように制御すれば、D/A変換の本来の階調よりも多階調のDC電圧を生成できる。また、2値出力ポートを用いる場合に比べると、抵抗R5とコンデンサC4の時定数が小さくても、コンデンサC4に充電されるDC電圧のリップルを小さくすることが出来るから、制御の応答性も良くなる。
【0083】
次に、図2(a)〜(c)に示したバーストONの期間t1〜t3を指定するための出力端子bとしては、マイコンの他の2値出力ポートを割り当てれば良く、バーストONの期間にHighレベル(>0.27V)、それ以外に期間にLowレベル(<0.23V)となる矩形波電圧信号を出力すれば良い。
【0084】
調光器5から調光制御回路21に入力される調光信号のDuty(%)は、0%〜100%の間で変化し、5%未満では全点灯、95%以上では消灯となる。このような調光信号は、インバータ式の蛍光灯点灯装置の分野において広く普及しており、一般的には、周波数が1kHz、振幅が10Vの矩形波電圧信号が用いられる。
【0085】
調光制御回路21では、調光器5から入力される調光信号のDuty(%)を読み取り、それに応じて、第1の出力端子aから出力される矩形波電圧信号のDutyと第2の出力端子bから出力される矩形波電圧信号のDutyを変化させる。調光制御回路21がマイコンで構成されている場合、調光器5から入力される調光信号のDuty(%)を読み取ったデジタル値をアドレスとしてデータテーブルを読み出して、読み出されたデータに基づいて、調光制御回路21の端子a、bから出力される矩形波電圧信号のDutyを制御すれば良い。
【0086】
ここでは、調光器5から出力される調光信号として、周波数が1kHz、振幅が10Vの矩形波電圧信号を用いる場合を想定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、DALIやDMX512などの各種の規格化された調光信号を用いても良いし、商用交流電源(50/60Hz)を位相制御した電圧を波形整形することにより、100/120HzのPWM信号を調光信号として電源線から抽出しても構わない。あるいは、調光器5は単なる可変抵抗であっても良く、DC電圧よりなる調光信号を調光制御回路21のA/D変換入力ポートに読み取らせるような構成としても構わない。
【0087】
本実施形態では、調光制御回路21のマイコンにより低周波のPWM制御を実現する例を示したが、以下の実施形態6のように、汎用のタイマー回路を用いて低周波のPWM制御を実現しても構わない。また、後述の実施形態7のように、汎用のPWM制御用ICを用いて低周波のPWM制御を実現しても構わない。
【0088】
(実施形態6)
図12は本発明の実施形態6の回路図である。本実施形態では、汎用のタイマー回路TM1、TM2とその周辺回路により第1及び第2のスイッチング制御手段を構成している。
【0089】
タイマー回路TM1、TM2は、図13に示す内部構成を有する周知のタイマーIC(いわゆる555)であり、例えば、ルネサスエレクトロニクス社(旧NECエレクトロニクス所管)のμPD5555またはそのデュアル版(μPD5556)もしくはそれらの互換品を用いれば良い。1番ピンはグランド端子、8番ピンは電源端子である。
【0090】
2番ピンはトリガー端子であり、この端子が5番ピンの電圧の半分(通常は電源電圧Vccの1/3)よりも低くなると、第1コンパレータCP1の出力により内部のフリップフロップFFがセットされて、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。
【0091】
4番ピンはリセット端子であり、この端子がLowレベルになると、動作停止状態となり、3番ピン(出力端子)はLowレベルに固定される。第2のタイマー回路TM2では、4番ピンがHighレベルに固定されていることにより、常に動作可能となっている。第1のタイマー回路TM1では、4番ピンが第2のタイマー回路TM2の3番ピン(出力端子)に接続されており、Highレベルのときは動作が許可され、Lowレベルのときは動作が禁止される。
【0092】
5番ピンは制御端子であり、図13に示す内部のブリーダ抵抗(3個の抵抗Rの直列回路)により通常は電源電圧Vccの2/3となる基準電圧が印加されている。第1のタイマー回路TM1では、5番ピンの基準電圧がコンデンサC5により安定化されている。第2のタイマー回路TM2では、5番ピンの基準電圧はトランジスタTr5により電源電圧Vccの2/3よりも低くなる方向に制御可能となっている。
【0093】
