説明

固体状再生標準ビスコース繊維

本発明は,固体状再生標準ビスコース繊維に関する。本発明に係る繊維の断面積は,上記断面に内接する最大の正三角形の面積よりも2.50倍以下,好ましくは2.40倍以下,特に好ましくは2.25倍以下である。さらに,本発明に係る繊維は,6.0g/g繊維より大きいSyngina吸湿性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,固体状再生標準ビスコース繊維と,その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にタンポンの製造に用いられる最新の繊維材料は,いわゆるトリローバル(trilobal)ビスコース繊維と呼ばれる普通ビスコース繊維と綿である。以下で説明するSymginaテストによるこれらの繊維の特徴的な吸湿性は,綿で約4.5g/g,普通ビスコース繊維で5.5g/g,トリローバルビスコース繊維で6.5g/gである。
【0003】
最小量の繊維材料と最小限のコストで,所定のレベルの吸湿性を得ることが,タンポン製造業者の目的である。
【0004】
綿は,その不十分な吸湿性のために,徐々にタンポンの素材として用いられなくなっているのに対し,トリローバル繊維は,普通ビスコース繊維に比べて,製造にコストがかかり,タンポンの製造に使用することが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルロース系繊維の吸湿性を向上させるための,様々なアプローチが報告されている。
1.セルロース系繊維にモノマーをグラフトさせることによる化学的改質
2.セルロース系繊維マトリックス中に,カルボキチメチルセルロース,キトサン,カルバミン酸セルロース,アルギン酸塩,ガラナ(guaran)のような吸湿性ポリマーを混合することによる化学的改質
3.例えばUS−A4,129,679に開示されているように,繊維を空洞繊維や中空扁平繊維とするような物理的改質
4.例えばEP−A10301874に開示されているように,少なくとも3つのリム(limb)を備える縦横比(アスペクト比)2:1〜10:1の複数リムを有する(multilimbed)押出し口を備える紡糸口金を用いて製造される,複数リムを有する繊維(いわゆる”トリローバル”繊維)。
【0006】
セルロース系繊維の化学的改良の欠点は,タンポンのような非常に取り扱いに注意を要する医学的なものへの応用に対しては,コストと時間のかかる毒物学的および生理学的な試験を行う必要がある点,および,化学的に安全であったとしても,タンポン製造評者は,化学的に繊維物質を改良したことに起因する毒物ショック症候群(Toxic Shock Syndrom:TSS)の発生を回避しようとするという点である。
【0007】
空洞繊維と中空扁平繊維の欠点は,これらの繊維が高い保水率を有するために製造が困難な点である。このような高い保水率により,洗浄中に繊維が強くうねり(swell),乾燥中に水素結合の形成により凝集し(stick together),乾燥状態ではもろく,湿潤状態ではなめらかである。また,もう一つの欠点は,カードウェブへの切断加工が困難な点である。
【0008】
トリローバル繊維をタンポンへと加工することは困難であるにもかかわらず,過去2年ほどの間で,トリローバル繊維の使用は,着実に増加してきた。繊維の小さなリムは,非常に壊れやすく,繊維を加工する工程,特に,繊維のゴミの存在下でカーディング加工を行う工程で受ける機械的な力によって,容易にダメージを受けてしまう。
【0009】
複数のリムを有するビスコース繊維の製造方法は,例えば,米国特許第5634914号,米国特許第5458835号,および,欧州特許第A10301874号に開示されている。上記の文献は,一般的に用いられるビスコースの紡糸について記載されている。これらの文献には,複数のリムを有する形状,特にトリローバル形態を有する押出し口を通して,スピンバス(spinbath)へと供給される,既知の改質剤を含んでも良い旨が記載されている。この工程の本質的な特徴は,紡糸口金に設けられた複数のリムを有する押出し口の形状が,フィラメントの断面の望ましい形状に類似しているという点である。これらの文献が示すところによれば,紡糸口金に設けられた押出し口の幾何学的形状が,繊維の断面の形状を決定づけ,繊維の断面の所定の縦横比(アスペクト比)は,押出し口の形状と一致する。
【0010】
さらに,複数のリムを有する最新の繊維は,特にタンポンにおいて,最新のビスコース繊維に比べて吸湿性が向上しており,また,このような繊維は,少なくとも3つのリムを有することを必要とする。また,このような繊維のそれぞれのリムは,少なくとも2:1の,最も好ましくは3:1〜5:1の縦横比(アスペクト比)を有する必要がある。縦横比(アスペクト比)が高くなれば,自由体積度(degree of free volume)と繊維の吸湿性が高くなる。これにより,上記のリムは長くなくなり,薄くなって,反り返るようになる。
【0011】
確たる証拠はないものの,上記の文献では,複数のリムを有する繊維のより高い吸湿性は,ゆっくりとした再生紡糸条件下で,すなわち,酸レベルの減少,および/または,硫酸塩レベルの増加,および/または,ビスコース変質剤の添加により,達成することができる旨の言及がなされている。
【0012】
