説明

固体撮像装置

【課題】単位画素列を構成する各列の画素で1つの読出部を共有した場合であっても、各列の画素に同一フレームの画素信号を出力させる。
【解決手段】画素列21_B,21_G,21_Rは、それぞれ、隣接する2列の画素GE毎に1個の単位画素列22_B,22_G,22_Rを構成している。読出部53は、各単位画素列22に対応して複数設けられ、奇数列の画素GE_Oとそれに隣接する偶数列の画素GE_Eとによって共有されている。偶数列の画素GE_Eは、奇数列の画素GE_Oに対して、垂直方向下向きにO=(1/8)・P=(1/6)・Wずらして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に対して、垂直方向に所定の移動速度で相対的に移動する画素部を備える固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ドキュメントスキャナ、フィルムスキャナ等の撮像装置に用いられるラインセンサとして、CMOSの固体撮像装置が広く採用されている。例えば、特許文献1では、R,G,Bの画素列の色ずれを防止するために、各画素の受光領域の垂直方向の幅をWとすると、各画素列の配列間隔を(4/3)・WとしたCMOSの固体撮像装置が開示されている。
【0003】
図5は特許文献1に示す従来のCMOSの固体撮像装置100の構成を示す概略図である。固体撮像装置100は、画素部200、垂直走査部300、水平走査部400、読出ユニット500、及びレジスタ700を含む。
【0004】
画素部200は、被写体に対して、垂直方向に所定の移動速度で相対的に移動する。そして、画素部200は、3段の画素列201_B,201_G,201_Rを備えている。以下、画素列201_B,201_G,201_Rを区別しない場合、画素列201と記述する。画素列201は、水平方向に複数個の画素GE100が直線上に配列されたラインセンサである。
【0005】
画素列201_B〜201_Rの垂直方向の配列間隔Pは、各画素GE100の受光領域の垂直方向の寸法をWとすると、P=(4/3)・Wに設定されている。画素列201_B〜201_Rは、各画素GE100の受光領域にB,G,Rのカラーフィルタが取り付けられ、B,G,Rの画素信号を出力する。
【0006】
垂直走査部300は、画素列201_B〜201_Rのそれぞれと行選択信号線L1_B,L1_G,L1_Rを介して接続され、画素列201_B〜201_Rを上側から下側、又は下側から上側に向けて順次に選択し、各画素列201を垂直走査する。
【0007】
水平走査部400は、各列のカラムAD変換部600を左列から右列又は右列から左列に向けて順次に選択し、選択した列のカラムAD変換部600が保持する画素データをレジスタ700に出力し、カラムAD変換部600を水平走査する。
【0008】
読出ユニット500は、各列に対応する複数の定電流負荷511と、各列に対応する複数の読出部501とを備えている。定電流負荷511は、電界効果型トランジスタから構成され、ゲートに負荷電圧信号VDが印加され、負荷として機能する。
【0009】
各読出部501は垂直信号線L2上に設けられた定電流負荷511を介して対応する列の画素GE100と接続されている。そして、読出部501は、垂直走査部300により選択された画素列201の対応する列の画素GE100から画素信号を読み出す。
【0010】
詳細には、読出部501は、シグナルサンプルホールド回路512、ノイズサンプルホールド回路513、差動アンプ514、及びカラムAD変換部600を備えている。
【0011】
シグナルサンプルホールド回路512は、スイッチS200、コンデンサC100、及び図略のアンプを備え、画素GE100から出力されるノイズ成分+映像成分を含む画素信号を保持する。ノイズサンプルホールド回路513は、スイッチS300、コンデンサC200、及び図略のアンプを備え、画素GE100から出力されるノイズ成分のみを含む画素信号を保持する。
【0012】
差動アンプ514は、シグナルサンプルホールド回路512により保持されたノイズ成分及び映像成分を含む画素信号から、ノイズサンプルホールド回路513で保持されたノイズ成分のみを含む画素信号を減じてノイズ成分を相殺し、映像成分のみを含む画素信号を抽出する。
【0013】
カラムAD変換部600は、差動アンプ514から出力された画素信号をAD変換して画素データとして保持し、水平走査部400により選択されると保持する画素データをレジスタ700に出力する。レジスタ700は、カラムAD変換部600から出力された1段の画素列21の画素データを保持し、例えば後段に接続された回路に順次に出力する。
【0014】
次に、図5に示す固体撮像装置100の動作について説明する。図6は、固体撮像装置100のタイミングチャートを示し、(A)は画素列201の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。なお、図6(A)では、画素列201_B,201_G,201_Rを構成するある1列の画素GE100_B,GE100_G,GE100_Rを用いて、各画素列201の推移を説明する。
【0015】
図6(A)、(B)では、画素部200が垂直方向上向きに移動し、垂直走査部300は画素列201_B,201_G,201_Rの順で各画素列201を垂直走査している。また、図6(A)、(B)では、画素列201は、1フレーム期間TでW移動するように移動速度が設定されている。また、1フレーム期間Tは3つの水平処理期間(以下、「H期間」と記述する。)に分割されている。したがって、図6(A)の縦軸の1目盛りは、H期間における画素GE100の移動距離を示し、画素GE100の移動速度をVとすると、H・Vで表される。また、配列間隔Pは(4/3)・W=4・H・Vとされている。
【0016】
また、H期間が到来する毎に、画素GE100_B,GE100_G,GE100_Rの画素信号の読出期間が順次に割り付けられている。また、各画素GE100は、1フレーム期間Tで被写体を露光して1フレームの画素信号を取得し、1フレーム期間Tの次に到来するH期間で取得した画素信号を出力した後、次の1フレームの露光を開始している。
【0017】
図6(A)の例では、画素GE100_Bは、H_1〜H_3の1フレーム期間Tで被写体を露光して1フレームの画素信号を取得し、H_4期間で取得した画素信号を読出部501に出力した後、次の1フレームの画素信号の露光を開始している。よって、画素GE100_Bは、H_8期間で次の1フレームの画素信号を読出部501に出力している。