6番ピンはスレショルド端子であり、この端子が5番ピンの電圧(通常は電源電圧Vccの2/3)よりも高くなると、第2コンパレータCP2の出力により内部のフリップフロップFFがリセットされて、3番ピン(出力端子)がLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は内部のトランジスタTrにより1番ピンと短絡された状態となる。
【0094】
第1のタイマー回路TM1は、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフ制御する第1のスイッチング制御手段を構成している。スイッチング素子Q1のオン時間は、抵抗R14とコンデンサC6によるオン時間タイマーにより規定され、抵抗R15を介して重畳される調光電圧Vdimに応じてオン時間を可変とされている。また、スイッチング素子Q1のオフ時間は、インダクタL1の2次巻線n2からのフライバック電圧が消失するまでの時間により規定される。なお、スイッチング素子Q1のオフ時間は、抵抗rとコンデンサC6によるオフ時間タイマーにより最短値を制限しても良い。
【0095】
まず、スイッチング素子Q1のオン時間タイマーについて説明する。本実施形態では、図11の電流検出抵抗R1を省略し、代わりに、インダクタL1に3次巻線n3を設けて、そのフォワード側の出力電圧を時間積分することにより、等価的にスイッチング素子Q1に流れる電流をコンデンサC6の電圧として検出している。
【0096】
以下、その原理について説明する。スイッチング素子Q1がオンのとき、インダクタL1に印加される電圧をe1、スイッチング素子Q1に流れる電流をiとすると、e1=L1・(di/dt)となる。このとき、3次巻線n3に生じる電圧は、インダクタL1の1次巻線の巻数をn1とすると、e3=(n3/n1)e1となる。これを時間tにより積分すると、∫(e3)dt=(n3/n1)L1・i+Cとなる。ここで、Cは積分定数であるが、図2のような臨界モードまたは図5のような不連続モードであれば、スイッチング素子Q1に流れる電流iの初期値はゼロであるから、積分定数C=0となる。したがって、3次巻線n3に生じるフォワード側の電圧を時間積分すると、スイッチング素子Q1に流れる電流iを読み取ることができる。
【0097】
時間積分はミラー積分器を用いれば正確に求めることができるが、ここでは簡略化のために、抵抗R14とコンデンサC6よりなるCR積分回路により時間積分している。ダイオードD5は3次巻線n3に生じるフォワード側の電圧だけを積分するために設けている。
【0098】
スイッチング素子Q1がオンされると、直流電源Vdcの正極→コンデンサC1→インダクタL1→スイッチング素子Q1→直流電源Vdcの負極の経路で漸増電流が流れる。このとき、インダクタL1に印加される電圧と比例する電圧e3が3次巻線n3に発生する。この電圧e3により、ダイオードD5、抵抗R14を介してコンデンサC6が充電される。このとき、タイマー回路TM1の7番ピンは開放状態であるので、低抵抗rを介する放電は生じない。また、ダイオードD4を介して高抵抗R13に流れる電流は、コンデンサC6の電圧上昇を妨げる程度のものではない。
【0099】
コンデンサC6の電圧上昇は、タイマー回路TM1の6番ピンにより検出されており、検出電圧が5番ピンの基準電圧(電源電圧Vccの2/3)を越えると、3番ピンがLowレベルとなり、スイッチング素子Q1はオフされる。このとき、7番ピンのトランジスタTrがオンとなるので、低抵抗rを介してコンデンサC6が放電されて、コンデンサC6の時間積分値はリセットされる。
【0100】
コンデンサC6の電圧は低抵抗rを介して放電されるので、比較的速やかに立ち下がる。2番ピンの電圧は6番ピンの電圧からダイオードD4の順電圧を差し引いた電圧となる。2番ピンの電圧が電源電圧Vccの1/3に降下する前に、インダクタL1の2次巻線n2のフライバック電圧が立ち上がる。2番ピンの電圧はフライバック電圧が発生している間は電源電圧Vccの1/3よりも高い状態に維持される。
【0101】
インダクタL1の回生電流が流れ終わると、2次巻線n2のフライバック電圧が消失する。すると、抵抗R13を介して2番ピンの電位は回路グランドのレベルに向けてプルダウンされる。これにより、2番ピンの第1コンパレータCP1の出力が反転し、フリップフロップFFをセットするので、3番ピンがHighレベルとなり、スイッチング素子Q1がオンとなる。また、7番ピンのトランジスタTrがオフとなるので、低抵抗rを介して回路グランドに短絡されていたコンデンサC6は、3次巻線n3からのフォワード電圧によりダイオードD5、抵抗R14を介して充電される。コンデンサC6の電圧が5番ピンの電圧に達すると、6番ピンの第2コンパレータCP2によりフリップフロップFFがリセットされて、3番ピンはLowレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオフとなる。また、7番ピンのトランジスタTrがオンとなるから、低抵抗rを介してコンデンサC6は殆ど瞬時に放電される。