ビスコース繊維の断面のくぼみが,これら繊維とこれらから製造された製品の吸湿性を強化するということが,US−A4,362,159に記載されている。さらに,US−A4,129,679には,複数のリムを有する断面のビスコース繊維は,フィラメントにおける隣接したリム間に大量の水分を蓄えることが可能なフィラメントの束の吸収力によって,このようなフィラメントからなる製品に優れた吸湿性をもたらすことができる旨が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに,複数のリムを有する開口部を備えた紡糸口金を用いて,縦横比が少なくとも2:1のリムを持たない,実質的に三角形形状の断面形状を持つ繊維を製造することが可能であることが,最近明らかになった。この繊維は,複数のリムを備えた繊維の欠点を解消し,驚くべきことに,複数のリムを有する断面形状をもたないにも関わらず,優れた吸湿性を有する。
【0014】
さらに,本発明は,固体状再生標準ビスコース繊維に関し,上記固体状再生標準ビスコース繊維の断面積が,上記断面に内接する最大の正三角形の面積の2.50倍以下,好ましくは2.40倍以下,さらに好ましくは2.25倍以下であり,以下に定義されるSyngina吸湿力が繊維1gあたり6.0g以上である。
【0015】
本発明において,「固体状」という用語は,繊維が空洞繊維もしくは中空扁平繊維ではないことを意味する。
【0016】
「標準」という用語は,繊維が再生されたセルロース系繊維であり,この再生されたセルロース系繊維は,単位dtexで表した平均の線密度をTとした場合に,条件状態での
破断荷重Bc[cN]が

より小さく,濡れた状態で繊維を5%延伸させるのに必要な力Bm[cN]が

より小さいことを意味する。
【0017】
本発明に係る繊維の断面は,大まかに言うと三角形形状をしている。この三角形形状は,繊維の断面積とこの繊維の断面に内接する最大の正三角形の面積とを比較することで,最も良く定義することができる。
【0018】
繊維の断面積と最大の内接三角形の面積との差が小さくなればなるほど,繊維の断面は三角形形状に似てくることとなる。
【0019】
図1から明らかなように,繊維の断面が略三角形形状である場合は,繊維の断面は,この断面に内接する最大の三角形の面積と比べて非常に大きいというわけではない。
【0020】
しかしながら,図2のように,もし三角形が縦横比(アスペクト比)が2:1以上であるリム(limb)を有するトリローバル(trilobal)な断面に内接するとすれば,この繊維の断面積は,内接する三角形の面積にくらべ,はるかに大きくなる。
【0021】
本発明によれば,上記繊維の断面積と,最大の内接正三角形の面積との比は,2.50以下,好ましくは2.40以下,さらに好ましくは2.25以下である。前述の断面積と前述の比は,以下に詳細を示す方法により決定される。本発明において,上記の比のことを「デルタ比(Delta ratio)」と呼ぶこととする。
【0022】
Erich Treiber博士による文献「Verzug,Verstreckung und Querschnittsmodifizierung」(Chemiefasern,5/1967,344−348)は,トリローバルな紡糸口金を用いて製造されたハイウエットモジュール(High Wet Module:HWM)フィラメントについて開示している。フィラメントの番手は3.3デニール(den)であり,条件付けられた状態での引っ張り強さ(tenacity)は,4g/denであり,湿った状態では2.4g/denであった。また,伸びは,それぞれの状態で10%,14%であった。このフィラメントの断面は,同文献の図8a)に示されており,デルタ比は1.67であった。
【0023】
Treiber博士の文献では,このようなフィラメントの吸湿性については,言及していない。一般に,熟練した技術者は,HWMファイバーの保水値(water retention value)は,ビスコース繊維よりも著しく低いことを予想するであろう。
【0024】
本発明における繊維は,むしろ,ステープル繊維の形で存在する。
【0025】
この繊維の番手は,0.5dtex〜6.0dtexの範囲,好ましくは2.5dtex〜4dexの範囲に存在しうる。
【0026】
本発明に係る繊維は,固体状繊維であり,EP−A1 0301874に開示されているように縦横比(アスペクト比)が2:1以上であるリムを持たないが,本発明に係る繊維は,以下のような優れた吸湿特性を示す。
【0027】
・以下に示すテスト方法による特定のSyngina吸湿性が,6.0g/g以上である。
・Wt計算スキームを用いてDIN53814により測定した保水値が,70〜110%,好ましくは80〜90%である。
【0028】
さらに,本発明に係る繊維は,その特徴的な断面のために,トリローバル樹脂ほど脆弱ではなく,カーディング(carding)の際に優れた加工性を示す。
【0029】
本発明に係る繊維は,申し分なくタンポンのような吸湿性の製品に適している。従って,本発明は,主要部分として本発明に係る繊維を含むタンポンなどの吸湿性の製品も提供する。
【0030】
本発明によれば,以下のステップを含む方法で本発明に係る繊維を製造することができることが明らかになった。
・標準ビスコース繊維の紡糸原液を,紡糸開口を有する紡糸口金を通過させ再生漕に押し出すことにより,フィラメントを製造する
・上記の紡糸開口は,複数のリムを有する開口部,好ましくは3つのリムを備えた開口部を有する