【0018】
図6(B)のX部分のH_4期間でのBの画素信号の読出処理を説明すると以下の通りとなる。
【0019】
i)垂直走査部300は、画素列201_Bを選択する。ii)スイッチS300=オン、スイッチS200=オフにされ、ノイズサンプルホールド回路513は、画素GE100_Bから出力されるノイズ成分のみを含む画素信号を保持する。
【0020】
iii)スイッチS300=オフ、スイッチS200=オンにされ、シグナルサンプルホールド回路512は、画素GE100_Bから出力されるノイズ成分+映像成分の画素信号を保持する。iv)差動アンプ514は、ノイズ成分+映像成分の画素信号からノイズ成分の画素信号を減じ、映像成分のみを含む画素信号をカラムAD変換部600に出力する。v)カラムAD変換部600は、差動アンプ514から出力された画素信号をAD変換して画素データとして保持する。vi)カラムAD変換部600は、水平走査部400により選択されると、保持する画素データをレジスタ700に出力する。
【0021】
H_1期間〜H_3期間のフレーム期間T1_Bで画素GE100_Bは、先端E1が位置Y3〜位置Y6に移動するため、フレーム期間T1_Bで露光されたフレームF_T1_Bは、露光開始位置がY0となり、露光終了位置が位置Y6となる。
【0022】
また、H_5期間〜H_7期間のフレーム期間T2_Gで画素GE100_Gは、先端E1が位置Y3〜位置Y6に移動するため、フレーム期間T2_Gで露光されたフレームF_T2_Gは、露光開始位置がY0となり、露光終了位置が位置Y6となる。
【0023】
また、H_9期間〜H_11期間のフレーム期間T3_Rで画素GE100_Rは、先端E1が位置Y3〜位置Y6に移動するため、フレーム期間T3_RにおけるフレームF_T3_Rは、露光開始位置がY0となり、露光終了位置が位置Y6となる。
【0024】
よって、フレームF_T1_B,F_T2_G,F_T3_Rが一致し、画素GE100_B,GE100_G,GE100_Rが同一フレームを露光できていることが分かる。したがって、H_4期間、H_8期間、H_12期間で出力される画素信号はR,G,Bの同一フレームの画素信号となり、色ずれが防止されている。なお、Y,Z部分におけるG,Rの画素信号の読出処理は、X部分におけるBの画素信号の読出処理と同一である。
【0025】
図5に示す固体撮像装置100では、読出部501が列毎に設けられていたため、読出ユニット5の回路規模が増大するという問題がある。
【0026】
この問題を解決するための従来の固体撮像装置101を図7に示す。図7に示す固体撮像装置101は、画素列201_B,201_G,201_Rがそれぞれ、隣接する2列の画素GE100毎に1個の単位画素列202_B,202_G,202_Rにより構成されている。以下、単位画素列202−B,202_G,202_Rを区別しない場合は単位画素列202と記述する。
【0027】
読出部501は、単位画素列202に対応して複数設けられている。スイッチ部515は、各列に対応して複数設けられ、定電流負荷511と読出部501との間に接続されている。すなわち、読出部501は隣接する奇数列と偶数列との画素GE100により共有されている。
【0028】
図8は、図7に示す固体撮像装置101のタイミングチャートを示し、(A)は画素列201の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。なお、図8(A)では、画素列201_B,201_G,201_Rを構成するある1個の単位画素列202_B,202_G,202_Rのうち、ある奇数列の画素GE100_B1,GE100_G1,GE100_R1と、ある偶数列の画素GE100_B2,GE100_G2,GE100_R2とを用いて、各画素列201の推移を説明する。
【0029】
図8(B)に示すように、偶数列の画素GE100_B2,GE100_G2,GE100_R2は、奇数列の画素GE100_B1,GE100_G1,GE100_R1に対して、読出期間がH/2期間ずらされている。
【0030】
例えば、H_4期間の前半のH/2期間において、スイッチ部515は読出部501を奇数列の垂直信号線L2_Oに接続し、画素GE100_B1は1フレームの画素信号を出力する。一方、H_4期間の後半のH/2期間において、スイッチ部515は読出部501を偶数列の垂直信号線L2_Eに接続し、画素GE100_Bは1フレームの画素信号を読出部501に出力する。
【0031】
したがって、画素GE100_B1が、H_4期間の前半のH/2期間で出力する画素信号は、時刻t1〜t4までのフレーム期間T1_B1において、画素GE100_B1取得したフレームF_T1_B1の画素信号となる。
【0032】
また、画素GE100_B2が、H_4期間の後半のH/2期間で出力する画素信号は、時刻t1+H/2〜時刻t4+H/2までのフレーム期間T1_B2において、画素GE100_B2が取得したフレームF_T1_B2の画素信号となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2007−336519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
しかしながら、フレームF_T1_B1は、露光開始位置が位置Y0であり、露光終了位置が位置Y6である。一方、フレームF_T1_B2は、露光開始位置が位置Y0+H・V/2(=位置Y0+W/6)であり、露光終了位置が位置Y6+H・V/2(=位置Y6+W/6)となる。
【0035】
よって、フレームF_T1_B2は、フレームF_T1_B1に対してW/6進行方向にずれ、両フレームが一致していないことが分かる。
【0036】
また、画素GE100_G2がフレーム期間T2_G2で取得したフレームF_T2_G2も、画素GE100_G1がフレーム期間T2_G1で取得したフレームF_T2_G1に対してW/6進行方向にずれていることが分かる。
【0037】
更に、画素GE100_R2がフレーム期間T3_R2で取得したフレームF_T3_R2も、画素GE100_R1がフレーム期間T3_R1で取得したフレームF_T3_R1に対してW/6進行方向にずれていることが分かる。
【0038】
本発明の目的は、単位画素列を構成する各列の画素で1つの読出部を共有した場合であっても、各列の画素に同一フレームを露光させることができる固体撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