【0102】
以下、同じ動作を繰り返し、第1のタイマー回路TM1の3番ピン(出力端子)からは、数十kHzの高周波パルスが繰り返し出力されることになる。高周波パルスのオン時間は、スイッチング素子Q1に流れる電流が所定のピーク値に達するまでの時間で決まり、高周波パルスのオフ時間は、インダクタL1の回生電流が流れ終わるまでの時間で決まる。したがって、インダクタL1に流れる電流は、図2に示すように、ゼロクロス動作(臨界モード)となる。
【0103】
抵抗R14と共にオン時間タイマーを構成するコンデンサC6には、他の抵抗R15を介して調光電圧Vdimが重畳されている。調光電圧Vdimが高いときは、コンデンサC6の充電速度が速くなるので、スイッチング素子Q1のオン時間は短くなる。調光電圧Vdimが低いときは、コンデンサC6の充電速度が遅くなるので、スイッチング素子Q1のオン時間は長くなる。これにより、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、図2(a)のピーク値Ip1→図2(b)のピーク値Ip2→図2(c)のピーク値Ip3のように、インダクタL1に流れる電流のピーク値を小さくするように制御することができる。調光電圧Vdimが一定であるときには、インダクタL1の3次巻線n3から帰還されるフォワード電圧に応じてオン時間幅が決まる。
【0104】
次に、第2のタイマー回路TM2は、スイッチング素子Q1の高周波のオンオフ動作を低周波で間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段を構成している。
【0105】
第2のタイマー回路TM2は、時定数設定用の抵抗R16、R17とコンデンサC7を外付けされて、無安定マルチバイブレータとして動作する。コンデンサC7の電圧は、2番ピン(トリガー端子)と6番ピン(スレショルド端子)に入力されて、内部の基準電圧と比較されている。
【0106】
電源投入初期には、コンデンサC7の電圧は2番ピン(トリガー端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧の1/2)よりも低いので、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。これにより、コンデンサC7は電源電圧Vccから抵抗R16、R17を介して充電される。
【0107】
コンデンサC7の電圧が6番ピン(スレショルド端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧)よりも高くなると、3番ピン(出力端子)はLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は1番ピンと短絡された状態となる。これにより、コンデンサC7は抵抗R17を介して放電される。
【0108】
コンデンサC7の電圧が2番ピン(トリガー端子)で比較される基準電圧(5番ピンの電圧の1/2)よりも低くなると、3番ピン(出力端子)がHighレベルとなり、7番ピン(放電端子)は開放状態となる。これにより、コンデンサC7は電源電圧Vccから抵抗R16、R17を介して再び充電される。以下、同じ動作を繰り返す。
【0109】
抵抗R16、R17とコンデンサC7の時定数は、3番ピン(出力端子)の発振周波数が例えば1kHz前後の低周波となるように設定される。また、抵抗R17とコンデンサC7の接続点には、他の抵抗R18を介して調光電圧Vdimが重畳されている。
【0110】
調光電圧Vdimが高いときは、コンデンサC7の充電速度は速くなる一方、コンデンサC7の放電速度は遅くなるから、3番ピンがHighレベルである期間が短くなり、Lowレベルである期間が長くなる。反対に、調光電圧Vdimが低いときは、コンデンサC7の充電速度は遅くなる一方、コンデンサC7の放電速度は速くなるから、3番ピンがHighレベルである期間が長くなり、Lowレベルである期間が短くなる。これにより、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、低周波のPWM制御のオン・デューティ(1周期中に占めるバーストONの期間の割合)を小さくするように制御することが可能となる。
【0111】