・上記開口部のリムは,縦横比(アスペクト比)が3:1以下である。
・上記のビスコース紡糸原液は,熟成指数(ripening index)が10〜20°Hottenroth,好ましくは,12〜16°Hottenrothである。
・上記ビスコース紡糸原液は,0.1〜7重量%,好ましくは2〜6重量%のセルロースに関係するセルロース調整剤(modifier)を含む
・上記再生漕は,70〜100g/l,好ましくは75〜85g/lの硫酸と,240〜380g/l,好ましくは270〜300g/lの硫酸ナトリウムと,5〜30g/l,好ましくは7〜12g/lの硫酸亜鉛を含む。
・上記再生漕は,25〜55℃,好ましくは30〜35℃の温度である。
・上記のフィラメントを,既知の方法で延伸し,加工する。
【0031】
本発明のために,標準ビスコース繊維を製造するための標準ビスコース紡糸原液は,最先端技術のビスコース溶液であり,典型的にセルロース濃度が7重量%以上,好ましくは8重量%以上で,アルカリ比率が0.9以下,典型的にはおよそ0.6で,ガンマ値(gamma value)が50以下で,熟成指数(ripening index)が20°Hottenroth以下である。
【0032】
好ましくは,ビスコース調整剤(modifier)は,分子量が600〜3000,好ましくは1200〜1500のポリエチレングリコールである。
【0033】
本明細書中で重量%で示される全ての値は,セルロースの重量に基づいて計算される。
【0034】
プロセスの好ましい具体例では,上記フィラメントは,脂肪酸エステルで処理される。上記フィラメントを処理する脂肪酸エステルは,好ましくは,TWEEN20(登録商標:ICI Surfactantsから入手可能)のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(polyoxyethylene sorbitan fatty acid ester)である。
【0035】
上記フィラメントは,0.03〜0.7%(w/w:セルロースに基づいて計算),好ましくは0.3〜0.4%の脂肪酸エステルで処理される。
【0036】
上記フィラメントの延伸,および,切断,洗浄,乾燥といった詳細な処理については,熟練した技術者が既知の方法で行うことが可能である。典型的には,上記フィラメントは,第2の上記再生漕および/または空気中で,40%〜90%,好ましくは55%〜70%の延伸比(stretching ratio)に延伸される。
【0037】
例えばEP−A1 0301874の実験部分に示されているように,トリローバル繊維を製造する最先端のプロセスでは,トリローバル紡糸口金開口から押し出されるのと同じ形の繊維の断面の迅速な固定を提供する再生条件が適用される。
【0038】
しかしながら,本発明に係るプロセスでは,以下の点は非常に重要である。すなわち,プロセス・パラメータは,トリローバル紡糸口金から押し出されたフィラメントは,リムがコアに向かって収縮され,実質的に三角形の断面(以後,「Δ型」と言及する)を形成することにより,ゆっくり再生される。
【0039】
あるビスコース合成物のためには,遅い再生プロセスは,例えば,硫酸濃度を低くし,スピンバスの温度を低下させるのにあわせ,ビスコース調整剤を紡糸原液に添加することで実施することができる。
【0040】
トリローバル開口部を有する紡糸口金を用いて紡糸する際に,Y型の繊維の代わりにΔ型の繊維を得るためには,特に調整剤の添加とゆっくりと再生するスピンバスが必要であることを実証することができる。
【0041】
調整剤を添加しないと,たとえ硫酸濃度とスピンバスの温度を低くしたとしても,トリローバル紡糸口金から得られる繊維の断面は,Y型になってしまう。
【0042】
しかしながら,例えばPEG1500のような調整剤を,ビスコース紡糸原液に特定の量添加すれば,同様の条件で紡糸された繊維の断面は,Δ型断面となる。
【0043】
一方,相対的に硫酸濃度が高いスピンバスを用いた場合には,調整剤を用いるか否かにかかわらず,得られる繊維は,Y型断面となる。
【0044】
開口部がわずかに低い縦横比(アスペクト比),例えば,わずかに2:1を超えるもしくはわずかに2:1を下まわる縦横比,を有する3つのリムを備えた紡糸口金を用いると,スピンバスの硫酸濃度が高い場合でも,Δ型の繊維を製造することができる。
【0045】
あるいは,本発明による繊維は,トリローバル紡糸口金のかわりに,三角形の開口を有する紡糸口金を用いることで,製造することが可能である。この場合には,繊維の断面を三角形形状の断面とするために,再生条件を修正する必要がある。正三角形の開口を有する紡糸口金により従来のスピンバスに,あるいは,ポリエチレングリコールが調整剤として添加されている,もしくはされていない遅い再生条件のスピンバスに,アルカリ比率が0.6の標準ビスコース紡糸原液を紡糸することでは,デルタ比が2.5より下で,Syngina吸湿性が6g/g以上の繊維を得ることができないことが明らかになった。しかしながら,高いアルカリ比率のビスコースを,三角形の紡糸口金を用いて高い硫酸亜鉛濃度を有するスピンバスに紡糸することで,本発明に係るΔ型の繊維を得ることができる。
【0046】