(1)本発明の一局面による固体撮像装置は、被写体に対して、垂直方向に所定の移動速度で相対的に移動する画素部を備える固体撮像装置であって、前記画素部は、複数の画素が前記垂直方向に直交する水平方向に配列され、n(nは2以上の整数)列毎に1個の単位画素列を構成する画素列をi(iは1以上の整数)段備え、前記単位画素列に対応して設けられ、前記単位画素列から画素信号を読み出す読出部と、前記画素列が所定距離進むのに要するフレーム期間をi分割することで得られるH期間が到来する毎に、各画素列を注目画素列として順次に選択する画素列選択部と、前記H期間をq(qはn以上の整数)分割することで得られるq個のH/q期間に、前記注目画素列の各単位画素列を構成する各列の画素の画素信号の読出期間を順次に割り付け、m番目のH/q期間に読出期間が割り付けられた第m(mは1≦m≦nの整数)番目の画素を前記読出部に接続させる接続制御部とを備え、前記第m番目の画素は、各画素の受光領域の前記垂直方向の寸法をWとすると、前記単位画素列の進行方向の先頭画素に対して、前記垂直方向に((m−1)/i・q)・Wずらして配置されている。
【0040】
この構成によれば、画素部はi段の画素列から構成され、各画素列は、n列毎に1個の単位画素列に区切られている。読出部は単位画素列に対応して複数設けられている。
【0041】
各画素列は、画素列が所定距離進むのに要するフレーム期間をi分割することで得られるH期間が到来する毎に、順次に注目画素列として選択される。
【0042】
注目画素列の各単位画素列は、H期間をq分割することで得られるn個のH/q期間に対して、各列の画素の画素信号の読出期間が順次に割り付けられる。H/q期間が割り付けられた第m(mは0≦m<nの整数)列目の画素は読出部に接続され、1フレームの画素信号が読み出される。
【0043】
ここで、第m列目の画素は、単位画素列の進行方向の先頭に位置する画素に対して、垂直方向に(m/i・q)・Wずらして配置されている。
【0044】
そのため、第m列目の画素は、自身のH/q期間が到来したときの先端の位置が、先頭の画素に対してH/q期間が到来したときの当該先頭の画素の先端の位置と同一位置となる。そのため、先頭の画素が出力する画素信号と第m列目の画素が出力する画素信号とは同一フレームの画素信号となる。
【0045】
その結果、単位画素列を構成する各列の画素で1つの読出部を共有した場合であっても、各列の画素に同一フレームの画素信号を露光させることができる。
【0046】
(2)前記画素部の各列に対応して設けられたスイッチ部を更に備え、前記接続制御部は、前記第m番目の画素と、前記読出部とを前記スイッチ部に接続させることが好ましい。この構成によれば、各単位画素列に対応するスイッチ部を設けたため、第m番目の画素と読出部とを確実に接続させることができる。
【0047】
(3)各読出部は、入力されたアナログの画素信号をAD変換するAD変換器を含むことが好ましい。この構成によれば、読出部からはAD変換された画素信号が出力されることになる。
【0048】
(4)各読出部は、入力されたアナログの画素信号を保持するバッファを含むことが好ましい。この構成によれば、読出部からはアナログの画素信号が出力されることになる。
【0049】
(5)各画素は、前記垂直方向の配列間隔が((i+1)/i)・W以上であることが好ましい。
【0050】
この構成によれば、各画素は、垂直方向の配列間隔が((i+1)/i)・W以上に設定されているため、例えば、第k段目の画素列の読出期間が到来してから、第k+1段目の画素列の読出期間が到来するまでの期間が、(H/i)期間以上となる。その結果、第k段目の画素列の読出期間を十分に確保することができる。
【0051】
(6)前記画素列の段数は、i=1〜6であることが好ましい。この構成によれば、画素列の段数が1〜6のいずれかとなる。
【0052】
(7)前記単位画素列の列数はn=2〜4であることが好ましい。この構成によれば、単位画素列は、2〜4のいずれかの列の画素から構成されることになる。
【0053】
(8)前記単位画素列は、列の昇順又は列の降順で前記mが設定されることが好ましい。この構成によれば、単位画素列において、画素を階段状に配列することができ、画素を整然と並べることができる。
【0054】
(9)前記画素列選択部が、第k(1≦k≦i)段目の画素列から前記注目画素列の選択を開始したとすると、p≧kを満たす第p(1≦p≦i)段目の各画素列が、s(sは0以上の整数)に同じ値を代入したときの第(2+p−k+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択し、p<kを満たす第p段目の各画素列が、前記sに同じ値を代入したときの第(i−k+p+2+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択する画像処理部を更に備えることが好ましい。
【0055】
この構成によれば、各画素列が出力する画素信号のうち、同一位置を露光することで得られた画素信号を選択することが可能となり、色ずれのない画像処理を実現することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、単位画素列を構成する各列の画素で1つの読出部を共有した場合であっても、各列の画素に同一フレームを露光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態による固体撮像装置が適用された撮像装置の構成を示す概略図である。
【図2】撮像装置1の動作を示すタイミングチャートを示し、(A)は画素列の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。
【図3】(A)、(B)は単位画素列を3列の画素で構成した場合の画素の配置を示した図である。
【図4】図1に示す撮像装置の画素部の変形例を示した図である。
【図5】従来のCMOSの固体撮像装置の構成を示す概略図である。
【図6】図5に示す固体撮像装置のタイミングチャートを示し、(A)は画素列の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。
【図7】更に別の従来のCMOSの固体撮像装置の構成を示す概略図である。
【図8】図7に示す固体撮像装置のタイミングチャートを示し、(A)は画素列の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態による固体撮像装置を撮像装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。撮像装置1としては、例えば、複写機、ドキュメントスキャナ、フィルムスキャナ等の撮像装置を採用することができる。
