説明

固体撮像装置

【課題】サンプルホールド回路を備える固体撮像装置であって、CCDの電源のオン/オフ時に発生する過大な電圧が外部へ出力されることを防止することのできる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】実施形態の固体撮像装置は、CCDの出力をサンプリングするサンプリング用トランジスタMT1およびサンプリングされた電圧を保持するキャパシタCを有するサンプルホールド回路1と、サンプリング用トランジスタMT1のスイッチングを制御するスイッチング制御部2と、を備えている。スイッチング制御部2が、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間は、サンプリング用トランジスタMT1をオフさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やスキャナなどの画像読み取り装置では、CCD(Charge Coupled Device)を搭載する固体撮像装置により光電変換が行われる。近年、画像読み取り装置の読み取り速度の高速化に対応するため、固体撮像装置では、CCDの出力をサンプルホールドして、出力信号のレベルの安定化を図ることが行われている。
【0003】
画像読み取り装置は、固体撮像装置から出力されたアナログ電気信号を、エミッタフォロワを介して、信号処理ICであるAFE(Analog Front End)へ入力し、AFEにてA/D変換することによりデジタル信号へ変換する。
【0004】
通常、CCDが平常動作を行っている場合、エミッタフォロワやAFEへの入力は、CCDの出力電圧の変化に追従することができ、その入力電圧もエミッタフォロワやAFEの最大定格以内である。
【0005】
しかし、CCDの電源のオン/オフ時にクロックが入力されると、オフセット変化や初期蓄積電荷の吐き出し等によって、CCDの出力電圧が過大に変化する。そのため、この過大な出力電圧の変化にエミッタフォロワが追従できず、ベース‐エミッタ間に逆バイアス電圧が印加されるという問題が発生する。また、AFEの入力電圧が最大定格を超えてしまうという問題も発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−72639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、サンプルホールド回路を備える固体撮像装置であって、CCDの電源のオン/オフ時に発生する過大な電圧が外部へ出力されることを防止することのできる固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の固体撮像装置は、CCDの出力をサンプリングするサンプリング用トランジスタおよびサンプリングされた電圧を保持するキャパシタを有するサンプルホールド回路と、サンプルホールド回路のサンプリング用トランジスタのスイッチングを制御するスイッチング制御手段と、を備えている。スイッチング制御手段が、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間は、サンプルホールド回路のサンプリング用トランジスタをオフさせる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の動作の例を示す波形図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の動作の例を示す波形図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の動作の例を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図である。
【0012】
本実施形態の固体撮像装置は、CCDから出力された信号をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路1と、サンプルホールド回路1のサンプリングに使用するサンプリングパルスの出力を制御するスイッチング制御部2と、を備える。
【0013】
また、サンプルホールド回路1の出力SHOは、出力バッファBUFへ入力される。出力バッファBUFの出力が、本実施形態の固体撮像装置の出力信号OUTとなる。
【0014】
サンプルホールド回路1は、CCDから出力された信号をサンプリングするMOSトランジスタMT1と、サンプリングされた電圧を保持するキャパシタCと、を有する。
【0015】
スイッチング制御部2へは、サンプリングパルスSPおよび制御信号CTが入力される。サンプリングパルスSPは、一定周期で変化するパルス信号であり、制御信号CTは、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間を示す信号である。
【0016】
スイッチング制御部2は、サンプリングパルスSPおよび制御信号CTにもとづいて、サンプルホールド回路1のMOSトランジスタMT1のスイッチングを制御するスイッチング制御信号SPCを出力する。
【0017】
スイッチング制御信号SPCとして、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間は、サンプルホールド回路1のMOSトランジスタMT1をオフさせる信号が出力され、CCDの電源電圧が通常に出力されている間は、サンプリングパルスSPと同じ信号が出力される。
【0018】
MOSトランジスタMT1がオフするので、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間、サンプルホールド回路1は、CCD出力信号のサンプリングを停止する。
【0019】
図2に、本実施形態の固体撮像装置の動作波形の例を示す。ここでは、CCD出力の例として、通常駆動時は約5Vから約3〜4Vの範囲の出力電圧であるのに対して、CCDの電源電圧の立ち上り期間では、注入電荷により約8Vから約1Vまで変化する過大電圧が発生し、CCDの電源電圧の立ち下り期間では、注入電荷により約4Vから約1Vまで変化する過大電圧が発生する例を示している。
【0020】
図2に示す例では、制御信号CTは、CCDの電源電圧の立ち上りを含む期間および立ち下りを含む期間は‘L’であり、CCDの電源電圧が通常に出力されている間は‘H’である。また、スイッチング制御信号SPCは、制御信号CTが‘L’のときは‘L’となり、制御信号CTが‘H’のときはサンプリングパルスSPと同じ信号となる。
【0021】
このスイッチング制御信号SPCの制御により、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間、サンプルホールド回路1は、CCD出力信号のサンプリングを停止する。したがって、この期間に発生するCCD出力の過大電圧が、出力信号OUTに伝達されることがない。
【0022】
このような本実施形態によれば、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間に、CCD出力信号のサンプリングを停止するので、この期間に発生するCCD出力の過大電圧が外部へ出力されることを防止することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