驚くべきことに,上記で定義したような三角形の断面を有する繊維は,縦横比(アスペクト比)が2:1以上のリムで断面を有していないにもかかわらず,普通ビスコース繊維よりも良く,トリローバルビスコース繊維と同等もしくはそれ以上のSyngina吸湿性を有することが明らかになった。また,本発明に係る繊維は,カーディングおよびそのコンパクトな形により製造するタンポンに,著しい長所を有することがあきらかになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(テスト方法)
(繊維断面の顕微鏡写真の撮影)
平行にされたステープル繊維の束は,ステンレス鋼板製で直径が1〜2mmの開口に挿入される。押し出された繊維は,鋼板表面に平行に設けられたカミソリ刃により,切断される。上記の試験片は顕微鏡下に設置され,繊維の断面の顕微鏡写真が1070倍の倍率で撮影される。
【0048】
(内接された最大の正三角形の決定と,繊維の断面積と内接された最大の三角形の面積との比率の測定)
この測定は,グラフィックソフトウェアと,以下のような注文仕様のプログラムを用いてパーソナルコンピュータで行うことが可能である。
【0049】
1)単繊維の断面は,背景に対する繊維を識別する色を色づけされてビットマップに変換される。完全に視覚化され隣接する断面と容易に区別することができ,背景に対して最もコントラストのはっきりした繊維の断面のみを,グラフィカルに選び出す。この繊維の断面は,粗いグリッドで覆われる。このグリッドサイズは,断面の幅および高さのそれぞれ約20分の1である。
【0050】
2)高さとy軸との間のある固定角について,断面に内接された重心Cを有する最大の三角形は,三角形の側面の長さをこの断面の境界に達するまで連続的に増加させることで,決定することができる。
【0051】
3)最大の三角形は,2)におけるグリッド上の全ての重心,および0.5°きざみで0°から360°までの全ての角度について計算され,最大の三角形に対応する重心が決定される。その後,この点を囲む範囲の全てのピクセル(x,y)について,重心(x,y)を有する最大の三角形が決定され,内接することができる最大の正三角形が決定される。
【0052】
4)繊維の断面積は,繊維を識別するカラーピクセルによって決定される。最適の正三角形の面積は,3)によって決定される。デルタ比は,繊維の断面積を最適の正三角形の面積で割ることで求められる。
【0053】
この過程は,同一のサンプルにおける12の繊維それぞれについて繰り返され,平均のデルタ比が計算される。
【0054】
(Synginaテスト)
Synginaテストは,タンポン中の繊維の吸湿性を評価する。以下に掲載されたテストは,EDANAテスト方法ERT 350.0−02を簡略化したものである。
【0055】
図3は,上記テスト方法の実施に用いられる装置を示している。ここで,
1 測定セルを示す
2 供給容器を示す
3 排水路(overflow line)を示す
4 排水口(run out)を示す
6,7,11,13 それぞれゴム製のリングを示す
8 タンポンもしくはタンポン形状のプラグを示す
9 チューブを示す
10 充填チューブを示す
12 排水口を示す
14 測定器具(mensur.)を示す
A,B バルブを示す
【0056】
上記テスト方法の原理は,コンドームによって形成された柔軟な薄膜の内部のタンポンに標準圧力を加えることにより,実験室内で,膣内の環境をシミュレートすることである。
【0057】
タンポンに液体漏れが生じるまで流体を導入することにより,保水量,液体吸収量,および水の移動(water displacement)まで計測することができる。試験前(乾燥状態)と試験後(湿潤状態)のタンポンの重量が,吸収された流体の量を計算するために測定される。
【0058】
(試薬)
Syngina流体として,蒸留水もしくは脱イオン水が使用される。
【0059】
(試料の調整)
8〜11%の湿度を有する2.75gのステープル繊維を秤量し,カーディング装置USTER MDTA3型に,ロータリング3とともに供給する。コンバインローラの速度は,1390rpmである。それぞれ75秒間稼働させる。約90cmの長さの得られたカードスライバー(card sliver)は,30cmの長さの帯を形成するために,三重にされる。このカードスライバーは,2つのローラの間で圧力が加えられるか,あるいは,カレンダーロール上で小型化される。カードスライバーの小型化中に,非常に高い圧力を加えると,剛体やカードボード形状といった,避けなくてはならない形状が形成されてしまう。
【0060】
小型化されたスライバーの重量は2.70gに調整され,巻き取り(winding)によりシリンダーを形成させるための装置に入れられる。この手順の間,ロールは150gのカウンターシリンダーにより圧迫される。
【0061】
次いで,試料は,プラグのためのメカニカルプレスにかけられる。これは,機械的な装置であり,タンポンの形状をしたプラグを形成することができる。このプラグは,商業用の指状のタンポンと同じ体積,質量および繊維の配向度を有しており,シリンダーの側面に沿って8つの溝が形成されている。上記プラグは,110N・mで10分間加圧され,テスト直前に再度,余分に秤量される。
【0062】
図4〜8には,Synginaテストを行うためにタンポンの形状に圧縮された物を製造するための圧縮の様子が描かれている。
【0063】