【0059】
図1は、本発明の実施の形態による固体撮像装置が適用された撮像装置1の構成を示す概略図である。撮像装置1は、画素部2、垂直走査部3、水平走査部4、読出ユニット5、レジスタ6、制御部7、操作部8、搬送機構部9、及び画像処理部10を含む。なお、画素部2〜レジスタ6は固体撮像装置を構成する。
【0060】
画素部2は、被写体に対して、垂直方向に所定の移動速度で相対的に移動する。本実施の形態では、画素部2は、垂直方向で所定の移動速度Vで移動し、静止している被写体を露光するものとする。但し、これは一例であり、被写体を垂直方向に移動させて、静止している画素部2に被写体を露光させてもよい。被写体としては、原稿、回路基板等、種々の被写体を採用することができる。
【0061】
画素部2は、3段の画素列21_B,21_G,21_Rを備えている。以下、画素列21_B,21_G,21_Rを区別しない場合、画素列21と記述する。画素列21は、水平方向に複数個の画素GEが直線上に配列されたラインセンサである。
【0062】
画素列21_B,21_G,21_Rは、それぞれ、隣接する2列の画素GE毎に区切られ、複数の単位画素列22_B,22_G,22_Rにより構成されている。以下、単位画素列22_B,22_G,22_Rを区別しない場合は単位画素列22と記述する。
【0063】
単位画素列22_B,22_G,22_Rのそれぞれにおいて、奇数列の画素GEを画素GE_B1,GE_G1,GE_R1と記述し、偶数列の画素GEを画素GE_B2,GE_G2,GE_R2と記述する。また、奇数列の画素GEを区別しない場合は、画素GE_Oと記述し、偶数列の画素GEを区別しない場合は、画素GE_Eと記述する。
【0064】
各画素列21の垂直方向の配列間隔Pは、各画素GEの受光領域の垂直方向の幅をWとすると、P=(4/3)・Wである。
【0065】
偶数列の画素GE_Eは、奇数列の画素GE_Oに対して、垂直方向下向きにO=(1/8)・P=(1/6)・Wずらして配置されている。
【0066】
画素GE_B1,GE_B2は受光領域にBのカラーフィルタが取り付けられ、画素GE_G1,GE_G2は受光領域にGのカラーフィルタが取り付けられ、画素GE_R1,GE_R2は受光領域にRのカラーフィルタが取り付けられ、それぞれ、B,G,Rの画素信号を出力する。
【0067】
垂直走査部3は、画素列21_B〜21_Rのそれぞれと行選択信号線L1_B,L1_G,L1_Rを介して接続され、画素列21_R〜21_Rを上側から下側、又は下側から上側に向けて順次に選択し、各画素列21を垂直走査する。
【0068】
水平走査部4は、各列のカラムAD変換部534を左列から右列又は右列から左列に向けて順次に選択し、選択した列のカラムAD変換部534が保持する画素データをレジスタ6に出力し、カラムAD変換部534を水平走査する。
【0069】
読出ユニット5は、各列に対応する複数の定電流負荷51と、各列に対応する複数のスイッチ部52と、各単位画素列22に対応する複数の読出部53とを備えている。定電流負荷51は、電界効果型トランジスタから構成され、ゲートに負荷電圧信号VDが印加され、負荷として機能する。
【0070】
スイッチ部52は、例えば、トランジスタ等のスイッチング素子により構成され、定電流負荷51と読出部53との間に接続されている。以下、奇数列のスイッチ部52をスイッチ部52_Oと記述し、偶数列のスイッチ部52をスイッチ部52_Eと記述する。
【0071】
スイッチ部52_Oは、奇数列の画素GE_Oから画素信号が出力されるときオンされ、読出部53を垂直信号線L2_Oに接続し、偶数列の画素GE_Eから画素信号が出力されるときオフされる。スイッチ部52_Eは、偶数列の画素GE_Eから画素信号が出力されるときオンされ、読出部53を垂直信号線L2_Eに接続し、奇数列の画素GE_Oから画素信号が出力されるときオフされる。なお、スイッチ部52は、制御部7により制御される。
【0072】
各読出部53は、奇数列の垂直信号線L2_Oと偶数列の垂直信号線L2_Eと接続されている。そして、読出部53は、垂直走査部3により選択された画素列21の奇数列の画素GE_Oの画素信号を垂直信号線L2_Oを介して読み出した後、同画素列21の偶数列の画素GE_Eの画素信号を垂直信号線L2_Eを介して読み出す。つまり、読出部53は、奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとによって共有されている。
【0073】
垂直信号線L2_Oは同一列の3個の画素GE_Oと接続され、垂直信号線L2_Eは同一列の3個の画素GE_Eと接続されている。
【0074】
読出部53は、シグナルサンプルホールド回路531、ノイズサンプルホールド回路532、差動アンプ533、及びカラムAD変換部534を備えている。
【0075】
シグナルサンプルホールド回路531は、スイッチS2、コンデンサC1、及び図略のアンプを備え、画素GEから出力されるノイズ成分+映像成分を含む画素信号を保持する。ノイズサンプルホールド回路532は、スイッチS3、コンデンサC2、及び図略のアンプを備え、画素GEから出力されるノイズ成分のみを含む画素信号を保持する。
【0076】
差動アンプ533は、シグナルサンプルホールド回路531により保持されたノイズ成分及び映像成分を含む画素信号から、ノイズサンプルホールド回路532で保持されたノイズ成分のみを含む画素信号を減じてノイズ成分を相殺し、映像成分のみを含む画素信号を抽出する。
【0077】
カラムAD変換部534は、例えば、積分型のAD変換器又は逐次比較型のAD変換器により構成され、差動アンプ533から出力された画素信号をAD変換して画素データとして保持し、水平走査部4により選択されると保持する画素データをレジスタ6に出力する。レジスタ6は、カラムAD変換部534から出力された画素データを保持する。レジスタ6は、例えば、1段の画素列21を構成する全画素GEの画素データを保持する容量を少なくとも有し、カラムAD変換部534から出力された画素データを保持する。
【0078】
レジスタ6は、まず、1段の画素列21を構成する奇数列の全画素GE_Oの画素データを保持し、次に、1段の画素列21を構成する偶数列の全画素GE_Eの画素データを保持する。そして、レジスタ6は、1段の画素列21を構成する全画素GEの画素データが揃うと、保持する画素データを順次出力する。出力された画素データは、例えば図略の画像メモリに記憶される。