また、調光電圧VdimがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧とトランジスタTr5のベース・エミッタ間電圧の和よりも高くなると、トランジスタTr5が導通し、5番ピンの電圧を低下させる方向に働く。調光電圧Vdimが高くなるにつれて、5番ピンの電圧は低下して行くから、タイマー回路TM2の発振周波数は高くなる。これにより、調光が深くなるにつれて、図2(a)の周期T1→図2(b)の周期T2→図2(c)の周期T3のように、低周波のPWM制御の周期は短くなる。
【0112】
以上の動作により、図2(a)のt1/T1→図2(b)のt2/T2→図2(c)のt3/T3のように、調光電圧Vdimが高くなるにつれて、バーストONのデューティは小さくなり、ピーク電流の制御と相俟って広い範囲の調光が可能となる。
【0113】
また、図2(c)に示すように、ピーク電流Ip3が低いときには、バーストONの周期T3が短くなることにより、インダクタL1の電流の休止期間(T3−t3)が短くなるので、平滑コンデンサC1の容量が小さくても、固体光源3に流れる電流のリップルを低減でき、ちらつきが目立ちにくくなる。
【0114】
さらに、図2(a)に示すように、ピーク電流Ip1が高いときには、バーストONの周期T1が長くなることにより、1周期中に含まれる高周波パルスの数を増やすことができ、調光の分解能を高めることができる。
【0115】
本実施形態では、図11の回路に比べると、電流検出抵抗R1が省略されているので、その電力損失を節減できるという利点がある。また、電源変動や負荷変動があった場合でも、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタL1に印加される電圧が変動することで、その3次巻線n3の電圧e3も変動し、コンデンサC6の電圧の上昇速度の変化として検出することが可能であり、電流検出抵抗R1の機能を実質的に代替できる。
【0116】
(実施形態7)
図14は本発明の実施形態7の回路図である。本実施形態では、スイッチング素子Q1を高周波でオンオフさせる高周波発振回路を汎用のタイマー回路TMで構成している。また、その高周波の発振動作を低周波で間欠的に停止させる制御と、高周波のオン時間幅とオフ時間幅の制御を、PWM制御回路IC1により実施している。PWM制御回路IC1は、タイマー回路TMの動作を許可するときには、タイマー回路TMの4番ピンをHighレベルに設定する。
【0117】
タイマー回路TMとしては、図13に示す汎用のタイマーIC(いわゆる555)を用いることができる。タイマー回路TMは無安定マルチバイブレータとして動作し、2番ピンが5番ピンの電圧の半分よりも低くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピンがHighレベルとなり、7番ピンが開放状態となるので、コンデンサC9は充電抵抗RcとダイオードD6を介して充電される。6番ピンに印加されるコンデンサC9の充電電圧が5番ピンの電圧よりも高くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピン(出力端子)がLowレベルとなり、7番ピン(放電端子)は1番ピンと短絡された状態となる。これによりコンデンサC9は放電抵抗Rdを介して放電されて、電圧が降下して行く。2番ピンに印加されるコンデンサC9の充電電圧が5番ピンの電圧の半分よりも低くなると、内部のフリップフロップが反転して、3番ピンがHighレベルとなり、7番ピンが開放状態となるので、コンデンサC9は充電抵抗RcとダイオードD6を介して充電される。以下、同じ動作を繰り返す。
【0118】
このように、タイマー回路TMは一般的な無安定マルチバイブレータとして動作するものであり、スイッチング素子Q1のオン時間幅は充電抵抗RcとコンデンサC9の時定数と5番ピンの電圧により決まる可変幅となる。また、スイッチング素子Q1のオフ時間幅は放電抵抗RdとコンデンサC9の時定数と5番ピンの電圧により決まる可変幅となる。したがって、スイッチング素子Q1は、タイマー回路TMの5番ピンの電圧に応じたオン時間幅とオフ時間幅で駆動される。5番ピンの電圧が低下すると、発振用のコンデンサC9の電圧の変化幅が小さくなるので、オン時間幅もオフ時間幅も共に短くなるが、抵抗Rcを介する充電電流は増加するのに対して、抵抗Rdを介する放電電流は減少するから、オン時間幅の短縮率の方がオフ時間幅の短縮率よりも大きくなる。
【0119】