プレス41は,基板プレート42上に配置され,また,しっかりと導入された下側支柱(lower bracing)43を含み,下側支柱43には,下側グリッピング装置44が配置される。また,上側支柱(upper bracing)45は,水平方向および垂直方向に回転可能であり,昇降装置47により置換可能であり,昇降装置47には上側グリッピング装置46が連結されている。
【0064】
図5は,図4のA−A線で上側グリッピング装置46を切断した断面図である。この上側グリッピング装置は,4つの上側グリッピングジョー(jaw)461〜464を含む。
【0065】
図6は,図4のB−B線で下側グリッピング装置44を切断した断面図である。この下側グリッピング装置は,4つの下側グリッピングジョー441〜444を含む。
【0066】
図7は,図5のY部分を拡大した断面図である。4つの上側グリッピングジョー461〜464の正確な寸法は,図7における寸法(mm単位)による。下側グリッピングジョー442は,一点鎖線により図示されている。
【0067】
図8は,図6のZ部分を拡大した断面図である。4つの下側グリッピングジョー441〜444の正確な寸法は,図8における寸法(mm単位)による。上側グリッピングジョー463は,一点鎖線により図示されている。
【0068】
サンプルを調整するために,予め調整された,圧縮されコイル状にされたカードスライバー(重量=2.7g)が,垂直方向に下側グリッピングジョー441〜444の間の開口部に挿入され,ダイナモメトリックキー(dynamometric key)で補助しながら,下側グリッピングジョーにわずかな圧力を加えることにより固定される。次に,図7および図8に示されているように,上側グリッピング装置46を回転させて,上側グリッピングジョー461〜464と下側グリッピングジョー441〜444とが互いに同じ高さになるまで,上側グリッピング装置46を下降させる。最終的には,上側グリッピングジョー,上側グリッピングジョー461〜464と下側グリッピングジョー441〜444とは,互いに隣接して交互に位置することとなる。コイル状のカードスライバーは,このとき,空間48(図7および図8参照)に位置している。この空間48は,それぞれ,グリッピングジョー441〜444,461〜464により予め定められている。そして次に,カードスライバーは,グリッピングジョーの締め付けによりプレスされる。このような目的のために,ダイナモメトリックキーは,下側支柱43に設けられる矩形のネック(square neck,図示せず)に入れられ,110N・mのトルクがかけられて,非常に強く締め付けられる。上記のプレス操作は,10分間続けられる。このようにして,プレスされた物は,8つの溝を有する特徴的な構造となる。
【0069】
このプラグは,さらなる変更を加えることなく,Synginaテストに用いることができる。プラグの長さは約53mmであり,その直径は14〜15mmである。上記プラグの縦方向または半径方向の寸法は,少なくとも7日間変化しない。
【0070】
タンポンが試料として用いられる場合には,包装またはアプリケータは除去されなければならない。上記の試料は,テスト直前に包装をはずすべきであり,取り外し用のヒモは切断されるべきである。
【0071】
テストごとの試料の個数は,3個にすべきである。
【0072】
(コンドームの装着と交換)
テスト用の薄膜としては,張力が17MPaと30MPaの間にある,真っ直ぐで無潤滑のコンドームが用いられる。上記のコンドームは,開封され,解かれた状態になっている。上記のコンドームは,開放端から20mmと160mmのところに印が付けられる。
【0073】
上記のコンドームは,ロッドで支持されたテスト装置(図3)のチャンバ1を通して,160mmの印が,チャンバ1のより小さい方の開口部(チャンバ1の底側)の縁に位置するように,挿入される。
【0074】
コンドームの先端は切断され,ゴム製のバンドで固定される。このとき,160mmの印は,チャンバ1のより小さい方の開口部の縁にある状態で維持される。
【0075】
上記のコンドームは,チャンバ1の大きな開口部を通じて,20mmの印が開口部の縁に位置するように引き出され,ゴム製のバンドで固定される。
【0076】
テスト用のコンドームは,(a)漏れが生じた場合,(b)一月ごと,のいずれかが最初に生じた時点で,交換される。
【0077】
(手順)
タンポン,または上記「試料の調整」の項で調整されたプレスされたプラグは,なるべく正確に0.01g秤量される。この重量は記録される。
【0078】
図3に示したように,テスト装置のチャンバ1が空の間は,タンポン8は,コンドーム5内に置かれる。このとき,タンポン8の中心は,チャンバ1の中心にあり,底側の端部(取り出し用のヒモが取り付けられている端部)は,チャンバ1の底に向かって設けられる。上記プラグをこのセルの中心に載置する際には,ピンセットを用いるのが便利である。
【0079】
次いで,バルブAが開かれ,チャンバ1に水が充填される。小さなチューブ9がチャンバ1に挿入され,タンポン/プラグ8の上端部と接触する。その後,バルブAが再び閉じられる。
【0080】
その後,バルブBが,圧力を均等にするために開かれる(図3のように,圧力が170mm水柱と等しい圧力となるように設定されている)。充填チューブ10がゴム製リングと共に挿入され,テスト液体11.25mlがチューブ10に充填される。このとき,ストップウォッチをスタートさせる。
【0081】