【0079】
操作部8は、ユーザからの種々の操作入力を受け付ける。搬送機構部9は、画素部2を原稿に対して垂直方向に移動速度Vで移動させるスライド機構と、スライド機構を駆動させるモータ等を備えている。なお、垂直方向に移動する被写体を静止している画素部2に露光させる形態を採用する場合は、被写体として原稿が採用され、搬送機構部9は原稿を搬送する搬送ローラと搬送ローラを駆動させるモータ等により構成される。
【0080】
制御部7は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、及びRAM(ランダムアクセスメモリ)等かなるコンピュータから構成され、撮像装置の全体制御を司り、画素列選択部71、及び接続制御部72の機能を備えている。これらの機能は、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0081】
画素列選択部71は、画素列21が所定距離進むのに要する1フレーム期間Tを3分割することで得られるH期間(水平処理期間)が到来する毎に、垂直走査部3を制御して、各画素列21を順次に注目画素列として選択する。本実施の形態では、画素列選択部71は、B,G,Rの順番で、すなわち、垂直方向の上側から下側に向けて画素列を選択する。
【0082】
接続制御部72は、H期間を2分割することで得られる2個のH/2期間に、注目画素列21_Xの各単位画素列22を構成する奇数列の画素GE_O及び偶数列の画素GE_Eの画素信号の読出期間を順次に割り付け、H/2期間が割り付けられた第m(m=1,2)列目の画素GEを読出部53に接続させる。
【0083】
本実施の形態では、接続制御部72は、奇数列の画素GE_Oを読出部53に接続させる場合、スイッチ部52_Oをオンさせ、スイッチ部52_Eをオフさせる。一方、接続制御部72は、偶数列の画素GE_Eを読出部53に接続させる場合、スイッチ部52_Eをオンさせ、スイッチ部52_Oをオフさせる。
【0084】
画像処理部10は、レジスタ6から出力される画素データに対して種々の画像処理を実行する。詳細は後述する。
【0085】
次に、図1に示す撮像装置1の動作について説明する。図2は撮像装置1の動作を示すタイミングチャートを示し、(A)は画素列21の位置の推移を示し、(B)は画素信号の読み出しタイミングを示している。
【0086】
なお、図2(A)では、画素列21_B,21_G,21_Rを構成するある奇数列の画素GE_B1,GE_G1,GE_R1と、ある偶数列の画素GE_B2,GE_G2,GE_R2とを用いて、各画素列21の推移を示す。
【0087】
図2(A)、(B)では、画素部2が垂直方向上向きに移動し、垂直走査部3は画素列21_B,21_G,21_Rの順で各画素列201を垂直走査している。また、図2(A)、(B)では、画素列21は、1フレーム期間TでW移動するように移動速度V(=W/3・H)が設定されている。また、図2(A)の縦軸の1目盛りは、H期間における画素GEの移動距離を示し、H・V=(1/3)・Wで表される。また、配列間隔Pを(4/3)・W=4・H・Vとしている。
【0088】
また、各画素GEは、1フレーム期間Tで被写体を露光して1フレームの画素信号を取得し、1フレーム期間Tの次に到来するH期間で取得した画素信号を出力した後、次の1フレームの露光を開始している。
【0089】
図1に示す撮像装置は奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとが1つの読出部53を共有しているため、H期間を奇数列の画素GE_Oのみの読出期間又は偶数列の画素GE_Eのみの読出期間に割り付けることはできない。
【0090】
そこで、本実施の形態では、H期間を(1/2)・H期間ずつに分割し、例えば前半の(1/2)・H期間を奇数列、後半の(1/2)・H期間を偶数列の読出期間として割り付けている。
【0091】
そのため、図2(B)に示すように奇数列の画素のGE_Oの1フレームの露光期間に対して、偶数列の画素GE_Eの1フレームの露光期間は、(1/2)・H期間遅延している。
【0092】
図2(A)の例では、画素GE_B1は、H_1〜H_3の1フレーム期間Tで被写体を露光して1フレームの画素信号を取得し、H_4期間で取得した画素信号を読出部501に出力した後、次の1フレームの画素信号の露光を開始している。よって、画素GE_B1は、H_8期間で次の1フレームの画素信号を読出部501に出力している。したがって、1フレームのBの画素信号は、1フレーム期間T毎に得られている。
【0093】
図2(B)のX部分のH_4期間でのBの画素信号の読出処理を説明すると以下の通りとなる。まず、H_4期間の前半の(1/2)・H期間について説明する。
【0094】
i)垂直走査部3は、画素列21_Bを選択する。ii)スイッチ部52_O=オン、スイッチ部52_E=オフにされる。iii)スイッチS3=オン、スイッチS2=オフにされ、ノイズサンプルホールド回路532は、画素GE_B1から出力されるノイズ成分のみを含む画素信号を保持する。
【0095】
iv)スイッチS3=オフ、スイッチS2=オンにされ、シグナルサンプルホールド回路531は、画素GE_B1から出力されるノイズ成分+映像成分の画素信号を保持する。v)差動アンプ533は、ノイズ成分+映像成分の画素信号からノイズ成分の画素信号を減じ、映像成分のみを含む画素信号をカラムAD変換部534に出力する。vi)カラムAD変換部534は、差動アンプ533から出力された画素信号をAD変換して画素データとする。vii)カラムAD変換部534は、水平走査部6により選択されると、保持する画素データをレジスタ6に出力する。
【0096】
次に、H_4期間の後半の(1/2)・H期間について説明する。
i)垂直走査部3は、継続して画素列21_Bを選択する。ii)スイッチ部52_O=オフ、スイッチ部52_E=オンにされる。iii)スイッチS3=オン、スイッチS2=オフにされ、ノイズサンプルホールド回路532は、画素GE_B2から出力されるノイズ成分のみを含む画素信号を保持する。
【0097】