これは負荷電圧が略一定である発光ダイオードの駆動には好都合なことであり、5番ピンの電圧が最大のときに、図15(a)に示すように、インダクタL1に流れる電流が臨界モードに近い不連続モードとなるように、オン時間幅とオフ時間幅の比率を設計しておけば、5番ピンの電圧が変化しても、常に不連続モードで動作させることができる。具体的には、「オン時間幅×(電源電圧−負荷電圧)≒オフ時間幅×負荷電圧」となる臨界条件よりも僅かにオン時間幅が短くなるように、抵抗Rc、RdとコンデンサC9の値を設計しておけば良い。
【0120】
このように設計した場合、5番ピンの電圧が低下すると、図15(b)のように、スイッチング素子Q1のオン時間幅、オフ時間幅は共に短縮するが、オン時間幅の短縮率の方がオフ時間幅の短縮率よりも大きくなるので、インダクタL1に流れる電流の休止期間は増大して行くことになる。
【0121】
したがって、PWM制御回路IC1によりタイマー回路TMの5番ピンの電圧を低下させることにより、図15(b)のように、インダクタL1に流れる電流のピークを減少させると共に、電流の休止期間も長くすることができるから、バーストONの期間にインダクタL1に流れる平均電流を減少させることができる。
【0122】
この制御と組み合わせて、PWM制御回路IC1によりタイマー回路TMの4番ピンを低周波(例えば1kHz)でHigh/Lowに切り替えて、バーストONの期間を可変とすることにより、高い平均電流を長い時間にわたり流す状態から、低い平均電流を短い時間にわたり流す状態まで制御することで、広い範囲で安定した調光を実現することができる。
【0123】
PWM制御回路IC1としては、例えば、テキサスインスツルメンツ社のTL494もしくはその同等品を用いることができる。このICは、のこぎり波発振器OSCとコンパレータCPとエラーアンプEA1,EA2、出力トランジスタTr1,Tr2、基準電圧源などを内蔵しており、5番、6番ピンに外付けされたコンデンサCtと抵抗Rtで決まる周波数で発振し、3番ピンの電圧に応じたパルス幅でPWM信号を生成できる。発振周波数は、例えば1kHzのような低周波とすることも可能である。4番ピンはデッドタイム設定端子であり、本実施形態ではグランドに接続している。
【0124】
PWM制御回路IC1の発振周波数を規定する外付けの抵抗Rtには、本実施形態の特徴となる抵抗R20とトランジスタTr5の直列回路が並列接続されている。調光電圧VdimがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧とトランジスタTr5のベース・エミッタ間電圧の和よりも高くなると、トランジスタTr5が導通し、実質的に抵抗Rtの抵抗値を低下させたのと同じ動作となる。これにより、PWM制御回路IC1の発振周波数は調光電圧Vdimが上昇するにつれて高くなる。
【0125】
ツェナーダイオードZD1を省略すると、調光電圧Vdimの全範囲で低周波のPWM制御の周波数を変化させることができる。一方、ツェナーダイオードZD1を設けると、固体光源3に流れる電流が所定値以上では低周波PWM制御の周波数は一定となるように制御され、固体光源3に流れる電流が所定値未満では高周波PWM制御の周波数が高くなるにつれて、低周波PWM制御の周波数が高くなるように制御される。
【0126】
1−2番ピンに接続されたエラーアンプEA1と、15−16番ピンに接続されたエラーアンプEA2は、ダイオードOR接続されており、いずれか高い方の出力がコンパレータCPの基準電圧となる。ここでは、第2のエラーアンプEA2は使用していないので、その出力が最低電位となるように、15−16番ピンの電位を設定しておく。
【0127】
13番ピンはシングルエンド動作とプッシュプル動作を選択するための端子であり、本実施形態ではグランドに接続することにより、シングルエンド動作となっている。この場合、内部のロジック回路によりトランジスタTr1とTr2の動作は同じとなる。
【0128】
11−10番ピンのトランジスタTr2がオンのとき、タイマー回路TMの4番ピンはLowレベルとなるから、その高周波発振動作は停止し、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。また、トランジスタTr2がオフのとき、タイマー回路TMの4番ピンは抵抗R23により制御電源電圧Vccの電位にプルアップされて、タイマー回路TMの高周波発振動作が開始する。
【0129】
8−9番ピンのトランジスタTr1がオンのとき、抵抗R24を介してコンデンサC8の電荷が放電される。また、トランジスタTr1がオフのとき、コンデンサC8はタイマー回路TMに内蔵されたブリーダ抵抗の分圧出力により充電される。トランジスタTr1が低周波でオン/オフすることにより、その1周期中のオン期間の比率が増加するほど、コンデンサC8の電圧は低下する。これにより、スイッチング素子Q1のオン時間幅は短くなる。