3分後に,バルブBが閉じられる(ただし,排水口4にまだ水が残っている場合は除く)。いくらかの液体が充填チューブ10および小さなチューブ9からあふれている場合には,Socorexピペットを用いてあふれた液体を吸引する。そして,充填チューブ10を取り除き,測定用セルを上昇させる。
【0082】
チューブ9が取り除かれ,バルブAが開かれ,上記コンドームが取り除かれる。こうすることで,タンポン/プラグ8をピンセットで容易に取り外すことができる。その後,バルブAが閉じられ,チャンバ1が固定される。
【0083】
取り外されたタンポン/プラグ8は,直ちに,0.01グラムまで秤量される。この湿潤状態での重量が計測される。残留している水は,チャンバ1から排水される。
【0084】
このテストは,同じ繊維のサンプルからの新しいプラグを使用して,3回繰り返されるべきである。
【0085】
このテストに当たっては,チャンバ1は泡を全く含まないように充填されるべきである。
【0086】
(結果の計算と表示)
それぞれの試料タンポン/プラグの吸湿性は,以下のようにして計算される。
A=B−C
ここで,
A=グラム単位でのタンポン/プラグの吸湿性
B=飽和状態(湿潤状態)におけるグラム単位でのタンポン/プラグの重量
C=乾燥状態におけるグラム単位でのタンポン/プラグの重量
【0087】
その結果は,小数点第1位まで求められる。全ての試料の平均吸湿性が計算される。
【0088】
gテスト液体/g繊維単位での特定のSyngina吸湿性は,平均吸湿性(A)を乾燥状態におけるグラム単位でのタンポン/プラグの平均重量(C)で割ることにより計算される。
【0089】
(保水性)
上記繊維の保水性は,DIN53814に記載されたテスト方法により,Wt計算方法を用いて測定される。
【0090】
(水分保持量)
上記繊維の水分保持量は,ビスコース芯糸の吸湿性のためのテスト方法,すなわち,European Pharmacopoeia4 01/2002:0034に記載された吸湿剤(absorbent)により測定する。
【0091】
(実施例1)Δ型繊維
セルロースを8.70%,アルカリを5.20%,硫黄を2.3%含み,14.2°Hottenrothの熟成指数と,58ball fall seconds(bfs,Zellcheming−Merkblatt III/5/Eにより測定される)の粘度とを有するビスコースが,76.5g/lの硫酸と,272g/lの硫酸ナトリウムと,10.4g/lの硫酸亜鉛を含み,温度が32℃の再生漕に,トリローバル紡糸口金を用いて紡糸された。上記紡糸口金は,72×33μm(縦横比:2.18)の3つのリムを有するトリローバル開口部を625個有する。紡糸前に,ポリエチレングリコール1500の5重量%水溶液が,上記ビスコースに添加された。
【0092】
紡糸速度は50m/minであった。フィラメントは,17g/lの硫酸を含む暖かい第2バスの中で,55%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpH5の10g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)により洗浄され,乾燥された。
【0093】
上記繊維は,3.0dtexの番手と,103%の保水性と,23.8g/gの水インビビション(water imbibition)を有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.7g/gであった。上記繊維のデルタ比は,2.26であった。その典型的な形状を,図9に図示した。
【0094】
(比較例2)調整剤を用いずに紡糸した例
ポリエチレングリコールをビスコースに添加しなかったことを除いては,実施例1と同じ条件で,ビスコース繊維を紡糸した。
【0095】
上記繊維は,2.9dtexの番手と,120%の保水性と,24.8g/gの水インビビションを有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,5.9g/gであった。この繊維のデルタ比は,4.8であった。この繊維のトリローバル形状を,図10に図示した。
【0096】
(比較例3)再生漕の硫酸濃度を高くした例
セルロースを8.65%,アルカリを5.16%,硫黄を2.3%含み,14°Hottenrothの熟成指数と,63bfsの粘度とを有するビスコースが,131g/lの硫酸と,367g/lの硫酸ナトリウムと,11g/lの硫酸亜鉛を含む49℃の温度の再生漕に,実施例1に示したトリローバル紡糸口金を用いて紡糸された。紡糸前に,ポリエチレングリコール1500の2.5重量%水溶液が,上記ビスコースに添加された。
【0097】
上記の紡糸速度は50m/minであった。上記フィラメントは,19g/lの硫酸を含む暖かい第2バス中で76%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpH5の5g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)により洗浄され,乾燥された。
【0098】
上記繊維は,3.2dtexの番手と,87%の保水性と,23.7g/gの水インビビションを有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.6g/gであった。
【0099】
上記繊維のデルタ比は,4.07であった。その典型的な形状を,図11に図示した。
【0100】