上述したように、第1の実施形態では、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間では、サンプルホールド回路1がCCD出力信号のサンプリングを停止する。この期間、サンプルホールド回路1の出力SHOの電圧は、キャパシタCに保持された電圧となる。したがって、この期間の出力信号OUTの信号レベルは一定とならない。そこで、本実施形態では、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間の出力信号OUTの信号レベルを一定とすることのできる固体撮像装置の例を示す。
【0024】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、サンプルホールド回路1の出力SHOに、プルアップ用のトランジスタであるMOSトランジスタMT2が接続されている点と、スイッチング制御部2Aが、スイッチング制御信号SPCのほかにスイッチング制御信号SWを出力する点である。
【0026】
MOSトランジスタMT2は、一端がサンプルホールド回路1の出力SHOに接続され、他端に一定の直流電圧Vpが印加されている。また、MOSトランジスタMT2のオン/オフは、スイッチング制御部2Aから出力されるスイッチング制御信号SWにより制御される。
【0027】
スイッチング制御部2Aは、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間、スイッチング制御信号SPCとして、サンプルホールド回路1のMOSトランジスタMT1をオフさせる信号を出力し、スイッチング制御信号SWとして、MOSトランジスタMT2をオンさせる信号を出力する。
【0028】
図4に、本実施形態の固体撮像装置の動作波形の例を示す。
【0029】
図4に示す例では、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間、スイッチング制御信号SPCは‘L’となり、スイッチング制御信号SWは‘H’となる。このスイッチング制御信号SPCおよびスイッチング制御信号SWにより、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間のサンプルホールド回路1の出力SHOの電圧は、MOSトランジスタMT2を介して印加される直流電圧Vpとなる。したがって、この期間の出力信号OUTの信号レベルも一定となる。
【0030】
このような本実施形態によれば、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間の出力電圧を一定の電圧とすることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
上述したように、第2の実施形態では、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間の固体撮像装置の出力電圧を一定の電圧とすることができる。ただし、そのためには、一定の直流電圧Vpを用意する必要がある。そこで、本実施形態では、一定の直流電圧Vpを用意しなくても、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間の出力電圧を一定にすることのできる固体撮像装置の例を示す。
【0032】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図である。
【0033】
本実施形態が第2の実施形態と異なる点は、MOSトランジスタMT2へ、一定の直流電圧Vpの代わりに、スイッチング制御信号SWの信号電圧が印加される点である。
【0034】
図4に、本実施形態の固体撮像装置の動作波形の例を示す。
【0035】
図4に示す例では、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間、スイッチング制御信号SWの信号レベルは‘H’である。したがって、この期間、MOSトランジスタMT2へは、この‘H’レベルの電圧が印加され、サンプルホールド回路1の出力SHOの電圧も、この‘H’レベルの電圧となる。その結果、この期間の出力信号OUTの信号レベルも一定となる。
【0036】
このような本実施形態によれば、一定の直流電圧Vpを用意しなくても、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間の出力電圧を一定の電圧とすることができる。
【0037】
以上説明した少なくとも1つの実施形態の固体撮像装置によれば、CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間にサンプルホールド回路のサンプリング用トランジスタをオフさせることにより、この期間に発生するCCDの過大電圧が外部へ出力されることを防止することができる。
【0038】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 サンプルホールド回路
2、2A スイッチング制御部
MT1、MT2 MOSトランジスタ
C キャパシタ
BUF 出力バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDの出力をサンプリングするサンプリング用トランジスタと、前記サンプリングされた電圧を保持するキャパシタとを有するサンプルホールド回路と、
前記サンプリング用トランジスタのスイッチングを制御するスイッチング制御手段と
を備え、
前記スイッチング制御手段が、前記CCDの電源電圧の立ち上り期間および立ち下り期間は、前記サンプリング用トランジスタをオフさせる
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記サンプルホールド回路の出力端子に接続されるプルアップ用トランジスタをさらに備え、
前記スイッチング制御手段が、前記CCDの電源投入時の電源電圧立ち上り期間および電源遮断時の電源電圧立ち下り期間は、前記サンプリング用トランジスタをオフさせるとともに、前記プルアップ用トランジスタをオンさせて、前記サンプルホールド回路の出力電圧をプルアップ電圧とする
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記プルアップ電圧が、一定の直流電圧である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記プルアップ電圧が、前記プルアップ用トランジスタのスイッチングを制御する信号から供給される
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−39278(P2012−39278A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176071(P2010−176071)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】