iv)スイッチS3=オフ、スイッチS2=オンにされ、シグナルサンプルホールド回路531は、画素GE_B2から出力されるノイズ成分+映像成分の画素信号を保持する。v)差動アンプ533は、ノイズ成分+映像成分の画素信号からノイズ成分の画素信号を減じ、映像成分のみを含む画素信号をカラムAD変換部534に出力する。vi)カラムAD変換部534は、差動アンプ533から出力された画素信号をAD変換して画素データとして保持する。vii)カラムAD変換部534は、水平走査部6により選択されると、保持する画素データをレジスタ6に出力する。
【0098】
このように、奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとでは読出期間が(1/2)・H期間ずれている。そのため、図8で説明したように、奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとを水平方向に一直線上に配置すると、偶数列の画素GE_Eが露光する1フレームは、奇数列の画素GE_Oが露光する1フレームに対して垂直方向上向きに(1/6)・Wずれる。
【0099】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、偶数列の画素GE_Eは、奇数列の画素GE_Oに対して、垂直方向下向きにO=(1/8)・P=(1/6)・Wずらして配置されている。そのため、奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとは同一フレームを露光することができる。
【0100】
以下、具体的に説明する。H_1期間〜H_3期間のフレーム期間T1_B1で画素GE_B1は、先端E1が位置Y3〜位置Y6に移動するため、フレーム期間T1_Bで露光されたフレームF_T1_Bは、露光開始位置がY0となり、露光終了位置が位置Y6となる。
【0101】
また、時刻t1+(1/2)・H〜時刻t4+(1/2)・Hのフレーム期間T1_B2で画素GE_B2は、先端E1が位置Y3〜位置Y6に移動するため、フレーム期間T1_B2で露光されたフレームF_T1_B2は、露光開始位置がY0となり、露光終了位置が位置Y6となる。よって、フレームF_T1_B1とフレームF_T1_B2とは同一領域となる。そのため、画素GE_B1,GE_B2は同一フレームを露光することができる。
【0102】
また、画素GE_G1は、H_5期間〜H_7期間のフレーム期間T2_G1でフレームF_T2_G1を露光している。画素GE_G2は、時刻t5+(1/2)・H〜時刻t8+(1/2)・Hのフレーム期間T2_G2でフレームF_T2_G2を露光している。そして、フレームF_T2_G1,F_T2_G2は同一領域となっている。よって、画素GE_G1,GE_G2も同一フレームを露光できていることが分かる。
【0103】
また、画素GE_R1は、H_9期間〜H_11期間のフレーム期間T3_R1でフレームF_T3_R1を露光している。画素GE_R2は、時刻t9+(1/2)・H〜時刻t12+(1/2)・Hのフレーム期間T3_R2でフレームF_T3_R2を露光している。そして、フレームF_T3_R1,F_T3_R2は同一領域となっている。よって、画素GE_R1,GE_R2も同一フレームを露光できていることが分かる。
【0104】
また、本実施の形態では、各画素列21は垂直方向の配列間隔Pが、P=(4/3)・Wとされている。つまり、各画素列21は垂直方向にLd=(1/3)・Wの間隔を空けて配列されている。
【0105】
そのため、フレームF_T1_B1,F_T2_G1,F_T3_R1は、露光開始位置が位置Y0となり、露光終了位置が位置Y6となって同一領域となり、画素GE_B1,GE_G1,GE_R1は同一フレームを露光できていることが分かる。
【0106】
また、フレームF_T1_B2,F_T2_G2,F_T3_R2も、露光開始位置が位置Y0となり、露光終了位置が位置Y6となって同一領域となり、画素GE_B2,GE_G2,GE_R2は同一フレームを露光できていることが分かる。
【0107】
また、フレームF_T2_G1の画素信号は、フレームF_T1_B1の画素信号に対して1フレーム期間T後に読み出され、フレームF_T3_R1の画素信号は、フレームF_T2_G1の画素信号に対して1フレーム期間T後に読み出されている。
【0108】
また、フレームF_T2_G2の画素信号は、フレームF_T1_B2の画素信号に対して1フレーム期間T後に読み出され、フレームF_T3_R2の画素信号は、フレームF_T2_G2の画素信号に対して1フレーム期間T後に読み出されている。
【0109】
そのため、1フレーム期間Tずつずれて、同一フレームのB,G,Rの画素信号が順次に読み出されていることが分かる。
【0110】
なお、図2では、H期間の前半の(1/2)・H期間に奇数列の画素GE_Oの読出期間を割り付け、後半の(1/2)・H期間に偶数列の画素GE_Eの読出期間を割り付けたが、これに限定されない。すなわち、H期間の前半の(1/2)・H期間に偶数列の画素GE_Eの読出期間を割り付け、後半の(1/2)・H期間に奇数列の画素GE_Oの読出期間を割り付けてもよい。
【0111】
この場合、奇数列の画素GE_Oを偶数列の画素GE_Eに対して垂直方向下向きにO=(1/6)・Wずらして配置すればよい。
【0112】
また、上記実施の形態では、H期間を2分割したが、これに限定されず、H期間をq(qは単位画素列22の列数であるn以上の整数)分割し、q個のH/q期間のうち、1番目のH/q期間に奇数列の画素GE_Oの読出期間を割り付け、2番目のH/2期間に偶数列の画素GE_Eの読出期間を割り付けても良い。
【0113】
この場合、偶数列の画素GE_Eを奇数列の画素GE_Oに対して垂直方向下向きにO=(1/3・q)・Wずらして配置すればよい。これにより、偶数列の画素GE_Eは、自身の読出期間が到来したときの先端の位置が、奇数列の画素GE_Oの読出期間が到来したときの先端の位置と揃う。したがって、画素GE_E,GE_Oは同一フレームを露光することができる。
【0114】
また、1番目のH/q期間に偶数列の画素GE_Eの読出期間を割り付け、2番目のH/2期間に奇数列の画素GE_Oの読出期間を割り付けても良い。この場合、奇数列の画素GE_Oを偶数列の画素GE_Eに対して垂直方向下向きにO=(1/3・q)・Wずらして配置すればよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、隣接する2列の画素GEで読出部53を共有したが、隣接するn列の画素GEで読出部53を共有してもよい。この場合、単位画素列22はn列の画素GEで構成されることになる。また、単位画素列22毎に1つの読出部53を設ければよい。また、接続制御部72は、H期間をq分割することで得られるq個のH/q期間に、注目画素列21_Xの各単位画素列22のn列の画素信号の読出期間を順次に割り付け、接続制御部72は、m(1≦m≦n)番目のH/q期間が割り付けられた第m番目の画素を読出部53に接続させればよい。