(実施例4)Δ型繊維
セルロースを8.65%,アルカリを5.14%,硫黄を2.3%含み,13.6°Hottenrothの熟成指数と,65bfsの粘度とを有するビスコースが,85g/lの硫酸と,276g/lの硫酸ナトリウムと,11g/lの硫酸亜鉛を含む31℃の温度の再生漕に,実施例1に示したトリローバル紡糸口金を用いて紡糸された。紡糸前に,ポリエチレングリコール1500の5重量%水溶液が,上記ビスコースに添加された。
【0101】
紡糸速度は50m/minであった。上記フィラメントは,19g/lの硫酸を含む暖かい第2バス中で55%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpH5の10g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)により洗浄され,乾燥された。
【0102】
上記繊維は,2.9dtexの番手であった。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.9g/gであった。
【0103】
上記繊維のデルタ比は1.91であった。その特徴的な形状を,図12に図示した。
【0104】
(実施例5)Δ型繊維,短いリムを有するトリローバル紡糸口金
セルロースを8.67%,アルカリを5.15%,硫黄を2.3%含み,15°Hottenrothの熟成指数と,62bfsの粘度とを有するビスコースが,85g/lの硫酸と,277g/lの硫酸ナトリウムと,11g/lの硫酸亜鉛とを含む53℃の温度の再生漕にトリローバル紡糸口金を用いて紡糸された。上記紡糸口金は,正三角形のコアに45×33μm(縦横比:1.36)のリムを3つ有する開口が625個設けられている。外接円の半径は,80μmである。紡糸前に,ポリエチレングリコール1500の5重量%水溶液が,上記ビスコースに添加された。
【0105】
紡糸速度は,50m/minであった。フィラメントは,17.6g/lの硫酸を含む暖かい第2バス中で55%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpH5の5g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)により洗浄され,乾燥された。
【0106】
上記繊維は,3.2dtexの番手を有し,78.5%の保水性と,18.6g/lの水インビビションを有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.1g/gであった。
【0107】
上記繊維のデルタ比は1.63であった。その特徴的な形状を,図13に図示した。
【0108】
(実施例6)Δ型繊維,三角形の紡糸口金
セルロースを8.23%,アルカリを7.15%,硫黄を2.20%含み,14.5°Hottenrothの熟成指数と,52bfsの粘度とを有するビスコースが,98g/lの硫酸と,351g/lの硫酸ナトリウムと,28.2g/lの硫酸亜鉛を含む49℃の再生漕に,三角形の紡糸口金を用いて紡糸された。この紡糸口金は,s=129μmの正三角形形状の開口を625個有していた。
【0109】
紡糸速度は55m/minであった。フィラメントは,19.6g/lの硫酸を含む暖かい第2バスで82%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpHが5の10g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)により洗浄され,乾燥された。
【0110】
上記繊維は,2.96dtexの番手を有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.4g/gであった。
【0111】
上記繊維のデルタ比は2.03であった。その典型的な形状を,図14に図示した。
【0112】
(比較例7)89×25μm(縦横比3.56)の紡糸口金で製造されたトリローバル繊維
セルロースを8.80%,アルカリを5.20%含み,13.5°Hottenrothの熟成指数と,70bfsの粘度とを有するビスコースが,76g/lの硫酸と,266g/lの硫酸ナトリウムと,10.4g/lの硫酸亜鉛を含む30℃の温度の再生漕に,トリローバル紡糸口金を用いて紡糸された。この紡糸口金は,89×25μm(縦横比:3.56)のリムを3つ有するトリローバル開口を,625個有していた。紡糸前に,ポリエチレングリコール1500の5重量%水溶液が,上記ビスコースに添加された。
【0113】
紡糸速度は50m/minであった。フィラメントは,17g/lの硫酸を含む暖かい第2バスで55%の延伸をうけ,40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,漂白された。その後,70℃でpH5の10g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween20,ICI surfactantsから入手可能)で洗浄され,乾燥された。
【0114】
上記繊維は,2.97dtexの番手を有し,25.0g/gの水インビビションを有していた。前述のSynginaテストによるSyngina吸湿性は,6.8g/gであった。
【0115】