【0130】
トランジスタTr1、Tr2の1周期中のオン期間の比率は、出力検出回路6の検出出力を受けてフィードバック制御されているので、結果的に、スイッチング素子Q1のバーストONの期間と共に、スイッチング素子Q1のオン時間幅もフィードバック制御されることになる。
【0131】
フィードバック制御回路は、エラーアンプEA1と外付けのCR回路により構成されている。エラーアンプEA1の反転入力端子と出力端子の間には、抵抗R25、R26とコンデンサC10よりなる帰還インピーダンスが接続されている。エラーアンプEA1の非反転入力端子には、14番ピンの基準電圧Vrefを抵抗R21、R22により分圧した一定電圧が印加されている。エラーアンプEA1の出力端子の電圧は、エラーアンプEA1の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧と一致するように変化する。エラーアンプEA1の反転入力端子には、第1の入力抵抗R27を介して出力検出回路6の検出電圧Vdetが入力されると共に、第2の入力抵抗R28を介して調光電圧Vdimが入力されている。
【0132】
調光電圧Vdimが増加すると、エラーアンプEA1の出力電圧は低下し、トランジスタTr1、Tr2のオン期間が長くなるので、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が長くなる。また、タイマー回路TMの5番ピンの基準電圧が低下するので、スイッチング素子Q1のオン時間幅は短くなる。逆に、調光電圧Vdimが減少すると、エラーアンプEA1の出力電圧は上昇し、トランジスタTr1、Tr2のオン期間が短くなるので、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が短くなる。また、タイマー回路TMの5番ピンの基準電圧が上昇するので、スイッチング素子Q1のオン時間幅は長くなる。
【0133】
また、調光電圧Vdimが一定であるときに、検出電圧Vdetが変動した場合にも、上記と同様の動作により、出力変動を抑制するようにフィードバック制御が掛かることになる。つまり、検出電圧Vdetが増加すると、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が長くなると共に、スイッチング素子Q1の高周波のオン時間幅が短くなる。逆に、検出電圧Vdetが減少すると、スイッチング素子Q1のオンオフ動作が停止している期間が短くなると共に、スイッチング素子Q1の高周波のオン時間幅が長くなる。これにより、出力変動を抑制するようにフィードバック制御が掛かり、調光電圧Vdimの大きさに対して、相応の検出電圧Vdetとなるように制御される。
【0134】
次に、出力検出回路6について説明する。固体光源3には電流検出抵抗R31が直列接続されると共に、分圧抵抗R32、R34とツェナーダイオードZD2の直列回路よりなるバイパス回路が並列接続されている。このバイパス回路は、調光下限付近において、固体光源3に流れる点灯電流よりも大きいバイパス電流を流すように定数を設定されている。これにより、調光下限付近において、安定した調光点灯が可能となる(特開2011−65922号公報参照)。
【0135】
固体光源3に流れる点灯電流が増減すると、抵抗R31の両端電圧が増減する。また、固体光源3の印加電圧が増減すると、抵抗R32の両端電圧が増減する。したがって、固体光源3の点灯電流または印加電圧が増減すると、抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧が増減する。
【0136】
抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧からトランジスタTr3のベース・エミッタ間電圧を差し引いた電圧が抵抗R33に印加されるから、トランジスタTr3には、抵抗R31とR32の直列回路の両端電圧に応じたベース電流が流れる。このベース電流に応じたコレクタ電流が抵抗R35、R36の直列回路に流れるから、検出電圧Vdetは固体光源3の点灯電流と印加電圧の両方を反映した電圧となる。
【0137】
なお、抵抗R31がゼロの場合、出力検出回路6は電圧検出回路として機能し、抵抗R32がゼロの場合、出力検出回路6は電流検出回路として機能する。また、抵抗R31、R32の値を適切に設定すると、出力検出回路6は擬似的に負荷電力を検出する回路として機能する。
【0138】