【0116】
この場合、接続制御部72は、単位画素列22において進行方向の先頭に位置する画素GEの読出期間を1番目のH/q期間に割り付ける。そして、m番目のH/q期間に読出期間が割り付けられた第m番目の画素GEを、先頭の画素GEに対して、垂直方向下向きに((m―1)/(3・q))・Wずらして配置すればよい。
【0117】
図3(A)、(B)は単位画素列22を3列の画素GE_1〜GE_3で構成した場合の画素GEの配置を示した図である。単位画素列22において、左列から右列に向かう順番を列の昇順とすると、図3(A)では、mは昇順に設定されている。すなわち、1〜3番目のH/3期間に対して1〜3列目の画素GE_1〜GE_3の読出期間が順次に割り付けられ、画素GE_1〜GE_3は、m=1〜3番目の画素となる。
【0118】
この場合、画素GE_2は、先頭の画素GE_1に対して垂直方向下向きにO(1)=(1/9)・Wずらして配置され、画素GE_3は、先頭の画素GE_1に対して垂直方向下向きにO(2)=(2/9)・Wずらして配置される。
【0119】
図3(A)では、先頭の画素GE_1は、1番目の(1/3)・H期間の開始時刻において、先端E1が位置Y_Xにある。画素GE_1〜GE_3はH期間に(1/3)・W進むため、H/3期間で画素GE_2はO(1)=(1/9)・W進む。そのため、2番目のH/3期間の開始時刻において画素GE_2の先端E1は位置Y_Xにあり、画素GE_1,GE_2は同一フレームを露光することができる。同様に、(2/3)・H期間で画素GE_3はO(2)=(2/9)・W進む。そのため、3番目のH/3期間の開始時刻において画素GE_3の先端E1は位置Y_Xにあり、画素GE_1,GE_3は同一フレームを露光することができる。
【0120】
図3(B)では、mは昇順に設定されていない。すなわち、1〜3番目のH/3期間に対して2,1,3列目の画素GE_2,GE_1,GE_3の読出期間が順次に割り付けられ、画素GE_2,GE_1,GE_3は、m=1〜3番目の画素となっている。
【0121】
この場合、画素GE_1は、先頭の画素GE_2に対して垂直方向下向きにO(1)=(1/9)・Wずらして配置され、画素GE_3は、先頭の画素GE_2に対して垂直方向下向きにO(2)=(2/9)・Wずらして配置される。そのため、図3(A)の場合と同様、画素GE_1〜GE_3は同一フレームを露光することができる。
【0122】
なお、上記実施の形態では、画素列を3段としたが、i段としてもよい。この場合、接続制御部72は、m番目のH/q期間に読出期間が割り付けられた第m番目の画素GEを、先頭の画素GEに対して、垂直方向下向きに((m―1)/(i・n))・Wずらして配置すればよい。
【0123】
画像処理部10は、画素列選択部71が、第k(1≦k≦i)段目の画素列21_kから前記注目画素列21_Xの選択を開始したとすると、p≧kを満たす第p(1≦p≦i)段目の各画素列21が、s(sは0以上の整数)に同じ値を代入したときの第(2+p−k+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択する。
【0124】
また、画像処理部10は、p<kを満たす第p段目の各画素列21が、前記sに同じ値を代入したときの第(i−k+p+2+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択する。
【0125】
ここで、図2の例において、画素列21_B,21_G,21_Rをそれぞれ、画素列21_1,21_2,21_3とおく。そして、図2の例では、画素列21_1から注目画素列21_Xとしての選択が開始されているため、k=1となる。また、図2の例では、画素列21は3段であるため、i=3となり、p=1〜3となる。そして、図2の例において、3H期間が経過する毎に、第1番目のフレーム期間、第2番目のフレーム期間、・・・とフレーム番号を付す。
【0126】
この場合、画像処理部10は、画素列21_1〜21_3について、2+p−k+i・sにi=3、k=1に代入した第(1+p+3・s)フレーム期間において、sに同じ値を代入したときの第(1+p+3・s)フレーム期間で出力された画素信号を同一位置の画素信号として選択する。
【0127】
例えば、s=0の場合、H_4期間〜H_6期間の第2フレーム期間において画素列21_1から出力された画素信号と、H_7期間〜H_9期間の第3フレーム期間において画素列21_2から出力された画素信号と、H_10期間〜H_12期間の第4フレーム期間において画素列21_3から出力された画素信号とが同一位置の画素信号として選択される。
【0128】
図2に示すように、画素列21_1が第2フレーム期間のH_4期間で出力する画素信号は、フレームF_T1_B1,F_T1_B2である。また、画素列21_2が第3フレーム期間のH_8期間で出力する画素信号はフレームF_T2_G1,F_T2_G2である。また、画素列21_3が第4フレーム期間のH_12期間で出力する画素信号は、フレームF_T3_R1,F_T3_R2である。そして、これらのフレームは同一位置が露光されたものである。
【0129】
したがって、画像処理部10は、第2フレーム期間、第3フレーム期間、第4フレーム期間で画素列21_1,21_2,21_3が出力した画素信号を同一位置の画素信号として選択して種々の画像処理を実行すれば、色ずれなく画像処理を実現することができる。
【0130】
また、図2の例において、画素列21_2から注目画素列21_Xとしての選択が開始された場合、すなわち、k=2とされた場合、画像処理部10は、画素列21_2,21_3については、2+p−k+i・sにi=3、k=2に代入した第(p+3・s)フレーム期間において、sに同じ値を代入したときの第(p+3・s)フレーム期間で出力された画素信号を同一位置の画素信号として選択する。
【0131】
また、画像処理部10は、画素列21_1については、i−k+p+2+i・sにi=3、k=2を代入した第(3+p+3・s)フレーム期間において、sにある値を代入したときの第(3+p+3・s)フレーム期間で出力された画素信号を同一位置の画素信号として選択する。
【0132】