上記繊維のデルタ比は2.64であった。その典型的な形状を,図15に図示した。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】三角形の繊維の断面に内接された三角形を示している。
【図2】本発明に係るトリローバル繊維の断面に内接された三角形を示している。
【図3】Synginaテスト法を行うために使用される装置を示している。
【図4】Synginaテスト法のための試験片を作成するために使用されるメカニカルプレスを示している。
【図5】図4のメカニカルプレスをA−A線で切断した断面図である。
【図6】図4のメカニカルプレスをB−B線で切断した断面図である。
【図7】図5のY領域を拡大した断面図である。
【図8】図6のZ領域を拡大した断面図である。
【図9】実施例1に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図10】比較例2に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図11】比較例3に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図12】実施例4に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図13】実施例5に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図14】実施例6に係る繊維の形状を示した拡大図である。
【図15】比較例7に係る繊維の形状を示した拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状再生標準ビスコース繊維の断面積は,前記断面積に内接される最大の正三角形の面積の2.50倍以下,好ましくは2.40倍以下,特に好ましくは2.25倍以下であり,
Syngina吸湿性は,6.0g/g繊維以上であることを特徴とする,固体状再生標準ビスコース繊維。
【請求項2】
ステープル繊維の形状であることを特徴とする,請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
0.5dtexから6.0dtexの番手,好ましくは2.5dtexから4dtexの番手を有することを特徴とする,請求項1または2に記載の繊維。
【請求項4】
DIN53814に記載の方法で測定した保水性が70%から110%,好ましくは80%から90%であることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の繊維。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の繊維を製造する方法であって,
標準ビスコース紡糸原液を,紡糸開口を含む紡糸口金を通して再生漕に紡糸し,フィラメントを形成させ,
前記紡糸開口は,複数のリムを有する開口部,好ましくは3つのリムを有する開口部を有し,
前記開口部の前記リムは,縦横比が3:1以下であり,
前記ビスコース紡糸原液は,10〜20°Hottenroth,好ましくは12〜16°Hottenrothの熟成指数を有し,
前記ビスコース紡糸原液は,セルロースに対して0.1〜7重量%,好ましくは2〜6重量%のセルロース調整剤を含み,
前記再生漕は,70から100g/l,好ましくは75から85g/lの硫酸と,240から380g/l,好ましくは270から300g/lの硫酸ナトリウムと,5から30g/l,好ましくは7から12g/lの硫酸亜鉛とを含み,
前記再生漕は,25から55℃,好ましくは30から35℃の温度であり,
前記フィラメントは,既知の方法で延伸および更なる処理が施されることを特徴とする,繊維の製造方法。
【請求項6】
前記ビスコース調整剤は,分子量が600〜3000,好ましくは1200〜1500のポリエチレングリコールであることを特徴とする,請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィラメントは,脂肪酸エステルにより処理されることを特徴とする,請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪酸エステルは,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであることを特徴とする,請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステープル形状に形成された請求項1〜4のいずれかに記載の繊維を含む,タンポンのような吸湿製品。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2006−523780(P2006−523780A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503941(P2006−503941)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000074
【国際公開番号】WO2004/085720
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(593111325)レンツィンク アクチェンゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】