抵抗R31には固体光源3に流れる点灯電流とバイパス回路に流れるバイパス電流の和に相当する電流が流れる。したがって、固体光源3に流れる点灯電流がゼロに近い状態であっても、抵抗R31にはバイパス回路に流れるバイパス電流による電圧(嵩上げ電圧)が発生しており、トランジスタTr3が遮断状態となることはない。
【0139】
また、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧は、固体光源3が点灯可能な電圧よりも低い電圧に設定しておく。これにより、固体光源3が点灯している状態では、必ず抵抗R32に電圧が発生しており、トランジスタTr3が遮断状態となることはない。
【0140】
このように、図14の出力検出回路6では、バイパス回路に流れるバイパス電流を、出力検出用トランジスタTr3のベース・エミッタ間ダイオードを導通させておくためのバイアス電流として利用している。これにより、固体光源3の点灯電流または印加電圧が低い状態であっても、出力検出用のトランジスタTr3が遮断状態となることはなく、常に能動領域で動作するようにバイアスすることができる。
【0141】
なお、固体光源3の点灯電流と印加電圧を個別に検出し、第1のエラーアンプEA1により点灯電流に応じたフィードバック制御を実施すると共に、第2のエラーアンプEA2により印加電圧に応じたフィードバック制御を実施しても良い。前者の制御を高輝度〜中輝度域において実施し、後者の制御を低輝度域において実施すると良いことが知られている(特開2009−232623号公報参照)。
【0142】
上述の各実施形態の説明では、固体光源3として発光ダイオードを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、有機EL素子や半導体レーザー素子などであっても良い。
【0143】
スイッチング素子Q1はMOSFETを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、IGBTなどであっても良い。
【0144】
上述の各実施形態では、直流電源回路部1となる降圧チョッパ回路のスイッチング素子Q1が低電位側に配置されている回路例について説明したが、図16(a)に示すように、降圧チョッパ回路1aのスイッチング素子Q1が高電位側に配置されている場合であっても本発明を適用できることは言うまでもない。また、図16(b)〜(d)に示すような各種のスイッチング電源回路を本発明の直流電源回路部1として使用しても構わない。図16(b)は昇圧チョッパ回路1b、図16(c)はフライバックコンバータ回路1c、図16(d)は昇降圧チョッパ回路1dの例である。
【符号の説明】
【0145】
Q1 スイッチング素子
L1 インダクタ
1 直流電源回路部
2a 第1のスイッチング制御手段
2b 第2のスイッチング制御手段
3 固体光源(LED)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を用いて入力直流電源を電力変換して固体光源に電流を流す直流電源回路部と、前記スイッチング素子を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段と、第1のスイッチング制御手段よりも低周波で前記スイッチング素子のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段を有し、固体光源に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段の周波数を変化させることを特徴とする固体光源点灯装置。
【請求項2】
第1のスイッチング制御手段の周波数が高くなると第2のスイッチング制御手段の周波数を高くすることを特徴とする請求項1記載の固体光源点灯装置。
【請求項3】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段の周波数を略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項4】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段のオン時間幅を略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項5】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段の周波数が高くなるにつれて第2のスイッチング制御手段の周波数を高くすると共に、固体光源に流れる電流が所定値以上では第2のスイッチング制御手段の周波数は略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項6】