例えば、s=0の場合、第2フレーム期間において画素列21_2から出力された画素信号と、第3フレーム期間において画素列21_3から出力された画素信号と、第4フレーム期間において画素列21_1から出力された画素信号とが同一位置の画素信号として選択される。
【0133】
また、図1では、読出部53にカラムAD変換部534を設けたが、本発明はこれに限定されず、カラムAD変換部534に代えてアナログの画素信号を保持するバッファを設けても良い。この場合、レジスタ6を、1段の画素列21のアナログの画素信号を保持することができるバッファにより構成すればよい。そして、レジスタ6は、アナログの画素信号を出力する。
【0134】
次に、画素部2の変形例について説明する。図4は、図1に示す撮像装置1の画素部2の変形例を示した図である。なお、図4において、水平走査部4、制御部7、操作部8、及び搬送機構部9は図示を省略している。また、図4において、読出ユニット5の読出部53は図示を省略している。
【0135】
図4に示す画素部2は、画素列21_B1,21_B2,21_G1,21_G2,21_R1,21_R2の6段の画素列21を備えている。つまり、図4に示す撮像装置1はi=6である。図4に示す撮像装置1は、B,G,Rのそれぞれで2段のTDI(Time Delay Integration)を構成する撮像装置である。
【0136】
画素列21は、奇数列の画素GE_Oと偶数列の画素GE_Eとの隣接する2個の画素GEからなる単位画素列22により構成されている点は図1の撮像装置1と同一である。また、単位画素列22毎に読出部53が共有されている点も図1の撮像装置1と同一である。
【0137】
垂直信号線L2_Oは、同一列の6個の画素GE_Oと接続され、垂直信号線L2_Eは、同一列の6個の画素GE_Eと接続されている。
【0138】
図4に示す撮像装置1はi=6であるため、H期間は(1/6)・Tである。また、各画素列21の配列間隔Pは、P=(7/6)・Wに設定されている。したがって、各画素列21は、Ld=(1/6)・Wに設定されている。
【0139】
また、偶数列の画素GE_Oは、奇数列の画素GE_Eに対して、垂直方向下向きにO=(1/14)・P=(1/12)・Wずらして配置されている。これにより、画素GE_O,GE_Eは同一フレームを露光することができる。
【符号の説明】
【0140】
1 撮像装置
2 画素部
5 読出ユニット
7 制御部
21,21_B,21_G,21_R 画素列
21_k,21_p 画素列
21_B1,21_B2,21_G1,21_G2,21_R1,21_R2 画素列
21_X 注目画素列
22,22_B,22_G,22_R 単位画素列
52,52_O,52_E スイッチ部
53 読出部
71 画素列選択部
72 接続制御部
534 カラムAD変換部
GE,GE_E,GE_O 画素
GE_B1,GE_G1,GE_R1 画素
GE_B2,GE_G2,GE_R2 画素
V 移動速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して、垂直方向に所定の移動速度で相対的に移動する画素部を備える固体撮像装置であって、
前記画素部は、複数の画素が前記垂直方向に直交する水平方向に配列され、n(nは2以上の整数)列毎に1個の単位画素列を構成する画素列をi(iは1以上の整数)段備え、
前記単位画素列に対応して設けられ、前記単位画素列から画素信号を読み出す読出部と、
前記画素列が所定距離進むのに要するフレーム期間をi分割することで得られるH期間が到来する毎に、各画素列を注目画素列として順次に選択する画素列選択部と、
前記H期間をq(qはn以上の整数)分割することで得られるq個のH/q期間に、前記注目画素列の各単位画素列を構成する各列の画素の画素信号の読出期間を順次に割り付け、m番目のH/q期間に読出期間が割り付けられた第m(mは1≦m≦nの整数)番目の画素を前記読出部に接続させる接続制御部とを備え、
前記第m番目の画素は、各画素の受光領域の前記垂直方向の寸法をWとすると、前記単位画素列の進行方向の先頭画素に対して、前記垂直方向に((m−1)/i・q)・Wずらして配置されている固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素部の各列に対応して設けられたスイッチ部を更に備え、
前記接続制御部は、前記第m番目の画素と、前記読出部とを前記スイッチ部に接続させる請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
各読出部は、入力されたアナログの画素信号をAD変換するAD変換器を含む請求項1又は2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
各読出部は、入力されたアナログの画素信号を保持するバッファを含む請求項1又は2記載の固体撮像装置。
【請求項5】
各画素は、前記垂直方向の配列間隔が((i+1)/i)・W以上である請求項1〜4のいずれかに記載の固体撮像装置
【請求項6】
前記画素列の段数は、i=1〜6である請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記単位画素列の列数はn=2〜4である請求項1〜6のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記単位画素列は、列の昇順又は列の降順で前記mが設定される請求項1〜7のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素列選択部が、第k(1≦k≦i)段目の画素列から前記注目画素列の選択を開始したとすると、p≧kを満たす第p(1≦p≦i)段目の各画素列が、s(sは0以上の整数)に同じ値を代入したときの第(2+p−k+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択し、p<kを満たす第p段目の各画素列が、前記sに同じ値を代入したときの第(i−k+p+2+i・s)番目のフレーム期間で出力した画素信号を、同一位置の画素信号として選択する画像処理部を更に備える請求項1〜8のいずれかに記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−239261(P2011−239261A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109999(P2010−109999)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】