前記直流電源回路部は、前記スイッチング素子と直列にインダクタが接続され、前記インダクタの充放電電流あるいはそのいずれかを利用して前記固体光源に電流を流すものであり、第1のスイッチング制御手段は前記インダクタ電流がゼロクロス動作またはゼロクロス動作に近い不連続動作となるように前記スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項7】
前記直流電源回路部は、前記固体光源に並列に接続される容量性インピーダンスを含むと共に、第2のスイッチング制御手段の周波数は前記固体光源に流れる電流が連続波形となるように設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項8】
第2のスイッチング制御手段の低周波の制御信号を平滑化するコンデンサを備え、該コンデンサの電圧により第1のスイッチング制御手段の周波数を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の固体光源点灯装置を備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項1】
スイッチング素子を用いて入力直流電源を電力変換して固体光源に電流を流す直流電源回路部と、前記スイッチング素子を高周波でオンオフする第1のスイッチング制御手段と、第1のスイッチング制御手段よりも低周波で前記スイッチング素子のオンオフ動作を間欠的に停止させる第2のスイッチング制御手段を有し、固体光源に流す電流を変化させる場合、第2のスイッチング制御手段の周波数を変化させることを特徴とする固体光源点灯装置。
【請求項2】
第1のスイッチング制御手段の周波数が高くなると第2のスイッチング制御手段の周波数を高くすることを特徴とする請求項1記載の固体光源点灯装置。
【請求項3】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段の周波数を略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項4】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段のオン時間幅を略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項5】
固体光源に流れる電流が所定値未満では第1のスイッチング制御手段の周波数が高くなるにつれて第2のスイッチング制御手段の周波数を高くすると共に、固体光源に流れる電流が所定値以上では第2のスイッチング制御手段の周波数は略一定とすることを特徴とする請求項1または2記載の固体光源点灯装置。
【請求項6】
前記直流電源回路部は、前記スイッチング素子と直列にインダクタが接続され、前記インダクタの充放電電流あるいはそのいずれかを利用して前記固体光源に電流を流すものであり、第1のスイッチング制御手段は前記インダクタ電流がゼロクロス動作またはゼロクロス動作に近い不連続動作となるように前記スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項7】
前記直流電源回路部は、前記固体光源に並列に接続される容量性インピーダンスを含むと共に、第2のスイッチング制御手段の周波数は前記固体光源に流れる電流が連続波形となるように設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項8】
第2のスイッチング制御手段の低周波の制御信号を平滑化するコンデンサを備え、該コンデンサの電圧により第1のスイッチング制御手段の周波数を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固体光源点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の固体光源点灯装置を備えたことを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−238755(P2012−238755A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107319(P2011−107319)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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